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[成果情報名]大山川ラバーダムに設置した仮設式階段魚道の改良 [要
[成果情報名]大山川ラバーダムに設置した仮設式階段魚道の改良 [要 約]魚類が遡上できないラバーダムに仮設式階段魚道を設置したが、その効果は確認され なかった。そこで魚道の構造上の問題点を改良して迷入防止策等を実施した結果、アユなどが遡上 し、仮設式階段魚道の有効性が確認された。 [部 署]山形県内水面水産試験場資源調査部 [連 絡 先]℡0238-38-3214 [成 果 区 分]指 [キーワード]ラバーダム、仮設式階段魚道、アユ遡上 -----------------------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい] 赤川水系大山川には季節的に起立するラバーダムが 3 箇所設置されている。主に農業用水を取水 するための施設であるが、魚道など魚類が遡上するための手段がなく、起立する時期がアユの遡上 と重なることから漁協からの要望もあって庄内総合支庁建設部河川砂防課、赤川漁業協同組合、土 地改良区、鶴岡市が協働して 1 箇所に仮設式階段魚道を設置することになった。そこで、その効果 の検証と改良方法について指導した。 [成果の内容・特徴] 1.平成 20 年 6 月に鶴岡市友江地内 大山川の既設ラバーダムに庄内総合支庁建設部河川砂防課が設 計・設置した仮設式階段魚道の効果を調査した(図 1)。その結果、魚道を遡上する魚がなかったた め、次の 3 点を指摘し、改良するよう指導した。 ①魚道内の流量が少なく魚道入口に魚を誘導できないため、魚道内の流れを増やすこと。 ②魚道入口に誘導する手段として誘導工などによる迷入防止策を検討すること。 ③放流アユを用いた遡上実験で遡上は見られず、魚道自体の問題点として中間部の水槽の除去、勾 配を緩やかにすること、魚道内の隔壁を魚が休めるタイプの階段式に変更することを提案。 2.平成 21 年 6 月には、上記指摘に基づき、魚道出口を取水し易い構造に改良し、迷入防止策として は誘導工を設置し、また、魚道本体については、中間水槽の除去、魚道勾配 19°を 17°に変更、隔 壁タイプを台形型から凸凹型に変更するとともに、次の 2 点について指導した(図 2、3) 。 ①誘導工から越流があれば多くの魚が誘導工を飛び越えてラバーダム直下へ集まるため、この防止 策として対岸側にアユの突進速度(1.7m/s)を超える流速の排水場所を確保すること。 ②迷入防止策として魚道入口へ呼び水を確保するため、魚道脇の誘導工の一部を撤去して流量を確 保すること。 3.平成 22 年 6 月 25 日 14 時~6 月 27 日 6 時まで魚道を設置し、魚道の出口を網で被い全遡上魚を 採集した。その結果、アユ 13 尾、フナ類 23 尾、ヨシノボリ類 1 尾の遡上が確認された(図 4)。 これらの結果から魚道の構造に問題が無ければ魚道の入口に誘導する工夫により仮設式階段魚道で も効果があることが示された。 [成果の活用面・留意点] 1.仮設式魚道のため設置・撤去に係る費用、保管、河川占有許可、増水時の対応など漁協、行政の 役割分担を明確にすることが必要。 2.今回設置した魚道の能力(時間当たりの遡上数など)を調査し、魚類の遡上を妨げる砂防ダムな ど河川横断工作物への応用も検討する必要がある。 [具体的なデータ] 仮設式階段魚道 H20.6.3 仮設式階段魚道 H22.6.7 H20・21の改良型 ① 魚道内の水量が少ない →魚道内へ水を誘導する ② 魚道の入口が見つけられない →誘導工を設置する ③ 放流用アユで遡上実験 →遡上なし→魚道自体にも問題 越流 した ウグ 泡沫 ス ナ イ、 カ 部に ヤツ ジカ 魚が メ 、 、タ 集ま オ イ モロ って カ ワ コ、 いた 、ビ ア ブ ワヒ ラハ ガイ ヤ 、ア ユ 誘導工を外し越流を防ぐ この流速ではラバーダム直下 への侵入は不可能と判断 なお、水量が治まるに従って 板をはめ込んでいくことが重要 遡上魚:0 魚道構造の改良 誘導工の嵩上げ 魚道脇の誘導工を 外し魚道入口への 呼び水とする 図1 図1 最初に設置された仮設式階段魚道 土嚢を斜めに積み 上げ、魚を入り口に 呼び込むように工夫 呼び水が川下の魚を 誘導する 図2 図2 改良後の仮設式階段魚道と誘導工の設置 魚道出口改良 水量の確保 木製水槽は不要 19° 台形タイプ 凸凹タイプ 階段を緩やかに改良 最初に設置された仮設式階段魚道 隔壁について 最初 改良後 取水しやすい構造へ 念願のアユが13匹 フナが23匹 木製水槽の除去 改良された仮設式階段魚道 トウヨシノボリ 17° 階段を緩やかに改良 19°→ 17°へ 25cmクラスの大物!! 図3 仮設式階段魚道本体の改良について [その他] 研究課題名:増養殖技術指導 予算区分 :県単 研究期間 :平成 20~22 年(平成 20~24 年度) 研究担当者:桂 和彦、荒木康男、高澤俊秀 発表論文等:なし 図4 調査結果 図4