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鹿島共同再資源化センターにおける 有機ヒ素汚染土壌等の焼却処理

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鹿島共同再資源化センターにおける 有機ヒ素汚染土壌等の焼却処理
鹿島共同再資源化センターにおける
有機ヒ素汚染土壌等の焼却処理に関する
確認試験報告書
平成18年7月
目
次
1.試験目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2. 試験概要
2.1 試験方法および試験条件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2.2 測定および分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(1) 汚染土壌等試料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(2) 予備調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(3) 確認試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(4) 追跡調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
3.試験結果
3.1 予備調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
3.2 確認試験
(1) 汚染土壌等試料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(2) 産廃およびRDFの性状等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(3) 運転状況等モニタリング結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(4) 各測定検体のサンプリング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
(5) 灰および排ガス中の有機ヒ素測定結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
(6) 灰の総ヒ素測定結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
(7) 主灰および飛灰(薬剤処理後)の重金属他測定結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
(8) 排ガス中の総ヒ素測定結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
(9) ダイオキシン類測定結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
(10) 排水測定結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
(11) 作業環境の濃度測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
3.3 追跡調査
(1) 主灰および飛灰の有機ヒ素測定結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
(2) 主灰および飛灰の総ヒ素測定結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
3.4 確認試験結果のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
1.試験目的
茨城県神栖市における掘削調査により発生した有機ヒ素による汚染土壌、コンクリート様の塊等に
ついて、鹿島共同再資源化センターにおける焼却処理を検討するにあたり、有機ヒ素化合物の分解(無
機化)、混焼による燃焼への影響および処理時の安全性を確認することを目的として、平成 17 年 7 月
及び 10 月に同形式の実証設備による実証実験を実施した。その結果について、平成 18 年 2 月 8 日に
開催された「国内における毒ガス弾等に関する総合調査検討会」において、以下のとおり技術的評価
が得られたところである。
『鹿島共同再資源化センターにおける汚染土壌等の焼却処理は技術的に可能と判断できる。
ただし、汚染土壌等の混焼率は、概ね3∼4%を上限として、現状の操業条件が阻害され
ないように適切に条件を設定する必要がある。このため、実処理に際しては、現状の操業
における変動に対して混焼率を柔軟に変化させて対応することが望ましい。』
この評価結果を踏まえ、実処理に先立ち、鹿島共同再資源化センター(以下「センター」という。)
の設備において汚染土壌等の処理に係る確認運転を行い、以下の項目について確認・評価を行うこと
を目的とする。
・汚染土壌等の混焼率と燃焼状態の関係
・排ガス中のヒ素の性状
・主灰、飛灰におけるヒ素の性状
等
1
2.試験概要
2.1 試験方法および試験条件
実証実験の結果を踏まえ、安全で安定な実操業を前提にして設定された廃棄物と汚染土壌等との
焼却割合(混焼率)に基づいて焼却処理を行った。試験条件を表 2-1 に示す。
表 2-1 確認試験条件
T−As
Run
No.
汚染土壌等
(%)
廃棄物処理量
(ton/日)
汚染土壌処理量
(ton/日・炉)
KP1
なし
−
0
≦100
0
KP2
土壌
300 程度
2∼2.5
≦100
≦2.5
KP3
コンクリート様の塊
(破砕物)
800 程度
2∼2.5
≦100
≦2.5
KP4
土壌
300 程度
3∼4
≦100
≦4.0
含有量
(mg/kg)
混焼率
運転時間
3 月 13 日 7:00
∼ (24hr)
3 月 14 日 7:00
3 月 14 日 7:00
∼ (24hr)
3 月 15 日 7:00
3 月 15 日 7:00
∼ (24hr)
3 月 16 日 7:00
3 月 16 日 7:00
∼ (24hr)
3 月 17 日 7:00
確認試験に用いる炉は、操業状況を考慮して2号炉で実施し、試験方法および調査項目は以下
のとおり実施した。
(1) KP01∼07
: 予備調査(確認試験前における主灰、飛灰等の調査)
3 月 6 日∼3 月 12 日
(2) KP1
: 確認試験(通常操業)
3 月 13 日 07:00 ∼3 月 14 日 07:00
(3) KP2∼4
: 確認試験(汚染土壌等の混合焼却試験)
3 月 14 日 07:00 ∼3 月 17 日 07:00
(4) KP5∼11
: 追跡調査(試験終了後の通常運転復帰における主灰、飛灰の調査)
3 月 17 日∼3 月 23 日
なお、キルン内温度条件については、運転条件確認実験の結果を踏まえて、主燃焼領域にお
けるキルン内温度(図 2-1 キルン2段目温度(中間温度))を指標として、約 900℃程度を確保
することを目標とした。
2
写真 2-1 鹿島共同再資源化センター 全景
二次燃焼炉
廃熱ボイラ
投入ホッパ
900∼1,150℃
二次燃焼炉上部温度
キルン
ストーカ
供給装置
850∼1,100 ℃
キルン2段目温度
主灰
750∼900 ℃
※数値は通常の操業温度
キルン1段目温度
図 2-1 キルン温度測定位置
3
2.2 測定および分析
各 Run における測定およびサンプリング箇所については、図 2-2 設備フロー図を参照。
(1) 汚染土壌等試料
汚染土壌およびコンクリート様の塊(破砕物)は、試験用対象フレコンバック(1m3)から鋼製ベ
ッセル(4mL×1.5mW×1mD)に広げて極力均一に混合した後、各 Run ごとに分析試料を1検
体作成した(ベッセル内で格子状の区画をした後、50 点採取し、四分法により縮分し、1検体と
する)。測定項目を表 2-2 に示す。
確認試験に用いる試料は、プラスチック製の密閉容器に詰め、計量、連続番号とともに記録を
行った。
表 2-2 汚染土壌等測定項目
Run
KP2
↓
KP4
名称
汚染土壌
および
コンクリート様の塊
分析項目
T-As(含有)、有機 As(含有)
採取方法
測定分析方法
Run ごとの分析試
料を 1 検体(50 点
採取し四分法に
よる縮分)採取
含有量:底質調査法(S63 環水管 127 号)に準拠
有機 As:LC-MS/MS 法
T-As:酸分解-水素化物発生
ICP 発光分光分析法
注) 有機ヒ素の測定は、DPAA(ジフェニルアルシン酸)
、PAA(モノフェニルアルソン酸)を対象とする。
(2) 予備調査
確認試験前における通常操業時の主灰および飛灰(薬剤処理前および処理後)の分析を行った。
なお、飛灰の無害化処理に用いるキレート添加量は、通常運転で使用している発生した飛灰に対し
て 3.3%添加した試料(薬剤処理後)を採取し分析した。測定項目を表 2-3 に示す。
表 2-3 予備調査測定項目
Run
KP01
↓
KP07
名称
分析項目
主灰
T-As(含有、溶出)
飛灰
(薬剤処理前)
T-As(含有、溶出)
飛灰
(薬剤処理後)
T-As(溶出)
採取方法
測定分析方法
各 Run 定常運転時の
指定時間毎に 1 検体、
それぞれ約 500 ml 容
器に採取
各 Run 定常運転時の 含有量:底質調査法(S63 環水管 127 号)に準拠
T-As:酸分解-水素化物発生
指定時間毎に 1 検体、
ICP 発光分光分析法
それぞれ約 500 ml 容
溶出量:S48 環告 13 号
器に採取
各 Run 定常運転時の
指定時間毎に 1 検体、
それぞれ約 500 ml 容
器に採取
4
5
5
図 2-2 設備フロー図
(3) 確認試験
1)
産業廃棄物およびRDF
確認試験に使用する産業廃棄物を各 Run で1回、RDFは Run(KP1)で1回、厚生省水道環境
部環境整備課長通知(環整第 95 号、昭和 52 年 11 月 4 日)および「ごみ焼却施設各種試験マニ
ュアル」
(厚生省水道環境部環境整備課編集、1983)等を参考にして、均一な試料を採取し分析
した。測定項目は三成分、元素組成、総ヒ素(含有)とした。(表 2-4 参照)
2)
主灰および飛灰
各 Run での灰は、試験条件設定後の運転が安定し、経験的に灰が入れ替わる時間(約 6 時間)
を考慮して試料を採取した。
主灰は灰押出機部にて、Run ごとに 3 検体採取し、熱しゃく減量、総ヒ素(含有、溶出)、有
機ヒ素(含有)、重金属(溶出)の分析を行った。
薬剤処理前飛灰は飛灰切出し機部にて、Run ごとに 3 検体採取し、総ヒ素(含有、溶出)、有
機ヒ素(含有)を分析した。
飛灰の無害化処理に用いるキレートの添加量は、確認試験中は、10%添加として薬剤処理後
飛灰を混練機出口にて、Run ごとに 3 検体採取し、総ヒ素(溶出)、重金属(溶出)の分析を行
った。
また、実運転でのキレートの使用量を適正化すべく、Run(KP4)ではキレートを発生飛灰に
対し、3.3%、5%、7%添加した試料を各 1 検体採取し、総ヒ素(溶出)および重金属(溶出)
を分析した。
(主灰および飛灰の分析項目詳細は表 2-4 参照)
3)
排ガス
各 Run の燃焼排ガスは、運転が安定した状態で、バグフィルター(BF)前、後および煙突入
口にて、粒子状およびガス状の総ヒ素および有機ヒ素を各 Run で2回、ダイオキシン類の測定
を各 Run で1回測定を行った。
6
表 2-4 確認試験測定項目
Run
名称
RDF
産業廃棄物
三成分(水分、灰分、可燃分)
元素組成(C、H、O、N、S、Cl
S については燃焼性/不燃性
Cl については揮発性/不揮発性)
T-As(含有)
低位発熱量
主灰
T-As(含有、溶出)、有機 As(含有)、
重金属(溶出)、熱灼減量
飛灰
(薬剤処理前)
KP1
↓
KP4
分析項目
T-As(溶出)、 重金属(溶出)
灰汚水
有機 As(含有)
排ガス
(BF 前)
T-As、有機 As、
排ガス
(BF 後)
排ガス
(煙突入口)
測定分析方法
S52 環整 95 号およ
び「ごみ焼却施設
各種試験マニュア
ル」を参考とした
均一試料の調製。
三成分:S52 環整第 95 号
元素組成:
C、H、O、N:JIS M 8813(2004)
燃焼性 S:燃焼管-イオンクロマトグラフ法
不燃性 S:燃焼管-水抽出イオンクロマトグラフ法
揮発性 Cl:燃焼管-イオンクロマトグラフ法
不揮発性 Cl:燃焼管-水抽出イオンクロマトグラフ法
含有量:底質調査法(S63 環水管 127 号)に準拠
T-As:酸分解-水素化物発生
ICP 発光分光分析法
低位発熱量:JIS M 8814(2003)
各 Run 所定の方法
にてそれぞれ 500
ml 容器に採取
各 Run 所定の方法
にてそれぞれ 500
ml 容器に採取
各 Run 所定の方法
にてそれぞれ 500
ml 容器に採取
各 Run 所定の方法
にてそれぞれ 500
ml 容器に採取
T-As(含有、溶出)、有機 As(含有)
飛灰
(薬剤処理後)
採取方法
含有量:底質調査法(S63 環水管 127 号)に準拠
有機 As:LC-MS/MS 法
T-As:酸分解-水素化物発生
ICP 発光分光分析法
溶出量:S48 環告 13 号に準拠
熱灼減量:H2 衛環第 22 号
4 時間採取
T-As:酸分解-水素化物発生
ICP 発光分光分析法
O2、CO、NOx、SOx、
T-As、有機 As、
有機 As:LC-MS/MS 法
HCl については、
ダイオキシン類:JIS K0311「排ガス中のダイオキシン類
T-As、有機 As、O2、CO、NOx、SOx、HCl、 既設分析計による
及びコプラナ―PCB の測定方法」(1999)
連続測定
ダイオキシン類
水素イオン濃度、 生物化学的酸素要求量、 化学的
水素イオン濃度、 生物化学的酸素要求量、 化
酸素要求量、フェノール類含有量、 銅含有量、 亜鉛含有
学的酸素要求量、 浮遊物質量、 大腸菌群数、
量、 溶解性鉄含有量、 溶解性マンガン含有量、 クロム
一次排水
ノルマルヘキサン抽出物質含有量、 フェノール類含有量、
含有量、窒素含有量、 燐含有量、 カドミウム及びその
(雨水排水)
銅含有量、 亜鉛含有量、 溶解性鉄含有量、 溶
化合物、 シアン化合物、 鉛及びその化合物、 六価クロ
解性マンガン含有量、 クロム含有量、 窒素含有量、
ム化合物、 ヒ素及びその化合物、 トリクロロエチレン、 テトラ
燐含有量、 カドミウム及びその化合物、 シアン化合
クロロエチレン、 ジクロロメタン、 四塩化炭素、 1.2-ジクロロエタン、
物、 有機燐化合物、 鉛及びその化合物、 六
Run (KP4)で
各1回 500 ml ガラ
ス容器に採水
価クロム化合物、 ヒ素及びその化合物、 水銀及
びアルキル水銀その他の水銀化合物、 アルキル水銀化
合物、 ポリ塩化ビフェニル、 トリクロロエチレン、 テトラクロロ
1.1-ジクロロエチレン、 シス-1.2-ジクロロエチレン、1.1.1-トリクロロエ
タン、 1.1.2-トリクロロエタン、1.3-ジクロロプロペン、 ベンゼン、
フッ素及びその化合物、 セレン及びその化合物
:JIS K0102
エチレン、 ジクロロメタン、 四塩化炭素、 1.2-ジクロロエ
浮遊物質量、 水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合
(プラント排水
タン、 1.1-ジクロロエチレン、 シス-1.2-ジクロロエチレン、
物、 アルキル水銀化合物、チウラム、 シマジン、 チオベンカルブ、
の処理水)
1.1.1-トリクロロエタン、 1.1.2-トリクロロエタン、 1.3-ジク
ポリ塩化ビフェニル
二次排水
ロロプロペン、 チウラム、 シマジン、 チオベンカルブ、 ベ
:S46 環境庁告示第 59 号
ンゼン、 フッ素及びその化合物、 セレン及びそ
ノルマルヘキサン抽出物質含有量、 有機燐化合物
の化合物
:S48 環境庁告示第 59 号
大腸菌群数
戻り灰
:S37 厚建省令第 1 号
含有量:底質調査法(S63 環水管 127 号)に準拠
有機 As:LC-MS/MS 法
T-As:酸分解-水素化物発生
ICP 発光分光分析法
T-As(含有)、有機 As(含有)
注) 有機ヒ素の測定は、DPAA(ジフェニルアルシン酸)
、PAA(モノフェニルアルソン酸)を対象とする。
7
4)
灰汚水
灰掻出コンベヤ、灰移送コンベヤおよび灰押出機で循環される灰汚水を、Run ごとに1検体灰汚水
ピットにて採取し、静沈させた後上澄み液を灰汚水として分析に供した。
測定項目は有機ヒ素(含有)とした。(表 2-4 参照)
5) 排水
一次排水(雨水排水)および二次排水(プラント排水の処理水)を最終の Run(KP4)にて各
1 回採取し分析した。測定項目を表 2-4 に示す。
6)
運転データ
各部温度、空気量および排ガス性状等は、従前から管理に用いている運転指標を用い、焼却
量の実績は運転日報をベースとして、比重補正等を加えて修正したものを用いた。
各部温度
:
キルン温度2点、二次燃焼炉2点、調温塔出入口各1点、
触媒反応塔出口1点
燃焼空気量
:
フッド吹込み、中間吹込み、ストーカ下、二次空気
排ガス量
:
触媒反応塔入口
排ガス性状 : 煙突(入口)の O2、CO、HCl、NOX、SOxは、既設の分析計により連続測
定した。
7)
戻りごみ灰
燃焼フッド戻りごみ灰について確認試験終了後に 1 検体採取し、有機ヒ素(含有)および総ヒ
素(含有)を分析した。
8) 作業環境の濃度測定
確認試験中の作業場所における濃度測定を次のとおり実施した。
作業環境への影響について把握するため、試験中灰ピット、灰コンベア周りおよび清掃点検
時の炉入口部での粉じんおよび総ヒ素を各1回測定した。測定項目を表 2-5 に示す。
表 2-5 作業場所での環境大気測定項目
Run
KPK1
KPK2
名称
分析項目
2 号灰掻出しコンベヤヘッド部
T-As、粉じん
灰出し棟
T-As、粉じん
2 号キルン炉入口部
T-As、粉じん
8
測定分析方法
ハイボリュームサンプラー
JIS K0221 に準拠
(24 時間連続サンプリング)
(4) 追跡調査
確認試験 Run(KP4)終了後、通常の操業状態で主灰、飛灰について7日間連続して有機ヒ素(含
有)、総ヒ素(含有、溶出)の追跡調査を実施し、汚染土壌の混焼による影響について追跡調査
した。測定項目を表 2-6 に示す。
表 2-6 追跡調査-1 測定項目
Run
名称
主灰
KP5
飛灰
↓
(薬剤処理前)
KP11
飛灰
(薬剤処理後)
分析項目
T-As(含有、溶出)
有機 As(含有)※1
T-As(含有)
有機 As(含有)※1
T-As(溶出)
採取方法
各 Run 所定の方法
にてそれぞれ 500
ml 容器に採取
各 Ru)所定の方法
にてそれぞれ 500
ml 容器に採取
各 Run 所定の方法
にてそれぞれ 500
ml 容器に採取
測定分析方法
含有量:底質調査法(S63 環水管 127 号)に準拠
T-As:酸分解-水素化物発生
ICP 発光分光分析法
有機 As:LC-MS/MS 法
溶出量:S48 環告 13 号に準拠
注) 有機ヒ素の測定は、DPAA(ジフェニルアルシン酸)
、PAA(モノフェニルアルソン酸)のみを対象とした。
※1 有機 As(含有)は KP5 および KP6 のみ分析。
9
3.試験結果
3.1 予備調査
(1) 総ヒ素測定結果
確認試験前における通常運転時の各 Run での主灰および飛灰(薬剤処理前、処理後)の総ヒ素
の溶出量は全て不検出(<0.005mg/L)であった(表 3-1)。
表 3-1 総ヒ素測定結果
Run
No.
飛灰
飛灰
(薬剤処理前)
(3.3%薬剤処理後)
主灰
含有
溶出
含有
溶出
溶出
mg/kg
mg/L
mg/kg
mg/L
mg/L
KP01
7.5
<0.005
8.7
<0.005
<0.005
KP02
7.5
<0.005
7.6
<0.005
<0.005
KP03
6.5
<0.005
16
<0.005
<0.005
KP04
5.7
<0.005
6.7
<0.005
<0.005
KP05
7.6
<0.005
37
<0.005
<0.005
KP06
4.5
<0.005
39
<0.005
<0.005
KP07
6.1
<0.005
42
<0.005
<0.005
3.2 確認試験
試験条件(混焼率等)に基づく廃棄物および汚染土壌等試料の処理と運転は従前からの管理要領
に従って行った。
また、本確認試験の混焼に使用する汚染土壌およびコンクリート様の塊はあらかじめ粒径 30 mm
以下に粉砕し均一に混合されたものを用い、運搬時や焼却炉投入時等における飛散、漏洩を考慮し、
密閉性が良く、破損しにくいプラスチック製の容器に充填した(人手での作業性を考慮し、容器1
個の充填量は約 15kg とした。)。また、焼却炉への投入は、クレーン等による破損を避け且つ定量的
に処理するために、投入ホッパー上部より手作業で実施した。汚染土壌等(密閉容器)を扱う者お
よび主灰、飛灰のサンプリングを実施する者は、掘削現場の作業員と同等以上の保護具を着装して
作業を行った。
(1) 汚染土壌等試料
プラスチック製の容器に充填された汚染土壌等は、表 3-2 に示すように各 Run の容器番号と重
量(目標値)が管理され、運送用パレットに 12 個×2 段で積載されて計画どおりに搬入した。容
器の積載状態の写真を写真 3-1 に、密閉容器の運搬車両の写真を 3-2 に示す。
各 Run の汚染土壌等の性状を表 3-3 に示す。試料中の総ヒ素含有量は、土壌およびコンクリー
ト様の塊ともにほぼ計画どおりの濃度に調整できた。
10
表 3-2 搬入物管理
Run No.
KP2
KP3
KP4
容器個数
15kg×160 箱
15kg×160 箱
15kg×240 箱
試料
土壌
コンクリート様の塊
土壌
容器番号
1 ∼ 160
201 ∼ 360
401 ∼ 640
重量(kg)
2,400
2,400
3,600
写真 3-1 密閉容器
写真 3-2 運搬車両
表 3-3 汚染土壌等の性状
Run
No.
汚染物
含有量
有機 As
有機 As
(DPAA)
(PAA)
含有量
wt%
mg/kg
mg-As/kg
T-As
水分
KP2
土壌
20.3
240
93
70
KP3
コンクリート様の塊
18.9
900
560
190
KP4
土壌
18.6
310
71
92
(2) 産廃およびRDFの性状等
産廃(固形廃棄物)は 1 号クレーンのメンテナンス階の床面にビニールシートを敷き、廃棄物ピ
ット内の代表的な場所のごみ質をクレーンにて 200kg 以上採取した。採取した試料は、スコップ
等で混合しながら広げ、四分法による縮分によって 5∼10kg 採取して分析試料とした。
RDFは2号クレーンのメンテナンス階の床面にビニールシートを敷き、RDFピット内の代
表的な場所のRDFをクレーンにて 200kg 以上採取した。採取した試料は、スコップ等で混合し
ながら広げ、四分法による縮分によって 5∼10kg 採取して分析試料とした。
各 Run の廃棄物(産廃と RDF)の性状を表 3-4 に、RDFの写真を写真 3-3 に、産廃の写真を
写真 3-4 に示す。
11
表 3-4 廃棄物の性状
三成分
可燃
水分 灰分
分
Run
No.
C
H
O
wt%
元素組成
S
N
S
Cl
燃焼性 不燃性 揮発性
Cl
不揮性
wt%−dry
T-As
含有 低位発熱量
量
kJ/kg
mg/kg
(kcal/kg)
RDF
0.2
11.7
88.1 56.0
5.2
25.6
1.1
0.02 0.07 0.32 0.51 <0.5
産廃
14.1
5.0
80.9 51.5
5.0
36.2
0.7
0.01 0.03
KP2
産廃
28.9
7.2
63.9 48.9
4.8
35.2
0.8
0.03 0.05 0.11 <0.01
0.8
KP3
産廃
26.8
6.5
66.7 49.0
4.6
29.5
0.6
0.16 0.06 0.15 <0.01
1.3
KP4
産廃
29.0
4.2
66.8 44.8
4.6
43.6
0.9
0.04 0.03 0.23 <0.01
1.2
KP1
0.7
0.09 <0.5
20,100
(4,800)
15,400
(3,680)
15,600
(3,730)
13,600
(3,250)
18,300
(4,370)
写真 3-4 産業廃棄物試料状況
写真 3-3 RDF 試料状況
(3) 運転状況等モニタリング結果
Run KP1∼KP4 の運転状況として、キルン内温度を図 3-1 に、二次燃焼温度を図 3-2 に、排ガス
組成を図 3-3、図 3-4 に、各 Run の平均データを表 3-5 に示す。
主燃焼領域におけるキルン内温度については、汚染土壌等の処理を行っていない KP1 において
は、900∼1,050℃の範囲であり、通常操業時の範囲であった。汚染土壌等の混焼処理期間である
KP2∼KP4 では、850∼1,100℃と、通常操業時(850∼1,100℃)と比べ顕著な変化は見られなかっ
た。二次燃焼炉上部温度においても、KP1 はほぼ 1,000∼1,100℃、KP2∼KP4 においても 950∼
1,100℃と、通常操業(900∼1,150℃)と同程度であった。
また、燃焼空気および排ガス量、調温塔出・入口温度および触媒出口温度、排ガス濃度におい
ても、KP1 は通常操業の範囲内であり、KP2∼KP4 の汚染土壌処理期間においても通常操業時と顕
著な変化は見受けられなかった。
12
キルン1段目温度
キルン2段目温度
通常操業温度範囲(キルン1段目)
通常操業温度範囲(キルン2段目)
1200
1150
1100
1050
13
温度(℃)
1000
950
900
850
800
750
700
KP-1
3月13日7:00∼3月14日7:00
KP-2
3月14日7:00∼3月15日7:00
KP-3
3月15日7:00∼3月16日7:00
KP-4
3月16日7:00∼3月17日7:00
650
600
3/13 3/13 3/13 3/13 3/14 3/14 3/14 3/14 3/14 3/14 3/15 3/15 3/15 3/15 3/15 3/15 3/16 3/16 3/16 3/16 3/16 3/16 3/17 3/17 3/17
8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00
図 3-1 キルン内温度
二次燃上部温度
通常操業温度範囲(二次燃上部)
1200
1100
1000
900
14
温度(℃)
800
700
600
500
400
300
200
KP-1
3月13日7:00∼3月14日7:00
KP-2
3月14日7:00∼3月15日7:00
KP-3
3月15日7:00∼3月16日7:00
KP-4
3月16日7:00∼3月17日7:00
100
0
3/13 3/13 3/13 3/13 3/14 3/14 3/14 3/14 3/14 3/14 3/15 3/15 3/15 3/15 3/15 3/15 3/16 3/16 3/16 3/16 3/16 3/16 3/17 3/17 3/17
8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00
図 3-2 二次燃焼炉温度
20
触媒反応塔出口O2
180
18
160
16
140
15
NOx (ppm)
触媒反応塔出口NOx
KP-1
3月13日7:00∼3月14日7:00
KP-2
3月14日7:00∼3月15日7:00
KP-3
3月15日7:00∼3月16日7:00
KP-4
3月16日7:00∼3月17日7:00
14
120
12
100
10
80
8
60
6
40
4
20
2
0
0
3/13 3/13 3/13 3/13 3/14 3/14 3/14 3/14 3/14 3/14 3/15 3/15 3/15 3/15 3/15 3/15 3/16 3/16 3/16 3/16 3/16 3/16 3/17 3/17 3/17
8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00
※ 通常操業時の自主規制値は、NOx:50ppm
図 3-3 排ガス組成(NOx、O2)
O2(vol%)
200
100
触媒反応塔出口CO
触媒反応塔出口SOx
触媒反応塔出口HCl
90
80
16
CO、SOx、HCl (ppm)
70
KP-1
3月13日7:00∼3月14日7:00
KP-2
3月14日7:00∼3月15日7:00
KP-3
3月15日7:00∼3月16日7:00
KP-4
3月16日7:00∼3月17日7:00
60
50
40
30
20
10
0
3/13 3/13 3/13 3/13 3/14 3/14 3/14 3/14 3/14 3/14 3/15 3/15 3/15 3/15 3/15 3/15 3/16 3/16 3/16 3/16 3/16 3/16 3/17 3/17 3/17
8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00
※ 通常操業時の自主規制値は、CO:100ppm、SOx:50ppm、HCl:50ppm
図 3-4 排ガス組成(CO、SOx、HCl)
表 3-5 各 Run 運転平均データ
日付
3月13日
Run. No
KP1
KP2
3/14
3/13 7:00
∼
3/14 7:00
平均データ採取時間
7:00
3月15日
KP3
3/15
7:00
KP4
3/16
7:00
∼
∼
∼
3/15
3月16日
7:00
3/16
7:00
3/17
7:00
固形廃棄物
37,800
36,600
38,600
42,100
RDF
48,800
52,000
46,300
44,700
廃油
2,300
2,400
2,600
2,600
汚泥
6,100
6,000
6,300
6,300
汚染土壌
−
2,408
−
3,600
コンクリート様
の塊(破砕物)
−
−
2,416
−
95,000
99,408
96,216
99,300
0
2.4
2.5
3.6
キルン1段目
881
855
880
878
キルン2段目
959
985
967
950
1,037
1,035
1,013
1,011
241
239
240
239
調温塔出口
170
170
170
170
触媒反応塔出口
227
227
228
227
4,824
5,030
4,808
4,709
5,671
5,343
5,751
5,668
7,702
7,799
7,974
7,998
3,444
3,440
3,447
3,410
廃棄物
kg/日
焼
却
量
3月14日
汚染土壌等
kg/日
合計 (kg/日)
混焼率
各部温度
二次燃焼炉上部
調温塔入口
wt%
℃
燃焼空気量
バズーカ
中間空気
ストーカ下
m3/h
二次空気
排ガス組成
煙突入口SOx
ppm
15.2
11.9
13.5
17.1
煙突入口NOx
ppm
23.7
18.5
17.0
27.3
煙突入口HCl
ppm
14.3
17.8
13.3
17.8
煙突入口CO
ppm
14.2
18.2
3.0
3.7
37,482
36,374
37,005
36,756
排ガス量
3
m /h
17
(4) 各測定検体のサンプリング
各 Run でのサンプリングは、試験条件設定後に各部温度などの運転指標および主灰の排出状況
などが安定していることを確認して試料を採取した。
主灰、薬剤処理前および薬剤処理後飛灰は、Run ごとに時刻を設定して 3 検体(15:00、23:00、
5:00)採取した。
また、薬剤処理後の飛灰ついては実運転でのキレートの使用量を適正化すべく、Run(KP4)
でキレート添加量を 3.3、5、7%とした試料も各 1 検体採取した。
主灰サンプリング写真を写真 3-5 に、飛灰(薬剤処理前)サンプリング写真を写真 3-6 に、
飛灰(薬剤処理後)サンプリング写真を写真 3-7 に示す。
灰汚水は、Run ごとに1検体灰汚水ピットにて採取した。灰汚水採取写真を写真 3-8 に示す。
排ガス試料はバグフィルター(BF)前、後および煙突入口にて、Run ごとに連続 5 時間の採
取を2回(12:00∼17:00、0:00∼5:00)行い、ダイオキシン類の測定は各 Run で1回(0:00∼5:00)
煙突入口にて採取した。
写真 3-5 主灰サンプリング状況
写真 3-6 飛灰(薬剤処理前)サンプリング状況
写真 3-8 灰汚水採取状況
写真 3-7 飛灰(薬剤処理後)サンプリング状況
18
(5) 灰および排ガス中の有機ヒ素測定結果
全ての検体で有機ヒ素(DPAA、PAA を個別に測定)は不検出であり(表 3-6)、土壌等に含まれ
ていた有機ヒ素は確実に無機化されていることが確認された。
表 3-6 有機ヒ素測定結果
KP2
KP3
KP4
KPF
排ガス
戻り灰
mg-As/m3
mg-As/L
mg-As/kg
<0.001
<0.001
<0.002
−
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
<0.02
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
<0.02
<0.02
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
2
<0.02
<0.02
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
3
<0.02
<0.02
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
1
<0.02
<0.02
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
2
<0.02
<0.02
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
3
<0.02
<0.02
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
1
<0.02
<0.02
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
2
<0.02
<0.02
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
3
<0.02
<0.02
<0.001
<0.001
<0.001
<0.002
−
−
−
−
−
−
−
<0.02
(薬剤処理前)
BF 前
BF 後
煙突入口
mg-As/kg
mg-As/kg
mg-As/m3
mg-As/m3
1
<0.02
<0.02
<0.001
2
<0.02
<0.02
3
<0.02
1
No.
KP1
飛灰
灰汚水
主灰
Run
注:有機ヒ素は、DPAA、PAA を個別に測定し、ヒ素換算値を示す。
19
(6) 灰の総ヒ素測定結果
主灰、飛灰の総ヒ素含有量はいずれも、実証実験と同様に、コンクリート様の塊の処理時お
よび混焼率の増加時に増加する傾向が見られるが、総ヒ素の溶出量は主灰、飛灰いずれも全て
不検出(<0.005mg/L)であった(表 3-7)。
表 3-7 主灰、飛灰および戻り灰の総ヒ素測定結果
飛灰
Run
No.
KP1
KP2
KP3
KP4
KPF
戻り
飛灰(薬剤処理後)
主灰
(薬剤処理前)
10%
7%
5%
3.3%
ごみ灰
含有
溶出
含有
溶出
溶出
溶出
溶出
溶出
含有
mg/kg
mg/L
mg/kg
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/kg
1
5.4
<0.005
29
<0.005
<0.005
−
−
−
−
2
2.6
<0.005
26
<0.005
<0.005
−
−
−
−
3
4.5
<0.005
38
<0.005
<0.005
−
−
−
−
1
4.6
<0.005
40
<0.005
<0.005
−
−
−
−
2
10
<0.005
76
<0.005
<0.005
−
−
−
−
3
21
<0.005
120
<0.005
<0.005
−
−
−
−
1
47
<0.005
232
<0.005
<0.005
−
−
−
−
2
48
<0.005
230
<0.005
<0.005
−
−
−
−
3
40
<0.005
185
<0.005
<0.005
−
−
−
−
1
56
<0.005
160
<0.005
<0.005
<0.005
<0.005
<0.005
−
2
37
<0.005
120
<0.005
<0.005
−
−
−
−
3
31
<0.005
157
<0.005
<0.005
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
8.2
20
(7) 主灰および飛灰(薬剤処理後)の重金属他測定結果
主灰および飛灰(薬剤処理後)の重金属測定結果は、いずれも管理型処分場に係る埋立基準
値未満であった(表 3-8)。
表 3-8 主灰および飛灰(薬剤処理後)の重金属他測定結果
アルキル水
熱灼
Run
物
水銀
又は
その
化合物
カドミウム
又は
その
化合物
六価
鉛
銀化合
クロム
減量
No.
化合物
セレン及び
その
化合物
シアン
溶出
溶出
溶出
溶出
溶出
溶出
溶出
%
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
≦10※
≦0.3
≦1.5
≦0.005
≦0.3
≦1.0
≦0.3
1
8.5
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
2
8.9
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
3
4.0
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
1
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
2
−
0.04
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
3
−
0.02
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
1
8.1
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
2
7.9
0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
3
8.9
0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
1
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
2
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
3
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
1
7.7
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
2
8.2
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
3
7.4
0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
1
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
2
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
3
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
1
8.5
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
2
9.9
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
3
9.8
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
1
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
2
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
3
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
7%
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
5%
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
3.3%
−
<0.01
<0.02
<0.0005
<0.0005
<0.03
<0.1
<0.03
埋立基準値
主灰
KP1
検出されな
いこと
飛灰
10%
主灰
KP2
飛灰
10%
主灰
KP3
飛灰
10%
主灰
KP4
10%
飛灰
※ごみ焼却施設に係る維持管理基準
21
(8) 排ガス中の総ヒ素測定結果
BF 前の粒子状で 0.062∼0.68(mg/m3)、ガス状として 0.002∼0.008(mg/m3)が検出されたが、BF
後および煙突入口の総ヒ素濃度は、粒子状およびガス状とも不検出(<0.001mg/m3)であり(表
3-9)、バグフィルター(BF)で確実にヒ素が捕集されたことが確認された。
表 3-9 排ガスの総ヒ素測定結果
BF 前
Run
煙突入口
粒子状
ガス状
粒子状
ガス状
粒子状
ガス状
mg/m3
mg/m3
mg/m3
mg/m3
mg/m3
mg/m3
1
0.12
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
2
0.062
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
1
0.16
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
2
0.38
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
1
0.68
0.002
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
2
0.41
0.002
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
1
0.40
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
2
0.15
0.008
<0.001
<0.001
<0.001
<0.001
No.
KP1
BF 後
KP2
KP3
KP4
(9) ダイオキシン類測定結果
各 Run で1回採取した排ガス(煙突入口)のダイオキシン類の測定結果を表 3-10 に示す。参
考として、通常操業時のダイオキシン類の測定結果を表 3-11 に示す。ダイオキシン類の濃度は
通常の操業と比較して変化はなかった。
表 3-10 ダイオキシン類測定結果
表 3-11 ダイオキシン類測定結果
(確認試験実施時)
(通常操業時)
排ガス※
排ガス
Run
年
(煙突入口)
度
No.
ng-TEQ/m3
ng-TEQ/m3
KP1
0.0000035
KP2
0.0000026
KP3
0.000068
KP4
0.00012
(2号炉煙突入口)
平成 15 年度
0.0093
0.00075
0.029
平成 16 年度
0.0097
0.001
平成 17 年度
0.0000027
※ 排ガスについては、年2回測定を実施
22
(10)
排水測定結果
一次排水(雨水排水)および二次排水(プラント排水の処理水)を確認試験中の最終 Run(KP4)
にて各 1 回採取し、分析した結果、公害防止協定ならびに水質汚濁防止法及び下水道法(県条
例も含む)に基づく基準値をクリアしていることが確認された。(表 3-12)
表 3-12 排水測定結果
一次排水 二次排水 定量下限値
項目
水素イオン濃度
生物化学的酸素要求量
化学的酸素要求量
浮遊物質量
大腸菌群数
ノルマルヘキサン抽出物質含有量
フェノール類含有量
銅含有量
亜鉛含有量
溶解性鉄含有量
溶解性マンガン含有量
クロム含有量
窒素含有量
燐含有量
カドミウム及びその化合物
シアン化合物
有機燐化合物
鉛及びその化合物
六価クロム化合物
砒素及びその化合物
水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物
アルキル水銀化合物
ポリ塩化ビフェニル
トリクロロエチレン
テトラクロロエチレン
ジクロロメタン
四塩化炭素
1.2-ジクロロエタン
1.1-ジクロロエチレン
シス-1.2-ジクロロエチレン
1.1.1-トリクロロエタン
1.1.2-トリクロロエタン
1.3-ジクロロプロペン
チウラム
シマジン
チオベンカルブ
ベンゼン
フッ素及びその化合物
セレン及びその化合物
−
mg/L
mg/L
mg/L
個/cm3
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
mg/L
8
1
5
5
不検出
不検出
不検出
不検出
0.34
不検出
不検出
不検出
1.3
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
備考:ここで不検出とは、定量下限値未満を示す。
※ 協定値に基づく。
23
8.4
7
18
60
不検出
不検出
不検出
0.01
0.37
不検出
不検出
不検出
4.4
1.0
不検出
不検出
不検出
0.02
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
不検出
0.3
不検出
1
1
1
10
1
0.5
0.01
0.01
0.1
0.1
0.01
0.1
0.1
0.01
0.1
0.1
0.01
0.01
0.005
0.0005
0.0005
0.0005
0.001
0.001
0.001
0.001
0.001
0.001
0.001
0.001
0.001
0.001
0.006
0.003
0.02
0.001
0.1
0.005
基準値
一次排水
二次排水
5.8∼8.6 ※
≦120
≦10
≦10
≦3000
≦1
≦1
≦3
≦5
≦10
≦1
≦0.5
≦120
≦16
≦0.1
不検出 ※
≦1
≦0.1
≦0.5
≦0.1
≦0.005
不検出
≦0.003
≦0.3
≦0.1
≦0.2
≦0.02
≦0.04
≦0.2
≦0.4
≦3
≦0.1
≦0.02
≦0.06
≦0.03
≦0.2
≦0.1
≦15
≦0.1
5∼9/≦45℃
≦600
≦600
≦600
≦3000
≦20
≦10
≦3
≦5
≦10
≦10
≦2.0
≦120
≦16
≦0.1
≦1
≦1
≦0.1
≦0.5
≦0.1
≦0.005
不検出
≦0.003
≦0.3
≦0.1
≦0.2
≦0.02
≦0.04
≦0.2
≦0.4
≦3
≦0.1
≦0.02
≦0.06
≦0.03
≦0.2
≦15
≦15
≦0.1
(11)
作業環境の濃度測定
確認試験中の作業環境の濃度測定は、確認試験中の灰掻コンベヤヘッド部および灰出し棟
(灰ピット)にて各 1 回連続 24 時間の測定を実施した。総ヒ素および粉じん量を表 3-13 に示
す。
表 3-13 作業環境の濃度測定
T−As
粉じん
mg/m3
mg/m3
2 号灰掻出コンベヤヘッド部
<0.001
0.13
灰出し棟
<0.001
0.82
2 号キルン炉入口部
<0.001
0.07
測定箇所
24
3.3 追跡調査
(1) 主灰および飛灰の有機ヒ素測定結果
各 Run において有機ヒ素(DPAA、PAA を個別に測定)は全ての検体で不検出(<0.02mg-As/kg)
であり(表 3-14)、確認試験後に有機ヒ素は存在しないことが確認された。
表 3-14 主灰および飛灰の有機ヒ素測定結果
飛灰
Run
主灰
(薬剤処理前)
No.
KP5
mg-As/kg
mg-As/kg
1
<0.02
<0.02
2
<0.02
<0.02
3
<0.02
<0.02
4
<0.02
<0.02
1
<0.02
<0.02
2
<0.02
<0.02
KP6
(2) 主灰および飛灰の総ヒ素測定結果
主灰および飛灰の総ヒ素含有量は、確認試験終了後から減少することが確認された(表 3-15)。
また、総ヒ素の溶出量は全て不検出(<0.005mg/L)であった。
表 3-15 主灰および飛灰の総ヒ素測定結果
飛灰
飛灰
飛灰
(薬剤処理前)
(10%薬剤処理後)
(3.3%薬剤処理後)
主灰
Run
No.
含有
溶出
含有
溶出
溶出
mg/kg
mg/L
mg/kg
mg/L
mg/L
1
29
<0.005
170
<0.005
−
2
30
<0.005
80
<0.005
−
3
19
<0.005
62
<0.005
−
4
17
<0.005
23
<0.005
−
1
12
<0.005
17
<0.005
−
2
10
<0.005
18
<0.005
−
KP7
8.5
<0.005
21
−
<0.005
KP8
6.5
<0.005
18
−
<0.005
KP9
6.4
<0.005
22
−
<0.005
KP10
6.5
<0.005
17
−
<0.005
KP11
6.6
<0.005
9.4
−
<0.005
KP5
KP6
25
3.4 確認試験結果のまとめ
確認試験の結果をまとめると、以下のとおりとなる。
1) 混焼率と燃焼状態について
・混焼率(廃棄物と混焼する汚染土壌等の割合)を 2∼2.5%及び 3∼4%と変化させたが、キル
ンの燃焼温度は 850∼1,100℃であり、通常操業時(850∼1,100℃)と比べて顕著な変化は
見られず、排ガス量の顕著な変化も見られなかった。
・一酸化炭素(CO)濃度は、どのケースにおいても大きく変動したり上昇する傾向は見られ
なかった。
・二次燃焼炉の温度はどのケースにおいても通常操業時(900∼1,150℃)と同程度であった。
・主灰の熱しゃく減量は、どのケースにおいても維持管理基準値(10%)以下であった。
・排ガス中のダイオキシン類の濃度についても通常操業時と同程度であった。
2) 排ガス中のヒ素の性状について
・排ガス中の有機ヒ素濃度は、バグフィルタ(BF)の前後、煙突入口のいずれの箇所も不検
出(<0.001mg/m3)であり、焼却処理により有機ヒ素は確実に無機化された。
・排ガス中の総ヒ素は BF 前での測定では、粒子状として 0.062∼0.68mg/Nm3、ガス状として
0.002∼0.008mg/Nm3 検出されたが、排ガスの集じん後である BF 後及び煙突入口では、ガス
状及び粒子状のいずれも不検出(<0.001mg/m3)となり、ヒ素は BF で確実に捕集され、大
気中への排出は無いことが確認された。
3) 主灰、飛灰におけるヒ素の性状について
・主灰及び飛灰の有機ヒ素の含有量は、全ての検体で不検出(<0.02mg/kg)となり、焼却処
理により有機ヒ素は確実に無機化された。
・主灰及び飛灰(薬剤処理物)のヒ素の溶出量は、全ての試料で不検出(<0.005mg/L)とな
った。
26
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