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(回答:観光庁)(平成22年10月)
● ● ● お答えします ● ● ● 国政モニターの声に対する回答 ◆海外旅行者の事故補償 そもそもパック旅行とは、旅行会社自身が企画 した旅行に関する部品(交通機関、宿泊施設など) 最近、海外旅行者の事故が相次いでいる。7月 の提供をパッケージした商品と考えられる。従っ 23日にスイスのアルプス地方で、観光列車「氷河 て、旅行業者自身が売った商品の引き渡しに不備 特急」が脱線し、日本人乗客1人が死亡するとい があれば、消費者(旅行者)に対し賠償責任を追 う事故が発生した。 ツアーを企画した旅行会社は、 うべきと考えます。 全日空系のANAセールス、JTB、阪急交通社 外国の会社に個人が損害賠償を請求するという であり、合わせて80人ほどの乗客がおり、重傷者 ことは、並大抵のことではありません。それに対 も多数いると思われる。 し、現地に営業所などがある旅行会社は、被害者 また、8月9日にアメリカのユタ州の高速道路 に比べ交渉がしやすいと思います。 で小型バスが横転し、日本人3人が死亡し、他6 弱い立場の消費者を保護するために、観光庁は 人が重体という事故が発生した。ツアーは日本旅 被害者に代わって、大手旅行会社が現地会社との 行、近畿日本ツーリスト、HISの3社が企画し 補償交渉を行うよう指導を望みます。 (東京都 無職 男 66歳) た。偶然にも短期間に、日本を代表する大手旅行 会社が揃って事故を起こしたことになる。今後、 被害者の賠償交渉が難航する可能性がある。 回答:観光庁 パッケージツアーの場合は、観光庁の「標準旅 パッケージツアー等の企画旅行については、単 行業約款」が基になる特別補償規定(パンフレッ なる航空券等の代理手配に比べて、その企画・作 トの旅行条件書)に則り、旅行会社の責任の有無 成主体である旅行業者の果たすべき責任が重いと を問わず、旅行の主催会社は、事故により生命、 考えられることから、観光庁長官が定めている標 身体に障害を被ったときは死亡補償金(海外2500 準旅行業約款では、特別補償として、一定の条件 万円) 、後遺障害補償金(海外2500万円を上限) 、 の下で死亡・後遺障害補償金、入院見舞金等を旅 入院見舞金(4万~40万) 、通院見舞金(2万~10 行者に支払うことを定めています。 万)を支払うことになる。これらは見舞金として しかしながら、特別補償はあくまでも旅行業者 支払われ、治療費や入院費用などの実費は、旅行 の故意・過失にかかわらず一定の損害が発生した 者の負担になります。それに対し、見舞金はかな 場合の補償を旅行業者の義務としているものであ り低い金額です。しかし、旅行会社は被害者が納 る性格上、全ての損害をカバーするようなもので 得しないときは、事故を起こした外国の会社に個 はありません。そこで、旅行中の事故等により生 人的に交渉してくださいという立場らしい。この じた損害については、特別補償だけによるのでは ことを知っている旅行者は、ほとんどいないと思 なく、まずは旅行者ご自身が加入する任意保険で うし、事故に会って初めて知ることになる。 対応すべきものと考えています。 このため、観光庁としては、海外旅行者に対す る安全対策として、旅行業者において旅行者の任 意保険への加入促進を図るよう指導しているとこ ろです。今後とも旅行業界や保険業界と連携しな がら任意保険への加入促進のための取組みを進め ていきたいと考えています。 今後とも観光行政に対してのご理解とともに、 引き続き忌憚のないご意見をよろしくお願いいた します。