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平成23年度地域公共交通ロールプレー研修 実施結果 1.日程等 日 程
平成23年度地域公共交通ロールプレー研修 実施結果 1.日程等 日 程 平成 23 年 11 月 11 日(金) 9:45~16:00 場 所 関市役所 市民ホール 研修員 市町村の交通政策担当者及び運輸支局職員 18 名 2.研修のテーマ等 【テーマ】 住民のバスに対する意識を向上させるための行政の役割を再認識するとともに、モデル地域(関 市武芸川地域)が抱える課題について今後の方策を検討する。 【前提及び背景】 ①武芸川地域は、岐阜市・美濃市・山県市と接しており、日常的に広域的な移動が見られる地 域である。 ②幹線を担うバスとは別に、無償で運行される地域内交通(試験走行バス)がある。 ③関市としてはコミバスとのバランスも考慮して、地域内交通の有料化を模索している。 【整理するポイント】 ・広域的な幹線を保持しつつ、地域を主体とするにはどのようなプロセスを踏むべきか。 ・地域が主体として考えた場合、無料バスを有料化すべき観点とは何か。また有料化に向けて どういうプロセスを踏むべきか。 3.基調講義及び補足説明 基調講義「住民による地域のための公共交通」 ~生活の足を超える地域公共交通の役割~ 名城大学理工学部建設システム工学科 松本幸正教授 グループワークに向けた補足説明 「関市における幹線バスと地域内バスについて」 関市企画部まちづくり推進課 山田和伸主任主査 4.グループワークの手順 研修員を3グループに分け、次の手順により進めました。 ①事前配布した武芸川地域に関する資料を元にメンバーが各々で作成した 「事前レポート」を持ち寄り、どのような点に着目したか、フィールドワ ーク中の確認事項等について整理する。 45 分 ②インタビュー等にかかる時間や、現地までの交通手段について決める。 ③メンバーの役割分担と決め、 「行動計画表」に取りまとめる。 ④行動計画に従って、フィールドワークを行う。 → 165 分 ⑤フィールドワーク後に班別討議を行い、発表資料をまとめる。 → 60 分 5.グループワークの概要 [行動計画の検討・作成] 上記4.の手順を踏まえ、A~Cの3グループにおいて次のような行動計画が立てられました。 Aグループ Bグループ Cグループ 住民がバスに対してどの 武芸川地域における、バス 地域が主体となることと、 着眼点 ような意識を持っている に対する住民の意識(目 無償バスを有料化するこ か 的・必要性) とについての課題整理 ◎コミバス車内でのヒア ◎コミバス車内でのヒア ◎コミバス車内でのヒア リング及び施設見学 リング及び施設見学 リング及び施設見学 ◎武芸川地域の住民ヒア ◎武芸川地域の住民ヒア ◎武芸川地域の住民ヒア 行 動 リング リング ◎関市役所付近への来訪 リング ◎交通事業者ヒアリング 者に対するヒアリング 分 担 武芸川地域に行くメンバ メンバー全員で武芸川地 武芸川地域に行くメンバ ーと、市役所に残るメンバ 域に行き、ヒアリングの相 ーと、市役所+交通事業者 ーに分けた。 手によって分担した。 に行くメンバーに分けた。 [フィールドワーク] 行動計画を元に、ヒアリングを中心とした模擬的な調査を行いました。 武芸川事務所(旧:武芸川町役場)に、住民代表・施設管理者・社会福祉協議会の方に待機して 頂き、各グループのメンバーが質問をする形で進められました。 コミバス(関板取線)に乗 車し、一般の乗客に対して 武芸川地域の住民代表(武芸川地域 武芸川温泉の施設管理者ヒアリング もヒアリングができてい バス運営協議会)ヒアリング (奥は社会福祉協議会) ました。 [討議・レポート作成] 研修会場に戻り、レポート作成に向けたグループ討議が行われました。 ヒアリング結果を元にした、着眼 KJ法による討議 点の整理 メンバーの一部がヒアリングに行 っている間に現状を整理 [発表] まとめた成果について、グループごとに発表を行いました。 Aグループ Bグループ Cグループ 関市役所に隣接する「わかくさプ バスに対する住民の意識につい 地域を主体とすることについて ラザ」等の施設が交流の拠点と て、必要性・料金・目的のカテゴ の課題、有料化に向けた課題を して核を成し、公共交通が単な リーに分けて考えられました。 それぞれ分けて考えられまし る移動手段ではなく、交流の装 無料・有料もあるが、そもそも地 た。 置としての役割を担っていること 域がバスを必ずしも必要として 温泉施設は地域づくりの核とな について整理。 いな い部分が 見受 けられ た た り得るものの、交通に関して連 バスに対する意識についても、 め、分かりやすい路線、バス事 携がうまくされていないと指摘。 バスを必要としている人とそうで 業と施設の連携を改善していく また、有料化に向けては、地域 ない人の双方から聞き取ること ことによって、バスへの意識が としては有料化すれば利用が無 ができており、意識をさらに高め 高められるのではないかと整理 くなる等の意識があるため、現 ることの必要性が説明されまし されました。 状のままでは難しいだろうと整 た。 理されました。 6.アンケート集計 研修修了後、研修員からアンケートを回収しました。 (16 通/18 名) 全体としては、フィールドワークを取り入れた研修に対しては非常に肯定的な意見が多く寄せら れました。また、 「時間不足」については当初の懸念どおりとなってしまい、テーマの設定について も改善の余地があるものと思われます。 質問Ⅰ 今回の研修について、トータル的に見た率直な感想(複数回答) 0 2 4 6 8 10 12 地域の課題が見えやすい 自市町村との比較がしやすい 自市町村でも開催して欲しい 内容について検討が必要※ 調査ではなく見学でよい 講義形式だけでよい その他 ※検討すべき具体的な内容 ・時間が短い(長くして欲しい) ・他地域の状況が分かりづらい ・課題を明確にする ・ヒアリング対象(選択肢)を増やす ・ホスト市町村の公用バスが使えないか ・ホスト市町村の本当の悩みが聞きたい 質問Ⅱ 研修期間について 0 1 2 3 4 5 6 7 8 複数回に分ける 研修期間を延ばす 1日間で妥当 その他※ 「1 日間で妥当」は、事前資料の送付や独学で概ねカバーできることが前提。 ※その他の意見 ・1 泊 2 日 ・1 回目でフィールドワークを行い、2 回目でまとめをする ・高い成果を求めるのであれば日にちを増やしてもよい ・1 日でできるのが良いが、2 日間で行うのも有意義なものになると思う ・熟考した結果を出すには 1 日では難しいかもしれない 質問Ⅲ 今後研修で取り上げて欲しいテーマ(複数回答) 0 2 4 6 8 10 法律や規則等の解説 交通ネットワークの評価手法 計画策定に向けた調査手法 アンケート・ヒアリング手法 その他※ ※その他の意見 ・より実践型の研修 質問Ⅳ 自由記述 ・地域の方々の意見が聞けることは大変有意義だった。 ・このタイプの研修はおもしろかった。 ・ロールプレーの前に住民目線で考えるような研修(チェックイン)があるとよい。役所 的な考えが多くなってしまったような気がする。 ・時間が短かったため、次回は 2 日間で行った方が良い。関市に絞って研修ができたこと は、視野が広くなって良かった。 ・フィールドワークにもっと時間が取れると良いと思う。 ・フィールドワークに時間や労力をかけすぎてしまい、議論があまりできなかった。 ・関市の担当者もフィールドワークに同行した方が良かったと思う。他の市町村独自の価 値観や発想から気づくことがあったような気がする。 ・時間が短いように感じたが、逆に効率的に全員の意見をまとめる必要があったので、テ キパキ進めることができた。 ・講義型研修では隣の方と話すことはないが、今回は意見交換が気軽にできて良かった。 次回も参加したい。 [岐阜運輸支局の所見] ・ある程度経験年数の長い研修員にグループリーダーを担ってもらったことと、研修員 18 名中 11 名が事前レポートを持参していたため、比較的スムーズに行動計画が立てられたものと思われ ます。事務局としては、行動計画の作成こそがフィールドワークに臨むために最も重要な過程 と考えていたため、非常に真剣に取り組んでもらえたことは大変ありがたかったです。 ・武芸川地域へ行くメンバーについては、コミバス(関板取線)で向かった場合、時間内に帰路 で使えるバスがないため、バスで向かう者と庁用車で向かう者に分かれる工夫がなされました が、実際の通院や買い物等の動きを考慮する等、カリキュラムの設定に問題があったと認識し ております。 ・効率よくまとめることも研修のうちですが、移動に時間を取られ過ぎるため、テーマをもう少 し絞り込む必要があったと思われます。 ・施設や利用環境の整備を題材とした場合、地域によっては研修後の活用ができない恐れがあっ たために「公共交通に対する住民の意識」をキーワードとして設定しましたが、この点につい ては研修員からある程度の理解を得られたものと思われます。 ・地域公共交通を考えていく上では地域特性や現状等を勘案しなくてはなりませんし、時期によ っても異なるため、 “統一的な正解”がありません。人員や予算等の制約の中で、正解を模索す ることを習慣づけるためには、講義形式よりも実践的な研修の方が今後に活かせる可能性が高 いと判断できましたので、今回の反省点等も踏まえ、国が行う人材育成の一環として引き続き 実施をしていきたいと考えております。 ・複数回に分けたり、研修期間を延ばしたりしてでも長期的・集中的に取り組むことによって、 さらに効果が上がる可能性がありますが、逆に市町村担当者が参加しづらくなる可能性もあり ますので、モデル地域の選定と併せて今後検討していきたいと考えております。