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魅力ある学校づくりプラン - 秋田大学教育文化学部附属小学校

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魅力ある学校づくりプラン - 秋田大学教育文化学部附属小学校
秋田大学教育文化学部附属小学校
教育振興基本計画
魅力ある学校づくりプラン
~附属小学校の目指す学校像
5年後のグランドデザインを描く~
平成27年4月
秋田大学教育文化学部附属小学校
魅力ある学校づくりプロジェクト委員会
は じ め に
秋田大学教育文化学部附属小学校は,昨年度めでたく140周年を迎えることができまし
た。ところが,小学校教育および附属小学校をめぐる環境は,大きく変化しようとしてい
ます。それはたいへん大きなものであり,本校70周年でむかえた終戦に次ぐ変化のように
見えます。
このような節目の年にあたりまして,私たちは新たな「地域・世界を視野に入れた独創
的な挑戦」(秋田大学
澤田ビジョン2014より)によって,未来に向かって新しい道筋を
つけて行きたいと思います。
本プランは「魅力ある学校」をつくるための総合的プランであります。様々な方策が策
定されていますが,ここではその中でも特に重要な3点について紹介します。
第一に「新たな価値を創造する『対話力』の育成」です。現代社会でもっとも優れた仕
事をする人間は,人的ネットワークの構築に優れた人材と言われています。本校ではこれ
までも対話による授業でこのような人材の育成を図ってきました。子どもたちもそれに気
がついていて,「友達と議論を重ね,いろいろと考え直し,意見を深めることができまし
た」という言葉が文集に書かれていたりします。今後,さらに対話力の育成を目指してい
きたいと思います。
第二に「豊かな情操と品性の涵養」です。自然や芸術など美しいものに接して感動する
情感豊かな心は,文化的な人生のために重要です。また,未知の事柄に対して興味・関心
を抱く知的好奇心は,新たな価値の創造には欠かせない資質です。また,品性は責任ある
社会人の持つべき基本的な資質です。これらの素養の涵養につとめ,将来子どもたちが文
化的で創造的な社会生活ができるように導いていきたいと思います。
第三に,英語教育,理数教育の充実です。これらはグローバル化し,IT化した社会で
生きていくため必須の素養です。また,これらの教育を先進的に進めることで秋田県教育
のモデル校としての附属小学校の役割を果たしていきたいと思います。
附属小学校が今後も魅力ある存在であり続けるために,また,附属小学校が自ら未来を
創り出す存在であり続けるために,本プランを強力に推進し「挑戦」していきたいと考え
ます。関係者の皆様方のご協力をお願いいたします。
平成27年4月
秋田大学教育文化学部附属小学校長
林
信太郎
現状と課題 ~想定される今後5年間の環境変化~
大学の改革
社会全体の変化
1 人口減少・少子化の進行
2 就業状況の変化
1 教職大学院の設置
2 理数教育の充実
3 高度情報化の進展
4 グローバル化の進展
3 大学予算の配分の焦点化
4 安全・安心な教育環境の実現
国の動向
本プランの目的
1 「21世紀型能力」に基づく教育目標の改善
2 学制改革
3 国立大学附属学校の新たな活用方策
目指す子ども像
プ ラン の
目標
基 本 方 向
思いやりの心をもち,互 いのよ
さを認め合って高まろうとする
子ども
公教育の
実施校
として
1
豊かな学びを具現化するために,かか
わり合いの場の創造や言語に着目した
授業を目指します。
2
グローバル時代に必要な
「対話力」の育成
律」
多文化共生社会
を生き抜く
力の育成
のび のび
自分で判断して,正しい行動を
つらぬく子ども
伸
2 求められる子ども像
3 入学希望者の確保
4 本校の強みと弱み
(1) 各教科部等における「対話」の機能を活かした授業づくり,校内授業研究会の充実
(2) 全教育課程を通じた対話力の育成プログラムの策定,日常的な「対話」の磨き合い
(1)
音楽・図工・国語・外国語活動等を中心とした情操教育の充実,道徳の時間や異年齢集団活動の充実による
心の教育の推進,環境教育・食育の充実
(2)
「はとの子の約束」の見直し,制服の決まりの確認,日常生活や儀式における 礼法指導,教師の品格ある 言動によ る 感
化,ふる さとキャリア教育の充実,大学訪問・職場体験の実施,地域住民との交流活動の継続
豊かな情操と品性の涵養
目標Ⅰ
1 研究推進の方向性
具 体 的 な 取 組 内 容
重 点 項 目
1
「
自
秋 田大学教育文化学部附属小学校
教育振興基本計 画
きび きび
「
魅 力ある学校づくりプ ラン」の概 要
学校教 育
目標
本校の現状
取り巻く環境の激しい変化に適応しながら,そ
の使命を確実に遂行する,強く魅力ある附属
小学校を創る。
(1) 指導計画・指導体制・学習環境の確立,モジュール学習の研究・充実
2
豊かな情操や日本人としてのアイデン
ティティ,国際感覚等の素地を養うため
に,体験活動を効果的に取り入れた教
育課程を編成します。
3
英語教育の充実
(2) 小・中連携の充実,国際交流室の活用,海外交流協力校の確保,海外修学旅行の検討
(1) 理数専科教員や理科支援員の確保,環境教育を基盤とした総合的な学習の時間の充実
4
理数教育の充実
(2) 大学教員特別授業の実施,大学の研究施設の活用,太陽光発電システムの導入
学校生活を楽しみ,心身ともに
健康で生き生きと活動する子
ども
国の
拠点校
として
3
大学と協力して,教職大学院生の実践
力の育成や学部学生の教育実習の充
実に貢献します。
わく わく
自分なりの目標をもち,最後ま
であきらめず努力する子ども
先
学ぶ楽しさを見出し,よりよい
ものを求めて工夫する子ども
地域の
モデル校
として
自分の可能性を信じ,チャレン
ジする子ども
絆
(2) 帰国・外国人児童の受入,適応指導カリキュラムの研究・開発,国際学級の開設
6
教員養成・研修プログラムの改善
「教員養成秋田モデル」の実践・検証,教職大学院設置に伴う大学との協力体制の確立,院生指導プログラ
ムの開発
(2) 本校職員の研修プログラムの充実
4
大学教員と研究テーマを共有して共同
研究を深め,研究成果を地域の教育現
場に発信して,秋田県教育の先導的な
役割を果たします。
5
地域の教育現場のニーズをとらえ,附
属四校園が組織的に協働して,課題解
決に向けた取組を推進します。
7
8
先導的な取組への挑戦と
情報発信
(1)
大学教員との共同研究による「秋田型」授業の追究,各教科部等での特色ある実践研究の推進,教科担任
制の拡充,モジュール学習の研究
(2)
魅力ある公開研究協議会・オープン研修会の実施,HPや報道機関を活用した積極的な広報活動,公立学校
児童を対象とした夏期講座,市立幼稚園・保育園での入学説明会
安全・安心・潤いのある
教育環境の実現
(1)
災害時避難所としての機能向上,避難訓練の充実等を通した危機回避能力の向上,ISO14001に基づく環境
影響の改善
(2) 近代的で衛生的な学校生活の保障,動植物との触れ合いスペースの維持・管理,教育のICT化への対応
(1) 子どもの触れ合い交流活動の継続,相互乗り入れ授業の継続,教員人事交流の実現
目標Ⅲ
心安らぎ
いのち輝く
学校づくり
入学制度の改善
(1)
目標Ⅱ
知を拓き
発信する
学校づくり
(1) 選考方法の検証・改善,実態に合った通学条件の検討
5
9
四校園連携教育の推進
(2) 幼・小・中3・6・3制の実質的な見直しに向けた研究,共通課題の解決に向けた組織的な取組の強化
6
家庭や地域との連携を密にして,共感
的な人間関係に裏打ちされた心の通う
生徒指導を実行します。
(1) 校内いじめ防止対策委員会の継続開催,児童会の自治活動を生かしたいじめ予防対策
10
教育相談体制の充実
(2)
教職員間の情報の共有,支援を要する子どもについての幼小・小中間の情報共有,支援を要する子どもの就
学・進学を支える教育支援委員会の設置
魅力ある学校づくりプラン
目
はじめに
次
校
長
林
信太郎
教育振興基本計画「魅力ある学校づくりプラン」の概要
第Ⅰ章
プランの策定にあたって
第1
プラン策定の趣旨
第2
プランの位置付け
第3
第4
プランの期間
プランの特徴
第Ⅱ章
第1
現状と課題
~想定される今後5年間の環境変化~
社会全体の変化
1
人口減少・少子化の進行
2
就業状況の変化
3
高度情報化の進展
4
グローバル化の進展
第2 国の動向
1 「21世紀型能力」に基づく教育目標の改善
2
学制改革
3
国立大学附属学校の新たな活用方策
第3
大学の改革
1
教職大学院の設置
2
理数教育の充実
3
大学予算の配分の焦点化
4
安全・安心な教育環境の実現
第4
本校の現状
1
2
研究推進の方向性
求められる子ども像
3
入学希望者の確保
4
本校の強みと弱み
~SWOT分析の手法による現状分析~
1
3
第Ⅲ章
目指す方向性
第1
今後5年間を通じて目指す教育の姿
第2
プランの目標
第3
プラン実現のために
1
教職員間の共通理解
2
年度ごとの実施計画の策定
3
PDCAサイクルによる実効性の確保
4
組織の改編
第Ⅳ章
具体的な取組
第1 重点目標と具体的な取組内容
1 グローバル時代に必要な「対話力」の育成
2
豊かな情操と品性の涵養
3
英語教育の充実
4
理数教育の充実
5
入学制度の改善
6
教員養成・研修プログラムの改善
7
先導的な取組への挑戦と情報発信
8
安全・安心・潤いのある教育環境の実現
9
四校園連携教育の推進
10
教育相談体制の充実
第2 具体的な取組内容の例
1 研究構想図
2
はとの子の誇り Doves' Respect Project
3
大学・附属校園連携 Hello World Project
4
大学・附属校園連携 理科好きの子ども育成プロジェクト
5
外国人・帰国児童受入体制整備
6
教育のICT化計画
7
ソーラー・エナジー計画
8
快適スクールライフ創造計画
9
附属幼小中連携教育
10
附属校園の資源を活用した地域貢献プロジェクト
15
20
第 Ⅰ 章
プランの策定にあたって
第Ⅰ章
第1
プランの策定にあたって
プラン策定の趣旨
本校は,明治7年の開校以来,長い歴史を重ねて今年度創立140周年を迎えました。
教育目標に「自律」を掲げて児童に質の高い公教育を提供するとともに,国の拠点校と
して,また地域のモデル校としての附属学校の使命を追究してまいりました。国全体・
本県全体の教育の変遷を振り返っても,本校教育の長い航海が必ずしも順風満帆ではな
かったことは容易に想像されます。しかし,たとえ苦難の時代にあっても,本校は力強
く帆を張り,波を切り裂き,希望の光に舳先を向けて航海を続けてきました。そこには
諸先輩方の並々ならぬ努力と叡知の集約があったことは想像に固くありません。
さて,今年,平成26年は本校にとって節目の年であると同時に,重要な分岐点である
ことが分かってきました。本校を取り巻く環境は,大きく変化しようとしています。そ
れは,既に起こっている変化の影響も含めて,今後5年の内に立て続けに起こることが
予想されます。具体的な内容については次章で詳しく述べますが,日本の社会全体の変
化,国の教育改革や学習指導要領の改訂,秋田県の人口減対策や教育振興策,学部改組
に続く大学のミッション遂行や附属学校園の定員改定など,大きな波が次々押し寄せ,
絶え間なく対応を迫られる厳しい5年間であることが予想されます。さらに,それらは
プラス面とマイナス面の両面を持ち合わせており,単に動揺や混乱を回避・軽減すると
いう消極的な考えに留まらず,積極的に利活用し教育の充実を図るという対応も可能で
あり,5年先を見据えて戦略的に学校運営に当たることが肝要であると考えます。
以上の状況を踏まえ,本校が目指す教育の理念や方向性を明らかにし,その実現に向
けた戦略を総合的・計画的に推進するための指針として,
「魅力ある学校づくりプラン」
を策定しました。学校教育目標「自律」の具現化に向け,今後この計画の着実な推進を
通して,秋田の未来を担うにふさわしい,豊かな人間性を身に付けた子どもたちを育成
する教育を推進していきます。
第2
プランの位置付け
本プランは,今後5年間を通して本校教育が目指す基本的な方向や今後推進すべき具
体的戦略を明らかにするものです。
第3
プランの期間
平成27(2015)年4月から平成32(2020)年3月までとします。
第4
プランの特徴
本プランの策定に当たっては,
「魅力ある学校づくりプロジェクト委員会」を設置し,
主任層で構成される運営委員会が兼任するものとしました。当委員会が原案を検討し,
職員会議に提案しました。その後,学部の「附属学校運営会議」及び下部組織である「附
属学校経営委員会」,また本校の学校関係者評価機関である「学校評議員会」及びPT
- 1 -
A常任委員会など様々な場でご説明の機会を得て,多くの皆様からご意見をいただきな
がら成案としてまとめました。
策定に当たって参考にした文献には,「澤田ビジョン2014」,第二期及び第三期「中
期目標・中期計画」(秋田大学),「あきたの教育振興に関する基本計画」(23年10月,
秋田県教育委員会),「学校教育の指針」(26年4月,秋田県教育委員会),「附属学校園
の将来ビジョン」(26年4月,附属四校園)及び各校園の教育プラン,「国立大学附属
学校の新たな活用方策等について」(21年3月,文部科学省)等があります。
本プランの構成は,第Ⅱ章で,本校を取り巻く社会状況や本校教育の現状と課題を分
析し,第Ⅲ章では本校教育の目指す姿とその実現に向けたプランの目標,重点項目を明
らかにしています。第Ⅳ章では,重点項目ごとに具体的な取組内容を例示しています。
なお,プランの推進に当たっては,必要な組織改編を行うとともに,各年度ごとに重
点項目と取組内容を選択し,学校経営計画や教育課程等に位置付けて実行していきます。
また,各重点項目の進捗状況や得られた効果等をできる限り客観的に把握するため,プ
ランの最終年度である平成31年度までの評価指標をどのように設定するかはこの後の検
討課題とします。
- 2 -
第 Ⅱ 章
現状と課題
~想定される今後5年間の環境変化~
第Ⅱ章
現状と課題
~想定される今後5年間の環境変化~
第1
1
社会全体の変化
人口減少・少子化の進行
国全体の少子高齢化の進行と地方の人口減少が深刻な状況に至っています。報道
(資料1左下:H26.7.19付け秋田さきがけ)によると,政府の経済財政諮問会議の
専門調査会が人口減少対策の議論を再開し,地方から東京への人口流出に歯止めを
かける具体策づくりと少子化対策の拡充に重点を置く方針を示したとあります。関
連する報道(資料1右上:H26.8.8付け秋田さきがけ)として,秋田県が政府の「国
家戦略特区」の2次募集に「人口減対策特区」を提案する方針を明らかにし,その
中には移住・定住の促進と外国人の受入を進めるとあります。
秋田県は人口減少・高齢化の進行が日本一速い県(毎年1万人以上減少,高齢化
率29.6%)であり,「1学年1万人」といわれてきた,小・中・高校の児童生徒数
は毎年減少し続け,平成32年度の中学卒業者数は約7,650人と予測(資料2:「あき
たの教育振興に関する基本計画」:H23.10 秋田県教育委員会)されています。県内
のほとんどの学校は小規模化が進み,複式学級の導入,部活動の縮小,一部高校の
慢性的な定員割れなどの多くの問題が発生しています。
しかしながら,少人数学習の充実は学力向上の一つの要因と考えられていること
も事実であり,各学校における「秋田型」授業の追究による一人一人の教員の指導
方法の工夫改善が,子どもたち一人一人の力を最大限に伸ばす教育の実現に近づく
ことになります。少子化社会における教育・人材育成の在り方の道標を示せる県と
して秋田県が存在意義を高めるチャンスでもあります。
また,外国人の受入に関しては,平成2年の出入国管理及び難民認定法の改正以
降,日本の学校で学ぶ外国人児童生徒が増えており,平成24年は71,545人,うち日
本語指導が必要な者は27,013人,10年前の1.4倍(資料3:H24.9 文部科学省調べ)
になっています。それに伴い,学校現場では日本語指導の体制整備,学校生活や学
習への適応,保護者との意思疎通等,様々な教育上の課題が生じています。上述の
国や県の方針・施策によって,秋田県においても同様の状況が今後増えてくること
が十分に予想されます。これらの課題に対応していくためには,各学校が異文化・
異言語に開かれた学校になっていくこと,そして,外国人の子どもたちに対しても,
柔軟な受入れ体制を整えていくことなどが必要です。特に,受入れ時からの効果的
な日本語指導等を行うための諸施策を推進することは,喫緊の課題となっており,
こうした外国人の子どもたちを多く受け入れ,日本語指導等を手厚く行う拠点校を
指定する必要性が指摘されています。
一人一人を大切にする教育のモデルを提案する本校の役割はこれまで以上に大き
くなるものと考えます。大学教員との共同研究による「秋田型」授業の追究や魅力
ある公開研究協議会やオープン研修会の実施など,本校に対して先導的な取組への
- 3 -
挑戦と情報発信を求める県内及び全国の公立学校からの要請に応えなければなりま
せん。さらに,本校が外国人児童を積極的に受け入れる拠点校となるべく入学制度
の改善を進めることで,県内各校のモデルとなるとともに,本県の産業振興・教育
振興に大いに貢献できるものと考えます。
2
就業状況の変化
近年の景気の低迷,長引く不況を乗り切るための企業の生き残り策の影響で,雇
用形態が変化し,パートやアルバイトなど非正規労働者の割合が増加し続けていま
す。不安定な就業状況にある若年労働者が,自己の将来に大きな不安を抱えながら
希望を見いだせずに,さらに労働意欲を低下させていくという悪循環を生じていま
す。また,希望する職種とのミスマッチなどにより,新規学卒者の早期離職が多い
ことも長く問題になっています。
秋田県の経済情勢はさらに厳しく,県内企業への就職者数の低下傾向が続いてい
ました。最近の明るいニュース(資料4:H26.9.17付け秋田さきがけ)としては,
今年は景気の回復基調から幅広い業種で求人数が増加し,来春卒業予定の高校生の
求人倍率は20年ぶりに高水準(求人数2,478人,就職希望者数1,580人,求人倍率1.5
7倍)となったことがあります。教育の分野では,これを契機に,若者が自立し,進
んで働く意欲をもつような勤労観・職業観の育成が一層求められます。
本校は,これまでも社会の第一線で活躍し,県や国,さらには世界をリードする
人材を多く輩出してきました。これからも本校が社会に貢献するたくましい人材を
育成するために,豊かな心・健やかな身体・確かな学力を合わせた生きる力の育成
と夢や志を高くもって努力する子どもの育成を目指し,引き続きキャリア教育の充
実を図る必要があります。
3
高度情報化の進展
情報通信技術の急速な発展により,大人も子どももネット上から必要な情報を瞬
時に収集・活用できる時代になりました。しかし,利便性の反面,個人情報の流出,
情報の不適切な利用によるトラブル等が発生しており,情報セキュリティ・情報モ
ラルへの対応が急務となっています。
文部科学省が公表した「教育の情報化ビジョン」(資料5:H23.4.28付け)によ
ると,現在,学校のICT化は三つの側面から進められています。一つ目は教科指
導における情報通信技術の活用であり,より分かりやすく理解が深まる授業の実現
を目指しています。二つ目は情報教育であり,子どもたちの情報活用能力の育成を
目指しています。三つ目は校務の情報化であり,教職員の情報共有によるきめ細か
な指導や校務負担の軽減を目指しています。文部科学省ではこれらを柱とする「21
世紀にふさわしい学び」として,情報通信技術を活用して,一斉指導による学び(一
斉学習)に加え,子どもたち一人一人の能力や特性に応じた学び(個別学習),子
どもたち同士が教え合う協働的な学び(協働学習)を推進しようとしており,これ
らを「学びのイノベーション」と呼んでいます。
- 4 -
本校は大学の理解や方針もあり,校務支援システムをいち早く取り入れたり,校
内の情報関連機器を計画的に更新・導入したりしてきました。コンピュータ・リテ
ラシーの高い教職員も多く,児童の教育や校務処理などに情報機器を活用していま
す。情報通信技術は日進月歩です。今後も発達段階に応じた情報教育が行われ,校
務処理の負担が軽減されるよう,教育のICT化に取り組む必要があります。
4
グローバル化の進展
地球規模でグローバル化が急速に進展する中で,絶えず国際社会に生きていると
いう広い視野をもつとともに,国を越えて相互に理解し合うことは,ますます重要
な課題となりつつあります。加えて,地球環境問題への対応や科学技術・文化振興
の面など,日本人が国際社会に貢献し,世界の安定と発展に寄与できる多くの分野
があります。今後の学校教育には,グローバル化に対応した英語教育の取組を強化
し,異文化尊重の態度,日本人としてのアイデンティティの確立,外国語によるコ
ミュニケーション能力など多文化共生社会を生きる力を育成することが一層強く求
められています。
文部科学省は,平成25年12月に「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」
を公表し,平成32年度に予定されている小・中・高等学校の新学習指導要領全面実
施までの英語教育改革実施計画の具体案を示しました。今後はこの計画に基づいた
諸施策が推進されていきますが,小学校「英語」の教科化を平成30年度から先行実
施するなど,特に小学校での英語教育へのてこ入れが目立つ内容となっています。
(資料6左上:H25.12.16付け日本教育新聞)また,本県教育委員会では「英語力日
本一」を掲げ,様々な施策により児童生徒の英語力の向上とグローバル人材の育成
に取り組んでいます。(資料6右下:H25.12.29付け秋田さきがけ)これらの計画や
施策の内容をいち早く取り入れ,導入する際の課題や解決策等を明らかにすること
が附属学校の使命であると考えます。
また,本学における教育文化学部改組(平成26年度)による英語教育コースの設
置や学部の英語教育研究室が県教育委員会の後援により取り組んでいる外国語活動
オープン研修等は,国の英語教育改革及び県教育委員会が目指す英語教育充実の方
向性と軌を一にするものであり,今後は附属学校園との連携による取組の一層の充
実が期待されています。今後数年間は行政や学校現場が実践研究データを最も必要
とする期間であると考え,附属学校園の英語教育に関する協議機関として「英語教
育総合推進協議会」,実践研究機関として「国際交流室」の設置を構想し,整備に
取りかかっています。
現在,本校では,外国語活動において実践的なコミュニケーションを体験させる
ための効果的な手立てを講じることで,児童の英語学習への意欲を高め,学習内容
の定着が自然な形で可能になるであろうとの仮説に基づき研究を進めています。先
導的実践の取組を公立学校に発信し,秋田県教育の充実・発展に貢献するという使
命を担う本校としては,この機に小学校における英語教育の充実に一層具体的に取
り組むことが急務であると考えます。
- 5 -
第2
1
国の動向
「21世紀型能力」に基づく教育目標の改善
知識基盤社会,生涯学習社会の到来は,子どもたちの学びの世界に大きな変革を
求めています。子どもたちが新たな時代を生き抜き豊かな未来を創造できるよう,
知識や技能を基に,自ら課題を発見し,他者と協働してその解決に取り組み,新た
な価値を創造する力などを育成する主体的・協働的な学びを実現するための教育改
革が必要とされています。そして,これからの教員には,知識の伝達というこれま
での一般的な指導法のほか,児童が主体的・協働的に学ぶ授業を展開できる力や,
各教科横断的な視野で指導できる力など新しい指導力が必要となります。
文部科学省は,次期学習指導要領に向けての基礎的な資料を得ることを目的に,
平成24年12月に「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方
に関する検討会」を設置しました。翌年3月末に公表された「論点整理」によると,
今後,学習指導要領の構造を見直す際の前提となる現状認識として,「従来の学習
指導要領は内容中心の構造であり,『何ができるようになったか』よりも,『知識と
して何を知ったか』が重視されがち」,「各教科等を横断する汎用的な能力の育成を
意識した取組も不十分」,「世界的潮流は育成すべき資質・能力を明確化し,その育
成に必要な教育の在り方を考える方向(OECDの「キー・コンピテンシー」,アメリカを中心とした「21世紀型スキル」,英
国の「キー・スキルと思考スキル」,オーストラリアの「汎用的能力」など)」,「日本の『生きる力』の考え方はOECD
のキー・コンピテンシーとも重なるもの」,「『生きる力』を構成する資質・能力の
具体化や各教科等の目標・内容との関係についての分析が不十分」,「より効果的な
教育課程を目指すためには,学習指導要領の構造を育成すべき資質・能力を起点と
して見直し,改善を図ることが必要」等の点が示されています。
その上で,諸外国の動向や国立教育政策研究所の「21世紀型能力」も踏まえつつ,
育成すべき資質・能力を検討する際に重視するものとして,自立した人格をもつ人
間として,他者と協働しながら,新しい価値を創造する力(主体性・自律性に関わ
る力,対人関係能力,課題解決力,学びに向かう力,情報活用能力,グローバル化
に対応する力,持続可能な社会づくりに関わる実践力)及び日本の児童生徒の実態
を踏まえた主体的に学ぶ力や人間性(リーダーシップ,企画力・創造力,意欲や志,
思いやりや優しさ,感性)が示されており,評価の基準を「何を知っているか」に
とどまらず,「何ができるか」へと改善することが必要と指摘しています。今後,
学習指導要領にどこまで盛り込むべきかを検討した上で,各学校において育成すべ
き資質・能力を中心とした効果的なカリキュラムが編成・実施されるよう,必要な
支援策について検討すべきと結んでいます。
本校においても,このような国際的な潮流や国の動向を見据えながら,平成27年
度以降の教育研究に関する話合いを進め,新たな研究主題・副題を決定しました。
(後述の「研究推進の方向性」参照)また,研究実践に当たっては学部との共同研
究による授業づくりを大切にし,基盤となる「秋田型」授業の追究を継続するとと
もに,教科担任制の拡充や効果的なモジュール授業などの先導的な取組に挑戦し,
魅力ある公開研究協議会・オープン研修会の実施に取り組んでいきます。
- 6 -
2
学制改革
中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教員の養成・採用・研修の改善
に関するワーキンググループの第1回会議(H26.4)における配付資料では,教員免
許制度・教員養成の改善について「現在,学校教育の充実方策の一環として,幼稚
園と小学校,小学校と中学校,中学校と高等学校など,複数の学校種を通貫した教
育や,小学校高学年における専科指導を全国的に進めていくことが期待されている。
このような社会の要請を踏まえ,複数の学校種において指導を行うことができる教
員や,専門性や実践性に優れた教員を十分に養成していく必要がある。」と述べら
れています。
また,中央教育審議会への下村文部科学大臣の諮問(H26.7.29)では,社会の要
請を「新たな社会的価値・経済的価値を生むイノベーションを創出し,国際的な労
働市場で活躍できる人材の育成や多様な価値観を受容し,共生していくことができ
る人材の育成が求められています。」と分析し,子どもの発達の早期化,進学に伴
う新しい環境への不適応等の課題,自己肯定感の低さなどから,子どもの発達や学
習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築を目指して,具
体的には小中一貫教育を学校制度に位置付け,9年間の教育課程の区切りを柔軟に
設定できるようにするなどにより,学校段階間の連携の一層の推進を図る必要があ
るとしています。その後,中教審内に「小中一貫教育特別部会」が設置され(H26.8.
29),平成26年内の答申案とりまとめを目途に集中審議が行われました。
報道によれば,本県においてもいくつかの市町村が小中一貫教育校設置に関心を
もっているようであり,今後の学校小規模化と校舎老朽化・要耐震化を背景に,新
築に併せた小中学校の校舎一体化のメリットなどからも一貫教育が広がりを見せる
ことも予想されます。しかし,秋田県の小・中学校は全国学力・学習状況調査,体
力・運動能力調査,問題行動等調査などの諸調査から,現行学制下で十分な成果を
収めていることが明らかであり,新制度の導入に関しては慎重であってよいのでは
ないかと考えます。
本校と附属中学校がこのことについてどのような方針で望むかはまだ話し合われ
ていませんが,これまでの四校園連携教育を基盤としながら,さらなる研究の充実
を図ることが重要であると考えます。例えば,幼・小・中,3-6-3の区切りを
2-6(3・3)-4と想定して,カリキュラムや接続の在り方について研究を深
めたり,四校園内の交流人事により体験的相互理解を促進したりすることも一つの
方策であると思われます。
3
国立大学附属学校の新たな活用方策
平成21年3月に文部科学省が公表した「国立大学附属学校の新たな活用方策等に
ついて」は,附属学校の現状と課題,存在意義(役割)の明確化,組織運営や業務
運営における改善の方向性等の内容から成っています。その中で「新たな活用方策」
として,外国人子弟等の積極的受入れによる教育の在り方,理数教育など優先的な
教育課題に応じた先導的な指導方法等の開発,学校の組織マネジメント・人材育成,
- 7 -
異学校種間の接続教育や一貫教育,特別支援教育への寄与,児童生徒の勤労観・職
業観を育てるためのキャリア教育という6つの調査研究項目が示されています。そ
の上で,「大学内で附属学校の在り方について真剣かつ活発な議論を行い,附属学
校の存在意義を明確化し,そのミッションに応じた組織運営・業務運営上の改善策
を講じ,附属学校の具体的な活用方策を高く掲げることで,大学が附属学校を持つ
ことの説明責任を果たしていくことが必要である。」と指摘しています。
今後,学長をトップとする附属学校運営に関する全学的マネジメント体制の下,
本校の存在意義を明確にする過程で「国の拠点校」「地域のモデル校」としての役
割を一層強く求められることは確実であると考えます。それに応えられなければ,
本校はその存続さえも危ういものとなるかもしれません。しかし,逆に考えれば,
「求められる役割」には予算措置がなされ,人的・物的資源の投入がなされやすい
とも言えます。
第3
1
大学の改革
教職大学院の設置
秋田大学の運営は「ミッションの再定義」に記された内容に基づいて進められて
います。「ミッションの再定義」とは,各国立大学と文部科学省が意見交換を行い,
研究水準,教育成果,産学連携等の客観的データに基づき,各大学の強み・特色・
社会的役割(ミッション)を整理したもので,今後,強みや特色を伸ばし,その社
会的役割を果たしていくため,機能強化を図る方策を各大学ごとにまとめたもので
す。秋田大学はその中で第3期中期目標期間中(平成28年4月から34年3月まで)
の教職大学院設置を明記しています。
(資料7:文部科学省「ミッションの再定義」)
これにより,実践的な指導力・展開力を備えた新人教員の養成と地域や学校におけ
る指導的役割を果たすスクールリーダーの育成という二つの柱を打ち立てて本県教
育に貢献していくことを大きな目標として掲げたのです。その後の文部科学省との
協議を経て秋田大学の教職大学院開学は平成28年度に決定し,27年度の1年間をそ
の準備期間に当てることになりました。
学部から進学してくるストレートマスター及び現職教員を高度な実践力を有する
教員に,そして,現場での一定の教育経験を有する現職教員を将来の管理職を目指
すスクールリーダーに育成するためには,強力な講師陣による指導と学校現場での
充実した研修が不可欠です。本校に求められる役割の一つは,ストレートマスター
及び現職教員に実践知習得の場を提供することです。これは従来の学部生に対する
教育実習とは明らかに趣旨が異なり,より高度な目標に見合った実習内容が示され
ることが予想されます。また,講師陣との密接な連携や現場からの情報提供など様
々な連携・協力が考えられます。そのような要請に応える本校の「学校力」向上を
図るためには,本校職員の力量向上・キャリアアップも重要です。今後は,従来の
教員養成・研修プログラムの全体的な見直し・改善が求められると考えます。
なお,教職大学院設置に伴って,高度・多機能型教員養成の拠点を四校園が立地
する保戸野キャンパスに置くという構想があります。(資料8:「附属学校を拠点と
- 8 -
した高度・多機能型教員養成の構築」)「コモンスペース」と呼ばれるこの拠点のた
めに十分なスペースが確保されれば,将来的には,院生のみならず大学生や留学生,
附属学校や公立学校の教員,大学・大学院の教員などが集い,それぞれのねらいを
もって主体的に学習や研修に励む研究拠点「教職デザインセンター」,四校園の図
書室と大学図書館を結ぶ「メディアセンター」,大学のAll roomsの分室として,留
学生が常駐して教員や子どもたちとの交流を行う「国際交流室」,附属小・中学校
の国際学級に在籍する帰国・外国人児童生徒のための「日本語適応指導教室」,特
別な支援を要する子どもの就学・進学を支える「教育支援委員会」,各界に優れた
人材・人脈を有する同窓会と附属四校園を結ぶキャリア教育の拠点「鳩翔サポート
センター」など,四校園や地域の教育現場のニーズも高い実践研究拠点が設置でき
るのではないかと考えます。
2
理数教育の充実
今年度から秋田大学は,学部改組により3学部から4学部体制に移行しました。
(資料9:「平成26年度学部改組構想」秋田大学2014入学案内)鉱山学部を前身と
する工学資源学部が再編されて理工学部と国際資源学部が生まれ,医学部と教育文
化学部を加えて新生秋田大学がスタートしました。教育文化学部も再編されて英語
教育コースと理数教育コースが新設されています。これにより秋田大学は英語教育
と理数教育の充実を大きな柱として地域貢献を果たしていくことになります。
このことは本校にとって二つの意味があると考えます。一つは「協力」であり,
もう一つは「活用」です。英語教育の充実には,第Ⅱ章第1の4「グローバル化の
進展」で述べたとおりの背景があります。同様に理数教育の充実にも,全国の産業
界からの要請や秋田県の医師不足解消などの背景があり,国や県をあげて力を注い
でいこうとしています。今回の学部改組はそれらに応える方向で行われたものでも
あり,今後ますます実践的な教育が充実し,多くの有為な人材が育成されることが
期待されています。そのためには附属学校が積極的に関わり,研究と実習の場を提
供したり,学校現場の情報を提供したりするなどの協力体制を確立する必要があり
ます。また,逆に大学の研究成果を本校教育に取り入れたり,大学の教員や院生・
学生から授業に関わってもらったりするなどして活用できる機会も増えるものと考
えます。
本校では従来から理科専科教員を継続して配置しており,教師の専門性を生かし
た質の高い理科教育を実践しています。また,環境教育を基盤とした総合的な学習
の時間の取組は大きな成果を収めています。さらに,火山学者である現校長の大学
教員特別授業が子どもたちの知的好奇心を大いに刺激し,大きな成果を収めました。
今後は大学施設の研究施設や防災対策との関連から導入が待たれる太陽光発電シス
テムなどを大いに活用して,理科教育の一層の充実を図ることが期待されます。
3
大学予算の配分の焦点化
文部科学省から秋田大学に配分される交付金は,毎年マイナス1.3%のシーリング
- 9 -
が掛けられて,削減されています。加えて,平成26年度の学生の定員は4学部合計
で951名であり,前年度比マイナス25名となり,その減員分の交付金が減額されてい
ます。さらに,学部改組により教育文化学部の学生定員は210名,前年度比マイナス
80名と大幅に減っています。したがって,本学部及び附属四校園への予算配分が削
減されていることは致し方ないことと考えます。しかしながら,平成26年度の本校
の予算は前年度とほぼ同額ですが,支出(見込み)は前年度よりも増額となってい
ます。これは経常費の中の人件費が増えたためです。学校予算は,給食調理員や警
備員,作業員の方々の外部委託費(人件費相当)や光熱水費などの「経常費」と出
張旅費や保健室運営,環境整備,消耗品費,印刷費などの「運営費」から成ってい
ます。学校を維持するための経常費が膨らみ,教育活動にかける運営費は削減され
ているのです。このまま手をこまねいていては,ますます切り詰めを迫られること
になるでしょう。
本校としては,子どもたちに近代的・衛生的な学校生活を保障し,潤いのある教
育環境の実現や教育のICT化への対応などのための十分な財源を確保していきた
いと考えています。大学は限られた財源をより効果的に活用する方法として,緊急
性・必要性の高さやコストパフォーマンスの高さから配分先の優先順位を決定して
いくでしょう。予算配分の重点化・焦点化です。その中で予算を獲得するためには,
常に魅力ある教育活動を創出し続けなければならないのです。魅力ある学校,魅力
ある授業,魅力ある活動には予算が付き,ますます充実・発展していくということ
です。逆にコストパフォーマンスの低い魅力のない取組はスクラップされ,新たな
取組に予算が流れていくというしくみです。予算が不十分なことに不平を言う前に,
魅力ある学校づくりに真剣に取り組むことこそが今やるべきことであると考えます。
また,文部科学省の研究開発学校または研究指定校制度に応募して,研究に要す
る補助金を獲得したり,教育研究助成を行っている外部の教育関係諸団体に論文や
実践研究成果を応募するなど教職員が本校での研究成果をもって積極的に競争的資
金を獲得したりすることも一つの手法かもしれません。
4
安全・安心な教育環境の実現
震災後の対応として,すべての学校に必須のものは,津波対策を含めた防災教育
の充実,災害時に避難所となる学校施設の防災機能の充実・強化,被災地から転入
した子どもたちへのサポート体制の継続などです。まずは教師が地域の防災に関す
る正しい知識を習得し,避難訓練の充実を図りながら,子どもたちの危機回避能力
の向上を目指したいと思います。また,非常用電源や備蓄品を確保したり,保護者
や地元町内会との合同避難訓練を実施しながら対応マニュアルを改善したりして災
害時指定避難所としての役割に見合う機能を備えることなど,震災の教訓を確実に
生かしていく必要があります。
保戸野キャンパスにも平成25年度に備蓄倉庫が建てられ,非常食・飲料水・簡易
トイレなどの物品を保管できるようになりました。ただし,本校には発電設備がな
く,停電時には学校の機能がダウンしてしまうという弱点があります。3.11の大震
- 10 -
災に伴う停電の際には,特別支援学校から発電機を貸していただき,ようやく急場
をしのぐことができたのです。平成26年度に正式に秋田市災害時指定避難所に指定
及び告示されたことを契機にこの弱点を克服したいと考えています。できれば環境
教育や理科教育への活用も期待できる太陽光発電・蓄電システムの導入が望まれる
ところです。
第4
1
本校の現状
研究推進の方向性
国立教育政策研究所の「教育課程の編成に関する基礎的研究報告書5」(平成25年
3月)において提案された「21世紀型能力」は,「思考力」をその中核とし,他者と
協働しながら新しい価値を創造する力を育成することを重要視している点において,
本校の前研究主題「仲間と共につくる豊かな学び」と揆を一にするものです。平成28
年度に前倒しして改訂される見通しとなった次期学習指導要領の方向性を見据えたと
き,前研究主題の主旨を踏襲して授業研究を継続していくことが,本校の実践・研究
の発展のために必要であると考えました。そこで,平成26年度までの3年間を本研究
の第Ⅰ期,平成27年度からの3年間を第Ⅱ期と捉え直すこととし,研究主題を「仲間
と共につくる豊かな学びⅡ」と設定しました。
研究副題は「新たな価値を創造する『対話』を目指して」と設定しました。課題や
問題の追究過程で,常に「問い」をもち,自分の考えを練り直し,納得のいく考えに
つくり変えていこうとするとき,子どもの思考力は鍛えられます。個々の思考がより
深まるためには,他者とかかわり相互作用すること,すなわち「対話」が必要不可欠
です。異なる考えをもつ他者との対話(本校における「仲間との対話」)を経て,自
己の考えを相対化し再考し直す自己との対話(本校における「自分との対話」)がな
されるとき,新しい気付きや発見,新しい見方や考え方,自己の認識の更新などとい
った「新たな価値」が創り出されていくのです。率直に意見を出し合う中で対立が起
こり,必ずしも合意が得られないこともあるでしょう。しかし,たとえ完全な一致を
見ることができなくても,共に学び合った同士として通底する思いや考えに接するこ
とで,仲間とのつながりをより良質なものにしていくことができます。「対話」の過
程で子どもたちは,共に学ぶ仲間との相互理解を深め,よりよい人間関係を形成して
いこうとする姿勢や態度を学んでいるのです。
多文化共生社会が現実のものとなってきました。文化や価値観の違いや,異なる意
見による対立を乗り越え,対話や共同活動を通して新たな知見や価値を生み出し,創
造的な人間関係を築き上げていくことのできる資質・能力を育成しなければなりませ
ん。グローバル時代に必要な「対話力」の育成を視野に入れ,各教科部等における「対
話」の機能を活かした授業づくりを継続・発展させていくとともに,全教育過程を通
じた対話力の育成プログラムの策定に向けた検討を進めていきたいと考えています。
2
求められる子ども像
変化の激しいこれからの社会を生き抜く力として,「より高い思考力,判断力,
- 11 -
表現力,コミュニケーション能力,問題解決能力など,多岐に渡る力をもち,時に
専門的な力を発揮し,よく考え判断して行動できる実行力」が求められます。そう
した力をもつ人間を目指して,「自らの資質・能力を高め自分を伸ばし生かそうと
する子ども」が,「求められる子ども像」であると考えます。その子ども像を目指
して,一人一人のよさや素地・資質を育むことが学校の使命です。
では,「本校に求められる子ども像」とは何なのでしょうか。国の教員養成系大
学の附属学校として,秋田県の伝統的な研究実践校として,制服を着用する学校と
して,学区がなく入学試験を経験してきた子どもたちの学校として,本校は何を求
められ,そこに育つ子どもには何が求められているのか,「魅力ある学校づくりプ
ロジェクト委員会」で話合いを重ねてきました。
本校の本校らしい教育を通して「求められる子ども像」は,端的に述べるならば
「豊かな情操をそなえた子ども」です。「豊かな情操」とは,知的作用や社会的価
値を伴う,高次の複雑な感情が,豊かであるということです。そして,それをそな
えた子どもは,さまざまな事象に対して,知的かつ感情豊かでいられるということ
です。一例をあげるならば,音楽や絵画などの芸術に対して素直に感動できたり,
文学などに対しての理解が深く感銘を享受できたり,人の気持ちや感情をしっかり
と受け止め応じてあげられる思いやりにあふれていたりする子どもです。これは,
音楽・図画工作等の芸術的な活動,外国語活動による異文化・多文化社会理解,道
徳の時間,異年齢集団活動を通しての人間性を高める学習・体験活動の充実等によ
って,醸成されていくものと考えています。
さらにもう一歩踏み込んで述べるならば,「凜として,品性にあふれ,しなやか
で,真剣に学ぶ子ども」こそ「求められる子ども像」であると考えています。志を
高くもって赴任してきた本校教師や,期待に胸ふくらませて我が子を入学させた保
護者から,子どもたちのよさについて次のような声をよく耳にします。「人前でも
堂々と発表し物おじしない」「素直に学んでよく吸収しどんどん成長する」「勉強で
も運動会の応援でも真剣にとことんがんばり続ける」「将来の夢をもっている子ど
もが多い」「自分を大事にする」「制服姿が立派に見える」。また反面,残念なこと
として,「あいさつの声がもっとほしい」「バスの乗車マナーをもっとしっかりと守
ってほしい」「言葉遣いが気になる」という声もあります。これらの声からも分か
るとおり,附属のより良き伝統,そして子どものあるべき姿を熱望するに,特に「品
性」「真剣」が求められていると考えます。それは自分本位の「pride」ではなく他
者意識を伴った「respect」の精神であり,「敬愛」であり,「気高さ」であり,「気
力」であり,
「のびのび」
「きびきび」
「わくわく」であり,
「自律」した姿なのです。
具体的な取組としては,「はとの子の約束」の見直し・徹底,大学訪問や職場体験等
を取り入れたキャリア教育の充実,子ども・教師・保護者が一体となった礼法・マナー
指導などが考えられます。
今後とも本校は,「附属として」,保護者の,地域の,秋田の,国の期待に応える
べく,より質の高い教育実践活動を行い,「公立学校にはない独自の教育環境の構
築」を目指し,子どものよさを伸ばし,課題を改善することに全力を注いでまいり
ます。
- 12 -
3
入学希望者の確保
平成27年度入学から附属幼稚園・小学校の学級定員が改定されました。(資料10
:「秋田大学教育文化学部附属幼稚園・小学校・中学校における収容定員変更につ
いて」)1学級あたりの児童数が,35人から32人に変更されます。本校は少人数化
を先取りして,すでに5年生以下を32人程度学級にしているため,今回の改定によ
る激変は回避されているかのように見えます。一方,最も変化が激しいのが幼稚園
です。附属幼稚園はこれまで3歳児からの3年保育コースと4歳児からの2年保育
コースを設定していましたが,3年保育への一本化,幼小の一貫した少人数学習を
目的として,各学齢とも定員が32人になりました。4歳児と5歳児の学級定員と学
級数は,35人ずつの2学級から32人の1学級になります。実はこのことが本校の入
学者選抜に大きな影響を与えることになります。平成28年度の入試(29年度入学)
から本校に入学してくる附属幼稚園児が70人から32人に激減し,外部入学の児童が6
4人と約2.5倍に増加します。このような多数の外部入学児童を選抜するにあたって
は当然,入学試験の内容や評価方法等,選抜方法の検証・改善が必要です。
また,全国トップレベルの学力と体力・運動能力を維持し続ける県内公立学校の
教育水準の高さや秋田南高等学校を母体とする県立中高一貫校の開校など,秋田市
内の児童・保護者にとって学校選択の幅が広がる要件が整ってきました。
本校が設定している「秋田市内」という通学区は,平成の市町村合併によりかな
り広いものとなりましたが,通学方法は相変わらず「徒歩か公共交通機関」となっ
ており,秋田市内の中でも実際は交通事情等で本校に通学できなかったり,長時間
の通学が子どもに大きな負担を強いることになる地区があるのが現状です。これは
教育の機会均等という観点からも望ましいことではないと考えます。「秋田市内」
のすべての児童が等しく通学可能となる新たな条件を設定するなど実態に合った通
学条件の検討を行う時期に来ているのではないかと考えます。報道(資料11:H27.1.
20付け秋田さきがけ)によれば,文部科学省が「公立小中学校の統廃合に関する手
引」の中で,適切な通学範囲として現行の小学校4キロ,中学校6キロという距離
表示に加え,バス利用などを想定して「おおむね1時間以内」という通学時間の目
安を示すとあります。これは本校の通学条件を検討する上で,重要な指標となるも
のです。
このような状況下において,適正な入学選考に必要な2.0倍程度の倍率を確保し,
本校教育に耐えうる児童を選考できるかが,附属学校としての本校の使命を遂行し
続ける上で大きな課題となります。入学制度改革プロジェクトチームを校内に組織
し,慎重に検討を重ねていきます。併せて,本校の特色ある教育活動の実際をより
多くの方々に知っていただくために,HPや報道機関を活用した積極的な広報活動
を行うことも必要であると考えます。
- 13 -
4
本校の強みと弱み
~SWOT分析の手法による現状分析~
内部環境要因
外部環境要因
①好奇心旺盛で,能力の高い児童が多い
②学年3学級の規模で児童数の増減が少ない
③教科等の専門性を備え,指導力の高い教員が
多い
④教育熱心でPTA活動などに協力的な保護者
やOBが多い
⑤大学と連携した実践・研究と教員養成を行っ
ている
⑥教育設備が充実している
①県内唯一の国立大学附属小学校である
②入学選抜試験がある
③学区がなく,市内全域から児童が通学してい
る
④市街地に立地し,駅や幹線道路から近く,交
通の便がよい
⑤近くに商店街がある
⑥教育に関心の高い保護者が多い
⑦附属四校園が同じ敷地内にある
S(強み)
W(弱み)
O(機会)
T(脅威)
①レ ベルの高い学習や
新しい授業方法の実
践・研究が可能
②大 人数が一体となっ
た行事で児童が相互
に磨き合うことが可
能
③指 導法や教育哲学を
学び合える
③専 科制や教科担任制
が可能
④保 護者・OBから物
心両面の支援を享受
できる
⑤実 践と理論を統合し
た研究が可能
⑥I CTを活用した教
育が可能
①能力の個人差が大き
いため個別指導への
対応が難しい
②学年の縦のつながり
が薄い
③教師と子どもの関係
性によっては専科制
がマイナス要因とな
ってしまう
④学校に対する期待の
裏返しとして保護者
からの相談が多い
⑤多忙感やプレッシャ
ーからストレスを抱
える教員が出ている
⑥設備の維持管理に経
費がかかる
②本校の教 育理念に見
合った児童の選抜が
可能
③公共交通 機関で通学
することで挨拶やマ
ナーなど社会性が身
に付く
④・⑤
公共施設 や商店が多
く,校外学習の計画
が立てやすい
⑥学校の教 育活動への
保護者の協力を得や
すい
⑦他校種と の交流や連
携を図りやすい
①学校運営のための大
学の予算が十分とは
言えない
②受験者数の減少に伴
い入学定員を確保で
きなくなる
③交通事故・不審者遭
遇など危険のリスク
が高い
③地域住民から保護者
や児童のマナーに関
する指摘がある
⑥学校の対応や教師の
言動等,学校サイド
の問題について,保
護者から様々な指摘
がある
学校内外の環境に目を向けると,本校には様々な教育資源があることが分かりまし
た。それらを本校の教育活動に取り込み活用することが,特色ある学校づくりにつな
がるものと考えます。また,保護者や地域からの信頼を得るためには,学校の重点目
標や取組の様子を,日頃から保護者や地域に発信することが大切です。そのことで,
学校に対する支援や適切な評価が得られるようになり,教育活動の改善に役立てるこ
とができるものと考えます。
子どもの学ぶ意欲や学力・体力の変化,家庭・地域の教育力など,教育を取り巻く
環境は大きく変化しています。それに伴い学校が向き合うべき課題も多様化,複雑化
しており,個人の力量だけでは解決が困難になっています。これらの課題に対応する
ためは,学校の組織力を高めることが必要です。校長・副校長のリーダーシップの下,
教職員が協働しながら個々の得意分野を生かして学校経営に参画し,組織としての力
を発揮していきたいと考えています。
- 14 -
第 Ⅲ 章
目指す方向性
第Ⅲ章
第1
目指す方向性
今後5年間を通じて目指す教育の姿
今後想定される本校を取り巻く環境の変化やこれまで取り組んできた教育の成果と
課題を踏まえ,今後5年間を通じて目指す教育の姿を考えてみます。本校の目指す子
ども像(学校教育目標)・学校像・家庭像は次のとおりであり,教官室の正面に大き
く掲げられています。
子
自
律
ど
のびのび
も
きびきび
わくわく
学校(教師)
子どもの姿で教育を語る学校
子どもとともに明日を語る教師
家庭(保護者)
後ろ姿で子どもを育てるこころがまえをもち,進んで実践する保護者
子どもを丸ごと包み込み,安心できる家庭
また,実践・研究計画「みちしるべ」には,学校教育目標「自律」を構成する要素
として「徳:共生(のびのび)」・「体:自立(きびきび)」・「知:創造(わくわく)」
という3つの柱が示されています。さらにこの3つの柱ごとに具体化された「目指す
子ども像」は次のとおり記されています。
<共生>をささえる子どもの姿
☆
思いやりの心をもち,互いのよさを認め合って高まろうとする子ども
☆
自分で判断して,正しい行動をつらぬく子ども
<自立>につながる子どもの姿
☆
学校生活を楽しみ,心身ともに健康で生き生きと活動する子ども
☆
自分なりの目標をもち,最後まであきらめず努力する子ども
<創造>をうみだす子どもの姿
☆
学ぶ楽しさを見出し,よりよいものを求めて工夫する子ども
☆
自分の可能性を信じ,チャレンジする子ども
- 15 -
本校が,これらの普遍的な大目標等を今後も追究していくためには,第Ⅱ章で述べ
た今後5年間で想定される激しい環境変化に適応できる,骨太で筋肉質の学校へと体
質改善を図ることが不可欠です。さらに,附属学校にしかできない特色ある教育活動
を創造し,在学児童と保護者の満足度の向上,未就学児と保護者の関心度の向上,現
職教員の研修意欲の向上を目指すための具体的な取組内容を明らかにして,学校経営
に当たらなければならないと考えます。
そこで,本プランの目的を次のとおり定め,以下にその目標,次章に重点項目及び
具体的な取組内容を示します。
取り巻く環境の激しい変化に適応しながら,その使命を
確実に遂行する,強く魅力ある附属小学校を創る。
第2
プランの目標
附属学校の3つの使命のうちの「公教育の実施校」としての目標を,目標1「多文化
共生社会を生き抜く力の育成」としました。キーワードは「伸」です。
目標2は,「国の拠点校」としての使命から,「知を拓き発信する学校づくり」とし
ました。キーワードは「先」です。
目標3は,「地域のモデル校」という3つめの使命から,「心安らぎいのち輝く学校
づくり」としました。キーワードは「絆」です。
「伸・先・絆」。この3文字を学校経営,学校づくりのイメージとします。
目 標 1
多文化共生社会を
生きる力の育成
目 標 2
知を拓き
発信する学校づくり
- 16 -
目 標 3
心安らぎ
いのち輝く学校づくり
次に,イメージをもう少し具体的に文章化して,目指す方向を明らかにした「基本方
向」を示します。従来使用してきた学校経営説明資料の中の文言を基にして,それぞれ
の目標に2つずつの基本方向を設定しました。また,取組の成果を客観的にとらえる工
夫として,可能なものは数値による目標管理の手法を用いる試案を加えてみました。
<目標1の達成を目指す基本方向>
基本方向1
豊かな学びを具現化するために,かかわり合いの場の創造
や言語に着目した授業を目指します。
豊かな情操や日本人としてのアイデンティティ,国際感覚
基本方向2
等の素地を養うために,体験活動を効果的に取り入れた教
育課程を編成します。
目標値
入学者選抜試験における,一般幼稚園児等の受験倍率2.0倍を
2.0倍
維持します。
<本校独自調査より>
<目標2の達成を目指す基本方向>
基本方向3
大学と協力して,教職大学院生の実践力の育成や学部学生
の教育実習の充実に貢献します。
大学教員と研究テーマを共有して共同研究を深め,研究成
基本方向4
果を地域の教育現場に発信して,秋田県教育の先導的な役
割を果たします。
目標値
5年間の公開研究協議会の一般参会者数累計600人,
600人と
総参加者数累計3000人を目指します。
3000人
<本校独自調査より>
- 17 -
<目標3の達成を目指す基本方向>
基本方向5
基本方向6
地域の教育現場のニーズをとらえ,附属四校園が組織的
に協働して,課題解決に向けた取組を推進します。
家庭や地域との連携を密にして,共感的な人間関係に裏
打ちされた心の通う生徒指導を実行します。
目標値
4年生以上で,「学校が好きだ・学校に来るのが楽しみ」と感
95%以上
じている児童の割合95%以上を維持します。
<秋田県学習状況調査・本校独自調査より>
第3
1
プラン実現のために
教職員間の共通理解
(1) 副校長は,校長・教頭・主幹教諭(教務主任),(必要に応じて事務室長)との
検討会を開き,本プランの目標・基本方向を確認し,重点項目を策定します。そ
の際,運営委員会や後述する「魅力ある学校づくりPT(プロジェクトチーム)」からの意見
等を参考にします。
また,職員会議で全教職員にプランの概要を説明します。
(2) 各担当部の長は,運営委員会等での重点項目等の説明を受けて,部会の話合い
をもち,経営計画にその趣旨を反映させるとともに,具体的な取組内容を策定し,
確実に実行します。
(3) 全教職員は,プランの目標・基本方向・重点事項・具体的な取組内容等を十分
に理解した上で,日々の教育活動において具体的に実践します。
2
年度ごとの実施計画の策定
上記の「目標・基本方向の確認」,「重点項目の策定」,「経営計画への反映,具
体的な取組内容の策定」は,年度ごとに行います。
3
PDCAサイクルによる実効性の確保
(1) 教頭・主幹教諭(教務主任)は,プランの実効性を確保するために,計画・実
施・評価・改善というPDCAサイクルによる計画推進を確実に実行します。
(2) 魅力ある学校づくりPTの長は,検証・改善のための基礎資料を得るために,
従来の教育活動自己評価に「重点目標」に関する項目を設けて,全教員による評
価を実施します。また,指標となる各種調査結果を収集するなどして,客観的・
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総合的な検証を行い,改善策等を提案します。
4
組織の改編
(1) 本プランの検証・改善を担う部門として魅力ある学校づくりPTを設置する。
校長の諮問を受けて,検証結果と改善方策を提言します。
(2) 重点項目の中で,緊急性・必要性の高いものや慎重な対応が求めれるもの等に
ついては,特別のPTを設置して検討を行います。当面は,はとの子の誇りPT
と入学制度改革PTを設置します。
(3) 従来のプロジェクトはこれまでの実績を踏まえ,発展的解消を図ります。幼小
連携教育及び小中特連携教育を教科等研究の一部として位置付け,食育は健康教
育指導部の業務に含めます。
- 19 -
第 Ⅳ 章
具体的な取組
第Ⅳ章
第1
具体的な取組
重点目標と具体的な取組内容
当面 の 重点 目標 を次 の とお り設 定し , 現段 階で 構想 し た具 体的 な取 組内 容を 示し
ます。
1
グ ロー バ ル時 代 に必 要 な「 対話 力 」の 育 成
主 と し て 担 当 す る 部 : 研 究 委 員 会 , 各 教 科 部 等 , 各 学 級 ・学 年 部
具体的な取組内容として は,各部単位のものと して,
○各教科部等における 「対話」の機能を活か した授業づくり
○校内授業研究会の充 実
また,全校的なものとし て,
○全教育課程を通じた 対話力育成プログラム の策定
○日常的な「対話」の 磨き合い
などが考えられます。
2
豊 かな 情 操と 品 性の 涵 養
主として担当する 部:はとの子の誇りP T,健康教育指導部, 各学級・学年部
具体的な取組内容として は,主に情操教育に関 するものとして,
○ 音 楽 ・図 工 ・ 国 語 ・ 外 国 語 活 動 等 を 中 心 と し た 情 操 教 育 の 充 実
○道徳の時間や異年齢 集団活動の充実による 心の教育の推進
○環境教育・食育の充 実
また,主に,品性の涵養 に関するものとして,
○ 「 は と の 子 の 約 束 」 の 見 直 し ・徹 底
○ 制 服 の き ま り の 確 認 ・徹 底
○日常生活や儀式にお ける礼法指導の徹底
○教師の品格ある言動 による感化
○ふるさと キャリア 教育の充実 ,大学訪 問・職場体験 の実施,地域 住民との
交流活動の継続
などが考えられます。
3
英語教育の充実
主と して 担当 す る部 :外 国語 活 動部
具体的な取組内容として は,本校内部に関わる ものとして,
○ 指 導 計 画 ・指 導 体 制 ・学 習 環 境 の 確 立
○モジュール学習の研 究・充実
ま た , 外 部 と の 連 携 ・協 力 に よ る も の と し て ,
○ 小 ・中 連 携 の 充 実
○国際交流室の活用
○海外交流協力校の確 保および海外修学旅行 の検討
などが考えられます。
4
理数教育の充実
主とし て担当す る部:算 数部, 理科部
具体的な取組内容として は,本校内部に関わる ものとして,
○理数専科教員や理科 支援員の確保
- 20 -
○環境教育を基盤とし た総合的な学習の時間 の充実
ま た , 外 部 と の 連 携 ・協 力 に よ る も の と し て ,
○大学教員特別授業の 実施
○大学の研究施設の活 用
○太陽光発電システム の導入
などが考えられます。
5
入学制度の改善
主と し て担 当 する 部 :入 学制 度 改革 P T, 教 務部
具体的な取組内容として は,選考の適正化に関 するものとして,
○ 選 考 方 法 の 検 証 ・改 善
○実態に合った通学条 件の検討
ま た , 帰 国 ・外 国 人 児 童 の 受 入 に 関 す る も の と し て ,
○適応指導カリキュラ ムの研究・開発
○国際学級の開設
などが考えられます。
6
教 員 養 成 ・研 修 プ ロ グ ラ ム の 改 善
主 とし て 担当 する 部 :教 員 養成 指 導部
具体的な取組内容として は,教員養成・現職研 修に関するものとして ,
○「教員養成秋田モデ ル」の実践・検証
○教職大学院設置に伴 う大学との協力体制の 確立
○院生指導プログラム の開発
また,本校教員のキャリ アアップを図るための ものとして,
○本校職員の研修プロ グラムの充実
などが考えられます。
7
先 導的 な 取組 へ の挑 戦 と情 報発 信
主として担当する 部:教務部,研究委員 会,各教科部等
具体的な取組内容として は,先導的な取組に関 するものとして,
○大学教員との共同研 究による「秋田型」授 業の追究
○各教科部等での特色 ある実践研究の推進
○教科担任制の拡充
○児童の個性伸長を図 るモジュール学習の研 究
また,情報発信の工夫に 関するものとして,
○魅力ある公開研究協 議会・オープン研修会 の実施
○HPや報道機関を活 用した積極的な広報活 動
○公立学校児童を対象 とした夏期講座
○ 市 立 幼 稚 園 ・保 育 園 で の 入 学 説 明 会
などが考えられます。
8
安 全 ・ 安 心 ・潤 い の あ る 教 育 環 境 の 実 現
主として担当する 部:教務部,情報教育 指導部,事務部
具 体 的 な 取 組 内 容 と し て は , 安 全 ・安 心 に 関 す る も の と し て ,
○災害時避難所として の機能向上
○避難訓練の充実等を 通した危機回避能力の 向上
○ I S O 14001に 基 づ く 環 境 影 響 の 改 善
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また,快適で潤いのある 教育環境に関するもの として,
○近代的で衛生的な学 校生活の保障
○動植物との触れ合い スペースの維持・管理
○教育のICT化への 対応
などが考えられます。
9
四 校園 連 携教 育 の推 進
主として担当する部: 教務部,各教科部等, 各学級・学年部
具体的な取組内容として は,授業や活動に関す るものとして,
○子どもの触れ合い交 流活動の継続
○相互乗り入れ授業の 継続
○教員人事交流の実現
ま た , 四 校 園 の 連 携 ・接 続 に 関 す る も の と し て ,
○ 幼 ・小 ・中 3 ・ 6 ・ 3 制 の 実 質 的 な 見 直 し に 向 け た 研 究
○共通課題の解決に向 けた組織的な取組の強 化
などが考えられます。
10
教 育 相談 体 制の 充 実
主として担 当する部:健 康教育指導部, 特別活動部,
ひまわり委員会, 各学級・学年部
具体的な取組内容として は,喫緊の課題に関す るものとして,
○校内いじめ防止対策 委員会の継続開催
○児童会の自治活動を 生かしたいじめ予防対 策
また,特別支援教育に関 するものとして,
○教職員間の子どもに 関する情報の共有
○支援を要する子ども についての幼小・小中 間の情報共有
○ 支 援 を 要 す る 子 ど も の 就 学 ・進 学 を 支 え る 教 育 支 援 委 員 会 の 設 置
などが考えられます。
第2
具体的な取組内容の例
1
研 究構 想 図
2
は と の 子 の 誇 り Dov es' Res pect Pro ject
3
大 学 ・ 附 属 校 園 連 携 Hel lo W orld Pr ojec t
4
大 学・ 附 属校 園 連携 理 科好 き の子 ど も育 成 プロ ジ ェク ト
5
外 国人 ・ 帰国 児 童受 入 体制 整備
6
教 育の I CT 化 計画
7
ソ ー ラ ー ・エ ナ ジ ー 計 画
8
快 適ス ク ール ラ イフ 創 造計 画
9
附 属幼 小 中連 携 教育
10
附 属校 園 の資 源を 活 用し た 地域 貢 献プ ロ ジェ ク ト
- 22 -
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