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第3回 THORPEX国際科学シンポジウム参加報告

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第3回 THORPEX国際科学シンポジウム参加報告
4011:602 (THORPEX;TI
GGE;TPARC;アンサンブル予報;
〔シンポジウム〕
データ同化;機動的観測;予測可能性)
第3回 THORPEX 国際科学シンポジウム参加報告
枝
未
遠 ・中
茂
木
耕
澤
哲
作 ・山
夫 ・別
口
宗
所
康太郎 ・榎
彦 ・太
1.はじめに
に大きな変
田
本
剛
洋一郎
はなく,アンサンブル予報,データ同
2009年9月14日から1
8
日まで,米国カリフォルニア
化,予測可能性,台風研究,観測などに携わる研究者
州モンテレーで開催された第3回 THORPEX 国際科
約2
0
0
名が出席した.シンポジウムは,DAOS(デー
学シンポジ ウ ム の 様 子 を 報 告 す る.THORPEX と
タ 同 化 と 観 測 シ ス テ ム)
,Obs
e
r
vat
i
on Tar
ge
t
i
ng
は,WMO/WWRPのもと2
0
0
5
年から行われている
(ターゲット観測技術)
,PDP(予測可能性と力学過
国際プロジェクトで,アンサンブル予報,データ同
程)
,RCCCRT(地 域 観 測 計 画 と 横 断 的 研 究 テー
化,機動的観測を活用し,社会的に影響の大きい1−
マ)
,SERA(社 会 的 ・ 経 済 的 な 研 究 ・ 適 用),
2週間先の大気顕著現象の予測精度を向上させること
TI
GGE(THORPEX 双方向グランド全球アンサンブ
を主な目的としている.本シンポジウムは,2
0
0
4
年1
2
ル)の6つからなり,口頭発表8
2
件,ポスター発表
月のカナダ・モントリオール,2
0
0
6
年1
2
月のドイツ・
1
3
0
件(多 数 の キャン セ ル 含 む)が 行 わ れ た(第 1
ランツフートに続く3回目で,当初は2
0
0
9
年5月に開
表)
.モンテレーの緯度は東京とほぼ同じであり,朝
催が予定されていた.しかしながら,世界各地で猛威
晩はやや冷え込むものの,
「カリフォルニアの青い空」
を振るった新型インフルエンザ(H1
型)の影響に
N1
と歌われるように日中はとても過ごしやすい天候で
期が決定し,今回改め
あった.日本からは,本報告の著者7名が参加した
て開催された. 期にもかかわらず,プログラム編成
(第1図)
.以下,セッションごとに報告する.なお,
より,シンポジウム2日前に
シンポジウムのスライドは,ht
/www.
/
t
p:/
wmo.
i
nt
Ar
epor
ton t
heThi
r
d THORPEX I
nt
e
r
nat
i
onal
Sci
enceSympos
i
um.
Mi
o MATSUEDA,地球科学
合推進機構(現所
属:海洋研究開発機構 I
PCC貢献地球環境予測プロ
ジェクト)
.
Tet
s
uoNAKAZAWA,気象研究所台風研究部.
Kot
ar
o BESSHO,気 象 研 究 所 台 風 研 究 部(現 所
属:気象庁観測部観測課).
Takes
hiENOMOTO,海 洋 研 究 開 発 機 構 地 球 シ
ミュレータセンター.
Qoos
,海洋研究開発機構地球環境変
aku MOTEKI
動領域.
Munehi
ko YAMAGUCHI
,マイアミ大学気象海洋
学部/気象庁.
chi
r
oOHTA,気象庁予報部数値予報課.
Yoi
010 日本気象学会
2
2010年 5月
/
page
s
pr
og/ar
e
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wwr
p/
ne
w/
TTI
SS pr
e
s
e
nt
at
i
ons
.
0
1
0
年3月2
6
日確認)
ht
mlより取得できる(2
.また,
本シンポジウムでの発表による Mont
hl
y We
at
he
r
0
1
0
年1
2
月
Re
vi
e
w 特集号の発行も予定されている(2
発行予定)
.
(
枝未遠)
2.DAOS(データ同化と機動的観測)セッション
2.
1 DAOSA
(UKMO)は,4次元変
A.
Lor
e
nc
法(4
)
DVar
のこれまでの成果と今後の課題について議論した.
1
9
6
7
年以来現在に至るまで,およそ1
0
年あたり1日程
度予報精度が改善されている(例えば,1
0
年前の4日
予報と現在の5日予報の精度が同程度ということ)
.
その要因として,①モデル(特に解像度)
,②衛星に
よる放射輝度観測の同化,③4
DVar
,観測の改善を
29
第3回 THORPEX 国際科学シンポジウム参加報告
316
第1表
シンポジウム・プログラム.
9月14日(月)
午
前
基調講演
8
RCCCRTA:T-PARC/TCS0
TI
GGE-A:マルチモデルアンサンブル
8,RCCCRT,
ポスター:
TPARC/TCS0
午
後 DAOSA
PDPA:熱帯における PDP
9月15日(火)
午
前
PDPB:アンサンブルと感度の理論的側面
DAOSA:データ同化技術
TI
GGE-B:TI
GGEアーカイブの水文への応用
A,TI
GGE-A
午 ポスター:PDP-A,DAOS後 TI
GGE利用法デモ
第1図
RCCCRTB:I
PY,HyMe
X,T-NAWDEX
9月16日(水)
午 DAOS-B:観測インパクト研究
前 PDPC:亜熱帯における PDP
スペシャルセッション:ターゲット観測技術
午
B,DAOSB
後 ポスター:PDPTI
GGE利用法デモ
9月17日(木)
午 SERA
前 RCCCRT-A:天気,気候,地球システム
TI
GGE-C:全球双方向予報システムの計画
午 ポスター:
DAOS-C,SERA,TI
GGEB
後
DAOS-C:衛星観測と OSSE
9月18日(金)
GGED:TI
GGEデータの応用
午 TI
前 パネルディスカッション:将来の方向性
日本からのシンポジウム参加者(後列左
から,太田,別所,山口夫人,山口,
枝,中澤.前列左から,榎本,山口夫妻
愛娘,茂木)
.
積り3次元あるいは4
DVarに適用すると,EnKFの
結果に近い結果が得られた.
C.H.Bi
s
hop(米国海軍研究所)は,誤差共
散の
適応型局所化手法を提案した.アンサンブル数が有限
であるために生じる偽りの誤差共
散を避けるために
局所化が用いられるが,既存の手法では共
散の構造
に関わらず局所化の水平スケールが一定であり,4次
元同化ウィンドウの間の共
散
布の移動が
慮され
ていないという問題点がある.この局所化に伴う問題
は,中緯度でのEnKFの精度低下(前出のM.
Bue
hne
r
の講演)の一因であると
えられる.提案された手法
では,誤差共
散を水平方向に平滑化し2乗すること
により誤差共
散自身から局所化関数を求める.この
挙げた.今後の課題として,線型性及びガウス型の仮
手法では,非線型効果を取り込み,同化ウィンドウ内
定の緩和を挙げ,非線型性は非線型モデルで予報する
の線型的な移動を反映することが可能である.
慮可能であると述べた.4D-Varのこれ
(NOAA)は,EnKFにより生成された
T.Hami
l
l
までの実績は誰もが認めるところであるが,その優位
摂動が発達しないという問題をとりあげ,その要因を
性の強調とアンサンブル手法に対する強い批判に対し
調べた.誤差共
て特に反論がなかったことに驚きを覚えた.アンサン
比較して,ランダムな誤差を加算する手法は誤差の成
ブル手法の研究者は,おそらく水掛け論を避け,それ
長が小さい.その原因として,加算する誤差は流れに
ぞれの発表の中でアンサンブル手法の利点を強調する
依存しないため,成長が期待できないことを挙げた.
方が賢明だと
この問題を回避するために,ランダムな誤差の代わり
ことにより
えたのだろう.
散に係数をかけて膨張させる手法に
(カナダ環境省)は,解像度や入力す
M.Buehner
に成長モードを加算する手法を提案した.成長モード
る観測データ等条件を極力統一して,現業で用いられ
の計算には低解像度モデルを用いることにより,計算
ている変
コストは抑えられる.
法 と ア ン サ ン ブ ル ・ カ ル マ ン フィル タ
(EnKF)と の 比 較 を 行った.比 較 の 結 果,4DVar
(NOAA)は,積雲対流のクロージャの
E.
D.
Gr
e
l
l
は中緯度の短期予報に有利であり,中期予報や熱帯に
仮定やパラメタを変えた物理アンサンブルにより,熱
は EnKFが有利であった.背景誤差を EnKFから見
帯の誤差共
30
散が増大することを確認した.PDPB
〝天気"57.5.
第3回 THORPEX 国際科学シンポジウム参加報告
317
セッションで J.Te
i
xe
i
r
a(NASA ジェット推進研究
ンデの OSEから熱帯における強化観測のインパクト
所)によって示された,積雲対流パラメタリゼーショ
の大きさを主張した.また,観測のインパクト(観測
ンの時間変化傾向を確率的に増減させるという簡
な
の有無による解析・予報の差)を評価する際にモデル
散の膨張に利用できる可能性がある.
のスキームによって生じるノイズが無視できない大き
(NOAA)は,EnKFの相互比較の結
J.Whi
t
aker
さになってしまう問題について,ALERA が提供する
果,カルマンフィルタの実装による精度の差はなく,
解析アンサンブルスプレッドを利用した解決策を提案
差は主に計算効率に現れることを明らかにした.さら
した.
方法も誤差共
に,熱帯低気圧のような現象では流れに応じた解析誤
差が重要であると述べ,最近の台風に関して3次元変
2.
3 DAOSC
(UKMO)は,衛 星 データ の OSSE
R. Saunde
r
s
法よりも EnKFの方が位置や強度を適切に表現し
(仮想的な観測データの追加に伴う効果を調査する手
ている事例を示した.EnKFの成績が上回ったのは,
法)を紹介した.現在既に上がっている衛星データの
台風中心位置の同化を行ったためでもある.今後の課
うち,未
題として,放射輝度の同化の改善,モデルバイアスの
効果を期待でき,その一方で,将来的に打ち上げが予
推定,観測データ の 品 質 管 理,4DVarと の ハ イ ブ
定されている衛星による新たなチャンネルについて
リット 化 を 挙 げ た.比 較 に 用 い ら れ た コード は,
は,必ずしも良い効果が得られる訳ではないとのこと
用のものをより多く
用することで明確な
ht
t
p://ncepgf
s
.
googl
e
c
ode
.
c
om /s
vn/br
anches/
である.C.
(ECMWF)は,ECMWFの数
Car
di
nal
i
e
ns
daから誰でも取得できる.現業化されていない
値予報システムを用いて,衛星データの間引き方に関
EnKFだけでなく,全球予報システム(GFS)モデ
する OSSEを行い,特異ベクトル(SV)によって解
ルや GSIと呼ばれる3次元変
法を用いた解析シス
析された感度領域のみで間引き間隔を小さくすること
開している懐の広さには感
でより(特に南半球で)効果的な精度向上が期待でき
激した.データやコードについても(いちいち一筆と
ることを示した.H.Be
(ウィスコンシン大学)
r
ge
r
ることなく)
開する文化を我が国でも広げていきた
は,衛星のラピッドスキャン(一時的に4∼1
5 程度
2.
2 DAOS-B
(フランス気象局)は,アフリカにおけ
F.Rabi
er
よって得られた風の場を同化した結果を紹介した.同
テムのソースコードまで
の高い時間
いものである.
解能で特定の領域を観測するモード)に
化の際の高度補正が問題点として挙げられていた.
る AMMA プロジェクトによるラジオゾンデデータ
(NOAA)は,ECMWFの予報・解析
M.Mas
ut
ani
の OSE(対象とする観測データの価値を定量的に評
をリファレンスとして各国のモデルによる様々なデー
価するための実験)を行った.アフリカ北西部で実施
タの OSSEを
合的に行う取り組みを提案した.
した追加ラジオゾンデ観測によって,中緯度東部大西
(榎本
剛,茂木耕作,山口宗彦)
洋で予報誤差が軽減されたことを示した.榎本は,
AFESと LETKFか ら な る データ 同 化 シ ス テ ム
ALEDASを紹介した後,これを用いて実施した極域
3.Obs
e
r
vat
i
on Tar
ge
t
i
ng(ターゲット観測技術)
セッション
漂流ブイによる気圧観測(I
0
0
9
)と台風
nouee
ta
l
.2
R.Langl
and(米国海軍研究所)は,DAOSワーキ
の中心付近の気圧観測を対象とする OSEを紹介し
ンググループの立場から,ターゲット観測に対する三
た.E.I
(英レディング大学)は,GFDEX プロ
r
vi
ne
つの提言を行った.一つ目は,既存の衛星観測データ
ジェク ト に よ る ド ロップ ゾ ン デ データ の OSEを 行
を用いたターゲット技術の開発で,空間的に密度の高
い,急峻な地形のあるグリーンランド東岸のごく近く
い衛星観測データをデータ同化で有効に利用する手法
で投下されたドロップゾンデは精度に悪影響を与える
の必要性を述べた.二つ目として,観測実験を行う前
ことを示した.このような観測値は,空間代表性が小
に OSEや OSSEを実施することで,きちんと実験計
さく,詳細な地形の影響を強く受けているため,力学
画の検討を行うべきこと,三つ目として,通常観測の
バランスが壊れていると
え ら れ る.R. Ge
l
ar
o
ネットワークの最適化を目指した研究を行うべきこと
(NASA)は,THORPEX における観測の影響評価
を主張した.Z.Tot
h(NOAA)は,NOAA におけ
の相互比較プロジェクトの初期的な成果について報告
るこれまでのターゲット観測の実績について説明し
した.茂木は,MI
SMOプロジェクトによるラジオゾ
た.それによると,ET や ETKFの感度解析技術を
2010年 5月
31
第3回 THORPEX 国際科学シンポジウム参加報告
318
用いたターゲット観測によって,全体の約7割の事例
ることを示し,高い解像度(T2
5
5
)を用いるとハリ
で予報誤差が減少し,ターゲット領域における予報誤
ケーンの細かい構造が表現できることを述べた.この
差の減少幅は平
高解像度の SV を摂動としてアンサンブル予報を行っ
で1
0
∼2
0%程度とのことである.C.
0
0
3
年より実施してき
C.Wu(国立台湾大学)は,2
たところ,低解像度(T4
2
)の場合と比べてハリケー
た台風ターゲットのドロップゾンデ観測 DOTSTAR
ン進路予報のスプレッドが大きくなったそうである.
の概要と,T-PARCでの特別観測の結果について述
べた.また,TPARC期間中の参加各センターの感
4.
3 PDPC
S.J
one
sは,PANDOWAEプロジェクトの概要を
度解析結果の比較や,特別観測を用いた OSEの結果
説明した.G.Ri
(フランス気象局)は2層プリ
vi
e
r
e
に各センター間で差異があることなどを指摘し,セン
ミティブモデルの理想的な数値実験によって,ジェッ
ター間の比較が必要であることを強調した.
ト気流を横切る傾圧性の渦の振舞いについて定性的に
続いて行われたパネルディスカッションでは,座長
のI
.Szunyogh(テキサス A&M 大学)が用意したス
ライドに
って,聴講者を含めた自由な議論が行われ
た.はじめに,ターゲット観測のデータを
用するこ
説明した.
枝は,TI
GGEポータル開始前から行っ
て い た 独 自 の ア ン サ ン ブ ル 予 報 データ の 収 集 を
(Mi
TI
GGEに似せて「MI
GGE」
oI
nt
e
r
ac
t
i
veGr
and
Gl
obalEns
e
mbl
e
,Mi
oは
枝の名)と呼び,膨大な
とによる予報誤差の改善の割合とコストについて議論
データ量とネットワークの遅さによる当時の苦労話で
が行われた.ターゲット観測を行うための費用に対し
聴衆を本シンポジウム一番の笑いの渦に巻き込んだの
てそれに見合うだけの成果が得られているのか,平
ち,気象庁のアンサンブル予報データを
的な値だけでなく社会的に影響のある大気顕著現象に
解析とそれに基づく NCEP初期摂動の局所的な増幅
焦点を当てた場合により大きな効果が期待できるので
実験により,NCEPのブロッキング予報の精度を大
はないか,といった点に議論が集中した.次に,これ
き く 改 善 で き た こ と を 示 し た.本 研 究 は,第 2 回
までターゲット観測によって数日先程度の大気現象の
THORPEX 国際科学シンポジウムの際に,当時博士
予測に関しては成果が得られたが,THORPEX の扱
課程の学生であった
う大気現象の時間スケールのうち,1∼2週間先の予
」と言ったことから始
wantNCEP e
ns
e
mbl
e dat
a.
用した感度
枝が Z. Tot
hに開口一番「I
測に寄与が期待できるのかどうか,といった議論がな
まった共同研究の成果であり,特定のセンターの予報
された.
を他のセンターの予報を利用することで改善するとい
(太田洋一郎)
う TI
GGEの目的を果たしたはじめての例といえよ
4.PDP(予測可能性と力学過程)セッション
4.
1 PDPA
R.L.El
s
ber
r
y(米国海軍大学院)は,ECMWFに
う.
(2
0
0
8
年第1
2
haj
an(ワシントン大学)は,台風 Nur
i
枝未遠,山口宗彦,太田洋一郎)
5.RCCCRT(地域観測計画と横断的研究テーマ)
おける1ヶ月アンサンブル予報システムを用い,熱帯
低気圧発生の予測可能性について調査した.R. Ma-
(
セッション
5.
1 RCCCRTA
中澤は,TPARCでの気象庁の貢献(感度解析,
号)を例に,WRFモデルの EnSRFによるデータ同
航空機観測と OSE)について報告するとともに,他
化サイクルを用いた感度解析手法とその結果について
の機関によって行われている OSEについても報告し
説明した.その他,熱帯低気圧に関する発表が1件,
た.全体的に見ると,航空機観測により台風の進路予
MJOに関する発表が2件,アフリカにおける最適観
測に改善は見られるものの,ある時刻の航空機観測の
測に関する発表が1件あった.
データを同化すると著しく予報が悪化する例が見ら
4.
2 PDPB
れ,その原因について今後検討が必要であると述べ
O.Tal
agr
and(LMD)は,アンサンブル予報の基
た.
本概念について説明を行った.S.J
(カール ス
one
s
M.We
i
s
s
mann(ドイツ航空宇宙センター)も同じ
ルーエ大学)は,ECMWFのシステムを用いて水平
く TPARCの観測データを用いた ECMWFモデル
解像度 T42と T25
5
の SV を算出し,北大西洋のハリ
による感度実験結果を紹介した.航空機観測データを
ケーンターゲットの SV の構造(
直積算したトータ
連続的に予報解析サイクルに載せていくと実況にもっ
布)が解像度により大きく異な
とも近づく予報となるようだ.また,台風を周回して
ルエネルギーの水平
32
〝天気"57.5.
第3回 THORPEX 国際科学シンポジウム参加報告
観測を行った DOTSTARのデータだけを同化した場
力が
319
えられているようである.
合も実況に近い進路予測結果となっており,この点は
5.
3 RCCCRTC
注目に値する.さらに,台風中心付近で解析値と大き
THORPEX 業界の大御所 M.
Shapi
r
o(コロラド大
なずれがあったドロップゾンデデータについては除外
学,ベルゲン大学,NCAR)は,気象研究者と気候
したそうで,台風中心付近のデータには注意が必要と
研究者が協調して研究を進めていく重要性を語った.
のことである.
(カナダ環境省)は,M.Shapi
G.Br
une
t
r
oの話を引
山口は,TPARC航空機観測のために感度解析を
提供した数値予報センター,研究機関,大学を代表し
き継いで,気象予報モデルから気候予測モデルへの
シーム レ ス な 結 合 を 唱 え て い た.M. Monc
r
i
e
f
f
て,TPARCに向けてどのような準備を行い,また
(NCAR)は,NI
CAM などの雲解像全球モデルを用
TPARCで実際にどのように感度解析を利用したか
い て MJ
Oの 解 明 を 目 指 す YOTCに つ い て 説 明 し
について報告した.今後の課題として,OSEを通じ
た.C. Thor
(ニューヨーク 州 立 大 学)は,
nc
r
of
t
て感度解析の妥当性を評価するだけでなく,感度解析
2
0
0
2
年から実施されている AMMA の説明をした.
結果の力学的・物理的解釈についての理解を深める必
このプログラムでは,2
0
0
6
年に西アフリカを中心にラ
要があるだろうと述べた.さらに,感度解析技術の有
ジオゾンデネットワークを構築し,集中観測も行って
効性が確立された後の将来計画として,ターゲット衛
きたそうである.メソから気候までカバーしつつ,か
星観測,有人・無人飛行機観測,非定時のゾンデ観測
の地におけるモンスーンの変動や,アフリカ偏東風波
等の実現可能性を検討する必要があるだろうと述べ
動について調査を行っているようだ.
た.
(中澤哲夫,別所康太郎,山口宗彦,太田洋一郎)
P.G.Bl
ack(米国海軍研究所)は,感度実験結果
ラム TCS-08の紹介をした.TCS0
8
は,台風の発生
6.TI
GGE(THORPEX双方向グランド全球アンサ
ンブル)セッション
と台風の急発達に焦点を
って米国空軍の航空機によ
TI
GGEは THORPEX の 重 要 な 要 素 の 一 つ で あ
る観測などが行われ,貴重なデータセットが得られた
り,現業数値予報センターと大学間でのアンサンブル
ようである.今後の詳細な解析が楽しみである.
予報に関する協力の強化,アンサンブル手法(とく
などには触れず,T-PARCを構成する米国側プログ
太田は,TPARC期間中に気象庁が実施した SV
に,マルチモデルアンサンブル手法とバイアス修正手
法による感度解析システムの概要と,SV 法による感
法)研究の促進,現業 GI
FS(全球双方向予報システ
度解析結果の特徴について報告した.SV 計算の際,
ム)のプロトタイプに向けた研究などを目的としてい
線形モデルでの深い対流の有無によって求まる高感度
る.TI
0
0
6
年1
0
月から,現業数値予報セ
GGEでは,2
領域に違いが生じることを示し,台風をターゲットと
ンターの全球アンサンブル予報データを準リアルタイ
した SV 法の感度解析では,湿潤過程が重要な役割を
ムで蓄積し続け,今では1日に約6
0
0
0
センター
GB(1
果たしていることが示唆されると述べた.
で5
5
7
メ ン バー)の データ が,ECMW F,NCAR,
ポスターセッションでは,別所が TPARCの特別
CMA の 各 TI
GGEデータ ポータ ル に 集 め ら れ て い
観測で得られたゾンデデータ等を用いて,台風接近時
る.各ポータルは各センターにより独自に運用されて
の秋雨前線の詳細な構造を示した.
いるため
い勝手は大きく異なるが,学術ならびに教
5.
2 RCCCRT-B
育目的であれば誰でも無償でデータを利用できる.
J. E. Kr
i
s
t
j
ens
s
on(ノ ル ウェー気 象 局)は,
枝は,R.Swi
nbank(UKMO)
,Z.Tot
h,K.Myl
ne
0
個のプログ
THORPEX の枠内で実施される I
PY の1
( UKM O),L. J. W i
l
s
on( CM C),S. W orl
ey
ラムのうち,特に極域の予報精度向上のための4つに
(NCAR)と と も に,TI
GGEセッション の オーガ ナ
ついて紹介した.O. Nui
(フ ラ ン ス 気 象 局)
s
s
i
e
r
は,2010年から20
2
0
年にかけて行われる HyMe
Xに
ついて紹介した.実際には集中観測がこの期間内に何
回かに
イザーを務め,プログラム作成等に携わった.
6.
1 TI
GGEA
R.Swi
nbankは,TI
GGEの目的,データポータル
けて行われるようである.S.J
0
1
2
one
sは,2
の 概 要 ,TI
GGE-LAM (領 域 モ デ ル の た め の
年 か ら 実 施 さ れ る T-NAWDEXの 紹 介 を し,T-
TI
GGE)の説明をしたのち,現在までに得られてい
NAWDEX への参加を呼びかけた.HyMe
X との協
る TI
GGEの最新の成果として,グランドアンサンブ
2010年 5月
33
第3回 THORPEX 国際科学シンポジウム参加報告
320
ルの有用性(Par
0
0
8
;Mat
ke
ta
l
.2
s
ue
daandTana-
あった.
0
0
9
),洪水予測へ
ka2008;Johns
onandSwi
nbank2
6.
4 TI
GGED
の適用(Pappenbe
0
0
8
)などを紹介し,
r
ge
re
ta
l
.2
0
0
8
/
0
9
年冬季の T8
5
0
T. Hami
l
lは,はじめに2
,
最後に,GI
FSに向けての現状を報告した.L.J
.Wi
l
-
T2
m を対象に CMC,ECMWF,NCEP,UKMOの
s
onは,TI
GGEデータからなるグランドアンサンブ
4センターからなるグランドアンサンブルが,世界最
ルの精度評価について発表した.X.Zhi
(南京大学)
高の予報精度をほこる ECMWFのアンサンブルに優
は,Kur
(2
0
0
1
)の 提 案 し た スー
i
s
hnamur
t
ie
ta
l
.
ることを示した.ちなみに,J
MA のアンサンブルは
パーアンサンブル手法を地上気温に適用した結果を示
上記の4センターと同程度の予報精度だが,予報時間
し,7日予報まではスーパーアンサンブル予報が各セ
が最短の9日のため残念ながらグランドアンサンブル
ンターのアンサンブル予報に優ることを示した.
に は 含 め な かった と の こ と で あ る(R. Hage
dor
n
6.
2 TI
GGEB
(
J.Schaake NOAA)は,洪水予測や水資源管理
(ECMWF)私信)
)を用
.次に,再予報(r
e
f
or
e
c
as
t
を主な対象とし,現実的な水文アンサンブル予報を開
ブルの性能をさらに向上できることを示し,さらなる
発すること目的とする THEPSについての紹介をし
計算コストが必要であるものの再予報は重要であると
いることで,特に地上要素に対するグランドアンサン
た.F.Ti
3
日に淮河流域
0
0
8
年7月2
an(CMA)は,2
強調していた.G.
Wi
c
k(NOAA)は,全球水循環の
で発生した極端降水の発生ポテンシャルを事前に検出
観点で重要な“at
”
(降水量を描いた
mos
phe
r
i
cr
i
ve
r
できたかどうかを TI
GGEデータにより調べ,これら
ときに見られる細長い強雨域)の予測可能性が高いこ
のグランドアンサンブルが各センターのアンサンブル
とを示した.D.Monkam(ドゥアラ大学)は,2
0
0
7
に 比 べ 優 れ て い る こ と を 示 し た.B. Raoul
t
年5月5日のケニア航空墜落事故当時の気象状況につ
(ECMWF)は,S.Wor
l
e
y,B.Xi
aof
e
ng(CMA)
い て 調 べ て い た.L.Wi
e
gand(リーズ 大 学)は,
と 共 に,TI
GGEデータ ポータ ル の 概 要,各 TI
GGE
2
0
0
8
年5月末に起きた,サハラ砂漠での砂塵嵐(珍し
ポータルの特徴と簡単な
く中央ヨーロッパまで飛来した)とそれに起因するア
用方法,
用状況について
発表した.ECMWFポータルに登録している国別の
ルプス山脈南部での強雨について解析していた.J
.
ユーザ数は,多い順に,米国6
9
名,英国3
9
名,中国3
7
(カールスルーエ大学)は,2
0
0
8
年1
0
月の
H.Ke
l
l
e
r
名であり,日本はギリシャと並んで4位(2
0
名)であ
熱帯低気圧 Baviを対象に,熱帯低気圧の温帯低気圧
る.日本は登録ユーザ数の割には TI
GGEデータを
化期の予測可能性について調べていた.
用した研究がほとんどない.
な お,
枝 は,ポ ス ターセッション で,CMC,
なお,ポスターセッションの時間に,各ポータルの
ECMWF,J
MA,NCEP,UKMOの5センターから
担当者3名が,3台のパソコンを前にデータ取得の実
なる5
0
0
hPa高度場のグランドアンサンブルが,予報
演,質問対応などをして各ポータルの宣伝を行ってい
中盤(予報時間6日)以降,ECMWFのアンサンブ
た.
ルに優ることを示した.
(
6.
3 TI
GGE-C
Z.Tot
hは,GI
FSの概要を説明した.GI
FSの目
指すところは,大気顕著現象に対し,アンサンブル予
枝未遠)
7.まとめと所感
報ベースの高品質で先進的な確率論的警報の開発とそ
本シンポジウムは,TPARC終了後初めての大規
のテストを行うことであり,そのプロトタイプとして
模な国際会議だった.TPARC計画段階で北米地域
は熱帯低気圧予報と確率論的降水予報を挙げていた.
委員会の共同議長だった D.
(WMO)が,今
Par
s
ons
(COLA)は,OPe
J
.Adams
NDAPに よ る TI
GGE
度は WMOの国際プロジェクトオフィスでこのシン
データの利用について紹介した.K.Myl
neは,現業
ポ ジ ウ ム を 組 織 す る 側 に 回 り,中 澤,M. We
i
s
s
-
数値予報センターの立場から,TI
GGE研究と GI
FS
mann,山口,太田が連続して TPARC関連の講演
開発に対する意見を述べていた.UKMOでは現業化
を す る TPARCセッション を 会 議 の 早 い と こ ろ に
こそしていないものの,内部向けにすでにグランドア
セットするなど,TPARCを様々な点で支援してく
ンサンブルによる確率情報をリアルタイムで作成して
れていることを感じた.
おり(K.Myl
ne私信),いずれも説得力のあるもので
34
今回の会議では,お題目でなく,実際に予報の社会
〝天気"57.5.
第3回 THORPEX 国際科学シンポジウム参加報告
321
・経済的な効果を検証する課題が数多く紹介されてい
し,早晩あらゆる現象を理解するために,(
予測可能
た.それらは,ヨーロッパで取組まれてきた MAPと
性の研究の枠を越えて)TI
GGEは活用されるように
いう水管理,洪水予測などのプロジェクトであり,あ
なるであろう.その中で,TI
GGEポータルを持って
るいは,アフリカで取組まれてきていた予報デモンス
いる欧州,米国はいわずもがな,中国の取り組み方は
トレーションプロジェクトであった.
特筆に値する.彼らは TI
GGEデータを利用した研究
問題はこれからである.欧 米 の 研 究 者 は こ の T0
年 ,2
0
年
PARCの観測データをこれから1
いこな
すだろう.ところで日本の研究者はどうか.わりと簡
成果の量産体制を整えつつある.この
野の研究者の
育成を急がなければ,我が国はまた中国に「後れを取
る」ことになるであろう.
(別所康太郎)
単に観測データに見切りをつける傾向がありはしない
か.例えてみると,まだ運ばれてきたばかりの温かい
特別観測を用いた OSEに関して,中澤氏も指摘す
スープを飲み始めたばかりなのに,そのスープがほん
るように,数値予報システム毎に異なる実験結果の解
の少しさめたかと思うと,もうそのスープには見向き
釈が今後の課題であろう.サイクル解析による解析場
もせずに,もう別の温かいスープを飲もうとする.あ
と,ある解析時刻だけに観測データを同化した場合の
る一つの研究にとことん取組むという風土が弱いとい
解析場の比較や,観測データの同化手法の違いが解析
うことか.
や予報に与える影響を調べる必要があるだろう.例え
問 題 は 山 積 し て い る.感 度 解 析 と は 何 な の か.
ば,Abe
0
0
8
)は,熱帯低気圧中心 から 約1
1
0
r
s
on(2
OSEでの観測データの同化法に改善すべき点はない
km 以内のドロップゾンデデータを同化することで予
のか.指向流の予報はうまくできていたのか.台風の
報精度が悪化するという実験結果を示している.この
構造はドロップゾンデデータを同化しても維持されて
ように,数値予報システムに応じて異なるデータ同化
いたのか.そもそも航空機による台風の最適観測法は
手法の詳細を調べる必要もあるかもしれない.また,
採算がとれると言えるのか.国の業務として台風の進
解析場における熱帯低気圧の表現も各システムによっ
路予測改善のために航空機観測を行うための検討が必
て 異 なって い る だ ろ う.ECMWFの TI
GGEポータ
要ではないのか.研究者にしかできない課題,研究者
ルでは,主要な数値予報センターのアンサンブル予報
だけの手には負えない課題などさまざまだが,「 T-
の初期場だけでなく,ECMWFの高解像度モデルの
0
年,ずいぶんと台風の進路予測
PARCを終えて早2
初期場も提供している.これらのデータを
も進歩したものだ」とあとから言えるように,一歩で
センター毎に異なる熱帯低気圧の初期表現を比較する
も二歩でも問題の解決に向けて取組んで行きたい.
ことも重要であろう.
(中澤哲夫)
用して,
個人的に最も興味を持った発表は,S.J
one
sによる
SV の解像度依存の発表であった.TPARCでは SV
予測可能性やデータ同化,アンサンブル予報に関わ
る研究だけを集めた本シンポジウムは,この
に基づいた感度解析結果を基に観測領域を決定した.
野が世
熱帯低気圧の進路,強度または発生等,予報対象に応
界のメジャーな研究者達をいかに引きつけ,突っ走っ
じて感度領域または要素(風,気温,水蒸気等)は異
た結果を出しているのか,刮目するに充
なもので
なるであろう.熱帯低気圧をターゲットして算出され
あった.TPARCのような大規模な研究プロジェク
る SV が何を表しているのか,どういった力学的メカ
トや各国の予報センターに在籍しなければ,予測可能
ニズムで成長し,進路,強度または発生等にどのよう
性の研究ができなかったのは一時代前のことになって
な影響を与えるのかを SV の解像度,ノルム,評価時
しまった.今や TI
GGEポータルが完成し,誰でもア
間等を変えて調査することが重要だと感じた.
クセス可能になったからである.この TI
GGEデータ
を
(山口宗彦)
って,各国の目端が利く研究者達は,注目すべき
結果を早速,生みだしていた.それでも今はまだ,伝
本シンポジウムの発表には THORPEX をテーマと
統的な「予測可能性」の研究テーマに従い,温帯低気
する実に様々なものがあった.その ,多くの発表が
圧の構造変化や,ブロッキング,台風の進路といった
観測実験や地域プロジェクトの概要の説明となり,技
ものを解析するのに,この大規模なアンサンブル予報
術的に詳細な議論よりは,俯瞰的な立場からの議論が
結果のデータベースを利用しているに過ぎない.しか
多かったように思う.特に,THORPEX 自体の今後
2010年 5月
35
322
第3回 THORPEX 国際科学シンポジウム参加報告
のあり方や,ターゲット観測の費用対効果の問題につ
いては,参加者の間で熱い議論が
よりお礼申し上げます.
(
枝未遠)
わされた.今後
も,これらの問題は機会があるごとに議論されるもの
略語一覧
と思われる.
AFES:AGCM f
orEar
t
h Si
mul
at
or 地球シミュレータ
用大気大循環モデル
一方,TPARCに関しては,多くの機関およびシ
ステムで,気象庁と同様に OSEが行われ,大まかな
結果が揃いつつある印象を受けた.今後は,これらの
異なるシステムで行われた実験結果について比較検証
し,差異が生じた部
について詳細に調べる必要があ
ると感じている.
(太田洋一郎)
TI
GGEに関するセッションをもつ初の国際会議で
あったため,開催前からどのような発表がされるのか
非常に楽しみであった.ところが,蓋を開けてみる
と,どの発表者も TI
GGEの膨大なデータに悪戦苦闘
している様子で,アンサンブルデータの旨味を十
に
抽 出 し た 解 析 は ほ と ん ど な かった よ う に 思 う.
TI
GGEポータ ル の 運 用 開 始 か ら 3 年 が 経った が,
TI
GGEデータを利用した論文は世界で8編ほどしか
ない(うち2編は
枝によるものである).TI
GGE
データのハンドリングの大変さからその利用を断念し
た人も少なからず居たであろうが,R.Swi
nbankと
の会話の中で,まだまだ TI
GGEの宣伝が足りないの
ではないかという話になった(これをうけて,
枝と
中澤は以前より個人的にアーカイブしていた TI
GGE
データによ る 日 々 の 天 気 図 や 予 報 成 績 等 を ht
/
/
t
p:
t
par
c.
mr
i
j
ma.
go.
j
p/TI
GGE/i
nde
x.
ht
mlにて広く
開することとした)
.確かに,日本でも,気象庁関係
者と予測可能性研究をしている一部の研究者にしか
TI
GGEの存在は知られていないように思う.TI
GGE
はそのデータ量こそ膨大ではあるが,その
たくさん
の「宝」が埋もれているはずである.本報告書によっ
て,TI
GGEという「アンサンブルの森」に潜む「宝
の山」に勇敢に立ち向かう若くてエネルギッシュな学
生や研究者が少しでも現れてくれれば嬉しい限りであ
る.
最後に,本出張に際して,国際学術
流委員会より
渡航費用を援助いただいたことに対し深く感謝いたし
ます.また,TI
GGEセッションのオーガナイザーに
ご推薦くださいました竹内義明氏(元気象庁予報部数
値予報課,現気象庁観測部観測課),筑波大学博士課
程在籍時の気象庁予報部数値予報課との共同研究の際
に,アンサンブル予報の醍醐味を一から教えてくださ
AGCM:At
mos
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cGener
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onModel 大気
大循環モデル
ALEDAS:AFESLETKF Dat
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on Sys
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AFES-LETKFデータ同化システム
i
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ALERA: AFES-LETKF exper
r
eanal
ys
i
s AFESLETKF実験的アンサンブル再解析
AMMA:Af
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アフリカモンスーン学際的解析
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CMC:Canadi
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COLA:Cent
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海洋陸面大気研究センター
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台風監視のためのドロップウインドゾンデ観測
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欧州中期予報センター
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er アンサンブル平
方根フィルタ
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embl
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m アンサンブル変換(NCEP
で行われている初期摂動作成法)
ETKF:Ens
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ブル変換カルマンフィルタ
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リーンランド気流変形実験
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水文アンサンブル予測実験
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いました経田正幸氏(気象庁予報部数値予報課)に心
36
〝天気"57.5.
第3回 THORPEX 国際科学シンポジウム参加報告
局所アンサンブル変換カルマンフィルタ
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対流オンセットの研究
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のためのみらいによるインド洋航海
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THORPEX 北大西洋導波・下流インパクト実験
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2010年 5月
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