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増える「買い物弱者」。 「食」が消費者に近づいていくために。

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増える「買い物弱者」。 「食」が消費者に近づいていくために。
2016 年 5 月
増える「買い物弱者」。
「食」が消費者に近づいていくために。
近年顕在化してきている、「食料品アクセス問題」。商店街や駅前地場スーパーの閉店、住
民の高齢化による生活移動圏の縮小などから、生活用品や食品の購入に困っている「買い物
弱者」が確実に増えてきている。高齢者が自動車やバイクの運転ができなくなるケース、安
価で地域を巡回していた乗り合いバスが住民減少や不採算で運行を終了するケースなど、徒
歩圏内に生鮮食料品店が無い地域住民の「食」へのアクセスが年々難しくなってきている。
今後、高齢化や過疎化の進展により、
「食料品アクセス問題」がより大きな社会課題になっ
ていくことが予想される。農林水産政策研究所によると、2010 年に 382 万人だった「買い
物弱者」人口は、2025 年には 598 万人に増えるという。
この「食料品アクセス問題」解決に向けて、既に全国各地で取り組みが行われている。そ
の取り組みは大きく 4 つ、
「店舗販売」
「食品宅配」
「移動販売」
「共食・会食」に分けて考え
られる。今回は、特に「食品宅配」
「移動販売」の分野での事例を見ていきながら、食がより
消費者に近づいていくために何が必要かを考えてみたい。
|生鮮食品から雑貨まで
JA 全農とファミマによる「移動スーパー」
先月 4 月 7 日、JA 全農とファミリーマートが、愛媛県松山市の山間部で移動販売を始め
た。冷凍・冷蔵機能を備えた軽自動車「ミニファミ号」に、青果や弁当、菓子などを載せて
まずは 2 つの地区をまわる。
愛媛新聞社によると『「ミニファミ号」には、両者
で共同展開する「ファミリーマートAコープいよ店」
(伊予市市場)で扱う約 150 種類を積載。両地区に
各6カ所設けた停車場所を、週 2 日巡回する。2017
年度は計週5日の営業を目指す。』とのことだ。今後
の運行ルートや品揃えの充実にも期待できそうだ。
農山村地域での買い物弱者支援策として代表的な「移動販売」。今後、民間企業の取り組み
増加に加え、各サービスのルート・品揃えのますますの充実に期待したい。
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|外食事業者による、料理・弁当宅配サービス
高齢者が増え続ける中で、都市部・中山間地域問わず活気づいてきているのが料理・弁当
宅配サービスだ。
「ワタミの宅食」に限らず、宅配寿司「銀のさら」を運営するライドオン・
エクスプレスの「銀のお弁当」、セブン-イレブン・ジャパンによる「セブンミール」、モンテ
ローザによる「モンテ宅配」等、ここ数年で多くのサービスが登場している。
宅配事業者によっては、自治体と連携して、自治体の配食サービス事業を通じて高齢者の
安否確認などの取り組みも合わせて行っているようだ。また、弁当を冷凍することによって、
地域を限定せず宅配しているケースもある。
|最短 60 分以内の配達
アメリカで食品購入代行サービス「Instacart」
最後に、買い物代行サービスとして注目されている「Instacart(インスタカート)」を見
てみよう。同サービスは、2012 年、サンフランシスコでスタートし、約 260 億円を調達す
るなど急成長を続けている。
インスタカートは、注文者と、スーパーの駐車場で待機している「ショッパー」をマッチ
ングさせることで、食材の即配することを可能にしたサービス。注文すると、ショッパーが
スーパーで実際の食材を購入し、自宅まで届けてくれる。インスタカートは、
「配達時間を短
く指定するほど高くなる配達料」と「商品価格を店頭表示より高く設定すること」で収益を
得ている。
都市部の比較的高所得で多忙な人々は、自宅や職場に、1∼2 時間以内に新鮮な野菜や果
物を届けてくれることに魅力を感じるだろう。
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食料アクセス問題に対する取り組みを考えるにあたっては、地域や住民のおかれた条件に
よって課題が大きく変わってくる。例えば大都市近郊の団地住民には、購入した商品の配達
サービス等が好まれるが、農山村では、バスなどの交通アクセス改善や、移動販売などが重
宝される。農山村地域の高齢者にとって、
「買い物」は重要な地域交流の機会でもあるからだ。
民間企業単独での取り組みには採算性に限界がある場合も多い。自治体のみ、民間企業の
み、といった取り組み方でなく、関係者が交わりながら共に作り上げていく必要がある。
地域ごとの、住民ごとの課題を解決するような取り組みが、質・量の両面で充実していく
ことを期待したい。
【発行元】
アグリコネクト株式会社
(メディア事業部 AgriFood 編集チーム)
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