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羽田空港跡地・利用基本計画(素案)

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羽田空港跡地・利用基本計画(素案)
(1) 羽田空港跡地利用基本計画(素案)への意見
(2) 社団法人
日本建築家協会
関東甲信越支部
城南地域会
新井隆雄、石橋功、木村年男、小林道夫、椎名政夫、杉田和雄、
馬場正三、林田研、松本裕
(3) 東京都品川区上大崎 4-5-26
(50 音順)
マンション雅叙園 2-707
(株)研建築設計事務所内
(4) 意見
日本建築家協会
城南地域会は大田区、品川区に在住または在勤する建築家の集団
です。羽田空港はこの地域の発展に強い関わりがあり、地域の発展のためにという
思いから、会で議論をし、意見をまとめました。今後のご検討の参考になれば幸い
です。また会としても、計画の推進に協力を惜しみません。
1.
はじめに
1.1 羽田空港跡地利用計画は東京湾岸の総合的な開発計画の重要な役割を担
うことから、東京都・神奈川県・千葉県の主要都市、東京・川崎・横浜・
千葉などのマスタープランに整合することが必要であり、そのために東京
湾岸開発機構〔仮称〕などによる、強い行政上の連帯と策定を計る必要が
ある。基本計画の策定にあたり、川崎市や神奈川県、千葉県等、計画を取
り巻く周辺地域との意見を交換し、充分な協議を重ねる必要性とその公開
性を求めます。
2.
羽田空港跡地の範囲及び面積
2.1
空港の開発と共に、海老取川をこえて大田区羽田5丁目、6丁目から蒲
田までの環状8号道路を主軸とした地域の再開発と、多摩川を隔てた川
崎旧いすず工場地区との総合的な計画として策定されたい。
3.
羽田空港跡地利用の検討にあたっての基本的な視点
3.1
本跡地は国際線地区に隣接しており、東アジアからの首都圏へのゲート
ウエイとして、その利点を最大限活用することをもっと強く提唱しても
よいのではないか。
4.
羽田空港跡地利用基本計画の主な留意事項
4.1
航空法による高さ制限は、運用の実態に即した見直しが出来ないか。
4.2
空港の玄関口に位置する開発として、跡地開発後の景観は限定的なもの
とせず、蒲田からの環八道路のアクセス、羽田5丁目、6丁目の再開発
計画、川崎いすゞ地区の計画と多摩川をこえた橋、道路などを総合的に
捉えた、首都圏のゲートウエイとして、世界に誇れる景観づくりに配慮
してほしい。
4.3
交通アクセスの利便性と機能性だけでなく、軌道の地下化など、地域の
景観、安全、快適性に配慮してほしい。特に、東京モノレールは跡地内
では全て地上から地下に再構築が望ましい。またフェリーターミナルを
計画して、海上輸送手段のフェリーも川崎・横浜・東京・千葉までの快
適な交通手段とすることも検討に値すると思われる。
5.
ゾーニング
5.1
第1ゾーンと第2ゾーンのボトルネックをできるだけ緩和するようなゾ
ーニングとしてほしい。新国際ターミナルは将来増築を予測する計画に
なると考えられ、又多層の駐車場などの建築が新築併設されると予測さ
れる。現在の羽田ターミナルの規模からも新しい空港施設は旅行者の利
用をはかるだけでなく、例えば、ゲートウエイ・アシアン・マートとし
て特徴をもった経済的に自立し得る大規模な商業施設を新駅に近く設け
る案、などの検討が望ましい。
第2ゾーンでは将来の空港増築で予測されるさまざまな機能を持った施
設が中心になるので、ホテル、会議施設などはむしろ第1ゾーンに配置
して、跡地、環八道路沿いのアクセス、近隣の密集住宅地域の再開発に
よって、現在の産業と商業地区のポテンシャルを増大させる画期的な計
画も検討されたい。
5.2
神奈川方面からのアクセスは湾岸道路が利用できるのではないか。高額
の費用とスペースをとる道路橋は本跡地には過剰ではないかと懸念され
る。水上交通や簡易な施設で代用するほうが現実的と思われる。
5.3
東京モノレールの新駅、軌道が景観をそこねるものではいけないと思わ
れる。軌道と駅は地下に設けるのが望ましい。
6.
各ゾーンの特性と利用の方向性
6.1 第1ゾーン:イメージとしては、道の駅のような施設が望ましいのでは
ないか、各地からの生鮮食品等の朝市広場、機内食のカフェ、お国自慢
料理店、ミニ航空博物館〔操縦シミュレーター〕水辺スポーツを楽しむ
人々のための休憩所、各地の物産展会場、地元の産業展示施設、特に東
アジアからの物産展を特長としたマーケットなども併設し、地域の産業
振興のための国際商業交流に重点をおいて、ホテルや会議場なども整備
し大田区の産業工業技術のゲートウエイとしても機能させシンボリック
な地域の形成をする。羽田の歴史展示資料館、なども併設してほしい。
また、青少年のための施設も充実させてほしい。国際ユースホステルの
ようなものを設け、各国、各地からの青少年の交流施設もあってよいの
ではないか。さらに、様々な教育、訓練、交流の施設も必要ではないか。
6.2
弁天橋から天空橋にいたる道路は、低速での自動車交通に配慮した地域
道路に再生してほしい。
6.3
第2ゾーン:国際ターミナルとの距離があるので、動く歩道などアクセ
スに配慮してほしい。
6.4
第3ゾーン:三日月型の地域は第1または第2ゾーンにくみこむべきで
あろう。
7.
計画の実現にむけて
7.1
羽田5,6丁目地区、対岸の川崎市の開発も視野にいれて事業手法を検
討されたい。広域での検討をお願いします。
7.2
JR 蒲田駅にシティエアターミナルを設置するなどの検討も必要ではな
いか。特に蒲田、大森からのアクセス、環状8号道路周辺の活性化と景
観造りが空港へのアプローチとして重要である。
7.3
水上交通の検討もお願いしたい
7.4
第1ターミナル、第2ターミナル、国際線ターミナル、各ゾーンを結ぶ
シャトルバスの検討もお願いしたい。
7.5
大田区内の交通渋滞の解消とバス便の利便性の向上も検討いただきたい。
7.6
早急に箱物を建設するのではなく、緑地や美しい景観づくりなどインフ
ラの整備にまず力点をおくべきであろう。この跡地だけのプランではな
く、蒲田・大森・川崎の各エリアをバランスよく総合的に計画するマス
タープランの整備が、先行されるべきである。
都市計画の先駆者であるシカゴの建築家、ダニエル・バーナムの言葉
“MAKE
NO
LITTLE
PLAN” を忘れてはならない。
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