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阿武町学校施設耐震化計画
阿武町学校施設耐震化計画 平成19年6月 阿武町教育委員会 1 阿武町基本構想・基本計画における学校施設整備計画について 阿武町では、昭和58年に「阿武町基本構想」を策定、更に平成元年には、これ に基づく阿武町基本計画「さんサントピア阿武7箇年計画」を策定、その後、平成 8年に町政40周年を記念して「阿武町町民憲章」を制定し、この考え方を基調に、 同年には、第2次「さんサントピア阿武10箇年計画」を策定し、計画的にまちづ くりに取り組んで来ました。 しかしながら、小規模自治体を取り巻く環境は厳しく、少子高齢化などが急激に 進行したため、定住対策、少子化対策、高齢者福祉対策などの課題への対応と明日 を担う学校教育、社会教育への取り組みなど現行計画を見直すこととなりました。 そこで、10年後の新たなまちの将来像や町民生活の方向性を示す指針として、 平成17年度に町職員が自ら阿武町基本構想・基本計画「元気!あぶ町5001プ ラン」を策定しました。 このプランの中で、阿武町教育重点施策として「いきいきと未来に輝く人づくり」 に努めることが肝要として、7つの推進計画を立て、夢と知恵を育む学校教育の推 進のひとつとして「安全で安心な学校施設・設備の整備充実」を掲げています。 阿武町の学校施設整備については、平成15年7月に文部科学省が「学校施設耐 震化推進指針」を定めた指針に基づき、新耐震基準施行以前に建設された学校施設 について早急に耐震化を推進しているところです。 町内の公立小中学校は3校の小学校と2校の中学校があります。この中には、昭 和56年以前に建設した校舎、体育館があり、該当するすべての建物に耐震診断(第 1次診断)を実施しました。その結果、すべての建物に改築・改修の必要があると の診断が出ました。 結果を踏まえ、必要なところから改築や大規模改造・改修を行ってきた結果、現 在では、1校の2校舎と2つの体育館が未改修となっています。 そのため、児童・生徒が減少する中で家庭、学校、地域社会が一体となった「い きいきと未来に輝く人づくり」を目的とした、早期の安全で安心な学校施設・設備 の充実に向けた、阿武町学校施設整備計画を策定することとなりました。 2 学校施設の現状と課題 阿武町は、小学校は各地区に1校の3校があり、そのうち宇田小学校校舎は老朽 化により平成8年度に全面改築を行いました。体育館は平成2年度に全面改築して います。福賀小学校校舎は平成12年度に大規模改造及び耐震補強を完了していま す。また、奈古小学校は昭和38・39年度に建築し、昭和62・63年度に、窓 枠の全面取り替え等の大規模改修を行いましたが、築後42・43年を経過してい るため老朽化が進み耐震診断結果も Is 値 0.19 と補強を含めた改修、または改築が必 -1- 要となっています。体育館は、昭和54年度に建設し、耐震診断結果も Is 値 0.69 と 補強が必要となっています。中学校は、各地区に3校ありましたが、統合推進委員 会の3校統合の答申をうけ、平成16年度には、奈古中学校と宇田中学校が先行統 合し、「阿武中学校」となりました。今後は、福賀中学校の早期統合に向けて条件整 備を進めていくこととなります。阿武中学校については、耐震診断の結果、改修・ 補強が必要であったため、特別教室棟を平成15・16年度に改築し、昭和51年 度に建築された管理・普通教室棟を平成18・19年度に大規模改造を行いました。 福賀小・中学校体育館については、学校が統合した場合、福賀小学校の体育館とし て利用するためには、Is 値 0.34 であるため耐震補強が必要となります。また、阿武 中学校体育館は、平成6年度に施設整備しています。 【校舎等の現況】 区 分 面 積 構 造 建築年月 耐震結果 Is 値 0.19 奈古小学校 3,083 ㎡ 鉄筋コンクリート3階建 S40.3 月 福賀小学校 1,551 ㎡ 鉄筋コンクリート2階建 S47.3 月 宇田小学校 1,686 ㎡ 鉄筋コンクリート2階建 H9.3 月 阿武中学校 2,635 ㎡ 鉄筋コンクリート2階建 H16.12 月 H19.1 月 福賀中学校 1,552 ㎡ 鉄筋コンクリート2階建 S47.3 月 備 考 改築予定 ※ Is 値 1.04 補強済み ー ー ー 改築 ※ Is 値 0.71 改造済み ー 統合予定 ※ 改造、補強後の数値 【屋内運動場の現況】 区 分 面 積 奈古小学校 653 ㎡ 福賀小中学校 988 ㎡ 宇田小学校 1,035 ㎡ 阿武中学校 938 ㎡ 構 造 簡易耐火構造ギャラ リー付き平屋建 簡易耐火構造ギャラ リー付き平屋建 鉄筋コンクリート平屋建 鉄骨造(2階建) 鉄筋コンクリート平屋建 鉄骨造(2階建) 建築年月 耐震結果 備 考 S54.10 月 Is 値 0.69 補強予定 S55.11 月 Is 値 0.34 補強予定 H3.3 月 ー ー H7.3 月 ー ー ※ Is 値=構造耐震指標、耐震診断調査により得られる数値で建物の耐震性能を示す。 第2次診断では、Is 値が 0.3 を下回れば、大規模地震時に倒壊・崩壊の -2- 危険性が高いとされている。 3 改造が必要な施設の耐震診断結果について (1)学 校 名:阿武町立奈古小学校 実施年月日:平成16年2月 対 象 建 物 名 称 奈古小学校管理教室棟 建 物 規 模 鉄筋コンクリート3階建 竣 工 年 度 昭和38年度 診 断 結 果 延べ床面積 1,835 ㎡ (経過年数 43年) X方向 0.19 Y方向 0.42 最小Is値 総合所見:本建築物のIsはX方向で 0.19、Y方向で 0.42 となっており、両方向で 0.9 を下回っている。本建築物の利用にあたっては、第二次診断を実施し た上で、両方向について耐震壁または鉄骨ブレース等の補強が必要と考 える。なお、両方向ともIs値が小さいことから耐震補強で対応できな い可能性が高い。なお、Y方向では判定指標の 0.3 を満たしているが、 X方向で下回っている。 対 象 建 物 名 称 奈古小学校特別教室棟 建 物 規 模 鉄筋コンクリート3階建 竣 工 年 度 昭和39年度 診 断 結 果 延べ床面積 1,248 ㎡ (経過年数 42年) X方向 0.60 Y方向 0.41 最小Is値 -3- 総合所見:本建築物のIsはX方向で 0.60、Y方向で 0.41 となっており、両方向で 0.9 を下回っている。特にX方向の壁配置は偏っており、バランスが悪い。 本建築物の利用にあたっては、第二次診断を実施した上で、両方向につ いて鉄骨ブレース等の補強が必要と考える。ただし、判定指標の 0.3 は 満たしている。 実施年月日:平成17年3月 対 象 建 物 名 称 建 物 規 模 竣 工 年 度 診 断 結 果 奈古小学校屋内運動場 簡易耐火構造ギャラリー付き平屋建 昭和54年度 (経過年数 延べ床面積 653 ㎡ 27年) X方向 0.69 Y方向 2.20 最小Is値 総合所見:耐震性能については、Is値が桁行き方向(X方向)で 0.69(2F)、張間方 向(Y方向)で 2.20 と張間方向に余裕があるが、桁行き方向については判 定指標を下回っているため補強等が必要である。 (2)学 校 名:阿武町立福賀小・中学校 対 象 建 物 名 称 建 物 規 模 竣 工 年 度 診 断 結 果 福賀小・中学校屋内運動場 簡易耐火構造ギャラリー付き平屋建 昭和55年度 (経過年数 延べ床面積 988 ㎡ 26年) X方向 0.34 Y方向 1.73 最小Is値 総合所見:耐震性能については、Is値が桁行き方向(X方向)で 0.45(2F)、0.34 (1F)、張間方向(Y方向)で 1.735 と張間方向に余裕があるが、桁行き方 向については判定指標を下回っているため補強等が必要である。 -4- 4 学校施設整備の基本方針 町内の学校施設整備は、阿武町基本構想・基本計画「元気!あぶ町5001プラ ン」に基づき、改築・耐震改修を年次進めていきます。 これまでに改築・耐震改修済みの建築物を除き、現在、耐震基準を下回っている 建物が5棟あります。具体的には、奈古小学校校舎の2棟と屋内運動場の1棟、福 賀中学校校舎の1棟、福賀小・中学校の屋内運動場の1棟です。 奈古小学校については、築42・43年を経過し、耐震性能も低いと判定された ため、早急に耐力度調査を行います。その結果においては、改造もしくは校舎全体 の改築を進めていきます。また、屋内運動場については、耐震性能は確認できてい ますが、わずかにIs値が 0.01 程度、判定指数を下回っているため、校舎の改築時 に合わせて整備することとしています。 福賀中学校については、築36年を経過していますが、すでに統合推進委員会に おいて、阿武中学校として統合する答申がでています。しかしながら、交通機関の 不備等から、現在まで統合に至っていませんが、生徒数は年々減少(資料参照)し、 平成22年度には13人となり1年生0人で2・3年のクラスだけとなります。そ のため、専門教科での十分な授業が出来ない状況となるため、今後、地域の理解を 得ながら早期に統合に向けて検討することとなります。 福賀小・中学校屋内運動場については、耐震診断の結果、X方向において判定指 数を下回っており、現状においても屋根などを含めた大規模な補修が必要な状況に あります。そのため、耐震補強を含めた改修工事を行い、福賀中学校が統合された 後は、福賀小学校屋内運動場として使用していくこととしています。 5 計画目標年度 平成23年度 6 事業計画 耐震対象建物 校 舎 H19 整備目標年度 H20 H21 H22 耐力度調査 設計 H23 改 築 奈古小学校 補強 体育館 福賀小・中学校 福賀中学校 補強・補修 体育館 校 舎 統合検討 -5- 備考 7 終わりに 当町では、「阿武町基本構想・基本計画」に基づき、早期にこの耐震問題に取り組 み、校舎や屋内運動場の対象建物については、第1次耐震診断を平成16年度まで にすべて完了し、適時対応してきました。 小学校については、宇田小学校を平成8年度に全面改築し、福賀小学校を、平成 12年度に耐震補強を含めた大規模改修を行いました。中学校では、統合推進委員 会を設置し、3校統合の答申を受け、少子化と校舎の老朽化により奈古中学校と宇 田中学校を先行統合し、奈古中学校校舎を阿武中学校として開校しました。平成1 5・16年度に特別教室を普通教室等に改築し、翌平成17・18年度に管理、特 別教室を耐震補強を含め大規模改造を行い、計画通り確実に推進してきました。 今後、更に学校の大規模改築には多額の予算が必要となってきます。学校施設整 備計画に基づき、財源を確保するとともに、奈古小学校の改築と耐震補強の必要な 屋内運動場やそれに伴う給食センターを整備を重点的に行い、阿武町の児童・生徒 が1日の大半を過ごす「安全で安心に過ごせる学校づくり」を地域と一体となって 推進していくことが、本町にとって大きな課題となります。 -6-