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講義資料
2003年度春学期授業日程 04/14 04/21 04/28 05/05 05/12 05/19 05/26 06/02 06/09 06/16 06/23 06/30 07/07 07/14 インターネットの進化と可能性 第05回(2003/05/19) 「既存システムのアーキテクチャ」 村井 純 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (最新情報はSoI * で確認してください) 講義概要/実空間ネットワーキング 実空間と仮想空間の対応 実空間ネットワークのデザイン* こどもの日 ICタグ/カードの基礎技術 今日はここです 既存システムのアーキテクチャ 今日はここです ハードウェアの未来像* 周波数の利用と政策 規格と標準化 周波数政策と規格の標準化に関する議論* 情報の表現 セキュリティとプライバシ セキュリティに関する議論* まとめ * 履 修 者によるプレゼンを行います 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 2 今回の講義内容 • 目的 – ICカードのシステムアーキテクチャを知る ICカード入門 • 具体的なアプローチ – ICカード入門 – 既存のICカードシステム • ハードウェア・OS・プラットホーム • システムアーキテクチャ 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 3 What is IC Card (Smart Card) ? 2003/4/14 – ICチップが内蔵されたカード – CPUとメモリを持つICカードは、一種のコンピュータやパソコン • 接触型 – 金属端子を持つ – リーダライタに差し込むことにより、端子を通して電力供給とデー タ通信を行う – 現行のクレジットカードなど • 非接触型 – アンテナコイルを持つ – アンテナを用いて非接触で電力供給とデータ通信する – Suicaなど インターネットの進化と可能性 2003s 4 ICカードと磁気ストライプカードの違い • I Cカードとは? 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 5 構造 ICカード(Smart Card) 磁気ストライプカード カード内にICチップを内臓 テープ状の磁気記録媒体を貼り 付け メモリ容量 演算機能 認証 盗聴 改ざん 大 ○ 小 × I Cカードとリーダライタ間で暗号 紛失、盗難届されたカードの認 を使って各々の正当性を確認で 証に留まる きる。 極めて困難 比較的簡単 拡張性 多方面での利用が期待される メモリ量・安全性により限界あり 価格 やや高い 安い 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 6 1 ハードウェアのパフォーマンスとコストの関係 • 利用目的やコストパフォーマンスに応じた ハードウェアの選択 高度な コスト シミュレーション •単価 •排熱量 •消費電力 •機器の大きさ Super Computer ある程度限定された アプリ/ デバイス ICカードのハードウェア構成 PC PDA 多様なアプリ/ 多様なI/Oデバイス ICカード 個体識別 •演算速度 •ストレージの容量 •I/Oデバイスの多様さ 演算 / アプリ動作 RFIDタグ EMタグ 存在確認の み 2003/4/14 パフォーマンス7 インターネットの進化と可能性 2003s 端末 インターネットの進化と可能性 2003s センタ アンテナ アプリケーション アプリケーション ICチップ プラットフォーム ICカード 0123 4567 89 AB CDEF RG 05/03 JUN MURAI OS ハードウェア 8 ICカードのハードウェア構成 ICカード・システムのモジュール構成 ICカード 2003/4/14 リーダライタ アンテナ ここの話!! RF回路・ コントローラ リーダ・ライタ 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 9 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s ICカードシステム の構成要素 ICチップの構成 • インタフェース仕様 • • • – 接触型 – 非接触型 – 複合型 • OS – – – – ネイティブ JavaCard MULTOS ・・・ • 認証技術 – PINコード CPU – 演算処理 • マスクROM – OSを格納 • EEPROM – アプリケーションを格納 RAM – データ一次保存領域 コプロセッサ – 暗号演算処理用 • メモリ – – – – ROM/RAM EEPROM Flash FeRAM 電源(VCC) 接地(GND) リセット(RST) プログラム供給電圧 データ入出力 (I/O) クロック(CLK) 予備端子 予備端子 • セキュリティ技術 – 耐タンパ性 – 暗号方式 2003/4/14 10 CPU 0123 4567 89 AB CDEF RG 05/03 JUN MURAI インターネットの進化と可能性 2003s RAM マスクROM EEPROM 11 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 12 2 ICチップの電力 ICの種類と用途 • 電池がないのにどうやってCPU動いてる? • アンテナコイル • メモリ – データの記憶 • ロジック – リーダアンテナが発生する磁界を通過 – 電磁誘導現象により起電力を誘起 Micro Processor Unit (MPU): Pentium など、PC機器のCPUに用いられている – 演算、命令など – データのプロセッシング • ASIC(特定用途向けIC) ICチップ 磁界 コンデンサ – オーダーメードのIC – ネットワーク機器(スイッチなど)にも用いられている リーダアンテナ • システムLSI アンテナコイル – プリント基板の複数のICをひとつのチップにしたもの – ワンチップパソコンなどへの応用が検討されている 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 13 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 14 ICカードの製造工程とコストの発生 • ウェーハからI Cを切り出す – ICの単価は大きさに比例して高くなっていく • カードにアンテナをつける – アンテナの長さ、面積に比例 – 銅箔エッチング – 印刷 • チップを実装しコーティングする • カードとして整形する • 初期データを書き込む 切り出されたIC • コストが生まれるところ 整形前のカード – 使用する原料の量 – 製造方法 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 15 端末 センタ アプリケーション アプリケーション プラットフォーム OS ここの話!! ハードウェア 2003/4/14 リーダライタ インターネットの進化と可能性 2003s 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 16 多目的、高機能なカードのアーキテクチャ ICカード・システムのモジュール構成 ICカード ICカードで動作するプラットホーム(OS) ウェーハ 17 • • • • • • Java Card MULTOS FeliCa eLWISE Mifare Windows for Smart Card 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 18 3 ICカードプラットフォーム • • アーキテクチャの例:MULTOS 「マルチカードにマルチサー • ICカードプラットフォームの現 ビスを安全・低コストで柔軟 状(例) に提供する」 1. MULTOS プラットフォームへの要求事 • MULTOSコンソーシアム (MAOSCO) 項 1. カードの特性とカード内APの 状態通知 カード資源の有効活用 カードAPの流通 カードAPの安全な搭載 AP更新機構 カード発行者とAP提供者の 分離 柔軟なカード運用管理 2. 3. 4. 5. 6. 7. カードチップ の認定をMAOSCO が行う APのDLには、MAOSCO が発 行する鍵が必要 要求事項 (1)∼(4) ○ (5)∼ (7) × • • • 2. GP/VOP (GlobalPlatform/VISA OpenPlatform ) 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s – 非接触型ICカードへの対応も進 められている • プラットホームの利用 19 CPU ROM RAM (MULTOS) アプリケーション1 アプリケーション2 コマンド コマンド データ データ – MEL • MULTOS Executable Language – 特定言語に依存しないアプリケー ション開発が可能 • アプリケーション の追加・削除 が容易に行える Java Cardをベース カード発表者中心モデルに基 づいて検討 • • • 現在は接触型ICカードで広く 利用されている – MULTOS自体は 書き換え不能なROMに格納 – 各アプリケーションは書き換え 可能な不揮発性メモリに格納 2003/4/14 • 高度な暗号技術の利用 – DES、3-DES、RSA、ECCなど – MULTOSカード上での 公開鍵/秘密鍵ペアの作成 • 3GPPへの応用 – MULTOS上でのSIM-APIの開発 インターネットの進化と可能性 2003s 20 プラットホームの抽象化とアプリケーション の多様性 アプリケーション MEL API クレジット 電子マネー GSM チケット ロイヤリティ MELインタプリタ 入出力 暗号 ICカードの通信 ファイル アプリ 管理 ロード ICチップ MAL アプリケーション 開発環境 C Java VB 2003/4/14 VM MULTOS (Hitachi) MULTOS Executable Language MULTOS (Infineon) MAL エディタ コンパイラ コンパイラ / トランスレータ MULTOS (Philips) コンパイラ インターネットの進化と可能性 2003s 21 端末 インターネットの進化と可能性 2003s 22 ICカードとリーダ・ライタ間の符号化の例 ICカード・システムのモジュール構成 ICカード 2003/4/14 • デジタル情報をアナログ信号で表現する仕組み センタ – 振幅変調(ASK: Amplitude Shift Keying) アプリケーション アプリケーション プラットフォーム – 周波数変調(FSK: Frequency Shift Keying) OS ハードウェア リーダライタ ここの話!! 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s – 位相変調(PSK: Phase Shift Keying) 23 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 24 4 ICカードとリーダ・ライタの ハンドシェイクとサービスの流れ ICカードで用いられる通信プロトコル • 非接触型 近接型 ISO14443 近接型 Po llin g Po llin g Po llin g Type B IT装備都市研究事業 FeliCa JR東日本定期券(SUICA) 大学生協カード、 出光MYDOカード、社員証など ISO7816 25 Authentication Read Data Write / Data (Uploaded Data? クレジットカード、キャッシュカード インターネットの進化と可能性 2003s sponse Request Re Authentication 自動販売機 の動作プロセス •ICカード内のサービス照合 •認証 •課金 •販売・在庫情報の更新 •ガシャコン • 接触型 S型 ICカード ACK Request Se rvice 密着型 2003/4/14 ICカードのシステム リーダ・ライタ (主な用途) 韓国(ソウル、釜山)での Type A 地下鉄、バス乗車券など NTT ICテレホンカード Type A’(ISO14443-3 ANNEX C) 2003/4/14 0123 4567 89 AB CDEF RG 05/03 JUN MURAI OS内のアプリケーションリスト •自動販売機 •銀行ATM •ガソリンスタンド •鉄道自動改札 •クレジットカード ・・・ ?) アプリケーション インターネットの進化と可能性 2003s 26 Near Field Communication (NFC) • 13.56MHzの電波を用い、20センチ以内の範囲 内でデータをやりとりできる – ICチップを搭載した携帯電話 、PDA、 オーディオ 機器などがICカードと同じように振舞う – 212Kbpsまでの通信速度のNFC技術では、フィリップ スのMifareとFeliCaで利用可能 •PDAからスケジュールを携帯電話 に転送 •携帯電話の アラームを自動設定 ICカードのセキュリティ •携帯電話 でダウンロードした :音楽データをラジカセで再生 :動画データをテレビで再生 NFC NFC 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 27 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s ICカードシステムにおけるセキュリティの考え方 コプロセッサを用いた高度な暗号化 • カードに含まれる情報をどのように守るか • コプロセッサ – ハードウェア上のセキュリティ – 通信時のセキュリティ tamper: – アプリケーション 実行時のセキュリティ 改竄する、買収する、 異物を混入する、いた ずらをする • 耐タンパ性 – 不正アクセスを検知すると、チップ自体を破壊 – データ盗聴・なりすましを防ぐ – CPUとは独立して暗号化の演算などを行うプロセッサ • コプロセッサを必要とする暗号化方式 – RSA (Rivest Shamir Adleman:いわゆる公開鍵暗号 ) – ECC (Elliptic Curve Cryptosystem:楕円曲線暗号) 解読 • 通信の暗号化 – PKI (Public Key Infrastructure)を用いた暗号化 – コプロセッサ を用いた高度な認証 コプロセッサ • ファイルシステムへのアクセス制限 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 28 29 2003/4/14 暗号化されたデータ インターネットの進化と可能性 2003s 30 5 共通鍵と公開鍵の比較 • 共通鍵 ファイルシステムとアクセス制限 • 公開鍵 – カード単価が安い – 実行時間が短い – リーダに共通鍵運用装置が必 要 – 鍵の解読は、システムに致命的 – 例: Felica – リーダ側の鍵を公開できる – 鍵管理の運用コストを下げられ る – カードごとに秘密鍵が違うので、 鍵の解読でも被害はカード1枚 – 実行時間が長い – 例 : eLWISE • FeliCaOSの場合 – 複数のアプリケーション が共存 – エリア・サービスごとの 認証 – セキュリティ鍵によるエリア間の情報アクセス エリア A1 サービス A-S1 事業者A領域 サービス A-S1 エリア B1 事業者B領域 サービス B-S1 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 31 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 32 ICカードとアプリケーション 、利用者の構成例 • ICカードを使ったサービスをするには、 様々な外部サポートが必要 • どういう役割が必要か? ICカードを使ったアプリケーション 登録 登録 認定機関 認定機関 アプリケーション (サービス)ごとに必要 発行者登録 カード カード 供給者 供給者 カード供給 カード カード 発行者 発行者 カード発行 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 33 2003/4/14 アプリケーション ダウンロード・ 削除許可 アプリケーション ID発行 サービス サービス 提供者 提供者 アプリケーション ダウンロード・ 削除要求 ID登録 ID登録 センタ センタ アプリケーション ダウンロード・ 削除 カード 利用者 カード 利用者 インターネットの進化と可能性 2003s 34 アプリケーションの考察:電子マネーを例に ICカードのスケールメリットと導入によるインパクト • 保存媒体 • 数十億枚単位で普及したサービスで、 ICカードの単価が1円下がったらどうなるか • 電子化対象 – ICカード型 – ネットワーク型 – オープンループ型 – クローズドループ型 – クレジットカードは星の数ほど出回っている 残金: 残金: 3 0 0 0 円 3 0 0 0 円 どういう 保存媒体を 利用するか? 残金: 残金: 3 0 0 0 円 3 0 0 0 円 • ICカード(タグでも)を導入して、どれだけのメリットを得ら れそうか 発行主体 – 売り場面積日本第??位の書店で棚卸をするときの人件費を考 慮すると、ICタグの導入は経済的か • ICカード(タグ)は使い捨てか、リサイクルするか 発行主体 ユーザ間で直接的なやり取りできない 貨幣価値 そのもの を電子化: オープンループ型 2003/4/14 決済手続き の電子化: クローズドループ型 インターネットの進化と可能性 2003s – ランニングコストの比較 – 実際に行っているサービスはプライバシーに関するデータを取 り扱っているか • などなど 35 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 36 6 今回の講義のまとめ • ICカードのハードウェアの構成は単純 – ICを搭載することで、カード自体で高度な処理が可能 • ICのパフォーマンス向上と、排熱などのコストとのトレードオフ – 単価は実際に導入する上でのクライテリアになる • スケールメリット • セキュリティ・認証 まとめ – 1枚のカードにも高度なセキュリティを要求できる • コプロセッサ による暗号化機能 – 認証を考慮したファイルシステム – セキュリティのデザインとコストとのトレードオフ • サービスに求められるセキュリティレベル • カードやリーダの単価 などへの影響 • システムアーキテクチャ – カードからOS、ソフトウェアまで含めていくつかのプラットフォームが提案さ れている – OSの種類に依存しない通信プロトコルをどうやって作っていくか 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 37 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 38 今週の課題 • 課題 – ICカードの未来と日本の国際競争力 についてサーベ イしてください • • • • 課題 諸外国の事例との比較と今後の方針 ビジネスおよび、システムの視点での考察 周波数行政、産業の誘導 などについて • 提出期限 – 5月22日(木) 23時59分 – PPTファイルや、図などを取り入れて見やすいWEBな どの形式で提出してください 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 39 2003/4/14 インターネットの進化と可能性 2003s 40 7