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黒AZZ
石油技術協会誌第62巻第3号(平成9年5月)
JOURNALOFTHEJAPANESEASSOCIATIONFORPETROLEUMTECHNOLOGY
VOL.62,N0.3(May,1997)
論
文
房総半島,中部中新統木の根層および天津層の放散虫化石層序
一珪質・石灰質微化石層序の統合に向けてー
本 山 功 * ・ 高 橋 3 碓 紀 * *
(R(2ceived1July1996;21c2cepted27Novembcjr1996)
RadiolarianbiostratigraphyoftheMiddleMioceneKinoneandAmatsu
Formations,BosoPeninsula,Japan,withasynthesisofsiliceous
andcalcareousmicrofossilstratigraphy
lsaoMoloyamaandMasakiTakahashi
Abstract:TheradiolarianbiostratigraphyontheMiddleMiocenemarinesequenceinthe
BosoPeninsulawasfirstlyestablishedthroughthiswork,whichenablesustodiscussthedirect
stratigraphicrelationsbetweensiliceousandcalcareousmicrofossilbiostratigraphy.Calcareous
nodulesinhemipelagicmudstonesoftheKinoneandAmatsuFormationscontainMiddleMiocene
radiolarianspeciescharacterizingLhelow,andhigh­1atitudeNorthPacificregions.Thelow­1atitude
・31:)ecies,including7).7uzc/r)sZ)y7公αたμα,刀.ぬがαたz,刀f心,77cjcyMfs加&とzパα,£).777α7777皿几77z,7λZα汝os,
C❹ocydd敵ど7osたzたza7zd£れ/zo7)am治on7ろzぴ❶indicatepresenceoftwotropicalradiolarianzones,C.
coμα£αand7).❹αたzZones;however,theboundarybetweenthesezonesisnotwelldetermineddue
totheveryrareoccurrenceof八❹α and£).どZ四たz包.Thehigh­latitude5;pecieselementsindude
common£び印片辺油所どzsαz7❼and£.加石α
肌,andrare£yc/z720az7zQ所α刀zα9μαco四Mα.Thesespecies
indicatefourhigh­1atitudezones,C(7Qs包包,且乙zs凹❼,£f77/Zαだz777and£.所agyzE()azμαZones.There
arealsocornrnonoccurrencesofCJ・77(JcαZ)s❹/α防r71乙z加g,(こc・r,77z沁,C.j司)凹たα,&祐/zo(7oこys
dd脚077弛77s尨andS.wo4/yH.
Asynthesisofthet)iostr石1tigraphicstudiesontheKinoneandAmatsuFormationspl(?sents
(刃rrelationofra(I函1arian,diatom,ca1(2ε1reousnannofossilandplanktonicforarrlhliferalzones,
providingalocalbiochronologicframeworkforMiddleMiocenesedimentsofJapan.
Keywords:radiolaria,diatom,calcareousnannofossil,planktonicforaminifera,biochronology,
Miocene,BosoP(2ninsula,Japan
か,19715;中嶋ほか,1981)。このうち嶺岡山地より北
1 . は じ め に
房総半・島には陸棚ないし大陸斜而堆植物とされる中新
統から更新統にかけての厚い海成
が分布する(三梨は
側に分布する地層は,大局的にみて南側から北へ向かっ
て古いものから新しい地
へと累重している。さらに,
いくっかの河川では連続的で良好な露出が得られるた
め,この地域は層序学的研究に好適であり,これまでに
* 東 京 大 学 海 洋 研 究 所 , 現 琉 球 大 学 理 学 部 物 質 地 球 科 学 科
OceanResearchlnstitute,UniversityofTokyo.Nowat
も石灰質微化石(Sait0,1963;尾田,1975;Oda,
1977;Honda,1981)や古地磁気(中川ほか,1969;
DepartmentofPhysicsandEarthScicnces,University
oftheRyukyus.
Kimura,1974;新妻,1976),放射年代(Kasuya,
**地質調査所燃料資源部FuclResourceslっ叩artment,Geo­1987,1990)などの研究が精力的に行われてきた。これ
logicalSurveyofJapan
Copyright⑤1997,JAPT
らの研究はその後,[こ|木における複合微化石層序(Oda
・・£乙zZ.,1984)や古地磁気・微化石年代尺度(尾田,198G;
本 山 功 ・ 高 橋 和 紀
2
2
7
斎藤ほか,1986)の設立の際にも,陸上における貴重な
砂岩泥岩互層よりなる清澄層および砂岩泥岩互層を主と
デ ー タ と して 活 用 さ れて い る 。
する安野層の6層に区分される(中嶋ほか,1981)。こ
房総半島の中新統のうち木の根層・天津層について
れら6層のうち,加茂川低地の北側に分布するのは神川
は,過去にOda(1977)による浮遊性有孔虫層序と
層以上の5層であり(Figs.1,2),加茂川低地の南側に
Honda(1981)による石灰質ナンノ化石層序の研究が
分布する富川層は調査範囲に含まれない。調査ルートと
ある。最近,渡辺・高橋(1997)は,鴨川地域の銘川
したのは,加茂川低地を東流する加茂川に北から流入す
ルートに露出する木の根層および天津層の石灰質ノ
る支流のひとつの銘川である。銘JIIはほぼ地層の走向と
ジュ ー ル よ り 珪 藻 化 石 を 抽 出 し , 珪 藻 化 石 年 代 を 明 ら か
直 交 す る 方 向 に 流 路 が 伸 び, 下 流 側 ( 南 ) か ら 上 流 に 向
にした。本研究では,渡辺・高橋(1997)が検討した試
かって神川層,木の根層および天津層下部までの地層が
料 と 同 一 の ノ ジュ ー ル よ り 得 ら れ た 放 散 虫 化 石 の 検 討 結
順 次 露 出 して い る 。 露 頭 状 態 が 非 常 に 良 い た め ほ ぼ 連 続
果を報告する。これにより,木の根層・天津層の放散虫
的な層序が得られた(Iャ`ig.3)。銘川におけるこれらの
化石年代を議論するとともに,放散虫化石層序と珪藻化
地層はほぼ東西の走向をもち,北側に傾斜する。神川層
石層序との間の信頼性の高い対応関係を求めることがで
では80 前後と急傾斜するものの,木の根層下部では70
きる。さらに,Honda(1981)の石灰質ナンノ化石に
∼60 ,木の根層上部で40 前後,さらに天津層下部では
関 す る 研 究 も 同 じ ル ー ト に よ って 行 わ れて お り , ま た
30 ほどと上位の地層ほど傾斜は緩くなる。以下,銘川
Oda(1977)の浮遊性有孔虫化石による検討は,近隣の
に お ける 各 層 の 一 般 的 岩 相 に つ いて 述 べ る 。
河 川 ( 金 山 川 ル ー ト ) に お い て な さ れて い る 。 し た が っ
神 川 層 は 主 に 塊 状 の 暗 灰 色 砂 質 シル ト 岩 か ら な り , 中
て,本研究を通じて浮遊性有孔虫,石灰質ナンノイヒ石,
部に約40mの厚さの灰色極細粒砂岩をはさむ。こぶし
珪 藻 そ して 放 散 虫 化 石 の 層 イ 立 関 係 が, 直 接 比 較 さ れ る こ
大 程 度 の 大 き さ の 石 灰 質 ノ ジュ ール を し ば し ば 含 む 。 木
ととなった。
層 の 下 限 は 段 丘 に 被 覆 さ れて い る た め 不 明 で あ る が, 調
2
.
地
査ルートでの間厚は300mである。
質
木の根層は主に塊状の暗灰色泥岩からなり,基底に厚
嶺岡山地の北側に分布する中新統∼鮮新統は,下位よ
さ約5mの樫岩を,中部に砂岩泥岩細互層をはさむ。
り極細粒∼細粒砂岩を主とする富川層,泥質砂岩∼泥岩
層 厚 は 7 6 0 m で あ る 。 基 底 の 呻 岩 層 は タ ー ビダイ ト で,
を主とする神川層,砂岩泥岩互層を主とする木の根層,
銘 川 河 床 で は 下 位 の 神 川 層 を 削 り 込 んで い る の が 観 察 さ
泥岩よりなり凝灰岩を頻繁に挟在する天津層,砂岩がち
れる。牒岩層の上位には厚さ45mの砂岩傑岩互層が重な
Fig.1
C;eologjcmapshowingthejocatiorloftheMeigawa!;ection(afterWatanabeand
I`ak21hashi,1997,fig.1).
J.JAPANESEASSOC.PETROL.TECHNOL.vol.62,N0.3(1997)
2 2 8 房 総 半 島 , 中 部 中 新 統 木 の 根 層 お よ び 天 津 層 の 放 散 虫 化 石 層 序 一 珪 質 ・ 石 灰 質 微 化 石 層 序 の 統 合 に 向 け てー
Fig.2SchematiccolumnarsectionoftheLateCenozoicsedimentarysequenceinthe
BosoPeninsula(aft(・rWatanabeandTakahashi,1997,fig.2).Some5;eleded
bio­eventsofcalcareousmicrofossilsarealsoplotted.
る。また本層中には,し。ばしば白色∼灰白色の細粒凝灰
質 シル ト 岩 を 主 体 と し , 最 下 部 に の み 厚 さ 3 0 m の 泥 質
岩および軽石凝灰岩がはさまれる。木の根層基底から
砂 岩 を 伴 う 。 木 の 根 層 と 同 様 の 層 状 石 灰 質 ノ ジュ ー ル を
220m上位には新鮮な黒雲母を多量に含む凝灰岩(Kn­
頻 繁 に 挟 有 す る が, 挟 有 密 度 は 層 準 に よ り 変 化 し , 最 下
1)が,また520m上位には軽石凝灰岩(Kn­3)が挟
部の厚さ60mの部分と調査範囲の最上部の厚さ90m
在し,
においてよく発達している。
層として追跡される(中嶋ほか,1981)。最上
部の厚さ130mは,暗灰色泥岩から砂質泥岩へと漸移
3.試料および分析方法
する。また,本層の泥岩中にはしばしば明灰色の石灰質
ノ ジュ ール が 発 達 す る 。 石 灰 質 ノ ジュ ール の 多 く は 厚 さ
珪 質 微 化 石 殻 を 作 る 非 品 質 シ リ カ ( オパール A ) は
数cm∼数十cmで,層理面と平行に層状に広がり,河
続 成 作 用 が 進 む と オパール C T に 変 化 し , こ の 際 に 珪 質
床 面 で は 突 出 して 認 め ら れ る 。 ま た , 中 に は 径 2 0 c m
微化石は原形を失ってしまう。これまでに房総半島の中
ほ どの や や
新統の泥質岩から珪質微化石の産出報告がないのも,こ
平な楕円体のものもある。
天津層は主に塊状の青灰色砂質泥岩からなり,白色∼
のような理由によるものと考えられる。しかしながら,
灰白色の細粒凝灰岩,軽石凝灰岩のほか多数のスコリア
続 成 作 用 が 進 行 して も , 石 灰 質 ノ ジュ ー ル の 内 部 で 珪 質
を挟有するのを特徴とする。天津層の基底は最下位のス
殻 が オパール A の ま ま 保 護 さ れ る 場 合 が あ り , 今 回 の
コ リ ア ( A m ­ 1 ) に よ り 定 義 さ れて い る ( 中 嶋 ほ か ,
調査では,保存の良い珪質微化石を得るために,石灰質
1981)。調査対象となった天津層下部は塊状の青灰色砂
ノ ジュ ール を 集 中 的 に 採 取 し た 。 そ の 結 果 , 銘 川 ル ー ト
石油技術協会誌62巻3号(1997)
2
2
9
本 山 功 ・ 高 橋 雅 紀
において神川層の17層準,木の根層のこt;彗瞰天津層下
試料(24試料)において保存状態は普通ないし良好で
部の31層準の,合わせて79層準からノジュール試料を得
あった。不良と判断された5試料は,薬品に対する反応
た(Fig.3)。渡辺・高橋(1997)はこれら79試料すべ
が鈍かったために薬品処理と水洗を何度も繰り返したも
て に つ いて 珪 藻 化 石 の 抽 出 を 試 み た が, 木 研 究 で は 珪 藻
のである。したがって,保存状態の悪化の原因は主に処
化石の産出状況を考慮し,木の根層と天津層の計62試料
理中に生じた機械的な破損によるものと考えられる。
について検討した。
29試料すべてにおいてPorodiscidae科,S;r)()ngodis­
試 料 は , ま ず ハ ン マー を 用 いて 1 c m 角 程 度 の 大 き さ
cidae科およびI.浪heliidae科に属する放散虫が多産し
に砕き,300ccのビーカー中で数%濃度の塩酸に浸して
た。これ以外の種類では,種ごとの産出量は一般に少な
反 応 さ せ た 。 あ る 程 度 泥 化 し た と こ ろで 開 孔 径 6 3 μ m
く,試料により0.1%以下(1試料当たり数個体以下)
の ふ る い で 水 洗 し , ふ る い に 残 っ た 粒 子 を ビー カ ー に 回
にすぎないことも珍しくない。
収し再び塩酸に浸した。この過程を数回繰り返し,泥化
Cy吋()(;ぐび)g心血Z)凹泌α(Nakaseko),£aGrだd 77z
しきらなかった岩塊(数mm以上の大きさ)はふるい
押心7jo四seNakaseko,S汝加むoぴs加加c)7zz四sfs(Cam­
い分けて廃棄し,およそ1mm以下の大きさの粒子の
r)bellandClarkySだ油o(7oぴsaノQZがaH21eckel,C乙zZo印c­
み を ビー カ ー に 残 し た 。 放 散 虫 以 外 の 砕
物粒子が多量
必心c回即Mooreが全層準を通じてかなり連続的に産
で あ る と き に は , こ れ に 2 5 0 c c ほ どの 水 を 注 ぎ, 攬
出した(Fig.4)。これら5種は産出量も比較的多い。
伴・浮選法(Palmerバ988)により放散虫を濃集させ
木 の 根 層 に 産 出 が 限 ら れ る 種 と して は 7 ) 縦 y , 7 z c ) り ❹ s
た 。 残 澄 試 料 は 乾 燥 さ せ た の ち , 2 4 3 6 m m の カ バー
Z功αパα(I­IElecke1),ヱ万めノフ77Ey蹟s777a777四伽g(Hae­
ガ ラ ス と エ ン テ ラ ン ニュ ー を 用 い て ス ラ イ ド ガ ラ ス に 封
cke1),£zz(7jノ戒d紬777,sp.BofSakai(1980),£j・()/z7zocn­
入 し た 。 光 学 顕 微 鏡 を 用 いて 1 試 料 当 た り 8 , 0 0 0 ∼
四7at7Zo?z即包印inassa),&加九〇co砂sαγ四α耀Haeckel,
20,000個体(スライドガラス1∼6枚)を検鏡し,特
GzZ(7t7yddだz(7o汰zたz(Riedel)およびC❹c,c7yddたzむ浜
徴種の有無を記録した。試料ごとの放散虫の保存状態は
g加心(Haecke1)がある。このうち(こc7・sたzたzとC.面・­
定性的に3段階に分けて示した(Table1)。すなわち,
が❹sは木の根層中部で消滅し,そのほかの種は木の根
G(良好):目立った溶解もなく機械的な破損の程度も
層設上部で消滅する。Cy灯()cごzZ)gZZαco9功α(Hae­
小さい,M(普通):溶解はないが機械的な破損が目立
cke1),Cy7加乙;とび)g心地仇z加gHaecke1および£れ加,
つ, P ( 不 良 ) : 溶 解 あ る い は 機 械 的 な 破 損 の た め に 同
タmz977zgS;anfilippoandRiede1は木の根層から天津
定 の 基 準 と な る 重 要 な 形 質 が 損 な わ れて い る 個 体 が 少 な
層下部の下部にかけて産出した。£gG❹d沁,77Gn❹
くない。
Sakaiの産出は木の根層中部∼天津層最下部に限定され
る。木の根層中に初産出が認められる種としては良d­
4.放散虫化石層序
y四£)む;jノr冶Zどz汝匹心(Riede1),£i冶砂巳瓦z71・2o切lzSanfi­
4.1放散虫化石の産状
1ippoandRiede1,S汝/7oa)りノs7)eggバ回(Riedel)があ
処理の結果,62試料のうち29試料から検討に堪える量
り,これらは少なくとも検討した最上位の層準までほぼ
の放散虫が産出した(Table1)。29試料のうち大多数の
連続的に産出する。£acyrzfd沁777fが7α治777Klingは木
Table1Radiolarianpreservation(G:good,M:moderate,P:poor)andnumberoftotalrecorded
radiolarianspecimenspersample.
Sample
Preserva.
KNG­79
M
KNG­78
G
KNG­76
M
KNG­75
M
KNG­72
Totalno.
Sample
Preserva.
Totalno.
Sample
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0
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M
1
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0
0
KNG­43
P
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0
0
0
1
0
3
0
0
KNG­53
M
1
2
0
0
0
KNG­41
P
1
7
1
0
0
9
8
0
0
KNG­51
M
1
7
8
0
0
KNG­40
P
1
2
2
0
0
9
1
0
0
KNG­50
G
1
6
5
0
0
KNG­36
G
1
0
3
0
0
M
1
5
8
0
0
KNG­49
M
8
3
0
0
KNG­35
M
1
6
7
0
0
KNG­71
M
8
5
0
0
KNG­48
M
1
2
6
0
0
KNG­34
M
1
0
9
0
0
KNG­70
M
1
2
4
0
0
KNG刊7
M
1
4
6
0
0
KNG­30
M
1
9
3
0
0
KNG­69
M
1
3
4
0
0
KNG刊6
G
1
3
1
0
0
KNG­28
M
1
6
9
0
0
KNG­66
G
1
6
7
0
0
KNG­45
G
1
1
8
0
0
KNG­27
M
1
1
5
0
0
KNG­57
P
1
4
4
0
0
KNG­44
P
8
1
0
0
Preserva.
Totalno.
J.JAPANESEASSOC.PETROL.TECHNOL.vo】.62,N0.3(1997)
230房総半島,中部中新統木の根層および天津層の放散虫化石層序一珪質・石灰質微化石
序 の 統 合 に 向 け てー
Am・24
Am・23
Arn­19(biotitesandyluU)
Am­18
.Am・14
・Am・13
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Fig.3Geologicalroutemapandcolumnarsectionwithsample
localities(horizons)oftheMeigawasection(arterWatanabe
andTakahashi,1997,rig.3).
石油技術協会誌62巻3号(1997)
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本 山 功 ・ 高 橋 雅 紀
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Radiolarian Species
StratigraphjcdistributionofselectedradiolariansoftheMeigawasectionwith
referencetodiaLom,calcareousnannofossilandplanktonicforaminiferalzones.
Diatomzoneswererecognizedinthesamesetofsamplesfromthestudiedsedion
(W21tanabeandT此ahashi,1997).Calcareousnannofossilstudy(Honda,1981)is
basedonthesamesection.Planktonicforanlinireralzonesareestablishedinthe
adjacentKanayamagawaselction(Oda,1977).
J.JAPANESEASSOC.PETROL.TECHNOL.vol.62,N0.3(1997)
2 3 2 房 総 半 島 , 中 部 中 新 統 木 の 根 層 お よ び 天 津 層 の 放 散 虫 化 石 層 序 一 珪 質 ・ 石 灰 質 微 化 石 層 序 の 統 合 に 向 け てー
(こco汰拉zの出現から711とzsnoiの出現までの間隔帯
FOrmatlon&COlumnlRadiolarianEvents
K e y B e d 2 3
下部のKNG­27とKNG­28の2試料が相当する。
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(intervalzone)。本研究では下限は不明。木の根層中
F1.m gr7acorη❼
jElas乙znfの出現から£。垣μα拠肖の出現までの間隔
帯。£。心皿❼の初産出は試料KNG­30に位置づけられ
た。£i77ブ7α旨77zもKNG­30に初産出が認められたが,
千LClefraper
LC.cQm£j抽
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そ の あ と K N G ­ 3 4 ∼ 4 4 に は 産 出 せ ず, K N G ­ 4 5 か ら 上
位に向かって連続的に産出するようになる。KNG­30
と K N G ­ 4 5 の 2 試 料 の 間 に は 層 厚 に して 約 4 0 0 m に お
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よぶ隔たりがあるため,とりあえずこの化石帯の上限の
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化石帯の定義を厳密に適用し,KNG­30の£.f77,/7討z回
の初産出を化石帯の上限とするか,2)五MがZα旨777の連
続 的 な 産 出 の 始 ま り を 化 石 帯 の 上 限 と み な す。 前 者 の 場
­FCE.訥r/ hjm
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合,£加刀α旨777の初産出と瓦乙zs匹❼の初産出が同時
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になるため,£αsn。f帯は存在しないことになるが,
後者では木の根層中部のKNG­30∼KNG­44が£。
乙zs皿❼帯に相当する。ここでは,能登半島(船山,
= K n , 3
­゛­LC.v/r9/n/s
1 9 8 8 ) と の 整 合 性 を 重 視 して 後 者 の 解 釈 を 採 用 す る 。 そ
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の場合,本化石帯中に(1cosたzたzの消滅,C.M尽f❹sの
消滅およびSJmwパnの出現が含まれる。
£zzcF治Z加肌izl/7aれzm帯
£.f77yZ詞nzの出現から£。777昭心coaz汝zの出現まで
FE./f7 吋£jm
r 。 。
の間隔帯。本化石帯はさらにa亜帯(下部)とb亜帯
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F:firstoccurrence
L:lastoccurrence
FC:firstconsistent
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1:R❼olarianZone;2:Riedel&Saniilippo(1978)3:Funayilma(1988)
(上部)に細分される。上述のように,本化石帯の下限
は£加/Zα治肖の連続的な産出の始まりとする。
£lzc〃rtidizzzylizl/7aazm帯a亜帯
原義は£加石a治肖の出現からC.諮z71砂mzの急減ま
での間隔帯であるが,本研究では,下限を£油皿zたz777
Fig.5RadiolarianzonesoftheKinoneand
lowerAmatsuFormationsinthe
Meigawasection.
の連続的産出の始まりとする。本研究では,(21Mg­
加 り の 産 出 量 の 層 位 的 変 化 を 求 めて い な い た め , 本 化
石帯の上限の定義を厳密に適用することはできない。船
の根層上部から天津層下部の上部にかけて連続的に産出
山(1988,Fig.6)によれば,能登半島では急減層準の
した。1.j 0召77z£/z。7・功zz尽fSanfilippoandRiedelは
上位には低頻度の産出が続いていて,急減層準の約20
天津層最下部から産出し始め最上位の試料まで連続的に
m上位に至って連続的な産出が途切れている。20mは
認められた。天津層下部の上部からは・W二ぶ冬証乞娃t聾怒瓦
無視できない厚さではあるが,この連続的産出の上限は
皿£ゆ四z冶i7?7αRiedelandSanfilippoと£ydzzQc四­
b亜帯の下部に位置していることから対比上の目安とし
c)所α所収77ぐ7coaz汝zSakaiが産出した。
て有効なものだと考えられる。そこで,ここでは連続的
4.2放散虫化石による分帯
産出の上限を急減の代用として扱う(ただし非公式に)。
放散虫化石の層位的分布に基づき,本セクションを船
(:U討77砂mzの連続的産出の上限(ここでは消滅に一致)
山(1988)およびRiedelandSanfilippo(1978)の2
はKNG­57に位置づけられるため,木の根層(中)上
通りの化石帯区分に従って分帯した(Fig.5)。なお,
部∼天津層最下部のKNG­45∼57がa亜帯に相当する。
下記に示す各化石帯の定義はそれぞれの原著者による。
7:λZzzろαパαの消滅,7)。777α777777φ2gの消滅,£zfjy❹­
(1)船山(1988)の化石帯
d沁77zsp.Bの消滅,£αsαz7❼の消滅,S.α7772御αの消
Cαlocl/deμαcosfαな
滅,1.97zo77z加智fの出現,£。7・四z回の消滅といった放
石油技術協会誌62巻3号(1997)
2
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本 山 功 一 高 橋 雅 紀
MultipleMicrofossjlZonationsoftheKinoneandAmatsuFormations
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Fig.6Compositebiostratigraphyofdiatom,radiolarians,calcareousnannofossiland
planktonicforaminiferaoftheKinoneandlowerΛmatsuFormations.Radiolarian,
calcareousnannofossilandplanktonicforaminiferalzonesarecorrelatedonthe
basisofFig.4todiatomzones,whichweretieddiredlytomagneticstratigraphy
byBarronandGladenkov(1995).
散 虫 化 石 イベ ン ト を 含 む 。 ま た , C こ c o 7 7 2 ❹ α の 消 滅 が
CI(;osたzlaの出現から刀・πとzdo顛yパs(j凹1・71aHaecke1
(二心71αμ77zの消滅と一致して認められた。
から刀oπ❹o砂yパs❹a防(Riede1)への進化的移行ま
£izc〃r£❹izzz7lizz/7αねzz71帯b亜帯
での間隔帯。銘川ルートでは下限は不明。KNG­28か
こいgz7・卯gmの急減から£。777ごzgucog厨αの出現まで
ら刀。む加がα砲と刀。❹α防がともに産出したが,どちら
(7:)間隔帯。(:1£d7727)egの急減に相当すると仮定された
も産出量が極端に少ないため厳密に量比を決めることが
(IZg仇z加77zの連続的産出の上限(KNG­57)から£。
できなかった。ここでは両種がほぼ等址産出するものと
田昭z2こz(Ja爾αの初産出(KNG­66)までの間の層準か
みなすことにより,不確実ではあるが本化石帯の上限を
らは放散虫がほとんど産出しなかったため,b亜帯は確
KNG­27/2といこ位置づける。KNG­27の1試料がC.cos­
認されなかった。
心α帯に相当する。
£Z/cZ&ylocαzzo瓜αz77αgzzαcorzz❹a帯
j)orcadospZ/risα1αfα帯
£。,7z町,2αむ。az友zの出現から£。田αg77むzccg,Hz砲の連
ノ:)。乙Z凹1匹7から刀。αZα皆への進化的移行から7:)紬吋お
続的産出の上限(Motoyama,1996)までの部分生存期
μz乙6・77s凹j(RiedelandSanfilippo)の出現まで(7)間隔
間帯(partialrangezone)。本研究では下限はKNG­
帯。本研究では八/)(ポ(7rss凹川ま産出しなかったため,
66の初産出により規定されるが,KNG­79でも産出す
その出現は少なくともKNG­79よりも上位に位置する
るため上限は不明である。天津層下部の上部(KNG­66
ものと予想される。したがって上限は確認できなかっ
∼79)に相当する。五1泌μα治回の消滅が含まれる。
た。木の根
(2)RiedelandSanfilippo(1978)の化石帯
中部∼天津層下部のKNG­28∼79が刀。
α切α帯に相当する。RiedelandSanfilippo(1978)に
以下の文中に現れる進化的移行とはRiedelandSan­
よれば,£)。α/αza帯にはC.cosだzだzの消滅,C.厨 泌心
filippo(1971)によるevolutionarylimitあるいは
の 消 滅 お よ び £ 。 び 7 0 7 7 z 加 尽 i の 出 現 が 含 ま れ る と さ れて
evolutionarytransitionを意味する。
おり,今回の化石帯の解釈はこれと整合的である。
Cfzl()c£/cldazぞ?os£αたz帯
J.JAPANESEASSOC.PETROL.TECHNOL.vol.62,N0.3(1997)
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4
房 総 半 島 , 中 部 巾 新 統 木 の 根 層 お よ び 天 津 層 の 放 散 虫 化 石 層 序 一 珪 質 ・ 石 灰 質 微 化 石 層 序 の 統 合 に 向 け てー
5
.
考
(Reyrlol(js,1980)や日本海側(船山,1988)で産出に
察
乏しいのも,これらの種の生息範囲の北限がちょうど日
5.1木の根層・天津層の年代
本付近に当たるためと考えられる。同様に,乙丿加四一
上述の分帯をもとに木の根層および天津層下部の地質
面阿fの産出範囲も40 より低緯度とされており,日本
年代を求める。標準年代尺度には,CandeandKent
の陸域や三陸沖のSite438からはほとんど産出しない
(1995)の古地磁気層序に準拠したBerggren吋❹。
この種が,今回多数の試料に認められたことと符合す
(1995)を用いる。
る。1,.ZみQ77z面阿川ま,福島県浜通り地方の£)。α7心一
木の根層下部は(1(;osな7政帯に対比され,その年代は
夕四辺z加α帯に対比される竜宮岬層から産出の報告があ
前期中新世後期∼EIコ期中新世初期(約17∼15.6Ma)と
り(竹谷ほか,1990),関東から東北地方南部の太平洋
判断される。木の根層中∼上部は瓦αs皿❼帯∼且加­
側では比較的普通に産出するものと見られる。C.cos­
ブ7αzzz777帯a亜帯下部に対比され,その年代は中期中新
旨だzの産出範囲についても7.。乙加四加阿fと同様のこと
世初期(15.6∼約13.5Ma)と判断される。天津層下部
が言える。
の下部は拶然2ふご謳談帯a亜帯に相当するため,その年
一 方 , 船 山 ( 1 9 8 8 ) の 化 石 帯 の 示 帯 種 で あ る 瓦
代は中期中新世中期(14.2∼12.5Ma)である。天津層
と7s凹❼,£.f77μα治肌£。777昭7z乙zcQaaたzは,房総半島より
下部の上部はC.7 乙z夕()7庇aの消滅より下位の£。回収心­
低緯度の陸域あるいは海域からの産出の報告はほとんど
a)az汝z帯に対比され,その年代は中期中新世後期∼後
なく,中∼高緯度域の生息種であったと考えられる。
期中新世前期(11.7∼9.7Ma)と判断される。この結
果は本研究と同じ銘川ルートにおいて検討された珪藻化
石による年代(渡辺・高橋,1997)と矛盾しない。
(2)基準面の順序
尾田(1986)によれば,£。77,2❼m7の出現はC.cos­
旨だzの消滅や£f7び7dzz777の出現よりも上位とされてい
5.2放散虫基準面の評価
る。しかし,今回の結果では£』心wm7の出現は相対的
Fig.4をもとに出現・消滅・連続的産出の下限および
にもっと古く,jEIαs乙z77❼の出現よりも下位に認められ
上 限 と い っ た 生 層 序 イベ ン ト を 抽 出 して F ` i g . 5 に ま と
た。五`]がZα旨mの出現も従来の資料より古く,£。
めた。
αsα刀❼の出現と同時に認められた。また,エ.srz即叱Q­
az庇zは£。巴訟宅余訟笥この消滅よりも上位で出現するとさ
(1)基準面・化石帯の適用範囲
放散虫も含めた浮il針生微化石は,温暖・寒冷といった
れてきた(Sakai,1980;尾田,1986;船山,1988)。こ
海洋環境に応じて多かれ少なかれ生息する地理的範囲が
れに対し,今回はわずか1試料ではあるが£。,77とzg,7αc・­
種ごとに限られている。したがって,それによる基準面
azzだzと£加/Za治肖が共産する試料(KNG­66)が認
の広がりや化石帯の適用範囲にはおのずと限界がある。
められた。£。7,7昭uco77zzz旨の出現と£)。加乙乙(27rss四iの
過去の日本付近における中新統の放散虫化石
序の研究
出現の順序については,従来は前者の方が上位に位置づ
例を見ても,太平洋側(例えば,R(・ynolds,1980;
け ら れて い た ( 尾 m , 1 9 8 6 ; 斎 藤 ほ か , 1 9 8 6 ) 。 銘 川
Sakai,1980)と日本海側(例えば,中世古・菅野,
ルートでは7)。即乙乙tり ss四iの産出がまだ認められていな
1 9 7 3 ; 船 山 , 1 9 8 8 ) に お いて , そ れ ぞ れ 異 な っ た 化 石 帯
区分がなされてきた。
いため,房総半島では£。77z昭z7ご7cc)四爾αの出現が£).
Z)c・£Zgssc❹の出現よりも早くなっている可能性が高い。
今回の検討により,低緯度域に特徴的な種としてC.
DSDPSite436(Sakai,1980)では,£。一一
(;Qsたzたz,Caz郎α,£)。乙zj必庇z,£)。,77α,7777亘ノ177z,1.冶・a加­
の出現はノ:)。加£乙427・ss四iの出現よりも下位に位置してい
尽fなどが比較的普通に産出し,ハc/aたzたzとノ:)。α治政
て,房総と同じ関係にある。
がごく少量産出した。Sanfilippod❹。(1985)によれ
このように,尾田(1986)や斎藤ほか(1986)の古地
ば£)。αZa政の産出範囲は南北両半球で30 より低緯度の
磁気・微化石年代尺度と今回の房総の結果との間で,放
海域に限定されるとされている。したがって,今回五)。
散 虫 イベ ン ト の 順 序 関 係 に か な り の 違 い が 認 め ら れ る 。
❹a政の産出に乏しかったのは,房総半島が刀。旅加の
これは地域的な差に起因する可能性があるが,解決へ向
生息域の外側に位置していたためとして説明できる。ま
けて取り組むべき課題がいくつか考えられよう。ひとっ
た,刀。乙z7誼び)四zぶ加αや£)。官賠tu話談硲詣などは40 より低
は,尾田(1986)や斎藤ほか(1986)の古地磁気・微化
緯度域に産出が限られるとされる(SEmfilippoeta1。
石年代尺度の設立のときに重要な役目をはたした,三陸
1985)。これらの種や£)Jz4必パα,7).mα77z777凶忽といっ
沖のDSDPSite438についての再調査である。このコ
た 一 連 の A r t i s c i n a e 亜 科 の 放 散 虫 が, 今 回 房 総 半 島 で
アでは瓦乙zj皿❼についての報告がなく,£.m乙zg77EO­
は普通に産出しだのに対し,三陸沖のDSDPSite438
a z 心 の 産 出 の 下 限 も 確 認 さ れて い な い 。 も う ひ と っ
石油技術協会誌62巻3号(1997)
2
3
5
本 山 功 ・ 高 橋 雅 紀
は,古地磁気極性の測定がなされているODPLeg145
CandeandKent(1995)の古地磁気層序とを対比させ
のコア(とくにSite884)の分析である。このコアにつ
たのがFig.6である。この図に示した対応関係は基本
いてはMorleyandNigrini(1995)による放散虫の報
的に木の根層・天津層のデータのみによっている。その
告があり,古地磁気極性との対応もある程度明らかにさ
結果,例えば,j;/・九回QZ穴加S九dag7770か加Sの消滅と
れているが,試料間隔のより密な再調査が望まれる。さ
£).si777凹s回れの出現がほぼ一致して認められたために,
らにこのような調査の際には,1試料あたり何個体を調
CN5a帯の基底の年代がBerggrend❹。(1995)による
べて産出と無産出を識別するのかについても留意すべき
年代値(13.6Ma)よりも古く(14.2Ma)見積もられ
と思われる。日本付近の中新統の放散虫研究では,数百
ることになった。ただし,例えばCN5a帯/CN5b帯境
個体が一般的で,ほぼ1,000個体が上限であったが
界とN.13帯/N.14帯境界は,C.7zi乙;017αパcα帯から7)。
(Reynolds,1980;船山,1988;舟川,1993;Motoy­
騨a❼加oや加帯にかけてのどこかに相当することは明
ama,1996),今回は1試料あたり8,000∼20,000個体を
らかであるが,それ以上の詳細は不確定である。このよ
検鏡した。今回の房総の結果や船山(1988)に見みられ
うな場合には,Berggrendα/。(1995)を参考にして石
るように,示帯種の産出量は数%以下(1,000個体中に
灰質微化石帯の位置決めをした。N.9帯は刀。7z押/加α帯
数∼数十個体)にすぎないことが多いことから,研究の
の下部に対比されたが,このことは,Berggren三三l£fan.
目的を種のレンジの調査に絞って,観察個体数を増やす
(1995)によるN.9帯の年代(14.8∼15.1Ma)と調和
方法も必要かと思われる。
的である。
一方,尾田(1986)と斎藤ほか(1986)による古地磁
5.3各種微化石帯の相互関係
石灰質ノジュールを挟在しない層準からはデータが得
気 ・ 微 化 J f j 年 代 尺 度 と 比 べ て み る と , 全 体 と して は 調 和
られないものの,珪藻化石帯(Akiba,1986;Barron
的であるが,いくっかの明確な違いも認められる。例え
andGladenkov,1995)と放散虫化石帯との関係をかな
ば尾田(1986)と斎藤ほか(1986)では,£.f7が7α治77z
り明確に決めることができた(Fig.4)。すなわち,£。
の出現はN.9帯に対比され,さらにN.9帯は7っバ皿包
αsα77❼帯の基底が7L)回加zj/o/)sjs/αz汝z帯中に,£。加一
帯に対比されている。また,£.m昭z7と7(;o9zz包の出現は
刀α旨777帯の基底が刀c,77Zをzz/顛s鈷7z3ノ心加α帯中に,さら
CN6帯中に位置づけられている。
に£.m四回(7()四Mα帯の基底が惣嫁斗m芯ミ雷誤認I尽琵tl磁装紺諮三一
6
.
結
び
oや加帯中にそれぞれ対応づけられた。
Honda(1981)は木研究と同一の銘川ルートで石灰
房総半島の中部中新統木の根層および天津層下部から
質 ナ ンノ 化 石 帯 を 認 定 し て い る 。 浮 遊 性 有 孔 虫 に つ い て
放散虫化石を抽出し,分帯を行って両層の年代を決定す
は,銘川の東隣の金山川ルートにおいてなされたOda
る と と も に , 珪 藻 化 石 , 石 灰 質 ナ ンノ 化 石 , 浮 遊 性 有 孔
(1977)の研究成果かおり,凝灰岩
層を用いて銘川に
虫化石の各微化石帯との対応関係を考察した。日本の陸
お け る 層 序 と 対 比 す る こ と が で き る ( 渡 辺 ・ 高 橋 ,
上 セ ク シ ョ ン に お い て , こ れ ら 4 つ の 微 化 石 グ ル ープ を
1997,参照)。Fig.いこは,これら石灰質微化石帯も並
同 時 に 検 討 して 化 石 帯 の 相 互 関 係 を 比 較 で き る 機 会 は 多
記して相互の対応関係を示した。それによれば,浮遊性
いとはいえない。珪質微化石は層序的には不連続に挟在
有孔虫化石のN.9帯は珪藻化石の7っ。/zjyαZ加α帯下部と
す る 石 灰 質 ノ ジュ ール よ り 抽 出 し た も の で あ る が, 石 灰
放散虫化石の711乙zs凹❼帯中部に相当する。N.13帯/N.
質 微 化 石 層 序 が 確 立 さ れて い る 厚 い 地 質 断 面 に お いて
14帯境界は珪藻化石のヱ)。か7z❶加oか加帯,放散虫化
は,有効な戦略といえよう。天津層上部以上の層準につ
石 の £ 。 油 刀 α 缶 7 7 7 帯 上 。 部 , お よ び 石 灰 質 ナ ンノ 化 石 の
い て は 石 灰 質 微 化 石 に 加 えて 古 地 磁 気 層 序 が 確 立 さ れ て
CN5b帯に相当する。また,珪藻化石の刀c,zμi(7zz/砂琵s
いる(新妻,1976)。したがって,今後より上位の層準
s加cm回戒jの出現,放散虫化石の瓦加刀口沁肖の連続的
へ調査を延ばすことにより,同一セクションあるいは同
産 出 の 始 ま り , お よ び 石 灰 質 ナ ンノ 化 石 の C N 5 a 帯 の
一試料を用いた,中新統∼鮮新統全般にわたる古地磁
基底は,ほぼ同じ層準に認められた。
気・微化石層序の統合を図ることが可能であろう。
これら中期中新世の化石帯のうち,日本に近い北西太
平洋において古地磁気層序に高精度で直接的に対応づけ
謝
辞
ら れて い る の は , 珪 藻 化 石 帯 の み で あ る ( B a r r o n a n d
地質調査所燃料資源部の徳橋秀一ならびに鈴木祐一郎
Gladenkov,1995;本山・丸山,1996)。そこで,Fig.4
両 氏 に は , 房 総 半 島 の 地 質 に つ いて ご 教 示 い た だ い た 。
に 示 すよ う な 珪 藻 化 石 帯 と の 相 対 的 な 関 係 を も と に し
同じく燃料資源部の渡辺真人氏には,珪藻化石層序につ
て , 木 の 根 層 ・ 天 津 層 か ら 得 ら れ た 各 種 微 化 石 帯 と
いて ご 討 論 い た だ い た 。 ま た , 筑 波 大 学 地 球 科 学 研 究 科
J.JAPANESEASSOC.PETROL.TECHNOL.vol.62,N0.3(1997)
2
3
6
房総半島中部中新統木の根jMおよび天津
の 放 敞 虫 化 石 層 序 一 珪 質 ・ 石 灰 質 微 化 石 層 序 の 統 合 に 向 け てー
の 河 潟 俊 吾 氏 に は 試 料 処 理 に ご 協 力 い た だ い た 。 以 上 の
査所,(同説明書,1979,91p.).
Morley,J.J.andNigrini,C.,1995:MiocenetoPleisto­
か た が た に 厚 く 御 礼 申 し 上 げ る 。
ceneradiolarianbiostratigraphyofNorthPacific
引
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文
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27万面st)G・❹s77zα777777jル77z(Hae(;ke1),KNG­47,sl.1,U35/0
3励海田乙)t;2y❹jりαzた回公(Riede1),KNGべ9,s1.1,M23/0
4Cy吋ocα夕sdZαcQγμzzな2Haecke1,KNG­27,s1.1,Z18/4
5CJ・7ZQ(;乙び)gZ/α❼7・砂ggHaecke1,KNG­45,s1.1,T26/0
6(ノj・7zoc乙z♪sd/α畑y)回沁z(Nakaseko),KNG­78,s1.1,S33/3
7£)oraz加顛yパs乙か7拉zたzHaecke1,KNG­28,s1.1,T47/0
8刀071c乙z(ZQ卜び)jyパsαZα治(Riede1),KNG­28,s1.1,V43/4
9£acy7価d加77zsn❼Sakai,KNGJ6,s1.1,H35/4
10£a砂吋fd加田加/Zα加777Kling,KNGべ6,s1.1,G25/3
11£g収7五d油,77押惣zz。aseNakaseko,KNG­30,s1.2,021/1
12£zj(ひノ7五d沁777sp.BofSakai(1980),KNGべ6,s1.1,D42/0
137.f涜砂egがz()四加尽iSanfilippoandRiede1,KNG­53,s1.1,Y50/2
141,f治吋)eg7777zaSSanfilippoandRiede1,KNGJ6,sl.1,N40/2
157.f治。鋤g77ec)如7zSanfilippoandRiede1,KNG­47,s1.1,X35/0
16&丿油叱oワsご7り回たz(Haecke1),KNG­36,s1.1,H37/0
17&加/zQCQワs加池()77Zaがs(CampbellandClark),KNG­47,s1.1,U34/4
18Sが池・c。ワsg・ZL/TμfHaecke1,KNG­27,s1.1,034/1
19Sだ油ocoぴs鋤r昭八u(Ride1),KNG­236,s1.1,T44/0
20yjdEQぴsタmW7佃α(Rie(le1),KNGべ6,s1.1,V45/1
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22£y助ncα,z・,77α,72昭uc。az誼zSakai,KNG­79,s1.2,R47/0
23C❹c,c72yd政なzcαゆαMoore,KNG­78,s1.1,W34/1
24C6zZc)tjノd政たz厨智加剱Haecke1,KNG­27,s1.2,W25/1
25Ca加(ひ・d政治乙7osたzだz(Ri❼e1),KNG­28,sl.1,W27/2
J.JAPANESEASSOC.PETROL.TECHNOL.vol.62,N0.3(1997)
238房総半島,中部中新統木の根
お よ び 天 津 層 の 放 散 虫 化 石 層 序 一 珪 質 ・ 石 灰 質 微 化 石 層 序 の 統 合 に 向 け てー
6
4
1
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