...

こちらです

by user

on
Category: Documents
16

views

Report

Comments

Transcript

こちらです
縮約なしのニュース月禄 27 号
ロシア中央選管委員長 異例の政権批判 「不正選挙の元凶は行政当局だ」 (M160623)(要
約)ロシア中央選管委員会は 22 日、下院選に向けた協議を開いた。モスクワ州で近年、
下院選や自治体選で行政当局の露骨な介入による不正選挙が行われていたとして、同州選
管委員長を賛成多数で解任した。解任動議は、今年 3 月に新中央選管委員長に就任した女
性人権活動家、パンフィーロワ氏が提出。同氏は「本当に悪いのは、組織的に政治圧力を
かけ、特定政党を利してきた行政当局だ」と異例ともいえる批判を展開した。この日のパ
ンフィーロワ氏の発言は政権批判ともいえ、今後の同氏の動向や政権側の対応が注目され
る。
プーチン政権 若返り人事 大統領府長官に知日派 (M160819)(要約)ロシアのプーチン
大統領が長く重用してきたシロビキらを退任させ若手の登用を進めている。古くから親交
があった人物を登用した「友達人事」の見直しは、実務家主体の政権への脱皮を印象付け
ている。プーチン氏は 8 月中旬、セルゲイ・イワノフ大統領府長官(63)を退任させ、後
任に外務省出身の知日派アントン・ワイノ氏(44)を抜擢してきた。プーチン氏はイワノ
フ氏をはじめ、ウラジーミル・ヤクーニン・ロシア鉄道社長(66)、ビクトル・イワノフ
連邦麻薬取締局長官(66)ら治安・情報機関の出身で旧知の間柄だった 6 人をこの 1 年で
退任させた。後任には 40 代を中心とする若手の実務家がついた。ロシア通信は専門家の
話として、「18 年の大統領選をにらみ、今年秋にも更なる人事刷新が進む」との見方を示
している。
ロ大統領府長官交代 イワノフ氏からワイノ氏(D160812)(要約)プーチン大統領は、最側
近のセルゲイ・イワノフ大統領府長官を解任し、後任に知日派で知られるアントン・ワイ
ノ大統領府副長官を任命した。北方領土問題をめぐって強硬派とされたイワノフ氏からワ
イノ氏に交代することで、対日外交への影響が注目される。プーチン氏は、イワノフ氏か
ら辞任の申し出があったと説明。9 月下院選や 2018 年大統領選に向け、人事の若返りを進
め体制を固める狙いとの見方が強いが、突然の交代の背景を巡り臆測を呼びそうだ。ワイ
ノ氏はモスクワ国際関係大で日本語を学び、1996~2001 年在日ロシア大使館に勤務経験が
ある。プーチン氏が首相時代の 07 年に首相府副長官になり、プーチン氏が大統領に返り
咲いた 12 年から、大統領府副長官を務めてきた。
プーチン氏人事活発化 側近若返り、知事も交代 長期政権にらみ布石(D160817)(要約)
プーチン大統領が、人事を活発化させている。側近の若返りを図っているほか、地方の知
事に治安機関
に武装した 2 人組に警官が襲われる事件が起き、過激派組織「イスラム国」IS 系の通信社
は 18 日、犯行を主張する声明を出した。IS 関与の実態は不明だが、シリアで空爆を続け
るロシアに対して IS は報復を呼び掛けており、ロシア主要都市でも不安が広がりつつあ
る。17 日にはロシアサンクトペテルブルクでも治安部隊が武装集団の拠点アパートで対テ
ロ作戦を実施し、イスラム過激派とみられる 4 人を殺害したばかり。
「8 月クーデター」失敗 25 年 多数の国民 今も複雑 35 歳以上 64%「ソ連時代 生活よかった」
(M160820)(要約)今月 14 日にロシアで実施された世論調査では、「旧守派が権力を奪っ
ていれば国はどうなったか」の質問に 17%が「より良くなっていた」と回答。「より悪く
なっていた」と回答したのは 26%。今月 4~15 日に実施された別の世論調査では、35 歳
以上の世代のうち 64%が「ソ連時代のほうが崩壊後と比べて生活は良かった」と回答。24
歳までの若者層でも 25%が、ソ連時代が良かった、と答えた。事件やソ連崩壊の評価をめ
ぐり、今なお複雑な感情を抱く国民も多い。
ロシア 犠牲者悼み集会 「8 月クーデター」から 25 年 (M160822)(要約)1991 年 8 月の反
クーデターデモの参加者らが 20 日夜、3 人が犠牲となった現場にある慰霊碑前で追悼集会
を開き、3 人を「民主主義を守った英雄」だとたたえた。集会参加者は反プーチン派の野
党支持者を中心に 100 人。
プーチン氏の家族だから・・・ 愛犬情報は「最高機密」(D160825)(要約)秋田犬保存会会長
の遠藤敬衆院議員ら超党派議員団 4 人がモスクワを訪れ、ロシアの秋田犬愛好家と交流し
た。議員団は秋田県がプーチン大統領に贈った秋田犬との面会を希望したが、ロ側は情報
を公開していないプーチン氏の家族と同様だとして応じなかったという。ロシアではプー
チン氏の家族に関する情報は「最高機密」で、報道もタブー視されている
露与党 逆風でも優位 来月 18 日下院選 「反プーチン」支持広がらず (Y160831)(要約)
ロシアで 9 月 18 日に行われる下院選挙(定数 450)に向け選挙戦が本格化してきた。プ
ーチン大統領の長期支配下で閉塞感が強まり、与党「統一ロシア」には逆風が吹く。だが、
野党や「反プーチン」を掲げる勢力に与党を脅かす勢いはない。「統一」が過半数を維持
するかが焦点だ。下院では「統一」のほか「自民党」と「共産党」、「公正ロシア」が合計
212 議席を持つ。3 党は政権との対立を避ける「体制内野党」と呼ばれる。全ロシア世論
調査センターの発表では、8 月下旬の支持率は「統一」が 43.3%で、2 位の自民党
(10.8%)以下を引き離す。
プーチン体制不動か ロシア 下院選 18 日投開票(D160915)(要約)ロシア下院選(定数
450)が 18 日に投開票される。与党「統一ロシア」の支持率は低下傾向にあるが、主要 3
野党もプーチン政権を支持する事実上の「オール与党」状態で、体制は揺るがない見通し
だ。2018
だ。
年の大統領選に向けた前哨戦となる。独立系世論調査機関レバダセンターの調査
では、今年 1 月に約 4 割あった統一ロシアの支持率が、8 月には 3 割まで落ちた。経済低
迷などが影響しているとみられ、過半数を維持できるかが焦点の一つだ。今回の
一
デモ
ーチン氏の支持率は 80%台で高止まりしている。それまで野党が呼び掛けてきたプーチン
批判の集会は鳴りを潜め、情勢は一変した。選挙期間中、プーチン氏は統一ロシア党首の
メドベージェフ首相と共に地方各地を視察。15 日放映のテレビ演説では「国益のため、ロ
シアの一体性や安定を守るのにふさわしい人物を選んでほしい」と述べ、クリミア編入で
高まった国民の愛国心に訴えた。今回の選挙ではヤブロコ、国民自由党など「反プーチン」
を掲げるリベラル系野党も複数が登録を許可され、候補者を擁立した。だが政党間の選挙
協力は不調に終わり、プーチン政権の支配下にあるメディアが取り上げる機会も少ない。
比例代表で議席獲得に必要な 5%の得票はいずれも難しい情勢だ。クリミアでは初の下院
選となり、ロシアは国政選挙実施を通じて実効支配の強化も狙う。プーチン支持の強硬発
言で人気を博す「クリミア共和国」の女性検事長ポクロンスカヤ氏も統一ロシアの比例代
表名簿に載った。プーチン政権は当初 12 月に予定されていた下院選を 9 月に前倒しした。
野党からは「夏休み直後に移すことで選挙運動が低調になり、組織力のある与党に有利に
なる」との批判が出ていた
プーチン氏基盤 盤石か ロ下院選投票始まる(D160919)(要約)ロ下院選(定数 450)の投
票が 18 日、全土で行われた。これまで下院で議席を占めていた主要 4 与野党が大半の議
席を確保する見込みで、プーチン大統領の安定した支持基盤は揺るがないとみられる。与
党の「統一ロシア」が改選前の議席を維持できるかや、反体制派の野党が議席を獲得でき
るかが注目されている。下院選は、2018 年の大統領選に向けた前哨戦の位置づけ。ロシア
が 14 年 3 月に一方的に編入したウクライナ南部クリミア半島でも初めて投票が行われた。
下院選は、比例代表と今回復活した小選挙区から 225 人ずつ選ばれる。クリミア編入以降、
プーチン氏の支持率は 8 割前後で高止まりしているが、経済低迷が続く中、プーチン氏が
つくった与党の統一ロシアが改選前の 238 議席を維持できるかが焦点の一つだ。事前の世
論調査では、比例代表で議席獲得に必要な 5%の得票を確保できる可能性があるのは、改
選前に下院に議席を持っていた極右の「自由民主党」、「共産党」、左派の「公正ロシア」
の 3 野党とみられている。いずれもプーチン体制を支持しており、事実上の「オール与党」
体制が続く見通しだが、メドベージェフ首相が進める経済政策に批判的な共産党などが議
席を伸ばせば、政権内の人事に影響する可能性もある。
ロ与党、3 分の 2 確保へ 下院選、プーチン氏が勝利宣言(D160919)(要約)18 日投開票の
ロ下院選で、中央選管が発表した開票率 40%の中間結果によると、プーチン大統領の与党、
統一ロシアが比例代表で 53%を得票、小選挙区では約 9 割で優位に立った。現在の 238 議
席を大幅に上積みし、憲法改正が可能な 300 議席を確保する勢い。プーチン氏は 2018 年
の大統領選に向け、権力基盤を固めた。プーチン氏は投票終了直後に統一ロシアの事務所
を訪れ「確信を持って勝ったと表明したい」と勝利宣言した。統一ロシア党首のメドベー
ジェフ首相も「絶対多数を獲得できる」と強調した。統一ロシアは、原油安や欧米の制裁
で長引く不況への不満に直面。一方で「大統領の党」をうたい、クリミアの編入を強行し
たプーチン氏の高い人気を追い風にした。今回は比例代表だけでなく、小選挙区の導入で
議員の半数を選ぶ選挙制度に変更され、組織力や知名度の高い同党に有利に働いた。中間
結果によると、比例代表で極右の自由民主党、共産党が各 14%、左派系の公正ロシアが
6%。いずれも外交・安全保障政策ではプーチン氏を支持する「体制内野党」で、残る議席
のほとんどを占めそうだ。反プーチン派の野党ヤブロコや国民自由党は、比例代表で議席
を得るのに必要な 5%以上の得票に届かない見通し。
プーチン与党が圧勝 4 分の 3 超確実 ロ下院選(D160919)(要約)ロ下院選は 18 日、全土
で投開票が行われ、プーチン大統領を支える与党「統一ロシア」が 4 分の 3 を超える過去
最多の議席を獲得し、圧勝する見通しとなった。政権寄りの野党勢力と合わせ全議席を独
占する勢いで、プーチン氏は 2018 年の大統領選を控え、盤石な基盤を確保した。今回の
下院選は、ロシアがウクライナ南部クリミア半島を一方的に編入した後、初めて行われた
国政選挙。欧米との対立や経済の低迷が続いているが、プーチン氏は 18 日夜、
「困難な状
況だが、国民は社会と政治の安定を求めている」と述べ、勝利を宣言した。開票率約 98%
時点の中央選挙管理委員会の予想議席は、統一ロシアが小選挙区(225 議席)で 203、比
例代表(同)で 140 の計 343 議席(改選前 238)
。過去最多だった 07 年の 315 議席を上回
り、3 分の 2 以上が必要な憲法改正が、単独で可能となるのは確実。野党ながらプーチン
体制を支持してきた「共産党」は 42 議席(改選前 92)
、極右の「自由民主党」は 39 議席
(同 56)
、左派の「公正ロシア」は 23 議席(同 64)と軒並み減少。これまで議席がなか
った少数政党 2 党と無所属の候補 3 人が小選挙区で当選する見通しだが、いずれも体制寄
りとみられる。改革派「ヤブロコ」など反体制派の野党は議席に届かなかった。中央選管
によると投票率は約 48%(速報値)で前回の約 60%から激減し、モスクワでは、30%台の
記録的低さにとどまる見通し。夏の休暇と重なり選挙活動が低調だったことや、事実上の
「オール与党体制」に国民の関心が高まらなかったとみられる。投票率の低下は、組織力
のある統一ロシアに有利に働いたもようだ。投票は北方領土でも行われ、サハリン州選管
によると、統一ロシアの比例代表の得票率は、クリール地区が 57.6%、南クリール地区が
55.7%。サハリン州全体の 43.9%を大きく上回っており、プーチン政権が進める北方領土
のインフラ整備が支持拡大につながったとみられる。
長期政権へ基盤安定 ロシア下院選与党圧勝 投票率は大幅低下(D160920)(要約)ロ下院
選で与党「統一ロシア」が圧倒的勝利を確実にした。ウクライナ南部クリミア半島の一方
的編入で愛国ムードの高まりが続く中、与党に有利な選挙制度の見直しなどを進めた政権
の戦略が功を奏したと言える。プーチン大統領は 2018 年の大統領選後の長期政権も視野
に、強権的な政権運営を強めそうだ。「下院選の結果は、ロシアに対する海外の圧力や制
裁に対する国民の反応を表したものだ」
。プーチン氏は 19 日の閣議で、ウクライナ危機以
降、欧米との対立路線を取る自らの方針が、支持を得たと強調した。プーチン氏が創設し
た統一ロシアは 11 年の前回下院選で議席を大幅に減らし、選挙後には与党を利する不正
があったとして大規模な反政権 デモ が起きた。長期化するプーチン体制への国民の不満
が高まっていたことが背景にあった。しかし、クリミア編入後、プーチン氏の支持率は 8
割台に跳ね上がったまま、高止まりしている。経済制裁の発動など対ロ包囲網を取る欧米
との対立構図が続き、強い指導者として求心力が高まっているとみられる。19 日の主要紙
ベドモスチは「投票結果はクリミア効果が消えていないことを表した」と論評。プーチン
政権は前回下院選後、選挙への政党要件を緩和するなど野党勢力に配慮する一方で、全国
に組織を持つ大政党に有利な小選挙区制を復活。統一ロシアの比例代表の得票率は、前回
より約 5 ㌽増の 54%だったが、獲得議席は小選挙区で上積みしたことで、全議席の 76%を
占めた。選挙直前の世論調査では統一ロシアの支持率は 3 割台に低下していたが、投票率
が大幅に下がったことも、組織力のある与党の議席増につながったようだ。欧米との対立
や原油安で経済が低迷しているため、国民生活は悪化している。だが、主要野党もプーチ
ン氏を支持し、「国民の不満の行き場がない」(政治学者)のが実情だ。プーチン氏が安定
した政権基盤を得たことで、日本側からは「北方領土交渉で政治決断をしやすい環境がで
きる」と好意的に受け止める声が出ている。ただ、今回の勝利は愛国ムードに支えられた
もので、18 年に大統領選を控え、領土問題を含む外交政策では、強硬姿勢が続く可能性が
強い。
ロ下院選 プーチン与党圧勝も くすぶる不満 投票率大幅低下(D160921)(要約)プーチ
ン大統領を支える与党「統一ロシア」が 4 分の 3 超の圧倒的な議席を獲得したロ下院選
(定数 450)
。経済停滞や欧米との対立が続く中、プーチン氏の強い指導力への期待が根強
いことが浮き彫りとなった。ただ、生活の改善は遅れ、汚職もなくならない。投票率は大
幅に低下し、国民には冷めた空気も漂う。極東地域の活性化を目指すプーチン氏は近年、
北方領土のインフラ整備も加速させる。ただ、石油・天然ガス開発で活況が続くサハリン
でも、教育や医療機関の整備は遅れ、モスクワとの物価や所得格差の解消を訴える声は少
なくない。相次ぐ汚職も与党不信を招く。昨年 3 月にサハリン州の知事、今年 6 月にウラ
ジオストクの市長が収賄容疑で拘束された。いずれも統一ロシア系。今回の投票率は、約
48%。前回の約 60%を大幅に下回った。無党派層が投票を控えたことが統一ロシアにプラ
スに働いたとみられる。さらに比例代表に加えて小選挙区制(定数 225)を導入したこと
も、組織力や知名度の高い同党に有利に作用した。小選挙区の 9 割で首位になったことが
地滑り的勝利をもたらした。特にモスクワでは、2011 年の前回下院選で 66%あった投票
率が 35%に激減。現体制への批判層が多いとされる都市部の中間層で、投票に行かなかっ
た人が増えたとみられる。
露下院選 プーチン与党 圧勝 定数の 3 分の 4 政権 より強固に 市民には無力感も
(Y&M160920)
(要約)ロシア下院選挙は 18 日、投開票され、与党「統一ロシア」が圧
勝した。プーチン大統領は 18 年の大統領選に向け一元支配をさらに強める見通しだ。た
だし選挙への関心は低く、投票率は約 48%と下院選では最低だった。政治技術センターの
アレクセイ・マカルキン副所長は「有権者は自分の生活や地域をいかによくしてくれるか
に関心を向ける。政治理念より組織力で地元に浸透した『統一』の候補者に有利に働いた」
とみる。一方、投票率は前回より 12 ポイントも低くなった。大統領の強大な権力の下で
議会の役割は限られていることや、「反プーチン」を掲げる勢力が締め付けを受けてきた
ことも影響し、有権者の間に選挙で現状を変えることはできないとの無力感が広がってい
る。
Ⅱ. ロシア経済・社会
プーチン政権に打撃 ロシア陸上リオ出場不可(D160619)(要約)組織的なドーピング疑惑
でロシア陸上チームがリオデジャネイロ五輪に原則的に参加できなくなったことは、スポ
ーツを国威発揚に利用してきたプーチン政権にとって大打撃だ。ロ側は欧米による反ロ・
キャンペーンの一環だとして反発を強めるとみられ、プーチン政権が狙う EU との関係改
善にも影を落としそうだ。疑惑が表面化して以降、ロシアは一貫して組織的な関与を否定。
ドーピングは個々の選手やトレーナーの問題で、陸上チーム全体に処分を科さないよう求
めてきた。国際陸連は、一定基準を満たせば個人資格で五輪参加を認める方針を明らかに
したが、タス通信は厳しい基準に合致するのは 5 人以下との専門家の見方を伝えた。有力
紙の独立新聞は、陸上チームの五輪参加禁止について「ロシアへの打撃は制裁より大きい」
との専門家の論評を伝えた。
ロシア 2 選手が CAS 提訴 五輪参加禁止の撤回求める(D160619)(要約)ロシアの競歩 2 選
手が、同国の組織的なドーピング問題を巡り、代表チームとしてリオデジャネイロ五輪の
参加を禁じた国際陸連の処分撤回を求め、スポーツ仲裁裁判所 CAS に提訴したと明らか
にした。IOC は国際陸連の決議を支持する意向を表明。
クリミア編入「歴史的」 プーチン氏 下院の支持評価 (M160623)(要約)プーチン大統領が
22 日、下院で演説した。下院選が 9 月にあることを踏まえ、
「(過去 5 年間の)皆さんの活
動は満足できるものだった」と評価。特に、クリミア編入を下院が支持したことは「歴史
的な出来事だった」と総括した。この日はソ連の対独戦が始まってから 75 年の記念日。
下院選を前に、プーチン氏は西側諸国との対決姿勢を強調し、国民の愛国心に訴える狙い
があるとみられる。
ロシアに重水 40 ㌧売却交渉 イラン、核合意履行進展へ(D160720)(要約)イランのアラグ
チ外務次官は 19 日、重水 40 ㌧をロシアに売却する交渉を進めていると述べた。米国への
売却が滞っていた重水 32 ㌧については既に米国に輸送し、代金を受け取ったことも明ら
かにした。イランと欧米など 6 カ国がウィーンで開いた核合意の履行状況を協議する合同
委員会後に語った。
熱気球、11 日間で地球一周 ロシア冒険家、世界記録か(D160723)(要約)ロシアの冒険家
コニュホフ氏が熱気球での単独・無着陸での地球一周に挑戦し、今月 12 日にオーストラ
リア西部を飛び立って地球を一周し、23 日に戻った。11 日間で一周に成功した計算。熱
気球による地球一周では米国人による 13 日間の記録があるが、コニュホフ氏側はこれを
抜き世界最速だとしている。
ロシア、クリミアへの架橋着々 実効支配を強化(D160724)(要約)ロ政府は、ロシアが一
方的に編入したウクライナ南部クリミア半島とロシアを隔てるケルチ海峡に建設中の全長
19 ㌔に及ぶ巨大な橋を外国報道陣に公開した。ロシアによる支配の下でウクライナと対立
を深めるクリミアは、ウクライナからの陸上輸送を阻まれ、物資調達に支障が出ている。
ロシアとの一体化を進め、実効支配の基盤強化を図る。架橋はウクライナにとって不法な
占領行為だが、ロシアにとっては愛国主義の象徴。ロシア連邦の一部となった「クリミア
共和国」のアクショーノフ首長は「橋は『命の道』だ」と強調した。
「命の道」とは、第 2
次大戦中、ナチス・ドイツ軍に包囲されたレニングラード(現サンクトペテルブルク)の
住民に食料をもたらし、抗戦を支えた唯一の補給路のこと。クリミアはウクライナの報復
措置でウクライナからの物流が滞り物価が高騰。ロシアからのフェリー輸送は時間も費用
もかさむ。アクショーノフ氏は「橋が完成すれば食料や医薬品の調達が楽になる」と期待
する。建設を請け負うのはプーチン氏の柔道仲間で富豪のロテンベルク氏が経営する企業。
総予算は 2279 億㍔(約 3700 億円)に達し、2018 年末に片側 2 車線の道路、19 年に鉄道
を完成させる計画だ。
〈社説〉ロシア五輪出場 疑問残る IOC の決定(D160726)(要約)国ぐるみのドーピング問
題が発覚したロシアについて、IOC がリオデジャネイロ五輪からの全面排除を見送った。
五輪参加の条件として、信頼できる国外検査などを義務付けたが、出場の可否の判断は各
国際競技連盟 IF に委ねた。目前に迫ったリオ大会への影響や混乱を心配し、ロシアとの
全面衝突を避けようとしたのだろう。しかし、これでは IF への事実上の「丸投げ」であ
る。欧米の競技関係者が「責任放棄だ」と批判し、 世界反ドーピング機関 WADA が「失
望した」との声明を出したのは当然だ。全面排除に踏み切った場合、ドーピングに手を染
めていない選手まで「連帯責任」を問われる懸念があったのは確かだ。ロシア・オリンピ
ック委員会会長は IOC に「反ドーピング体制の包括的な再構築」を約束した。誠実に履行
する責務がある。五輪の在り方自体も問われよう。ロシアのように、国威発揚の手段にす
る考えは時代錯誤だ。
露、テロ対策でネット監視強化 (M160721)(要約)ロシアで、テロ対策強化を目的とした
改正刑法などが 20 日、施行された。2018 年 1 月以降、ネットなどの通信業者は、メール
や音声、動画などの通信データを 3 年間保存することが義務付けられる。FBS の求めに従
って通信データを暗号解読情報とともに提供しなければならず、国内外の通信業者や人権
団体から強い批判を読んでいる一連の改正法はイリーナ・ヤロバヤ露下院安保・腐敗対策
委員長ら与党・統一ロシアの議員が提出し、
「ヤロバヤ法」と呼ばれる。
ロシア版ポケモン GO、登場キャラは偉人たち(D60801)(要約)モスクワ市はこのほど、
スマートフォン向け人気ゲーム「ポケモン GO」の“ロシア版”アプリを8月中に配信
すると発表。ポケモン GO と同じ技術を用い、市各地に登場するロシア史上の偉人を
スマホのカメラでゲットしたり、一緒に自撮りしたりできる。市当局は「最新技術で
モスクワの文化遺産に目を向けてほしい」と呼び掛けた。ロシアでポケモン GO は未
配信だが、外国アカウントに登録して入手する人も多く既に人気を博している。ロシ
アではポケモン GO に対し一部国会議員から「米国の特殊機関がスパイ活動のために
開発した」との声が上がり、禁止を求める動きがある。
IOC が IPC との違い強調 ロ選手団全面除外で(D160808)(要約)国際パラリンピック委員
会 IPC が、リオデジャネイロ・パラリンピックから、国家ぐるみのドーピング問題が
発覚したロシアの選手団を全面除外したことに対し、国際オリンピック委員会 IOC は
「IPC とは全く状況が違う」との声明を出した。五輪の国際競技連盟 IF とは組織運営
の基盤が異なるため、IPC とは比較できないとの立場を強調した。一方、IOC と IPC に
ロシア選手団のリオ大会からの締め出しを検討するよう勧告していた世界反ドーピン
グ機関 WADA は同日、「クリーンな選手を守る決断だ」と IPC を支持する声明を発表。
IOC は WADA の勧告に対し、選手の「個人の権利」を重視し、五輪からの全面除外を
見送り、IF に出場可否の判断を委ねた。
リオパラリンピックはロシア全面除外 薬物問題で資格停止(D160808)(要約)国際パラリ
ンピック委員会 IPC は 7 日、国家ぐるみのドーピング問題が発覚したロシアのパラリンピ
ック委員会を資格停止とし、リオデジャネイロ大会から同国選手団を全面除外すると発表
した。条件付きでリオ五輪参加を認めた国際オリンピック委員会 IOC とは異なる厳罰を下
し、2012 年ロンドン大会で中国に次ぐ金メダル数 2 位の強豪国を締め出す異例の事態とな
った。
〈社説〉パラリンピック ロシア除外 意味大きい(D160825)(要約)国ぐるみとされるド
ーピング問題で、リオデジャネイロ・パラリンピックに、ロシア選手が国の代表として出
場する道が閉ざされることが確定した。国際パラリンピック委員会 IPC が決めた排除決定
へのロ側の不服申し立てについて、スポーツ仲裁裁判所が訴えを退ける裁定を下した。リ
オ五輪では、国際オリンピック委員会 IOC が主体的な判断を見送り、結果的にロシア選手
は 270 人以上が出場。これに対して、IPC は厳格な判断を貫いた。薬物と無関係な選手も
いるとみられ、同情の余地はあるが、ドーピングの背景になっているメダル数を競い合う
勝利至上主義への警鐘と受け止めたい。世界反ドーピング機関 WADA によると、ロシア
では 2011 年以降、障害者を含む多くのトップアスリートが薬物を恒常的に使い、巧みな
隠蔽工作が行われていたことが明らかになっている。IPC が厳罰を下し、仲裁裁判所がそ
れを追認したのは、常態化した「国ぐるみ」の不正に対する危機感からにほかならない。
気になるのは、オリンピックと同じような仕組みになっている薬物検査のあり方だ。パラ
リンピックに出場する選手のおよそ 7 割が治療のために薬を使っていると言われる。治療
薬には、禁止薬物の成分が入っている可能性も否定できず、一律的な検査に問題はないか。
ロ、温暖化防止パリ協定批准へ 年内にも、早期発効へ前進(D160827)(要約)京都議定書
に代わる新たな地球温暖化防止の枠組みとして昨年採択された「パリ協定」を、ロ政府が
年内にも批准する方針であることが分かった。パリ協定の発効には、協定に合意した 196
の国と地域のうち少なくとも 55 カ国が批准し、温室効果ガス排出量の合計が世界の 55%
に達することが必要。排出量を合わせると 38%になる米国と中国がすでに年内批准に意欲
を示しており、同 7.5%のロシアが加わることで早期発効へ大きく前進する。伊勢志摩サミ
ットの首脳宣言にもパリ協定の年内発効を目指すことが明記された。天然資源環境省の幹
部によると、ロシアは「2030 年の排出量を 1990 年の 70~75%にする」との目標を確実
に達成するため国レベルの行動計画を策定中。近く作業が終わり「批准の準備が整う」と
した。行動計画には国が定める排出削減策のほか、産業部門ごとの対策も盛り込まれる。
別の政府関係者は「パリ協定は、原発や効率がよい 天然ガス の利用技術を持つロシアに
とって利益になる」と話した。 気候変動枠組み条約 の資料などによると、米中ロシアに
加え、日本とカナダ、インドの批准で、EU 抜きでも排出量が 55%に達する。
Ⅲ. ロシアの外交・国際関係
ロシア国防相、アサド氏と会談 ラッカ奪還作戦など協議(D160619)(要約)ショイグ国防
相は 18 日、シリアの首都ダマスカスを訪問してアサド大統領らと会談し、両国間の軍事
協力などについて協議。「イスラム国」が首都と称するラッカの奪還に向けた地上作戦や、
内戦の激戦地アレッポの情勢などが議題になったとみられる。
対露経済制裁 EU が延長へ 停戦合意履行迫る (M160622)(要約)EU は 21 日の大使級
会合で、ロシアに科している包括的な経済制裁について、2017 年 1 月末まで 6 か月間延
長することで基本合意した。
(英国ショック) EU と中露接近も 米主導国際秩序に暗雲 日本、領土問題へ影響懸念
(M160627)(要約)プシコフ露下院外交委員長は 24 日、英国国民投票の結果を受け、
「オ
バマ政権への大打撃だ」と指摘した。今回の結果は、英国を通じて欧州への影響力保持を
図ろうとしてきた米国にとって不利になるとの見方が出ている。プーチン大統領は 24 日、
「プラスとマイナスのどちらが多くなるかはわからない」と述べたが、ロシアがウクライ
ナ危機に絡む EU の対露制裁緩和を期待しているのは明白だ。対露強硬路線を主導してき
た英国の離脱が今後の EU の政策に影響を与えるのは避けられない。政策シンクタンク
「ジャーマン・マーシャル財団」ワルシャワ事務所のミカル・バラノフスキー氏は「西側
の連帯の弱体化はロシアを利する」と話す。弱体化か懸念される EU が巨大市場を求めて、
中国に接近する可能性は否定できない。また、英国の EU 離脱派は「EU の単一市場を失
っても、中国と貿易協定を結べばよい」と、再三繰り返してきた。中国にとっても英国と
の緊密化は、米英同盟にくさびを打ち込むことになり、国際社会での地位をさらに強固に
するうえでも大きなメリットとなる。習国家主席とプーチン大統領は 23 日にウズベキス
タンでの「上海協力機構」首脳会談で会談し、25 日にも北京で会談。ロシア通信によると、
習氏は「国際情勢が変化するほど、相互支援と戦略協力を強化する必要がある」と強調し
た。日露間の平和条約締結交渉にも影響が出かねない。日本は、ロシアがウクライナ問題
で米国と対立する中、対話路線を打ち出すことで存在感を示し、事態打開を目指してきた。
ロシアへの制裁で強硬姿勢をとってきた英国の離脱で、「プーチン氏は EU を切り崩しや
すくなったと見るのではないか」(官邸幹部)との指摘も出ており、日本がロシアの柔軟
姿勢を引き出しにくくなる可能性もある。
露大統領も「影響ある」 (M160625)(要約)プーチン大統領はウズベキスタンで 24 日、英
国民投票の結果について「欧州や英国だけでなく、我々を含めグローバルな影響を与える
のは避けられない。プラスとマイナスのどちらの影響が多いかは今後わかる」と述べた。
英国は、EU の対露強硬政策を主導してきた。プーチン氏は「(英国の離脱が EU の)制裁
政策に影響を与えるとは思わない」と述べる一方、「我々は良き行いには良き行いで応じ
る用意がある」と、EU の政策変更を訴えた。プシコフ下院外交委員長は 24 日、「
(欧州で
起きた)政治的大地震だ。6 月 24 日を境に欧州はこれまでと異なる姿になる」などと述べ、
欧州弱体化を予想した。クドリン元露財務相は「残念だ。英国も EU も経済的に弱くなる。
ロシアはもっと大きな自分の問題を抱えており、ロシアへの影響はない」と述べた。
露、制裁緩和に期待 プーチン氏 離脱影響を注視 (Y160626)(要約)英国は、米国と
歩調を合わせて対ロシア制裁を主導してきた。今回、英国が EU 離脱を決め、米英関係
にも揺らぎが生じる見通しとなったことは「EU 内で対露制裁を熱心に主張する国がな
くなる」(ソビャニン・モスクワ市長)と、ロシアに有利に働くとの受け止め方も広
がっている。だが、プーチン氏は 24 日、ウズベキスタンで EU 離脱について「経済、
政治の両面で何が起こるか我々は近く知ることになる」と述べ、今後の離脱の手続き
を注視すると表明した。
露軍機撃墜 トルコ謝罪 エルドアン大統領が書簡 (Y&M160628)(要約)ロシア大統領
府は 27 日、昨年 11 月にトルコ軍機が「領空侵犯」を理由にロシア軍機を撃墜した事
件で、謝罪するエルドアン大統領の書簡を受け取ったと発表した。エルドアン氏は、
撃墜は偶発的なものだったと強調したうえで、「亡くなったロシア軍機のパイロット
の遺族に対し深い哀悼の意を表し、お詫びする」と謝罪した。エルドアン氏は「トル
コにとってロシアは友人であり戦略的パートナーである。トルコは関係悪化を望んで
いない」と表明した。
露、トルコ制裁解除意向 首脳電話会談 関係修復へ一歩 (Y&M160630)(要約)プーチン
大統領は 29 日、エルドアン大統領と電話で会談した。昨年 11 月の露空軍機撃墜事件以降、
両大統領が言葉を交わしたのは初めて。プーチン氏は撃墜後に行ったトルコからの農産物
の輸入禁止、トルコへの観光渡航の制限などの制裁を解除する意向を表明。両国首脳は早
期に会うことでも一致した。7 月 1 日にロシアのソチで両国外相が会談することが決まっ
た。イスタンブールの国際空港で起きた自爆テロへの対応や、悪化していた両国関係の修
復について話し合った。この後、プーチン氏は閣議を開き、撃墜を受けた対トルコ経済制
裁措置の解除を命じた。プーチン氏によると、(アタチュルク国際空港で起きた大規模テ
ロ事件に関して)トルコ国民への弔意を表明した。ロシアでは IS による犯行との見方が
強い。また、露軍機撃墜で死亡したロシア軍パイロットの補償問題も協議された模様だ。
露大統領「話し合う用意ある」 NATO の強硬策けん制? (M160702)(要約)プーチン大統
領は 1 日、NATO について「ロシアは信頼醸成措置について話し合う用意がある」と述べ
た。訪問先のフィンランドで、ニーニスト大統領との会談後の会見で語った。プーチン氏
によると、8、9 日の NATO のワルシャワ会議後に「NATO ロシア理事会」が開かれる見
通しだといい、ロシア側は理事会で{信頼醸成」について協議する姿勢だという。NATO
理事会は、ウクライナ危機を契機に事実上、機能を停止している。
EU、対露制裁の延長決定 (M160702)(要約)EU は 1 日、ウクライナ東部の停戦合意の
完全履行を迫るため、ロシアに科している包括的な経済制裁の来年 1 月までの 6 か月延長
を決定したと発表した。
米ロ、軍事行動の調整加速一致 シリア巡り(D160707)(要約)ロ大統領府は 6 日、プーチ
ン大統領とオバマ米大統領が電話会談し、シリアで米ロの軍事行動の調整を加速化させる
用意があると一致したと発表した。シリアのアサド政権を支えるロシアは反体制派を支援
する米国に対し、対過激派で統一戦線を組むよう主張してきたが、アサド大統領の延命に
つながるとみる米側は難色を示している。電話会談はプーチン氏が持ちかけた。8,9 日の
NATO 首脳会議では対ロ防衛強化の方針が示される見込みで、プーチン氏はこれを前に対
話姿勢を強調する狙いがあったとみられる。両首脳はウクライナ危機を巡っても意見交換
した。
NATO 強化ロシア反発 8,9 日首脳会議 プーチン氏、対抗措置強調(D160708)(要約)ポー
ランドのワルシャワで開かれる NATO 首脳会議に、ロシアが神経をとがらせている。ロシ
アと国境を接するバルト 3 国や東欧への新たな部隊配置など、対ロ防衛の強化が正式に決
まる見通しだからだ。ロシアは「軍事的挑発」と反発を強め、対抗措置を取る構え。ウク
ライナ危機以降続く欧米との緊張が一層高まる可能性があり、ロシアと対話路線を進める
日本政府も行方を注視している。NATO の新たな部隊配置はロシアによる一方的なウクラ
イナ南部クリミア半島の編入を受け、バルト 3 国などからロシアの軍事的脅威を懸念する
声が強まったことが背景にある。バルト 3 国とポーランドに計 4 千人規模の 4 個大隊を新
たに展開するほか、黒海周辺に新たに多国籍部隊を配置し、共同訓練を行うことなどが検
討されている。これに対しプーチン大統領は、外務省関係者を集めた会合で演説し
「NATO が現実の対抗措置に着手した」と批判。数十年間にわたって形作られてきた軍事
力の均衡を崩す動きだとして、しかるべき対抗措置を取ると強調した。
中ロ、韓国配備に対抗も 米迎撃ミサイル見直し要求(D160708)(要約)米軍の最新鋭地上
配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル THAAD」の韓国配備決定を巡り、中国とロシ
アは、強く反発し配備見直しを要求、対抗措置の可能性に言及した。中国の張業遂筆頭外
務次官は米国のボーカス駐中国大使と韓国の金章洙駐中国大使を呼び出して抗議。ロ外務
省筋はTHAAD配備に対抗した軍備を進めると表明した。米韓は、配備は北朝鮮の核・
ミサイル開発に対処するためだとし、日本も歓迎。しかし、米国のミサイル防衛体制構築
を警戒する中ロが真っ向から反対を表明したことで、北朝鮮を巡る日米韓と中ロの隔たり
が鮮明になった。中ロは対 THAAD で連携を深めそうだ。ロシア通信によると、ロシア上
院国防委員会のセレブレンニコフ副委員長は対抗措置として、ロシア東部にミサイルを配
備する可能性があると述べた。同通信は、クリール諸島にミサイルが配備される可能性も
あるとの専門家の見方を伝えた。中国外務省によると、張氏は米韓の大使に対し「配備は
地域の戦略的平衡を破壊し、中国の安全保障を著しく損なう」と主張し、「断固反対し、
米韓に配備停止を強く求める」と強調した。ロ外務省は、THAAD 配備について声明を発
表し「非常に深刻な懸念」を表明。「地域の緊張を高め、非核化の課題を含む朝鮮半島の
複雑な問題を解決する上で、新たな障害をつくり出す」と指摘し、配備決定を見直すよう
求めた。
中露、反発強める 在韓米軍 最新鋭 MD 「対北朝鮮は口実」 (M160708)(要約)在韓米
軍への MD システムの「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」の配備決定について、中
国とロシアは今後、反発を強めるとみられる。米国が北朝鮮の脅威を口実に、中露を対象
にした MD 能力の向上を狙っていると考えているからだ。THAAD をめぐっては中露は繰
り返し、反対を表明。
露で極東軍備強化論 米韓ミサイル配備決定受け (M160709)(要約)米韓が THAAD ミサ
イルを在韓米軍に配備すると決めたのを受けて、ロシアでは極東における軍備強化をより
一層進めるべきだとの議論が出ている。現状の強化対象地域は北方領土を含む千島列島が
中心で、今後、日露の平和条約交渉にも影響を与える可能性がある。プーチン大統領は 6
月、NATO が欧州で進める MD 配備に関して「攻撃システムの一部に転じる潜在性があり、
対抗措置を講じざるを得ない」と語っており、極東でも同様の姿勢で臨むとみられる。
NATO 対露部隊 4000 人 バルト 3 国、ポーランドに (M&Y160710)(要約)NATO は 8,9
日の首脳会議で、ロシアへの抑止力策として、バルト 3 国とポーランドに最大 4000 人規
模の多国籍部隊を 2017 年から展開することを正式に決定した。同時にロシアの孤立化を
防ぐための対話の重要性も強調。圧力と対話を並行して対露政策を進めることを確認した。
ポーランドは米国が 1000 人規模の大隊を主導し、ラトビア、リトアニア、エストニア、
はそれぞれカナダ、ドイツ、英国が率いる。ロシア側は反発を強めており、相互不信が緊
張を高めている。
ロ、米外交官 2 人追放 「CIA」と指摘、対抗措置(D160709)(要約)ロ外務省は 9 日、モス
クワの米大使館に勤務する外交官 2 人を国外退去処分にしたと発表。米国務省が 8 日に発
表した米駐在ロシア外交官 2 人の国外退去という「非友好的な措置」への報復としており、
米ロ双方の外交官追放合戦に発展した。ロシアのリャプコフ外務次官は退去処分とした 2
人が CIA 職員だと指摘。
「外交官の地位にそぐわない活動をしたため、『ペルソナ・ノン・
グラータ』にした」と説明した。
ロ、米ミサイル配備で韓国に抗議 「北東アジアの緊張増幅」(D160709)(要約)ロ外務省
によると、モルグロフ外務次官は 8 日、韓国の金炯辰外務次官補と会談し、米軍の最新鋭
地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル THAAD」の韓国配備決定について、
「北東
アジアの緊張増幅は避けられず、朝鮮半島非核化問題の解決もより困難になる」と抗議し、
見直しを求めた。中国も、北京で米韓の大使を呼び出して配備停止を要求しており、米国
のミサイル防衛網構築を警戒する中ロは共闘姿勢を強めそうだ。中ロは今年 5 月、初めて
合同でMD机上演習を実施している。
ロシア抑止へ 17 年から新部隊 NATO 首脳会議、反発も(D160709)(要約)ワルシャワで開
かれた NATO 首脳会議は 8 日、ウクライナ危機以降、対立が続くロシアへの抑止力を高め
るため、ロシアに隣接する東欧ポーランドとバルト 3 国の計 4 カ国に最大計約 4 千人規模
の新部隊を 2017 年から配備することなどを正式決定した。ロシアの脅威を念頭に即応体
制を強化した 14 年の首脳会議に続く対応で、ロシアは「第 2 のベルリンの壁」と反発し
ており、緊張が高まる可能性がある。一方で、NATO のストルテンベルグ事務総長は「ロ
シアを孤立させるべきではない」と述べ、対話の努力も続ける考えを示した。オバマ大統
領は、英国の EU 離脱決定を念頭に、欧州を分断する圧力が生じていると指摘し「NATO
はわれわれの安全保障の要であり続ける」と結束の重要性を強調した。
ロと NATO 対立解消せず 対話継続、NATO ロシア理事会(D160714)(要約)NATO は 13
日、ブリュッセルで開いたロシアとの共同行動のための意思決定機関、NATO ロシア理事
会の大使級会合で、今月上旬の NATO 首脳会議で決定した東欧での防衛強化策をロシアに
説明したが、双方の意見対立は解消しなかった。NATO 首脳会議は、ウクライナに軍事介
入したロシアの脅威を訴えるポーランドとバルト 3 国に最大計約 4 千人の新部隊を配備す
ることなどを決定。一方、ロシアのグルシュコ NATO 代表は会合後「ロシアの架空の脅威
を基に NATO が対決姿勢を築いている点に危険がある」と反発した。一方、ロ軍機による
米軍機への異常接近などが相次いだバルト海上空に関し、事故を回避するため、航空機の
レーダー応答装置の作動義務化に向け協議する用意があるとロ側が提案。NATO は歓迎し
た。
ポケモン GO に米の陰謀論 ロシア、国内配信禁止要求も(D160721)(要約)米国などで大
ヒットしているスマートフォン向けゲーム「ポケモン GO」について、ロシアでは「米国
の特殊機関がスパイ活動のために開発した」と見なし、国家の安全保障を揺るがす恐れが
ある“陰謀”だとして、禁止を求める動きが出ている。ロ下院の共産党議員は、ポケモン
GO が最先端の戦争で米国を利するために使われ、利用者のスマートフォンの撮影情報が
スパイに悪用され得ると主張。FSB に対し、国内配信を禁止するよう文書で要求した。
FSB の元将校もロメディアに対し、特殊機関にとっては、怪しまれずに情報を集められる
「理想的な計画」だとの見方を示した。ロシア消費者権利保護・福祉監督庁は、ポケモン
GO の心理的影響について学者から見解を聞き、近く勧告を出す見通しだと発表した。プ
ーチン政権はこの勧告に基づき、禁止するかどうか決める可能性がある。
英国 EU 離脱 私はこう見る 対露強硬色消えプラス フォードル・ルキヤノフ氏(露シンクタンク
「外交防衛政策評議会」議長 (M160713)(要約)英国の離脱は、深刻な状況には至らない
だろう。対露強硬派の英国の権威が EU 内で損なわれつつあることは、ロシアにとってプ
ラスだ。米国は NATO 経由(で欧州への)影響力を拡大していくかもしれない。ロシアは
常に対欧州関係を重視してきた。この関係は維持されるが、アジアへのシフトが強まって
いくだろう。EU 諸国で、エリートと庶民間の隔たりという傾向がみられる。国民投票が
予定されていることは、人々の希望を反映しない政治モデルの危機を象徴している。ロシ
アもプーチン大統領という存在がなければ同様の状況だったはずだ。庶民の間では、(プ
ーチン氏は支配階級の人間ではなく、自分たちと同じだという思いで)人気を得ている。
欧州との違いは強いリーダーがいるか否かだ。
NATO、露と協議 軍事衝突回避一致なるか (Y160714)(要約)NATO とロシアは 13 日、
政治対話の枠組み「NATO ロシア理事会」の大使級会合をブリュッセルの NATO 本部で
開いた。主な議題となるウクライナ問題で膠着状態が続く中で、NATO とロシアは、偶発
的な事故は避けたいとの考えでは一致しており、軍事行動の透明性の確保に向けた議論は
進む見込みだ。また、テロ対策など共通の利益を見出せる分野では協力関係を模索すると
みられる。
露、NATO と対話 バルト海上空の安全提案 大使級会合 (M160715)(要約)NATO とロ
シアは 13 日、政治対話の枠組み「NATO ロシア理事会」の大使級会合を開いた。ウクラ
イナ危機をめぐる双方の意見は平行線をたどる一方で、バルト海上空での軍用機の安全飛
行に関するロシアの提案を NATO 側が好意的に受け止めるなど、一定の進展もみられた。
露は政権支持即座に示さず 軍用機撃墜影響か (M160717)(要約)トルコのクーデター未
遂を受け、プーチン政権は、明確な「エルドアン政権支持」を即座に打ち出さなかった。
ロシア軍機がトルコ空軍機に撃墜された事件が尾を引いているようだ。ペスコフ大統領補
佐官は 16 日、プーチン大統領がエルドアン氏ともクーデターを起こした軍側とも接触せ
ず、事態を注視する姿勢に徹したことを明らかにした。
ウクライナ首都 著名記者殺害か 当局「車に爆弾」 (M160721)(要約)キエフ中心部で 20
日、著名な人権派ジャーナリスト、パーベル・シェレメト氏(44)の車が爆発して炎上、
運転していたシェテメト氏は死亡した。ウクライナ最高検察庁によると、車に爆弾が仕掛
けられていたといい、殺人事件とみて調べている。
露・トルコ首脳会談へ (Y160727)(要約)トルコ政府は 26 日、エルドアン大統領が 8 月 9
日にプーチン大統領とサンクトペテルブルクで会談すると発表した。クーデター未遂事件
後(政府の対応に)、欧米からトルコに対する批判が高まっており、ロシアとの接近を図
ることで、けん制する狙いもありそうだ。
トルコ・露首脳 来月 9 日会談へ (M160727)(要約)ロシアのペスコフ大統領報道官は 26
日、トルコのエルドアン大統領が 8 月 9 日にサンクトペテルブルクでプーチン大統領と会
談すると発表した。関係改善を図る見通しだ。(トルコは)強権支配で米欧との関係が悪
化する中、ロシアと接近しバランスをとる狙いとみられる。
露、南西部の軍備増強 クリミアに展開 NATO に対抗 (Y160729)(要約)ロシアのショイ
グ国防相は 27 日、黒海やカスピ海を含む南西地域に新たなミサイルや防空システムなど
を配備するとともに、併合したウクライナ南部クリミア半島に軍部隊を展開させたと明ら
かにした。ショイグ氏はその狙いについて、緊張が続くウクライナ情勢や NATO が東欧で
進める軍備増強に対抗するためと説明した。
露がクリミア占領固定か (M160801)(要約)プーチン大統領は 28 日、クリミア半島につ
いて、ロシア国内でこれまで単体の「クリミア連邦管区」としてきたが、南部連邦管区と
の合併を決定した。露メディアは「編入に伴う移行期間が終了」と報じ、占領状態を固定
化させる目的がありそうだ。
死傷者急増、緊張再び ウクライナ東部 親ロ派と政権側(D160809)(要約)ウクライナ東部
を支配する親ロ派勢力と政権側の衝突が、再び強まっている。昨年 2 月に停戦で合意した
が、ここ数カ月、砲撃などに巻き込まれる民間人の死傷者が急増。6 日には親ロ派指導者
の車両が爆破される暗殺未遂事件も起きた。双方とも相手の挑発行為だと批判を繰り返し
ており、大規模な戦闘再燃への懸念が高まっている。国連のゼイド人権高等弁務官は今月
3 日、東部の戦闘による民間人の死傷者が 6 月は 69 人、7 月は 73 人に上ったと発表。昨
秋以降、毎月の死傷者数は 30 人程度だったが倍増している。半数以上が砲撃による犠牲
者で、停戦合意で使用が禁止された重火器が使われている可能性が強い。別の親ロ派指導
者は暗殺未遂は大規模な戦闘再開を狙うウクライナ軍の破壊工作として対抗措置を示唆。
一方の政権側は、和平合意失敗の責任をウクライナ側に押しつけるためにロシアが暗殺に
裏で関与していると批判する。ロシアの独立系新聞ノーバヤ・ガゼータは、停戦後、米国
などの支援でウクライナ軍の装備強化が進んでいると指摘。大規模な戦闘が起きれば、停
戦前以上に犠牲者が膨らむとの見通しを示した。
ロシア・トルコ、経済協力を再開 首脳会談で確認(D160809)(要約)プーチン大統領は 9
日、サンクトペテルブルクを訪問したトルコのエルドアン大統領と会談。トルコによる昨
年のロシア軍機撃墜事件後、両氏の直接会談は初めて。経済制裁の発動など著しく悪化し
た関係を修復することで一致し、天然ガスパイプライン建設を含む経済協力の再開を確認
した。プーチン氏は、トルコに対する制裁措置の解除に向け、準備を進める考えを表明。
対テロで連携強化の重要性についても一致したが、シリアのアサド政権をめぐる意見の隔
たりは埋まらなかった。
ロシア・トルコ首脳会談 欧米けん制、国内にも配慮(D160810)(要約)トルコのロ軍機撃
墜後、泥沼の批判合戦を繰り広げたプーチン大統領と、トルコのエルドアン大統領。9 日
の会談で関係改善をアピールしたのは、ともに対立する欧米をけん制し、経済悪化への国
内の不満を和らげたい思惑がある。エルドアン氏は 6 月、プーチン氏に事実上の謝罪を伝
える書簡を送り、関係改善に向けてかじを切った。トルコは天然ガスの約 6 割をロシアか
らの輸入に依存している上、ロシアが渡航自粛勧告などの制裁を発動し、主要産業の観光
業中心に打撃が広がっていた。クーデター未遂後、関係者の大規模粛正を進め、死刑制度
の復活も検討するエルドアン政権に対し、EU 諸国から批判が強まっている。エルドアン
氏はウクライナ問題を巡り EU と対立するロシアに接近しEUをけん制する思惑があると
みられる。一方のプーチン氏は撃墜事件後、トルコ政府を厳しく批判。トルコ指導部がシ
リアの「イスラム国」から石油を密輸している疑惑を繰り返し示唆し、エルドアン政権が
続く限り関係修復は困難との認識まで示していた。しかし、ロ経済の低迷が続く中、欧州
に比べ安価な観光地として人気があるトルコへの渡航制限の長期化は、国民の反発を招き
かねない。また、対ロ抑止力強化を進める NATO 加盟国でもあるトルコを引きつけること
で、欧米側の結束を揺さぶる狙いもあるとみられる。ただ、シリア内戦を巡って、アサド
大統領の後ろ盾であるロシアに対し、反体制派を支援するトルコはアサド氏退陣を求めて
おり、今後の和平協議などで対立が再燃する可能性がある。天然ガスを供給するトルコへ
の新たなパイプライン建設など大規模な経済協力も実現を疑問視する声が強い。
死傷者急増、緊張再び ウクライナ東部 親ロ派と政権側(D160809)(要約)ウクライナ東
部を支配する親ロ派勢力と政権側の衝突が、再び強まっている。昨年 2 月に停戦で合意し
たが、ここ数カ月、砲撃などに巻き込まれる民間人の死傷者が急増。6 日には親ロ派指導
者の車両が爆破される暗殺未遂事件も起きた。双方とも相手の挑発行為だと批判を繰り返
しており、大規模な戦闘再燃への懸念が高まっている。国連のゼイド人権高等弁務官は今
月 3 日、東部の戦闘による民間人の死傷者が 6 月は 69 人、7 月は 73 人に上ったと発表。
昨秋以降、毎月の死傷者数は 30 人程度だったが倍増している。半数以上が砲撃による犠
牲者で、停戦合意で使用が禁止された重火器が使われている可能性が強い。別の親ロ派指
導者は暗殺未遂は大規模な戦闘再開を狙うウクライナ軍の破壊工作として対抗措置を示唆。
一方の政権側は、和平合意失敗の責任をウクライナ側に押しつけるためにロシアが暗殺に
裏で関与していると批判する。ロシアの独立系新聞ノーバヤ・ガゼータは、停戦後、米国
などの支援でウクライナ軍の装備強化が進んでいると指摘。大規模な戦闘が起きれば、停
戦前以上に犠牲者が膨らむとの見通しを示した。
露、イラン拠点で圧力 シリア空爆 反米国と関係強化 (M1608017)(要約)ロシア軍は 16
日にイランの空軍基地を始めて使用し、シリア空爆を行った。背景には、中東での軍事的
な存在感を示すともに、反米国であるイランを新たな軍事拠点とすることで、シリア内戦
への対応で対立する米国への圧力を強める思惑がありそうだ。
対「イスラム国」 露、イラン基地から空爆 シリア体制維持へ協調 (Y160817)(要約)ロシア
軍は 16 日、イランの空軍基地を利用して、シリア領内の「イスラム国」への空爆を行っ
た。イランが軍事基地の利用を外国軍に認めたのは 1979 年のイスラム革命以来、初めて。
ロシアにはシリアのアサド政権支持で一致するイランとの軍事協力を深め、シリア情勢を
めぐる発言力を強める狙いがある。
クリミア緊張で安保理会合 ロシアとウクライナが応酬(D160812)(要約)国連安保理は 11
日、ロシアが編入したウクライナ南部クリミア半島で両国の緊張が高まっている問題を巡
り非公開の緊急会合を開いた。ロシアはウクライナが関与する破壊工作の企てがあったと
して怒りを表明。ウクライナはそのような事実はないと反論し、応酬となった。
民主党有力者がロシア犯行と非難 サイバー攻撃被害で(D160812)(要約)米民主党全国委
員会などがサイバー攻撃を受けた問題で、党有力者のペロシ下院院内総務は、ロシアの犯
行だと明言した。1972 年、大統領選の最中に共和党の工作員がウォーターゲート・ビル内
の民主党本部に侵入した事件を引き合いに「電子的なウォーターゲート事件だ」と非難し
た。全国委のほか、民主党下院選挙対策委員会や大統領候補クリントン前国務長官の陣営
へのサイバー攻撃がこれまでに判明。ニューヨーク・タイムズ紙は、党に関係する 100 以
上の個人やグループのメールアカウントも侵入されていたほか、民主党全国知事会も対象
となった可能性があるとし、被害の規模は当初想定よりも大きいと報じた。ロシアが米大
統領選に影響を及ぼそうと企てた可能性も視野に、背景の解明を目指している。
クリミア巡り対立過熱 ロシア、外交断絶も示唆(D160813)(要約)ロシアが一方的に編入
したウクライナ南部クリミア半島をめぐる両国の対立が過熱している。ロシアはウクライ
ナ側がクリミアでテロを仕掛けたとして、対抗措置を取る構え。ウクライナ東部の和平を
めぐる首脳会談にも応じない考えを示し、批判を強めている。9 月ロ下院選をにらんだ思
惑もあるとみられ、対立は激化する恐れがある。メドベージェフ首相は 12 日、ウクライ
ナへの対抗措置として外交関係を断絶する可能性を示唆した。FSB は、クリミアでウクラ
イナ国防省の特殊機関が関与する破壊工作を阻止したと発表。銃撃戦などでロシア側に 2
人の死者が出たとしている。一方、ウクライナのポロシェンコ大統領は、クリミアを解放
するためにテロ行為を行うことはないと訴え、ロ側の主張は「空想」だと一蹴。ロ側が軍
事的緊張を高める口実に利用しているとして、クリミアとの境界で軍備を増強するよう指
示した。両国は、9 月上旬に中国で開かれる国際会議に合わせ、ドイツ、フランスと 4 カ
国の首脳会談を行い、ウクライナ東部の和平をめぐって協議する予定だった。しかしプー
チン大統領はウクライナ政府がテロ行為を行っているとして会談に応じない考えを表明。
ロシアは下院選を控えており、ウクライナ側からは「危機をあおって、国民の目を経済へ
の不満などからそらそうとしている」との見方が出ている。
ウクライナ前政権から金? トランプ選対責任者、米紙(D160816)(要約)米紙ニューヨー
ク・タイムズは、大統領選共和党候補トランプ氏の選対責任者マナフォート氏が、ウクラ
イナ前政権から巨額の現金を受領していた可能性を示す帳簿の存在が明らかになったと報
じた。マナフォート氏の弁護士は現金の授受を否定した。同紙によると、ウクライナ政府
がヤヌコビッチ前政権時代の腐敗を追及する目的で設立した調査機関が今年、前政権与党
の資金の流れを記載した帳簿を発見。マナフォート氏の名前が 22 回登場し、2007~12 年
に計 1270 万㌦(約 13 億円)が支払われたことを示唆する記述があった。実際に現金が支
払われたかは不明という。
国連決議違反の可能性と米
の基幹産業である炭鉱も深刻な状況だ。親露派地域には自前のテレビ放送局や新聞社
があり、ロシアの放送も受信できる。ウクライナ側の情報入手はインターネットがな
ければ難しい。
社説 露トルコ急接近 米欧の安保秩序の影を落とす (Y160821)(要約)NATO 加盟国の
トルコがロシアに過度に接近すれば、米欧主導の安保秩序に影響しよう。深刻な事態
である。緊張緩和は地域情勢の複雑化を避けるうえで評価できる。懸念されるのは、
両国の急接近に米欧牽制の思惑が目立つことである。
独裁ウズベク大統領入院 26 年間支配 揺れる後継問題(D160831)(要約)旧ソ連中央アジ
ア諸国で最も人口が多く、事実上の独裁体制が続くウズベキスタンが揺れている。旧ソ連
時代から約 26 年間にわたって国を支配してきたカリモフ大統領が脳出血で緊急入院し、
後継問題が浮上している。これまで権力を一手に握ってきた大統領が交代すると、国内政
治の不安定化を招く恐れもあり、ロシアや周辺諸国は動向を注視している。カリモフ氏は
旧ソ連共産党の幹部で、1990 年に旧ソ連ウズベク共和国の初代大統領に就任。ソ連崩壊で
独立後も大統領として君臨し、現在 4 期目。旧ソ連圏で最も高齢の指導者だ。反体制派を
抑圧するなど強権的手法が人権団体などから批判を受けてきた。ロシアメディアでは、後
継者としてカリモフ氏に近いミルズィヤエフ首相が最有力との見方が強いが、親欧米路線
とされるアジモフ第一副首相の名前も取り沙汰されている。政治の空白が長引けば、隣国
アフガニスタンなどからイスラム過激派が浸透して地域の不安定化が懸念される。
イラン 露と軍事協力強化 供与ミサイル配備、基地提供 (Y160831)(要約)イランがロシ
アとの軍事協力を深めている。シリア空爆へ向かうロシア軍機に基地の使用を認めたのに
続き、ロシア製の地対空ミサイル「S300」を配備し防空能力の向上をアピールした。ロシ
アと足並みをそろえることで中東地域での影響力を高め、米国を揺さぶることがイランの
狙いだ。
米、日露接近「注視」 プーチン氏訪日 孤立化政策を継続 (Y160901)(要約)米国のオバマ
政権は、ロシアのプーチン大統領が 12 月に訪日することについて、静観の構えを示して
いる。ただ、日欧と協力してロシアを孤立化させる外交方針は維持しており、日本に接近
するロシアの出方に神経をとがらせている。カービー米国務省報道官は 8 月 30 日の記者
会見で「日露が両国関係の観点から決定したものだ」と述べるにとどめ、「懸念も心配も
していない」と語った。また、カービー氏は「ロシアとの関係を『通常の状態』に戻す時
ではないという我々の考え方に変わりはない」と強調し、日本の対応に暗にくぎを刺した。
米、ロシアによる殺害反論 「イスラム国」の幹部(D160901)(要約)米国防総省のクック
報道官は、ロ国防省が過激派組織「イスラム国」IS の報道担当者アドナニ幹部を空爆で殺
害したと発表していることについて「主張を裏付ける情報はない」と反論。米紙ワシント
ン・ポストは米政府当局者の話として、アドナニ幹部が別の人物と車両で移動中、米軍の
無人機が空爆したと伝えた。
ウズベクのカリモフ大統領死去
強権支配で 27 年間君臨
(D160903)(要約)治安機関を使った強権支配でウズベキスタンにソ連時代末期か
ら約 27 年にわたって君臨し続けたイスラム・カリモフ大統領が 2 日、脳卒中
のためタシケントで死去。敵対するイスラム過激派を力で封じ込めてきたカリ
モフ氏の死去で過激派が勢いづくのは確実とみられる。憲法の規定によりユル
ダシェフ上院議長が大統領代行に就任。後任選びはミルジヨエフ、ユルダシェ
フ両氏を軸に進むとみられるが、ウズベクに政治的空白が生じれば中央アジア
全体の治安が不安定化し、中国やロシアに影響が及ぶ恐れもある。カリモフ氏
は 2005 年、東部アンディジャンで市民の暴動を武力鎮圧、500 人以上を死亡
させたとして人権団体の強い批判を浴び欧米と対立したが、安倍政権は関係強
化に力を入れてきた。
ウズベク首相が暫定大統領 上下両院が指名(D160908)(要約)ウズベキスタン
上下両院は 8 日、カリモフ大統領の死去を受けた臨時合同会議を開き、シャフ
カト・ミルジヨエフ首相を全会一致で暫定大統領に指名した。ウズベク中央選
管は、新たな大統領を選ぶ選挙を 3 カ月以内に実施すると発表しており、ミル
ジヨエフ氏はこの大統領選に出馬するとみられる。同氏はカリモフ氏の葬儀委
員長を務めるなど後継の最有力候補とみられてきた。カリモフ氏は独自外交を
掲げてロシアとも一定の距離を保ったが、ミルジヨエフ氏はロシアとの関係が
近いとの指摘がある。
ロ戦闘機、米機に異常接近 距離 3m、互いに非難(D160908)(要約)米国防総省
のデービス報道部長は 7 日、ロシアの SU27 戦闘機が黒海上で同日、米海軍の
P8 対潜哨戒機に異常接近し、19 分間にわたり飛行を妨害したと述べ「不必要
に緊張を高め、事故につながりかねない行為だ」と非難した。ロシア機は 3m
の至近距離まで近づいたという。これに対しロ国防省は、米軍機が識別信号を
発しないまま黒海上のロシア領空に 2 度接近を試みたため、ウクライナから強
制編入したクリミア半島のベルベク基地から戦闘機を緊急発進させたと発表し、
米側を批判した。米側は米哨戒機が黒海上の国際空域で通常の活動をしていた
と強調。ア側は、ロシア機が目視で機体を確認できる距離まで近づくたびに米
哨戒機が進行先をロシア国境と反対方向に急変したとしている。ロ国防省報道
官は「ロシアのパイロットは国際法を厳格に順守して行動した」と主張。ロ軍
は現在、クリミア半島を含む南部地域一帯で大規模な軍事演習を実施中。ロシ
アの報道官は、この演習期間中に NATO 軍の航空機が偵察のためロシア領空
に近づこうとしたのは初めてではないとしている。
シリア軍撤退とロシア アレッポ支援で入り乱れる(D160916)(要約)ロ国防省は、シリア
北部の激戦地アレッポへ人道支援物資を供給するため、米国との停戦合意に基づき、シリ
ア政権軍が幹線道路の付近から部隊や兵器の撤退を始めたと発表。ロイター通信によると、
シリア人権監視団(英国)は政権軍の撤退開始を確認したとしているが、シリアの反体制
派は撤退していないと否定。米国防総省は確認できないとしている。ロ側は反体制派が撤
退を始めていないとし、米ロ合意に従って政権軍と同時に撤退すべきだと強調している。
プーチン氏を公然と批判 CIS、紛争で形骸化(D160917)(要約)CIS がキルギスの首都ビシ
ケクで 16 日、創設 25 周年を記念する首脳会議を開いた。だが大統領が参加したのは 7 カ
国だけ。ウクライナはクリミアを強制編入したプーチン大統領を公然と批判し、ロシアが
主導する CIS の形骸化を印象付けた。クリミア編入を機に CIS に背を向け始めたウクライ
ナは、駐キルギス大使の出席にとどめた。ウクライナ紛争で他国にもロシアへの警戒感が
広がっている。同大使は首脳会議で「ウクライナ領の一部を併合した」ことを理由に、ロ
シアが来年の議長国になることに反対。プーチン氏は「ウクライナは CIS 規約を批准して
いない」とし、要求の権利がないと反論した。ロシアによる分離独立派への支援に反発す
るモルドバは、大統領ではなくフィリプ首相が参加。トルクメニスタンとウズベキスタン
は閣僚を派遣した。
プーチン氏 10 月訪仏(D160918)(要約)ウシャコフ大統領補佐官は 17 日、プーチン大統領
が 10 月中旬にフランスを訪問することを明らかにした。2014 年 3 月にウクライナ南部ク
リミア半島を一方的に編入後、国際イベントを除いてプーチン氏が G7 を訪問するのは初
めてとなる。EU 加盟国のフランスはウクライナ問題を受け、対ロ制裁に参加しているが、
国内では経済の結びつきが強いロシアとの関係修復を求める声が根強い。4 月にエロー外
相が訪ロした際に、プーチン氏に訪仏を招請していた。
オバマ夫人の旅券画像流出 米報道、ロシア関与か(D160923)(要約)ロイター通信は 22 日、
ホワイトハウス関係者のメールがハッキング被害に遭い、オバマ大統領夫人のパスポート
とされる画像などがインターネット上に流出したと報じた。米情報機関はロシアが関与し
た可能性を疑っている。流出させたのは「DC リークス」を名乗るグループ。パウエル元
国務長官がクリントン氏や共和党候補のトランプ氏をそれぞれ批判したメールを今月暴露
するなど、注目を集めていた。
「世論操作に露利用」 米大統領選巡り プーチン氏発言 (M160919)(要約)プーチン大統
領は 17 日、米大統領選をめぐり「ロシアやロシア大統領を利用して世論を操ろうとする
試みがある」、「“悪の帝国”のイメージを再び呼び起こし、大衆を怖がらせようとしてい
る」との認識を示した。共和党候補トランプ氏がプーチン氏を評価する発言をしているの
に対し、民主党側がトランプ氏の攻撃材料にロシアを持ちだすケースが多い。
Ⅳ. 極東・サハリン・千島
極東「自由貿易港」を拡大 ロ政府、コルサコフなど(D160707)(要約)ロ政府は、
税の優遇やビザ取得の簡略化などを認める「自由貿易港」にサハリン州コルサ
コフ地区など 5 カ所を追加する。自由貿易港はプーチン大統領が力を入れる極
東政策の一つ。今回さらに極東各地の主要港に対象を広げることで、海外から
の企業進出を加速させたい考え。日本からの投資拡大にも期待が高まっている。
追加指定されるのはコルサコフのほか、カムチャツカ地方ペトロパブロフスク
カムチャツキー、ハバロフスク地方ワニノ、チュコト自治管区ペベク、沿海地
方ラゾ。サハリン州政府の発表によると、州政府は自由貿易港の制度を活用し、
コルサコフ港の機能強化を目指す。具体的には冷蔵、加工施設を備えた水産基
地構想などを進める計画だ。コジェミャコ州知事は「日本や韓国の投資家も関
心を持っている」と強調する。こうしたロシア側の動きに、日本国内からは実
効性を見極めつつも「投資先としての魅力はあり、ロシア進出のきっかけには
なり得る」(日ロ外交筋)と前向きな声が上がる。9 月に安倍晋三首相が出席
を予定するウラジオストクでの経済フォーラムで自由貿易港の拡大が主要議題
の一つになる可能性もある。
給料未払いで経営破綻 色丹島の水産加工場 サハリン企業が救済
(D160720)(要約)今年 4 月に給料未払いが発覚し、経営破綻に陥った北方領土色
丹島の大手水産加工場が、サハリン州の企業によって操業が継続される見通し
であることが分かった。加工場は、色丹島の水産加工会社「オストロブノイ」
が経営していた。サハリン州の漁業会社「クリール・ユニバーサル・コンプレ
ックス」が新たに投資し、機械を入れ替えてサンマの加工を手がけるという。
外国人招き支配誇示か ロ政府、択捉島でフォーラム(D160720)(要約)ロ政府が 8~9 月に
北方領土択捉島で開く「全ロシア青年教育フォーラム」に、欧米やアジアなど 14 カ国か
ら 40 人の外国人が参加を申し込んでいることが分かった。外国人を島に招くことで、実
効支配を国内外に誇示する狙いがあるとみられる。フォーラム事務局は「今年は国際的に
する」と述べ、中国、米国、カナダ、コロンビア、イラン、インド、フランスなどから参
加の申し込みがあることを明らかにした。「ロシアとアジア太平洋地域」が議題の一つに
なるという。日本は「ロシアのビザを取得し、ロシアの管轄権を前提にする訪問は好まし
くない」(政府関係者)との立場で、第三国からの北方領土訪問に警戒を強める。昨年は
フォーラムに合わせ、メドベージェフ首相が日本政府の中止要請を無視して択捉島を訪問
した。政府要人が今年もフォーラムの時期に北方四島を訪問すれば、9 月にウラジオスト
クで予定される首脳会談を前に、日ロ関係に悪影響を及ぼす可能性がある。
道新通信員のベレジューク氏死去 国後(D160724)(要約)国後島で北海道新聞のロシア人
通信員を務めているゲンナジー・ベレジューク氏が死去したことが分かった。親族らによ
ると、国後島内を四輪バギーで走行中に事故に遭ったとみられる。ベレジューク氏は 1960
年、チェチェン共和国生まれ。83 年に国後島に渡り、地元紙「国境にて」記者や古釜布
(ユジノクリーリスク)の学校教師として勤務。97 年から北海道新聞の通信員を務め、北
方領土の実情を伝える「新・島だより」などの記事執筆や写真撮影を担当していた。
ロ副首相らが来月サハリン訪問 北方領土も視察か(D160729)(要約)トルトネフ副首相
(極東担当)とパトルシェフ安全保障会議書記が 8 月 1~5 日に、エネルギー・安全保障
関連の会議に出席するため、サハリン州ユジノサハリンスク市を訪問する。報道はロシア
が事実上管轄する北方領土への訪問について言及していないが、北方四島の開発状況の視
察などに向かう可能性もある。トルトネフ氏は、北方領土を含む極東開発を指揮する極東
連邦管区大統領全権代表を兼ね、昨年 8 月にロシア政府主催の「全ロシア青年教育フォー
ラム」に出席するため、択捉島を訪問している。パトルシェフ氏はプーチン大統領の最側
近の一人とされ、2011 年に国後島などを視察したことがある。択捉島では 8 月 6 日から昨
年に続き同フォーラムが開かれる。サハリン州政府関係者や島民の間では、「今年も(ト
ルトネフ氏ら)ロシア政府要人が来る」との見方が広がっている。
ロシア極東の土地無償提供 四島など 115 人申請準備(D160802)(要約)ロシア極東の一部
地域で国民 1 人当たり 1 ㌶の土地を無償で提供するロシア政府の制度が、10 月 1 日から極
東全域に拡大される。サハリン州のコジェミャコ知事は、現時点で新たに対象となるクリ
ール諸島の島民 115 人が申請を準備していることを明らかにした。制度は人口減が進む極
東の活性化を目指すためにプーチン政権が掲げる目玉政策の一つ。6 月からサハリン州テ
ィモフスク地区など極東の一部地域で先行実施しており、農地や居住地として活用すれば
5年後に私有化も認められる。
サハリン発北方領土行き満席続き 島民夏の U ターンラッシュ 開発で出稼ぎ
増加(D160805)(要約)サハリン州で今夏、北方領土に向かう航空機やフェリーの
座席不足が顕著になっている。ロシア本土で夏休みを過ごした島民の移動が殺
到していることに加え、ロシアが進める北方領土開発に伴う労働者の渡航が増
加しているためだ。安定した交通アクセスを確保するため、州政府関係者から
は航空機の大型化や新型フェリーの導入を求める声が上がる。ロシア本土と北
方領土の中継地となるサハリン州だが、ユジノサハリンスク空港から択捉島、
国後島に向かう週 5 日の定期便(定員 50 人)は、8 月分がすべて満席。コルサ
コフ港から択捉島、国後島、色丹島を巡回するフェリーも普段は 2 隻体制で運
航するが、1 隻が故障のため運休中で、減便状態となっている。北方領土は 8
月、ロシア本土の親族宅や観光地で夏休みを過ごした島民の U ターンラッシュ
を迎える。6 日には択捉島でロシア政府主催の「全ロシア青年愛国フォーラム」
が開幕し、約 1 カ月間でロシア各地から延べ約 800 人の参加が見込まれており、
混雑を招いた一因との指摘もある。さらに需要を押し上げているのが、北方領
土へ出稼ぎに向かう労働者の増加。7 月末には航空券が手に入らず、ユジノサ
ハリンスクで約 50 人が足止めされ、州政府に対応を要請。地元のオーロラ航
空は 8 月に択捉島へ 10 便、国後島へ 3 便の追加運航を決めたが、すぐに完売
した。北方領土で交通インフラや観光開発を進めるロシアは 2014 年に択捉島
に新空港を開業。昨年の渡航者数は前年比約 6 割増の 1 万 9 千人。一方で、サ
ハリン州政府幹部は「安定した輸送能力が不足している」として、新たな航空
機の購入に言及。7 月に択捉島を訪問した州議会議員は「島の観光産業を発展
させるためにも、州政府予算で新しい船を建造すべきだ」と提言している。
ロシア、領土実効支配を誇示 択捉でフォーラム開幕(D160806)(要約)ロ政府主
催の「全ロシア青年教育フォーラム」が 6 日、択捉島で始まった。昨年に続く
開催で、ロシア全土の学生ら 300 人以上が出席するほか、中国や欧米からの参
加者も招待し、北方領土の実効支配を内外に誇示する狙いだ。昨年はフォーラ
ムに合わせてメドベージェフ首相らが択捉島を訪問。今年も政府要人が訪問す
れば、9 月に首脳会談を控えた日ロ関係に影響を与える可能性もある。今年は
現時点で政府要人がフォーラムに出席する予定があるか明らかになっていない
が、地元メディアでは可能性も取り沙汰されており、その中にはプーチン氏の
名前も挙がる。日本政府は、ロシア政府要人の北方領土訪問を「日本の立場と
相いれない」としており、ウラジオストクで開く首脳会談を前に「日ロ交渉は
静かな環境で進めなければならない」(外務省幹部)とロ側の出方に神経をと
がらせている。
サハリンに対日戦勝博物館 「占守島の戦い」再現パノラマも(D160901)(要約)サハリン
州ユジノサハリンスク市で、対日戦勝利を記念した博物館が一部完成した。1945 年 8 月9
日に対日参戦した旧ソ連軍が南樺太や北方領土を含む千島列島に侵攻した歴史を、当時の
写真や映像などで紹介。北方領土の実効支配を「大戦の結果だ」とアピールしている。博
物館は昨年の戦後 70 周年を記念して計画され、サハリン州政府が 15 億㍔(約 23 億円)
を投じて建設。約 400 ㎡の特別展示室では、旧日本軍と激戦になった「シュムシュ島(占
守島)の戦い」を実寸大のパノラマで再現。海から上陸する旧ソ連兵や、地上戦を繰り広
げる両国兵士、戦車などの模型が関心を集めている。
ロシア要人出席せず 択捉青年フォーラム閉会(D160904)(要約)ロ政府が昨年
に続き北方領土・択捉島で主催した「全ロシア青年教育フォーラム」が 3 日、
約 1 カ月間の日程を終えた。昨年はフォーラムに合わせてメドベージェフ首相
ら政府要人が相次いで島を訪問したが、今年は見送られた。ウラジオストクで
安倍首相が出席する経済フォーラムや日ロ首脳会談が行われることが決まって
いたため、対日関係の維持に配慮した可能性がある。フォーラムはロシア全土
から学生や若手専門家が集まり、愛国心の高揚を図るのが目的。択捉島では昨
年 8 月に初めて開催され、トルトネフ副首相(極東担当)が開会式に出席。メ
ドベージェフ氏も開会中に日本政府の中止要請を無視して島を訪問し、ガルシ
カ極東発展相らが同行した。
色丹に定期空路 サハリン州計画 実効支配を強化(D160906)(要約)サハリン
州政府は、地元の航空会社「 オーロラ 航空」によるサハリンと北方領土・色
丹島とを結ぶ定期航空路線の開設を計画していると発表。実現すれば色丹島の
交通インフラは大幅に強化され、ロシアによる実効支配がさらに強まるのは必
至。サハリン州政府の発表によると、同州のコジェミャコ知事はウラジオスト
クで開かれた東方経済フォーラムに合わせ、オーロラ航空と航空路開設に向け
た協定を締結。サハリン州側が、20 人乗りの小型旅客機 2 機を購入する資金を
提供するという。色丹島に就航するには、新たな滑走路の整備などが必要にな
るとみられる。また、州政府はオーロラ航空との協定で、千島列島北部パラム
シル島(幌筵島)との定期航空路開設を目指すことでも合意。コジェミャコ氏
は「遠く離れた島にとって交通の便をよくするのは最も重要な問題だ」と強調
した。
択捉で旧測候所?確認 自由訪問団、根室に帰港(D160906)(要約)北方領土の元
島民やその家族らが古里を訪れる本年度最後の自由訪問の一行が択捉島紗那や
別飛を訪れ、戦前に日本が建設し、測候所だったとみられる建物を初めて確認。
測候所は、元島民によると戦前は周辺に建物はなかったという。ロシア人島民
は「日本が造った建物で最近まで地震研究所として使っていた」とした。
日本人建設のふ化場現役 完成から 96 年 択捉、自由訪問団が確認
(D160907)(要約)北方領土択捉島で戦前に日本人が建設したサケ・マスふ化場
が、今も地元の事業者によって活用されていることを、同島を訪れていた自由
訪問団が確認。ふ化場は建設から 96 年が経過しているが、なお現役として活
躍している。ふ化場はオホーツク海側にある島の中心集落、紗那に注ぐ紗那川
の河口から約 20 ㌔上流に立地。北海道区水産研究所の資料によると、1920 に
日本人の漁業者団体が建設し、終戦まで日本人によってふ化事業が行われてい
た。45 年に旧ソ連軍が侵攻後は、ロシア人が引き継いでいた。建物は三角屋根
の木造平屋。内部に水の張られた細長い養魚池が 4 列並び、底には砂利が敷か
れていた。ふ化場に勤務するロシア人女性技師は「この施設は今も現役。池に
砂利を敷くのは日本人の技術で、今もシロザケのふ化に最も適している」。
Ⅴ. 日ロ経済・社会関係
プーチン氏来日巡り駆け引き 日本「非公式訪問」で対話重視(D160611)(要約)日ロ両政
府が目指しているプーチン大統領の来日をめぐり、両国間で思惑の違いが生じている。ロ
側は東京への公式訪問を実現させ、首脳会談で経済協力の実質的な成果を引き出したいと
の立場。日本側は東京以外への非公式訪問も視野に検討する構えで、首脳同士の対話強化
を重視する。首相は 5 月 6 日にソチを非公式訪問しプーチン氏と会談。北方領土問題を含
む平和条約締結交渉を「新たなアプローチ」で進めることで一致し、プーチン氏の来日に
ついては引き続き「適切な時期」を目指すとした。
■「中身が重要」 ロシアはかねてプーチン氏の訪日は「中身が重要」と主張している。
共同声明の発表など具体的な成果が伴う「公式訪問という位置付けが基本的立場」(対日
外交筋)との姿勢を崩していない。また、平和条約交渉と経済協力の「結びつきはまった
くない」(ウシャコフ氏)として、経済協力をてこに北方領土交渉の進展を図る日本への
けん制も強める。首相がソチで提示した 8 項目の協力プランの具体化を急ぎ、極東開発な
どで日本から経済協力の合意を取りつけたい考え。一方、日本政府内からはプーチン氏の
来日について「東京以外での非公式訪問が望ましい」(外務省幹部)との声が上がる。公
式訪問になれば、日本としても北方領土問題で目に見える一定の「成果」が必要になるが、
進展は見通せていない。首脳間の信頼関係の醸成に軸足を置く非公式訪問なら実現のハー
ドルは低い。日ロ接近を警戒する米国に配慮する狙いもある。
■山口打診か 首相は山口でプーチン氏と首脳会談を行いたい意向を周囲に示しており、
「こだわりは強い」
(日ロ外交筋)とされる。日ロ両政府は、6 月後半に東京で開く外務省
高官による平和条約締結交渉、9 月にウラジオストクで予定する首脳会談を踏まえ、プー
チン氏来日への準備を進める方針。8,9 日に尖閣諸島の接続水域を中国とロシアの軍艦が
航行したことについても、日本政府はロシア側の行動は問題視しない構えだ。ただロシア
が経済協力の具体的な進展を強く求めるのに対し、日本側には領土問題が停滞する中で経
済協力が先行することへの慎重論もあり、調整の難航も予想される。
日ロ経済対話は活発化 経団連幹部訪ロ 協力具体化が課題(D160611)(要約)ウクライナ
危機を受けて停滞していた日本とロシアの経済協力をめぐる対話が、5 月の日ロ首脳会談
をきっかけに活発化し始めた。9,10 日に経団連幹部が訪ロして経済閣僚と会談し、7 月に
はウリュカエフ経済発展相が訪日予定。両政府は 9 月の安倍首相の訪ロや、プーチン大統
領の年内訪日を視野に経済協力を進展させたい考えだが、日本の経済界には慎重論も根強
く、協力がどこまで具体化するか不透明だ。経団連の訪問団がモスクワを訪問するのは 5
年ぶりで、商社、製造業など大手 8 社が参加。ドボルコビッチ副首相含め 4 閣僚が面会に
応じたことについて、経団連関係者は「ソチの会談を受け、日本への期待が高まっている
表れ」と話した。ただ、昨年の日ロ間の貿易額は前年比で 3 割減少。ロシアが輸出する石
油などの価格下落やロシア市場の景気低迷が要因だが、ウクライナ問題で対ロ制裁が続く
中、「米国ににらまれるのを警戒して、ロシア進出を様子見している日本企業が多い」(在
モスクワ経済関係者)のが実情だ。
〈ひと〉カザフスタン・ナザルバエフ大学の初代学長 勝茂夫さん(D160611)(要約)ナザ
ルバエフ大学の初代学長として今月、2回目の卒業式を迎える。「大統領から、国際的な
最高水準の研究大学をつくって、と頼まれました。今後、日本の留学生も受け入れたい」。
東京外国語大学を卒業後、発展途上国の開発に興味を持ち、世界銀行に入った。アフリカ
のベナンやコートジボワールに赴任。都市開発だけでなく、政府の予算や法律づくり、破
綻した銀行の立て直しなど「国全体に関わる色んなことに携わった」。2003 年欧州・中央
アジアを所管する副総裁に就任。米ワシントンが拠点になったが、「現地が一番」と担当
する約 30 カ国を飛び回った。09 年に退職後、カザフスタン政府の要請で大学づくりに協
力していたところ、国際経験を買われ、学長になってほしいと頼み込まれた。10 年に創設
されたナザルバエフ大学は、次世代の国造りを担う人材育成が目的。授業は英語で、教授
の多くは欧米や日本から招聘。海外の大学と提携し、欧米式の運営ノウハウを導入。昨年
は卒業生の 4 割が海外の有力大学院に進学した。
「ようやく一人前の大学になった」。
〈にちよう特報〉LNG 生産増強 先行き不透明 日本企業も参画、極東で基地計画 対
ロ制裁、原油安…首脳合意に期待も(D160612)(要約)サハリン沖大陸棚開発「サハリン 2」
が LNG 基地の生産増強に向け動きだした。日本企業も参画し、2021 年までの稼働を目指
す。対ロ制裁や原油安という厳しい環境下で一歩踏み出した形だが、ロ極東で日本企業が
絡む他の二つの LNG 基地の新設計画は停滞する。不透明感が拭えない中、関係者は日ロ
首脳が合意した協力プランの進展に期待する。生産増強を目指すのは、プリゴロドノエに
あるサハリン 2 の LNG 基地。ロ国営ガス最大手ガスプロムのほか、三井物産や三菱商事
などが参画。サハリン北部沖の鉱区からパイプラインで運ぶ天然ガスを原料に LNG を年
間 1082 万㌧(15 年)生産。約 7 割を日本に輸出。計画では現行の 1.5 倍の約 1500 万㌧
に生産能力を拡大する方針。サハリン 2 の LNG 基地はロシア国内唯一のもので、日本の
輸入 LNG シェアの 1 割弱を占める「日ロエネルギー協力の象徴」。09 年に稼働した LNG
工場は、設計・建設を千代田化工建設(横浜)などが手掛け、道内企業も関連工事にかか
わった。今回の拡張工事も日本企業の参入に期待が高まる。ただ、ロシアの LNG 事業に
は先行き不透明感も。理由の一つがウクライナ問題に伴う対ロ制裁。サハリン 2 新工場の
天然ガス供給源の一つと見込んでいた「サハリン 3」鉱区の一部が米国の制裁対象となり、
ロ国外の採掘技術が利用しにくくなるとの見方もあり、安定的な供給源の確保には不安要
素もある。ガス価格に影響する原油安も懸念材料だ。14 年に 1 バレル=100 ㌦を超えてい
た先物相場は下落が続き、今年に入り一時 20 ㌦台まで下がった。こうした中、ガスプロ
ムや伊藤忠商事などが 18 年の稼働を目指してウラジオストク近郊に計画していた LNG 基
地建設は、主導するガスプロムがサハリン 2 の拡張を優先し、先送りされている。ロスネ
フチと米石油大手エクソンモービルがイリインスキーで計画していた極東 LNG 基地の新
設も、資金調達の難航などで事業化のめどが立っていない。両社と丸紅などが参画する
「サハリン 1」鉱区からガス供給を受ける構想のため、エネルギー設備が集積する大陸側
のデカストリに建設する案も浮上している。だが、今月に入り原油先物相場は一時 1 バレ
ル=50 ㌦に達するなど回復傾向を示している。5 月の日ロ首脳会談では、8 項目の協力プ
ランの推進で一致し、エネルギー開発も盛り込まれた。「米欧による対ロ制裁解除の見通
しがつけば、停滞していた LNG 計画が一気に動きだす可能性がある」(エネルギー関係者)
との声も出始めている。
サハリン航路、稚内の三セクが発表 7~9 月運航で調整(D160614)(要約)稚内とサハリン
州コルサコフを結ぶ定期航路の運航再開を目指す第三セクター、北海道サハリン航路(稚
内)の藤田幸洋社長は、同州の船舶運航会社が 7~9 月、コルサコフ―稚内間で客船を運
航する方向で詰めの協議を行っていることを明らかにした。稚内市と最終調整し、近くこ
の船舶運航会社と契約する方針で、状況をみて来季、定期航路の再開を目指す。同社長に
よると、ホルムスクの「サハリン海洋汽船 SASCO」がシンガポールの船舶会社から双胴
船を借り受け、7 月中旬~9 月中旬に 18 往復程度運航するという。運航経費はサハリン州
政府と日本側が応分に負担し、北海道サハリン航路が総代理店となりチケットの販売など
を行う予定。昨季までの貨客船ではなく、旅客と貨物を別々に運ぶ方向で検討しており、
貨物については現在、韓国・釜山―コルサコフ間で運航している貨物船を稚内に寄港させ
るなどの方法を考えている。藤田社長は「ロ側が協力を申し出ているこの機会を逃せば、
来季以降の定期航路再開も難しくなる」と述べ、早期に稚内市と具体的な契約内容を詰め
る意向を示した。
ロ下院議長、首相と会談へ 「日ロ関係は極めて重要な段階」(D160616)(要約)ナルイシ
キン下院議長は 16 日、同日夜に東京で安倍首相と会談する予定だと明らかにした。ナル
イシキン氏は、日ロ関係はウクライナ危機に関連して日本が欧米による対ロ制裁に参加し
たことで複雑になったと指摘。その一方で「ロシアと日本の関係は極めて重要な段階にあ
る。政治、経済、人的交流などの分野で協力の展望があると信じる」と述べ、関係発展へ
の意欲を強調した。ウラジオストクでの美術展でナルイシキン氏は、明治期に帝政ロシア
に留学した画家、山下りんが描き、ロシア皇太子ニコライ(後の皇帝ニコライ 2 世)の訪
日に際して日本側から贈られたイコンなどを鑑賞。「(日ロの)大きく異なるが、豊かで偉
大な文化の接触を示している」と称賛した。
日ロ交流活性化へ、北大生ら意見交換(D160617)(要約)日ロの若者による交流を活発にし
ようと、日ロ青年フォーラムが 15 日、モスクワで開かれた。北大など全国から集まった
大学生 28 人が、ロシアの青年組織の代表者らとボランティア活動などをめぐって意見交
換した。日露青年交流センターなどの主催。フォーラムでロ側は、ソチ冬季五輪でのボラ
ンティア経験や、17 年に各国の学生を集めた大規模なイベントを計画していることを説明
し、
「日本との交流拡大に期待している」と呼びかけた。
22 日に日ロ平和条約交渉 東京で開催、北方領土進展狙う(D160617)(要約)岸田外相は 17
日、原田親仁・日ロ関係担当政府代表とモルグロフ外務次官による日ロ平和条約締結交渉
を 22 日に東京で開催すると発表。交渉は昨年 10 月にモスクワで行われて以来。日本側は、
9 月にウラジオストクで予定する安倍首相とプーチン大統領による首脳会談を見据え、北
方領土問題で進展を図りたい意向だ。岸田氏は、5 月の日ロ首脳会談で新たなアプローチ
による北方領土交渉を進める方針で一致したことに触れ「今回の交渉では首脳間のやりと
りを踏まえ、前向きで充実した議論が行われることを期待している」と述べた。
プーチン氏、年内来日へ ロシア下院議長が見通し(D160617)(要約)来日中のナルイシキ
ン下院議長は 17 日、東京都内で民間団体との会合に出席し、プーチン大統領の来日が今
年末までに実現するとの見通しを示した。ナルイシキン氏はまた、安倍首相と 16 日に会
談した際、9 月初めにウラジオストクで行われる経済フォーラムへの安倍氏参加を求める
ロ側の招待を改めて確認したと述べ、その際にプーチン氏との日ロ首脳会談が行われると
も述べた。
日ロ関係発展で一致 首相、プーチン氏側近と会談(D160617)(要約)安倍首相は 16 日、プ
ーチン大統領側近のナルイシキン下院議長と官邸で会談した。両氏は北方領土問題を含む
平和条約締結交渉を「新たなアプローチ」で進めることで合意した 5 月の首脳会談を踏ま
え、日ロの関係発展を目指す考えで一致。9 月にウラジオストクで予定されている首脳会
談や、首相が意欲を示す地元山口県へのプーチン氏訪問についても意見交換したとみられ
る。関係者によると、ナルイシキン氏は会談で、5月の首脳会談に関し「(日ロ交渉は)
停滞していた部分があったが、日本側の進めようとする意思を感じた」と指摘。会談では、
首相が 5 月の首脳会談で提案した 8 項目の対ロ経済協力についても協議。ナルイシキン氏
は、北方領土問題で強硬姿勢を示すメドベージェフ首相からの議員間交流の推進を求める
親書を首相に渡した。旧ソ連が撮影した原爆投下後の広島の様子を収めた画像なども持参
した。ナルイシキン氏はウクライナ問題で欧米から渡航禁止の制裁を受けている。昨年 5
月の来日時には、首相は米国などに配慮し東京都内のホテルで会談。今回は官邸で表敬を
受けることで、平和条約締結交渉の前進への意欲を示した形だ。
広島への原爆投下「謝罪なし」に驚き ロシア下院議長、米けん制(D160618)(要約)ナル
イシキン下院議長は 17 日の記者会見で、5 月のオバマ米大統領の被爆地・広島訪問に関し
「オバマ氏が遺憾の意を示しながら、謝罪しなかったことに本当に驚いている」と述べ、
米国の原爆投下を非難する立場を強調。日米のミサイル防衛協力について、日本側に「憂
慮」を伝えたことも明かし、ウクライナ問題などで対立が続く米国をけん制した。一方、
旧ソ連による第 2 次大戦後の旧日本軍関係者の シベリア抑留 については「旧ソ連は国際
法を犯してはない」と述べた。
ロシアの汚染水処理試験施設公開 福島事故向け、報道陣に(D160621)(要約)東京電力福
島第 1 原発の汚染水に含まれる放射性物質トリチウムを除去し、汚染水の容量を減らす方
法を探るためロシア北西部ソスノブイボールに建設された試験施設が、報道陣に公開され
た。ロ側は効果が実証されたとし、日本に採用を働き掛けるが、汚染水処理には推定 790
億円もの巨費を要するという。試験施設は日本政府の資金を受け、ロ国営原子力企業ロス
アトム系列の「放射性廃棄物対策企業」が建設した。実験では、蒸留や電気分解を組み合
わせた方法でトリチウムを濃縮し、コンテナに封印処分する容量を 6 千分の 1 に減らせた
という。福島原発で処理が必要な汚染水は約 80 万㎥とされ、実際は巨大施設が必要とい
う。だが他の方法を用いた試験施設に比べ、電力消費を抑えつつ、効果的に処理できると
利点を強調した。
日露が対話促進で一致 平和条約締結交渉を再開 (M&Y160623)(要約)日露両政府は 22
日、東京で、外務次官級の平和条約締結交渉を再開した。原田政府代表とモルグロフ外務
次官は対話を促進し、近くモスクワで次回交渉を行うことで一致した。9 月のウラジオス
トクで予定される日露首脳会談前にも開催する。原田氏は「新アプローチ」について「交
渉の停滞を打破するために、これまでの双方の立場の違いを克服して知恵を出し、交渉に
臨むということ」と記者団に説明した。次回はモスクワで協議を開催することで一致した。
交渉は約 6 時間にわたり、年内で調整しているプーチン氏の来日に向け、「成果のあるも
のにするために準備していく」ことを確認した。
姉妹都市ノボシビルスク初訪問 札幌市長(D160624)(要約)札幌市の秋元克広市長は 23 日、
姉妹都市のノボシビルスク市を、市長就任後初めて訪れた。両市の小学校が姉妹校提携す
るほか、文化やビジネス交流の拡大に向けて関係者と意見交換する。
サハリン航路 25 日再開 稚内経済界、ロシア人の購買意欲に期待(D160706)(要約)稚内市
の第三セクター「北海道サハリン航路」とサハリン州の船舶運航会社「SASCO」が 4 日
に稚内―コルサコフ間の定期航路の再開に正式に合意したことを受け、市内の経済関係者
らには「ロシア人による買い物で消費活動が活発になる」と経済効果への期待が広がって
いる。北海道サハリン航路によると、サハリン側の代理店は稚内での 1 泊 2 日の買い物ツ
アーなどを計画している。稚内観光協会は「観光地をはじめロシア人に人気のホームセン
ター、ドラッグストアなどにも集客できる」と期待する。ロシア人向けスーパーの経営者
は「今後航路を途絶えさせないためにも人と物の流れをつくることが重要」と指摘。
SASCO が稚内―ホルムスク間で、冬季の貨客船運航を検討していることについて「冬も
サハリンの住民が必要とする物を運べば物流増につながる」。ただ、船の就航率や集客、
係留場所の設定などについては課題もある。ある船舶関係者は「船が小さく、しけなどで
欠航する可能性は高い。宣伝もまだできていない」と懸念した。航路は今月 25 日に再開
し、9 月 16 日までの間に 16 往復運航。SASCO がシンガポールの船舶会社から双胴船
(270 ㌧、定員 80 人)をチャーターし、コルサコフを月、木曜、稚内を火、金曜に出発。片
道約 4 時間半で 1 万 8 千円の運賃を予定。
サケ・マス引き網漁 調査船サポートの漁船が花咲出港(D160706)(要約)ロシア 200 ㌋内
で今年からサケ・マス流し網漁が禁止されたのに伴い、代替漁法となる引き網漁の試験操
業をサポートする富山県のサケ・マス漁船「第1明音丸」が 5 日、根室市の花咲港からカ
ムチャツカ半島南の漁場に向け出航した。日ロ両政府が 5 月、ロ側に入漁料約 2118 万円
を支払って試験操業することで合意し、水産庁の委託を受けた東京の調査船「第 5 開洋丸」
(495 ㌧)が 13 日から 26 日まで漁を行う。
冷戦下の旧ソ連、日本研究に精力 樺太の蔵書を 2 市へ移送(D160707)(要約)1945 年 8 月
に樺太を占領した旧ソ連が、終戦から 3 年後に樺太全土の公共施設や学校から数万冊に及
ぶ蔵書を網羅的に集めてモスクワとサンクトペテルブルクに移送していたことが、北大と
東大が主導する日ロ共同調査で分かった。冷戦下、旧ソ連が日本研究に多大な精力をつぎ
込んでいたことをうかがわせる歴史的発見だ。旧ソ連の記録やロシア人研究者の調査によ
ると、48 年、当時のソ連中央政府は日本領時代の書籍が大量に残されているとの情報をつ
かみ、5 万㍔の予算を計上。総重量 40 ㌧もの図書や雑誌を貨車 3 両に積み込んでシベリア
を横断し、サンクトペテルブルクに運び込んだ。そののちコンテナ 1 台分をモスクワの東
洋学研究所に移し、残りは分野ごとにロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所(サンク
トペテルブルク)やレニングラード医学研究所(同)などに振り分けた。共同の現地調査
は北大大学院文学研究科の谷本晃久准教授(日本史)らが古籍文献研究所の研究者らと実
施。蔵書印を手がかりに樺太庁や各地の図書館、樺太医学専門学校など、少なくとも 20
以上の施設から広く集められたことが判明した。谷本准教授は「樺太には樺太庁が置かれ、
自治体や学校も多く、旧ソ連側は占領下で日本の刊行物を一挙に集める機会ととらえた可
能性がある」。樺太の文化に詳しい鈴木仁さん(北大大学院博士課程)は「調査では国内
の図書館に所蔵が見当たらない地域文芸誌も見つかり、戦前の樺太をより深く知る上でも
意義を感じる」と話す。
■日本文化や科学評価 東洋学研究所日本部長の経験があるコンスタンチン・サルキソフ
山梨学院大名誉教授~: ロシアは戦前から日本研究を精力的に進めており、政治的な対
立はあったものの、日本の文化や科学水準の高さは評価していた。戦後、研究の中心はモ
スクワの東洋学研究所に移ったが、当時のレニングラードでも民族学や文学の研究は続い
ており、移送先に両都市を選んだのはそうした背景があったものとみられる。
稚内―サハリン航路、試験運航 3 回に変更 社長会見来週、市に支援要請(D160709)(要
約)稚内とサハリン州コルサコフ間の定期航路を同州の船舶運航会社と再開する第三セクタ
ー「北海道サハリン航路」の藤田幸洋社長は、当初 1 回の予定だった試験運航を、ロ側の
法律により 3 回実施することを明らかにした。運航経費は 56 万㌦(約 5620 万円)を上限
として、日本側とサハリン側で折半することになっており、藤田社長は「来週早々にも市
に対し、航路維持の助成金として(運航経費の)28 万㌦の支援を正式に要請する」と述べ
た。
サケ・マス引き網船出航 ロシア海域で代替漁試験 根室(D160710)(要約)ロシア 200 ㌋
内で禁止された サケ・マス流し網漁 の代替漁法の一つとして、ロシアが許可した引き網
漁で試験操業する調査船「第5開洋丸」が 9 日、根室市の花咲港からカムチャツカ半島南
の漁場に向けて出航した。日ロ両政府は 5 月、ロ側に入漁料約 2118 万円を支払い引き網
漁で試験操業を行うことで合意した。漁獲割当量は 68.88 ㌧。
日本企業、極東進出を 経済団体幹部に ガルシカ極東発展相(D160713)(要約)ガルシカ
極東発展相は、極東開発への日本企業の進出を求めた。日ロ関係筋によると、8 月には極
東発展省の幹部が来日し、経済界に投資拡大を働きかける予定。ロ経済の低迷や中国との
経済協力の停滞から日本への期待感は高まっており、9 月以降に予定される首脳会談に向
け、働きかけが強まりそうだ。極東開発を掲げるプーチン大統領の意向に沿って、同省は
行政手続きを簡素化する経済特区や税を減免する自由港の創設を進めている。しかし経済
低迷による財政難で、財務省は極東関連予算の大幅な削減を提案した。当初期待した中国
からの投資も思うように進まず、極東開発の行方に悲観的な見方が強まっている。
極寒の地、野菜よ育て サハ共和国 道内商社が温室着工(D160713)(要約)ロシア極東と
のビジネスを手がける地域商社「北海道総合商事」が、サハ共和国のヤクーツク市で行う
温室野菜の栽培計画が本格的に始動した。9 月に 1 千㎡の温室が完成する予定。12 月にヤ
クーツク市内向けにトマトの初出荷を目指す。ヤクーツク市は永久凍土に覆われ、真冬の
気温が氷点下 50 度を下回ることもある。市内に流通する野菜は高値の輸入品に頼ってい
る。地元での通年栽培を模索していた同市は 3 月、北海道総合商事と共同で温室栽培に取
り組むことで合意した。地元メディアやロシア極東発展省の発表によると、市内の建設地
はロシア政府の極東向け新型特区「先行発展区」に指定され、参入企業は大幅な税制優遇
が認められる。極東開発に力を入れるロシアは日本との経済協力を重視しており、ヤクー
ツク市のニコラエフ市長も「施設が本格的に稼働すれば、市内で必要な野菜の 3 割を供給
できる」と北海道の技術に期待を示している。
ロ極東発展相、来月訪日へ 政府要人と会談(D160715)(要約)
北方領土を含む ロシア極東 地域の開発を所管するガルシカ極東発展相が8月上旬に訪
日を予定していることが、日ロ関係筋の話で分かった。日本からの投資拡大に向け、企業
関係者のほか、経済閣僚など政府要人とも会談する方向で調整している。
極東発展相の訪日は2013年2月以来。両国首脳が出席する9月2、3日の極東ウラ
ジオストクの経済フォーラムを控え、経済協力を具体化させるのが狙いで、8月5日に東
京都内で極東開発をテーマにした企業説明会の開催も検討している。ロシアはウリュカエ
フ経済発展相も今月18日から訪日を予定しており、経済分野で日本への接近を強めてい
る。
「経済協力プラン具体化を」 ロ経済発展相来日 9 月首脳会談に向け(D160720)(要約)世
耕弘成官房副長官は、ウリュカエフ経済発展相と会談し、9 月にウラジオストクで予定さ
れる首脳会談に向け、安倍首相が 5 月にプーチン大統領に提案した 8 項目の経済協力プラ
ンを着実に推進していくことで一致。ウリュカエフ氏は会談後、東京都内で講演し「8 項
目の提案を具体化することが非常に重要だ。9 月の首脳会談で、首脳同士が(内容につい
て)確認できるようにする方向で準備を進めている」と述べた。これに先立ち林幹雄経済
産業相もウリュカエフ氏と会談し、8 項目の 1 つである「中小企業交流・協力の抜本的拡
大」の実現に向け、中小企業の電子商取引に関する情報交換を進めることで一致。日本政
府はロ側が重視する経済連携を加速させることで、年内のプーチン氏来日を実現し、 北方
領土問題 の進展につなげたい考え。
サハリン航路 宣伝事業展開 日ロフェリー協議会(D160720)(要約)日ロフェリー定期航
路 利用促進協議会が 19 日、臨時総会を開いた。稚内とサハリン州コルサコフ間で、7 月
下旬からの定期航路再開が決まったことを受け、本年度事業に新たに航路の宣伝チラシや
サハリン旅行ガイドの作成を盛り込んだ。
サハリンの窓枠会社 札幌にショールーム(D160720)(要約)サハリン州の窓枠メーカー
「カールヴィ」が、札幌市中央区にショールームをオープンし販売を開始した。同社にと
って初の海外進出で、道によると、ロシアの住宅設備メーカーが道内で事業を行うのは初。
同社によると、窓枠は内部を細かく仕切るなどして断熱性と気密性を高めているという。
道内ではリフォームに重点を置き、札幌で注文を受け、ロシアで組み立てた製品を道内に
運び込む。北海道で一般的な幅 60 ㌢、高さ 120 ㌢の窓枠は窓ガラス込みで約 3 万 2 千円~。
定価ベースで日本製と同じ価格帯という。
サハリン航路の双胴船 きょう稚内に入港 試験運航(D160721)(要約)稚内とサハリン州
コルサコフ間の定期航路を同州の船舶運航会社と再開する第三セクター「北海道サハリン
航路」は 20 日、航路に使用する双胴船が、試験運航のため 21 日に稚内港に入港すること
を明らかにした。運航開始までの間、コルサコフ―稚内間を往復する試験運航を 2 回行う。
ただ、利用客からの予約受け付けは、21 日の稚内港での審査通過を確認してからになる。
このため運航開始日の 25 日の便には間に合わず、8 月 1 日のコルサコフ発の便からの受け
付けを予定しているという。
日ロ経済協力の具体化を協議 政府間委分科会(D160721)(要約)日ロ両政府は 20 日、貿易
経済政府間委員会の貿易投資分科会を東京都内で開いた。極東ウラジオストクで 9 月開催
予定の首脳会談に向けた環境整備の一環。安倍首相が 5 月にプーチン大統領に提案した極
東の産業振興など 8 項目の経済協力の具体化について協議した。日本側は政府代表の原田
親仁日ロ関係担当大使、ロ側はリハチョフ経済発展省第 1 次官が出席。原田氏は「(日ロ
関係が)肯定的な基調の中、経済関係の発展に向けて幅広く意見交換したい」と述べ、リ
ハチョフ氏は「双方の首脳のスケジュールも考慮し、年内の作業プランを確認したい」と
応じた。
運航再開 1 日に延期 サハリン航路(D160722)(要約)稚内とサハリン州コルサコフを結ぶ
定期航路の再開を目指す同州の船舶運航会社「SASCO」のチリェノフ顧問は、当初 7 月
25 日としていた運航再開日を 8 月 1 日に延期することを明らかにした。チリェノフ顧問は
「延期になったが、安全で快適に乗客を運べるよう努力したい」と述べた。北海道サハリ
ン航路によると、台風の影響で、シンガポールの船舶会社からチャーターした双胴船のコ
ルサコフ入港が遅れ、予約受け付け開始に必要な試験運航を予定通りこなせなかったとい
う。
サハリン航路、予約開始 稚内 受け入れ態勢着々(D160726)(要約)日本側の総代理店で
ある北海道サハリン航路は、稚内とサハリン州コルサコフを結ぶサハリン定期航路の日本
人利用客の予約受け付けを開始した。運航開始前に必要な試験運航も終わっており、市内
の観光関係者は受け入れ態勢の準備を急ピッチで進めている。予約は稚内市内の北都観光、
北海道サハリン航路の HP でも案内している。市内の観光関係者らも「航路再開でロシア
人の宿泊が増えるかもしれない」と期待する。
樺太の魂に思い届ける 豊原会、ユジノで慰霊祭(D160726)(要約)樺太(サハリン)から
の引き揚げ者らでつくる樺太豊原会は、昨年に続き、ユジノサハリンスク(豊原)で慰霊
祭を行った。火葬場跡地は、旧ソ連軍による豊原駅周辺への空襲で犠牲となった日本人が
埋葬された場所とされる。
ロシア 200 ㌋内サケ・マス引き網漁 不調で漁獲枠達せず(D160727)(要約)ロシア 200 ㌋
内で今年から禁止された サケ・マス流し網漁 の代替漁法として、カムチャツカ半島南方
のロシア海域で行われていた引き網漁による試験操業が 26 日、終わった。水産庁などに
よると、漁獲は日ロ政府間交渉で決まった割当量には達せず、漁は不調に終わったもよう
だ。流し網漁が数十㌔にも及ぶ網を張ってサケ・マスを待つ漁法に対し、引き網漁は船が
長さ約 90 ㍍の袋状の網を引いて魚群を追う。道内の漁業関係者によると、全体の漁獲量
は 10 ㌧に達せず、魚価が高く期待されていたベニザケはわずかで、カラフトマスが最も
多かったという。
北極海航路、道内中継港の実現探る ロシア視察へ(D160727)(要約)道内港を中継してア
ジアと欧州を結ぶ「北極海航路」の実現の可能性を探るため、道と北海道経済同友会、港
湾関係者らは 8 月 10 日から、航路の拠点化に力を入れているムルマンスク州などを訪れ
る。道と経済界による合同の視察は初めて。地球温暖化による海氷面積の減少を背景に新
しい物流ルートとして同航路への注目が高まる中、官民がスクラムを組んで中継港を目指
す動きに弾みをつけたい考えだ。北極海航路は近年、海氷の減少で夏季の航行が可能にな
った。ロシア・欧州方面からベーリング海峡を抜けてきた船舶にとって、北海道はアジア
への玄関口に位置する。こうした地理的な優位性などを踏まえ、道は勉強会を開催してい
るほか、国も 13 年度の海洋基本計画に北極海航路の活用方針を盛り込み、採算性などを
調査している。ロシア情勢次第で航行が左右されるリスクがあるほか、専門家からは「道
内産品の欧州市場での需要も見極める必要がある」(大塚教授)との指摘もあり、関係機
関などからの情報収集も進める構えだ。
ロシア産活カニ輸入額最低 稚内港上半期 82%減 1 億 500 万円(D160730)(要約)稚内税
関支署が発表した上半期の稚内港外国貿易概況によると、ロシア産活カニ輸入額は 1 億
500 万円と、統計が残る 1988 年以降では最低となった。2014 年 12 月発効の日ロカニ密
漁・密輸防止協定の影響を受けた前年同期と比べても 82.1%減少。輸入総額も前年同期比
39.7%%減の 5 億 3700 万円と 3 年連続で減少。活カニ輸入量も前年同期比 81.0%の 77 ㌧
と過去 3 番目の低水準。毛ガニの輸入実績はゼロだった。活カニの輸入が協定の影響を同
様に受けた前年同期から大幅に落ち込んだことについて、同支署は「高く売れる中国や韓
国に流れている。当面この状況が続くだろう」とみる。輸出総額は、同 5.2 倍の 4 億 7900
万円で 3 年ぶりに増加。昨年までサハリン定期航路に使われていた船舶(4 億 5 千万円)
が 4 月にフィリピンに輸出され、総額を押し上げた。外国貿易船の入港隻数は同 35 隻減
の 92 隻。このうち、カニ運搬船は 39 隻。また同支署が同日発表した 6 月の貿易概況によ
ると、輸入総額は前年同月比 18.9%増の 3 億 800 万円。ロ産活ウニ輸入が増えたためで、
18 カ月ぶりの増加と。輸出総額は 84.8%減の 900 万円。
サハリン定期航路再開 第1便が稚内に到着(D160801)(要約)サハリン州コルサコフと稚
内を結ぶフェリー定期航路が 1 日、運航を再開した。ロシア人 6 人、日本人 1 人の計 7 人
が乗船。ロ側でチケット販売業務を担うユジノサハリンスク市の旅行会社「ビートモ」は
「ロシア人からの問い合わせは多く、利用はこれから増えてくる」と話し、稚内への買い
物ツアーも企画しているという。
サハリン航路 道が財政支援へ(D160804)(要約)道は 3 日の道議会新幹線・総合交通体系
対策特別委員会で、1 日に運航を再開した稚内とサハリン州コルサコフを結ぶ日ロフェリ
ー定期航路について、運航会社に助成する稚内市に対し、財政支援を行う考えを明らかに
した。道によると、日ロの両社は運航経費 56 万㌦(約 5880 万円)を半分ずつ出すことで
合意。サハリン州政府は SASCO 負担分の 28 万㌦を全額支援する。稚内市も北海道サハ
リン航路の要請を受け、運航経費の助成を決定。工藤広市長が高橋はるみ知事に財政支援
を要望。道の支援額は 9 月ごろまでに決める。高橋利明・道物流港湾室長は「稚内市と連
携した取り組みが必要」と話した。
旧ソ連が撮った広島・長崎 被爆映像、原爆資料館公開(D160804)(要約)広島、長崎両市
の原爆資料館は 4 日、旧ソ連が撮影した原爆投下後の両市の映像を報道陣らに公開した。
爆心地近くの様子や、がれきが散乱した町並みが写されている。広島の資料館によると、
1945 年 9 月に旧ソ連の調査団が広島、長崎を視察した記録はあるが、旧ソ連が撮影した映
像を入手したのは初めて。今年 6 月に来日したナルイシキン下院議長が安倍首相に贈り、
外務省を通じて両市に提供された。映像は白黒で約 5 分、ロシア語のナレーション付き。
冒頭で原爆実験のきのこ雲の様子を紹介。資料館が既に米国立公文書館から入手したもの
と同じで、米国が 45 年 7 月に実施した人類初の核実験「トリニティ」とみられる。その
後に続く映像では、爆風で崩壊した広島ガス本社や、長崎の松山町(旧駒場町)付近で、
実際に旧ソ連軍の調査団が傘を差して視察する様子も写っている。撮影日時や活用目的は
不明だが、現存する当時の在日ソ連大使館の報告書などから分析すると、広島の撮影時期
は 45 年 10~11 月、長崎は 9 月 16 日の調査時と推測される。
ロシア、経済協力に期待 安倍改造内閣(D160804)(要約)国営ロシア通信は 3 日、日本の
内閣改造で、対ロ政策を所管してきた世耕弘成官房副長官が経済産業相に就任したことを
速報で伝えた。安倍政権が掲げる対ロ関係強化の路線が継続することへの期待感の表れと
みられる。ロシア通信は、世耕氏がロシアとの経済協力を推進する日ロ経済交流促進会議
の議長を務め、7 月に訪日したウリュカエフ経済発展相とも会談したと指摘。世耕氏の経
産相就任を、日本側がロシアとの経済協力を本格化させるシグナルと受け止めているもよ
うだ。インタファクス通信は、安倍政権の外交を推進してきた岸田文雄外相が留任したこ
とで「ロ日関係に何も影響は与えない」とする専門家の分析を伝えた。ロシア政府は年内
にも想定されるプーチン大統領の訪日に向け、日本側との調整を本格化させるとみられる。
ロ側対応、今年も混乱 来月、ウラジオで経済フォーラム 大臣訪日も延期(D160804)(要
約)9月にウラジオストクで開かれる経済フォーラムを巡り、ロ側の対応が混乱している。
プーチン大統領と安倍首相の訪問が予定され、ロシア政府は日本企業に強く参加を呼びか
けているが、一方で札幌などで予定していた企業説明会やガルシカ極東発展相の訪日を急
きょ延期。フォーラムは昨年も運営でトラブルが相次いだだけに、日本側関係者からは
「またか」との声が出ている。フォーラムは、極東開発を重点政策に掲げるプーチン氏の
肝いりで昨年始まった。海外からの投資呼び込みが狙いで、日本のほか中国、韓国などア
ジア各国に参加を呼びかけている。主催する極東発展省は 3 日に札幌、5 日に東京で企業
向けの説明会を企画。ガルシカ氏も同時期に訪日し、日本の政府要人らと会談する計画だ
った。しかし、説明会の開催日程を日本の経済団体が 7 月中旬に発表した数日後、ロ側が
突然延期すると日本側に通知。日本側で受け入れ準備をしてきたロシア NIS 貿易会は「ロ
側の諸般の事情」とだけ説明している。日ロ関係筋によると、ガルシカ氏の訪日延期の連
絡も 8 月に入ってからで、日本政府筋は「内閣改造と重なり、閣僚と思うように面会でき
ないことが原因では」と話した。同フォーラムは昨年も直前に参加人数が制限されるなど
混乱が相次いだ。日本の経済団体関係者は「企業の極東進出を後押ししようとしているの
に、悪いイメージが広がってしまう」と話している。
日本兵遺骨 12 柱を発見 サハリン州調査団発表(D160806)(要約)終戦直後に旧日本軍と旧
ソ連軍が戦った千島列島のシュムシュ島(占守島)で 7 月に遺骨を収集したサハリン州の
調査団が、旧日本兵とみられる遺骨 12 柱が見つかったと発表した。調査団は「時期は未
定だが、日本側に引き渡す計画だ」と述べた。調査は州政府が 450 万㍔(約 690 万円)を
かけ、旧日本軍のトーチカが残る島の北東部を中心に行われた。
旧ソ連抑留死者 新たに 26 人発表 道内は 2 人(D160806)(要約)厚労省は 5 日、
旧ソ連に抑留され、樺太やシベリア地域などで死亡した計 26 人の名簿を HP に
公表した。このうち、道内出身者は樺太地域で死亡した米津清一さんと北千島
地域で死亡した中居弥一郎さんの 2 人。
サハリンのフェス アイヌ民族初参加(D160806)(要約)サハリン州ユジノサハリ
ンスクで 6,7 日開かれる「北方少数民族芸術フェスティバル」に、北海道から
アイヌ民族が初めて参加する。アイヌ民族の学生でつくる札幌大学の「ウレ〓
パクラブ」のメンバーら 10 人が、かつてアイヌ民族も暮らしたサハリンで伝
統の踊りや歌を披露する。イベントの国際化を図る州政府の招待を受け、日露
青年交流センター(東京)の派遣事業として参加が実現した。フェスティバル
を主催するサハリン州民族芸術センターのゾーヤ・ルシャン代表は「アイヌ文
化を大事にし、サハリンとの関係を発展させたい」と話す。代表団は北大アイ
ヌ・先住民研究センターの北原次郎太准教授。サハリンやサハ共和国に暮らす
先住民族ニブフ、エベンキ、ナナイの人々との交流も深めた。
〈月曜討論〉日ロ「新アプローチ」の展望は(D160808)(要約)
安倍晋三首相とプーチン大統領は5月の首脳会談で、北方領土問題の解決に向け、平和
条約交渉を「新たなアプローチ」ですすめることで一致した。両首脳は9月初めに極東ウ
ラジオストクで再び会談する予定で、首相はプーチン氏の年内来日をめざす考えだ、領土
問題や両国関係の展望について、日ロ両国の専門家に聞いた。
■中国念頭に関係を強化 日本国際フォーラム参与・斎藤元秀氏
さいとう・もとひで:函館出身。慶応大大学院で博士課程終了後、米コロンビア大で博士号
取得。杏林大教授。北大スラブ・ユーラシア客員教授を歴任。専門はロシア外交、国際関係論。
著書に『ロシアの外交政策』。68歳。
「新たなアプローチ」で最も注目すべき点は、安倍晋三首相が 2 国間の関係だけでなく、
グローバルな視点を考慮に入れた上で、平和条約締結交渉を進める考えに言及したこと。
首相の念頭にあるのは、中国の存在。軍事的に強大化する中国の脅威に対応するためには
日ロの関係強化が重要になってくる。一方、ロシアにとって中国は長年の戦略的パートナ
ーだが、本音では長い国境を接する中国の台頭に不安を感じており、日本への接近は中国
をけん制する思惑がある。ロ側が 外務・防衛閣僚級協議(2 プラス 2)の再開を求めている
のは、その表れと言える。こうした状況を踏まえ、首相は 5 月の首脳会談で平和条約締結
交渉を動かす切り札として、極東開発など 8 項目の経済協力プランを提案した。北方領土
問題の解決を前面に出すのではなく、多様な分野で日ロ関係を発展させることで交渉を前
に転がす戦略だ。プーチン大統領は、シベリアや極東の開発が思うようにいかないため、
資金面や技術面で日本の本格的な協力を渇望している。9 月にウラジオストクで予定され
る首脳会談を踏まえ、日本側が期待する自身の年内訪日というカードを、経済協力を引き
出すために使ってくると考えられる。ただ、8 項目のプランは民間企業が主体となること
が前提。民間が動かなければ「新たなアプローチ」は中身を伴わず、プーチン氏は納得し
ないだろう。ロシアの投資環境はやや改善したとの見方があるが、日本の財界にはロシア
と対立する米国への配慮から慎重論がある。道内企業などが既に進出している農業や医療
分野は比較的実現しやすいが、世界的に供給過多な状態にあるエネルギーの大規模共同開
発などは難しい面がある。ロシアは日本に経済協力を求めつつ、北方領土の「ロシア化」
を進める二面外交を続けている。プーチン氏はウクライナ南部クリミア半島を一方的に編
入して以来、ナショナリズムをあおって国民の支持を集めており、実効支配する四島を手
放すとは考えにくい。ロシア沿岸を通ってアジアと欧州を結ぶ「北極海航路」への出入り
口としても北方領土を重視し、さらに軍事的な位置付けからも簡単に譲歩することはあり
得ない。日本政府は領土問題で進展がない場合、どこまで経済協力を進めるのか、戦略を
しっかり描いておくべきだ。中国、領土、経済という三つの要素を考慮し、粘り強く外交
努力を重ねていくべきだと思う
■領土問題、経済協力から ロシア科学アカデミー極東研究所上級研究員・ヴィクトル・
クジミンコフ氏
モスクワ生まれ。国立モスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学院終了後、大阪外語大を
経て 2004 年に神戸大大学院で博士号(政治学)を取得。日ロ関係の専門家として、08 年 11
月から現職。41 歳。
ウクライナ問題で日本政府が 2014 年に欧米の対ロ制裁に加わったことは、日ロ関係に
大きなダメージを与えた。制裁の内容は大したことがなくても、発動したこと自体が米国
の言いなりで独自の考えがない国の表れだと、ロシアでは受け止められている。安倍首相
が 5 月に訪ロし、政府間の平和条約交渉も再開しましたが、日ロ関係はまだ制裁前の勢い
を取り戻してはいない。制裁やメディアのプロパガンダもあり、ロシアの世論調査で、日
本に親しみを感じる人の割合は減っている。こうした現状をまず変える必要がある。首相
が提案してプーチン大統領と合意した「新たなアプローチ」は詳しい内容が説明されてい
ないが、領土問題に固執せず、両国がもっと国際舞台で協力しながら何ができるかを考え
るといい。領土問題以外、両国の立場は多くの分野で一致している。北朝鮮問題など安全
保障面で協力できるし、ロシアが失敗を繰り返してきた極東開発に日本が援助すれば肯定
的に受け止められるだろう。日本側には経済協力だけが進むことを懸念する声があるが、
ロ側からすれば島を引き渡した後に日本が経済協力をする保証はない。協力を進めた方が、
返還しやすい環境につながる。北方領土における共同経済活動を進めて日本の関与を強め
れば、現地の住民は「日本が来ることは悪くない」と、警戒感が薄れる。ロシアの主権を
認めない形での経済協力の方法は、両国の外務省間の交渉で知恵を出せるはずだ。日本は
1950 年代に一時、2 島返還を主張したこともあり、四島返還を求める主張は法的根拠が弱
い。プーチン政権が認めている「日ソ共同宣言」を基盤にして 2 島プラスアルファを考え
る必要がある。日本に、残り 2 島の周辺海域でも漁業を認めるとか、千島列島全島で何ら
かの特権を与えるなど、プラスアルファはいくらでも考えられる。ロシアは極東開発で中
国だけに依存する形は避けたいが、日本が出てこなければ中国との協力を進めるだろう。
北方領土にも中国企業が進出する可能性がある。プーチン氏の訪日は、ロ国民に説明する
ためにも成果が重要。首相が提案した 8 項目の経済協力プランは目新しい内容は少なく、
訪日する条件は整っていない。現時点で年内の実現は難しい。
日ロの懸け橋開館 20 年 ノボシビルスク「北海道文化センター」 地方発交流の拠点に
/札幌市民が支援独自の教科書も(D160814)(要約)札幌市の姉妹都市ノボシビルスク市。
シベリアの中心都市と呼ばれるロシア第 3 のマチで、札幌市民が建設費の一部を支援して
できた「シベリア・北海道文化センター」が開館 20 年を迎える。財政難など運営面の苦
労もあったが、両市民に支えられ、日本語教育や文化普及を行う交流拠点として活発な活
動を続けている。現在、センターで日本語を学ぶ生徒は約 200 人。日本人 1 人を含む 8 人
の講師が教えている。特徴の一つは、センター独自の教科書を使っていることだ。センタ
ー設立のきっかけは囲碁交流でノボシビルスクを訪れた北海道・ロシア文化協会の根本清
一会長が、日本文化を発信する拠点づくりを思い立った。札幌市民から 1 千万円超の寄付
が集まり、ノボシビルスク市の支援を含めて建設費約 5 千万円かけて 96 年にセンターが
完成した。床面積は 2400 ㎡。市内外から年間約 1 万人が訪れる。センターの年間運営費
は約 1400 万㍔(約 2300 万円)で、ノボシビルスク市が負担。
「なぜ日本だけに予算をか
けるのか」との声もあり、センターを利用して他の国との交流を増やすため、名称から
「北海道」を外す案が取り沙汰されたこともあったという。ただ、札幌市民が文化交流の
講師をボランティアで引き受けるなど、長年、センターは札幌からの草の根の支援に支え
られてきた。スピリドノフ館長は「ここまでセンターの活動が広がったのは、両市の多く
の関係者の協力のおかげ。国同士の関係は難しい時もあるが、我々の活動はそれを乗り越
えられる」と、札幌との一層の交流拡大に期待している。
ウズベク原産のメロンやスイカ、東川で 「新たな特産に」(D160817)(要約)ハロウィー
ン用カボチャのような外観のメロンやラグビーボール型のスイカなど、中央アジアのウズ
ベキスタンで親しまれているメロンやスイカを東川でも―。新たな特産品を模索する町は
本年度、町と交流がある同国の種を使ったメロンとスイカの栽培に挑戦している。発芽し
なかったり、気候の違いから病気にかかったりした品種も一部あるが、多くは順調に生育
し、収穫に期待が高まっている。町とウズベキスタンは 2013 年に町内で同国の写真展を
開催したのを縁に交流を深めている。同年、松岡市郎町長らが同国を訪問した際、メロン
とスイカを食べ、おいしさに感動したのが町内での栽培に取り組むきっかけとなった。ウ
ズベキスタンは典型的な内陸性気候で、日本に比べて雨が極端に少なく、夏の最高気温が
45 度を超えることもある。しかし、「秋の気温は、北海道の夏に近い」とウズベキスタン
政府主催の経済フォーラムで協定書の調印式が行われる予定。道銀からは堰八義博会長が
出席する。道銀はすでにロシア最大のロシア連邦貯蓄銀行や、大手の VTB 銀行、VTB24
銀行と協定を結んでいる。サハは寒さが特に厳しく、道内企業が持つ寒冷地向けの農業や
住宅建築などの技術を売り込むチャンスが多いため、地元の事情に詳しいとの連携が有効
だと判断した。サハ共和国では現在、道銀が業務提携している地域商社の北海道総合商事
が温室野菜の栽培計画を進めており、計画を軌道に乗せ、販路を確立できるよう AEB に
協力を仰ぐ構え。生産した野菜を現地で安定的に売る道筋が付けば、農作物に限らず水産
加工品や乳製品などさまざまな道産品を輸出しやすくなるとの考えだ。笹原頭取は「企業
の海外進出を後押ししていくには、現地の銀行から信頼できる会社を紹介してもらうこと
が重要。AEB との協定で、ロ極東での十分な支援体制が完成する」と述べた。また、笹原
頭取は道銀と北陸銀行の持ち株会社ほくほくフィナンシャルグループが立ち上げる証券会
社の営業開始時期について、来年 1 月とする考えを明らかにした。
現地情報、道内顧客に提供 ロシア極東展開、道銀・笹原頭取に聞く(D160819)(要約)―
―道内企業の進出を支援するなどロシア極東でのビジネスに力を入れています。 「北海
道とロシア極東は非常に近くにありながら、北方領土問題の影響で経済交流が遅れていま
した。しかし、北海道の発展のためには地の利があるロシア極東との交流が重要です。両
国の結びつきを徐々に太くしていけるよう、道銀としてできることを地道に積み重ねたい
と考えています」
―― サハ共和国のアルマズエルギエン銀行と連携協定を結びます。どのようなメリットが
期待できますか。 「サハではすでに、道内企業が野菜の温室栽培を試験的に始めていま
す。ほかの分野での進出も考えられるでしょう。そうした企業の支援を強化する狙いがあ
ります。両行のネットワークを生かして道内企業とサハの企業を結びつけるだけでなく、
ビジネスにかかわる情報、法律や独自の商習慣などを教えてもらい、顧客に伝えることが
できるようになります」
――北海道銀行と北陸銀行の持ち株会社ほくほくフィナンシャルグループが証券会社を立
ち上げます。 「まだ準備段階ですが、できれば来年 1 月から会社をスタートさせたいと
思っています。貯蓄から投資への流れが拡大していますが、銀行は株式を扱うことができ
ません。グループ内に銀行と証券会社という二つのチャンネルを持つことで顧客のあらゆ
るニーズに対応していきたい」
9 月 2 日に日ロ首脳会談 ウラジオストクで、ロ極東発展相(D160819)(要約)日ロ両政府は、
安倍首相とプーチン大統領がウラジオストクで 2 日に開幕する経済フォーラムに合わせ、
同日夕に会談する方針を決めた。全体会合では首相が極東開発などをテーマに演説する方
向で調整している。ロ側は経済協力の具体化を強く求める見通しで、日本側は北方領土交
渉の進展につなげたい考えだ。
カニ密漁の取り締まり継続 道がロシアに要請 洋上会談(D160820)(要約)道とサハリン
州国境警備局は 19 日、宗谷海峡の日ロ中間ラインで本年度初の日ロ洋上会談を行った。
道は宗谷管内猿払沖から同枝幸沖にかけての日本の排他的経済水域で、3~7 月にカニかご
漁の違法漁具が約 900 個見つかったことを報告。2014 年末発効の日ロカニ密漁・密輸防
止協定のもと、カニ密漁根絶に向けた取り締まりの継続をロ側に求めた。
旧ソ連抑留の犠牲 悼み続ける 道内団体 最後の慰霊祭 高齢化、資金難「風化が心配」
(D160821)(要約)太平洋戦争後、樺太などから旧ソ連軍によってシベリア地方などに連行、
抑留され、過酷な労働で亡くなった道内出身者を悼む慰霊祭が 20 日、札幌市南区で開か
れた。主催する全国強制抑留者協会北海道支部は、会員の高齢化や資金難のため 23 回目
の今年で打ち切る。
千島・占守島戦闘で最後の慰霊祭 元兵士ら高齢化、48 回で幕(D160821)(要約)太平洋戦
争で日本のポツダム宣言 受諾後に日ソ両軍が激戦を交わした千島列島北東端・シュムシュ
島の戦闘に参加した元兵士や遺族でつくる「北千島慰霊の会」が 21 日、札幌護国神社で
慰霊祭を行い、元兵士ら十数人が参加した。関係者の高齢化などを理由に、会としての慰
霊祭は 48 回目の今年が最後。
日ロで秋田犬外交再び 首脳会談控え友好演出(D160823)(要約)秋田犬保存会の会長を務
める遠藤衆院議員ら与野党 4 衆院議員が、モスクワ郊外にあるロシア人の秋田犬ブリーダ
ー宅を訪れた。2012 年には秋田県がプーチン大統領に秋田犬を贈り、日ロ交流に貢献。9
月の首脳会談を前に、再び“秋田犬外交”で友好ムード演出を狙う。秋田犬は国の天然記
念物で、愛好家は国際的にも広がっている。
サハリン定期航路再開 州知事支援即決で実現 日ロ協力、首脳会談に弾み(D160824)(要
約)稚内とサハリン州を結ぶ定期航路が 1 日、新たな体制で再出発を切った。稚内の関係者
からは日ロ協力が実現した好事例として、9 月の首脳会談に弾みがつくとの期待感も高ま
っている。稚内側は、今年 4 月に 第三セクター「北海道サハリン航路 HSL」を設立。2 年
以内の航路再開を目指していたが、「今年とは誰も思っていなかった」。5 月、サハリン州
のコジェミャコ知事が「フェリーのことを教えてほしい」と稚内の関係者を州政府に呼び
出した。航路の歴史や存続の意義を説明されると、「金を出す」と支援を即決。トップダ
ウンで運航再開にかじを切った。HSL も「ロ側のスピード感には驚いたが、この話を断れ
ば見放される」と申し出に応じることを決めた。ロ政府はサハリンを含めた極東地域の発
展を最重要課題に掲げており、航路存続を急いだ背景には日本との関係を重視するプーチ
ン大統領に近いとされるコジェミャコ氏の「中央への実績づくり」(日ロ外交筋)がある
との見方も強い。一方で航路存続は、経済協力を糸口に 北方領土問題 の進展を図る日本
政府からも「日本とサハリンをつなぐ象徴的な意味を持つ」(外務省関係者)と歓迎の声
が上がる。両社は、来年度以降も運航の継続を目指す方針で一致している。HSL の藤田幸
洋社長は「両国の協力によるモデルケースとして話題に上り、経済交流の前進を後押しで
きれば」と期待している。HSL によると、今季は期間中に千人の利用が目標だが、運航再
開が当初予定よりに遅れたことなどから、23 日までの乗客数は 223 人にとどまっている。
サハリンへ貨物船出港 稚内3社チャーター 試験輸出(D160824)(要約)サハリン州との
貿易実績がある市内の 3 社が連携してチャーターした貨物船が 23 日、道産果物や建材な
ど約 20 ㌧を積み込み、サハリンへ向け稚内港を出発した。10 月にユジノサハリンスク市
で開かれる道北物産展に向け、試験的に商品を輸出し、通関の流れなどを確認するのが目
的。チャーターを主導した稚内市内のスーパー経営「ホクユーストア」の吉川勝社長は
「物産展に向け、関係機関の知恵を結集して貨物を集めていきたい」と話した。
稚内航路の魅力広めて サハリンの記者招き PR(D160826)(要約)1 日に運航を再開した稚
内とサハリン州コルサコフを結ぶ定期航路と稚内観光の PR のため、同州の報道関係者を
招いたモニターツアーが 25 日から 5 泊 6 日の日程で始まった。一行は、稚内市内の観光
施設やイベントなどを30日まで取材する。稚内市の第三セクター「北海道サハリン航路」
HSL が企画。同州で新聞発行やテレビ局を運営するメディア大手、ベドモスチ社の記者ら
3 人を招待した。一行は定期航路で稚内に到着。期間中、宗谷岬など観光地や、市内の食
品スーパーなどを取材し、帰国後にテレビや新聞で報道する。
四島の思い出語る 60 点 根室振興局、初の企画展(D160826)(要約)北方四島の元島民が、
島を追われた際に持ち出した思い出の品を展示する初の企画展「忘れてはいけない、モノ
がたり展」が 25 日、根室振興局で始まった。振興局が昨年度から取り組む「北方領土遺
産発掘・継承事業」の一つで、 北方領土問題 への道民の関心を高める狙い。旧ソ連軍が
四島への侵攻を開始した 1945 年 8 月 28 日に合わせて開催した。色丹島で捕獲したアザラ
シの皮を使ったトランク、マッコウクジラの歯に彫った不動明王像、歯舞群島多楽島で使
われた蓄音機など、大切に保管されていた約 60 点を元島民から借りて展示。振興局職員
が聞き取った展示品にまつわる逸話もパンフレットなどで紹介している。
<日ソ共同宣言 60 年
埋もれる苦難の歴史
シベリア抑留>上
帰らぬ遺骨、終わらぬ
慰霊(D160826)(要約)日本人 50 万人以上がシベリアなどに抑留され、5 万人以上が命を失
う悲劇を生んだ旧ソ連の指導者スターリンの極秘指示から、23 日で 71 年。1956 年には日
ソ共同宣言を受けて最後の抑留者が帰国したが、遺骨収集など多くの課題が今も残された
ままだ。全抑協は今夏、旧ソ連圏 7 地域に慰霊訪問団を送った。参加者 79 人の大半は遺
族で元抑留者本人は 5 人。元抑留者の平均年齢は 90 歳を超えた。慰霊先の埋葬地は、抑
留者への聞き取りやロ側資料から旧ソ連圏とモンゴルに約 660 カ所と推定される。日本政
府は埋葬地を探し遺骨収集を進めているが、特定できた埋葬地は約 220 カ所。建物の建設
や洪水による地形変化で約 220 カ所は確認が難しく、残りは見つかっていない。今年も 5
~6 月に厚労省の職員が極東で現地調査を行ったが、ロ側資料は古い手書きの地図や文章
で場所を示したものが多く、「地元の古老への聞き取りも記憶の風化で年々困難になって
いる」
(厚労省事業課)。旧ソ連が抑留死亡者名簿を初めて日本に提供した 91 年まで作業
が手つかずだったことが響いている。元抑留者団体などの長年の働きかけで、日本政府は
2010 年にようやく、苦難を被った抑留者本人に一時金を支給する特別措置法を制定。約 7
万人が受給した。政府が死亡者や埋葬地の特定、遺骨収集など強制抑留の実態解明を進め
ることも決めた。ただ、抑留問題解決をロシア側に働きかけるための日ロ政府間協議は 10
年以来、開かれていない。ロシアの民間団体や各地の役所に新たな情報提供を求めている
が、交渉筋は「日ロ間の主要な政治議題にはなっていない」と明かす。
<日ソ共同宣言 60 年 埋もれる苦難の歴史 シベリア抑留>下 愛国ムード 消えた謝
罪(D160827)(要約) 第 2 次大戦期に、旧ソ連の最重要政策を決めていた国家防衛委員会が
1945 年 8 月 23 日に行った「決定 9898 号」。 シベリア抑留 の原点とも言われる文書。
「日
本軍捕虜 50 万人を収容所へ送れ」
「労働に適した捕虜を選抜せよ」。生々しい指示が、
「極
秘」と書かれた 10 ㌻の文書に並ぶ。文書はロ国立社会政治史文書館に保管されているが
昨年 6 月、旧ソ連の戦勝 70 年を記念し、ネットで閲覧できるようになった。旧ソ連崩壊
後、秘密指定が解除され同文書館では閲覧できたが、一般公開は初。旧ソ連各地域、作業
ごとに連行する人数までが事細かに示され、指導者ヨシフ・スターリンの直筆のサインが
入っている。旧ソ連は大戦で 2 千万人以上の死者を出した。抑留は労働力を補うため対日
参戦前から計画されたとの見方が有力だが、決定に至った過程はいまだ明らかになってい
ない。抑留問題を長年研究するロシア東洋学研究所主任研究員 E.カタソノワ氏は「当時、
人手不足だった各地の工場が日本人を送ってほしいと要請する文書は見つけたが、指導部
内でどんな議論があったかを示す書類は出てきていない」と話す。抑留を指示する直前に
は、スターリンが提案した北海道北半分の占領をトルーマン米大統領が拒否していた。終
戦直後には、関東軍総司令部が旧ソ連側に旧満州(現中国東北地方)での日本人捕虜の使
役を申し出た文書も見つかった。これらがスターリンの判断に影響したとの説もあるが、
裏付ける証拠は乏しい。もう一つの謎は、スターリンが抑留を指示した文書に、普段使う
赤や青ではなく緑の鉛筆でサインしていることだ。歴史文書に詳しいロ国立人文大学の A.
ユルガノフ教授によると、スターリンのサインには、赤は「反論を認めない」、青は「意
見があれば聞く」という暗黙の意味があった。「緑のサインは見たことがない。」抑留史に
詳しいイルクーツク大の S.クズネツォフ教授は「数万人の兵士の受け入れ態勢がよく検討
されず、拙速に行われた。日本嫌いのスターリンらしい感情的な決定だった」と推測する。
シベリア抑留は捕虜の早期帰還を定めたポツダム宣言に反している。93 年に訪日したエリ
ツィン大統領は、抑留について「非人間的行為」と言及。「全体主義が犯した罪に謝罪の
意を表する」と述べ、深々と頭を下げた。しかし、今年訪日したナルイシキン下院議長は
戦時下の旧ソ連の行いは「国際法違反ではなかった」と明言。戦争犠牲者への哀悼は示し
たが、抑留に対する謝罪の言葉はなかった。プーチン政権は大戦の歴史を正当化する動き
を強め、国民にもスターリン再評価の機運が出ている。世論調査で、スターリンの激しい
弾圧を「犯罪」と答えた人は 2007 年の 72%から、今年 3 月には 45%まで減った。多くの
抑留者が犠牲になったイルクーツクでは昨秋、市民有志が日本人抑留者が建てた建築物を
巡るツアーを企画。講師を務めたクズネツォフ氏によると約 300 人の参加者からは抑留者
に同情する声が相次いだ。だが、このような機会は数少ない。強まる愛国ムードの中、抑
留の歴史はかき消されようとしている。
北海道に送電、実現模索 ロ政府構想 サハリンでは石炭火発の建設進む(D160830)(要
約)ロ政府が、サハリン州から北海道に電力を輸出する「エネルギーブリッジ」構想の可能
性を模索している。2012 年にロ側の計画が明らかになって以降、日本との協議は具体化し
ていない。しかし、両国で経済協力の機運が高まる中、ロシア政府内では有望案件の一つ
に再浮上。サハリン州では日本への送電を想定した 石炭火力発電 所の建設が本格化し、9
月にウラジオストクで開かれる経済フォーラムでも議題に上る見通し。サハリン州中部の
西海岸に位置するイリインスキー近郊では、で、サハリン産石炭を使う新たな火力発電所
の建設が進んでいる。ロシアのエネルギー大手「ルスギドロ」などが総工費約 340 億㍔
(約 530 億円)を投じ、17 年後半にまずは 12 万 kw の発電を可能にする第 1 段階の工事
を完了させる計画。人口約 630 人の集落にサハリン州各地やロシア本土から約千人の作業
員が住み込みで働きに訪れ、今年末までにその数は 2 千人に増える見通し。ロ政府が提唱
するエネルギーブリッジ構想は、サハリンと北海道の間に海底ケーブルを敷き、イリイン
スキーを含むサハリン州内の発電所から約 50 万 kw の余剰電力を日本に輸出する内容。サ
ハリン州政府幹部は、13 年にプーチン大統領がユジノサハリンスク市を訪問した際に「エ
ネルギーブリッジの整備を進めるよう会議で指示した」と明かす。新たな発電所の建設も、
極東のエネルギー戦略に力を入れるプーチン氏の意向に沿ったもの。だが、実現へのハー
ドルは高い。ケーブル敷設や受電設備に「最低でも数千億円」(日本のエネルギー関係者)
とみられる巨額の事業費が必要になるほか、日本の法律は海外からの電力輸入を想定して
いない。日本政府内には重要なライフラインを他国に依存することへの安全保障上の懸念
もあり、
「まだまだ先の可能性の話」(外務省関係者)と受け入れには慎重論が根強い。サ
ハリンの地元メディアなどによると、ロ政府の極東発展省が構想実現への課題を検討する
作業チームの設置を表明。ウラジオストクで開かれる経済フォーラムでは、日本側関係者
も招いたエネルギーブリッジに関する分科会の開催が予定されている。極東開発を指揮す
るトルトネフ副首相はロシア経済紙のインタビューで「長く複雑なプロジェクトだ」と厳
しい見方を示しながらも、日本側への働きかけを続ける考えを強調した。ロシアは欧米の
制裁や原油安で経済の低迷が続き、日本からの投資拡大に期待が高まる。北方領土問題を
含む平和条約交渉の進展を目指す日本にとってもサハリンを含むロシア極東での経済協力
は重要性を増しており、日ロ関係者からは「今後の交渉次第では、将来的に日ロ協力の切
り札としてエネルギーブリッジ構想が大化けする可能性もある」との観測も出ている。
外国人患者増へ対応 札幌市と東徳洲会病院が協定(D160831)(要約)
済み株式の 5%程度を取得する方向で調整している。出資が実現すれば、ロシアの電力産
業に対し日本企業が設備などの取引をしやすくなると期待される。ロシア極東の経済特区
運営を支援し、 天然ガス 開発に日本企業の参画を促す狙いのようだ。安倍首相はソチで
開かれた日ロ首脳会談で極東開発を柱とする8項目の経済協力案を提示していた。プーチ
ン氏は立ち遅れた極東地域の振興に強い関心を寄せており、日本政府は両国間の信頼関係
を高めることで領土問題の解決につなげたい考えだ。
首相、2 日から訪ロ問 中国とラオスも、政府発表(D160831)(要約)菅官房長官は、安倍首
相が 9 月 2,3 日ウラジオストクを訪問し、プーチン大統領と会談すると発表。その後、中
国とラオスをそれぞれ訪れることも明らかにした。ウラジオストクでのプーチン氏との会
談は 9 月 2 日午後(現地時間)の見込。「東方経済フォーラム」でのスピーチも予定して
いる。首相は、ロシアがプーチン氏の日本訪問を発表したことについて「ありがたい」と
指摘。今年 12 月に 1956 年の日ソ共同宣言発効から 60 周年を迎えることに関し「大きな
節目の年だ。しっかり取り組んでいきたい」と語った。
プーチン大統領 12 月訪日 露補佐官「日本側と合意」 (M160831)(要約)ロシアのウシャ
コフ大統領補佐官(外交担当)は 30 日、露メディアに「プーチン大統領の訪日は 12 月に
なる。既に(日本側と)訪問日程で合意した」と語った。ウシャコフ氏は「日本での首脳
会談では経済・貿易での協力が最重要テーマの一つとなる」と述べた。安倍政権は今回に
訪日を北方領土問題の前進につなげたい考えだが、経済関係を重視するロシア側との思惑
のすれ違いをどうするかが課題となる。
日露首脳 山口で会談へ 12 月訪日 (Y160831)(要約)日露両政府は、プーチン大統領が
12 月に日本を訪問するにあたり、山口県内の温泉旅館で首脳会談を行う方向で最終調整に
入った。プーチン氏の来日は 1 泊 2 日の日程となる見通し。会場は長門市か山口市の旅館
を軸に検討している。
日露 協力関係を強化 あす首脳会談 プーチン氏 12 月来日 合意へ (Y160901)(要約)安
倍首相は 2 日、ウラジオストクを訪問し、プーチン大統領と会談する。経済分野をはじめ
とする協力関係の強化を確認するほか、12 月のプーチン氏の来日について正式合意したい
考えだ。来日は 1 泊 2 日の日程で、山口県の温泉旅館に招く案を検討している。「公式訪
問」と位置づけ、共同声明などの成果文書も準備する。(北方領土問題について)、交渉は
難航も予想される。
「ロシア担当相」新設 世耕経産相が兼務へ (M160901)(要約)安倍首相は 1 日、「ロシア
経済分野協力担当相」を新設し、世耕経産相に兼務させる人事を発令する。2 日の首脳会
談でプーチン大統領に伝える。特定の国名を監視多担当相の設置は異例。世耕氏は先月の
内閣改造で初入閣するまで官房副長官で、首相官邸でのロシア関係の窓口だった。
首相、ロ大統領と今夕会談 ウラジオストクへ出発(D160902)(要約)安倍首相は 2 日、プ
ーチン大統領と会談するため、ウラジオストクに向けて出発した。北方領土問題のヤマ場
とされる 12 月のプーチン氏来日について詰めの調整を行う。極東開発を含めた 8 項目の
包括的経済協力の具体化に全力で取り組む方針を伝えるとみられる。首相は「プーチン氏
と胸襟を開き、平和条約、北方領土問題を前進させたい」と強調。プーチン氏の年内来日
に関し「地元山口県にお迎えして、しっかりと話をしたい」と述べた。プーチン氏は米通
信社のインタビューで、領土問題について「解決したい」とする一方で「取引はしない」
と述べ、経済協力と切り離す考えを示した。
対ロ経済重視アピール 担当相に世耕氏 「領土」見据え(D160902)(要約)安倍首相は 1
日、世耕弘成経済産業相に新設した「ロシア経済分野協力担当相」を兼務させる人事を発
令。2 日のプーチン大統領との首脳会談に向け、ロシアとの経済協力に精力的に取り組む
日本政府の姿勢をアピールする狙いがある。ロ側は歓迎しているが、首相が提案した極東
開発など 8 項目の経済協力プランの具体化を通じ、北方領土問題でロ側の譲歩を引き出せ
るかが課題となる。世耕氏は 1 日、経済協力に関し「しっかり進めればロシアの世論が日
本支持という形になり、政治問題を進めやすい環境が整う」と語り、北方領土交渉の前進
にも寄与するとの認識を示した。一方、ガルシカ極東発展相は、世耕氏の担当相兼務につ
いて「日本政府はロシアとの経済関係強化を願っている」と述べた。
ロ企業へ出資や事業協力 大型案件の受注に期待も(D160902)(要約)日ロ首脳会談に合わ
せて、東芝や三井物産などの日本企業は 2 日、ロ企業への出資や事業協力を次々と決めた。
これまで冷え込んでいた 2 国間の政治関係が改善すれば、ロシアは有望な市場になる。日
本の商社やエネルギー業界は特に注目しており、極東を中心にエネルギー開発やインフラ
整備など大型プロジェクトの受注につながる可能性もある。安倍政権はロシアへの包括的
な経済協力を進める方針。日本企業の関係者はロシア・ウラジオストクで始まった「東方
経済フォーラム」に出席し、ロシア事業の拡大を狙っている。東芝は 2 日、ロシア郵便と
郵便・物流システム事業で協力することで合意。国際協力銀行 JBIC と三井物産はロ国営
電力大手ルスギドロの株式を最大 4.88%取得する。プラント大手の JFE エンジニアリング
はロ国営農業企業と協力し、ウラジオストク近郊に野菜の温室栽培施設を建設する覚書に
調印。マツダはロシア自動車大手ソレルスとの合弁会社が、ウラジオストクに自動車のエ
ンジン工場を設立する契約をロシア政府と結んだと発表。今後の極東資源開発にも期待が
かかる。三井物産や三菱商事はサハリン沖での「サハリン 2」に出資している。大手商社
の幹部は「日本は原油の約 1 割をロシアから輸入しているが、将来は 2 割ぐらいまで増え
るだろう」と予測する。ロシアは世界最大の森林面積を持ち、木材を日本や中国、韓国な
どに輸出している。住友商事はロシア最大級の総合林産企業「チェルネイレス」に 45%出
資しており「日本とロシアの関係が深まれば事業拡大に弾みがつく」と期待を込めた。エ
ネルギー関連だけでなく、さまざまな業種の企業が期待を寄せる。プラント建設や鉄道や
道路、港湾などのインフラ整備だけでなく、ごみ処理施設や上下水道の整備などの環境分
野、医療施設などのビジネスが広がる可能性もある。「トマトやキュウリの温室栽培など、
農業分野でも日本への期待は高い」(大手建設会社)という。大手商社の担当者は「ロシ
アは資源国だが、同時に人口も 1 億人を超える。今後は食品など内需関連にも関わってい
きたい」と意気込んでいた。
ロシア極東で経済フォーラム 日韓首脳も出席へ(D160902)(要約)ロ政府は 2 日、極東に
外国投資を呼び込むため、各国政府高官や経済界関係者をウラジオストクに招いて「東方
経済フォーラム」を開いた。2 日目の全体会合にはプーチン大統領や安倍首相、韓国の朴
槿恵大統領が出席し、演説する。ロシアはウクライナ危機で欧米との関係が一層悪化し、
アジアとの関係強化が喫緊の課題。極東は発展が遅れた地域が多いため、アジアの活力を
取り込みたい考えで、フォーラムを通して投資先としてのロシアの魅力をアピールする。
2 日には日ロのビジネス対話が催される。ロ側はウラジオストク周辺を特別な経済地域と
する「自由港」制度など投資環境の改善を説明。日本側は経団連の朝田照男・日本ロシア
経済委員会委員長(丸紅会長)らが出席し、エネルギー分野などの協力を巡り意見交換す
る。フォーラムには日中韓や東南アジア諸国、欧米など約 30 カ国、2440 人が参加登録し
た。開催は昨年に続き 2 回目。
首相、北方領土解決「現世代で」 日ロ首脳会談の毎年実施も提案(D160903)(要約)安倍
首相は 3 日、訪問先のウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」の全体会合で演
説した。首相は懸案の北方領土問題について、プーチン大統領に「私たちの世代が勇気を
持って責任を果たしていこう」と呼びかけ、現世代で決着させる決意を表明。首相が 5 月
の首脳会談で提案した極東開発など 8 項目の経済協力プランの進展状況を確認するため、
ウラジオストクでの首脳会談の毎年実施を提案した。首相は演説で、北方領土問題に関し
「重要な隣国同士であるロシアと日本が(第 2 次世界大戦終結から)今日に至るまで平和
条約を締結していないのは異常な事態」と強調。プーチン氏に向けて「70 年続いたこの事
態に終止符を打ち、次の 70 年の日ロの新たな時代をともに切り開いていこうではないか」
と訴えた。経済協力プランに関しては、「ロシアと日本の経済は競合関係ではなく見事に
補完する間柄」と指摘。「日本とロシアのもっと緊密な協力が生み出す将来の可能性につ
いて、強い確信を共有しましょう」と述べ、幅広い分野での両国の関係強化をプーチン氏
に促した。具体的な協力分野として、ウラジオストクでの都市整備のほか、極東地域の開
発、ロシア国民の健康寿命を延ばすための高齢者医療の充実、両国中小企業間の交流拡大、
エネルギー資源の開発と生産効率の向上などを列挙。その上で「日本企業と深く付き合う
ことで起きる生産思想の革新をロシアはまだ経験していない」などと述べ、日本の技術や
経験を提供する考えを示した。
ロシア石油大手 日本が出資検討(D160903)(要約)日本政府がロ国営石油大手
ロスネフチへの出資を検討していることが分かった。独立行政法人を通じて株
式を取得する案が出ている。ロスネフチの社長はプーチン大統領の最側近のセ
チン氏で、石油や天然ガス開発を含めた幅広い関係強化が狙いだ。政府は、独
立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構 JOGMEC による海外の国営資
源会社への出資を可能にする法改正を目指している。世耕経済産業相兼ロシア
経済分野協力担当相は 2 日の会見でロスネフチへの出資を否定したが、日ロ経
済筋は「政府内で検討されている。最大1兆円規模だ」と述べた。
ロ大統領領土解決に意欲 「敗者なき方法が必要」 「2 島決着」重ねて示す
(D160903)(要約)プーチン大統領は 3 日、ウラジオストクで開かれた東方経済
フォーラムの全体会合の質疑で、北方領土問題について「双方が敗者と感じな
い解決方法が必要だ」と訴え、互いに歩み寄る重要性を強調した。その上で
「歴史にこのような解決例は少ないが、その例を私たちはつくれると強く期待
している」と述べ、解決への意欲を重ねて示した。プーチン氏は領土問題を巡
り日ロ双方に立場の違いがあるとした上で「(首相と)問題解決が必要だとい
う点で一致している」と指摘。解決に向けて「思い切った一歩を踏み出す用意
はあるが、それには準備が必要だ」と述べ、解決にはまだ時間がかかるとの認
識を示した。首相が提案した 8 項目の経済協力プランは「解決への唯一の正し
い道」と評価。両国は経済や安全保障分野で「自然なパートナーだ」として、
長期的視点で関係発展の基盤を築くべきだと語った。またプーチン氏は 2 島の
日本への引き渡しを明記した 1956 年の日ソ共同宣言の重要性に改めて言及。
「それは(領土)問題を完全に終わらせる条約だ」と述べ、2 島引き渡しで最
終決着を図る姿勢を重ねて示した。一方、首相は全体会合の演説で、プーチン
氏に「70 年続いた異常事態に終止符を打とう」と呼びかけ、両首脳による政治
決着の重要性を強調。首脳間の信頼強化に向け、ウラジオストクで毎年首脳会
談を開くことを提案した。
首相がロシアから帰国 プーチン大統領との会談終え(D160903)(要約)安倍首
相は 3 日午後、 ウラジオストクでのプーチン大統領との会談など一連の日程を
終え、ウラジオストク国際空港から政府専用機で帰国。これに先立つ「東方経
済フォーラム」全体会合の演説では、経済協力の進捗状況を確認するため、プ
ーチン氏と年に1度、定期的にウラジオストクで会談することを提案。北方領
土問題を念頭に「このままでは、あと何十年も同じ議論を続けることになる」
と、プーチン氏に問題解決に取り組む決意を促した。プーチン氏は、日本との
北方領土問題について、首相との間で「問題を解決しなければならないという
点で一致している」と述べた。首相は 2 日午後、プーチン氏と夕食会を含め約
3 時間にわたり会談。プーチン氏を首相の地元・山口県長門市に招き、12 月
15 日に会談する日程で合意。11 月にペルーで開かれる APEC 首脳会議に合わ
せて会談することでも一致。極東地域の開発を柱とする 8 項目の経済協力の推
進を図りながら首脳間対話を重ね、北方領土問題を含む平和条約交渉を進展さ
せることに決意を示した。
日ロ首脳会談の定期化提案 首相演説、ウラジオで年 1 回(D160903)(要約)安
倍首相は 3 日午後、訪問先のウラジオストクで開催中の「東方経済フォーラム」
の全体会合で演説した。日ロ首脳会談で日本側が示した極東開発を含めた 8 項
目の対ロ経済協力の進捗状況を確認するため、プーチン大統領と年に 1 度、定
期的にウラジオストクで会談することを提案した。戦後 70 年余り、日ロ間で
平和条約が締結されていないという「異常な事態」に終止符を打つと強調し、
未来志向の関係構築を呼び掛けた。演説で首相は、両国の経済は補完する間柄
にあるとして、ウラジオストクを「ユーラシアと太平洋とを結ぶゲートウエー
(玄関)」と位置付けた。ロシア極東地域をアジア太平洋地域への輸出拠点に
するために、両国の先端技術の協力や人的交流を通じて「未来への投資」を進
めるよう提唱。さらに「重要な隣国同士であるロシアと日本が、今日に至るま
で(平和条約を)締結していない」と指摘。北方領土問題を念頭に「このまま
では、あと何十年も同じ議論を続けることになる」と訴えた。
首相、北方領土解決「現世代で」 日ロ首脳会談の毎年実施も提案
(D160903)(要約)安倍首相は 3 日午後、ウラジオストクで開かれた「東方経済
フォーラム」の全体会合で演説。首相は懸案の北方領土問題について、プーチ
ン大統領に「私たちの世代が勇気を持って責任を果たしていこう」と呼びかけ、
現世代で決着させる決意を表明。首相が 5 月の首脳会談で提案した極東開発な
ど 8 項目の経済協力プランの進展状況を確認するため、ウラジオストクでの首
脳会談の毎年実施を提案した。経済協力プランに関しては、「ロシアと日本の
経済は競合関係ではなく見事に補完する間柄」と指摘。「日本とロシアのもっ
と緊密な協力が生み出す将来の可能性について、強い確信を共有しましょう」
と述べ、幅広い分野での両国の関係強化をプーチン氏に促した。具体的な協力
分野として、ウラジオストクでの都市整備のほか、極東地域の開発、ロシア国
民の健康寿命を延ばすための高齢者医療の充実、両国中小企業間の交流拡大、
エネルギー資源の開発と生産効率の向上などを列挙。その上で「日本企業と深
く付き合うことで起きる生産思想の革新をロシアはまだ経験していない」など
と述べ、日本の技術や経験を提供する考えを示した。
日ロ首脳、山口で 12 月会談 首相、プーチン氏と合意(D160903)(要約)安倍首
相は 2 日夜)、プーチン大統領とウラジオストクで会談し、12 月 15 日に首相
の地元・山口県長門市で首脳会談を行うことで合意。日ロ両政府は、プーチン
氏の来日を公式訪問とすることも決めた。両首脳は、5 月の会談で首相が提起
した「新たなアプローチ」に基づき、北方領土問題を含む平和条約締結交渉を
進めていくことも確認。首相は会談後、記者団に「平和条約についてかなり突
っ込んだ議論を行うことができた。新しいアプローチに基づく交渉を具体的に
進めていく道筋が見えてきた。その手応えを強く感じることができた会談だっ
た」と強調。プーチン氏の山口県訪問に関しては「ゆっくり静かな雰囲気の中
で平和条約締結交渉を加速させていく会談にしたい」と述べた。ラブロフ外相
は会談後、「日本には北方領土で共同経済活動や人的交流に関する協議をする
用意があると感じる」と述べた。首相は対ロ経済協力に関し、北方四島の共同
開発も視野に入れており、今後の日ロ協議の焦点となる可能性もある。プーチ
ン氏は会談で「企業間の連携を発展させる取り組みを政治レベルで後押しする
ことが重要」と指摘。首相が 5 月の首脳会談で提案した極東開発など 8 項目の
経済協力プランについては「真面目に検討している」と述べた。首相は「アジ
ア太平洋地域の成長を取り込むに当たり、極東地域は格好の共同作業の場だ」
と応じ、日ロの経済協力の具体化に意欲を示した。
「日ロがんシンポ」札幌で来月初開催 経済フォーラム 知事表明
(D160903)(要約)高橋はるみ知事は 2 日、ウラジオストクで開幕した東方経済
フォーラムで、10 月に日ロの医療関係者が参加するがん対策シンポジウムを札
幌市内で初めて開くことを明らかにした。医療や経済など幅広い分野で極東の
地域間交流を進める考えも表明した。東方経済フォーラムは極東開発に力を入
れるプーチン大統領の指示で始まり、今年で 2 回目。知事は初めて参加し、日
中韓などアジアを中心に各国の関係者 2 千人以上が集まった。がんシンポにつ
いては、スクボルツォワ保健相らが出席した医療分野の分科会で述べた。知事
は道内と極東の大学間で医療連携が進んできた経緯に触れ、シンポは北大病院
と札医大病院、サハリン州立病院、同州立腫瘍予防診療所(がんセンター)の
4 者が主催し、日ロのがん治療の専門家が意見交換すると説明した。日ロの経
済界トップらが参加した円卓会議では、道と極東 3 地域(サハリン州、ハバロ
フスク地方、沿海地方)が 2013 年に食や健康などの分野で「経済協力発展プ
ログラム」を締結していることを紹介。その上で「同じ極東の地で日ロ双方の
地域社会が未来に向けて共に発展することを願う」と強調した。
旧ソ連抑留死者、新たに 20 人発表 道内出身者は 1 人(D160903)(要約)厚労省
は 2 日、旧ソ連に抑留され、シベリアや樺太地域などで死亡した 20 人分の名
簿をホームページで公表。このうち道内出身者は 1 人で、北千島地域で死亡し
た大磯喜作さん。http://www.mhlw.go.jp/
日ロ首脳会談要旨(D160903)(要約)【再会談】 両首脳 11 月にペルーで開か
れる APEC 首脳会議に合わせて会談することを確認。その上で、プーチン氏が
来日し、12 月 15 日に山口県長門市で会談することでも合意。
【経済協力】 首相 極東地域における日ロ協力を強力に進める。8 項目の
経済協力案の詳細な内容を提示。石油や天然ガスなどエネルギー分野を巡る両
政府の協議会を設置したい。協力案の具体化に責任を持つ閣僚として、世耕経
産相をロシア経済分野協力担当相に指名。 大統領 日ロ経済界が協力を進め
る意思を政治レベルで支えることが重要だ。(8 項目の経済協力について)真
面目に検討している。
【北方領土・平和条約】 両首脳 北方領土を含む平和条約締結問題につい
て突っ込んだ議論。(5 月に合意した)「新しいアプローチ」に基づき、今後
の方向性について協議。
【北朝鮮問題】 首相 8 月の潜水艦発射弾道ミサイル SLBM 発射は新たな
脅威。国連安保理で厳しい対応を取る必要がある。 大統領 北朝鮮が核問題
を合法化しようとしているのは認められない。
ユジノに温浴施設 サハリン州と札幌・丸新岩寺が協定(D160903)(要約)サハ
リン州政府は、ウラジオストクでの東方経済フォーラム開催に合わせ、ユジノ
サハリンスク市で温浴施設の開業を計画している丸新岩寺と協定を結んだと発
表。温浴施設は樺太時代に日本の浴場があった場所に建設され、2018 年完成
を目指す。サハリン州などによると、ユジノ市内の施設は「ほのかサハリン」
の名称で、約 5600 ㎡の敷地に風呂やサウナ、岩盤浴、日本食レストランなど
を設ける計画。スキー場「山の空気」に近いリゾート開発地に位置し、サハリ
ン州政府が必要なインフラ整備を支援する。ウラジオストクで協定書に署名し
た丸新岩寺の岩寺晴夫社長は「かつてあった日本の風呂を再建するアイデアを
思いついた。サハリン観光の発展を促進したい」と説明。
「山口で成果」急ぐ首相 日ロ首脳会談 経済前面、領土進展は不透明
(D160904)(要約)日ロ首脳会談から一夜明けた 3 日、安倍首相はウラジオスト
クでの東方経済フォーラムで演説し、プーチン大統領との間で北方領土問題を
解決することに強い意欲を表明。両国の経済閣僚も相次ぎ会談し、12 月のプー
チン氏来日に向けた動きを本格化させた。ただ、経済協力の具体化や領土問題
の進展はなお不透明で、残り 3 カ月余りで「成果」を急ぐ首相官邸主導の動き
を懸念する声も日本側から出ている。首相はフォーラム全体会合の演説終盤、
プーチン氏に繰り返しファーストネームで語りかけ、12 月に地元の山口県長門
市で開く首脳会談で領土問題の前進を目指す考えを示した。首相は戦後 70 年
を経ても平和条約を締結していない日ロ関係を「異常な事態」と指摘し、プー
チン氏と 2 人で領土問題に「終止符」を打つ決意を表明した。
■民間は慎重 日本側は「経済協力をてこに日本に対するロシア世論の支持を
高め、プーチン氏が領土問題で政治決断を下せる環境を整える」(首相周辺)
という戦略を立て、5 月の首脳会談では、北方領土問題を含む平和条約締結交
渉を「新たなアプローチ」で進めることで合意。今回のウラジオストク訪問で
はその戦略の出発点となる経済協力の具体化に腐心した。首相は 2 日の首脳会
談で、ロ国民向けの「日ロ健康長寿センター」設立や、極東の輸出基地化支援、
ロ側の関心が高いエネルギー開発に関する官民協議会の設立など 8 項目の経済
協力の進展状況を一つ一つ説明。会談前日に世耕弘成経済産業相をロシア経済
分野協力担当相に任命し「官邸が全省庁を直轄する体制にした」と直接伝える
など、政府一丸となって対ロ経済交流に取り組む考えを強調した。ただ、ロシ
ア経済は原油安などで停滞し、欧米の対ロ制裁も続く。日本経済界からは「ロ
シアへの思い切った投資は慎重にならざるを得ない」(大手企業)との声がく
すぶる。シュワロフ第 1 副首相らロシアの経済閣僚 3 人と会談した世耕氏は、
「本格的なプロジェクトを仕上げるにはもう少し努力がいる」と述べ、経済協
力の中身はまだ不十分との認識を示した。
■焦れば守勢 プーチン氏は 3 日のフォーラム全体会合で、北方領土問題の解
決について「私たちの間に必ずチャンスがある。それを逃してはいけない」と
指摘。ただ、解決には「高度な信頼」が必要として、日本側がさらに対ロ関係
を強化するよう求めた。これに呼応するかのように、首相は領土返還への環境
整備として、北方四島の日ロ共同開発も視野に入れる。しかし、ロシアの主権
を容認したことにつながるとの慎重論が日本側にはなお根強い。「結論を焦れ
ば守勢に回ることになる。12 月に山口会談を開くことありきで、領土交渉の中
身を左右してはいけない」。外務省幹部は官邸主導の性急な動きをけん制した。
〈社説〉日ロ首脳会談 譲歩引き出す新戦略を(D160904)(要約)安倍首相とプ
ーチン大統領がウラジオストクで会談し、プーチン氏が 12 月に日本を公式訪
問することで合意。北方領土問題が最大の焦点となる。領土問題の進展には首
脳間の対話が不可欠。公式訪日がようやく確定したことは歓迎したい。両首脳
はまた、エネルギー分野をめぐる協議会の設置など経済協力の推進を確認。将
来的に北海道にビジネスチャンスをもたらす可能性もある。ただロ側の一部に
は、領土交渉の進展をちらつかせて経済協力を引き出しつつ、島の帰属の問題
は先送りする意図ものぞく。領土問題が置き去りにされるようでは、やはり本
末転倒。首脳間の関係構築や経済協力を領土問題進展にどうつなげるのか。よ
りしたたかな戦略が求められる。両首脳は会談で、5 月に首相が提起した「新
たなアプローチ」による平和条約交渉の推進を確認。11 月にペルーで開かれる
APEC 首脳会議の際も会談するという。両首脳の会談は既に 14 回に及ぶ。だ
がこの間、領土問題でロシアの譲歩が引き出せたとは言えない。プーチン氏は
会談直前のインタビューで「領土問題で取引はしない」と言明。平和条約締結
後の 1956 年日ソ共同宣言に触れ、2 島での最終決着をにじませた。その基本
姿勢は、初めて大統領に就任した当時と変わっていない。一方の首相は、ロシ
アが求める経済協力に積極的に応じることで譲歩を引き出す戦略のようだ。訪
ロ直前、世耕経済産業相にロシア経済分野協力担当を兼務させた。四島の日ロ
共同開発も視野にあるようだが、実効支配の追認につながる懸念は拭えない。
成果を急ぐあまり、ロ側のペースに乗せられてはいないか。両首脳は 5 月のソ
チでの会談に続き、今回も通訳だけを交えた一対一の時間を多く取った。外交
上、交渉の全てを公開できない事情は理解できる。元島民の高齢化も進んでい
る。原点を見据えつつ、解決の道を探ってほしい。
ウクライナ問題 日ロ関係妨げず プーチン氏(D160905)(要約)プーチン大統
領は 5 日、G20 首脳会合に出席のため訪問した中国・杭州で、ウクライナ問題
が日ロ関係に与える影響について「障害は何も見かけない」と述べた。プーチ
ン氏は、ロシアが一方的にウクライナ南部クリミア半島を編入後、欧米に追随
してロシアへの制裁を発動した日本に不快感を示していた。しかし一転して、
安倍首相が 2 日にウラジオストクで会談するなどロシアへの接近を強める日本
側の動きを評価し、さらなる関係強化を促すとともに、対ロ制裁を続ける日米
欧の結束を揺さぶる思惑もありそうだ。プーチン氏はウラジオストクで安倍首
相が提案した 8 項目の経済協力プランを改めて評価。「平和条約締結を含むす
べての問題解決のための条件づくりが極めて重要だ」と述べ、領土問題の進展
に向け日本側に一層の経済協力などを促した。
樺太引き揚げの苦労思い 函館で家族らが記念祭(D160907)(要約)終戦後、樺
太から函館に引き揚げる際に亡くなった人や当時の苦労をしのぶ記念祭が 5 日、
函館市の「樺太引揚者上陸記念碑」前で開かれた。樺太出身者らでつくる全国
樺太連盟の函館支部によると、函館には 1946~1949 年にかけ約 31 万人が引
き揚げた。ただ、栄養失調などで引き揚げ途中や上陸直後に 1079 人が亡くな
ったと言う。
極東開発 具体化加速へ 世耕氏、ロシア発展相と会談(D160908)(要約)世耕ロ
シア経済分野協力担当相は 7 日、ガルシカ極東発展相と経産省で会談。両氏は、
プーチン大統領の来日に向け、安倍首相が提案した 8 項目の経済協力プランを
具体化するための協議を加速することで一致。世耕氏が 11 月上旬までにモス
クワを訪れ、極東の産業振興や輸出基地化などを中心に詰めの作業を行うこと
も確認した。ガルシカ氏は会談後、サハリン州から北海道に電力を輸出する
「エネルギーブリッジ」構想など 18 項目の経済協力の実現に向けた工程表を
世耕氏に提示したと説明。今後、両国関係省庁の次官級で協議を進めていく考
えも示した。北方領土問題に関しては「経済協力や人的交流など日ロ関係を総
合的に発展させていくことが、非常に複雑な歴史を持つ問題を解決する唯一の
道だ」と述べるにとどめた。
サハリンからツアー客 稚内定期航路、再開後初めて(D160913)(要約)稚内とサハリン州
コルサコフを結ぶサハリン定期航路を利用したロシア人のツアー一行が 12 日、稚内に到
着。8 月の同航路再開後、ロシア人ツアー客の受け入れは初めてで、一行 12 人は 4 泊 5 日
で市内の観光地や市場などを巡る。同州旅行会社「ビートモ社」がツアーを企画。
カザフスタン大統領、広島訪問へ 11 月上旬来日を調整(D160914)(要約)安倍首相はカザ
フスタンのナザルバエフ大統領を 11 月上旬に日本に招き、会談する方向で調整に入った。
ソ連時代に核実験が繰り返された経緯から、核軍縮・不拡散に熱心なカザフスタンとの連
携を強化し、北朝鮮の核ミサイル開発阻止に向けた国際社会の結束をアピールする狙い。
ナザルバエフ氏は、被爆地広島への訪問も検討している。首脳会談では、日本が協力する
カザフスタンでの原発建設計画の推進を再確認する方向だ。首相は石油やレアアースなど
豊富な埋蔵資源の調達も視野に、経済関係の強化でも一致するとみられる。
ロ大統領に被爆地訪問要請 広島・長崎、12 月の来日時(D160915)(要約)広島、長崎両市
は、12 月の日ロ首脳会談で安倍首相の地元・山口県を訪れるプーチン大統領に、両被爆地
の訪問を呼び掛ける要請文を、駐日ロシア大使に手渡したと発表。要請文で、被爆地の願
いは「核兵器のない世界」の実現だと強調。被爆の実相に触れ、核兵器廃絶への揺るぎな
い決意を被爆地から世界へ発信すれば、実現に向けた動きを大きく前進させられると信じ
ると記した。
日米中ロの専門家が札幌でフォーラム 国際情勢など講演(D160916)(要約)日米中ロ 4 カ
国の国際政治や社会文化の専門家が議論するフォーラムが 15 日、札幌市内で開かれた。
一般社団法人アジア太平洋フォーラム主催。各国の専門家が東アジアの国際情勢などにつ
いて講演した。キヤノングローバル戦略研究所の宮家研究主幹は「不健全で暴力的、ナシ
ョナリスティックな現象が世界各地で見られる。ダークサイドをどう抑えられるかが、こ
れからのリーダーの責務」と強調。「和食とロシア人」と題した発表をした在日ロシア大
使館のクルマーゾフ 1 等書記官は「ロシアで、すしを食べたことがないことはスキーをし
たことがないのと同じくらい格好悪いとされる」と紹介。道教大札幌校の武田泉准教授は
地政学の観点から北海道の活路について解説し、「北極海経由の航路や航空路で欧州、北
米への玄関口となる北海道の将来は明るい」と指摘した。
サハリン航路乗客 511 人 今季運航終了 千人目標届かず(D160917)(要約)稚内とサハリ
ン州コルサコフを結ぶ船舶の定期航路が 16 日、今季のすべての運航を終えた。8 月 1 日に
運航を再開し、約 1 カ月半の利用者数は計 511 人。採算ラインとされ、目標としていた千
人に届かなかった。乗客の 7 割弱がロシア人で、日本からはサハリンとの交流や視察目的
などの利用が目立った。定員は 80 人だが、1 便当たりの利用客は平均 21 人にとどまった。
期間中、14 往復 28 便の運航を予定していたが、高波の影響で計 4 便が欠航し、就航率は
85.7%だった。来季の運航日程や使用船舶などについて、船舶の運航会社、SASCO は、稚
内市の第三セクター、北海道サハリン航路 HSL と協議し、年内にも決める予定。
ロ極東医科大と道医療大が協力協定(D160920)(要約)北海道医療大は 19 日、ハバロフスク
の極東国立医科大と協力協定を結んだ。ロ側から北海道医療大への歯科学生や研究者の受
け入れを進めるほか、ハバロフスクでのリハビリテーションのセミナー開催などを通じ、
医学交流拡大を図る狙いがある。北海道医療大はすでにサハリン州保健省とも協定を結ん
でおり、ロシアの歯科技工士や歯科医が日本で義歯や歯周病分野の研修を受けるなどの交
流が進んでいる
首相、和平合意の履行要請 ウクライナ大統領に(D160921)(要約)安倍首相は 20 日、ニュ
ーヨークでウクライナのポロシェンコ大統領と会談し、ウクライナ東部の政府軍と親ロシ
ア派武装組織の紛争を巡る和平合意について完全な履行を求めた。日本が表明している約
18 億 5 千万㌦の支援を着実に進め、経済改革を後押しする考えも伝えた。首相は、産業振
興支援策を検討するため調査団をウクライナに派遣する意向を示し、約 9 千着の警察官用
の防寒具の提供も表明。双方は北朝鮮に対する新たな国連決議に向けて緊密連携で一致し
た。
露、対日経済担当ポスト設置へ プーチン大統領が指示(D160924)(要約)プーチン大統領
は 23 日までに、日本との経済協力を担当するポストを新設することを決め、10 月 15 日
までに人選と権限を提案するよう政府に指示した。日本がロシア経済分野協力担当相を新
設し、対ロ経済協力を進める姿勢を示していることに呼応した措置とみられる。プーチン
氏は、山口県で日ロ首脳会談が予定される 12 月 15 日までに、日本がロシアに提案してい
る経済協力計画に対応する報告をまとめることも政府に求めた。
「ロシア柔道の祖」銅像を建立 ウラジオストクで除幕式(D160925)(要約)明治から大正
時代にかけて日本で学んだ柔道をロシアに伝え「ロシア柔道の祖」とされるオシェプコフ
の銅像が最初の柔道クラブを開いた極東ウラジオストクに完成し除幕式が行われた。銅像
はロシア政府系の団体が制作。講道館柔道の創始者、嘉納治五郎から黒帯を受け取るイメ
ージを基に、柔道クラブがあった市内の建物脇に建立した。式典にはミクルシェフスキー
沿海地方知事らが出席。笠井達彦・駐ウラジオストク総領事は「ロシアが柔道の強豪国と
なり、プーチン大統領も柔道を通じて友好を深めていることをうれしく思う」とあいさつ
した。
ロシア 対外情報局長官に知日派 (Y160923)(要約)プーチン大統領は 22 日、知日派の
セルゲイ・ナルイシキン下院議長(61)を対外情報局の長官に任命した。ナルイシキン氏
は毎年、日本で開かれる「ロシア文化フェスティバル」のロシア側の組織委員長として日
本を訪問し、対日外交で重要な役割を果たしてきた。プーチン氏は 23 日、後任の下院議
長候補としてウォロジン大統領府第 1 副長官を指名した。
Ⅵ.北方領土問題
シマフクロウ、国後に 60~70 羽生息か ロ専門家調査(D160616)(要約)北方領土ビザなし
交流で根室管内などを訪れていたロシアの野生動植物専門家 6 人が 15 日、記者会見し、
北方四島の国後島で今年、シマフクロウの本格的な個体数調査を行った結果、60~70 羽の
生息が推定されることを明らかにした。団長でクリール自然保護区副所長のコズロフスキ
ー氏=国後島在住=は、国後島内にシマフクロウが営巣できる天然の樹洞(木に空いた穴)
が少なく、カラスやクロテンなどの天敵がいるため、「個体数は安定しているが、増えて
はいない」と説明した。
動植物専門家 8 人、ビザなし渡航中止(D160616)(要約)北方領土ビザなし交流で、動植物
の専門家 8 人が 16~22 日まで予定していた渡航計画が中止になった(交流実施主体 NPO 法
人「北の海の動物センター」)。北海道区水産研究所の服部薫研究員らが国後島と色丹島、
歯舞群島を訪れ、トドやアザラシの個体数を調べたり、ロシア人島民の子供たちと交流し
たりする予定だった。中止になった理由について「詳しくは分からないが、ロシアの法律
にのっとった手続きを取らなかったから(渡航が)認められなかったのではないか」と話
している。同センターの昨年のビザなし交流も中止になっていた。
ロシア側第 1 陣、根室港に到着 ビザなし交流で 70 人(D160617)(要約)北方四島とのビザ
なし交流のロ側訪問団が 17 日、根室港に到着。ロ側からの一般島民の訪問団は本年度初
めて。ロ側からの本年度第 1 陣となる予定だった青少年の受け入れ事業は、荒天のために
中止となっていた。
北方四島から患者受け入れ 外務省発表(D160617)(要約)外務省は 16 日、北方四島住民支
援事業の一環として、国後島と択捉島の患者各 1 人を 17 日~7 月 13 日、道内の 2 病院で
受け入れると発表。国後島の 50 代女性が循環器疾患で市立根室病院に、択捉島の 50 代女
性が外科疾患で根室管内中標津町立中標津病院にそれぞれ入院する。
22 日に日ロ平和条約交渉 東京で開催、北方領土進展狙う(D160617)(要約)岸田外相は 17
日、原田親仁・日ロ関係担当政府代表とモルグロフ外務次官による日ロ平和条約締結交渉
を 22 日に東京で開催すると発表。交渉は昨年 10 月にモスクワで行われて以来。日本側は、
9 月にウラジオストクで予定する安倍首相とプーチン大統領による首脳会談を見据え、北
方領土問題で進展を図りたい意向だ。岸田氏は、5 月の日ロ首脳会談で新たなアプローチ
による北方領土交渉を進める方針で一致したことに触れ「今回の交渉では首脳間のやりと
りを踏まえ、前向きで充実した議論が行われることを期待している」と述べた。
プーチン氏、年内来日へ ロシア下院議長が見通し(D160617)(要約)来日中のナルイシキン
下院議長は 17 日、東京都内で民間団体との会合に出席し、プーチン大統領の来日が今年
末までに実現するとの見通しを示した。ナルイシキン氏はまた、安倍首相と 16 日に会談
した際、9 月初めにウラジオストクで行われる経済フォーラムへの安倍氏参加を求めるロ
側の招待を改めて確認したと述べ、その際にプーチン氏との日ロ首脳会談が行われるとも
述べた。
日ロ関係発展で一致 首相、プーチン氏側近と会談(D160617)(要約)安倍首相は 16 日、プ
ーチン大統領側近のナルイシキン下院議長と官邸で会談した。両氏は北方領土問題を含む
平和条約締結交渉を「新たなアプローチ」で進めることで合意した 5 月の首脳会談を踏ま
え、日ロの関係発展を目指す考えで一致。9 月にウラジオストクで予定されている首脳会
談や、首相が意欲を示す地元山口県へのプーチン氏訪問についても意見交換したとみられ
る。関係者によると、ナルイシキン氏は会談で、5月の首脳会談に関し「(日ロ交渉は)
停滞していた部分があったが、日本側の進めようとする意思を感じた」と指摘。会談では、
首相が 5 月の首脳会談で提案した 8 項目の対ロ経済協力についても協議。ナルイシキン氏
は、北方領土問題で強硬姿勢を示すメドベージェフ首相からの議員間交流の推進を求める
親書を首相に渡した。旧ソ連が撮影した原爆投下後の広島の様子を収めた画像なども持参
した。ナルイシキン氏はウクライナ問題で欧米から渡航禁止の制裁を受けている。昨年 5
月の来日時には、首相は米国などに配慮し東京都内のホテルで会談。今回は官邸で表敬を
受けることで、平和条約締結交渉の前進への意欲を示した形だ。
領土問題、8 日に初の合同研修 国、道の新任職員に 根室振興局(D160706)(要約)根室振
興局は、管内を所管する国や道の機関に新しく配属された職員や新規採用者を対象に、北
方領土問題を学んでもらう合同研修会を初開催する。国や道の機関が垣根を越えて北方領
土問題をテーマにした研修会を開くのは珍しい。相互の業務内容も合わせて学ぶことで連
携を密にするねらいもある。航空自衛隊根室分屯基地、根室税関支署、根室海保、根室署、
同振興局から約 100 人の職員の参加を予定している。北方領土返還要求運動の後継者育成
を目的に、行われた。択捉島へのビザなし交流は、元島民 2 世や 3 世、大学生など主に 40
歳までの 62 人が参加。
自由訪問団、択捉へ出発 十五夜萌上陸目指す 根室(D160709)(要約)北方領土・択捉島
への自由訪問団が 8 日、根室港を出発。一行は自由訪問が始まって以来初めて択捉島太平
洋側の十五夜萌の上陸を目指す.
総合文化施設 色丹に建設へ サハリン州政府(D160713)(要約)北方領土色丹島にサ州政
府が図書館やコンサートホールなどを備えた総合文化施設の建設を検討していることが分
かった。2018 年着工予定。2 階建て延べ 1600 ㎡。斜古丹(マロクリーリスコエ)に建設
する。映画も上映できる 200 人収容のコンサートホールやサークル室、結婚式用ホールな
どの設置が想定される。図書館も移転、入居するという。北方領土の実効支配を強めるロ
シアは近年、島民生活の向上を目的にインフラ整備を急速に進めており、択捉、国後両島
にも同様の施設がある。
給料未払いで経営破綻 色丹島の水産加工場 サハリン企業が救済(D160720)(要約)今年 4
月に給料未払いが発覚し、経営破綻に陥った北方領土色丹島の大手水産加工場が、サハリ
ン州の企業によって操業が継続される見通しであることが分かった。加工場は、色丹島の
水産加工会社「オストロブノイ」が経営していた。サハリン州の漁業会社「クリール・ユ
ニバーサル・コンプレックス」が新たに投資し、機械を入れ替えてサンマの加工を手がけ
るという。
露 領土問題切り離し 経済協力は積極姿勢 ビザなし交流訪問団 (M160728)(要約)21~
25 日に国後、色丹両島を「ビザなし交流」の訪問団員として訪れた。垣間見えたのは領土
問題と経済協力を切り離そうとするロシア側の姿勢だった。元島民ら約 60 人の訪問団。
国後と色丹両島の現在の人口は計約 10900 人で 900 人の子供が 5 つの学校で学ぶ。主要産
業は水産加工業。
(国後島の)行政府で、南クリル地区長のソロムコ氏は「クリル諸島の
経済発展のために日本に進出してもらいたい。特に農業と建築だ」と呼びかけ、
「観光業
の発展が見込めるが、交通(インフラの未整備)が支障だ」と協力を求めた。一方で、北
方領土から 日露の現実 (上) 「最後の好機」元島民の期待 (Y160729)(要約)参院選で
の与党勝利で一段と強まった政権基盤を背景に、安倍首相がロシアとの関係改善に意欲を
見せている。平和条約締結交渉は、首相がロシア極東を訪問する 9 月以降、本格化する見
通しだ。今月 21~25 日にビザなし交流で訪れた北方領土の現状を報告するとともに、交
渉をめぐる課題を探る。
(領土問題の打開について)元島民の間でも期待が高まっている
といい、元島民の得能さん(82)は「これが最後のチャンスかもしれない」と話した。た
だ、落としどころが見えているわけではない。ある島民は「北方領土が帰ってきても今か
ら移住したいという元島民は少ないと思う。返還されたら、どうしていくのかという未来
像を考えないといけない」と指摘する。返還後の青写真をどう描くかという課題について
は、政府内でも「いずれ元島民や地元自治体とともに検討したい」との声が出ている。
2015 年 1 月現在、択捉、粉尻、色丹の 3 島に計 16828 人のロシア人住民がいる。
北方領土から 日露の現実 (中) 辺境につぎ込む巨額予算 日本、「共同経済活
動」は慎重 (Y160731)(要約)国後島の古釜布湾(ユジノクリリスク湾)に入
った。こぎれいな住宅などからも、訪問者の目に入る場所だけを突貫工事で整
備したような印象を受けた。参加した東海大の山田吉彦教授は「(実効支配を
誇示するための)『外交カード』として、見せかけの街づくりをしているよう
だ」と指摘した。ロシア政府は、2007~15 年に計 272 億ルーブルを投じ、道路
や港湾、住宅などの建設を進めた。今年からの 10 年間で、さらに 689 億ルー
ブルをかけ、開発を加速させる計画だ。日本政府は、以前は「政経不可分」と
して領土問題が解決しない限り経済支援はしないとの立場だったが、90 年代以
降、徐々に経済協力に踏み出した。ただ、北方領土での「共同経済活動」には
慎重な立場だ。ロシアの法律に基づいて活動すれば、「日本は北方領土をロシ
ア領と認めているといわれ招ない」(外務省幹部)ためだ。「過去も今もここ
はロシア領」と強調した。色丹島は開発の遅れが目についた。
北方領土から 日露の現実 (下) 交渉打開 安保対話に期待 北極海航路 重要
性増す (Y160803)(要約)安倍首相は、領土交渉を動かすには経済協力だけで
なく、安保分野でも信頼醸成が欠かせないと考えているようだ。ただ、この戦
術が奏功するかどうかは不透明だ。首相は、安全保障関連法制定などで日米同
盟を進化させてきた。これは、米国との対立を深めるロシアにとっては懸念材
料にほかならないからだ。一方間違えば、千島列島の「軍事化」がさらに進み、
領土返還が遠のく恐れすらある。日露の接近に神経をとがらす米国との同盟関
係を維持しながら、いかに領土交渉を前進させるか。安倍外交の真価が問われ
ている。択捉島と国後島の間の「国後水道」は水深が深く、ロシア海軍の太平
洋艦隊(司令部・ウラジオストク)がオホーツク海を経て太平洋に出るための
重要航路だ。千島列島の周辺海域は、北太平洋を経て北極海航路につながると
いう意味でも、ロシアにとって重要性が増している。ロシア政府は、北極海の
下に眠っているとされる豊富な天然資源の開発も目指している。北極海航路に
は中国も強い関心を示しており、ロシアは中国の北極進出を警戒しているとの
見方もある。
国後島で鎮魂の祈り 墓参第 1 陣、根室へ帰港(D160804)(要約)道主催の北方領土墓参の
本年度第 1 陣となる国後島訪問団 58 人が 3 日午前、根室港へ戻った。国後島に上陸し、
濃霧と雨に見舞われる中、予定通り古釜布と近布内の両墓地を訪れて慰霊式を行った。野
口繁正団長は「古釜布墓地はわりときれいだったが、近布内墓地は草が茂った状態で驚い
た。古釜布はカラフルで新しいアパートがたくさんでき、港も整備され広くなっていた」
と感想を語った。
ロシア国民 78% 領土返還「反対」 世論調査、11 年比で低下(D&M160806)(要約)ロシ
アの独立系世論調査機関レバダセンターは 5 日、日本への北方領土返還にロシア国民の
78%が反対しているという調査結果を発表した。前回 2011 年の調査に比べ 12 ㌽低下した
が、賛成は 3 ㌽増の 7%にとどまり、回答できないが 15%。調査は、ソチで行われた安倍
首相とプーチン大統領の会談後の 5 月下旬に、800 人を対象に行われた。日本との平和条
約締結について重要だと回答したのは 48%で、前回 09 年の 55%、05 年の 73%に比べ減
少した。ロシアにとって平和条約を締結して日本から経済協力を得るか、四島をロシア領
として維持するかどちらが重要かとの問いには、56%が「島々を維持」すると答えた。プ
ーチン氏が島々を日本に返還すると決めた場合、国民の信頼が高まるとの回答は 9%で、
現状維持が 23%、減少するは 55%。日露交渉に前向きなプーチン政権のもと、世論が軟化
した可能性がある。調査は今年 5 月下旬、18 歳以上の 800 人を対象に面談形式で実施さ
れた。
日露首脳会談 来月 2 日 政府調整 (Y160816)(要約)日露両政府が、ウラジオストクで
予定される日露首脳会談について、9 月 2 日の開催で調整していることが分かった。夕食
などを交えながら計 3~4 時間の会談時間が確保される見通しだという。
ロ大統領府長官交代 イワノフ氏からワイノ氏(D160812)(要約)プーチン大統領は、最側
近のセルゲイ・イワノフ大統領府長官を解任し、後任に知日派で知られるアントン・ワイ
ノ大統領府副長官を任命した。北方領土問題をめぐって強硬派とされたイワノフ氏からワ
イノ氏に交代することで、対日外交への影響が注目される。プーチン氏は、イワノフ氏か
ら辞任の申し出があったと説明。9 月下院選や 2018 年大統領選に向け、人事の若返りを進
め体制を固める狙いとの見方が強いが、突然の交代の背景を巡り臆測を呼びそうだ。ワイ
ノ氏はモスクワ国際関係大で日本語を学び、1996~2001 年在日ロシア大使館に勤務経験が
ある。プーチン氏が首相時代の 07 年に首相府副長官になり、プーチン氏が大統領に返り
咲いた 12 年から、大統領府副長官を務めてきた。
外国青年団が択捉入り
ロシア、支配正当性を誇示(D160816)(要約)択捉島で開かれてい
るロシア政府主催の愛国主義的な青年集会に参加するため、十数人の外国人が 16 日、択
捉入りしたことが分かった。ロ政府が招待し、国籍は米国、カナダ、クロアチアなどとい
う。ロシア人を含め約 100 人が参加。択捉での集会は昨年始まり、外国人の参加は初。ロ
シア査証で外国人が北方領土に渡航すればロシアの管轄権を認めることにつながるため、
北方領土支配の正当性を誇示したい思惑もあるとみられる。
26 日に日ロ平和条約交渉 モスクワで開催と報道(D160817)(要約)インタファクス通信は、
ロ外務省筋の話として、日ロ外務省高官による平和条約締結交渉を 26 日にモスクワで開
催すると報じた。原田親仁・日ロ関係担当政府代表、モルグロフ外務次官が出席する。9
月にウラジオストクで予定する安倍首相とプーチン大統領の会談に向けた地ならしの意味
合いもある。
日ロが平和条約交渉 領土問題協議(D160818)(要約)インタファクス通信は、ロ外務省筋
の話として、日ロ両政府が 26 日にモスクワで平和条約交渉を行うと伝えた。9 月日にウラ
ジオストクで開かれる経済フォーラムに合わせて予定する日ロ首脳会談を前に、 北方領土
問題 や経済協力を巡って協議する見通しだ。
択捉フォーラム 外国人 18 人参加 実効支配アピール(D160818)(要約)択捉島で開かれて
いる「全ロシア青年教育フォーラム」に、11 カ国から 18 人の外国人が参加していること
が分かった。フォーラムはロシア政府が昨年に続き主催し、ロシア人以外が参加するのは
初めて。外国人を呼び込むことで、北方領土の実効支配を対外的に発信する狙いがあると
みられる。択捉島関係者や地元メディアによると、外国人は中国やポーランド、ウクライ
ナ、スロベニア、スロバキア、スーダンなどの学生や若手研究者。ロシア人参加者を合わ
せた約 100 人のグループで「アジア太平洋地域におけるロシア」をテーマにした討論会な
どを行う。北方領土の開発を進めるロシアは、他国からの投資や観光客の受け入れを強め
ており、フォーラムへの外国人招待も北方領土の実効支配を対外的に誇示する思惑があり
そうだ。一方、ロシアのビザで北方領土に渡航すれば、ロシアの管轄権を認めることにつ
ながるため、日本政府は第三国からの北方領土訪問は受け入れられないとの立場だ。
北方領土上空でロシア機が飛行(D160820)(要約)防衛省は 19 日、ロ軍の爆撃機4機が北海
道周辺の日本海側からオホーツク海側にかけて長距離飛行した後、北方領土上空を通過し
たと発表した。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進したが、領空侵犯はなかった。
ビザなし訪問団の男性通訳拘束 国後島でロ当局(D160821)(要約)北方四島ビザなし交流
で国後島を訪れていた日本側訪問団の男性通訳 1 人が、同島を離れる際、ロ当局が実施し
た手荷物検査で問題があったとして拘束された。訪問団は 21 日に根室港に戻ったが、男
性は乗船できず、現在も国後島に残っている。ビザなし交流関係者らによると、1992 年事
業開始以降、訪問団員がロ当局に拘束され四島から戻れなかったことはなく、日本外務省
も「記憶にない」としている。安倍首相は 9 月にウラジオストクでプーチン大統領と会談
し、経済協力をテコに北方領土問題の進展を図りたい考え。しかし両国の友好の象徴でも
あるビザなし交流の日本側訪問団員がロシア当局に拘束されたことは、今後の日ロ関係に
影響を与える可能性もある。日本外務省は「詳細は確認中だが、北方領土は日本固有の領
土であり、ロシア側が管轄権を行使することはわが国の立場と異なる。いかなる理由であ
っても訪問団員の帰港が阻止されたことは遺憾だ」(ロシア課)として、外交ルートを通
じて早期解放を求めた。
「前代未聞」元島民ら戸惑い ビザなし交流通訳拘束(D160822)(要約)北方四島ビザなし
交流で国後島を訪れていた日本側訪問団の男性通訳がロ当局に拘束される「前代未聞の事
態」が起きたことで、一般団員や元島民らには驚きと戸惑いが広がった。日ロ両国が四島
の帰属問題を棚上げし、1992 年から旅券や査証なしでの相互訪問を続けてきたビザなし交
流で、ロ当局が団員の手荷物を検査すること自体が異例中の異例。ロ側は近年、日本側の
四島訪問時に厳しい手続きを求める姿勢を強めており、元島民らは不安を募らせている。
国後島での邦人拘束「受け入れられない」 官房長官、釈放求める(D160822)(要約)菅官
房長官は、北方四島ビザなし交流で国後島を訪れていた日本人の男性通訳がロ当局による
手荷物検査で拘束された問題について「ロシアの管轄権を前提とした行為はわが国の法的
立場に鑑み、受け入れられない。極めて遺憾だ」と述べた。
現金持ち出し「国内法違反」 国後島邦人拘束でロ当局(D160823)(要約)北方四島ビザな
し交流で国後島を訪問した日本人の男性通訳がロシア当局に拘束されている問題で、北方
領土を事実上管轄するサハリン州の税関当局は「島を離れる際に、男性の荷物の中から現
金 400 万円が見つかった。ロ国内法に違反して不正に持ち出そうとした疑いがあり、取り
調べている」と説明。ロシアの国内法を根拠に男性が拘束されたことで、四島の実効支配
を強めるロシアの姿勢が鮮明となった。ビザなしで訪れた日本人にロシアの法律が適用さ
れれば、四島の主権がロ側にあることを認めることになるため、日本政府は男性の早期解
放を求めている。サハリン税関当局によると、ロシアの法律では 1 万㌦相当以上の現金を
国外に持ち出す場合は税関申告書の提出が必要となる。日ロの関係者によると、男性は国
後島古釜布でロシア人島民から現金の入った紙箱を受け取り、20 日夜に島を離れようとし
た際、ロ当局の手荷物検査を受け、拘束された。現金については、古釜布の会社が日本人
に支払う船の修理代金を男性に預けたとの情報もある。サハリン税関当局によると刑事事
件に発展した場合、持ち出そうとした金額の最大 10 倍の罰金などの処分が科される可能
性がある。
きしむビザなし交流 強硬ロシア実効支配誇示 「想定外」政府、対応に苦慮
(D160823)(要約)北方四島ビザなし交流で国後島を訪れていた日本人の男性通訳がロ当局に
拘束された問題は、ビザなし交流が日ロ両国の信頼関係に基づく「ガラス細工のような枠
組み」であることを改めて浮き彫りにした。ロ側が今後も日本側のビザなし訪問団員にロ
国内法を厳格に適用する姿勢を強めれば、両国の主権を害さないことを前提とした枠組み
はきしみかねず、日本政府は難しい対応を迫られている。「どんな状況であれ、四島でロ
シア側が管轄権を行使することは受け入れられない」。外務省幹部は、ロ側に男性の早期
解放を求めていると強調した。ただ近年、ロ側は入域手続きの際にロシア語での島名記入
を促すなど、厳格な手続きを求める姿勢を強めている。日本外務省は「ロシアの主権を認
めることになる」として拒否する一方、訪問団員には、ロシア側の管轄権行使につながる
ような行為は避けるよう強く求めてきた。仮に四島で盗難事件が起きても、ロシアの警察
に捜査を要請することはないという立場だ。それだけに今回、男性通訳がロシア当局に
「国内法に違反した疑いがある」として拘束されたのは、日本政府には想定外の事態。ロ
シア側は男性が現金を申告せずに持ち出そうとしたことを理由としているが、「ロシアの
主権を認めることができない以上、とにかく解放しろと言い続けるしかない」(外務省ロ
シア課)のが実情。日ロ双方がルールを守るという「性善説」を前提にしてきたビザなし
交流。元島民らには「ロシアが『日本側に違反があったのだから、今後はロシアの法律に
従え』と言い出したら、日本政府は訪問の中止を検討せざるを得なくなるのでは」との懸
念も広がっている。
北方領土で通訳拘束 「ビザなし交流」に同行 (M160822)(要約)19 日から国後島を訪れて
いた「ビザなし交流」の第 5 陣訪問団が 21 日、根室港に寄港し、同行した通訳の日本人
男性(57)がロシア当局に拘束されたことを明らかにした。国後島の港で手荷物検査をさ
れたが、拘束理由は不明。サハリンの通信社「サハリン・コム」によると、日本人通訳は
「無申告で 400 万円の現金を持ち出そうとして拘束された。双方の漁業関係者に渡す金だ
った可能性がある」と報じられている。報道が事実とすると、外為法違反の疑いがかけら
れた可能性もある。
国後島税関で日本人を拘束 現金 400 万円申告せず (Y160822)(要約)日本政府関係者に
よると、男性は、ビザなし交流参加者の通訳として国後島入りした。サハリンの通信社に
よると、男性が国後島を離れる際、ロシアの税関検査員が手荷物のタブレット端末の下に
あった現金 400 万円入りの箱を見つけ、没収した。男性はロシア税関への提出書類にも所
持金申告をせず、当局に現金持ち出しの理由を説明することも拒否したという。
択捉島の男性患者、中標津で受け入れ(D160825)(要約)外務省は、北方四島住民支援事業
の一環として、択捉島の 30 代男性患者を 29 日から 9 月 15 日まで、町立中標津病院で受
け入れると発表した。重度の身体障害のリハビリなどを行う。北方四島からの患者受け入
れは、本年度は 12 人目。また外務省は、国後島の医師と看護師の各 1 人を根室、釧路両
管内の4医療機関で研修目的で受け入れる。
国後の拘束邦人を解放 29 日にも帰港 ロシア当局(D160825)(要約)ビザなし交流で国後
島を訪問した日本人の男性通訳がロ当局に拘束されていた問題で、北方領土を事実上管轄
するサハリン州の税関当局は 24 日、男性を解放。男性は罪に問われず、次回のビザなし
訪問団とともに 29 日に根室市に戻る見通し。サハリン税関当局は 24 日に取り調べを終え、
男性を解放。日本側は、ビザなしで訪れた日本人にロシアの国内法が適用されれば四島の
主権がロシアにあることを認めることになるため、早期解放を求めていた。日ロ間では 26
日に平和条約締結交渉、9 月 2 日には首脳会談を控えており、ロシア側が解放した背景に
は問題を長期化させず、両国関係への影響を最小限にとどめる狙いもあるとみられる。男
性は島を離れる際に税関当局の手荷物検査を受け、紙箱に入った現金 400 万円を所持して
いたとして拘束された。サハリン税関当局によると、ロシアの法律では 1 万㌦(約 100 万
円)相当以上の現金を海外に持ち出す場合には税関申告書の提出が必要になるため、「男
性が国内法に違反して不正に金を持ち出そうとした疑いがある」と説明していた。現金は
国後島の会社から日本人に支払う船の修理代金を預かったとの情報もある。
四島交流など協議か 日ロが平和条約交渉(D160827)(要約)日ロ両政府は 26 日、モスクワ
市内のロ外務省別館で平和条約交渉を約 4 時間行い、北方領土問題や安全保障問題を巡っ
て協議。ビザなし交流で日本人通訳がロシア当局に一時拘束された問題などを受け、四島
交流についても議論した可能性がある。5 月の首脳会談で日本側が提案した「新たなアプ
ローチ」に基づく交渉で、6 月の東京開催に続き 2 回目。9 月 2 日に安倍首相とプーチン
大統領がウラジオストクの経済フォーラムの際に行う会談に向けた地ならしとなる。日本
側は原田親仁・日ロ関係担当大使、ロ側はモルグロフ外務次官が出席した。日本側交渉筋
によると、ロ側は領土問題で軟化姿勢は見せておらず、経済協力の具体化を強く求めてい
る。北方四島での共同経済活動も求めているが、慎重姿勢を続ける日本側との溝は埋まっ
ていない。ビザなし交流で国後島を訪問中、ロ当局に拘束された通訳の男性は解放された
が、日本側は四島でのロシアの管轄権行使は認められない考えを改めて伝えたとみられる。
同交流は今年、日ロ間でトラブルが相次いでおり、今後、四島交流のあり方が焦点の一つ
になりそうだ。
9 月首脳会談へ最終調整 日ロが平和条約交渉(D160827)(要約)日ロ両政府は 26 日、外務
省高官による平和条約締結交渉をモスクワで開催し、9 月にウラジオストクで予定する安
倍首相とプーチン大統領の首脳会談に向けて最終調整した。年内で調整するプーチン氏訪
日をにらみ、日本は最大の懸案である北方領土問題の前進に弾みをつけるため対話を加速
させたい考えで、出席した原田親仁・日ロ関係担当政府代表は終了後、「できる限り間を
置かず次回の平和条約締結交渉を行いたい」と述べた。
国後島進む「ロシア化」 インフラに加え教育環境充実/終戦 71 年現島民も「ふるさと」
(D160828)(要約)北方領土の「ロシア化」が着々と進んでいる。ロシア政府は近年、インフ
ラ整備に加え、ロシア人島民 2 世、3 世の教育環境の充実にも力を入れる。国後島には、
北方領土が日本人の元島民だけでなくロシア人の「ふるさと」にもなっているという厳し
い現実があった。ロ政府は 2007 年以降、北方領土を含む千島列島(クリール諸島)の社
会資本を整備する「社会経済発展計画」を進める。昨年 7 月には 16 年から 25 年までの新
計画も承認し、総額約 700 億㍔(約 1120 億円)を投じる方針だ。国後島でも空港や風力
発電所、病院、学校などの建設が相次いでいる。北方領土問題が解決しないまま、島で生
まれたロシア人は年々増える。同地区の人口約 1 万 700 人のうち、小中学校(日本の高校
までに相当)の児童、生徒は計 6 校で 865 人。5 つある幼稚園・保育園には 419 人が通っ
ているという。安倍首相は 9 月 2 日にウラジオストクでプーチン大統領と会談する。5 月
に合意した「新たなアプローチ」で北方領土問題を含む平和条約締結交渉を進めたい考え
だ。
多額の現金、詳細語らず ビザなし交流で拘束の通訳(D160829)(要約)
国後島から根室港に戻った通訳佐藤史郎氏が、無事到着した。多額の現金を所持した経緯
などの詳細については語らなかった。報道内容を大筋認めながらも、ロ当局に拘束された
詳しい経緯については「回答は差し控えたい」と繰り返し、明らかにしなかった。ただ、
ロ側のビザなし交流関係者は「彼は中に何が入っているか知らなかった」と話しており、
ロシア人島民から預かった荷物の中に佐藤さんが認識していなかった現金が入っていた可
能性がある。今回の件を受け、外務省は今後、訪問団員にロシア人島民から中身の分から
ない物は受け取らないよう徹底させる方針。ビザなし交流関係者は今後交流が堅苦しくな
らねばいいと話した。
プーチン氏、12 月訪日へ 平和条約へ交渉の用意(D160830)(要約)ウシャコフ大統領補佐
官(外交担当)は 30 日、プーチン大統領が今年 12 月に訪日すると明らかにした。プーチ
ン氏の 12 月訪日を日ロ両政府で高官が明言したのは初めて。実現すれば、北方領土問題
の進展につなげられるかが焦点となる。日ロ交渉筋によると、東京のほか首相の地元であ
る山口県を訪れる方向で調整している。また、会談では平和条約締結問題にも触れるとし
た上で、
「ロシア側は交渉継続の用意がある」と述べた。
北方領土関連 16.2%増 概算要求(D160831)(要約)内閣府は、2017 年度予算の概算要求で、
北方領土関連に 16 年度当初比 16.2%増の 18 億 6700 万円を計上したと発表した。領土問
題の啓発事業に加え、北方四島を望める「望郷の岬公園」の老朽化などの調査にかかる費
用として新たに 2 千万円を計上。また、教育関係者らが根室市など北方領土隣接地域を訪
問し、元島民との意見交換などを通じて領土問題への理解を深める「北方領土問題教育者
会議」の活動経費として 5 千万円を盛り込んだ。
ロシア人居住権容認 政府 北方領土協議で提示へ 苦渋の新アプローチ (M160901)(要約)
政府は、ロシアとの交渉で北方領土が日本に帰属するとの合意が実現すれば、既に北方領
土で暮らすロシア人の居住権を容認すると提案する方針を固めた。従来の協議が進展しな
かった反省から、両国が合意した後の日本側の姿勢を示すことで、事態打開を図りたい考
えだ。日本政府関係者によると、ロシア側は 5 月以降、「新アプローチを提案した日本が
具体案を提示すべきだ」との意向を伝えてきた。政府はロシア人の退去や両国による共同
統治は困難とみて、日本に帰属した場合でもロシア人の待遇を一定程度保障する必要があ
ると判断した。政府内には、高度な自治を維持する考えもある。政府内では、両国が帰属
問題で合意する場合には、ロシア側に元島民らの居住権を認めるよう要求し、日本人の移
住を可能にする案もある。返還後のロシア人の権利容認の前例とする狙いだが、ロシアの
実効支配を追認することにもなりかねず、政府内では異論が出る可能性もある。日本への
帰属移行後の具体的な手法を議論する「新たなアプローチ」への転換の意義は大きい。た
だ、プーチン政権が妥協するのは容易ではなく、厳しい交渉が予想される。政府関係者は
「本格的な領土交渉を始めれば 100 年はかかる」と語る。日露外交筋はロシア側が 8 月
30 日にプーチン氏の 12 月の訪日を発表した狙いを、「米大統領選直後に日米を分断した
いのでは」と解説する。日本はロシア側の領土問題への本気度を図りかねており、9 月 2
日の首脳会談ではプーチン氏の意図も見極める構えだ。
日本、領土「棚上げ」警戒 ロ大統領 12 月来日へ神経戦(D160901)(要約)安倍首相とプー
チン大統領が 2 日の首脳会談で、12 月のプーチン氏来日で正式合意する見通しとなった。
首相は 12 月の首脳会談を「日ロ交渉の正念場」
(官邸筋)と位置付け、停滞が続いてきた
北方領土問題の進展に意欲を示す。一方、ロ側は経済協力には前向きだが、領土問題では
妥協しない姿勢を崩していない。ロ側が首脳会談前に来日日程を公表する展開は想定外。
外務省幹部は「一方的にラブレターを送り付けられたようなもの」といらだった。背景に
はロ側が北方領土問題では譲歩しないまま、経済協力での具体的な成果を求める姿勢を強
めるとの警戒感がある。平和条約締結交渉を巡っては、四島領有は「大戦の結果」だとし
て、日本側に歩み寄る姿勢は示していない。ウシャコフ氏はプーチン氏訪日時の最大のテ
ーマは経済協力だとも指摘。平和条約締結交渉を引き延ばしつつ、経済協力を先行させた
い考えをにじませた。
対ロ経済協力相を新設 世耕経産相が兼務(D160901)(要約)安倍首相は、北方領土問題の
進展を見据えロシアへの包括的な経済協力を先行させるため、新たに「ロシア経済分野協
力担当相」を設け、世耕弘成経済産業相に兼務させることを決めた。今年 5 月ソチでの日
ロ首脳会談で提示した極東開発など 8 項目の経済協力について、具体化を進める。ロシア
が北方領土の実効支配を強める中、日本側の取り組みを示すことでロ側の軟化を引き出し、
領土問題進展につなげたい考えだ。
日ロ間「2 島先行返還」再浮上 択捉、国後は継続協議(D160902)(要約)日ロ両政府間で、
ロシアが北方四島のうち歯舞群島と色丹島を先に引き渡すことで北方領土問題を進展させ
る「2 島先行返還」論が再浮上していることが分かった。択捉、国後両島について、安倍
政権では継続協議にするとの案が出ている。首相としては、既にロ側に示した 8 項目の経
済協力に全力を挙げ、2 島返還で幕引きを図りたいロシアに翻意を促す構えだ。2 島先行
返還を巡り、関係筋は「歯舞、色丹の引き渡しを明記した 1956 年日ソ共同宣言が交渉の
出発点。安倍首相は宣言に基づき解決を目指す意向をプーチン氏に伝えている」と強調。
別の関係筋は「国後と択捉にはロシア軍が駐留しており、すぐには戻ってこない」と述べ
た。政府、与党内には「択捉、国後の帰属が認められず、領土放棄につながるリスクが伴
う」(自民党筋)との慎重論がくすぶる。森氏の後任の小泉首相(当時)は在任中、北方
四島の帰属確認を優先し、先行返還論を否定した。安倍政権は今後、国内世論の理解を得
られるかを見極めながら、日ロ間の調整を進める。
首相、四島共同開発も視野 返還交渉の環境整備(D160902)(要約)安倍首相がロシアとの経
済協力に関し、極東のロシア本土だけでなく、北方四島の共同開発も視野に入れているこ
とが分かった。四島への日本の関与を強めることで、ロシア人島民の日本に対する支持を
高め、ロ政府が返還交渉に応じやすい環境を整える狙いがある。ただ日本政府はこれまで、
ロシアの実効支配が続く北方領土での共同開発は、ロシアの主権を認めることにつながる
として慎重姿勢を続けており、四島の「ロシア化」が加速する懸念もある。首相はロ側の
出方を見極めつつ、2 日夕にウラジオストクで行うプーチン大統領との首脳会談や、12 月
のプーチン氏来日時の会談で四島の共同開発に言及するかを慎重に判断するとみられる。
北方領土の共同開発は、ロシアが 1990 年代から提案しており、5 月に来日したトルトネフ
副首相(極東担当)も実現に意欲を示していた。プーチン政権は昨年、2016 年から 25 年
までの「クリール諸島(北方領土と千島列島)社会経済発展計画」に総額約 700 億㍔(約
1120 億円)を投じる方針を決めたが、原油安などで経済の低迷が続いており、日本の投資
に期待を寄せている。ただロシアが実効支配している四島で、日本がロシアと経済活動を
行った場合、国際司法裁判所がロシアの管轄権を認める判断をする可能性もあり、日本政
府内には領土交渉に不利に働くとの懸念は根強い。このため政府内では北方領土の主権問
題を棚上げする形で行われている北方四島ビザなし渡航や、四島周辺水域での日本漁船の
安全操業などの枠組みを拡充するなど、日ロ双方が受け入れ可能な形での共同経済活動を
模索する動きもある。
北方四島「交渉で合意を」42% 外務省、ロシアで世論調査(D160902)(要約)外務省は 1 日、
ロシアで実施した対日世論調査の結果を公表。北方領土問題を「知っている」と答えた人
は 57%、2010 年の前回調査から 19 ㌽減少。このうち北方四島が「日本に帰属すべき」と
回答した人は 1%にとどまり、前回調査の 3%をさらに下回った。「ロシアに帰属する」が
前回と同じ 53%で最も多く、
「日ロが相互に合意すべきだ」として交渉を求める人は 42%
と前回より 10 ㌽増えた。日ロ関係については、全体の 78%が「友好関係にある」か「ど
ちらかというと友好関係にある」と回答。日本との友好関係が「重要」または「どちらか
というと重要」と答えた人は計 97%に達した。一方、最も信頼できる国のトップは中国
(25%)で、日本(9.9%)は 2 位。日ロ間で協力を強化すべき分野(複数回答)は、科学
技術(90%)、貿易・投資(79%)、外交・安全保障(74%)の順。調査は、外務省がロシ
アの民間調査機関に委託し、今年 3,4 月に実施。18 歳以上の男女 3600 人から電話で回答
を得た。
「会話集」配布せず ビザなし交流で千島連盟 ロシアとのトラブル回避(D160902)(要
約)ビザなし渡航で 2 日から択捉島を訪れる自由訪問の団員に対し、実施団体の千島歯舞諸
島居住者連盟は、ロシア語会話集を配布しなかった。会話集はこれまで四島交流訪問団と
自由訪問団に毎回配られており、異例の措置。千島連盟は北方四島を日本領だと示す地図
が会話集に掲載されていることから、「ロ側と無用なトラブルになるのを避けるため」と
説明。日本側の交流関係者によると、過去の入域手続きで、会話集内の北方四島を日本領
とする地図をロ側が問題視することがあったという。
2 島決着にらむロシア 四島共同開発が焦点(D160903)(要約)<解説>プーチン
大統領は 2 日の首脳会談で、経済協力に前向きな安倍首相を高く評価し、北方
領土問題を巡る協議を続ける考えを示した。ただ、ロ側は対ロ接近を強める日
本側が領土問題でも譲歩の余地があるとみて、1956 年日ソ共同宣言に明記さ
れた歯舞、色丹 2 島の引き渡しでの決着を迫る姿勢を強めている。首相はロ側
が求める四島の共同開発も視野に突破口を探るが、四島を実効支配するロシア
の立場をさらに強める恐れもはらむ。プーチン氏は 2 日、首相との会談に先立
つ米通信社のインタビューで、平和条約交渉について「日本の友人と解決策を
見つけたい」と強調。米国が警戒する中、今年 2 回目の訪ロに踏み切り経済協
力を推進する首相への配慮を見せた。しかしプーチン氏は同じインタビューで
日ソ共同宣言が両国の国会で批准されたものだと改めて言及。日本が四島返還
を目指すのに対し、2 島引き渡しで最終解決を図る姿勢に変わりがないことを
にじませた。5 月の首脳会談で平和条約問題の「新たなアプローチ」を提案し
経済協力を進める日本の姿勢について、ロ側は「日本が経済と領土問題を初め
て切り離した」(ガルシカ極東発展相)と、妥協しはじめたとみている。2 島
引き渡しによる決着を強く迫ることで、四島返還を掲げてきた日本側にさらな
る歩み寄りを促す狙いとみられる。首相は、これまで日本政府が慎重姿勢を見
せてきた北方四島での共同開発も視野に、交渉の進展を目指す考えだ。四島へ
の日本の関与を強めることで、返還に向けた環境整備を図る狙いがあるが、
「ロ側の実効支配を認めることにつながりかねない」(外務省幹部)と日本政
府内にも慎重論が根強い。ラブロフ外相は 2 日、共同開発の進展に強い期待を
にじませた。領土問題でロシア側が軟化姿勢を見せない中、共同開発にどこま
で踏み込むかが今後の焦点となりそうだ。
プーチン大統領来日合意 山口会談 領土ヤマ場に「経済食い逃げ」懸念も(D160903)(要
約)2 日の日ロ首脳会談は、安倍首相が異例の年 2 回の訪ロと経済協力で秋波を送り、念願
のプーチン大統領の来日で合意した。首相はプーチン氏を地元・山口県長門市に招き、戦
後 70 年余り停滞してきた北方領土問題の前進を狙う。ただプーチン氏の政治決断に頼ら
ざるを得ない状況は変わらず、経済協力を「食い逃げ」される懸念はぬぐえない。首相が
対ロ外交の正念場に位置付ける「山口会談」に向け、両首脳の駆け引きが本格化する。11
年ぶりとなるロシア大統領の来日。首相は歴代政権が慎重姿勢を示してきた北方四島の日
ロ共同開発も視野に、ロシアとの経済協力を加速し、プーチン氏が領土問題で譲歩しやす
い環境づくりを急ぐ。「首相が新アプローチでどこまで突破口を開けるかが勝負だ」と首
相周辺は意気込む。一方、プーチン氏は中国、カザフスタンなどとの国境画定を政治決着
させてきたが、日本との領土問題で積極的に関与する姿勢はまだ見えない。ペスコフ大統
領報道官は1日、記者団に「(領土問題は)両外務省間でやりとりしている」と述べ、首
脳会談の主要議題ではないと強調した。今年 5 月のロシアの世論調査では 8 割近くが日本
への領土返還に反対だった。ウクライナ危機以降、国内で愛国ムードが高まり、18 年 3 月
には大統領選が控える中、領土問題に踏み込むのは避けたい事情がある。プーチン氏は 01
年に 2 島の日本への引き渡しを明記した 56 年の日ソ共同宣言の有効性を認めて歩み寄っ
たにもかかわらず、日本が四島返還を譲らず「裏切られたと受け止めている」(ロシアの
政治学者)
。米通信社のインタビューでは「(解決は)56 年(当時)ほど近づいていない」
と述べ、2 島引き渡しの環境も整っていないとの認識を示唆した。経済協力を軸に対ロ柔
軟姿勢を見せる首相と日本がどこまで妥協する用意があるかを見極めようとするプーチン
氏。領土問題を巡る日ロの攻防は熱を帯びるものの、合意点を見いだすのは容易ではない。
「領土進展 好機逃すな」 プーチン氏来日決定で元島民ら(D160903)(要約)
日ロ首脳会談でのプーチン大統領の 12 月の来日が決まったことを受け、根室
市在住の北方領土の元島民の代表らは 2 日、「良い結果に近づくような会談が
行われるよう期待したい」などと述べ、北方領土交渉の進展に期待感を示した。
国後など 3 島から患者 7 人受け入れ(D160903)(要約)外務省は 2 日、北方四島
住民支援事業の一環として、国後、択捉、色丹の 3 島から患者 7 人を、道内の
病院で 5 日から受け入れると発表。患者は 1~43 歳の女性 6 人と男性 1 人。道
立子ども総合医療・療育センターや根室市立根室病院など計 4 カ所の医療機関
で、ポリオや身体障害の治療を受ける。北方四島からの患者受け入れは本年度
は今回が最後の受け入れで計 18 人となる。
稚内のサンマ漁船、ロシアの臨検受ける 根室沖(D160916)(要約)水産庁によると、稚内
のサンマ棒受け網漁船「第 8 朝洋丸」が 15 日、根室沖でロシア国境警備局から臨検を受
けた。水産庁などによると、同船はロシア水域で操業後、根室市の納沙布岬の南東約 180
㌔の海域で国境警備局の検査を受けたという。
臨検受けたサンマ漁船、漁獲超過か ロシア当局、国後島で詳細検査へ(D160917)(要約)
ロシア 200 ㌋水域内で操業していた稚内のサンマ棒受け網漁船「第 8 朝洋丸」がロシア国
境警備局の臨検を受けた問題で、同局関係者は、「日本の船が漁獲枠を超過した疑いがあ
る」と説明。同船は今後、北方領土・国後島の古釜布に移され、詳しい検査を受けるとみ
られる。ロ側は近年、200 ㌋内で違法操業などの監視体制を厳格化しており、今回の臨検
もその一環とみられる。国境警備局は臨検の具体的な理由を明らかにしていないが「混獲
したイワシやサバの漁獲量が超過していた」との情報もある。行政事件に発展すれば罰金
処分が科される可能性があるという。
■根室拠点の漁業者ら「人ごとでない」 根室を拠点に夏からサンマ漁を行う漁業者の間
には不安が広がった。サンマ漁場にはサバやイワシも回遊しており、「混獲を指摘される
事態は人ごとではない」と心配する声が相次いでいる。夏の漁シーズン後、洋上で臨検を
受けた根室の水産関係者は、ロ側の検査が強化されているといい、「チェックポイントで
長ければ2日も止められて検査され、水揚げも遅れる」と訴えた。
臨検サンマ漁船、国後島に 日本、ロシアに早期解放要請(D160917)(要約)根室沖でロ国
境警備当局から臨検を受けた稚内市のサンマ棒受け網漁船「第 8 朝洋丸」が 17 日、国後
島に連れて行かれ、古釜布の港に入ったことが分かった。乗組員 17 人の健康状態に問題
はないといい、日本政府は早期の解放をロ側に要請している。水産庁などによると、第 8
朝洋丸はロシア水域で操業後の 15 日、根室市の南東約 180 ㌔で、サンマ漁で混獲したサ
バやイワシが船に割り当てられた漁獲枠をオーバーした疑いがあるとしてロ国境警備当局
から臨検を受けた。
鶴保北方相が初の根室入り 元島民らと懇談(D160918)(要約)鶴保庸介沖縄北方担当相は
17 日、就任後初めて根室市を訪れ、北方領土の元島民らと懇談。鶴保氏は、プーチン大統
領が 12 月に来日するのを見据え「今こそ啓発に力を入れなければいけない。領土問題解
決のためには世論の力は計り知れないものがある」と述べた。
鶴保担当相、北方領土解決へ尽力 就任後初視察(D160918)(要約) 鶴保沖縄北方担当相は
18 日、根室市の納沙布岬を訪れ、対岸の北方領土・歯舞群島や国後島を視察。「これだけ
距離が近いにもかかわらず、心理的に遠い。この状況を一刻も早く打破しなければならな
い」と述べ、北方領土問題の解決に全力を挙げる考えを強調した。
臨検漁船乗組員は全員無事 ビザなし訪問団が確認 食料届ける(D160920)(要約)北方四
島ビザなし交流訪問団が 19 日、根室港に戻り、ロ当局の臨検を受け国後島古釜布沖で詳
しい検査を受けている稚内のサンマ棒受け網漁船「第 8 朝洋丸」に食料を届けたことを明
らかにした。朝洋丸の乗組員全員の無事も確認したという。訪問団の鈴木宗男・新党大地
代表と外務省職員が、ビザなし交流チャーター船「えとぴりか」の小型ボートで、コメや
野菜、水などを朝洋丸に届けた。
「北方四島は日本領」配布せず ビザなし交流、日本側実施団体(D160921)(要約)北方領
土問題で日本とロシアの対話機運が高まる中、「ビザなし交流」の日本側実施団体が 8 月
から 9 月にかけて、四島が日本領であることを示した地図付きのロシア語会話集の参加者
への配布を中止したり、四島への持ち込み自粛を要請したりしていたことが分かった。
「ロ側とのトラブルや混乱を避けるため」(実施団体)の措置は、今年で 25 年目のビザな
し交流の歴史でも異例。日本側関係者は「けんかではなく仲良くなるための交流。無用な
トラブルや混乱を避ける狙いがあった」と説明。外務省の要請に応じた措置で、9 月の択
捉島への自由訪問では会話集配布が見送られた。
日ロ外相、NYで会談へ プーチン氏の来日準備(D160921)(要約)岸田外相はニューヨー
クで現地時間の 21 日、ラブロフ外相と会談する。プーチン大統領の 12 月来日と安倍首相
の首脳会談に向け、準備を進める方針で一致する見通しだ。今月初旬の首脳会談の成果を
踏まえ、北方領土問題を含む平和条約締結問題や、首相が示した経済協力の進展状況につ
いても意見を交わすとみられる。
日ロ外相、10 月にも再会談 大統領来日へ岸田氏訪ロ(D160922)(要約)岸田外相は 21 日、
ラブロフ外相とニューヨークで会談し、12 月のプーチン大統領来日と首脳会談に向け、岸
田氏がロシアを訪れてラブロフ氏と再会談することで合意。北方領土返還を含む平和条約
締結交渉の進展を目指し、一連の準備を加速させる。10 月下旬にも訪問する見通し。安倍
首相は、プーチン氏来日を機に領土問題を前進させ、平和条約締結への道筋をつけたい考
え。外相間を含むハイレベル協議で交渉を進められるかが焦点。両外相は、シュワロフ第
1 副首相が 11 月にも来日し「日ロ貿易経済政府間委員会」を開くことも申し合わせた。首
相が 5 月の首脳会談で提案した 8 項目の経済協力案の具体化を進める。会談では、5 回目
の核実験を行った北朝鮮に関し、国連安保理での新決議を含む制裁強化へ連携を強める方
針で一致した。
日ロ領土交渉「方針変わらず」 菅官房長官(D160923)(要約)菅官房長官は 23 日、ロシア
との北方領土交渉に関し「四島の帰属を確認して平和条約を締結する基本方針は変わって
いない」と述べ、安倍首相とプーチン大統領が 5 月に合意した「新しいアプローチ」に基
づく平和条約締結交渉においても従来の政府方針は堅持しているとの認識を強調した。ロ
シアが 1956 年日ソ共同宣言を重視する姿勢を強めていることを踏まえ、2 島返還を最低条
件として、残る国後、択捉両島の帰属問題を棚上げしたまま平和条約を結ぶ可能性につい
ては「全くそうした事実はない。明確に断言しておく」と否定。
ロ臨検、サバとイワシ混獲が理由 国後島に留置の日本漁船(D160923)(要約)稚内市のサ
ンマ棒受け網漁船「第 8 朝洋丸」がロ側の臨検を受け、国後島に留め置かれている問題で、
サハリン州の国境警備当局者は 23 日、朝洋丸がサンマ漁の際に混獲したサバが漁獲枠を
超過している上、漁獲の許可がないイワシの混獲も見つかったことが理由だと明らかにし
た。当局者によると、混獲したサバは 2.6 ㌧で、漁獲枠を 1.9 ㌧超過。サバのうち 2.5 ㌧
は操業記録への記載がなかった。漁獲の許可がないイワシも 1.2 ㌧が確認され、違反理由
の調べを続けているとした。朝洋丸を巡っては、サハリン州の通信社「サフ・コム」も、
国境警備当局が行政的な違反とともに、刑事事件に当たるかどうかについても調べている
と報道。仮に刑事事件として起訴された場合には、乗組員の帰還が大幅に遅れる可能性が
ある。サフ・コムによると、今年 8 月末から日本漁船によるロ側水域での違反が 20 件に
達し、ロ当局が計 40 万㍔(約 63 万円)の罰金を科した。
北方領「2 島返還」最低条件 歯舞、色丹 政府、露との交渉で 平和条約「4 島帰属」前提とせず
(Y160923)(要約)政府は、ロシアとの北方領土問題の交渉で、歯舞、色丹の 2 島引き渡
しを最低条件とする方針を固めた。平和条約締結の際、
「4 島の帰属」問題の解決を前提と
しない方向で検討している。安倍首相は 11 月と 12 月にプーチン大統領と会談する。こう
した方針でトップ交渉に臨み、領土問題を含む平和条約締結に道筋をつけたい考えだ。複
数の政府関係者が明らかにした。択捉、国後については日本に帰属するとの立場を堅持す
る。そのうえで、平和条約締結後の継続協議とし、自由訪問や共同経済活動などを行いな
がら、最終的な返還につなげる案などが浮上している。日本政府はこれまで、4 島の帰属
の問題を解決したうえで平和条約を締結するという基本方針で交渉に臨んできた。日本政
府は事態を打開するため、4 島の帰属問題の解決を前提とせず交渉に臨み、まずはロシア
が合意する可能性の高い歯舞、色丹の 2 島返還を目指す方針に転換したとみられる。ただ、
4 島の帰属を明確にしないままの平和条約締結には国内の反発も予想される。いったん平
和条約を締結すれば、ロシア側が国後、択捉の交渉に応じない可能性もあり、日本政府は
ロシア側の出方を慎重に見極める方針だ。
岸田外相 訪露へ プーチン氏来日前に (Y160923)(要約)岸田外相は 21 日、ラブロフ外
相と国連本部で会談し、12 月のプーチン大統領来日に向け、岸田氏が事前に訪露するなど、
政府間対話を活発化させることで合意した。両氏は、経済担当のシュワロフ第 1 副首相が
11 月に来日し、日露の経済協力を話し合う「貿易経済日露政府間委員会」を都内で開くこ
とや、2013 年 2 月以来途絶えていた外務次官による「日露戦略対話」を再開することも確
認した。
対露重視 平和条約急ぐ 北方領土交渉 政府新方針 (Y160923)(要約)政府が 2 島返還
を最低条件とする方針を固めたのは、核開発を進める北朝鮮や海洋進出を強める中国の情
勢を考え、ロシアとは平和条約締結を急ぐべきだと判断したからだ。もっとも、ロシアが
日本の提案を飲むかは不透明だ。交渉は難航も予想される。仮に、2 島返還が実現したと
しても、現在居住するロシア国民の地位や権利などの問題も残る。日本の譲歩が、日本国
内で反発を浴びる可能性もある。
Ⅶ.
北東アジア・中国・その他
中ロ経済連携へ首脳会談 試練に共に対応と習主席(D160625)(要約)中国の習近平国家主
席とプーチン大統領は 25 日、北京の人民大会堂で会談し、両国経済の連携強化に向けて
協議した。習氏は「中ロは共に世界経済が直面する困難と試練に対応していく」必要があ
ると訴えた。英国の EU 離脱を念頭にした発言とみられる。両国は中国が掲げる現代版シ
ルクロード経済圏構想「一帯一路」とロシア主導の旧ソ連経済圏「ユーラシア経済同盟」
の協力発展で合意しており、両首脳は具体化を目指したい考え。
中露 海洋権益で連携 「相互に支持」首脳会談で一致 (M160626)(要約)プーチン大統領
は 25 日、北京を公式訪問し、習国家主席と会談した。双方は「地球規模の戦略的安定の
強化」に向けた共同声明に署名した。会談後、プーチン氏は南シナ海について協議したと
述べた。ロシアが南シナ海問題で従来より中国寄りの姿勢を見せ、海洋権益問題での共同
歩調をアピールした形。両首脳はサイバー空間の発展に向けた共同声明のほか、エネルギ
ーやインフラ分野など 30 以上の協力文書に署名した。
プーチン氏は「シリア情勢や南シナ海の平和と安定の維持などについて話し合った」と
述べたうえで、「露中の観点はほぼ一致している。今後も国連などで緊密な共同歩調をと
る」と言及した。
社説 中露首脳会談 国益優先だけの連携か (M160628)(要約)プーチン大統領と習国家
主席が北京で会談し、国際問題でいっそう強調していくことを確認する共同声明を発表し
た。中露は必ずしもお互いの行動を全面的に支持しているわけではないが、日米欧による
締め付けには連携して対抗するという姿勢である。だがロシアのウクライナへの介入や中
国の南シナ海進出は、力を背景に現状を変更しようとする、国際秩序への挑戦である。中
露は一方的な自己正当化をやめ、まず国際社会の懸念をきちんと受け止めるべきだ。中露
の連携が日米欧への対決姿勢を強めるばかりでは世界の安定は望めない。国益を優先する
だけの連携では国際社会の理解は得られない。
中露、南シナ海演習 9 月 米国けん制狙う (M&Y160729)(要約)中国国防相の楊報道官
は 28 日、中国とロシアの両海軍が 9 月に南シナ海で合同軍事演習を実施すると明らかに
した。対中圧力を強める米国をけん制する狙いがあるとみられる。ロシア側の発表はない
が「航行の自由」作戦を展開する米国をけん制したい考えは中国と共通する。ロシアは、
中国との関係強化を進めるが、南シナ海の紛争には介入しないと繰り返し表明している。
南シナ海問題でロシアは、
「域外勢力の関与に反対する」(メドベージェフ首相)として、
中国に同調。中国はロシアと連携し、関与を強める日米などに対抗する狙いがあるとみら
れる。
キルギス、中国大使館付近で爆発 自爆テロか、5 人負傷(D160830)(要約)キルギスの首都
ビシケクにある中国大使館付近で 30 日午前(日本時間同日午後)、爆発が発生。ロシアや
キルギスのメディアによると、ラザコフ副首相は現地記者団に自爆テロとの見方を示した。
中国国営通信、新華社によると、容疑者が死亡したほか、大使館で勤務する地元職員 3 人
と警備員 2 人の計 5 人が負傷した。キルギスと隣接する中国新疆ウイグル自治区では、激
しい抑圧政策の下、反発したイスラム教徒の ウイグル族 の住民による暴力事件なども起
きている。キルギスも人口の 4 分の 3 がイスラム教徒。ロシアの一部メディアはキルギス
に約5万人が居住するウイグル人の独立派による犯行の可能性を報道した。キルギスでは、
中国が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」に沿った経済開発が進められており、
こうした動きに対する反感が背景になっている可能性がある。
仲裁判決は不公平
露大統領が中国の立場支持
南シナ海
ロシアのプーチン大統領=2016年9月5日、AP
【モスクワ杉尾直哉】ロシアのプーチン大統領は5日、訪問先の中国・杭州で記者
会見し、南シナ海を巡る7月の仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)判決の受け入れを中
国が拒否したことについて、「我々は連帯している。中国の立場を支持する」と述べ
た。判決内容には触れず、「中国が提訴しなかった」という手続き上の問題から「判
決を公正と認められない」と批判した。 ロシア通信によると、プーチン氏は「あら
ゆる第三者(仲裁・調停)の審理は、当事者双方からの提訴によって開始されなけれ
ばならない」と指摘。「中国はハーグ(仲裁裁)に仲裁を求めておらず、その立場は
裁判でまったく聞き入れられなかった」と批判した。 判決を巡り、ロシア外務省は
これまで評価は示さずに「当事国の対話による解決」(ザハロワ情報局長)を求める
立場だった。プーチン氏はこれを一歩進め、判決が出たこと自体を初めて批判した。
ペスコフ露大統領報道官は「大統領は誰が正しいか、悪いかについては話していない」
と主張。南シナ海のほぼ全域に中国の管轄権が及ぶという「九段線」の主張について、
大統領が判断を示していないことを強調した。 南シナ海問題の解決について、ロシア
は以前から、「国連海洋法条約を含む国際法を支持」「外部からの介入を阻止し、当
事者間の話し合いによる解決」を主張している。
首相、中国・ロシアとの連携指示 安保理での北朝鮮制裁強化へ(D160912)(要約)安倍首
相は 12 日、5 回目の核実験を強行した北朝鮮に対する制裁強化に向け、中国やロシアと連
携を図るように指示した。政府は、岸田外相と中ロ外相による電話会談の調整を本格化。
国連安保理での新決議による制裁強化を目指し、中ロ両国への働き掛けを強める。日本の
独自制裁については与党と具体的な措置を検討する。
Fly UP