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戦後日本の金融史 〈そのー)ニ昭和46一49年

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戦後日本の金融史 〈そのー)ニ昭和46一49年
37
戦 後 日本 の 金 融 史(そ の1)昭
和46-49年
MonetaryHistoryofPostwarJapan,Part1,1971--74
釜
国
男*
KunioKAMA
1.は
じめ に
2,昭
和46-49年
3.貨
幣供給 の変動要 因
の 日本 経 済
4.金
融政策 の展開
5.貨
幣 量 と所 得 お よび 物 価 の関 係
6.む
すび
る.
1.は
じめ に
この 時 期 の イ ン フ レ は過 大 な 貨 幣 供 給 が 引
昭 和30年 代 以 降 ほ ぼ 順 調 な 経 済 成 長 を続 け
き起 こ した"過 剰 流 動 性 イ ソ フ レ ー シ ョソ"
良 好 な経 済 パ フ ォー マ ン ス を 誇 った 日本 経 済
で あ り,過 大 な 貨 幣 供 給 を も た ら し た の は政
も,昭 和46年 か ら49年 に至 る4年 間 に は,円
府(大
切 上 げ と フ ロー ト制 移 行,一
の 極 端 な 金 融 緩 和 政 策(い わ ゆ る調 整 イ ソ フ
一一
次 石 油 危 機,
蔵 省)の 誤 ま った 為 替 政 策 と 日本 銀 行
二 桁 イ ン フ レ,マ イ ナ ス 成 長 等 か つ て な い 経
レ政 策)で あ る とい う見 方 が 一 般 的 で あ る.1)
済 変 動 を 経 験 した.こ
の4年 間 を経 て戦 後 の
「イ ソ フ レ ー シ ョソ は,い つ で も,ど こで も,
高 度 経 済 成 長 期 は終 わ りを 告 げ,日 本 経 済 は
貨 幣 的 現 象 で あ る」2)以上,マ ネ ーサ プ ラ イ
安 定 成 長 期 へ 移 行 した.ま た フ ロ ー ト制 移 行
の 急 増 が 高 率 の イ ソ フ レを 引 き起 こ した と い
に よ っ て経 済 の 国 際 化 が 急 速 に進 展 し,日 本
う見 方 は 否 定 で き な い が,問 題 は な ぜ マ ネ ー
経 済 は為 替 レ ー トの動 向 に大 き く左 右 され る
サ プ ラ イ の急 増 が 生 じた の か,単 な る政 策 ミ
よ うにな った.こ
ス で す ま され るの か とい う点 で あ る.日 銀 の
の よ うに昭 和46年 か らの4
年 間 は戦 後 経 済 の 転 換 過 程 に 相 当 し,日 本 の
信 用 調 整 を 困 難 に し た為 替 政 策 や 政 治 的 圧 力
マ ク ロ経 済 分 析 に と っ て極 め て興 味 あ る時 期
の外 に,貨 幣 供 給 メ カ ニ ズ ム 自体 の な か に政
で あ る.同 時 に朝 鮮 動 乱 期 に匹 敵 す る高 率 イ
策 ミス を助 長 す る要 因 が 存 在 しな か った の か
ン フ レが 発 生 し,そ の な か で金 融 政 策 が ク リ
検 討 す べ きで あ る.
テ ィカ ル な役 割 を演 じた 点 で,金 融 史 や 金 融
昭 和48,9年 の大 イ ソ フ レ ー シ ョン の反 省 か
政 策 の分 析 に と っ て も興 味 を そ そ る時 期 で あ
ら,マ ネ ー サ プ ラ イ の重 要 性 お よび 物 価 安 定
*本
研 究 は 「貨 幣 経 済 研 究 会 」 研 究 プ 巨 ジ ェ ク
トの一 部 と し て行 な わ れ た も の で あ る.研 究 会
メ ンバ ー の 方 々か らの 有 益 な コ メ ン トに 感 謝 し
ます.
の カ ギ と し て の 通 貨 管 理 の重 要 性 が 再 認 識 さ
1)例
2)M・
え ば 小 宮 〔2〕,中
川 〔5〕な ど.
フ リ ー ドマ ン 〔9〕24頁.
38季
刊
創
価
経
済
論
集Vo1.XVII,No.4
れ た が,金 融 政 策 に さ か のぼ っ て こ の 時 期 の
に い う 「い ざ な ぎ 景 気 」)も45年7月
マ ネ ーサ プ ラ イ を 分 析 し,さ ら にマ ネ ー と実
り,景
体 経 済 との 関 係 を 詳 し く検 討 した もの は小 宮
段 と鎮 静 化 し た が,5∼6月
論 文 〔2〕 の他 寡 聞 に し て知 らな い.本 稿 の
た.そ の 後 景 気 は 徐 々 に 回 復 に 向 か っ た が,8
目的 は金 融 政 策 を 中 心 に46∼49年 とい う波 乱
月 半 ば の ニ ク ソ ソ ・シ ョ ッ ク の 影 響 で 景 気 は
に満 ち た 戦 後 金 融 史 の一・
時期 を回顧す ること
再 び 停 滞 色 を 深 め た.し
で あ る.
ず,12月
気 後 退 局 面 に 入 っ た.越
和46-49年
の 日本 経 済
た.48年
経 済 企 画 庁 の景 気 基 準 日付 に よ る と,40年
10月 か ら始 ま った 戦 後 最 長 の 景 気 拡 大 期(世
図1実
め た が,同
年 後 景 気 は一
に は 一 応 底 を打 っ
か し不 況 は 長 期 化 せ
を ボ トム に景 気 は穏 や か な 回 復 に 向
か い,47年7月
2.昭
で 終 わ
以 降 本 格 的 な上 昇 過 程 に入 っ
に 入 る と景 気 は 一 段 と上 昇 基 調 を 強
年10月 第 一 次 石 油 危 機 が 発 生 し て
11月 を 境 に 景 気 は 後 退 局 面 に 入 っ た.景
気 の
質 国 民総 生 産,名 目国民 総 生 産 お よび鉱 工 業 生産 の 推 移
i
l
(兆 円)
190
1
兆 円)
180
160一
実 質 国 民 総 生 産(昭 和55年 価 格)
(目 盛 右)
140
一
170
ユ20
一
ユ60
ユ00
『
150
80
灘
『
轡産 畢
莚
lI
へ
‐loo)言.
ン
シ
ヨ
ツ
ク
80
上
〔
切90
げ
1
鉱 工業 生 席
70
60
一1」
46474849
一
(出所)経 済 企画 庁 編 『国 民経 済計 算 報 告』(上巻)昭 和60年,
東 洋 経 済新 報 社 編 『経 済変 動 指 標総 覧』(昭和58年)。
一
一一
一一一
一一
」
March1988釜
国 男:戦 後 日本 の金 融 史(そ
落 ち 込 み は 激 し く,49年
質GNPは
第1四
対 前 期 比3.1%の
半期 には 実
減 少 を 記 録 した 。
1.4%の
マ イナス
成 長 と な っ た.他
和46-49年
39
4月 にや っ と49年1月
の レベ ル を 回復 し た.
昭 和29年 以 降 現 在 まで9回
の景 気 後 退 が あ り
何 れ も鉱 工 業 生 産 は 減 少 して い るが,49年
景 気 変 動 を 反 映 し て 実 質GNPは46年4.3
0,47年8.5%,48年7.9%,49年
の1):昭
方 名 目GNPは
こ
不
況 で は ピ ー クか ら ボ トム ま で の落 ち 込 み が 約
20%と 異 常 に大 き な も の とな っ て い る.
の 間 一 貫 し て 増 大 し て お り,年
平 均増加 率 は
図2は 卸 売物 価,消 費 者 物 価 お よ び 輸 入 物
12.7%で
年 平均増 加率
価(季 調 済)の 動 き を示 して い る.卸 売 物 価
あ っ た.実
は3.6%だ
質GNPの
か ら,GNPデ
フ レ ー タ ー は 年 率9.1
0の 割 合 で 上 昇 し た こ と に な る.鉱
は40年
工業 生産
中 は不 況 の 影 響 で ほ と ん ど 横 ば い で
あ っ た が,47年
後 半 か ら急 増 し 始 め,48年1
は40年 不 況 で一・
時 低 下 し た あ と漸 騰 に 転 じ,
45年 第2四 半 期 ま で上 昇 し続 け た.そ
ぽ い と な った が,47年
に は 実 に 対 前 期 比6 .1%の
増 加 とな っ
て11月 か ら翌年5月
た.鉱
工 業 生 産 の 拡 大 は49年1月
ま で続 いた
した.ピ
か ら は5四
半 期 連 続 し て 減 少 し,53年
図2卸
秋 か ら48年 夏 に か け て
急 騰 し,48年 秋 に は第 一 次 石 油 危 機 が 重 な っ
∼3月
が,2月
に か け て異 常 な高 騰 を示
ー ク の49年2月
に は 前 年 同 月 比37
0,先 進 国 の な か で 最 高 の上 昇 率 で あ った.
売 物価,消 費者 物価 および 輸 入物価 の推 移
(昭 和55年 平 均=100)
80
70
60
50
dO
30
20
L一L_一1-_」L」
40414243444546
の後 横
一L___」
(出 所 〉 東 洋 経 済 新 報 社 編 『経 済 変 動 指 標 総 覧 』(昭 和58年)。
iiiiii
474849
季刊
40
図3貨
創
価
経
済
論
Vol.XVII,No.4
集
幣の 所 得流 通 速度 と預 金 準備 率 の推 移
.b
鱒︺
1
1.4
L3
1
一L」-L__」L_」L
40414243444546474849
_」L__」
一
一L」
(注)預
金 準 備率 は預 金 残 高 最高 クラス の銀 行 等 の定 期性
預 金 以 外 の預 金 に 適 用 さ れ る 準 備 率 で あ る。
(出 所)預 金 準 備 率 は 日本 銀 行 『経 済 統 計 月 報 』諸 号 。
消 費 者 物 価 は30年 代 後 半 か ら年 率5%前
後の
根 強 い 上 昇 傾 向 を示 し て い た が,こ の 傾 向 は
40年 代 に入 っ て も変 わ らず,40年
で平 均4.6%の
割 合 で上 昇 した.し か し47年
秋 か ら急 騰 し始 め,48年
24.4%も
か ら46年 ま
上 昇 し た.か
に11.7%,49年
には
くし て30年 代 半 ば か ら
行 して 上 昇 す る新 た な パ タ ー ンが 生 ま れ た.
一・
方 輸 入 物 価 は43年 前 半 ま で は 比 較 的 安 定 し
て い た が,同 年 後 半 か ら海 外 の 物 価 高 か ら上
昇 し始 め,卸 売 物 価 を押 し上 げ る要 因 とな っ
た.46年10月
∼12月 か ら は第 一 次 フ ロ ー ト制
移 行 お よび ス ミソ ニ ア ソ合 意 に よ る円 の切 り
の卸 売 物 価 は安 定 的 で消 費 者 物 価 だ け が 上 昇
上 げ か ら下 落 し た.し か し47年7∼9月
以降
す る とい うパ タ ー ソ は崩 れ,両 物 価 が ほ ぼ平
原 油 価 格 の 引 き上 げ お よび 円 レ ー トの 下 落 を
March1988釜
国 男:戦
図4マ
後 日 本 の 金 融 史(そ
の1):昭
41
和46-49年
ネ ー サ プ ラ イ,ハ イ ・パ ワ ー ド・マ ネ ー お よ び 貨 幣 乗 数 の 推 移
(10兆 円)
11
10
g
(兆 円)
14
8
12
7
10
6
一
5
6
4
﹁
11
Tl
S
貨幣乗数
10
9
\ 一!一
L__」L__」
一\
﹂
8
49
464748
(注 〉 マ ネ ー サ プ ラ イ と ハ イ ・パ ワ ー ド ・マ ネ ー は 月 末 残 高 。
(出 所)日
本 銀 行 『経 済 統 計 月 報 』 諸 号。
49年 は 逆 に名 目GNP増
主 因 に急 騰 した.
次 に 図3は 名 目GNPを
(M2の 月 末 残 高3か
マ ネ ーサ プ ラ イ
月平 均)で 割 った 貨 幣 の
加 率 がMZを
上 回つ
た の で,流 通 速 度 は高 ま って い る.
3.貨
幣 供 給 の 変 動 要 因3)
所 得 流 通 速 度 を示 し て い る.昭 和40年 か ら45
年 に か け て 名 目GNPは
図4は 貨 幣 供 給 量M(MZ月
年 平 均16.1%,MZ
は15.2%の
割 合 で 増 加 した の でr所 得 流 通 速
度 は0.9%の
割 合 で 上 昇 し た こ とに な る.46
年 と47年 は ル1・増 加 率 が 名 目GNP増
大 幅 に上 回つ た 結 果,流
加率を
通 速 度 は急 落 した.
金 利 と実 質 所 得 が 上 昇 す る な か で 流 通 速 度 が
下 落 した の は ひ とつ の迷 で あ るが,こ の 点 に
つ い て は第5節
で ふ れ る予 定 で あ る.48年
と
末 残,季 調 済)
を ハ イ ・パ ワー ド ・マ ネ ー 供 給 量H(月
残)お
末
よび 貨 幣 乗 数 吻 と と も に示 した もの で
あ る.そ れ らの 間 に は
M=mH,m=DD
D
R(D1+一 び)
R+C
3)貨
幣 乗 数 ア プ ロー チ に よ る貨 幣 供 給 の決 定 に
っ い て は堀 内 〔8〕や 拙 稿 〔1〕を 参 照 され た い.
42季
刊
とい う恒 等 式 が成 り立 つ.こ
創
価 経
こ でDは 非 銀 行
済
論
表1貨
集VoLXVII,No.4
幣 乗 数 とそ の 決 定 要 因(季 節 調 整 値)
部 門 の保 有 す る預 金(定 期 性 預 金 を 含 む),
Rは 銀 行 部 門(正 確 に は 預 金 通 貨 銀 行)の 保
示 した 貨 幣乗 数 の決 定 要 囚 を み
4月 以 降 の乗 数 の 低 下 は も っぱ ら預 金 一 準 備
比 率 の低 下 に よ る こ とが 分 か る.そ れ で は預
1
3
&
4
2
4
a
4
1
2
ス
5
1
9
5
4
8
6
乳
4
7
4
τ
4
2
1
a
4
4
9
5
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3
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9
4
2
7
a
4
9
2
&
4
2
9
a
4
296111
163111.
02611
910111
799111
581111
566'
639
3621111111
143111
995111
788111
8.9681
S.830
9.104
8.673
8.686
S.510
S.390
§纒
8.527
8.529
3908
116
106
91
77
72
67
66
7a
sa
55
50
49
579 9311 19277
357 3207 33310
3
3
8
2
注)数
1
0
0
3
に か け て ほ ぼ3か 月 お
1
7
9
2
同年1月 か ら翌 年1月
の大 幅 下 落 は
1
1
0
3
定 水 準 に と ど ま っ てい る.48年
にはほぼ一
5
1
9
2
比 率 は48年 に大 幅 に下 落 し,49年
1
8
7
2
示 した よ うに この
9
4
0
3
比 率 の下 落 に よ る.表1に
9
1
0
3
お り,乗 数 の低 下 は 主 と し て預 金一 準 備 預 金
7
4
8
2
の うち預 金 一 手 許 現 金 比 率 は比 較 的 安 定 し て
49年1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
0
8
3
3
預 金 に対 す る比 率 に依 存 す る こ と に な る.こ
6
2
9
2
預 金 一 準 備 比 率 は預 金 の手 許 現 金 お よ び 準 備
40189
6
5
α
3
営 業 に 必 要 な手 許 現 金 を保 有 して い るの で,
lli糧
09852
58821
84219
33332
け られ て い る.こ の他 に市 中 銀 行 は 本 支 店 の
111揚
8564
5439
3976
4333
金 の 形 で 支 払 準 備 金 を 保 有 す る こ と を義 務 づ
311169
364
113
975
444
「準 備 預 金 制 度 に関 す る法 律 」に よ り日銀 預 け
101172
YOI172
49159
89i152
19
54
00
11
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
441160
251131
719 39!8355
2200 745555
11!10 00000
1 1111 11111
の
78153
8449
7858
57164
81155
79i55
76155
8052
53155
77153
67155
30159
689 3045 22725
7 6 5 5 7 5 5 54 2 2 1
が 国 で は 預 金 通 貨 銀 行 は昭 和32年
1← -← 可⊥
48年1月
か.わ
0 0 0 9 9 9 9 9 9 9 8 8
金 一準 備 比 率 の低 下 は な ぜ 生 じ た の で あ ろ う
0
0 0 0 (V O
■⊥ -⊥ ■⊥ 噌⊥ -占 i⊥
る と,預 金一 現 金 比 率 は ほ とん ど一 定 で47年
476Z1
356111
s2711
649111
566111
563111
525111
451111
390'11
460111
46311
3341111
172
152
149
172
160
159
213
156
126
155
143
194
8357 747 36129
880 7847 28532
とどま
∩) ∩) 0 0
0 0
噌⊥ ーム 可⊥ ﹁⊥ -⊥ -
っ た.表1に
47
した た め に,貨 幣 供 給 の 増 加 は68%に
月 月月月 月月月月 正月月月
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
年
%増 加 した が,貨 幣 乗 数 が ネ ッ トで16%低 下
06811
252;11
1861111
105111
288111
329111
6731Y1
率
39 3554 6181 21
03 164 0970 748
末 ∼49年12月 末 に84
78910
979111
941111
408 7322
799 7604
171 9610
5554 556
ー ド ・マ ネ ー は46年1月
方 ハ イ ・パ ワ
811zo
757:10
10 425
71 274
3 2920
55 455
よび 図4).一
現 金比 率嘩 備比 率i比
87 673 6422 594
77 901 2244 367
とな った(表1お
0 0 0 0 0 0 0
1⊥ 可
⊥ ■⊥ 1 1⊥ -⊥-⊥
あ と,低 下 傾 向 を た どっ て49年12月 末 に は8.4
9 9 9
末 に10.7と な った
9 9
Cは 非 銀 行 部 門 の 現 金 通 貨 で あ る.貨 幣 乗 数
月月 月月月月 月月正 月月月
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
年
46
和
昭
有 す る預 金 準 備 金(日 銀 預 け 金+手 許 現 金),
は46年 中 上 昇 し続 け,12月
預 金 一 預 金 一1預 金 一
準備預 金
貨幣乗 数
値 はす べ て 月 末 の残 高 か ら計 算.
き に 預 金 準 備 率 が5回 連 続 して 引 上 げ られ た
を 低 下 さ せ る.48年
こ とに よ る.も し預 金 通 貨 銀 行 が あ る程 度 超
て 準 備 率 が 著 し く低 い 現 行 制 度 の 下 で も,準
過 準 備 を保 有 して おれ ば 準 備 率 が 引 上 げ られ
備 率 を ドラ ス テ ィ ッ ク に 引 上 げ る と 貨 幣 供 給
て も預 金 一 準 備 預 金 比 率 は必 ず し も低 下 し な
を か な り の 程 度 抑 制 で き る こ と が 分 か る.
い が,様
々 の理 由 か ら超 過 準 備 が事 実 上 皆 無
の わ が 国 で は準 備 率 の 引 上 げ は直 ち に 同比 率
の 例 か ら,諸
外 国 と比 べ
次 に ハ イ ・パ ワ ー ド ・マ ネ ー の 検 討 に 移 ろ
う.こ
れ は 用 途 と源 泉 の 二 つ の 面 か ら検 討 す
March1988釜
国 男:戦
後 日本 の金 融 史(そ
の1):昭
43
和46-49年
る必 要 が あ る が,用 途 面 は表1の 比 率 で イ ン
雑 勘 定(負 債)に 売 出手 形 が含 まれ る の を別
プ リシ ッ トに表 わ され て い る の で,こ
とす れ ば,そ の 他 勘 定 は金 融 政 策 と直 接 関 係
こで は
ど の よ うな 経 路 で供 給 され た の か源 泉 面 だ け
な い,あ
るい は 日銀 に と り所 与 の 項 目か ら成
をみ る こ とに す る.金 融 政 策 を マ ネ ー サ プ ラ
る.貸 出金 は割 引手 形 と貸 付 金 の 合 計,国 債
イ の 観 点 か ら検 討 す るた め に は これ は 必 要 不
お よび 債 券 は政 府 短 期 証 券,長 期 国債 お よび
可 欠 な ス テ ップ で あ る.
政 府 保 証 債 か ら成 る.上 の 関 係 式 か ら,ハ イ
日本 の 金 融 統 計 で は 日銀 『経 済 統 計 月 報 』
・パ ワ ー ド ・マ ネ ー は主 と し て貸 出 金,買 入
が 昭 和43年 か ら 「マ ネ タ リーサ ーベ イ」 の通
手 形,国 債 お よ び海 外 資 産 の 増 減 を 通 じ て供
貨 当局 勘 定 と し て ハ イ ・パ ワー ド ・マ ネ ー供
給 され る こ とが 分 か る.図5は
給 量 を掲 載 し て い る.同 勘 定 負 債 欄 の 現 金 通
を示 し て い る.次 下,各 項 目 ご とに 説 明 を加
貨 発 行 高 と預 金 通 貨 銀 行 預 り金 の 合 計 額 が そ
え よ う.
れ で あ る.こ の 合 計 額 は通 貨 当局(日 本 銀 行
イ)貸 出金
と外 国 為 替 資 金)の 資 産 か ら政 府 預 金 を 差 し
そ れ ら の動 き
貸 出 金(季 調 済)は 昭 和46年1月
末2兆4,
引 い た 額 に等 しい の で,資 産 を構 成 す る項 目
000億 円 だ った の が,12月
と政 府 預 金 が 分 か れ ば ハ イ ・パ ワー ド ・マ ネ
円 に 減 少 した.こ れ は 貿 易 収 支 の黒 字 と国 際
ー の 供 給 経 路 が 明 らか とな る.し か し残 念 な
通 貨 不 安 に よ る輸 出前 受 金 の 流 入 か ら預 金 が
が ら通 貨 当 局 勘 定 資 産 欄 の 内 訳 は 大 まか 過 ぎ
大 幅 に増 加 した 都 市 銀 行 が 日銀 借 入 金 を 返 済
て 金 融 政 策 に 関 す る細 か な 情 報 を 与 え て くれ
し た こ とに よる.こ れ に よ っ て 昭 和31年 以来
な い.こ の た め こ こ で は 同月 報 の 「日本 銀 行
の オ ー バ ー ・mン
勘 定 」 を併 用 す る こ と に した.す な わ ち
た.過 去 に お い て も昭 和30年 夏 か ら翌 年9月
ハ イ ・パ ワ ー ド ・マ ネ ー
末 に は 僅 か7,000億
現 象 は一 時 的 に 解 消 し
頃 ま で続 いた い わ ゆ る"数 量 景 気"の 際 に 輸
e発 行 銀 行 券+補 助 貨 幣 流 通 高+預 金 通
貨 銀 行 預 り金
出 の増 加 に よ る外 為 会 計 の 大 幅 散 超 か ら都 市
銀 行 の 日銀 借 入 れ が 急 減 した が,こ
e日 銀 資 産 合 計+補
助 貨 幣 流 通 高+預 金
の例が再
び 繰 り返 え され た わ け で あ る.47年6月
通 貨 銀 行 預 り金 一(金 融 機 関預 金+政
日銀 貸 出 は 増 え は じめ,48年11月
府 預 金+そ
億 円 とな っ た あ と減 少 に 向 か い,49年
の 他 預 金+雑 勘 定+準 備 金
+資 本 金+積 立 金)
少 気 味 に推 移 し て い る.48年
=貸 出金+買 入 手 形+国 債 お よび 債 券+
海 外 資 産+そ
た の は,貸
から
に2兆7000
中 も減
に頭 打 ち に な っ
出限 度 額 の壁 につ き 当 た った た め
で あ る.こ の 間 ハ イ ・パ ワー ド ・マ ネ ー は84
の他
ここで
%増 大 し て い る の で,貸 出金 の 占 め る割 合 は
そ の他e金 地 金+現 金+代 理 店 勘 定+雑 勘
定(資 産)+補
助 貨+預
金通貨 銀行
46年 の平 均29%か
ら49年 の16%へ
と大 き く低
下 し て い る.昭 和37年 に導 入 され た 「
新 金融
預 り金 一 金融 機 関 預 金 一政 府 預 金 一
調 節 方 式 」 は従 来 の 日銀 貸 出 を 通 ず るハ イ ・
そ の他 預 金 一雑 勘 定(負 債)一 準 備
パ ワ ー ド ・マ ネ ー の 供 給 方 式 を 改 め,代 わ り
金 一資 本 金 一積 立 金
に債 券 購 入 で供 給 す る狙 い を もつ て い た が,
季刊
44
図5,ハ
創
価
経
済
論
集
Vol.XVII,No.4
イ・
パ ワー ド・マ ネー の 源 泉 別 内 訳
(兆 円)
5
4
3
2
1
0
5
4
3
2
1
4
3
2
1
﹁↓ー ヨ
つD
貸 出 金
ワ白
,
1
1⊥
iiL
46474849
(出 所)日
本 銀 行 『経 済 統 計 月 報 』 諸nrj。
_
March1988釜
国 男:戦
後 日本 の金 融 史(そ
の1):昭
和46-47年
45
こ こ に き て こ の 目的 は あ る程 度 達 成 され た と
れ た の は,日 銀 貸 出 が ほ ぼ ク レ ジ ッ ト ・ラ イ
言 え る.但 しそ れ は,偶h円
ンに 達 し増 額 の 余 地 が 無 か った た め で あ る.
高 回 避 の為 替 政
策 か ら外 為 会 計 が 未 曽有 の 大 幅 散 超 を 記 録
し,都 銀 の 資 金 ポ ジ シ ョソ が 改 善 され た 結 果
ハ)買 入 手 形
買 入 手 形 は昭 和47年6月
に導 入 され てか ら
実 現 した も の で あ る.
短 期 間 に残 高 が 急 増 し,国 債 や 海 外 資 産 と並
ロ)国 債 お よび債 券4)
ぶ ハ イ ・パ ワ ー ド・
マ ネ ー の主 要 な供 給 ル ー ト
政 府 短 期 証 券 は昭 和46年 約15兆2,000億
47年18兆2,000億
年17兆7,000億
円,48年17兆8,000億
円 発 行 され た が,そ
中 公 募 で 消 化 され た の は46年
円,
とな っ て い る.そ
して こ の手 形 を対 象 と した
円,49
手 形 オ ペ レ ー シ ョソ が,政 府 短 期 証 券 を対 象
の うち 市
とす るオ ペ レ ー シ ョンが 困難 な 状 況 の下 で そ
が 全 体 の12.0
0,47年3.0%,48年3.1%,49年0.6%で
事
れ に代 わ る金 融 調 節 手 段 と し て導 入 され た.
図5か
ら 明 らか な よ うに 買 入 手 形 の保 有 額 は
実 上 日銀 が 全 額 引 受 け て い る.日 銀 は一 部 を
48年 後 半 に急 増 して い る,こ れ は原 油 価 格 の
政 府 の 特 別 会 計 や 政 府 関 係 機 関 な どに 売却 し
大 幅 値 上 が りに よ る国 際 収 支 の赤 字 に 端 を発
た が,利 回 りが低 い た め 市 中金 融 機 関 は ほ と
し た 外 為 会 計 の 引 揚 超 過 か ら財 政 が大 幅 の揚
ん ど購 入 して い な い.日 銀 保 有 の政 府 短 期 証
超(48年7∼12月
券 は もっ ぱ ら財 政 収 支 状 況 を反 映 し,欧 米 諸
金 融 機 関 の資 金 ポ ジ シ ョンが 悪 化 した の に対
国 の よ うに中 央 銀 行 の 金 融 政 策(公 開 市 場 操
処 して 「
都 銀 の もつ 適 格 手 形 が 時 に底 が み え
作)を 反 映 す る もの で は な い.長 期 国 債 は昭
るほ ど大 量 に 買 った 」(中 川 〔5〕57頁)た
和41年1月
め で あ る.な お46年8月
か ら発 行 が 再 開 され た が,財 政 法
に1兆5,000億
円)と な り,
に は 折 か ら の余 剰 資
の 規 定 で 日銀 引 受 け が 禁 止 され て い るた め 大
金 を 吸 収 す る 目的 で 売 出手 形 制 度 が 発 足 し
半 は金 融 機 関 と証 券 会 社 が 引 受 け た.し か し
た.売
42年1月
億 円 に達 した が,そ
か ら国 債 オ ペ レ ー シ ョソが ス タ ー ト
出手 形 の残 高 は 同 年12月 末 に は3,000
の後 減 少 して47年 末 に は
して 日銀 は 金 融 機 関 の 引 受 け た 国 債 を 一 年 後
Rと な り,48年 に再 び 売 り出 され た が 額 は
に 無 条 件 で 買 い取 る こ と に な り,45年 ま で 買
僅 少 に と ど ま っ て い る.正 確 を 期 す た め に は
オ ペ を 実 施 した.46年
買 入 手 形 か ら売 出 手 形 を 差 し引 い た ネ ッ トの
年1,000億
か ら売 オ ペ に転 じ,46
円,47年700億
円 の国 債 を 売 却 し
残 高 を検 討 す べ き で あ るが,売
た.こ れ は 国 際 収 支 黒 字 に よ る マ ネ ーサ プ ラ
な の で 「そ の他 」 に含 め た.
イ の増 大 を不 胎 化 す る狙 い を も って い た.
二)海 外 資 産
48年 か ら は再 び 買 オ ペ を 実 施 し,48年2兆
出手 形 は少 額
海 外 資 産 は主 と して 日銀 が政 府 の 外 為 会 計
円 の 国債 を買
か ら購 入 し た外 貨 か ら成 る.政 府 が 外 為 会 計
い 取 った.5}こ う した 巨 額 の買 オ ペ が 行 な わ
を 通 じて ドル の 買 い 介 入 を行 う場 合,必 要 な
4,700億 円,49年1兆5,600億
円 資 金 は外 為 証 券 を発 行 す るか ドル を 日銀 へ
4)こ
の部 分 は 中 島将 隆r日 本 の 国債 管 理 政 策 』
第7章 に 負 って い る.
5)目
銀 は この 他 に 証 券 会 社 と の 問 で も国 債 の売
買 を 行 な った が,金 融 機 関 に比 べ る と額 は小 さ
い.
売 却 し て調 達 し て い る.こ の うち 外 為 証 券 は
殆 ど全 額 日銀 が 引 受 け て い る の で,い ず れ の
方 法 で も外 為 会 計 の 収 支 尻 は直 接 ハ イ ・パ ワ
46季
刊
一 ド ・マ ネ ー に 響 くわ け で あ る .し
創
価
か るに外
為 証 券 に よ る 分 は 既 に 「国 債 お よ び 債 券 」 の
一 部 と して検 討 した の で
,こ
こで は外貨売
買 だ け を 検 討 す れ ば よ い.大
蔵 省 『財 政 金
経
済
論
集Vol.xvr工,No.4
ズ 体 制 の 崩 壊 と変 動 相 場 制 移 行,第
危 機 な ど の 外 的 シ ョ ッ ク に 見 舞 わ れ,政
局 は そ の 対 応 に 追 わ れ た.本
策 を 展 開 し た の か,公
て い る 「国 庫 対 日銀 収 支 」 に よ る と,昭
和46
レ ー ス し て み よ う.
年 第1四
半 期 に 日銀 は 国 庫 か ら3,800億
円の
(1)ス ミ ソ ニ ア ン 合 意 ま で
外 貨(原
数 値)を
い て 第2四
2,800憶
半 期8,700億
円,第4四
行 な っ た.年
で,こ
円,第3四
昭 和46年
半 期6,200億
半 期2兆
間 合 計 す る と約4兆2,000億
円
れ は 同 年 の ハ イ ・パ ワ ー ド ・マ ネ ー 増
加 額 の4.6倍
に 相 当 す る 大 き さ で あ る.第3
四 半 期 だ け に つ い て み る と,実
す る.も
に27.8倍
に達
し貸 出 金 と 国 債 お よ び 債 券 の 減 少 が
な か っ た な ら ば,ハ
イ ・パ ワ ー ド ・マ ネ ー は
記 録 的 な 増 加 と な っ た で あ ろ う.47年
及 び 第4四
は 売 り越 し で,年
っ た.48年
聞 で は600億
は 第1四
半期
円の売却 であ
半 期 こ そ2,900億
入 れ で あ っ た が,第2四
7,000億
は 第1
半 期 が 買 入 れ,第2,第3四
円 の買
半 期 以 降 合 計1兆
円 の 売 却 を 行 っ た 結 果,海
1兆2,000億
月 の 第2次
円 の 減 少 を み た,こ
フ ロ ー ト移 行 後10月
発 ま で,1ド
ル265円
節 で は これ ら の
定歩 合政 策 を中心 に ト
に 入 っ て 日 銀 は1月,5月,7月
相 次 い で 公 定 歩 合 を0.25%0ず
円の買入 れ を
外資 産 は
れ は 同 年2
の石油危機 勃
の 円 レ ー・トを 維 持 す べ
策当
シ ョ ッ ク に 直 面 し て 日銀 は ど の よ う な 金 融 政
融 統 計 月 報 』 の 『国 庫 収 支 』 特 集 に 掲 載 さ れ
ア ウ ト ラ イ トで 買 入 れ,続
一次 石油
6参 照),金
と
つ 引 き 下 げ(図
融 緩 和 を 進 め た.こ
れ は45年7
月 か ら始 ま っ た 景 気 後 退 に 対 処 し て,金
融面
か ら景 気 の 回 復 を 促 進 す る狙 い を も つ て い
た,こ
の 結 果 公 定 歩 合(商
業 手 形 割 引 歩 合)
は 一 連 の 引 下 げ 前 の6.25%か
し た.そ
ら5.25%へ
低下
して数 次 の利 下 げ で 景 気 回 復 の兆 し
が 見 え 始 め た8月15日,突
如 米国 の ニク ソソ
大 統 領 が ドル の 金 交 換 停 止 を 含 む 一 連 の 緊 急
対 策 を 発 表 し た.こ
の 日,東
大 の 下 げ 幅 を 記 録 し,立
証 株 価 は既 往 最
ち 直 りか け た 景 気 は
再 び 不 況 へ 逆 戻 り し 始 め た.西
欧 主要 国 はた
だ ち に 外 国 為 替 市 場 を 閉 鎖 し,フ
下 で 市 場 を 再 開 し た が,ひ
ロ ー ト制 の
と り 日 本 は8月27
日 ま で 旧 平 価 を 堅 持 した ま ま市 場 を 開 きつ づ
け た.こ
∼27日
の 間 大 規 模 な ドル 売 りが 発 生 し,16
の 間 に 日 銀 は39億
ドル の ドル 買 い を 余
く為 替 当 局 が 巨 額 の 売 り介 入 を 行 な っ た こ と
儀 な く さ れ た.7)わ
を 反 映 し て い る.6)最 後 に49年
円 も の ハ イ ・パ ワ ー ド ・マ ネ ー が 吐 き 出 さ れ
に3,800億
は 第1四
半期
円 の 売 却 が 行 な わ れ た だ け で,第
ず か11日 間 に1兆4,000億
た わ け で あ る.表1に
よ る と8月
2四 半 期 か ら は 日銀 と 国 庫 と の 間 で 外 貨 売 買
は10.2で
は 実 施 さ れ て い な い.
合 も乗 数 は 同 じ と仮 定 す る と,こ
あ り,ド
ル の 平 衡 買 いが な か っ た 場
マ ネ ー サ プ ラ イ は14兆3
4.金
融 政 策 の展 開
あ ろ う.こ
昭 和46∼49年
の 日 本 経 済 は,ブ
宮=須
田 〔3〕,表2-3に
よ る と,3月
月 ま で の 売 り介 入 は 合 計52.5億
れ は7月
,000億
れ に よって
円増加 したで
末 の 貨 幣 残 高(原
数 値)
レ トン ウ ッ
7)一
6)小
の貨幣乗 数
か ら9
ドル に 達 す る.
説 に よ る と こ の 額 は46億
(中 川 〔5〕15頁),こ
第 六 巻322頁
こ で はr日
に 拠 っ た.
ドル に 達 す る が
本銀行百年 史』
March1988釜
国男: 戦 後 日本 の金 融 史(そ の1):昭
の24%に 相 当す る大 き さ で あ る.
和46-49年
47
た ドル 買 い 介 入 の 規 模 は30億 ドル(そ の 間 の
日本 だ け が 単 独 で為 替 市 場 を 開 ぎつ づ け,
平 均 レー一トで 円 に換 算 す る と9,800億
円)を
旧 平 価 で 無 制 限 に ドル を 買 い 込 ん で マ ネ ーサ
上 回 っ た.46年
プ ラ イ の 急 増 を 招 い た(8月
を 維 持 した た あ,長 期 国債 の 売 却 と貸 出 金 の
同 月 増 加 率23%)点Vrつ
のMZの
い て,政
対前 年
府(大
蔵
中 日銀 は金 融 緩 和 政 策 の 基 調
回 収 に よ る ドル 不 胎 化 政 策 も不 十 分 な ま ま に
省)の み な らず 日銀 に も責 任 の一 端 が あ る.
終 わ り,貨 幣 供 給 は 前 年 比20%以
確 か に 日銀 は 大 蔵 省 の意 向 に従 い 外 為 会 計 の
伸 び と な った.そ
勘 定 で 外 貨 を 購 入 した に過 ぎ な い が,同 会 計
に追 い 打 ち を か け る よ うに,日 銀 は ス ミソ ニ
の 代 理 と して 市 場 に直 接 出動 す るの は 日銀 で
ア ン協 定 が 成 立 した 直 後 の12月28日 の政 策 委
あ る の で,即 時 市 場 閉 鎖,フ
員 会 で公 定 歩 合 の0.5%引
ロー ト制 移 行 を
勧 告,説 得 す べ き立 場 に あ った.と
ころが 日
上 の大幅 な
し て前 年 来 の 金 融 緩 和 政 策
下 げ を 決 定 した.
政 策 委 員 会 議 長 の談 話 「
経 済 活 動 は引 き続 ぎ
銀 は 「同 日 〔16日〕 夕 刻 に 開 か れ る予 定 の大
停 滞 を示 して い る の で,新
蔵 省 との 会 議 開 催 ま で の短 期 間 の うち に 明 確
決 定 後 の 内外 情 勢 を も考 慮 し,日 本 銀 行 は,
な 方 針 を 打 ち 出す に 至 らず,続 い て大 蔵 省 内
こ の 際 金 利 の低 下 傾 向 を 一 段 と促 進 す る た め
で 開 か れ た大 蔵 省 ・本 行 の 合 同 会 議 で は,本
… …」9>か ら読 み 取 れ る よ うに ,引
行 側 は市 場 閉 鎖 に伴 う問 題 点 を 指 摘 し,市 場
い は 円 切 上 げ に よ る不 況 の長 期 化 を 阻 止 し,
閉 鎖 は適 当 で な い 旨 の 意 見 を 表 明 した 」8)に
あ わ せ て 国 際 収 支 の黒 字 不 均 衡 に よ る 円 の再
と ど ま っ た.
切 上 げ を 回 避 す る こ とで あ っ た.し か し経 企
以 上 の よ うに為 替 政 策 の失 敗 が ハ イ ・パ ワ
しい 為 替 レー ト
下げの狙
庁 の 景 気 基 準 日付 に よ る と46年12月
は丁度
ー ド ・マ ネ ー の 爆 発 的増 加 を もた ら した が ,
景 気 の谷 に 当 た り,以 後 景 気 は48年11月 ま で
も し財 政 当 局 が 必 要 な 円 資 金 をす べ て 外 為 証
拡 大 を続 け た.当 時 物 価 は比 較 的 安 定 し て い
券 の発 行 で調 達 し,し か も同 証 券 が 全 額 市 中
た が,マ ネ ーサ プ ラ イ の急 増 や 株 価 急 騰,土
消 化 され て い た と した ら,政 府 の 外 貨 準 備 が
地 投 機 の動 きか らみ て,公 定 歩 合 は 引 き下 げ
増 え るだ け で マ ネ ーサ プ ラ イ の急 増 は 回 避 で
るべ き で は な か った と思 わ れ る.裁 量 的 金 融
き た で あ ろ う.さ ら に,も
し外 為 証 券 の 市 中
政 策 が 景 気 安 定 の 実 を あ げ るた め に は何 よ り
公 募 制 度 が確 立 され て い た な らば,わ ず か11
も まず 経 済 情 勢 の的 確 な 判 断 を 必 要 と す る
日間 に あれ ほ ど巨 額 の ドル 買 い 支 え を 行 うこ
が,円 切 上 げ の デ フ レ効 果 を 過 大 視 し た こ と
と は資 金 面 か ら不 可 能 で あ った ろ う.
か ら景 況 判 断 を 誤 ま り,47年 秋 以 降 の物 価 急
結 局,為 替 市 場 は8月28日
か ら暫 定 的 フ ロ
騰 の種 を ま い た の で あ る.景 気 の安 定 化 を 目
ー トに移 行 して 円 レー トは フ ロー ト ・ア ップ
ざ し た政 策 が逆 に経 済 を不 安 定 に し た の は 皮
を 続 け た.こ の 間 政 府 は,円 の切 上 げ 幅 を 極
肉 な こ と で あ る.
力 小 幅 に と どめ るべ く積 極 的]/Yl..市
場介入 を行
(2)第二 次 フ ロ ー ト開 始 ま で
な っ た.9月
か ら12月 に か け て 日銀 が 実 施 し
ス ミ ソニ ア ソ合 意 に よ る円 切 り上 げ に もか
か わ らず47年 の経 常 収 支 は前 年 を 上 回 る黒 字
8)日
本 銀 行r日
頁.
本 銀 行 百 年 史 』 第 六 巻319∼320
9)日
銀 調 査 局r調
査 月 報』 昭 和47年1月
号.
季刊
48
創
価
図6各
経
済
論
Vol.XVII,No.4
集
種金 利 の推移
/
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1__IIIEIII
46474849
(出 所)東
(注)公
洋 経 済 新 報 社 編 『経 済 変 動 指 標 総 覧 』(昭 和58年)。
定 歩 合 は 商 業 手 形 割 引 歩 合,コ
ー ル ・レ ー トは 無 条 件 物,東
京,平
均 。
を続 け,黒 字 傾 向 は年 央 か ら年 末 に か け て 一
映 し て コ ール ・レ ー トと全 国銀 行 貸 出 平 均 約
段 と強 ま った.円
定 金 利 も一 段 と低 下 した(図6).
た い 政 府 は,そ
の再 切 り上 げ は絶 対 回 避 し
こで 内需 拡 大 を 促 進 す るた め
公 定 歩 合 引 下 げ が 検 討 され て い た こ ろ確 か
財 政 支 出 の拡 大 と並 ん で 一 層 の 金 融 緩 和 を 図
に卸 売 物 価 は 安 定 し て い た が,既
った.こ
価 は急 騰 して お り卸 売 物 価 の上 昇 も時 間 の問
うし て大 蔵 省 は 日銀 に対 し て公 定 歩
に地 価 や 株
合 の 引下 げ を 内hに 要 請 し,佐 藤 首 相 も佐h
題 で あ った.さ
木 日銀 総 裁 に 同 様 の 要 請 を行 な った.し か し
歩 ん で い た こ とか ら,今 回 の利 下 げ は前 回 以
公 定 歩 合 に連 動 し て 郵 貯 金 利 を 引 き下 げ る の
上 に不 必 要 か つ 有 害 な もの で あ った.こ
に 数 か 月 を費 し,当 初 の予 定 よ り大 幅 に 遅 れ
に つ い て さす が に 日銀 当局 も 「公 定 歩 合 引 下
て47年6月23日
げ が もた らす で あ ろ うイ ソ フ レ 的影 響 に つ い
の臨 時 政 策 委 員 会 で 公 定 歩 合
ら に 景 気 も着 実 な 回 復 軌 道 を
の点
決定 さ れ
て の 見 方 が 甘 か っ た こ と,さ らに通 貨 価 値 の
し て 国債 及 び そ の他 債 券 の発 行 条 件 の
安 定 を最 大 の 使 命 とす る 中央 銀 行 と して こ の
改 定,預 貯 金 金 利 及 び 長 期 プ ラ イ ム ・レー ト
問 題 へ の取 組 み形 が適 切 で な か った こ と は遺
の0.5%引
た.そ
下 げ(4.75→4.25%)が
の 引 下 げ が これ に続 い た.一 連 の利 下 げ を反
10)r日
本 銀 行 百 年 史 』 第 六 巻385頁.
March1988釜
国 男: 戦 後 日本 の 金 融 史(そ
の1):昭
和46-49年
49
憾 な が ら否 定 で きな い」10)と 自己 反 省 し て い
年 以 降 の最 高水 準 に 達 した,ま た5月
る.
の 引上 げ に際 し て預 金 準 備 率 も 同 時 に 引 上 げ
47年 秋 口に な る と前 年 来 の マ ネ ーサ プ ラ イ
られ た.こ の結 果 預 金 残 高1兆
と8月
円 超 の銀 行 ・
急 増 の影 響 が物 価 に波 及 し,こ れ に輸 入 物 価
長 期 信 用 銀 行 ・外 国 為 替 銀 行 の定 期 性 預 金 は
の 上 昇 も加 わ っ て卸 売 物 価 は8月 か ら,消 費
2.0%,そ
者 物 価 は 少 し遅 れ て年 末 か ら急 騰 し始 め た.
用 され る こ と に な っ た.
と こ ろが 円 の再 切 り上 げ 回 避 を至 上 命 題 とす
の他 の預 金 は3.75%の
準備 率が適
こ うした 一 連 の金 融 引 締 め 強 化 措 置 に よ り
る政 府 は,田 中 首 相 の列 島 改 迄 論 の 影 響 も あ
全 国 銀 行 貸 出約 定 平 均 金 利 は下 げ 止 ま り,48
っ て強 気 の 財 政 金 融 政 策 を続 け よ う と した .
年3月
この た め 日銀 は 本 格 的 な 金 融 引 締 め に踏 み 切
制 度 的 要 因 で大 部 分 決 定 され る が,48年10月
る こ とが で きず,準 備 率 の引 上 げ は48年 に ず
ま で に公 定 歩 合 は4回,合
れ 込 んだ 、 す な わ ち48年1月9日
%)引
政 策委員 会
か ら上 昇 に転 じた.日 本 の 貸 出 金 利 は
上 げ られ,ま
計65%(4.25→7
た 長 期 プ ラ イ ム ・レ ー ト
は預 金 準 備 率 の 引 上 げ を 決 定 し,こ れ に よ っ
も8月 と10月 に 引 上 げ られ た こ とか ら,貸 出
て約3,000億 円 の市 場 資 金 を 吸 収 した .準
備
約 定 金 利 が 急 上 昇 した の で あ る.一 方 コ ール
率 引 上 げ の 理 由 と して,政 策 委 員 会 議 長 談 は
・レ ー トも急 激 な 上 昇 を示 した .こ れ は数 次
「流 動 性 過 剰 の 状 態 を 是 正 し,あ わ せ て景 気
に わ た って 公 定 歩 合 が 引 上 げ られ,さ
の過 熱 を未 然 に 防 止 す る」11)こ とを あ げ て い
備 率 の 引 上 げ で 準 備 預 金 の積 み 増 しが 行 な わ
るが,景 気 は既 に 過 熱 気 味 で あ った こ とか ら
れ た た め で あ る.
(47年 第4四 半 期 の 実 質GNPの
10.4%),「
年 率増加 率
景 気 の過 熱 を 未 然 に防 止 す る」 と
い う表 現 は事 実 を 歪 曲 した もの と言 え よ う.
(3)48年2月 か ら第 一 次 石 油 危 機 ま で
ら に準
な お48年 に は公 定 歩 合 操作 な どの オ ー ソ ド
ッ クス な 金 融 政 策 と並 行 して,選 択 的 金 融 規
制 が 実 施 され た.す な わ ち 日銀 は 同 年1∼3
月 期 以 降都 市 銀 行,長 期 信 用 銀 行 及 び 信 託 銀
続 い て 日銀 は3月2日
預 金 準 備 率 の再 引 上
行 の10大 商 社 に対 す る貸 出増 加 額 を 指 導 し,
げ を 決 定 し,約3,500億
円 の市 場 資 金 を吸 収
ま た 市 場 経 由株 式 取 得 の圧 縮 を 要 請 した.同
し た.当 時 国 会 で 予 算 案 が 審 議 中 で あ り,公
時 に地 方 銀 行 等 に対 し て も大 商 社 向 け 融 資 の
定 歩 合 引 上 げ ま で のつ な ぎ と し て準 備 率 が 引
自粛 を要 望 した.一 ・
方 大 蔵 省 は48年12月25日
上 げ られ た わ け で あ る.一 方 公 定 歩 合 の切 上
に 「当 面 の 経 済 情 勢 に対 処 す るた め の 融 資 の
げ は 大 幅 に遅 れ,や
あ り方 」 を 各 金 融 機 関 に通 達 し て,土 地 取 得
っ と3月31日
の臨時政 策
委 員 会 で0.75%(4.25→5.0%)の
決 定 され,4月2日
切 上げ が
か ら実 施 され た.
上 げ 引 締 め 強 化 の 姿 勢 を鮮 明 に し た.す
と7月 に そ れ ぞ れ0.5%,8月
%引 上 げ,商 業 手 形 割 引 歩 合 は7%と
11)日
銀 調 査 局r調
査 月 報 』 昭 和48年1月
らに48年8月
日銀 は取 引 先 金 融 機 関 に 対 して 住 宅 ロ ー ソを
日銀 は そ の後 矢 継 ぎ早 に 公 定 歩 合 を3回 引
わ ち5月
関 連 融 資 の 抑 制 を 要 請 した.さ
な
に1
昭 和37
号.
除 く消 費 者mソ
の 抑 制 を要 請 し て い る.こ
れ らの 規 制 は商 社 金 融 や 不 動 産 金 融 を抑 制 し
て 商 品 価 格 や 地 価 ・株 価 の 高 騰 を押 さ}る 狙
い を もつ て い た が,マ
ネ ー サ プ ラ イ に有 意 な
影 響 を 与 え た か ど うか 疑 わ しい.
5。
季刊
創
価
引 締 め 政 策 の効 果 を ハ イ ・パ ワ ー ド ・マ ネ
ー につ い てみ る と,47年5月
で の8か 月 間 に23.4%増
か ら48年1月
ま
済
論
集Vol.XVII,No4
ず で あ る.し
か し オ ー バ ー ロ ー ソ で,銀
増加 と
行間
に 一 定 の 流 動 性 比 率 を 厳 守 す る と い うル ー ル
が な い 現 在,実
加 し た の が,48年2
月 か ら10月 ま で の8か 月 に は20.5%の
経
際 に は そ れ は あ ま り強 力 な 手
段 で は あ りえ な い,そ
の た め,48年1月
と3
な って い る.同 じ期 間 に マ ネ ー サ プ ラ イ は
月,2度
16.8%お
反 応 は さ っ ぱ りで あ っ た 」12)と 否 定 的 見 方 を
よ び11.6%の
増 加 に と ど ま っ た.両
者 と もに 伸 び 率 が低 下 して い るの で,こ の 限
りで 引 締 め効 果 は あ っ た と言 え る.こ こ で マ
に わ た っ て 準 備 率 を 引 き 上 げ た が,
し て い る.つ
ま り準 備 率 の 引 上 げ で 貨 幣 乗 数
が 低 下 し て も,同
時 に 日銀 借 入 れ が 増 加 す る
ネ ー サ プ ラ イ の低 下 幅 が 大 き い の は,準 備 率
た め 貨 幣 供 給 の抑 制 に はつ な が らな い とい う
の 引 上 げ で 貨 幣 乗 数 が10%程
見 方 で あ る.し
度 低 下 した こ と
か し な が ら外 為 会 計 を 通 ず る
に よ る.
分 は 別 と し て,ハ
(4)第一 次 石 油 危 機 か ら49年 末 ま で
部 分 は 日 銀 自 身 が 供 給 し て お り,一
金 融 引 締 め が よ うや く浸 透 し始 め た48年10
月,第 一 次 石 油 危 機 が発 生 して 物 価 の 騰 勢 は
イ ・パ ワ ー ド ・マ ネ ー の 大
率 を 引 き 上 げ な が ら,他
方 で準 備
方 で は貸 出 や 買 入 手
形 を 増 や す と い う ち ぐ は ぐ な 日銀 の 行 動 が そ
一 段 と強 ま っ た .こ の た め 日銀 内部 で は金 融
う し た 結 果 を も た ら し て い る の で あ る.日
引 締 め 再 強 化 の た め 公 定 歩 合 を さ らに2%あ
は 自 ら準 備 率 操 作 の 効 果 を 殺 ぐ よ う な 行 動 を
るい は3%引
と っ て い る と 言 え よ う.
き上 げ る案 が 出 た が,佐
裁 の 判 断 で2%引
々木 総
上 げ と決 し,大 蔵 省 との 話
銀
金融 引締め再 強化 の影響 で短期 金融市場 は
し合 い に 入 っ た.大 蔵 省 内 で は財 政 負 担 の 大
一 段 と逼 迫 度 を 増 し ,コ
幅 増 を理 由 に反 対 論 が 強 か った が,福 田蔵 相
ク 時 の49年8月
に は13...,現
の 決 断 で2%引
瞬 間 的 に19%台
の 記 録 的 な 水 準 に 達 し た.コ
上 げ が 同 意 され,12月21日
の
臨 時 政 策 委 員 会 で正 式 に決 定 され た.こ れ に
よ っ て商 業 手 形 割 引 歩 合 は9%と
明 治19年 以
先 レー ト は
ール の 上 昇 は銀 行 の 貸 出 しを 抑 制 して貨 幣 乗
数 の 低 下 を も た ら し た.ま
来 最 高 の 水 準 と な っ た.ま た 公 定 歩 合 が 一 挙
昇 し た が,規
に2%も
が あ り,49年1∼3月
引 き上 げ られ た の は 日銀 の 長 い 歴 史
ー ル ・レ ー トは ピ ー
た 貸 出金 利 も急 上
制 金 利 の性 質 上 上 げ 幅 に も限 度
に は全 国 銀 行 貸 出 平 均
で も今 回 が 初 め て で あ っ た.同 時 に預 金 準 備
約 定 金 利 が公 定 歩 合 を一 時 的 に下 回 る とい う
率 も一 部 引 上 げ られ,預 金 残 高 最 高 ク ラ ス の
わ が 国 で は 珍 し い 現 象 が み ら れ た,
銀 行 等 の定 期 性 預 金 に は制 度 創 設 以 来 最 高 の
2。25%が 適 用 され た.こ れ で 準 備 率 は48年 に
次 に 金 融 引 締 め の 影 響 を ハ イ ・パ ワ ー ド ・
マ ネ ー に つ い て み る と,対
入 って5回 引 上 げ られ た こ とに な るが,こ の
10∼12月
た め 貨 幣 乗 数 が か な り低 下 して 貨 幣 供 給 の増
%,4∼6月
勢 鈍 化 に寄 与 した こ と は既 に 指 摘 した.こ
10∼12月
の
の37.2%か
前 年 増 加 率 は48年
ら49年1∼3月
の28.3%,7∼9月
の17.3%と
の30.9
の25.5%,
着 実 に 低 下 し た.こ
のた
点 に つ い て 中 川 〔5〕 は,「 理 論 的 にい え ば,
め マ ネ ー サ プ ラ イ の 増 加 テ ソ ポ も48年10∼12
預 金 準 備 率 の操 作 は強 制 的 な 市 場 資 金 の 吸 収
月 の18.9%か
・解 放 で あ る か ら,き わ め て 協 力 な 武 器 の は
12)中
ら16.0%,13.1%,11.5%,
川 〔5〕69頁.
March1988釜
11.2%と
国 男: 戦 後 日本 の 金 融 史(そ
期 を 追 っ て 低 下 し た.マ
ネ ー の増 加
の1)
:昭 和46-49年5・
年 ま で 両 者 の増 加 率 は お お む ね15∼20%の
範
率 は'・ イ ・パ ワ ー ド ・マ ネ ー の 半 分 程 度 に と
囲 内 に お さ ま り,貨 幣 の所 得 流 通 速 度 は年 率
ど ま っ た が,こ
0.9%の
れ は 準 備 率 の 引 上 げ か ら貨 幣
ペ ー ス で 漸 増 傾 向 に あ っ た(図3参
照).46年
乗 数 が 大 幅 に 低 下 し た た め で あ る.
か ら48年 第2四 半 期 に か け て 貨 幣
の増 加 率 は 爆 発 的 な 上 昇 を み せ た が,名
5.貨
幣 量 と所 得 お よ び 物 価 の 関 係
GNPの
以 上 で 貨 幣 供 給 の決 定 要 因 及 び 金 融 政 策 の
目
方 は45年 第3四 半 期 か ら46年 第4四
半 期 ま で連 続5期
か な りの テ ン ポ で 伸 び 率 が
検 討 を 終 え,次 に 本 節 で は貨 幣 供 給 が所 得 と
低 下 し,47年
物 価 に如 何 な る影 響 を及 ぼ した の か 検 討 す
四 半 期 ま で上 昇 し続 け た.こ の た め 流 通 速 度
る.
は45年 第3四 半 期 の1.49か
図7は マ ネ ー サ プ ラ イ と名 目GNPの
対前
ら48年 第2四 半
期 の1.23へ と17%も 下 落 した,48年
年 増 加 率 を プ ロ ッ トした もの で あ る.昭 和45
図7マ
に入 って 上 昇 に転 じ て48年 第4
期 か らは 金 融 引 締 め の影 響 で貨 幣 供 給 の増 加
ネ ー サ プ ライ お よび 名 目GNPの
増 加 率(対 前 年 同 期 比)
(%)
30
マ ネー サ プ ラ イ
%1
2・ト
ユ5
ユ0
5
一 」 一L_____」L_」
41424344454647
一
」L」L__」L_.一
済 企 画 庁 編 『国 民 経 済 計 算 報 告 』(昭 和60年),日
『経 済 統 計 月 報 』諸 号。
幣 量 増 加 率 は 月 末 残 高3か
一
4849
(出 所)経
r注)貨
月 平 均 ,名
55年 基 準 国 民 経 済 計 算 に よ る 。
第3四 半
目GNPは
本 銀行
昭和
季刊
52
、ロ!
ー
月 注、
(
図8企
創
価
経
済
論
VIXVII,No.4
集
業 の手元流動性 比率
1
らO
、
、
、
ノ
/\ 建設
\
2
\
/へ
・\ ノ!へ
、
1
1ρ{噛
0
上
下
、
上
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一
下
上
L」L一L」
4041424344454647
學『
下
・、.
上
、
下
一
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隔
一
・
一
上
一
下
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・
一 ・
ノ 卸 売
上
ド 上 丁
一
一
上 下
一
上 下
uu
4849
上
下
(出 所)日 銀 統計 局 『
主 要 企業 経営 分 析 』昭 和44年 度 下期,49年 度 下期 。
金預
=・ 現
月平
均金
売残
上 高(注)手
高元
。流動 性 比率
率 は大 幅 に スmダ
GNPの
ウ ソ して い る が,名
目
伸 び 率 は大 し て低 下 して い な い.流
し,40年 代 前 半 の平 均 的 な 水 準 に も ど った の
は49年 に入 って か ら で あ る.特 に サ ー ビ スや
通 速 度 は上 昇 した が,先 の 落 ち 込 み の 半 分 程
建 設 業 で の上 昇 が 目立 つ が,こ れ らの業 種 は
度 回復 し た に 過 ぎな い.
元 々高 い 流 動 性 を保 持 して い るの で,上 昇 幅
図8は 主 要 企 業 の 手 元 流 動 性 比 率(現 預 金
も 自然 大 き くな っ た も の とみ られ る.流 動 性
÷ 月平 均 売 上 高)を 全 産 業 とい くつ か の 業 種
比 率 は 売 上 高 と比 較 した 企 業 の貨 幣 需 要 を 表
に つ い て 示 した もの で あ る.13)ほ とん ど の業
わ し て い るの で,少 な く と も大 企 業 の貨 幣 需
種 で46年 上 期 か ら手 元 流 動 性 が厚 くな り,同
要 は昭 和46∼48年 に大 幅 に増 加 した こ とが 分
年 下 期 に ピー ク に達 した 後 も高 い水 準 を維 持
か る.
以 上 の よ うに経 済 全 体 に つ い て も企 業 部 門
13)他
に石 炭,私 鉄,海 運,電 力,ガ ス が あ る
が 省 略.全 産 業 は これ らを 含 む10業 種 の合 計 で
あ る.
に つ い て も46年 以 降 貨 幣 流 通 速 度 の大 幅 な低
下 が み られ るが,そ
の原 因 は必 ず し も は っ き
Marchl988釜
国 男:戦
後 日本 の金 融 史(そ
りし な い.一 般 に金 融 緩 和 の行 き過 ぎか ら金
の1):昭
和46-49年
53
46年 後 半 か ら上 昇 し は じめ,47年
には 田中内
余 り現 象 が 生 じ,こ れ が 「過 剰 流 動 性 」 あ る
閣 の列 島 改 造 ブ ー ムが 加 わ っ て 暴 騰 した,東
い は 「流 動 性 過 剰 」 の状 態 を もた ら した と考
証 株 価 指i数(年 平 均)は46年9.9%の
上昇 で
え られ て い る.14>つ ま り需 要 を オ ー バ ーす る
あ った の が,47年57.2%,48年28.3%の
上昇
貨 幣 が 供 給 され て人 々 は欲 し くな い 貨 幣 ま で
とな り,ピ ー ク時 の48年1月
抱 え込 ん で い た とい うわ け で あ る.し か し戦
比99%の
時 中 の よ うに極 端 な物 不 足 か ら商 品 の購 入 が
っ て 株 式 ブ ー ム は去 り,株 価 は15.2%下
妨 げ られ た り自 由 な資 産 取 引 が 制 限 され て,
た.地 価 も ほ ぼ 同 じ コ ー ス を た ど った.し た
止 む な く貨 幣 を 保 有 す る場 合 は と もか く,問
が っ て土 地 や 株 式 保 有 に よ るキ ャ ピ タ ル ・ゲ
題 の期 間 に お い て は 財 ・
サ ー ビス や 金 融 資 産,
イ ソ は流 通 速 度 と全 く逆 の 動 きを 示 し て い
実 物 資 産 いず れ に つ い て も 自 由 な 売 買 が で き
る.こ れ は次 の よ うに 解 釈 で き る.当
た は ず で あ る.し た が って"意 図 ぜ ざ る"貨
式,土 地 投 機 を 行 な っ た の は も っぱ ら企 業 で
幣 保 有 が 広 範 に大 量 に存 在 した とは考}ら れ
あ り,企 業 は投 機 資 金 の 一 部 を 金 融 機 関 か ら
な い.そ れ で は 望 ま し い 流 通 速 度 は な ぜ 低 下
借 り入 れ た.そ の た め 預 金 通 貨 が 膨 ら ん で
した の で あ ろ うか.
ル1・は増 大 した が,有
一 般 に貨 幣 の 流 通 速 度 に影 響 を与 え る要 因
と し て,1)貨 幣 の 代 替 的 資 産 の予 想 収 益 率,
2)ニ ア ー ・マ ネ ー の 出 現 に よ る貨 幣 機 能 の分
散,3)経
済 の先 行 き471___関
す る予 想 の変 化,な
上 げ 幅 を 記,,し た.し か し49年 に 入
落し
時 株
効 需 要 お よ び所 得 の増
加 が 伴 わ ず,所 得 を貨 幣 残 高 で 割 っ た 流 通 速
度 は低 下 し た.
第2に
ニ ア ー ・マ ネ ー の 出現 で あ るが,こ
れ が 本 格 化 した の は昭 和50年 代 以 降 で あ り,
40年 代 に は ま だ 金 融 の 自 由化 は進 ん で い な
どが 考 え られ る.
まず 貨 幣(M・)の
に は対 前 年 同 月
代 替 的 資 産 と し て代 表 的
な もの を あ げ る と,郵 貯 や 債 券,株 式,不 動
い.し た が って こ の要 因 は無 視 で き る.
第3に 経 済 の先 行 き に 関 す る予 想 で あ る
産 な どの 金 融,実 物 資 産 が あ る.こ の うち郵
が,人hが
先 行 き に 自信 を持 て ば 貨 幣 保 有 の
貯 の 金 利 は銀 行 の預 金 金 利 と同様 公 定 歩 合 に
効 用 が 減 少 して 流 通 速 度 は 高 ま り,逆 に先 行
リン ク し て い る の で,両 者 の金 利 格 差 が 短 期
き不 透 明 感 が増 す と貨 幣 の効 用 が 増 加 して 流
間 に急 速 に拡 大 す る こ とは な い.公 社 債 流 通
通 速 度 は低 くな る.46年 以 降 わ が 国 は人 々 の
利 回 りは大 幅 な 金 融 緩 和 を 背 景 に46年 か ら47
不 安 心 理 を あ お り,先 行 き不 透 明 感 を増 す 経
年 半 ば にか け て 急 速 に 低 下 し た あ と,同 年 後
済 的 シ ョ ッ クに 次hと 見 舞 わ れ た.政 策 的 対
半 か ら49年11月 ま で 上 昇 し続 け た.し た が っ
応 の まず さ も手 伝 って 人 々が悲 観 的 に な り,
て 流 通速 度 とほ ぼ 同 じ動 きを 示 し て お り9予
貨 幣 保 有 性 向 を 高 め た こ とは 十 分 考 え られ る.
想 利 回 りが現 実 の利 回 りで 近 似 で き る とす れ
以 上 の 要 因 に加 え て イ ン フ レ予 想 が 作 用 し
ば,公 社 債 流 通 利 回 りは説 明 要 因 の候 補 の ひ
た 可 能 性 が あ る.47年 秋 か ら の二 桁 イ ン フ レ
とつ とい え よ う.
を 経 験 して 人 々 の予 想 イ ソ フ レ も高 ま り貨 幣
次 に株 式 と不 動 産 で あ るが,株 価 と地 価 は
14)例
え ば 後 藤 〔4〕.
の 節 約 が 進 ん だ が,量 的 効 果 が 小 さ く他 の 要
因 に よ っ て 相殺 さ れ て し ま っ た と 考 え ら れ
季刊
5}斗
)
%茄
(
図9生
創
価
経
済
論
産 量 単 位 当 た りマ ネー サ プライおよびGNPデ
集Vo1.xvzz,No.4
フレー ター の 変 化 率
20
:15
10
5
0
一
一
一
414243444546474849
一LL___」L____」L___」
の上 昇 に はず み を つ け た.48年 秋 か らのGNP
る.
図9は
一
実 質GNP1単
位 当 た りの 貨 幣 残 高
(ユ ニ ッ ト ・マ ネ ー サ プ ラ イ)をGNPデ
フ
デ フ レ ー タ ー の上 昇 に は 原 油 価 格 引上 げ の影
響 も織 り込 まれ て い る.CPIやWPIが
輸入
レ ー タ ー の 変 化 率 と対 比 さ せ た も の で あ る.
品 を 含 む の と違 っ て,GNPデ
45年 第3四
国 内 で 生 産 され た財 の み を 対 象 と して い るの
半 期 ま で 比 較 的 モ ダ レ ー トな 増 加
フ レー タ ー は
に と ど ま っ て い た ユ ニ ッ ト ・マ ネ ー サ プ ラ イ
で,輸 入 物 価 が 上 昇 して もGNPデ
は,第4四
ー が 上 昇 す る必 然 性 は な い .と こ ろ が48年 秋
半 期 以 降 急 速 に 伸 び 率 を 高 め,46
年 に も 引 き 続 き 上 昇 し た.そ
し て これ は ほ ぼ
1年 の タ イ ム ・ラ グ を 経 て47年 第1四
らGNPデ
フ レ ー タ ー の加 速 度 的上 昇 を もた
ら した.47年
に 入 っ て ユ ニ ッ ト ・マ ネ ー の 伸
びirk多 少 鈍 化 し た も の の,い
持 し,48,49年
か っ た.加
半期 か
ぜ ん15%弱
を維
に も伸 び 率 の 低 下 は 見 られ な
え て48年 第4四
半 期 か ら貨 幣 の 流
通 速 度 が 上 昇 し は じ め,GNPデ
フ レータ ー
フレータ
の時 点 で 消 費 者 物 価 は貨 幣 供 給 の急 増 か ら既
に か な りのペ ー ス で上 昇 中 で あ り,石 油 シ ョ
ッ クが これ に拍 車 をか け た.こ
大 幅 に上 昇 した が49年
32.9%企
のため賃金 が
の春 闘 賃 上 げ 率 は
業 は 賃 金 コ ス トの 上 昇 を 製 品 価
格 に転 嫁 し,GNPデ
ブv一 タ ー の上 昇 を 招
い た の で あ る.い ず れ にせ よGNPデ
フ レー
タ ー の急 騰 は過 大 な 貨 幣 供 給 が そ の原 因 で あ
国男:戦 後 日本 の金融 史(そ の1):昭
March1988釜
和46-49年55
た ら した 、 変 動 相 場 制 度 の 下 で は国 際 収 支 に
っ た と 言 え よ う,
妨 げ られ る こ とな く金 融 政 策 を 国 内経 済 安 定
6.む
す び
化 の 目標 に向 け られ るは ず で あ る が,実 際 に
昭 和46∼49年
は 日本 の 金 融 当 局 に と り悔 い
は 人 為 的 に あ る一 定 の レ ー トを 守 ろ う とす る
の 多 い 年 で あ っ た.こ
の 間 消 費 者 物 価 と卸 売
介 入操 作 の た め,金 融 政 策 が撹 乱 され た.第3
物 価 は と も に 約60%上
昇 し,GNPデ
に 日銀 の独 立 性 の軽 視 とい う問 題 が あ る.日
フ レータ
ー もほ ぼ 同 率 の 上 昇 と な っ た .一 方 実 質GNP
の 年 平 均 増 加 率 は4.8%に
と ど ま り,49年
銀 は現 在 公 定 歩 合 の変 更 に つ い て は 完 全 な権
に
な 発 言 権 を持 ち,大 蔵 大 臣 の 同 意 な く して は
は 戦 後 初 の マ イ ナ ス 成 長 を 記 録 し た.41∼4'S
年 の 平 均 増 加 率 が11.0%で
あ っ た の で,経
限 を 与}ら れ て い るが,事 実 上 大 蔵 省 が 大 き
済
日銀 は そ の権 限 を行 使 しえ な い 状 況 に あ る.
成 長 率 は 半 分 以 下 に 落 ち 込 ん だ わ け で あ る.
しか も こ の大 蔵 省 は また 郵 貯 金 利 をめ ぐ る郵
勿 論 こ うした 経 済 パ フ ォー マ ン ス の 悪 化 を す
政 省 との 折 衝 や 自民 党 筋 か ら の圧 力 もあ っ て
べ て 日銀 の せ い に す る こ と は で き な い .物
必 ず し も自 らの 是 とす る政 策 を とれ な い.特
価
上 昇 の一 部 は輸 入 物 価 の 上 昇 に よ る もの で あ
り,49年
の マ イ ナ ス 成 長 もOPECに
よる 原
油 価 格 の 大 幅 引 上 げ が そ の 原 因 と み られ る.
に 列 島 改 造 を 掲 げ て 積 極 的 な 財 政 ・金 融 政 策
を 推 進 し よ うと した 田 中 内 閣 時 代 の 日銀 へ の
政 治 的干 渉 は 目 に あ ま る もの が あ っ た,15)第
し か し 日銀 の 金 融 政 策 も経 済 状 態 の 悪 化 に 一
4に 金 融 調 節 手 段 の 問 題 が あ る.昭 和46年 に
役 買 っ た こ と は 否 定 で き な い.マ
は手 形 売 買 市 場 と売 出 手 形 制 度 が 発 足 して 金
イ の 増 加 率 は46年 の21.8%か
0へ 上 昇 し,引
15.7%で
ネ ーサ プラ
ら47年 に は23.1
も
場 が存 在 しな い た め に本 格 的 な公 開 市 場 操 作
目 の49年 に な っ て
は行 え な い状 況 に あ る.も し米 国 の よ う に
締 め 政 策 へ 転 換 し た48年
あ り,引
締 め2年
や っ と10.0%Vim.ち
着 い た の で あ る.こ
の 平 均 増 加 率 は17.7%で,こ
平 均 増 加 率19。7%よ
の間
れ は41∼45年
り2%ポ
の
イ ン ト低 い が,
揺 れ が 大 き い 分 だ け 経 済 を 不 安 定 に し た,
で は 何 故 金 融 政 策 の 運 用 は う ま くい か な か
っ た の で あ ろ うか.第1に
ス が あ げ ら れ る,ス
経 済情勢 の判断 ミ
ミソ ニ ア ン合 意 に よ る円
切 上 げ の デ フ レ効 果 を 過 大 視 し て46年12月
の
景 気 転 換 を 見 過 ご し た の は そ の 一 例 で あ る.
第2に
為 替 当 局 の 市 場 介 入 操 作 が ハ イ ・パ ワ
ー ド ・マ ネ ー の 供 給 を 不 安 定 な も の に し た .
ニ ク ソ ン ・シ ョ ヅ ク ,第
ル 買 い 介 入,そ
融 調 節 手 段 の整 備 は一渉 前 進 し た が,TB市
一 次 フmト
期は ド
の 後 は ドル 売 り介 入 が 行 わ れ
て ハ イ ・パ ワ ー ド ・マ ネ ー の 拡 大 ・収 縮 を も
TBオ
15)「
ペ レ ー シ ョン が可 能 で あ っ た な ら,46
今 か ら思 え ば,遅
くと も こ の 時 点 〔47年
夏 〕 で 公 定 歩 合 と準 備 率 を 上 げ,本 格 的 な金 融
引 き締 め に踏 み 切 るべ きで あ った.し か し 田 中
新 内 閣 の列 島 改 造 論 が 横 行 す る なか で,引 き締
め へ の転 換 は,と て もで きそ う に な か った.
… 昭 和48年2月 ,公 定 歩 合 を ど うし て も 引 き
上 げ る必 要 が あ る と の 肚 が 内 部 的 に 固 ま った 。
・
・
大 型 ・積 極 予 算 を 組 ん だ 政 府 は ,こ の段 階
で の 公 定 歩 合 引 き上 げ は まだ 時 期 尚早 だ と頑 張
っ て い た.… …3月 に入 る と,… … 田 中 首 相 も
よ うや く 「これ まで は 多 少物 価 が 上 が っ て も,
中 小 企 業 へ の 影 響 を 考 慮 して,総 需 要 抑 制 に踏
み 切 る こ とを た め らっ て い た が,こ の 点 は反 省
し て い る」 と従 来 の ス タ ソス を 変}た.3月13
日,待 望 の予 算 案 が 衆 議 院 を 通 過 した.し か し
大 蔵 省 は 公 定 歩 合 引 き上 げ の方 針 に は 同 意 した
も の の,予 算 の完 全 成 立 に こ だ わ り,予 算 が 自
然 成 立 す る あ との4月13日 を 主 張 し て い た.
… …遅 れ に 遅 れ た 公 定 歩 合 の 引 き上 げ は
,こ う
し て3月31日 午 後 の 政 策 委 員 会 に お い て決 め ら
れ た の で あ る」 中川 〔5〕,36∼44頁.
季刊
56
創
価
年 後 半 に は も っ と徹 底 した ドル 不 胎 化 政 策 が
経
済
論
集
Vol.XVII,No.s
り返 さ れ た 日 銀 の 政 策 ミス ー 」,『 エ コ ノ ミ ス
ト』 第51巻44号,X973年10月.
とれ た で あ ろ う.
〔5〕
中 川 幸 次 『体 験 的 金 融 政 策 論 』 日 本 経 済 新
聞 社,ユ981年.
参
考
文
献
〔6〕
〔1〕 釜 国男 「日本 に お け る貨 幣 供 給 プ ロセ ス の
実 証分 析 」,r創 価 経 済 論 集』 第17巻 ユ号,1987
年6月.
〔2〕 小 宮 隆太 郎 「昭 和 四十 八,九 年 イ ン フ レ ー
シ ョソ の原 因 」,『経 済 学 論 集 』 第42巻1号,
1976年4月.
〔3〕 小 宮 隆 太 郎,須
田美 矢 子r現
代 国際 金融
論,歴 史 ・政 策 編 』 日本 経 済 新 聞社,1983年.
〔4〕 後 藤 新 一 「財 政 金 融 政 策 の歴 史 的 教 訓 一 繰
中 島将 隆
『日本 の 国 債 管 理 政 策 』 東 洋 経 済
新 報 社,1977年.
〔7〕
日本 銀 行 百 年 史 編 纂 委 員 会r日
本銀行百年
史 』第 六 巻,ユ986年.
〔8〕
堀 内 昭i義r日
本 の 金 融 政 策 一 金 融 メ カ ニズ
ム の 実 証 分 析 一 』 東 洋 経 済 新 報 社,ユ980年.
〔g〕Friedman,M.,Thecounter-revolutioni72
n20netarytheory,InstituteofEconomicAfε
airs,OccasionalPaper33,1970.
(経 済 学 部 助 教 授)
一
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