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(平成23年9月) (view31 [PDFファイル/404.23 KB])
愛知県半田保健所 〒475-0903 半田保健所情報紙 平成23年9月発行 半田市出口町1-45-4 TEL: 0569-21-3341 FAX: 0569-24-7142 http://www.pref.aichi.jp/iryofukushi/handa-hc/ 高齢者の結核予防に向けて ~「体がだるい? 」「咳が治らないの? 」それって結核かも…~ 平成 23 年度 結核予防週間標語 9 月 24 日~30 日は結核予防週間です 現在日本では、年間約 2 万 4 千人の新結核患者が発生し、約 2 千人が亡くなっています。結核 は、過去の病気ではなく、今なお主要な感染症です。 全国的な結核の状況として、高齢結核患者が新登録患者の半数以上を占め、さらに増加傾向にあ ること、働き盛りの感染性のある結核患者での受診の遅れが依然と多いことや、外国籍患者の割合 の増加傾向が続いていること、結核罹患率の地域差が大きく、大都市で高いことが分かっています。 半田保健所管内では、登録者のうち高齢者の占める割合が高く、平成 22 年では 48 人が新たに 結核にかかっており、そのうち 65 歳以上が 30 人(62.5%)でした。 結核とは 結核は、空気感染する感染症です。結核患者が咳やくしゃみをし、それにより飛び散った結核菌 を吸い込むことで感染し、発病します。しかし、感染しても全ての人が発病するわけではありませ ん。感染からの経過は 3 通りに分けられます。 結核菌に感染 % 100 発病しない(7 割) 年齢別の結核既感染率の推計(2010) 80 5 年以上経って 60 発病(2 割) すぐに発病(1 割) 40 感染後数ヶ月~2 年 20 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 経過して発病 免疫力の低下 に伴い発病 歳 【疫学情報センターより】 高齢者は結核の既感染率が高く、昔感染した結核菌が加齢による体力の低下や糖尿病等の他疾患 による免疫力の低下から結核菌が活動を始めることで、発病する例が多くなっています。 結核の症状 結核の初期症状は、主に咳、痰、微熱、体重減少です。特に 2 週間以上咳や微熱が続く場合は、 結核を疑って早めに医療機関を受診し、結核の検査を実施することが大切です。 結核の検査 ①QFT 検査(クオンティフェロン TB ゴールド検査) 血液検査により、結核菌に感染しているかどうかを知るための検査です。これまではツベル クリン検査によって感染の確認をしていましたが、ツベルクリン検査は BCG 接種者にも反応す るため、結核菌による感染かどうかの判断が困難でした。QFT 検査は、ヒト型の結核菌に特異 的に反応する検査のため、結核感染の診断をより正確に行うことができます。小学生以下の場合 は、従来どおり基本的にツベルクリン検査を実施しますが、必要に応じ QFT 検査も行います。 ②胸部レントゲン検査 結核が発病しているかどうかを知るための検査です。結核菌が体内に侵入して肺に病 巣を作ると、レントゲン写真には影になって写り、その影により結核の発病を確認する ことができます。 ③喀痰検査 痰をガラスに塗り、結核菌のみが染まる特殊な染色を施して顕微鏡で調べる検査です(塗抹検 査)。痰に含まれる菌が少ないときは、培養し増殖させて菌を増やす検査(培養検査)や、結核 菌の遺伝子を検索(PCR 法)して調べます。 結核の治療方法 現在は様々な抗結核薬が開発されており、結核に感染・発病しても、それらを組 み合わせて 6~9か月間薬を飲み続けることで治すことができます。 薬を飲み始めて 2 週間ほどで症状がなくなるため、途中で内服を止めてしまう人もいますが、不 規則な内服によって、結核菌がその薬に耐性をもつことになり、治療が難しくなってしまいます。 結核の治療は、途中でやめたりせず規則的に内服を続けることが重要です。 高齢者の結核の特徴 ○合併症のある人や有症状者の割合が高い 結核と診断された高齢者の約 9 割が何らかの合併症をもっています。また、8 割以上の人が 何らかの症状があり診断に至っていますが、症状が出にくい場合もあり、症状だけでは分かりに くくなっています。 以下のような合併症や要因をもっている場合は、抵抗力が低下しやすく、結核の発病のリス クが高くなるので、特に注意が必要です。 結核の主な症状 注意すべき合併症・要因 ○主な症状 ・糖尿病 ・悪性腫瘍 ・大量喫煙 咳、痰、発熱、血痰、胸痛、喘鳴 ・慢性腎不全で透析中 ○その他の症状 ・胃潰瘍などの消化管潰瘍や消化管手術歴 体重減少、食欲不振、息切れ、背部痛、 ・ステロイドなどの免疫抑制剤による治療 全身倦怠感、呼吸困難等 ・HIV/AIDS 感染症 ・塵肺 ・痩せ型の体型 ○感染が危惧される状況での発見も多い 健康診断よりも医療機関での発見が多く、8 割以上を占めています。また、診断時の結核菌検 査が陽性の状態での発見が約 8 割であり、周囲への感染が危惧される状況での発見が多くなっ ています。 H21、22 年新登録者の定期健診の受診状況 ○定期健診を受けている人は 4 割程度 結核発病者のうち、定期健診を 1 年以内 に受診している人の割合は、65 歳以上では 65歳~ n=51 23 10 1年以内の健診 (有) 18 3年以内 約 4 割と、64 歳以下の約 6 割に比べて低く なっています。高齢者は他疾患により医療機 関の管理下にある人が多くみられますが、年 3年以上 0~64歳 n=26 1 回は医療機関においても胸部レントゲン検 17 0% 20% 2 40% 60% 6 80% 1 不明 100% 査を受けることが必要です。 高齢者にかかわる皆様へ 高齢による体力の衰えや合併症により結核の発病リスクが高くなることを念頭に、日頃の健康管 理や健康観察、または不調時には、丁寧な問いかけや問診を行っていくことが重要です。 ○結核を疑って、医療機関受診を 呼吸器症状だけでなく、気力、体力の低下といった普段と違う様子が感じられるときは結核も 疑って、医療機関受診を勧めましょう。 ○適切な受診に結びつける 高齢者は医療機関での発見が多くを占めているため、高齢者が受診する際に的確に症状を伝え、 結核の早期発見に結びつけられるように援助してください。 ○胸部レントゲン検査を受ける機会をつくる 医療機関に受診している高齢者でも定期的に健康診断を受診するようを積極的に勧めましょ う。特に過去に胸膜炎や結核の既往のある人は、健診を受診するよう勧めましょう。併せて、健 診結果の確認をし、結果に合わせた対応をしていきましょう。 ○日常生活の中で健康管理をする バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動に心がけ、免疫力を低下させないように支援 していきましょう。 日頃の健康管理に気をつけることで、 結核から高齢者やその周囲のみなさんを守ることに役立ちます。 詳しいことにつきましては、半田保健所 までお尋ねください。 健康支援課 地域保健グループ(担当:新美、山本) TEL:0569-21-3341(代表) 2007年に大学生を始めとする大きな麻しんの流行がありました。 2008年1月1日から麻しんは全数把握疾患に変更されました。 感染症発生動向調査によると、麻しん報告数は2008年11,015例 2009年739例、2010年457例と大幅に減少しました。 麻しん報告数 これは、 12000 ①2006年から麻しん含有ワクチンの2回接種の開始 10000 ②2008年から中学1年生、高校3年生相当年齢者へ のワクチン接種の開始 8000 ③2007年の大流行により多くの者が免疫を獲得 ④全国の自治体、医療機関等の予防接種事業への多大な 6000 努力によるところです。 4000 2000 0 2008年 2009年 2010年 ≪愛知県の現状≫ (2011年1月1日から8月25日までの届出数28名の内訳) 届けられた患者の届出月と住所の内訳 1~7月 9名 名古屋市 1月 岡崎市 4名 3月 春日井市 1名 4月 津島市 1名 5月 北名古屋市 1名 清洲市 1名 7月 知多市 3名 8月 豊田市 1名 不明 6名 県外 1名 合計 28名 ≪医療機関へお願い≫ 麻しんと診断した医師すべてに届出が義務付けされています。 迅速な行政対応の必要から、可能な限り24時間以内に届け出てください。 また、患者からの検体採取をお願いすることもあります。 連絡先 半田保健所 生活環境安全課 TEL:0569-21-3341(代表)