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課題の整理に向けて(PDF:321KB)
資料3 課題の整理に向けて 学力向上 これからの子どもたちに求められる「学力」 ◆学習指導要領によれば、学力は、①基礎的・基本的な知識や技能の習得、② 思考力・判断力・表現力等の育成とされている。 ◆現代は、伝統的な学力とは異なり、言語、情報、技術などを道具として使い こなす教科横断的な汎用的能力の養成が求められており、何を知っているか よりも何ができるかが問われる時代になってきている。 ◆幅広く学力を捉える必要がある。新しい学力の動きについて現場の先生方の 認識が弱いのではないか。 ◆マークシート式問題の増加などで、やり方だけを覚えて答をただ当てればい いという傾向があり、論述する力が弱い。きちんと物事を書く力をつける教 育が必要である。 ◆文章と数式の関係や比・割合の概念への理解が弱い。算数や理科などの教科 でも、国語の文章理解力が欠かせない。 学習指導 ◆思考力・判断力・表現力は、問題解決の過程で養われるが、教師が課題を与 えるのではなく、驚きや疑問、感動に出会い、問題意識が子ども自身に生ま れてくるような問題解決型の授業を目指す必要がある。 ◆学力向上には、教員の実践的指導力にかかっている。実践的指導力は、使命 感や情熱、深い教育的愛情といった教育愛と理論に支えられたスキル(方法・ 技術)である。 ◆学力を支える、心棒になっているのは整理整頓や礼節をはじめとする学習規 律である。 ◆新たなものを生み出すには、試行錯誤が必要で、その基盤として体験が重要 になる。 ◆五感を使う体験を通して学ぶことにより応用、活用していける力が身につく。 資料 3-1 ◆自分の体験や身近な生活の問題と結び付けて教え、考えさせることが必要。 ◆学びの時間を増やすことが重要であることから土曜日授業については、教員 の負担を考慮する必要はあるものの積極的に進めるべきである。 ◆各教科の垣根にあるような部分を教科間の縦割りを超えてしっかり教えたら どうか。 ◆千葉県の先生の課題としては、他県に比べて、家庭での学習方法について指 導することが少ないことがあげられる。 ◆保護者や先生は、無関心・放任や過度の関わりではなく、発達段階や一人一 人の個性に応じて、適切な関わりの中で学習方略や学習観を育てていくこと が大切。 ◆子どもから、一方的な答ではなく、どういう考え方をしているのか問いを引 き出す教育が必要。 主体的な学びの促進 ◆現代の子どもたちは、満ち足りた生活にあり、困ることがないので、勉強す る必要性を感じにくい。また、自己肯定感が低く、偉くなりたいという思い が少ない。一番必要なのは、動機づけする価値観、学びの目的意識を育てる こと。 ◆学習方法が身についていない子、考えようとしない、解きっぱなしの子が増 えている。中学校卒業段階までに、自分で動機づけ、適切な方法を用い、モ ニタリング・評価する力、効果的な学び方や望ましい学習観の習得、自分で 課題を発見し、解決方法を考える力といった、自律的・主体的に学ぶ力を育 てる必要がある。 ◆学習量の中間層の薄さが千葉県の課題。 ◆子どもの生活時間を調査すると成績上位と下位の差が一番大きいのはメディ アの時間と学習の時間。時間をいかに有効に活用し、生活トータルをコント ロールする中で学習を位置づけるかが重要である。 ◆先生や保護者の努力至上主義、テストや成績による動機づけ、結果重視の働 きかけは、結果が出なくなった時に行き詰る。 ◆地域の人々に、自分の人生を語らせることが、子どもに人生を考えさせるこ とにつながる。 ◆最初から動機や明確な目的意識ありきではなく、認められる喜びが自分を発 見する動機づけになる。 資料 3-2 学力向上を支える基盤の整備 ◆生活習慣は、学力を作る基盤であり、乳幼児期からの積み重ねが大切である。 ◆睡眠時間を削ってまで、上位の子どもが勉強しているわけではない。基本的 な生活リズムが大切。 ◆学級集団の状態を安定させることが、学力向上の必要条件である。その上で、 授業の内容・構成・展開といった学習活動の質・量を充実させていくことが 十分条件となり、学力向上に結び付く。 ◆学力向上には、学習活動と生徒指導をトータルで見ていくことが必要である。 ◆学級集団の状態を良好にしなければ、学習指導面とガイダンス面が、相乗的 に悪化し、学力定着の低下、不登校・いじめ問題の増加、通常学級での特別 支援教育の停滞といった状況につながる。 ◆子どもには、学力差があり、学力差のある子どもには、丁寧な対応が必要で あるが、学校だけでは限界があることから、保護者の力を活用することも必 要である。 ◆保護者や地域には、教員にない広い視野や知識、個性、能力を持っている人 も多い。こうした人の力を学校に活用していく必要がある。 資料 3-3 教員の資質向上 求められる教師像 ◆教員に求められるのは、主に学習指導力、生活指導力・進路指導力、外部と の連携・折衝力、学校運営力・組織貢献力であり、これら全てを連動させて いく必要がある。 ◆全国都道府県教育長協議会の研究報告の中では、教員に求める資質能力につ いて、 「授業力」、 「実践的指導力」、 「豊かな人間性・社会性」、 「教育に対する 情熱・使命感」、「専門的知識・技能」、「子どもに対する理解力」などをあげ ている。 ◆子どもたちに考えさせたり、議論させたり、グループで問題解決させるなど 21世紀型の解のない問題に対応して指導できる力をつけていくことが重要。 ◆保護者や地域と関わりながらそのリソースを引き出していくコーディネータ ーとしての役割や社会性を育てていくことが必要。 ◆生徒の状況が多様化する中で、相手の立場に立って話す説明力が弱くなって いる。 ◆若い先生方には生活体験が欠けている。 優秀な人材の採用 ◆マークシート式でなく、論理力・論述力を問う論述式の試験について検討し ていく必要がある。 ◆論述できる力は、体験から生まれるものであり、採用試験の際に生活体験や くらしの感性を問う実技試験を取り入れるべき。 ◆教員採用について世代別教員数で一番少ない40歳前後にターゲットを絞り、 積極的に採用をしてもよいのではないか。 学校のガバナンス ◆使命感が高く、学び合い高め合う教員組織の構築が重要。教員一人一人が使 命感を持ち、学び、高めていこうという意識を教員集団で持てるかが大きい。 ◆校長の実践的指導力がカギであり、確固たる教育観、授業観をもち、具体的 資料 3-4 な方針を示し、リーダーシップを発揮するとともに学校・家庭・地域とのコ ーディネーターの役割を果たすことが求められている。また、視野を広げて、 教師の日々の教育活動や子どもの変化に注意し、評価及び改善について実践 的な指導を行っていくことが必要である。 ◆校長の権限と責任を強化すべき。また、学校に行政職を配置し、教員は専門 職として教えることに特化すべき。 教員の活性化・意識改革 ◆授業参観については、イベント的な授業展開ではなく実践的な教育の場とし て、保護者と教員で視点を共有し、保護者から感想や評価を聴取し、教員の 自己点検につなげていく取組は効果があった。 ◆勤務する学校で当たり前とされる教育の質やレベルが、地域や学校によって 異なっていることを教員に認識させるため、いろいろな地域での学校を経験 させるような異動の仕組みに変えてはどうか。 ◆ポストの上昇が教員の動機づけにならなくなっており、動機づけをどのよう に行っていくが課題。特に年齢構成上で人数が少なく、モチベーションが二 極化していく中間の年齢層を活性化させていくことが必要。 ◆校内で若手教員と中堅・ベテラン教員の日常的な磨き合いの場を作ることが 必要。 ◆先生は変わったことをやると周りからいろいろ言われ、目立っては駄目とい う横並びの意識が問題。 ◆教員がどういう使命を持ち、それを担っているということを研修の中できち っと伝えてほしい。 資料 3-5 幼児教育・家庭教育の充実 現状と課題 (親の孤立化による育児能力の低下) ◆人間関係やつながりが弱まっており、相談相手や支援者が少なくなっている。 ◆祖父母や近所の人の関わりが失われ、父親の育児時間も少なくなっている。 ◆親育ちの場が減少しており、ITからの情報収集に頼りがち。 (親としての熟成・成長不足) ◆子育てができている、「親」とみなすことができると思える人はごくわずか。 ◆子どもを産むまで赤ちゃんと接したことのない母親が多い。 ◆生活リズムの乱れ(夜遅・朝遅型、偏食など) ◆父性の低下 ◆虐待件数の増加 ◆地域コミュニティへの不参加 ◆子育ての保育所任せやしつけの学校任せ (乳幼児の現況) ◆遊び込みの不足による運動能力の低下 ◆親のスキンシップ不足による語彙、言語、コミュニケーション能力等の低下 ◆育児の問題に起因する軽度発達障害に似た症状を示す子どもの増加 ◆発達障害に似た症状の原因については、オキシトシン説とセロトニン説があ る。 (幼児教育の状況) ◆子育てに専念したい親も多いが、公費は保育に厚く、幼稚園の保護者への支 援と格差がある。 ◆幼児教育職員の在職期間は非常に短く、慢性的な人材不足が見られる。待遇 改善、長く勤められる職場環境づくりが急務。 ◆保育者の離職率が乳児期の保育の質に影響する。これは、子どもの言語、社 会面、感情面に悪影響があり、小学校以降の学力にまで影響していく。 ◆先生に遊びや体験が不足していたり、生活習慣の問題がある。 ◆園によって研修の格差が大きい。研修の充実が必要。 資料 3-6 学力と幼児教育 ◆幼稚園教育要領は、遊びを通した総合的な指導、環境を通した指導を理念と しており、教員が、子どもの自発的な遊びの中から、その子にとって学びの 対象となるものを見出し関わっていくことにより、知的な能力を伸ばしてい くことが求められる。 ◆幼児期に生活習慣や規範意識を身につけると知的活動につながる。 ◆イギリスの調査研究によれば、幼児教育の質が高くなるにつれ、小学校での 学力の向上が見られた。 家庭教育の支援 ◆家庭教育が困難な層に向けては、専門的な知識と技術を持つチーム型の複眼 的な支援が必要。 ◆家庭教育を支える地域の社会的資源として、支援者を育成し循環していくシ ステムを作っていくことが大事。 ◆ワークライフバランスなど、家庭が「幼児期の教育の意義」を理解できるよ うに、幼稚園・保育所からの働きかけも必要である。 親の学び ◆幼いうちから、赤ちゃんや乳幼児に触れる体験を通して、生命への畏敬とか 母性の熟成、育児力を育成することが必要。 ◆学校教育の中で社会に出た時に役立つ知識や自分を守り支える力をつける教 育に取り組むことが、二極分化した子育ての状況を改善していく一つの手立 て。 ◆親自身が幅広い年齢層の人とつながる仕組みが必要。 ◆親が親となるための勉強の機会はとても大切なことであり、虐待やアルコー ル依存症といった「悪い世代間連鎖を断ち切る」ためにも親の学習機会が重 要である。 ◆子育てを学ぶ場として、幼稚園・保育所の活用を図るべき。 ◆基本的に親の学びは、親が何を学びたいか、何をきっかけにしたいかという ことを、まずは耳を傾けていくことが大事である。 ◆今の教育は、生まれると親も子も「個」という考え方になっている。幼児教 育の段階から、子どもに命をリレーするという日本人の伝統的な考え方でき ちんと教えてほしい。 ◆幼児期の脳の発達に関する研究成果も活用していくべき。 資料 3-7 幼保小の連携 ◆保育所、幼稚園から小学校への円滑な接続のための仕組みが必要。カリキュ ラムの連携ができるとよい。また、幼稚園と保育所が幼児教育の意義につい て共通理解が図れるよう幼保連携の推進が必要。 ◆幼稚園・保育所から小学校への移行については、日常生活の積み重ねのとこ ろでの問題が大きい。必要な移行期間を設けて、授業を受ける習慣を身につ ける等の必要がある。 資料 3-8