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あなたのそばに私がいる ~ 独りぼっち高齢者ゼロ作戦

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あなたのそばに私がいる ~ 独りぼっち高齢者ゼロ作戦
あなたのそばに私がいる
~独りぼっち高齢者
りぼっち高齢者ゼロ
高齢者ゼロ作戦
ゼロ作戦~
作戦~
医学部看護学科
米満 希和
落合 洋子
小林めぐ美
1
井上
崎山
榊原
梓織
絢
彰花
奥村 真由
曲 美帆子
井上
舞
1、活動を
活動を始めた経緯
めた経緯
人と人との関係性が薄れてきている現代社会は、心の病んだ社会とも言われている。今
日では、子供から高齢者に至るまで不登校・引きこもり・自殺・孤独死・鬱病などといっ
た様々な問題が浮き彫りになっている。これらの問題の根底にあるものは、今社会に求め
られている「人と人との心のつながり」ではないだろうかと考えるようになった。
私たちは昨年度、
「メンタルサポート研究会」を立ち上げ、コミュニケーションを中心と
する心のケアを行う練習会を開いている。今年度は、この練習会をさらに深めていくとと
もに、これを身近な人たちに生かすことができないだろうかと考えた。メンバー間で情報
を集めるうちにある新聞記事が目に止まった。その記事の内容は、北九州市立大学におけ
る独居高齢者による孤立の実態調査であった。また、
『ひとり誰にも看取られず』という一
冊の本にも出会い、そこには私たちの想像以上の現実が書かれており、衝撃を受けた。こ
のようなことから、この独居高齢者の問題は深刻化しているが、見落とされがちであり、
なかなか支援の手が行き届きにくいことがわかった。そこで、このような独居高齢者に対
して私たちにも何かできることがあるのではないだろうかと考えるようになった。
主な活動内容としては、私たち看護学科のサークル活動を通して広報誌の配布や定期的
に訪問することにより、孤独感を和らげ、
「話を聞く」ことでメンタル面のサポートを行う。
また、地域でのイベントを開催し、人と人との繋がりが深まることを目指す。そして、将
来的にはこの活動を地域の活性化・コミュニティ再生へと広げていきたいと思い、このプ
ロジェクトに取り組んだ。
2
2、活動内容
(1)行政
(1)行政との
行政との連携
との連携
このプロジェクトは地域で行っていく活動のため、地域にある各組織の方々に私たちの
活動の理解と協力を得る必要があった。以下の日程で話し合いを行った。
3月7日
城南区役所地域支援課 管理係長 打診
4 月 28 日
城南区役所地域支援課
城南区役所保健福祉課
5 月1日
5 月 14 日
6 月 23 日
協議
員
七隈地区自治協議会会長・副会長
自治協議会運営委員会 協議
城南区七隈校区民生児童委 協議会 協議
(2)高齢者
(2)高齢者サロンのボランティア
高齢者サロンのボランティア
協議
時: 6 月 2 日
場所: 梅林の菩提寺
目的: 実際に地域でどのようなことが行われているのか、自ら地域の活動等に参加し
ている高齢者の気持ちを尋ね、今後の活動に生かすため。
保健師と健康運動指導士、民生委員が地域の公民館などで、第一火曜日に高齢者サロン
を行っており、その活動に参加した。童謡を歌ったり、音楽に合わせて運動を行った。そ
の後、参加者でお菓子を食べながら交流し、この時期はインフルエンザが流行っていたた
め、手洗いなどの予防法やかかった時の連絡先などを書いたパンフレットを配って知識の
普及を行った。
日
3
(3)夏合宿
(3)夏合宿
: 平成 21 年 8 月 3 日~4 日(1 泊 2 日)
場 所: 福岡市立油山青年自然の家
参加者: 3 年生 6 名、2 年生 3 名、教授 1 名
目 的: 新たにメンバーを迎えてメンバー間の絆を深めるとともに、コミュニケーシ
ョン技術の強化を行う。
期
日
己紹介ゲームのあと、講師にグリーンコープの方をお迎えし講義を受けた。
高齢者のお宅を訪問するにあたっての注意点や、高齢者がどのような生活をしているかな
どを聞き、今後の訪問への参考とした。
コミュニケーション技術の向上のために、話し手の気持ちを確認する練習、訪問の班決
め、合宿の反省を行った。相手の感情を理解するため確認の技法を使ったり、マイナスの
言葉をプラスに言い換える練習を主に行った。
内容は、自
4
(4)民生委員
(4)民生委員と
民生委員と顔合わせ
顔合わせ
○1 回目
日時:8 月 10 日
13:00~
参加者:学生 2 名、民生委員 4 名
員
○2 回目
日時:8 月 25 日 16:00~
参加者:学生 6 名、民生委員 6 名
象
提
初回訪問日などを話し合った。
民生委 と、訪問する対 者についての情報 供や、
(5)訪問
(5)訪問
頻 : 2 週間に 1 回
訪問時間: 原則土曜日(高齢者の都合にあわせて日曜日に訪問する場合もある)
30 分~1 時間程度
対象者:
民生委員の方の協力により、同意書を得られた七隈地区に住む独居高齢者。
留意点: 必ず 2 人 1 組で、華美でない服装で訪問する。
危機管理: 緊急事態発生時には、大学に待機している精神看護学教授 焼山和憲、担当
民生委員に連絡する。
訪問 度
了承を得て、9 月より高齢者への訪問
を開始した。各対象者の初回訪問のみ、民生委員同伴で訪問した。9 月 5 日の段階で、対象
者 9 名でスタートした。しかし、病気や入院によって訪問が中断・中止になった方や途中
から新たに加わった方などの異動があり、平成 22 年 3 月 31 日現在、6 名の対象者に訪問
を継続している。
城南区役所・七隈地区の関係する組織の人たちとの
訪問日程
月
時
日
9 月 19 日
10 月 3 日
10 月 17 日
10 月 31 日
間
月
時
日
6
1 月 16 日
1 月 30 日
間
12 月 2 日
0:00~、13:00~
1
2 月 13 日
11 月 14 日
2 月 27 日
11 月 28 日
3 月 13 日
12 月 12 日
3 月 27 日
0:00~、13:00~
1
*初回訪問は、各対象者の都合にあわせ、9 月 5 日~9 月 19 日の間に行った。
5
時には、看護学生としての活躍を知識を生かした広報誌を作成し、説明を行ってい
る。内容は、私たちの自己紹介、インフルエンザの予防法、座りながらできる筋力トレー
ニング、安全な入浴方法、運動の消費カロリー、薬の正しい飲み方、歯の健康、良い睡眠
方法、嚥下体操、食事の選択方法などである。広報誌の内容以外にも、対象者の健康状態
の相談にのっている。
その他、昔話や日頃の生活状況を伺ったり、若者に向けてのメッセージを聞かせていた
訪問
だいている。
象者の状態を民生委員に伝えることで、病気・虚弱状態の早期
発見に繋がった事例や、対象者が近所の人に目を向けるようになったことで認知症の発見
に繋がった事例など、少しずつ変化が出てきている。
訪問を行い、私たちが対
象
訪問対 者にアンケートをとったところ、以下のような感想をいただいた。
・訪問に来てくれてうれしい。
回数・訪問時間ともにちょうどいい 。
・若い人と交流が持てて楽しい 。
・話を聞くだけではなく、もっと仲良くなるために、一緒に料理など何かしたい。
・私たちを仲介として友達作りがしたい。
・訪問
6
(6)看護学科
(6)看護学科の
看護学科の学生に
学生に向けて活動報告会
けて活動報告会
○1 回目
日時:11 月 30 日 12:20~
対象者:看護学科 2 年生
場所:看護学科 小講義室 2
○2 回目
日時:12 月 3 日 14:40~
対象者:看護学科 1 年生及び全学部学生
場所:看護学科 小講義室 1
0
回にわけて看護学生に向けて活動報告会を行った。報告後、
学生にアンケートをとり、得られた反応は以下の通りである。
11 月 3 日、12 月 3 日の 2
分の知らないところでこんなにすばらしい活動があっていたなんて驚いた。時間があ
れば参加したい。
・訪問する際に高齢者とのコミュニケーションの難しさがわかった。
・コミュニケーションの練習は看護の実習にもすごく役に立つと思う。
・訪問していく中で与えるものよりも、自分たちが得るもののほうが大きいことがこれか
・自
らのやりがいにつながっていくと思った。
抱
み
軽減を目指して取り組んでいて素晴らしいと思う。
・継続性は難しいががんばっていってほしい。
・すごくいい活動だが、継続しないと意味がないと思った。
・独居高齢者が えるさ しさ、孤独感の
(7)春合宿
(7)春合宿
: 平成 22 年 3 月 6 日~7 日(1 泊 2 日)
場 所: 福岡県立社会教育総合センター
参加者: 3 年生 6 名、2 年生 3 名、1 年生 2 名、教授 1 名
目 的: メンバー間の親睦を深め、ミュニケーション技術の向上を図る。
期
日
己紹介ゲーム、自分だけが見ている図形を見ていない相手に口頭で説明する練習、
○△□を使って自分の気持ちを自由に伝える表現法の練習、対話練習・技法練習・メンバ
ーの名前を用いての言葉の抽象化・ウォーミングアップなどを行った。
実際の事例を通してコミュニケーション技術を学ぶことで、相手の本当に伝えたいこと
を理解することの難しさや大切さを実感できた。
自
7
コミュニケーションゲームや自己紹介ゲームを行って
いる。
話し手はお題に沿って話し、聞き手はそのお題を
当てるため、技法を取り入れて会話を行う。
1 人は「はい」「いいえ」としか話せないため、質問
を工夫し、話したいことを聞き出していく。
自分たちの会話を録画し、良い点、改善すべき点
について話し合う。
8
(8)イベント
(8)イベント
時:平成 22 年 3 月 8 日 10 時~12 時
場所:七隈公民館
対象:七隈地区在住の高齢者
内容:①地域の人がふれあえる自己紹介を含めた簡単なゲーム
②健康教育「高血圧→疾患のメカニズムと予防(改善)方法」
③昼食 (減塩メニュー 食事指導)
参加者同士が仲良くなるため、自分の特徴を一言書いた名札を付けてもらい、自己紹介
ゲームを行った。
多くの高齢者は、老化や今までの生活習慣により高血圧に罹患しているため、今回の健
康教育のテーマを高血圧とした。高血圧のメカニズムを模造紙に書いたり、血管のモデル
を作り触ってみることで、よりわかりやすいように工夫した。
日
自己紹介ゲーム。
高血圧について健康教育を行っている様子。
次に踏み台昇降を行うために、予め学生が作成した踏み台を参加者と一緒に包装し、完
成させた。その後、実際に踏み台昇降を行った。参加者は健康に関心が高い方が多く、積
極的に運動を行っていた。
参加者と一緒に踏み台作成。思い思いに作成し、
笑顔が見られた。
9
歌いながら踏み台昇降を行う。
他に、簡単な食事時にできる減塩のコツや、運動時の注意事項、今回の食事のレシ
ピをパンフレットに記載し、配布した。メニューは高血圧症について健康教育を行うため、
減塩というテーマをもとに考えた。また家でも作れるようにとメニュー表を配布した。調
理班は人数分の材料の計算や、買い出し、民生委員への指示だしを行い、民生委員の方々
には料理のコツを教えていただいた。
その
塩分を控えるコツについて話す。
民生委員と協力して調理。
メニューは、さばの焼き浸し、ほうれん草の白和え、
人参ごはん、具だくさん味噌汁。
参加者、学生、民生委員全員で食事をした。
0
1
後参加者にアンケートをとり 10 名の参加者に回答をいただいた。
アンケートの内容と結果は以下の通りである。
・自己紹介ゲームは楽しかったか
とても楽しかった …3名
楽しかった …2名
無回答 …5名
・血圧の説明はわかりやすかったか
とてもわかりやすかった …3名
わかりやすかった …2名
無回答 …5名
・踏み台昇降は疲れたか
楽だった …3名
ちょうどいい …2名
少し疲れた …1名
無回答 …4名
・高血圧予防について家でもやってみようと思うか
やってみようと思う …5名
その他 …2名(現在やっている)
無回答 …3名
・参加してみて知り合いが増えたか
知り合いができた …5名
その他 …1名(すでに顔見知りの人ばかりだった)
無回答 …4名
・自由感想欄
楽しい会をありがとうございました。
減塩している感じがなく、おいしかった。
毎日塩分を摂りすぎていると思った。気をつけます。
今後も血圧のことを注意して生活していきたい。
愛情一杯で、学生の笑顔も一杯で幸福でした。
これからもこのような会を開いてほしい。
以上のことから、血圧の説明時には、参加者に血管のモデルに直接ふれてもらったり、
日常生活で簡単にできる予防法・改善法を紹介し、またパンフレットを配布したため、家
でもやってみたいと思った参加者が多かったようだ。
反省点としては、参加者がすでに知っている事柄もあったことや、踏み台昇降時のリズ
ムが少し早かった点があげられる。
自由感想欄より、参加者に楽しんでもらえたことがわかる。
イベント
11
(9)民生委員
(9)民生委員との
民生委員との情報交換会
との情報交換会
時に気になった点や、気をつけてほしい点を中心に今までの訪問について
の報告を行った。半年間の間に訪問中止になった方を含め、今後どのような点に気をつけ
私たちの訪問
て訪問するかを話し合った。
交換をすることにより、訪問対象者の理解を深めることができた。
情報
12
(10)
10)パンフレット作成
パンフレット作成
概要
ば
~ ぼ
・福岡市の高齢者の現状
ゼ 作戦~
あなたのそ に私がいる 独り っち高齢者 ロ
紹介
・訪問活動やイベントなど活動の
後
展
・民生委員のメッセージ
・老化による変化について
・今 の活動の 開
・高齢者を支える地域の力
・高齢者と会話するときのポイント
暮
声
・1人 らしの高齢者の
配布について
完成時期:3 月 31 日
部数:1000 部
配布対象:中・高・大学生
配布場所・方法:福岡大学
ヘリオス・オアシス・看護学科
城南区内の公民館、ふれあいネットワーク、ふれあいサロンなど
学生課・
パンフレット作成にあたっての工夫点
・対象者が若者であるため、専門用語を使わず、わかりやすい言葉で記載した。
・興味・関心を持ってもらうためにイラストや写真を多用した。
・独居高齢者の現状を伝えるだけでなく、行動のきっかけとなるように何ができるかを
記載した。
・高齢者・民生委員の方々の実際の声を記載し、より身近な問題として捉えられるよう
にした。
文字の大きさや書体などに気をつけた。
・
軽 読
構成にした。
・手にとってもらいやすいような大きさにし、手 に んでもらえるような
13
14
15
3、プロジェクトを終
プロジェクトを終えて
チャレンジプロジェクトを通しての私たちの学びとしては、まず行政と連携を図ること
で社会に出る難しさや、高齢者を取り巻く社会ネットワークを実感することができた。訪
問を始めたころは、私たちが高齢者に対して活動を行うという意識だったが、実際に訪問
を始めてみると人生の先輩である高齢者に様々な知識や人生において大切なことなどを聞
き、生活の中での励みになったり戒めになったりと生活の中に活かすことができている。
対象者の方々に訪問が楽しみだと言われることが私たちの励みになるのと同時に、活動を
継続することの重要性を痛感した。
また、この活動を進めていくことに対し、メンバーそれぞれに葛藤が生じることがあっ
た。この経験から、意見を出し合い、同じ目標に向かってメンバーが協力していく難しさ
や大切さを知った。
定期的に行っているコミュニケーションの練習会によって習得したコミュニケーション
技術も生かされ、少しずつではあるが、普段の会話で使えるようになっている。
高齢者と一言で言ってもそれぞれ違う色々な考えを持って生活している。今回のプロジ
ェクト活動により、地域に住む高齢者の現状や地域での取り組み、また訪問によって、地
域に暮らす高齢者の生活環境などを実際に見ることができた。これは私たちが目指す医療
従事者として、病院での患者の姿だけでなく、地域にもどって生活する高齢者をよりイメ
ージしやすくなるため、今後の全人的患者理解に役立つ経験ができたと考えている。
4、今後の
今後の活動について
活動について
後の方向性としては、メンバーを増やし、愛好会とし、継続した活動
としていく。訪問を続け、高齢者の孤独感の軽減につなげる。さらに、新たなイベントを
開催したり、地域で行われている高齢者サロンへの参加を促すことで、独りでいた高齢者
が少しずつ地域に目を向けるように働きかける。このように高齢者同士のつながりをもっ
てもらい、何かあった時もすぐに相談できたり、助け合って行ける関係を構築する手助け
プロジェクトの今
を行う。
また、この活動を看護学科の学生や地域の方々に広めていくことで、地域の人々に関心を
持ってもらい、コミュニティの再生や地域の活性化につなげていきたいと考えている。
今後私たちだけでなく、地域に住む様々な人が高齢者問題に関心を持ち、地域での活動の
幅が広がっていき、より地域のつながりが強くなった住みやすい環境が築いていけることが
私たちの願いである。
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