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石垣空港跡地利用基本計画

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石垣空港跡地利用基本計画
石垣空港跡地利用基本計画
平成24年3月
石
垣
市
目
次
Ⅰ.計画策定の目的 ·················································································· 1
1.計画策定の目的 ········································· 1
2.計画対象区域の設定 ····································· 2
3.本計画の策定体制 ······································· 3
Ⅱ.上位関連計画の整理 ········································································· 4
1.上位関連計画の関係 ····································· 4
2.上位関連計画の概要 ····································· 4
Ⅲ.跡地利用における現況と課題の抽出 ·········································· 24
1.周辺との一体的土地利用 ································ 24
2.土地の所有状況 ········································ 27
3.都市計画における課題 ·································· 28
4.都市構造上の位置的特性 ································ 29
5.公共・公益施設移転の可能性 ···························· 29
6.本市の人口配置及び都市機能配置の変化への対応 ·········· 32
7.旧軍飛行場問題 ········································ 33
Ⅳ.住民意向の把握 ················································································· 34
1.調査の目的と方法 ······································ 34
2.調査結果 ·············································· 35
3.住民意向の把握及び本計画への反映 ······················ 42
Ⅴ.基本計画 ······························································································· 43
1.基本理念・基本方針の設定 ······························ 43
2.目指すべき将来像の設定 ································ 45
3.ゾーニングの考え方 ···································· 48
4.主要道路の配置検討 ···································· 52
5.跡地利用構想 ·········································· 54
6.景観形成に関する考え方 ································ 55
7.これまでの計画策定の流れ(まとめ) ···················· 56
Ⅵ.計画推進に向けての課題と今後の取り組み ····························· 58
1.国及び県との調整 ······································ 58
2.段階的整備 ············································ 58
3.整備実施計画の策定に向けた取り組み ···················· 58
4.各関連計画との調整 ···································· 58
5.中心市街地の空洞化等の抑制 ···························· 58
6.社会情勢の変化等への対応 ······························ 59
I. 計画策定の目的
1.計画策定の目的
長期にわたり、調整検討を行ってきた新石垣空港の建設が平成 25 年 3 月の
開港に向け進められている。これを受けて、石垣市の課題として、現石垣空港
の跡地利用が重要事項となり、平成 17 年度に「石垣空港跡地利用構想」が作
成されたところであるが、あくまで構想段階の計画であるため、より具体的な
土地利用計画の策定が必要となっている。
特に、現空港には広大な国有地、県有地が含まれ、その土地利用を図るため
には、市としての明確な将来像をもって関係する機関と調整・協議を行う必要
があり、石垣市の発展のため、市がイニシアティブをとって跡地利用計画を策
定し、展開していくことが重要である。
さらに、現空港周辺においては、既存の市街地(用途地域指定区域)、歴史
的資源である史跡フルスト原遺跡及び近年、無秩序な市街化が進行している南
大浜地区が隣接していることもあり、周辺と一体的な土地利用を検討する必要
がある。
また、約 50ha という広大な跡地をどうのように活用するかは、石垣市の都
市構造に大きく影響するものであり、道路交通ネットワークや公共施設の整
備・移転等も踏まえながら検討する必要がある。
このような状況を踏まえ、国や県に市としての明確なビジョンを示し、理解
を得るための土地利用計画を策定することを目的とする。
1
2.計画対象区域の設定
本計画の対象区域(以下、当該区域)は、2013 年の新石垣空港の開港と同時
に機能が廃止される現石垣空港の区域約 50ha を基本とするが、周辺土地利用
との一体性を図る必要性から、周辺地域も含めて検討を行うこととする。
図-Ⅰ-1 計画対象区域図
2
3.計画の策定体制
計画の策定体制は、図-Ⅰ-2に示すとおりである。
庁内のコンセンサスを得るため、関係各課長により構成した庁内連絡会議を
設置した。さらに、学識経験者や空港周辺の行政区長等により多角的に検討を
行うため検討委員会を設置した。また、検討委員会にはオブザーバーとして関
係機関(国・県)にも参加していただいた。
併せて住民意向を把握し、本計画内容へ反映することを目的とし、住民アン
ケート調査を行った。
平成 23 年 12 月に策定された第 4 次石垣市総合計画基本構想や、沖縄 21 世
紀ビジョン(沖縄県策定)との整合性を図り、庁内関係各課との調整を行った。
市
長
報告
オブザーバー
(関係機関)
検討委員会
報告
意見
報告
庁内連絡会議
報告
意見
住民意向
事
務 局
図-Ⅰ-2 策定体制
3
の把握
住
民
(
ア
ン
ケ
ー
ト
)
II. 上位関連計画の整理
1.上位関連計画の関係
本計画における上位計画及び関連計画の関係性を以下に示す。
◎上 位 関 連 計 画 等
第4次石垣市総合計画(基本構想)
石垣市都市計画マス
前期基本計画
石垣市国土利用計画
(計画期間:H24~H28)
タープラン
(H23 年 3 月)
(H15 年 12 月)
即する
石垣空港跡地利用
参考
基本構想
(H17 年 3 月)
石 垣 空 港 跡 地 利 用 基 本 計 画
調整
石垣市南大浜地区
土地利用調整計画
調整
(H17 年 3 月)
史跡フルスト原遺跡保存
整備実施計画説明書
(H5 年 3 月)
図-Ⅱ-1 上位関連計画フロー図
2.上位関連計画の概要
以下に各上位関連計画の概要と、本計画において、反映するべき方針や施策
の方向を示す。
(1)第4次石垣市総合計画基本構想
(平成23年度策定)
1)本跡地利用基本計画への反映事項
当該基本構想は、平成 24 年から平成 33 年までの 10 年間における市の行
政運営の基本的指針であり、本跡地利用基本計画において、まちづくりの
将来像、基本理念、基本方針を反映するものとし、跡地におけるゾーニン
グ及び配置する各施設においても、この基本構想の理念の基に整備や建替
え等の必要性が謳われているものを基本とした。
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2)計画の概要
●目的
当該基本構想は、「みんなで未来につなげるしあわせあふれる「我が島」
づくり」を基本理念とし「島の魅力と人々の活力が奏でる海洋・文化交流都
市」を将来像とする第4次石垣市総合計画基本構想(平成 23 年 12 月 27 日
議決)を実現させるため、具体的な施策を総合的かつ体系的に明らかにする
ものである。
また、この計画は本市の行政運営の基本的指針であるとともに、まちづく
りへの市民及び各種団体の参画や国、県等の各種離島振興策と緊密な連携を
図り、より実現可能な計画となるよう取り組むものとしている。
●計画の期間
当該計画の期間は、平成 24 年度(2012 年度)から平成 33 年度 2021 年
度までの 10 年間とする。
●計画の体系
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●基本的な視点
本市では、今後の行政運営の基本的な視点について以下のとおり整理し、
すべての施策を展開するうえでの指針とする。
(1)我が島づくり
本市は、自然豊かな美しい島であり、そこには生きがいを持ってくら
す人々がおり、そして、この風土の中でふれあいによりはぐくまれた歴
史・文化等これらすべてを未来に継承し、新しい「いしがき」を創造し
ていく必要がある。
そのことにより、市民一人ひとりが幸せを実感できる「いしがき」の
実現が可能となり、
市民や企業など全ての市民が主体となり責任を持っ
て協働でまちづくりを推進しなければならない。
(2)新空港開港を見据えた取り組み
平成 25 年 3 月に開港を控えた新石垣空港については、国際定期路線
やハブ機能を有する空港を目指し、国境に接する立地条件を活用し東
アジアを中心とする国際交流の拠点としての役割を果たす必要がある。
さらに、予測される入域観光客の増加に対応するインフラ整備と乱開
発の抑制はもとより、農林水産物の計画的・安定的供給を確保するた
めの体制の整備及び地域特産物開発等、付加価値を高めるための技術
開発や市場競争力の強化を促進し、拠点産地の形成を進める。
また、観光・リゾート産業等との連携を図り、第1次産業から第3
次産業までを貫いた施策の展開が必要であり、石垣ブランドの確立が
必要となってくる。
(3)景観の保全と創出
美しい自然の保全と、離島ゆえの生活や経済活動などの条件を踏ま
え、太陽光などの地域でまかなえる再生可能エネルギーの活用を推進
するなど、環境保全、市民生活、産業振興のバランスの上に、環境と
共生したエコアイランドの形成の取り組みが必要である。
また、豊かな自然環境、海・島などの自然景観、御嶽や屋敷林、及
び石垣などに囲まれた赤瓦の伝統的集落景観の保全と創造に取り組む
必要がある。
(4)人を育てる地域づくり
石垣市の歴史や伝統に誇りと愛着を持つ郷土教育・人間教育を基本
とし、様々な分野で活躍できる人づくりに努めるとともに、地域の自
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立を図るためアジア・太平洋の交流拠点として、国際化に対応した人
材育成を推進する。そのことにより、持続可能な振興発展と様々な施
策の展開による経済効果を地元に最大限還元させなくてはならない。
また、新空港開港に伴い企業誘致等を積極的に行うことで、雇用を
生みだし、若者の地元定着を促進し、地域の産業を支える魅力的な人
材育成や魅力的な地域づくりが可能となる。
(5)魅力ある国際交流拠点都市の形成
本市はユニバーサルデザインを基本とした快適で利便性に優れた暮
らしやすい住環境、充実した都市機能の整備を推進し、コンパクトな
都市構造の構築に向け、誰もが住みたくなるような魅力あふれる生活
空間の創造に努める必要がある。
また、地域の実情に応じた都市機能・都市基盤、交通体系の整備を
推進するとともに、アジア・太平洋を中心とした国際交流拠点の玄関
口として、新石垣空港や石垣港などの整備・機能強化を促進する必要
がある。
(2)石垣市国土利用計画(平成 15 年 12 月策定)
1)本跡地利用基本計画への反映事項
当該計画は、国土利用法第 8 条に基づく法定計画であり、本市の区域にお
ける国土の利用に関し必要な事項について定められている。
現石垣空港の区域については、
「地域類型別の市土利用の基本方向」におい
て、「市街化適正誘導域」に位置づけられており、「スプロールのみられる既
成市街地東側については、市街地像を明確にした上で都市計画用途地域への
編入など、計画的なまちづくりを図る」と謳われている。
したがって、跡地利用において、都市的土地利用を図っていくものとする。
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図-Ⅱ-2 地域類型別土地利用方針図 (「石垣市国土利用計画」より)
2)計画の概要
●市土利用に関する基本構想
石垣島全体を豊かな自然環境と都市機能を備えたアジア・太平洋の交流拠
点として、第4次石垣市総合計画基本構想が掲げる本市の将来像「島の魅力
と人々の活力が奏でる海洋・文化交流都市いしがき」の実現にむけて、均衡
ある市土の利用を目指すものとする。
このため、市土利用の基本方針を次の通り定める。
1. 自然条件、社会経済条件、歴史文化条件等市土に関わる諸条件を踏ま
えつつ、土地利用の適正化を図り、市土の均衡ある保全及び活用に努め
る。
2. 広大な森林地域をはじめとする豊かな亜熱帯の自然環境は、優れた生
態系を維持・保全する基盤であることから、保全措置について十分検討
した上で、土地利用を進めていく。また利活用にあたっては、地形等の
土地条件に十分配慮する。
3. 基幹産業である農業の育成・発展を図るため、生産基盤の整備を推進
し、優良農地を確保するとともに、生産性の向上促進や他産業との連携
等により、農用地の効率的な利用を促進する。また、基盤整備、農地利
用に際しては、赤土流出防止等周辺環境の保全に努める。
4. 八重山圏域の拠点はもとより、アジア・太平洋の交流拠点都市として、
高次機能都市を構築し、都市活動の円滑化を図るため、空港、港湾、幹
線道路等都市基盤の整備を推進するとともに、既成市街地内の土地利用
8
の効率化を促進する。
5. 快適でゆとりある居住空間を創出するため、本市の地域風土や歴史的
資源等を活かしつつ、都市基盤や生活環境基盤の整備等を進めるととも
に、宅地化が進行する地域等においては土地利用の規制・誘導を図る。
6. 歴史文化環境の保全・継承・活用を図るため、歴史的資源を活かした
史跡整備等を進める。また、各種整備に際しては、歴史的資源との十分
な調整を図る。
7. 本市の産業振興、市民生活の向上を図るため、観光・リゾート及びレ
クリエーション空間の整備を進めるとともに、整備に際しては、本市の
亜熱帯の自然や歴史文化等の地域特性を踏まえ、市土の保全に十分留意
しつつ、整備を促進する。
(3)石垣市都市計画マスタープラン (平成 23 年 3 月策定)
1)本跡地利用基本計画への反映事項
当該計画は、都市計画法第 18 条の 2 に基づく法定計画であり、本市の都市
計画に関する基本的な方針を定めるものである。計画内容としては、主に都
市整備に関する基本方針とまちづくりの具体的な方向を提示するもので、関
連する個別の都市計画の指針となるものである。
現石垣空港の区域については、
「市街地基盤形成地区」として位置付けてお
り、計画的な土地利用を図っていくことから、土地区画整理事業等を活用し
て面的な整備を検討する地区となっている。
また、スプロールしている市街地東側も含め、適正な市街地誘導を図りる
とともに、公共施設の整備や拠点づくり等適正な土地利用を図ることを前提
とした跡地利用計画とする。
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図-Ⅱ-3 基盤整備方針図 (石垣市都市計画マスタープランより)
2)計画の概要
●目的
当該計画は、は、上位計画にあたる石垣市総合計画の将来像の実現に
むけて、土地利用の方針や道路、公園、下水道の整備方針といった観点
から、都市の基本目標を定め、長期的な展望にたち、まちづくりを進め
ていく道筋を明らかにすることを目的とする。
都市計画は、都市が向かうべき目標や将来像を示した上でその実現の
ために土地利用の規制・誘導や都市施設の整備、市街地騎亜発及び自然
環境の保全等を行うものである。都市マスタープランは、都市計画法第
18 条の 2 に基づき「市町村の都市計画に関する基本的な方針」の役割を
担うものであり、沖縄県が広域的な観点から定める都市計画の基本的な
方針である「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」と整合を図り
つつ、本市の特性を活かした都市整備のあり方を市民にわかりやすく定
め、市民・行政の指針とするとともに、今後の市の定める都市計画の基
本となるものである。
●都市の将来像
本市は、先人たちが悠久の時の流れの中でまもり、はぐくんできた亜
熱帯の美しい自然環境や優れた景観、歴史風土の中で培われた格調高い
10
文化の香りが漂うまちなど、本市特融の魅力を最大限に活かしたまちづ
くりを展開しており、それを次の世代へ引き継いでいくことが重要であ
る。
さらには、日本最南端の拠点都市として、東南アジアへの玄関口の役
割を担い、国際交流都市としての機能の充実を図るとともに、八重山圏
域の拠点として都市機能の充実強化を進めていくことが必要である。
(4)石垣空港跡地利用基本構想(平成 17 年3月作成)
1)本跡地利用基本計画への反映事項
当該構想は、新石垣空港の建設を推進するにあたり、現石垣空港跡地及び
周辺の合理的な土地利用のあり方について庁内の意思統一という視点も踏ま
え、策定されたものである。
したがって、本跡地利用基本計画は、その内容を受けつつ、新石垣空港建
設の動向やアクセス道路等に関連する都市基盤の整備動向、さらには社会情
勢等も見据えて反映させるものとする。
2)計画の概要
●目的
当該構想は、石垣市域の総合的、計画的な利用、開発及び保全を図るため、
新石垣空港の建設により、現在利用されている石垣空港の廃止に伴う跡地及
び周辺の合理的な土地利用を図る必要があるため、跡地利用基本構想を立案
することを目的とする。
●構想地区の設定
構想対象地区の現況から跡地地区の位置づけまでを検討した結果、地区の
状況及び現段階における法的規制等の条件などから、地区の設定に当たって
は現空港用地を基本にし、史跡フルスト原遺跡を含む地区(64.5ha)を計画
の対象とする。
現空港の施設、機能は急激な需要の増加に対応できず、さらに市街地に近
接することから周辺集落への生活環境等に悪影響を及ぼしているため、沖縄
県は新石垣空港の建設を推進し、各種の行政手続きを行っている。
現空港の面的整備計画を行うことにより、本市の都市目標宣言を具体化す
る望ましい都市像の形成を図ることを第一義として、検討を進めるものとす
る。
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●跡地利用の基本理念
(1)はじめに
本地区は、石垣市政の基本ビジョンである“海洋・文化交流都市”を
推進していくにあたって、その先導的役割を果しうるものとする。また、
都市基盤となる施設で、現市街地内において十分なスペース(空間)が
確保できない施設や、不足となっている施設の整備を推進する。
特に本市は、市街地において十分なオープンスペース等が不足してお
り、市民の憩いの場となる自由な空間の確保が望まれている。このよう
な状況のなかで、本地区には国指定の文化財である史跡フルスト原遺跡
と緑に囲まれた自然環境を有していることから、市民の文化・教育施設
や、築 30 年以上を経過し老朽化が著しく、甚大な被害が予想される自
然災害にも対応できる官庁や公共施設の新築移転を中心にした施設整
備の検討を行うものとする。
(2)地区整備の基本理念
(イ)基本理念
当地区には、国道 390 号、市道産業道路及び石垣一般道が横断し、
また、東側に大浜地区、西側に平得・真栄里地が立地し、その中央部
に位置することから、機能連携面で重要な位置づけにあるといえる。
また、市道平得上原線が南北軸に整備され、新石垣空港アクセス道路
のラインとして決定したことから、当地区は東西軸と南北軸のクロス
ポイントとして極めて都市的土地利用が高い地区である。
これらのことを踏まえ、当地区の整備は“広域的交流”を促進する
まちづくりを推進することを基本とし、
・ 地域の利便性と快適性の向上を図るまちづくり
・ 市のまちづくり課題に対応したまちづくり
・ 本市における新しいまちづくり
を目指すものとする。
●基本方針
(1)基本方針の設定
基本理念を踏まえ当地区のまちづくり基本方針を以下に設定する。
歴史・自然と交流
憩いのまち
①“歴史”を学ぶ空間の創出
跡地利用計画地北方に国指定文化財史跡フルスト原遺跡公園が整備
中であることから、石垣市の歴史を学び将来に継承する空間の創出を
12
図る。
②“交流”空間の創出
東西軸、南北軸のクロスポイントであることから、本土復帰前後に
建設された公共施設の建替えや未整備の公共施設の建設など“広域的
交流”を促進させるまちづくりを目指す。
③“自然”を感じる空間の創出
本市南部地域には緑地環境が乏しく、安らぎと憩いの場としての機
能を持った緑地環境の創出を図る。
●構想のテーマ
本地区の構想のテーマとして
“歴史・自然との交流 憩いの街”
としてきた。さらにこのメインテーマを支える土台としてサブテーマを3項
目挙げた。このテーマをどのように活かし基本構想を作成するか具体的に検
討するために基本方針を次のように設定した。
1)自然環境及び文化遺産の保全と活用
本地区の北側に位置する国指定文化財史跡フルスト原遺跡公園整備を
中心に、郷土文化についての研修、見学の場を提供すると共に市民へ歴
史的文化財をより良く後世に伝える機縁にするとの発想に立って本市
の新しい核として整備を行うものとする。
2)交流空間の創出
地区内及び地区外にある公共施設を有機的に結び、系統的なネットワ
ークを形成するため、老朽化した公共施設の一元化を図り、市民の利便
性向上を図る。車社会に対応した駐車場の確保と併せ、本地区には将来
に対応して十分に「快適さ」、
「心地よさ」を作り出す歩行空間の創出も
積極的に推進する。
3)オープンスペース(公園、緑地)の整備
本市においては、都市公園(広域公園)バンナ公園や運動公園等の整
備は進んでいるものの、市民が気軽に憩いの場として利用できる住区基
幹公園や多目的広場が少ない。また、カルチャーパーク(文化公園)な
どの文化的施設をもった公園がないことで市民への研修、講習等を行う
施設が不十分となっている。
(NPO センター等)また、現在の市街地及
びその周辺に本性格を有した公園がとれる十分な空間がないことから、
本地区において、石垣市全体を対象とした施設の整備を推進していく。
13
●基本的構成
本地区の基本的構成を検討する場合、国道 390 号、市道産業道路、市道平
得上原線を軸として主要施設及び商工業が張り付いている。また、国指定文
化財の史跡フルスト原遺跡も構成上重要な位置を占めている。
しかし、将来人口予測や新石垣空港の建設による東部地区の拠点開発によ
る結果、主要道路(国道、県道)をはじめとする市街地の整備構想は、大幅
な地域構想再編の引き金になると予想される。
このように、市全体の地域構成の変化を背景に、本地区における基本的な
構成(空間構成)のパターンを検討する。
空間構成のパターン
Ⅰ
史跡フルスト原遺跡空間
・史跡フルスト原遺跡、及びその周辺地域の整備
Ⅱ
レクリエーション・カルチャー空間
・遊歩道の整備、緑地公園の整備、大学及び専修学校等(生涯学習施
設)の誘致
Ⅲ
サービス・ヒューマン交流空間
・消防署等公共施設、中央公民館等の市民の交流広場
Ⅳ
交通体系の整備
・新石垣空港アクセス道路、現空港整備により分断された大浜縦線の
復活によるバイパス機能の回復、バスセンター
●ゾーニング
本地区におけるゾーニングを行うにあたって、地区における現況空間の持
つ機能の中で北東側に史跡フルスト原遺跡一帯が自然の緑地空間を構成し
ており、史跡フルスト原遺跡公園を整備するにあたり、十分その特性を生か
すものとする。
計画のための具体的なゾーニングを行うに際しては、以下の 3 つに大別し、
それらの空間特性を生かすようにゾーニングを行う。
Ⅰ 史跡フルスト原遺跡空間
A 史跡フルスト原遺跡と周辺保存緑地ゾーン
史跡フルスト原遺跡及びその周辺の樹林一帯については、国の文化財指
定位置になっており、それらの保護と環境整備が主体となる。
なお、整備については、別途(教育委員会所管課)で行うことになって
いるため、本計画においては空間(区域)の設定にとどめるものとする。
Ⅱ レクリエーション・カルチャー空間
14
B レクリエーション・カルチャーゾーン
レクリエーション空間の創出については、市民がピクニックや多目的に
利用できるようにフラットな敷地と緩やかな斜面地を造成し、フラット部
分では各種のスポーツをはじめ、動的なレクリエーションの用に供すると
共に、有名私学(高校・大学等)や専修学校の誘致を通じて生涯教育の場
としての活用を検討したい。
また、この空間は、市民が文化と福祉を生活環境の一部として身近に感
じるような場所の提供を行う。そして婦人や勤労者等への研修、教養の場、
レクリエーション施設整備する。
Ⅲ
ヒューマン交流・サービス空間
C ヒューマン交流・サービスゾーン
老朽化した公共施設の一元化を図るに十分な空間が確保されることか
ら、市民の利便性向上が期待できる。また、車社会に対応した駐車場の確
保と併せ、本地区には将来に対応して十分に「快適さ」、
「心地よさ」を作
り出す歩行者空間の創出も積極的に推進する。
図-Ⅱ-4 ゾーニング図 (石垣空港跡地利用基本構想より)
15
(5)史跡フルスト原遺跡保存整備基本計画策定調査報告書
(平成3年 11 月策定)
1)本跡地利用基本計画への反映事項
フルスト原遺跡が昭和 53 年 3 月に国指定史跡に指定されて以降、昭和 59
年「フルスト原遺跡発掘調査報告書」が、平成元年には「史跡フルスト原遺
跡保存管理計画策定報告書」及び「史跡フルスト原遺跡整備基本構想」が石
垣市教育委員会によって策定され、続いて当該計画が平成 3 年に策定されて
いる。
フルスト原遺跡が現空港の北側に隣接していることから、空港跡地利用に
おいては一体的土地利用を図る必要があり、当該計画で示されている「基本
的理念」等を、本計画へ反映する。
2)計画の概要
●保存整備の基本的理念
フルスト原遺跡の整備については、遺跡の歴史的考察等未だ解明されてい
ない事項が多く、施設用地の取得や史跡の追加指定の必要等、流動的要素も
大きいため、整備構想の骨子を踏まえ、与件の変化にも対応できる基本的な
理念を設定する。
基本的理念-1)遺跡周辺地区を含む総合的な環境保全整備の推進
(1)周辺の歴史文化財産を結んだ総合的な整備
フルスト原遺跡公園の周辺地区には、歴史的に当該遺跡と深い関係
を持つとみられる遺跡や集落、また、現在も活きて信仰の対象となっ
ている歴史的空間が、数多く存在している。
東側の崖下一体のカンドゥ原の集落遺跡や川(ウルバルカーラ)
、井
泉(ウーニンガー)、そしてミズオン、フゥスクオン等の拝所全体を含
みこみ、
「フルスト原史跡公園(仮称)」として整備し、フルスト原遺
跡を中心とした大浜集落地区等を含む総合的な環境保全整備を図る等、
豊かな歴史的空間を広域的に保持することにより、歴史と文化を連続
的かつ総合的なものとして理解できるものとする。
(2)指定地外の用地の確保と一体的整備
フルスト原遺跡の保全整備において、遺跡周辺の歴史的空間の連続
的一体化を図り、新たに史跡指定域の隣接地を調査地域に組み入れて
いくとともに、その拡大を史跡公園用地として積極的に確保する。
基本的理念-2)歴史・文化遺産の保全と活用による、歴史学習拠点の形成
(1)歴史的環境の復元修復整備
国指定史跡フルスト原遺跡は、石塁遺構、石塁に囲まれた建物遺構、
16
古墓群、御嶽跡、天然の断崖上を利用した城塞的石塁城門遺構等を有
し、時代を異にする遺構が複合する遺跡である。これらの復元ないし、
修景による保全整備を進めることにより、フルスト原遺跡の歴史性と
その変遷を解明する契機とする。
(2)歴史学習の拠点となる史跡公園整備
フルスト原遺跡の保全・整備を単なる歴史的遺産の回復にとどめず、
その実現にむけて取り組みを地域住民並びに市民の文化活動の場とし
て捉えることとする。また、整備に当たっては、多種多様な人々がフ
ルスト原遺跡の歴史性、ひいては、石垣の歴史性を体験・学習できる
歴史学習拠点としての公園整備を目指す。
(3)八重山全体の中心的史跡公園としての機能整備
フルスト原遺跡は、その規模及び遺構の特性や出土品からみて、八
重山や沖縄(琉球)のみならず周辺アジア地域も含んだ歴史的体系の
解明に重要な資料を提供する遺跡であると見なされているため、
「フル
スト原史跡公園(仮称)」を八重山全体の中心的史跡公園として位置づ
け、その歴史的情報の発信地としての機能を有する施設の整備を図る。
基本的理念-3)石垣市のシンボルとなる「21 世紀の街づくりの顔」の形成
(1)石垣市全体のまちづくりの顔としての整備
フルスト原史跡公園(仮称)を、史的性格を備えた都市公園として
も位置づけ、石垣市全体の都市計画の中で石垣市の独自性を際だたせ
る「顔」とする。特に失われつつある石垣市の歴史的環境をシンボリ
ックに代表することを第一義としつつ、併せて日常的に市民が集い利
用できる機能も有する場、また、憩いの場を積極的に導入し、21 世紀
の石垣市のシンボル交流拠点づくりを目指す。
(2)市街地の骨格となる交通ネットワークの整備
フルスト原遺跡を都市公園として、市民を初め多くの人々の利用に
対応するため、都市計画の観点から、石垣市全体の骨格となる交通体
系を再検討し、フルスト原遺跡へのルートを視覚的にも構造的にも分
かり易くしていく。特に地域社会のシンボル空間である拝所等の文化
ストックとオープンスペースに着目し、市街地や集落の拝所や遺跡群、
公園や緑地等を結び合わせながらフルスト原史跡公園(仮称)へと続
くネットワークを形成する。
●整備の基本目標
国指定史跡であるフルスト原遺跡の立地性・規模・歴史性からみた重要性
と、石垣市の都市づくりの諸課題を踏まえ、「フルスト原史跡公園(仮称)」
整備の基本目標を次のように設定する。
17
〈基本目標〉
ゆう
きょう
“世とぴあ 郷 ”
フルスト原史跡公園(仮称)の実現をめざして
〈整備の基本方針〉
ゆう
きょう
・フルスト原の歴史的環境(“世とぴあ 郷 ”)を
シンボリックに再生
・歴史的環境の学習・体験を楽しく親しめるものとする
史跡公園の形成
・見られる景観としてのフルスト原の個性と魅力の確保
そして、フルスト原からの眺望景観の保全
・都市づくり・地域づくりの骨格となる
生活環境基盤の整備
・沖縄・八重山の歴史民俗文化をネットワーク化し、
情報発信地としての機能形成
(6)史跡フルスト原遺跡保存整備実施計画説明書(平成 5 年 7 月)
当該計画書においては、基本計画の考え方を受け、遺跡地区内での整
備内容及び指定地以外の整備についての計画が示されている。
整備計画図を次頁に添付する。
18
19
はい ほ ー ま
(7)石垣市南 大浜 地区土地利用調整計画(平成 17 年 3 月)
1)本跡地利用基本計画への反映事項
当該計画は、市街地の東側の現空港を含む約 440ha の区域において、無
秩序な市街化が進展していることから、今後、計画的なまちづくりを行う
ことを目的として策定された。
当該計画において、現空港の区域は、
「計画的開発区域」に位置づけられ
ており、当該区域の土地利用の誘導方針として『新空港整備に伴う現空港
の跡地利用や広大な区域の新たな土地利用が望まれる区域であるので、都
市的土地利用への誘導を基本とし、周辺環境との調和を図りながら、計画
的な跡地利用計画、計画的な面整備等を推進し、新たな都市的土地利用の
形成を図る。また、計画的な市街地形成を推進する際には、既存の集落景
観にも配慮するとともに、質の高い都市景観形成を推進する。』と謳われて
いる。
したがって、本計画においては、大浜集落や史跡フルスト原遺跡等の周
辺環境に配慮しつつ、都市的土地利用としての跡地利用を図るものとする。
2)計画の概要
●調査の目的
当該計画については、平成 15 年度の「石垣市南大浜地区土地利用調整計
画策定支援事業」の検討結果を踏まえて、地区内における土地利用上の個別
法による規制内容を調整し、秩序ある土地利用を進めるために、将来フレー
ム等を勘案しながら、既成市街地の状況も踏まえて、将来目指すべき街の将
来像を明らかにし、その上で、計画的なまちづくり(土地利用計画)を行う
ために、住民意向を反映させながら「地区土地利用調整計画」を策定するこ
とを目的とする。
●土地利用の基本方針
〈目指すべき地区の将来像〉
自然及び歴史環境と快適な居住空間が共存するまち「はいほーま」
〈土地利用の基本方針〉
1)市街地動向に関する基本方針
○無秩序な市街化の抑制を図るとともに周辺の自然環境と共存する集
落環境整備等、自然的土地利用と調和した秩序ある都市的土地利用
を図る。
20
○秩序ある都市的土地利用を実現するために用途地域の指定等適正な
土地利用規制を図る。
○白地地域の形態規制の見直しによる建物の形態規制強化と併せて、
建物用途の規制についても適正な規制誘導を図る。
2)道路交通体系に関する基本方針
○区域内を有機的にネットワークする地区内幹線道路の整備を図ると
ともに、隣接する用途地域内との連携、新石垣空港のアクセス道路
との適正な連携、ネットワークの形成を図る。
○良好な集落環境が残る大浜集落内については、石垣や屋敷林等の集
落環境を保全しながら、拡幅整備等を行い、安全で快適な道路空間
の形成を図る。
○空港跡地については、市街地との連携、広域的な交通ネットワーク
を図るとともに周辺環境へも配慮した道路ネットワークの形成を図
る。
3)自然環境・歴史・文化遺産等に関する基本方針
○本調査対象地域をはじめ、石垣市民の共有財産である森林や農地、
水辺等の優れた自然環境の保全・保護を図る。
○地域の持つ良好な資源である海や海岸線を保全するとともに、その
ポテンシャルを活かし、眺望への配慮や自然汚染等がないよう、自
然環境に配慮した市街地形成を図る。
○史跡フルスト原遺跡については、遺跡単体の整備とならないよう、
周辺の集落や自然環境との連携を図りながら、地域及び石垣市の歴
史的な拠点となるよう整備を図る。
○大浜集落周辺に位置する拝所、記念碑等歴史的資源については、今
後も継続し保全するとともに、歴史拠点としての位置づけ、憩い空
間としての活用を図る。
4)公共公益施設に関する基本方針
○空港跡地等への公共施設整備が予定されている本地域については、
市街地内の公共施設等とのネットワークを図るとともに周辺環境を
十分配慮し施設整備を図る。
5)土地利用に関する基本方針
○石垣空港跡地利用は、都市構造を大きく変える要素を含んでおり、
既成市街地との連携、新空港との連携、更には周辺自然環境にも配
慮しながら、公共施設の整備や拠点作り等適正な土地利用を図る。
○スプロールしている市街地も含め、空港跡地については、適正な市
街地誘導を図るために、用途地域の指定等を適正な土地利用規制を
21
図る。
○スプロールの抑制を図るとともに秩序ある市街地を形成するために、
土地利用区画整理等の面的な整備等による市街地整備を図る。
○良好な市街地環境、良好な市街地景観等を形成するために、地区計
画等の誘導方策による良好な市街地形成を図る。
●土地利用調整計画
当該計画において、現空港の区域は、
「計画的開発区域」に位置づけられ
ておいる。
5)計画的開発区域
新空港整備に伴う現空港の跡地利用や広大な区域の新たな土地利用が
望まれる区域であるので、都市的土地利用への誘導を基本とし、周辺環
境との調和を図りながら、計画的な跡地利用計画、計画的な面整備等を
推進し、新たな都市的土地利用の形成を図る。
また、計画的な市街地形成を推進する際には、既存の集落景観にも配
慮するとともに、質の高い都市景観形成を推進する。
22
23
III. 跡地利用における現況と課題の抽出
1.周辺との一体的土地利用
(1)史跡フルスト原遺跡公園との一体性
史跡フルスト原遺跡公園は、当該区域の北東側に位置している。跡地利用に際し
一体的土地利用が望まれるが、平成5年度に策定されている「史跡フルスト原遺跡
保存整備実施計画」においては、公園のメインエントランスは、公園の北東部に設
定されており、当該区域は公園の裏側にあたることとなるため、跡地利用として一
体的に利用しづらい配置計画となっている。
当該区域においては、平坦な土地であることから、フルスト原遺跡公園の施設と
して、駐車場用地や基本計画に示されている歴史資料館等の施設用地としての利用
に適しているものと考えられるため、公園の施設配置計画等の一部見直しの可能性
について、石垣市教育委員会と協議を行う必要がある。
図-Ⅲ-1 「史跡フルスト原遺跡保存整備計画鳥瞰図」(史跡フルスト原遺跡保存整備実施計画説明書より)
24
(2)南大浜地区との一体的土地利用
当該区域の南側に位置する南大浜地区は、広大な農振白地地域が広がっているこ
とから、近年、建築動向が著しい区域である。国道 390 号沿道においては、大規模
な商業施設や公共施設の立地、また、国道 390 号と当該地域の間においては新たな
宅地開発等も見られる。一体的な土地利用を図る場合、跡地利用区域内の主要な道
路を当該地区から国道 390 号へ結ぶ必要性があるものと考えられるが、可能な限り、
既に建物が建設されている区域を避けるべきであり、接続箇所が限られてくる。
また、本市においては、平成 16 年度に「石垣市南大浜地区土地利用調整計画」を
策定しており、今後、用途地域の指定や地区計画の導入等を検討している。その中
で、跡地利用に関しても、
「計画的開発区域」に位置づけられており、「土地利用が
具体化するまでは、将来の用途地域編入を前提に一時的に保留する。」とされている。
南大浜地区の将来土地利用と一体的な計画にするべきであり、各計画施設の配置等
については、周辺の土地利用状況等に配慮する必要がある。
図-Ⅲ-2 南大浜地区土地利用調整計画図(南大浜地区土地利用調整計画<計画書>より)
25
(3)その他周辺地域について
新空港アクセス道路が整備された場合、当該区域と新空港アクセス道路の間に農
用地が残る区域が一部発生する(当該区域の北側)
。その区域においては、現在、工
場やヤード等の農業以外に使用されている土地も多くみられることから、新空港ア
クセス道路の整備に伴い、更なる土地利用転換が懸念される。
図-Ⅲ-3 当該区域と新空港アクセス道に囲まれる農用地区域
また、当該区域と市街地の間の農振白地地域においては、空港アクセス道路の整
備及び現空港跡地利用を機に、市街地及び現空港跡地利用と一体となった土地利用
計画が求められる。
図-Ⅲ-4 当該区域と市街地に囲まれる農振白地区域
26
2.土地の所有状況
当該区域は、平成 14 年 3 月現在、国有地が約 31.7ha(63.6%)、県有地が約 15.2ha
(30.6%)
、市有地が約 1.0ha(2.1%)及び私有地約 1.9ha(3.7%)となっているこ
とから。跡地利用を行う場合、土地の払い下げや貸与等が前提となるものと思われる。
今後、市の財政状況を勘案しつつ、国及び県の財務関係機関との調整・協議が必要で
ある。
また、一部、私有地が存在することから、その地権者の意向等も把握する必要があ
る。
表-Ⅲ-1 現空港用地の財産区分別面積
財産区分
国有地
県有地
市有地
私有地
県借地
国土交通省(大阪航空局)
国土交通省(海上保安庁)
国土交通省(気象庁)
小計
国土交通省(大阪航空局)
国土交通省(海上保安庁)
その他
小計
個人有地
合計
面積
㎡
284,704.19
17,944.80
10,406.04
3,520.45
316,575.48
1,385.54
3,758.42
147,168.73
152,312.69
10,289.82
18,475.00
497,652.99
ha
28.47
1.79
1.04
0.35
31.66
0.14
0.38
14.72
15.23
1.03
1.85
49.77
割合
%
57.2
3.6
2.1
0.7
63.6
0.3
0.8
29.6
30.6
2.1
3.7
100.0
(平成 14 年3月現在)
図-Ⅲ-5 公有地現況図(平成 14 年 3 月現在)
27
3.都市計画における課題
当該区域は市街地(用途地域指定区域)と近接している。跡地利用の内容にもよる
が、都市的土地利用を図り、建物の立地が見込まれる場合においては用途地域の指定
も視野に入れる必要がある。また、基盤整備についても、都市計画道路や都市公園に
よる整備の可能性についても検討する必要がある。
以下に、「石垣都市計画区域マスタープラン(沖縄県策定)」における用途地域指定
検討区域を示す。
図-Ⅲ-6 将来都市構造附図-市街地-(「石垣都市計画区域整備、開発及び保全の方針」(平成 16 年 4 月)より)
28
4.都市構造上の位置的特性
当該区域は、市街地に近接しており、さらに今後整備される新空港アクセス道路に
ついては、当該区域を通過することから、その位置的特性を活かし、沿道型土地利用
を図ることが望ましいものと思われる。
図-Ⅲ-7 石垣市都市構造図
5.公共・公益施設移転の可能性
当該区域において、今後どのような施設の移転・誘致が可能なのかを考察する。
「石
垣空港跡地利用基本構想」に示された公共・公益施設、市街地及びその周辺に存在す
る老朽化が進んだ公共公益施設を抽出し、これらの移転に関する課題を考察する。
表-Ⅲ-2 公共施設の移転の可能性検討一覧表
まちづくり計画
移転公共施設
問題・課題
(イメージ)
○公共施設
(市庁舎、消防署の移転等)
・本土復帰前後に建設された
公共施設の移転
(車社会に対応した駐車場
の確保)
①
石垣市役所(市有地)
・ 美崎町 築後年数 42 年
②
石垣市消防本部 石垣消防署
(市有地)
・美崎町 築後年数 42 年
○ 石垣税務署
・字登野城 築後年数 43 年(国
有地)
29
・石垣市役所は、中心市街地に立地
し、核となる施設である。その移
転により発生する広大な空地は都
市の空洞化を引き起こす可能性を
はらんでいる。
・石垣市消防庁舎については、平成
24 年 2 月に取り壊され、移転まで
の仮庁舎である。早期の移転が求
められており、関係機関と調整を
図りながら検討する。
・耐震改修済であり、可能性は低い。
○ 石垣市伝統工芸館
・字登野城 築後年数 44 年(市
有地)
○八重山郵便局
・大川 築後年数 30 年(国有
地)
・関係部局(石垣市織物事業協同組
合)との調整が必要。
○教育施設
(小学校・中学校の新設・移
設 、進学 系私立 高校の誘
致、児童館、大学の誘致)
・小・中学校の新設・移転
・進学専門の私学の誘致によ
る人材育成
・児童館建設による児童生徒
の 情操教 育の推 進と子育
て支援
○スポーツ・健康施設
(スポーツパーク、八重山病
院の移設等)
・高齢者向け複合施設の設置
(遊歩道、ゲートボール場、
グランドゴルフ場)
・基幹医療施設の総合整備
○近隣小中学校との調整
・小学校又は中学校の整備には広大
な敷地面積の確保を要する。
・学校の整備を行った場合、近隣地
域も含め、校区の見直しを要する。
①
・県立八重山病院移転については、
○生涯学習施設
(地区集会施設、県立美術館
八重山分館誘致、人材育成総
合センター等)
・生涯学習センターの建設に
よ る生涯 学習施 設の拠点
づ くりと 世代間 交流の推
進。
・高田地区自治会集会施設の
設 置によ る地域 活性化の
推進。
・地域振興のキーワードは
「人材育成」。ベンチャー
志 向の活 力と行 動力のあ
る 人材の ための 育成セン
ターの整備が必要。
①
○交通計画
(バスセンター、ターミナ
ル)
・交通結節点であるため、大
衆輸送機関の結節点
①バスターミナル(東運輸)
県立八重山病院(県有地)
・字大川 築後年数 23~31 年
八重山博物館(市有地)
・字登野城 築後年数 39 年
30
・現在の駐車可能台数 22 台
・関係部局との調整が必要。
県知事要請している。
(議会答弁)
・空港跡地の市有地における建設。
(議会答弁)
・フルスト原遺跡公園と一体的な整
備の検討。
・市教育主要施策において「石垣市
立八重山総合博物館(仮称)の建
設促進」を謳っている。
・東運輸のバスターミナルに関して
は、どのような交通体系とするか
を検討する必要がある。中心市街
地の活性化に資する交通体系が必
要。また、民間企業の施設であり、
その意向確認が必要。
表-Ⅲ-3 新たな施設の整備(住民の意向)
施
設
必要性の判断
中央公民館
要検討
児童館
要検討
人材育成センター
要検討
墓地公園の整備
要検討
屋内練習場
中央運動公園内において整備済
野外音楽堂
真栄里公園において整備済
特産品研究開発施設
要検討
参考:石垣空港跡地利用基本構想策定時の「石垣空港跡地利用を考える懇談会」
における近隣住民の意見より(平成 14 年 5 月)
31
6.本市の人口配置及び都市機能配置の変化への対応
本市における市街地周辺の昭和 52 年から平成 22 年における人口増減(国勢調査)
をみると、登野城 1,807 人減、大川 706 人減、美崎町 185 人減少しているのに対し、
空港周辺の地区においては、真栄里 4,249 人増、大浜 1,844 人増加、平得 1,112 人増
加となっていることから、本市の人口配置が、空港周辺側に移行しつつあることが分
かる。
また、それに加えて、空港周辺における大規模な商業施設や公共施設の立地等、都
市機能も配置されてきている。
そのため、新石垣空港アクセス道路の整備に併せて、空港周辺地域における公共交
通の充実など、住民の交通利便性の向上を図る必要がある。また、下水道や公園等の
都市基盤整備についても検討する必要がある。
図-Ⅲ-10 字別人口増減数
32
7.旧軍飛行場問題
旧平得飛行場においては、用地接収が、昭和 18 年 9 月頃に始まり、軍事上の秘密
から関係町村長、部落会長、その他の代表者を八重山警察署に招集して説明会がもた
れただけで、
軍の一方的な指示で村役場において書類が作成された。土地代金等は 134
人の地主に2割が現金、8割は強制預金の証書で支払われ、地主の意見は一切無視さ
れたという経緯があり、旧平得飛行場地主会では個人補償を求めるという方針である。
本計画においては地主会等の意向を尊重し、団体補償等に関する対応については、
跡地利用の内容には位置づけないものとする。
33
IV. 住民意向の把握
1.調査の目的と方法
(1)調査の目的
現石垣空港の跡地利用は本市にとって重要な課題であることから、本計画の策定
にあたって、住民の意向を広く聴取し、それらを本市のまちづくりの方向との整合
性を図りながら計画に反映していくことを目的として、アンケート調査を実施した。
アンケートの構成としては、回答者の属性(性別、年齢、職業など)、空港跡地利
用への関心度、跡地利用の方向性及び具体的土地利用について尋ねた。
以下にその結果の概要を示す。
(2)調査方法
配
付 数
:住民基本台帳より、20 歳以上の市民、2,000 名を無作為抽出
アンケート期間:平成 21 年 1 月 9 日~平成 21 年 1 月 23 日
(3)回収結果
回答数:560 件(回答率:28.0%)
表-Ⅳ-1 アンケート回答率
配布数
2,000 件
回答数
560 件
回答率
28.0%
34
2.調査結果
(1)回答者の属性
年代
性別
無回答
1.1%
無回答
0.5%
70歳以上
10.7%
男性
44.6%
女性
54.3%
60歳代
15.2%
30歳代
22.9%
50歳代
25.0%
40歳代
14.8%
居住地
職業
その他
5.5%
無職
14.1%
無回答
1.1%
会社員
20.0%
派遣社員
0.2%
家事専業
13.2%
農林水産
業、4.6%
自営業
17.5%
パート・
アルバイト
13.8%
学生
0.5%
20歳代
10.9%
公務員
9.5%
字登野城
字大川
字石垣
字新川
美崎町
新栄町
字名蔵
字崎枝
字川平
字桴海
字平得
字真栄里
浜崎町
八島町
字大浜
字宮良
字白保
字桃里
字伊原間
字平久保
字野底
無回答
111
55
50
89
3
28
5
2
11
1
32
54
10
1
51
24
15
6
4
2
4
2
0
35
(票)
20
40
60
80
100 120 140
(2)空港跡地利用への関心度
問6 新空港建設にともない、現空港跡地(約 50ha※)の利活用が期待されます
が、跡地利用について、どう思いますか。(○はひとつ)
1.非常に関心があり、有効利用を期待している
2.関心はあるが、有効利用に関しては、期待していない
3.関心がない
4.よくわからない
5.その他
【回答】
現空港跡地利用に関しての住民の
関心度は高く、「非常に関心があり、
有効利用を期待している」という回
答が、全体の3/4(78.0%)を占め
ている。また、
「関心はあるが、有効
利用に関しては、期待していない」
の 10.9%を含めると、全体の約9割
が関心を示している。
現空港跡地利用について
よくわからない,
7.1%
その他, 1.3%
無回答, 1.1%
関心がない,
1.6%
関心はあるが、
有効利用に関し
ては、期待して
いない, 10.9%
非常に関心が
あり、有効利用
を期待している,
78.0%
(3)空港跡地利用の活用方向について
問7 地域発展、また土地を有効に利用するために、空港跡地をどのように活用
すべきだと思いますか。
1.住みよい住宅地を形成するために活用する → 問 8 へ進む
2.農業の発展のために活用する → 問9へ進む
3.産業・観光の発展、雇用の促進のために活用する → 問 10 へ進む
4.歴史・文化・教育の向上のために活用する → 問 11 へ進む
5.福祉・医療の充実のために活用する → 問 12 へ進む
6.憩い・スポーツ・レクリエーション空間として活用する →問 13 へ進む
7.よくわからない
8.その他
【回答】
「福祉・医療の充実のために活用す
る」(25.8%)が全体の 2 割半を占め、
続いて「産業・観光の発展、雇用のた
めに活用する」
(16.8%)
、
「憩い・スポ
ーツ・レクリエーション空間として活
用する」
(16.2%)
、
「住みよい住宅地を
形成するために活用する」
(16.0%)の
順となった。
現空港跡地をどのように活用すべきか
よくわからない,
1.0%
その他, 1.3%
憩い・スポーツ・
レクリエーション
空間として活用
する, 16.2%
農業の発展の
ために活用す
る, 9.6%
福祉・医療の充
実のために活
用する, 25.8%
歴史・文化・教
育の向上のた
めに活用する,
13.1%
36
住みよい住宅
地を形成するた
めに活用する,
16.0%
産業・観光の発
展、雇用の促進
のために活用
する, 16.8%
(4)住みよい住宅地を形成のための具体的土地利用
問8 問7で「1.住みよい住宅地を形成するために活用する」とお答え頂いた方
にお聞きします。具体的にどのようなことを検討すべきだと思いますか。
(○
は複数可)
1.新たな「まち」を形成(土地区画整理事業など)
2.民間企業による住宅地の開発を誘導すること
3.市営住宅や県営住宅などの公営住宅の整備
4.公共機関の移転配置
5.救急・防災の拠点整備
6.郵便・宅配等の拠点配置
7.よくわからない
8.その他
【回答】
住みよい住宅地を形成するための具体的跡地利用
「救急・防災の拠点整備」(28.2%)
が全体の 3 割弱を占め、続いて「公共
その他, 3.3%
新たな「まち」を
よくわからない,
形成(土地区画
機関の移転配置」
(26.7%)
、
「市営住宅
1.2%
整理事業など),
12.5%
郵便・宅配等の
や 県営住 宅などの 公営住 宅の整 備」
民間企業による
拠点配置, 8.0%
住宅地の開発
を誘導すること,
(14.8%)
、
「新たな「まち」を形成(土
4.5%
地区画整理事業など)
」(12.5%)の順
市営住宅や県
救急・防災の拠
となった。
営住宅などの
点整備, 28.2%
公営住宅の整
備, 14.8%
公共機関の移
転配置, 26.7%
(5)農業の発展のための具体的土地利用
問9 問7で「2.農業の発展のために活用する」とお答え頂いた方にお聞きしま
す。具体的にどのようなことを検討すべきだと思いますか。○は複数可)
1.ファーマーズマーケット(農作物の販売拠点、集荷場)の整備
2.農業従事者のための農地の整備
3.畜産関連施設の整備
4.農業に関する高度な研究・開発をする施設整備
5.よくわからない
6.その他
【回答】
農業発展のための具体的跡地利用
「ファーマーズマーケット(農作物
の販売拠点、
集荷場)
の整備」
(35.8%)
その他, 4.1%
が全体の 3 割半を占め、続いて「農業
よくわからない,
4.7%
ファーマーズ
に関する高度な研究・開発をする施設
マーケット(農作
物の販売拠点、
集荷場)の整備,
整備」
(26.4%)
、
「農業従事者のための
農業に関する
35.8%
高度な研究・開
発をする施設整
農地の整備」
(16.1%)の順となった。
備, 26.4%
畜産関連施設
の整備, 12.4%
37
農業従事者の
ための農地の
整備, 16.1%
(6)産業・観光の発展、雇用の促進のための具体的土地利用
問 10 問7で「3.産業・観光の発展、雇用の促進のために活用する」とお答え頂
いた方にお聞きします。具体的にどのようなことを検討すべきだと思います
か。
(○は複数可)
1.事務所ビルなどの立地検討
2.流通業務などの立地検討
3.製造業など工場の立地検討
4.リゾートホテルの立地検討
5.IT(アイティー)など情報通信産業の立地検討
(IT とは、インフォメーションテクノロジーの略で、主にパソコンや携帯電話
を利用した情報通信技術)
6.コールセンターの立地検討
(コールセンターとは、様々な企業が設置する施設で、お客さんからの問い合わ
せ受付窓口となる大規模な電話応対センター)
7.よくわからない
8.その他
【回答】
「流通業務などの立地検討」
産業・観光発展、雇用促進のための具体的跡地利用
(27.1%)が全体の 3 割弱を占
め、続いて「製造業など工場の
事務所ビルなど
の立地検討,
立地検討」(19.5%)、「IT(ア
6.5%
その他, 11.8%
イティー)など情報通信産業の
よくわからない,
立地検討」(14.7%)の順とな
3.5%
流通業務など
の立地検討,
コールセンター
った。
27.1%
の立地検討,
11.8%
その他としては、ショッピン
グモール、雨天でも利用できる
IT(アイティー)
施設、ゴルフ場等が挙がった。
など情報通信
産業の立地検
討, 14.7%
リゾートホテル
の立地検討,
4.1%
38
製造業など工
場の立地検討,
19.5%
(7)歴史・文化・教育の向上のための具体的土地利用
問 11 問7で「4.歴史・文化・教育の向上のために活用する」とお答え頂いた
方にお聞きします。具体的にどのような検討をすべきだと思いますか。(○
は複数可)
1.フルスト原遺跡と連動した歴史文化施設の整備
2.伝統芸能関連施設の整備
3.社会教育施設の整備
4.小中学校など教育施設の整備(移転)
5.よくわからない
6.その他
【回答】
歴史・文化・教育の向上のための具体的跡地利用
「社会教育施設の整備」
(27.3%)
が全体の 3 割弱を占め、続いて「フ
フルスト原遺跡
その他, 8.3%
と連動した歴史
ルスト原遺跡と連動した歴史文化
よくわからない,
文化施設の整
1.7%
備, 24.9%
施設の整備」
(24.9%)
、
「伝統芸能
小中学校など
教育施設の整
関連施設の整備」
(20.8%)の順と
備(移転), 15.9%
なった。
その他としては、大学や専門学校
等の誘致、博物館の移転、美術館
伝統芸能関連
社会教育施設
の整備等が挙がった。
施設の整備,
の整備, 27.3%
20.8%
(8)福祉・医療の充実のための具体的土地利用
問 12 問7で「5.福祉・医療の充実のために活用する」とお答え頂いた方にお
聞きします。具体的にどのようなことを検討すべきだと思いますか。(○は
複数可)
1.老人福祉施設の整備
2.児童福祉施設の整備
3.障がい者福祉施設の整備
4.県立病院の整備(移転)
5.よくわからない
6.その他
【回答】
福祉・医療の充実のための具体的跡地利用
「 県 立 病 院 の 整 備 ( 移 転 )」
(39.1%)
が全体の 4 割弱を占め、
その他, 3.3%
よくわからない,
続いて「老人福祉施設の整備」
老人福祉施設
0.8%
の整備, 23.5%
(23.5%)、「障がい者福祉施設の
整備」
(16.6%)
、
「児童福祉施設の
県立病院の整
整備」(16.4%)の順となった。
備(移転), 39.1%
その他としては、県立病院にヘリ
児童福祉施設
ポートを併設する等が挙がった。
の整備, 16.4%
障がい者福祉
施設の整備,
16.6%
39
(9)憩い・スポーツ・レクリエーション空間としての具体的土地利用
問 13 問7で「6.憩い・スポーツ・レクリエーション空間として活用する」と
お答え頂いた方にお聞きします。具体的にどのような検討をすべきだと思い
ますか。
(○は複数可)
1.公園の整備
2.キャンプ場の整備(野外活動)
3.遊園地など遊技施設の整備
4.よくわからない
5.その他
【回答】
憩い・スポーツ・レクリエーション空間としての具体的跡地利用
「遊園地など遊技施設の整備」
(40.2%)が全体の 4 割を占め、
続いて「公園の整備」
(29.0%)、
「そ
その他, 16.5%
の他」(16.7%)の順となった。
公園の整備,
29.7%
よくわからない,
その他としては、スポーツ複合施
3.2%
設、雨天でも利用できる施設等が
多く挙がった。
遊園地など遊
技施設の整備,
39.8%
キャンプ場の整
備(野外活動),
10.0%
(10)民間活力の利用について
問 14 跡地利用について、民間活力(民間企業の資金や計画による整備など)を
利用することに、どう思われますか。(○はひとつ)
1.積極的な民間活力利用が必要だと思う
2.公共機関及び民間活力を利用した整備がよいと思う
3.公共機関で整備するほうがよいと思う
4.よくわからない
5.その他
【回答】
民間活力を利用することについて
「公共機関及び民間活用を利用
積極的な民間
した整備がよいと思う」(43.2%)
活力利用が必
要だと思う,
が全体の 4 割強を占め、続いて「積
無回答, 17.0%
18.0%
極的な民間活力利用が必要だと思
その他, 0.4%
う」
(18.0%)
、
「公共機関で整備す
よくわからない,
7.0%
るほうがよいと思う」
(14.5%)の
公共機関で整
順となった。
備するほうがよ
いと思う, 14.5%
公共機関及び
民間活力を利
用した整備がよ
いと思う, 43.2%
40
(11)跡地利用における整備の進め方について
問 15 跡地利用における整備について、どの程度整備を進めた方がよいと思いま
すか。
(○はひとつ)
1.全域を一気に整備した方が良い
(空港跡地全域(約 50ha)全てを直ぐに活用できるように整備)
2.段階的に整備した方が良い
(財政的な面もあるので、一部は今後活用する区域として残す)
3.直ぐに整備する必要はなく全域を今後活用する区域として残した方が良い
4.よくわからない
5.その他
【回答】
「 段階的 に整備 した方が
跡地利用における整備の進め方
良い」(58.1%)が全体の 6
割弱を占め、続いて「全域を
無回答, 14.1%
全域を一気に整
一気に整備した方が良い」
その他, 0.7%
備した方が良い,
17.5%
(17.5%)
、
「直ぐに整備する
よくわからない,
必要はなく全域を今後活用
2.1%
する区域として残した方が
良い」
(7.3%)の順となった。
直ぐに整備する
必要はなく全域
を今後活用する
区域として残した
方が良い, 7.3%
段階的に整備し
た方が良い,
58.2%
(12)自由意見
問 16 その他、跡地利用やまちづくりなどについて意見や要望、ご提案などがご
ざいましたらご自由にご記入下さい。
自由意見については、560 票中 310 票に意見が寄せられた。その概要を以下に示す。
○市役所の移転、八重山病院の移転及び消防署の移転などの公共施設の移転集約へ
の要望。特に市役所の移転に関しては、駐車場の確保を理由に挙げている意見が
多い。
○八重山病院については、老朽化への対応としての移転・建て替え、総合病院とし
ての機能強化やヘリポートの整備、現在の位置ではバスでの通院が不便であると
いう意見が目立つ。
○災害本部として、市役所、消防を現在の場所から移すべきであるという意見もみ
られた。
○駐車場の確保の観点から郵便局の移転の要望もみられた。
○老人福祉施設や障害者リハビリ施設等の福祉施設の整備に関する要望が目立つ。
○雇用の場の確保に関する要望もみられた。
○公園(子供の遊び場)の確保に関する要望もみられた。
○平和的利用を求める意見に関する要望もみられた。
41
3.住民意向の把握及び本計画への反映
(1)空港跡地利用に対する関心度
本アンケートの回収率や、問6の結果より、跡地利用に対する住民の関心度が
高いことがうかがえる。また、自由意見(問 16)においても、全 560 票のうち、
310 票に意見が書かれており、本市の重要な課題として捉えていることがうかが
える。
今後、計画を進めていく段階において、さらなる住民参画を図っていくことが
期待できる。
(2)跡地利用の活用の方向性に関する意向
跡地利用の活用の方向性については、福祉・医療の充実を図るという意向が強
い(25.8%)
。加えて、産業振興に資する活用やスポーツ・レクリエーション空間
としての活用、住みよい住宅地の形成に対する意向もそれぞれ約 16%以上である
など、面積約 50ha という広大な土地利用に対して、住民から様々な期待が寄せ
られているものと思われる。
(3)具体的土地利用に関する意向
具体的土地利用に対する意見をみると、県立病院の整備(移転)が最も多く(229
票)
、自由意見においても、老朽化の問題やヘリポートの整備の必要性など様々な
意見がみられた。
次いで、老人福祉施設が多く(138 票)
、また、その他の福祉施設についても、
障害者福祉施設(97 票)
、児童福祉施設(92 票)の整備要望が多くみられる。
その他、遊園地など遊技施設の整備(105 票)、流通業務などの立地検討(88
票)
、救急・防災の拠点整備(88 票)、公共機関の移転配置(84 票)
、公園の整備
(76 票)などが多い。
全体的に、公共施設の整備や移転に関する意見が多いことがうかがえる。
(4)住民意向の反映
これらの住民意向については、上位計画との整合性や、各施設管理者等と調整
を図りながら、本計画に反映していくものとする。特に、住民意向の強い、県立
病院の整備(移転)や老人福祉施設等の福祉施設の整備、救急・防災拠点の整備
などは、本計画へ位置づける必要性が高いものと考えられる。
42
V. 基本計画
1.基本理念・基本方針の設定
(1)基本理念の設定
当該区域は、市街地東部に隣接した約 50ha の大規模な土地であり、今後、地区
内を通過する形で新石垣空港アクセス道路の整備が計画されている。また、地区の
北側には、国指定史跡のフルスト原遺跡があり、公園整備が予定されている。さら
に、地区の南側の南大浜(はいほーま)地区においては、農振白地地域において無
秩序な市街化が進展している。
当該区域の整備にあたっては、大規模な都市的土地利用の展開が可能であり、本
市にとって重要な役割を担うことが期待されるところであり、これらの地区の特性
や周辺土地利用を踏まえつつ、また市街地のゲート空間として新たな都市づくり、
周辺の土地利用計画と一体的な都市づくりが求められる。
こうした状況を踏まえて、地区の整備の基本理念としては、本市の都市形成のコ
ンセプトである「島の魅力と人々の活力が奏でる海洋・文化交流都市いしがき」の
実現に資する土地利用を基本に、下記の基本理念を設定し、実現を目指すもの
とする。
<基本理念>
ま
ち
・魅力ある交流拠点としての都市づくり
ま
ち
・「我が島」を未来へつなぐ都市づくり
ま
ち
・市街地のゲート空間としての都市づくり
ま
ち
・周辺地域と連携した都市づくり
(2)基本方針の設定
当該区域のまちづくり基本方針については、基本理念及び「歴史・自然」「交流」
「石垣らしさ」という重要な3つのキーワードからなる跡地利用の方向性を踏まえ
て設定する。
①“歴史・自然”を学ぶ空間の創出
当該区域北側においては、国指定文化財史跡フルスト原遺跡公園が整備中であ
ることから、石垣市の歴史を学び将来に継承する空間、ゆとりある憩いの場の創
出を図る。
43
○基本理念からの考え方
歴史や伝統文化、さらに本市特有の自然環境は、「石垣らしさ」の重要な
要素であることから、隣接する史跡フルスト原遺跡及びその周辺の自然環境
と調和した一体的土地利用を図り、それらの学習空間を創出する。
②“交流”空間の創出
当該区域内を通過する形で新石垣空港アクセス道路が整備されることから、地
域振興に資する施設の整備や、本土復帰前後に建設された公共施設の建替えや未
整備の公共施設の建設など“広域的交流”を促進させる都市づくりを目指す。
○基本理念からの考え方
「交流拠点」として、都市機能の集積を図り、市民サービス拠点のみなら
ず、観光や新規産業の振興など、市内外の人々の交流する拠点を目指す。
また、これらの機能を配置することにより、本地区の『市街地のゲート空
間』としての都市構造的利点を十分に発揮することが可能となる。
また、市街地でと近接することから市民サービス拠点として交通の利便性
も確保されるものと考える。
③“石垣らしさ”を継承・発掘・発信する空間の創出
市街地のゲート空間であることから、石垣市の魅力を継承・発掘・発信する拠
点の整備を図る。
○基本理念からの考え方
『石垣らしさ』とは、歴史・伝統文化、景観、自然環境、食材及び人々の
暮らしそのものを含めて捉えられ、それらを「継承・発掘・発信」する空間
を創出する。
具体的には、歴史や伝統文化を学び体験できる空間や、新たな特産品の開
発拠点、物産流通拠点及び人材育成施設等の整備を図る。
上記の跡地利用の方向性を下記のとおり集約し、本計画の基本方針として設定
する。
<基本方針>
ま ち
歴史・憩いと交流 石垣の魅力にあふれた都市
44
2.目指すべき将来像の設定
基本理念、基本方針の考え方を踏まえつつ、第4次石垣市総合計画に示されている
各分野の施策の方向及び石垣空港跡地利用基本構想より、空港跡地利用において展開
が望ましいものを抽出し、具体的な土地利用を検討することにより、目指すべき将来
像を設定する。
(1)第4次石垣市総合計画からの施策の方向の抽出
○ 高速大容量の通信環境を有効に活用することで、地域振興を図っていく。
(企業誘致や地域特産品の全国向け販売など)
○ 伝統を基盤として新しい文化の創造に取り組む地域活動を推進する。
○ 先人から受け継いだ貴重な文化遺産を次世代へ正しく継承していくため
にも古文書、行政文書等を整理・保存し、市民への利活用を図っていく施
設等の整備について検討していく必要がある。
○ 市立八重山博物館は、地域の重要な歴史文化の拠点として、その役割を担
っています。しかしながら施設規模や駐車場等の面を含め機能的に飽和状
態となっており、その対策が急務となっている。
○ あらゆる活動の拠点となる生涯学習センターの整備を検討する必要があ
る。
○ 新鮮・安全な地域食材を供給する「地産地消」の推進を図る。
○ 地産地消を推進するため、学校給食、病院、事業所等において島産野菜の
食材活用を推進する。
○ 県立八重山病院の建替えを検討すべき時期を迎えています。このことか
ら、建替えを契機とした高度・高規格機能を備えた総合病院として強化を
促進するとともに、立地条件等市民、郡民の利便性、快適性に配慮した整
備計画とするように働きかけていく。
○ 施設福祉の充実:施設入所待機の現状に対処するため、年次的に社会福祉
法人や医療法人による施設整備を促進する。
○ 「石垣ブランド戦略」と「人材育成」を柱として、持続可能な振興発展を
目指し、民間主導による自立経済の構築を進めるとともに、全庁あげた総
合的な取り組みを進める。
○ 石垣市経済振興公社には、物産流通拠点形成や販路・流通システムの整備
をはじめ、ブランド戦略の推進など自立可能な地域経済、振興発展に向け
たコントロールタワーとして明確な役割が期待され、強力に支援していく
必要がある。
○ 国による離島振興のための事業を活かし、地域資源の発掘に努めること
で、新たな特産品の開発に取り組む必要がある。
45
○ 消防庁舎においては、施設の老朽化と併せ敷地が狭隘であることから、高
層化する建物に対処するための各種訓練の実施が困難な状況にある。消防
庁舎の移転とともに各種訓練施設整備も含めて検討する必要がある。
(2)石垣空港跡地利用基本構想からの抽出
導入を望む都市機能
○ 公共施設
消防庁舎の移転
○ 教育施設
進学系私立高校の誘致、児童館、大学の誘致
○ スポーツ、健康施設
スポーツパーク、八重山病院の移転、民間の医療法人施設の建設
○ 生涯学習施設
中央公民館、地区集会施設、県立美術館八重山分館誘致、人材育成総合センタ
ー等
○ 公園広場
野外音楽堂、緑地公園
○ 交通計画
バスセンター(ターミナル)
国、県、市への要望
特産品研究センターの設置
・農産物(薬草、ハーブ等)や陶器等の研究開発施設の整備。(産業振興)
(3)目指すべき将来像
上記に示した各施設(市立八重山博物館、研究開発施設など)や施策の方向(地産
地消、石垣ブランド戦略、人材育成など)から、本地区の目指すべき将来像を以下に
設定する。
石垣ブランド育成と拠点の形成
第4次石垣市総合計画基本構想で示されている石垣ブランド育成を中心に跡地利
用を行うことで、農林水産業や観光産業及び情報通信産業の振興において重要な拠点
の形成を図る。
また、建替えの時期にきている公共施設を整備することにより、市民サービスに優
れた地域とする。
46
47
3.ゾーニングの考え方
(1)歴史・文化ゾーン
歴史・文化施設及び石垣市伝統工芸館に関しては、史跡フルスト原遺跡公園と一
体的に整備し、観光及び歴史学習拠点としての機能強化を図ることが望ましく、当
該区域の北東側に配置する。それぞれの施設の連携を強めるため、例えば共同駐車
場を整備し、各施設を巡回できるような配置計画が求められる。また、生涯学習セ
ンターを隣接して設けることにより、伝統工芸に関する技能講習など伝統工芸館と
の連携を図る。
ただし、平成5年のフルスト原遺跡公園の整備計画においてはメインの入り口(駐
車場)が空港跡地とは反対側に計画されている為、関係機関との調整が必要である。
① 石垣市伝統工芸館の移転
石垣市伝統工芸館は建替えの時期を向かえつつあり、当該区域に移転し、歴
史・文化施設やフルスト原遺跡公園などと連携することにより、八重山の歴史・
文化を継承・学習する拠点として位置づけられる。また、隣接して生涯学習セン
ターを設けることにより、伝統工芸の技術の継承等に寄与する機能を担うことも
期待される。
② 歴史・文化施設
既存の市立八重山博物館は、地域の重要な歴史文化の拠点として、その役割を
担っているが、施設規模や駐車場等の面を含め機能的に飽和状態となっており、
その移転及び機能の拡充を図る。併せて、歴史的公文書等の収集・保管・利活用
を図る歴史資料館(公文書館的施設)の併設についても検討する。また、フルス
ト原遺跡公園や八重山伝統工芸館と連携することにより、八重山の歴史・文化を
継承・学習する拠点として位置づけられる。
③ 生涯学習センター
第4次石垣市総合計画にも位置づけられている「学習活動の最大の拠点として
の生涯学習センター」を整備する。伝統工芸館や情報通信関連施設との連携を図
ることで、伝統文化の継承、情報化社会に対応できる人材育成等の機能を強化で
きる。
(2)産業振興ゾーン
当該区域の中央部においては、新石垣空港アクセス道路が通過することから、そ
の位置的特性を活かし産業振興に資する土地利用を目指し、
「石垣ブランド戦略拠点」
の形成及び情報通信関連企業等の誘致を図る。
48
① 情報通信産業関連企業の誘致地区
本市においては平成 17 年から光ファイバーの敷設により高速大容量通信が可
能になった。今後は本市の基幹産業である観光産業のみならず、情報通信産業の
振興が期待されている。本地区は交通の利便性にも優れた位置にあり、情報通信
関連企業の誘致において有利であり、地元の雇用創出にも寄与する。
② 物産流通拠点
「石垣ブランド戦略」の中心的機能をもった物産流通拠点を整備する。ブラン
ド戦略の推進など自立可能な地域経済、振興発展に向けたコントロールタワーと
して期待される(株)石垣市経済振興公社の活動拠点として、周辺に産業振興関す
る各種施設などを配置することで、連携・強化を図る。
③ 交通ターミナル
当該区域は新石垣空港からみると市街地の入口にあたり、新石垣空港アクセス
道路の整備を機に、現石垣港のターミナル機能を継続しつつ、この位置に新たな
交通ターミナル等を整備することにより、住民の市民サービス施設等へのアクセ
シビリティの確保を図る。また、併せて中心市街地活性化に寄与するバス交通の
あり方についても検討する。
④ インターネット販売のための施設
当該区域には、農水産物や伝統工芸品の集積、さらには新規特産物の開発など
「石垣ブランド」の集積・創造の拠点であり、その特産品をインターネットを活
用し、販路拡大を図る。位置的にも新石垣空港アクセス道路が整備されることか
ら、出荷等の流通面でも有利である。また、情報通信産業関連企業の誘致地区に
設けることにより、情報通信基盤の共有が可能である。
(3)市民サービスゾーン
市民サービス施設に関しては、より住民にとって利便性の高い場所に立地させる
べきであり、市街地により近い位置に配置することが望ましいことから、当該区域
の南西側に配置する。
特に、県立八重山病院の位置に関しては、八重山圏の中核病院であり、離島から
の利用者も含め、アクセシビリティに優れていることが求められることから、より
市街地及び離島ターミナルに近接した位置に配置し、新空港アクセス道路からの動
線及び国道 390 号からの動線を確保する必要がある。
49
① 県立八重山病院の移転
県立八重山病院については、建替え時期を向かえつつあり、当該区域への移転
及び機能強化を図る。また、市街地に近接した位置に設けることにより市民の利
便性も高いものと考えられる。さらに、離島ターミナルからも、新石垣空港アク
セス道路で結ばれていることから、広く郡民の利便性についても確保できる。
① 老人福祉施設の整備(社会福祉法人・医療法人)
第3次石垣市総合計画において位置づけられている老人福祉施設の整備促進
を図るため、当該区域において、その誘致を行う。県立八重山病院と近接した位
置とすることで、施設利用者はより安心感を得られるものと考えられる。
② 公園の整備
公園の整備は懇談会やアイディアコンペ等から、市民の声として最も多い跡地
利用である。県立八重山病院に隣接して設けることにより、防災拠点としての機
能も期待できる。
③ 消防庁舎の移転
消防庁舎においては、施設の老朽化と併せ敷地が狭隘であることから、高層化
する建物に対処するための各種訓練の実施が困難な状況にある。当該区域へ消防
庁舎を移転し、各種訓練施設を整備する。また、位置的には新空港アクセス道路
沿道とする。
(4)居住ゾーン
中心市街地に近く、商業施設も近隣に存在するため、生活利便性が高い。また、
防災上の観点からも津波の浸水予測範囲外となっているため、居住地区としての整
備が望ましい。
また、現空港跡地の南側の地域(南大浜)においては、現在、スプロールが進行
している地域であり、土地利用調整計画等が作成されている。今後は、現空港跡地
利用において、商業・業務施設や、交通施設など新たな都市機能を有することとな
ることから、それらの機能と連携し、その機能を強化・支援するような土地利用を
図ることが望まれる。こうした状況を踏まえて、地区計画等により、現空港跡地利
用と連携・バランスのとれた秩序ある土地利用の規制・誘導を図る必要がある。
50
51
4.主要道路の配置検討
当該区域内を通過する新空港アクセス道路においては、市街地の入り口に位置す
ることから、植栽帯や歩道の幅員を十分に確保するなど市街地ゲート空間としてふ
さわしい景観形成・空間形成に努める。
また、当該区域は、国道 390 号及び新空港アクセス道路に挟まれた区域に位置し
ていることから、この2路線を結ぶ主要道路を配置する必要がある。2路線は当該
区域南西側で交差していることから、跡地中央部か東側に地区内幹線道路を配置す
る方が望ましいと思われる。当該区域内東側においては、大浜集落があり、地区内
幹線道路を配置することは好ましくないため中央部への配置とする。当該区域内南
側はスプロールが進行しており、住宅の立地により地区内幹線道路を通す箇所は限
られてくる。また、計画区域内の地区幹線道路は、
「石垣都市計画マスタープラン」
地区別構想の地区幹線道路の考えを基本とし、交通の円滑化及び雨水処理等を勘案
し整備するものとする。
図-Ⅴ-2 動線計画図
また、当該区域は長辺約 1.7km、短辺約 0.4kmと細長い敷地形状であり、その
長辺方向に地区内補助幹線道路を配置する必要がある。補助幹線道路は地区の南側
に配置する公園から地区北側のフルスト原遺跡までをつなぐ、当該区域におけるシ
52
ンボルロードとして、植栽や歩行者空間に配慮し、ゆとりある緑豊かな景観に配慮
した道路空間の創出に努める。
その他の区画道路については、各施設の規模等詳細な計画の策定に合わせて配置
する。
53
5.跡地利用構想
以上、これまでの検討を踏まえ、跡地利用構想を以下に示す。
54
6.景観形成に関する考え方
当該区域は、将来、新石垣空港から新空港アクセス道路を利用し市街地に至る際、
都市構造上の市街地のゲート空間として位置づけられることから、跡地利用に際し
ては、道路空間や、建築物の意匠など良好な市街地景観の創出を図る必要がある。
歴史・文化ゾーンにおいては、国指定史跡フルスト原遺跡及びその周辺緑地があ
ることから、それら自然景観に配慮しつつ、歴史的景観要素を活用した、本市の歴
史・文化拠点としての景観形成に努める。
また、新空港アクセス道路の沿道においては、建築物の高さや、道路からの壁面
の後退、さらには色彩の統一等、本市の市街地のゲート空間としての道路景観形成
に努める。また、新空港アクセス道路についても、植栽帯や歩道の幅員を十分に確
保しゆとりある道路空間の形成に努める。
当該区域内の幹線道路等においても各種施設を結ぶ道路であり、シンボルロード
として植栽や歩道の舗装・幅員に十分配慮し、良好な景観形成に努める。
さらに、市民サービスゾーンにおいては、多くの市民が訪れる地区であり、公園
や交通ターミナル等の公共空地としての空間を活用しながら、地区計画等の活用に
より各施設の緑化を促進し、ゆとりある市街地景観の形成に努める。
55
図-Ⅴ-4 景観形成に関する考え方
7.これまでの計画策定の流れ(まとめ)
本計画においては、第4次石垣市総合計画における将来像や考え方を受け、石垣
空港跡地利用基本構想を参考とし、さらに住民意向を反映させながら、基本理念、
基本方針を定め、さらに目指すべき将来像や具体的な土地利用を設定してきた。
以下に、本計画策定の流れを示す。
56
図-Ⅴ-5 本計画策定の流れ(まとめ)
57
VI. 計画推進に向けての課題と今後の取り組み
1.国及び県との調整
当該区域の土地の所有状況は、平成 14 年 3 月現在、国有地が約 31.7ha(63.6%)、
県有地が約 15.2ha(30.6%)
、市有地が約 1.0ha(2.1%)及び私有地約 1.9ha(3.7%)
となっていることから、今後、跡地利用を推進していくためには、土地の払い下げ
や交換、貸与等が前提となる、或いは土地区画整理事業が優良である。今後、市の
財政状況を勘案しつつ、国及び県の財務関係機関との調整・協議が必要である。
また、本計画を円滑に推進していくために、県の策定する各種上位計画への本計
画内容を反映できるよう密に調整を行う必要がある。
2.段階的整備
当該区域は約 50ha もの広大な面積を有しており、区域全体を同時期に整備する
ことは財政上困難であるため、移転が急がれる公共施設等の整備やそれに接続する
地区内幹線道路等の整備を先行して行っていくなど、整備の優先順位を検討しなが
ら、整備計画を策定していく必要がある。
3.整備実施計画の策定に向けた取り組み
本計画は、跡地利用における土地利用や主要道路の配置等を示したものであり、
今後、各施設規模や機能の設定や、地区内道路の断面構成等、整備実施計画の策定
に向けた取り組みが必要である。
4.各関連計画との調整
当該区域及び周辺地域においては、将来、市街地として都市施設の整備や、土地
区画整理事業の導入、用途地域の指定等都市計画に基づく事業、施策が展開される
ことが見込まれる。そのため、市の都市計画マスタープランとの整合性を図りなが
ら、関係部局と調整を図り、適宜、本計画の内容をそれらの計画へ反映していく必
要がある。さらに、南大浜地区においては、土地利用調整計画が策定されており、
その動向を踏まえながら、本計画と一体的、総合的に連携を図りつつ進めていく必
要がある。
また、フルスト原遺跡公園との一体的な整備を図るため、公園整備の今後の展開
について、教育委員会等関連部局と調整を図る。
5.中心市街地の空洞化等の抑制
当該区域への各種機能の移転、集積により、中心市街地の空洞化等が懸念される
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ため、既存中心市街地と当該区域の役割分担を明確にするとともに、移転跡地の有
機的な活用並びに中心市街地と当該区域との機能的な連携強化を図るなど、長期的
視点での対策を講じる必要がある。
特に、中心市街地に接する市役所の移転については、市民を含めた委員会等で別
途検討する必要がある。
6.社会情勢の変化等への対応
本計画において、各種施設の移転や整備を位置づけているが、今後の社会情勢の
変化や財政の状況等を踏まえながら、計画内容の見直し等が必要な場合は、住民の
合意形成を図りながら、適宜、対応していく必要がある。
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