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泌尿器科疾患に起因した異常所見 男性編

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泌尿器科疾患に起因した異常所見 男性編
泌尿器科疾患に起因した異常所見
男性編
① 尿が赤い
尿潜血:試験紙にて検査します。健康診断で尿潜血陽性と診断された人は多いと思います。尿中の
わずかな赤血球にも反応し、尿の通り道に出血がある可能性が高いですが、実際に治療が必要に
なる人は数%です。しかし、尿潜血陽性の結果の人は放置せずに 1 度専門医に診察してもらうこ
とを勧めます。
肉眼的血尿:見た目で明らかに赤い尿が出る場合です。尿路結石・膀胱腫瘍・前
立腺肥大症・膀胱炎などで認めることが多いです。この中で特に膀胱腫瘍は肉眼的血尿がきっか
けで見つかる場合が多く、放置したために巨大な膀胱腫瘍へと進行してしまう症例もあります。
② 尿が濁っている
膿尿:尿の中に白血球が混在する状態で、通常は尿が濁って見えます。尿路のどこかに炎症を起
こしている可能性が多く、腎盂腎炎・尿路結石に伴う尿路感染・膀胱腫瘍に伴う膀胱炎・前立腺炎・
尿道炎(淋病・クラミジアなどは性行為感染症)などが考えられます。男性の場合は何らかの病気が
隠れていることが多いので、精査が必要になります。
③ おしっこの回数が多い(頻尿)
夜間頻尿:夜に寝ている間、 2 回以上尿意によって目が覚めてしまう状態です。前立腺肥大の初
期症状として多い見られます。
昼間頻尿:昼間に 8 回以上の排尿がある場合です。 1 回当た
りの尿量が少ない場合は、前立腺肥大症・神経因性膀胱・尿路感染などが考えられます。 1 回あ
たりの尿量が少なくなければ、糖尿病・尿崩症などが考えられます。また、何の病気がなくても水分
をたくさん取れば尿回数は多くなります。
④ おしっこの量が少ない
尿閉:膀胱内に尿は溜まっているのに排出できない状態です。前立腺肥大症・尿道結石・尿道狭
窄・前立腺癌・などが考えられます。 無尿・乏尿( 1 日に 100ml 以下・ 400ml 以下):膀胱に尿
が溜まってこない状態です。急性腎不全の状態で、尿管に問題がある場合、腎臓自体に問題があ
る場合、腎臓への血管に問題がある場合、があります。十分に水分を飲んでいるのにおしっこが出
なければ、放置すると命にかかわる場合があるので、すぐに専門医に受診しましょう。
金沢医療センター
Kanazawa Medical Center
National Hospital Organization
〒920-8650 金沢市下石引町1番1号
Tel (076) 262-4161 FAX (076) 222-2758
⑤ おしっこが漏れる
切迫性尿失禁:おしっこがしたくなってトイレに行く途中に漏れてしまう状態です。過活動性膀胱・前
立腺肥大・膀胱結石などが考えられます。 溢流性尿失禁:膀胱に尿が十分溜まっているのに排尿
できずにちょろちょろともれてしまう状態です。神経因性膀胱・前立腺肥大などが原因となります。
その他、気づかずにもれてしまう状態や、おなかに力を入れると漏れてしまう状態もあります(女性、
尿失禁の項参照)。
⑥ おしっこが出づらい・出しづらい
男性の場合、年齢を重ねるにつれほとんどの人が自覚するかも知れません。前立腺肥大症が原因
であることが多い症状です。内服治療が非常に効果的ですので専門医の受診を勧めます。
① 背中からわき腹・下腹部の痛み
尿管結石の可能性があります。激烈な痛み(疝痛発作)であることが多く、結石が尿管に引っかかること
で起きる痛みで、尿の流れが悪くなり鬱滞し、腎臓が腫れる(水腎)ことによる痛みも伴います。小さな結
石なら自然に出てしまうこともありますが、処置が必要な場合もあります。
② 発熱を伴う背部痛
背中の脇の叩打痛があれば急性腎盂腎炎が考えられます。男性の場合は原因となる疾患(尿管結石、
膀胱尿管逆流証、尿管腫瘍、など)があることが多く精査が必要です。
③ 下腹部が痛い
膀胱の炎症、膀胱内の尿充満、などにより生じる場合が多いです。急性膀胱炎、間質性膀胱炎、膀胱
結石、尿道結石などが考えられます。
④ 会陰部が痛い
前立腺の炎症で生じます。細菌が原因のもの、そうでないもの、慢性のもの、急性のもの、などに分類さ
れます。発熱、尿排出困難、膿尿などの症状を伴うことも多いです。いずれにせよ、内服による治療が
中心です。
⑤ 陰嚢が痛い
急性に発症した陰嚢部の強い痛みは、発熱を伴う場合は精巣炎・精巣上体炎、発熱を伴わない場合は
精巣捻転・精巣垂捻転を考えます。 精巣が腫れて鈍痛が続く場合は精巣腫瘍、陰嚢水腫などを疑い、
特に前者の場合は一刻も早く外科的治療が必要になる場合もあります。
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