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医療費の伸びの構造について
資料3 医療費の伸びの構造について 平成28年4月8日 厚生労働省保険局 医療費の要因別伸びの動向 ①診療種別の高齢化の影響 診療種別に、医療費の伸びに占める人口構造の変化による影響を見ると、入院 は伸びの多くが高齢化によって説明できるのに対し、外来については人口構造の 変化による影響はそれ以外の影響よりも小さくなっている。 診療種別医療費の伸びの要因分解 (兆円)25.0 +2.5兆円 +2.1兆円 20.0 18.4 16.3 +0.8兆円 +2.4兆円 15.0 20.9 14.1 15.0 11.7 10.0 入院 入院外 + 調剤 5.0 そ の 他 の 要 因 人 口 構 造 の 変 化 0.0 H15 出典:「国民医療費」 H15(年齢構成をH25に補正) H25 1 医療費の要因別伸びの動向 ②施設・病床の構造について 病院の機能別に医療費の動向を見ると、1病床当たりの医療費の伸びは特 定機能病院でやや高くなっている。 病床数の動向 (万円) (万床) 200.0 179.9 180.0 2,500 175.6 171.3 168.1 病院計(8,645施設) 160.0 2,000 特定機能病院(86施設) 一般病床 140.0 療養病床 120.0 精神病床 100.0 病院機能別 1病床当たり医療費 90.9 90.4 89.9 89.4 DPC対象病院(1,585施 設) 1,500 一般診療所 80.0 総数 一般病床のみの病院(2,995 施設) 1,000 療養病床のみの病院(1,332 施設) 60.0 40.0 20.0 35.9 16.7 35.4 33.9 34.9 14.7 33.0 34.4 12.9 32.8 33.8 11.2 精神病床 のみの病院(1,091施設) 500 有床診療所(5,895施設) 0.0 17年 20年 23年 26年 0 23年 26年 注:施設数は平成26年度のもの。 出典:「医療施設調査」「 平成26年度 病院機能別 制度別 医療費等の状況」 2 医療費の要因別伸びの動向 ③疾病別の状況について 疾病別の入院医療費の伸びについて、人口構成の変化によるものを除いて 見てみると、新生物、神経系、筋骨格系及び損傷・中毒等による医療費の増が 大きいことがわかる。 【入院】疾病別入院医療費の動向(平成15∼25年度) (兆円) 4.00 3.33 3.49 3.50 3.00 H15 H15(年齢構成をH25に補正) H25 2.58 2.50 2.00 1.36 1.50 1.50 1.00 0.50 0.00 合計 H15 11.7兆円 H15(年齢構成をH25に補正) 13.9兆円 H25 15.0兆円 2.39 2.06 0.25 0.22 0.25 0.47 1.37 0.13 0.58 0.05 0.06 0.49 2.73 0.86 0.27 0.52 0.24 0.05 0.46 0.30 0.04 0.04 0.91 0.92 0.86 0.89 0.71 0.77 1.48 0.97 1.20 0.58 0.72 0.21 0.17 0.13 0.18 1.01 0.59 0.11 0.60 0.49 0.06 0.07 0.16 0.15 0.08 0.07 0.06 0.06 0.11 0.13 出典:「国民医療費」(厚生労働省) (注) 「年齢構成をH25に補正」とは、平成15年度の年齢階級別疾病別医療費と、平成15年度及 び平成25年度の人口構成をもとに、年齢構成を平成25年度に補正した医療費。 3 医療費の要因別伸びの動向 ④診療行為別の状況について 診療行為別の入院医療費(1ヶ月の総点数)の動向について、人口構成の変化 によるものを除いて見てみると、DPC対象病院の増加に伴いDPCが増加しており、 またDPCの包括対象ではない、手術、リハビリテーションなどの費用が増加。 【入院】診療行為別点数の動向(平成23年度∼26年度) (千万点) 4,500 4,066 4,000 H23 H23(年齢構成をH26に補正) H26 3,500 3,000 1,500 3,192 2,992 2,867 2,500 2,000 4,081 3,827 合計 H23 1,006億点 H23(年齢構成をH26に補正) 1,060億点 H26 1,091億点 1,776 1,635 1,575 1,000 573 500 228 169 146 484 89 10 11 11 76 80 80 15 15 18 183 193 99 106 140 147 287 304 450 215 50 50 55 221 236 236 214 220 32 33 36 17 18 17 0 出典:「社会医療診療行為別調査」 注:点数は、各年度の5月診療分(1月分)の点数であり、その月の医療費に換算する場合、ほぼこれを10倍したものとなる。 4 医療費の要因別伸びの動向 ④診療行為別の状況について 外来医療費について同様に見た場合、全体的に増加しており、検査、注射、 処置による医療費の増が大きい。 【入院外】診療行為別点数の動向(平成23年度∼26年度) (千万点) 2,000 1,800 1,866 1,839 1,667 合計 H23 903億点 H23(年齢構成をH26に補正) 928億点 H26 1,060億点 1,820 1,764 1,600 1,400 1,573 1,536 1,492 1,474 1,200 1,000 800 600 1,047 936 H23 876 798 839 815 628 593 697 678 H26 665 644 400 200 H23(年齢構成をH26に補正) 883 862 665 138 99 102 201 203 203 270 227 218 44 37 39 45 39 40 77 64 65 2 2 2 0 出典:「社会医療診療行為別調査」 注:点数は、各年度の5月診療分(1月分)の点数であり、その月の医療費に換算する場合、ほぼこれを10倍したものとなる。 5 医療費の要因別伸びの動向 ⑤薬剤費について ⑤−1 薬剤費と薬剤費比率の動向 国民医療費に占める薬剤費の割合はここ近年横ばいであり、概ね国民医療 費の伸び率と薬剤費の伸び率は同程度となっている。 30 28.5 24.5 26.1 国民医療費 薬剤費 23.3 20.1 20 19.6 20.2 20.6 20.7 21.9 21.5 22.1 21.4 薬剤費比率 21.7 10 24.4 25.8 27.0 28.5 28.9 29.6 30.7 30.1 22.3 21.1 21.9 21.7 40 (薬剤費比率=薬剤費/国民医療費) 15 21.2 31.1 31.0 31.5 32.1 33.1 33.1 34.1 34.8 36.0 37.4 38.6 39.2 20 8.0 (出典)厚生労働省 中央社会保険医療協議会薬価専門部会「薬価改定の経緯と薬剤費及び推定乖離率の年次推移」 7.9 8.4 8.5 24年 7.4 23年 7.4 22年 7.1 21年 7.3 20年 6.9 19年 13年 6.9 18年 12年 6.4 17年 6.4 16年 6.1 15年 6.0 14年 6.0 11年 6.7 9年 7.0 8年 7.3 7年 6.7 6年 0 平成5年 6.9 10年 5 0 6 国民医療費︵兆円︶ 薬剤比率︵%︶ 25 60 27.0 医療費の要因別伸びの動向 ⑤薬剤費について ⑤−2 薬剤料の動向の要素分解 調剤医療費のうち薬剤料に係る部分は、平成26年度で5.4兆円であり、最近5年 間で1兆円程度の増加。その多くを占める内服薬について要素別の動向を見ると、 投薬日数が長くなっている事がわかる。 調剤医療費の動向 実数 平成 21年度 平成 22年度 平成 23年度 平成 24年度 平成 25年度 平成 26年度 5.8 6.0 6.5 6.6 7.0 7.2 4.3 4.4 4.9 4.9 5.2 5.4 3.7 3.7 4.1 4.1 4.4 4.4 7.2 7.6 7.7 7.8 7.9 8.0 5,087 4,936 5,283 5,180 5,528 5,526 処方せん1枚当たり薬剤種類数 2.87 2.90 2.90 2.90 2.90 2.88 1種類当たり投薬日数(日) 19.7 19.9 20.5 21.1 21.8 22.3 90 86 89 85 87 86 調剤医療費(兆円) 薬剤料(兆円) 内服薬薬剤料(兆円) 処方せん枚数(億枚) 内服薬 処方せん1枚当たり薬剤料(円) 1種類1日当たり薬剤料(円) 出典:「調剤医療費の動向」 7 医療費の要因別伸びの動向 ⑤薬剤費について ⑤−3 後発医薬品の効果 調剤医療費(調剤薬局の医薬品)に対する後発品の医療費適正効果額は、年々 増加する傾向にあり、平成26年度でおよそ6,400億円となっている。 ※ 調剤医療費の伸び率に換算すると、▲2.4%の効果。 ① 後発医薬品の額(億円) H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 − 3,002 3,619 4,203 4,958 5,999 7,195 1,994 2,702 3,235 3,937 4,935 6,107 4,158 ∼4,220 2,164 ∼2,226 5,566 ∼5,694 2,864 ∼2,992 6,515 ∼6,656 3,280 ∼3,421 7,878 ∼7,946 3,941 ∼4,009 9,620 ∼9,698 4,686 ∼4,763 12,477 ∼12,579 6,370 ∼6,471 ② 試算上対応する先発医薬品のある 1,461 後発医薬品の額(億円) ② ②の医薬品に対応する 推定先発品相当額(億円) ② ー② 適正効果額(億円) (最高額と最低額の平均)(億円) 適正効果額の対前年増加分(億円) 調剤医療費の対前年度 伸び率への影響(%) 3,172 ∼3,221 1,711 ∼1,760 1,735 2,195 2,928 3,350 3,975 4,724 6,420 − 459 733 422 624 750 1,696 − ▲0.8 ▲1.2 ▲0.7 ▲1.0 ▲1.1 ▲2.4 < 推計方法と考え方 > ○ 薬局で処方された後発品のうち、個別に対応する先発医薬品(同一剤形・規格の先発医薬品)がある後発品について、先発品の薬 価に置き換えた場合の薬剤費を算定し、置換えによる効果額を試算した。 ○ 同一剤形・規格で複数価格の先発品がある品目については、最高額と最低額の先発医薬品に置き換えた場合の医療費適正効果 額を算出し、効果額を(○∼○)とした。 ※ 平成26年度の後発医薬品割合は、数量ベースで56.4%(後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品の数量の合計を分母と した新指標における年度平均値)となっている。 都道府県別医療費の伸びの動向 ①要因別の伸びについて 都道府県別の医療費の伸びについて、人口要因によるもの(人口増・高齢 化)とそれ以外のものとで分解をすると、人口増の影響の違いによって、全体 に占める人口要因の割合が異なっている。 (億円) 都道府県別、要因別医療費の伸び(H21からH25) (市町村国保+後期高齢者) 3,500 3,000 2,500 全国計ベース(市町村国保と後期高齢者分に限る) 人口増によるもの +0.04兆円 高齢化によるもの +1.4兆円 その他によるもの +1.4兆円 2,000 その他 高齢化 1,500 人口増 合計 1,000 500 0 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 ‐500 9 都道府県別医療費の伸びの動向 ②その他の要因による伸びについて 1人当たり医療費の伸びで見た場合、人口要因を除いたその他の要因によ る伸びについて、都道府県間でばらつきが見られる。 (千円) 都道府県別、要因別1人当たり医療費の伸び(H21からH25) (市町村国保+後期高齢者) 80.0 70.0 高齢化によるもの その他によるもの 全国計ベース(市町村国保と後期高齢者分に限る) 高齢化によるもの +2.8万円 その他によるもの +2.9万円 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 0.0 10 都道府県別医療費の伸びの動向 ③水準と伸びの関係 現在の医療費の水準と、近年の医療費の伸び率とを比較すると、現在の医 療費水準と伸び率とではそれほど大きな関係は見られない。 都道府県別年齢調整後1人当たり医療費(H21)とH21~25の1年当たり伸び率 (国保+後期高齢者) 1.036 1.034 1.032 年当たり伸び率 1 全国平均 1.030 1.028 1.026 1.024 300 350 400 450 500 年齢調整後1人当たり医療費(H21) 550 600 (千円) 11 都道府県別医療費の伸びの動向 ④診療種別の伸びの状況 診療種別に各都道府県の伸びの状況を見ると、概ね入院と入院外とで影響 額が同程度ではあるが、入院の影響額は入院外と比べて都道府県間の差が 大きい。 年齢調整後1人当たり入院・入院外医療費の増加額(H21∼H25) (国保+後期高齢者) (千円) 35 30 入院外医療費の増加額 25 20 15 10 5 0 0 5 10 15 20 25 入院医療費の増加額 30 35 40 45 (千円) 12 医療費の地域差と健康寿命との関係 都道府県別の医療費の地域差と、聞き取り調査に基づいた「日常生活に制 限のある期間」とを比較すると、日常生活に制限のある期間が長い都道府県 では、医療費がやや高い傾向にある。 地域差指数と「日常生活に制限のある期間」との関係 (年) 12.5 12.0 日常生活に制限のある期間 11.5 11.0 10.5 10.0 9.5 9.0 8.5 8.0 0.60 0.70 0.80 0.90 地域差指数 1.00 1.10 1.20 注:「日常生活に制限のある期間」は、「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究 班」 によるものであり、 「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という質問に「ない」と 答えた者を「健康」であるとし、健康寿命を計算したのち、平均寿命から差し引いたもの。 1.30 13