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第12回目授業資料1はこちらのPDFファイルでご覧いただけます。 - G-SEC
シティグループ証券寄附講座「グローバル金融市場論」
米国企業の成功
~アップルのケーススタディ~
2012年12月20日
シティグループ証券株式会社
東京都千代田区丸の内1丁目5番1号
新丸の内ビルディング
シティグループ証券株式会社取締役副会長
兼慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員
兼北京大学日本研究センター特約研究員
藤田 勉, Ph.D.
+81-3-6270-4885
[email protected]
本資料はシティグループ証券が情報提供を目的として作成したものであり、投資に関する助言又は金融商品の売買の勧誘を意図したものではありません。
1
アップルの成功
1. スティーブ・ジョブズは、1976年に共同設立者スティーブ・ウォズニアッ
クとともにアップルを創業。
2. アップルは、パーソナル・コンピューター市場を切り開き、高成長を遂げ
た。
3. IBMやマイクロソフトとの競合が強まり、アップルは長期の低迷期に
入った。
4. ジョブズはいったん退社したが、復帰し、2000年に経営最高責任者
(CEO)に返り咲いた。復帰後、再度、アップルの急成長が始まった。
5. 2001年に発売したiPod、2003年に開設したオンライン・ミュージックスト
アのi Tunes、2007年発売のi Phone、2010年発売のiPadの成功により、
急成長。
6. アップルの成功は、①高収益を追求するビジネスモデル、②ブルー・
オーシャン戦略、③コーポレートブランド戦略、によるところが大きい。
2
ブルー・オーシャン戦略とは
2005年に、『ブルー・オーシャン戦略』(INSEADのW・チャン・キム教授、
レネ・モボルニュ教授著)が発表された。
レッド・オーシャン
血で血を洗うような厳しい競争が存在する赤い海。
製品のコモディティ化が進み、競争が激しさを極めるため、レッド・オーシャ
ンは一段と赤い血潮に染まっていく。
→マイケル・ポーターの「競争の戦略」=レッド・オーシャン戦略
ブルー・オーシャン
競争が存在しない、澄み切った青い海。
画期的な新市場の創造
→ブルー・オーシャン戦略(例:任天堂のWii、ファナックのCNC)
3
バリュー・イノベーション
バリュー・イノベーションは、ブルー・オーシャン戦略の土台。
単なる技術のイノベーションと、ブルー・オーシャン戦略におけるバリュー・
イノベーションは異なる。
1.イノベーション
新しい技術+既存の商品・サービス=全く新しい商品・サービス
例:蒸気機関(新技術)+客車(既存のサービス)=鉄道輸送
ジェットエンジン(新技術)+飛行機(既存の商品)=ジェット機
シュンペーター 著『経済発展の理論』、イノベーションを中心とする内部成
長理論
2.バリュー・イノベーション
コストを押し下げながら、買い手にとっての価値を高める。
4
アップルのブルー・オーシャン戦略
1. アップルは、画期的な新商品を次々に生み出すブルー・オーシャン戦略の
勝者。10年以上前にブルー・オーシャン戦略の勝者であったソニーとNTTド
コモは、今やレッド・オーシャンの真只中 。
2. アップルは、まったく画期的な商品を開発したわけではない。アップルの製
品は、操作方法がユニークであり、機能性が高い。他社が追いつけないス
ピードで、次々と製品をバージョンアップ。
ソニー、NTTドコモ、アップルの時価総額の推移
(10億ドル)
700
世界のIT・家電時価総額上位10銘柄(2011年末)
2011年末
国
時価総額
過去10年
(百万ドル)
株価騰落率
1
アップル
米国
376,411
3598.6%
2
マイクロソフト
米国
218,380
-21.6%
3
IBM
米国
216,724
52.0%
4
グーグル
米国
209,199
-
5
サムスン電子
韓国
135,280
279.2%
6
オラクル
米国
129,394
85.7%
7
インテル
米国
123,481
-22.9%
8
シスコシステムズ
米国
97,196
-0.2%
9
クアルコム
米国
91,947
116.6%
10
Visa
米国
69,778
-
出所: S&P Global Equity Indices、データストリーム、シティグループ証券
アップル
600
ソニー
NTT ドコモ
500
400
300
200
100
0
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
注:2012年11月末時点
出所: データストリーム、シティグループ証券
2008
2010
2012
5
コーポレートブランドとは何か
1.プロダクトブランド、サービスブランド
プロダクトブランドは、シャネル。サービスブランドは、リッツカールトン。
2. 派生ブランド、トレードマーク
コカ・コーラ、ダイエットコーク、チェリーコーク、ファンタ。
3.コンスーマブランド、非コンスーマブランド
主として消費者向けビジネス(B2C)において重要。
4.コーポレートブランド
マルボロはプロダクトブランド、東京ディズニーリゾートはサービスブランド。
アルトリア・グループとオリエンタルランドが、コーポレートブランド。
アップルの新商品発売時には、開店前から長い行列ができる。
商品を見ないでも、割引がなくても、皆が買いたがる。
6
リーダーとコーポレートブランド戦略
コーポレートブランドの重要性の高まり
1. 会社がグローバル化、巨大化、事業の多角化。
2. 国内外でステークホルダーが増加し、価値観の多様化。
3. コンプライアンス上の問題、事件、事故が発生しやすい。
すべてはリーダーである
1. 崇高な企業理念を欠いたまま、金儲けに徹した会社が、持続的に、大きく
利益成長する例は皆無(エンロン、ライブドア、グッドウィル、武富士)。
2. 従業員や経営者などの内部者が、リーダーの高い志、理念、哲学、倫理
観、戦略などを共有。
3. 消費者、取引先、資本提供者などの外部者が、それを認識。
アップルのスティーブ・ジョブズ氏、GEのジャック・ウェルチ氏、IBMのルイス・
ガースナー氏、ホンダの本田宗一郎氏など。
7
本日の論点
1. 会社にはDNAがある。
2. 生まれと生い立ちが重要。社史(HPの「会社の沿革」)を読む。創業者の
「熱き思い」を理解する(社是、社名の由来、発祥)。経営者の理念哲学や
社風を理解する。
3. DNAを軸にポジショニングする。
4. 常に、「知の創造」(SECIモデル)を駆使して、ブルー・オーシャンを切り拓
く。
5. ブルーオーシャン戦略に成功し続け、かつ社会とのコミュニケーションに
成功すれば、強力なコーポレートブランドを確立できる。
6. 激しい競争において、生き残るのは、強い者や大きい者ではない。賢くて、
俊敏な者である(例:アップル、ソフトバンク)。
7. すべては、リーダーである。リーダーが、自らの強みと弱みを十分に理解
することが経営戦略成功の最重要要因。
8
本資料は本資料は当社内のシティ資本市場研究所が作成したものであり、他の第三者に過去に提供された他の資料の抜粋を含む可能性がありま
す。本資料は、当社又はその関係会社が作成配布したリサーチレポートに言及している可能性がありますが、本資料は調査部門が作成したもので
なく、本資料に記載された情報は、適用される規制当局により定義された「アナリストレポート」及び「リサーチレポート」に該当することを意図してい
るものではありません。本資料に記載された情報は、一般的に入手可能な情報であり、信頼に足ると思われる情報源から入手したものですが、正確
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