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「外国人留学生の就職活動の現状と教育機関に求められる支援」 一般

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「外国人留学生の就職活動の現状と教育機関に求められる支援」 一般
「外国人留学生の就職活動の現状と教育機関に求められる支援」
一般社団法人留学生支援ネットワーク
事務局長
久保田
学
ただ今、ご紹介にあずかりました一般社団法人留学生支援ネットワークの久保田と申し
ます。ちょっと時間が押しているようなので、順番を変えて説明していきたいと思います。
お手元の資料の 9 ページから、自己紹介を兼ねてすすめていきます。
一般社団法人留学生支援ネットワークというのがどういう団体なのかというところから
説明させていただきます。私どもは、もともと経済産業省と文部科学省が行っていた「ア
ジア人財資金構想」という事業を、平成 19 年度から平成 24 年度まで実施していたのです
が、その事業の自立化の団体として運営を行っています。
だいぶ古くはなりますが、「アジア人財資金構想」というのは、政府が初めて行った入口
から出口までの一貫した留学政策で、平たく言うと、海外から優秀な外国人留学生をリク
ルーティングしてきて、2 年間大学に通いながら日本の企業で働くためのビジネス日本語や、
日本のビジネス慣習を勉強して、最終的に日本企業に就職するというプログラムで、約 2000
名の学生さんがこのプログラムに参加して、約 7 割が日本企業に就職しました。
ただ残念ながら、民主党政権時代に仕分けにあってしまって廃止の判定をいただいて、
途中で終了したという事業です。
この事業は、経済産業省が実践していたので、事業が終了した後も継続を依頼されると
いう中で、当時ちょうどリーマンショック後だったというところと、仕分けで中途半端に
終わってしまったというところがあり、なかなかうまく自立化ができないという状況でし
た。実は、私どもはプロジェクトサポートセンター事業という事務局的な役割をしており
ましたので、全国的に何かできないかというご相談を受けて、こういった社団法人を作っ
て、留学生の就職支援と、企業における外国人材の採用・活用というところをメインに事
業を行っています。
具体的に何をしているかというと、次の10ページをご覧ください。1 番目の事業が留学
生就職支援ネットワークという事業です。これを平たく言うと、留学生向けの就活ナビに
なります。一般の就活ナビと何が違うかというと 2 点ありまして、一つは学生さんが誰で
も参加できるわけではないというナビになっています。まず、各大学に参加していただい
て、そこに在籍する留学生が参加できるというような仕組みにしております。これは、「ア
ジア人財資金構想」時代から大学における留学生の就職支援事業を何とか盛り上げていき
たいという思いがあったので、それを継承して、まず大学が留学生の就職支援をやりたい
けれど財源がないとか、ノウハウがないとか、人的支援がないというところに対して、支
援をしていくという立て付けで運営をしております。
もう一方が、基本的に就活ナビというのは求人情報がメインになってくるかと思うので
すが、こちらの方は、もともと「アジア人財資金構想」が教育的な事業としても実施して
おりましたので、どちらかというと、全国各地の留学生がインターネットを通じて日本の
就職活動がどういうものなのかをきちんと理解してもらうという、少し教育寄りの内容に
しております。ですので、日本の就職活動やビジネス日本語、これもアジア人財以前に、
なかなか日本の日本語教育のカリキュラムの中でなかった分野になるのですが、そういっ
たコンテンツというのがありますので、それを動画で学生にリリースをしています。
教育的なコンテンツが今大体 100 コンテンツから 200 コンテンツぐらいリリースされて
おります。今大学が 71 校参加されているのですが、学生には約 2000 名使っていただいて
おりまして、それが集まると今度は企業が求人情報を提供したいということで、今約 800
の企業から求人情報をいただいています。
この他にも次の11ページになりますが、留学生の就職活動・企業の外国人採用にまつ
わる部分で、学校で留学生向けに就職ガイダンスを行ったり、企業向けに採用活用セミナ
ーを実施したり、また、教育機関向けに、本日実施しております留学生の就職支援をどの
ように行っていったらいいのかというようなガイダンスを実施する活動をしています。
あとは留学生を支援するために必要なツール、例えば留学生の就職活動のハンドブック
や、ビジネス日本語のハンドブックなどを作って配布を行っているというような団体です。
話を一番初めに戻しまして、本日の本題の留学生の就職活動の現状と、留学生の就職支
援の方策というところの中身をお話ししていきます。
まず、現状のほうを、時間も少なくなっておりますので、軽く説明していきます。先ほ
どから、第 1 部のほうから出てきているデータもあるので、ちょっと飛ばしながら説明し
ていきます。最初の1ページにお戻りください。
留学生の就職者の数、就職率がどのようになっているか、皆さまから見て左手の図1の
棒グラフと折れ線グラフをご覧ください。リーマンショック後、一時下がったのですが、
今約 30 パーセント、27 パーセントまで回復しているというところで、これから外国人採用
がどんどんまた増えていくといったところです。
一方で右側の円グラフにおいて、留学生がどういう企業に就職しているのかというデー
タですが、こちらは法務省のデータになります。従業員が 100 人以下の企業に就職をして
いる学生というのが約半数です。
留学生の場合、大手の企業に入りたいという希望を持った学生さんが多いのですが、実
際は 2000 名以上の企業に就職している留学生というのはたかだか 14 パーセントしかいな
いというところが実情になります。一方で企業の採用マインドというのがどういうふうに
なっているのかというところが、2ページの下のグラフになります。
左手の JETRO の資料をご覧いただくと、外国人を採用しているのか、する予定があるの
か、というような質問に対して、雇用していますという企業が、全体で約 44 パーセントと
いうところです。今雇用していないけれど、今後雇用していきたいと考えている所が 20 パ
ーセントです。これを合わせると 65 パーセントの企業が雇用もしくは雇用を検討していて、
非常に外国人材の雇用マインドというのが高まっているのを伺い知れるかと思います。
ただ一方で 1 社当たりどれぐらい採用しているのかというところになってくると、右側
のグラフを見ていただくと、ほとんどが従業員数に占める外国人の比率は 1 パーセント未
満となっています。8 割が 5 パーセント未満ですので、1 社当たりの採用数についてはそん
なにまだ多くはないということが分かるかと思います。
今どういう企業が採用拡大しているかというと、2ページ真ん中の企業の留学生採用動
向をご覧いただきますと、一つは昨年度外国人観光客が 2000 万人を突破しましたので、イ
ンバウンドビジネスで採用を拡大しています。観光や宿泊、小売業など、こういったとこ
ろで大量採用している企業が増えております。また、内需から外需というところで、特に
非製造業・サービス業の積極的な海外展開がありますので、そういったところでも増えて
いるというところです。
あと、製造業についても、特に中小企業が採用を活発化しております。これは海外に展
開するところで特に ASEAN 地域に展開している中小企業というのが製造業で多いので、そ
ういったところのニーズが増えています。
弊社に来ている求人でもそうなのですが、一番どこの業界の求人が来ているかというと
IT 業界です。IT 業界は慢性的な人材不足ということで、外国人材の採用も活発化してい
るというようなところです。
もう一つのトレンドとして、これまで国内に来ている留学生を採用する企業が多かった
のですが、特に東南アジア、タイとかインドネシアの学生を採用したいといったときに、
「国
内のどこの大学に行けばいいんですか」とよく私も聞かれます。ただ、もともと来ている
数が 3000 人くらいしかいませんので、それが全国の大学に散らばっていますので、企業も
なかなか募集団の形成ができないと。だったら直接、インドとかインドネシアとかタイの
大学に行って、そこで募集団を形成した後に採用して国内に連れてくるという企業も最近
は増えてきています。
今度は留学生目線からいったらどうなのかと、留学生がなぜ日本で就職活動できないの
かと、日本人学生は 9 割以上が就職できています。留学生は一方で、先ほど言ったとおり
27 パーセントしか就職できていない。ただ、先ほどの数字は全卒業数に対する就職者の数
になりますので、中には進学したという学生もいますし、もともと母国に帰る予定だった
という学生もいます。ただ、それを差し引いても 9 割という数にはなりません。
なぜなのかというと、3ページの左上に書いてある所で、まず一つは、就職活動に対す
る理解不足。日本の就職活動というのを世界的に見たら、独特であって、なかなかその方
法というのを理解できないというのが一つです。
あとはもう一つ、先ほど厚労省の方からもご説明があったビジネスシーンでの日本語能
力の不足。やっぱり企業の方に「一番まず何を求めますか?」と聞くと日本語能力、もう
日本人と同じくらいしゃべれる人が欲しいと。特にサービス業においては接客を行います。
接客するときに外国人観光客だけを相手にしてもらうわけではありません。当然、日本人
をも相手にしてもらいます。そのときに高い日本語能力がないと、うちでは雇えませんと
いうところです。
あとは留学生向けの求人情報が少ないというところです。
一方でその下の一覧になりますが、外国人留学生の特性として挙げられるのが、日本人
学生以上に大企業・有名企業の志向というのが非常に強いです。なぜなのかというと日本
人以上に企業研究・業界研究を全くしません。なので、母国でも知っているような有名企
業に就職したがる。そこしか知らないので、そこしかエントリーをしないというパターン
が多いです。
また、しっかり考えている学生は、将来的に日本でずっと働くわけではありません。最
終的には母国に帰ります。母国に帰ったときに日本の有名企業で働いていたら、当然転職
は有利に進みます。なので、そういうのを狙って、日本の大手企業に入りたいと考えてい
る子たちもいます。
もう一つは、彼らの文化的な部分です。企業の将来性と自身が活躍できる環境のマッチ
ングを求める。特にこのようなことは、キャリアセンターの皆さん方はよく肌で感じると
思うのですが、キャリア意識が非常に高いというところ、後はグローバル展開を行ってい
る企業志向が強いこと。彼らが持っている言語能力や、文化的な知識というのを役立てる
ような企業じゃないと、彼らは働きたくないのです。日本企業で日本人でもできるような
作業というのは、私たちはしたくありませんというふうに考える留学生が多いと。
一方で右側のグラフにいくと、外国人留学生、卒業した留学生に日本の就職活動で何に
苦労しましたかというアンケートの結果です。
一番苦労したのはエントリーシート、あと面接・自己分析・筆記テスト、これらに 7 割
以上の学生さんが苦労したと回答しています。これを踏まえてどのように留学生の就職支
援をしていけばいいのかというところを4ページに記載の 4 点に分けて説明していきたい
と思います。
一つ目が5ページからになりますが、留学生に日本の就職活動を理解させるための教え
方。多分本日ここに来られているキャリアセンターの方々の中にも、留学生向けに就職支
援のガイダンスを実施していらっしゃるという大学の方もおいでになると思います。ただ、
残念なのが日本人向けの就活ガイダンスをただ留学生に限定しただけという形で行ってい
る大学が非常に多いという気がします。ここで一つ論点になるのは、留学生向けの就職支
援ガイダンスというのは、日本人向けのガイダンスと何が違うのかというところ。もう一
つが、留学生に日本の就職活動を理解させるためのポイントは何なのかという点です。た
だ、これの答えの一つは日本人向けのガイダンスと何が違うのかという点を理解すること
で得られます。
すぐ下の結論の一覧になりますが、先ほど説明したとおり日本の就職活動は世界から見
たら独特の慣習があります。彼らからしてみたら異文化を理解するという行動になります。
そのときに日本人と同じ知識レベルを持っているという前提で教えるのはナンセンスだと
思います。ですので、当然日本人学生と比べて、彼らの日本の就職活動についての知識は
全然低いです。日本人学生より少しレベルを落としてあげる、というのが一点です。
もう一つが彼らの母国の就職活動と日本の就職活動が、どこの部分が違うのかという点
を明確にしながら説明していかないといけないという点です。
もう一つ大事なのが、これは就職活動が始まった後に出てくる問題なのですけど、なぜ
日本の就職活動がこういう形態をとっているのか、このなぜの部分をきちんと説明してあ
げないと、彼らがその就職活動の後半になっていったときに応用が利かなくなります。な
ので、この留学生に就職活動を教える点で必要なのは、文化の違いとしてきちんと教える
ことです。なぜの部分をきっちり教えてあげるというのが非常に大事になってきます。
企業から見たら、日本人学生も留学生も採用する手法は全く一緒です。ただ、留学生か
ら見たら、日本人学生とは完全に知識レベルが違ってきますので、そこを異文化理解とい
うアプローチから教えてあげる必要があるのです。
下段太枠の海外と日本の採用文化の違いというところで、海外の場合は基本的に成果主
義を取っています。なので、成果を上げればポジション・給与が年齢や経験に関係なく上
昇していきます。それが何を意味するのかというと、即戦力として期待しているというこ
とです。成果を残さなければ解雇されるというのが特に欧米を中心とした成果主義になっ
ています。そうすると、採用のときに何を見ていくかというと、現在の知識やスキル、専
攻分野などを重視した採用という形になっていきます。
一方で、今度は職種の部分、海外の採用活動においては職種の採用をしていきます。な
ので、会社内で職種の変更はないです。転職しても、職種・業種の変更は基本的に難しい
という考え方です。
留学生の彼らはこの位置付けで就職活動をしていきます。
ただ、日本の採用活動がどのように違うのかといったときに、日本は年功序列・終身雇
用を取っています。年齢に合わせてポジション・報酬が上昇する年功序列の形式です。た
だ最近は一定期間後に成果主義を取り入れる企業もあるのですが、基本的には初めはその
ようです。そうすると即戦力としてはもう、企業は初めから期待していません。なぜなら、
入社後に育成するという考え方で、しっかりとした教育体制を採用しています。そうする
とどういうところを採用の部分で求めていくかというと、現在の知識とかスキルがなくて
も、ポテンシャル、彼らの潜在能力を見て採用を行っていくということ。これは、理系な
どは除きますが。
もう一方で職種の採用でいくと、日本の場合、就社です。まず会社に入ってもらう。職
種の部分はぐるぐると移動するケースがある。技術系の方が文系の営業職になるケースも
あります。入社後のポジションというのを決めずに採用するというのが日本式です。
ここの文化が分かった前提で彼らが一番気付いていない部分、大学でいい成績を取れば
問題なく就職できると思っている留学生が多いです。ただ、同友会の資料でしょうか、企
業がどこを見ているかというと、学校の成績は確か数パーセントしかなかったです。ほと
んどがやっぱりポテンシャルの部分で採用しているようです。ですので、そういったとこ
ろを企業は見るので、就職活動のときに注意しないといけないです。
あと、ポテンシャルというのをどうやって企業に見せるのかというところの部分。特に
ここのポテンシャルの見せ方と部分では、日本の就職試験で代表的なのがエントリーシー
トだったり、複数回ある面接です。現在の知識とかスキルとかを見るだけであったら面接
は 1 回で済みます。プロフィールシートも海外様式でいいはずです。今までの経験を書け
ばいい、専攻を書けばいい、どういう勉強してきたかを書けばいい、で済むのですけど、
日本の場合はそこがなく、ポテンシャル採用しているので、エントリーシートがある。複
数の面接試験がある。ここまで学生に教えれば、その面接試験、エントリーシートの重要
性というのが分かってきます。
それでは6ページ上の論点からになりますが、留学生が就職活動でつまずく原因は何な
のかというところです。就職活動を失敗し続ける学生について、私も多くの学生の面倒を
見ていますが、大体同じケースが多いです。
あと何が足りないか、皆さんも分かっていると思います。ただ、学生が取り組まないと
いうところに悩みがあるのかなあというところです。
では、何が一番大事かというところで、就職活動において一番大事なのはエントリーシ
ートです。右上のエントリーシートの重要性の理解になりますが、自分を企業にアピール
するというのが就職活動になります。それを文書化する。企業に入ったら 1 枚で、上司や
営業先のクライアントに説明するのは常識になります。ただ、学生のうちにその能力を身
に付けてほしいと企業は考えています。そのためにエントリーシートがあります。エント
リーシート、これをきちんと書けない人は面接でも当然エントリーシートの内容を聞いて
くるので、当然うまく答えられないということです。そうするとエントリーシートが非常
に重要になってきます。私もエントリーシートの添削を留学生からよく頼まれるのですが、
添削のところまで全然いってない学生が多いです。というのは何ができていないかという
と、自己分析と企業研究、これができていないとエントリーシートが書けないのです。結
局、自分を知って相手を知ることで、自分の強みと企業の求めるものをマッチングしてい
く。それをプレゼンテーションするのがエントリーシートになります。
その、そもそもの自己分析と業界研究・企業研究をやっていないとエントリーシートを
いくら添削しても全然進んでいかないのです。
それなので結論に入りますが、一番大事なのはこの自己分析・業界企業研究なのですが、
留学生はこの大事さに気付いていないので、仮に学内でガイダンスをやってもなかなか来
てくれないのです。ではどうしたらいいのかとなったときに、一番初めのスタートアップ
ガイダンスで、なぜ絶対に必要なのかを明確にしていかないといけない、という部分がこ
の業界研究・自己分析になります。
もう一つキャリアセンターの方々、エントリーシートの添削とか模擬面接とかをいろい
ろ実施していると思うのですが、多分、相談する学生がそもそもこの業界研究・自己分析
ができていないがために、「貴方何がやりたいの?
どういう企業に入りたいの?」という
とこから戻って何回も説明していることが多いかと思います。なので、本来、先ほど少し
キャリア教育というキーワードが出て来ていましたけど、この自己分析とか業界研究とい
うところは、本当はキャリア教育できちんとできれば、自立的に留学生が就職活動できる
のかなと。あとはそこで道に迷ったときにキャリアセンターが手を差し伸べて支援をする
という形にするのが理想的なのかなというふうに考えています。
今度は下段太枠の指導方法の例示の所ですが、平たく言うと、キャリアセンターだけで
はなくて外部のソリューションをどんどん使っていきましょうというところです。企業研
究だったら企業の方、自己分析だったら例えばワークを取り入れたりとか、OB・OG を活用
しながら実施していくというところで留学生の興味を引きながら運営していくのが大事な
のかなと考えます。
ポイントで一つよく見かけるのが、多分大学のほうで留学生 OB・OG 連れて来て、パネル
ディスカッションをやっているところが結構多いと思うのですが、あれは、実はあまり意
味がないのです。実施するのであれば、座談会でやったほうがもっと深堀りして聞けるの
でいいと思います。
あとはできれば就職活動ノートみたいな形のものを 1 冊作らせて、自己分析と企業研究
というのを 1 冊にまとめておけば、多分キャリアセンターのカウンセラーの方は、ぐっと
個人面談が楽になってきます。結局、その方の履歴が分からないと、支援の仕様がないと
いうところがあるので、そういったことで活用していくというところも必要です。
ではどうやったらガイダンスに彼らが来てくれるのか、8ページの論点になりますが、
多分一番ここの部分がお悩みなのかなあと思います。先ほどからぽつぽつとヒントは出て
いるのですが、一番大事なのは、彼らは合同企業説明会などは大体来るのです。企業と接
点が持てるイベントには来ると。ただ、その前段階のガイダンスというのは全然参加して
くれないと。これはなんでなのかというと、結論にはなりますが、ガイダンスそのものを
彼らは必要と思っていないからというのが答えです。ですので、就職ガイダンスの必要性
というのを、いかに低学年からしっかりと頭に刷り込ませるかというのがまずは第一前提
です。その後、就職年時になったときにキャリアセンターだけではなく、学内のいろんな
部署や教員の方々と連携して、スタートアップガイダンスの周知を留学生のネットワーク
を含めて、いかに全員に周知させられるか。
そして、ガイダンスに来た学生をきちんと満足させてあげられるようなガイダンスを提
供できるか、質の担保です。
その後、今度は連続性のある支援、ガイダンスを 1 回で終わりではなくて、できれば 2、
3 回と行い、その後、各論の部分、自己分析だったり、企業研究・業界研究だったり、エン
トリーシート、面接でもいいです。定期的にそういったところができるかどうか確認して、
最後個別のフォローまで持っていきます。
今年、ある大学で少し実験したのですが、やはりちょっと離れていても定期的に 1 カ月
ごとに何かをやっていくという形をとれば、学生さんは何となくそれについてきてくれる。
単発でやるより、あらかじめスケジュールを伝えておいて一番初めのガイダンスで次はこ
このところが大事になると伝える。就職活動で勝ち抜くためには絶対ここが必要になると
いうのを刷り込んでおいて、次回にも来てもらう、という形をつくることで参加率が少し
上がってきたのです。それが上がると今度は個別のフォローが忙しくなってきます。今回、
私も個別のフォローを手伝ったのですが、それを定期的に留学生専用の個別フォローとい
う日にちを決めることで留学生もそれに参加してくる。今は学内でもう自立化されて、何
曜日の何時から何時までは留学生の担当者が来るので、日本人と別に予約が取れるように
して、きちんと学生さんが返ってくるという形が取れています。こういう連続性というの
をきちんと作っていくということが必要です。
ですので、直接的な回答があるというわけではないです。やはり、良い取り組みを継続
的に地道にやっていく。それが今度、口コミで広がって後輩たちが参加していくという流
れがつくれると考えています。
最後に8ページになりますが、では学内での支援体制をどのように構築していくのかと
いう問題です。先ほど、元立命館の加藤先生が発表の最後で、少し仰っていましたが、イ
ンターンシップにおいては全学一丸でやるということが大事だと。ただ、留学生の就職支
援の場合は、セクションによっては、担当の教員の方や職員の方々も絶対にやるべきだと
いう、一丸になるような声はまだまだ出てないと思います。それなので右上の必要となる
体制構築の図になりますが、実際は今どういうところが成功しているかというと、一部の
思い入れのある教員の方とか職員の方が旗を振って、その方を中心に動いているというの
が実情ではないかというところです。うまくいっている所は、部署間の連携をきっちり取
っている所です。キャリアセンターがやるのであればキャリアセンターだけではなくて国
際センターの職員の方も連携すると、そこは最低限の連携になるかと思います。
あとはできれば、学長とかトップに発言できるような先生方が旗振り役になっていると、
一気に学内でこういった留学生の就職支援というのが進んでくると思います。
ただ、皆様方は学校によって環境も違うし、規模も違うし、留学生の数も違うという中
で、一概にこれが全てというわけではないと思います。ただ、「留学生が全然少ないです、
うちはもう就職する人間が 10 人しかいません。」というような学校でも、少ないからやら
ないのではなくて、留学生が就職を希望している限り、1 名でもきちんと支援してあげると
いう体勢は絶対必要だと思います。少ない人数であれば、例えば、自治体とか団体で留学
生を支援している所もあります。無料で発行しているツールもあります。そういったもの
を活用して、やらないのではなくて、最低限の情報提供は必ずしてあげてください。まず、
少しずつ始めていくことです。彼らから話を聞くと、キャリアセンターというのが日本人
学生のための支援機関だったりとか、やはり少し敷居が高いと感じている学生が非常に多
いです。ですので、留学生だけでなく、対外的に企業に対しても「キャリアセンターとい
うのは、留学生に対してしっかりと支援し、留学生を採用したい企業に対しても、求人を
しっかりと留学生に提供しています」というところを、対外的・学内的に支援するという
のが非常に大事なのかと思います。
最後に、今も申しましたが、多分、教育機関の皆さまの置かれている状況はいろいろ違
うと思うのですが、まずは留学生、1 名でも 2 名でもしっかりと支援をしてあげるという体
制が必要になります。
私どもの団体は、別にビジネスで行っているわけではありません。完全ボランティアで
やっておりますので、皆さまが困ったときに、ツールの提供だったりとか、さまざまなサ
ービスの提供ができるかと思いますので、何かありましたらご連絡いただければ、こちら
のほうでできる限り支援させていただきますので、これからも留学生の就職支援を頑張っ
ていければというふうに思っております。
ご清聴ありがとうございました。
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