Comments
Description
Transcript
(MBSE)導入のポイント - 情報処理推進機構 ソフトウェア
モデルベースシステムズエンジニアリング (MBSE)導入のポイント 2015/11/26 14:30 – 15:30 株式会社コギトマキナ 代表取締役 システムズアーキテクト 鈴鈴⽊木尚志 お題⽬目 • MBSE導⼊入にあたっての留留意点、考慮点など について、IPAが公開した「モデルベースシス テムズエンジニアリング導⼊入の⼿手引き」を参 考に、技術的観点のみならず、経営的、⼈人事 的観点からも解説します。 2 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 ⾃自⼰己紹介 • • • • • • • システムズ/組込みSWの職業モデラー/コンサルタント) 神奈奈川県茅ヶ崎市在住 息⼦子3⼈人の⽗父ちゃん 海が好き 宮古島出⾝身ではありません これは天然パーマです 50才 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 このセッションの⽬目的 • MBSEが注⽬目されています • これまで、多くのお客様の現場でMBSEの導⼊入のお ⼿手伝いをしてきました。 • 導⼊入の際、落落とし⽳穴に陥りやすいところをアンチパ ターンにしてみました • 導⼊入を試みるときに最初にやってみると良良い事をま とめてみました • 最初に引っかかりやすいモデリングの勘所も少しだ け紹介したいと思います • これらが皆様の組織においてMBSE導⼊入の助けにな れば、と考えています ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 今⽇日の内容 • 「MBSE導⼊入の課題」にフォーカス • 今⽇日は省省略略 – システムズエンジニアリングとは? • An interdisciplinary approach and means to enable the realization of successful systems. 5 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 MBSEの導⼊入について 6 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 システム開発の「成功」とは? • 『予想可能なスケジュールと予算の範囲内で、 エンドユーザーのニーズを満たす品質の⾼高い システムの開発が⾏行行われること』 – 参考:OOSEM/Harmony-SE/RUP-SE/ IEEE1220/SEBoKPMBoK/CMMIなど • けれどなかなか成功しない – 犯⼈人はだれだ? ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 導⼊入課題の分類 • 「MBSEはモデルを⽤用いたSEである」 ⇒ 導⼊入の課題を2種類に分類すれば わかりやすい 1. システムズエンジニアリング実施に関する課題 • 主に⼈人間的 2. モデル構築に関する課題 • 主に技術的 8 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 失敗と成功の理理由 なぜ失敗したか?はよくわかるが なぜ成功したか?は意外と分らない 失敗は、一つの躓きで起こりえる 成功は、多くの成功の下でしか起こりえない ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 MBSEはベスト・プラクティス • MBSEは、⼿手法でも⽅方法論論でもない – ベストプラクティス(英: best practice)は、あ る結果を得るのに最も効率率率のよい技法、⼿手法、プ ロセス、活動などのこと。最善慣⾏行行、最良良慣⾏行行と 訳されることもある。(wikipediaより) 10 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 ⽇日本のシステムズ開発の様々な課題 • • • • • • システムの複雑化に伴う課題 システムの派⽣生やシリーズ化に伴う課題 要求の不不適切切な分析/定義に伴う課題 要求変更更への対応に伴う課題 ⼤大きな⼿手戻りの発⽣生に関する課題 関係者間のシステム開発に対する意識識の統⼀一 や均質化に関する課題 IPA:モデルベースシステムズエンジニアリングの⼿手引きより ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 様々な複雑さ、さまざまなややこしさ • ⼤大規模化 – モノそのものの機能の肥⼤大化 – 既存システムの新規システムの組み合わせによる新たな サービスの誕⽣生 • カーナビ+スマホ+情報センタ+交通管制システム+信号管理理シス テム=? • 市場の動向 – 新たな技術領領域の発⽣生 • 既存システム化+α • ディペンダビリティ/セーフティ/セキュリティ – IEC61508、ISO26262、IEC62304、ISO13485、ISO14971, ISO13482、 ISO/IEC15408、IEC62443, IEC62366 • 製造/運⽤用/管理理の環境に体する負荷軽減 12 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 浮かび上がってきた課題 • 関係者の多様化 • ドキュメントの爆発的増⼤大 • すりあわせ⼯工程への⾼高負荷 トライ&エラーを可能な限り減らしたい ⇒ そのためのノウハウがシステムズエンジニアリング 1. コミュニケーション 2. 問題解決 ⇒ モデルを使え! 13 2014情報処理理特論論Ⅰ ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 MBSEの導⼊入について 成功パターン 14 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 導⼊入にあたってのベストプラクティスやパターン • • • • • • • ⽬目標を⾒見見失わないこと 要員の配置 常に問題を明らかにするー実装⼿手段ではなく システムの分割統治 要求と設計との間を結び付ける テストは早めに頻繁に⾏行行う 初めてMBSEを導⼊入する際には、必ず主要な 利利害関係者を巻きこむ IPA:モデルベースシステムズエンジニアリングの⼿手引きより ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 MBSE導⼊入の3つの効果 1. 製品開発プロセスへの効果 2. 多⼈人数開発への効果 3. 複数製品開発への効果 IPA:モデルベースシステムズエンジニアリングの⼿手引きより ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 例例:製品開発プロセスへの効果 • ⽋欠陥を早期発⾒見見することによって、製品化の 時間を短縮し、開発費を抑え、出荷にかかる 時間を短縮する 会社 効果 主な理理由 防衛システム開発 (⽶米) 製品化時間40%短縮 信頼性・安全性向上 明確なサブシステム間インター フェース定義 開発初期の実⾏行行可能なプロトタイプ 作成 General Motors 通常5年年かかる新⾞車車開発 モデル駆動開発 を29ヶ⽉月で サブシステム間コミュニケーション の視覚化 シミュレーションによるモデルのテ スト 鉄道設備会社 (豪) 国際的分散開発プロセ スを国ごとの安全性基 準に適合 要求と設計の整合性を保つ環境の準 備 IPA:モデルベースシステムズエンジニアリングの⼿手引きより ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 例例:多⼈人数開発への効果 • 効果的な要求管理理とそれに基づいた基本設計 の実施による開発効率率率化 会社 効果 主な理理由 Astrium(EU) 容易易な情報の発⾒見見、 様々な開発活動の⼀一貫 性保持、容易易なコミュ ニケーション ⽂文書ベースのSEをMBSEに コンシューマ・エ レクトロニクス開 発(⽇日) 国際的分散開発のため の機能アーキテクチャ の単純化 開発⼿手戻り防⽌止 複雑度度を下げるための抽象的なサブ システム(Cabity)を定義 IPA:モデルベースシステムズエンジニアリングの⼿手引きより ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 例例:複数製品開発への効果 • 再利利⽤用の単位を明確にするとともに、無駄な 再利利⽤用を減少させることで、効率率率よく製品系 列列の製品群を開発する 会社 効果 主な理理由 iPLON GmbH(独) 25%の障害減少 開発時間が5ヶ⽉月→2ヶ ⽉月&10,000ユーロの開 発費節約(製品ごと) MBSEと、UMLを⽤用いたソフト ウェア開発を組み合わせ、要求分析 からテストまで⼀一貫してモデルを⽤用 いる開発プロセスを構築 テレマティックス サービスプロバイ ダ(⽶米) 30 ⽇日以内で提供サービ ビジネス要素と、オープンテクノロ スを変更更し、ビジネス ジーを組み合わせたビジネスインフ 急速⽴立立ち上げすること ラの構築 が可能に FORD(⽶米) 技術要素のベースライ ン構築(モデルベース の再利利⽤用) PLM、ALM、要求、アーキテク チャを結合 IPA:モデルベースシステムズエンジニアリングの⼿手引きより ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 ではどこから始めようか?技術(私⾒見見/体験) • ⼩小さく始めるより⼤大きく始める – 部品/サブシステムよりまずはシステム全体を捉える • 新規製品より、既存製品から – 既存製品実装でなく、理理想型から • 内部構造はあえて⼆二の次。まずはユースケース→シ ステムの振舞いの把握から – モード – リアクティブマシン • ユースケース地獄、シーケンス図地獄になる前にス テートマシン図とアクティビティ図で仕様化する ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 ではどこから始めようか?技術(私⾒見見/体験) • 要求分析は必要だが、すべての要求を要求図にはし ない • 抽象度度の⾼高いモデルの妥当性の検証⽅方法を考える • 抽象度度の⾼高いモデルから低いモデルへBreak Down する • Break Down後のフィードバックループを体験する ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 ではどこから始めようか?⼈人事、経営(私⾒見見/体験) • ビジネス⽬目標を⽴立立てておく – なぜMBSEをやりたいのか? • 現実の製品を考えるー机上の空論論にしない • ⼩小さく始めるより、あえて⼤大きく始める – 責任者も作る。チームも作る。 • 利利害関係者を必ず「初期から」巻き込む – 上位マネジメントの協⼒力力は必須 – 「ソフトだけ」でやらない • テスターを忘れない • 簡単にマイルストーンを作らない – フィードバック・ループをプロセスに⼊入れることを恐れな い ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 (参考)コギトマキナのMBSE導⼊入パターン • 6Wパターン – ⽬目的 • 今後の製品開発に⽤用いるためのプラットフォーム構築 – 内容 • 3⽇日間の導⼊入教育(UML/SysML) • 1週間のオンサイトシステムズエンジニアリング教育 (PJベース) • 5週間のリモートサポート – 理理由 • それぞれの開発組織に適したMBSEがある • ⼀一般論論にいくら時間をかけても製品開発は終わらない • 知っている題材でなければやる気にならない 23 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 MBSEの導⼊入について アンチパターン 24 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 マキャベリの⾔言葉葉 • 天国へ⾏行行くのにもっとも有効な⽅方法は、地獄 へ⾏行行く道を熟知することである。 • 結果さえ良良ければ、⼿手段は常に正当化される。 MBSE導⼊入に関するアンチパターン紹介 ⇒ 25 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:道具マニア 項⽬目 内容 パターンの名前 道具マニア 発⽣生状況 a)初めてUML/SysMLに取り組む 問題の内容 ・SysMLの仕様や記法をすべて理理解するまでモデルを作れ ない ・ツールによる違いを極端に嫌う <具体例例> ・⼗十分に仕様を満⾜足できていないので(その)ツールは購 ⼊入に値しない、と考える 解決⽅方法 ・まず簡単なSysML要素だけを使い、モデルを構築してみ る 関連パターン ⼀一発必中、ツール嫌い 26 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:⼀一発必中 項⽬目 内容 パターンの名前 ⼀一発必中 発⽣生状況 a)初めてMBSEに取り組む b)結果を早く出す事を要求されている c)特にプログラミングを業務としている⼈人に多く⾒見見られる 問題の内容 ・唯⼀一の「正解」モデルを要求する ・いつになっても終了了しないとイライラする <具体例例> ・いつになっても、レビュー対象がでてこない エラーケースの洗い出しをどうしても先にしたくなる。 ・膨⼤大なシーケンス図、ユースケース図 解決⽅方法 ・モデル構築はイテレーティブな作業/モデルの構築には 「揺さぶり」が必要である事を体験させる 関連パターン 道具マニア、現状⾄至上主義 27 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:アーキテクチャ嫌い 項⽬目 内容 パターンの名前 アーキテクチャ嫌い 発⽣生状況 a)既存製品開発に携わっている b)具体的なモジュールが頭から離離れない 問題の内容 ・抽象度度の⾼高いモデルをつくれない。 ・ソースコードレベルのリバースエンジニアリングになっ ているため、作業が終わらない ・膨⼤大なドキュメントになってしまう <具体例例> ・エラーケースの洗い出しをどうしても先にしたくなる。 ・膨⼤大なシーケンス図、ユースケース図 解決⽅方法 ・現時点では、まだ開発の超上流流であることを理理解させる ・⽬目的地にたどり着く道筋は1本ではないことを理理解させ る 関連パターン 現状⾄至上主義 28 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:無限の未来へ! 項⽬目 内容 パターンの名前 無限の未来へ! 発⽣生状況 a) 将来製品にも対応できるモデルを構築しようとする b) 現⾏行行の派⽣生開発⼿手法に強い嫌悪感がある 問題の内容 これから開発するすべての製品に使えるような理理想的なモ デルを作ろうとして「使えない」モデルができてしまう <具体例例> ・開発の仕掛け(#defineやツール)がモデルに登場。 ・「CPU/OS/HWに依存しない」モデルになる ・<<abstract>> インターフェースが多く出現 解決⽅方法 ・製品開発にはQCDがあることを理理解させる ・具体的な製品開発の理理解のためにモデリングしているこ とを理理解させる 関連パターン 縁⽇日化、現実⾄至上主義 29 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:縁⽇日化 項⽬目 内容 パターンの名前 縁⽇日化 発⽣生状況 a)メンバーのモデル化へのやる気は⾼高い b)それぞれがどんどん興味のある領領域のモデルを構築して いく c)開発プロセスが不不備 問題の内容 トレーサビリティのないモデルが⼤大量量にできてしまう。 <具体例例> ・アーキテクチャブロックの責務がぐちゃぐちゃ。 ・巨⼤大なコントロールブロックができてくる 解決⽅方法 ・レビュープロセスを⼊入れ、新規のモデル化の取り組みス ピードをコントロールする ・各⼈人の⾏行行うモデリングの軸を定義する(ユースケースな どを⽤用いる) 関連パターン 無限の未来へ!、努⼒力力⾄至上主義 30 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:現状⾄至上主義 項⽬目 内容 パターンの名前 現状⾄至上主義 発⽣生状況 a)あるべき姿より、現状の構造、振る舞いをモデル化した がる b)現状も、ふらついた状態である 問題の内容 常に「現状はこうなっている」と主張する。 朝令令暮改でモデルが変化する。 <具体例例> ・現状の暫定的な問題回避⼿手段や代替案をモデル化してお きたがる ・現状APIをモデル内に書き込みたがる 解決⽅方法 ・要求図のモデリングを重視する ・パッケージ図を使い、モデルの構成を整理理する 関連パターン アーキテクチャ嫌い、無限の未来へ、⼀一発必中 31 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:努⼒力力⾄至上主義 項⽬目 内容 パターンの名前 努⼒力力⾄至上主義(別名:⾃自分でやりたい症候群) 発⽣生状況 a)オリジナルや、「⾃自社製」にこだわる b)⼈人に尋ねず、⾃自分で調査したがる 問題の内容 書いている途中のモデルを他⼈人に⾒見見せたがらないため、作 業リスクが極めて⾼高い <具体例例> ・誰にも合意のとれていないモデルが多数存在する ・⾔言った⾔言わないの議論論で炎上する ・誰も必要としていないモデルが出来上がる 解決⽅方法 ・モデル化作業の時間を区切切る ・レビュープロセスを公式に⼊入れる ・モデリングの範囲を限定する(ユースケース単位など) 関連パターン 完璧主義、ツール嫌い、縁⽇日化 32 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:完璧主義 項⽬目 内容 パターンの名前 完璧主義(別名:抜け漏漏れ重複の泥泥沼) 発⽣生状況 a)プログラマあがりのSEがモデリング作業を⾏行行なう b)これまで状態遷移表、EXCELなどを多⽤用してきた 問題の内容 ⼀一回のモデル化で、抜け漏漏れ重複のないモデル化を⾏行行いた がり、結局SE⼯工程が進捗しない <具体例例> ・ユースケース地獄、シーケンス図地獄 ・合意プロセスが開始されない ・作業が終了了しない ・⼀一回作成した資料料を変更更したがらない 解決⽅方法 ・フィードバックループの重要性の説明、レビュープロセ ス、合意プロセスの公式化 ・スプレッデッドシートは、最終成果物でのみ使⽤用する 関連パターン 努⼒力力⾄至上主義 33 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:ツール嫌い 項⽬目 内容 パターンの名前 ツール嫌い 発⽣生状況 a)開発予算が少ない b)上司がツール屋にだまされた記憶あり 問題の内容 ツール購⼊入しない/許可が出ない <具体例例> ・「特定ツールには依存したくない」 ・「⾃自社ツールは作れないだろうか」 解決⽅方法 ・ツールが必要かどうか、冷冷静に判断の上、それを持って 上申。 ・まずは安価な(あるいは評価版)ツールを使う ・⼩小さく始める(断捨離離パターン) ・できるだけ基本的なモデリング要素のみを⽤用いることに する 関連パターン 努⼒力力⾄至上主義、道具マニア 34 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:内部の敵 項⽬目 内容 パターンの名前 内部の敵 発⽣生状況 a)PMがMBSEの重要性を理理解していない b)PMにシステムズエンジニアがフィードバックループの話 をしていない 問題の内容 PMがスケジュールリスクを盾にMBSEの導⼊入を認めない。 <具体例例> ・進捗の把握がしづらく、コスト増加につながりかねない と考えやすい ・「きちんとやればフィードバックループなどいらないは ずだ」「⼿手戻りを管理理するのがPMだ」 解決⽅方法 ・上位マネージャが介⼊入して調停する(北北町奉⾏行行メソッ ド) ・真のPMなら、⽬目的がリスクの早期発⾒見見と解消であるとい う本質を理理解できるはず、と説得 ・進⾏行行中の製品開発を参照してパイロットプロジェクトを ⾛走らせる 関連パターン 孤軍奮闘 35 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン:孤軍奮闘 項⽬目 内容 パターンの名前 孤軍奮闘 発⽣生状況 a)MBSEの⼀一側⾯面(技術、ビジネス効果)に関する技術的 な興味しかない b)組織ぐるみで取り組めない 問題の内容 予算、技術、運⽤用に関しての担当者が重複し、導⼊入のス ピードがでない <具体例例> ・技術が勝⼿手に導⼊入を進めているだけでツールが買えない。 ・実開発時にプロセスとして明⽰示できない 解決⽅方法 ・理理解あるパトロン(マネージメント)、⾃自分で⼿手を動か す事の出来るリーダー、落落とし⽳穴を指摘できるガイドの3 ⼈人を揃える 関連パターン 内部の敵 36 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 MBSE導⼊入アンチパターン間の関係 ツール嫌い 道具マニア 縁⽇日化 ⼀一発必中 努⼒力力⾄至上主義 無限の未来 へ! 完璧主義 現状⾄至上主義 アーキテク チャ嫌い 内部の敵 孤軍奮闘 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 アンチパターン(まだある・・) 項⽬目 内容 パターンの名前 なすりつけ・・・(別名たらいまわし) 発⽣生状況 問題の内容 解決⽅方法 関連パターン 38 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 MBSE導⼊入のために– まとめ • MBSEの導⼊入は、多くの場合、複雑さに対応す るための新規プロセスの導⼊入となる。なぜ新規 プロセスが必要なのか?を考えずに進むと、縁 ⽇日化が進み、いつまでも導⼊入できなくなる • 落落とし⽳穴に落落ちないために、導⼊入のアンチパ ターンを理理解しておこう。 ! 導⼊入のための導⼊入はやめよう 使えるものは何でも使おう 39 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 ! ⼀一枚の図には1つのミッション モデルについて モデルとは? 40 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 モデルとは何だ?(⼀一般論論-⾼高校⽣生⽤用) • あるモノのツクリやカラクリに関するわかり やすい記述 – e.g. ⼆二重らせんモデル、天動説 – 構造や仕組みの抽象的な表現 じゃなくて・・・ 41 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 モデルとは何だ?(⼀一般論論-論論理理学編) • M ⊧P – 「P の内容的意味が正しい」という意味。 – Mにおいて論論理理的にPが真 – 物事(モノ、コト)をある側⾯面(関⼼心事)から⾒見見 て単純化したもの – M satisfies P • ちなみに – 「H ⊦ P」なら、「P は仮定 H から証明可能であ る」という意味 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 MBSEの利利点(INCOSE tutorialより) • システムの要求と設計に関する共通理理解の拡⼤大 – 要求の妥当性を確認する – 分析と設計の間に共通の⼟土台を築く – リスクを発⾒見見しやすくする モデルを使うことで SEはもっと良良くなる • 複雑なシステムの開発における管理理性の向上 – – – – 統合されたモデルに対し、複数のビューによって問題領領域を分離離 システムモデルの階層化によってトレーサビリティを⾼高める 要求/設計変更更による影響分析を容易易にする 差分的開発と漸進的な追加改善をサポートする • 設計品質の改善 – エラーと曖昧さを減らす – 表現の正確性を⾼高める • 初期段階/進⾏行行中の妥当性確認と検証でリスク低減 • その他ライフサイクルを通じた価値(例例:トレーニング) 43 • 現場知識識の取り込みを拡⼤大 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 なぜSysMLには様々な図があるのか?象の例例え 綱? 壁? 扇? 蛇? 槍? Wikipediaより ⼤大⽊木? ! 点 観 ©(株)コギトマキナ 44 複製及び転載禁⽌止 群盲象を評す • ジャイナ教の伝承では、6⼈人の盲⼈人が、ゾウに触れることで、 それが何だと思うか問われる形になっている。⾜足を触った盲 ⼈人は「柱のようです」と答えた。尾を触った盲⼈人は「綱のよ うです」と答えた。⿐鼻を触った盲⼈人は「⽊木の枝のようです」 と答えた。⽿耳を触った盲⼈人は「扇のようです」と答えた。腹 を触った盲⼈人は「壁のようです」と答えた。⽛牙を触った盲⼈人 は「パイプのようです」と答えた。それを聞いた王は答えた。 「あなた⽅方は皆、正しい。あなた⽅方の話が⾷食い違っているの は、あなた⽅方がゾウの異異なる部分を触っているからです。ゾ ウは、あなた⽅方の⾔言う特徴を、全て備えているのです」 Wikipediaより n ものごとは、⼀一つの側⾯面からだけ⾒見見ちゃダメ、幾 つもの側⾯面から⾒見見ることが⼤大事ということ ! 点 観 ©(株)コギトマキナ 45 複製及び転載禁⽌止 科学的な問題分析のための規則 • 明証性:「わたしが明証的に真であると認めるのでなけれ ば、どんなことも真として受け⼊入れないこと」 ⇒ 正しいという⾃自信、根拠 • 分析:「わたしが検討する難問の⼀一つ⼀一つを、できるだけ 多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの⼩小 部分に分割すること」 ⇒ 複雑な問題は⼀一⼝口サイズに • 総合:「わたしの思考を順序にしたがって導くこと」 ⇒ 単純な正しいものから複雑なものへ • 枚挙:「すべての場合に、完全な枚挙と全体にわたる⾒見見直 しをして、なにも⾒見見落落とさなかったと確信すること」 ⇒ ヌケモレはないか デカルト『方法序説』1637(谷川多佳子訳、岩波文庫、1997年)より 観点 • SysMLはもともとシステムズをモデル化する ために開発された⾔言語 – 観点もシステムズ記述向きにできている • 構造図 • 振る舞い図 • 要求図 • パラメトリック図 – システムズとの相性は良良い、はずだ… • ところが – 構造図、振る舞い図が「同じシステムを指してい る」ように⾒見見えないことが多い – 特にEXCEL⽅方眼紙を使っている⽅方 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 モデルはどれ? ! 48 ⼀一枚の図には1つのミッション ©(株)コギトマキナ 48 複製及び転載禁⽌止 モデルについて 振舞いモデルとは? 49 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 「振る舞い」の種類 • 振る舞い「モデル」の⽬目的は主に2つ • 振る舞いの3タイプ • 振る舞いモデルはどこに書く? う い と 」 い 舞 る 「振 観点 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 振る舞い「モデル」の⽬目的は主に2つ ブラックボックス 1. 「1つの対象」がどう振る舞うか?のモデル – 対象となるシステム(1つ)の振る舞い • 「システムの振る舞い」「システムの提供するサービ ス」 「仕様」など – システムの1パーツ(構成要素)の振る舞い • 「アルゴリズム」など ホワイトボックス 2. 「複数の要素が関係し合いながら(コラボ レーションしながら)」どう振る舞うか?の モデル • ある「機能」をどう実現するかとか どちらを狙っているのか?を明確にしよう ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 振る舞いの3タイプ • 振る舞いが「シンプル」なもの – 振る舞いオブジェクトの履履歴に依存しない • 振る舞いが「連続的」なもの – オブジェクトの履履歴に依存して、スムースかつ連続的 に振る舞う • 振る舞いが「状態駆動」なもの – オブジェクトの振る舞いを互いに素な状態に分割でき る 52 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 「シンプル」な振る舞い • シンプルな振る舞いはオブジェクト の履履歴に依存しない – – – – – cos( x ) getTemperature( ) setVoltage( v ) Max(a,b) b − x2 ∫ e dx a アクティビティ図で表現できる 可能性が⾼高い 53 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 「連続的」な振る舞い • オブジェクトの履履歴に依存して連続的に振 る舞うもの Xn – PID 制御ループ – デジタル フィルタ Ka Yn + - Wn Delay Vn + + Zn Kb dj + dj − 1 + dj − 2 + dj − 3 fj = 4 – ファジー論論理理 スムースで連続的な出⼒力力を算出するためにメンバーシップの部分集 合を使⽤用する UML・SysMLは連続的な振る舞いを記述するのにはあまり向いていない 54 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 「状態駆動」な振る舞い • 状態駆動な振る舞いが有⽤用なもの – ⾮非連続的な振る舞いモード – ⼊入⼒力力イベントの待機と応答 • たとえば、電灯は以下の状態になり得る : – 消灯 – 点灯 – 点滅 55 ステートマシン図を使え ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 モデルについて SysML振舞いモデルの勘所 56 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 質問 • アクティビティ図とステートマシン図は何が 違いますか? ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 最低限覚えよう • 意味論論の違い – アクティビティ図はトークン実⾏行行セマンティクス 「終わったら次へ、終わったら次へ」 – ステートマシン図はイベント実⾏行行セマンティクス 「イベントが到着したら次へ、到着したら次へ」 • 振る舞いパターン – アクティビティ図はシンプルな振る舞い、ステー トマシン図は状態駆動な振る舞いの記述に向いて いる • うまく選べばめちゃめちゃ楽に – 失敗すると何がなんだか ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 質問 • 2⼤大地獄にハマってませんか? – ユースケース地獄 – シーケンス図地獄 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 ユースケースの粒粒度度 説 システム規模が⼤大きくなるにつ 明 れ、ユースケースはより抽象的 で「⾼高レベル」になる 60 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 最後に 61 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 修⾏行行の3段階ー守破離離 • 「守」・・・無知-真似る段階 – ともかく「師」の真似をする • 「破」・・・思考-考える段階 – 他流流の研究もする • 「離離」・・・卒業-独⾃自の世界を創造 – ⾃自分のセオリー(流流派)を作る ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 最後に – 「ものつくり敗戦」 • 「理理論論」「システム」「ソフトウェア」 が⽇日本の技術の「三⼤大苦⼿手科⽬目」 • ⽇日本の科学技術政策でかけているものは 「⾒見見えない技術」への感受性 • 名⼈人芸に頼ったり、⼤大艦巨砲主義を克服 できなかったり、情報制御兵器を軽視す るなど近代戦が戦えない⽅方向に落落ち込ん でいった戦前の兵器開発の失敗の軌跡が、 技術の基本的な動向と⾷食い違っているい まのものつくりの路路線とどこかで重なる のである ⽊木村英紀「ものつくり敗戦」⽇日本経済新聞社刊より ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 Thank you. hisashi.suzuki@cogito-‐‑‒machina.com 64 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止 ©(株)コギトマキナ 複製及び転載禁⽌止