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Topics 「第3回薬事委員会シンポジウム」開催される
No136_Topics_薬事委員会 10.2.27 1:31 PM ページ28
Topics 「第3回薬事委員会シンポジウム」開催される
トピックス
2009年12月22日、フロラシオン青山にて、「より早く医薬品を開発するための薬事最
適ストラテジー」
と題する薬事委員会の第3回目のシンポジウムが開催されました。
新薬の開発を計画するうえで限りある資源を最大限に利用し効率的に進めたいと考える
企業の立場と、承認申請後に科学的な評価を行う厚生労働省、医薬品医療機器総合機構
の立場は異なるものの、有効で安全な医薬品をより早く患者さんへ届けたいという理念
は同じであろうと考えます。
そこで、薬事委員会では、新薬の開発と審査における諸問題について、産官学が一緒に
考える場の設定を企画しています。その企画も第3回目を迎えました。
この数年、ドラッグ・ラグを解消すべく、日本におい
てもアジア治験も含めた国際共同治験が増加してき
ており、今や年間100試験以上実施されています。
このように、臨床開発計画を立案するうえで国際共
同治験が普遍的に考慮されるようになってきました
が、その実施においては依然として多くの課題が存在
することは否めません。薬事委員会では、これらの課
題の一つと考える民族差について考察し、最適の開
発戦略を立案するために検討すべき要件について議
論したいと考え、今回のシンポジウムを企画いたし
ました。
オープニング
今回のシンポジウムのオープニングとして、
「最近
の新薬審査に関する動向」と題し、新薬開発に関する
環境の変化について、厚生労働省 医薬食品局 成田昌
稔審査管理課長から、また、
「PMDA
(医薬品医療機器
総合機構)
における審査とその展望」
と題して、審査を
担当している審査官の理念と製薬企業への提言につ
いて、医薬品医療機器総合機構 近藤達也理事長から
講演がありました。オープニングでも議論の場を設
け、薬事委員会 石井委員長司会の下、審査体制や独
立行政法人のあり方、治験や臨床研究の制度につい
て活発な意見交換が行われました。
第1部
「用法・用量に見る民族差」
シンポジウムでは、東京大学 小野俊介准教授と薬
事委員会 桑原雅明副委員長が進行役を務めました。
第1部では「用法・用量に見る民族差」と題して、まず、
薬事委員会 鈴木雅典氏から「薬物動態・用法用量に関
する審査側の評価∼審査事例から」
と題する発表があ
JPMA News Letter No.136(2010/03)
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り、続いて、東京大学 草間真紀子助教から「国内と欧
米の承認用量」と題する講演が、また、医薬品医療機
器総合機構 平山佳伸上席審議役から「海外データの
利用と承認用法・用量について」と題する講演があり
ました。
鈴木氏は、薬物動態および用法・用量の設定に関す
る審査側の評価について審査事例を挙げて紹介し、
用法・用量の設定の議論は製剤開発の必要性も含め申
請後早期からなされることを要望しました。草間先
生は、国内と欧米の承認用量の比較について、用量設
定に誰がどれだけ関与しているのかに着目して発表
しました。平山上席審議役は、海外データの利用方法
と承認用法・用量について発表し、違いの原因がどの
ようなことに起因しているのか、それらを考慮したう
えでどのような対応を行うべきか言及しました。
参加者から関連した質問や意見があり、臨床薬理
データや臨床試験結果と用量設定の考え方について
討論しました。日本での用量設定の考え方について、
産官学それぞれの立場から意見が交換され今後の開
発に活かせる議論がなされました。
第2部「最適な開発ストラテジーとは?」
第2部では、
「最適な開発ストラテジーとは?」と題
して、糖尿病領域の薬剤を例に最適な開発ストラテジ
ーについて議論しました。まず、北里大学 成川衛准
教授より「最適開発ストラテジーに関する考察」と題
する発表がありました。その後、
「企業側が考える最
適開発ストラテジー∼糖尿病領域の開発候補品を例
に∼内資系企業の立場から」
と題して、武田薬品 医薬
開発本部 日本開発センター 中岡一郎所長の発表があ
りました。
「第3回薬事委員会シンポジウム」開催される
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会場風景
続いて、
「企業側が考える最適開発ストラテジー
∼糖尿病領域の開発候補品を例に∼外資系企業の立
場から」
と題して、万有製薬 臨床医薬研究所 循環器・
糖尿病領域 鈴木英世部長より仮想事例を含めた発表
がありました。
成川先生は開発戦略の考え方とそれに影響する要
因、海外データの利用方法、マーケット戦略について
コメントしました。
中岡氏は、糖尿病領域におけるブリッジング戦略や
FDA(米国食品医薬品局)から出された当該領域に関
係するガイドラインが開発戦略に及ぼす影響につい
て言及し、国際共同治験を含めた開発戦略において、
日本が今後糖尿病領域においてリードしていくため
に必要なことを提言しました。鈴木氏は、仮想事例で
の開発戦略を紹介し、開発コンセプト、データパッケ
ージおよび試験デザインの適切性についてグローバ
ルな立場からコメントしました。
昨年末に、抗糖尿病薬の開発ガイドライン案がパブ
リックコメントに出されたところであり、大変タイム
リーなテーマとなりました。
「第3回薬事委員会シンポジウム」
開催される
参加者から関連した質問や意見があり、加えて医
薬品医療機器総合機構 富永国際部長からもアジア
治験の重要性に関する質問が出され、糖尿病領域で
の開発戦略について活発な議論がなされました。
第2部では、講演者の発表に力が入り、多くの資料
を提示しての発表となったため、討論の時間が十分
なかったことが悔やまれますが、開発の考え方や問
題点を指摘した膨大な資料の発表は参加者にはとて
も有意義であったことと思います。
薬事委員会が開催するシンポジウムも3回を重ね、
定着してきました。今回も300名を越える参加者を
得て、大盛会となりました。会員各社の皆さんの本シ
ンポジウムへの期待の高さがうかがえます。薬事委
員会としては、このようなシンポジウムを開催して各
社の新薬の開発促進に寄与し、ひいては有効で安全
な新薬を早く患者さんへ提供することに貢献してい
きたいと考えています。
(薬事委員会 申請薬事部会)
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