私の夢、でっかい夢

優秀賞（神奈川県青少年育成アドバイザー連絡協議会会長賞）
私の夢、でっかい夢
横浜共立学園中学校
３年
中村
紗英
私には今日、夢ができた。ギターを弾いて、
とが大好きだったんだ。今まで気付きもしなか
歌うこと。弾き語りのできる歌手になりたいと
ったが、私の「自分がやりたいこと」というの
私は思った。
はこんなにも近いところに転がっていた。
私は今まで「自分がやりたいこと」について
そしてもう１つ。私は今日初めてギターを弾
あまり考えたことがなかった。小学校の卒業文
いた。私が歌いたいと思うきっかけになった歌
集やいろいろなアンケートで将来の夢は何かと
手はアコースティックギターを弾きながら歌っ
聞かれる度、何も思いつかない私は、「ピアノ
ているのだが、彼女はもともとギターが弾けた
とかバレエとか何か習っている子はいいよなぁ
わけではなく、ある企画のためにごく短期間の
夢があって。私には何もないから夢なんてない
練習で弾けるようになったのだった。私はそれ
し普通の人生しか考えられない。」と、いつも
を知ってただすごいと思うだけでなく、私も挑
そんなことを思っていた。やりたいことがあっ
戦してみたい、ギターを弾きたいと思った。タ
てキラキラしている人をうらやましくは思うも
イミングがいいことに、偶然結婚式の引き出物
のの、だからといって夢を見つけるために積極
か何かで少し小さめのアコースティックギター
的に新しいことに挑戦したり本気でやりたいこ
をもらったばかりだったため、私は迷わずギタ
とを探してみようとしたりということはなかっ
ーを手に取った。簡単そうに見えるけれど、実
た。そんな私は今日、１つの希望を見つけたん
際にやってみると姿勢をとるだけで辛かったり、
だ。
指が広がらなかったりでとても難しかった。で
きっかけは、私より４つ年上のある女性歌手
も教えてくれる人もいないので、調べたりしな
だった。彼女の歌声を聞いた私は、今まで味わ
がらなんとか自力でチューニングをし、ドレミ
ったことのない不思議な感覚がして、どういう
ファソラシドと６つのコードを２時間程で弾け
わけかわからないが鳥肌が立った。いわゆる、
るようになった。これから毎日練習して、早く
ビビッときた、というやつだ。パッと明るく太
曲を弾けるまで上達したいとワクワクしている。
陽のようにパワフルだが、どこか切ない気もす
私には今、夢がある。夢を見つけて、今まで
る。そんな歌声だった。私はその時の不思議な
感じたことのないドキドキを感じている。夢は
感覚を放っておくことができなかった。歌いた
探しに行かなくても、ちゃんと私を見つけてく
い、そう思った。
れた。これから毎日１つの希望に向かって私は
もともと小さい頃から歌うことは大好きで、
頑張っていくんだ。キラキラ輝くんだ。この先
まだ意識もないような時からテレビの音楽を聞
きっと何度も何度も壁にぶち当たって、辛くな
いては歌っていたそうだ。小学校に入ると、母
って辞めてしまいたくなる時もあると思う。そ
が買ったＣＤアルバムの歌の歌詞を意味も分か
こに私はどこまでたえられるのだろう。いつか
らないまま全部覚えて、毎晩毎晩歌っていた。
笑ってこの作文を読み返していたらいいな。夢
高学年になると受験の勉強をしながら歌い、そ
叶ったよって思えていたらいいな。いつか大好
して今でも家で勉強するときは必ずといってよ
きな横浜スタジアムの始球式で歌っていたりな
いほど歌っている。まさに今この作文を書きな
んかして。それはないだろうか。いやいや、可
がらも気づけば耳にはイヤホン、私は歌ってい
能性はゼロじゃない。いいんだ、夢はでっかく。
た。今こうして書いてみて改めて、私はこんな
私には今日、夢ができた。
に歌っていたのかと気付かされた。私は歌うこ