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狭窄を伴う切除不能胃癌における胃腸バイパス術後 S
日臨外会誌 75( 9 ),2367―2373,2014 原 著 狭窄を伴う切除不能胃癌における胃腸バイパス術後 S-1ベース化学療法の検討 四国がんセンター外科 羽 藤 慎 二 野 崎 功 雄 落 合 亮 二 小 畠 誉 也 大 田 耕 司 棚 田 稔 栗 田 啓 目的:幽門狭窄を伴う切除不能胃癌において,胃腸バイパス術後の S-1ベース化学療 法について認容性と有用性を検討した. 方法:対象は,2006年から2010年にバイパス術を施行した狭窄を伴う切除不能胃癌連 続39例. 結果:化学療法を希望した33例中,32例に化学療法を施行した.S-1ベース化学療法 は26例に施行され,治療成功期間は6.8カ月で根治切除術を施行した 1 例を除き25例が 増悪(PD)まで継続できた.S-1ベース化学療法施行例における手術からの生存期間中 央値は13.4カ月であった. 結語:通過障害のある切除不能胃癌に対する胃腸バイパス術後の S-1ベース化学療法 は,認容可能で有用な治療の一つであると考えられた. 索引用語:胃癌,胃腸バイパス術,化学療法,幽門狭窄 緒 言 対象と方法 切除不能進行胃癌に対する治療は化学療法が第一選 2006年から2010年の間に,幽門部に通過障害のある 択であり,本邦においては,JCOG9912試験や SPIR- 切除不能胃癌に対して,初回治療として胃空腸バイパ ITS 試験の結果から,S-1ベースのレジメンが標準と ス術を施行した連続した39例を対象とした.バイパス なってきており,胃癌治療ガイドラインにおいても推 術式は,原則として,不完全離断を伴わない単純胃空 奨されている 腸吻合術を基本とし,結腸前経路にて行い,ブラウン .また,狭窄を伴う切除不能進行胃 1)~3) 癌において,姑息的治療である胃腸バイパス手術は, 吻合を追加した.後ろ向き解析により,術後合併症な 経口摂取を可能にすることや,癌からの出血の予防を どの手術関連項目について検討した.また,術後の化 主な目的とするが,S-1等の胃癌に有効な経口抗癌剤 学療法の施行例において,化学療法レジメン,化学療 の使用が可能になるという,化学療法の選択肢を広げ 法開始までの術後日数,また,特に S-1ベース化学療 ることも期待される. 法施行例においては,有害事象,治療成功期間(TTF) , 狭窄を伴う切除不能進行胃癌に対しては,胃腸バイ 全 生 存 期 間(OS) を 検 討 し た. 統 計 解 析 は SPSS パス術を施行したのちに化学療法を行う治療戦略がし ver.11.5J(SPSS 社 ) を 用 い,TTF と OS は Kaplan- ばしば用いられているが,その詳細は明らかではない. Meier 法にて検定を行った.胃癌取扱い規約13版に基 幽門狭窄を伴う切除不能胃癌において,胃腸バイパス づいた表記を行い,有害事象は Common Terminolo- 術後の S-1ベースの化学療法について,その認容性と gy Criteria for Adverse Events v3.0(CTCAE v3.0) 有用性を検討した. に基づいて記載した. 結 果 バイパス手術患者39例の患者背景を,全症例,およ 2014年 1 月 6 日受付 2014年 5 月 4 日採用 び,その後の治療法別に Table 1に示した.肉眼型は 〈所属施設住所〉 3 型,組織型は未分化型,深達度は T4,遠隔転移を 〒791-0280 松山市南梅本町甲160 有し,Stage IV の症例の割合が高かった.バイパス ―1― ― 2368 ― 日本臨床外科学会雑誌 75 巻 Table 1 Characteristics of the patients. All S-1 Other No CTx patients patients regimen patients patients (n=39) (n=26) (n=6) (n=7) Male 25 16 4 5 Female 14 10 2 2 61 (35-81) 60 (35-81) 60 (54-72) 61 (53-80) 0 1 1 0 0 1 1 8 0 6 0 2 1 0 Sex Age – years Median (range) Macroscopic type 2 3 4 Histology Differentiated Undifferentiated Tumor depth T3(SE) T4(SI) Distant metastases None Lymph node Liver Peritoneum Lung Stage I II III IV 22 13 4 5 7 6 0 1 8 31 5 21 1 5 2 5 4 35 4 22 0 6 0 7 7 14 5 10 0 2 2 2 5 21 2 15 2 4 1 2 2 1 0 1 0 0 2 37 0 0 1 25 0 0 0 6 0 0 1 6 S- 1 patients : patients treated with S-1-based chemotherapy. Other regimen patients : patients treated with non-S- 1 chemotherapy. No CTx patients : patients treated with best supportive care. Table 2 Period from the bypass operation to chemotherapy. Days from the bypass operation to the S-1 patients Other regimen patients chemotherapy (n=26) (n=6) -14 0 1 15-21 2 0 22-28 5 0 29-35 10 2 36-42 7 2 43-49 1 1 50-133 1 0 S- 1 patients : patients treated with S-1-based chemotherapy. Other regimen patients : patients treated with non-S- 1 chemotherapy. ―2― 9 号 胃癌バイパス術後の S-1ベース化学療法 ― 2369 ― Table 3 Chemotherapeutic regimens after the bypass operation. No. of cases (n=39) S-1-based chemotherapy S-1 + CDDP 18 S-1 6 S-1 + Oxaliplatin 2 Other chemotherapy MTX + 5-FU 3 5-FU + leucovorin + paclitaxel 1 5-FU + CDDP ip 1 Capecitabine + CDDP + Bevacizumab or Placebo 1 Best supportive care 7 Table 4 Summary of adverse events of S-1-based chemotherapy. S-1 + CDDP(n = 18) S-1(n = 6) All events Grade 3/4 All events Grade 3/4 n % n % n % n % Anemia 17 94 5 28 6 100 3 50 Leukopenia 12 67 1 6 2 33 0 0 Neutropenia 13 72 6 33 0 0 0 0 Infection/febrile neutropenia 0 0 0 0 0 0 0 0 Thrombocytopenia 6 33 0 0 1 17 0 0 Increased creatinine 2 11 0 0 0 0 0 0 Fatigue 8 44 0 0 3 50 0 0 Anorexia 9 50 0 0 3 50 0 0 Diarrhea 4 22 0 0 1 17 0 0 Nausea 9 50 0 0 2 33 0 0 Vomiting 4 22 0 0 0 0 0 0 Stomatitis/pharyngitis 1 6 0 0 1 0 0 0 Hand-foot skin reaction 2 11 0 0 1 17 0 0 Pigmentation changes 5 28 0 0 2 33 0 0 術の手術時間中央値(範囲)は114(68-183)分,出 あり,実際に26例に対し施行された.この26例の患者 血量中央値(範囲)は20( 5 -250)g であった.術後 背景を Table 1に示したが,S-1ベース化学療法を受 合併症は,肝機能異常,イレウスを各 1 例に認めたが, けた患者は, 遠隔転移を有する進行胃癌が多く含まれ, それぞれ胃癌の肝転移,腹膜播種の増悪に伴うもので 25例が Stage IV であった.手術から化学療法開始ま あり,その他の症例では術後経過良好であった.手術 での期間中央値は35日(13-133)であり,当初化学療 から退院までの入院期間中央値(範囲)は14( 7 -53) 法を希望しなかったが,その後,希望に変わった 1 例 日で,在院死亡例はなかった. を除き,術後46日以内に化学療法が開始された(Table バイパス術施行39例中,術後に化学療法を希望した 2). 33例のうち,PS 低下例 1 例を除き,実際に化学療法 施行した化学療法のレジメンを Table 3に示した. を施行できた症例は32例であった.また,S-1投与が S-1ベ ー ス 化 学 療 法 レ ジ メ ン の 症 例 内 訳 は,S-1+ 可能と考えられ,患者に説明が行われた症例は28例で CDDP:18例,S-1単 剤: 6 例,S-1+Oxaliplatin: 2 ―3― ― 2370 ― 日本臨床外科学会雑誌 Fig. 1 Kaplan–Meier estimates of time to treatment failure for patients treated with S-1-based chemotherapy. TTF, time to treatment failure ; CI, confidence interval. Fig. 2 Kaplan–Meier estimates of overall survival from operation for all patients underwent bypass operation followed by S-1-based chemotherapy. MST: median survival time, CI:confidence interval. ―4― 75 巻 9 号 胃癌バイパス術後の S-1ベース化学療法 ― 2371 ― 例であった.S-1+ CDDP レジメンは, 5 週間を 1 サ ない点が利点であるが,再狭窄が多く中長期的な開存 イクルとして S-1(40mg/m2)を 1 日 2 回21日間投与, 率には疑問が残る点が問題である.本検討の結果から シスプラチンは 8 日目に60mg/m 投与した.S-1レジ は,S-1 ベース化学療法を施行した症例における手術 メンは, 6 週間を 1 サイクルとして S-1(40mg/m2) からの MST は13.4カ月と長期であり,全身状態が許 を 1 日 2 回28日間投与した.S-1+Oxaliplatin レジメ せば,ステントよりも外科的バイパス術が望ましいと ンは, 3 週間を 1 サイクルとして S-1(40mg/m )を 考えている.バイパス術の術式については,われわれ 1 日 2 回14日 間 投 与,Oxaliplatin は 1 日 目 に100mg/ は,胃の不完全離断を伴わない単純胃空腸吻合術を原 m2投与した.S-1ベース化学療法以外の化学療法 6 例 則としてきたが,不完全離断を伴う胃空腸吻合術の優 では, 5 -FU を使用したレジメンが多く,S-1を含ま 位性を述べる報告も存在する5).腫瘍部への食事の通 ないレジメンの臨床試験 (AVAGAST 試験,JCOG0106) 過を減らして出血のリスクを減らすのが目的と考えら への登録例が含まれていた. れ,出血併存例に対してはわれわれも施行している. S-1+CDDP,S-1 単剤施行例の有害事象発現状況 その有用性に関しては,今後,症例を集積して検討を を Table 4に 示 し た.Grade 3 / 4 の 好 中 球 減 少 を, 行っていきたいと考えている.また,近年では腹腔鏡 S-1+CDDP:33 %,S-1単 剤: 0 %,Grade 3 / 4 の 下のバイパス術も報告されてきている6).メリットは 貧血に関しては,S-1+CDDP:28%,S-1単剤:50% 腹腔鏡手術の低侵襲性であるが,腹腔内の検索が不十 の症例に認めたが,休薬や減量により継続投与は可能 分であるデメリットも存在し,その有用性については であった.Grade 3 / 4 の非血液毒性の発現はなかっ 今後更なる症例の蓄積が必要と思われる. た.S-1ベース化学療法施行例26例の TTF 中央値は 切除不能進行再発胃癌に対する化学療法について 6.8カ月であり,経過中に根治的胃切除術を施行した は,JCOG9912試験と SPIRITS 試験の結果より,本邦 2 2 1 例を除き,25例が増悪(PD)まで投与継続が可能 においては,S-1 +CDDP などの S-1 ベースの治療が であった(Fig. 1).予後に関しては,バイパス術施 推奨されている.さらに最近では ToGA 試験により, 行全例の手術からの全生存期間中央値(MST)は11.9 HER2 陽 性 胃 癌 に 対 す る capecitabine + CDDP + カ月であった(Fig. 2).化学療法非施行 7 例の MST trastuzumab の有用性も証明された7).これらのレジ は3.9カ月であったが,S-1ベース化学療法施行例の手 メンは,いずれも経口抗癌剤を含むことから,経口摂 術からの MST は13.4カ月であった. 取が不能となっている狭窄胃癌症例では,そのままで 考 察 は治療開始できない点が問題となる.通過障害のある 狭窄を伴う切除不能胃癌においては,姑息的治療で 切除不能胃癌例に対しては,まず先に胃腸バイパス術 ある胃腸バイパス手術がしばしば行われる.バイパス を施行し,経口摂取と経口抗癌剤の使用を可能として 術は,経口摂取を可能にし,腫瘍からの出血を予防す から化学療法を行うという治療戦略が考えられる.こ るなど,生活の質(QOL)を改善することを期待し の治療戦略が効果的だったという報告は散見す て行われる.それに加えて,バイパス術後に,経口抗 る8)~10)が,報告例は未だ少なく詳細は明らかではな 癌剤の使用が可能になるという化学療法の選択の幅を い. 広げることも期待される. 本検討において,手術後に化学療法を希望した患者 胃腸バイパス手術を必要とするような通過障害のあ の割合は,39例中33例であり,このうち32例に実際に る切除不能進行胃癌患者においては,高度進行担癌状 化学療法が施行された.これは手術全症例の82%,化 態,経口摂取不良に伴う栄養障害などから,全身状態 学療法希望症例の97%にあたり,バイパス術後には高 があまり良くなく術後合併症が危惧されやすい.本検 い割合で化学療法に移行できた.また,S-1投与が可 討においては,バイパス手術に関係した周術期合併症 能と考えられ,S-1ベース化学療法が候補レジメンの はなく良好な成績であったが,高度肝転移や腹膜播種 一つとなった患者は28例と高い割合であり,実際に26 例において,現病の悪化に伴う肝機能障害とイレウス 例に施行できた. を認めており,注意が必要と考えられた.幽門狭窄に S-1ベース化学療法施行例の安全性に関しては,本 対する治療として,バイパス術以外に,近年,内視鏡 検討において Grade 3 / 4 の好中球減少と貧血を多く によるステント治療の成績も報告されるようになって 認めたが,休薬・減量により継続投与が可能であった. いる .全身麻酔と開腹を要することなく,侵襲が少 発現頻度を同じ化学療法レジメンである JCOG9912試 4) ―5― ― 2372 ― 日本臨床外科学会雑誌 75 巻 験・SPIRITS 試験と比較すると,Grade 3 / 4 の好中 文 献 球減少については,S-1+CDDP について,本検討: 1) 日本胃癌学会 / 編:胃癌治療ガイドライン.第 3 33%,SPIRITS 試験:39%,S-1単剤について,本検討: 0 %,SPIRITS 試験:11%,JCOG9912:5.6%とそれ 版,金原出版,東京,2010 2) Boku N, Yamamoto S, Shirao K, et al : Random- ぞれほぼ差がない結果であった.しかしながら,貧血 ized phase III study of 5-fluorouracil(5-FU) に関しては,本検討では,ほぼ全症例が貧血を発現し alone versus combination of irinotecan and cispl- ており,Grade 3 / 4 の貧血の検討でも,S-1+CDDP atin(CP)versus S-1 alone in advanced gastric では,本検討:28%,SPIRITS 試験:26%,S-1単剤では, cancer(JCOG9912). Proc ASCO 2007 ; 25 : 18S 本検討:50 %,SPIRITS試験: 4 %,JCOG9912:12.8 3) Koizumi W, Narahara H, Hara T, et al : S-1 plus %と,本検討における貧血の割合が高い傾向にあった. cisplatin versus S-1 alone for first-line treat- この原因としては,狭窄を伴う症例を対象としており, ment of advanced gastric cancer(SPIRITS tri- T4 症例割合も高く,前述の 2 試験に比較して局所進 al): a phase III trial. Lancet Oncol 2008 ; 9 : 215 行胃癌が多く,腫瘍からの出血をきたしやすい背景が -221 あった可能性が考えられる.実際に,化学療法開始時 4) Jeurnink SM, van Eijck CH, Steyerberg EW, et のヘモグロビン値は,26例中 9 例で10g/dl 以下, 6 例 al : Stent versus gastrojejunostomy for the palli- で 8g/dl 以下であり,化学療法前から貧血を呈する症 ation of gastric outlet obstruction : a systematic 例の割合が高かった.バイパス術後の S-1ベース化学 review. BMC Gastroenterol 2007 ; 7 : 18 療法施行時には,貧血の有害事象割合が高くなる可能 5) Kaminishi M, Yamaguchi H, Shimizu N, et al : 性について注意しておく必要があると考えられた.非 Stomach-partitioning gastrojejunostomy for un- 血液毒性に関しては,Grade 3 / 4 の発現はなく,比 resectable gastric carcinoma. Arch Surg 1997 ; 較的安全に施行可能であると考えられた. 132 : 184-187 S-1ベース化学療法の継続性については,TTF:6.8 6) Choi YB : Laparoscopic gatrojejunostomy for カ月であり,JCOG9912,SPIRITS 試験の3.9-4.8カ月 palliation of gastric outlet obstruction in unre- と比較して,遜色ない成績であった.中止理由につい sectable gastric cancer. Surg Endosc 2002 ; 16 : ては,途中に conversion therapy として根治的胃切除 1620-1626 を行った 1 例を除き,全例で増悪(PD)まで投与継 7) Bang YJ, Van Cutsem E, Feyereislova A, et al : 続が可能であった.バイパス吻合部の狭窄によって, Trastuzumab in combination with chemothera- 経口摂取不良や経口抗癌剤の使用ができなくなる症例 py versus chemotherapy alone for treatment of は認められなかったことからも十分な継続が可能と考 HER2-positive advanced gastric or gastro-oe- えられた.全生存期間については,本検討におけるバ sophageal junction cancer(ToGA) : a phase 3, イパス術施行全症例での手術からの MST は11.9カ月 open-label, randomised controlled trial. Lancet であり,比較的良好な予後が期待できると考えられた. 2010 ; 376 : 687-697 特に,S-1ベース化学療法例のバイパス術からの MST 8) 松本友寛,藤原由規,山本憲康他:胃空腸吻合術 は13.4カ月であったことは,SPIRITS 試験や JCOG9912 後 S-1投与が奏効し治癒切除し得た幽門狭窄合併 試験の MST が11-13カ月であったことを参考にする 進行胃癌の 1 例.癌と化療 2009;36:641-645 と,患者背景の偏りがありえることから単純比較はで 9) 田澤賢一,松井恒志,森田誠市他:幽門狭窄を呈 きないものの,バイパス術後であっても S-1ベース化 した切除不能胃癌に対しバイパス手術後 S-1投与 学療法は良好な成績を期待できると考えられた. を行った 1 例.癌と化療 2007;34:1869-1872 結 語 10) 大谷真二,栗田 啓,野崎功雄他:高度進行胃癌 通過障害のある切除不能胃癌に対する胃腸バイパス に 対 す る 胃 空 腸 吻 合 術 の 検 討. 日 臨 外 会 誌 術後の S-1ベース化学療法は,認容可能で有用な治療 2007;68:1064-1069 の一つであると考えられた. ―6― 9 号 胃癌バイパス術後の S-1ベース化学療法 ― 2373 ― S-1-BASED CHEMOTHERAPY AFTER GASTROJEJUNOSTOMY FOR UNRESECTABLE GASTRIC CANCER WITH PYLORIC STENOSIS Shinji HATO, Isao NOZAKI, Ryoji OCHIAI, Takaya KOBATAKE, Kouji OHTA, Minoru TANADA and Akira KURITA Department of Surgery, Shikoku Cancer Center Background : S-1-based chemotherapy is recommended as the first-line treatment for unresectable gastric cancer. For cases of unresectable gastric cancer with pyloric stenosis, gastrojejunostomy is often performed to improve quality of life and facilitate induction of oral anticancer drug, such as S-1. This study aimed to examine the impact of S-1-based chemotherapy after gastrojejunostomy for cases of unresectable gastric cancer with pyloric stenosis. Method : A total of 39 consecutive patients who underwent gastrojejunostomy for unresectable gastric cancer with pyloric stenosis from 2006 to 2010 were enrolled in this study. Results : Among the 39 patients, 33 hoped to receive chemotherapy and 32 of them actually received chemotherapy. Of these 32 patients, 26 received S-1-based chemotherapy after gastrojejunostomy, of whom 25 were able to tolerate chemotherapy until the point of disease progression. The time to treatment failure of S-1-based chemotherapy was 6.8 months and the median survival time following the chemotherapy was 13.4 months. Conclusions : S-1-based chemotherapy after gastrojejunostomy is feasible and presents a useful treatment for the unresectable gastric cancer with pyloric stenosis. Key words:gastric cancer,gastrojejunostomy,chemotherapy,pyloric stenosis ―7―