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真也のカンボジア便り ~その9~

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真也のカンボジア便り ~その9~
 真也のカンボジア便り ~その9~
今月から新しい家に住み始めました!カンボジアの首都プノンペンから北に120キロ程のところにあ
る、クロコーという小さな町に家を借りています。ここから毎日、水上村へと通うことになります。この家に
は、今自分の頭の上で巣を作っているスズメの他に、カンボジア人のスタッフ、ラー君が一緒に住んでいます。
ラー君は自分のパートナーであり、良きお兄さんです。すでに結婚しているためか、少し親父くさいところが
ある彼に、
「まさやは本当にダメだなあ」とよく注意されています。一緒に活動を始めてまだ1ヶ月ちょっと。
お互い手探りの状態です。
今回はずいぶんとお伝えしていなかった、水上村での出来事を分かち合いたいと思います。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
☆ 恵みの雨
カンボジアはもう雨季に入り、毎日激しい風と雨が水上村を襲います。湖ですが、大きな波もやってきます。
ですので、沖にある水上村の家々は、高い波をさけて、毎日のように引越しを繰り返し、陸地へ陸地へと移動
しています。この雨はトンレサップ湖(水上村のある湖)の水位をどんどん上げていきます。昨日までの陸
地が、明日には湖に沈んでしまいます。ですので、一週間も水上村を訪れないと、村の景色はガラリと変わっ
てしまうのです。
湖にあるのに、きれいな水を手に入れることが困難なこの村にとって、雨水は貴重です。雨季には様々な所
からの水が湖に流れ込むため、水がとても汚くなります。生活の要である湖の水が使えなくなる村の人達に
とって、雨はまさに天からの恵みです。
自分が活動の拠点としている教会は今、村の一番外れにあるので沖の様子がはっきりと見えます。夕方に
なると、沖にぞくぞくと舟が集まって来ます。家族や友達同士、みんなで水浴びに行くのです。沖の水は村周
辺の水よりきれいです。みんなそのまま湖へ飛び込んで、髪や体をごしごし洗っています。
この光景を見る度に、
「平和だなあ」と感じます。こんなにのどかで、幸せ一杯の光景はなかなか見ることが
出来ないのではないでしょうか。水浴びから帰って来た人はみんな、ずぶぬれで、楽しそうにおしゃべりしな
がら、笑顔いっぱいで家へと帰っていくのです。
勉強好きなラー君(27歳)。もうすぐお父さんです! 沖へ集まって来る舟。飲み水も沖から汲んできます。
でも、水上村で自分が感じることは、心の平和や幸せばかりではありません。むしろ困難さを感じることが
1
多い日々です。ベトナム語を話す水上村の人達とのコミュニケーションの難しさや、どこへ行くにも舟が無
ければ移動が出来ない不便さ。慣れない水上での生活は様々な所で困難を感じます。もちろん活動を進めて
いく中で感じる困難さもあります。パートナーであるラー君とのコミュニケーションだって、まだまだうま
くいっているわけではありません…。
そんな困難さを感じていたある夜、自分はラー君と膝と膝を交え、じっくりと語りました。ラー君は水上村
での活動をどう感じているのか?淡々と仕事をこなしているように見えるラー君だけど、つらくはないのか?
つらいのは自分だけ?いろいろと質問をぶつけると、彼はこう答えました。
「自分にもやりたくないこと、つらいことがたくさんある。この前の病人の付き添いだって、本当は嫌だった。でも自
分がそれを出来たのは、神様が力を与えてくれたから、聖霊が自分を助けてくれたからだよ。そうじゃなきゃ出来な
いことが、普通の人間である自分にはたくさんあるよ。」
先日、水上村に住む精神病の患者さんが発作を起こし、娘である女の子が泣きながら教会へ助けを求めに
やって来ました。遠くの町にある病院へと搬送しなければならなくなりましたが、発作を起こして我を忘れ
ている彼女を乗せてくれるバスや車はありません。運転手はみんな彼女を乗せるのを嫌がり、付き添いをし
たラー君は3時間以上も車を待ち続け、その間中何度も運転手への説得を試みたそうです。
そんな彼のがんばりと、彼のこの言葉を聞いた時、
「ラーって、いいやつだなあ」と心底思いました。そして、
彼が自分のパートナーでいてくれることを、本当にうれしく思い、感謝したのでした。
淡々と仕事をこなしているかのように見えた彼。でも本当は彼も水上村で、自分と同じように悩んでいた
のです。それが分かった時、言葉がうまく通じ合わない彼と自分との距離が縮まった気がしました。
彼は正直な気持ちを自分に伝えてくれます。そして彼は自分の弱さを受け入れ、そこに働く神様の恵みを
知っています。こんなに良いパートナーは、きっと他にいません。
きっとこれから、ケンカすることもあるでしょう。自分のヘンテコなカンボジア語は、毎日のように彼の機
嫌を損ねていますし、自分が彼に対していらだつこともあります。でもきっと、大丈夫です。なぜなら、彼の言
うように、弱い人間のそばにいて、励ましてくれるイエスがいるからです。水上村で大いに悩む若者二人は、
イエスによってつながり、イエスによって導かれているミッショナリー同士であると確信しています。
彼と一緒ならトンレサップ湖に落ちる覚悟が出来ています。まだ彼にはそのことを伝えていませんが…。
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たくさんの方がスタディツアーで村を訪れてくれました。 2日間意識を失ったお母さん(水上村出身)が無事出産!
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この2ヶ月間、年齢も職業も違う、いろんな人達がスタディツアーとしてカンボジアを訪れ、水上村を訪れ
て下さいました。参加した方達は、多くの気づきを自分に与えてくれました。
「すごいお仕事をされています
ね」
とか、
「がんばってますね」と言われる度に、
「そんなことないのに…」と、照れくさかったり、変に落ち込ん
でしまったりします。
そうです。やっぱり、カンボジアという国から何かを学ぼうとしていらっしゃった皆さんがすごい!そし
て、日本から来るお客さんを、いつもとびきりの笑顔とあふれんばかりのエネルギーで迎えてくれる子ども
たちや、陰でたくさんの仕事を支えてくれている青年や大人達、みんなはもっとすごい!!
たくさんのお土産を残して行って下さったスタディツアーのメンバーに、感謝です!
(2006年 8月23日)
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