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安全係数 2.4 の特定設備の特定設備検査規則等 への
平成22年度 経済産業省委託 高圧ガス保安対策事業 高圧ガス保安技術基準作成・運用検討 安全係数 2.4 の特定設備の特定設備検査規則等 への取り入れに関する検討 報告書 平成23年 2月 高圧ガス保安協会 目次 1.総論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1.1 委員会設置趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1.2 委員会構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1.3 委員会開催状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2.委員会の検討概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2.1 技術基準への第三種特定設備の取り込み方法の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2.2 第三種特定設備に対する特定設備検査の運用制度の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 3.技術基準案の策定についての提言と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 3.1 技術基準への第三種特定設備の取り込み方法について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 3.2 14 第三種特定設備に対する特定設備検査の運用制度について ・・・・・・・・・・・・・・ 3.3 課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 添付資料1 特定設備検査規則への第三種特定設備の取り込み方法 ・・・・・・・・・・・・・・ 19 添付資料2 設計仕様書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 添付資料3 設計書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 添付資料4 一般高圧ガス保安規則への第三種特定設備の取り込み方法 33 添付資料5 コンビナート等保安規則への第三種特定設備の取り込み方法 添付資料6 液化石油ガス保安規則への第三種特定設備の取り込み方法 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ 35 ・・・・・・・・・・ 37 参考資料1 米国の運用制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39 参考資料2 品質管理要求の具体的イメージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43 1.総論 1.1 委員会設置趣旨 高圧ガス保安法特定設備検査規則では、特定設備は当該設備の設計圧力又は設計温 度において耐圧部分に発生する最大の応力に対し安全な強度を有していることが要求 されている。この要求を満足するため、特定設備の耐圧部分の厚さは、形状、寸法、 設計圧力、設計温度における材料の許容引張応力、溶接継手の効率等に応じ、計算に より求めた値以上の値でなければならないと定められている。この耐圧部分の厚さは、 主に材料の許容引張応力の大きさにより決定されるものであり、材料の許容引張応力 は、常温及び設計温度における材料物性値(最小引張強さ、最小降伏点又は最小 0.2% 耐力)を一定の安全係数で除した値を採用している。ここで最も汎用的な材料である 炭素鋼の許容引張応力は、最小引張強さとその安全係数により決定されることがほと んどである。 現行の特定設備検査規則の安全係数は、第一種特定設備については最小引張強さに 対して 4.0、第二種特定設備については同じく 3.5 と定められている。これは米国機械 学会(ASME)の発行する圧力容器一般規格(ASME SectionⅧ Division1。以下「ASME Sec.Ⅷ Div.1」という。)の安全係数と同じ(1999 年までは 4.0、2000 年以降は 3.5) である。 一方、欧州では圧力設備指令(Pressure Equipment Directive)の強制施行に伴い 整合 EN 規格 13445 が 2002 年に制定されているが、この安全係数は最小引張強さに対 して 2.4 である。他方、米国 ASME では圧力容器代替規格(ASME SectionⅧ Division2。 以下「ASME Sec.Ⅷ Div.2」という。)が制定されており、この最小引張強さに対する 安全係数は 2006 年まで 3.0 であったが、欧州規格に対抗するため 2007 年に 2.4 に低 減した新しい ASME Sec.Ⅷ Div.2 を制定している。 こうした世界の動向を受け、我が国でも欧米規格との整合を図ることを目的として、 安全係数を低減した圧力容器の基準を整備することが望まれているが、従来の安全係 数に比べて大幅な低減となる。このため、安全係数 2.4 の基準となる場合において、 安全の適切な確保を含め、特定設備検査のあり方(一般高圧ガス保安規則及びコンビ ナート等保安規則等の関連部分を含む。)を踏まえた技術基準案の策定についての提言 をとりまとめることを目的として、安全係数検討委員会を設置した。 1.2 委員会構成 安全係数検討委員会においては、特定設備の設計、製造及び使用の広範囲に渡る検 討を行うため、特定設備の製造、運転に詳しい設備製造者、設備使用者、特定設備の 設置を管轄する都道府県の行政担当者及び学識経験者によって構成した。 1 (順不同、敬称略) 氏名 委員長 小林 委員 辻 委員 加藤 所属 英男 裕一 一郎 横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター客員教授 東京電機大学 工学部 機械工学科 愛知県防災局消防保安課 高圧ガス保安グループ 委員 長谷川陽一 神奈川県安全防災局 教授 産業保安室 主任主査 危機管理部 工業保安課コンビナートグループ 委員 後藤 圭太 昭和電工株式会社 工務部 委員 1.3 坂倉 茂樹 化学品事業部門 設備技術グループ 株式会社IHI グループリーダー 川崎事業所 グループリーダー 化工機プロジェクト部 主査 委員会開催状況 第1回委員会 第2回委員会 第3回委員会 : : : 開催日 平成22年8月31日(火) 検討内容 検討計画及び作業内容の審議及び承認 開催日 平成22年12月1日(水) 検討内容 進捗状況の中間報告及び報告内容に対する審議 開催日 平成23年2月8日(火) 検討内容 進捗状況の最終報告及び報告内容に対する審議 報告書の審議及び承認 2.委員会の検討概要 2.1 技術基準への第三種特定設備の取り込み方法の検討 技術基準(特定設備検査規則、一般高圧ガス保安規則、コンビナート等保安規則及 び液化石油ガス保安規則の各規則をいう。以下同じ。)への第三種特定設備の取り込み 方法についての検討にあたっては、以下の考え方に従って検討を行った。 (1)第三種特定設備の詳細基準の規定内容 第三種特定設備の詳細基準(高圧ガス保安協会で安全係数 2.4 の特定設備を対象とし て作成している基準をいう。以下「詳細基準」という。)は現在作成中であり、その詳細 はまだ定まっていないが、安全係数の低減に伴い既存の圧力容器の技術基準と比してよ り厳密な設計、検査が要求される予定である。具体的には、安全係数 2.4 の基準である 米国の ASME Sec.Ⅷ Div.2 や欧州の整合 EN 規格 13445 を参考にして、第一種又は第二種 特定設備の技術基準に加えて、以下に示す点を追加することが予定されている。なお、 以降の説明においては、当該追加予定の項目を要求するものとして述べることとする。 2 1)設計規定における精緻な強度評価の要求 (例)圧力荷重以外の荷重に対する評価、疲労評価、設計仕様書(UDS:User’s Design Specification)、設計書(MDS:Manufacturer’s Design Report)の要求 2)材料規定における第二種特定設備と同等以上のじん性要求 3)製作工程における適切な製作技術基準及び品質管理の要求 (例)溶接方法の制限、継手形状の制限、設計図書の審査と承認、材料の追跡性の 維持、マーキングの転刻、溶接士の識別、製造者データレポートの要求 4)破壊検査、非破壊検査の要求 (例)成形加工後の機械試験要求 溶接継手の種類、材料の種類及び試験グループに応じた非破壊検査の規定 5)耐圧部分に対する検査項目の追加 (例)ボルト及びナット、耐圧部分に直接溶接される非耐圧部分を検査対象化 (2)技術基準への第三種特定設備の取り込み方法 1)特定設備検査規則 第三種特定設備は、2.1(1)で述べたように、圧力荷重以外の荷重の評価、疲 労評価等が要求される。これらの要求事項を技術基準に反映させるため、特定設備検 査規則(以下「特定則」という。)への第三種特定設備の取り込み方法の検討にあたっ ては、当該要求事項を踏まえ、以下に示す通り、特定則及び関連通達における条項毎 に変更又は追加の要否を判断した。また、変更又は追加の必要性のある部分について は、その内容の方向性を示すこととした。 ①現行の特定則において、性能規定となっている条項であって、第三種特定設備の要 求事項を導入した場合においても第一種特定設備と第二種特定設備に対する規定と 同様の規定でさしつかえないと判断される条項 (例)耐震設計(第十三条) 等 ②現行の特定則において、性能規定となっている条項であって、第三種特定設備の要 求事項を導入した場合において、第一種特定設備と第二種特定設備に対する規定とは 別の規定を設ける必要があると判断される条項 (例)圧力荷重以外の荷重に対する評価、疲労評価(第十一条、第十二条) 耐圧部分に対する検査項目の追加(基本通達 第三条関係、第十一条関係)等 ③現行の特定則において、数値を示す形で規定されている条項であって、第三種特定 設備の要求事項を導入した場合において、第一種特定設備と第二種特定設備に対する 規定とは別の数値を示して規定する必要があると判断される条項 3 (例)第三種特定設備の材料の許容引張応力 (第十四条) 第三種特定設備の溶接継手の効率 (第十九条) 第三種特定設備の耐圧試験圧力 (第三十四条) 第三種特定設備のじん性要求の合格基準 (第四十条、第四十二条) 等 ④第三種特定設備の要求事項を導入した場合、現行の特定則に規定がなく、新たな規 定内容を追加すべきと判断される条項 (例)第三種特定設備の用語の定義(第二条) 成形加工後の機械試験の要求(第三十七条、第四十条) 第三種特定設備の特定設備検査申請における設計仕様書及び設計書の要求 (第五条) その他第三種特定設備に対し追加規定する内容(表示、様式等) 等 2)一般高圧ガス保安規則 第三種特定設備は、2.1(1)で述べたように、圧力荷重以外の荷重の評価、疲 労評価等が要求される。これらは設計時に検討するものではあるが、設備の使用時に おいても適切に管理されなければ、設計上意図した条件から逸脱し、保安上問題とな る可能性がある。従って、一般高圧ガス保安規則(以下「一般則」という。)への第三 種特定設備の取り込み方法の検討にあたっては、当該第三種特定設備の設置、使用時 における保安全般に対する検討が必要となる。検討にあたっては、まず、一般則にお ける検討項目を抽出するとともに、各項目に対する制限の度合いを整理し、制限の選 択肢を検討し、第三種特定設備の管理に対する方向性を示すこととした。 検討すべき項目及び内容として、以下の5項目を取り上げた。 ①使用者 高圧ガス設備中の第三種特定設備を使用、管理する主体である、使用者に対して、 制限を加えるか否かを検討した。 ②製造設備の種類 定置式製造設備やコールド・エバポレータ等の製造設備(その中に第三種特定設備 が含まれる製造設備を意味する。)に対して、制限を加えるか否かを検討した。 ③寿命管理等の方法 第三種特定設備が含まれる高圧ガス設備の寿命管理等について、どのような形で行 うべきかを検討した。 ④移設等(移転、転用、再使用又はこれらの併用) 第三種特定設備が含まれる高圧ガス設備の移設等について、制限を加えるか否かを 検討した。 4 ⑤設備の変更 移設等と同様、第三種特定設備が含まれる高圧ガス設備の変更について、制限を加 えるか否かを検討した。 3)コンビナート等保安規則 コンビナート等保安規則(以下、「コンビ則」という。)への第三種特定設備の取り 込み方法の検討にあたっては、一般則と同様の検討を行った。 4)液化石油ガス保安規則 液化石油ガス保安規則(以下、「液石則」という。)への第三種特定設備の取り込み 方法の検討にあたっては、一般則と同様の検討を行った。 2.2 第三種特定設備に対する特定設備検査の運用制度の検討 第三種特定設備の技術基準(安全係数 2.4)は、現行の第一種特定設備の技術基準(安 全係数 4.0)及び第二種特定設備の技術基準(安全係数 3.5)に比して安全係数が大き く低減されることより、技術基準においてはより精緻な設計の検討を行う必要がある。 しかしながら、設備の安全性は設計を精緻に行うだけでは担保することができず、設 計を精緻に行えば行う程、製造、検査を正確かつ精密に行う必要性がある。従って、 その要求事項は、第一種特定設備又は第二種特定設備に比べ、より厳しいものを要求 すべきである。 特定則に第三種特定設備を取り入れるに際して整えるべき制度を検討するにあたり、 欧米で取り入れられている制度及び現行の特定設備検査制度について調査し、欧米の 制度を参考にして、第三種特定設備の運用制度に関する方向性を検討することとした。 2.2.1 欧米の運用制度 (1)米国の運用制度 1)製造者の選別制度(工場認定制度) 米国における圧力容器の設計及び製造の基準は、州によって異なるが、その大部 分では州法により規制され、設置する圧力容器が ASME 規格に適合していることを証 するスタンプ(刻印)を要求している。当該スタンプは、ASME から認定(工場認定) を受けた圧力容器の製造者が保有を許される。すなわち、実際に圧力容器の製造を 行う前に、製造を行うための品質管理能力を有することを事前に審査する制度が設 けられている。 なお、このスタンプ要求は、ASME Sec.Ⅷ Div.1 と ASME Sec.Ⅷ Div.2 に係わら ず要求されているものである。 工場認定を受けるにあたり、製造者は、材料、設計、製作、検査、試験、圧力試 5 験、認証を含む規格に規定される全ての要求を満たすことを規定する品質管理シス テムを有し、実証しなければならない。また、この品質管理システムは、マニュア ルとして文書化する必要がある。この実証に関し、ASME と ASME の認定を受けた認 定検査機関(AIA:Authorized Inspection Agency)による工場審査が行われ、また、 定期的な認定の更新が必要である。 2)ASME Sec.Ⅷ Div.2 を適用する場合の運用制度 米国では、ASME Sec.Ⅷ Div.2 を適用する場合、使用者が ASME Sec.Ⅷ Div.2 に従っ て設計及び製作する圧力容器の設計根拠となる詳細な情報を含んだ、設計仕様書を作 成する。また、製造者が、使用者から提出を受けた設計仕様書の内容を反映し、適切 な設計を行ったことを示す、設計書(MDR:Manufacturer’s Design Report)を作成 する。 なお、ASME Sec.Ⅷ Div.2 を適用する場合は、使用者が作成する設計仕様書、また、 製造者が作成する設計書及び後述するデータレポートの評価を登録専門技術者(RPE: Registered Professional Engineer)が行う。当該登録専門技術者は、圧力容器の設 計の経験を有し、アメリカ合衆国の州政府又はカナダの州政府に登録された者、また はそれと同等の資格を有する者である。この登録専門技術者の関与は、ASME Sec.Ⅷ Div.1 を適用する場合は課されておらず、ASME Sec.Ⅷ Div.2 の場合に適用される。 製造者は、圧力容器の製造工程において公認検査官(AI:Authorized Inspector)の 立会検査及び書類確認検査を受けなければならない。また、実際の圧力容器の製造工 程において、工場認定の際に審査した品質管理システムが遵守されているかについて 確認される。当該公認検査官は、ASME 規格を採用している州政府の担当部門又は認定 検査機関(AIA)に所属し、また、全米圧力容器検査官協議会(NBBI:The National Board of Boiler and Pressure Vessel Inspectors)が資格認定する検査官の資格を有する者 である。 製造者は、ASME Sec.Ⅷ Div.2 の要求事項に従っていることを示す書類として、デー タレポート(MDR:Manufacturer’s Data Report)の作成、また、設計書に従って製 造されていることを示す、非破壊検査記録、補修記録などを含んだ製作工程における 製造記録(MCR:Manufacturer’s Construction Report)の作成を行う。 製造工程における公認検査官の立会検査を受け、問題がないことを公認検査官が認め た後、最終的に、製造者が ASME 規格への適合を宣言し、スタンプを打刻する。 【参考資料】に、米国の運用制度の詳細を示す。 6 (2)欧州の運用制度 欧州では、EU 統一を機に単一市場の形成及び技術障壁の排除の促進、達成を目的に 多くの宣言及び指令が制定されており、圧力設備に関しては、1997 年に圧力設備指令 (PED:Pressure Equipment Directive 97/23/EC)が採択され、PED 附属書Ⅲで適合 評価モジュールが規定されている。 また、PED では、附属書Ⅱで危険度分類と適合評価モジュール、附属書Ⅶで適合宣言 を規定している。 1)危険度分類と適合評価モジュール 評価モジュールは、工程に応じて設計と生産に区分され、圧力設備では、流体、設 計圧力、内容積を基に設備の危険度を評価し、その危険度に応じて適用評価モジュー ルを定めている。カテゴリーが上がるにつれて、認定機関(NB:Notified Body)の 関与が多くなる。 製造者が、どの適合性評価モジュールを選択するかは自由であり、選択したモジュ ールの種類により、認定機関による立会検査の有無の項目が異なる。 ①流体の種類による分類 流体の種類により、危険度を分類している。 グループ1:危険性流体(爆発性、可燃性、毒性など) グループ2:その他の流体 ②設備の危険度による分類 流体の状態(ガス、液体)、エネルギー(PV 値)により、危険度を分類している。 カテゴリーⅠ(危険度低)~カテゴリーⅣ(危険度高) 7 <危険度分類の例> <危険度分類と適合性評価モジュール> カテゴリーⅠ カテゴリーⅡ カテゴリーⅢ カテゴリーⅣ A A1 B1+D B+D D1 B1+F B+F E1 B+E G B+C1 H1 H 8 <適合性評価モジュール> モジュール 設 計 生 産 A 技術文書 内部管理 A1 技術文書 内部管理、 最終検査モニター B 型式証明 - B1 設計証明 - C1 - 最終検査モニター D - 製作、検査の品質保証システム D1 技術文書 製作、検査の品質保証システム E - 検査の品質保証システム E1 技術文書 検査の品質保証システム F - 個別検証 G 個別検証 H 設計、製作、検査の品質保証システム H1 設計、製作、検査の品質保証システム、設計証明、 最終検査のモニタリング 2)適合宣言 適合宣言書は、製造者が自ら作成し、署名し、製造者の責任の明確化のために作成 される。適合宣言書の内容は、以下からなっている。 ・製造者の氏名、住所 ・圧力設備の明細 ・使用した適合性評価要領 ・検査を実施した NB の名前及び住所(適用する場合) ・製造者の品質保証システムをモニタリングした NB の名前及び住所(適用する場合) ・適用した整合規格の名称(適用する場合) 2.2.2 高圧ガス保安法における現行の運用制度 日本では、高圧ガス保安法対象の圧力容器の設計及び製造の基準は、一部を除き、設 計圧力や内容積の大きさが所定のしきい値(PV>0.004)を超えるものについては特定 則が適用される。 9 以下に、現行の安全係数 4.0 及び 3.5 の特定設備を適用する場合に、製造者、使用者、 検査機関が行うべき内容を示す。 (1)使用者について ①使用者は、高圧ガスの処理量に応じ、高圧ガスの製造に関する許可、届出の申請を 設置県に行う。(法第五条) ②許可申請を行った使用者は、完成検査を受検する。(法第二十条) 高圧ガスの製造のための施設に用いられる高圧ガス設備について完成検査を行うが、 特定設備検査を受け合格したものについては、完成検査を要しない。 (法第二十条の 二) ③特定設備検査では、使用者は直接関与しない。 ④米国で安全係数 2.4 の基準を適用する場合に要求されている、設計仕様書の提出は 特に要求されていない。 (2)製造者について ①製造者に対する認証制度(工場認定制度)は課されていない。 ②製造者は、所定の様式に従って特定設備検査の申請を行う。(特定則第五条) 申請にあたっては、設計書及び構造図を添付する。 ③特定則第四条に基づく製造の工程毎の検査として、設計、材料、加工、溶接、構造 の検査を受検する。 ④欧米で安全係数 2.4 の基準を適用する場合に要求されている、製造者による適合宣 言は、特に要求されていない。 (3)検査機関について 特定設備検査機関(経済産業大臣、高圧ガス保安協会又は指定特定設備検査機関) は、申請があった特定設備に対し、特定則第四条に基づく製造の工程毎の検査として、 設計、材料、加工、溶接、構造の検査を行う。 特定則第四十六条に基づき設計の検査を行い、検査の結果を設計検査成績表(様式 第三)に記録する。また、特定則第四十七条に基づき材料の検査、第四十八条に基づ き加工の検査、第四十九条に基づき溶接の検査、第五十条に基づき構造の検査を行う。 それらの検査の結果を、材料・加工検査成績表(様式第四)、溶接検査成績表(様式 第五)、構造検査成績表(様式第六)に記録する。 特定設備が特定設備検査に合格した場合、高圧ガス保安法第五十六条の四に基づき、 特定則第五十三条で定められた特定設備検査合格証(様式第七)を交付する。 10 2.2.3 第三種特定設備に対する特定設備検査の運用制度の検討 (1)第三種特定設備の製造者に対する品質管理規定の必要性について 第三種特定設備の詳細基準は、第一種又は第二種特定設備の詳細基準に比して、より 詳細かつ高度な設計、製作、試験及び検査を求めているが、安全係数が低減されている ことから設備そのものの危険性はより大きくなる。 従って、設備が技術基準に適合していることの確認はより慎重に行う必要があるため、 第三者検査機関が行う検査による確認だけでなく、製造者による以下に示す各工程での 作業の信頼性の確保が重要である。 ①第三種特定設備の設計における信頼性の確保 ②第三種特定設備の製作、検査等における品質管理の信頼性の確保 1)設計における信頼性の確保 第三種特定設備の詳細基準では圧力以外の荷重に対する評価、疲労評価等の設計規 定でのより精緻な強度評価の要求を行っている。これらの強度評価に必要な荷重条件 等は使用者が判断すべきものであり、特定設備検査申請前に使用者が製造者に提示し、 それに基づき、製造者が設計に反映することを確実にする必要がある。このため、第 三種特定設備の製造者には、 「使用者から提出される設計仕様書を反映した、適切な設 計書の作成を行い、その検証を行うことができる体制を整えていること」及び「使用 者が当該設計書を確認、受領することを確実にすること」を要求する必要がある。 2)製作、検査等における品質管理の信頼性の確保 第三種特定設備に対しては、従来の第一種及び第二種特定設備に対する規定と比較 して、製作、検査等において、より厳格な材料の追跡性の維持、溶接士の識別、溶接 施工中における溶接パラメータの管理、材料や溶接部に対する熱処理パラメータの管 理、その他の要求を行っている。このため、第三種特定設備に対しては、 「製作する特 定設備の各工程で、適切な品質管理がなされ、その製作、検査等が正しく行われてい る」ことが従来に増して重要となる。 その適切性の確認の方法としては、規則上必要な検査方法を具体的に規定する方法 がある。この方法を採用した場合、 (1)1)で述べた使用者が判断すべき設計条件の 適切性や、製造者が設計書として当該設計仕様書を確実に反映していることを検査す ることが必要となるが、これを特定設備検査として行うことは適切なこととは言えな い。 また、上述の製造工程における材料の追跡性の維持や、溶接施工中における電流、 電圧、パス間温度等の溶接パラメータの確認や、溶接棒の乾燥状況の確認等を検査工 程の一部としなければならないが、検査はそれらの条件が整い、かつ、当該工程終了 後に確認することにより行われるので、これも特定設備検査の一部として行うことは 11 適切なことと言えない。 従って、これらを全て満足させるためには、製造者に対して受注段階から設計、最 終検査に至るまでの品質管理規定を要求することが不可避である。この製造者に対す る品質管理規定の要求については、米国 ASME の仕組みを参考に、品質管理システムを 導入する方法がある。 (2)品質管理システムの導入の方法について 第三種特定設備の製造者に対し品質管理システムの導入を考える場合、あらかじめ一 定の品質管理レベルを有する製造者を選別する仕組みを設けることが適当である。 (3)品質管理要求項目について 特定設備の受注段階及び製作段階における各工程(設計、材料、加工、溶接、構造) の管理に係る品質管理項目に関し、特定則に示す各工程の規定に適合し、かつ、確実に 実施できるような品質管理システムが定められ、それに基づいて品質管理が適切に行わ れており、特定設備検査において設備の性能を確認できる体制を有することを要求する。 この品質管理にあたっては、品質管理に関与する各組織の権限、責任及び相互関係が 明確に定められており、また、特定設備の製造に使用する品質管理に関する文書の承認、 発行、変更等に係る管理方法が定められ、それに基づいて品質管理が適切に行われてい ることを要求する。 3.技術基準案の策定についての提言及び課題 2.の委員会の検討概要に示した内容を踏まえ、委員会としての提言及び課題を以下にま とめる。 3.1 技術基準への第三種特定設備の取り込み方法について (1)特定設備検査規則 今回の検討により、第三種特定設備の特定則及び関連通達への取り込み方法につい て、【添付資料1】に示す通り、提言をまとめた。提言の主要な点は以下の通り。 1)設計規定における精緻な強度評価の要求 第三種特定設備の設計の精緻化を図るため、圧力荷重以外の荷重、疲労評価等 も要求するものとする。この検討を行うにあたって、使用者に対しては、特定設 備の設計に必要となる詳細な設計条件を示した設計仕様書を作成することを要求 し、また、製造者に対しては、その設計仕様書の内容を反映した適切な設計書を 作成し、当該設計書は使用者による確認、受領を得た後、提出することを要求す る。 なお、対象とする荷重の種類やその評価方法、判定基準については詳細基準を 12 策定中であり、その検討が終了していないため現段階で具体的な性能要求を示す ことができない。 【添付資料2】に、設計仕様書に記載する内容の例を示す。 【添付資料3】に、設計書に記載する内容の例を示す。 2)材料規定における第二種特定設備と同等以上のじん性要求 第三種特定設備は、脆性破壊防止のため使用する材料は十分なじん性を有して いる必要がある。そのため、当該特定設備の運転条件等を考慮して定めた最低設 計金属温度において、材料が十分なじん性を有するよう、第二種特定設備と同等 以上のじん性要求をすべきである。 なお、じん性を確認するための評価方法及び判定基準については詳細基準を策 定中であり、その検討が終了していないため現段階で具体的な性能要求を示すこ とができない。 3)破壊検査、非破壊検査の要求 材料を熱間で成形加工した場合、その材料の強度は低下する可能性があるため、 成型加工後の材料強度が、設計上の前提となっている材料強度を有していること の確認が必要である。そのため、成形加工後の機械試験要求を設けるものとする。 また、設計上の重要な因子である溶接継手の効率は、第三種特定設備の場合、 試験グループの分類によって定める。当該試験グループは、溶接継手の種類、材 料の種類、非破壊検査の種類及び割合に応じて分類される。 そのため、溶接継手の種類、材料の種類及び非破壊検査の種類及び割合によっ て試験グループを分類する内容を盛り込み、溶接継手の効率を定める規定を設け るものとする。 4)耐圧部分に対する検査項目の追加 第三種特定設備の耐圧部分に対する検査の厳格化を図るため、ボルト及びナッ トを検査対象とし、また、耐圧部分に直接非耐圧部分を溶接する場合において、 当該溶接部が耐圧部分へ影響を与える可能性を考慮し、耐圧部分に直接溶接され る非耐圧部分を検査対象とする。 (2)一般高圧ガス保安規則 今回の検討により、第三種特定設備の一般則への取り込み方法について、【添付資 料4】に示す通り、提言をまとめた。提言の主要な点は以下の通り。 1)使用者の制限 第三種特定設備は、第一種特定設備及び第二種特定設備に比して、肉厚が薄く 13 なるため、設計上、内圧による静的な荷重に加えて、疲労や外的荷重による動的 荷重に対する評価も必要となる。しかしながら、それは設計上担保しておけば使 用上安全なものであるということは言えるものではなく、使用者において設計時 に配慮された条件の維持を行わない限り保安上問題があると言わざるを得ない。 そのため、保安に係るリスク低減を考慮して、一つの有力な考え方として、第 三種特定設備の使用者を、第一種製造者及び第二種製造者に制限する必要がある。 2)適切な寿命管理の要求 第三種特定設備の使用者は、寿命管理に関する内容(使用期間等)を含め、設 計仕様書に設計条件を記載することとし、設備の使用にあたっては、その設計条 件に従うと共に、設備の寿命を適切に管理することを一般則で義務づける。 3)移設等及び設備の変更の取扱い 第三種特定設備は、2)で述べた設備の適切な管理を行う必要があるため、第 三種特定設備の移設等及び設備の変更については、設計仕様書に記載された条件 の範囲内で、その移設等及び設備の変更を認める。 (3)コンビナート等保安規則及び液化石油ガス保安規則 今回の検討により、第三種特定設備のコンビ則、液石則への取り込み方法について、 【添付資料5】及び【添付資料6】に示す通り、提言をまとめた。 第三種特定設備の液石則への取り込みにあたっては、(2)1)で述べた理由と同 様の理由により、第三種特定設備の使用者を、第一種製造者及び第二種製造者に制限 する必要がある。なお、第三種特定設備のコンビ則への取り込みにあたっては、コン ビ則が適用される者は第一種製造者のみであることから、使用者の制限を設ける必要 は無い。 第三種特定設備の使用者は、寿命管理に関する内容(使用期間等)を含め、設計仕 様書に設計条件を記載することとし、設備の使用にあたっては、その設計条件に従う と共に、設備の寿命を適切に管理することをコンビ則又は液石則で義務づけること、 また、第三種特定設備の移設等及び設備の変更については、設計仕様書に記載された 条件の範囲内で、その移設等及び設備の変更を認めることについては、(2)2)及 び3)で述べた第三種特定設備の一般則への取り込みにおける提言と同様である。 3.2 第三種特定設備に対する特定設備検査の運用制度について 今回の検討による第三種特定設備に対する特定設備検査の運用制度についての提 言は以下の通り。 1)品質管理システムの要求による製造者の選別 第三種特定設備の技術基準では、従来の第一種及び第二種特定設備に対する規 定に比して、より精緻な強度評価を要求しており、また、製作、検査等において 14 も、より厳格に工程中の品質管理を要求している。このため、第三種特定設備の 製造者に対し、設計、製作、検査に係る品質管理の徹底化を図るため、製造者に 対して受注段階から設計、最終検査に至るまでの品質管理規定を要求し、あらか じめ一定の品質管理レベルを有する製造者を選別する仕組みを設けることが必要 である。 以下に、品質管理要求項目を示す。 なお、【参考資料2】に、品質管理要求の具体的イメージを示す。 【品質管理要求項目】 1)組織 2)権限及び責任 3)文書管理 4)設計管理 5)材料管理 ①材料、部品等の購買 ②材料、部品等の識別及び追跡性の維持 ③材料の検査 6)加工の管理 7)溶接の管理 ①溶接施工記録 ②溶接士の認定 ③非破壊試験の実施者の認定 ④溶接の検査 a)機械試験 b)形状、寸法の検査 c)熱処理 d)非破壊試験 8)構造の管理 9)外注管理 10)製作工程の管理 11)不適合の管理 12)製造設備及び検査設備の点検、保守などの管理 13)品質記録の管理 15 3.3 課題 今回の検討により明らかになった課題は以下の通り。 1)詳細基準の規定の反映 第三種特定設備の詳細基準は現在検討中であり、その内容は確定していない。そ のため、特に特定則の中で数値を示して規定しなければならない条項に関し、その 内容が確定していないため現時点において技術基準への反映ができない。当該数値 規定化しなければならない条項及び項目を以下に示す。 ①第十四条 材料の許容引張応力 ②第十九条 溶接継手の効率 ③第三十四条 耐圧試験等 ④第四十条 機械試験基準 ⑤第四十二条 再検査基準 2)使用者の制限 設置された特定設備を管轄する都道府県は、第三種特定設備の使用者を把握し、 かつ、使用者が定期的な検査を実施し、適切に管理を行っていることを把握する必 要がある。そのため、現行法で何らかの許可申請又は届出がある者(第一種製造者、 第二種製造者)に制限することが、一つの有力な考え方であるとしたが、以下のよ うな課題がある。 ①使用者の規制区分の変更 第一種製造者及び第二種製造者という規制区分は、高圧ガスの処理能力によっ て決まるが、設備の変更や事業形態の変更があり得る。当該変更があった場合、 許可又は届出を行っていた者が、当該許可等が不要となるケースが生じる得るた め、設備の生涯寿命中に基準適合に係る都道府県の関与の度合いが変動してしま い、さらにはその機能を失ってしまう可能性がある。 また、使用者に対して制限を課し、当該使用者に「設計仕様書に記載の範囲内 で第三種特定設備を使用すること」を義務付ける方法は、当該使用に係る具体的 方法を示していないことになり制度の運用段階において使用者に応じて大きなば らつきが生じる可能性がある。 ②使用者の制限の方法 ①の規制区分の変更があった場合の問題に対応するためには、第三種特定設備の 使用者に対し、都道府県への何らかの手続き(許可申請又は届出)を課す制度を取 り入れることが理想的であるという意見があった。 16 この方法を選択した場合、都道府県は確実に第三種特定設備の設置状況を把握す ることができるが、依然、①の後段で述べた運用段階におけるばらつきについては、 解消できない。また、法制度上、これをどのように位置付けすべきかについては、 問題が残る。 ③適切な寿命管理の要求 第三種特定設備の使用者は、寿命管理に関する内容を含め、設計仕様書に設計 条件を記載し、設備の使用にあたっては当該設計条件に従うと共に、設備の寿命 管理を適切に行う必要がある。しかしながら、設備の寿命の管理の方法は、設備 の種類や、設計条件等に応じて様々な方法が考えられるため、その方法を技術基 準に規定することは難しい。そのため、設備の寿命管理の方法を自ら適切に定め、 寿命管理を適切に行える事業者に使用を限定すべきである。 この寿命管理を適切に行える事業者として、認定保安検査実施者に限定すべき という意見があった。しかしながら、使用者を認定保安検査実施者に限定した場 合、その権限が取り消された場合における第三種特定設備の使用の可否等の取扱 いについて、法制度上の成案を得ていない。 3)ボルト及びナットの取替の取扱い 第三種特定設備の検査では、ボルト及びナットを検査対象としなければならない が、ボルト及びナットの取替に係る取扱いについて、従来と同じく届出不要の工事 とした場合、保安上の問題が生じる可能性がある。従って、その取替にあたっては、 実情を踏まえた対応を考慮する必要があるが、その取扱いについて、法制度上の成 案を得ていない。 4)製造者選別の仕組み及び品質管理要求の規定方法について あらかじめ一定の品質管理レベルを有する製造者を選別することの重要性の認識 では一致したものの、選別を行う機関、選別の基準など、選別の仕組みの詳細につ いては明確ではない。また、品質管理要求を法制度上どのように位置付けるか(詳 細基準に規定する、または、技術基準に規定する等)についても成案を得ていない。 以上、現在検討中の詳細基準が制定された場合における、第三種特定設備の技術基 準への取り込みについての提言及びその課題について述べてきた。 当該詳細基準は、目下制定に向け精力的に作業を進めているところであるが、今後、 当該詳細基準が制定された場合にあっては、上述の1)で述べた課題は解消される。 当該詳細基準が制定され、上述の1)以外の課題が解消されない場合にあっても、 17 当該詳細基準は、安全係数 2.4 の特定設備の設計、製作、検査等の全般を網羅する規 定を設けた基準であるため、現在、超高圧条件下で設計される特定設備に関し、特定 則第五十一条に基づく特殊な設計による特定設備に係る経済産業大臣の認可におけ る特認申請の際に、当該特定設備の安全立証に利用されている「超高圧ガス設備に関 する基準 KHKS0220(2010)」と同様に、特認申請を行う者の利便性を向上する基準と して活用することが可能である。 今後、第三種特定設備を技術基準へ取り込むにあたっては、安全の確保のため、当 該詳細基準を活用して、安全係数 2.4 の特定設備に係る十分な使用実績及び十分な運 転経験により得られた知見に基づく安全性の評価を行うと共に、上述の1)以外の課 題に係る解決の状況、当該詳細基準の利用頻度等を総合的に判断し、実施することが 肝要である。 以上 18 1 用語の定義 対応案 特定設備の範囲 第三種特定設備の定義の追加を行う。 (理由) 第三種特定設備の場合の特定設備の範囲について、以下の内容を 第一種及び第二種特定設備では、例示基準に特定設備の範囲 反映し規定する。 について規定はなく、基本通達に規定されている。 ①ボルト及びナットを検査対象とする。 ②耐圧部分に直接溶接される非耐圧部分を検査対象とする。 設計仕様書 19 3 特定設備検査 の申請 設計書 使用者が作成した設計仕様書の提 出を要求する。 設計仕様書の様式を新規に定め、 第三種特定設備の場合、申請時に 設計仕様書及び設計書は、以 設計仕様書を提出することとする。 下の通りの運用方式を採用す る。 ①使用者が設計仕様書を作成 <設計仕様書の内容の例> し、製造者に提出する。 【添付資料2】 参照 ②製造者が当該設計仕様書を 反映した設計書を作成する。 なお、その設計書は、使用者 が確認、受領する。 製造者が作成した設計書の提出を ③製造者が、使用者との間でそ の内容について合意した設計 要求する。 設計書の様式を新規に定め、第三 仕様書と設計書を、特定設備検 種特定設備の場合、申請時に設計 査申請時に提出する。 書を提出することとする。 自主検査の対象としない 特定設備 特定則 基本通達 第2条 - - 第3条 関係 第三種特定設備の場合、検査の厳格化のため、左記の通り、 検査対象範囲を拡大すべきである。 (理由) 第三種特定設備の場合、圧力荷重以外の荷重も考慮し、肉厚 の検討を行う。また、疲労評価も追加される。 第5条 - 製造者がこれらの検討を行うための設計条件については、使用 者が決定する必要がある。 (理由) 第三種特定設備の場合、圧力荷重以外の荷重も考慮し、肉厚 の検討を行う。また、疲労評価も追加される。 第5条 - 第6条 - 製造者は、使用者が作成した設計仕様書の内容を把握し、適 切に設計書に反映したことを示す必要がある。 (理由) 第三種特定設備は、登録特定設備製造業者(自主検査が可能とな 第三種特定設備の場合、製造者に対し設計、製作、検査等の る。)の制度を設けないこととする。 全工程に係る品質管理システムが必要であることに加えて、第 三者検査機関による検査も必要である。 【添付資料1】 <設計書の内容の例> 【添付資料3】 参照 4 理由 特定設備検査規則への第三種特定設備の取り込み方法 項目 2 該当条項 検討の方向 No. 5 耐圧部分の範囲 材料 6 ボルト及びナットを検査対象とする。 ただし、特定設備の管台と配管の接続部に取り付けるボルト及び ナットは除く。 (理由) 基本通達第11条関係で、第一種特定設備及び第二種特定設備 では、ボルト及びナットが検査対象から除外されているが、第三 種特定設備の場合、耐圧部分に対する検査の厳格化のため、 ボルト及びナットを検査対象とする必要がある。 - 第11条 関係 第三種特定設備の材料について、以下の内容を盛り込んだ規定を 追加する。 ①検査対象 耐圧部分に加えて、耐圧部分に直接溶接で取り付く非耐圧部分の 材料も検査対象であること ②設計圧力 圧力に加えて、圧力以外の荷重を考慮する規定とすること ③設計温度 第二種特定設備と同様に、最低設計金属温度を考慮した設計温 度とすること (理由) 第三種特定設備の場合、耐圧部分に加えて、耐圧部分に直接 溶接で取り付く非耐圧部分の材料についても、その適切性を確 認するため検査対象とする必要がある。 第11条 - (理由) 設計係数低減化により、設備にかかる荷重を詳細に把握の上、 厳密な応力評価を行う必要があるため、圧力以外の荷重を考 慮する規定を追加する必要がある。 第12条 - (理由) 設計係数4.0の基準の場合、一般的に疲労評価の要求は基準 上、規定されていないが、設計係数低減化により、疲労評価結 果が支配的となって板厚が決定する場合があると考えられるた め、疲労評価の規定の追加が必要である。 第12条 - 第12条 第1項 - 圧力以外の荷重を考慮する規定を追加する。 20 圧力以外 の荷重 7 【圧力荷重以外の荷重の例】 (1)設備の使用時に常に作用する荷重 内部流体による荷重、温度分布による荷重、 接続配管又は附属部品の膨張、収縮による外力など (2)使用環境、季節変動等に応じて一時的に作用する荷重 地震荷重、風荷重、積雪荷重など 耐圧部分 の強度等 疲労評価 疲労評価の規定を追加する。 設計温度 第三種特定設備の場合の設計温度を規定する。 第二種特定設備と同様の設計温度(最低設計金属温度を考慮)の規定とする。 第三種特定設備用の非クリープ域の許容引張応力の決め方を追加 する。 【フェライト鋼の例】 ①常温未満 ②常温以上 S ⎛S Min ⎜⎜ y _ RT , u _ RT 2 .4 ⎝ 1 .5 ⎞ ⎟⎟ ⎠ ⎛ S y _ DT S u _ RT Min ⎜⎜ , 2 .4 ⎝ 1 .5 第14条 - 第14条 - 第14条 - 第19条 - ⎞ ⎟⎟ ⎠ ボルトの許容引張応力の決め方を以下の通り追加する。 1)非クリープ域の許容引張応力 (1) 熱処理又はひずみ硬化で強度を高めたボルト材 ①常温未満 ②常温以上 8 ⎛ S u _ RT S y _ RT , Min ⎜⎜ 1 .5 ⎝ 5 材料の許容引張応力 ⎛ S u _ RT S u _ DT S y _ RT S y _ DT ⎞ , , , ⎟⎟ Min ⎜⎜ 4 4 1 .5 ⎝ 5 ⎠ (2) 上記(1)以外のボルト材 ①常温未満 ②常温以上 ⎛ S u _ RT S y _ RT Min⎜⎜ , 1.5 ⎝ 4 ⎛ S u _ RT S u _ DT S y _ RT S y _ DT ⎞ , , , ⎟⎟ Min⎜⎜ 4 1.5 1.5 ⎝ 4 ⎠ ⎞ ⎟⎟ ⎠ 2)クリープ域の許容引張応力 クリープ域の許容引張応力については、次の値のうちの最小の もの以下とする。 ①設計温度において1000時間に0.01%のクリープひずみを生じ る応力の平均値 ②設計温度において100000時間でのクリープ破断応力の平均 値の67% ③設計温度において100000時間でのクリープ破断応力の最小 値の80% ⎞ ⎟⎟ ⎠ 21 Su_RT 常温における最小引張強さ Su_DT 設計温度における最小引張強さ Sy_RT 常温における最小降伏点又は0.2%耐力 Sy_DT 設計温度における最小降伏点又は0.2%耐力 第三種特定設備用の溶接管使用の際の許容引張応力に対する低減係数(0.85)を追加する。 9 溶接継手の効率 第三種特定設備用の溶接継手の効率の規定を追加する。 (理由) 現在検討中の詳細基準案では、第三種特定設備にあっては、 詳細設計化の一環として、以下の内容によって決定する試験グ ループ(全4種)に応じ、溶接継手の効率の値(0.85又は1.0)を決 める、詳細な決定方式を採用することとしており、この内容を反 映すべきである。 ①材料の種類 ②溶接継手の種類 (継手の部位についても、判定要素に含む) ③非破壊検査の種類及び割合 (RT又はUTに加え、MT又はPTの割合についても、判定要素に 含む) なお、第一種特定設備及び第二種特定設備では、溶接継手の 種類、放射線透過試験の割合のみで、溶接継手の効率の値を 決定している。 溶接部の強度 10 溶接 第三種特定設備のアルミ等の材料の溶接部の強度要求について、許容引張応力の値以下で使用するときは、当該許容引張応力の 二・四倍の値以上の強度があればよいこととする。 溶接施工方法 耐圧部分に非耐圧部分を溶接するための溶接部に係る溶接施工法の要求を追加する。 溶接の種類 耐圧部分に非耐圧部分を溶接するための溶接部に係る溶接の種類の適切性の要求を追加する。 第24条 - 第25条 - 第26条 - 第31条 第2項 及び 第3項 - 第40条 第1項 - 第37条 - 第40条 - (理由) 第一種及び第二種特定設備で要求されている非破壊検査は、 第三種特定設備に対しても要求すべきである。 非破壊試験 12 機械試験基準 22 11 機械試験 13 【第一種特定設備及び第二種特定設備で要求されている非破 壊検査事項】 第三種特定設備に係る非破壊試験については、第一種及び第二種 (1)RT 特定設備で要求している非破壊検査の内容を全て要求することとす 第一種特定設備の場合、毒性ガスを使用する場合、気体により る。 耐圧試験を行う場合、RTを要求している。 (2)MT ①第一種特定設備及び第二種特定設備の場合、低合金を母材 とする場合若しくは気体により耐圧試験を行う場合、MTを要求 している。 ②第一種特定設備の場合、その他安全上重要な溶接部又は治 具跡に対し、MTを要求している。 第三種特定設備のアルミ等の材料の溶接部の強度要求について、許容引張応力の値以下で使用するときは、当該許容引張応力の 二・四倍の値以上の強度があればよいこととする。 成形加工後の機械試験の要求を追加する。 成形加工後 の機械試験 機械試験基準 成形加工後の機械試験の合格基準を追加する。 (理由) 現在検討中の詳細基準案では、熱間加工を行った場合には、 加工後に、母材部及び溶接部に対し、引張試験及び衝撃試験 (材料規格で衝撃試験が要求されている場合に限る。)を行い、 母材の材料規格の要求値を全て満足する場合に合格とすると している。 熱間加工後においても、母材の材料規格で要求されている機械 的性質が担保されていることを確認するため、当該規定が必要 である。 材料 第三種特定設備の材料のじん性要求を規定する。 ただし、じん性要求は、耐圧部分に直接溶接される非耐圧部分の材料に対しても適用とする。 機械試験基準 第三種特定設備の溶接部に対するじん性基準を追加する。 14 第36条 第4項 - 第40条 - じん性要求 再試験基準 第三種特定設備の溶接部に対するじん性の確認試験の再試験基準を追加する。 第42条 - 材料の検査 の方法 第三種特定設備の材料のじん性規定の検査方法を追加する。 第47条 第2項 - 第34条 - 第35条 - 第三種特定設備用の耐圧試験圧力(液体を使用する場合及び気体を使用する場合)を決定し、規定する。 現在検討中の詳細基準案では、試験圧力の下限値と上限値を定めることとなっており、反映すべきである。 【試験圧力の下限値】 ①液体を使用する場合 ⎛ σ Max ⎜⎜ 1 . 25 PD t ,1 . 43 PD σa ⎝ 23 耐圧試験等 ②気体を使用する場合 ⎞ ⎟⎟ ⎠ σ σ t a PD 設計圧力 σt 試験温度における材料の許容引張応力 σa 設計温度における材料の許容引張応力 【試験圧力の上限値】 ①液体を使用する場合 Pm≦0.95Syでかつ下記の算式を満足するように定める。 Pm≦0.67Syの場合 :Pm+Pb≦1.43Sy 0.67Sy<Pm≦0.95Syの場合:Pm+Pb≦(2.43Sy-1.5Pm) 15 1 . 15 P D ②気体を使用する場合 Pm≦0.8Syでかつ下記の算式を満足するように定める。 Pm≦0.67Syの場合 :Pm+Pb≦1.2Sy 0.67Sy<Pm≦0.95Syの場合:Pm+Pb≦(2.2Sy-1.5Pm) Pb 一次曲げ応力 Pm 一次一般膜応力 Sy 試験温度における材料の降伏点又は0.2%耐力 気密試験 気密試験の要求は規定しない。 (理由) 第二種特定設備では気密試験が要求されていないので、踏襲 する。 また、現在検討中の詳細基準案では、気密試験を規定していな い。 表示 16 特定設備検査 申請書 輸入特定設備 検査申請書 第三種特定設備の場合の表示内容を規定する。 ①第三種特定設備の種別 ②第三種特定設備の設計温度 ③申請にあたっての特記事項がある場合、「特記事項あり」の表示 様式 特定設備検査 合格証 新規様式① 申請書に添付する設計仕様書の様式を規定する。 設計仕様書 新規様式② 申請書に添付する設計書の様式を規定する。 設計書 24 第三種特定設備の製造者に対して、適切な品質管理を行うための 品質管理システムに係る規定を追加する。 18 - 様式第1 - 様式第2 - 様式第3 - 様式第7 - 新規様式 - 新規様式 - (理由) 第三種特定設備の製造者は、設計、製作、検査等の全工程に 新規条項 ついて適切な品質管理を行うことが必要であるため、品質管理 システムを導入する必要がある。 - 申請にあたっての特記事項がある場合、「特記事項あり」を追加する。 設計検査成績表 17 第56条 品質管理システム 【品質管理要求項目】 報告書15ページ 参照 【添付資料2】 設計仕様書(UDS:User’s Design Specification)の内容の例 使用者は、特定設備の設計仕様について以下の内容を含む設計仕様書(UDS)を作成する。 使用者は、設計仕様書(UDS)を製造者に提出し、製造者はその内容を反映した設計書(MDR: Manufacturer’s Design Report)を作成し、使用者が確認、受領する。製造者は、設計仕 様書(UDS)及び設計書(MDR)を、特定設備検査申請において提出する。 1.一般 (1)使用者の名称 (2)設置場所 (3)環境条件(風荷重、地震荷重、積雪荷重、最低気温) (4)機器番号 (5)製作基数 (6)使用流体及びその特性(気体、液体、密度など) (7)材料(材料規格又は一般的な材料名称) (8)腐れしろ 2.構造 (1)構造図(圧力容器の主要な形状及び寸法がわかるもの) (2)管台に関する記述 (3)支持方法に関する記述 3.強度検討 (1)静的荷重に対する強度評価条件 1)設計条件 ①設計圧力 ②設計温度 ③常用圧力 ④常用温度 ⑤最低設計金属温度 2)静的荷重に対する強度評価において設計上考慮すべき荷重及び荷重の組合せ 3)静的荷重に対する強度評価において設計に影響する追加要求事項 (2)繰り返し荷重に対する強度評価条件 1)疲労評価の検討 2)運転条件 ①運転圧力 ②運転温度 3)疲労評価において設計上考慮すべき荷重及び荷重の組合せ 25 4)設計繰り返し回数 5)疲労評価において設計に影響する追加要求事項 (3)耐震設計条件 1)耐震設計の検討 2)耐震設計において設計上考慮すべき荷重及び荷重の組合せ 3)耐震設計において設計に影響する追加要求事項 4.製作・検査等 (1)加工に関する要求事項 (2)溶接に関する要求事項 (3)機械試験に関する要求事項 (4)非破壊検査に関する要求事項 (5)熱処理に関する要求事項 (6)構造の検査に関する要求事項 (7)その他の要求事項 5.その他 (1)当該設計仕様書の文書番号 26 【添付資料3】 設計書(MDR:Manufacturer’s Design Report)の内容の例 製造者は、使用者から提出された設計仕様書(UDS:User’s Design Specification)の内 容を反映し、各種設計図書について以下の内容を含む設計書(MDR)を作成し、使用者が確 認、受領する。製造者は、設計仕様書(UDS)及び設計書(MDR)を、特定設備検査申請に おいて提出する。 (1)設計仕様書(UDS)の文書番号 当該設計書(MDR)の作成の根拠となる、使用者から提出された設計仕様書(UDS)の 文書番号を示すものとする。 (2)各種設計図書及びその一覧 使用者から提出された設計仕様書(UDS)に基づき作成された、特定設備検査申請に おいて提出する、以下に示す各種設計図書を含むものとする。 また、それらの各種設計図書の文書番号(改訂履歴番号を含む)の一覧を示すものと する。 ①構造図 ②強度評価書 1)強度計算書 2)疲労評価書 (疲労評価が適用される場合) 3)耐震設計書 (耐震設計が適用される場合) ③溶接要領書 ④溶接施工方法の確認試験記録 ⑤製作工程表 (3)各種設計図書の記載内容 上記(2)に示す各種設計図書はそれぞれ以下に示す内容を含むものとする。 1)構造図 (1)一般 組立図及び詳細図からなる特定設備全体の構成がわかるものであって、以下の内容 が明確化されていること。 ①特定設備の範囲 ②組立図と詳細図の関連性 ③部品リストに示された部品番号との関連性 ④管台リストに示された管台番号との関連性 ⑤強度検討を行うために必要な詳細寸法 27 ⑥支持方法 ⑦溶接継手の詳細(溶接継手番号、溶接継手形状) ⑧第三種特定設備に対して特に検査対象として追加される以下に関する情報 ・耐圧部に直接溶接される非耐圧部 ・ボルト及びナット (2) 管台リスト ①管台番号 ②数量 ③管台名称 ④呼び径 ⑤フランジ規格、レイティング (3)部品リスト ①部品番号 ②数量 ③部品名称 ④材料仕様(材料規格) ⑤寸法(スケジュール、板厚など) (4)設計条件 ①適用法規 ②特定設備の種類 ③特定設備の区分 ④内容積 ⑤高圧ガスの種類 ⑥使用流体名 ⑦設計圧力 ⑧設計温度 ⑨常用圧力 ⑩常用温度 ⑪最低設計金属温度 ⑫耐圧試験圧力 ⑬熱処理の有無及び有りの場合その内容 ⑭非破壊検査の有無及び有りの場合その内容 ⑮溶接継手の効率 ⑯腐れ代 ⑰重量 ⑱疲労評価の有無 ⑲耐震設計の有無 (5)一般情報 28 ①納入先(使用者) ②工事番号 ③機器番号 ④図面番号(改訂履歴番号を含む) ⑤製作数量 (6)文書の確認、受領に関する記述 ①製造者による作成 (社内規定に基づく文書管理の手続きを反映したもの) ②使用者の確認、受領 ③改訂履歴に関する情報 2)強度評価書 (1)強度計算書 ①強度計算手法に関する記述 ②荷重条件 ③強度計算に使用した各種パラメータに関する記述 ④設計に使用した特記すべき条件に関する記述 ⑤強度計算結果 (2)疲労評価書 ①疲労評価手法に関する記述 ②荷重条件 ③疲労評価に使用した各種パラメータに関する記述 ④設計に使用した特記すべき条件に関する記述 ⑤疲労評価結果 (3)耐震設計書 ①耐震設計手法に関する記述 ②荷重条件 ③耐震設計に使用した各種パラメータに関する記述 ④設計に使用した特記すべき条件に関する記述 ⑤耐震設計結果 3)溶接要領書 (1)一般情報 ①工事番号 ②機器番号 ③図面番号 ④溶接継手番号 ⑤適用される溶接施工方法の確認試験記録の番号 (2)設計条件 29 ①設計圧力 ②設計温度 ③溶接継手効率 (3)溶接継手形状 ①開先形状図 ②積層図 (4)溶接条件(全般) ①溶接姿勢 ②裏当て ③インサート ④裏はつり ⑤予熱、後熱 ⑥溶接後熱処理 ⑦シールドガス ⑧バックシールドガス (5)母材 ①材料寸法 ②材料規格 ③区分(P番号及びグループ番号) (6)溶接材料 ①溶接棒、ワイヤ(銘柄、材料規格、径、区分(F番号又はY番号) ) ②フラックス (銘柄、材料規格、区分(G番号)) ③その他の特殊材 (7)溶接条件(パス毎) ①パス番号 ②溶接方法 ③溶接材料 ④溶接材料の径 ⑤電流極性 ⑥電流値 ⑦電圧値 ⑧溶接速度 ⑨入熱量 ⑩シールドガス ⑪バックシールドガス ⑫パス間温度 (8)試験内容 ①目視検査 ②非破壊検査 30 ③機械試験、衝撃試験 ④構造の検査 (9)溶接施工者、溶接施工者の資格、溶接管理者 4)溶接施工方法の確認試験記録 (1)一般情報 ①溶接施工方法の確認試験の適用規格 ②溶接施工方法の確認試験記録の番号 (2)溶接継手形状 ①開先形状図 ②積層図 (3)溶接条件(全般) ①溶接方法 ②手動/半自動/自動の区分 ③電極の数 ④溶接姿勢 ⑤層数 ⑥裏当て ⑦インサート ⑧裏はつり ⑨予熱、後熱 ⑩パス間温度 ⑪入熱量 ⑫衝撃試験 ⑬溶接後熱処理 ⑭シールドガス ⑮バックシールドガス (4)母材 ①材料寸法 ②材料規格 ③区分(P番号及びグループ番号) (5)溶接材料 ①溶接棒、ワイヤ(銘柄、材料規格、径、区分(F番号又はY番号) ) ②フラックス (銘柄、材料規格、区分(G番号)) ③その他の特殊材 (6)溶接記録(パス毎) ①パス番号 ②溶接方法 ③溶接材料 31 ④溶接材料の径 ⑤電流極性 ⑥電流値 ⑦電圧値 ⑧溶接速度 ⑨入熱量 ⑩パス間温度 (7)試験内容及び試験結果 (8)溶接施工者、溶接施工者の資格、溶接管理者 (9)第三者検査機関の検査員による検査立会項目及び検査結果の確認欄 (10)第三者検査機関による承認欄 5)製作工程表 材料の受入から完成品の検査に至るまでの全工程(材料の受入、加工、溶接、熱処理、 機械試験、非破壊検査、構造の検査など)を含む、特定設備の製作工程を示したもの であって、以下の内容を満足するものであること。 ①構造図に記載した溶接継手番号及び部品番号との関連性が明確であること。 ②各溶接継手番号に関する溶接施工、また、それに伴い実施される各種検査について、 製作工程の順序に沿って記載されていること。 ③製作工程において作成する各種品質記録(溶接施工記録、非破壊検査記録など)と の関連性が明確であること。 32 【添付資料4】 一般高圧ガス保安規則への第三種特定設備の取り込み方法 項目 ( 使 選択肢 使 の用 用 第 者 対応策 ・ 三 管 種 高 利点 理 特 圧 問題点 す 定ガ る 設 ス 関係 主 備 設 条項 体 を備 その他 中 提言の方向性 ・第一種及び第二種製造者 ・特定則又は一般則で第三種特定設備を定義する際に、設備の使用者も制限する。 ・使用者が高圧ガス設備の製造を県に許可申請する際、又は県に届出をする際に、設計仕様書の添付を一般則で義務付ける。 ・一定の使用者制限を課すため、使用者の管理レベルに依存するリスクを低減できる。 ・設備の使用者が制限される(その他製造者、第一種、第二種貯蔵所、特定高圧ガス消費者等が除外される)。 (一般則) 第2条、第3条、第4条 ) ・第三種特定設備を製造する者は、設備の検査申請時に設備の使用者が作成した設計仕様書を添付することを特定則に追加する。 ・設計仕様書の内容及び位置付けは特定則で規定する。 選択肢 ・制限しない。 - 対応策 製 造 設 備 の 種 類 利点 ・現状からの変更なし。 問題点 ・特定圧縮水素スタンド等の定置式製造設備や、移動式製造設備等にも第三種特定設備が使用可能となるため、高圧ガス製造者の 自己管理能力が問われる。 関係 条項 - ・現在の一般則(例示を含む)で第二種特定設備を除外している条項(耐圧試験(第6条第1項第11号)、 その他 肉厚算定(第6条第1項第13号))では、第三種特定設備も同様に除外する。 ・特定則及び一般則第6条第1項を引用している条項は、そのままとする。 選択肢 ・ソフト的な管理 寿 命 管 理 等 の 方 法 (特定則) 寿命管理に関する内容(使用期間等)を設計仕様書に記載する。 対応策 (一般則) 高圧ガスの製造者は、第三種特定設備の使用者として、設計時の諸条件(設置条件等)に従うと共に、設備の寿命を適切に 管理することを一般則で義務付ける。 利点 問題点 ・具体的な管理方法を示す必要がない。 (管理基準を一律に提示することは困難だが、機能的な表現で使用者に管理を促すことができる) ・設計仕様書の内容を正として対応することになる。 ・第三者の確認はなく、使用者の自主管理に委ねられるが、それで十分か。 関係 (一般則) 第6条第2項、第6条の2第3項、第7条第3項、第7条の2第2項、第7条の3第3項、第8条第2項及び第4項 条項 その他 ・設計検査成績表や特定設備検査合格証の記載内容及び様式は特定則で規定する。 ( 移 設 等 、 は こ移 れ転 ら の転 併用 用 再 使 用 又 選択肢 ・当初の設計仕様書の範囲内で移設等を認める。 対応策 ・設備の製造の申請、届出時に、当初の設計仕様書を添付することを一般則で義務付ける。 ・書類のみの対応でよい。 利点 ・当該第三種特定設備は製造時における設計条件の範囲内で使用されるため、特定則に基づいて製造時に評価された安全性がその まま担保される(移設等に伴う設備の安全性を、特定検査レベルで再評価する必要がない)。 、 問題点 ) ・移設等の内容の取扱いについては、県の判断による。 ・設置場所や利用者が代わる移設等は原則不可能となる。 関係 (一般則) 第3条、第4条 条項 - その他 選択肢 ・当初の設計仕様書の範囲内で変更を認める。 対応策 ・設備等変更の申請、届出時に、変更明細書に設備の変更箇所と、当初の設計仕様書の添付を一般則で義務付ける。 設 備 の 変 更 利点 ・第三種特定設備の変更に係るリスクを低減できる。修理等の変更を認めることができる。 問題点 ・変更明細書の記載内容について、県との調整が必要。 ・設備の変更の取扱いは、第一種及び第二種特定設備の変更と同様に、県の判断による。 関係 (一般則) 第14条、第16条 条項 ・特定則は供用中の変更等について担保していないことが大きな問題であり、設備の変更が許可等に該当する場合は、県の完成検査 その他 等で対応することになる。 (注) ・都道府県の総称として、「県」を用いる。 ・設計仕様書の内容は特定則で規定するが、その遵守を前提とする。 33 34 【添付資料5】 コンビナート等保安規則への第三種特定設備の取り込み方法 項目 ( 三使 種用 特者 定 設高 る 備圧 主 をガ 体 使ス 用設 ・ 備 管中 理の す第 提言の方向性 選択肢 ・コンビ則が適用される者は、第1種製造者のみであることから、コンビ則における制限は不要。 対応策 ・特定則又はコンビ則で第三種特定設備を定義する際に、設備の使用者も制限する。 ・使用者が高圧ガス設備の製造を県に許可申請する際に、設計仕様書の添付をコンビ則で義務付ける。 ) 利点 - 問題点 - 関係 (コンビ則) 第2条、第3条 条項 その他 ・第三種特定設備を製造する者は、設備の検査申請時に設備の使用者が作成した設計仕様書を添付することを特定則に追加する。 ・設計仕様書の内容及び位置付けは特定則で規定する。 選択肢 ・制限しない。 - 対応策 製 造 設 備 の 種 類 利点 ・現状からの変更なし。 問題点 ・特定圧縮水素スタンド等の定置式製造設備や、移動式製造設備等にも第三種特定設備が使用可能となるため、高圧ガス製造者の 自己管理能力が問われる。 関係 条項 - ・現在のコンビ則(例示を含む)で第二種特定設備を除外している条項(耐圧試験(第5条第1項第17号)、 その他 肉厚算定(第5条第1項第19号))では、第三種特定設備も同様に除外する。 ・特定則及びコンビ則第5条第1項を引用している条項は、そのままとする。 選択肢 ・ソフト的な管理 寿 命 管 理 等 の 方 法 (特定則) 寿命管理に関する内容(使用期間等)を設計仕様書に記載する。 対応策 (コンビ則) 高圧ガスの製造者は、第三種特定設備の使用者として、設計時の諸条件(設置条件等)に従うと共に、設備の寿命を適切に 管理することをコンビ則で義務付ける。 利点 問題点 ・具体的な管理方法を示す必要がない。 (管理基準を一律に提示することは困難だが、機能的な表現で使用者に管理を促すことができる) ・設計仕様書の内容を正として対応することになる。 ・第三者の確認はなく、使用者の自主管理に委ねられるが、それで十分か。 関係 (コンビ則) 第5条第2項、第5条の2第3項、第6条第2項、第7条第3項、第7条の2第2項、第7条の3第3項 条項 その他 ・設計検査成績表や特定設備検査合格証の記載内容及び様式は特定則で規定する。 ( 移 設 等 、 は こ移 れ転 ら の転 併用 用 再 使 用 又 選択肢 ・当初の設計仕様書の範囲内で移設等を認める。 対応策 ・設備の製造の申請時に、当初の設計仕様書を添付することをコンビ則で義務付ける。 ・書類のみの対応でよい。 利点 ・当該第三種特定設備は製造時における設計条件の範囲内で使用されるため、特定則に基づいて製造時に評価された安全性がその まま担保される(移設等に伴う設備の安全性を、特定検査レベルで再評価する必要がない)。 、 問題点 ) ・移設等の内容の取扱いについては、県の判断による。 ・設置場所や利用者が代わる移設等は原則不可能となる。 関係 (コンビ則) 第3条 条項 - その他 選択肢 ・当初の設計仕様書の範囲内で変更を認める。 対応策 ・設備等変更の申請時に、変更明細書に設備の変更箇所と、当初の設計仕様書の添付をコンビ則で義務付ける。 設 備 の 変 更 利点 ・第三種特定設備の変更に係るリスクを低減できる。修理等の変更を認めることができる。 問題点 ・変更明細書の記載内容について、県との調整が必要。 ・設備の変更の取扱いは、第一種及び第二種特定設備の変更と同様に、県の判断による。 関係 (コンビ則) 第13条 条項 ・特定則は供用中の変更等について担保していないことが大きな問題であり、設備の変更が許可等に該当する場合は、県の完成検査 その他 等で対応することになる。 (注) ・都道府県の総称として、「県」を用いる。 ・設計仕様書の内容は特定則で規定するが、その遵守を前提とする。 35 36 【添付資料6】 液化石油ガス保安規則への第三種特定設備の取り込み方法 項目 ( 三使 種用 特者 定 設高 る 備圧 主 をガ 体 使ス 用設 ・ 備 管中 理の す第 提言の方向性 選択肢 ・第一種及び第二種製造者 対応策 ・特定則又は液石則で第三種特定設備を定義する際に、設備の使用者も制限する。 ・使用者が高圧ガス設備の製造を県に許可申請する際、又は県に届出をする際に、設計仕様書の添付を液石則で義務付ける。 利点 ・一定の使用者制限を課すため、使用者の管理レベルに依存するリスクを低減できる。 ) 問題点 ・設備の使用者が制限される(その他製造者、第一種、第二種貯蔵所、特定高圧ガス消費者等が除外される)。 関係 (液石則) 第2条、第3条、第4条 条項 その他 ・第三種特定設備を製造する者は、設備の検査申請時に設備の使用者が作成した設計仕様書を添付することを特定則に追加する。 ・設計仕様書の内容及び位置付けは特定則で規定する。 選択肢 ・制限しない。 - 対応策 製 造 設 備 の 種 類 利点 ・現状からの変更なし。 問題点 ・液化石油ガススタンドや、移動式製造設備等にも第三種特定設備が使用可能となるため、高圧ガス製造者の 自己管理能力が問われる。 関係 条項 - ・現在の液石則(例示を含む)で第二種特定設備を除外している条項(耐圧試験(第6条第1項第17号)、 その他 肉厚算定(第6条第1項第19号))では、第三種特定設備も同様に除外する。 ・特定則及液石則第6条第1項を引用している条項は、そのままとする。 選択肢 ・ソフト的な管理 寿 命 管 理 等 の 方 法 (特定則) 寿命管理に関する内容(使用期間等)を設計仕様書に記載する。 対応策 (液石則) 高圧ガスの製造者は、第三種特定設備の使用者として、設計時の諸条件(設置条件等)に従うと共に、設備の寿命を適切に 管理することを液石則で義務づける。 利点 問題点 ・具体的な管理方法を示す必要がない。 (管理基準を一律に提示することは困難だが、機能的な表現で使用者に管理を促すことができる) ・設計仕様書の内容を正として対応することになる。 ・第三者の確認はなく、使用者の自主管理に委ねられるが、それで十分か。 関係 (液石則) 第6条第2項、第7条第2項、第8条第2項、第9条第2項及び第4項 条項 その他 ・設計検査成績表や特定設備検査合格証の記載内容及び様式は特定則で規定する。 ( 移 設 等 、 は こ移 れ転 ら の転 併用 用 再 使 用 又 選択肢 ・当初の設計仕様書の範囲内で移設等を認める。 対応策 ・設備の製造の申請、届出時に、当初の設計仕様書を添付することを液石則で義務付ける。 ・書類のみの対応でよい。 利点 ・当該第三種特定設備は製造時における設計条件の範囲内で使用されるため、特定則に基づいて製造時に評価された安全性がその まま担保される(移設等に伴う設備の安全性を、特定検査レベルで再評価する必要がない)。 、 問題点 ) ・移設等の内容の取扱いについては、県の判断による。 ・設置場所や利用者が代わる移設等は原則不可能となる。 関係 (液石則) 第3条、第4条 条項 - その他 選択肢 ・当初の設計仕様書の範囲内で変更を認める。 対応策 ・設備等変更の申請、届出時に、変更明細書に設備の変更箇所と、当初の設計仕様書の添付を液石則で義務付ける。 設 備 の 変 更 利点 ・第三種特定設備の変更に係るリスクを低減できる。修理等の変更を認めることができる。 問題点 ・変更明細書の記載内容について、県との調整が必要。 ・設備の変更の取扱いは、第一種及び第二種特定設備の変更と同様に、県の判断による。 関係 (液石則) 第15条、第17条 条項 ・特定則は供用中の変更等について担保していないことが大きな問題であり、設備の変更が許可等に該当する場合は、県の完成検査 その他 等で対応することになる。 (注) ・都道府県の総称として、「県」を用いる。 ・設計仕様書の内容は特定則で規定するが、その遵守を前提とする。 37 38 【参考資料1】 米国の運用制度 米国における圧力容器の設計及び製造に関する安全係数 2.4 の ASME Sec.Ⅷ Div.2 を適用する場合に、使用者、製造者、検査機関、その他関連する者に対し運用されて いる制度の内容を示す。 (1)使用者の責務 1)設計仕様書の作成及び登録専門技術者による設計仕様書評価 a)設計仕様書の作成 使用者は、設計仕様書の作成を行う。 設計仕様書には、ASME Sec.Ⅷ Div.2 に従って設計及び製作する圧力容器の設計根 拠となる詳細な情報を含んでいなければならない。 【設計仕様書に含むべき項目の例】 ①設置場所 ②圧力容器の識別 ③圧力容器の形状及び寸法 ④設計条件 ⑤運転条件 ⑥設計疲労寿命 ⑦材料 ⑧荷重及び荷重の組合せ ⑨過大圧力防止 ⑩追加要求事項 b)RPE の設計仕様書評価 ASME Sec.Ⅷ Div.2 を適用する場合は、州政府に登録している登録専門技術者 (RPE:Registered Professional Engineer)が関与し、使用者の設計仕様書及び設 計の評価を行い、サインする。 (2)製造者の責務 1)製造者の認証制度(工場認定制度) ASME 適合を証するためのスタンプは、ASME から認定(工場認定)を受けた圧力容器 の製造者が保有を許される。すなわち、実際に圧力容器の製造を行う前に、製造を行 うための品質管理能力を有することを事前に審査する制度が設けられている。 ①工場認定を受けるにあたり、製造者は、材料、設計、製作、検査、試験 (製造者 による検査、AIA による検査)、圧力試験、認証を含む規格に規定される全ての要 39 求を満たすことを規定する品質管理システムを有し、実証しなければならない。 また、この品質管理システムは、マニュアルとして文書化する必要がある。 ②上記の実証に関し、ASME と AIA による工場審査が行われる。また、定期的な認定 の更新が必要である。 2)設計書の作成及び登録専門技術者による設計書評価 a)設計書の作成 製造者は、使用者から提出を受けた設計仕様書の内容を反映し、適切な設計を行った ことを示す、設計書(MDR:Manufacturer’s Design Report)の作成を行う。 b)RPE の設計書評価 ASME Sec.Ⅷ Div.2 を適用する場合は、州政府に登録している登録専門技術者が関与 し、製造者の設計書及び設計の評価を行い、サインする。 なお、この登録専門技術者は、使用者が作成する設計仕様書の評価を行った者とは別 の者でなければならない。 3)公認検査官の製造工程における立会検査の受検 製造者は、圧力容器の製造工程において公認検査管(AI:Authorized Inspector)の 立会検査及び書類確認検査を受けなければならない。 また、実際の圧力容器の製造工程において、工場認定の際に審査した品質管理システ ムが遵守されているかについて確認される。 4)データレポートの作成 製造者は、ASME Sec.Ⅷ Div.2 の要求事項に従っていることを示す書類として、デー タレポート(MDR:Manufacturer’s Data Report)の作成を行う。 5)製造記録の作成 製造者は、設計書に従って製造されていることを示す、製作工程における製造記録 (MCR:Manufacturer’s Construction Report)の作成を行う。 製造記録には、非破壊検査記録、補修記録などが含まれる。 6)適合証明宣言及びスタンプ打刻 製造工程における公認検査官の立会検査を受け、問題がないことを公認検査官が認め た後、最終的に、製造者が ASME 規格への適合証明を宣言し、スタンプを打刻する。 (3)公認検査官に関して 1)公認検査官の義務 ①公認検査官は、ASME Sec.Ⅷ Div.2 に規定されている各検査を行う責任を有している。 ②公認検査官は、設計解析が正しく行われていることを確認する義務はないが、必要 な解析が実施されていることを確認しなければならない。 40 ③公認検査官は、設計仕様書にて要求されている事項が、設計書に反映されているこ とを確認しなければならない。 ④公認検査官は、設計仕様書及び設計書の双方が、それぞれ必要な手続きを経て承認 されていることを確認しなければならない。 2)公認検査官の認証 ①AI は、ASME 規格を採用している州政府の担当部門又は保険会社の検査サービス部門 で ASME の認定を受けた認定検査機関(AIA:Authorized Inspection Agency)に所属 していなければならない。 ②AIA に所属する AI は、全米圧力容器検査員協議会(NBBI:The National Board of Boiler and pressure vessel Inspectors)が資格認定する検査員の資格を有していなければ ならない。 (4)登録専門技術者(RPE)について 1)RPE の役割 ASME Sec.Ⅷ Div.2 を適用する場合は、使用者及び製造者が作成する以下の書類に関 し、登録専門技術者(RPE:Registered Professional Engineer)が関与し、評価を行 い、サインする。 この登録専門技術者の関与は、ASME Sec.Ⅷ Div.1 の場合は課されておらず、ASME Sec. Ⅷ Div.2 の場合に追加された内容である。 1)設計仕様書 :使用者作成 2)設計書 :製造者作成 3)データレポート:製造者作成 2)PE の認証制度 設計仕様書、設計書及びデータレポートの評価を行うことができる専門技術者は、 以下のいずれかの条件に合致していなければならない。 ①アメリカ合衆国の州政府又はカナダの州政府に登録されており、圧力容器の設計の 経験を有する登録専門技術者 ②圧力容器の設計の経験を有し、設計業務を行うため及び使用者から追加で要求され た事項に対処するために必要な資格を有する技術者。当該技術者は、所属及び登録 を受けた登録機関を明らかにする必要がある。 ③圧力容器の設計の経験を有し、設計業務を行うため及び使用者から追加で要求され た事項に対処するために必要な資格を有する技術者。当該技術者は、Engineers Mobility Forum(技術者の専門性の相互認証に関する国際協定の一つ)による専門 技術者の国際登録に則って登録されている必要がある。 41 42 【参考資料2】 品質管理要求の具体的イメージ 1)組織 品質に影響する業務並びにこれらを行っている各組織と、品質管理組織との関係を 示す文書が定められていること。また、現実の組織を反映した組織図が定められてい ること。 2)権限及び責任 品質に影響する業務並びにこれらを行っている各組織の権限、責任及び相互関係が 明確に定められていること。 3)文書管理 第三種特定設備の製造に係る社内規格、作業指示書、仕様書その他の品質に関する 文書の承認、発行、変更等に係る管理方法が定められ、かつ、それぞれの社内規格等 が第三種特定設備の技術基準に適合するとともに、それらに基づいて管理が適切に行 われていること。また、社内規格、作業指示書、仕様書その他の品質に関する文書の 内容は、特定設備検査規則(以下「特定則」という。)及び詳細基準に適合している こと。 4)設計管理 特定設備の設計に必要な手順が、社内規格に定められ、それに基づいて特定則に従 った製品の設計及びその検証が適切に行われていること。また、当該社内規格には、 以下の事項が定められており、かつ、特定則第10条(設計)の規定及び詳細基準第 ○○条の規定に適合していること。 ①第三種特定設備の設計にあっては、使用者に設計仕様書を要求すること。 ②当該設計仕様書に基づき確実に設計書の作成を行い、かつ、それらは使用者が確 認、受領すること。 ③設計の最終段階において、当該設計書が、設計仕様書に記載された要求事項を満 たしていることを確実にするため、社内規格で認定された者による設計検証を行 い、当該設計検証の手段を記録すること。 5)材料管理 特定設備の材料の管理に関し、以下の項目に示す管理に必要な事項を含め、特定則 に基づき確実に実施できるような管理方法が社内規格に定められていること。また、 当該社内規格に基づき材料管理が適切に行われていること。 ①材料、部品等の購買 43 材料、部品等の購買に関し必要な手順、受入検査を含む購買の方法、判定基準、記 録様式等が社内規格に定められ、かつ、その要求事項が詳細基準第○○条の規定に適 合していること。また、当該社内規格に基づき購買が適切に行われていること。 ②材料、部品等の識別及び追跡性 材料、部品等の識別の方法及び検査状態の識別の方法が社内規格に定められている こと。その識別の方法は、製品から、材料(溶接材料を含む。)などの追跡性が保て るものであること。また、当該社内規格に基づき材料、部品等の識別が適切に行われ ていること。 ③材料の検査 材料の検査に関する検査項目、手順、方法、判定基準、記録様式等が社内規格に定 められていること。当該社内規格に基づき材料の検査が適切に行われ、検査記録が作 成されていること。また、当該社内規格の内容は、特定則第36条(材料)の規定及 び詳細基準第○○条の規定に適合していること。 6)加工の管理 特定設備の加工に必要な手順が、社内規格に定められ、それに基づいて特定則に従 った製品の加工が適切に行われていること。 当該社内規格には、加工の検査に関する検査項目、手順、方法、判定基準、記録様 式等が定められ、それに基づいて加工の検査が適切に行われ、検査記録が作成されて いること。また、当該社内規格の内容は、特定則第37条(加工)の規定及び詳細基 準第○○条の規定に適合していること。 7)溶接の管理 特定設備の溶接の管理に関し、以下の項目に示す管理に必要な事項を含め、特定則 に基づき確実に実施できるような管理方法が社内規格に定められていること。また、 当該社内規格に基づき溶接の管理が適切に行われていること。 ①溶接施工記録 溶接継手毎に、適切な溶接施工管理を行うために、社団法人日本溶接協会 溶接 管理技術者資格2級又はそれと同等以上の資格を有する溶接管理者を従事させるこ とが社内規格で定められ、以下の事項を含む、溶接施行記録を作成することが社内 規格に定められていること。 また、当該社内規格に基づき、溶接施行記録が適切に作成されていること。 a)溶接方法 b)溶接姿勢 c)溶接材料 44 d)シールドガス e)予熱温度、後熱温度 f)電流 g)電圧 h)溶接速度 i)入熱量 j)パス間温度 k)溶接士の資格 l)溶接士の名称又は追跡可能な識別マーク ②溶接士の認定 溶接に従事する溶接士は、材料、溶接の方法等に応じて、以下に掲げる規格に基 づく資格又はこれらと同等と認められる資格を有していること及び溶接施行方法の 確認試験記録に基づく溶接従事者リストを維持することが社内規格に定められてい ること。また、当該社内規格に基づき、適切に溶接が行われていること。 a) JIS Z 3801(1997) 手溶接技術検定における試験方法及び判定基準 b) JIS Z 3805(1997) チタン溶接技術検定における試験方法及び判定基準 c) JIS Z 3811(2000) アルミニウム溶接技術検定における試験方法及び判定基準 d) JIS Z 3821(2001) ステンレス溶接技術検定における試験方法及び判定基準 e) JIS Z 3841(1997) 半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準 備考:「これらと同等と認められる資格」とは、次に掲げるものをいう。 1) 電気事業法に基づく溶接士 2) ガス事業法に基づく溶接士 3) 労働安全衛生法に基づく溶接士 ③非破壊試験の実施者の認定 非破壊試験の従事者は、以下に示す第三者機関により技量を認定された資格を有 していることが社内規格に定められていること。また、当該社内規格に基づき、適 切に非破壊試験が行われていること。 a) 社団法人日本非破壊検査協会 b) ASNT(American Society for Nondestructive Testing, Inc) 米国非破壊検査協会 ④溶接の検査 a) 機械試験 機械試験に関する検査項目、手順、方法、判定基準、記録様式等が社内規格に定 45 められ、それに基づいて機械試験が適切に行われ、試験記録が作成されていること。 また、当該社内規格は特定則第24条(溶接部の強度)、第40条(機械試験基準) の規定及び詳細基準第○○条の規定に適合していること。 b)形状、寸法の検査 溶接部の形状、寸法の検査に関する検査項目、手順、方法、判定基準、記録様式 等が社内規格に定められていること。当該社内規格に基づき、溶接部の形状・寸法 の検査が適切に行われ、検査記録が作成されていること。また、当該社内規格は特 定則第26条(溶接の種類)、第27条(溶接部の形状等) 、第28条(完全溶け込 み溶接)、第39条(継手の仕上げ)の規定及び詳細基準第○○条の規定に適合して いること。 c)熱処理 溶接部の熱処理に関する検査項目、手順、方法、判定基準、記録様式等が社内規 格に定められていること。当該社内規格に基づき、溶接部の熱処理が適切に行われ、 検査記録が作成されていること。また、当該社内規格は特定則第29条(応力除去) 及び詳細基準第○○条の規定の規定に適合していること。 d) 非破壊試験 溶接部の表面又は内面の検査に関する検査項目、手順、方法、判定基準、記録様 式等が社内規格に定められていること。当該社内規格に基づき溶接部の表面又は内 面の検査が適切に行われ、検査記録が作成されていること。また、当該社内規格は 特定則第41条(非破壊検査基準)の規定及び詳細基準第○○条の規定に適合して いること。 8)構造の管理 特定設備の構造(形状、方位、寸法等)の管理に必要な手順が、社内規格に定めら れ、それに基づいて特定則に従った製品の構造の管理が適切に行われていること。 当該社内規格には、構造の検査に関する検査項目、手順、方法、判定基準、記録様 式等が定められ、かつ、当該社内規格に基づき構造の検査が適切に行われ、検査記録 が作成されていること。また、当該社内規格の内容は、特定則第32条(構造)、第3 3条(容器に設けなければならない穴)、第43条(構造)の規定及び詳細基準第○○ 条の規定に適合していること。 9)外注管理 特定設備に係る製造工程、試験、製造設備及び検査設備の設備管理等の一部を外部 の者に行わせている場合において、当該工程が特定則及び詳細基準第に基づき確実に 実施できるような管理方法が社内規格に定められていること。当該社内規格に基づき 外注管理が適切に行われていること。 46 10)製作工程の管理 特定設備の製作工程及び当該工程毎の管理方法が社内規格に定められていること。 また、当該社内規格は特定則及び詳細基準に適合していること。 当該社内規に基づき特定設備の製作が適切に行われていること。 11)不適合の管理 不適合品の使用、出荷工程の進行等が行われないための管理及び不適合が発生した 場合における是正及び予防に関する事項が社内規格に定められていること。また、再 加工、補修等を行った不適合品に対する管理手順が社内規格に定められていること。 当該社内規格に基づき不適合の管理が適切に行われていること。 12)製造設備及び検査設備の点検、保守などの管理 製造設備及び検査設備は、特定設備の種類に応じて必要なものを保有し、それらの 設備について適切な管理方法が社内規格に定められていること。当該社内規格に基づ き製造設備及び検査設備の点検、保守などの管理が適切に行われていること。 ①製造設備 製造設備は、特定則に規定された品質を確保するのに必要な性能を持ったものであ り、また、特定則に規定された品質を確保するのに必要な精度及び精度を保持するた めの点検、保守、校正などの基準を定めていること。 ②検査設備 検査設備は、特定則に規定された試験、検査をできる設備であり、また、特定則に 規定された品質を確保するのに必要な精度及び精度を保持するための点検、保守、校 正などの基準を定めていること。 13)品質記録の管理 品質に影響する業務において使用する品質記録の種類やその管理その他必要な事 項が社内規格に定められていること。また、品質記録の内容は、特定則及び詳細基準 の要求事項を全て確認できるものであること。当該社内規格に基づき品質記録の管理 が適切に行われていること。 47