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Title Author(s) Citation Issue Date URL 24. 遍歴電子反強磁性体YMn_2におけるフラストレーシ ョン(基研短期研究会「スピングラスを中心とした新しい 秩序相」報告,研究会報告) 志賀, 正幸 物性研究 (1988), 49(4): 395-395 1988-01-20 http://hdl.handle.net/2433/92887 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 「スピングラスを中心 とした新 しい秩序相 」報告 24.遍歴 電子 反強磁 性体 YM n2 におけ るフ ラス トレーシ ョン 京大 工 志 賀 正 辛 ラーベ ス相 ( C15)金属 間化 合物 YMn2は遍 歴 電子反強 磁性 体 で あ るこ とが最近 見出 され たが 、磁 気 モ ーメン トを担 う Mn は 4面体 構 造 を と り、反 強 磁性 構造 と して、 全 て の最近 接 ス ピ ンを逆 にす る構 造 は許 きれ ず プ ラ ス トレー トした系 で あ る。 その ため 以下 の ような 興 味 あ る現 象 が見 出 されて い る。 (1)長 周期 ヘ リカル変 調 の 出現 。 この物 質 の磁 気構 造 は初 め通 常 の中性 子回折 に よ り コ リニ ア -な反強磁性 体 で あ る とさ れ たが、 この構造 を よ く見 る と、最 近按 相 互作用 を考 え る限 り、隣接 す る (100)面 間 に働 く相 互作 用が強 く反強磁 性 的 にカ ップル す る 2面 と、相 互作 用 が キ ャンセル す る 2面 が交 互 に並ぶ 特異 な構造 であ るこ とがわ か る (文 献 1参 照) 。従 って、磁 気 的 に は互 いに 結合 しな い 2次元 的 な反強磁 性層 か らな る系 とみ なせ 、 3次 元 的 な反強 磁性 構造 は不安定 で あ りよ り遠 距離 間の相 互作 用 に よ りコ リニ ア-構造 が変形 す る可能 性 が考 え られ る。実 際、最近 グル ノーブル に おいて長波 長の 中性 子線 に よ る回折 で約 400A周 期 の ヘ リカル モジ ュ レーシ ョンが発見 され た。 (I) ( 2 )高溝 度 ス ピング ラ ス相 の 出現 。 [Y ( Mn卜X A Ix)2 系] YMn2中 の M n原子 は圧 力 を加 え た り原 子半 径 の小 さ い第 3元素 を置換 す る ことに よ り容 易 にそ の磁気 モ ーメ ン トを失 う。 一方 、原 子 半径 の大 きい元素 を置換 す る と磁 気 モ ーメ ン トが安 定化 し局 在 モ ーメ ン ト的 にな る。 Mnを A lで置 換 す る とこの系 の ス ピン の揺 らぎが局 在 モ ーメン ト型 に変化 し、わず か 5%の 置 換で長距 離反 強磁性 秩序 が消失 し スピング ラス とな る。 (2) この よ うに、わず かな不純 物 の添 加 で長距 離秩序 が消 失 す るの 3) もブ ラス トレー トした系 の特 徴 と考 え られ る。 ( ( 3 )量子 ス ピン液 体 ? YO.97Sc 。.03M n2 Yを原子 半径 の小 さ い S cで 置換 す ると約 2%の置換 で Mnはモ ーメ ン トを失 い非磁性 と な る。 この こと は、低 温 ( 70mK)で も NMRスペ ク トル が シャ ープな常 磁 性 的 吸収 線 を示 す こ とか ら確か め られ て い る。 この 物質 の電 子 比熱係数 は 140m J / m oI K 2と 3d 系 と して は異 常 に大 き く重 い フ ェル ミオ ン物 質 とみな せ る。最近 この系 の偏極 中性子 に よ 5F LB以上 の振幅 で強 い反強磁 る常 磁性散乱 の測 定 を行 った結果 低温 (8K) に おいて も1. 性的相関 を示 す ス ピンの揺 らぎが存 在 す るこ とが分 か った く 4)。 この揺 らぎは基 底状態 に お け る揺 らぎで圭 子揺 らぎ と考 え るべ きで あ ろう。 そ の メカニ ズム等 は これ か ら明 らか にす る必要 が あ るが 、強 い反強磁性 的相 互作用 が あ るに もかかわ らず 、 フラ ス トレーシ ョ ンに よ り反強 磁性 の出現 が押 さえ られて い るため で はな いか と考 えて い る。 (1 )R. B aHo u,J . D e p o r t e s,R. L e m ai r e,V. N a k a m ur aa n dB. A ul a d di a f:J. M a g n. M a 8 n. M a t er .7 0 ( 1 9 8 7 ) 1 2 9. (1 9 8 7 ) ( 2 )M. S hi g a,H. U a d a, H . N a k a m ur a, K. Y o s hi m ur aa n dY. N a k a m ur a;J. P h y s. F1 7 1. 1 7 8 ( 3 )ド. M at s u b ar a;J. P h y s. S o c. J p n.5 4 (1 9 8 5 ) 1 6 7 7. ( 4 )M. S hi g a, Y. N a k a m ur a, H. V a d a, J. D e p or t e s, B. O ut a d di a fa n d紘. R. A. Zi e b e c k; i np r e p a r a ti o n. -39 5-