...

SKAで目指す 宇宙磁場研究の地平線

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

SKAで目指す 宇宙磁場研究の地平線
SKAで目指す
宇宙磁場研究の地平線
赤堀卓也
シドニー大学シドニー天文研究所(SIfA)
日本学術振興会海外特別研究員
国際SKA宇宙磁場科学検討班
日本SKA宇宙磁場科学検討班
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
講演内容
2
v はじめに
–  SKAと宇宙磁場研究の関係
–  SKAがもたらすキーブレイクスルー
v SKA宇宙磁場サイエンス
–  銀河・ブラックホール・AGN
–  銀河団
–  天の川銀河
–  宇宙大規模構造
v まとめ
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
宇宙磁場の重要性
磁場 – 自然界の力の一つ、物質進化を探る要
ダイナモ・
多様性と進化
超新星残骸・
衝撃波・星形成
3
粒子加速・
乱流・加熱と冷却
ジェット・
フィードバック
磁場 – 現代物理学の謎に立ちふさがる課題
中性水素21cm輝線
宇宙暗黒時代の解明
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
CMB偏光
インフレーション理論の実証
http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/kt81b.html
高エネルギー宇宙線
宇宙線の起源
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
なぜSKAで宇宙磁場?
4
v シンクロトロン放射(I,Q,U,V)とファラデー回転測度(RM)
を観測できる「とても」恵まれた波長帯
–  事実、宇宙磁場について知る多くの知見は、 センチ波・メートル波の電波観測がもたらしてきた
光ってなくていい!
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
SKAがもたらすキーブレイクスルー:
SKA Phase1の仕様から読み解く
5
項目
要求値 (L:low, S:survey, M:mid) 特記
空間分解能
11″ (L), 0.9″ (S), 0.2″ (M)
ビーム偏波解消の回避
最大検出角度
~1° (L-35m, S-30m, M-30m)
広がった放射の検出
視野
27 deg2 (L-110MHz)
18 deg2 (S-1.67GHz, PAF)
0.5 deg2 (M-1.67GHz)
天体総数の向上
特異な天体・突発現象の発見
帯域
50 - 350 (L), 650 - 1670 (S),
350 - 14000 (M) MHz
スペクトル指数の決定向上
トモグラフィーでRM精度向上
同時帯域
250 (L), 500 (S), 750 (M) MHz
誤差の縮小、最大感度の向上
同時帯域内感度
(最大感度)
2.1 (L), 3.7 (S), 0.7 (M)
µJy/beam/hr1/2
天体総数の向上
新しい天体集団の観測
偏波純度
-30 dB ~0.1 %
誤差の縮小、最大感度の向上
SKA宇宙磁場研究のキーブレイクスルー
高精度・高密度RMグリッド
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
SKAがもたらすキーブレイクスルー(1):
「次元の違う」高精度なRMの計測
複素偏波強度 P(λ2)=Q(λ2)+iU(λ2) 積分量からの診断
複素ファラデー分散関数 F(φ) 断面量からの診断
ファラデートモグラフィー
天の川
銀河
TA+ submitted
銀河間 準星
磁場
聴診器からCTスキャンへ
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
6
トモグラフィーà出口さんO,倉山さん熊崎さんP
©Toshiba
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
SKAがもたらすキーブレイクスルー(2):
高密度なRMのグリッド
1,250,000
(SKA2)
50平方度当たりの系外偏波源数
5,000
(ASKAP)
50
(VLA)
’00-’10
赤堀 天文月報
2015~
7
100,000
(SKA1)
2020~
2025~
50画素から100万画素へ
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
http://whereiswaldo.co/images-waldo/
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
キーブレイクスルーで進展が期待される
宇宙磁場の主要課題
R高
M精
度
高
密
度
8
銀河・ブラックホール・AGNと磁場
銀河進化と磁場の関係は?ブラックホール進化と磁場は関係するか?
銀河団形成と磁場
銀河団磁場の起源と増幅機構は何か?銀河団形成に与える影響は?
天の川銀河磁場とその前景効果
天の川銀河磁場の分子雲・星形成への影響は?その構造は?
磁気宇宙大規模構造の発見
存在するのか?どのように生じたのか?どのような性質を持つのか?
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
系外銀河:z<4までの銀河が偏波で
観測できる時代に
9
SKA1
ASKAP
感度0.1
感度10 µJy
ß近傍銀河のみ
0
1
2
3 4
赤方偏移
5
6
偏波がS/N=10で観測される
通常銀河の確率分布予想
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
おとめ座銀河団銀河の磁場構造
SINGS サーベイ (Heald+ 09)
v 普遍性・多様性・時間進化
v 環境効果・衝突合体
渦状腕と磁場à安楽さんポスター
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
介在銀河:介在銀河の磁場構造と
遠方天体観測への影響は?
クェーサー 介在銀河
偏波解消
吸収線系あり
吸収線系なし
破線:NVSS, 21cm
実線:VLA etc, 6cm
クラウド
吸収線系
系外偏波源で観測されたRMの
積分確率密度分布(Bernet+ 12)
1
2
3 4 5
赤方偏移
RM (rad/m2)
クェーサー
吸収線系
0
10
10000
1000
100
10
赤方偏移 3
2
1
0
10万のSDSSクェーサーのうち4万 星形成銀河のRMシミュレーション(Beck+13)
にMgII吸収線系(Zhu, Merand 13)
v 銀河の乱流、星形成史
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
電波ジェット:高精度RM観測が
ブラックホール・AGN周辺環境を暴く
SKAでの空間分解能予測
SKA2
SKA1-low
(50-350 MHz)
11
PKS
PKS B1039−47
B1903−802
B160−771
1″
SKA1-survey
(650-1670 MHz)
1″
SKA1-mid (580-1015)
SKA1-mid (950-1670)
最大基線長[km]
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
電波銀河の広帯域観測データと
多成分モデルフィット(O’Sullivan+ 12)
v AGNの周辺環境・フィードバック
3000 v 中心エンジンの宇宙論的進化
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
銀河団:磁場の時間進化と
衝撃波・粒子加速の物理に迫る
ハロー
レリック
AGN?乱流加速?
衝撃波?AGN?
12
X線銀河団数
LOFAR発見率
レリックあり
Abell 3376
(Bagchi+ 06)
Feretti+ 12改
Spectral index α=(1+p)/2
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
P1.4 [Watt/Hz]
ガス温度 [keV]
Abell 2319
(Govoni+ 04)
現在の発見率
0
0.1
0.2
0.3 0.4
0.5
赤方偏移
Nuza+ 12
レリック数
現在~40 à SKA試験機~2000
v 磁場の起源と増幅、時間進化
v 衝撃波と粒子加速の物理
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
銀河団:乱流ダイナモ過程の解明へ
SKAでの最大検出角度予測
SKA2(3?)
SKA1-low
小型干渉計!?
(50-350 MHz)
大型単一鏡!?
SKA1-mid (580-1015)
SKA1-mid (950-1670)
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
100 kpc~1.4′
1°
1°
最小基線長[m]
13
Abell 2382中の電波源
PKS 2149-158 (Guidetti+ 08)
コルモゴロフパターン?
v 乱流のドライビングや散逸
v 磁場の起源と増幅、時間進化
X線形態と磁場à小澤さんポスター
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
銀河団:広帯域観測は
クーリングフロー問題を解決するか!?
100 MHz
14
冷えきった銀河団がいない
(クーリングフロー問題)
à加熱源がある?
àAGNから放たれた宇宙
線が流れ不安定性を通じて
銀河団コアのガスを加熱?
(Fujita, Ohira 10; 11)
π中間子生成条件から100
MHz以下でスペクトルが折
れ曲がる(Fujita, Ohira 12)
àSKAの感度は複数の 銀河団での検証を可能に
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
天の川:星間空間や超新星残骸での
複雑な物理状態と乱流の解明
Stokes I
l [pc]
103 102
104
Stokes Q
Stokes U
GALFACTS
(Areciboの全天サーベイ)
偏波勾配図(Gaensler+ 11)
0.37
構造関数の折れ曲がり:
腕~1pc、腕の間~100pc
1-10°スケール構造関数の冪:
円盤面~0.8、高銀緯~0.2以下
Heverkorn+ 08, Stil+ 11
11/3 (コルモゴロフ)
Han+ 04
パワースペクトル
銀河面
15
Armstrong+ 95
l [pc] 30
0.3 3e-3 3e-5 3e-7 3e-9
v HII領域や超新星残骸での物理
v 乱流の特性、駆動と進化
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
乱流の構造à田代さんポスター
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
天の川:天の川銀河の大局構造の理解
は様々な系外探査計画の要
16
モデル(Jansson, Farrar 11)
NVSS(Taylor+ 09)他のRM
RM (Inoue, Tabara 81)
円盤面の
パルサーと系外偏波源
(Han 12)
Roger+ 99
p
2.0
3.0
v 実態の把握
v 精密モデル化
c. f. HI, CO
(Nakanishi, Sofue 03;06)
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
想像図(Van Eck+ 11)
電離ガス分布à亀谷さんポスター
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
天の川:高密度RMグリッドは
ハロー磁場起源の問題を解明するか!? 17
銀河円盤のMHDシミュレーション(Machida, TA+ 13)
磁気回転不安定性とパーカー不安定性が周期的に
起こり、方位角磁場が円盤からハローに浮上する
àRMの縞模様が見えるべき
ハロー
円盤面
ハロー
銀緯[°]
+
+
+
+
+
0
-50
中心からの距離
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
RM map
+50
-100
不安定性à工藤さん那須田さんポスター
0
100 銀経[°]
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
銀河間磁場:理論的に予言されている
宇宙大規模構造とその磁場
初期宇宙
v 多岐にわたる起源
と現在に至る進化
の筋道
AMR-MHD
initial uniform
B~10 pG
(Dubois & Tessier 08)
log B(µG)
-1
-2
-3
-4
0
2
log ρ/ρ0
4
6
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
18
Ando+ 10
Takahashi+05; Ichiki+ 06
SPH-MHD
Coma
cluster injection
magnet-gas
(Kim+ 89)(Donnert+ 09;
Stasyszyn+ 10)
(M)HD
Biermann battery &
turbulence dynamo
(Ryu+ 98; Ryu+ 08)
log B(µG)
-0
log B(µG)
-2
-3
-4
-5
0
1
-1
log ρ/ρ0
2
3 4
21cm線と磁場à市來さんポスター
0
1
log ρ/ρ0
2 3 4
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
銀河間磁場:RM研究から示唆される
宇宙大規模構造の磁場の存在
19
RMの分散 x sin|b| [rad/m2]
v 銀緯に依存しない系外の成分 ~ 6-7 rad/m2 (Schnitzeler 10)
12
v 天の川と系外偏波源の間にある成分 10
~ 10-15 rad/m2 (Hammond+ 12)
8
v 0.1°スケールに寄与する成分 6
~ 10 rad/m2 (TA+ 13)
4
RRM
20
銀緯 [°]
40
60
80
RMの銀緯依存 (Schnitzeler 10)
[rad/m2]
50
0
-50
0
1
2
3
赤方偏移
4
Residual RM vs 赤方偏移 (Hammond+ 12)MHD乱流データを組み込んだモデル(TA+ 13)
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
銀河間磁場:SKA時代に大規模構造の
磁場は発見できる!?
20
視野 900 deg2 南銀極方向
ー IGM ー COM ー RRM
ASKAP-36
102 RM/deg2
SKA1-Survey
SKA2-Deep
1043 RM/deg2
銀河間磁場のRMと
構造関数(TA, Ryu 10;11)
RMの自己相関
(Kolatt 98)
RMと銀河の共相関
(Stasyszyn+ 10)
v 存在の実証
v 起源と進化史への示唆
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
大規模構造RMの統計的抽出(TA+, submitted)
トモグラフィーでの探査à出口さん講演
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
まとめ:SKAで目指す
宇宙磁場研究の地平線
21
SKA宇宙磁場研究のキーブレイクスルー
高精度・高密度RMグリッド
2013/12/18-19 @ 国立天文台三鷹
銀河
AGN
銀河団
天の川
銀河
宇宙 大規模
構造
宇宙電波懇談会シンポジウム2013
Fly UP