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③ 政府の仕事と生活の調和(ワーク・ラ イフ・バランス)憲章・行動指針
4. 具体的な政策課題と対応 ③ 政府の仕事と生活の調和(ワーク・ラ イフ・バランス)憲章・行動指針では、 テレワーク(在宅勤務)が有効に活用さ れれば、育児・介護を含む生活と仕事の 距離が接近するなど、時間的余裕が創出 可能とし、テレワークをワーク・ライフ・ バランス実現のための重要な取り組みと して位置づけている。しかしながら、過 重なノルマや成果の追求による長時間労 働を助長させないガイドラインなどによ ① 手戻り作業の発生や頻繁な仕様変更 る指導強化が必要である。 に伴う厳しい納期への対応、運用開始 後における待機などに伴う長時間労働 ④ 情報サービス業界で働く者のワーク・ の是正を図るため、一日における労働 ライフ・バランス実現のためには、 発 時間の制限や勤務間における休息時間 注側であるユーザーとの間に、生産物 の法制化などの実現をめざす。 の規模に応じた納期や品質などに関す ( E U の 労 働 時 間 指 令 で は、24 時 間 に つ き 最 る共通認識が必要である。JISAお 低連続 11 時間の休息時間が規定されている) よびJUASをはじめとする関係団体 への働きかけにより、受発注に関する ② 情報サービス業界における裁量労働 業界ガイドライン(納期・コスト・品 制などの導入は他産業と比較して極め 質等についての目安)の策定を求める。 て高い状況にあるが、これは納期や運 用開始直前での緊急的な対応などの長 時間労働を合法化する意味での導入が 進められた結果ともいえる。 ① 高度なICT人材の育成に向け、業 したがって今後も、労働時間管理の 界横断的な共通評価基準の策定推進 除外を目的とした制度などの導入には ( 注 1)に よ る 客 観 的 な 人 材 評 価 ス キ ー 極めて慎重に対応することとし、現行 ムの確立とともに、業界内の個別企業 の 制 度 に つ い て も 生 産 性 や ワ ーク・ラ における評価・処遇との整合の下、共 イフ・バ ラ ン ス の 観 点 か ら 導 入 効 果 な 通の評価基準に基づいた処遇体系の確 どの検証を行うことが必要である。 立を図る。 また、この共通評価基準による技術 10 4. 具体的な政策課題と対応 者の客観的評価に基づき、企業間・企 業界への浸透を促進するためのガイド 業規模間における労働条件の格差是正 ラインの策定と推進を求める。 をめざすこととし、 スキームの確立・ 運用にあたっては、実効性を担保する ③ 元請け・下請けの関係は、単に中間 ため、①スキルの評価手段、②対象と マージンを得ることを目的とする関係 すべき人材の範囲、③成果・業績型評 となることなどを防ぐために、人材の 価とのバランス̶̶などについての明 共通評価基準に基づいた適正な契約行 確化を求める。 為に基づく価格設定の仕組みを確立す 注1:経済産業省・産業構造審議会において提言さ れている 「共通キャリア・スキルフレームワー ク」 など る。 そのため、PBC手法(Performance Based Contracting:パフォーマンスベ ② 共通評価基準の活用によって、契約 ースの価格設定、契約)などによる生 内容の詳細化かつ明確化を通じて、従 産物の適正な評価および共通の基準に 来の人月工数による契約からの脱却を 基づく技術者の適正なスキル評価など めざす。 の確立を推進し、人月によらない新た な価格設定基準の確立を求める。 ④ ソフトウエアなどの無形知的財産に ① 産 業 活 性 化 に 向 け て は、 多 重 下 請 関 す る 評 価 ス キ ー ム の 確 立 を 基 本 に、 け構造の下、階層の固定化が生じない 開発されたシステムなどに関する業界 よう、企業規模にかかわらず、技術力 団体などによる客観的な評価が行える や提案力、実績などに基づく一次受注 仕組みを確立し、重層構造下における 機会への公平な参画を保証する仕組み 固定化の脱却、イノベーションの発揮 (市 場 ア ク セ ス の オ ー プ ン 化) の 構 築 が促される業界の実現をめざす。 をめざす。 ⑤ 現 行 の 下 請 法、 独 禁 法 な ど に 加 え、 ② 従来の契約時における一括受発注を 中小企業全体の活性化をめざした法整 見直し、開発フェーズごとにおける多 備を図るなど、中小企業に対する包括 段階契約(フェージング契約)を積極 的な法整備の推進を求め、あわせて公 的に導入することで、各フェーズにお 正取引実現に向けた業界特有の課題の いて強みを持つそれぞれの企業の活躍 解決を図る。 を実現し、産業活性化を図る。加えて、 11 4. 具体的な政策課題と対応 ① 国 内 に お け る 課 題 の 解 決 を 通 じ た 情報サービス業界の魅力度向上を基本 に、 多 く の 人 材 が 集 う 業 界 を 実 現 し、 高度ICT人材の育成、企業力の向上 を図り、国際市場で通用する新たな商 品・サービスの創出など、国際競争力 の向上を実現する。 ② 諸外国との生産性の比較を行う場合 には、産業分類などについて十分な精 査を行った上で正確な評価を行うこと を求める。 業界横断的な仕組みの構築やガイド ラインの整備などを推進し、業界全体 の課題に対応していくためには、業界・ ユーザー・行政・産業別労働組合が一 体となって取り組むとともに、内外へ の正確な情報発信・アピールを図る。 12