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戸建住宅価格査定マニュアル - 大阪府宅地建物取引業協会
戸建住宅価格査定マニュアル 戸建住宅価格査定マニュアル 目 次 CONTENTS まえがき ........................................................... 2 宅地建物取引業法と価格査定マニュアルとの関係 ....................... 3 第1章 マニュアルを利用するにあたって ............................. 4 1 本マニュアルと価格査定システム ..........................................................................................................4 2 査定の対象 .........................................................................................................................................................4 3 査定業務の流れ................................................................................................................................................4 4 マニュアルの標準版と地方版 ..................................................................................................................7 5 用語の解説........................................................................................................................................................7 6 基礎データについて .....................................................................................................................................9 第2章 査定法の考え方 ............................................. 10 1 査定価格の算定方法 .....................................................................................................................................10 2 「システム」入力作業(プロセス) ....................................................................................................13 第3章 査定プロセスの解説 ......................................... 15 プロセス1 査定標準単価の決定 ..................................................................................................................15 プロセス2 規模修正率の決定、経過年数の設定..................................................................................16 プロセス3 部位別品等格差率の決定 .........................................................................................................18 プロセス4 部位別現価率の決定 ..................................................................................................................24 プロセス5 住宅性能率の決定 .......................................................................................................................28 プロセス6 付加価値率の決定 .......................................................................................................................32 プロセス7 補正率の決定 ................................................................................................................................33 プロセス8 建物価格の算出............................................................................................................................35 プロセス9 戸建住宅価格の算出 ..................................................................................................................35 プロセス 10 流通性比率による調整 ..........................................................................................................36 査定プロセスの例示...............................................................................................................................................37 印 第4章 参 考 刷 帳票1・2の出力 ................................................................................................................................46 戸建建物価格査定システムの概要 ............................. 49 1 システムの概要...............................................................................................................................................49 2 補助機能のご紹介..........................................................................................................................................50 価格査定報告書(戸建住宅)参考雛形 .......................... 51 © 2003-2014 1 公益財団法人 不動産流通近代化センター 戸建住宅価格査定マニュアル 戸建住宅価格査定マニュアル まえがき 本センターでは、昭和56年10月に建設省委託調査「価格査定マニュアル策定委員会研 究報告書」を基に「木造戸建住宅価格査定マニュアル」を策定して以来、不動産流通市場の 変化等を踏まえて4回の改訂を行っております。 現在のマニュアルは平成22年7月に改訂したもので、長期優良住宅普及促進法における 考え方や既存住宅の住宅性能に関する評価項目などの見直しを図っております。 このマニュアルが、住宅の質や維持管理の状況等を反映した戸建住宅の価格査定をわかり やすく合理的に説明する基本ツールとして、広く不動産業を営む方々に利用されることを期 待しますとともに、本書が不動産流通の一層の促進に役立つことを念願してやみません。 平成 26年7月 公益財団法人 不動産流通近代化センター 2 戸建住宅価格査定マニュアル 宅地建物取引業法と価格査定マニュアルとの関係 価格査定マニュアルは、昭和 55 年の宅地建物取引業法改正により、媒介契約制度が施行された ことに伴い開発されました。 すなわち、宅地建物取引業者が媒介契約において媒介価額についての意見を述べる際には根拠を 明示しなければならない旨、宅地建物取引業法第 34 条の 2 第 2 項により義務付けられました。こ れに関連して、その根拠明示の合理的手法として建設省(現:国土交通省)委託調査による価格査 定マニュアルが発表され、これを実現化したものが本センターの策定した価格査定マニュアルです。 (参考) 宅地建物取引業法 (媒介契約) 第 34 条の 2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売 買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契 約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げ る事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者に これを交付しなければならない。 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 平成 12 年 7 月 25 日 建設省建設経済局不動産業課 4 媒介価格に関する意見の根拠の明示義務について (1)意見の根拠について 意見の根拠としては、価格査定マニュアル(財団法人不動 産流通近代化センターが作成した価格査定マニュアル 又はこれに準じた価格査定マニュアル)や、同種の取引事 例等他に合理的な説明がつくものであることとする。 なお、その他次の点にも留意することとする。 ① 依頼者に示すべき根拠は、宅地建物取引業者の意見 を説明するものであるので、必ずしも依頼者の納得 を得ることは要さないが、合理的なものでなければ ならないこと。 ② 根拠の明示は、口頭でも書面を用いてもよいが、書 面を用いるときは、不動産の鑑定評価に関する法律 に基づく鑑定評価書でないことを明記するととも に、みだりに他の目的に利用することのないよう依 頼者に要請すること。 ③ 根拠の明示は、法律上の義務であるので、そのため に行った価格の査定等に要した費用は、依頼者に請 求できないものであること。 (以下、省略)) 一(略) 二 当該宅地又は建物を売買すべき価額 又はその評価額 三 四 五 六 七 2 宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は 評価額について意見を述べるときは、その根拠を 明らかにしなければならない。 (以下、省略) 3 戸建住宅価格査定マニュアル 第1章 1 マニュアルを利用するにあたって 本マニュアルと価格査定システム この「戸建住宅価格査定マニュアル」は、日頃不動産流通市場に出回っている一般的な既存 戸建住宅の売り出し価格を査定するために策定されたものです。 実際の戸建住宅価格の算出作業は、添付の「価格査定システム(CD-ROM 内蔵。以下、 「シ ステム」 )を利用します。計算に必要な各種係数は全てこの「システム」に内蔵されており、こ の冊子では算出手法・考え方などを説明しています。なお、査定作業・ 「システム」の入力方法 は、別添の「価格査定システム・操作ガイド」をご覧下さい。 2 査定の対象 〔対象とする建物の工法〕 ●木造軸組工法(在来工法) ●2×4(ツー・バイ・フォー) ●木質プレハブ工法 ●軽量鉄骨造 〔下記のような住宅は当マニュアルの対象外です。 〕 ○新築住宅(含・宅建業者による全面リモデリング住宅の販売) ○投資用の住宅(原則として収益還元法による査定となる) ○豪邸や由緒ある旧家 ○欠陥住宅(アスベスト除 去工事が必要な住宅、重大な建築基準法違反の住宅、耐震偽装住宅 等) 3 査定業務の流れ このマニュアルの利用にあたっては、基本的に査定対象建物の屋根や外観等を確認するとと もに、必要に応じて建物内部に立ち入って、開口部、床、壁、天井、設備等に使用している建 築材料やその状況などを調査します。また、住宅の性能や維持管理状況を示す図書・資料の有 無や、住宅の付加価値として考えられる設備の状況などを調査します。 これらの結果に基づいて、パソコン上の「システム」に必要事項を入力し、対象物件の価格 を査定します。 ※現地調査では事前に「システム」から「戸建建物 査定条件記入用紙」を印刷して持参し確 認事項を記入するか、ノートパソコンを持ち込んで直接条件入力することができます。 ※「戸建建物 査定条件記入用紙」の内容と印刷方法については、「価格査定システム・操作 ガイド」をご覧下さい。 4 戸建住宅価格査定マニュアル 算定された査定額は、標準的な条件や環境下にある住宅として評価したものであり、その活用に あたっては、査定者が宅地建物取引業者としての専門性(相場観・経験・実務能力・地域特性など) を発揮し、最終的な個別補正などを行うことで、査定依頼者の納得性を高めるようにして下さい。 ■査定業務の流れ 1.査定依頼 ▼査定依頼者からの聞き取り(店頭・電話・メールなど) ・基本情報(建物の所在・構造・延床面積・築年月)の確認 2.既存資料の確認 ▼社内で把握可能な資料・データなどの確認 ・当該物件の近傍同種の成約・売出事例データの検索 ・新築販売時や既存物件として流通した際の広告資料などの有無の確認 3.現地調査 ▼査定依頼者宅への訪問 ・建物の外観・外構などの状況を目視調査 確認事項を「戸建建物 査定 ・建物内部が確認可能な場合、使用部材・設備、修繕状況を目視調査 条件記入用紙」に記入 ・売主が知っている事項・状況(告知書の内容となるもの)などに または ノートPC等での直接入力 ついて、可能な範囲でヒアリング ▼査定依頼者が保有する各種資料の有無の確認 [長期優良住宅に関する評価項目] □長期優良住宅の認定書類 [住宅性能に関する評価項目] □売却予定物件の新築・購入時における契約書 □新築時の設計図書、建築確認通知書、検査済証 □住宅性能評価書 □住宅検査(インスペクション)報告書など [維持管理に関する評価項目] □ハウスビルダー等が発行した長期修繕計画書 □ハウスビルダー等が発行した長期修繕計画に基づく点検・修繕記録 [保証等に関する評価項目] □ハウスビルダー等が発行した長期(10 年超)の瑕疵保証書 □住宅検査(インスペクション)事業者等が発行した保証書 [融資に関する品質の評価項目] □旧・公庫融資物件の確認図書、フラット 35(S)適合証明書等 5 戸建住宅価格査定マニュアル 4.価格査定システム ①基本情報の入力 への入力・印刷 ②基礎・建築材料の入力 ③修繕履歴の入力 「戸建建物 査定条件記入 ④住宅性能の入力 用紙」に基づくパソコン入力 ⑤付加価値の入力 ⑥流通性比率などの入力 ⑦査定結果の帳票印刷 5.査定報告書の作成 ▼印刷帳票は、査定報告時の添付資料としてご活用下さい。 ■インスペクション実施時の流れについて ・必要に応じて査定時に住宅検査(インスペクション)を行う場合は、上記フロー「3.現地調 査」の段階で、以下のような作業を行うことが考えられます。 ・この場合、検査報告書の内容や修繕結果の状況について現地確認を行い、その内容を査定条件 に反映することが求められます。 ▼インスペクションの実施(将来の紛争防止に向け売主が必要と判断した場合など) ▼インスペクションに基づく修繕の要・不要判定 不要 必要 ▼必要に応じた修繕の実施 実施 せず 3’現地の再確認 実施 ▼査定依頼者宅への訪問 ▼査定依頼者が保有する各種資料の有無の確認 6 戸建住宅価格査定マニュアル 4 マニュアルの標準版と地方版 このマニュアルは、標準版として作成されたものです。実際には、土地、建物共に価格形成 要因に地域的な特殊性があるため、地域の事情に応じて修正を加えることが必要です。建物の 価格査定の場合、必要に応じて「建築材料」とその等級の見直しを行って下さい。 5 用語の解説 このマニュアルで使用する主な用語の意味は、次のとおりです。詳しくは、それぞれの用語 の末尾に示したページの解説をご覧下さい。 ■戸建住宅の価格 戸建住宅とは、一戸建の建物とその敷地を一体として捉えたものをいいますので、戸建住宅の 価格は、建物とその敷地を一体として査定した価格を指します。 しかし、実際に価格を査定する場合の手法として、このマニュアルでは便宜上査定対象の戸建 住宅を建物部分と土地部分に分け、それぞれ個別に査定した価格を合計し、戸建住宅の価格を 導き出しています。 ① 建物部分の価格は、 「戸建建物価格査定システム」により算出します。 ② 土地部分の価格は、別途「住宅地価格査定システム」により算出します。 ③ 上記①②の結果を合算することで、戸建住宅価格を算出します。 ■査定標準単価(15 ページ) 標準的な建築材料を使用して建築する場合の建築請負単価を指します。 ★ 都道府県別、建物の構造(工法)別単価を当センターで毎年度更新しております。 ■査定標準単価部位別価格構成比(15 ページ) 査定標準単価から、部位ごとの建築費を算出するための比率です。 ■規模修正率(16 ページ) 建物規模の大小により、建築費を修正するための比率です。 ■部位別品等格差率(18 ページ) 部位ごとに使用されている建築材料の品等(グレード)に応じて、建築費を修正するための比 率です。 7 戸建住宅価格査定マニュアル ■部位別現価率(24 ページ) 建築後の経過年数に比例して減少した建物の価格が、新築価格に対して査定時点でどの程度現 存しているかを示す比率です。このマニュアルでは、屋根や外壁、内装・設備の修繕状況など も加味しながら、部位ごとにその数値を算出します。 ■住宅性能率(28 ページ) 建物はその性能(仕様)によって経済的価値が増減します。高性能な住宅の場合、標準的な住 宅に比べて建築費も高価になります。 「住宅性能率」は、建物の性能を示す図書や資料の保有状 況などに応じて、査定価格の割増を行なうための比率(加点率)です。 ■付加価値率(32 ページ) 建物の付加価値的な要素を評価し、査定価格の割増を行なうための比率(加点率)です。付加 価値があると認められる設備の保有状況からその経済的価値を考慮し、建物価格を補正します。 ■補正率(33 ページ) 建物の外観、施工、外構、間取り・日照の良否を評価し、その状況に応じて建物の価格を加減 するための比率です。 ■流通性比率(36 ページ) 査定する戸建住宅が既存住宅流通市場に売り出された場合、 「売りやすい物件」か「売りにくい 物件」かという市場性の程度を判断して、算出された物件価格(建物価格+土地価格)を加減 するための比率です。 8 戸建住宅価格査定マニュアル 6 基礎データについて このマニュアルに記す査定法の実現にあたり、当センターでは根拠となるデータを収集し、 そのデータを基礎として各種補正を行い、係数化して「システム」に内蔵しました。 根拠となる資料データは、次のとおりです。 項 目 資料・基礎データ ●査定標準単価部位別価格構成比 財団法人 経済調査会 ●部位別品等格差率 ・書籍「積算資料ポケット版」の掲載データ ●部位別現価率 旧住宅金融公庫 →点検時期、更新・取替時期 ・マイホーム維持管理ガイドライン 9 戸建住宅価格査定マニュアル 第2章 1 査定法の考え方 査定価格の算定方法 本マニュアルでは、 「査定する建物と同等の建物を、査定時に新築した場合にいくらで新築でき、 かつ、その価格が経年によりどの程度現存しているか。 」を基本とし、その価格に、査定建物が持 つ付加価値などを加味して、査定建物の価格を算定します。 戸建住宅の価格査定の基本的な考え方は、下記のとおりです。 【 基本的な考え方 査定標準単価 × 】 規模修正率 × 新耐震基準適合性(補正率) × 建物全体の品等格差率 = 再調達単価 × 現価率 × 内装調整率 × 設備調整率 = 現在単価 × 現在単価 総延床面積 × 住宅性能率 × 付加価値率 × 各補正率 = (査定建物価格 再調達単価 + 査定建物価格 ※土地価格)× = 流通性比率 戸建住宅査定価格 ※土地価格は別途「住宅地価格査定マニュアル」を用いて算出します。 「査定標準単価」 「品等格差率」「再調達単価」 「現価率」及び「現在単価」については、建物の 部位ごとに算出する方法を採っておりますので、11ページから 12ページにて詳しく記載します。 10 戸建住宅価格査定マニュアル ■概念図 査定標準単価(円/㎡) 査定標準単価・部位別価格構成比 × 規模修正率 × 新耐震基準適合性 部位別品等格差率(%) 部位別品等格差率(%) 部位別品等格差率 建物全体の品等格差率 × 部位別新築単価(円/㎡) 部位別新築単価(円/㎡) 部位別再調達単価(円/㎡) 部位別現価率(%) 部位別現価率(%) 修繕履歴に応じた部位別現価率 × 部位別新築単価(円/㎡) 部位別新築単価(円/㎡) 部位別現在単価(円/㎡) 合 算 内装・設備調整率 × 査定建物現在単価(円/㎡) × 総延床面積(㎡) × 住宅性能率 × 付加価値率 × 補正率 土地部分の価格 + × 流通性比率 戸建住宅価格(円) [補足] ● は建物価格を算出するための項目で、建物に対して1つの数値が設定、あるいは計算されます。 ● は部位ごとに価格を算出する項目で、各部位に対して1つの数値が設定、あるいは計算されます。 ●「土地部分の価格」は「住宅地価格査定マニュアル」で算出して下さい。 ●「流通性比率」は「建物価格」と「土地部分の価格」の合算後に、調整が必要な場合に乗じてください。 11 戸建住宅価格査定マニュアル 前ページの概念図の考え方は、次のとおりです。 ▼1.部位ごとの再調達単価の算出 査定する建物と同等の建物を査定時に新築すると、いくらで新築できるかを考えます。 ①「査定標準単価」を建物の規模に応じて「規模修正」を行います。 ② 次に「査定標準単価部位別価格構成比」を乗じて、部位ごとの査定標準単価を求めます。 ③ 部位ごとの査定標準単価に、査定建物に使用されている部位別の建築材料のグレードを 反映した「部位別品等格差率」から算出した「建物全体の品等格差率」を乗じます。 以上のプロセスで、「部位別再調達単価」が算出されます。 ▼2.部位ごとの現在単価の算出 建築後の年月の経過によって減少した建物の価格を差し引いた建物の残存価格、すなわち「現 在単価」を求めます。この場合、各部位の点検状況や屋根・外壁の修繕状況、内装・設備の維 持修繕状況についても考慮します。 「部位別再調達単価」に「部位別現価率」を乗じて、部位別の現在単価を求めます。 ▼3.査定建物の現在単価の算出 部位ごとに算出された現在価格を合算・集計して、 「査定建物現在単価」を求めます。 ▼4.建物価格の算出 ①「査定建物現在単価」に「総延床面積」を乗じて、建物の現在価格を求めます。 ② さらに、 「住宅性能率」「付加価値率」 「補正率」を加味し、建物価格を調整します。 ▼5.土地部分の価格の算出 別途、「土地部分の価格」を求めます。 ▼6.戸建住宅価格の算出 建物価格と土地価格を合算して、「戸建住宅価格」を求めます。 ▼7.戸建住宅価格の調整 最後に、必要に応じて「戸建住宅価格」を「流通性比率」によって調整します。 12 戸建住宅価格査定マニュアル 2 「システム」入力作業(プロセス) 1.基本情報の入力(建物の所在・構造・延床面積・築年月を入力して下さい) 入力項目 プロセス1 査定標準単価の決定 必要な調査・資料 ①所在地域(都道府県単位) ●売却希望者へのヒアリング等 ②建物の構造(工法) ⇒左記の項目について、新築・購入時 ⇒「査定標準単価」を自動表示 プロセス2 規模修正率の決定 経過年数の設定 ①総延床面積 の契約書等から確認 ●同 上 ⇒「規模修正率」を自動表示 ①築年月 ②査定年月日⇒経過年数を自動表示 ③新耐震基準の適合性 ●登記事項証明書(建物)等 初期段階のプロセス1・2の入力で簡便な査定ができます 2.基礎・建築材料の入力(建物の使用部材を調査の上、入力して下さい) プロセス3 部位別品等格差率の決定 ①基礎の評価 ●宅建業者の目視による現地確認 ②建築材料の評価 あるいは ⇒スケルトン・インフィルの各部位別の グレードを評価し、建物全体の「品等 ●設計図書や住宅履歴情報等がある 場合、それらの資料も利用し確認 格差率」を自動計算 3.修繕履歴の入力(建物の修繕状況を調査の上、入力して下さい) プロセス4 部位別現価率の決定 ①屋根の修繕状況 ●売却希望者へのヒアリング等 ②外壁の修繕状況 ⇒修繕状況を売主希望者に問診 ③内装・設備の維持修繕状況 あるいは ●住宅履歴情報や修繕履歴があるイ ンスペクション報告書等から確認 4.付加価値の入力(建物の住宅性能等を示す資料を確認の上、入力して下さい) プロセス5 住宅性能率の決定 ①長期優良住宅に関する評価 ●住宅履歴情報やインスペクション ②住宅性能に関する評価 報告書、個別の各資料等から確認 ③維持管理に関する評価 ・設計図書、建築確認通知書、検査済 ④保証等に関する評価 証、住宅性能評価書等 ⑤融資に関する品質の評価 ⇒「住宅性能率」を自動計算 ・長期修繕計画書、修繕記録等 ・事業者発行の保証書等 ・フラット 35(S)適合証明書等 13 戸建住宅価格査定マニュアル 入力項目 プロセス6 付加価値率の決定 必要な調査・資料 ①省エネルギー設備の導入 ●売却希望者へのヒアリング等 ②自然エネルギーの利用 ⇒売却希望者に対する問診等から確 ③セキュリティ設備の導入 ⇒「付加価値率」を自動計算 認 ●宅建業者の目視による現地確認 建物に関する条件入力は以上です 5.流通性比率等の入力(建物価格を補正し土地価格を合算して、流通性比率で調整して下さい) ①外観補正率 プロセス7 ●宅建業者の目視による現地確認 ②施工補正率 補正率の決定 あるいは ③外構補正率 ●インスペクション報告書等から 確認 ④間取り・日照の良否 ⇒「補正率」を設定し調整 ⇒「計算]ボタンを押して「建物価格」 プロセス8 を算出 建物価格の算出 ●追加の現地確認やインスペクショ ンの実施、住宅履歴情報やその他関 ⇒2.基礎・建築材料、3.修繕履歴、4. 係資料が入手できた場合は、プロセ 住宅性能、5.付加価値の条件を変更 ス 7 までの条件を再確認し、必要に することにより、新たに建物価格が 応じて評価を見直し 自動計算可能 ⇒住宅地価格査定システム等を使用 プロセス9 戸建住宅価格の算出 し、土地部分の価格を算出 - ⇒これをプロセス 8 の建物価格と合算 し、物件価格を算出 ⇒必要に応じて、流通性比率により プロセス 10 流通性比率による調整 物件価格を調整 - 以上で全ての入力作業を終えます 印 刷 ⇒帳票1「査定条件表」の印刷 ⇒帳票2「物件価格の査定結果」の印刷 ※印刷帳票は、査定報告時の添付資料としてご活用下さい。 14 戸建住宅価格査定マニュアル 第3章 査定プロセスの解説 プロセス1 査定標準単価の決定 次の過程により査定標準単価を決定します。 1 1 所在都道府県の把握 2 建物の構造(工法)の把握 3 所在都道府県と建物の構造(工法)に対応する査定標準単価の算出 4 建物の構造(工法)に対応する査定標準単価部位別価格構成比の設定 査定標準単価 「システム」の「1.基本情報」タブの査定条件入力画面で、査定対象となる所在都道府県、建 物の構造(工法)を指定すると、査定標準単価が自動表示されます。 「システム」には査定標準単価が内蔵されています。査定標準単価は、当センターで毎年度更 新しており、最新データを読込む機能により「システム」の査定標準単価は最新データに更新 されます。 具体的な操作は「価格査定システム・操作ガイド」をご覧下さい。 2 査定標準単価の部位別価格構成比 査定標準単価部位別価格構成比とは、査定標準単価に占める部位ごとの建築費の割合です。 この構成比は「システム」に内蔵されています。全ての部位の価格構成比を合算すると 100% になります。 ■部位別の価格構成比 部位 土木・基礎 外部・躯体 躯体(柱) (スケルトン) 屋根 外壁 開口部・内装 開口部(外部・内部) (インフィル) 内装(床、壁、天井、収納) 厨房・浴室・洗面所・トイレ 設備 給排水・給湯設備 (インフィル) 照明器具・電気設備 冷暖房 合 計 15 構成比 5.00% 16.50% 5.50% 8.50% 16.50% 17.50% 14.50% 7.00% 4.00% 5.00% 100.00% 戸建住宅価格査定マニュアル 3 外構工事費 査定標準単価には標準的外構工事費を含みます。標準的外構工事費としては、一般に通常の 分譲住宅にみられるフェンス、門扉および庭木2~3本程度の簡単な植栽工事が考えられます。 プロセス2 規模修正率の決定、経過年数の設定 次の過程により規模修正率などを決定します。 1 1 総延床面積の把握 2 総延床面積に対応する規模修正率の算出 3 築年月の把握 4 査定年月日との差分から経過年数を自動算出 5 新耐震基準の適合性 規模修正率の算出 建築単価は、住戸規模が大きくなれば安くなり、小さくなれば高くなります。査定標準単価は 標準的な住宅の建築費ですから、建物の規模による建築単価の修正が必要になります。これが 規模修正の考え方で、これを数値化したのが「規模修正率」です。 建物の総延床面積が 75 ㎡以上 135 ㎡未満のものを「規模修正率」1.00 とし、基準値としま す。以下に、総延床面積に対応する規模修正率を示します。 「システム」の「1.基本情報」タブの条件入力画面で総延床面積を決定すると、規模修正率が 自動算出されます。 2 総延床面積 75 ㎡未満 75 ㎡以上 135 ㎡未満 135 ㎡以上 規模修正率 1.05 1.00 0.95 経過年数の自動設定 査定対象となる建物の築年月と査定年月日を入力すると、経過年数が自動算出されます。 16 戸建住宅価格査定マニュアル 3 新耐震基準の適合性 査定対象となる建物の新耐震基準(1981 年 6 月 1 日施行)の適合状況を確認します。 ■補正率 新耐震基準に適合 ・登記簿上の建築日付が 1982 年 1 月 1 日以降の建物 ・登記簿上の建築日付が 1981 年 12 月 31 日以前の建物だが、建築確認通知書 1.00 の日付で新耐震基準の適合が確認できる場合、または耐震診断などを行い、査定 時点で耐震性に問題ないと判断された場合 新耐震基準に適合せず 0.95 <ポイント> 簡便な査定と詳細な査定条件の入力について ・前記までのプロセス1・2の段階で簡便な査定額を計算することができますが、その計算値 は次のプロセス3以降の建物に関する各種情報を加味しない最低査定額に近い値となります。 実際の査定にあたっては、プロセス3以降の建物に関する各種情報を入力していくこと(例 えば、各部位の品等(グレード)を確認できない場合はB級仕様にチェックするなど)によ り、適切な査定価格を算定するよう努めて下さい。 ・特に、取引事例比較において建付地を選定し、その事例地の建物価格をこの「システム」を 用いて計算する場合は、査定建物と比較して事例地の建物価格が低くなりすぎないようにす るなどの注意が必要です。 17 戸建住宅価格査定マニュアル プロセス3 部位別品等格差率の決定 次の過程により部位別品等格差率を決定します。 1 1 査定対象建物の部位ごとに使用されている「建築材料」の把握 2 部位別と建物全体の品等格差率の自動算出 部位別品等格差率の意味 高級な建築材料を使用している建物の建築費は高くなり、一般的な建築材料を使用している建 物の建築費は安くなります。 査定標準単価は標準的な住宅の建築費のため、使用されている建築材料に応じて建築費の修正 が必要になります。 品等格差率は、部位ごとに使用されている建築材料の品等(グレード)の違いによる建築請負 契約単価の価格差を比率化したものです。この比率は「システム」の「2.基礎・建築材料」タ ブの条件入力画面に掲載しています。 2 部位別品等格差率の算出 ①等級(グレード)の区分 部位ごとに使用している「建築材料」等の品等を ●A級仕様(高級住宅) ●B 級仕様(標準住宅) ●C 級仕様(一般住宅) の3等級に区分し、それぞれに品等格差率を設定しています。 ②部位ごとの品等格差率算出 「2.基礎・建築材料」タブの条件入力画面で、各部位で使用されている建築材料の品等(グ レード)を指定すると、 「建物全体の品等格差率」が自動計算されます。 なお、基礎は目視が困難なため、布基礎を基本(標準)としています。査定にあたり「べ た基礎」や「杭基礎」などが確認できた場合は、必要に応じて基礎の評価を行って下さい。 以下の価格係数で建物価格の割増を行います。 基礎の種類 価格係数 布基礎 1.00 べた基礎 1.10 杭基礎 2.15 18 戸建住宅価格査定マニュアル [品等(グレード)判定上の注意点] ●各部位のグレードについて、明らかに「C 級仕様部材(一般住宅) 」であると判断される 場合以外は、できる限り「B 級仕様部材(標準住宅) 」として判定を行うようにして下さい。 なお、 「2.基礎・建築材料」タブの条件入力画面で、各項目を未入力とした場合は、各部位 のグレードは「C 級仕様部材(一般住宅) 」として自動計算します。 ●躯体(柱)のグレードについては、木造軸組工法の場合のみ使用部材(A級~C 級)の判 定を行うことができます。それ以外の工法(2×4、木質プレハブ工法、軽量鉄骨造)の 場合は、躯体(柱)のグレードを「B 級仕様部材(標準住宅) 」として自動計算します。 3 部位の区分と品等格差率 このマニュアルで評価する建物の部位と3つの品等(グレード)における格差率は、下表のと おりです。 査定を目的とするため、建築材料が目視できない部位の評価は割愛し、簡便化を図っています。 グレードごとの具体的な材料の内容は、 「システム」の「2.基礎・建築材料」タブの条件入力画 面でご確認下さい。建築材料のイメージは、入力画面上の部位名をクリックすると例示写真を 参照することができます。 部位 項目 基礎 外部・躯体 (スケルトン) 基礎 躯体 屋根 外壁 開口部 柱 屋根 外壁 開口部・内装 玄関ドア (インフィル) サッシ テラス ふすま 障子戸 内装 床 壁 天井 収納 設 備 設備 厨房 (インフィル) 浴室 洗面所 トイレ 給湯 照明器具 冷暖房 プロセス1の部位別の価格構成比に対応 させた場合の建物全体の品等格差率 品等格差率 A級仕様 (高級住宅) 布基礎(標準) 1.00 1.20 1.50 1.20 B級仕様 (標準住宅) 布基礎(標準) 1.00 1.00 1.00 1.00 C級仕様 (一般住宅) 布基礎(標準) 1.00 0.80 0.70 0.80 1.20 1.00 0.80 1.20 1.00 0.80 1.40 1.00 0.80 1.20 1.20 1.40 1.25 1.00 1.00 1.00 1.00 0.80 0.80 0.75 0.80 19 戸建住宅価格査定マニュアル 4 部位ごとに使用されている「建築材料」の等級判定のガイドライン ① 躯体(柱) ■見るポイント 躯体の判定は、建物の構造(工法)により次のように行います。 ●建物の構造(工法)が木造軸組工法の場合は、柱材の評価をもって躯体の評価とします。 具体的には、柱材の使用材料の等級を判定し、該当するものを指定します。 ●建物の構造(工法)が木造軸組工法以外の場合は、躯体の等級として自動的に B 級仕様 (標準住宅)の数値が設定されます。 ■見る場所 部屋を2つ見て、それぞれの部屋に使用している柱材の等級を判定します。 「主たる部屋(客間、応接間等、その建物の部屋の中で一番上等な部屋)」と「居間(日常 使用している部屋)」がある場合は、その2つの部屋について評価して下さい。 1つの部屋で使用されている柱材が2種類以上ある時は、上質な柱を選びます。 ■品等格差率の算出 建築材料を指定すると、自動的に品等格差率が算出されます。 ●躯体の品等格差率 =(A 級仕様指定数×A 級仕様品等格差率 +B 級仕様指定数×B 級仕様品等格差率 +C 級仕様指定数×C 級仕様品等格差率) ÷躯体の使用材料総指定数 ●1つの等級の建築材料を指定する場合は、その品等格差率が適用されます。 例)A 級仕様(高級住宅)のみの場合 =1×A 級仕様品等格差率÷1 ●複数の等級の建築材料を指定する場合は、指定のある等級の品等格差率の平均値が品等 格差率になります。 「主たる部屋」と「居間」で使用されている柱材が異なる場合、等級として中間値と判 断する時は、複数の建築材料を指定して下さい。 例)A 級仕様(高級住宅)、B 級仕様(標準住宅)の両方を指定する場合 =(1×A 級仕様品等格差率+1×B 級仕様品等格差率)÷2 20 戸建住宅価格査定マニュアル ② 屋根 ■見るポイント ●「上葺」に使用されている材料(瓦等)の等級を判定し、該当するものを指定します。 ■材料が複数の場合の評価 2種類以上の材料が使用されている場合は、次のように判定します。 ●使用割合(面積)の大部分を占める材料を屋根の建築材料とします。 ●使用割合がおおむね同一の場合は、該当する建築材料全てを使用材料とします。 ■品等格差率の算出 建築材料を指定すると、自動的に品等格差率が算出されます。 ●屋根の品等格差率 =(A 級仕様指定数×A 級仕様品等格差率 +B 級仕様指定数×B 級仕様品等格差率 +C 級仕様指定数×C 級仕様品等格差率) ÷屋根の使用材料総指定数 ●1つの等級の建築材料を指定する場合は、その品等格差率が適用されます。 例)A 級仕様(高級住宅)のみの場合 =1×A 級仕様品等格差率÷1 ●複数の等級の建築材料を指定する場合は、指定のある等級の品等格差率の平均値が品等 格差率になります。 例)A 級仕様(高級住宅)、B 級仕様(標準住宅)の両方を指定する場合 =(1×A 級仕様品等格差率+1×B 級仕様品等格差率)÷2 ③ 外壁 ■見るポイント 仕上げ材の等級を判定し、該当するものを指定します。 ■材料が複数の場合の評価 前記「屋根」と同様に判定して下さい。 21 戸建住宅価格査定マニュアル ④ 開口部 ■見るポイント 外部開口部「玄関ドア」 「サッシ」 「雨戸」 「テラス」 、内部開口部「室内ドア」 「ふすま」 「障 子戸」の使用材の等級を判定し、該当するものを指定します。 ■材料が複数の場合の評価 前記「屋根」と同様に判定して下さい。 ■見る場所 前記「躯体(木造軸組工法の場合) 」と同様に、2つの部屋(主たる部屋と居間)について、 それぞれ判定します。 ⑤ 内装 ■見るポイント 「床」、 「壁」、 「天井」 、「収納」の使用材の等級を判定し、該当するものを指定します。 ■材料が複数の場合の評価 前記「屋根」と同様に判定して下さい。 ■見る場所 前記「躯体(木造軸組工法の場合) 」と同様に、2つの部屋(主たる部屋と居間)について、 それぞれ判定します。 ⑥ 設備 ■見るポイント 「厨房」、「浴室」、「洗面所」、「トイレ」、「給湯設備」、「照明器具」、「冷暖房」の使用機器 の等級を判定し、該当するものを指定します。 ■材料が複数の場合の評価 前記「屋根」と同様に判定して下さい。 22 戸建住宅価格査定マニュアル 5 建築材料の設定について 「システム」の「2.基礎・建築材料」タブの条件入力画面で、閲覧可能な建築材料は、一般的 かつ標準的な部位ごとの建築材料の例示です。 各部位ごとに使用されている建築材料の指定にあたっては、 「システム」の「2.基礎・建築材 料」タブの条件入力画面で、該当する建築材料のチェックボックスをオン()にして下さい。 具体的な操作については、 「価格査定システム・操作ガイド」をご覧下さい。 建築材料の内容(名称)は、各地域の価格差の実績に基づき、必要に応じて加除を行うこと ができます。建築材料(名称)の修正方法に関しては、 「価格査定システム・操作ガイド」をご 覧下さい。 23 戸建住宅価格査定マニュアル プロセス4 部位別現価率の決定 次の過程により部位別現価率を決定します。 1 1 部位別耐用年数の算出 2 部位別の使用建築材料の等級に応じた経過年数の把握 3 部位別現価率の算出 4 内装設備の維持修繕状況(リフォーム調整率)の設定 部位別現価率の意味 ① 現価率とは、建築後の経過年数に比例して減少した建物価格が、新築価格に対して査定時 点でどの程度現存しているのかを示す比率です。 ② 部位別現価率とは、部位ごとの品等に応じた現価率を意味します。 ※下図では、建築後に点検・補修を施したか否かによる現価率の相違を表しております。 建物の「屋根」 「外壁」について、点検周期内に点検・補修などを行っているか否かにより、 建物の建築後の経過年数による現価率に差が表れることとなります。 査定条件 ■建物品等(グレード)B 級(標準住宅)仕様 ■修繕履歴有り(下図の点線のケース) 【屋根】6 年毎の定期点検を実施し、28 年目と 48 年目に全面補修 【外壁】3 年毎の定期点検を実施し、18 年目と 36 年目に全面補修 点検・補修の有無による現価率の相違 イメージ (現価率) 点検・補修なし 100% 90% 点検・全面補修あり 80% 70% 60% 18 年目:外壁全面補修 50% 28 年目:屋根全面補修 40% 30% 20% 10% 0% 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 (経過年数:年) 24 戸建住宅価格査定マニュアル 2 部位別耐用年数及び部位別経過年数の算出 ①部位別耐用年数 各部位は、よく手入れすれば長持ちし、手入れを怠れば長持ちしません。 このマニュアルでは部位毎の耐用年数を定義し、特に屋根と外壁は長持ちした場合と長持ち しなかった場合の年限と、点検周期を定義しています。 ■部位別の耐用年数 屋根・外壁 屋根 外壁 (単位:年) A級仕様 (高級住宅) B級仕様 (標準住宅) C級仕様 (一般住宅) 最短 最長 最短 最長 最短 最長 点検周期 点検周期 点検周期 耐用年数 耐用年数 耐用年数 耐用年数 耐用年数 耐用年数 6 20 30 6 15 30 3 10 15 3 15 20 3 15 20 3 15 20 屋根・外壁以外 A級仕様 B級仕様 C級仕様 土木・基礎 35 35 35 躯体(柱) 50 40 30 開口部 15 15 15 内装(床・壁・天井・収納) 20 20 20 厨房・浴室・洗面所・トイレ 15 15 15 給排水・給湯設備 15 15 15 照明器具・電気設備 15 15 15 冷暖房 5 5 5 ●「システム」の「3.修繕履歴」タブの条件入力画面で、建築材料の入力によって決定さ れた等級の設定に応じて、部位ごとに耐用年数を自動計算します。 ■部位別耐用年数の算出の考え方 周期内で点検、あるいは部分補修工事を行っている部位については長持ちすると判定し、当該 部位に最長の耐用年数を設定します。 また、建物経過年数が該当部位の点検・部分補修工事の周期年限以内の場合も同様に、最長の 耐用年数を設定します。 逆に、周期内に点検・部分補修工事を行っていない場合は、当該部位は最短の耐用年数を設定 します。 なお、部位ごとの耐用年数と点検周期(年)は「システム」に内蔵しています。 ●部位ごとの耐用年数は、その品等に応じて設定されます。 ●周期内に点検・部分補修工事を行っている部位には、最長の耐用年数を設定します。 【 「屋根」「外壁」の耐用年数算出の考え方 まとめ 】 A.点検周期内に「全面補修・取替工事」を実施 ⇒ 耐用年数は、全面補修・取替工事時より最長を適用 B.点検周期内に「点検・部分補修」を実施 ⇒ 耐用年数は、当初建築時より最長を適用 C.点検周期内に「補修」等を実施していない場合 ⇒ 耐用年数は、当初建築時より最短を適用 D.築浅の建物で経過年数が未だ点検周期に達していない場合 25 ⇒ 耐用年数は、当初建築時より最長を適用 戸建住宅価格査定マニュアル ②部位別経過年数の算出 基本的には築年月から査定日までの期間が経過年数となります。 経過年数は、経過年月に基づき、経過6ヶ月以下は切り捨て、経過7ヶ月以上は切り上げ とします。 例1)築年月:1994年4月、査定日:2013年10月 経過年数:19年7ヶ月=20年 例2)築年月:1993年5月、査定日:2013年10月 経過年数:20年6ヶ月=20年 ③全面補修・取替工事の実施による経過年数の見直し⇒前ページ「部位別耐用年数の算出の考え方」ご参照 「屋根」 「外壁」は、全面補修・取替工事を行った工事日から査定日までの経過年数をその 部位の経過年数とします。 ●「全面補修・取替工事」の実績に応じて、部位ごとに経過年数の見直しを行います。 ●見直しの仕組みは「システム」の「3.修繕履歴」タブの条件入力画面に内蔵しています。 ■見直しの考え方(B級仕様住宅の「屋根」の例) 1993年4月築で2012年10月査定(築20年)の場合 a)2008年4月に全面補修・取替工事を行ったケース b)2008年4月に点検・部分補修を行った、あるいは 点検を行い補修工事不要であったケース c)査定前の点検周期年(6年)内に点検を全く行って いないケース 3 適用耐用年数 30年(最長) 経過年数 5年 残存耐用年数 25年 30年(最長) 20年 10年 15年(最短) 20年 0年 部位別現価率の算出 [算式] 部位別現価率={1-((1-現価率の下限値)÷部位別耐用年数×部位別経過年数)} 現価率の下限値は、外部・躯体及び開口部は10%、内装・設備部分は5%とします。 部位ごとの経過年数が耐用年数を上回る(残存年数が 0 年となる)場合は、部位別現価率 は、上記の下限値となります。 ●この仕組みは「システム」に内蔵しています。 4 内装設備の維持修繕状況(リフォーム調整率)の設定 ① 内装調整率 ■内装調整の判定 建物内部の床・壁・天井・収納の維持管理の状態や、バリアフリー化工事などを含むリフ ォームの有無を判定し、加減比率を決定します。ここでは各部位の経過年数やリフォーム 費用を直接評価するのではなく、あくまで購入者の視点に基づく現状有姿を評価します。 26 戸建住宅価格査定マニュアル ■内装調整率の決定 0.90~1.10の範囲で設定が可能です。 内装が良好な状態にある場合は、+5%~+10%の範囲で加点、悪い場合は-5%~- 10%の範囲で減点補正して下さい。判定の目安は、下記のとおりです。 ●「システム」では、調整率のクリックボタンを押して、0.05刻みで調整できます。 ② 設備調整率 ■設備調整の判定 建物内部の厨房・浴室・洗面所・トイレの水廻り設備や、給湯・照明器具、冷暖房設備の 維持管理状況やリフォームの有無を判定し、加減比率を決定します。ここでは各部位の経 過年数やリフォーム費用を直接評価するのではなく、あくまで購入者の視点に基づく現状 有姿を評価します。 ■設備調整率の決定 0.90~1.10の範囲で設定が可能です。 設備が良好な状態にある場合は、+5%~+10%の範囲で加点、悪い場合は-5%~- 10%の範囲で減点補正して下さい。判定の目安は、下記のとおりです。 ●「システム」では、調整率のクリックボタンを押して、0.05刻みで調整できます。 ■調整率判定の目安 優良 良 普通 劣る 悪い 参考基準 リフォームや維持管理の状態が非常に優れている リフォームや維持管理の状態が比較的良い 現状のまま住むことができる リフォームが行われていない、又は維持管理の状態が良くない リフォームが行われていない、又は維持管理の状態が非常に悪い 調整率 1.10 1.05 1.00 0.95 0.90 [内装調整率] ●優良 大規模(大幅)なリフォームが行われているなど、内装の程度、維持管理とも 非常に優れている ●良 一部リフォーム等も行われており、内装の程度、維持管理とも良好である ●普通 リフォーム等の形跡はないが、内装、維持管理とも普通程度で現状のまま住む ことができる ●劣る リフォームや修繕の形跡がなく、内装、維持管理とも不良である ●悪い リフォームや修繕の形跡がなく、内装、維持管理とも非常に悪い [設備調整率] ●優良 リフォームにより設備部分の大幅な更新が見られるなど、機能性の向上が著しい ●良 リフォームにより設備部分の更新が見られ、機能性の向上が認められる ●普通 リフォーム等の形跡はないが、設備の機能性は維持されており、現状のまま 利用できる ●劣る リフォームや修繕の形跡がなく、設備の機能性の低下が生じている ●悪い リフォームや修繕の形跡がなく、設備の機能性が著しく低下しており、更新が 必要である 27 戸建住宅価格査定マニュアル プロセス5 住宅性能率の決定 次の過程により住宅性能率を決定します。 1 1 建物が有する住宅性能の把握 2 住宅性能率の算出 住宅性能率の対象 ここでは、各種図書・資料などを確認した結果、対象建物が一定の住宅性能を有すると判断さ れた場合、各項目の加点率を反映することにより、建物の現在価格の見直し(割増)評価を行 います。 「住宅履歴情報」や「インスペクション報告書」などにより関連する情報が入手可能な場合は、 それらに基づいて入力して下さい。評価対象となる項目は次のとおりです。 ① 長期優良住宅に関する評価項目 ●対象建物が、長期優良住宅の普及促進法に基づき「長期優良住宅の認定」を受けている 場合は、この項目にチェックを入れて下さい。 ●長期優良住宅は高い住宅性能を有するため、入力画面内の他の多くの評価項目と重複す る部分があります。この項目にチェックを入れた場合、以下の「住宅性能」 「維持管理」 「融資」の各項目は、長期優良住宅の認定基準との重複を避けるため、自動的に入力が できなくなります。 [長期優良住宅の認定基準との重複項目] ▼住宅性能に関する評価項目 ・新築時の設計図書等<意匠、構造、設備関係の図書>あり ・建築確認通知書もしくは検査済証あり ・住宅性能評価書<設計性能評価(新築) ・建設性能評価(新築)のいずれか>あり ▼維持管理に関する評価項目 ・2項目全て ▼融資に関する品質の評価項目 ・2項目全て 28 戸建住宅価格査定マニュアル ② 住宅性能に関する評価項目(4 項目) ●新築時の設計図書や建築確認通知書・検査済証、住宅性能評価書、住宅検査(インスペ クション)報告書・住宅性能評価書(既存住宅)などを保有している場合、当該建物は 一定の住宅性能を有していると判断されることから、各項目について相応の加点評価を 行います。 ③ 維持管理に関する評価項目(2 項目) ●ハウスビルダー等が発行した長期修繕計画(メンテナンス・プログラム等)に関する書 面、定期点検に基づく修繕記録などを保有している場合は、当該建物について一定の適 切な維持管理を実施していると判断されることから、各項目について相応の加点評価を 行います。 ④ 保証等に関する評価項目(2 項目) ●ハウスビルダー等が発行した長期(10 年超)の瑕疵保証書や、住宅検査(インスペク ション)事業者等が発行した保証書を保有している場合、当該建物は一定の保証を受け るだけの住宅性能を有していると判断されることから、各項目について相応の加点評価 を行います。 ⑤ 融資に関する品質の評価項目(2 項目) ●上記①~④のいずれにも該当しない場合でも、旧・住宅金融公庫の融資物件や住宅金融 支援機構のフラット 35(S)などの融資を受けている建物や、公的融資を受けていなく ても同等の性能を有している場合(新築時やその後の追加工事を含む)は、一定の住宅 性能を有していると判断し、各項目について相応の加点評価を行います。 ※フラット 35 及びフラット 35S の対象となる住宅の技術基準(新築)の概要に ついて、30~31ページに示します。 2 住宅性能率の算出 ●住宅性能の加点率は、 「システム」に内蔵するとともに、入力画面にも表記しています。 査定建物が「4.住宅性能」タブの条件入力画面に列挙した各項目に該当する場合は、当該 項目を指定することにより、建物の現在価格に相応の割増を行います。 ●指定にあたっては、各項目のチェックボックスをオン( レ )にして下さい。具体的な操 作については、 「価格査定システム・操作ガイド」をご覧下さい。 29 戸建住宅価格査定マニュアル 30 戸建住宅価格査定マニュアル 次のいずれか1つ以上の基準を満たす住宅であること。 ■ 省エネルギー対策等級4であること 【東京23区(Ⅳ地域)、充填断熱工法の木造住宅の例】 1.天井160mm、外壁90mm、床90mmの断熱材を施工する。 (高性能グラスウール16K相当の断熱材の場合) 2.外壁に通気層を設ける。 3.窓は、複層ガラス又は二重サッシとする。 等 ■ 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2又は3、 又は免震建築物であること 【木造住宅の例】 1.壁量を確保する。 2.壁をバランスよく配置する。 3.筋かい・柱・胴差や床・屋根の接合部を強化する。 4.基礎を強化する。 5.梁などは間隔・長さに応じて必要な断面寸法を確保する。 ■ 等 高齢者等配慮対策等級3、4又は5であること 【戸建住宅の例】 1.高齢者等の寝室とトイレは同じ階に配置する。 2.床は段差のない構造とする。 3.階段は、安全に配慮した勾配とする。 4.階段、トイレ、浴室、玄関、脱衣室には原則として手すりを設置する。 5.介助用車いすで通行できる廊下幅(78cm)、出入口の幅(75cm (浴室の出入口は60cm))を確保する。 等 ■ 劣化対策等級3、かつ、維持管理対策等 級2又は3であること(マンションについて は、一定の更新対策が必要です。) 【戸建木造住宅の例】 1.外壁に通気層を設け、柱などに耐久性の高い材料を使用する。 2.床下に防湿用のコンクリート(60mm以上)を打設する。 3.床下・小屋裏換気口を設置する。 4.配管をコンクリート内に埋め込まない。 等 (注)各技術基準は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能表示制度の基準です。 (注)住宅性能評価書を取得しなくても【フラット35】Sをご利用いただけます。 (注)免震建築物は、住宅性能表示制度の評価方法基準1-3に適合しているものを対象とします。 (注)マンションにおける更新対策の基準は、躯体天井高の確保(2.5m以上)及び間取り変更の障害となる壁又は柱がないことです。 31 戸建住宅価格査定マニュアル プロセス6 付加価値率の決定 次の過程により付加価値率を決定します。 1 1 建物が有する付加価値の把握 2 付加価値率の算出 付加価値率の対象 ここでは、物件の質の向上に関して付加価値と認められる設備や図書などの保有状況に応じて、 建物価格の現在価値の見直し(割増)評価を行います。 「住宅履歴情報」や「インスペクション 報告書」などにより関連する情報が入手可能な場合は、それらに基づいて入力して下さい。 評価対象となる項目は次のとおりです。 ① 省エネルギー設備の導入 ●エコウイル(ガスによる発電・給湯器)、エネファーム(ガスによる家庭用燃料電池シス テム)あり ② 自然エネルギーの利用 ●太陽光発電機あり ③ セキュリティ設備の導入 ●防犯ガラスやリモコンオートロック等あり 2 付加価値率の算出 ●付加価値の加点率については、 「システム」に内蔵するとともに、入力画面にも表記してい ます。査定建物が「5.付加価値」タブの条件入力画面に列挙した各項目に該当する場合は、 当該項目を指定することにより、建物の現在価格に相応の割増を行います。 ●指定にあたっては、該当する項目のチェックボックスをオン( レ )にして下さい。具体 的な操作については、 「価格査定システム・操作ガイド」をご覧下さい。 32 戸建住宅価格査定マニュアル プロセス7 補正率の決定 次の過程により補正率を決定します。 1 1 建物の外観、施工状況、外構、間取り・日照の良否の把握 2 補正率の設定 補正率の対象 ここでは、建物の外観、施工状況、外構、間取り・日照の良否について、各項目の状態を判定 し、必要に応じて建物価格を調整します。 現地における目視調査のほか「住宅履歴情報」や「インスペクション報告書」などにより関連 する情報が入手可能な場合は、それらに基づいて入力して下さい。 評価対象となる項目は次のとおりであり、各補正率は「システム」の「5.付加価値」タブの条 件入力画面で調整できます。 2 ① 外観補正率 ② 施工補正率 ③ 外構補正率 ④ 間取り・日照の良否 補正率の設定 ① 外観補正率 ■外観補正の判定 建物の外観、デザインなどを判定し、加減比率を決定します。 ■外観補正率の決定 0.90~1.10の範囲で設定が可能です。 良い場合は、+5%~+10%の範囲で加点、悪い場合は-5%~-10%の範囲で減点 補正して下さい。 ●「システム」では、補正率のクリックボタンを押して、0.05刻みで調整できます。 ② 施工補正率 ■施工補正の判定 建物の施工の質・程度の良否などを判定し、加減比率を決定します。 例)柱と鴨居の接合部分や建具の建付けの良否、床のきしみや雨漏り(カビ)の跡の有無 から判断します。 33 戸建住宅価格査定マニュアル ■施工補正率の決定 0.90~1.10の範囲で設定が可能です。 良い場合は、+5%~+10%の範囲で加点、悪い場合は-5%~-10%の範囲で減点 補正して下さい。 ●「システム」では、補正率のクリックボタンを押して、0.05刻みで調整できます。 ③ 外構補正率 ■外構補正の判定 門・堀・植栽等の外構の程度の良否を判定し、加減比率を決定します。 ■外構補正率の決定 0.95~1.05の範囲で設定が可能です。 良い場合は、+5%の範囲で加点、悪い場合は-5%の範囲で減点補正して下さい。 ●「システム」では、補正率のクリックボタンを押して、0.05刻みで調整できます。 ④ 間取り・日照の良否 ■間取り・日照の良否の判定 間取りの広さや南面居室の数、日照の状況などを判定し、加減比率を決定します。 ■間取り・日照の良否の補正率の決定 0.97~1.03の範囲で設定が可能です。 以下の項目について、+1%~+3%の範囲で加点、-1%~-3%の範囲で減点補正し て下さい。 ●「システム」では、プルダウンメニューから、以下の7段階で調整できます。 ■間取り・日照の良否 最優良 優良 良い 標準的な間取り やや劣る 劣る 悪い ⑤ 参考基準 6LDK以上、南面居室3部屋以上等 5LDK、南面居室3部屋以上等 5LDK、或いは南面居室3部屋以上等 4LDK、南面居室2部屋以上等 3LDK、日当たり良好等 3LDK、日当たり不良等 2LDK以下、日当たり不良等 補正率 1.03 1.02 1.01 1.00 0.99 0.98 0.97 補正率の算出 補正率=外観補正率×施工補正率×外構補正率×間取り・日照の良否の補正率 34 戸建住宅価格査定マニュアル プロセス8 建物価格の算出 これまでの過程で算出された結果により、建物価格が算出されます。 ●ここで、 「システム」の条件入力画面の「計算」ボタンを押すことで建物価格が算出されま す。なお、建物価格はプロセス1・2の入力後は、いずれのタブの画面でも条件変更を行 った段階で「計算」ボタンを押すことにより算出が可能です。 ●具体的な操作については、 「価格査定システム・操作ガイド」をご覧下さい。 プロセス9 戸建住宅価格の算出 建物価格と土地価格を合算します。 建物価格 ( 土地価格 万円+ 戸建住宅価格 万円 )= 万円 土地価格の合算方法 「住宅地価格査定システム」を利用して土地部分の価格を算出した場合は、 「6.流通性比率等」 タブの条件入力画面上で「呼出(住宅地価格) 」ボタンを押し、住宅地価格査定システムから査 定結果を呼び出して入力して下さい。 それ以外の方法で土地部分の価格を求めた場合は、その結果を「土地価格」の欄に手入力して 下さい。 ●呼び出した住宅地価格に流通性比率が含まれる場合は、 「土地価格」欄には流通性比率によ り調整する前の価格が設定されます。 ●具体的な操作については、 「価格査定システム・操作ガイド」をご覧下さい。 35 戸建住宅価格査定マニュアル プロセス 10 流通性比率による調整 プロセス9で求めた戸建住宅価格について、市場流通性の優劣が認められる場合は、 流通性比率を乗じて戸建住宅価格を調整します。 戸建住宅価格 ( 1 流通性比率 万円× )= 調整後の査定価格 万円 流通性比率による調整 査定した戸建住宅が売りやすい物件か、売りにくい物件なのかという市場流通性の程度(これ を流通性比率といいます)を判断して、戸建住宅価格を調整します。 2 一般的な基準による調整 以下の基準を総合的に判断して「6.流通性比率等」タブの条件入力画面で、±5%の範囲内 (流通性比率0.95~1.05)で調整します。 ●査定する戸建住宅の所在地域における既存流通市場の需給関係 ●購入者層と購入価格帯 ●単価と総額の関係 ■流通性比率判定の例示 流通性比率 1.05 参考基準 査定物件の市場流通性が優れる ・査定額が購入者層の予定価格帯を下回っている ・売物件が少なく希少性が高い ・人気のある地域や物件であり売り易い 1.00 査定物件の市場流通性は標準的である 0.95 査定物件の市場流通性が劣る ・査定額が購入者層の予定価格帯を上回っている ・売物件が多く供給過多の状況にある ・新築物件と競合するなど売却が難しい状況にある 3 駐車施設が設けられないことなどによる調整 都心部における駐車関連法令の運用により、査定する戸建住宅に車庫その他の駐車スペースを 設けることができないために売りにくい要因となっている場合などは、マイナス10%の範囲 内(流通性比率0.90)で調整します。 ●上記2と3を合わせた場合の流通性比率は0.85~1.05の範囲となります。 36 戸建住宅価格査定マニュアル 査定プロセスの例示 ここでは、前ページまでに解説した各プロセスの具体的な計算例について、パソコンを 利用した「価格査定システム」の入力手順に沿って、一定の条件を入力した場合の画面 イメージとともに示します。 ☆なお、ここで示した画面イメージは説明用のもので、実際のパソコン画面のデザイン とは異なります。 ▼画面「1.基本情報」~プロセス1・プロセス2 「基本情報」タブにおけるプロセス1・2の段階では、簡便な査定額を計算することができま すが、その計算値はプロセス3以降の建物に関する各種情報を加味しない最低査定額に近い値 となります。 (部位別品等格差率はC級 <一般住宅> 仕様と判定され、最短耐用年数で計算されます) 印刷 査定条件入力 保存 査定一覧 条件記入用紙 補助機能 条件クリア 終了 ↓太字の必須項目を入力後、「計算」ボタンを押すと価格が自動計算されます。 建物価格 計算 1.基本情報 土地価格 ( 万円+ 万円 )× 2.基礎・建築材料 3.修繕履歴 4.住宅性能 流通性比率 査定物件価格 1.00 = 万円 5.付加価値 6.流通性比率等 ★ ヒント表示 ⇒ 基本的な情報を入力することにより、初期段階としての簡易的な査定が行えます。 ■管理情報 ①管理番号 ②氏名 ③所在地 ④担当者名 2012-K10001 ○川 ○郎 様 東京都○○区○○1-1-1 近代不動産(株) 営業一課 近代 ■プロセス1 <査定標準単価の決定> ①所在地域 ②建物の構造(工法) ③査定標準単価 東京都 ▼ 木造軸組 ▼ 179,200 円/㎡ :自動出力結果の数値フィールド ↑査定標準単価には、標準的外構工事費を含みます。 ■プロセス2 <規模修正率の決定> ①総延床面積 ②規模修正率 100.00 ㎡ 1.00 ■経過年数 ①築年月 1987 ②査定年月日 2012 ③経過年数 25 ④新耐震基準の適合性 新耐震基準に適合 ▼年 ▼年 年 ▼ 6 ▼月 7 ▼月 11 ▼ 日 ↑ここでは、新耐震基準(1981年6月1日施行)への適合状況について確認します。 登記簿上の建築日付が1982年(昭和57年)1月1日以後の住宅は、原則として新耐震基準に適合していると判断します。 37 戸建住宅価格査定マニュアル 前ページの画面1のイメージに示した条件(東京都・木造軸組・延床面積 100 ㎡・築 25 年、 建物判定はC級仕様)の場合における簡便な査定例は、以下のようになります。 ■部位別の価格構成比とC級仕様適用時の耐用年数・現価率等 部位別 価格構成比 土木・基礎 躯体(柱) 屋根 外壁 開口部(外部・内部) 内装(床、壁、天井、収納) 厨房・浴室・洗面所・トイレ 給排水・給湯設備 照明器具・電気設備 冷暖房 合 計 耐用年数 (C級仕様) 5.00% 16.50% 5.50% 8.50% 16.50% 17.50% 14.50% 7.00% 4.00% 5.00% 100.00% 残存年数 (築25年) 35年 30年 10年 15年 15年 20年 15年 15年 15年 5年 部位別 現価率 価格構成比を考慮 した部位別現価率 10年 35.71% 5年 25.00% 0年 10.00% 0年 10.00% 0年 10.00% 0年 5.00% 0年 5.00% 0年 5.00% 0年 5.00% 0年 5.00% 建物全体の現価率→ 1.785% 4.125% 0.550% 0.850% 1.650% 0.875% 0.725% 0.350% 0.200% 0.250% 11.360% ■簡便な査定の計算例 査定標準単価 179,200 円/㎡ 規模修正率 × 1.00 建物全体の 品等格差率 (C級仕様) 新耐震基準 の適合性 (補正率) × 1.00 × 0.80 再調達単価 = 143,360 円/㎡ 上の表中の「建物全体の現価率」を用いて、建物査定価格を算出します。 建物全体 の現価率 再調達単価 143,360 円/㎡ × 11.36% 総延床面積 × 100.00 ㎡ 建物査定価格 = 163 万円 ※数値のうち係数(規模修正率など)は小数点第2位まで表示しています。 ただし、内装設備調整率、住宅性能率、付加価値率、補正率は、 「価格査定システム」上の 実際の計算では、小数点第4位を四捨五入し、小数点第3位までの数値を使用しています。 したがって、価格などは上記で表示した数値を単純に乗じた結果とは異なる場合があります。 38 戸建住宅価格査定マニュアル ▼画面「2.基礎・建築材料」~プロセス3 プロセス3では、建物の基礎および使用されている建築材料を評価し算定した建物全体の品等 格差率に基づき、査定建物の再調達単価を計算します。 印刷 査定条件入力 保存 査定一覧 条件記入用紙 補助機能 条件クリア 終了 ↓太字の必須項目を入力後、「計算」ボタンを押すと価格が自動計算されます。 建物価格 計算 1.基本情報 土地価格 ( 万円+ 2.基礎 ・建築 材料 万円 )× 3.修繕履歴 流通性比率 1.00 = 4.住宅性能 査定物件価格 万円 5.付加価値 ■プロセス3 <部位別品等格差率の決定> 6.流通性比率等 :自動出力結果の数値フィールド ★ ヒント表示 ⇒ 部位ごとに使用されている部材の品等を反映することにより、建物の部位別の再調達価格を評価します。 「設計図書」や「住宅履歴書」等により関連する情報が入手可能な場合は、それらに基づいて入力して下さい。 各部位の評価項目をクリックすると、建物全体の品等格差率が自動計算されます。 ①基礎の評価 標準(布基礎) ②建築材料の評価 項目 躯体(柱) ※この評価は木造軸組 (在来工法)の場合の み 品等格差率 屋根 品等格差率 外壁 開口部・内装 (インフィル) 建物全体の品等格差率 0.94 ←基礎を確認できない場合は「標準(布基礎)」とします。 ↓物件調査等で確認できない項目は、チェックを入れなければ「C級仕様」で自動計算されます。 ランク 外部・躯体 (スケルトン) ▼ 品等格差率 開口部 玄関ドア サッシ 雨戸 テラス 室内ドア ふすま 障子戸 品等格差率 床 壁 天井 収納 A級仕様部材 (高級住宅) B級仕様部材 (標準住宅) □ 桧12CM角上小節 C級仕様部材 (一般住宅) ## 檜10.5cm角 □ 杉 杉10.5cm角上小節 米栂 集成材(無節) 大壁造り(柱が見えない壁) ヒバ 1.20 1.00 0.80 日本瓦(地瓦) □ 日本瓦(上質) □ 厚型ストレート(平型) 高級S型洋瓦 釉薬瓦(瀬戸瓦) 鉄板瓦棒葺 天然ストレート葺 和型プレス色瓦 銅板葺 洋S型プレス色瓦 カラーベスト 1.50 1.00 0.70 吹付タイル □ タイル張り(1/3以上) □ 色モルタルリシン吹付 リシン掻落し スタッコ仕上げ 金属系サイディング ALC(軽量気泡コンクリート) セメント系不燃サイディング カラー鉄板(木目プリント) 石綿ボード張り 1.20 1.00 0.80 普及品・合板木製 □ 木製高級 □ アルミ高級(木調等) 高断熱装飾ドア 断熱ドア 一般ドア 高級品 標準品 普及品 断熱タイプ、断熱・防音、 塩ビ鋼板 鋼板 電動又は通風タイプの シャッター雨戸 高級テラス 標準品 普及品 高級品(ムクなど)、注文品 標準品 (突き板仕上など) 普及品 (化粧シートなど) 高級品 標準品 普及品 高級品 標準品 普及品 1.20 1.00 0.80 寄木張フローリング・化粧シート 突き板仕上フローリング □ ムク又は厚さのある突き板仕上 フローリング カーペット敷 仕上フローリング じゅうたん敷 (毛足10mm以上) 畳(標準品) パンチカーペット 畳(高級品) クッションフロア 畳(普及品) 新京壁(新じゅらく壁) □ 京壁(じゅらく壁) □ プラスター(漆喰壁) 布厚クロス、紙クロス(輸入品等) 布クロス(普及品) ビニールクロス 桧板張り 天然木化粧合板 杉合板 □ 銘木杉板張り □ プリント合板 布厚クロス 布クロス張り(普及品) ビニールクロス 普通 □ 収納力が高い □ 収納力が低い 品等格差率 1.20 39 1.00 0.80 戸建住宅価格査定マニュアル 設 備 (インフィル) 厨房 □ 高級システムキッチン □ システムキッチン (幅3.0m以上) (オールステンレス、天板:天然石等) 浴室 □ 高級、広い(1.25坪以上または (幅2.4m以上) (天板:人造大理石等) 標準品(1坪以上) システムキッチン (幅2.4m未満) セクショナルキッチン □ 標準品(1坪未満) 2箇所以上、浴室乾燥機あり) 洗面所 □ 高級品(カウンタータイプ) 標準品(洗面化粧台タイプ) (間口750mm以上) (幅1.2m以上) トイレ □ □ 洋風便器(多機能便座一体型) □ 標準品(洗面化粧台タイプ) 洋風便器(多機能便座一体型) (間口750mm未満) 普及品 及び独立した手洗器 品等格差率 給湯設備 品等格差率 照明器具 品等格差率 冷暖房 品等格差率 1.40 1.00 中型 □ (ガス給湯器24号相当以上) (ガス給湯器20号相当以上) 1.20 1.00 □ 高級品 □ 標準品 居室に主照明以外の間接照明 居室以外の廊下・トイレ・洗面等 あり にダウンライトあり 1.20 1.00 セパレート(3居室以上) □ ビルトイン、セパレート □ (4居室以上) 1.40 1.00 □ 大型 0.80 小型 (ガス給湯器20号相当未満) 0.80 普及品 0.80 セパレートのみ( 2居室以下) 0.75 ■参考:仕様別の建物全体の品等格差率 上の画面2の建築材料の評価で、建物の各部位の仕様がすべてA級・B級・C級だった場合 の品等格差率は、以下のようになります。 すべてA級の建物の場合 1.25 すべてB級の建物の場合 1.00 すべてC級の建物の場合 0.80 ■査定建物の再調達単価の計算例 上の画面2のイメージで示した条件(チェックレの入った材料のグレードを評価した場合) における再調達単価の計算例は、以下のようになります。 査定標準単価 179,200 円/㎡ 新耐震基準 の適合性 規模修正率 × 1.00 × 1.00 建物全体の 品等格差率 × 0.94 再調達単価 = 168,448 円/㎡ ※数値のうち係数(規模修正率など)は小数点第2位まで表示しています。 ただし、内装設備調整率、住宅性能率、付加価値率、補正率は、 「価格査定システム」上の 実際の計算では、小数点第4位を四捨五入し、小数点第3位までの数値を使用しています。 したがって、価格などは上記で表示した数値を単純に乗じた結果とは異なる場合があります。 40 戸建住宅価格査定マニュアル ▼画面「3.修繕履歴」~プロセス4 プロセス4では、屋根や外壁、内装・設備の修繕状況を入力し、部位別の現価率を算定した 上で、査定建物の現在単価を計算します。 印刷 査定条件入力 保存 査定一覧 条件記入用紙 補助機能 条件クリア 終了 ↓太字の必須項目を入力後、「計算」ボタンを押すと価格が自動計算されます。 建物価格 計算 1.基本情報 土地価格 ( 万円+ 2.基礎・建築材料 万円 )× 3.修繕履歴 流通性比率 査定物件価格 1.00 = 万円 4.住宅性能 5.付加価値 6.流通性比率等 ■プロセス4 <部位別現価率の決定> ★ ヒント表示 ⇒ 主要な部位の修繕履歴を反映することにより、建物価格の評価を見直します。 「住宅履歴書」や「インスペクション報告書」等により関連する情報が入手可能な場合は、それらに基づいて入力して下さい。 [屋根の修繕状況] ①点検修繕工事歴 ②最終点検・部分補修工事 ③最終全面補修・取替工事 [外壁の修繕状況] ①点検修繕工事歴 ②最終点検・部分補修工事 ③最終全面補修・取替工事 あり ▼ 2007 ▼ 年 ▼年 なし [内装・設備の維持修繕状況] 評点項目 調整率 ①内装調整率(0.90~1.10) 0.95 ②設備調整率(0.90~1.10) 1.00 10 ▼ 月 ▼月 ▼ ▼年 ▼年 ▼月 ▼月 クリックボタン -0.05 +0.05 -0.05 +0.05 :自動出力結果の数値フィールド プロセス3・プロセス4で設定した入力条件を踏まえた部位別現価率の計算例は、以下のと おりです。 このケースでは、屋根の点検・部分補修を点検周期(6 年)内の 2007年10月に実施して いるため、耐用年数は最長の 30 年(残存年数 5 年)が適用され、屋根の手入れをしない場 合に比べて、現価率が高めに設定され、査定評価が上がる結果となります。 ■部位別価格構成比を反映した部位別現価率の計算例 部位別 価格構成比 土木・基礎 躯体(柱) 屋根 外壁 開口部(外部・内部) 内装(床、壁、天井、収納) 厨房・浴室・洗面所・トイレ 給排水・給湯設備 照明器具・電気設備 冷暖房 合 計 5.00% 16.50% 5.50% 8.50% 16.50% 17.50% 14.50% 7.00% 4.00% 5.00% 100.00% 耐用年数 (上記ケース) 35年 40年 30年 15年 15年 20年 15年 15年 15年 5年 41 残存年数 (築25年) 部位別 現価率 10年 35.71% 15年 43.75% 5年 25.00% 0年 10.00% 0年 10.00% 0年 5.00% 0年 5.00% 0年 5.00% 0年 5.00% 0年 5.00% 建物全体の現価率→ 価格構成比を考慮 した部位別現価率 1.786% 7.219% 1.375% 0.850% 1.650% 0.875% 0.725% 0.350% 0.200% 0.250% 15.280% 15.279% 戸建住宅価格査定マニュアル ■価格構成比を考慮した部位別現価率の計算方法(屋根の場合) 41ページ表中の「屋根」について、部位別現価率の計算方法を示します。 部位別現価率 (25.00%) 5.50% × (1-(1-0.1)÷30年×25年) ≒ 1.375% 部位別 価格構成比 現価率の 下限値 耐用 年数 経過 年数 価格構成比を考慮した 部位別現価率 ■建物全体の現在単価の計算例 41ページ表中の「建物全体の現価率」の考え方を用いて、建物全体の現在単価を算出します。 建物全体 の現価率 再調達単価 168,448 円/㎡ × 15.28% 現在単価 = 25,739 円/㎡ ■維持・修繕状況を加味した調整済の現在単価の計算例 さらに、内装・設備の維持・修繕状況を考慮した調整率を入力し、現在単価を調整します。 現在単価 25,739 円/㎡ 内装調整率 × 0.95 設備調整率 × 1.00 調整済の現在単価 = 24,452 円/㎡ ※上記の数値のうち係数(規模修正率など)は小数点第2位まで表示しています。 ただし、内装設備調整率、住宅性能率、付加価値率、補正率は、 「価格査定システム」上の 実際の計算では、小数点第4位を四捨五入し、小数点第3位までの数値を使用しています。 したがって、価格などは上記で表示した数値を単純に乗じた結果とは異なる場合があります。 <再掲> 部位別の耐用年数 屋根・外壁 屋根 外壁 (単位:年) A級仕様 (高級住宅) B級仕様 (標準住宅) C級仕様 (一般住宅) 最短 最長 最短 最長 最短 最長 点検周期 点検周期 点検周期 耐用年数 耐用年数 耐用年数 耐用年数 耐用年数 耐用年数 6 20 30 6 15 30 3 10 15 3 15 20 3 15 20 3 15 20 屋根・外壁以外 A級仕様 B級仕様 C級仕様 土木・基礎 35 35 35 躯体(柱) 50 40 30 開口部 15 15 15 内装(床・壁・天井・収納) 20 20 20 厨房・浴室・洗面所・トイレ 15 15 15 給排水・給湯設備 15 15 15 照明器具・電気設備 15 15 15 冷暖房 5 5 5 42 戸建住宅価格査定マニュアル ▼画面「4.住宅性能」~プロセス5 プロセス5では、住宅性能率について該当する加点項目をクリックして評価(下のケースでは +3.0%)を加えます。 印刷 査定条件入力 保存 査定一覧 条件記入用紙 補助機能 条件クリア 終了 ↓太字の必須項目を入力後、「計算」ボタンを押すと価格が自動計算されます。 計算 1.基本情報 建物価格 ( 2.基礎・建築材料 土地価格 万円+ 万円 )× 3.修繕履歴 4.住宅性能 流通性比率 査定物件価格 1.00 = 万円 5.付加価値 6.流通性比率等 ■プロセス5 <住宅性能率の決定> ★ ヒント表示 ⇒ 住宅性能や物件の質に関する付加価値項目を反映することにより、建物価格の評価を見直します。 「住宅履歴書」や「インスペクション報告書」等により関連する情報が入手可能な場合は、それらに基づいて入力して下さい。 [長期優良住宅に関する評価項目] □ 長期優良住宅の認定を受けている (長期優良住宅の普及促進法関連) ↑ここでチェックを入れた場合、下の項目で長期優良住宅の認定基準と重複する内容は入力不要となります。 加点率合計 [住宅性能に関する評価項目] 新築時の設計図書等<意匠、構造、設備関係の図書>あり 建築確認通知書もしくは検査済証あり (建築基準法関連) □ 住宅性能評価書<設計性能評価(新築住宅)・建設性能評価(新築住宅)のいずれか>あり (品確法関連) 住宅検査<インスペクション>報告書あるいは、住宅性能評価書<既存住宅>(品確法関連)があり、 □ 修繕補修や追加の専門調査が不要と診断された場合 加点率合計 [維持管理に関する評価項目] □ ハウスビルダー等が発行した長期修繕<維持管理・点検>計画に関する書面あり □ ハウスビルダー等が発行した長期修繕<維持管理・点検>計画に基づく点検・修繕記録あり 加点率合計 [保証等に関する評価項目] □ ハウスビルダー等が発行した品確法の瑕疵担保責任を超える長期(10年超)の瑕疵保証書あり □ 住宅検査<インスペクション>事業者等が発行した保証書あり 加点率合計 [融資に関する品質の評価項目] 旧公庫融資やフラット35適合物件もしくは、それと同等の性能を有するもの □ フラット35S適合物件もしくは、それと同等の性能(高い耐震性・バリアフリー性等)を有するもの 加点率合計 :自動出力結果の数値フィールド 43 +20.0% 0.0% +1.0% +1.0% +1.0% +1.0% +2.0% +1.0% +1.0% 0.0% +1.0% +1.0% 0.0% +1.0% +3.0% +1.0% 戸建住宅価格査定マニュアル ▼画面「5.付加価値」~プロセス6・プロセス7・プロセス8 印刷 査定条件入力 保存 査定一覧 条件記入用紙 補助機能 条件クリア 終了 ↓太字の必須項目を入力後、「計算」ボタンを押すと価格が自動計算されます。 建物価格 計算 1.基本情報 ( 2.基礎・建築材料 土地価格 万円+ 万円 )× 3.修繕履歴 流通性比率 査定物件価格 1.00 = 万円 4.住宅性能 5.付加価値 6.流通性比率等 ■プロセス6 <付加価値率の決定> ★ ヒント表示 ⇒ 住宅性能や物件の質に関する付加価値項目を反映することにより、建物価格の評価を見直します。 「住宅履歴書」や「インスペクション報告書」等により関連する情報が入手可能な場合は、それらに基づいて入力して下さい。 [評価項目] □ 省エネルギー設備の導入:エコウイル(ガスによる発電・給湯器)、エネファーム(ガスによる家庭用燃料電池システム)あり □ 自然エネルギーの利用:太陽光発電機あり □ セキュリティ設備の導入:防犯ガラス・リモコンオートロック等あり 加点率合計 +3.0% +3.0% +1.0% ±0% ▼建物価格に関する評価 ■プロセス7 <補正率の決定> :自動出力結果の数値フィールド ★ ヒント表示 ⇒ 建物の外観・施工・外構の状態により建物価格を補正します。 建物の外観や施工・外構の程度を評価し、必要に応じて下のクリックボタンを押して各補正率の範囲内で数値を調整してください。 クリックボタン 評点項目 補正率 ①外観補正率(0.90~1.10) 1.00 -0.05 +0.05 ②施工補正率(0.90~1.10) 1.00 -0.05 +0.05 ③外構補正率(0.95~1.05) 1.00 -0.05 +0.05 ④[間取り・日照の良否] ▼ 標準的な間取り ※参考基準:4LDK、南面居室2部屋以上等 補正率 1.00 ■プロセス8 <建物価格の算出> ①上の「計算]ボタンを押して「建物価格」を算出してください。 ②「基礎・建築材料」「修繕履歴」「住宅性能」「付加価値」のタブ内の条件を変更し、その都度[計算]ボタンを押すと、新しい建物価格が 算出されます。 プロセス6では、付加価値率について該当する加点項目をクリックして評価を加えます。 ここで、査定建物の現在単価に建物の総延床面積を乗じて建物全体の価格を算定し、さらに プロセス5・プロセス6の評価を加えて建物価格を計算します。 ■住宅性能・付加価値を踏まえた建物価格の計算例 調整済の現在単価 24,452 円/㎡ 総延床面積 × 100.00 ㎡ 住宅性能率 × 1.03 住宅性能・付加価値 を踏まえた建物価格 付加価値率 × 1.00 = 252 万円 ※上記の数値のうち係数(規模修正率など)は小数点第2位まで表示しています。 ただし、内装設備調整率、住宅性能率、付加価値率、補正率は、 「価格査定システム」上の 実際の計算では、小数点第4位を四捨五入し、小数点第3位までの数値を使用しています。 したがって、価格などは上記で表示した数値を単純に乗じた結果とは異なる場合があります。 44 戸建住宅価格査定マニュアル ■最終的な建物価格の計算例 プロセス7で、外観補正率、施工補正率、外構補正率、間取り・日照の良否等を入力し、プロ セス8で計算ボタンを押すと、これらの補正率を考慮した最終的な建物価格が計算されます。 外観 補正率 住宅性能・付加価値 を踏まえた建物価格 252 万円 × 施工 補正率 × 1.00 外構 補正率 × 1.00 間取り・日照 の良否 × 1.00 最終的な 建物価格 = 1.00 252 万円 ▼画面「6.流通性比率等」~プロセス9・プロセス 10 印刷 査定条件入力 保存 査定一覧 条件記入用紙 補助機能 条件クリア 終了 ↓太字の必須項目を入力後、「計算」ボタンを押すと価格が自動計算されます。 計算 建物価格 ( 1.基本情報 2.基礎・建築材料 土地価格 252 万円 3.修繕履歴 査定建物価格 流通性比率 2000 万円 + 1.00 = )× 4.住宅性能 5.付加価値 2252 万円 6.流通性比率等 ▼戸建住宅(建物+土地)価格に関する評価 ■プロセス9 <戸建住宅価格の算出> ①「住宅地価格査定システム」を利用して、敷地部分の価格を算出した場合は、下の[呼出(住宅地価格)]ボタンを押して下さい。 ポップアップで現れた画面上で、土地価格として採用する査定結果を選択し、[貼付]ボタンを押してください。 上の土地価格欄に金額が自動入力されます。 呼出(住宅地価格) ②上記①以外の方法で敷地部分の価格を求めた場合は、その結果を上の「土地価格」に手入力して下さい。 ■プロセス10 <流通性比率による調整> ★ ヒント表示 ⇒ 建物価格と土地価格を合算した価格を流通性比率で調整します。 必要に応じて、下のクリックボタンを押して+-5%の範囲で流通性比率を調整して下さい。画面上部の流通性比率の数値が変化します。 評点項目 ①流通性比率(0.95~1.05) 補正率 1.00 クリックボタン -0.05 +0.05 ↑駐車施設が設けられず売却しにくい等の理由で調整する場合は、最大マイナス10%まで加えて0.85~1.05の範囲内で調整できます。 :自動出力結果の数値フィールド ②その上で、画面上部の[計算]ボタンを押すと「査定物件価格」が算出されます。 ■査定物件価格の計算例 最後に土地価格(例では 2,000 万円)を入力し、必要に応じた流通性比率による調整を行い、 査定物件価格を算定します。 最終的な建物価格 252 万円 土地価格 + 流通性比率 2,000 万円 45 × 1.00 査定物件価格 = 2,252 万円 戸建住宅価格査定マニュアル 印 刷 帳票1・2の出力 各プロセスの入力条件と査定価格の算出結果は、2つの帳票に印刷することができます。 1 1 「査定条件表」の印刷 2 「物件価格の査定結果」の印刷 帳票1「査定条件表」の印刷 「システム」の条件入力画面の「印刷」ボタンを押すことで、プロセス1から 10 までの入力条 件等を示した「査定条件表」を印刷できます。以下に、帳票のイメージを示します。 なお、帳票1は、手元の入力条件の確認用資料などに利用いただけます。 査定条件表 印刷日 2012年00月00日 ■物件査定価格 建物価格 ( 252 万円 土地価格 + 流通性比率 2000 万円 )× 1.00 = 査定物件価格 2252 万円 ■管理情報 1. 管理番号 2. 氏名 2012-K10001 ○川 ○郎 様 3. 所在地 東京都○○区○○1-1-1 4. 担当者名 近代不動産(株) 営業第一課 近代 ■建物価格の査定条件 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 査定項目 査定標準単価 総延床面積 規模修正率 築年月 査定年月日 経過年数 新耐震基準適合性 基礎の評価 部位別品等格差率 内 容 179,200 円/㎡ 100.00 ㎡ 1.00 1987年6月 2012年7月11日 25 年 新耐震基準に適合 1.00 標準(布基礎) 1.00 躯体(柱) 1.00 屋根 1.00 外壁 1.00 開口部 0.80 床 0.96 壁 天井 収納 厨房 0.90 浴室 洗面所 トイレ 給湯設備 1.00 照明器具 0.80 冷暖房 1.00 建物全体 0.94 46 備 考 所在地域:東京都 / 構造:木造軸組 135㎡以上:0.95、 75~135㎡:1.00、 75㎡未満:1.05 標準住宅仕様 標準住宅仕様 標準住宅仕様 一般住宅仕様 標準住宅仕様、一般住宅仕様 標準住宅仕様 標準住宅仕様 標準住宅仕様 一般住宅仕様 標準住宅仕様 標準住宅仕様 一般住宅仕様 標準住宅仕様 一般住宅仕様 標準住宅仕様 戸建住宅価格査定マニュアル 査定条件表 印刷日 2012年00月00日 ■建物価格の査定条件 査定項目 10. 修繕状況 内 容 屋根 外壁 備 考 あり 最終点検・部分補修工事 2007年10月 なし 11. 維持修繕状況 内装調整率 設備調整率 長期優良住宅評価 12. 住宅性能率 住宅性能に関する評価 0.95 1.00 ±0.0% +2.0% 新築時の設計図書等あり 建築確認通知書もしくは検査済証あり 維持管理に関する評価 保証等に関する評価 融資に関する品質評価 13. 付加価値率 14. 補正率 外観補正率 施工補正率 外構補正率 15. 間取り・日照の良否 標準的な間取り 16. 流通性比率 ±0.0% ±0.0% +1.0% 旧公庫融資・フラット35適合もしくは同等性能有 ±0.0% 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 47 戸建住宅価格査定マニュアル 2 帳票2「物件価格の査定結果」の印刷 「システム」の条件入力画面の「印刷」ボタンを押すことで、プロセス1から 10 までの査定価 格の算出過程を示した「物件価格の査定結果」が印刷できます。以下に、帳票のイメージを示 します。なお、帳票2は、各社の「査定報告書」の添付資料などに利用いただけます。 物件価格の査定結果 印刷日 査定標準単価 a 179,200 円/㎡ 規模修正率 b 新耐震基準適合性 再調達単価(円/㎡) e = a×b×c×d 1.00 c 1.00 建物全体の品等格差率 (含 基礎評価) d 0.94 168,448 円/㎡ 建物全体の現価率 内装設備調整率 査定建物現在単価 h= e×f×g 総延床面積 i 2000 万円 g 15.28% 0.95 100.00 ㎡ 建物部分の価格 m= h×i×j×k×l n f 24,452 円/㎡ 住宅性能率 j 1.03 付加価値率 k 1.00 補正率 土地部分の価格 2012 年 00 月 00 日 l 1.00 252 万円 + 流通性比率 査定物件価格 o 1.00 (m+n)×o 2252 万円 ※上記の数値のうち係数(規模修正率など)は小数点第2位まで表示していますが、内装設備調整率(g) 、住宅性能率(j)、付加価値率(k) 、 補正率(l)は、「価格査定システム」上の実際の計算では、小数点第4位を四捨五入し、小数点第3位までの数値を使用しています。 したがって、価格などは上図で表示した数値を単純に乗じた結果とは異なる場合があります。 48 戸建住宅価格査定マニュアル 第4章 1 戸建建物価格査定システムの概要 システムの概要 (1)目的 ●建物価格を部位別の要素から算出するにあたり、煩雑な手作業を解消する ●複雑な計算を瞬時に実行する ●計算ミスを排除する ●条件変更による再計算を容易にする ●査定結果のデータベース化を可能とする (2)機能の範囲 基本的に戸建住宅の建物部分に関する条件入力を行い、査定結果を自動算出します。 土地部分の価格査定は別途、 「住宅地価格査定システム」を利用して算出して下さい。土地 価格の査定結果は、条件入力時に呼出機能を利用してシステム上で合算できます。 (3)入力上の必須項目 第3章で解説したとおり、条件入力画面の「1.基本情報」タブにおける「プロセス1・2」 は必須項目です。基本的には、可能な限り現地調査などを踏まえた詳細な条件入力を行い、 査定結果の精緻化を図ることが望まれますが、建物の所在・構造・規模・築年月を入力す るだけでも、簡便的な査定が可能となっています。 (4)画面・入力項目の説明 別添の「価格査定システム・操作ガイド」をご覧下さい。 (5)査定の入力例について 別添の「価格査定システム・操作ガイド」をご覧下さい。 (6)動作環境 別添の「価格査定システム・操作ガイド」をご覧下さい。 49 戸建住宅価格査定マニュアル 2 補助機能のご紹介 (1)条件記入用紙印刷 ①条件記入用紙とは 現地調査などで査定対象の建物に関する情報(システム上の入力項目)を記入するシー トです。 「システム」の査定条件入力画面に準じたレイアウトになっています。 ②用途 「システム」から印刷し、建物調査を行う際に持参して下さい。 建物の基本的な情報や詳細な状況の調査に際し、その結果を記入するメモ帳として利用 できます。 (2)「建築材料修正」画面 ①「建築材料修正」画面とは 各部位の等級ごとに設定されている建築材料の修正を行う画面です。 ②用途 地域特有の事情に応じて、各部位の建築材料と等級の見直しを行う場合に利用できます。 (3)建築費㎡単価の読込み ①建築費㎡単価の読込みとは 所在都道府県、建物の構造(工法)ごとの査定標準単価(円/㎡)ファイルを読み込む機 能です。 ②用途 査定標準単価は、当センターで毎年度更新しており、最新データを読込む機能により「シ ステム」の査定標準単価は最新データに更新されます。 次ページ以降に、当システム結果を利用したお客様(査定依頼主)への査定報告書の雛形 を掲載しています。ご参考にして下さい。 50 戸建住宅価格査定マニュアル 参考雛型 様 年 月 日 価格査定報告書(戸建住宅) 1.本報告書について ●本報告書に記載された内容は、ご報告年月日現在のものですので、その後の法令の改正や 市場動向等により変化が生じる可能性があります。 ●本報告書は、 「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づく不動産鑑定評価書ではなく、また 他の用途に利用することはできませんのでご注意下さい。 ●本報告書は、公益財団法人 不動産流通近代化センターの「既存住宅価格査定マニュアル」 を利用して作成したものです。 2.査定戸建住宅の概要 所在地 土地面積 用途地域 建物面積 建物構造 査定年月日 備 考 ㎡( 地域 ㎡ 1階 年 月 坪) 交 通 (建ぺい率 % 2階 ㎡ 接面道路 日 建築年月 容積率 延床面積 %) ㎡ 年 月 3.査定建物の再調達単価(査定建物と同等の建物を査定時に新築する場合の単価) 査定標準単価 円/㎡ × 建物全体の 品等格差率 新耐震基準の 適合性(補正率) 規模修正率 × × 再調達単価 ≒ 円/㎡ ・査定標準単価:都道府県別・建物構造(工法)別に算定します ・規 模 修 正 率 :総延床面積 75 ㎡未満=1.05 ・新耐震基準の適合性:適合=1.00 75 ㎡以上 135 ㎡未満=1.00 135 ㎡以上=0.95 適合せず=0.95 (新耐震基準とは 1981 年 6 月 1 日施行の建築基準法改正による耐震基準です) ・建物全体の品等格差率:0.80~1.25 の間で算定します 4.査定建物の現在単価 再調達単価 現価率 円/㎡ × 内装調整率 × 現在単価 設備調整率 × ≒ ・現 価 率 :建物の各部位(柱・屋根等)別の耐用年数に基づき、経年劣化を考慮した現価率を 算定します。なお、点検・補修・取替工事等を定期的に行っている場合、耐用年数 は延長されます(現価率は上昇) ・内装調整率:建物内部の床・壁・天井等の維持管理・リフォームの状況等により 0.90~1.10 の 範囲で調整します ・設備調整率:厨房・浴室等の水廻り設備等の維持管理・リフォームの状況等により 0.90~1.10 の範囲で調整します 51 円/㎡ 戸建住宅価格査定マニュアル 5.査定建物の現在価格 総延床面積 現在単価 住宅性能率 円/㎡ × × ㎡ × 査定建物の 現在価格 付加価値率 ≒ 円 ・住宅性能率:新築時の設計図書や建築確認通知書、長期修繕計画書や瑕疵保証書等の保有、公的 融資を受けるような性能を有している場合は、建物の現在価格を加点評価します ・付加価値率:省エネルギー設備(エコウイル・エネファーム)や太陽光発電設備、セキュリティ 設備を導入している場合は、建物の現在価格を加点評価します 6.査定建物の現在価格の補正 査定建物の 現在価格 外観補正率 円 × 施工補正率 間取り・ 日照の良否 外構補正率 × × × 査定建物の 価格 ≒ ・外観補正率:建物の外観・デザイン等を判定し、現在価格を 0.90~1.10 の範囲で補正します ・施工補正率:建物の施工の質・程度の良否等を判定し、現在価格を 0.90~1.10 の範囲で補正します ・外構補正率:門・堀・植栽等の外構の程度の良否を判定し、現在価格を 0.95~1.05 の範囲で補正します ・間取り・日照の良否:間取りの広さや日照状況を判定し、現在価格を 0.97~1.03 の範囲で補正します 7.戸建住宅(建物+土地)価格 査定建物の価格 土地の価格 戸建住宅価格 円 + 円 円 = ・土地の価格:査定戸建住宅の近隣の取引事例との比較等により算定します 8.査定戸建住宅価格 戸建住宅価格 査定戸建住宅価格 流通性比率 円 ≒ 円 × ・流通性比率:査定建物の売りやすさ・売りにくさといった、市場流通性の程度(流通性比率)を 判断して、戸建住宅価格を 0.95~1.05 の範囲で調整します 9.地域・市場状況等に基づくコメント ■参考:近隣の戸建住宅の売り出し事例( 情報公開日 年 所在地 月 日現在) 売出価格 土地面積 建物面積 建築年月 ■査定会社 社名・営業所名: 担当(査定者) : 責任者: 52 TEL: FAX: - - - -