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一括ダウンロード - 昭和シェル石油

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一括ダウンロード - 昭和シェル石油
サステイナビリティ・レポート
The Energy Challenge
CONTENTS
■お読みいただくにあたって ……………………………………………………………………………………………
2
トップコミットメント
このたびの東日本大震災により被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げますとともに、
一刻も早い復旧と関係者の皆様の安全をお祈り申し上げます。
…………………………………………………………………………………………………
代表取締役会長 香藤 繁常
東日本大震災後における
安定供給体制の確立に向けた昭和シェル石油グループの対応
3
……………………………
5
会社概要……………………………………………………………………………………………………………………
事業概要……………………………………………………………………………………………………………………
7
9
トップコミットメント
「エネルギーソリューションプロバイダー」として、暮らしに欠かせないエネルギーの安定供給に関
わる重大な使命を再認識し、50 年先、100 年先を見据えた持続可能なエネルギーミックスの構築に
貢献してまいります。
代表取締役社長 新井 純
…………………………………………………………………………………………………… 11
「EPOCH 2010」の展開
■石油事業の付加価値向上と競争力の強化
…………………………………………………… 15
∼エネルギーの安定供給、求められる製品・サービスを提供するために
サプライチェーンの最適化と石油製品の安定供給に向けた取組み …………………………
昭和シェル石油の製品 …………………………………………………………………………………………
昭和シェル石油のサービス ……………………………………………………………………………………
■太陽電池事業の推進
16
17
19
……………………………………………………………………………………… 21
∼持続可能なエネルギーの確保に向けた取組み
CIS薄膜太陽電池はエコノミー&エコロジー
太陽電池事業活動ハイライト
………………………………………………………… 22
Highlight 1 世界最大規模の国富工場が稼働開始 ………………………………………………………………
2 グローバル企業との提携 ……………………………………………………………………………
3 研究開発の促進 ………………………………………………………………………………………
4 大規模太陽光発電プロジェクト(メガソーラー)の建設 …………………………………………
■エネルギー&ホームソリューション事業の展開
23
24
24
25
……………………………………… 27
■成長の芽の育成…………………………………………………………………………………………………
28
2010年の実績と今後の目標
■サステイナビリティを目指した活動の実績と目標
…………………………………… 29
中期環境アクションプラン(2010∼2012年)…………………………………………………………
31
コーポレートガバナンスと内部統制
■企業価値を高め、経営理念を実現するための経営体制の整備
………………… 32
コーポレート・ガバナンス体制の構築 ……………………………………………………………………
内部統制システムの整備 ………………………………………………………………………………………
HSSEマネジメントシステム ……………………………………………………………………………………
HSSE の具体的な取組み …………………………………………………………………………………………
32
33
35
37
人材育成と働きやすい職場の実現
■活力にあふれた働きやすい職場の実現…………………………………………………………
43
∼一人ひとりが能力を発揮できる職場環境の構築に向けて
人材育成を支える仕組み ………………………………………………………………………………………
働きやすい職場の実現 …………………………………………………………………………………………
43
45
当 社 は、
SRI( 社 会 的 責 任 投
資)指標「FTSE4Good Index
第三者意見 ………………………………………………………………………………………………………………
2010年の主な社会貢献活動 ………………………………………………………………………………………
1
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
47
48
Series」に2004 年から7 年連
続で選出されました。
お読みいただくにあたって
本報告書「サステイナビリティ・レポート2011∼The Energy Challenge ∼」は、持続可能な社会の実現
を目指す昭和シェル石油グループの基本的な考え方や取組みをまとめたものです。
サステイナビリティ・レポートの構成について
冊子版は、昭和シェル石油グループの事業活動におけるサステイナビリティへの考え方や取組みについて要点を絞り、平易
な表現を用いて編集しました。掲載内容については、
「マテリアリティ(重要性)
」の観点からステークホルダーの皆様の関心が
高く、かつ当社グループが経営上重要と考えている事項を報告対象としています。
「網羅性」を重視して情報を掲載しています。
Webサイトでは、冊子版に掲載されていない詳細なデータなど、
「完全性」
「対応性」に基づき、各分野の専門家の助言やステークホル
報告内容については AA1000 ※の基本3 原則「重要性」
ダーへのアンケート結果などを参考に報告すべき項目の検証を行っています。また、
「サステイナビリティ・レポート2010」に
おいて記載した、エネルギーチャレンジや各ステークホルダーへの取組みの具体的な活動報告については、
「2010年の実績と
今後の目標(▶P29)」に活動分野に沿った形で「実績・評価・レビューサマリー・今後の目標」を報告しています。
※AA1000:英国の非営利シンクタンク「AccountAbility社」による、ステークホルダーへの説明責任を果たすための CSR情報開示規格
当社活動に関する各種レポートおよび Webサイト
サステイナビリティ・レポート2011
アニュアルレポート2010
冊子
冊子
サステイナビリティ・ビジョン
●2010年のサステイナビリティを目指した取組み
●
●
●
●
Webサイト
●詳しい情報やデータが掲載されています。
Webサイト
●当社の業績概況や株式情報などをご覧いただけます。
www.showa-shell.co.jp/society/index.html
www.showa-shell.co.jp/ir/index.html
●
経営方針
事業状況
企業情報
財務状況
皆様のご意見・ご感想をお寄せ下さい
「サステイナビリティ・レポート2011」は、持続可能な社会の実現を目指す当社の企業活動および本報告書のさらなる改善・向
上を目指して、読者の皆様とのコミュニケーションをはかっていくことを目的としています。本冊子にはアンケート用紙を添
付していますので、皆様のご意見・ご感想をお寄せ下さい。
対象範囲
原則として昭和シェル石油グループを対象としています。ただ
し、特定の会社などを対象としている場合はその旨を明記してい
ます。
(対象としているグループ会社は P7をご参照ください)
参考にしたガイドライン
「サステナビリティ・レポー
・GRI(Global Reporting Initiative)
ティング・ガイドライン第3版(G3)」
・環境省「環境報告ガイドライン2007年版」
・環境省「環境会計ガイドライン2005年版」
対象期間
原則として2010 年1 月から12 月の実績を対象としています
が、対象期間外の取組みについては、それぞれの項目に期間を
明記しています。また、方針、取組みなどについては2011年の
一部活動も対象範囲に含めています。
※GRIガイドライン:オランダに本部を置く国際機関GRI
(Global Reporting
Initiative)による企業のサステナビリティ報告に関する国際的ガイドライン
発行時期
2011年8月
Tel : 03-5531-5793 Fax : 03-5531-5598
サステイナビリティ・レポートに関するお問い合わせ先
昭和シェル石油(株)広報部
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
2
トップコミットメント
このたびの東日本大震災により被災された皆様に
心からのお見舞いを申し上げますとともに、
一刻も早い復旧と関係者の皆様の安全をお祈り申し上げます。
大震災後は業界一体となった安定供給に注力しました
このような非常事態においてより有効な被災地支援を
しかしながら、震災後の数日間におきまして、ロー
行っていくには、政府や自治体のみならず、各企業もま
リー輸送能力の一時的低下による給油所における燃
た自己の役割を明確に認識して速やかに実行に移して
料の在庫切れや、計画停電の影響によるサービスス
いくことが何よりも重要ではないかと考えます。石油
テーションの臨時休業など、被災地をはじめ関東圏
業界におきましては、暮らしに欠かせないエネルギー
のお客様、関係者の皆様には大変なご不便をおかけ
を供給する企業として、被災地の皆様に一刻も早く燃
してしまいましたことを、あらためて心よりお詫び
料を供給することが第一の使命であるという共通認識
申し上げます。また、被災地をはじめ緊急車両、医療
のもと、震災直後より会社の垣根を越えて、業界が一体
施設等への燃料の優先供給といった震災直後の当社
となった安定供給に注力してまいりました。
の取組みについても、寛大なご理解とご協力を賜り
昭和シェル石油グループおきましても、誠に残念な
ました。おかげさまで、震災直後には官邸要請に応
がら、被災地域の特約店様において人的な被害が生じ
え、複数の自衛隊基地に向けて200Lドラム缶900本
てしまいましたほか、
50カ所の給油所と3カ所の油槽
の灯油を供給する一方、小型ローリー10台を被災地
所が被災し、白油ローリー14台を失うなど、東北地方
に配置し、灯油の配送・給油を迅速に行う体制強化に
を中心に甚大な被害が生じました。
一方で、幸い国内4
協力する等、エネルギーの安定供給に貢献すること
カ所の製油所の震災による影響は軽微にとどまった
ができました。皆様のご理解・ご協力のもと、困難な
ことから、震災直後よりフル稼働生産体制に入り、被
オペレーションも速やかに実行できましたことに、
災地に向けた燃料供給体制の早期整備に努めました。
重ねて感謝申し上げます。
業界をあげた危機管理体制のさらなる拡充が不可欠
3
このたびの大震災から、私たちは多くの教訓を得ま
の訓練の成果が十分に発揮されたものと考えてお
した。今回の出来事についてはさらに詳しい検証を
ります。
重ねながら、当社グループの今後の経営に活かして
しかしながら、東北から北関東にかけた東日本の
いく考えです。
ほぼ沿岸全域が被災するという、まさに想定外の大
この大震災では、まさに緊急時における企業の
災害であったとはいえ、震災直後の混乱により、燃
危機管理(クライシス・マネジメント)能力が問わ
料という「人の生命をも左右する」
「 暮らしに不可欠
れることになりました。当社グループでは、震災発
な物資」を「安定供給」するという使命が十分に果た
生後直ちに災害対策本部を設置して速やかに従業
せない時期があったことには忸怩たる思いがあり、
員の避難指示を行い、各拠点の被災状況の把握に
サービスステーションの防災機能の強化を含め、業
努めるとともに、本社においては帰宅困難者への
界をあげて、平時から危機管理体制のさらなる拡充
適切な対応を行うなど、これらの点では日頃から
に取組む必要性を痛感した次第です。
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
トップコミットメント
会長
石油事業とエネルギーソリューション事業で社会に貢献します
リューション事業を第二の事業の柱として拡大し、
るお客様の長蛇の車列や、工場の燃料を待たれる需要
今後ますます増幅する社会的ニーズにお応えして
家のお客様、そして暖房のない避難所で寒さに震える
まいります。
東日本大震災における
グループの対応
大震災以来、サービスステーションでの給油を待たれ
被災者の方々の姿などを目にするにつけ、私どもはあ
た。
中長期で見た国内需要は減退していくものと予測
ぼ回復しておりますが、遅々として進まない被災地の
されていますが、汎用性や利便性の高さにおいて、石
復興のスピードには、やはりもどかしさを感じる次第
油製品は国民生活に重要不可欠な第一次エネルギー
です。被災地における当社ブランドの特約店様には、
であることに変わりはありません。
したがって当社グ
復興へ向けて今後も息の長い支援をさせていただき
ループでは今後も、従来通り、より環境に優しい製品
つつ、エネルギーソリューション企業として、これか
の開発とともに安定供給に努め、石油事業における競
らの日本における新しいエネルギー体制の構築に貢
争力を高める企業努力を続けてまいります。
献していく考えです。
また、当社グループでは、グローバル市場を視
これらの取組みにつきましては今後も積極的な情
野に、世界トップランクの独自技術と製造能力を
報開示を行ってまいりますので、引続きご支援・ご協
擁する太陽電池の開発を中核としたエネルギーソ
力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
トップコミットメント
社長
当社グループでは、あらゆる機能が震災前の状態にほ
会社・事業概要
らためて石油製品の重要性というものを痛感しまし
﹂の展開
﹁ EPOCH 2010
2010年の実績と
今後の目標
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
昭和シェル石油株式会社
代表取締役会長
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
4
東日本大震災後における
安定供給体制の確立に向けた昭和シェル石油グループの対応
エネルギー供給企業として、被災地に向けた一刻も早い安定供給体制の復旧は何よりも優先すべき企業責任で
す。まだ厳しい寒さの続く「3月の東北」という状況を鑑みれば、石油製品が被災地における基本的な生活はもと
より、生命にもかかわる最重要物資であるゆえに、昭和シェル石油グループでは、
「一時の猶予もならない」とい
う危機感を社員が共有し、業界一体となった取組みと歩調を合わせ、一刻も早い供給体制の確立を目指してグ
ループの総力をあげた取組みを行いました。
JONET八戸油槽所
東日本大震災直後の対応
復旧に向けたテスト荷役を行い、自圧を使っての
出荷が可能なことを確認し、タンク内の石油製品
「災害対策本部」
を設置
3月11日 16:30 本社ビル内に
を出荷しました。また、再開に必要な修理部品の
3月13日 資源エネルギー庁より業務用電力の使用抑制要請を受け、東京電力管内の当社
系列サービスステーション
(SS)
に対し、お客様の安全を考慮した上で、夜間照
明を最低限にとどめるなどの節電を要請
3月14日 被災地のライフライン維持・復興に必要な石油製品の供給を優先しつつ、石
油製品の安定供給のため、操業・出荷が可能なすべての施設から最大限の出
荷に尽力
安定供給を確保するため、以下の取組みを実施
1. 国内の供給が安定するまでの間、生産量を最大化すると同時に、予定していた石
油製品
(ガソリン・軽油)
の輸出を取りやめ、
国内の短期的な供給力を強化する。
2. 系列のサービスステーションなどへの石油製品の供給確保はもとより、業界他
調達を急いだ結果、4 月2 日より通常出荷を開始。
岩手県を中心とした被災地域への配送時間が著
しく短縮され、同地域への石油製品の供給量を増
加することが可能になりました。さらに、被災地
の安定供給に資するため、当該油槽所の共同利用
を同業他社に呼び掛けました。
塩釜油槽所
配管の損傷が少ないことを確認し、修復に必要な
部品の発注を行うなど、早期回復に向けて取組
み、4 月10 日より通常出荷を開始しました。当油
槽所の復旧により宮城県、岩手県への石油製品の
供給量を増加させることが可能になりました。
社の要請に対応し、
石油製品の安定供給に努める。
3. 被災地への配送体制を拡充するため、ローリーの配備を強化する。
(一部地域の SS などにおいて、営業時間の制限、一回当たりの給油数量の制限など、お客様にもご協
力をお願いしました。
)
被災状況と回復状況
人的被害
西部石油(株)山口製油所
物的被害
当社・関係会社(従業員)
なし
特約店(従業員&家族)
あり
製油所
なし
油槽所
あり
(3ヶ所/塩釜油槽所、JONET八戸油槽所、釧路西
港油槽所)
あり(50ヶ所)
給油所
船舶(海上輸送)
なし
白油ローリー(陸上輸送) あり(14台)
被災サービスステーション(SS)の営業状況の推移
東北地区※1(SS 数:382 施設損傷による営業不可 SS:37)
■営業休止 ■営業中
(%)
関東被災地区※2(SS 数:356 施設損傷による営業不可 SS:1)
■営業休止 ■営業中
(%)
100
100
90
90
95%
98%
90%
85%
80
80
80%
80%
70
70
70%
60
60
50
50
50%
40
40
3 月15 日
3 月 23 日
3 月 29 日
4 月7 日
3 月15 日
3 月 23 日
3 月 29 日
4 月7 日
※1 東北地区(青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県) ※2 関東被災地区(茨城県、栃木県、千葉県)
5
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
釧路西港油槽所
……被災油槽所
海上輸送ルート
陸上輸送ルート
ローリー車シフト
JONET
八戸油槽所
トップコミットメント
会長
JONET
青森油槽所
生産体制の強化
グループ製油所のフル生産体制で3月度当初計画の115%を増産
●当社グループ製油所については震災による設備への重大な影
秋田共同油槽所
響がなく、安全確認をしたうえで、操業を継続しました。業界
東日本大震災における
グループの対応
他社において関東以北において操業停止を余儀なくされてい
る製油所があることから、当社グループの製油所をフル生産
塩釜油槽所
体制とすることに加え、3 月分として計画していた製品輸出を
取り止めました。
潟石油
新潟石油製品
輸入基地
●これらの取組みを通じて、国内向けの供給力を震災前の3月度
会社・事業概要
当初計画に比べて約30万KL
(約15%)
増強し、この増強分を関
東以北向けに供給する一方、安定供給に資するため、当社の系
列サービスステーション・需要家のみならず他社への製品供給
も積極的に行いました。
トップコミットメント
社長
東亜石油(株)
京浜製油所
配送体制の強化
昭和四日市石油(株)四日市製油所
●被災地へのローリーの集約、再配置などの取組みを行った結
果、
3月22日には東北地区で67台のローリーを配置し、震災前
の台数
(61 台)を上回る体制を確保しました。4 月2 日以降は
当社独自対応
▶ドラム詰め燃料
(灯油等)
110本を宮城県に提供
▶一斗缶詰め燃料
(灯油)
1,100本を岩手県に提供
▶被災地域特約店
(青森県、
岩手県、
宮城県)
に食糧・水・日用品を提供
﹂の展開
﹁ EPOCH 2010
被災地に向けた各種支援
被災輸送所の通常出荷が順次再開したことで、東北地区におけ
る供給量を大幅に増加させることが可能となりました。
▶被災油槽所の稼働可能なローリーを JONET青森油槽所、秋田
共同油槽所に再配置
▶西日本地区・中部地区・首都圏地区からローリーを手配
認識し、震災発生直後から、ドラム缶詰め燃料や使用する方の利便性
▶JONET青森油槽所、秋田共同油槽所において、通常時10時間
が高い一斗缶詰め燃料を提供したほか、被災地における小型ローリー
の出荷時間を3∼4 時間延長することで被災地における配送
での小口配送を強化し、
地域の拠点である当社特約店に食料品・水・日
量を増加させ、
陸上出荷体制を強化
2010年の実績と
今後の目標
被災者のもとへ、できるだけ早く必要な物資を届けることの重要性を
用品を提供しました。
官邸要請対応
▶被災地において、灯油を円滑に配送するため、小型ローリー
(積載容量3.5KL)を仙台地区に10 台搬送し、灯油を購入す
るためにサービスステーションを訪問できないお客様への
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
▶当社とロイヤル・ダッチ・シェル社との共同で、
被災された皆様お
よび被災地の支援を目的として、義捐金200 万米ドルを日本赤十
字社を通じて寄贈
小口配送を実施
▶緊急用途のために航空自衛隊入間基地、航空自衛隊松島基地、陸上
自衛隊多賀城駐屯地に向けてドラム詰め燃料
(灯油)
約900本を輸送
資源エネルギー庁要請対応
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
▶被災地向けドラム詰め燃料
(ガソリン)
180本を、運送拠点となる
自衛隊基地向けに出荷
石油連盟要請対応
▶業界としてドラム缶詰め燃料
(灯油)2,000 本を被災地向けに無
償提供
多賀城基地
石巻宿営地
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
6
会社概要
会社概要
(2010年12月末現在)
社 名
本 社 所 在 地
設 立
昭和シェル石油株式会社
〒135-8074 東京都港区台場2丁目3番2号 台場フロンティアビル
1985年1月1日
昭和石油株式会社(1942年創立)とシェル石油株式会社(1900年創立)の合併により発足
341億9,758万5,900円
5,761人(連結)、930人(単体)
1ヶ所(中央研究所)
8支店(北海道、東北、首都圏、関東、中部、近畿、中国、九州)
3ヶ所(昭和四日市石油(株)四日市製油所、東亜石油(株)京浜製油所、西部石油(株)山口製油所)
2ヶ所(横浜、神戸)
5ヶ所(釧路、塩釜、佐渡、広島、唐津)
4ヶ所(新潟石油製品輸入基地、碧南LPG基地、高松アスファルト基地、三重プラント)
3,948ヶ所
4ヶ所(宮崎第1工場、宮崎第2工場、国富工場※(宮崎第3工場)、厚木リサーチセンター)
資 本 金
従 業 員
研 究 所
支 店
グ ル ー プ 製 油 所
潤 滑 油 工 場
油 槽 所
基 地
サービスステーション
太陽電池工場・研究所
※2011年2月に稼働開始
株主構成
連結売上高
経常利益
(億円)
(億円)
40,000
1,000
30,000
500
20,000
0
10,000
-500
■ CCSベース
シェルグループ
約35%
その他
約50%
サウジアラムコ
-1,000
0
約15%
06
07
08
09
06
10
07
08
09
10
※CCS(カレント・コスト・オブ・サプライ)
べースの収益:たな卸資産の影響を除いた原価を用いて算出する収益
グループ会社
★HSSE-MS導入会社(昭和シェル石油(株)を含め21社)
●連結子会社(35社)●持分法適用関連会社(13社)
開発
主燃料販売事業
●昭石海外石油開発(株)
輸送
●昭和シェル船舶(株)
★
精製
●(株)サンロード
●豊通石油販売(株)
●(株)オンサイトパワー
●上燃(株)
●TSアロマティックス(株)
施設管理など
●(株)新陽石油
●東亜石油(株)
★
●東京シェルパック(株)
●西部石油(株)
★
●中川石油(株)
●(株)ジェネックス
●(株)ペトロスター関西
●(株)扇島パワー
●ジャパンオイルネットワーク(株)
★
●日商砿油(株)
●新潟石油共同備蓄(株)
★
●永瀬石油(株)
新共企業(株)
★
●(株)ダイヤ昭石
●(株)シェル石油大阪発売所
★
●ソーラーフロンティア(株)
★
電力卸供給事業
★
LPガス事業
●(株)エネサンスホールディングス
★
★
施設建設など
●昭石エンジニアリング(株)
アスファルト製品の製造販売
●昭石化工(株)
★
自動車用品・損害保険など
●(株)ライジングサン
★
特殊製品事業
★
●セントラル石油瓦斯(株)
瀝青化学(株)
★
●三重石商事(株)
(株)レッドアンドイエロー
★
★
都市ガスの販売など
●若松ガス(株)
●日本グリース(株)
●シェル徳発(株)
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
(株)クレコ
CIS薄膜太陽電池事業
●中央シェル石油販売(株)
●平和汽船(株)
その他事業
分散電源事業
●丸紅エネルギー(株)
★
物流
7
●常陽シェル石油販売(株)
●リーフエナジー(株)
●昭和四日市石油(株)
貯蔵
(2011年3月末現在)
★
昭和シェル石油 本社
昭和四日市石油 四日市製油所
ソーラーフロンティア 国富工場(宮崎第3工場)
2011
京浜製油所扇町工場の閉鎖を決定
共通ポイントプログラム
「Ponta
(ポ
ンタ)
」
の運用開始
(年産能力900メガワット)
昭和シェルソーラー(株)をソーラー
フロンティア(株)に改称、ドイツ・ア
メリカに販売子会社を設立
商業生産開始。
商
「扇島パワーステーション」1 号機、 日本初の商業用太陽光発電施設
「新
潟雪国型メガソーラー発電所」
の営
2号機の営業運転開始
業運転を開始
東日本大震災における
グループの対応
2010
トップコミットメント
会長
「国富工場
(宮崎第3工場)」
昭和シェル石油のあゆみ
ソーラーフロンティア(株)と GE、 ソーラーフロンティア
(株)と IBM、
CIS薄膜太陽電池モジュールの供 CZTS薄膜太陽電池セルの共同開発
給で提携
で合意
会社・事業概要
神奈川県藤沢市内に、日本のサービスステーション初の電気自動車専用の急速充電設備を設置
「宮崎第2工場」
(年産能力60メガワット)商業生産開始
●
2009
●
トップコミットメント
社長
国立大学法人東京大学が中心となり組織された「サステイナビリティ学連携研究機構
(IR3S)」と、
「エネルギー持続性フォーラム」を結成
●
(年産能力20メガワット)商業生産開始
CIS薄膜太陽電池パネル製造工場「宮崎第1工場」
●
2006
●
第1回昭和シェル石油「環境フォト・コンテスト」を開催
CIS薄膜太陽電池の事業化を決定
●
2005
●
2004
1993
CIS薄膜太陽電池の研究開発を開始
1985
「シェル石油 ロイヤルマネージャー(SRM)制度※」を発足
1979
※現「昭和シェル ロイヤルマネージャー(SRM)
制度」
1951
1876
●シェルグループと昭和石油(株)、資本提携で調印
●ライジングサン石油(株)が、シェル石油(株)に改称
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
1948
1900
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
1956
「シェル美術賞」を創設
1942
●シェル石油(株)と昭和石油(株)が合併し、昭和シェ
ル石油(株)として発足
1978
太陽電池の研究開発開始
主な出来事
●アラムコ・ジャパン・ホールディングス・
カンパニー・ビー・ブイ社が、当社の株式
約10 %を有する主要株主となる(翌年
5%を追加)
2010年の実績と
今後の目標
1994
「第3回地球環境大賞」優秀貢献企業賞を化学・石油業界で初受賞
会社のあゆみ
﹂の展開
﹁ EPOCH 2010
「昭和シェル オイルマイスター認定制度」
「昭和シェル カーライフアドバイザー認定制度」を導入
昭和シェルソーラー(株)設立
●
2007
●早山石油(株)、旭石油(株)、新津石油(株)3社の合併により、昭和石油(株)を設立
●サミュエル商会の石油部門が独立し、ライジングサン石油(株)を設立
●横浜にサミュエル商会を設立し、貿易業を開始
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
8
事業概要
昭和シェル石油は、
石油事業と太陽電池事業を中心に
持続可能なエネルギーの安定供給を目指す、
エネルギーソリューションカンパニーです。
国民生活や経済・社会活動に欠かせないエネルギーを将来にわたって安定的に供給することは、私たちエネルギー供
給企業の社会的責任です。昭和シェル石油では持続可能なエネルギーソリューションを求めて、これまでに蓄積して
きた技術・ノウハウなど持てるリソースの有効活用をはかりながら、中期経営ビジョン「EPOCH 2010」
(P13参照)に
掲げる4つの柱で積極的な事業活動を展開していきます。
石油
事業
原油調達
輸送
中東産油国などから原油を
調達します。
調達した原油を大型タン
カーで輸入します。
精製
油槽所・プラント
製油所で原油から、LPG、ナ
フサ、ガソリン、灯油、軽油、
重油など石油製品を精製し
ます。
製品タンクや油槽所などで
石油製品を備蓄します。
プラントで潤滑油を製造し
ます。
太陽電池
事業
原料
製造
CIS 薄膜太陽電池の原材料
物流
工場で CIS 薄膜太陽電池を
製造します。
を調達します。
国内外の需要地まで輸送し
ます。
成長の芽
の育成
電気自動車(EV)用急速充電
器サービスの設置、実証事
業を行う他、燃料電池自動
車用の水素燃料実証実験を
継続して行っています。
天然ガス・バイオ燃料など
をお客様向けへ販売します。
天然ガス・バイオ燃料
石油事業
詳しい取組み
については
▶P.15
中東を中心とした産油国から原油
を調達し、製油所にてガソリン、灯
油をはじめとした様々な製品を精
製し、サービスステーション(SS)
などを通して全国のお客様に販売
を行っています。
シェル ヒリックス
9
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
昭和シェル石油SS
電気自動車、水素燃料
太陽電池
事業
詳しい取組み
については
▶P.21
当社グループ会社の「ソーラーフ
ロンティア」のブランドのもと、
CIS薄膜太陽電池の研究開発、およ
び製造を行い、国内外のお客様へ
販売をしています。
宮崎第2工場
CIS薄膜太陽電池パネル住宅設置例
エネルギー&
ホームソリュー
ション事業
特約店など
ホームソリューション事業
一般のお客様向けに、家事代行
サービス、ホームセキュリティ
サービスなどを提供します。
び高圧電力ご利用のお客様
へ電力を販売します。
トップコミットメント
会長
電力事業
50kW 以上の特別高圧およ
販売
家庭用・商業用店舗向けのクリーンプロパン
ガス、自動車用途向けのクリーンオートガス、
工業用クリーンブタンガス・クリーンミック
スガスなどを販売します。
東日本大震災における
グループの対応
当社直売
特約店など
物流
販売
海外子会社
協力会社
国内販売店
産業
一般
など
会社・事業概要
特約店運営のサービスステーション(SS)にてお
客様へガソリン、灯油、軽油、自動車用潤滑油など
を販売します。
また、当社直売の他、特約店を通し
て産業向けに工業用燃料、航空・船舶用燃料、潤
滑油、
アスファルトなどを販売します。
船舶、ローリーなどで全国
に石油製品を配送します。
お客様
トップコミットメント
社長
販売
販売
石油・LPG の特約店、新規代理店、住宅
メーカー・電材・電器店、地域工務店な
どの販売ネットワークを通じて CIS 薄
膜太陽電池を販売します。
アメリカ、ドイツ、日本を拠点に、現
地の協力会社を通じて世界各国で
CIS 薄膜太陽電池を供給します。
﹁
﹂の展開
EPOCH 2010
新規サービスの開発・提供
を行っています。
次世代サービスの開発・育成
▶P.27
事代行サービスやネットワークカ
メラなどのホームソリューション
サービスを行っています。
詳しい取組み
については
▶P.28
電気自動車(EV)や燃料電池車う
へエネルギーを供給する実証実験
を行うほか、バイオ燃料や燃料電
池など、環境にやさしい製品の研
究開発や新規サービスの開発・提
供も行っています。
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
詳しい取組み
については
成長の芽
の育成
2010年の実績と
今後の目標
エネルギー& ご家庭用・商業用のプロパンガス
ホームソリュー などをお客様へ販売するほか、電
ション事業 力の販売を行っています。また、家
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
み ん な の 安 心 カ ー シェ ア リ ン グ
まちのりくん
扇島パワーステーョン
シェル リンクライフ
EV急速充電器
カーシェア
「まちのりくん」
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
10
トップコミットメント
「エネルギーソリューション・プロバイダー」として、
暮らしに欠かせないエネルギーの安定供給に関わる
重大な使命を再認識し、50年先、100年先を見据えた
持続可能なエネルギーミックスの構築に貢献してまいります。
エネルギーを取巻く環境
エネルギーを取巻く世界の環境はダイナミックに
変化しています。先進諸国においては将来のエネル
ギー需要が漸減するものと予想される一方で、新興
国におけるの人口増やライフスタイルの変化にとも
ない、結果として世界のエネルギー需要は今後も増
大することが予測されています。既に世界のエネル
ギーマーケットにおいては、将来のエネルギー源確
保に向けた争奪戦が繰り広げられつつあります。
このような変化を背景に、世界はエネルギーの将
来に影響を与えるさまざまな出来事に直面していま
す。主要なエネルギーである石油に関しては2008 年
のリーマンショックに端を発した金融危機をはさん
で、投機的要素によって原油・製品価格が乱高下しま
した。その後、需要の高まりや2010 年に発生したメ
昭和シェル石油株式会社
代表取締役社長
キシコ湾海底油田原油流出事故等を背景に原油価格
は上昇を続け、2011 年も中東・北アフリカ諸国の政
情不安定化等の影響を受け、原油価格は高止まる傾
向を示しています。
11
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
石油以外のエネルギー
在来型原油の生産は減少
60
20
活用が進んでいなかった
0
14,000
アフリカ
12,000
インド
10,000
ブラジル
8,000
40
が採算に合わないために
16,000
6,000
中国
4,000
アメリカ
2,000
その他
中国
OCED
500
400
300
100
200
非在来型石油
天然ガス液(NGL)
原油:未発見油田
原油:未開発油田
原油:現在生産中の油田
原油計
0
199
0
199
5
200
0
200
5
201
0
201
5
202
0
202
5
203
0
203
5
格の上昇や世界のエネル
Mtoe
2008
東日本大震災における
グループの対応
非在来型資源も、原油価
ギー需要増を背景に注目
EU
0
0
199
5
200
0
200
5
201
0
201
5
202
0
202
5
203
0
203
5
100万b/d
80
再生可能エネルギーの需要は拡大
アジア太平洋
OECD
トップコミットメント
会長
うな、これまで採掘費用
18,000
199
( シ ェ ー ル )の 岩 盤 に 含
まれるシェールガスのよ
増大する世界の一次エネルギー需要
100
Mtoe
に 関 し て も、 固 い 頁 岩
2035
国際エネルギー機関(IEA)
「World Energy Outlook 2010」より
される一方、地球温暖化
東日本大震災による原発事故により、その行方は不
すことになるでしょう。今後各国の実情に応じた形
透明感を増しています。環境に配慮したエネルギー
で、持続可能な社会を構築するためのエネルギー構
としては特に太陽光エネルギーが注目を集めてお
成(エネルギーミックス)の議論がさらに活発に行
り、電力買取り制度が導入されている欧州諸国や日
われるものと思われます。人々の生活や産業に必要
本を中心に今後も大きく需要が伸びるものと期待
なエネルギーを安全に、安定的に、また環境に配慮
されています。
した形で供給するために、今、英知の結集が求めら
これらエネルギーをめぐる様々な動きは、世界各
れています。
トップコミットメント
社長
国のエネルギー政策に多大なインパクトをもたら
会社・事業概要
対策の一つであった原子力は、2011 年3 月11 日の
予定されております。自国に資源をほとんど持たな
などの進行により、石油需要は漸減傾向にありま
い我が国においては経済性や環境保全、エネルギー
す。しかしながら、先に述べた東日本大震災を契機
の安全保障といった様々な要件を十分に考慮しつ
に、緊急時における石油やガス燃料の重要性が再認
つ、最適なエネルギーミックスの実現をはかってい
識されたことや、エネルギー供給構造高度化法によ
く必要があります。日本においても環境対応に優
り製油所の機能向上やバイオ燃料使用が義務付け
れ、かつ地産地消型のエネルギーの典型である太陽
られるなど、喫緊の課題として石油エネルギーのよ
光エネルギーは今まで以上に注目を浴びるもので
り効率的で安定的な供給が求められています。この
あると考えています。今後は需要の伸長を背景にさ
ような環境下において、社会の要請に応じ、石油企
らに技術開発が進展し、よりクリーンで安全なエネ
業としての責務を果たしていくことが、私どもの重
ルギーとして、住宅、産業および大型発電設備向け
要な使命であると考えています。
への導入・普及が急速に進んでいくもとの予測され
原発事故は、日本のエネルギー安定供給や安全性
ています。
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
費車やハイブリッドカーの普及、産業用燃料の転換
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
のエネルギー基本計画も 2011 年度中の見直しが
2010年の実績と
今後の目標
日本国内では、少子高齢化による人口の減少、省燃
﹂の展開
﹁ EPOCH 2010
国内のエネルギー動向
に大きな一石を投じました。昨年改訂されたばかり
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
12
トップコミットメント
中期経営ビジョン「EPOCH 2010」実行初年度の取組み
事業環境が大きく変化するなか、昭和シェル石油で
太陽電池事業では、新潟県の当社製油所跡地を活
は将来にわたり、常に社会やお客様に求められるエ
用した国内初の商業用太陽光発電施設「新潟雪国型
ネルギーを供給する「エネルギーソリューション・プ
メガソーラー」の営業運転を開始しました。また、米
ロバイダー」としての役割を果たすべく、2009 年に
国GE社をはじめとした海外大手企業との戦略的提
中期経営ビジョン「EPOCH 2010」を策定しました。
携を行ったほか、単一としては世界最大規模(年産能
この中期経営ビジョンは「石油事業の収益力強化」
力900メガワット)の太陽電池工場「国富工場(宮崎
「太陽電池事業の展開」
「エネルギー・ホームソリュー
第3工場)」の建設を進め、その後2011年7月にフル
ション事業の展開」
「成長の芽の育成」の4つの柱を軸
生産体制に移行するなど、グローバルな展開に向け
にシナジー効果を最大限発揮し、石油製品の安定供
て着実に歩みを進めています。さらに、当社グループ
給に加え、再生可能エネルギーのひとつである太陽
の太陽電池研究所において、CIS薄膜太陽電池の変
光エネルギーや電力の供給、時代に応じた新エネル
換効率世界一の記録を更新するなど、研究開発も順
ギー開発やサービスの実現を目指すものです。
調に進展しています。
2010 年は「EPOCH 2010」の実行初年度でした。
その他事業に関しても、東京瓦斯株式会社と共同
石油事業では、京浜製油所扇町工場を2011年9月ま
で運営する天然ガス火力発電所「扇島パワー」の営業
でに操業を停止し、その後閉鎖することを決定しま
運転を開始したほか、電気自動車普及にかかる実証
した。この閉鎖によって、当社グループ製油所の年
事業を受託するなど、中期経営ビジョン実現に向け
間稼働率の向上をはかることで、競争力強化を実現
て、様々な取組みを進めています。
します。また、環境性能の高い自動車用潤滑油「シェ
ル ヒリックス」の製品規格のグレードアップや、GTL
(具体的な取組みについては▶P28)から精製した灯
油「Shell エコ灯油」の販売を拡大するなど、積極的に
JUMP21変革第1期・第2期
●Ê顧客志向の追求
●Ê構造的コスト削減
●Êビジネスポートフォリオの組み替え
環境対応型石油製品の展開をはかりました。
JUMP21
JUMP21
変革第 2 期
2002 ∼
新たな創業
●Ê重点コアビジネスでの成長
●Êさらなる構造的コスト削減
●Ê新規ビジネスの基盤整備
新たな創業
2005 ∼
持続的成長に向けた取組みの変遷
○石油事業の収益力強化
○太陽電池事業の展開
UÊ製油所のさらなる競争力強化
UÊ収益性の高い販売ネットワークの構築
UÊ高付加価値製品販売の強化
UÊ事業規模拡大
UÊ研究開発の促進
UÊ販売セグメントの発掘と安定的な販売網の確立
EPOCH 2010
∼変化に克ち、未来を拓く∼
2010 ∼
○エネルギー&ホームソリューション事業の展開
UÊ電力・石油・ガスなどをパッケージ化した
エネルギーソリューションの提供
UÊホームセキュリティ、ハウスサービスなどの
ホームソリューションの提供
13
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
シナジーリソースの
最適活用
○成長の芽の育成
UÊ次世代エネルギーの技術開発
燃料電池/バイオ燃料/電気自動車関連など
UÊ産学連携を柱とした外部研究機関との共同開発
UÊ新たなビジネスシーズ開発
変革第 1 期
1996 ∼
エネルギーチャレンジの実現
中期経営ビジョン「EPOCH 2010」は、当社の掲げ
トップコミットメント
会長
る「エネルギーの安定供給」
「 環境負荷の低減」
「 新エ
●調達先との連携
●適正な備蓄水準の確保
●サプライチェーンにおけるエネルギーの
安全・安定供給体制の確保
ネルギーと環境配慮型製品の開発」の3つの「エネル
ギーチャレンジ」を通じて、地球環境の保全と当社
エネルギーの
安定供給
事業の成長を両立させるための取組みにほかなり
ません。昭和シェル石油グループは経営理念に基づ
ステークホルダー
との協働
東日本大震災における
グループの対応
いて企業活動を展開しつつ、これらのチャレンジを
継続していきます。
サステイナ
ビリティ
この報告書を通じ、多くのステークホルダーの皆様
環境負荷の低減
に当社の様々な活動についてご報告申し上げると
会社・事業概要
新エネルギーと
環境配慮型製品の開発
同時に、皆様の忌憚のないご意見をお聞かせいただ
き、今後の活動に活かしてまいりたいと思います。
今後ともより一層のご指導ご鞭撻を賜りますよう
よろしくお願い致します。
●CO2 排出量の削減
●省エネ、
リサイクル
●各種汚染対策
トップコミットメント
社長
●CIS 薄膜太陽電池事業の拡大
●環境配慮型製品の開発
﹂の展開
﹁ EPOCH 2010
エネルギー持続性フォーラム
を通じて社会のニーズを把握し、エネルギー戦略に取り
構(IR3S)とともに「エネルギー持続性フォーラム」を立
入れることで、低炭素社会に向けた取組みの推進に貢献
ち上げ、長期的なエネルギービジョンの構築に取組ん
するとともに、社会に対してもエネルギー持続性に関す
でいます。
る提言を行っていきます。
2010年の実績と
今後の目標
当社は、2007 年よりサステイナビリティ学連携研究機
これまでに6回の国際シンポジウムを開催し、国際的
な視点や産官学の視点などから、低炭素社会の実現に向
けて議論・討議を行ってきました。2011 年2 月に開催
した第6 回公開シンポジウムでは「低炭素地域実現への
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
道すじ」をテーマに、地方行政をリードする責任者や、環
境エネルギー政策を考える NPO代表者、環境経済に関
する研究者などが、それぞれの視点から講演を行うとと
もに、その内容を踏まえたパネルディスカッションを行
い、低炭素・自然共生型地域へ向けた道すじの在り方に
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
ついての提言を行いました。
当社は、当フォーラムの取組みやシンポジウムの議論
第6回フォーラム
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
14
「EPOCH 2010」
の展開
石油事業の付加価値向上と競争力の強化
∼エネルギーの安定供給、求められる製品・サービスを提供するために
原油調達から販売までのサプライチェーンを通して安全・安心な製品の安定供給に努めると
ともに、環境負荷の少ない製品の開発や、特約店との緊密な連携、スタッフの育成などを通じ
て昭和シェル石油ブランドの製品・サービスの一層の向上をはかり、エネルギー企業としての
社会的使命を果たしていきます。
15
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
トップコミットメント
会長
サプライチェーンの最適化と石油製品の
安定供給に向けた取組み
東日本大震災における
グループの対応
基本的な考え方
国民生活や経済・社会活動に欠かせないエネルギーを安定的に供給するため、エネルギーの確保に最善を尽くす
ことは昭和シェル石油グループの社会的責務と言えます。そのなかで、日本の一次エネルギーとして需要の高い
石油を安定供給することは、最も重要な役割の一つです。今後も当社グループをあげ、各種パートナーシップの強
化をはじめ、さまざまな取組みを通して引続き安定供給を行っていきます。
会社・事業概要
ます。また、サウジアラムコ社の出資を受け入れることに
る法律」に基づき、国家備蓄および民間備蓄を行ってきま
よって、サウジアラビアからの安定的かつ効率的な調達体
した。民間備蓄として、当社は年間国内販売数量の70日分
制を強化し、より円滑で柔軟な原油調達が可能となりまし
に相当する原油や石油製品(LPG を除く)を確保していま
た。
さらにアブダビ駐在事務所を通じ、中東産油国関係者と
す。また LPG については、年間輸入量の50 日分の備蓄量
積極的に交流を行うなど連携を強めています。
を確保しています。
安全・安心な製油所操業
石油製品の配送
地域のニーズに密着した販売
製品をお客様に安定的にお届するために、製油所において
当社の成長は特約店の成長とともにあるという「特約店主
適切な設備投資や設備保全に関する長期マスタープランを
義」のもと、各地域に密着したビジネスを展開している特
策定し、
実行するなど、
信頼性の維持・向上に努めています。
約店と緊密なコミュニケーションをはかり、お客様に安定
配送については船舶輸送やローリー配送における安全
的に信頼できる製品・サービスを提供するため、協働して
(Safety & Quality First)キャンペーンの実
策の強化、SQF
SSスタッフや営業担当者の能力開発など様々な取組みを
施などを通して、より安全・安心な配送に努めています。
行っています。
(具体的な取組みについては▶P37-38)
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
非常に重要であり、日本では「石油の備蓄の確保等に関す
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
ルギーメニューの拡大や、効率的な調達などを実現してい
2010年の実績と
今後の目標
供給確保に努め、エネルギー安全保障を強化することは
石油事業
資源の少ない国において、国家戦略としてエネルギーの
トナーシップを通じて、技術の共有や人材交流によるエネ
﹂の展開
EPOCH 2010
当社は、
大株主であるシェルグループとのグローバル・パー
﹁
適正な備蓄水準の確保
トップコミットメント
社長
原油調達先との連携
(具体的な取組みについては▶P19-20)
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
16
石油事業の付加価値向上と競争力の強化
昭和シェル石油の製品
∼環境負荷の低減と、高品質を追求した昭和シェル石油の製品
基本的な考え方
昭和シェル石油では、車のエンジンをキレイに保つガソリンをはじめ、省エネルギー性能の高い潤滑油や、路面温
度を低減できるアスファルトなど、エネルギーソリューション・プロバイダーとして、地球にもお客様にも喜ばれ
る、高品質かつ環境に優しい製品を開発・供給し続けることで、持続可能な社会の実現へ向け貢献していきます。
エンジンをキレイにするガソリン「シェルピューラ(Shell Pura)」
お客様の「自分のクルマを
大切に乗りたい」
「 ずっと
新車のような状態で快適
なドライブを楽しみたい」
というニーズを満たすこ
とを目指して開発された、
車に優しく環境性能にも優れたハイオクガソリンです。
製品には英国シェルと共同開発した独自の添加剤を使
用しており、吸気バルブの汚れ(カーボン)を除去する能力
が通常のガソリンに比べて格段に優れています。この添加
剤がバルブの汚れに直接働きかけることでエンジン内が
キレイに保たれ、エンジン本来の性能を維持することがで
きるほか、有害排気ガスの低減にも寄与します。現在全国
26都道府県にて販売しています。
次世代型サービスステーション
「クリーンeco新屋敷」を2010年にオープン(2010年12月)
2010 年12 月に、災害対応設備に加え、次世代エネルギーソ
リューションを提供するクリーンeco新屋敷を岡山県にオープン
しました。
同SS には電気自動車(EV)用急速充電器を設置しており、EV の
充電が可能となっています。また、
CIS薄膜太陽電池と蓄電池では
普段の電力の一部を補うだけではなく、インフラ断絶時は自家発
電用設備、貯水槽と併せて、石油製品や生活用水の供給を行うこ
とができる災害対応型SS となっており、エコと地域社会への貢
献を両立する SS を目指しています。
17
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
Web www.showa-shell.co.jp/products/shellpura/
V O I C E
「シェルピューラ(Shell Pura)」利用者の声
購入して4年、ずっとシェルピューラを入れています。最近は、通
勤がメインで月間2,000 ㎞程度運転します。いつも車をキレイ
に保とうと心がけているので、エンジンの中までキレイで正直
嬉しいです。
40代男性
「トヨタクラウン(累計走行距離:39,285㎞)」
トップコミットメント
会長
臭いが少ない灯油「Shellエコ灯油」
Web www.shell-ecotoyu.jp/
天然ガスを原料に作られたため、硫黄分をほとんど含まず、
従来の灯油にあった「臭い」
「べとつき」が大幅に軽減された
ファンヒーター専用灯油です。品質の安定性にも優れてお
店や病院などでも臭いを気にせず、快適にご使用いただけ
利用者の声
腰が悪いため、団地3階に住んでいる両親宅の玄関先まで届けて
もらえる宅配サービスは、
大変、魅力的です。
(30代 女性 主婦)
東日本大震災における
グループの対応
り、リビング、子供部屋、病気の方やお年寄りのお部屋、飲食
V O I C E
ま す。2010 年11 月 よ り
販売地域を拡大し、全国約
120ヶ 所 の SS に て 店 舗 販
売を行っています。また、イ
会社・事業概要
ンターネット販売による全
事務所でファンヒーターを使っているので、以前から石油臭が気
になっていました。そこで商品(洋服)に臭いがつかない灯油を探
していたところ、エコ灯油と出会い、臭いの少なさを実感してい
ます。
(40代 女性 自営業)
国地域(沖縄・離島を除く)
での宅配も行っています。
潤滑油
■自動車用エンジンオイル「シェル ヒリックス(Shell HELIX)」
トップコミットメント
社長
Web www.showa-shell.co.jp/products/lub/
■環境負荷低減オイル「シェル テラス オイルSX-Z」
(日米自動車メーカーによるエンジンオイル規格制定組織)
動油です。低粘度・高引火点を保持し安全性が高い上、低密
の最高規格導入に合わせ、シリーズのラインナップを2010
度化により油圧システムの消費エネルギー低減を実現し
年9 月にグレードアップしました。また、環境規制の強化に
た画期的な商品です。この開発技術が
より、自動車に高い省燃費性能が求められていることから、
高く評価され、
(社)石油学会より「平成
低粘度油種や DL-1 規格対応油種の増強をはかりました。今
21年度 技術進歩賞」を受賞しました。
石油事業
﹂の展開
EPOCH 2010
省エネルギー性能と引火点250 ℃以上を両立した油圧作
﹁
「Shell HELIX シリーズ」は API
(米国石油協会)および ILSAC
後も Shell HELIXシリーズの全世界共通コ
”エ
ンセプトである
“Clean on the Inside(
様の車の省燃費性能やエンジンレスポン
2010年の実績と
今後の目標
ンジン内をよりきれいに)をもとに、お客
Shell Tellus Oil SX-Z
スの向上を実現していきます。
ヒリックス Lineup
排水性・低騒音舗装用アスファルト「ドレイニッジECO」
道路を舗装する時に発生する
「におい」を抑えたカラーアス
排水性・低騒音舗装として、雨天時の安全走行や走行音の
ファルトです。淡色であるため、自然や歴史的町並みなどの周
低減に寄与するアスファルトです。また、取扱温度を低く
設定することで、施工時
また、通常の黒いアスファ
の臭いを抑制するとと
ルトに比べて夏場は路面
もに、エネルギー消費量
温度を最大20℃低減でき
および CO2 排出量を大
るなど、都心部のヒートア
幅に削減することがで
イランド対策としても注
きます。
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
囲の景観にも調和します。
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
カラー舗装用アスファルト「ニューメロウファルト」
目されています。
ニューメロウファルト 大宰府天満宮
(左)
排水性舗装
(右)
一般の舗装
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
18
石油事業の付加価値向上と競争力の強化
昭和シェル石油のサービス
∼お客様に求められる付加価値あるサービスを提供するために
基本的な考え方
昭和シェル石油グループでは、特約店、販売店、協力会社、関係会社と強い信頼関係を築き、協働してサービス・顧
客満足の向上に努めています。また、最前線で活躍されているパートナーの各階層に対し、独自の資格認定制度や
研修を通して育成をはかり、お客様に満足される質の高いサービスの提供を目指しています。
パートナーとのコミュニケーション
昭和シェル石油では特約店をはじめ、お取引先企業、関係会社などと協働して、末永くお客様に支持されるブランドであり続
けるため、各種会合などに留まらず、あらゆる機会を捉えて緊密で良好なコミュニケーションをはかり、相互の信頼関係を築
いています。
特約店とのパートナーシップ
地域に密着してお客様のニーズに合った製品・サービスを提
供する特約店は、当社のビジネス上欠かすことができない
極めて重要な戦略的パートナーです。昭和シェル石油では
事業領域ごとの会合を設けるなどして、業界環境認識や経
営ビジョンの共有を行うほか、研修会やコンペティションの
開催など、特約店相互に切磋琢磨、情報共有を行う場とし
ても活用しています。今後もグループ一丸となって、お客
様により支持され、喜ばれるサービスの実現を目指した取組
みを続けていきます。
V O I C E
パートナーの声
東日本大震災の際、弊社もあらゆる面で
昭和シェルと連携することで、可能な限
りの対応ができたと自負しております。
また、昨年度より弊社でもソーラーフ
ロンティア製太陽電池の販売を開始す
るなど、これからも昭和シェルとの関係
は時代の変化とともに、より強固なもの
になると確信します。
株式会社新潟シェル
対象特約店
●全国・地域 昭和シェル会:SS運営、産業用燃料販売特約店
●全国・地域 昭和シェルガス会:ガス販売特約店
●全国・地域 昭和シェル石油高潤会:高級潤滑油専門特約店
●昭和シェルスカイクラブ:当社航空特約店
19
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
代表取締役社長 浜田 忠博様
本社屋ソーラーパネル前にて
トップコミットメント
会長
販売の最前線で活躍するスタッフの人材育成プログラム
お客様の安全で、快適なカーライフを支えるサービスステーションのスタッフをはじめ、工場や船舶向けの潤滑油の販売部門
や液化ガスの営業など、販売の最前線で活躍する特約店の従業員は昭和シェル石油のブランドを支える原動力です。当社では
独自の資格認定制度や研修制度を通して、スタッフの育成をサポートし、お客様と昭和シェル石油グループにおいて「技術的
■昭和シェルロイヤルマネージャー(SRM)認定制度
■潤滑士制度
お客様の信頼を得るための店舗づくりを実現し、昭和シェル石油の
お客様の各種ニーズに応じた潤滑油、グリースを販売するために、
SSネットワークを牽引するリーダーの育成を目的としている資格
認定制度です。1979 年発足以来30 年以上の伝統を誇り、なかで
も SRM1 級は昭和シェル石油の資格制度の難関資格の一つとして
認知され、業界内で高い評価を得ています。2010年6月に SRM資
格認定者が一堂に会する
「全国SRM会」を開催し、事例の共有や意
専門的知識や高度な技能を有したスタッフが、さらに販売経験や
見交換を通じて、
資格者同士のさらなる能力開発をはかりました。
●認定者合計(2010年12月末時点):1級潤滑士 149人/2級潤滑士 583人
東日本大震災における
グループの対応
な信頼感」という絆を築き上げ、お客様満足の実現を目指します。
研修、検定を経て認定される資格制度です。2010年5月には全国
潤滑士研修会を開催し、外部講師の講演を行ったほか、事例の共有
会社・事業概要
や意見交換をはかるなど、資格者同士の交流も行われています。
●2010年度認定者:1級潤滑士 4人/2級潤滑士 33人
●2010年度認定者:SRM1級 11人/SRM2級 94人/SRM3級 488人
●認定者合計(2010年12月末時点):
トップコミットメント
社長
■セールスマネジャー認定制度
SRM1級 280人/SRM2級 1,823人/SRM3級 6,619人
LPG をはじめとしたホームソリューション事業の知識を有し、お
客様のニーズに沿った提案能力を備え、かつリーダーシップを発
■昭和シェルオイルマイスター認定制度
揮できるスタッフを認定する制度です。
国家整備士の資格を持ち、さらに当社独自の研修と試験を経て自
て認定する資格制度です。
●2010年度認定者:
セールスマネジャー1級 2人/セールスマネジャー2級 14人
セールスマネジャー1級 16人/セールスマネジャー2級 109人
オイルマイスター認定者のなかから、車に関する知識・整備技術
LPG の知識の他、正しい保安知識や高い顧客志向をもつ、主に LPG
力、お客様とのコミュニケーション能力を身に付けたスタッフを
配送に従事するスタッフを認定する制度です。
●2010年度認定者:サービスドライバー 11人
●認定者合計(2010年12月末時点):サービスドライバー 80人
V O I C E
2010 年10 月に、昭和シェル石油のオイルマイス
2010年度総合優勝者からの声
のさらなるレベルアップのため、日本一を決める選
手権を開催しました。各支店・営業所の予選を勝ち
識・技術・接客力について日ごろの成果を競い合い
ました。
点検方法や作業技術を見直したことで正
確迅速な点検と分かり易い説明を提供し、
お客様のニーズや不満に的確なアドバイ
スが出来て、感謝のお言葉を頂ける様にな
りました。今後もお客様に満足して頂ける
サービスを提供し続け信頼1位を目指し
ます。
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
抜いた精鋭32名により実技・筆記試験を通して、知
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
第3回オイルマイスター選手権を開催
ター、カーライフアドバイザー認定者の知識・技術
2010年の実績と
今後の目標
■サービスドライバー認定制度
石油事業
■カーライフアドバイザー認定制度
●2010年度認定者:268人●認定者合計(2010年12月末時点):88人
﹂の展開
EPOCH 2010
●認定者合計(2010年12月末時点):
●2010年度認定者:173人●認定者合計(2010年12月末時点):1,183人
認定する資格制度です。
﹁
動車用潤滑油の知識を習得したスタッフを、オイルの専門家とし
エザキ株式会社 セルフ岡崎昭和町店
店長 野澤 久倫様
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
20
「EPOCH 2010」
の展開
太陽電池事業の推進
∼持続可能なエネルギーの確保に向けた取組み
昭和シェル石油グループのソーラーフロンティア(株)は、発電性能が高く、環境
にやさしい次世代型CIS薄膜太陽電池を生産・販売しています。国富工場が誇る世
界最大規模の生産体制をもって、世界中のお客様に「エコロジー&エコノミー」な
エネルギーソリューションをお届けします。
拡大する世界の太陽電池市場:
2010年の世界市場の年間導入量が10GW を突破!
国内年間導入量も0.8GW となり、今後も増加の予測。
世界市場規模の予測
国内導入量予測
1,600
率 20% 成 長 )、 累 積 導 入 量 を
1,400
280
340GW、 2030 年 の 年 間 導 入 量 を
200GW(年率13%成長)、累積導入
を1,573GW と 予 想 し て い ま す。国
内の累積導入量については2020 年を
28GW、2030 年 を100GW と 予 想
1,200
240
1,000
200
800
160
600
120
400
80
200
40
しています。
0
2005 2010
■ 累積導入量
年間導入量 320
0
2015
2020
2025
2030
■ 非住宅 ■ 住宅
12
10
年間導入量
(GW)
累積導入量(GW)
世界市場の年間導入量を60GW(年
年間導入量(GW)
太陽光発電協会(JPEA)は2020 年の
8
6
4
2
0
2010
2015
2020
2025
2030
一般社団法人 太陽光発電協会発行「JPEA PV Outlook 2030」より
21
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
国富工場
(宮崎第3工場)設置メガソーラー
トップコミットメント
会長
CIS薄膜太陽電池はエコノミー&エコロジー
Web www.solar-frontier.com/jp/
昭和シェル石油グループのソーラーフロンティアが生産・販売する CIS薄膜太陽電池は、シリコンやカドミウム
などを使用せず、省エネルギー生産を可能にした環境に優しい太陽電池です。また、設置後の実発電量の多さと、
東日本大震災における
グループの対応
高い量産技術により、お客様にとって経済性の高い商品の提供を可能にしました。どんなご自宅にもマッチする
デザイン性の高さも特徴のひとつです。
優れた発電性能
各種モジュールの月別積算発電量
1,800
(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発
NEDO
異なる種類の太陽電池を設置し、発電量などが比較されま
系として使用され、その高い発電量が実証されました。
160
140
1,200
120
1,000
100
800
トップコミットメント
社長
した。ソーラーフロンティアの CIS薄膜太陽電池が化合物
積算発電量[kWh]
機構)が実施した「北杜メガソーラープロジェクト」では、
1,400
会社・事業概要
1,600
るなど、優れた発電性能を有しています。
180
■ 傾斜面日射量
アモルファス
単結晶
多結晶
化合物
球状
積算日射量[kWh/m2]
CIS薄膜太陽電池は、設置容量(kW)あたりの実発電量
(kWh)が従来型のものに比べて高く、幅広い光を吸収でき
80
600
60
4月
5月
6月
7月
8月
9月 10月 11月 12月 1月
2月
3月
﹁
各種太陽電池における月積算発電量と日射量
太陽電池事業
﹂の展開
EPOCH 2010
「NEDOメガソーラープロジェクト 北杜サイトにおける実証研究 NTTファシリティーズ」より
黒を基調とした落ち着いたデザイン
2010年の実績と
今後の目標
CIS薄膜太陽電池は素子が黒色。シックで落ち着い
た色調が、どんな屋根にも美しく調和します。その高
いデザイン性で、2007 年のグッドデザイン賞では
エコロジーデザイン賞に輝きました。
結晶シリコン系太陽電池モジュール
ソーラーフロンティア
CIS薄膜太陽電池モジュール
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
国内メーカー初のモジュール出力20年保証
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
CIS薄膜太陽電池の耐久性の高さが確認できたことから、国内メーカーとして初
めてモジュールの出力保証を20 年間としています。また、設置後のメンテナン
スはほとんど必要ありませんが、
より安全・快適なシステムの長期使用を可能と
するため、
4年に一度の点検・アドバイスなどを実施しています。
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
22
太陽電池事業の推進
太陽電池事業活動ハイライト
エネルギーソリューション事業の中心として掲げる太陽電池事業は
世界的な普及に向けてさらに大きく躍進しました。
世界の太陽電池市場が成長を続けるなか、中国勢などの参入により日本企業
のシェアは低下しています。昭和シェル石油の100%子会社であるソーラー
フロンティアは、約20年間にわたって日本で蓄積してきた CIS薄膜太陽電池
の高い量産技術をもって、生産規模をスピーディーに拡大し、日本を代表す
る太陽電池メーカーとして世界の旺盛な需要にお応えしていきます。
「ソーラーフロンティア」
を掲げ、新設し
2010年は、世界統一の新ブランド
たドイツと米国の販売子会社を通じて販売パートナーシップを構築するな
ど、
2011 年に稼働を開始した世界最大規模の太陽電池工場「国富工場(宮崎
第3 工場)
」
で生産される製品を、世界中のお客様にお届けするための準備を
進めました。今後もソーラーフロンティアは様々な取組みを行い、さらなる
発電性能の向上と製造コストの低減を実現していきます。
専務取締役
兼ソーラーフロンティア株式会社 代表取締役社長
亀田 繁明
世界最大規模の国富工場が稼働開始
Highlight
1
ソーラーフロンティアの太陽電池工場は、2011年7月より国富工場(宮崎第3工場:年産能力
900メガワット)がフル稼働を開始しました。既存の工場を合わせた年産能力は約1ギガワッ
トとなり、世界有数の生産能力を持つことになりました。
2011 年2 月、年産能力900メガワットを誇る
国富工場(宮崎第3 工場)が、一部生産ラインに
よる商業生産を開始しました。同工場は2011
年7 月よりフル生産体制に移行し、既に稼働し
ている工場と合わせて、約1ギガワットの年間
生産能力に拡大しました。
国富工場では、宮崎第2 工場までの製品と比
べ、装置の大型化・自動化やモジュール面積の大
型化を実現することにより、CIS薄膜太陽電池
の生産効率が向上しました。これにより世界の
メインプレイヤーと伍していくためのコスト競
争力を確保することができます。
国富工場
(宮崎第3工場)
23
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
トップコミットメント
会長
グローバル企業との提携
Highlight
CIS薄膜太陽電池の大量生産に集中することで、コスト競争力のある製品の生産を目指すと
同時に、その他の分野において強みを持つ企業との協力体制を構築しています。
GE と CIS薄膜太陽電池の供給で合意(2010年10月)
東日本大震災における
グループの対応
2
IBM と CZTS薄膜太陽電池セルの共同開発で合意
(2010年10月)
ソーラーフロンティアと IBMコーポレーションは、CZTS
米国)との間で、
CIS薄膜太陽電池の供給と大規模太陽光発
薄膜太陽電池セルの共同研究を行うことで合意しまし
電のシステム・設置に関する技術開発で提携しました。こ
「 亜鉛」
「 スズ」
「 硫黄」
「セ
た。CZTS太陽電池は、主に「銅」
レン」の化合物で構成されており、入手が容易かつ安価な
材料を用いて生産できる太陽電池です。IBM は CZTS太
ドに見合うと認められた証と捉えています。今後、太陽電
陽電池としては世界最高の変換効率を達成しており、同
池の大規模供給を実現するとともに、GE において135 年
社の研究結果と昭和シェル石油グループの薄膜生成技術
間にわたり蓄積されたノウハウを活かし、大規模発電向け
ならびに製造技術を合わせ、より経済的かつ環境に優し
の技術開発を行うことが可能となります。
い太陽光発電の提供を目指します。
トップコミットメント
社長
の提携は GE の実証実験において、複数の製品の中から当
社CIS薄膜太陽電池の発電性能などの優位性が GEブラン
会社・事業概要
ソーラーフロンティアと GE
(General Electric Company、
太陽電池事業
3
﹂の展開
EPOCH 2010
Highlight
﹁
研究開発の促進
厚木リサーチセンターにて、CIS薄膜太陽電池のさらなる技術向上を目指して研究開発を進
めるとともに、リサイクル処理技術の共同研究にも参画するなど、開発からリサイクル処理ま
での全てのライフサイクルにおける最先端の技術開発に取組んでいます。
2010年の実績と
今後の目標
CIS薄膜太陽電池の世界最高の変換効率を達成
(2011年3月)
太陽電池に関するリサイクル活動をグローバル展開
(2010年9月)
は、耐用年数を超えた太
面積でエネルギー世界最高の変換効率17.2%(当社測定
陽電池モジュールの回
値)を達成しました。今後、さらなる変換効率の向上を見込
収・リサイクルの推進を
んでおり、その成果を販売用製品に適用することによって、
目的に設立された欧州
より高性能な製品
団体「PVサイクル」に加
をお客様にお届け
盟しました。また、
( 財)北九州産業推進機構が中核となっ
します。
て進める、国内初の太陽電池システムに関するリサイクル
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
ソーラーフロンティア
おいて、
30cm角CIS薄膜太陽電池サブモジュールの開口部
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
太陽電池に特化した研究所である厚木リサーチセンターに
処理技術の共同研究事業にも参加を決定するなど、原料選
定から生産、販売、回収・リサイクル処理までのすべての過
程に配慮しています。
厚木リサーチセンター
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
24
太陽電池事業の推進
太陽電池事業活動ハイライト
大規模太陽光発電プロジェクト(メガソーラー)の建設
Highlight
4
CIS薄膜太陽電池の発電性能の高さが認められ、昭和シェル石油グループが運営する大規
模太陽光発電所向けのみならず、国内外のメガソーラー・プロジェクトで当社モジュール
が採用されました。
「新潟雪国型メガソーラー」の運営開始(2010年8月)
新潟県の当社旧製油所跡地を活用し、日本初の商業用太陽
光発電施設「新潟雪国型メガソーラー」の運転を開始しま
した。積雪量の多い新潟県において、ソーラーフロンティ
アの CIS薄膜太陽電池の発電性能の高さが実証されていま
す。なお、設置容量は1メガワットで、発電された電力(一般
住宅約300 軒相当)は、電力会社を通じて近隣地域へ供給
されます。
新潟メガソーラー見学者が累計2,000名を突破!
発電量データ
■2010年9月∼2011年7月
■交流発電実績 103万kWh(新潟市内日照時間1,474時間)
2011 年7 月末時点で計画比120% の発電量で順調に進捗しており、降
運営開始後、地方公共団体や企業、学校など、全国から多くの方々
にご訪問いただき、累計見学者数は2011 年7 月末時点で延べ
2,000名を超えました。
また、2010 年に近隣の小学生を対象としてエネルギー教室を
実施し、次世代を担う子供
たちに、メガソーラーの見
学を通じてエネルギーに
ついて学ぶ機会を設ける
などの、環境教育支援を行
いました。
雪時においても雪の滑降性能が高く十分な発電実績を記録しています。
サウジアラムコ社の「ノースパーク・コンプレックス」に CIS薄膜太陽電池を供給(2010年10月)
サウジアラビア王国において、国営石油会社サウジアラム
コ社のオフィス複合施設「ノースパーク・コンプレックス」
に CIS薄膜太陽電池を供給することが決定しました。設置
場所は同施設内の駐車場の屋根で、設置容量は10メガワッ
トです。2011 年末に運転開始を予定しており、同施設の
電力の一部を賄うと同時に、砂漠地域の厳しい環境におけ
る CIS薄膜太陽電池の発電優位性を実証します。
25
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
宮崎第2工場隣地に設置された CIS薄膜太陽電池
新潟雪国型メガソーラ
トップコミットメント
会長
宮崎ソーラーウェイの「都農第2発電所」に
CIS薄膜太陽電池を供給(2010年9月)
国際航業グループの宮崎ソーラーウェイ株式会社が宮崎県
において運転を開始した
「都農第2 発電所」に、
CIS薄膜太陽
東日本大震災における
グループの対応
電池を供給しました。
同発電所は、リニアモーターカー宮崎
実験線の高架上約3.6km に太陽電池を縦列に配置したユ
ニークなもので、設置容量は1メガワットです。ソーラーフ
「都農第1 発電所」でも3
ロンティアの CIS薄膜太陽電池は、
種類の太陽電池の1つとして採用されており、第2 発電所で
は全ての太陽電池をソーラーフロンティアが供給しました。
会社・事業概要
トップコミットメント
社長
宮崎ソーラーウェイ
太陽電池事業
﹂の展開
EPOCH 2010
お客様に安心して当社システムをお使いいただくため、契約代
理店・販売店や施工業者の皆様を対象に、システムの販売から設
置後のアフターケアまでを網羅する資格制度を設け、全国各地
で研修を実施しています。資格取得者の累計は、
2011 年6 月末
現在11,500人を超えています。
2010年の実績と
今後の目標
エネルギーのより効率的な使用を推進するため、200ヶ所を
超える当社系列SS に CIS薄膜太陽電池を設置することを決定
しました。東京電力、東北電力管内の当社所有SS約400か所の
半数以上に設置をすることで、グループ全体の節電への取組
みをより強力に推進していきます。これにより、現在行ってい
る前年比15%の節電の取組みに加え、太陽電池が発電する日
中においてはさらに前年比約13%の電力使用量の削減が可能
となります。
高品質なサービスを提供するための資格制度
﹁
昭和シェル石油系列SS約200カ所超に
CIS薄膜太陽電池を設置(2011年6月)
ソーラーフロンティアの主な資格制度
●ホームエネルギーコンサルタント●施工従事者●施工管理士
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
CIS薄膜太陽電池設置SS例
施工研修の様子
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
26
「EPOCH 2010」
の展開
エネルギー&ホームソリューション事業の展開
電力事業や家庭周辺サービスなどのエネルギー&ホームソリューション事業を展開し、エネ
ルギーの多角化および時代のニーズに応えるサービスの提供を目指します。
天然ガス火力発電所「扇島パワーステーション」の営業運転を開始(2010年3月、7月)
当社が東京瓦斯株式会社と共同出資で営業運転を行ってい
所です。今後は東日本大震災を機に国内の電力供給力が低
る扇島パワーステーションは、クリーンな天然ガスを使用
下するなか、
安定的な電力供給に貢献していきます。
(低位発熱量基準・発電端)
の
するとともに、
最高効率約58%
省エネルギー性に優れたガスタービンコンバインドサイク
また、原料
ル※を採用し、効率的な発電を実現しています。
※ガスタービンコンバインドサイクル:まずガスタービンで発電を行い、そ
の排熱で蒸気を生成し、蒸気タービンにて再度発電を行う、きわめて効率の
高い発電システム
となる天然ガスは隣接する東京ガスの LNG基地から供給
されており、既存インフラを有効的に利用しています。
さら
に、需要地に近接していることから、送電ロスを最小限に抑
えられるといった強みも有するなどの優位性を持った発電
緑化への取組み
敷 地( 約 75,000m2)の う
ち、約23% の範囲を緑化し
ました。扇島パワーステー
ションは環境への配慮のみ
ならず、子供たちの希望を
将来へつなげるために、
「緑
に囲まれた発電所」を目指
します。
近隣小学生の参加する「緑化運動」
ミッシェル・ホームサービス
Web http://www.showa-shell.co.jp/products/home/michell_hs/
シェル リンクライフ
Web www.showa-shell.co.jp/products/home/linklife/
少子高齢化、単身赴任や女性の社会進出など、家庭を取り
「ネットワークカメラ」
「防犯」
「火災報知機」
「非常通報」
「帰
巻く環境が変化するなか、お客様の限りある時間の有効利
宅確認」
「 ホームリモート」の6つのサービスを提供してい
用ができるよう、家事代行のサービスを提供しています。
ます。
「 遠くの家族を見守りたい」
「 携帯やパソコンからカ
2010 年にはハウスクリーニングサービスも開始し、サー
メラの映像を確認したい」といった、お客様の求める最適
ビスメニューの拡充とともに、お客様に信頼される質の高
なソリューションを提供していきます。
いサービスの提供を行っていきます。
ネットワークカメラ
27
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
「EPOCH 2010」の展開
成長の芽の育成
低炭素社会の実現に貢献し、時代のニーズに応じたエネルギーを社会に提供し続けるため、
外部機関との共同研究・実証実験や自社開発を通して、電気自動車のインフラ整備や環境に
トップコミットメント
会長
優しいエネルギーの普及を目指します。
天然ガスの利用
経済産業省の補助事業である「地域水素供給インフラ技
術・社会実証」に参加し、岩谷産業(株)と共同運営をする
■LNG(Liquefied Natural Gas)
液化天然ガス
(LNG)
は、石油と比較して燃焼時の CO2の排
「有明水素ステーション」において、次世代のクリーンエネ
出量が少なく、硫黄酸化物も発生しないクリーンな燃料で
ルギーとして注目される水素燃料の実用化に向けた検討
す。当社では都市ガスの導管が通っていない地域への工業
を継続しています。
用燃料として、
LNG の供給について提案を行っています。
奈川県、東京都、新潟県に全7台の急速/倍速充電気を設置
の混合燃料を使用したハイブリッド路線バスでの実証運行
しました。
また、
4 月に日産自動車とともに東京-新潟間で EV
を行いました。
この実証運行は、国土交通省からの委託事業
実車走行チャレンジを実施したほか、
10 月には、岡山県に
で、独立行政法人 交通安全環境研究所が中心となって実施
オープンした次世代型SS においても急速充電器を設置し
する
「次世代低公害車両開発・実用化促進プロジェクト」の
ました。
(詳細は▶P17)
一環で行われました。
2009年3月に元売りとして初めて急速充電器を設置後、経
(EV)
普及環境
済産業省が推進する
「平成21年度 電気自動車
トップコミットメント
社長
整備実証事業」
を受託し、
その一環で2010年7月末までに神
■GTL(Gas to Liquids)
GTL は天然ガスを原料として作られた、LNG と同じく硫黄
分をほとんど含まないクリーンな液体燃料です。2010 年
(株)
、日野自動車
は7月∼12月までの期間で、トヨタ自動車
燃料と水素化バイオディーゼル燃料と
(株)と共同で、
GTL
会社・事業概要
サービスステーションを活用した電気自動車
(EV)用充電サービスの可能性についての研究
東日本大震災における
グループの対応
水素燃料の開発・実証実験
/成長の芽の育成
2010年の実績と
今後の目標
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
2009 年12 月より「成長の芽」の一つとしてスタートし、実証展開を行ってきたカー
シェアリングサービスの
「まちのりくん」を、
2011 年2 月にお客様により便利で使いや
すいサービスとなるようリニューアルしました。1 台の車を複数のユーザーでシェア
﹂の展開
EPOCH 2010
Web www.showa-shell.co.jp/products/machinori-kun/
エネルギー&ホームソリューション事業の展開
まちのりくん
﹁
マレーシアの GTLプラント
み ん な の 安 心 カ ー シェ ア リ ン グ
まちのりくん
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
することで、車両維持費用の軽減、短距離・短時間の利用など、主に都心のお客様のニー
ズに応えるほか、車の有効利用による環境負荷の低減も期待される次世代型サービスと
して、今後も引続き事業化へ向けて検討を行います。
●まちのりくん実施場所:
『東京都練馬区』 都営大江戸線 光が丘駅周辺 車両9台
『神奈川県横浜市港南区』 JR線 港南台駅周辺 車両10台
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
28
2010年の実績と今後の目標
サステイナビリティを目指した活動の実績と目標
昭和シェル石油グループの2010 年のサステイナビリティを目指した活動実績および今後の目標を「エ
ネルギーチャレンジ」
「ステークホルダーコミュニケーション」
「HSSE とコンプライアンス」などの項目
別にまとめました。今後も実績をご報告するとともに、目標達成に向けて取り組んでいきます。
2010年の目標
活動分野
エネルギーチャレンジ
ステークホルダーコミュニケーション
安全確保および品質保全活動(SQF2010)を継続します。
製油所における安定稼働を徹底します。
高効率製油所を目指した省エネルギー対策を継続します。
環境負荷の低減
タンカーやローリーなどの輸送効率向上による省エネルギー対策を継続します。
CIS薄膜太陽電池の普及・拡販を行います。
2010年よりバイオETBE配合燃料を本格導入します。
新エネルギーと
水素燃料の普及可能性を検証を継続します。
環境配慮型製品の開発
GTL燃料(灯油、軽油)の実用化に取組みます。
EVインフラサービスの在り方を引続き検討します。
「Ponta
(ポンタ)」使用可能SS の拡充とともにサービス内容の充実をはかっていきます。
将来の電気自動車(EV)の普及を見据えた充電インフラサービスの検討を継続していきます。
「シェル リンクライフ」の機器、サービスの普及に努めます。また、スマ−トネットワ−クサ−ビスを一層充実さ
お客様とともに
せ、より多くのお客様にベストソリュ−ションを提案していきます。
「ミッシェル・ホームサービス」では、お客様一人ひとりのニーズにお応えできるようサービスレベルの向上・
サービスメニューの拡充に努めます。
特約店従業員向け人材育成プログラムを充実させ、スキルアップや知識習得に注力します。
役員による協力会社への職場訪問を実施し、安全や品質保全の取組みを確認するとともに、社員の当事者意識の
協力会社とともに
向上をはかります。
(SQF2010)」を展開し、労働
ゴール・ゼロに近づけるため、協力会社と一体となった
「Safety & Quality First 2010
災害、品質事故防止に努めます。
中期経営ビジョン「EPOCH 2010∼変化に克ち、未来を拓く∼」の実行元年であることから、進捗状況のより具体的な
説明を心がけ、各ステークホルダーとの良好なコミュニケーションをはかります。
株主の皆様とともに
タイムリーかつフェアなディスクロージャーを遂行します。
各種IRツール、IRイベント、アンケートなどの充実をはかり、分かりやすい情報提供と双方向コミュニケーション
の機会を拡充します。 環境フォト・コンテスト「わたしのまちの○と×」を実施するとともに、入賞作品を展示する機会を増やし、より多くの
方々に環境について考える「きっかけ」をつくります。
シェル美術賞を継続し、受賞・入選作家へのサポートを強化します。
社会とともに
「富士山の森づくり」プロジェクトを継続し、生物多様性保護に関する従業員の教育強化を目指します。
5回にわたり開催された「エネルギー持続性フォーラム」主催の公開シンポジウムでの議論も踏まえ、今後も「サステイ
ナビリティ学連携研究機構(IR3S)」と共同研究を進めていきます。
エネルギーの安定供給
従業員とともに
HSSEとコンプライアンス
29
HSSEマネジメント
システムの実践
「第三期一般事業主行動計画」の実施で、両立支援の充実とさらなる職場活性化を目指します。
グループ諸会社が一体感をもって仕事に取組み、グループシナジーを最大限に発揮する施策の取組みを行います。
社員が心身ともに健康で生き生きと働くことができる職場作りを目指して、医療スタッフが社員と個人面談を実施し、
心身の健康の充実に向けた取組みを展開します。
第7回社員意識調査を実施し、社員が一層働きやすく、意欲をもって新しい価値創造に挑戦する職場を形成するために、
職場単位で話し合いを開催し、必要なアクションを策定・実行するなどの施策展開をします。
会社の成長戦略を実現するために、さらなる多様な人材の確保(新卒採用・中途採用・障がい者採用)の実現を目指します。
「EPOCH 2010∼変化に克ち、未来を拓く∼」を実現するために、各階層におけるリーダーシップの強化、プロフェッ
ショナルの育成を推進するための施策を展開していきます。
評価者研修を強化し、公正な評価を実施することで、個々の社員の能力開発、モチベーション向上に繋げていきます。
海外展開、シェルグループとの人材交流を促進し、グローバルに活躍する人材の育成、活用を展開していきます。
評価
★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★
★★★
★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
★★★
H:新型インフルエンザ感染予防、メンタルヘルス疾患に対する予防活動を実施します。
「Safety and Quality First 2010」などにより、労働災害、品質事故防止活動を実施します。
S:
HSSE監査などによる改善活動を推進します。
「危機管理計画書」に沿って訓練を実施し、事業継続計画書の見直しなど危機管理体制を強化します。
S:
E:製油所においては、廃棄物のゼロエミッション(最終処分率1%以下)を維持します。
生態系保全活動の推進、
「ECO TRY21」活動や省エネ活動により CO2削減など環境保全活動を推進します。
★★★
太陽電池事業の成長戦略実現をスピードをもって推進するためのコントロール体制の強化を目指します。
★★★
★★
★★★
★★★
整備・運用の改善を進めます。 ★★★
コーポレートガバナンス 事業環境の急速な変化にともなうビジネスリスクに対応できる内部統制体制を維持し、
内部統制の意識を高めるため、コンプライアンス意識をさらに向上させるための啓蒙活動の継続、リスク管理の実
と内部統制
行、情報開示体制の実現、社員相談窓口の運営改善、グループ会社に対するリスク管理サイクルの改善とグループ監 ★★★
査役室によるフォロー強化を行っていきます。
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
★★★ 満足できるレベル ★★ ほぼ満足できるレベル ★ 改善の余地があるレベル
●
今後の目標
製油所での安定稼働は満足行くレベルでしたが、一部SS で品質事故が発生するな
ど、より品質保全活動の徹底・強化を行う必要がありました。
●
需要対応、高効率稼働を目指し京浜製油所扇町工場の操業を2011年9月までに停止する決定を行いまし
た。製油所のエネルギー消費原単位は7.96となり、前年に続き1990年比16%改善を達成しました。
●
●
●
安全確保と品質保全活動(SQF 2011)の継続実施および活動のさらなる強化を行います。
製油所における安定稼働を徹底します。
さらなる省エネルギー対策推進のため、製油所稼働の高効率化、輸送効率の向上を継続します。
低炭素社会実行計画に従い、省エネ対策を検討・実施します。
宮崎第3工場(国富工場)で商業生産を開始し、さらなる CIS薄膜太陽電池の普及・拡販を行い
ます。
● 水素燃料の普及可能性の検証を継続します。
● EVインフラサービスの在り方を引続き検討します。
●
東日本大震災における
グループの対応
太陽電池工場にて安定した生産を行いました。
● エコ灯油の販売地域の拡充を行いました。
● EV普及環境整備実証事業を受託し、サービスステーションを活用した充電サービ
スの可能性について研究を行いました。
●
トップコミットメント
会長
2010年実績レビューサマリー
●
お客様の満足度向上を目的に、ポンタをはじめとした既存ツールの強化を行うほか、新
たなツールを追加し、サービス向上のためのさらなる施策を実施します。
● 災害対応型SS、太陽電池パネル設置SS のさらなる拡充をめざし、災害時にも安定供給
を実施し、地域の拠点となる SS の整備を推進します。
●「ミッシェル・ホームサービス」
「シェル リンクライフ」のサービスメニューの拡充に努
め、より多くのお客様にベストソリューションを提案していきます。
●
会社・事業概要
ポンタ加盟SS数が2010 年末時で2,325 店舗となり、2010 年3 月スタート時より
225店舗増加しました。
● 引続き災害対応型SS の整備を行い、
店舗が増加しました。
●「ミッシェル・ホームサービス」
のサービスメニューに「ハウスクリーニング」を新
たに追加しました。
●
品質保全活動や事業領域ごとの会合を通して、特約店と緊密なコミュニケーションを
はかっていくとともに、特約店従業員向け人材育成プログラムやコンペティションの
実施を通して、スタッフ育成やお客様へのサービス向上を推進していきます。
● 役員による協力会社への職場訪問を引続き実施し、
当事者意識の向上をはかるなど、労
働災害・品質事故の防止を徹底していきます。
●
●
●
資格認定制度や研修制度を通してスタッフ育成のサポートを行いました。
全国61か所の事業所や協力会社へ役員による職場訪問を実施しました。
トップコミットメント
社長
「国富工場(宮崎第3 工場)」の立ち上げなど、
「EPOCH 2010」の中期経営ビジョンがよ
り具体化するなかで、市場関係者とのコミュニケーションをさらに強化していきます。
また、海外投資家へのアプローチもはかっていきます。
●
●
石油事業の競争力強化ならびに太陽電池事業の成長戦略を柱とするエネルギーソ
リューション事業について市場関係者への説明を積極的に行いました。
﹁
次世代育成支援対策推進法に基づき、第三期一般事業主行動計画を策定し、実行を開始しま
した。また、従業員が仕事と子育てを両立できる職場環境づくりへの取組みと実績が認めら
れ、2010年5月31日付で厚生労働大臣から子育て支援企業として認定を受けています。
●「EPOCH 2010」
で掲げる石油事業の競争力強化、ソーラー事業の成長戦略実現を推進する
ために昭和シェル石油(株)とソーラーフロンティア(株)のコーポレート機能を統合し、組
織の効率化、質の高いサービスの提供とガバナンス体制の強化を目指しました。
● 第7回社員意識調査では、
過去最高の回答率(94.6 %)の回答率を得、各職場の課題や職場風土
活性化に関して、労使で話し合いを設け改善アクションに結びつける活動を展開しました。
● グローバル環境への適応、
ダイバーシティの推進の観点から、夏季インターンシップでは、4
名の外国人留学生を受け入れました。
● 各階層別研修で、
トップマネジメントと社員のコミュニケーションの機会を設け、各事業環
境の共有化と中期経営ビジョンの浸透を図りました。
環境フォト・コンテストを通じた環境教育の充実をはかります。
「シェル美術賞」の開催による若手作家の発掘を継続します。
●「富士山の森づくり」
プロジェクトを通じた生物多様性の保護を強化します。
● IR3S との共同研究を推進します。
● 次世代育成について、
環境教育の実施や支援ツールのさらなる拡充をはかります。
●
﹂の展開
EPOCH 2010
環境フォト・コンテスト「わたしのまちの○と×」の実施(応募総数6,628 点)およ
び作品展覧会の機会の拡充を行いました。
●「シェル美術賞2010」
を実施しました。
(応募総数1,410点)
●「富士山の森づくり」
プロジェクトを継続実施しました。
●「第6回エネルギー持続性フォーラム」
を開催しました。
●
●
●
石油事業などを担う「経営執行会議」とは別に、太陽電池事業に特化した「ソーラー
戦略会議」を設け、事業特性に応じた迅速な業務執行判断が行える体制を整備しま
した。
● 石油事業本部、ソーラー事業本部、グループファンクションズからなる、事業内容
に即した効率的な新組織体制とし、内部統制を強化しました。
●
H:新型インフルエンザ感染予防、メンタルヘルス疾患に対する予防活動を継続実施します。
「ゴールゼロ運動」を実施し、
S:安全確保と品質保全活動(SQF 2011)の継続実施を行うほか、
労働災害ゼロに向けてさらに取組みを強化していきます。
S:東日本大震災の経験をふまえ、全社を挙げて対策の見直し・強化をはかり、より強固な
危機管理体制を築きます。
「ECO TRY21」の取組みをさらに強化するなど、
E:製油所のゼロエミッションを維持します。
電力消費量の削減を全社を挙げて推進し、オフィスの CO2排出量の削減を目指します。
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
首都圏直下型地震を想定した危機管理総合訓練を実施しました。
製油所のゼロエミッション(産業廃棄物最終処分率1%以下)を達成しました。
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
●
2010年の実績と
今後の目標
●
引き続き「第三期一般事業主行動計画」の実行により、両立支援の充実、制度利用者の
推進をはかるとともに、さらなる職場活性化を目指します。
●「 EPOCH2010」
で掲げる成長戦略の実現に向け、国籍・ジェンダーに囚われず多様な
人材の確保(新卒採用・中途採用・外国人採用・障がい者採用)を継続していきます。
● 人材のさらなる競争力強化を目的に新教育制度を展開し、
社員一人ひとりが自らの能
力を最大限発揮し、チャレンジを通じた成長の機会を提供していきます。
● 第8 回社員意識調査を実施し、従業員が意欲をもって働くことのできる職場づくり
を、労使一体となって推進していきます。
● 海外展開、
シェルグループとの人材交流を促進し、グローバルに活躍する人材の育成、
活用を展開していきます。
●
太陽電池事業の成長戦略実現をスピードをもって推進するための体制の強化を継続します。
内部統制体制を整備し、運用の改善・整備を進めます。
● 内部統制の意識を高めるため、
コンプライアンス意識向上のための啓発活動の継続、リス
ク管理の実行、情報開示体制の実現、社員相談窓口の運営改善、グループ会社に対するリ
スク管理サイクルの改善とグループ監査役室によるフォローの強化を継続します。
●
●
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
30
2010年の実績と今後の目標
中期環境アクションプラン
(2010∼2012年)
昭和シェル石油グループは、中期的な視点をもって環境活動を推進しています。現行の中期環境アクションプラ
ンは2010年に策定され、2012年までの3年間を計画実施期間としています。
中期目標(2012年)
活動分野
省エネルギーと
地球温暖化防止対策
環境汚染の未然防止と
廃棄物対策
環境対応製品とサービスの提供
環境保全活動と
環境コミュニケーション
31
製油所におけるエネルギー消費原単位の低減
(2008∼2012 年度の平均値を1990 年比13 %
2010年の主な実績
エネルギー消費原単位7.96
(1990年比16%)を達成しました。
●
削減)
「ECO TRY21」を通じてオフィスの省エネルギー・
省資源活動を実施
●
製油所のゼロエミッション(製油所の産業廃棄物最
終処分率1%以下)の継続
●
土壌汚染対策の継続
●
各職場にて室温・照明管理、クールビズ、両面印刷やペーパレス
会議による紙の削減、ゴミの分別などを実施しました。
製油所の産業廃棄物最終処分率0.7%を達成しました。
土地売却などの改変時に土壌汚染対策を実施しました。
SS建替えなど更新時の土壌汚染未然防止策を講じました。
●
委員会などを通して環境省の政策立案に協力しました。
●
化学物質管理体制の維持
●
バイオ燃料(ETBE配合燃料)
●
CIS薄膜太陽電池の普及
●
家庭用燃料電池システムの普及
●
化審法、化管法、安衛法など関連法令への対応および毒物劇物等
の化学物質の適正管理を継続しました。
当社のグループ製油所である東亜石油にてバイオETBE の本格導
入を開始しました。
年産約1,000MW規模の生産・販売体制を構築するために、
国富
工場(宮崎第3工場)を建設し、販売体制を構築しました。
LPG-PEM型家庭用燃料電池システムの本格普及に向け、特約店
チャンネルを中心とした販売体制の構築を行いました。
有明水素ステーションにおいて水素普及の実証試験を行い、
200台の燃料電池車に水素を供給しました。
水素燃料の普及可能性の検証
●
GTL燃料の実用化
●
ステークホルダーが環境について考えるきっかけ
の提供
●
第6 回環境フォト・コンテスト
「わたしのまちの○と×」を実施
し、6,628 点(ジュニア部門6,028 点/一般部門600 点)の応募
がありました。
地域社会と従業員の協働による環境保全活動を
実施
●
4 年目を迎える NGO主催の「富士山の森づくり」プロジェクト
「Shellエコ灯油」の本格販売に向け、販売システムの構築、店頭販売
エリアの拡大、商品認知度の向上に取組みました。
において、植栽した土地の下草刈りを社員有志で行いました。
各事業所にて周辺の清掃活動を実施しました。
●
環境分野の学術振興に寄与
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
「エネルギー持続性フォーラム」の第6 回シンポジウムをサステナ
ビリティ学連携研究機構(IR3S)と共催しました。
●新潟県の小学生約120名に
「エネルギー教室」を実施しました。
●新潟雪国型メガソーラーにて、
2010 年の累計で66 団体1,476 名
に次世代エネルギーについての説明と見学会を実施しました。
●
コーポレート・ガバナンスと内部統制
企業価値を高め、
経営理念を実現するための経営体制の整備
トップコミットメント
会長
基本的な考え方
本業を通じて社会的価値を創造することでステークホルダーの期待や要請にお応えし、社会に貢献することが私
たちの使命であり、昭和シェル石油グループにおける CSR です。当社グループでは、企業価値を高めて経営理念
東日本大震災における
グループの対応
の実現に一歩でも近づいていくため、コーポレート・ガバナンスや内部統制の一層の充実に努めています。
(健康・安全・危機管理・環境保全)はすべてに優先」というモットーを掲げ、内
また、
「コンプライアンスと HSSE
部統制の重要な要件である徹底したリスクマネジメント体制の構築に力を注いでいます。
コーポレート・ガバナンス
昭和シェル石油は1997年以降、コーポレート・ガバナンス
改革を推進し、取締役数の削減、執行役員制度の導入、権限
の明確化などの施策を行い、経営の監督と業務執行の分離
を進めてきました。
トップコミットメント
社長
「企業価値を高め、持続的に成長する」という目的のもと、経営の
「公正」
「健全」
「透明」性を確保し、株主などステークホルダーに対
して「社会的責任を果たすこと」を担保するための制度や仕組み
会社・事業概要
コーポレート・ガバナンス体制の構築
4 名の監査役(2 名は社外監査役かつ独立役員)に加え、
内部統制
会の監督機能や経営者に説明責任を求める機能を強化し
﹁
ました。さらに一般株主の利益保全と経営の透明性や客
﹂の展開
EPOCH 2010
法令や定款、経営方針などに沿って組織が円滑に機能するよう、
「業務の有効性・効率性」
「コンプライアンス」
「リスク管理」
「財務報
告の信頼性」
「情報管理」などが担保されるような「合理的保証」を
得るための制度や仕組み
2009 年4 月から取締役の員数を減らし8 名とする一方
で、社外取締役をその半数(4名)まで増やすことで取締役
観性を確保するため、社外取締役の半数(2名)を当社が独
立性が高いと判断する独立取締役とし、独立役員として
リスクマネジメント
「法令遵守」はもちろんのこと、
社内規程や企業倫理を守り、社
会に役立つ企業市民として、誠
実で公正な活動を行うこと
企業が内包するあらゆるリス
クを評価し、想定される被害の
回避・最小化に向けた体系的な
予防策を構築すること
HSSEマネジメントシステム
なお、取締役2名、監査役2名の独立役員より、独立した立
場からの経営の監督とアドバイスを受ける体制を強化し
たことにともない、2004年に取締役会のコーポレート・ガ
バナンスに関する諮問機関として自主的に設置した、社外
の有識者などをメンバーとする「コーポレート・ガバナン
ス委員会」については、機能が重複するため2011年3月に
廃止しました。
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
業務に関わるリスクを「健康」
「 安全」
「 危機管
理」
「 環境保全」の各方面から評価・包括的管
理を行う、世界中のシェルグループに適用さ
れるリスクマネジメントシステムのこと
(詳しくは▶P35)
東京証券取引所に届けています。
2010年の実績と
今後の目標
コンプライアンス
また、経営の監督と業務執行の分離をさらに推し進める
ために業務執行の責任をより明確化および細分化し、石
油事業などでは業務執行部門の最高意思決定機関である
経営執行会議メンバーを増員しました。一方エネルギーソ
リューション事業のうち太陽電池事業では、太陽電池事業
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
コーポレート・ガバナンス体制構築の取組み 2010年1月∼
に特化したソーラー戦略会議を経営執行会議とは別に設
2010年 「ソーラー戦略会議」の創設
置したほか、太陽電池事業で特に迅速な業務執行判断が求
2011年 コーポレート・ガバナンス委員会の廃止
(独立役員の役割に吸収)
められることに鑑み、その範囲で必要な権限をソーラーフ
ロンティア(株)社長に委譲しています。
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
32
企業価値を高め、経営理念を実現するための経営体制の整備
内部統制システムの整備
昭和シェル石油は、社会的責任を果たし、経営の一層の透明性と効率性を追求するため「内部統制に関する基本
方針」を定め、これを業務に浸透させることで自律的なチェック機能を備えた内部統制体制を構築し、バランス
のとれた健全な経営を実践して長期にわたり持続可能な発展を目指しています。
また、当社グループ全体で、より有効な内部統制体制を構築していくために、関係会社の内部統制システム整
備(対象31社、内部統制関連規程類の整備・周知徹底、運用状況チェック)を実施しています。各基本方針などの
精神を子会社などと共有化するとともに、グループ監査役室および関連する部門が協力して関係会社の内部統
制推進体制の有効性をモニタリングし、その改善に努めています。
企業倫理や法令遵守の重要性について、あらゆる機会に
1. 業務の有効性および効率性の向上
経営トップからメッセージを発信しているほか、企業倫理
や法令遵守に関する理解を深め実践に繋げるために、
「行
事業が拡大している太陽電池事業については、2010 年4
動指針(コンプライアンスブック)
」を全社員に配布し、社
月から、従来の経営執行会議とは別に同事業に特化した
内イントラネットに掲載しています。また、当社ならびに
「ソーラー戦略会議」を設置し、スリム化された組織と決裁
子会社社員向けにウェブラーニングや各種研修などを実
権限の明確化により、迅速かつ機動的な意思決定をさらに
施し、周知徹底をはかっています。2010年5月には、国内
進めています。
重要な事項の決定に際しては、各部門の専門的見地から
および海外の公務員に対する贈賄防止の行動基準である
「公務員贈賄防止規程」を制定し、周知・啓発のための集合
の意見を反映させるため「投資委員会」
「 発注委員会」など
研修やウェブラーニングを実施しました。
各種委員会を組織して諮問を行っています。
また、企業倫理上懸念のある事例や会社に向けた建設的
業務の執行においては、中期経営ビジョン、年度予算な
な提案を情報提供できる社員相談窓口
「Voice of People
どを策定して定期的に進捗状況を検証し、対策を講じてい
(VOP)」を設置し、経営に反映できる体制を整えています。
ます。
この窓口は当社社員のみならず当社子会社の社員にも利
また、2010年4月より、石油事業本部、ソーラー事業本部
用を拡大しており、2010 年末時点で43 社が利用可能と
およびグループファンクションズからなる新組織体制を
なっています。
スタートしました。当社と太陽電池事業を展開する子会社
反社会勢力に対しては、市民社会の秩序や安全に脅威を
ソーラーフロンティア(株)のコーポレート機能を統合し
与える存在として、組織的に対応する方針です。対応総括
て組織されたグループファンクションズにおいては、組織
部署を定め、警察などの外部専門機関とも連携する体制を
の効率を高め、質の高いサービスの提供と内部統制の強化
とっています。
を目指します。
3. リスク管理体制
2. コンプライアンス
当社の企業価値やビジネスに影響を与えるリスクのうち、
社は、企業活動を展開するにあたっての行動の一般的、普
HSSE(健康、安全、危機管理、環境保全)に関連するリスク
管理については P35をご覧ください。
HSSE に関連しないビジネスリスクについては、全社で
遍的な規範として「行動原則」
(Web参照)を定め、そのなか
毎年実施するビジネス・コントロール・マトリックス作成
で、法令遵守のみならず、高い企業倫理観をもって社会に
作業を通して、業務目標と関連させたリスクの洗い出し、
対する責任を果たすべき旨を明確にしています。
その影響度ならびにコントロール状況の確認を行い、対策
企業倫理・法令遵守は、当社が持続的に成長し続け企業価
値を高めていくための必要条件であると考えています。当
33
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
「経営理念」全文
Web www.showa-shell.co.jp/profile/mp/vision.html
「行動原則」全文
Web www.showa-shell.co.jp/profile/mp/action.html
る適切な整備・運用維持のため、変化する事業環境ならび
ど、全社的な観点からチェックする必要があると思われる
にエネルギーソリューション事業の拡大にともなうリス
リスクについては、その全般的な管理状況を把握するため
クに対応していきます。また、この取組みを単なる法対応
の項目を定め、各役員および各部門長が毎年その管理状況
と捉えるのではなく、業務の可視化、有効性、効率性の向上
を自己評価するとともに、結果については「内部統制推進
に繋げていきます。
トップコミットメント
会長
を講じています。また、法令遵守や社員の健康・安全管理な
東日本大震災における
グループの対応
委員会」に報告しています。
5. 情報管理
4. 財務報告の適正性の確保
情報の管理に関する規程を定め、各部門長が情報管理の責
じた管理を行うとともに、重要文書については法務統括部
スクのチェックとその予防のためのルールの整備を進め
が一元管理を行っています。また「情報開示(ディスクロー
ました。内部統制報告制度の適用が開始された2009 年度
ジャー)に関する基本方針」に基づき、社外に発信する情報
からは、専任組織を中心に適切な評価、改善およびモニタ
については、網羅性、適時性、適正性の徹底のために、情報
リングを行っています。
開示サブコミッティを設けて経営の一層の透明性向上を
2011 年度は、引続き財務報告に関わる内部統制に対す
はかっています。
トップコミットメント
社長
任者となり、秘密情報・社外秘情報などの管理レベルに応
の改正前より、主要業務フローの再確認作業や、潜在的リ
会社・事業概要
内部統制報告書の提出を義務付ける「金融商品取引法」
コーポレート・ガバナンス体制と内部統制体制
株主総会
﹁
選任・解任
報告
取締役会
取締役
[経営と監督]
代表取締役会長
選任・解任
報告
報告
﹂の展開
EPOCH 2010
選任・解任
監査役
会計監査人
報告
報告
内部統制
推進委員会
HSSE委員会
監督
監督
コンプライアンス
委員会
報告
監督
報告
報告
コンプライアンス
サブコミッティ
通報
報告
VOP
社内
窓口
経営執行
会議
ソーラー戦略
会議
代表取締役
社長
代表取締役
会長
業務執行
取締役/
執行役員
業務執行
取締役
VOP
社外
窓口
監査
内部監査委員会
報告
計画承認
内部監査部
報告
通報
通報
通報
報告
指示
指示
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
報告
連係
[業務執行]
ハラスメント
窓口
報告
監査
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
情報開示
サブコミッティ
報告
報告
連係
監査役会
2010年の実績と
今後の目標
報告
監査
監査
事業部門ならびに関係会社
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
34
企業価値を高め、経営理念を実現するための経営体制の整備
HSSEマネジメントシステム
∼シェルグループにおける世界基準のリスク管理システム
基本的な考え方
昭和シェル石油グループは、HSSE に関する行動規範を「行動原則」および「健康、安全、危機管理及び環境保全に
関する基本方針」として定め、マネジメント方針ならびに戦略目標として全社員に周知徹底をはかっています。ま
た、
「HSSEマネジメントシステム」を用いて当該リスクを包括的に管理しています。
HSSEマネジメントシステム(HSSE-MS)の概要
ロイヤル・ダッチ・シェルグループが開発した、HSSE
(「健
Do-Check-Action(PDCA)プロセスの実行を監視監督し、
「 安全(Safety)」
「 危機管理
(Security)」
「 環境保
康(Health)」
定期的に HSSE監査を実施するとともに、
HSSE委員会に
全(Environment)」)に関わるリスクを包括的に管理するマ
てマネジメントによるレビューを行い、継続的改善に取組
ネジメントシステムです。基本方針に基づいて、災害対策
んでいます。前年度のパフォーマンスを検証して当年度の
本部規則や事業継続計画書など関連規程類を整えるとと
「HSSE重点戦略」を立案。この新たな戦略のもと、各部門・
もに、事故・災害発生時の「緊急連絡系統図」の更新や訓練
事業所・関係会社がそれぞれの重点目標を立案し、個別の
を随時行っています。事故や災害が発生した場合は、根本
「HSSEアクションプラン」に落とし込んで PDCAプロセス
原因の調査を行い、それを踏まえた再発防止策を作成して
を展開し、継続的にパフォーマンスの向上を目指します。
全社に周知徹底しています。
HSSE重点戦略
(HSSE)部が全社の Plan HSSE-MS に基づいて環境安全
HSSE委員会(10月)
Plan(計画)
Act(改善)
HSSE
是正計画/
再発防止策
アクションプラン
各部門/全社(都度)
各部門(12月)
事故
Do(実施)
原因分析
災害源とその影響の管理プロセス
(HEMP※1)
リスク評価マトリックス
(RAM※2)
※1
(TRIPOD※3)
HSSE(自己)監査
HEMP:Hazard and Effects Management Process「災害源(ハザード)
とその影響の管理プロセス」
作業や設備などに関わる災害源(ハザード)を確認し、ハザードによる災
35
(定期的)
全労働災害発生率
事故の教訓を活かし再発防止策の水平展開を積極的に
実施した結果、2010 年度の発生率を抑制することがで
価を行い、リスクの高いものについては、HEMP作業シートを用いて分析
きました。
RAM:Risk Assessment Matrix「リスク評価マトリックス」
リスクを人・資産・環境・評判別に影響・発生確率で評価する管理表
※3
Check(点検)
害を想定。想定される災害についてのリスクを RAM を用いてリスクの評
し、改善分野が確認された場合は、是正措置計画を策定する手法。
※2
レビュー
フォローアップ
TRIPOD:シェルグループで採用している事故分析手法
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
グループ全体
2008
2009
2010
1.5
2.1
1.8
※100万労働時間あたりの発生率(%)
※昭和シェル石油グループ会社および協力会社も含みます
事業所レベル
会社レベルでは HSSE に関わる最高意思決定機関として、社長を委員長とした「HSSE 委員会」を設
置し、年次基本方針の承認、目標とパフォーマンスのレビューなどを年4回行っています。その下部組
織として4つの部会を設置しています。
事業所レベルでは HSSE に
関する会議体を設置し、各
事業所のリスクに沿った
運営体制を整えています。
取締役会
東日本大震災における
グループの対応
会社レベル
トップコミットメント
会長
HSSE会議体(HSSEマネジメントシステム推進体制)
監査役
安全衛生委員会
昭和シェル石油
グループHSSE会議
製品安全部会
委員長:現業所長
人事部長
(本社)
委 員:会社、組合員
事務局:HSSE 担当部署
セキュリティリエゾン
コミッティーミーティング
HSSE部会
HSSE会議
(SLCM)
部会長:担当執行役員
委 員:部室長
事務局:研究開発部
(各事業所)
議 長:環境安全部(HSSE)部長
副議長:総務部長
事務局:環境安全(HSSE)部
■昭和シェル石油グループHSSE会議
部会長:環境安全部(HSSE)部長
委 員:部室長
事務局:環境安全(HSSE)部
委員長:現業所長
委 員:管理職、従業員
事務局:HSSE 担当部署
■HSSE部会
進捗状況の監視およびパフォーマンスのレビューに関する事
当社の取扱う製品が、その取扱い・使用時および使用後におい
項などを審議する。
■安全衛生委員会
て、使用者の人体・財産および環境に対して悪影響を及ぼすこ
本社、各事業所において、労働災害の原因、再発防止対策など
とのないよう、その開発から廃棄に至るまでの製品に関する
の安全に関する事項、また社員の健康障害の防止、健康の保持
総合的な安全性の確保について審議する。
増進などの衛生関係に関する事項を審議する。
■HSSE会議(各事業所)
セキュリティー(危機管理)に関する方針、施策、提言などを審
各事業所において、HSSE全般に関する諸事項について審議
議する。
する。
2010年の実績と
今後の目標
■セキュリティーリエゾンコミッティーミーティング(SLCM)
﹂の展開
EPOCH 2010
HSSE に関する基本方針に則り、HSSE に関わる計画の策定、
を目的とし、
HSSE活動情報の共有化をはかる。
﹁
昭和シェル石油グループ各社の HSSEパフォーマンスの向上
■製品安全部会
トップコミットメント
社長
(出席者)
精製会社
関係部門(HSSE-MS 導入)
昭和シェル石油全部門
在日シェルグループ各社
(各事業所等)
会社・事業概要
HSSE委員会
委員長:社長
委 員:取締役および執行役員
事務局:環境安全(HSSE)部
■HSSE監査の実施
社 内 の 各 部 署 お よ び 関 係 会 社 に HSSE の 担 当 で あ る
自部門内で実施する自己監査のほか、環境安全部の監査
「フォーカルポイント」を選任することで、各職場に HSSE
チームが実施する HSSE監査があり、HSSEマネジメントシ
の取組みの浸透をはかっています。2010 年もフォーカ
ステムが効果的に運用されているか、実施状況の調査や施
ルポイントの全社セミナーを開催し、パフォーマンスの現
設の点検などを行ってます。
状や事故発生時の対処方法、グループワークなどを行い
■SQF(Safety&Quality First)の取組み(▶P37)
HSSE の啓発活動を行いました。
■事業所の役員訪問の実施(▶P38)
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
■フォーカルポイントの選任
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
HSSE の取組みを社内に浸透する活動
36
企業価値を高め、経営理念を実現するための経営体制の整備
HSSE の具体的な取組み
HSSE-MS
Health
健康に関する取組み
(▶P46)
「SQF
(Safety & Quality First)」
HSSE-MS
Safety
「安全確保」
「品質保全」の徹底をはかる活動を「SQF(Safety & Quality First)」と称し、昭和
シェル石油の系列特約店や協力会社を含めた全グループの活動として、2008 年より毎年継
続的に展開しています。
製造部門の取組み
各製油所では JISマーク表示制度の認証および ISO9001 品
質保証の認証を取得しており、高度な安全管理のシステム
を構築し、品質を保証しています。さらに、過去の国内外の
事故事例のラーニングを徹底して行うなど、シェルグルー
プの手法を用いてその発生可能性を評価し、それを受けて
現状の管理体制の見直し・改善を定期的に行っています。
また、自動分析機械などを用いた迅速かつ精度の高い試験
分析など、品質管理も徹底して行うほか、身近な安全から
考え、意識を高めるヒヤリハット活動も積極的に行ってい
ます。
東亜石油の取組み「すもーるちぇんじ運動」
東亜石油
(株)
では、シェルグループの安全活動
「Safety Day」
の取組みを受けて、
2009 年7 月より「すもーるちぇんじ運
動」
をスローガンに安全衛生委員会によるゼロ災キャンペー
ンを続けています。
これは、
正しい事は環境・安全・健康など
内容は問わず、どんな小さな事でもメモをしながら一人ひと
りが実践し、会社の HSSE活動充実へ繋げていこうというも
のです。安全活動に特効薬はなく、日々の小さな活動の積み
重ねが大きな成果につながるものと考えています。
東亜石油株式会社
環境安全部長 武者 浩さん
安全点検の様子
37
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
トップコミットメント
会長
輸送部門の取組み
■ローリー配送
ローリーに漏洩防止装置や誤配送防止のための GPS を装
船舶輸送においては、シェルグループによるレビューである
着しているほか、事故予防のために遵守すべき事項を「ド
SMBR(Shell Maritime Business Review)を定期的に受けて
ライビングスタンダード」としてまとめ、乗務員の教育訓
業務改善を行っています。
これは、
使用する船舶や荷揚げ・荷
練、車両の整備、運転時の遵守の徹底をはかっています。ま
積みする桟橋の健全性を点検する、シェルの船舶業務改善の
た、SQF のキャンペーンを通じて継続的に安全品質確認・
手法です。さらにシェル
基本作業の遵守徹底を
グループより業界のベ
はかった結果、ローリー
スト・プラクティスなど
輸送に関する事故件数
有用な情報を入手・導入
は52%減少しました。
東日本大震災における
グループの対応
■船舶輸送
会社・事業概要
することで業務改善を
行い、海上輸送の安全性
を強化しています。
2006 年より役員全員が分担して製油所や油槽所など各事業所
お客様にとって身近な
を訪問し、労働災害や施設事故を未然に防ぐ現場の活動につい
サービスステーション
「事
て、視察や現場スタッフとの対話を行っています。2010年は
(SS)では、安全・安心な
故の無い安全な組織作り」と「安全文化の現場への定着」をテーマ
るために、グループ一丸
となって安全、品質管理
の徹底をはかっています。2010 年も SQF の取組みのな
における品質確保」や
「カーケア作業における車両事故対
策」に重点を置いて、
「 荷卸し立会いアンケート」などの全
国企画を実施しました。
りました。
V O I C E
役員訪問を受けて
2010 年の役員訪問では、過去3 年間にわたり実施した「事故ゼロ
2010年の実績と
今後の目標
「燃料油販売
かで「SS重点6 項目」の周知徹底をはかるため、
﹂の展開
EPOCH 2010
れるサービスを提供す
に61ヶ所の職場を訪問し、事故ゼロへ向けた意識の共有をはか
﹁
製品をお届けし、信頼さ
トップコミットメント
社長
HSSE役員訪問
燃料販売部門の取組み
全社運動」についてご説明しました。
香藤会長には、全社運動の成果について評価いただくとともに、
その成果を一過性のものにすることなく安全・安定運転を継続す
ることが重要であるとのお言葉をいただきました。
昭和四日市石油株式会社
地下タンク在庫管理
●
ローリー荷卸し立会い
●
注文の復唱と清算時の確認
●
作業時の指差し呼称と声出し確認
●
車両移動時のハザード点灯
●
お客様との作業結果の相互確認
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
●
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
〈SS重点6項目〉
環境安全部長 古橋 正さん
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
38
企業価値を高め、経営理念を実現するための経営体制の整備
HSSE の具体的な取組み
危機管理体制の確立
HSSE-MS
Security
危機管理は、
防犯対策、
自然災害対策、
情報漏洩対策など、
多岐にわたっています。
昭和シェル石
※1
油グループでは、危機管理の体制について危機管理計画書
(CMP )
を制定するとともに、大き
な被害・影響が予想される首都圏直下型地震、新型インフルエンザ発生時の安定供給を目的と
して、
事業継続計画書
(BCP※2)
を策定しています。
新型インフルエンザ対策
火災に備えた実火訓練
新型インフルエンザが流行した2009 年4 月には本社対策
火災が発生した場合は迅速かつ的確な初期消火活動が重
本部を設置し、予防対策、健康状態の確認、出社制限など、
要となります。新潟防災訓練所においては製油所・事業所・
的確な指示を出して混乱なく事業継続を行いました。
基地・油槽所・SS・その他で勤務する従業員に、油火災時
実施後もレビューや訓練を継続実施し、対策の強化をは
の初期消火に関する基礎知識・技術習得を行うため、訓練
かっています。
所にあるモデル施設を使用した本格的な実火消火訓練を
行っています。1993年の開設以来17年間で、約3,800名
製油所の防災訓練
2010年度も引続き危機管理の一環として、大規模地震など
による災害を想定した総合防災訓練を協力会社や行政と連
の関係者が訓練を受けています。
危機管理総合訓練の実施
携して実施しています。
2010年5月に、首都圏直下型地震を想定した危機管理総合
また、昭和シェル石油本社と衛星電話を利用した情報伝
訓練を実施しました。
達訓練なども行い、訓練を繰り返し、改善を重ねることに
対策本部を近畿支店に設置したほか、けが人の搬送、役
よって製油所の安全確保に努めています。
員による衛星電話操作訓練、安否状況や事業所の被災状況
の確認など、実際に起こりうる事象を想定した実践的な訓
練を行いました。
東日本大震災後の危機管理体制の見直し・強化の実行
2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災を受け、当社は直ちに社長を対策本部長と
する災害対策本部を本社に設置し、従業員や当社関係者の安否確認を行うとともに、被
災地への石油製品の供給、水や食料、生活必需品などの支援物資を配送するなど、緊急
時対応を行いました。
今回の震災では本社機能、ITシステム、製油所などは幸い大きな被害は発生しません
でしたが、今後発生が予想されている首都圏直下型や東海、東南海、南海の地震に対し
て当社グループが対応出来るよう、危機管理計画書(CMP)、事業継続計画(BCP)の見
直し・強化を行っています。
※1 危機管理計画書(CMP: Crisis Management Plan):全社的危機の定義、災害対策本部の構成、災害対策本部の設置時期と方法などの危機管理体制について
記述した文章のこと。全社的危機が発生した場合に、危機対応に関わる個々人がそれぞれの役割ならびに責任と危機レベルに応じて、どのような対応を取
るべきかを理解し、日頃からその準備を行うことを目的として作成されている。
損害を最小限にとどめつつ中核となる事業の継続・早期復旧
※2 事業継続計画書(BCP: Business Continuity Plan):自然災害などの緊急事態に遭遇した際に、
を可能とするために、緊急時における事業継続のための方法・手段などを取決めておく計画のこと。
39
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
東亜石油の防災訓練
新潟防災訓練所での実火訓練
トップコミットメント
会長
環境保全の推進
HSSE-MS
Environment
水質汚染の防止
硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物
(NOx)は、製油所の加熱
製油所で使用された水については、化学的酸素要求量
炉やボイラーで使用される燃料油や燃料ガスから発生し
(COD※ )や油分などの環境規制値をクリアするよう厳格
ます。汚染物質SOx については、低硫黄燃料油やガス洗浄
に管理しています。冷却水については、油分などの汚染が
装置で硫黄分を除去したクリーンな燃料ガスを使用する
ないことを確認後、海へ放出します。排水については、油水
ことにより排出を規制値以下に厳格に管理しています。ま
分離槽、凝縮剤による化学処理、活性汚泥処理などの装置
た、NOx については、低NOxバーナーの導入による燃焼方
により浄化を行うことで水質を管理しています。
※COD
(Chemical Oxygen Demand)
:水質の汚れ度合を示す指標。COD
の数値が大きいと水質が汚れていることを意味する。
産業廃棄物の削減
土壌汚染対策
石油精製プロセスでは、汚泥や廃触媒などの産業廃棄物が
2009年までに、自社サイト約1千数百か所の土壌汚染調査
発生します。これらの適正な処理および再資源化のため、
を実施し対策を行うとともに、施設の閉鎖や更新時には継
全社的な管理体制を構築しています。
続的に土壌汚染調査を実施しています。
2010 年のグループ製油所における最終処分量は発生
また、2010 年の土壌汚染対策法、2011 年の水質汚濁防
量の0.7%の112トンとなり、産業廃棄物のさらなる再資
止法の改定を受け、当社グループの「土壌地下水汚染対策
源化の取組みを推進した結果、2008 年に達成したゼロエ
ガイドライン」の見直しを続けています。
﹁
ています。
トップコミットメント
社長
式の改善や排煙脱硝装置の設置により、大気汚染を防止し
会社・事業概要
大気汚染の防止
東日本大震災における
グループの対応
グループ製油所では環境に配慮したプロセスで製品の精製を行うとともに、自社サイトの
サービスステーションにおいて土壌汚染調査を行うなど、環境保全やエネルギー・資源の有効
活用のために様々な取組みを実施しています。
﹂の展開
EPOCH 2010
2010年の実績と
今後の目標
ミッション(最終処分率1%以下)を維持しています。
2010 年には自治体と共同して油含有土壌地の有効活用
を行ったほか、水質汚濁防止法や土壌汚染対策法の運用の
グループ製油所の産業廃棄物発生量および最終処分量
(トン/年)
2,500
見直しの委員会などに参画し、当社の土壌汚染対応で得た
(%)
最終処分率
■ 最終処分量
10.0
知識や経験をフィードバックしています。
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
業界製油所の産業廃棄物
目標:ゼロエミッション
(最終処分率1%以下)
2,000
1,500
5.0
1,000
0.7%
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
500
0.0
112
0
03
04
05
06
07
08
09
10
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
40
企業価値を高め、経営理念を実現するための経営体制の整備
HSSE の具体的な取組み
環境保全の推進∼CO2排出量削減への取組み
HSSE-MS 昭和シェル石油グループでは、調達から販売までの CO 排出量を算出し、排出量削減に向けて各部
2
Environment 門ごとに効率化の施策や各種取組みを実施しています。2010 年の総排出量は6,744 千トンとな
りました。
昭和シェル石油グループの環境負荷全体図(2010年実績)
1,988 千 KL
33,434 千 KL
118 百万 KL
燃料(原油換算)
用水
海水
256 千 KL
燃料(原油換算)
IN
IN
原油調達・輸送
製造プラント
(製油所)
OUT
OUT
CO2 排出量
CO2 排出量
708 千 t
SOx
NOx
5,673 千 t
3,033 t
2,584 t
原油調達部門の取組み
製造部門の取組み
当社の大型原油運搬船(VLCC)は、座礁や衝突などで万一
船体が破れても、原油が流出しにくく安全性が高い二重船
2010 年に当社グループの京浜製油所扇町工場の操業を
2011年9月までに停止し、その後閉鎖をする決定を行いま
殻構造を全船に採用するほか、船体塗料は有害物質である
した。精製設備を集約することで、今後さらなる高効率化
有機スズを含まないものへ切替えを行っています。また、
と省エネルギーを推進していきます。また、石油連盟にお
原油荷揚後タンカーに積込む海水(バラスト水)は、積地到
いて2020 年度までに累計で原油換算53 万KL の省エネ対
着前に外洋で張替を行い、環境や人の健康を害する微生物
策を行う事を低炭素社会実行計画として掲げていますが、
などの移動を防いでいます。海峡の通過や入港の際に減速
当社グループの製油所においても省エネ対策などを積極
航行を行うなど、消費燃料の削減および CO2 排出の削減
的に推進し、CO2排出の削減に努めています。
にも積極的に取組んでいます。
エネルギー使用効率指標については、今後の設備投資や
需要の変化などを考慮し「エネルギー消費原単位※」を採用
しています。石油連盟は2008 年∼2012 年に1990 年比平
均13%の低減を目標としていますが、そのなかで当社は
2010 年のエネルギー消費原単位7.96(1990 年比16%低
減)となり、引続き目標を達成しています。
41
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
※エネルギー消費原単位:エネルギー消費量(原油換算 KL )/装置通油換算量(千 KL )
物流・販売部門の取組み
ローリーのドライバーが単独で荷降ろし可能なシステムを
化 や 燃 費 向 上 を 通 し て CO 2の 削 減 に 取 組 ん で い ま す。
2001年に導入し、昼間の混雑を避けた配送が可能となった
います。2010年には2009年に引続き燃費改善キャンペー
2010 年はさらなる効率的な海上輸送をはかることを目
的に流通部門、基地、船舶会社の 3 社一体となった「タン
カー積載率向上キャンペーン」を 2009 年に引続き実施
ンを行い、
運送会社と一体となった取組を行いました。
しました。
ほか、
ローリーの大型化を行うことで輸送効率を向上させて
32 千 KL
686 千 KL
燃料(原油換算)
用水
東日本大震災における
グループの対応
海上輸送においても内航船の大型化を進め、配送効率
トップコミットメント
会長
陸上輸送においては、
夜間閉店中のサービスステーションで
137 千 KL
燃料(原油換算)
会社・事業概要
IN
IN
トップコミットメント
社長
その他の製造プラント
アスファルト、潤滑油、LPG、化成品など
物流・販売
油槽所、陸上・海上輸、SS(約 3,948 ヵ所)
OUT
SOx
NOx
CO2 排出量
225 t
74 t
エネルギー消費原単位(当社グループ)
エネルギー消費原単位(業界全体)
12.00
CO2 排出量(千トン/年)
10.19
12,000
9.45
石油連盟目標値
業界製油所の2008∼2012年度の
平均値を1990年比で13%削減 目標値:
8.87
10,000
6,000
4,000
2,000
年も引続き実施しました。具体的にはオフィスの室内温度
10.00
の管理を徹底したほか、昼休みの消灯、クールビズを行い省
7.96 8.00
5,673
3,965
0
90
03
04
05
06
07
08
09
2006年から実施している「ECO TRY21」の取組みを2010
エネルギーに努めました。また両面印刷やペーパーレス会
7.00
議による紙の削減、
eco CAP、古切手の回収などを実施し、
6.00
資源の有効活用およびゴミの削減を行いました。東日本大
5.00
震災後はオフィスの蛍光灯の半分を取外すなど、活動を強
4.00
化しています。
10
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
8.61
オフィスおける取組み
11.00
9.00
8,000
299 千 t
2010年の実績と
今後の目標
グループ製油所の CO2など排出量とエネルギー消費原単位
14,000
お客様(消費)
64 千 t
﹂の展開
EPOCH 2010
CO2 排出量
16,000
﹁
OUT
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
グリーン購入ガイドラインの作成
太陽電池工場の取組み
環境に配慮した商品に対し優先的に購買を行う「グリーン
宮崎第2工場、国富工場(宮崎第3工場)において、工場屋根、
購買」についてご理解ご協力をいただけるよう、取引先に
敷地内などに大規模太陽電池発電所(メガソーラー)を設
対して提示する購買ガイドラインに「グリーン購入ガイド
置・自家発電を行い CO2の削減に取組んでいます。
ライン」を織り込んでいます。
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
42
人材育成と働きやすい職場の実現
活力にあふれた働きやすい職場の実現
∼一人ひとりが能力を発揮できる職場環境の構築に向けて
基本的な考え方
昭和シェル石油は、従業員が高いモチベーションを維持し、確固たる成果に結び付けるために、個々の能力を最大
限発揮できるような人事制度、社員一人ひとりが自らのキャリアを考え、チャレンジを通じた成長をサポートし
ていくための教育制度などを設けています。また、様々なライフステージや働き方に対応した両立支援制度を整
備し、生き生きと働きがいを持って働くことのできる、働きやすい職場づくりを推進します。
人材育成を支える仕組み
人事制度
人材力の強化・リーダーシップの醸成は、企業の永続的発
展には欠かせない経営の最重要課題の一つとして認識し
人事ビジョン
ています。当社グループでは「人事ビジョン」を掲げて一貫
「企業の永続的発展を可能にする組織風土を醸
した取組みを行うとともに、
「人事ビジョン」をベースとし
成し、全社員が高いモチベーションを維持し続
た人材マネジメントの考え方のもと、成果・能力を考慮し
ける仕組みを構築する。」
た報酬体系、会社が考えるキャリア・ディベロップメント
プランと個人のキャリアプランを考慮した配置・異動など
を「トータル人事システム」として運用しています。年齢・
員のモチベーション向上および業務効率が高い組織の構
性別によらない、能力や実績に応える人事制度により、社
築を推進します。
トータル人事システム
・業績評価(MBO※・個人業績)
・チーム業績表彰(チーム業績)
報酬
成果主義
採用
配置・異動
評価
格付
昇進
退職
能力主義
育成
・資質評価(ポテンシャル・マインド)
・行動評価(コンピテンシー)
・将来性評価(成長の可能性)
※ 当社では MBO
(目標管理制度)を採用しています。これは部署および個人ごとに達成すべき目標を定め、その実現のために必要な能力・行
動についての話合いやレビューを行い、1年のサイクルで達成度を確認します。評価については「多面評価」を採用し、複数の評価者から個々
の成果や行動が公正に評価される仕組みになっています。
43
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
トップコミットメント
会長
教育体系
修・選抜研修・外部派遣研修・教育支援等の機会を組み合わ
と、社員の成
う認識のもと、仕事における機会の提供
(OJT)
せ、
必要なマインドの設定、
能力開発の推進をはかります。
、自己啓発支援の組
長欲求を原動力とした集合研修
(OffJT)
環境変化の進む時代において、会社が果たすべき役割は
み合わせにより、求められる社員像の実現をはかります。
ま
社員一人ひとりが最大限能力を発揮し、チャレンジを通じ
た、
これらを支える教育制度として、
「行動特性・思考特性の
た成長が可能な「場」の提供であると考えており、社員に対
開発」
「プロフェッショナル人材の育成」
「グローバル環境へ
しさらなる成長を期待する「投資」として各教育機会を提
のアダプタビリティの向上」
の各開発領域において、集合研
供していきます。
東日本大震災における
グループの対応
人材育成においては、
「社員は仕事を通じて成長する」とい
教育体系図
行動特性・思考特性の開発
プロフェッショナル人材の育成
部長層
その他
自己啓発支援
トップコミットメント
社長
﹂の展開
﹁ EPOCH 2010
ベーシックセミナー
通信教育・通校制英会話教室
2年目研修
テスト
TOEIC
海外留学生制度
3年目研修
階層別・全社公開
リーダーシップ研修
リーダーシップベーシック研修
入社1∼3年
社員
試験
選抜型海外派遣研修
部門主催研修
マネジメントベーシック研修
シェルグループ海外研修
アドバンスセミナー
社外講習・資格取得支援
選抜型国内派遣研修
新任管理職MBO研修
新任管理職研修
中堅社員
海外研修
部室長研修
管理職研修
課長層
グローバル環境へのアダプタビリティの向上
各部門主催研修
会社・事業概要
人事主催研修
1年目研修
2010年の実績と
今後の目標
新入社員研修
内定者教育
(ベーシックスキル:
「英語」、
「会計」、
「パソコンスキル」)
入社前
異動・配置(ジョブ・ローテーション、
部門横断プロジェクトのリーダー経験、関係会社のマネジメント経験、海外勤務など)
■BB /BS制度:新入社員に対し入社後1年間、身近な先輩社員
が社会人としての基礎教育や指導を行うほか、相談役となる
「ビックブラザー((BB)・ビックシスター(BS)制度」を設けてい
ます。
32歳まで)の若手社員に対し、海外留学制度を設けています。毎
年選抜された社員が、約1∼2 年の期間で希望する海外の大学
へ進学し、グローバルマインドの醸成や専門知識の習得を目指
します。
V O I C E
留学経験者からの声
海外留学制度を利用し、2 年間米国大学
院に留学し MBA を取得しました。留学の
経験を通じ、幅広い知識だけでなく、多様
な人・文化の中で、ダイバーシティの考え
方とバランス感覚を養うことができまし
た。
この貴重な経験を、変化に富む当社で
活かしていきたいと考えています。
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
■海外留学制度:入社後30歳まで
(修士、
博士の対象年齢は31、
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
若手社員の育成制度
首都圏支店潤滑油販売課
光井 香織
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
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活力にあふれた働きやすい職場の実現
働きやすい職場の実現
公平・公正かつ人物本位の採用の実施
多様な発想や価値観に触れる機会を持ち、各個人の性別、
発推進員の選任、(社)日本経済団体連合会が出す「大学・
年齢、思考やワークスタイルなど、目に見えるものから見え
大学院新規学卒者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」
ないものまで、多様な価値観を尊重し、認め合うことのでき
の遵守を行っています。
る働きやすい職場を実現するため、2004 年に「ダイバー
雇用の状況
シティーとインクルーシブネスの取組みの基本方針」を策定
しました。この基本方針のもと、社内・グループ内において
理解促進・考えの浸透をはかるほか、基本的人権の尊重お
よび企業の社会的責任を重視した、公正・公平な採用選考
を実施し、人物本位の採用を行っています。
具体的な取組みとしては、新卒学生の通年採用の実施や、
キャリア採用、障がい者採用の実施、公正採用選考人権啓
合計または平均
930名
44.5歳
21.1年
39名
社員数
平均年齢
平均勤続年数
新卒採用(2010年採用実績)
中途採用(2010年採用実績)
過去5年新卒入社女性比率
4名
50.0%(06年∼10年)
※単体就業人員数ベース ※2010年12月末現在
「人材ポートフォリオ」に基づく人材マネジメントの実施
昭和シェル石油では、職種・専門分野・技能水準・雇用形態
マネジメントを行い、組織の目標を達成するために最適な
などから、企業が業務を遂行するために必要な人材構成を
ポートフォリオを実現し、かつ各個人が最大限の能力を発
明確にする「人材ポートフォリオ」の考え方に基づき人材
揮する環境の整備に務めています。
人材ポートフォリオの考え方
マネジメント
派遣社員
エキスパート
ライン
管理職
嘱託社員
︵特別職・ 歳超の再雇用社員を含む︶
60
正社員
●ライン管理職
チームとしての成果と部下の育成を追求し、周囲への働きかけによってチー
ムを活性化させる人材
●エキスパート
特定の職務における豊かな経験と社内外に通用する高い専門性を持ち、それ
らに裏付けられた成果を出すことによって、業績の向上に貢献する人材
●嘱託社員
●管理職の進路選択支援プログラム適用者
関係会社の管理職または役員として出向し、関係会社を通じて当社グループ全体の業
績向上に貢献する人材
特別職
●
特定の分野における第一人者に相当するレベルの専門性を有し、一定の期間、一定の職
務やプロジェクトにおいて、それらの発揮による高い成果を出すことによって業績の
向上に貢献する人材
一般社員
60歳以降の再雇用社員
●
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Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
トップコミットメント
会長
仕事と家庭の両立を目指す社員の支援
社員の仕事と家庭の両立支援をおこなうため、様々な両立
きます
(2010 年には再度厚生労働省より子育て支援企業と
支援制度を整備しています。 2010 年は初めて、男性社員
認定され、
「次世代認定マーク
(くるみん)
」
を取得しました)
。
の時短勤務制度と在宅勤務制度の取得があり、状況に応じ
主な制度利用者数
我々が目指すところの働きやすさと働きがいを向上させる
制度名
ため、仕事と家庭の両立を目指す社員のニーズを的確に把
育児休職制度
握し、制度、風土の両面から職場環境の整備に取り組んでい
介護休職制度
短時間勤務制度
自己啓発休職制度
在宅勤務制度
主な両立支援制度
介護休職制度
短時間勤務制度
在宅勤務制度
2名
2名(内男性1名)
4名
1名
0名
5名
4名(内男性1名)
0名
6名(内男性1名)
全ての社員
毎年、勤続年数に応じて、有給休暇が付与されます。
(年間最大21日)半日単位で取得できます。
付与された有給休暇が未消化の場合、次年度に繰り越すことができます。
(年間最大31日)
1日の勤務時間を自分で決められるので、フレキシブルな働き方ができます。
能力開発のために、最長2年の休職ができます。
ボランティア活動のために、最長2年の休職ができます。
ボランティア活動のために、年次有給休暇とは別に、年間3日の特別有給休暇を取得できます。
社員が裁判員などに選任された場合は、年次有給休暇とは別に、特別有給休暇を必要な日数付与します。
出産・育児を行う社員
社員本人が出産する場合は、出産予定日の6週間(多胎の場合14週間)前から、出産後8週間まで
特別休暇を取得できます。
社員の配偶者が出産した時には、年次有給休暇とは別に、2日の特別有給休暇を取得できます。
男女を問わず、最長で子どもが満2歳になるまで休職できます。
(子どもが小学校就学前まで)
1日最大2時間まで勤務時間を短縮できます。
週1日、自宅で勤務できます。
(子どもが小学校3年生まで)
子どもの看護のために、年次有給休暇とは別に、年間最大10日の特別有給休暇が取得できます。
(子どもが小学校就学前まで)1日、半日、1時間単位で取得できます。
介護を行う社員
同一対象家族一人につき、最長1年間休職できます。
(分割して取得できます)
家族の介護のために、年次有給休暇とは別に、年間最大10日の特別有給休暇が取得できます。
1日、半日、1時間単位で取得できます。
(最長3年間)
1日最大2時間まで勤務時間を短縮できます。
週1日、自宅で勤務できます。
(介護が必要な期間中)
V O I C E
シェルグループで実施している社員意識調査を実施し、
第一子が産まれたことをきっかけに、昨年9
∼10月に育児休職を利用しました。育児や家
事などを夫婦で分担することで妻の負担を
軽減できたことに加え、育児を通じていかに
時間が貴重なものであるかを実感し、復職後
の仕事の進め方にもプラスの影響が出てい
ます。育児休職制度を利用したことは、家族
だけではなく、私自身にとっても有意義な経
験でした。
人事統括部勤労課
第7回目となる今回は、過去最高の94.6%の回答率を得
ました。この結果を元に、各部門固有の問題について部
ました。
また、希望のあった26か所の各事業所、関係会
社に対し、医療スタッフがメンタルヘルス研修を行った
ほか、個別面談を実施するなど、心の健康やストレスに
ついて積極的な啓発活動やケアを行いました。
育児休職利用者の声
人材力の育成・強化と
働きやすい職場の実現
門長のリーダーシップのもと、労使による話合いを行い
コーポレート・ガバナンス
と内部統制
働きやすい職場作りと
社員の健康・メンタルヘルスに関する取組み
2010年の実績と
今後の目標
介護休暇制度
8名(内男性1名)
1名
﹂の展開
EPOCH 2010
子の看護休暇
8名(内男性1名)
0名
﹁
配偶者の出産時の特別休暇
育児休職制度
短時間勤務制度
在宅勤務制度
2010年
7名(内男性2名)
3名(内男性2名)
トップコミットメント
社長
産前産後の休暇
利用者数
2009年
会社・事業概要
年次有給休暇
年次有給休暇の繰越
フレックスタイム制度
自己啓発支援休職制度
ボランティア休職制度
ボランティア休暇制度
裁判員休暇
2008年
東日本大震災における
グループの対応
た制度の有効活用が進んでいると考えています。今後も、
広田 輝之
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
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第三者意見
昭和シェル石油では、環境問題に関する講演、執筆、翻訳など、環境を軸に様々な活動を展開されている枝廣淳子氏から、
「サ
2007年より第三者意見をいただいています。昨年いただいたご意見については、できる限り本レポートに反映しました。
ステイナビリティ・レポート2011」についても、引続きご意見を頂戴し、今後のサステイナビリティを目指した活動および次
年度のレポートに活かしていきます。
昭和シェル石油サステイナビリティ・レポート2011を読んで
今回も、エネルギーをめぐる内外情勢の大きな変化を見据
えながら、しっかり取組む姿勢が伝わる、読みやすい報告
書になっています。継続して見せていただいているので、
報告の着実な進化を感じます。3.11 後、これまでエネル
ギーに関心のなかった人々の意識も高まっていますが、本
枝廣 淳子氏
レポートはエネルギーをめぐる動向やその供給の仕組み
環境ジャーナリスト、翻訳家
(有)イーズ代表
(有)チェンジ・エージェント会長
NGO ジャパン・フォー
・サステナビリティ
( JFS)代表
などのわかりやすい解説ともなっています。
東日本大震災に対して、これまでに築いた体制やプロセ
スを活用した最大限の対応が伝わってきます。同時に、今
回足りなかったところやさらに改善できる部分を見いだ
たとえば、原油調達からお客様までの各プロセスでの
し、今後につなげていこうという姿勢は共感を呼びます。
CO2 削減の取組みや成果はわかりやすく示されています
大震災後、短期的な経済効率だけではなく、非常時にも
が、各プロセスの次の課題と取組みは何でしょうか? 現
しなやかに立ち直る力(レジリアンス)が求められるよう
状認識と次の一歩の共有が読み手や生活者の共感を呼び
になっていますが、電力や水、石油などを供給できる災害
ます。
対応型SS などは社会のニーズにも合った展開です。
エネルギーと温暖化対策のほかに、生物多様性や地域経
太陽光発電については、
SS への設置や販売からアフター
済、雇用などの社会面についても取組みを進め、報告して
ケアまでしっかり対応するための資格制度、PV のリサイク
ください。重要課題の選定にステークホルダーを巻き込む
ルなど、長期的な視点で事業展開をしていることがわかり
ことも考えて下さい。
ます。輸送用燃料への取組みの一環として、カーシェアリ
環境フォトコンテストが継続されていることはすばら
ング事業の展開にも期待しています。
しいです。さらに一歩踏み出して、生活者や NGO などと
環境経営とレポートのさらなる改善に向けて、いくつか
のコミュニケーションを進めていきましょう。事業が B to
述べます。
B から B to C へも展開している今、社会との共創力を高め
さまざまな社内の制度や体制・取組みについてはわかり
ることは本業にも必ず役立ちます。
ますが、実際にどのように利用・運用されているのか、今ど
日本のエネルギーの短期・中長期的な脆弱性への取組み
のような課題があるのかという、現状の把握と次への課題
をさらに進め、生活者とともに安心・安全な社会を作って
の部分を充実させてください。
いくことを強く期待しています。
第三者意見をいただいて 昨年に引き続き、枝廣様より本報告書についてのご評価とご提言を頂戴しました。誠にありが
昭和シェル石油株式会社
代表取締役社長
新井 純
47
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
とうございました。
今回のサステイナビリティ・レポートでは、エネルギー情勢などを分かりやすくお伝えする
情報提供のツールとしての役割をもたせるべく制作を行うとともに、各取組みについては、当
社事業内容に沿ってお伝えできるよう冊子構成を変更いたしました。また、エネルギーを安定
供給する使命を持つ当社においては、
3 月11 日に発生した震災後の対応状況についても、ス
テークホルダーの皆さまに対する重要な報告事項であるとの認識のもと、レポート内に紙面を
設けました。今後は頂いたご提言の内容を受け、取組みごとの課題の把握、制度の運用状況につ
いて冊子内容を充実させるとともに、生物多様性など社会面の取組みについても皆さまへ報告
を行って行きたいと思います。
これからも、私たち昭和シェル石油グループは安心・安全な社会を築いていく良き企業市民
として、社会の要請に真摯に耳を傾け、サステイナブルな経営を行っていくことで責任を果た
していきたいと思います。ステークホルダーの皆様には今後とも倍旧のご支援を賜りますよう
よろしくお願い申し上げます。
2010 年の主な社会貢献活動
シェル美術賞
環境フォト・コンテスト「わたしのまちの○と×」
多くの若手作家の才能を発掘することを目的に、1956 年
の創設より半世紀以上にわたり完全な公募制にて実施し、
2010 年は第6 回目の開催を迎え、約
6,628 点のご応募をいただきました。
今日では美術界より「画壇の登竜門」との評価をいただく
視覚を通して環境問題を身近な問題と
ほどの賞となりました。2010年は「時代を照らす、限りな
して捉えていただくきっかけになれば
き創造へ」というメッセージのもと作品を募集し、
950 名
という期待を込めて、全国各地で入賞
の作家の方々から1,410 点におよぶ作品のご応募をいた
作品を開催し、多くの方々の目に触れ
だきました。
ていただく機会を積極的に設けています。
2011
R.I.ジャパン(国連難民奉仕会)への支援
国際難民奉仕会
(RIJ)に対し、シェルケミカルズジャパ
ン(株)と共同で1979 年の設立以来、無償で
オフィスを提供しています。また、グリー
ティング・カードやクラフトの販売、
募金キャンペーンなどを通して資
金を集めるほか、緊急時の食料・医
療援助、難民が自活の道を切り開
くための教育支援などの活動を
2010年 グランプリ受賞作品
「ハジマリノザワザワ」
小野 さおり
油彩・キャンバス
行っています。
h t t p : / / w w w. s h o w a - s h e l l . c o . j p / s o c i e t y / p h i l a n t h r o p y /
富士山の森づくり
「サステイナビリティ学連携研究機構」との協働
∼エネルギー持続性フォーラム∼
▶P14
エネルギー教室の開催
当社は、シェルグループの「バイオダイバーシ
ティスタンダード」に沿い、
2006 年に生物多様性保護に関す
る「バイオダイバーシティ基本方針」を策定しています。この
活動の一環として、
2007 年から NGO が主催する「富士山の
森づくり」プロジェクトに参画し、病害虫や鹿の食害などに
次世代を担う子どもたちの育成を目的とし、小学生向けの
遭った富士山の森林の再生を目指しています。2009 年以降
体験型教育「夏休みエネルギー教室」や、中学生高校生への
4年間は、下草刈りなどの育成管理を支援しています。
環境教育支援を実施しています。石油エネルギーの重要性
をはじめ、地球温暖化問題への取組み、新エネルギー開発な
どエネルギーを取
り巻く様々な話題
を、多くの子ども
たちに紹介してい
ます。
Showa Shell Sekiyu Sustainability Report 2011
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昭和シェル石油株式会社
〒135-8074 東京都港区台場 2 丁目 3 番 2 号(台場フロンティアビル)
TEL:(03)5531-5793
http://www.showa-shell.co.jp/
Printed in Japan
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