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レポート添削指導に関する事例報告 - 長崎大学 学術研究成果リポジトリ

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レポート添削指導に関する事例報告 - 長崎大学 学術研究成果リポジトリ
NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
レポート添削指導に関する事例報告
Author(s)
田町, 典子
Citation
經營と經濟. 2007, 87(1), p. 103-164
Issue Date
2007-06
URL
http://hdl.handle.net/10069/21369
Right
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http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
1
03
レポー ト添削指導 に関する事例報告
《資
料》
レポー ト添削指導に関する事例報告
田
町
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n
1.は じめに
想定外 とい うわけで もないが,大学 に赴任 して,学生の書 く文章 に頭の痛
い思いをさせ られている。経験 か らみて も,大学 を出て就職 したばか りの新
人たちの文章でさえ相当な ものだったのだか ら,学生な らまあ こんな ものな
のだろう。我が身を降 り返 って も,指導教授 に付 くまではきちん と文章を書
く指導 をして もらった記憶 がない。初等 ・中等教育で も読書感想文やエ ッセ
イは書 いたが,レポー トの指導はなかった。
しか し,事実や意見を文書で きちん と伝 える能力は,社会人 として不可欠
の技能である。 どこかで きちん と身につけるべ き技術であることは間違いな
1
0
4
経 営 と経 済
い。昔な ら,新入社員は先輩や上司にいろいろ指導 して もらえたが,最近で
は即戦力 としての働 きが期待 される。それに対 して大学は,その技能 を育成
しているだろうか。
卒論 に着手する段階になって初めて,この ような技能が全 く培われていな
い ことが判明する。学生生活で相当数のレポー トを こな し,論述式の試験 も
潜 り抜け,単位 を獲得 して きたはずの学生たちが,であ る。考 えてみれば,
レポー トや試験 は出 しっぱな しでフィー ドバ ックがない。読む指導教官の頭
痛の種 になるだけでお蔵入 りにな り,学生はレポー トを書いた という自信ば
か りを積み上げてい く。 レポー トの書 き方の本を紹介 して も, 自信 と疑似成
功経験 を積んだ学生は 目を向け ようともしない。そ して卒論執 筆 に入 って初
めて, もはや基礎 を学ぶ時間的余裕 もないことに気づ く。
やは りもっ と早い段階で, レポー トの書 き方を身 につけさせ る必要がある
に違いない。本を紹介するだけでは 目もくれず,輪読 させて も自分の担当部
分 しか頭 に入 らない学生が少な くないなかで,また,書いて も書 きっぱな し
で しかない現状では,単にレポー トを提出させるだけではな く,添削 して修
正 させ る とい うフ ィー ドバ ックが必要だろう。ただ,この作業は指導側 もか
な り負担が大 きい。なにしろ読むだけで頭の痛 くなるレポー トの方が多いの
だ。 とはいえ, とりあえず既存の演習のクラスで試行 してみることに した。
以下は,その結果を取 りま とめた ものである。
2.指導の枠組み
1)集合教育
テキス トを利用 して レポー トの書 き方を指導す ることは,①効率的な学習
のために整理 された知識を提供する,②後で必要 に応 じて参照する場合にも
有効, という利点がある。ただ,文章 を書 くことは一種の技術なので,具体
例 に即 して理解する,実際 にや ってみる, とい うプロセスが伴 って こそ身 に
レポー ト添削指導に関する事例報告
1
05
つ くといえよう。そ こで,今回の演習では,豊富な具体例,多 くの練習問題,
自習可能性を考慮 して,詳 しい解答例のついたテキス トを採用 した1
。比較
的易 しいものを選んだつ もりだ ったが,難 しかった,知 らない ことが多かっ
た, という学生の感想をみる と,妥当な水準だったのだろう。
2)個人指導
技能 を身につけるには 自ら経験することが不可欠である。このため,レポー
トを提 出させ,添削 して, 自ら修正 させるサイクルを, レポー トの内容が一
定水準 に達す るまで繰 り返す。添削は,レポー トを受け取 ってなるべ く早い
タイミング (1- 2日)でコメン トをつけて返却, 1週間以内に修正 して提
出させ る枠組で行 う。これを 4ヶ月の演習期間に 3回 (
各月 1本)実施 した。
今回の レポー ト指導では,文章 を書 く能 力に主眼を置いた2
。そのための
手法 として,課題図書をベースに情報を整理 し,それを論拠 として結論 をま
とめさせた。
レポー トがレポー トであるためには,問題を設定 し,論拠 を示 して,結論
を述べ ることが不可欠である。問題意識を念頭 に課題図書を読 ませ るため,
初 回はあ らか じめ問題を設定 して レポー トを作成 させた3。 2回 目以降は,
各 自に課題図書を選定4させ,問題意識 も各 自設定 させた。
なお,確実 にレポー ト作成 ・
修正を行わせ るために,締切 に減点方式 を設
定 した5。一方 ,添削に従 って修正 させ るので添 削終了時 には一定の レベル
には達 しているはず, とい うやや楽観的な想定の下,達成度 についての評価
1 浜田他 (
1
99
7
)
2 資料 ・
デー タの収集 ・
分析手法については,今回の指導対象 としていない。
3 課題図書はハフ (
1
9
8
3
,Appe
ndi
x 1.
参照)
。問題設定は,Appe
ndi
x2.
の②③。
4 リス ト (
Appe
ndi
x 1.
参照)か ら選択 させ,重 な らないように調整。 これによ り盗作
を防 く
小目的 もあ る.
5 Appe
ndi
x3.
参照。
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t
川
経 営 と経 済
は行わなかった6。
3)集合教育 と個人指導 との連携
テキス トで身 につけた知識や技術を レポー ト作成の経験 として習得 してい
くことは効果が高い と考 え られるが,それには両者が有機的に連携されなけ
ればな らない。 しか し, 4ヶ月の演習期間では,テキス トで学習 した後で レ
ポー トを作成す る時間的余裕がない。 このため,テキス ト未履修部分の指導
を添削で行 うことにな り,個人指導の負荷が高 くなる。学生に とって も非効
率であろう。 この点は改善の余地があ る (
後述)。 ただ,テキス トで学習済
みの内容 について も,それを踏 まえた形では作成 されていないレポー トが多
いので,両者の連携 を改善することによって どの程度の負荷軽減になるか疑
問 もある。
4)個人指導か らの脱落
演習参加者は当初 2
0
名, うち 1
3
名が単位を取得 した。脱落 した 7名の うち
4名は第 1回 レポー トを提 出せず, 2名は第 1回 レポー トで盗作が発覚 し
た7。残 り 1名は添削 に対す る修正 を途 中で放棄 した。 7名 とも,以後 は集
合教育か らも脱落 している。 このほか, 1名が第 3回レポー トを提出で きな
かった8。
個人指導は 1
4名9を対象 としていたが,それで も指導す る側の負担 として
ははば限界に近い状態であった。今後 同様の演習を実施するとして も,人数
や レポー ト数な どを軽減せざるをえないだろう。
6 実際には時間切れ (
成績評価の締切 まで添削を繰 り返 して も合格 に至 らない)の レポー
トもあ ったが,特に減点の対象 とは しなかった。
7 -万が他方の レポー トを盗用。
8 追加 レポー ト (
添削対象外)を提 出 して最終的 に単位は取得 した ものの,個人指導 か
らは脱落 した ことになる。
9 途中で 1名が脱落。
レポー ト添削指導に関する事例報告
1
0
7
今回の演習は集合教育 と個人指導の併用を基本 としていたので,レポー ト
を提出で きなかった学生が集合教育か らも脱落す るのに任せて しまったが,
学生のスキル育成 とい う観点か らみる と,集合教育だけで も参加すればそれ
な りの技能取得はで きたはずである。 レポー ト作成を単位認定の要件 とした
ことによって,集合教育の機会をも失わせた ことは残念ではあ る。一方, レ
ポー トを作成 させ添削に対する修正をさせる とい う,学生に とってかな り負
担の高い作業は,単位認定 に結び付けない限 り継続が難 しいであろう。その
意味で,単位認定や評価の方法 についてはさ らに改善の余地がある。
なお,盗作問題は最近の学生 レポー トにおいて大 きな問題である。今回は
提 出された 1
6本の うちの 2本がほぼ同じ内容だ ったので容易 に発見で きた
が,ウ ェブか らのカ ット アン ド・
ペース トを行 っている場合は,本人が書い
た部分 とよほ どレベルの違 いがない限 り識別 は難 しい。 レポー トの書 き方 を
学 ぶ演習なので,割窃や引用 についての考 え方 は丁寧 に指導 したつ も りだ
が,事前 に罰則を明示 してお く必要があるのかもしれない。
3.レポー ト添削の概況
1)
・チ ェックポイン ト
レポー トの添削は,表 1の項 目を中心に行 った。 ここではその項 目をさ ら
(
1
(
3
(
4
く5
)日本語,に分類 した。添削を行 う都合上,(
2
)にあ る程度対応で きてい
ない と (
4
)く5
)の指導は難 しい。 このため,まずく2
)についての指導 を先行
させ,全体構成がみえるようになった段階で (
3
)(
4
)く5)の指導 に入 った。
に, )
形式上の仕様,(2)
構造化, )関連情報の記載方法, )
論理構造,
く1
)では,表 1の項 目の うちの (
1
)を執筆前の段階で指示 し, (
2)は対応で
きていないもののみ事後的に添削 した。
(
2
)については,最初の段階
(
第 1回レポー トの初回提出時)で対応で き
ていた者は皆無だった。 日本語がお粗末で論 旨があやふやで も,せめて要所
1
0
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経 営 と経 済
要所 にサブタイ トル (
見出 し)があれば,何 を言 いたいのか想像で きる。そ
こで,形式だけで も序論 と結びを独立 させ,残 りの部分は内容 ご とにま とめ
て表題 をつけるよう指導 した。内容による文章のグルーピングは,重要 と思
われる文 (
主題文) にアンダーラインを引かせ,主題文がパラグラフに対応
す るように整理 した うえで,関連パ ラグラフをグルーピングす るように指導
した。 ここまでやってある と筆者の意図がある程度わかるようになるので,
意味論や論理構造 を踏 まえての具体的な指導が可能になる。なお, この段階
での構造化は とりあえずの ものであ り,論理構造 に対応 した構造化の指導 は
く4
)で行 った。
(
3
)では引用 ・
参考文献の提示方法が指導の中心 とな った。剰窃の問題 も
あ り,集合教育で も個別指導で もかな り力を入れたつもりである。なお, こ
の項 目以下は,レポー トフ ァイルに直接書 き込む形で添削を行 った。
く
4
)では,問題意識 と結論が きちん と対応 し,その論証がわか りやすい形
で組み立て られ配置 されているか,論 旨は妥当か, とい う点に着 目した。特
に序論では, レポー トの位置づけ と問題意識 が明示 され 論証の方法 とその
流れが概観 されている必要 がある。 さらに, レポー トの内容がその概観 と整
合 している必要がある。 これ らは最終的にレポー トの存在意義 にかかわる問
題 なので,時間の許す限 り全体の整合性について指導 した。
(
5
)については,基本的な 日本語の知識はあるが推敵が足 りないだけだ と
考 えたい。
項 目(
2
2
)
∼(
3
0
)
はレポー トのみな らず 日本語一般の問題であるが,
(
3
0
)
以下 はレポー トに特有の要求である10。接続詞の用法や句読点は,誤用
す ると文意が違 って くる。主語 と述語など係 り受けの関係が対応 していない
と意味がわか らな くなる。逆接 が続 くと論 旨がわか らな くなる。いろいろな
意味に取れる文章 もあるし,同 じことの繰返 しで読む気が しな くなるもの も
あ る。 レポー トらし くない表現を避ける訓練 も必要であろう
。
これ らについ
1
0 日本語 は暖 昧 さの 中に美 しさがあ るが, レポー トでは客観的 かつ誤解 を与 えず冗長 で
ない こ とが求め られ る。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報告
1
0
9
ては個別具体的に指摘 しない となかなか認識 で きない面 もあるが,指導の結
果 として推敵の習慣 がつかない限 り,誤用は減 らない。
2)添削の状況
表 2は,学生が提 出何回 目で合格 したかをま とめた ものである。時間的制
約な どか ら未完の もの もあ るが,合格 までの提出回数は第 1回に比較 して第
2回 と第 3回は 目に見えて減少 している。 これは,表 3に関連 して後述す る
2
通 り,く )
構造化が身について きた結果 と言 えよう。また, この数値 には表
れていないが,レポー トの数を重ねる毎に論理構造な どについて より踏み込
んだ指導 を行 ったので,条件をそろえれば表 2の第 2回 と第 3回 目は必ず し
も逆転 していない と見ている。
Ap
pe
nd
i
x4は,表 2におけ る達成状況を,チ ェックポイン ト(1)∼く5
)毎
に整理 した ものであ る。ただ, 1)で も述べた通 り,(2)がある程度達成で き
ない とそれ以降の指導が難 しい という事情 もあるので,必ず しもその項 目に
要 した添削回数を意味 しない。
く1
)
形式上の仕様
これについては, 1- 2回の指摘ではば問題な く対応で きていた。事実上
見落 としレベルの問題だが,Wo
r
d機能の習熟 もひ とつの要因である11。
2
く)
構造化
第 1回 レポー トの初回提 出時 か らこれに対応で きていた者 は皆無 であ っ
た。 1
)(2
)の個人指導でレポー トを構造化す る経験を積む と,次の レポー ト
では,少な くとも形式的には,最初か ら構造化 された ものを書けるようにな
ll 1ページの行数, 1行の文字数,行間隔,ページの挿入 とページ番号の位置などの指
定方法 を習得 していない者があった。また,ウェブなどからの コピーを多用 した結果,
ファイル形式を自分でコン トロールできな くなる例 もあった。
11
0
経 営 と経 済
った。表 3か らもわかる通 り, レポー トを重ねるご とに,構造化 にかかる回
数は減少 している。ただ,1
)で も述べた通 り,ここでの構造化は形式的な も
のであ り,意味論 か らみて きちん と構造化 されているかについては(4)論理
構造の段階を待つことになる。
個人指導においては,構造化 された レポー トというモデルを理解 させるの
に難航 したケース もい くつかあ り,指導方法 には改善の余地がある とみ られ
る。まず 自由に書かせてか ら添削を通 じて構造化 させる という手順で進めた
ために,
筆のお もむ くままに書 き散 らした ものを内容ご とに整理する とい う,
かな り大変な作業を要 した。学生に とって最初のハー ドルだった といえよう。
その教訓 によるものか,第 2回 レポー トか らは,最初か らある程度構造化 さ
れ整理 された文章 になった。
この ような手順は非効率であ り,短 い (3- 5ページ) レポー トだか らこ
そ可能 といえる12。一方,まず論理構造を作成 させてか ら文章 を書かせ る ト
ップダウン方式のライテ ィング ・スキル 13を指導 していれば, この ような作
業 も不要だっただろう。 とはいえ,ひ とつには,最初の レポー ト作成段階で
テキス トのその段階までの内容 をカバーすることは不可能であ った。集合教
育 との連携が重要 となるゆえんである。 もうひ とつには,書 きなれたエ ッセ
イの ようなレポー トか ら決別する効果を期待 したのであ り,ある程度達成で
きた とみ られる。
(3)関連情報の記載方法
意見 と引用の書 き分け方 については,残 された問題が多い。①引用である
ことを正直に明記す るコンプライアンスの欠如,(
9引用 (
文献の要約) と自
分の意見 (
文献の見解 に賛成)の同一視,③引用である旨を明記する技術が
不足,の面で問題が残 った。
1
2 例 えば卒論では,まず 目次を作成 させない と収拾 がつかな くな る。
1
3 照最華子 (
2006) な ど参照。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
1
1
①では,
文献やウ ェブを丸写 しにしなが ら引用の事実を明記 しようとせず,
引用を明記せ よとの指導を無視 し続ける例があった14。
(
参では,一時的には対応で きて も,次の レポー トでは身についていない こ
とが露呈する例が少 な くない。(
4
)とも関連するが,引用 と自分の意見の論
理的な区別に問題がある可能性がある。文献 を参考にしなが らエ ッセイを書
く習慣 か ら抜 け きれない 15とみ られ,また文献 を批判的 に読 む習慣 がない16
ことにも起因する。
(
5
)とも関連す るが,無理な形で引用 を明記 しようとす るためか
③では,
えって文章が不整合 になった り,文脈がわか りに くくなるな どの問題が発生
した。
く4
)
論理構造
2-2)で も述べた とお り,今回の レポー ト指導では,論拠 を示すための
情報収集を軽減するため,情報源 として課題図書を選択 させた。 これが仇 と
なって,読書感想文 になって しまった例が少な くない17。
1
4 留学生は 日本語 に 自信がないせ いか特 に引用を多用す る傾 向にあるが,本人 との 日本
語の レベルが違 いす ぎるので容易 に識別で きるし,識別で きれば,最近の優秀 な検索 ソ
フ トのおかげで,原典を探 し出すのは難 し くない。 日本人学生 も幸 か不幸か 日本語の レ
ベルがあま り高 くないので,識別 で きる場合 も少な くない。 この ような場合,基本的 に
は引用であることを明記す るように指導す るが,応 じない場合 は盗作 として扱 うしかな
いのだろう。
15 特 に,最初 に参考 図書名を記載 し,以下 ほ とん どの紙面を要約で埋 め,最後の数行 だ
け感想 を善 くとい う読書感想文ス タイルか らなかなか抜 け出せない。 この場合,引用の
要約を特 に引用 とは明示 しない癖 がついているので,全て筆者の意見であるかの ように
もみえる。
1
6 論証 のために都合 よ く引用を織 り交ぜて出 した結論 について も,本の著者 が書いてい
るのだから著者の責任であ る (
その内容をその論証 に使用 した責任 には 目をつぶって),
と強弁する例 もあった。
1
7 Appe
ndi
x6. (
l
l
)(
1
3)
参照。 タイ トル,序論 か ら既 に読書感想文 を書 くつ もりにな っ
ている。
1
1
2
経 営 と経 済
レポー トであるには,問題-論証-結論の関係をはっきり意識 させ ること
が前提 となる。第 1回 レポー トでは こち らで問題 を設定 した18ので,結論
(
主張 ・意見)はそれな りに示 されていたが,論証は弱 く,単なる課題図書
の要約になっていた ものも少な くなかった。そ して,各 自で問題設定 をさせ
た19第 2回 ・第 3回 レポー トでは,問題設定 も結論 も暖味なエ ッセイや感想
文 が出て きた。その結果,課題図書の情報か ら論証できそ うな問題意識 と結
論の組合せを捻 出す る,という面倒で邪道な作業が必要 になった20。しかも,
見かけの構造化の場合 と違 って, レポー トとしての論理構造の形成が最終的
に身についたのかどうかは定かでない 21。
ここでの指導のポイン トは,(
∋序論 ,(
ヨパ ラグラフ,であった。①は,育
景情報 ・問題意識 ・全体構成 を含んでいること,問題意識は結論 と対応 し,
全体構成の記述はレポー トの構成 に対応 していることが求め られる。(
参は,
各パ ラグラフがひ とつの主題 を含み,前後のパ ラグラフ との関係が整理 され
ている必要がある。 このため,パ ラグラフ自体を分割 ・統合 ・再編す る必要
が生 じる。 さらに,論 旨を判 りやす くするために,パラグラフの順序 を入れ
替 え,あるいはパ ラグラフの中の文章 を整理することも必要 となる。 これ ら
p
e
n
d
i
x6.
に示 した。
の具体例 は Ap
1
8 Appe
ndi
x2.
参照。
1
9 自分 な りに問題 を設定す る経験 は,学生 レポー トとしては有用 であ る。課題 図書 に示
されてい る問題意識 を活用 で きるため比較 的容易 と想定 したが,必 ず しも期待通 りでは
なかった。
2
0 このため,例 えば (
1
4)問題意識 と結論 の対応 (
結論 は問題意識 に対応 してい るか) に
ついては,既 にあ る結論 や論述 に見合 う問題意識 を後 か ら作 り上 げて序論 に書 き込む こ
とになった。
21 Appendi
x5.
をみ る と, レポー トの回数 を経て達成時の提 出回数 が少な くなっているよ
うに見 えるが,実際 には(
4)はく2
)を達成後 に指導 してい るので,差 し引 きす る と効果 は
あま り認 め られない。
レポー ト添削指導に関する事例報告
1
1
3
く5)日本語
日本語 として問題があるものは もちろんだが, レポー ト指導 として重要な
28)暖味な表現 (日本語 として暖味な文章 はないか), (
33)冗長な表
のは, (
覗 (
簡潔 ・明快な文章 になっているか)であ る。 これに対応で きて初めて,
(
4
)
論理構造の問題点が認識で きた例 も少な くない。その意味で, レポー ト
の存在意義 にもかかわる項 目と言 える。
Appe
ndi
x7
.に主要項 目の添削例 を示 した。意味が全 く変 わって しま う
誤用 も少な くない。
推敵が足 りないための誤 りも少な くないが,具体的な修正例 を示 さない限
り修正できない例が多いのには驚かされる。一方,修正例を示す と,例えそ
れが間違 っていて も気づかずにそのまま丸写 しにする例 も多 く,添削の手法
に限界 を感 じる。添肖帽旨導 によって推顧す る習慣 がつけば救いはあるが,か
えって推敵 しない習慣を助長 しているのではないか との不安 もある。
4.指導の枠組みに関する問題点
1)集合教育 と個人指導の連携
理想 とするプログラムは,① テキス トで学び,②身につけた内容をレポー
ト執筆で実践 ,③それに対 して添削を行 ってフ ィー ドバ ックし修正 させる,
④ その繰返 しによって レポー トを完成,⑤その経験を踏 まえて別の レポー ト
を書 く, とい うことである。 これを数回繰 り返 してレポー トを書 く技術を身
につけることが望ま しいのだが, 4ヶ月の演習期間では時間が足 りない。集
合教育 と個人指導を並行 させなが ら,集合教育で間に合わない部分 を適宜個
人指導で補 うしかないが,それでは指導の負荷がかな り高い。 とりあえずの
中間的な措置 として,テキス トとは別 に,す ぐ使 えるノウハウ集の ような も
のを提供することが考 えられるのではないか。
また,単位取得 との関係で個人指導をあ る程度横並びで行 うことになるた
1
1
4
経 営 と経 済
め,進捗が遅 く積極的でない学生は途中で放棄 して しまいやすい。その際に
集合教育だけで も継続 させ ることには,個人指導の継続のインセンテ ィブ と
の横並びで考 える と限界がある。
2)構造化のための トップダウン ・アプローチ と逐次修正アプローチ
3-2)で も述べた通 り,書 き流 したものを後で構造化する という手順は
非効率である。 レポー トの本来あるべ き姿 として,まず問題設定を行い,情
報収集 ・
分析 しなが ら論拠提示の構造 を決定 していけば, この ような問題 は
発生 しなかっただろう また,卒論 をは じめ,将来 に向けての経験 として も
。
有用であるに違 いない。
しか しなが ら今回は,演習期間 とい う時間的制約か ら,①情報収集 ・
分析
の部分を捨象,(
∋課題図書の選択 と並行 して 自分で問題設定を行わせ る, と
2
い う枠組みを設定 した。 ここでく )
構造化の指導 に要 した時間を考慮すると,
トップダウン法による構造化の指導にはさらに時間を要するとみ られ る。そ
の場合, 4ヶ月の演習期間中に複数の レポー トを作成 させ ることは困難 とな
ろう。学んだ ことは使 ってみない と身 につかない, とい う点を考慮すれば,
改善の方向 としてぼ悩ましい ところである。
3)事実 と意見を書 き分ける
)で述べた。特 に(
参の,これまでの読書感想文
これについては 3-2)く3
の経験 22か らであろうか,文献の内容 と,それに基本的 には賛成であ る自分
の意見が論理的に区別できない, とい う点については指導が難 しい。文献 を
批判的に読む習慣を身につけさせ ることが重要であろう
。
一方,①の剰窃問題 については, レポー トの書 き方の指導で もあるので,
罰則を明示 し,それをきちん と適用すべきであろう。その観点か らも,②③
の指導は重要 になる。
1l
l
)
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
5.おわ りに
本稿の執筆 に当たっては,平成 1
7
年度長崎大学学長裁量経費の支援を受け
た。 ここに謝意を表するものである。 さらに,事例を提供 して くれた学生た
ちに謝意を表する。
ndi
xで掲載 した事例は,わか りやす さのため,修正段階
なお,本稿 Appe
の異なるものを編集 した ものが少な くない。 また,修正案は示 した ものの改
定版が提出されなかった もの も含まれていることをお断 りしてお く。 これ ら
の事例の編集 について,一切の責任は筆者 に帰す るものであ る。
参 考
文 献
1
99
7
)『大学生 と留学生のための 論文 ワークブ ッ
(1)浜 田麻里 ・平尾得子 ・由井紀久子 (
ク』 くろしお出版
(2)木下是雄 (
1
981
)『
理科系の作文技術』中央公論新社
1
9
9
4
)『レポー トの組み立て方』筑摩書房
(3)木下是雄 (
(4)小笠原書康 (
2
0
02
)『大学生のためのレポー ト 論文術』講談社
(5)吉 田健正 (
1
99
7) 『大学生 と大学院生のための レポー ト ・論文の書 き方』 ナカニシ
ャ出版
(6)戸 田山和久 (
2
0
02
)『
論文の教室』 日本放送出版協会
(7)石坂春秋 (
2
0
0
3
)『レポー ト .論文 ・プ レゼン スキルズ』 くろ しお出版
(8)照屋華子 (
2
0
0
6
)『ロジカル ・ライティング』東洋経済新報社
(9)倉島保美 (
2
0
0
3
)『論理的な文章が 自動的に書ける !
』 日本実業出版社
(
1
0
)西村克己 (
2
0
0
6
)『
論理的な文章の書 き方が面 白いほど身につ く本』中経出版
22 読書感想文 では,著者の心情 に何処 まで寄 り添 えるかが評価 され るため,文献の内容
と自分の意見 ・心情 が一体化 して しまう。
1
1
6
経 営 と経 済
表 1 レポー ト添削のチ ェックポ イン ト
1
く)形式上の仕様
(
注 1)
く
2
)
構造化
(1)用紙サ イズ, 1ページの行数, 1行の文字数 ,フ ォン ト,
ページ番号,表題 ,執筆者名 (
注 2)
(2)パラグラフの形 (
注 3)
(3)序論 .本論 .結びの明示的な区分
(4)章 .節 を建 て,見やすい形の表題 をつける (
注 4)
(5)階層化 :表題 に番号をつける
3
く )関連情報の記
載方法
4
く)
論理構造
5
く )日本語
(6)全体構成がわか りやすい章建てになっているか
(7)意見 と事実 .
引用 が明示的 に書 き分け られているか (
注 5)
(8)参照 .
参考 に した文献 .
ウ ェブサ イ トの記載はあ るか (
注 6)
(9)図表 には表題,引用番号 ,出典等 が記載 されているか (
注 7)
(
1
0
)注釈の記載 は一貫 してい るか (
注 8)
(
ll
)表題 は内容や問題意識 を表わ しているか
(
1
2
)序論 に問題意識 と背景情報が示 されているか
(
13) 序論 に全体の構成 が示 されてい るか
(
1
4)結論 は問題意識 に対応 しているか
(
15) 結論 は論証 されたか
(
1
6
)結論 を導 くために妥当な論理構成 (
章建て)とな っているか
(
1
7
)表題 (
章.
節な どの)は内容を よ く表現 してい るか
(
18) 各パ ラグラフの主題は明確 か (
注 9)
(
1
9)パ ラグラフ間の関係は整理 されているか
(
20)論 旨はわか りやすいか
(
21
)文脈は論理的か
(
22
)常体 と敬体 が混在 していないか
(
23)接続詞は適切 か
(
24)逆説の接続詞が連続 しないか
(
25) 句読点や括弧の位置は妥 当か
(
26
)主語 と述語 は対応 してい るか
(
27
) 日本語 として不整合な文革 はないか
(
28) 日本語 として暖味 な文章 はないか
(
29
)誤字脱字がないか
(
3
0
)適切な語が使用 されてい るか (
症l
o
)
(
31
) 口語的表現 が多 くないか (
注 11)
(
32
)主観的 .
情緒的な表現が多 くないか (
注1
2
)
(
注 1)異なる仕様 もあ りうるが,この事例ではこの様式を採用。
(
注 2)Wo
r
d, 日本語横書,A4縦 ,3-5ページ,1ページ3
6
行 ,1行4
0
文字 ,1
0.
5
ポ
イン ト,MS明朝体,ページ番号を下中央に入れる。表題は先頭行にセンタリング,
履修番号 と著者名は右寄せ, 1行空けて本文を開始する。
i
l
Hi
レポー ト添 削指導 に関す る事例報告
(
注 3)パラグラフの先頭を1
文字下げる,パラグラフ問は空行を入れない。
アンダーラインなどで見やす くするなどの工夫
(
注 4)表題の前を 1行空け,表題を太字 ・
も含む。
著者名 (
発行年 )」の形で明記。参考文献 リス トをつけない場合は初出箇
(
注 5)引用は 「
所に書名 ・
著者名 ・
発行年 ・
発行元,を記載。
論文の場合はその表題 ・
掲載誌名な ど
(
注 6)文献 リス トを作成 し,文献については書名 (
を含む) ・
著者名 ・
発行年 ・
発行元,ウェブサイ トについてはタイ トル・
作成著名 ・
サ
イ ト名 ・
ア ドレス・
最終アクセス 日時,を記載。ただ し件数が少ない場合は,本文
または脚注での対応 も可 (
文献 リス トを添付 した レポー トは少なかった)
。
(
注 7)該当な し (
図表を使用 したレポー トはなかった)
。
統一を必要 とするほど多 くの注釈を含むレポー トはなかった)0
(
注 8)該当な し (
(
注 9)各パラグラフがひとつの主題で構成されるよう,分割 ・統合 ・再編する。
0) 専門用語には適宜注釈を入れることを含む。
(
注1
1
)論文 ・レポー トに馴染 まない語や言い回し,体言止や倒置を避ける。
(
注1
2
)「
私」「筆者」の多用,強調表現や定性的な修飾の多用を避ける。
(
注1
3
)冗長な文,同 じ語の繰返 しな どを避ける。文脈を極力シンプルにする。
(
注1
表 2 レポー ト合格 までの提 出回数 の変化
提 出回数
レポー ト Ⅰ
レポー トⅡ
レポー トⅢ
学生 A
5
6
4
学生 B
4
4
3×
学生 C
7
3
1×
学生 D
5
6
4
学生 E
6
3
5
学生 F
6
3
4
学生 G
6
2
××
学生 H
2×
4×
3
学生 Ⅰ
3
3
4
学生 J
9×
4×
××
学生 K
7
3
3
学生 L
6
4
4×
学生M
6×
6
3×
学生 N
5
4×
6
(
注) × ×は未提出,数値 ×は未完。平均値は未完分を除 く。
i
f
l
聖
経 営 と経 済
表 3 く構造化〉の達成 状況 の変化 (
達成時 の提 出回数 )
提 出回数
レポー ト Ⅰ
レポー トⅡ
レポー トⅢ
学生 A
2
1
1
学生 B
4
3
1
学生 C
4
1
1
学生 D
3
2
1
学生 E
2
3
1
学生 F
2
1
1
学生 G
3
1
××
学生 H
2×
3
1
学生 Ⅰ
3
1
1
J
3
1
××
学生 K
5
1
1
学生 L
3
1
1
学生 M
6
4
1
学生 N
3
4
4
学生
(
荏) ××は未提 出,数値 ×は未完。平均値 は未完分を除 く。
Appe
ndi
x 1.課題図書 リス ト
0
月末締切)
第 1テーマ (
全員共通 ,1
(1)ダレル ・
ハフ (
1
9
8
3
)『
統計でウソをつ く法』講談社ブルーバ ックス
第 2テーマ (
以下か ら選択 ,11
月末締切)
(1)大竹文雄 (
2
0
0
5
)『
経済学的思考のセンス』中公新書 [
経済図書館]
(2)楠木俊詔 (
2
0
0
4
)『家計か らみる 日本経済』岩波新書 [中央 ・
経済図書館]
(3)佐藤俊樹 (
2
0
0
0
)『
不平等社会 日本- さよな ら総中流』中公新書 [
経済図書館]
(4)山田昌弘 (
2
0
0
4
)『希望格差社会』筑摩書房 [
経済図書館]
(5)三浦展 (
20
0
5
)『下流社会一新たな階層集団の出現』光文社新書 [中央 ・
経済図書館]
(6)丸山俊 (
2
0
0
4
)『フ リー ター亡国論』ダイヤモン ド社 [
経済図書館]
2
0
0
3
)『フ リー ター という生 き方』勤草書房 [
経済図書館]
(7)小杉礼子 (
(8)楠木俊詔 ・
森剛志 (
2
0
0
5
)『日本のお金持ち研究』 日本経済新聞社 [
経済図書館]
(9)高橋伸彰 (
2
0
0
5
)『少子高齢化の死角一本当の危機 とは何か』 ミネルヴ ァ書房 [
経
済図書館]
(
1
0
)藤本健太郎 (
2
0
05
)『日本の年金』 日経文庫 [
経済図書館]
20
03
)『日本の医療 に未来はあるか』ち くま新書 [
経済図書館]
(
ll
)鈴木厚 (
(
1
2
)水野肇 (
20
0
6
)『医療は どこへ向かうのか』草思社 [
経済図書館]
(
1
3
)宇都宮健児 (
2
0
02
)『消費者金融一実態 と救済』岩波新書 [中央 ・
経済図書館]
(
1
4
)山田真哉 (
2
0
0
5
)『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』光文社新書 [中央 ・
経済図書館]
(
1
5
)小笠原書康 (
2
0
05
)『
議論のウソ』講談社現代新書 [
経済図書館]
(
1
6
)森暢平 (
20
0
3
)『天皇家の財布』新潮新書 [
経済図書館]
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
11
9
2
0
0
3
)『女帝誕生-危機 に立つ皇位継承』新潮社 [
経済図書館]
(
1
7
)笠原英彦 (
(
1
8
)金賛汀 (
2
0
0
4
)『
朝鮮総連』新潮新書 [
経済図書館]
(
1
9
)三土修平 (
2
0
0
5)『
靖国問題の原点』 日本評論社 [
経済図書館]
(
2
0)上坂冬子 (
2
0
0
6
)『
戦争 を知 らない人のための靖国問題』文春新書 [
経済図書館]
(
21
)木佐芳男 (
2
0
01
)『戦争責任 とは何か』中公新書 [中央図書館]
第 3テーマ (
以下か ら選択 ,1
2
月末締切)
(1)何清漣 (
2
0
0
2
)『中国現代化の落 とし穴一噴火口上の中国』草思社 [
経済図書館]
(2)関志雄 (
2
0
0
5
)『中国経済q)
ジレンマー資本主義への道』ち くま新書 [
経済図書館]
(3)ジャスパー ・ベ ッカー (
1
9
9
9
)『餓鬼 (
ハング リー ・
ゴース ト)一秘密にされた毛沢
東中国の飢薩』中央公論新社 [
経済図書館]
(4)アン ドリュー ・
S ・ナチオス (
2
0
0
2
)『
北朝鮮飢餓の真実- なぜ この世 に地獄が現
』扶桑社 [
経済図書館]
れたのか ?
(5)今村弘子 (
2
0
0
5)『
北朝鮮 「
虚構の経済」』集英社新書 [
経済図書館]
(6)川上和久 (
2
0
0
4)『
北朝鮮報道 情報操作を見抜 く』光文社新書 [
経済図書館]
2
0
0
0
)『
韓国併合への道』文春新書 [
経済図書館]
(7)呉善花 (
(8)島敏夫 (
2
0
0
6
)『中東世界を読む』創成社新書
(9)保坂修司 (
2
0
0
5
)『サウジアラビア』岩波新書 [中央 ・
経済図書館]
(
1
0) 小杉泰 (
1
9
9
4
)『イスラーム とは何か』講談社現代新書 [中央図書館]
2
0
0
3
)『世界を動かす石油戦略』ち くま新書 [
経済図書館]
(
ll
)石井彰 ・
藤和彦 (
(
1
2
)ジ ョセフ ・E ・ステイグ リッツ (
2
0
02
)『
世界を不幸 にしたグローバ リズムの正体』
徳間書店 [
経済図書館]
(
1
3
)ウ ィリアム ・イースタ リー (
20
0
3
)『ェコノミス ト 南の貧困 と闘 う』東洋経済新報
社 [
経済図書館]
(
1
4
) レ-チ ェル ・)
レイス ・カーソソ (
2
0
04
)『沈黙の春』新潮文庫 [中央図書館]
(
1
5
)高橋裕 (
2
0
0
3
)『地球の水が危ない』岩波新書 [中央 ・
経済図書館]
(
1
6
)中村靖彦 (
2
0
0
4)『ウォーター ・ビジネス』岩波書新 [中央 .
経済図書館]
(
1
7
)モー ド ・バーロウ (
2
00
3
)『
「水」戦争の世紀』集英社新書 [
経済図書館]
書y [
経済図書館]
(
1
9
)最上丈二 (
2
0
0
2)『バイオテロ と医師たち』集英社新書 [
経済図書館]
(
2
0
)竹 田いさみ (
2
00
6
)『国際テロネ ットワークー アルカイダに狙われた東南アジア』
講談社現代新書 [
経済図書館]
(
21
)ダグラス ・ファラー (
2
0
0
4
)「テロ・
マネー- アルカイダの資金ネ ッ トワー クを追 っ
て』 日本経済新聞社 [
経済図書館]
(
2
2
)高木徹 (
2
0
02
)『戦争広告代理店一情報操作 とボスニア紛争』講談社文庫 [
経済図
書館]
Appe
ndi
x2・第 1回 レポー トに求め られた内容
① 課題図書の要約
② 今後あなたが統計 を見る場合に,最 も注意すべ きと考 える点
(
∋ 今後あなたが統計資料を作成する場合に,役に立つ と思われる点
1
2
0
経 営 と経 済
Appe
nd
i
x3.演 習 の評価 基準
配 点
目
項
訳
内
集合教育への出席
2
0
点
欠席 1回に付 き 3点減点 (3回まで)
レポー ト作成 一修正
2
0
点 ×3本 締 切 1日遅れに付 き 1点減点 (
修正 も含む)
Appe
nd
i
x4.添 削によるチ ェックポイン トの達成状況 (
達成時の提 出回数)
学生
レポート
提
回数
出
仕様
く1
)
A
Ⅱ
Ⅰ
Ⅲ
6
5
4
2
1
1
2
1
1
2
3
1
3
2
4×
6
4
4
5
3
3
4×
B
Ⅱ
Ⅰ
Ⅲ
4
L
l
3×
1
2
3
4
1
4
3
2
4
4
×
2
4
2
3
4
3
×
2
3
2
C
Ⅱ
Ⅰ
Ⅲ
3
7
1×
2
1
1×
4
1
1
5
1
2
3
1
2
6
1
3
7
1×
3
7
1×
D
Ⅱ
Ⅰ
Ⅲ
6
5
4
1
2
2
3
1
4
1
2
3
2
×
1
4
5
2
3
5
2
51
×
4
E
Ⅱ
Ⅰ
3
6
5
2
1
2
3
2
1
3
3
2
4
1
3
5
5
3
6
4
3
6
×
4
1
1
2
1
1
3
1
4
3
1
Ⅲ
6
3
4
1
6
3
2
6
3
3
4
3
2
G
Ⅱ
Ⅰ
Ⅲ
2
6
××
1
4
-
1
3
-
2
5
-
2
-
2
4
-
2
6
-
2
6
-
H
Ⅱ
Ⅰ
Ⅲ
4
2×
3
2
3
×
1
2
3
×
1
3
2
2
4
2
4
2
4
3
4
×
2
Ⅰ
Ⅱ
Ⅰ
Ⅲ
3
4
2
1
1
3
1
1
3
2
1
3
3
×
2
3
4
33
×
2
3
1
1
∫
Ⅱ
Ⅰ
4
9×
1
2
1
3
4
×
9
2
3
4
1
4
×
4
41
×
Ⅲ
F
Ⅰ
Ⅱ
構く
造化
2
)
引用等
く
3
) く
4
序論
)論 理構造他
(
注) く
一般
5
)日本語論文
(
注)
1
21
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
K
L
M
N
Ⅰ
Ⅱ
7
3
4
1
5
1
4
3
4
2
5
3
7
3
5
1
Ⅲ
3
2
1
1
1
1
2
1
Ⅰ
Ⅱ
6
4
2
1
3
1
4
2
3
2
4
5
3
5
3
Ⅲ
- 4×
2
1
2
1
3
3
3
Ⅰ
Ⅱ
6
×
6
3
2
6
4
6
×
6
6
3
5
6
×
3
6
×
2
Ⅲ
3×
1
1
3×
1
3
3
3
Ⅱ
Ⅰ
4
5
×
3
2
3
4
4
5
3
×
4
5
×
5
4×
5
3
(
注 1) ××は未提出,数値 ×は未完。
(
注 2)数値 は学生が何回 目の添削で達成で きたかを示す。必ず しもその項 目達成 に要 し
た添削回数を意味 しない。
(
注 3)く4
)
論理構造では,
「序論」 が (
l
l
)(
1
2
)
,「他」がそれ以外。(5)日本語では,「一
般」が∼(
30),
「
論文」が (
31
)∼。
Appe
ndi
x5・く
論理構造〉の達成状況の変化 (
達成時の提出回数)
レポー トⅠ
レポー トⅡ
レポー トⅢ
学生 A
3
2
4×
学生 B
4×
4
2
学生 C
3
3
1
学生 D
3×
2
1
学生 E
4
2
1
学生 F
3
1
1
学生 G
2
2
××
学生 H
2×
4
2
学生 Ⅰ
3×
3
2
学生 J
3
2
××
学生 K
4
2
1
学生 L
3
2
1
学生M
6
6
1
学生 N
5×
3
2
(
注) ××は未提出,数値 ×は未完。平均値は未完分を除 く。
1
2
2
経 営 と経 済
App
e
nd
i
x6
.く論理構造 〉の指導例
(
ll
)表題は内容や問題意識を表わ しているか
第 1テーマは共通の課題図書を使 ったが,レポー トの問題意識 を体現するような表題
は少ない.また②では, レポー トを読書感想文 と同等 と認識 していることが露呈 した。
① 表象 としての表題
統計でウソをつ く法 ,「
統計でウソをつ く法」 について,基礎ゼ ミ題 1テーマ,第 1
テーマ 「
統計でウソをつ く法」,第 1テーマ 「統計でウソをつ く法」 レポー ト,ダレ
ルハフ著 『
統計でウソをつ く法』についての要約 と見解
(
参 いかにも感想文 という表題
「
統計でウソをつ く法」の感想 ,「
統計でウソをつ く法」についての感想,ダレル ・
ハ フ著 『
統計で嘘 をつ く方法』 を読んで,ダレル ・ハ フ著 『
統計で嘘をつ く方法』
を読 んで
③ 内容を感 じさせ る表題
統計 にだまされないために,私 たちは統計 にだまされていた,統計 を信 じるか信 じ
ないか,統計を活用するための知識 と方法,統計のウソを知 る
(
1
2
)序論 に問題意識 と背景情報が示 されているか
(
修 正 前) 第 2次世界大戦以後 か ら2
0
世紀後半 にかけての,大戦 による荒廃か らの速や
かな復興の勢 いに乗 り, 日本をは じめ として開発の成果 を上げた国々は,その成果 を
詣歌 し,それ に伴 う生活水準の向上 を満契 した。 しか しそれは人間の節度を欠 いた活
動であった。 1
9
70
年代以降,環境問題が先進 国を中心 に重大な課題 とな り,地球の水
問題 も強 く意識 され るようになった。都市化,工業化 と共 に世界的に蔓延 した河川や
湖沼の水質悪化,人 口急増 に間に合わない水の供給が,各地 に深刻な水不足 を発生 さ
せた。高橋裕の 『
地球の水が危ない』(
20
0
3
、岩波新書)ではこれ らの水問題について述
べている。
本稿では, 日本の水問題 について焦点 をあててみてい く。 まず,上述文献 を もとに
日本の水問題 について要約 し、解決策を検討 した うえで,著者の考 えを述べる。
(
コメン ト) 背景情報だけで問題意識 が明示 されていない。
(
修 正 前) 本稿 では,中村靖彦著 『ウ ォー ター ・ビジネス』(
2004,岩波書店)について
の要約 と考察 を行 った。
最近 コン ビニな どで販売 されている飲料の中に, ミネラルウ ォー ターの割合が増 え
て きている。今まであま り注 目されていなかった ミネ ラルウ ォー ターが,なぜ今にな
って注 目されているのだろ うか。 また,大量の ミネラルウ ォー ターの販売は地球環境
に影響 を及ぼさないのだろ うか。 これ らの疑問を持 った ことが,今回 この文献 を選 ん
レポー ト添削指導 に関する事例報告
1
23
だ理 由であ る。
2
0
04
)は,世界各国のボ トル ・ウ ォーター市場の違 いにも触れなが ら,ウ ォー ター ・
中村 (
ビジネスをい うものが現在 どの ような状態 にあるのかを検証 している。そ してその実態 を明
らかにしてい く過程 を通 して,水 というものが一体誰の ものであるのかを考察 している。
(
コメン ト) 序論 に書 くのは,文献を選んだ理 由ではな く問題意識であるべ き。
(
修 正 後) 近年 ,コンビニエンスス トアな どで販売 されている飲料の中に,ミネラ)
L
'
ウォー ター
の割合が増 えて きている。水が当た り前の ようにお茶やジ ュースな どと一緒に店頭 に並ぶ こ
とは,数年前では考 えられないことである。
今 まであま り注 目されていなかった ミネラルウ ォー ターが,なぜ今にな って注 目されてい
るのだろうか,そ して,本来公共で使われるべ き水をビジネスに用いて よいのだろうか。
2
0
0
4,岩波書店)についての要約 と考察
本稿では,中村靖彦著 『ウ ォー ター ・ビジネス』(
を行い,早 くか らウ ォーター ・ビジネスが行われている他国の例 も挙げなが ら,日本のウ ォー
ター ・ビジネスの現状 とその将来性 について論 じる。そ して,ウ ォー ター ・ビジネス と水の
公共性が共存で きる方法を考 え,水に対する意識を高める必要があ ることを提唱す る。
(
1
3)序論に全体の構成が示 されているか
2
0
03
)は,フ リー ターに関する独 自の実態調査を行い,調査分析 し,デー タ
(
修 正 前) 小林 (
をもとに実態 を書 き下 ろしている。それに基づ き,思った こと ・感 じた ことを綴 ってい く。
(コメン ト)
(レポー トではな く)感想文を書 くつ もりの前書 き.
2
00
2
)を参考 にしなが ら,現在の中国経済 と政治の光 と影を検討 し
(
修 正 前) 以下 ,何清漣 (
よう。
(コメン ト) ほ とん どな きに等 しい全体像。
(
1
5
)結論 は論証 されたか
(
修正後 :丸数字 は筆者)
Ⅰ.は じめに
近年, コンビニエンスス トアな どで販売 されている飲料 の中に, ミネラル ウォー ターの割
合が増えて きているO水が当た り前の ようにお茶やジ ュースな どと一緒 に店頭に並ぶ ことは,
数年前では考 え られないことである。
今 まであま り注 目されていなかった ミネラルウ ォー ターが,なぜ今にな って注 目されてい
るのだろうか,そ して,本来公共で使われるべ き水をビジネスに用 いて よいのだろうか。
2
0
0
4,岩波書店)についての要約 と考察
本稿では,中村靖彦著 『ウ ォー ター ・ビジネス』 (
を行い,早 くか らウ ォーター ・ビジネスが行われている他国の例 も挙げなが ら,日本のウ ォー
タ一 ・ビジネスの現状 とその将来性 について論 じる.そ して,ウ ォー ター ・ビジネス と水の
公共性が共存で きる方法を考 え,水に対す る意識を高める必要があることを提唱す る。
1
2
4
経 営 と経 済
Ⅱ. 日本のウ ォーター ・ビジネスの現状
(
1
) なぜ,いま水なのか (
略)
(
2
) 世界のボ トル ・ウ ォー ター市場 (
略)
(
3
) アメリカの水争い (
略)
(
4) 地下水源は大丈夫なのか
日本の地下水源で, (
中略)圧倒的に使用量が多いのは,化学工業や紙加工品製造 な
どである。 しか し,将来的にミネラルウ ォーターの生産量が増 える可能性は高いため,
水の資源量を常に点検する必要はある。
(
5
) 水は一体誰の もの
貴重な水源が一部の企業 に独 占されて しまう可能性 も十分にある。
この問題 を解決す るための方法 として,企業側だけでな く,地域住民 にも環境保全
の負担 をして もらうというのが一例 として挙げ られる。 (
中略) この ように, ミネラル
ウ ォーターの需要が高まった として も,環境 を維持で きる方法 を探 していかなければ
な らない。
I
I
I.
今後のウ ォーター ・ビジネス
日本のウ ォー ター ・ビジネスは今ますます広 がってい くと予測す る。 しか し, 日本
もいずれは例 に挙げたフランスの ように,市場が成熟 してい くであろう。
そ こで,① 日本の企業 もアメ リカの大手飲料 メーカーの ように,海外への販売 を積
極的 に行 うべ きであ る。 日本人 に 「エビアン」 な どの硬水を好 む人がいるように,港
外に も日本の軟水を好む人が数多 く存在するはずである。
しか し,水 とい うものは人間に とって必要 な ものであ り,その全てをビジネスに し
て しまうの には疑問がある。最低 で も,②水の公共性 だけは保 つ必要 があるのではな
いだ ろうか。 そのために,企業,そ して我 々が協力 し,すべてが共存 で きる手段 を考
えてい く必要 があるだろう。③その具体的な案 は無知 な筆者では述べ ることがで きな
生 型, この問題 を基 に,④水 に対す る意識を高めてい くことが,今後 の解決策への第
一歩 となる と考 える。
(
コメン ト) ① については I
l(
2)が論拠 となっている。(
参は I
l(
3
)∼ (
5)で論証 された ことに
したいが,海外 と日本では水事情 が違 うこと,水需要 の うちボ トルウ ォーターだけ考
えて も全体像 が見 えない こ とを考 える と,改善の余地 がある。③ は,提案がで きない
のな ら序論の方 向付 けの部分で 「方法 を考 え」 とするのに無理 がある。④は序論 と結
論で繰 り返 しただけだが, とりあえず対応 している。
(
16
)結論 を導 くために妥当な論理構成 (
章建て) となっているか
(
修 正 前)
序論
(
中略)本稿では,関志雄の 「中国経済のジ レンマ-
資本主義への道」 (
2005.
筑摩
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
2
5
書房)を用いて,まず急成長を遂 げる中国は どの ような問題を抱 えているのか焦点を当
ててい く。次に,問題点の 1つであ る格差問題 について具体的な事例 を挙げ,詳 し く
述べ る。最後 に,格差問題 を改善すべ く政府が行わなければな らない課題を挙げてい
く。
1.中国が直面す る1
0の問題
2.中国の貧困 と格差問題
(
略)
(
略)
前文で挙 げた 1
0の問題点の中で,筆者は,現在危機 的状態 にある中国の貧困問題 に
ついて焦点を当てた。以下では中国の貧困問題 について詳 しく述べてい く。
①
都市 と農村の格差
(
略)
②
東部 と西部の格差
(
略)
③
貧富の格差
(
略)
この ように,現在の中国ではさまざまな格差問題が起 こってお り,拡大 し,固定化
しつつあ ることがわかる。中国経済の不公平化 がますます進 む と,いずれは,中国で
の反政府の革命が起 こる可能性 も秘めている。
3.結論
(
中略)中国政府 は,これまで採 って きた効率一辺倒の戦略 をあ らため,公平 にも目
を配 る,「全面的な小康社会」の建設 とい う戦略 を打ち出した (
関 .p1
9
7
)
。 しか しなが
ら, これだけでは不十分で, (
中略)「
法の支配 (
r
u
l
eo
fl
a
w)」,民主政治採用,農業
分野の充実,貧困地域の社会保障の充実,所得の再分配による貧富の格差を是正す る
ための制度 を取 り入れてい く必要がある。
(コメン ト) 格差問題 が主要 テーマであるな ら 10の問題 を漠然 と列挙 し詳述す るのは無
意味O これを入れ るな ら,その中で格差問題がいかに重要 か,他の問題 に どう影響 を
与 えるのか とい うような関連付けがあ るべ き。 また,格差が固定化 しつつあ る点につ
いては論証 されていない。
(
修 正 後)
序論
(
略)
1.現代中国の諸問題
(
略)
2.中国が直面す る格差問題
(
略)
①
都市 と農村の格差
(
略)
②
東部 と西部の格差
(
略)
③
富裕層 と貧困層の格差
④
格差の固定化
⑤
格差問題の危険性
3.格差問題の改善
(
∋ 農業問題の改善
(
略)
(
略)
(
略)
(
略)
(
略)
(
参 地域間q)
所得格差の是正
(
9 企業 と政府の癒着改善
(
略)
(
略)
1
2
6
経 営 と経 済
結論
以上で述べて きた ことか らもわかるように,格差問題 を解決 するために, これか ら
の中国は,貧 しい農村や農民をもっと豊 かにす る技術や政策を採 り入れ るこ とや,港
れた農民を うま く都市 に迎 え入れ,工業 ・商業の担 い手へ と変貌 させ ることが必要 と
なる。 また,地域間や富裕者 と貧 困者間の所得格差を是正するために,所得の再分配
を行 うとい った点に 目を向けるこ とも必要であ る。それだけでな く,政府 と企業 ・富
裕層 が癒着 し, 自身の金儲 けに走 ることのない ような規制を敷 いてい くことも求め ら
れている。 国民を大切 にしない政策 を続 ける とい うこ とは,いずれは国の安定 を欠 く
事態へ と行 き着 く危険性をは らんでいる。そ うな らないために も,政府 は,富裕層 や
政府 の癒着 に対す る規制の強化や,地域 間における所得の再分配,社会的弱者 に手 を
差 し伸べる政策を早 く採 り入れ,国民の不満の解消を囲 らねばな らない。
(
コメン ト)
「1.諸問題」は大幅に簡略化 されている。 これはな くて もよいほ どの部分0
「3.格差問題の改善」は修正前の 「結論」の前段 を充実 させた もので,これによ り
結論がかな り具体的になった。
(
1
8
)各パラグラフの主題は明確か
-各パラグラフがひとつの主題で構成 されるよ う,分割 ・統合 ・再編する
(
1
8
-1
)パラグラフの分割
(
修 正 前) 日本の経済成長は国民の労働 に よって支 え られていた。労働 が大量 に投入 さ
れることで,経済成長 に大 き く貢献 した。特 に,労働 時間は他の先進 国に比べ長い。
1
9
9
0
年のデータでは, 日本だけが週あた り4
5
時間を越 えてい るが,他の国はそれ以下
だ。 その上 , 日本には悪 しき伝統 であ る 「サー ビス残業」があ る。 日本人労働者は 自
分の働 く企業 との一体感が強 く,企業の業績 を上げるため,あ るいは企業の倒産 を防
ぐために,無給の労働 が求め られ るときがある。 また, 自分の業績 を上げるため,企
業への忠誠心を示す ことに よって,将来の昇進 ・昇給 に有利になる とい う期待がある。
サー ビス残業は企業 の労働費用の節約 になるし,生産量や売上高の向上 に役立 ってい
0-44
歳で企
る。 しかし,働 きす ぎの人がいる一方,失業者 もいる.働 きす ぎの人は3
業の中核の社員であ る。 この年代の人が働 きす ぎなのは,仕事,勤務 に慣れて生産性
も高いので企業 に とってメ リッ トが高い ことに加え,本人の勤労意欲 も高いか らであ
る。家庭を持 ってい る場合が多いので,高い賃金へのニーズが高 く,長時間労働 を拒
否 しない傾 向があ る。失業者は若年層 と高年層 に集中 している。若年層の失業は特 に
深刻 である。それは,若い ときに無職であれば,経験 を得 る機会が少な く,勤労の大
切 さ も理解 することがで きないか らであ る。高年層の失業は家計 に大 きな損害 を与 え
る. この年代の人は所得稼得者の場合が多いので,相 当深刻な問題であるO どの よう
にすれば これ らの問題 が解決するのだろ うか。楠木 (
2
004
)はワー クシ ェア リングを
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
2
7
導入することを提案 している。 これは働 きすぎの人の仕事を失業者 にまわす とい うこ
とである。働 きす ぎの人は正常な勤労時間に戻 るし,失業者 も仕事 にあ りつ くことが
で きる。 しか し, この政策 に反対 する企業は少な くない。それは働 きすぎをさせてい
る企業だ。 この ような企業 は,有能で実績のあ る社員の労働 時間を減 らし,失業者 に
仕事 を与 えると生産性の低下につながる と恐れている。
(
コメン ト) 労働時間,サービス残業,働 き過 ぎ,失業,解決策,の 5つに分割。
(
修 正 後) 日本の経済成長は国民の労働 によって支 え られていた。労働 が大量 に投入 さ
れることで,経済成長 に大 き く貢献 した。特 に,労働時間は他の先進 国に比べ長い。
1
9
90
年のデータでは, 日本だけが週あた り4
5
時間を越 えてい るが,他の国はそれ以下
だ。
その上, 日本 には悪 しき伝統であ る 「サービス残業」があ る。 日本人労働者は 自分
の働 く企業 との一体感が強 く,企業の業績 を上 げ るため,あ るいは企業の倒産 を防 く
t
,
ために,無給の労働が求め られ る ときがある。 また, 自分の業績を上 げるため,企業
への忠誠心 を示す ことに よって,将来の昇進 ・昇給 に有利 になる とい う期待 がある。
サー ビス残業は企業の労働費用の節約になるし,生産量や売上高の向上 に役立 ってい
る。
この ような働 きす ぎの人は,3
0-4
4
歳で企業の中核 の社員であ る。 この年代の人が
働 きすぎなのは,仕事,勤務 に慣 れて生産性 も高いので企業 に とって メリッ トが高い
ことに加 え,本人の勤労意欲 も高いか らである。家庭 を持 っている場合が多いので,
高い賃金へのニーズが高 く,長時間労働 を拒否 しない傾 向がある。
働 きすぎの人がいる一方,失業者 もいる。失業者は若年層 と高年層 に集中 してい る。
若年層の失業は特 に深刻である。 それは,若い ときに無職であれば,経験を得 る機会
が少 な く,勤労の大切さ も理解す ることがで きないか らであ る。高年層の失業は家計
に大 きな損害を与 える。 こq)
年代の人は所得稼得者の場合が多いので,相当深刻な問
題である。
2
004)はワー クシ ェ
どの ようにすれば これ らの問題 が解決す るのだろうか。楠木 (
ア リングを導入す ることを提案 している。 これは働 きすぎの人の仕事 を失業者 にまわ
す とい うこ とであ る。働 きすぎの人は正常な勤労時間 に戻 る し,失業者 も仕事 にあ り
つ くことがで きる。 しか し, この政策 に反対す る企業 は少な くない。それは働 きす ぎ
をさせている企業だ。 この ような企業は,有能で実績のある社員の労働時間を減 らし,
失業者に仕事を与 えると生産性の低下につながる と恐れている。
(
1
8
2
)パラグラフの統合
(
修正前 :丸数字は筆者)
(
∋絵グラフは,アイ ・アピール (
視覚訴求力)の効果があ り, このグラフはご く自
然に,そ して上手 に相手をだます道具 として使われている, とある。
1
28
経 営 と経 済
(
診た しかに,グラフ,特 に絵 グラフな どは棒 グラフな どと比べて も,一 目見ただけ
で簡単 に強 いインパ ク トを与 え られ,一 目見ただけです く
小に理解 して しまい,簡単 に
騒 されて しまうのではないか と思われる。
③ ア メリカ とイギ リスの ロタンデ ィアの例 を見てみて も,30ドル と60ドルの違 いは
棒グラフよ りも金袋 を使 った絵グラフのほうが,一 目で容易に理解が深め られ る。
(
もしか も,金袋の絵は単 に 2倍の大 きさにす るのではな く,縦 ,横 をそれぞれ 2倍
に して措かれている。 これではインパ ク トが大 きす ぎ,人を編 すためのテクニ ック と
受け取 られて も仕方がない。
(
コメン ト) この ように 1文 ご とに別パ ラグラフにな っていると,かえってわか りに くい。
②先頭の 「た しかに」,④先頭の 「しかも」な どはかな り強い関連を示す接続詞である。
(
修正後 :丸数字は筆者)
(
争絵 グラフは,ア イ ・ア ピー)
L
'(
視覚訴求力)の効果があ り, このグラフはご く自
然 に,そ して上手 に相手をだます道具 として使 われている, とあ る。(
∋た しかに,グ
ラフ,特 に絵 グラフな どは棒 グラフな どと比べて も,一 目見ただけで簡単に強いイン
パ ク トを与 え られ,一 目見ただけです ぐに理解 して しまい,簡単 に編 されて しま うの
ではないか と思われ る。
(
卦アメリカ とイギ リスの ロタンデ ィアの例 を見てみて も,30ドル と60ドルの違 いは
棒 グラフよ りも金袋 を使 った絵 グラフのほ うが,一 目で容易に理解が深め られ る。④
しか も,金袋の絵は単 に 2倍の大 きさにするのではな く,縦 ,横をそれぞれ 2倍 に し
て措 かれてい る。 これでは インパ ク トが大 きす ぎ,人 を編すためのテクニ ック と受 け
取 られても仕方がない。
(
修正前 :丸数字は筆者)
①ハ フ (
1
96
8)は さまざまな統計のテクニ ックを紹介 してい るが,統計を作成す る
統計操縦法」があげ られる。
上で役立つ点 としては,「
② この 「
統計操縦法」を使 うこ とによ り,統計 を使 って 自分の考 えを効果的 に示 す
のに役立つ と考 え られ る。 なぜな ら,一見 どう とい うことのない統計 で も,グラフを
拡大 するこ とや絵や地図に表す こ とによって絶大的な効果を与 えるこ とがで きるか ら
であ る。
③以下では, この 「統計操縦法」のグラフ, イラス ト,地図を使用 した例を示 し,
それが与える視覚的効果について考察 してい く。
④ まず,単 なるグラフだけで も,グラフの書 き方 に よっては,かな りの視覚的効果
年間に2
0
億 円か ら2
2
億 円へ と1
0
%増 した とい う
が得 られるのである。仮 に貿易黒字が 1
折れ線グラフがある としよう。 しか し,普通の方眼紙 に普通 に記入 して しまってはそ
の変化が与 える印象は小 さい。そ こで,グラフの 1
8
億 円以下の部分を省略 してみる と,
わずかの上昇で も視覚的には大 きな変化 として見えて くるのである。 さらに,グラフ
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
2
9
をよ り効果的に見せたい場合 には,グラフの縦幅を長 くし横幅を短 くしてみ るのであ
る。 この縦 と横の幅の比率 を変 えてみることに よ り 「1
0
%の増加」が 「飛躍的な 1
0
%
の伸び」 として表す ことがで きるのである (
ハ 7.
1
9
6
8
)
0
(
9この ように,グラフの使用 しない部分 を省略 し,都合 よ く引 き伸ばすだけで,グ
ラフを見 る側に急激な伸びを印象付けることが可能 となる。
⑥ また,グラフの代わ りにイラス トの大 きさを変 えて措 くことに よって も,視覚的
『ニ ューズウ ィー ク』誌 が,二人の男の絵 を描 い
効果 が変わ ることがわかる.「以前 ,
た図を使 って, どれほ ど 『
長生 きで きるようにな ったか』を示 していた。一方の男は
8.
2
歳をあ らわ し, もう一方は 1
8
7
911
8
8
9における平均余命 3
4
歳 をあ
今 日の平均余命 6
らわ していた。 (
中略)一方の男は他方の男 よ りも 2倍の高 さでかかれてあったか ら,
その身体あ るいは体重は 8倍 にな っていたのであ る。 この絵 は話 を実際 よりよ くす る
ために事実を大げさに表 していたのである。 (
前掲 ,
pl
1
3
)
」 とある。
⑦ この ようにイラス トの高 さを 2倍 に措 いたか らといって,見た 目の印象 もその ま
ま 2倍にな る とい うわけではな く, 3倍 4倍 とよ り大げさな印象を与 えるこ とが可能
となるのである。
(
むこのほか,視覚的効果 をあげ るために地図を使用 する方法 もあ る。ハフは 「
地図
は,その中に事実 を隠 し,いろいろな関係をゆがめて しま うすぼ らしい入れ物の よう
な ものであ る。 (
前掲 ,
p1
6
6
)
」 と, この ようにた とえている。 その中に 『暗影』 と呼ば
れる地図がある。その代表的な例でボス トン第一銀行が発布 した ものがある。「その地
図は,現在 の国民所得の どの くらいが,政府 に吸い取 られ,支出されているかを示 し
ている。その方法は ミシシ ッピ河 より西の州 (
ただ し,ル イジアナ,ア-カンザスお
よび ミ-ズ リの一部 は除いてある)に影をつけて,それによって,政府の支 出額が,
影をつけた州の総所得 と等 し くな っていることを表 した ものだ。 この地 図でのごまか
しは,人 口が希薄なために面積は広いが,相対的に所得が低 い州を選 んでい る とい う
点である。」 この ようにすれば,所得の高い右側のニ ュー ヨー クやニ ューイングラン ド
側か ら影をつけてい くより,広大な面積を陰で塗 りつぶすことがで きる。
⑨ つま り,同 じデー タを使 った地 図だ として も,その数値 を都市部 か ら適用 してい
くか土地が広大な地方か ら適用 してい くかによって,人 々の視覚に与 える効果が変わ
って くることがわかる。
(コメン ト) (
∋(
彰,④⑤ ,⑥(
ラ,(
参(
勤は,後者が前者の結論 にな ってい るので,それぞれ
統合する。
(
修正後 :丸数字は筆者)
(
Dハフ (
1
9
6
8
)はさまざまな統計のテクニ ックを紹介 しているが,② 「統計操縦法」
を使 うことにより,統計を使 って 自分の考 えを効果的 に示すのに役立 つ と考 え られ る。
一見 どうというこ とのない統計で も,グラフを拡大す ることや絵や地 図に表 す ことに
よって絶大的な効果を与えることがで きるか らである。
1
3
0
経 営 と経 済
(
勤以下では, この 「統計操縦法」のグラフ,イラス ト,地図を使用 した例 を示 し,
それが与える視覚的効果について考察 してい く。
④ まず,単なるグラフだけで も,グラフの書 き方 に よっては,かな りの視覚的効果
0
億円か ら2
2
億 円へ と1
0
%増 した とい う折れ線
が得 られる。仮 に貿易黒字 が 1年 間に2
グラフがあ る としよう。 しか し,普通の方眼紙 に普通 に記入 して しまってはその変化
8
億 円以下 の部分 を省略 してみる と,わず
が与 える印象は小 さい。そ こで,グラフの 1
かの上昇で も視覚的 には大 きな変化 として見えて くるのであ る。 さ らに,グ ラフを よ
り効果的に見せたい場合には,グラフの縦幅を長 くし横幅を短 くしてみる。 この縦 と
1
0
%の増加」が 「飛躍的な 1
0
%の伸び」 として表
横の幅の比率を変 えることにより,「
す こ とがで きる (
ハ 7.
1
9
6
8
)
0⑤ この ように,グラフの使用 しない部分を省略 し,都
合 よ く引 き伸ばすだけで,グラフを見 る側に急激な伸 びを印象付 けることが可能 とな
る。
⑥ また,グラフの代わ りにイラス トの大 きさを変 えて措 くことによって も,視覚的
効果 を変 えることがで きる。「以前,『ニ ューズ ウ ィー ク』誌が,二人の男の絵 を描 い
た図を使 って, どれほ ど 『長生 きで きるようになったか』を示 していた。一方の男は
8.
2
歳 をあ らわ し, もう一方は 1
8
7
9-1
8
8
9における平均余命 3
4
歳 をあ
今 日の平均余命 6
らわ していた。 (
中略)一方の男は他方の男 よ りも 2倍の高さでかかれてあったか ら,
倍 にな っていたのである。 この絵は話を実際 よりよ くするた
その身体あ るいは体重は8
pl
1
3
)
」。⑦ この ようにイラス トの高 さ
めに事実を大げさに表 していたのである (
前掲 ,
を 2倍 に措 いたか らといって,見た 目の印象 もそのまま 2倍 にな る とい うわけではな
倍4
倍 とより大げさな印象を与 えることが可能 となるのである。
く,3
⑧ このほか,視覚的効果をあげ るために地図を使用す る方法 もある。ハフは,「
地図
は,その中に事実を隠 し,いろいろな関係をゆがめて しまうすぼ らしい入れ物の よう
な ものであ る (
前掲 ,
p1
6
6
)
」 とた とえている。 その中に 『暗影』 と呼ばれる地図があ
る。 その代表的な例でボス トン第一銀行 が発布 した ものがある。「その地図は,現在 の
国民所得の どの くらいが,政府 に吸い取 られ,支出されているかを示 してい る。その
方法 は ミシシ ッピ河 より西の州 (
ただ し,ル イジアナ,ア- カンザスお よび ミーズ リ
の一部は除いてあ る) に影 をつけて,それによって,政府の支 出額が,影をつけた州
の総所得 と等 し くな ってい ることを表 した ものだ。 この地図でのごまか しは,人 口が
希薄 なために面積は広いが,相対的に所得が低 い州を選 んでいる とい う点である」。 こ
の ようにすれば,所得の高 い右側のニ ェ- ヨー クやニ ュー イングラン ド側か ら影をつ
けてい くよ り,広大 な面積 を陰で塗 りつぶす こ とがで きる。(
9つま り,同 じデー タを
使 った地図だ として も,その数値 を都市部 か ら適用 してい くか土地が広大な地方 か ら
適用 してい くかによって,人 々の視覚に与える効果が変わって くることがわかる。
1
31
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
(
1
8-3
) パラグラフの再編
(
修正前 :丸数字は筆者)
①学校卒業時点での就職難 といった労働市場 の要因 とは別 の ところで,フ リー ター
を選 んでい く高校生たちがいる。始めは就職希望でいたにも関わ らず,高校 3年生 の
春か ら夏にかけての就職希望先決定の時期 に,何 もしなかった末 に残 された進路がフ
リー ターだけにな って しまった とい うことも考 え られ る。②進学率が高い学校であれ
ば,生徒が将来 について迷 っていて も進学の方 向へ と導 くサポー トが出来 るが,多様
な方 向へ分岐する起点 となる高校では,本人が決めなければな らない。それを決め ら
れないことが,フ リーターへの1つの要因にもな っているといえる.(
∋また,フ リー ター
を志望する者の多 くが 「や りたい こと」があるか らという理 由を持 っている。「や りた
い こと」への こだわ りは,フ リー ターを選ぶ心理 として重要 な ものである。(
むさ らに
は,男女では置 かれてい る状況が大 き く異な り,就職 が難 しいばか りでな く,進学 へ
の切 り替 えも難 しいのが女子である。
⑤多 くの可能性 を 目の前 に している高校生が,在学 中に 自分が進 むべ き道 を選び 出
せず に迷 っている間にフ リー ター しか道が残 されていない, とい うのは悲 しすぎる。
(
◎卒業後 ,フ リー ターになってやは り進学 したかった と考 え直 した として も,何 らか
の理 由で進学で きず,一生の後悔 を味わって しま う者 が少なか らず存在す るのではな
いか。その ような者が少 しで も減少す るように,教員や学校側が職業選択 に有効な教
育機会を もっ と増やすべ きである。 さもない と,フ リーター に対 して ,「
正社員 とあま
り深 く関 らずにすむので楽だ,その うち きちん とした仕事 に就 く人が多いので とりあ
えずフ リー ターになって も問題 ない」な どとい った,安易な考 えを抱いて しまいかね
ない。学校教育における就職指導 ・
支援は極めて重要な課題だ と思われる。⑦三方 で!
"
進学希望であ りなが ら経済的理 由で仕方な くフ リーターにな る者
なが ら夢を果たそ う
フ リー ターをや り
ることも忘れてはなるまい。
(
コメン ト) ①④⑤ は現状,②⑥は就職指導の必要性,③⑦は全否定への留保。 同 じテー
マが繰 り返 し出て くる。
(
修正後 :丸数字は筆者)
(
∋学校卒業時点での就職難 といった労働市場の要因 とは別 の ところで,フ リー ター
を選 んでい く高校生たちがいる。始めは就職希望でいたにも関わ らず,高校 3年生の
春 か ら夏にかけての就職希望先決定の時期 に,何 もしなかった末 に残 された進路がフ
リー ターだけにな って しまった とい うことも考 え られ る。④ なかで も女子 は,就職 が
困難 なだけでな く,進学 への切 り替 え も難 しい。⑤多 くの可能性を 目の前 に してい る
高校生が,在学 中に進路 を選び出せずに迷 っている間にフ リー ター しか道 が残 されて
いない, とい うのは悲 しすぎる。
②進学率 が高い学校であれば,生徒が将来 について迷 っていて も進学の方 向へ と導
くサポー トが出来 る。一方,多様な方 向へ分岐する起点 とな る高校 では,本人が決 め
1
3
i
Z
.
経 営 と経 済
なければな らない。 それを決め られない ことが,フ リー ターへの 1つの要因に もな っ
てい る といえる。⑥ また,卒業後 ,フ リーター にな りやは り進学 したかった と考 え直
して も,何 らかの理 由で進学で きず,一生の後悔 を味わ って しまう者 が少なか らず存
在す るのではないか。その ような者が少 しで も減少す るように,教員や学校側が職業
選択 に有効な教育機会を増やすべ きであ る。 さもない と,フ リーター に対 し,「
正社員
とあ ま り深 く関 らず にすむので楽だ,その うち きちん とした仕事 に就 く人が多いので
とりあえずフ リー ターにな って も問題ない」 といった,安易な考 えを抱 きかねない。
学校教育における就職指導 ・
支援は極めて重要な課題である。
進学希望であ りなが ら経済的理 由で仕方な くフ リー ターになる者,フ リー
クーをや りなが ら夢 を果たそ うと
ることも忘れてはなるまい。
「や りたい こと」があるとい う理 由を持 っている。「や りたいこと」
への こだわ りは
フ リーターを選ぶ心理 として重要である。
(
修正前 :丸数字は筆者)
①近年, 日本では急速 に少子高齢化が進み,大 きな問題 とな ってい る。少子高齢化
は人 口構造の変化を引 き起 こし,社会のあ らゆる面に大 きな影響を及ぼす。
(
参しかも,それは今後 さ らに深刻化が見込 まれ るこ とか ら,少子高齢化が発生す る
社会の しくみ と現状 を認識 し,また少子高齢化 を改善す るためには どの ような社会作
りが必要なのかについて も考 える必要がある。③例 えば少子化の原因 として,女性の
社会進 出があげ られ ることが多い。 しか しそれだけで片付けて しまうのではな く,女
性の社会進 出が必ず少子化 に結びつ くのか,女性の社会進 出に対する社会制度の問題
点はないか,など考 える必要がある。
④ 問題解決 のためには表面 に現れる問題だけに対処す るのではな く,その奥 に潜 む
本質や真因を解 明 しなければな らない。 そのため,多様 な視点 か ら考察する必要があ
る。
⑤本稿では,高橋伸彰著の 『
少子高齢化の死角 』(
2
00
5, ミネルヴ ァ書房)の うち,
少子化問題について述べ られている第 2葺 「
進む少子化 と女性の社会進 出に潜 む死角」
(p3
8- p75
) を中心に参照 しつつ,少子化が起 こる原 因 と,少子化 に対応す るため
の社会作 りについて考察する。
⑥少子高齢化 によ り発生す る問題の一 つ として,年金負担の問題があ る。年金を受
け取 る高齢者 が増加すれば,負担 も増加する。 これに加 えて,年金 を負担す る働 く世
代が少子化 に よ り減少 しているこ とによって も,年金負担の増加が発生する。 この現
状 に対応するためには,止め られない高齢化 を支 えうる,少子化の改善が必要である。
そこで本稿では,少子化問題を中心に考察する。
(
コメン ト) ③は本 レポー トで扱 う問題の絞込みを行 ってい る部分 なので,⑥ を先行 させ
る必要がある。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
33
(
修正後 :丸数字は筆者)
(
丑近年 , 日本では急速 に少子高齢化が進み,大 きな問題 となっている。少子高齢化
は人 口構造の変化 を引 き起 こし,社会のあ らゆる面 に大 きな影響を及ぼす。② しか も,
それは今後 さ らに深刻化 が見込 まれることか ら,少子高齢化 が発生 す る社会の し くみ
と現状を認識 し,また少子高齢化 を改善す るためには どの ような社会作 りが必要 なの
かについて も考 える必要がある。
⑥少子高齢化 に よ り発生す る問題の一 つ として,年金負担 の問題 がある。年金 を受
け取 る高齢者が増加すれば,負担 も増加す る。 これに加えて,年金 を負担 する働 く世
代が少子化 によ り減少 していることによって も,年金負担の増加が発生す る。 この現
状 に対応す るためには,止め られない高齢化を支えうる,少子化の改善が必要であ る。
そこで本稿では,少子化問題を中心に考察する。
④ 問題解決のためには表面 に現れる問題だけに対処するのではな く,その奥 に潜む
本質や真因を解 明 しなければな らない。そのため,多様な視点か ら考察す る必要があ
る。③例 えば少子化の原因 として,女性の社会進 出があげ られるこ とが多い。 しか し
それだけで片付けて しま うのではな く,女性の社会進 出が必ず少子化 に結びつ くのか,
女性の社会進出に対する社会制度の問題点はないか,など考 える必要 がある。
⑤本稿では,高橋伸彰著の 『少子高齢化の死角』(
2
0
0
5
, ミネルヴ ァ書房)の うち,
少子化問題 について述べ られてい る第 2章 「
進む少子化 と女性の社会進 出に潜む死角」
(p3
8- p75)を中心に参照 しつつ,少子化が起 こる原因 と,少子化 に対応するため
の社会作 りについて考察する。
(
修正前 :丸数字は筆者)
①統計 とい うものは,いつ も,なにかを強調 したい意図で持ち出される。そ こには
いつ も,何 らかの意図が隠されている と考 えたほ うが よい。「数字」は一見,ただの量
であ って,無味乾燥で中立的,客観的な ものに見 える。 しか し,社会的な文脈 に 「数
字」が持ちだされ る とき,それはいつ も社会的 な意味や価値 を担 っている。例 えば,
統計 の数字 その ものに間違 いがな くて も,その数字の どの部分を切 り取 って くるか,
それによって大 き く意味合いが違 っている。
(
参また,統計の数字がグラフ化 され る と,我 々はそのグラフの増減 とい った形 に 目
が奪 われ
その背後 にあ る, よ り本質的な意味 にまで考 えが至 らない。③ ここでは,
少年非行を例に とって統計のウソを紹介する。
④近年 ,新聞 ・テレビな どの各 メデ ィアで少年非行の凶悪化が報 じられている。 あ
る新聞記事 には,「
少年凶悪犯
1
0
年前の倍」,「
1
0
年前の上半期 に比べてその年の上半
期に殺人で摘発 された少年は,1
.
4
倍の6
3
人に上 り,記録史上最悪 となった。強盗 も9
3
年の2.
4倍の876人 と急増 した。殺人,強盗 を含む凶悪犯全体 は 1
1
0
5
人で, 2倍近 くと
なった。」 と書かれている。 この記事にはなんの 「ウソ」 も誇張 もな く,1
0年前に比べ
1
3
4
経 営 と経 済
て上半期の少年犯罪が 「
1
1
0
5
人で ,2
倍近 くとなった」のは事実である。
0
年前の倍」 とい う見 出 しがある と,それが上半期であ ろ
(
9しか し,「少年 凶悪犯 1
うと, 1年 を通 じての ものだろうが, ともか く 「倍」 になった とだけ我 々は捉 えて し
ま う。 これは一種の トリックの ような ものであ り,見出 しで強 く印象付 ける と,本文
でい くら説明されて も 「ともか く増 えている」 と判断 して しまいがちである。
⑥ この ように何かが強調 されている場合は,少 し引いて見 る必要がある。上の記事
の例で言 えば,報道 がされた時点で判断するのではな く,少 し問をおいて事態の推移
を観察する とい うこ とである。つま り,上半期 だけではな く,下半期 の統計 を含めて
1年 というサ イクルで見 る必要がある。
⑦次 に,統計の 「グラフ」の問題 を紹介する。 グラフは何かの数値 の変化 を視覚的
に捉 えることが可能 な ことが特徴 であ る。 しか し, この特徴が同時に問題点に もな り
うる。我 々は視覚的 に強い印象を受ける と,内容 を吟味せずにわかった気になって し
まいがちである。⑧特 に,メデ ィアで社会的な問題を大 々的に報 じられると,「数字」
や 「グラフ」の強い印象に 目を奪われて,内容の吟味を忘れがちになる。
⑨以上の ような統計のウソを深 く考察せずに受 け入れて しま うのは,我 々が 「わか
安易 さ」を求める姿勢であ るか らであ る。例 えば,専門家が専門的な話
りやす さ」,「
を して も我 々はあま り理解で きず, よ りわか りやすい説 明を求め る。 しか し,わかる
とい うことは,単 に記憶 に留め ることではな く, 自分 自身の問題 として受け止め,か
かわ ってみることである。そ して, 自分でその ことについて調べ よう としてみる態度
を持つ ことである。
⑲世 の中の ことは簡単 に白黒つけ られない。 しか し,我 々はす ぐに白黒をつけたが
り,無理 に白黒つけ ようとす る。そ してあ りきた りの決 ま りきった答 えに収 ま りがち
である。
⑪統計は,意図す るしないにかかわ らず,必ず 「ある種の意味」が生まれる。特 に,
社会的な問題 を扱 う 「
統計」は,物理的な量を示す数字 とはまった く違 う意味を持 つ
もの と考 えなければな らない。 目に付 きやすい 「
数字」の増減のみを見るのではな く,
そ こにどんな意味が生 まれ, どんな意図が隠 されているのか と,少 し後 ろに引いて見
る,または吟味する必要がある。
(
コメン ト) ①⑪,②⑦(
参は同 じ話題であ り,③∼(
むは連続 した話題である。
(
修正後 :丸数字は筆者)
⑪統計は,意図す るしないにかかわ らず,必ず 「ある種の意味」が生 まれる。特 に,
社会的な問題 を扱 う 「
統計」は,物理的な量 を示す数字 とはまった く違 う意味を持 つ
もの と考 えなければな らない。 目に付 きやすい 「
数字」の増減のみを見 るのではな く,
そ こに どんな意味が生 まれ, どんな意図が隠 されているのか と,少 し後 ろに引いて見
る,または吟味する必要がある。
①統計 とい うものは,いつ も,なにかを強調 したい意 図で持 ち出される。そ こには
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
35
いつ も,何 らかの意図が隠されている と考 えたほ うが よい。「数字」は一見,ただの量
であ って,無味乾燥で中立的,客観的な ものに見える。 しか し,社会的な文脈 に 「数
字」 が持ちだされ る とき,それはいつ も社会的な意味や価値 を担 っている。例 えば,
統計の数字 その ものに間違 いがな くて も,その数字の どの部分を切 り取 って くるか,
それによって大 き く意味合いが違 っている。
⑦次に,統計の 「グラフ」の問題 を紹介する。グラフは何 かの数値 の変化 を視覚的
に捉 えるこ とが可能なこ とが特徴 である。 しか し, この特徴 が同時 に問題点 にもな り
うる。我 々は視覚的に強い印象を受ける と,内容を吟味せずにわかった気 になって し
まいがちであ る。(
∋また,統計の数字がグラフ化 され ると,我 々はそのグラフの増減
といった形 に 目が奪われ,その背後 にある,よ り本質的な意味にまで考 えが至 らない。
⑧特 に,メデ ィアで社会的な問題 を大 々的に報 じられ ると,「数字」や 「グラフ」の強
い印象に 日を奪われて,内容の吟味を忘れがちになる。
(
参ここでは,少年非行 を例 に とって統計のウソを紹介するO④近年,新聞 ・テレビ
少年 凶
な どの各 メデ ィアで少年非行の凶悪化が報 じられている。ある新聞記事 には ,「
悪犯
1
0年前の倍」,「1
0年前の上半期 に比べてその年 の上半期に殺人で摘発 された少
年は ,1
.
4
倍の6
3
人 に上 り,記録史上最悪 となった。強盗 も9
3
年の2.
4
倍の8
76
人 と急増
した。殺人,強盗 を含む凶悪犯全体は 11
05人で ,2
倍近 くとな った。」 と書かれている。
この記事 にはなん の 「ウ ソ」 も誇張 もな く, 10年 前 に比 べ て上半 期 の少年犯 罪 が
「11
05人で, 2倍近 くとな った」のは事実である。⑤ しかし, 「
少年凶悪犯 1
0年前の倍」
年 を通 じての ものだろうが, とも
とい う見出 しがある と,それが上半期であろうと,1
かく 「
倍」 になった とだけ我 々は捉 えて しま う。 これは一種 の トリックの ような もの
であ り,見 出 しで強 く印象付ける と,本文でい くら説 明されて も 「ともか く増 えてい
る」 と判断 して しまいがちである。(
むこの ように何 かが強調 されている場合 は,少 し
引いて見る必要がある。上の記事 の例で言 えば,報道 がされた時点で判断す るのでは
な く,少 し問をおいて事態 の推移 を観察する とい うことであ る。つま り,上半期だけ
年 というサイクルで見る必要があ る。
ではな く,下半期の統計を含めて 1
(
9以上の ような統計のウソを深 く考察せずに受け入れて しまうのは,我 々が 「わか
りやすさ」,「安易 さ」を求める姿勢であるか らであ る。例 えば,専門家が専門的な話
を して も我 々はあま り理解 で きず, よ りわか りやすい説明を求める。 しか し,わか る
とい うことは,単 に記憶 に留めることではな く, 自分 自身の問題 として受け止め,か
かわ ってみ ることである。そ して, 自分でその ことについて調べ ようとしてみる態度
を持つことである。
⑲世の中の ことは簡単に白黒つけ られない。 しか し,我 々はす ぐに白黒をつけたか
り,無理 に白黒つけ ようとする。 そ してあ りきた りの決ま りきった答えに収 ま りがち
である。
経 営 と経 済
1
36
(
修正前 :丸数字 は筆者)
今後統計を見 る場合 に,最 も注意すべ き と考 える点
①筆者は統計 を見 る場合 において,普段我 々が 目に してい る統計 は本当に,統計 の
調査方法 に問題 がないか。 とい うこ とを慎重 に読 み解 く必要 があ るのではないか と考
えた。
「
統計 でウソを
② その理 由 として,我 々は普段 か らさまざまな統計 に接 しているが ,
968)を読 んでわかるように実際 に世間 に出回 ってい る統計の多 くは,
つ く法」(
ハ 7.1
製作者が意図 しようが しまいが多 くの統計がゆがめ られている事 が よ くあるか らだ。
1
9
68
) はその著書の中で,"1.
課題 図書の要約"で も掲載 した ように有益 な
③ハ フ (
デー タを見分 け るための 5つの簡単 なポ イン トを記 している。著者 はその中で統計 が
どの ような 「
調査方法」 によって導 き出された ものかについて特 に注 目してみた。
④ よって,以下 では統計 におけ る調査 の重要性 を示 すために も,まず実際 に どの よ
うなゆがめ られた統計が存在 してい るかを例示 し,検討 してみたい。
⑤ 「
-
1
924
年度 のエール大学卒業生 の年 間平均所得 は , 2万 5111ドルであ る一一
と,雑誌 『タイム』 が以前 『ニ ュー トー ク ・サン』誌 の何 かの記事 を論評 した ときに
」(
ハ 71
96
8)
書いていた。
(
むこの一見 もっ ともらしいデー タがあ るが,注意 しなければな らない点が何箇所 か
あ る。 まず,非常 にた くさんの人 の平均所得 が 1 ドル単位 まで細 か くわかる ような こ
924
年度 の卒業生 を全員
とはそ うそ うない とい う点 であ る。 また,現在生存 している1
つかまえることはで きない とい う点であ る。
(
∋そ もそ も,住所 のわか らない名前 とい うのは,卒業後 に輝 か しい仕事 を何 も成 し
遂 げ られていない人 たち と考 え られ る。 つま り平均所得 を下 げそ うな事務員 ,工員 ,
浮浪者 ,失業者 な どと考 え られ る。 よって, こういった低所得者 は最初 か ら数 には入
っていない と考 え られ る。
(
卦さ らに,住所 がわかってい る者 の うちで も,多 くの者 は質 問紙 には回答 を しない
ものだ し,年 間の平均所得 とい ったプ ライベー トな質 問には特 に回答 しない と考 え ら
れ る うえ,実際 に回答 した として も正直 に回答 す る とは限 らない。郵送 され る質問紙
0% の回答 があれば,かな りの回収率 であ る。 エール大学 の
の場 合では , 5% ない し1
00% な どと言 うことはない。
卒業生 に関す る調査 では これ よ り高率だ った として も,1
よって,仮 に得 られた統計 が全体 の 50% だった として も,その統計 はかた よ りがな く
本当に全体を反映 しているのか疑 わ しい。
⑨ つま りこの記事 は,一見 もっ ともらし く見 えるが,以上 の こ とを踏 まえる と大変
疑 わ しい記事 であ る こ とがわか る。以上 か らわかるように,統計の調査方法 に問題 が
ないか とい うことは非常 に大切な ことなのであ る。
⑲ハ フ も同様 に 「かた よ りのあ るサンプル に も注意 を しなければいけない。 つま り
サンプルの選 び方 が不適 当ではないか,あるいは, この例の ように,調査の結果 か ら
レポー ト添 削指導 に関す る事例報告
1
3
7
出て きたわずかな ものだけを選 らんだのではないかに気をつけるこ とであ る。要す る
に, (
中略)そのサンプルは信頼で き結論が得 られるだけの大 きさがあるか どうかを検
討 してみること (p1
9
6
)
」が大切であ る と述べてあ るように, どの ような方法でサン
プ リングをされたのかを注意 して統計 を読みなお してみるこ とによ り,その統計 にか
た よりがないか,本当に十分な ものであるかを見極め ることがで きる。
⑪以上の例の ように,統計は提供す る側によって しば し歪 め られ ることがあるうえ,
読む側の知識が少 ないために多 くの誤解 を生みだす こ とがあ る。 よって,我 々は与 え
られた統計 を鵜呑 みにす るのではな く,掲載 されてい る統計 を もっ と慎重 に読 んで,
検討 してみ る必要 がある。 これによ り,無意味 な統計 に踊 らされ ることな く,信葱性
のある統計 を取捨選択 し,生活に役立ててい くことができるのではないだろうか。
(コメン ト) ①③⑪は同 じ内容,(
参④は連続す る内容 にな ってい る。 また,この節の結論
としては⑪ よりも⑲の最後の文章がふ さわ しい.⑪ は(
丑(
参とも重な るので削除 し,パ
ラグラフの順序を変更 ・統合。 さ らに冗長性を削った。
(
修正案 :筆者が手を加 えたもの,丸数字は筆者)
統計 を見る場合に注意すべ き点
⑪統計は提供す る側に よって しば し歪め られ ることがあ るうえ,読む側 の知識 が少
ないために多 くの誤解を生みだす ことがあ る。 そ こで我 々は統計 を もっと慎重 に読む
1
9
6
8
)は,多 くの統計の中か ら有益なデー タを見分けるための5
必要がある。(
参ハ フ (
つの簡単なポイン トを記 してい る。① そのなかで,統計を見 る際に もっとも重要だ と
考 え られるのは,調査方法に問題がないか意識 しなが らデー タに接 す るこ とであ る。
(
∋統計は製作者の意図にかかわ らずゆがめ られていることが多いか らだ。(
彰そ こで以
下では,統計が どの ようにゆがめ られているかを例示 し,調査方法の重要性 を示す。
(
亘「
-
1
9
2
4
年度のエール大学卒業生の年間平均所得は,2
万51
1
1ドルである-
と,
雑誌 『タイム』が以前 『ニ ュー トー ク ・サン』誌の何 かの記事 を論評 した ときに書い
ていた」 (
ハフ1
9
6
8
)
。⑥ このデー タには,注意すべ き点が何箇所かあ る.
(
すまず,平均所得が 1 ドル単位 まで細 か くわかるような ことはそ うそ うない とい う
92
4
年度の卒業生 を全員 つかまえるこ とはで きな
点である。 また,現在生存 している1
い とい う点であ る。⑦そ もそ も,住所 のわか らない者 とい うのは,卒業後 に輝 か しい
仕事 を何 も成 し遂 げ られていない人たち と考 え られ る。 この ような平均所得 を下げそ
うな低所得者は,最初か ら数には入っていない と考 え られる。
⑧ さらに,住所 がわか っていて も,年 間の平均所得 といったプライベー トな質問に
は回答 しない者が多 く,また回答 した として も正直に回答す るとは限 らない と考 え ら
0
%の回答があれば,かな りの回収
れる。郵送 され る質問紙 の場合では, 5%ない し1
o
o
野
率である。エール大学の卒業生 に関する調査では これ より高率だった として も,l
な どと言 うことはない。仮 に得 られた統計が全体の 5
0
%だった として も,その統計が
全体 を代表 しているのか疑わ しい。
1
満
経 営 と経 済
(
9以上を踏 まえる と, この記事 は一見 もっ ともらし く見えるが大変疑わ しい ことが
わかる。⑲ハ フも,「かたよ りのあ るサンプルに も注意を しなければいけない。つま り
サンプルの選 び方が不適当ではないか,あるいは, この例の ように,調査の結果か ら
出て きたわずかな ものだけを選んだのではないかに気をつけることである。要す るに,
(
中略)そのサンプルは信頼で きる結論 が得 られ るだけの大 きさがあ るか どうかを検
討 してみること (
p1
9
6
)
」が大切である と述べている。
⑲ このように,サンプ リングに注意す ることにより,その統計のサンプルが十分か,
かた よりがないかを見極めることがで きる。
(
1
8
4
)パラグラフ間の重複を排除
(
修正前 :丸数字は筆者)
(
1
)課題図書の要約
①私 たちは 日常生活の中で,統計 によって出された数字をよ く目にす る。統計は,
事実が ものをい う社会では人 に訴 える力が非常 に大 き く, よ く利用 されている。 また
社会や経済の動 向や国勢調査な どの膨大なデー タの結果 を記録 するには欠かせない も
のであ る。 しか し私たちはそれ らすべてをうのみに し,信 じるべ きではない。統計 は
使い ようによっては人を編 した り,全 く異なった印象を与 えることも可能であ り,そ
のための方法 は数多 くある。 この ようなウソの統計は社会に多 く存在 し,実際 に非常
に多 くの例をあげることがで きる。 しか し,統計 を見破 るためのカギを知 っていれば,
私たちは統計資料 を 目にす る時それが正 しい統計なのか,ウソの統計なのかを見分 け
るこ とがで き,正 しい情報 を得 ることが可能である。著者ダレル ・ハ フは以上の こ と
1
9
6
8
年講談社 出版)の中で述べている。
を 「
統計でウソをつ く法」 (
(
2) 今後筆者が統計 を見る場合に,最 も注意すべ きと考 える点
②私たちの周囲には,統計 によって出された数字や資料があふれてお り,私たちは
少な くともその影響 を受けている と言 える。 しか しそれ らが全部正 しい統計である と
は限 らない。「
統計でウソをつ く法」の中で数 々の例があげ られていた ように,ウソの
統計 は数多 く存在す る。一 つの物事 も,表す方法 によっては大げさに表示 された り,
全 く異なる印象を持 たせ ることが可能 なのであ る。私たちはその中か ら正 しい統計 を
見極め,正 しい情報 を得 る必要がある。
③ そのために,私たちは統計を見る場合に どの ような点に注意すれば よいだ ろうか。
今後統計を見 る場合 に重要な ことは,まず 目に した統計 をすべて うのみに し信 じるの
ではな く,疑わ しい点がないかを じっ くり観察す ることである と思われる。「
統計でウ
ソをつ く法」 を読 んだ後の,統計すべてを信用せず少 しは疑 うべ きだ とい う意見 (
誰
の ?)は,かな り当た り前の ことであるように感 じるか もしれない。 しか し実際にこれ
まで筆者は 目にする統計を疑 った ことがなかったのであ る。理 由もな く,統計 とい う
ものは正 しい ものである と信 じて疑わなかった。そ して世の中には今 もそ う信 じてい
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
3
9
る人 が多 く存在す るのではないだろうか。 したが って,まずは信 じる前 にじっ くり観
察することが重要であると思われ る。
(
彰じっ くり観察す る際に どこに焦点をお くべ きであ るかは,その資料 による。統計
の資料には,数字,表,グ ラフ,図,な どの様 々な種類があ るo そ して 「
統計でウソ
をつ く法」 の中の数多 くの例か らもわかるように,ウソの方法 も様 々である。様 々な
種類 の統計 を正 しいかどうかを見極め るには 「統計でウソをつ く法」 で紹介 されてい
る 「統計のウソを見破 る五 つのカギ」を もとに検証す るべきであると思われ る。「1誰
9
6
8
年p1
9
2
)
」「2どうい う方法で
がそ ういっているのか ?(
統計の出所 に注意) (
ハ 71
わかったのか ?(
調査方法 に注意) (
ハ 71
9
6
8
年 p1
9
6
)
」「3足 りないデー タはないか ?
(
隠されている資料 に注意) (
ハ 71
9
6
8
年p1
9
7
)
」「4いっていることが違 ってや しない
か ?(
問題のす りかえに注意) (
ハ 71
9
6
8
年p
2
0
3
)
」「5意味があ るか しら ?(どこかおか
し くはないか ?) (
ハ 71
9
6
8
年p
21
3
)
」 この 5つを頭の中において,一 つ一つ問いかけ
ることによ り正 しい見極めが可能 となるのではないだ ろうか。 この 5つを問いかけな
が ら検証 し,まだ調べる必要あるな ら,資料の種類 に応 じて細か く検証 してい くべ き
だ と思われる。
(
9今回 「
統計でウソをつ く法」を読み,様 々なウソの統計の例を知 ることがで きた。
数多 くの方法の存在 を しり,具体的に内容を知 ることがで きた。「
統計のウソを見破 る
五つのカギ」を用いた検証方法について も知 った。
(
むしか し筆者がそれを もとに検証 した として も見落 として しまわないだろ うか とも
感 じるウソの統計の例 もあ った。例えば 「人はウソをいうものである」 (
1
9
6
8
年ハフ p
21) とい う例であ る。確かに回答者のだれ もが必ず しも正直に答える とは限 らない し,
質問 によってはウソが増 える とい うこともあるだろう。回答者がウソをいっていない
か どうかを見極め るのはかな り困難である と思われ るし,またウソであ るとわかった
として もそ こか ら本当の回答を得 ることも困難であ る と思われる。調査 自体は しっか
り行 われた として も,回答者の答 えが本当でなければ,それは本当の統計 とはいえな
いのではないだろうか。
⑦ この ようなこ とか ら目にする統計を見極め るとい うことは,観察力が必要 とされ
あ らゆる点か らじっ くり観察 しな しなければな らない と感 じた。
⑧筆者が一番 この本か ら学んだ ことは,まず 目にす る統計のすべてを信 じてはいけ
ない,中には疑 うべ きもの もあ る とい う事実であ る。 この こ とは本の中では当た り前
の こ とで最低限知 っておかなければな らない こ とか もしれない。 しか し筆者 に とって
は当然の こ とではな く,驚 きの事実であったのだ。そ して今回その驚 きの事実 を知 っ
たことによ り,今後統計資料を 目にする際大いに役立つ もの と思われる。
(
3
)今後筆者が統計資料を作成す る場合に,役 に立つ と思われ る点
⑨ 目にす る統計資料のすべてを信 じてはいけない,中には疑 うべ きもq)もあ る とい
う事実を知 った以上, もし筆者が統計資料 を作成する側にな った場合には疑 いを持た
1
4
0
経 営 と経 済
れ ることな く,信 じられる統計資料 を作成 したい。その事実 を知 る以前の筆者の よう
な人が見る場合,あま り注意 して作成 しな くとも疑われることはないかもしれないが,
「統計でウソをつ く法」を読んだ人は もちろん,そ うでない人で も検証の必要性 を理
解 している人は多い と思われるので,注意 して作成 しなければな らない。
⑲ では,統計資料 を見る際,人 々は どの ような点に注意 しなが ら検証するのであ ろ
うか。その ことに注意 して資料 を作成で きれば よいが,人それぞれ注意 して見 る とこ
ろは異なるし,統計資料に も様 々な ものが存在 する。 したが って この 1つの ことに注
意すればよい というわけではな く様 々な ところに気を配 らねばな らない。
⑪ そ こで役立つのが 「
統計のウソを見破 る五 つのカギ」である と思われる。 この 5
つのポイン トは統計資料を見 る側 に とって重要 であるが,統計資料 を作成す る側 に と
って も同じように重要なのである。資料 を作成する際に五つの質問を 自分 に問いかけ,
疑 うべ き点はないかを考 える。 この ことに注意 しなが ら資料作成 をす ることによ り,
疑 うべ き点が少ない正 しい統計資料に近づける と思われ る。
⑫統計で ウソをつ く方法 を利用 し,営利 目的な どで統計資料 を作成す るとい うのな
ら話 は別であるが,ウソをつ こうとは考 えずに統計資料 を作成 した として も,結果誤
解 を招いて しまう可能性 もある と思われ る。 この ような ことを防 ぐためにも,悪意が
ない として も注意 しなが ら作成 しなければな らない。
⑬ また 「統計でウソをつ く法」 によ り具体的な数多 くの例 を知 り,今後筆者が統計
資料 を作成する機会があれば注意 しなければな らない と感 じる点が数多 くある。
⑭例 えばその一部 としてデー タの集め方,算術平均 と中央値 の使い方,図やグラフ
での表現の仕方な どがあげ られる。 とくに筆者 が興味 を持 った例 は,算術平均 と中央
値 についてである。 どち らも平均 を表 しているが,その 2つの数値 の間には大 きな差
があ る。筆者は統計学 を受講 していたので算術平均 と中央値 についての知識 は少 々あ
統計でウソをつ く法」の具体的な例によ り,達 いがよ りわか りやす く理解で き
るが ,「
きし
⑮ 以上の ことか ら,例 えば どの ように してデー タを集めたか,平均 とは算術平均 と
中央値の どち らかな どについて きちん と明記す ることにより,見 る側 に とって よ り見
やすい統計資料 となると思われる。
⑬今後統計資料 を作成す る機会があれば,以上の こ とに注意 しなが ら作成す るこ と
によ り,誤解 を招 くこともな く,わか りやすい統計資料 により近づけると思われる。
(コメン ト) 下線の部分の含意 は 「
統計 を注意深 く読むべ き ・作 るべ き」 に尽 きてお り,
行動 につながる具体的内容 には乏 しい..
Q)
②,③⑧,④⑤,⑥⑦ ,⑨⑲⑫,⑬⑭⑮ は
連続 した話題なので統合。パ ラグラフの順序 を変更 ・統合 し, さ らに全体の冗長性 を
削った。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
4
1
(
修正案 :筆者が手を加 えたもの,丸数字は筆者)
(
1
)ハフ (
1
9
6
8
)の要約
①②統計 は人に訴 える力が非常 に大 きいが,それ らが全て正 しい とは限 らない。使
いようによっては人を編 した り,全 く異なった印象を与えることも可能であ り,その
ための方法 は数多 くある。 しか し,統計 を見破 るためのカギ を知 っていれば,正 しい
統計を見極め,正 しい情報 を得 ることが可能であ る。
(
2) 統計を見 る場合に注意すべ き点
⑧ハフ (
1
9
6
8
)により,統計のすべてを信 じてはいけない,中には疑 うべ きもの も
ある とい うことを学んだ。 これは,筆者 に とっては驚 きであ った。(
診統計を見 る場合
に重要なこ とは,疑わ しい点がないかを じっ くり観察す ることである。
④⑤統計の資料 には,数字,表 ,グラフ,図,な どがあ り,ウソの方法 も様 々であ
る。 それが正 しいか どうかを見極 めるにはハフ (
1
9
6
8
)の 「統計の ウソを見破 る五 つ
「1誰 がそ ういっているのか ?(
統計の出所 に注意)」「2どうい う
方法 でわかったのか ?(
調査方法 に注意)
」「3足 りないデー タはないか ?(隠 されてい
のカギ」,すなわち
る資料 に注意)」「4いっているこ とが違 ってや しないか ?(
問題のす りかえに注意 )
」
「5意味があるか しら ?(どこかおかしくはないか?
)
」の 5つを検証 してい くべ きであ
る。
⑦統計 を見極め るには,観察力が必要であ る.(
む例 えば 「人はウソをいうものであ
る」 とい う例であ る。確かに回答者のだれ もが必ず しも正直に答える とは限 らない し,
質問 によってはウソが増える とい うこともあるだろう。回答者がウソをいっていない
か どうかを見極め るのはかな り困難であるし,またウソであ る とわかった として もそ
こか ら本当の回答 を得 ることも困難である。調査 自体 は しっか り行 われた として も,
回答者の答 えが本当でなければ,それは本当の統計 とはいえない。
(
3
)統計資料 を作成する場合に役 に立つ点
⑨統計資料 を作成する場合には信 じられ るものを作成 したい。統計資料 には疑 うべ
きもの もあ るので,統計の検証の必要性 を理解 してい る人は多い と思われる。⑲統計
には様 々な ものがあ り,人が注意 して見 る ところも異 なるので,様 々な ところに気 を
配 らねばな らない。⑫統計 でウソをつ く方法を利用す るとい うのな ら話は別だが,そ
のつ もりがな くて も誤解を招 く可能性はある。 それを防 く
十ために も,注意 して作成 し
なければな らない。
⑭ そこで役立つのが 「統計のウソを見破 る五 つのカギ」であ る。 この 5つのポイン
トは統計資料 を見 る側に とって重要であるが,統計資料 を作成する側 に とって も同 じ
ように重要 なのであ る。資料 を作成す る際 に五 つの質問を 自分 に問いかけ,疑 うべ き
点はないかを考 える。 これによ り,疑 うべ き点が少ない正 しい統計資料 に近づける と
思われる。
⑬ また,ハフ (
1
9
6
8
年)の事例 か ら,統計資料 を作成す る場合に注意すべ きと感 じ
1
4
2
経 営 と経 済
る点 が数多 くあった。⑭⑮例 えばデー タの集め方,算術平均 と中央値 の使い方,図や
グラフでの表現の仕方な どがあげ られる。 とくに,算術平均 と中央値 は, どち らも平
均を表 しているが,その 2つの数値の間には大 きな差があることが容易に理解できた。
⑮ これ らに注意す ることで,作成す る統計資料 を,誤解を招かずわか りやすい もの
によ り近づけることができる。
(
1
9
)パラグラフ間の関係は整理 されているか
(
修正前 :丸数字は筆者)
(
2) 消費者金融の繁栄 とその実態
(
ヨサラ金業者は この不況下,増収増益 を続けている。その原動力 となっているのが,
高金利である。大半のサラ金業者は,年 2
0
%以上の高金利で営業を行 っている。
実は このサラ金業者の金利は,利息制限法の制限金利 (
年1
5
-2
0
%)に違反す る違
法金利であ る。 しか し,利息制限法には罰則がないため,業者 は これを遵守 していな
い。
一方で,出資法 による金利規制 では,金利が年 2
9.
2
%を超 える と刑事罰が科せ られ
る。 そのため, この上限金利 を超 えない ように してい る。 この ように,利息制限法の
制限金利以上で出資法の上限金利以下の金利 をグ レー ゾーン金利 といい,大半のサ ラ
金業者はこの区間の金利で営業 している。
(
参消費者金融の大手5
社の総 口座数は,1
,
1
1
4
万2
,
3
2
5口 (
2
0
01
年時)であ り,口座は
1人 1口となってい るので,大手 5
社だけで も延べ 1
,
1
0
0
万人以上 が利用 していること
にな る。また,「む じん くん」な どの無人契約機 も登場 し,気軽 に無担保でお金を借 り
られ るようになっている。そ して この気軽 さをアピールするために,テレビC
Mの連 日
放送,無人契約機の増加な どを積極的に行 っている。
また,サ ラ金業者 は これ らの貸付資金の大半 を,銀行や生命保険会社な どか ら年 2
%
前後 の低金利で借 り入れている。銀行は一般の企業,特 に中小零細企業な どに対 して
は貸 し渋 りを行 っている一方,増収増益 を続 け るサラ金業者 に対 しては融資 の拡大 を
行 っている。
この ように,潤沢な貸付資金 を極めて低 コス トで調達する事 がで き,年 2
0
%を大 き
く超 える高金利で貸付けを行 っている。 したが って,調達 コス トと貸 出金利の間に大
幅な利鞘が生 じ,貸せば貸すほどサラ金業者は儲 かる状況になっている。
(
丑このため,少 々の貸倒 れが起 こった として も,高金利が吸収 して しまうので,刺
用者 の支払能力を無視 した過剰融資が横行 している。サラ金業者 は,貸金業規制法 に
関す る金融庁の事務ガイ ドラインによ り,無担保融資を行 う場合は,1
業者あた り5
0
万
円または年収の 1
割 を超 えて貸付けを行 ってはな らない ことになっている。 しか し,最
近は このガ イ ドラインを無視 して貸付けを行 う大手サラ金業者 もある。
貸金業規制法や割賦販売法で,サラ金業者の過剰融資 .過剰与信が禁止されてい る
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
43
が,全 く守 られていない。その理 由は,利息制限法 と同様で,罰則がないか らである。
④ さらに貸金の取立てにも問題 があ る。サラ金業者 は前述の通 り,利益を大 き くす
るために過剰融資 を行 っている。そ して,サラ金業者は最大限の利益 を確保 するため,
貸倒 れを最小限に しなければな らない。サラ金業者の場合は,無担保 で貸付 けを行 っ
ているので,返済が滞 った場合,債権者にプレッシャーをかけるために,過酷な催促 ・
取立てを頻繁に行 う。
(コメン ト) ①③ は規制,②④ は経営実態の話題である。 ここは節 を分 けた方が判 りやす
い。
(
修正後 :丸数字は筆者)
(
2
)消費者金融の規制 と実態
①サラ金業者は この不況下,増収増益 を続けている。その原動力 となっているのが,
高金利であ る。大半のサ ラ金業者 は,年 2
0
%以上の高金利で営業を行 ってい る。実 は
このサラ金業者の金利は,利息制限法の制限金利 (
年1
5
-2
0%)に違反する違法金利
であ る。 しか し,利息制限法には罰則がないため,業者は これを遵守 していない。一
方で,出資法 による金利規制では,金利が年 2
9.
2
%を超 える と刑事罰が科せ られる。
そのため, この上限金利を超 えない ようにしている。 この ように,利息制限法の制限
金利以上で出資法の上限金利以下 の金利 をグ レーゾーン金利 といい,大半のサ ラ金業
者は この区間の金利で営業 している。
(
丑また,仮 に少 々の貸倒 れが起 こった として も,高金利が吸収 して しまうので,刺
用者の支払能力を無視 した過剰融資が横行 している。サラ金業者は,貸金業規制法 に
関す る金融庁の事務ガイ ドラインにより,無担保融資を行 う場合は,1
業者あた り5
0
万
円または年収の1
割 を超えて貸付 けを行 ってはな らない ことになっている。 しか し,最
近は このガ イ ドラインを無視 して貸付けを行 う大手サ ラ金業者 もあ る。貸金業規制法
や割賦販売法で,サラ金業者の過剰融資 ・過剰与信が禁止 されてい るが,全 く守 られ
ていない。その理 由は,利息制限法 と同様で,罰則がないか らである。
(
3
)消費者金融の経営実態
(
∋消費者金融の大手 5社の総 口座数は,1,
11
4
万 2,
32
5口 (
2
0
01
年時)であ り,口座
は 1人 1口 となっているので,大手 5
社だけで も延べ 1,
1
0
0
万人以上 が利用 しているこ
とになる。 また,「む じん くん」な どの無人契約機 も登場 し,気軽 に無担保でお金を借
りられるようになっている。そ して この気軽 さをアピールするために,テレビC
Mの連
日放送,無人契約機の増加な どを積極的に行 っている。
また,サ ラ金業者 はこれ らの貸付資金の大半 を,銀行や生命保険会社な どか ら年 2
%前後の低金利で借 り入れてい る。銀行は一般 の企業 ,特 に中小零細企業な どに対 し
ては貸 し渋 りを行 っている一万,増収増益 を続 けるサ ラ金業者 に対 しては融資の拡大
を行 っている。
この ように,潤沢な貸付資金 を極めて低 コス トで調達す る事がで き,年 2
0
%を大 き
1
4
4
経 営 と経 済
く超 える高金利で貸付けを行 っている。 したが って,調達 コス トと貸 出金利の問に大
幅な利鞘が生 じ,貸せば貸すほどサラ金業者は儲 かる状況にな っている。
④ さ らに貸金の取立てにも問題 がある。サ ラ金業者は前述の通 り,利益 を大 き くす
るために過剰融資 を行 っている。サ ラ金業者は最大限の利益 を確保 す るため,貸倒 れ
を最小限に しなければな らない。サ ラ金業者の場合は,無担保 で貸付 けを行 っている
ので,返済が滞 った場合,債権者 にプ レッシ ャーをかけ るために,過酷な催促 ・取立
てを頻繁に行 う。
(
20)論 旨はわか りやすいか
(
修 正 前) サンプルが十分大 き く,正 し く,注意 して抽 出されている条件下で も誤謬 は
起 こる。 この誤謬 とい うのは大昔 か らあ るもので,統計資料の中には どうして も現 れ
て くる傾向があ るのだが, もっ ともらしい多 くの数字 に紛れて姿 を隠 しているのであ
旦L それは,BがAに続いて起 こるな ら,AはBの原因であるとする誤謬である. また,
A・Bどち らも原因ではな くて,両方 とも何か第三の要 因の結果である と認識で きてい
ない という場合 もあ る。因果関係 について誤謬 を犯 さないように,そ してまた事実で
ない多 くの こ とを事実 として信 じ込 まないように,相関関係の説 明を読むにはかな り
気をつけて読 む ことが必要である。
(
コメン ト) 文章の順序が問題。「
誤謬」の実態がわか らないままに説 明を聞かされるので,
混乱する。
(
修 正 後) サンプルが十分大 き く,正 しく,注意 して抽 出されている条件下で も誤謬 は
起 こる。それは ,BがAに続 いて起 こるな ら,AはBの原因であ る とす る誤謬であ る。
また,A・Bどち らも原因ではな くて,両方 とも何か第三の要因の結果である と認識 で
きていない とい う場合 もあ る。 この誤謬 とい うのは大昔 か らあ るもので,統計資料 の
中には どうして も現れて くる傾 向があるのだが, もっ ともらしい多 くの数字 に紛れて
姿を隠 しているのである。因果関係について誤謬 を犯 さない ように,そ してまた事実
でない多 くの ことを事実 として信 じ込 まないように,相関関係の説 明を読むにはかな
り気をつけて読む ことが必要である。
(
21
)文脈は論理的か
(
修 正 前) この ような,二極化の波の中で,企業 は,雇用行動 を変 えざ るを得ない。 そ
うしなければ,グローバル化,競争的環境 を生 き残れないか らである。労働者 に とっ
て も事態は深刻で,中核的労働者 と単純使い捨 て労働者の問に大 きな亀裂が生 じて き
ている。
この ように,若者 の不安定就労が増加 している最大の原因は ,1
990
年代のニ ューエ
コノミーの進展 にある。現在の 日本では,同一企業内で,オール ドエコノミー とニ ュー
エコノミーが共存 している。中高年 はオール ドエコノミー型の雇用が維持 されている
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
45
が,ニ ューエコノミーの進行による労働の二極化 に晒 される若者は,正社員 とフ リー
ター とに二極分解 して しま う。これによ り,経済の構造転換の中で,企業内でのニ ュー
エコノミー浸透のスピー ドが世代間で異なって しまっている.
(コメン ト) ここではキーワー ドであ る 「ニ ューエ コノミー」 と 「オール ドエコノミー」
の定義が全 くなされていない。
(
修 正 後) この ような二極化 の波の中で,企業は,雇用行動を変えざ るを得ない。そ う
しなければ,グローバル化 ,競争的環境 を生 き残れないか らである.労働者 に とって
も事態は深刻で,中核的労働者 と単純使い捨て労働者 の間に大 きな亀裂が生 じて きて
いる。
雇用の二極化は,世代の問題 として も捉 えることがで きる。現在 の 日本では,同一
企業 内で,オール ドエコノミー とニ ューエコノ ミーが共存 している04
0代以上の労働
者の多 くは 「オール ドエコノミー」の世界に生 きてい る。 つま り, 日本の高度成長期
の大量生産 ・大量消費時代 には典型的であ った,労働者が単純な労働 か ら始 めて徐 々
に仕事能力をつけ,管理職や専門職 に昇進 してい くタイプの雇用が,終身雇用や年功
序列の見直 しはあ るものの維持 されている。一万 ,3
0代までの若者 たちは,二極化の
影響 を直接受け,専門的 ・中核的労働者 と単純労働者へ と二極化 している。
若者の不安定就労が増加 している最大の原因は,1
9
9
0
年代のニ ューエコノミーの進
展にある。 しかも,経済の構造転換の中で,企業内でのニューエコノミー浸透のスピー
ドが世代間で異な って しまってい るo この ような,ニ ューエ コノミーの進展の世代 間
のずれが, さまざまな問題 を引 き起 こし, 日本ではフ リー ターの出現 と増大 として現
れている。そ して,労働の二極化 に晒 される若者 は,正社員 と単純労働者であるフ リー
タ- とに二極分解 して しまう。
(
修 正 前) 現在,農業はほ とん ど利益を得 られない産業 となってお り,農民は困窮 して
いる。 このため,何 らかの改善策 を図 らな くてはな らない。関 (
2
005
) によれば,先
進技術を用 いて農業の生産性を上 げる一方で,工業化 と都市化 を通 して大量の農業人
口を非農業産業 に移転 させ ることが必要である。そのためにも,現在の状態 を改善 し,
農民にも移動の 自由や,社会保障な どの面における差別 をな くす必要がある。
(コメン ト) 農民困窮の改善策 として生産性 向上 と人 口移転が必要, と述べなが ら,その
ために現状改善が必要, とい うのは 目的 と手段 が逆である。 また,社会保障は生産性
とも人口移転 とも無関係であ り, この文脈では無意味。
(
修 正 後) 現在,農業はほ とん ど利益 を得 られない産業 とな ってお り,農民は困窮 して
いる. このため,何 らかの改善策 を図 らな くてはな らない。関 (
2
005
) によれば,先
進技術を用 いて農業の生産性 を上 げる一方で,工業化 と都市化 を通 して大量の農業人
口を非農業産業 に移転 させ るこ とが必要である。そのために も,農民が 自由に都会 に
移動 し,農業か ら離れて仕事がで きるよう,現在の農民 と都市の人間 とを分 けた戸籍
1
4
6
経 営 と経 済
制度 を廃止す る必要がある。
Ap
pe
nd
i
x7
・〈日本語〉の添 削例
(
23
) 接続詞は適切か
(
修 正 前) 多重債権者 も,個人再生手続 きや 自己破産 を きちん と行 うと, もう一度や り
直す ことが出来 る。旦冬
債権者 が弁護士 に債務整理 を依頼 し,弁護士が介入通知 を
提 出すると,金融庁 の事務ガイ ドラインにより,サラ金業者の直接取立てが停止す る。
旦_
壁 , 自分 自身で個人再生手続 きや 自己破産 の手続 きを行 った場合 も同様 に停止す
る。取立てが止 まる と,多重債権者 は借金のための借金 をする 自転車操業の必要がな
くな る。 この ように,多重債権を抱 えて しまった場合は,弁護士会や法律扶助協会な
どに連絡 し,正 しい手続 きを行わなければな らない。
きち
関連の法律 .制度を見直 さなければな らない。 出資法の上限金利の引 き下げ,
利息制限法の制限利息のさ らなる引 き下げ,統一的 ・総合的な消費者信用法な どを制
定す る必要 がある。 さらに,サ ラ金の顧客拡大 に繋が っているテレビ CM の中止,そ
して現在多重債権 に陥 っている人たちに対 しての相談窓 口の拡充 ,関連情報 の提供 を
早急 に進めなければな らない。
(
修 正 後) 多重債権者 も,個人再生手続 きや 自己破産 を きちん と行 うと, もう一度や り
直す ことが出来 る。具体的 には,債権者 が弁護士 に債務整理 を依頼 し,弁護士が介入
通知 を提出す る と,金融庁 の事務 ガイ ドラインによ り,サラ金業者の直接取立てが停
止す る。一方, 自分 自身で個人再生手続 きや 自己破産 の手続 きを行 った場合 も同様 に
停止する。取立てが止 まる と,多重債権者は借金のための借金 をする 自転車操業の必
要がな くなる。 この ように,多重債権 を抱 えて しまった場合は,弁護士会や法律扶助
協会な どに連絡 し,正 しい手続 きを行 うことによって,解決す る事が出来 る。
そ して最 も重要 なのは,関連の法律 ・制度 を見直 しである。 出資法 の上限金利の引
き下げ,利息制限法の制限利息の さ らな る引 き下げ,統一的 ・総合的な消費者信用法
な どを制定す る必要 がある。 さ らに,サ ラ金の顧客拡大 に繋が ってい るテレビ CM の
中止,そ して現在多重債務 に陥 っている人たち に対 しての相談窓 口の拡充,関連情報
の提供を早急 に進めなければな らない。
(
コメン ト) 後のパ ラグラフは この節の中心 となるパ ラグラフなので,「また」 と付け足 し
的に始めるのはまずい。
(
25
)句読点の位置は妥当か
(
修 正 前) 統計学者 に よって,導 き出された事実 をセール スマンな どの手 によって,い
つの間にか,ゆがめ られて しまっている。
(
修 正 後) 統計学者 に よって導 き出された事実が,セールスマンな どの手 によって,い
つの問にかゆがめ られてしまっている。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報告
1
47
(
修 正 前) フ リーター後に向けて準備をしていなければ困難に遭遇 した時に,絶望に陥
る可能性があ りそ うだ。
(
修 正 後) フ リーター後に向けて準備をしていなければ,困難 に遭遇 した時に絶望に陥
る可能性があ りそ うだ。
(
修 正 前) さらに,グラフもたびたびウソをつ く方法 として用い られる。
(
修 正 後) さらにグラフも,たびたびウソをつ く方法 として用い られる。
(
修 正 前) その方向性 としては ヨーロッパの多 くの国が とっている,福祉国家型 とアメ
リカの自立型がある。
(
修 正 後) その方向性 としては, ヨーロ ッパの多 くの国が とっている福祉国家型 と,ア
メリカの自立型がある。
(
修 正 前) 2
3% とい う数字は,たまたま偶然によって出された数字であ り, このような
大見出しや」大掛 か りなキャンペーンをする値打ちのあるほ ど良い結果が出るまで繰
り返 し実験が行われて出されたものだ。
(
修 正 後) 2
3% とい う数字は,たまたま偶然によって出された数字であ り, このような
大見出しや大掛か りなキ ャンペーンをする値打ちq)
あるはど良い結果が出るまで」繰
り返 し実験が行われて出されたものだ。
(
修 正 前) さて ここまで様 々な例 について考 えて きたが,これ らの例 に共通 して言える
ことは統計 を使 って色々 と表現 している人たちは自分の言いたい ことをよ り分かって
もらうために」 かな りの工夫をこらしているということである。
(
修 正 後) さて」 ここまで様 々な例について考 えて きたが,これ らの例に共通 して言 え
ることは,統計を使 って色 々と表現 している人たちは」 自分の言いたいことをよ り分
かってもらうためにかな りの工夫をこらしているとい うことである。
(
修 正 前) フ リーター とい うとや りたいことや,将来への夢や希望がな くただ生活をす
るためであった り,遊ぶためにアルバ イ トをい くつか して暮 らしている可哀想な人 と
いうイメージがある。
(
修 正 後) フ リーター とい うと,や りたいことや将来への夢や希望がな く,生活のため
里遊ぶためにアルバ イ トをい くつかして暮 らしている可哀想な人, というイメージが
ある。
(
修 正 前) I
MFは,セーフテ ィ ・ネ ットが整備 される前 に,十分な規制構造が構築 され
る前 に近代資本主義の本質である,市場心理の突然の変化に国が耐 えられるようにな
る前に,自由化を強要 した。
1
48
経 営 と経 済
(
修 正 後) I
MFは,セーフテ ィ ・ネ ットが整備 される前 に,十分な規制構造が構築 され
る前 に,近代資本主義の本質である市場心理の突然の変化に国が耐 え られるようにな
る前 に,自由化を強要 した。
(
修 正 前) しか しなが ら,それ以上 にフ リーターが増加 してい く社会状況に対 して,危
機感を抱 くようになった。
(
修 正 後) しか しなが らそれ以上に,フ リーターが増加 してい く社会状況に対 して,危
機感を抱 くようになった。
(
注) 読点の有無で意味が全 く変わって しまう。
(
修 正 前) この本の内容は,統計でウソをつ く方法であ り,それを知 り」 ウソを見破 る
知識 を得 られる内容であった。
(
修 正 後) この本の内容は,統計でウソをつ く方法があ り,それを知 ることでウソを見
破 る知識を得 られる」 というものであった。
(
荏) 読点があるためにかえって修飾関係がわか りに くい。
(
修 正 前) 工業化の財源を確保する手段は,農民か ら搾取することしかない と考 え農民
の生活を苦 しめた。
(
修 正 後) 工業化の財源を確保する手段は農民か ら搾取す ることしかない と考 え,農民
の生活を苦 しめた。
(
修 正 前) 毛は共同体が第一であ りそ うしてこそ,大型機械を導入で きるとし実現困難
なことを短期間で実行 しようとした。
(
修 正 後) 毛は,共同体が第一であ りそ うして こそ大型機械を導入で きるとし,実現困
難なことを短期間で実行 しようとした。
(
修 正 前) この大躍進 で農民は,急速かつ無謀す ぎる量の農産物生産や工業化 に従事 さ
せ られ,人々を飢鐘に追いやった。
(
修 正 後) この大躍進で,農民は急速かつ無謀す ぎる量の農産物生産や工業化 に従事 さ
せ られ,人々は飢経に追いや られた。
(
荏) 主語述語の関係にも問題がある。 この表記では,農民 と人 々が加害者 と被害者の
関係になって しまう。
(
修 正 前) これは中東諸国での政情が不安定にな り石油をはじめ とする天然資源の供給
が止 まった とき日本はエネルギー危機 に直面 し,我 々の生活に大 きな影響が出て くる
であろう。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報告
1
49
(
修 正 後) これは,中東諸 国での政情が不安定 にな り石油をは じめ とする天然資源の供
給 が止まった とき, 日本埜 エネルギー危機 に直面 し,我 々の生活 に大 きな影響が出て
くる可能性 を意味 している。
(
注) 主語 と述語の関係 も不整合。
(
修 正 前) このためアメリカの国家安全保障会議 (
NSC)採択 されたNEC1
32とい う政
策文書で 日本 占領政策壁 冷戦政策の民主主義側 と同調する方 向で転塾と ,ア メリカの
朝鮮戦争 における資本主義の西の壁 として 日本の急速的な外交的経済的復古が急務 と
され
また旧指導者 を復活 させて国内の政治を保守的 に安定 させ る必要がある とと き
32によ り戦
アメ リカの政策関係者な どによって重視 された結果であった。 このNEC1
後の 日本は星型喧 国際社会娃復帰を果た し,朝鮮特需のおかげ もあ り急速 に国際社会
における経済力 もつけることとなったが, この冷戦に よる東京裁判の 「
早期打ち切 り」
とNEC1
3
-2ではさまざまな負の面 を残す結果 となった。
NSC)採択 されたNEC1
32とい う
(
修 正 後) このため」 アメ リカの国家安全保障会議 (
政策文書に より, 日本占領政策廷 冷戦政策の民主主義側 と同調する方 向で転換 された。
アメ リカq)
政策関係者な どによって,朝鮮戦争 におけ る資本主義の西の砦 として 日本
の外交的経済的復古が急務 とされ,また旧指導者を復活 させて国内の政治 を保守的 に
安定 させ る必要 があるとされた結果であった。 これにより, 日本は国際社会への復帰
を早期 に果た し,朝鮮特需の効果 もあ って急速 に経済 力を回復 した。 しか しなが ら,
3
12と東京裁判 の 「早期打ち切 り」は,さまざまな負の面 を旦残 す結果 とな
このNEC1
った。
(
注) 句読点 が少なすぎる。無理 に一つの文章 に しているので,主語述語の関係 も一貫
していない。
(
26
)主語と述語 は対応 しているか
(
修 正 前) 実際 にはあ りえない こ とを実験 ,調査 ,意味のない数字で表す こ とで よ り事
実 らしくみえる。
(
修 正 後) 実際 にはあ りえない こ とを,実験,調査,意味のない数字 で表す ことで, よ
り事実 らし く垂_
里互。
(
修 正 前) 統計 とい うものは,大変編 しやすい.
(
修 正 後) 統計 とい うもの趣
,大変編 されやすい。
(
修 正 前) この一見 もっともらしいデー タがあ るが注意 しなければな らない点が何箇所
かある。
(
修 正 後) この一見 もっともらしいデー タ吐逆 ,注意 しなければな らない点 が何箇所 か
1
:
I
l
o
経 営 と経 済
ある。
(
修 正 前) 平均 とい う言葉は,非常 にルーズである。
(
修 正 後) 平均 とい う言葉は,非常 にルーズに使われてい る。
(
修 正 前) インパ ク トがあま りに も大 きす ぎ,編 しのテクニ ックを堂 々 と使 っている。
(
修 正 後) インパ ク トがあま りに も大 きす ぎ,編 しのテ クニ ックを使 ってい る と受 け取
られて も仕方 がない。
(
修 正 前) 多 くの人 々が疑問 を持 った り,嫌悪感 を強 くもたれ る ような こ とは避 けな く
てはな らない。
(
修 正 後) 多 くの人 々に疑問を持 たれた り,嫌悪感 を強 くもたれ るような こ とは避 けな
くてはな らない。
(
修 正 前) この ような例 か ら,統計 とい うものは使 い方 に よっては人 をだます道具 とし
て用 いることが出来 る。
(
修 正 後) この ような例 か ら,統計 とい うものは使 い方 に よっては人 をだ ます道具 とし
て用 いることが出来 ることがわか る。
(
修 正 前) 統計 デー タか ら見える事実は曲げ られ,異なった捉 え方をLl しまう.
(
修 正 後) 統計 デー タか ら見 える事実 は,曲げ られ 異な った捉 え方を旦些
しま う。
(
修 正 前) グラフを標 準ではない 目盛 りに して効果 を大 き くみせ よう とす るウソや,絵
グラフを用 いて事実 を大げさに表 している。
(
修 正 後) グラフを標 準ではない 目盛 りに して効果 を大 き くみせ よう とす るウソや,袷
グラフを用いて事実 を大げさに表 すウソがある。
(
修 正 前) 高 さのみな らず,絵 のバ ランスのため に横幅 も 2倍 にす るこ とに よ り,見 た
感 じだ と 2倍以上の違 いを感 じて しまう。
(
修 正 後) 高 さのみな らず,絵 のバ ランスのため に横幅 も 2倍 にす るこ とに よ り,見 た
感 じでは 2倍以上の違 いを印象付 けて しまう。
(
修 正 前) 統計 は数字 で表 されてい るが,数字 ば か りに気 を とられ る と,その事実 とは
見当違 いに解釈 され る。
(
修 正 後) 統計 は数字 で表 されてい るが,数字 ば か りに気 を とられ る と,見当違 いな解
釈 を して しま う。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
51
(
修 正 前) 絵 グラフを利用す るこ とによって,比較す ることが困難である対象物堕 ,比
較を容易に して くれる。
(
修 正 後) 絵グラフの利用昼 ,比較困難な対象物聖比較 を容易に して くれる。
(
修 正 前) この罪の対象 となるのが,旧 日本軍が行 った南京事件や中国に対す る細菌兵
器や毒ガスの使用が挙げ られる。
(
修 正 後) この罪の対象 となるのが,旧 日本軍が行 った南京事件や中国に対す る細菌兵
器や毒ガスの使用三重互。
(
27
) 日本語として不整合な文章はないか
(
修 正 前) したがって この内容は,重き旦 統計の作成 についての知識 が乏 しかった 自分
に とって今後,統計資料を作成す る場合に大変有効であ る。
(
修 正 後) したがって この内容は,統計の作成についての知識 に乏 しかった筆者 に とっ
て,今後,統計資料を作成する場合に大変有効である。
(
修 正 前) 平均 については,上下の差があま りに もあ るが,平均すれば丁度いい状態 に
なった ときな ど (リゾー ト地の平均気温な ど) これを利用する手はない。
(
修 正 後) 平均値 については, リゾー ト地の平均気温の例な どか らもわかるように,上
下の差は大 きいが平均すれば丁度 よいか らとい って,それだけで判断するわけにはい
かない。
1
96
8) を読んでサンプルの重要性を知
(
修 正 前) 私 が統計資料を作成す る場合,ハ フ (
った。
1
96
8)を読んで,統計資料 を作成する場合のサンプルの重要性 を知 っ
(
修 正 後) ハ フ (
た。
(
注) 文章 として間違いではないが,意図 しない内容を伝 えている。
(
修 正 前) この ように,統計資料 を見て もらう時 には,相手の気持ち も考 えなが ら, 白
分の利益をひたす ら追求するだけではな く,相手 に明 らか に編 された と思われるよう
な ものは避けなければな らず,注意 して統計資料を作成する必要があ る。
(
修 正 後) この ように,統計資料 を作成す る時 には, 自分の利益をひたす ら追求するだ
けではな く,見て もらう相手の気持ち も考 えなが ら,明 らかに編 された と相手 に思わ
れるような ものは避けなければな らない。
(
注) 途中で論 旨が変化 (
見せ るとき-作 るとき) している。
(
修 正 前) 平均 とい う言葉の特性 を生か して,算術平均 ,中央値,最頻値 , これ らの表
1
52
経 営 と経 済
す数字は異 なってい るのに,同 じ平均 とい う言葉で覆 い隠 して, 自らに最 もよい もの
を利用 して編す ことがで きる。
(
修 正 後) 平均 には算術平均 ,中央値 ,最頻値 の 3つがある。 これ らの表す数字は異 な
っているのに,同 じ平均 とい う言葉で覆 い隠 し自らに最 も型全里 よい ものを利用 して,
編す ことがで きる。
(
荏) 二つの文 を無理 にひとつにしたための混乱。
(
修 正 前) 高度成長の原動力 とな った都市化は膨張 した都市のみな らず,農村型生堕 を
も都市化 した。
(
修 正 後) 高度成長は,都市を膨張 させたのみな らず,農村をも都市化 した。
(
修 正 前) 徐 々に普及 しつつある雨水利用促進の方策 も考 えられている。
(
修 正 後) 雨水利用促進の方策 も考 え られてお り,雨水利用が徐 々に普及 しつつある。
(
荏) 二つの文 を無理 にひとつにしたための混乱。
(
修 正 前) この ように 日本に,間接的,直接的に多 くの水が輸入 されている。 日本の貿
易の拡大 に伴 い,大量の水 が国際河川 とは無関係に国境 を越 えている ということは,
一 国q)
深刻 な水不足 を発生 させた りする。 これは一国だけq)
問題ではな く,相手国に
とって も深刻 な事態 であ り,その国での農作物 ,畜産物,あ るいは工業製品の艶 型に
も重大な影響を及ぼす。
(
修 正 後) この ように 日本には,間接的,直接的 に多 くの水が輸入 されている。大量の
水が,貿易品を通 して国境 を越 えて移動 して くる。 これは相手 国に とって も深刻な事
態であ り,水不足の発生に よって農作物 ,畜産物,あ るいは工業製品の生壁 に も重大
な影響を及ぼす恐れがある。
(
荏) 多 くの内容を中途半端 に詰め込んだための混乱。
(
25
-27
)引用の記述は適切か
(
修 正 前) 「ヒ ト,モ ノ,カネ,情報 があたか も国境な きがご とくに行 き来す る現代世
界のなかで,北朝鮮は,世界 との交流を厳 しく制限 している。 (
今村 2005,p.
1
80)
」
(
修 正 後) 「ヒ ト,モ ノ,カネ,情報 があたか も国境な きがご とくに行 き来す る現代世
界のなかで,北朝鮮は,世界 との交流を厳 しく制限 している (
今村 2
005,p.
1
80)
」.
(
修 正 前) 第 2章では ,「平均」でだます法 と題 されている。
(
修 正 後) 第 2章昼 ,「平均」でだます法 と題 されている.
(
修 正 前) 第 1章 では,かた よ りはサンプルにつ き物 と題 され,サンプル によ り偏 りが
1
5
,
3
レポー ト添 削指導 に関す る事例報告
出て くるものである。
(
修 正 後) 第 1章は,かた よ りはサンプルにつ き物 と題 され,サンプルによ り偏 りが出
て くることについて述べている。
中る と題 され
(
修 正 前) 第 8章では,因果はめ く
出来事の原因か結果 か分か らない.疏
計資料の中に現れて くる傾 向が もっともらしい数字 にまざれて姿 を隠 している。 この
様な統計資料の場合,どち らが原因か, どち らが結果か判断 しに くい。
(
修 正 後) 第 8章旦
因果 はめ く
中る と題 され 統計資料 の中に現れて くる出来事の, ど
ち らが原因で どち らが結果か,判断 しに くい例 について述べている。
(
注) 論 旨に も混乱が見 られる。
MFだけの問題ではな く,多 くの国際機関
(
修 正 前) ステ イグ リッツによる と, これはI
で共通の問題である と考 えられていると指摘 している。
(
修 正 後) ステ イグ リッツによる と, これはI
MFだけの問題ではな く,多 くの国際機 関
で共通の問題であると考 えられている。
9
9
5
年 には全体の三分
(
修 正 前) 国連の発表 による と,水不足の状態 におかれ る人 口は 1
の一だったが,2
02
5
年には三分の二に達すると発表 している。
9
9
5
年 には全体の三分
(
修 正 後) 国連の発表 による と,水不足の状態 におかれ る人 口は 1
02
5
年には三分の二に達する.
の一だったが,2
(
修 正 前) ステ イグ リッツによる と,その国に最 も適 した政策 はおそ らくその国の第一
級の高い教育を受 けた,そ して 自国の問題点を良 く知 り,その解決 に 日々努めている
エコノミス トによってすでに考 え られている としてい るが ,I
MFは,単な る-助言者
として,他の意見 と比較検討 されるこ とを望 まず,政策の中心的な役割を果た したが
った と,その姿勢を非難 している。
(
修 正 後) ステ イグ リッツは,その国に最 も適 した政策 は,おそ ら くその国の第一級の
高い教育を受けた,そ して 自国の問題点を良 く知 り,その解決 に 日々努めているエ コ
ノミス トに よってすでに考 え られているにもかかわ らず,I
MFは,単なる-助言者 と
して他の意見 と比較検討 されることを望 まず,政策の中心的 な役割 を果た したが った
と,その姿勢を非難 している。
2
005)による と,その原因のひ とつに,資源配分や企業の政治活動 に対
(
修 正 前) 関 (
する政府の関与が過大であ るこ とが 「公の権 力を悪用 し,私利を図 る」土壌 を提供 し
てい る。 と くに,計画 と市場,国有企業 と非 国有企業 とい う二重構造が並存す るため
腐敗行為が発生 しやすい状態にあるか らと述べている。
1
5
4
経 営 と経 済
(
修 正 後) 関 (
2
0
0
5
)による と,その原因のひ とつに,資源配分や企業の政治活動 に対
する政府の関与が過大であることがあげ られ 「公の権力を悪用 し,私利を図る」土壌
を提供 している。 とくに,計画 と市場,国有企業 と非国有企業 という二重構造が並存
するため,腐敗行為が発生 しやすい状態にある。
(
2
8
)文の構造がわか りに くい
(
修 正 前) 平均 は,簡単に操作できるものである。 というのは,前述 した通 りだが,調
査結果によっては,数表 にした り,言葉で表わせないこともある。
(
修 正 後) 前述 した通 り,平均は,簡単に操作で きるものである。 しか し,調査結果に
よっては,数表にした り,言葉で表わせないこともある。
(
修 正 前) 注意するべ き点は,その統計が誰によって作 られた ものか。その統計が どの
ようなサンプルによって作 られているか。グラフの省略や,平均は どの平均が使われ
ているか,絵グラフな どのアイ ・アピールによって,実際の数値 とは違 って見えてな
いか。その統計で結論 との関係が証明できるのかである。
(
修 正 後) 注意するべ き点は,その統計が誰によって作 られた ものか,その統計が どの
ようなサンプルによって作 られているか,グラフの省略が行われていないか,平均は
どの平均が使われているか,絵グラフな どのア イ ・アピールによって実際の数値 とは
違 って見えてないか,その統計で結論 との関係が証明で きるのか,である。
(
修 正 前) しか し, よ く見なければな らないのは,数字が どのようにな っているかであ
る。
(
修 正 後) しかし,数字がどのようになっているのか,よ く見なければな らない。
9
4
0
年か ら1
9
4
8
年の間に,従業員の平均週給が1
0
7
パー
(
修 正 前) Usスチールが以前に,1
セン ト上昇 した と発表 している。
9
4
0
年か ら1
9
4
8
年の間に 1
0
7
パー
(
修 正 後) Usスチール昼以前 に,従業員の平均週給が 1
セン ト上昇 した と発表 した。
(
修 正 前) これ らより,心に留めておかなければいけないことは,行動 をきめるときに
はほ とんど役に立たないということである。
(
修 正 後) 以上の結果,行動 を決める際にはほ とん ど役 に立たないことを銘記すべ きで
ある。
(
修 正 前) サンプルが十分大 きくて,選び方が適切であれば,それは全体をかな りよ く
1
5
1
5
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
表 しているであろ うし,たいていの用 にはそれで十分であろ う。 もしそ うい うサンプ
坐 がえられなければ,賢明なあて推量の方がむ しろは るかに正確 であろう。 そ して,
そ うい うサンプル は科学的な正確 さを装 っただけが取柄 とい った代物 に過 ぎないので
ある。
(
修 正 後) サンプルはL十分大 き くて選び方が適切であれば,それは全体 をかな りよ く
表 しているであろ うし,たいていの用 にはそれで十分であろ う。そ ういうサンプルで
なければ,それは科学的な正確 さを装 っただけが取柄 といった代物 に過 ぎず,賢 明な
あて推量の方がはるかに正確であろう。
(
修 正 前) 数字 が ものをい う社会 において統計資料 を提示す ること廷 人 々を納得 させ る
ことがで きる と思われがちだが,そ うではないのであ る。堕丑旦 納得 させ る手段 とし
て活用するために,統計の本質を見極めることが肝要である。
(
修 正 後) 数字が ものをい う社会 において些⊥ 統計資料 を提示 す るこ とヱ人 々を納得 さ
せ ることがで きる と思われがちだが,そ うではないのである。人 々を納得 させ る手段
として墜辻を活用す るために哩 ,統計の本質を見極めることが肝要である.
(
修 正 前) この ように,東京裁判は多 くの矛盾 をその背後 に隠 し,ブ レイクニーやパー
ルの発言 か らも分 かるように, 日本を裁 く権利 があ るのか暖味な国に も, 日本を裁 く
権利が与 え られている理不尽 さを も,背後 に隠 しなが ら進んでいた ように見える。
(
修 正 後) 東京裁判 は,ブ レイクニーやパールの発言 か らも分 かるように, 日本を裁 く
権利 があるのか定 かでない国に もその権利が与 え られた とい う理不尽 さや多 くの矛盾
をその背後 に隠 しつつ,進 んでいたように見える。
(
修 正 前) 飢鐘が発生 してい るに も関わ らず毛が支持 した政策 を変 えることは不可能だ
三を 。なぜな ら,毛は飢箆 の状態 を他国に伝 えず,他国か らの支援 を拒否す る姿勢 を
示す上に, 党の指導者や農民 に対 する威圧感がすご く誰 も逆 らえない様 な恐怖政治 を
実行 していたか らである。従 って,毛の政策は個人所有の土地や私有財産を一切な く
すことにつなが り,大量の犠牲者が出た。
(
修 正 後) 飢鮭が発生 してい るに も関わ らず,毛は飢薩の状態 を他国に知 らせず,他 国
か らの支援 を得 ようともしなかった。旦与
党の指導者や農民に壁上ユ 誰 も逆 らえな
い様 な恐怖政治を実行 していた車重 ,個人所有の土地や私有財産 を一切な くす ことに
つながる政策を変 えることはで きず,大量の犠牲者が出た。
(
修 正 前) ス ノウは ,1
9
5
9
年 か ら6
2
年 にかけて西側の多 くの新 聞の社説 や見出 しには中
国の 「
大飢鐘」 とい う言葉 が載 ったが,その後 の記事 は事実 を裏付 けるものは何 もな
く, 自らの 目で中国の現状 を確認 した結果飢鯉は存在 しない と結論付 けた0
1
5
6
経 営 と経 済
(
修 正 後) 1
9
5
9
年 か ら6
2
年 にかけて西側の多 くの新聞の社説や見 出 しには中国の 「大飢
薩」 とい う言葉が載 ったが,その後の記事は事実を裏付けるものは何 もな く, 自らの
目で中国の現状を確認 した結果,スノウは,飢鐘は存在 しない と結論付けた。
(
注) 主語が先頭にあると,結論付けた範囲は暖味 になる。
(
3
0
-3
2
) よ り論文 らしい表現へ
統計でウソをつ く法』
(
修 正 前) これか ら,『
ダレル ・ハフ著
高木秀玄訳
の要約お
よび内容に関する自分の考 えを述べる。
(
修 正 後) 本稿 では ,『
統計でウソをつ く法』
(
ダレル ・ハ7,1
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8
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,講談社) につい
て考察する。
(
修 正 前) 今後私が統計を見 る場合に昼 を注意するべ きと考 える点は∼
(
修 正 後) 統計 を見 る際,注意すべ き点は∼
(
修 正 前) ここまで考 えて きた ことよ り,今後私 が統計資料 を作成す る場合に,役 に立
つ と考 えられるこ とは,まず旦生 壁 その統計 を用いて何が言いたいのかが分 かるよう
に資料を作成するということ。
(
修 正 後) 以上の考察 か ら,統計資料 を作成す る場合に役に立 つ と考 え られることは,
まずその統計を用いて何が言いたいのかが分かるように資料を作成す ることである。
(
修 正 前) しか しそのパーセン トは どこまで信用 して よいのだ ろうか。本当に信 じてい
いのであろ うか。疑 うべ き点は,調査対象は ?調査方法は ?調査の規模は ?な どた く
さんあげ られるのである。
(
修 正 後) しか しその数値は信頼で きるのだろうか。調査対象,調査方法,調査規模 な
ど,疑 うべ き点は多い。
(
修 正 前) これを使 うことに より,統計 を使 って 自分の考 えを効果的に見せる事 に役立
つ ように考 え られ る。なぜ か とい うと,一見たい した ことのない統計 で も,グラフを
拡大 するこ とや絵や地図に表す こ とによって絶大的な効果を与 えるこ とがで きるか ら
である。
(
修 正 後) この方法は,統計 を使 って 自分の考 えを効果的に示 すのに役立 つ皇考 え られ
る。 なぜな ら,一見 印象の薄い統計で も,グラフを拡大することや絵や地図に表 す こ
とによって墾室を効果を与 えることがで きるか らである。
3
% も虫歯 が
(
修 正 前) 続 いては ド- クス社のね り歯麿 を使用する と一般の人たち よ り2
少ない と広告 された ときの例であ る。 この結果 は統計的に不十分なサンプル によって
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
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導 き出されたパーセンテージであるということが問題な場合の ものである。
3
% も虫歯が少
(
修 正 後) 区 捜し ドー クス社のね り歯麿 を使用す る と一般の人たち よ り2
ない, とい う広告の事例である。 これは,統計的 に不十分なサンプル によって導 き出
されたパーセンテージであることが問題であった。
2
人で行われた ようだが, この少人数で行 うとい うことにも意味
(
修 正 前) この実験 は 1
があ るのだ。その理 由 として,少人数で行 うと費用がかか らない とい うこともあるの
だが,それ よりも何 より少人数で実験 を行 うと大人数 で実験 を行 った ときよ りも,2
3
% も虫歯が少ない といった偶然が断然起 こりやす くなるのだ。
(
修 正 後) この実験 はわずか 1
2
人で行われたが,少人数で行 う とい うことにも意味があ
るのだ。費用がかか らないのみな らず,2
3
% も虫歯 が少ない といった偶然が断然起 こ
りやす くなるか らである。
(
修 正 前) 平均が役 に立つのは,試行回数が十分 に多い場合に限 る。 サンプルが不十分
だ と,偶然のおかげで,値打ちのあるは どの よい結果 が出て くる可能性が高いか らだ。
これにより,平均 というのは,あやふやなもので,役に立たないどころの話ではない。
(
修 正 後) 平均が役 に立つのは,試行回数が十分 に多い場合 に限 る。サンプルが不十分
だ と,偶然 が期待以上 によい結果 をもた らす可能性が高いか らだ。 この ように,平均
が必ず しも有用 とは限 らない。
(
修 正 前) 今後統計資料 を作成す る上で,参考 に したい と思 った ことは,グラフ ・絵 グ
ラフの用い万であ る。第 5・6章 は,土工 も興味深い ものだ った。 グラフの タテ軸 ・
ヨコ軸の比率 を変 えるだけで,グラフの印象が こんなにも変 わるのか と感動 した。 ま
た絵 グラフで も, 2倍を表 わ しているのに,実際大 きさが 8倍 になっている絵 を見て,
人をだまそ うとまでは思わないが, よ り強い印象を与 えるには,すご くよい方法だ主
思った。
(
修 正 後) 第 5 ・6章のグラフ ・絵 グラフの使 い方は大変興味深 く,統計資料 を作成 す
るにあた って是非参考 に したい ものである。グラフの タテ軸 ・ヨコ軸の比率 を変 える
だけで,グラフの印象が これほ ど変わ ることは,利用価値 が高い。 また , 2倍 を表 わ
しているのに 8倍の印象を与 える絵グラフは,人を錯覚させ るほ ど強 い印象 を与 え う
る,効果的な方法だ と思われる。
(
修 正 前) 紹介されている数字がいまいちピソ ときに くい。
(
修 正 後) 紹介されている数字は実感が薄い。
(
修 正 前) しか し,丸 山の出 してい る結論 は,かな りきわ どい ものであ る。丸 山は,若
1
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経 営 と経 済
年労働力を使い捨て る企業の姿勢 を問題視 しているのだが,その解決策は 「二重構造
の一方 としての正社員をな くして しまえばいい」 とい うものである。 おいおい。
(
修 正 後) 丸 山は,若年労働 力を使 い捨て る企業 の姿勢 を問題視 しているのだが,その
解決策は 「二重構造 の一方 としての正社員をな くして しまえばいい」 と,かな りきわ
どい ものであ る。
(
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3
1
)冗長で判 りに くい
(
修 正 前) 筆者は統計 を見 る場合 において,普段我 々が 目にしている統計は本 当に,統
亘些調査方法 に問題 がないかO とい うこ とを慎重 に読 み解 く必要があ るのではないか
と考 えた。
(
修 正 後) 統計 を見 る場合,その調査方法 に問題 がないか慎重 に読 み解 く必要 があ るの
ではないだろうか。
(
修 正 前 ) そ の理 由 として ,我 々は普段 か らさ まざ まな統計 に接 して い るが,ハ フ
(
1
968
)を読 んでわかるように,実際 に世間に出回 っている統計の多 くは,製作者 が
意図 しようが しまいが多 くの統計がゆがめ られている事がよ くあるか らだ。
(
修 正 後) なぜな ら墜鼓昼,製作者 が意図 しようが しまいが歪 め られている事 が よ くあ
るか らだ。
(
修 正 前) 完全なラン ダムサンプル を手 に入れ るのは,非常 に困難な こ とであ る とい う
難点がある。
(
修 正 後) 完全なランダムサンプルを手 に入れるのは,非常に困難であ る。
倍であ ることだけを言
(
修 正 前) 賃金の差が 2倍であるこ とを表 そうとするとき,単 に2
いたいのであれば普通のグラフで表 してみればいいだけなのだが, 2倍 もあ るのだ と
差が大 きい ことを表 したいのであれば,グラフではな く図を使 って表 してみれば よい。
この場合,賃金の差 なので金袋で表 してみる と,高 さは確 かに 2倍の図で も横幅 も 2
倍 に してみ る。す る とこれは金袋 であるので容量では 8倍 もの差 にな って しまう。 2
倍の差を 8倍 もの差 に印象付けることが出来 るのだ。
(
修 正 後) 賃金の差が 2倍であるこ とを表 そうとするとき,単に2
倍であることだけを言
いたいq)
であれば普通のグ ラフで旦 ヒ壁,差が大 きい ことを示 したいq)
であれば,グ
ラフではな く図を使 えば よい。金袋の図を使 って高 さだけでな く横幅 も 2倍 に してみ
倍 もの差を印象付けることが出来 る。
ると,容量 にして8
(
修 正 前) これを利用 して,種類の異なった平均 を使 い分けることがな されることがあ
る。
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
1
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(
修 正 後) これを利用 して,種類の異なった平均が使い分け られ ることがある。
(
修 正 前) ここで,気 をつけ るべ きことは,調査側のゆがみである。それには何かを証
明 している研究所 が何 を 目的にその証 明を しているのか ?また,統計的方法 に意識的
なゆがみがないか どうか,十分注意 しなければな らない。
(
修 正 後) ここでは調査側のゆがみ,すなわち,調査 を行 っている組織 の意図や,統計
的方法における意識的なゆがみに,十分注意 しなければな らない。
(
3
3
2
)よ りシンプルな表記へ
(
修 正 前) 職業 ・家庭 ・教育,そのすべてが不安定化 している リスク社会 日本。多 くの
分野 において希望格差が存在するが,ニ ューエコノミーが到来 し,格差社会 におけ る,
リス ク化,二極化の拡大の中で,筆者が これか ら直面 する身近な問題 となる就職の際
に決定 しなければな らない職業の問題において,現在 どのような問題が存在するのか,
また何をすべ きなのか。本稿では,上述の文献 を もとに職業の不安定化 について要約
し,今後職業を決定 しようとする際に考 えなければな らない点を考察する0
(
修 正 後) 日本は,職業,家庭,教育のすべてが不安定化す る リスク社会 にな った。ニ
ューエコノミーが到来 し,格差社会における リスク化 ,二極化の拡大の中で,筆者 は
これか ら就職問題 に直面す る。そ こで本稿では,上述の文献 をもとに職業の不安定化
について要約 し,職業問題 において どの ような問題が存在す るのか,また何 をすべ き
なのかを考察する。
(
修 正 前) 統計資料 を見 る場合に どの ような点に注意すれば よいだろ うか。今後統計 を
見 る場合 に重要な ことは,まず 目に した統計をすべて うのみにし信 じるのではな く,
疑わ しい点がないかを じっ くり観察す ることである と思われ る。 これは当然の ことで
あるように感 じるか もしれない。 しか し筆者は実際 に これまで 目にする統計 を疑 った
ことがなかったのであ る。理 由もな く,統計 とい うものは正 しい ものである と信 じて
疑わなかった。世の中には今 もそ う信 じている人が多 く存在す るりではないだろうか。
(
修 正 後) 統計資料 を見 る場合 に重要な ことは,疑わ しい点がないかを じっ くり観察す
ることであ る。筆者は これまで,統計 とい うものは正 しい と信 じて疑 わなか った。世
の中にはそ ういう人が多いのではないだろうか。
(
修 正 前) 統計の結果 を,グ ラフや絵グラフを使 って,それを工夫す ることで よ く見せ
ようとするや り方 があ るが,その ように統計資料 を馬
区使 して統計を巧 みに操縦 するこ
と, これを統計操縦法 とい う。 これは,統計の専門家がすることではない。 おそ らく,
けがれのない数字 が, よ く見せたい と思 う人 々の手にかかって,いつの問にか歪 曲さ
れ,操縦 されているのだろう。
uW
経 営 と経 済
(
修 正 後) グ ラフや絵 グラフな どの統計資料 を駆使 して統計を巧 みに操縦することを,
統計操縦法 とい う。 これはおそ ら く統計の専門家ではな く,結果 をよ く見せたい と思
う人 々の手 にかかって,いつの間にか歪 曲され,操縦 されているのだろう。
(
修 正 前) フ リー ター に当てはまる人物や定義 は,考 えれば考 えるほ どきりがない くら
い多 い ものである。今までは,頭 ごな しに 「きちん とした職 に就 くこ ともせず,働 く
意思がない者」 と考 え,働 く意思があって も自分の夢 のためや経済的な要因な ど様 々
な理 由が含 まれた上 で,フ リー ターにな らざるを得ない著 も存在す ることを知 らなか
ったので とて も驚 いた。就職 したい意思があ って も,フ リー ターにな らざるを得ない
者がいるこ とを知 り,ではなぜ就職で きないのか,その理 由を よ り深 く探 ってみ るこ
とに した。
(
修 正 後) 筆者 は これまで,フ リー ター とは 「きちん とした職 に就 くこ ともせず,働 く
意思がない老」 と考 えていたので,就職 したい意思があって も自分の夢や経済的理 由
な どか らフ リー ターを選択せざるを得ない者 がいるこ とを知 って驚いた。そ こで,な
ぜ就職できないのか,その理 由をより深 く探 ってみることにした。
(
修 正 前)
「
土砂降 り」「氷河期」な どと言 われて きた学校卒業時点での就職難 による企
業側の新規学卒 に対 する厳選採用の姿勢 によ り,就職試験 を受けた ものの内定 を得 ら
れなかったためにフ リーターになる者が多いことも,就職できない理 由の 1つである.
(
修 正 後) 近年 の就職難は,企業側の新卒 の厳選採用の姿勢によ り,「土砂降 り」「氷河
期」な どと言われているOこのため,就職試験を受けた ものの内定を得 られずにフ リー
ターになる者 も多い。
(
修 正 前) 自分が 目標 として掲げていた企業 も,厳選採用 の影響 を受けていた り,激化
している就職難の追 い風で就職 出来なか った とした ら, 目の前 にあ った 目標 ・夢 ・希
望な どあ りとあ らゆ るものが一気 に崩れ落ち,フ リーターにな らざるを得なかった り,
職 に就 きたい とい う意思を見失 う気持ち も解 らな くはない と思えた。
(
修 正 後) 自分 が 目標 として掲げていた企業に就職 出来 なければ,フ リー ターにな らざ
るをえな くなった り,職 に就 きたい とい う意思を見失 うことに もな りかねない。
(
修 正 前) 一方 で,本気で進学 したい と思 っていて も,資金が足 りず親 か らフ リー ター
を勧め られ夢 を絶たされ,仕方な くフ リーターになって しまった者フ リー ター決定後,
進学の夢を諦 め きれないのでお金 を貯めて進学 への夢 を果たそ うと頑張 る者 がやは り
現実 として存在す ることも,フ リー ター に対 して悲観的な考 えを持 つ者 には忘れては
な らないことである。
(
修 正 後) 一方 で,進学希望であ りなが ら経済的理 由でやむをえずフ リーターになる者 ,
レポー ト添 肖帽旨導 に関す る事例報 告
川1
フ リー ターであ って も進学の夢 に向かって努力す る者 がいることも,忘れてはなるま
い。
(
修 正 前) フ リー ターは労働時間や収入面 において も正社員 よ り少ない ことが言 える.
それ に付け加え,フ リーターが行 うアルバ イ ト ・パー トでの仕事は,他の働 き手 に比
べて低賃金であ り,賃金の低い仕事は大 まかには必要 な技能の レベルが低い仕事であ
る。 そのために,学歴や経験 によって上昇す ることが一般的な正社員 との問 に,年 々
格差が開いていきアルバ イ ト ・パー トでの就業 を通 じての能力開発は,現在の ところ,
限定的な ものだ といわざるを得ない ということになる。
(
修 正 後) 同 じ仕事 で もフ リー ターは,正社員な ど他の働 き手 に比べて低賃金 であ り,
必要 な技能 レベルの低い仕事であ る とみ られ る。そのため,就業 を通 じた能 力開発 は
限定的な もq)
であ り,学歴や経験 によって昇給 ・
昇格す る正社員 とq)
間に,年 々格差 が
開いてゆ く。
(
修 正 前) フ リー ターになることは,正社員 にな ることと比べ る と非常 に容易な ことか
もしれないが,フ リー ター とい う世界か ら正社員 にな ってその世界 に馴染んでい くこ
とは,非常 に困難を極めることである と改めて痛感 した。
(
修 正 後) 正社員になるよ りフ リー ターになる万 が容易ではあ るが,フ リー ターか ら正
社員になることは困難を極めるといって よい。
(
修 正 前) 今 までは,フ リー ターに対 して未知であ る仕事上の困難や,仕事 に就 くこ と
な く遊びたい一心で現実か ら逃避 した意思の弱 い甘い考 えを持つ者 とばか り思 ってい
た。蓋を開けてみ る と様 々な苦痛 を抱 えた上で,フ リー ター にな らざるを得ない者 も
居 ることを知 り,先入観で もって,中身 を知 らないうちに物事 を判断 し評価 す るこ と
は良 くない ことだ と痛感 した。
(
修 正 後) フ リー ターに対 して,甘 い考 えで現実逃避す る意思の弱い若者 とい う先入観
があったか,実際にはそれを選択肢せざるを得ない者 も少な くないことが分 かった。
(
修 正 前) その ような状況下 の元で,本当にや りたい ことを実現で きることはあ るのだ
ろうか。や りたい ことがある とい って,勢い よ くフ リー ター とい う世界 に踏 み入れた
先 に,何があるのだろうか。期待 を持 って,進 んだ先 に理想 として描 いていた もの と
違 う現実を見た時,人間 とい うものは落ち込む ものだ と思 う。や りたい ことをや りた
い と思ってフ リー ターになった者 のほ とん どは,余計 にや りたいこ とを見失 って しま
うのではなかろうか。
(
修 正 後) その ような状況では本当にや りたいこ とは実現で きまい。 その こ とに気づい
た とき,多 くの者がや りたいことを見失 って しまうのではなかろうか。
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経 営 と経 済
(
修 正 前) 夢 を持 ってフ リー ターを してい る者がかっこいい とするのな ら, 自分の心の
状況 を安定的な もの にするための夢な らば,それはただのフ ァッシ ョンであ り,現実
に向けて歩 き出 してはいないのであ る。社会が豊かになって,かつてな らよほ ど豊 か
な家計が背景になければ 「夢」 を追 うことは許 されなかった ものが,現在では,ご く
一般的な家計で も 「
好 きな ことをや らせたい」 とい う親が多 くな った。 この ように,
現代の若者 には職業 を選択 で きる,夢 を見つけ出し,叶えることがで きる機会が与 え
られているのであ る。 こんな賛沢な環境 はない と思 う。それなのに,夢 を実現 したい
か らといってフ リー ターになって簡単 に諦めた り,職 に就 くことを嫌 が り,遊ぶ為 に
フ リーターになった りとそんな容易な気持ちでフ リー ターにな ってはいけない と思 う。
夢を見つけ,夢 を追 いかけ る権利 がある者には,夢 を叶えるべ く義務 を背負 っている
のだ。
(
修 正 後) 一方 , 自分 の心を安定 させ るだけの夢 な らば,それは現実逃避 に過 ぎない。
社会 が豊かになって,子供 に好 きな ことをや らせたい という親 が多 くなった。現代 の
若者 には夢を追 う機会が与 えられているのである。それを無駄 にしてはいけない。
(
修 正 前 ) 携帯電話は,開発 された当初 に比べ改善が進 み,現在 では心臓ペース メー カ
な どの機器 にはほ とん ど影響 しない ことが報告 されている。それにもかかわ らず,医
療機 関や電車の中では電源 を切 るように求め られ る。 なぜペースメーカなどの機器 に
はほ とん ど影響 を与 えない ことがわかっているのに電源を切 ることを求め られ るのだ
ろうか。携帯電話,医療機器の双方 に改良がな され,ペース メーカ装着者の側で もそ
うした新 しい機器への取替 えが進 んでい る。そのため,すでにほ とん ど影響 がない こ
とがわかっている。 それで もなお,利用場所 を限定 した り,電源を切 るように求め る
ことはおこなわれている。実際は,携帯電話 と病院内医用機器 との間の影響 を調 べ る
実験 による と,過去の同 じ実験 に比べて影響す る距離 は改善 され,短 くなっている。
つま り,ペースメー カ装着者 とほ とん ど密着 しているような状態で も,影響 がほ とん
ど出ないことを示 している。
(
修 正 後) 携帯電話は,現在 では心臓ペースメーカな どの機器 にはほ とん ど影響 しない
ことが報告 されてい る。医療機器 も改良され,ペース メーカ装着者の側で もそ うした
新 しい機器への代替 が進んでいる。実際,携帯電話 と医療機器 との問の影響 を調べ る
と,過去の同 じ実験 に比べて影響す る距離は短 くな ってお り,ほ とん ど密着 してい る
ような状態 で も,影響がほ とん ど出ないのであ る。それで もなお,医療機関や電車の
中では電源を切 るように求め られる。なぜだろうか。
(
修 正 前) 現在 , 日本では高齢化 と少子化 の問題 が存在 する。高齢化 について,後述す
るように, これまで未成熟 だった 日本の高齢化 は着実 に成熟化へ向かってい く。それ
によ り様 々な問題 が発生す る。その一 つ として,年金負担の問題があ る。年金を受 け
レポー ト添 削指導 に関す る事例報 告
川3
取 る高齢者 が増加すれば,負担 も増加す る。 この現状 に対応す るためには,年金制度
の見直 しな どが必要であ る。 しか し,高齢化 に よる年金負担 の増加 に加えて,年金 を
負担する働 く世代が少子化 によ り減少 していることに よる,年金負担の増加が発生す
る。 この現状 に対応するためには,止め られない高齢化を支 えうる,少子化の改善 が
必要である。
(
修 正 後) 少子高齢化 によ り発生す る問題の一つ として,年金負担の問題があ る。年金
を受け取 る高齢者 が増加すれば,負担 も増加す る。一方,年金を負担する働 く世代 が
少子化 によ り減少 してい ることに よって も,年金負担 が増加する。年金負担増 に対応
するには,高齢化 を支えるだけの,少子化の改善が必要である。
(
修 正 前) この ように,S
ARSで検証 した場合,人間が発展 してい くための行動やその結
果が ,SARSの発生 .流行 に頁献 しているのである。 しかしその発展がS
ARSの制圧 に
大 きな力を発揮 したことも忘れてはな らないであろう。 これはSARSだけではな く, こ
れまで発生 して きた多 くの疫病について言 えることである。
人間社会の営みは疫病の発生 ・流行に何 らかの形で関わっている といえるのであ る。
SARSの場合では,人間が引 き起 こした と言 って も過言ではない。まさに,生態系を変
化 させている人間への警告 と言 える。疫病が流行 した場合,人間への警告ではないか,
警告である とした ら,何 について警告 しているのかを考える必要があ ると思われる。
人類は これまで何度 も疫病 か らの警告 を受けて きた。その度 に多数の患者や死亡者
が発生 した。 これは人類 に とって大 きな災難であ ったが, この ような犠牲 の上 に人類
の進化は成 り立 っているのではないだろうか。
疫病か らの警告 を受け,それで も進化の道 を歩む こ とを優先 させ るな らば,その代
償 として犠牲が発生することは避 け られないであろう。その代償 を払 うのは,進化 の
道を選んだ,他で もない人類であ る。
それでは人類は,代償 がつきものである進化の道は選ぶべ きではないのであろうか。
おそ らく,人類が生態系の保護 のみを重視 し,進化の道を捨 てる とい うこ とは,困難
であ る。代償 をよ り軽減す るためには,生態系の保護 に 目を向けた進化が求め られ る
のではないだろうか.その進化の道は険 しいだろう。 しか し多 くの人 々の環境問題へ
の意識は ここ数十年で非常 に高 まってお り,多 くの人 々が人間社会 に,生態系の保護
に 目を向けた進化 を望んでいるのではないだろうか。 その進 化な しには,今後人類の
発展は厳 しいだろう。
(
修 正 後) この ように,人間社会の営みは疫病の発生 ・流行 に何 らかの形で関わってお
り,S
ARSの場合は人間が引 き起 こした と言 って も過言ではない。 まさに,生態系を変
化 させてい る人間への警告 と言 える。人類は これまで何度 も疫病 か らの警告 を受け,
その度に多数の患者や死亡者が発生 した。 これは人煩 にとって大 きな災難であったが,
この ような犠牲の上 に人類の発展は成 り立 っているのではないだろ うか。 また,人類
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経 営 と経 済
の発展が多 くの疫病の制圧 に大 きな力を発揮 した ことも忘れてはなるまい。
その代償 を よ り軽減するためには,生態系の保護 に 目を向けた発展 が求め られるの
ではないだろ うか。実際,多 くの人 々の環境問題への意識は ここ数十年で非常 に高 ま
ってお り,多 くの人 々が人間社会 に,生態系の保護 に 目を向けた発展 を望んでいるよ
うにみえる。
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