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インフラ・イノベーション研 - TOP of 東京大学情報学環「インフラ高度化
───────────────────────────── インフラ・イノベーション研究会 第5回講演会 企画 「現実空間と情報空間の連携」 ───────────────────────────── 趣旨: 社会インフラの上で営まれる社会・経済活動では、実際に人や物が移動しリアルな商品やサービスが提供 されている。これらの活動は現実の空間で行われているが、その活動に伴って商品情報、購買情報、決済情 報など、多くの情報が生成され流通している。これまでは、こうした個々の社会・経済活動を支えるものと して情報通信サービスは提供されてきたが、最近では、クラウド・コンピューティングやユビキタス・ネッ トワーク等の進展に伴い、現実空間の活動が情報空間を介して連携することで、様々なサービスが生まれて いる。 例えば、身体障碍者に対する移動支援の取り組みは、道路空間における経路情報やバリアフリー情報を携 帯電話等できめ細やかに提供するものであるが、こうした現実空間の情報は身体障碍者だけではなく、地域 観光の経路誘導などの情報提供サービスの展開にも繋がっている。一方、情報空間に設定された「街」にユ ーザーが情報を書き込み、それを現実空間に投影することで「街」を活性化させようというサービスも始ま っている。情報空間では現実空間の活動履歴に加えて個人の感想等も同じ場所に残すことができるため、情 報空間における「ある場所」の魅力を高めることで現実空間の「ある場所」の魅力や価値を高め、地域の活 性化に繋げようという試みである。さらに、リアルタイムで現実空間と情報空間との情報を連携させている のが、ITSにおけるプローブカー等を活用した渋滞予測・経路誘導である。これは現実空間の自動車の走 行状況を情報空間に投影しその膨大な情報を解析することで、ドライバーに渋滞予測情報等を提供し行動を 誘導する試みである。情報提供による行動変化を解析し予測にフィードバックすることでより的確な情報提 供が可能となる。こうした現実空間と情報空間との連携による人の行動のマネジメントは、新たなサービス の領域として着目されている。 第5回の講演会では、これらの分野における先駆的な取り組みについて、パネリストの方々にお話し頂い た後、現実空間と情報空間の連携方法とそれがもたらす新たなサービスの可能性について議論する。 日 時:2011年2月17日(木)16:00~18:00 場 所:東京大学 工学部2号館9階92教室(東京都文京区本郷7-3-1東京大学内) 地図 → http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_03_j.html <パネリスト> ‐ICT を活用した歩行者の移動支援について: 国土交通省 政策統括官付参事官付 政策企画官 鈴木研司 様 ‐位置情報を活用した「コンテクストマーケティング」サービス~街空間における情況マーケティング実現に向けて~: 東京急行電鉄 グループ事業本部 第三部 金山明煥 様 ‐大変革を迎える自動車社会~インフラとしての自動車へ~: インターネットITS協議会 時津直樹 様 ‐コーディネータ:東京大学 大学院情報学環 特任教授 石川雄章 <プログラム> 16:10~17:40:趣旨説明、パネリスト発表(30分×3) 17:40~18:00:パネルディスカッション ───────────────────────────── - パネリストからの発言内容(概要) - ───────────────────────────── ■ 国土交通省 政策統括官付参事官付 政策企画官 鈴木研司 様 ‐題名:ICT を活用した歩行者の移動支援について ‐概要: 少子高齢化社会に向け、国土交通省では、ユビキタス技術等を活用し、高齢者・障がい者をはじめ誰 もが必要に応じ移動に関する情報を入手し、積極的に活動できる環境の構築を目的とした歩行者の移動 支援施策を推進している。ここでは、歩行者の現在位置を精度よく特定する「位置特定技術」、場所を 識別する「場所情報コード」、歩行空間上の段差の有無、幅員やスロープ等のバリア情報を含む「歩行 空間ネットワークデータ」など、歩行者の移動支援システムに必要な要素技術の現状と今後の方向性等 について紹介する。 ■ 東京急行電鉄 グループ事業本部 第三部 金山明煥 様 ‐題名:位置情報を活用した「コンテクストマーケティング」サービス~街空間における情況マーケティング実現に向けて~ ‐概要: 東京急行電鉄では、沿線の都市開発と沿線地域の価値向上のため多くのサービスを展開している。各 サービスの展開には各種タウンログの活用が欠かせないが、中でも位置情報については、鉄道乗降デー タ、購買履歴情報などと並ぶ新たなタウンログの一つとして、最適な取得方法と活用の機会とを検討し ている。また、各種タウンログと位置情報、コンテクストマーケティングの融合を実現させるため、各 協力事業者と共に実空間×e 空間のサービスを展開し、検証と改善を行っている。 本講演では、2009 年、2010 年度に受託した経済産業省の実証事業などを通じて得た知見を、実績と合 わせて紹介する。 ■ インターネットITS協議会 時津直樹 様 ‐題名:大変革を迎える自動車社会~インフラとしての自動車へ~ ‐概要: 自動車が出現して 100 年以上になるが、個人が自由に移動するための手段としての価値は最大にまで 拡大された。しかし自由と引き換えに“負の側面”が存在しその解決のために ITS を進めている。しか し国内に 7500 万台も存在する自動車を、新しいインフラとして捉える活用しようとする概念が創出され た。それが我が国から始まったプローブ情報システムである。一台の自動車が搭載する 100 近くのコン ピュータとそのセンサー情報を蓄積し、そこから社会のため役立つ“価値”を創りだそうと言う考え方 であり、VICS/ETC に続く ITS である。一方、通信技術の進化は自動車の定額・高速・常時接続の時代に 突入させた。このことで家庭/事業所と人と自動車の各 1 億規模の情報社会の融合が始まった。今まさに この過程の入り口であり、今回の研究会は皆で将来の考察を開始する機会としたい。 <パネルディスカッション> ディスカッション:現実空間と情報空間の連携の仕組みと新たな可能性 題1:現実空間と情報空間の連携の仕組みは? ・情報通信基盤における連携の仕組み/ソフトウェアにおける連携の仕組み 等 題2:新たな可能性 ・可能性を感じさせる新たなサービス/社会インフラ管理への応用 等