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国別データシート

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国別データシート
国別データシート
31
32
国別データシート目次
1. アジア
日本 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中国 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
韓国 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
台湾 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マレーシア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フィリピン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ベトナム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
インド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
オーストラリア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
シンガポール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
インドネシア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
35
39
44
47
50
53
56
59
62
65
68
70
2. 欧州・中東・アフリカ
欧州(西欧及び東欧 トルコを除く) ・・・・・・・・・・・・・
中東(トルコを含む) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アフリカ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
72
74
77
3. CIS
CIS
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
79
4. 北米・中南米
アメリカ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カナダ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
メキシコ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ブラジル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
83
86
88
91
33
34
国・地域名: 日
本
1.概況
日本経済はリーマンショックの影響を強く受け、2008 年後半から 2009 年にかけて厳しい状況
にあったが、2010 年の実質 GDP 成長率は、2009 年の▲6.3%から一転、+3.3%と回復した。し
かし、2011 年は東日本大震災の影響もあり、▲0.0%成長に落ち、2012 年は+0.8%と若干持ち
直 した。このような経 済 情 勢 の下 、日 本 の石 油 化 学 産 業 については、エチレン生 産 量 で見 て、
2010 年の 702 万トン(対前年比+1.5%)から、2011 年 669 万トン、2012 年 615 万トンと漸減傾
向になっている。
プロピレンについても、2010 年の 599 万トン(前年比+7.1%)から、2011 年 563 万トン、2012
年 524 万トンと減少に転じた。
2010 年の芳香族(ベンゼン、トルエン、キシレン)製品については、ベンゼン、トルエンは、エチ
レン、プロピレンと同様の推移を示しているが、キシレンはパラキシレン向けの需要が増加した。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、日本)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
761
232
132
291
88
201
142
749
676
318
73
170
576
657
232
806
402
90
生産
(B)
669
184
94
274
58
153
104
619
562
245
74
160
492
443
134
576
320
89
輸入
(C)
4
35
10
0
5
3
1
42
1
20
1
7
29
5
3
0
1
4
輸出
(D)
54
25
18
128
15
43
4
149
71
39
29
31
103
24
19
83
255
16
内需
E=B+C-D
619
194
86
146
48
113
101
512
492
226
45
136
418
424
119
493
67
77
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E)
(D/B)
1%
8%
88% 三菱化学
50
18%
14% ▲ 10
79% 日本ポリエチレン
11%
19%
71% 日本ポリエチレン
8
0%
47%
94% 旭化成ケミカルズ
128
10%
25%
66% 三菱化学
10
3%
28%
76% 大洋塩ビ
40
1%
4%
73%
3
8%
24%
83%
107
0%
13%
83% 三菱化学
71
9%
16%
77% 日本ポリプロ
19
2%
39%
101% 旭化成ケミカルズ
28
5%
19%
94%
24
7%
21%
85%
74
1%
5%
67% JX日鉱日石エネルギー
19
3%
14%
58% JX日鉱日石エネルギー
16
0%
14%
71% JX日鉱日石エネルギー
83
2%
80%
80% JX日鉱日石エネルギー
254
5%
18%
98% 三井化学
12
※エチレン能力は、経済産業省化学課による設備能力調査をもとに
(定修実施年+定修スキップ年)/2で算出。
※プロピレン能力は、経済産業省化学課による設備能力調査をもとに推計。
※内需は四捨五入等の関係から数式と合致しないことがある。
35
(2)石化産業の最近の動き
円高がやや収まり、景気が徐々に回復していくことが見込まれるが、国産の石化製品に対す
る需要は、全体として低調に推移することが予想される。
2011 年は、東日本大震災による国産品供給力不足に加え、欧州金融不安及びアジア圏の需
給緩和、市況下落、さらに超円高による輸入品の急増など、国内産業全体が苦況にあった。そ
の影響で国産石化製品の内需は減少した。
今後、アジア経済の鍵を握る中国ではインフレ抑制の動きが強まりつつあり、石化製品の輸出
及び化学品の国内ユーザーである輸出産業の国内需要の低迷が懸念される。
・ LDPE は素材として成熟期を迎えており、需要は依然として底堅い。2012 年では復興需要
が期待されたものの、需要増とはならなかった。LDPE の 2011 年の国内需要は、前年比+6.7%
の増加であったが、2012 年には同▲10.2%、数量で 19.9 万トンの減少となった。2013 年以降は
年率+1.0%程度で微増すると見込む。
・ HDPE の国内需要は、2011 年の前年比+5.7%に続き 2012 年も+0.3%の増加となった。
2013 年以降の国内需要は、平均年率▲0.1%程度で推移すると予想される。
・ 2011 年の PP の需要は復興需要など期待通りには需要が伸びず、円高による海外生産シ
フトの影響もあり、前年比▲6%の減少となった。
・ 2012 年の EO 需要は、2011 年後半から続く国際的な需要減退や円高の影響を受け、前年
比▲4%の減少となった。特に電子部品向け需要減や海外品との競争激化が影響して誘導品の
自消は前年比▲10%と大幅な減少となった。EG の内需は、主要分野であるポリエステル関係に
おいて、繊維・フィルム・電子部品向け等全般的に需要が低迷したため、前年比▲8%の減少と
なった。
・ SM の国内需要は 2012 年も減少傾向にある。これは最大用途である PS 需要の減少によ
るものであるとともに、円高の影響で PS の輸入品が急増したため、国内需要は急減した。
・ PS は需要面では、電機工業用途(事務機、記録メディア等)の落ち込みが大きい。輸入品
は、特に震災以降定着し、ユーザーサイドの抵抗感も減り、拡大傾向にある。
・ PVC の国内市場は成熟しており成長を期待しにくい環境にあり、大きな需要拡大はなかっ
た。
・ PTA 及び PET は、国内プラントの事故により生産は大幅減少したことにより、輸入数量が
増加し、2012 年の国内需要は前年比▲9%の 70 万トンとなる見込みである。
36
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、日本)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
689
237
114
267
88
201
142
728
604
289
73
170
547
657
232
836
402
90
生産
(B)
629
169
87
230
60
121
121
580
538
232
67
160
472
450
152
661
362
84
輸入
(C)
輸出
(D)
3
35
14
0
1
2
7
32
3
36
1
8
46
5
6
0
0
3
内需
E=B+C-D
50
22
15
96
20
17
26
127
69
30
21
30
84
50
16
70
304
10
582
182
86
134
41
106
102
485
472
238
47
138
434
405
142
591
58
77
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E)
(D/B)
1%
8%
91% 三菱化学
47
19%
13% ▲ 13
71% 日本ポリエチレン
16%
17%
76% 日本ポリエチレン
1
0%
42%
86% 旭化成ケミカルズ
96
2%
33%
68% 三菱化学
19
2%
14%
60% 大洋塩ビ
15
7%
21%
85%
19
7%
22%
80%
95
1%
13%
89% 三菱化学
66
15%
13%
80% 日本ポリプロ
▲ 6
2%
31%
92% 旭化成ケミカルズ
20
6%
19%
94%
22
11%
18%
86%
38
1%
11%
68% JX日鉱日石エネルギー
45
4%
11%
66% JX日鉱日石エネルギー
10
0%
11%
79% JX日鉱日石エネルギー
70
0%
84%
90% JX日鉱日石エネルギー
304
4%
12%
93% 三井化学
7
(前提となる GDP 伸び率 1.1%)
※エチレン能力は、経済産業省化学課による設備能力調査をもとに
(定修実施年+定修スキップ年)/2で算出。
※プロピレン能力は、経済産業省化学課による設備能力調査をもとに推計。
※内需は四捨五入等の関係から数式と合致しないことがある。
(2)主な新増設計画と検討状況
PP:
日本ポリプロ(鹿島)
8.9 万トン停止(2014 年)
PP:
プライムポリマー
9 万トン停止(2013 年)
ベンゼン: 旭化成ケミカルズ(水島)
30 万トン停止(2012 年)
エチレン: 三菱化学(鹿島 No.1)
36.8 万トン停止(2014 年)
エチレン: 住友化学(千葉)
39.7 万トン停止(2015 年)
キシレン: 太陽石油(愛媛)
30 万トン新設(2014 年)
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
我が国の石油化学産業は、自動車、電子産業などの成長産業に基礎素材を提供している裾
野の広い安定的なポジションであったが、超円高が続いたことによりこれらの産業の海外移転の
動きがあり、一部化学品、樹脂の内需は低迷した。
汎用品については、震災以降の供給不足を引き金に輸入品に対する抵抗感が薄れつつあり、
輸入の増加が懸念される傾向にある。
37
・ LDPE の需要は、 2013 年は国内 GDP 成長率以上の回復があると見込まれるが、LLDPE
汎用品は海外からの流入は続くものの、国内ではメタロセン LLDPE を中心とした差異化・機能
性用途の開発が進むものと見込まれる。日本からの輸出は、汎用品の輸出は減少するものの、
機能品については平均年率+2.0%程度成長は見込まれ、輸出入バランスは大きく変化しないと
想定される。
・ HDPE の全体需要として、2013 年は GDP 成長率程度の増加があると見込まれるが、一方、
環境意識の高まり、包装容器の減容化等により、HDPE の全体需要としては、2013 年以降は、
加工製品輸入を含め、平均年率+0.4%程度の緩やかな需要増となると予想される。輸出入バラ
ンスは、汎用品を主体とした輸出が減少すると予想され、2012 年+6.8 万トンから、2017 年には
+1 万トンとなることが予想される。
・PP は工業部品用途において国内需要減や海外生産シフト等が見込まれるため需要が減少
すると予想される一方、それ以外の用途については、実質 GDP 並みの成長率と予想される。
・ SM の国内需要は大きな変化はないと予測される。一方、輸出市場は余剰バランスにあり、
各国厳しい競争関係にある。2014 年には中国でプラントの新設が計画されており、輸出量は減
少する可能性がある。
・ PS は電気工業分野(光学部材)、FS 分野(PSP、断熱ボード)等において用途拡大が進む
が、需要全体では減少傾向が続く見通しである。
・ 2013 年の EO は、円高の是正に伴い界面活性剤向けを中心に回復すると予測されるが、
誘導品の自消は引続き低調と想定し、前年比+1%と予測した。2014 年以降については、主に家
庭用洗剤の液体化シフトを背景とした界面活性剤需要の増加を見込み、前年比+1%で想定した。
2013 年の EGは、円高是正によりポリエステル関係需要および一般工業用途が回復、生産は前
年比+1%と予想する。需要について 2014 年も 2013 年と同傾向が継続するものと予測される。
・ PVC は公共工事の増加を進める方針であること及び消費税税率引き上げに伴う住宅需要
の増加が想定されることより、実質 GDP 成長率の伸びと同程度の伸びが予想され、内需の緩や
かな増加に伴い、生産は増加することが期待される。
・ ベンゼンの内需は、構成比率の高いスチレンモノマーの若干の増大が見込まれ、2012~17
年平均で 0.4%程度増加する見込みである。トルエンの生産は、パラキシレンの需要による高稼
働を見込み、2012~17 年平均で 2%程度増加する見込みである。キシレンの生産はパラキシレ
ン向けの増加が見込まれ、2012~17 年平均で 2%程度増加する見込みである。パラキシレンの
内需は、アジアでの旺盛なポリエステル需要から輸出は好調を維持するものの、国内でのテレフ
タル酸の需要増が見込まれず、横ばいが予想される。
・ PTA の主 要用 途 であるポリエステルは光 学 用フィルム向 け需 要 の緩 やかな回 復により、
2013 年の国内需要は 73 万トンを見込むが、耐熱 PET ボトル向け需要も漸減傾向にあり、2014
年以降の国内需要は 2011 年並の 77 万トン程度で頭打ちと予想される。一方で日本からの輸出
先の中心である中国では、大型 PTA が新設されており、2013 年以降の輸出数量は 10 万トン前
後、輸入数量は 3 万トン前後で推移するものと予想される。ただし、中国の需給バランス及び市
況状況により輸出数量は増減する可能性がある。
38
国・地域名: 中
国
(香港を含む)
1.概況
2010 年は国内需要の伸びと好調な輸出に牽引され、GDP 伸び率は 10.3%と再び二桁の伸
びとなった。2011 年の四半期別 GDP の伸び率は前年同期比で、1~3 月 9.7%、4~6 月 9.5%
と前半は鈍化しながらも高い伸び率を維持してきたが、7~9 月 9.1%、10~12 月 8.9%と鈍化が
鮮明になってきた。この結果、2011 年通期では 9.2%と再び一桁台に鈍化することになった。
2011 年後半の急激な減速は「輸出」の減少が大きく影響している。輸出は 2011 年 7~9 月の前
年同期比 20.5%から、10~12 月の同 14.3%と大きく伸びが鈍化した。特に全体の 18.7%を占
める EU 向けが前期比▲4.0%とマイナスに転じ(同 7~9 月 2.5%)、輸出停滞の主因となった。
日本向け輸出も前期比ベースで 7~9 月 6.2%から 10~12 月 1.2%と急減速した。一方、米国、
アセアン向けは小幅ながら増加した。国内需要では固定資本投資の鈍化が鮮明になったが、個
人消費はインフレ沈静化が好影響となり、堅調な拡大を続け、7~9 月前期比 17.3%から 10~
12 月同 17.6%となった。
2012 年については更に鈍化傾向が顕著になった。国家統計局の発表では 2012 年の実質
GDP 成長率は 7.8%であった。成長率が 8%を下回ったのは 1999 年の 7.6%以来 13 年ぶりで
ある。四半期別では 1~3 月 8.1%、4~6 月 7.6%、7~9 月 7.4%と減速が続いたが、10~12 月
7.9%と上昇に転じた。この推移から見て、7~9 月に景気の底を打ち、第 4 四半期に上向きに転
じたと見られている。GDP 寄与率で見ると、最終消費支出 4.0%、総資本形成 3.9%、総輸出▲
0.2%となっており、総輸出については 2 年連続のマイナスとなっている。また 2010 年には、名目
GDP で中国が日本を抜き世界第 2 位となったが、2012 年には税関ベースの輸出入貿易額が僅
かではあるが、米国を抜き世界第 1 位となった。2012 年の景気底入れの背景としては、2012 年
3 月以降の明確な金融緩和策が功を奏したと見られる。小売売上においても 4 年間続いた家電
下郷が 2013 年 1 月末で全て終了することから、消費マインドをあげたことも考えられる。しかし、
基本的には農村一人当たり純収入が前年比 10.7%増と堅調に伸びていることなどから、外需型
から内需活性化への移行が順調に進んでいるものと言える。
2013 年の経済予測は調査系各社の発表では、回復基調に転じているとは言え大きくはなく
8.2~8.3%に留まる見込みとしているところが多い。背景としては、依然輸出の回復が期待でき
ないこと、GDP の 5 割を占める固定資本投資は、政府の投資抑制策を背景に、従来対比低め
の伸びとなる公算が大きい。更に過剰生産能力が問題となっている製造業の設備投資が、抑制
される可能性がある等である。
39
2.現状
(1)需給総括表(2011年、中国(香港を含む))
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
1,562
LD
555
HD
470
SM
593
EG
404
PVC
1,630
その他
138
計AS C2 1,837
プロピ
1,608
PP
1,204
AN
142
その他
673
計AS C3 2,067
ベンゼン
946
トルエン
667
キシレン
1,387
PX
894
PTA
2,003
生産
(B)
輸入
(C)
1,595
776
395
480
248
1,229
110
1,700
1,376
1,004
105
535
1,552
720
482
1,063
535
1,103
106
428
373
393
727
124
0
1,463
176
458
54
190
657
19
69
81
498
653
輸出
(D)
1
44
33
7
1
44
0
102
0
90
0
0
93
11
1
12
35
3
内需
E=B+C-D
1,700
1,160
735
865
975
1,310
110
3,061
1,552
1,372
159
724
2,115
728
550
1,132
789
1,753
輸入
輸出
比率
比率
(C/E)
(D/B)
6%
0%
37%
6%
51%
8%
45%
2%
75%
0%
9%
4%
0%
0%
48%
6%
11%
0%
33%
9%
34%
0%
26%
0%
31%
6%
3%
2%
13%
0%
7%
1%
63%
7%
37%
0%
バランス
(B-E)
▲ 105
▲ 384
▲ 339
▲ 386
▲ 727
▲ 80
0
▲ 1,361
▲ 175
▲ 368
▲ 54
▲ 190
▲ 564
▲ 8
▲ 68
▲ 69
463
▲ 650
稼働率
(B/A)
102%
140%
84%
81%
62%
75%
80%
92%
86%
83%
74%
79%
75%
76%
72%
77%
60%
55%
主要メーカー
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
上海クロルアルカリ他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
(2)石化産業の最近の動き
中国の 2011 年エチレン生産量は 1,595 万トン、1,500 万トンを上回る規模となった。能力は
1,562 万トン、前年比 17%の増加であった。生産が増加する中、エチレンの輸入が 106 万トンに
達した。エチレンの国内総供給量が大幅に増加したことから誘導品の生産増となっており、殆ど
の汎用樹脂で輸入減少が見られた。中国の 5 大汎用樹脂の輸入量は 1,519 万トンとなり、前年
比▲3.7%と 2010 年と同様に減少した。中国・香港のポリエチレンの輸入量は 800 万トン、前年
比+1.7%であった。グレード別では LDPE が+1.7%、HDPE は+1.6%と増加、LLDPE▲0.8%と
減少した。PP は 458 万トン、前年比▲1.3%、PS/ABS は 316 万トン、同▲11.9%、PVC は 124
万トン、同▲10.7%と大幅減であった。中国では PVC は原油価格が高値で推移していることから、
カーバイド法の競争力が安定しており、国内生産が順調に推移しているためとみられる。
また、ポリエステルの原料である PTA は中国で新増設が相次いでおり、生産量も 1,229 万トン、
前年比+9%の増加となった。そのため輸入量は 652 万トン、前年比▲1.7%と減少に転じている。
一方、PTA の原料である PX は、国内調達が追い付かないこと、PTA の新増設の中には原料を
輸入に依存する計画もあることから、498 万トン、同+41.3%と大幅に増加している。
中国の 2012 年のエチレンの生産量は 1,504 万トン、前年比▲5.7%であった。エチレンが前年
比でマイナスとなったことを受け、主要誘導品であるポリエチレンも減産となっている。しかし、一
方では同国のエチレンの輸入は 142 万トン、前年比+36 万トンの増加となっている。中国の 5 大
汎用樹脂の輸入は 1,544 万トン、前年比+1.7%の増加であった。中国・香港のポリエチレン合計
40
では 845 万トン、前年比 45 万トンの増加であった。この増加の主な要因は中国において HDPE
の輸 入 が大 幅 に増 加 したためである。樹 脂 別 輸 入 量 では、HDPE が 421 万 トン、前 年 比 +
13.0%と大幅に増加、LDPE も 193 万トン、同+6.1%と好調であったが、LLDPE は▲6.1%と減
少した。PP の輸入は 471 万トン、同+2.9%と増加、PS127 万トン、同▲3.4%、ABS167 万トン、
同▲10.1%と、スチレン系樹脂は減少となった。中国の国内生産がいずれも 4%程度増加してい
ることから、製品輸出の低迷が影響しているものと見られる。その他 PVC は 115 万トン、同▲
7.0%と減少した。中国では PVC の輸入は 2009 年に前年比プラスになった以外は、2004 年以
来減少が続いている。
中国ではカプロラクタム、メタノール、PTA 等新増設のラッシュが続く商品は、いずれも生産は
高い伸びとなっている。PTA の輸入は 537 万トン、前年比▲17.7%と大幅に減少した。今後も新
増設ラッシュが続くことから、輸入の減少は続くものと見られる。一方、原料である PX は国内生
産が増加しているにも拘らず、PTA の新増設が大きく上回っていることから、輸入も大幅に増加
している。2012 年の輸入量は 629 万トン、同+26.2%と大幅に増加している。中国の PX 不足は
今後も続く見通しであり、日本、韓国等で供給を増やすべく、プロジェクトが進行している。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、中国(香港を含む))
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
2,693
LD
864
HD
671
SM
748
EG
672
PVC
2,150
その他
191
計AS C2 2,611
プロピ
2,806
PP
1,958
AN
142
その他
1,312
計AS C3 3,483
ベンゼン
1,062
トルエン
791
キシレン
1,484
PX
1,164
PTA
3,968
生産
(B)
輸入
(C)
2,450
1,243
537
658
437
1,849
153
2,525
2,693
1,841
119
975
3,001
956
672
1,544
1,106
2,381
89
178
437
492
1,188
79
0
1,591
35
425
100
114
660
21
172
223
601
327
輸出
(D)
0
29
18
1
5
11
0
60
1
74
0
0
76
10
1
2
25
1
内需
E=B+C-D
2,539
1,392
956
1,149
1,620
1,917
153
4,056
2,728
2,192
219
1,089
3,585
966
843
1,765
1,682
2,707
輸入
輸出
比率
比率
(C/E)
(D/B)
4%
0%
13%
2%
46%
3%
43%
0%
73%
1%
4%
1%
0%
0%
39%
2%
1%
0%
19%
4%
46%
0%
10%
0%
18%
3%
2%
1%
20%
0%
13%
0%
36%
2%
12%
0%
バランス
(B-E)
▲ 89
▲ 149
▲ 419
▲ 491
▲ 1,183
▲ 68
0
▲ 1,531
▲ 35
▲ 351
▲ 100
▲ 114
▲ 584
▲ 11
▲ 171
▲ 221
▲ 576
▲ 326
稼働率
(B/A)
91%
144%
80%
88%
65%
86%
80%
97%
96%
94%
84%
74%
86%
90%
85%
104%
95%
60%
主要メーカー
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
上海クロルアルカリ他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
SINOPEC,CNPC他
(前提となる GDP 伸び率 7.8%)
41
(2)主なエチレンの新増設計画と検討状況
単位:千トン/年
企業名
工場
省
中沙(天津)石化有限公司
天津
天津
遼寧聨合化学
盤錦
遼寧省
450 2011/4Q
中国石油撫順石化分公司
撫順
遼寧賞
800 2012
中国石油四川石化公司
成都
四川省
800 2012
中国石化武漢分公司
武漢
湖北省
800 2014
中国石化上海石油化工股份公司
上海
上海
中国石化揚子石油化工公司
南京
江蘇省
600 2012
広州石化・KPC 聨合
湛江
広東省
1,000 2014
中国石油蘭州石化分公司
蘭州
甘粛省
600 2014
中国石化海南煉化有限公司
洋浦
海南省
1,000 2015
中国石油/QPI/SHELL
台州
浙江省
1,200 2016
中国石化茂名分公司
茂名
広東省
1,000 2015
(小計)
能力
1,000 2011/2Q
1,000 2014
(10,250)
COAL PROJECT
包頭神華・華誼化工公司
包頭
内モンゴル
300 2011
神華・ダウケミカル合弁
楡林
陕西省
600 2015
蒲城清洁能源化工有限责任公司
渭南
陕西省
300 2013
(小計)
合
計
(1,200)
11,450
2011年以降のエチレンの新設プラントで確実視されている計画(稼働済含む)は上記の通り
である。発 表 ベースでは通 常 のナフサ、軽 油 等 重 質 原 料 の分 解 系 プロジェクトも上 記 以 外 に
1,000 万トンを超す規模である。2010 年に中国で初めてメタノールからプロピレン及びエチレンを
製造する MTO(メタノール to オレフィン)プラントが稼働し始めた。中国は石油化学においては大
幅な貿易赤字となっており、政府にとっても自給率の引き上げが重要な課題となっている。その
ため、石炭化学の発展に力を入れている。石炭資源が豊富な内陸部においては、石炭からメタノ
ールを製造、MTO プロセスによるプロジェクトが数多く打ち出されている。現在 MTO の計画は発
表ベースでは 1,000 万トンを優に超す規模となっている。それらが実行されれば、中国の自給化
が急速に進むことになり、アジアの需給にも大きな影響を与えることになる。しかし一方では、水、
環境問題等課題も多く含まれ、実際、環境問題の関係で一部プラントに停止命令(手続き違反
の問題)が出たケースもある。その他環境問題がらみでは、寧波の新規 PX 計画が中止になって
いる。石炭化学では、合成ガスから MEG を製造するプロジェクトも進んでおり、既に 2009 年から
稼働している通遼 GEM CHEMICAL が稼働しているが、今後も新規計画が続き、河南省中心に
100 万トン規模の計画がある。
また、プロピレン需要も年々増加し、上記 MTO 又は MTP(メタノール to プロピレン)以外に、プ
ロパン脱水素の計画も多い。最も早い計画としては天津渤海石化の 60 万トン規模のプラントが、
42
2013 年の稼働を目標に現在進められている。原料のプロパンは輸入に依存することから、計画
は沿岸部中心であるが、既に 400 万トン規模のプロジェクトが打ち出されている。
香港では石化関連の新増設計画はない。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
2011 年前半は生産、需要ともに比較的順調に推移していたが、後半に入り特にギリシャの財
政破綻の懸念が欧州危機へと発展し、需要の低迷が中国の輸出に大きな影響を与えた。その
ため、内需は堅調に推移したものの、輸出が落ち込む一方、中国国内における新規プラントの稼
働により再び汎用樹脂等の輸入が減少、一方、中東の稼働率も上昇したことから、アジア諸国
のエチレン稼働率を引き下げることとなった。
2012 年は一段と需要の伸び率が鈍化したことから、エチレン生産量も減産を余儀なくされた。
しかし、これはエチレンの需要が減少したのではなく、エチレンは輸送が容易でないことから、不
足する地域と余剰となる地域の調整が難しいことが主な要因と考えられる。従って減産にも拘ら
ず、輸入量は増加した。輸入の主な地域は上海、寧波地区である。プロピレンは生産量、輸入量
共に増加しており、好調であった。PVC については、能力ベースで 8 割弱がカーバイド法になって
いる。また、カーバイド法は古くからあるプラントも多く、全体的な稼働率は低い。今後政府の指
導もあり、設備の整理が進められるものと見られる。
なお、今回の需給動向の作成において、エチレンについては主要な誘導品が含まれており、
従来通りであるが、プロピレンについては PP、AN 以外にフェノール、PO(プロピレンオキサイト)、
アクリル酸、オキソアルコールの誘導品を考慮しながら作成した。
今後の作成の問題点として、石炭からの MEG プラントの増加はエチレンの消費対象にならな
いことから、原単位の調整が必要となってくる(既にカーバイト法が主流となっている PVC に関し
ては考慮済である)。2017 年時点で石炭からの MEG 能力は約 120 万トンとなる。これは全体の
20%弱程度に相当するが実際の稼働状況が推定できないため、今回の資料作成においては、
エチレン由来として計算している。もし、予定通り順調に稼働した場合、エチレンで 50 万トン程度
消費が少ないことになる。
43
国・地域名: 韓
国
1.概況
2010年に近年で最も高い実質 GDP 成長率6.2%を記録したが、2011年は後
半に欧州経済危機を引き金とした世界経済の減速を受けて成長率は3.6%に留まった。
輸出は堅調で経済の牽引役になった反面、民間消費、設備投資などの内需の減速が響い
た形。
2012年は景気が持ち直すとの観測から当初3%台前半の成長が見込まれていたが、
欧米の景気低迷に加え中国の経済も停滞したことから輸出環境はさらに悪化し最終的に
成長率は2.0%となった。ただし年末にかけて中国の在庫調整が進展し対中輸出が回
復基調であることから第4四半期の成長率は上向き、韓国中銀は2013年の成長率を
3.2%と予想している。
2012年10月にユーロとドルが円に対して大幅に上昇、さらには韓国株式市場が
続伸した影響で通貨ウォンは2011年9月以来のウォン高ドル安となっている。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、韓国)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
777
210
235
332
135
143
40
746
622
392
57
111
577
478
313
368
525
668
生産
(B)
748
210
198
268
115
143
40
674
553
374
57
89
537
445
214
293
525
663
輸入
(C)
14
8
4
78
46
9
0
69
70
3
9
0
13
18
26
113
94
0
輸出
(D)
72
105
108
123
40
66
0
310
90
222
19
0
249
143
84
130
182
362
内需
E=B+C-D
690
113
94
223
121
86
40
437
489
155
47
89
301
320
156
276
437
301
44
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E)
(D/B)
2%
10%
96% 麗川、LG
58
7%
50%
100% ハンファ、SK
97
4%
55%
84% 大林、湖南
104
35%
46%
81% LG、SK
45
38%
35%
85% 湖南、LG
▲ 6
10%
46%
100% LG、ハンファ
57
0%
0%
100% 韓アルコール産業
0
16%
46%
90%
237
14%
16%
89% 麗川、LG
64
2%
59%
95% 湖南、SK
219
19%
33%
100% 泰光、東西
10
0%
0%
80% LG、錦湖P&G
0
4%
46%
93%
236
6%
32%
93% SK、麗川
125
17%
39%
68% SK、麗川
58
41%
44%
80% SK、麗川
17
22%
35%
100% SK、サムスン
88
0%
55%
99% サムスン、三南
362
(2)石化産業の最近の動き
2012 年 2 月
サムスン・トタルが大山コンプレックスの増強を発表。18億ドルを投
じ芳香族(ベンゼン42万トン、パラキシレン100万トン)、EVA(2
4万トン)の増強を発表。
2012 年 3 月
韓米自由貿易協定(FTA)発効。
2012 年 3 月
湖南石化
2012 年 7~9 月
例年より多い大型台風による船舶の遅延が大山港にも影響
2012 年 10 月
湖南石化
2012 年 11 月
錦湖P&B
2012 年 12 月
湖南石化とKPケミカルが合併しロッテ・ケミカル設立
エチレン
第3四半期営業利益
東西石化
2013 年 3 月
250KT能力増強
フェノール
採算悪化で大幅減産(70%稼働)
アクリロニトリル
GSカルテックス
前年同期比50%減の発表
245KT能力増強
FCC増設
(C3
250KT)
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、韓国)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
812
210
260
332
136
143
90
823
675
411
86
111
629
493
315
370
831
668
生産
(B)
780
210
220
268
115
143
90
735
593
383
86
81
569
484
214
293
581
657
輸入
(C)
6
9
2
80
21
9
0
52
26
3
0
0
3
5
0
18
0
0
輸出
(D)
10
89
116
118
0
54
0
269
68
212
33
0
254
129
93
0
158
351
内需
E=B+C-D
776
130
106
230
136
98
90
523
551
174
53
81
318
360
121
311
423
306
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E)
(D/B)
1%
1%
96% 麗川、LG等
4
7%
42%
100% ハンファ、SK等
80
2%
53%
85% 大林、湖南等
114
35%
44%
81% LG、SK等
38
15%
0% ▲ 21
85% 湖南、LG等
9%
38%
100% LG、ハンファ
45
0%
0%
100% 韓国アルコール産業
0
10%
37%
89%
203
5%
11%
88% 麗川、LG等
42
2%
55%
93% 湖南、SK等
209
0%
38%
100% 泰光、東西
33
0%
0%
73% LG、錦湖P&G
0
1%
45%
90%
251
1%
27%
98% SK、麗川等
124
0%
43%
68% SK、麗川等
93
6%
0% ▲ 18
79% SK、麗川等
0%
27%
70% SK、サムスン等
158
0%
53%
98% サムスン、三南等
351
(前提となる GDP 伸び率 2.0%)
(2)主な新増設計画と検討状況
・エチレン及びエチレン誘導品
2012年のエチレン増設はロッテ・ケミカルが麗水で25万トン、大山で10万トンがあり韓国
のエチレン能力は812万トンとなった。これ以降の計画は現状ない。
HDPEではロッテ・ケミカルが麗水でエチレン見合いの25万トン増設、EGではサムスン・ト
45
タルが8千トンのデボトルを行うに留まった。
・プロピレン及びプロピレン誘導品
2012年のプロピレン増設はロッテ・ケミカル(麗水)14万トン、同(大山)5万トン、サムス
ン・トタル9万トンがあり、さらに2013年にはGSカルテックスの25万トンが予定されている。
PPではロッテ・ケミカル化(麗水)20万トンを2012年に、東西石化がANを2013年に2
5万トン増設予定。
・BTX/PX/PTA
ロッテ・ケミカル(麗水)が2012年にベンゼン3.5万トン、トルエン2.4万トン、キシレン1.
5万トンを増設、HCペトロケムも2013年にベンゼン11万トンを増設。
PXではサムスン・トタルが2012年に11万トン、2013年に27万トンを相次いで増設、さら
にHCペトロケムも2013年 に80万 トン増 設 予 定 。2014年 にウルサンアロマティックス
(SK/JX 合弁)が 100万トン増設予定。 2015年にはGSカルテックスが昭和シェル石油、太
陽石油と組み100万トンの増設を計画。同社の麗水プラントは能力220万トンとなり単一工
場としては世界最大となる。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
・エチレン、プロピレン
依然としてエチレン、プロピレンの輸出ポジションに変化はないが、この先の増設は限定的
であり誘導品の増設、高稼働に伴い徐々にバランスに向かう見込み。
・EG
2010年に再び輸入ポジションとなり、2011年以降は輸入が拡大基調となる見込み。
・BTX
ベンゼンは引き続き輸出ポジションが継続する。
・ポリエステル原料
PTA 増設は一段落したものの PX は以前増設計画が活発であり輸出ポジションが拡大する。
PTA も引き続き輸出ポジション。
46
国・地域名: 台
湾
1.概況
2011 年の実質 GDP 成長率は 1986 年以来の高成長を記録した 2010 年の 10.7%から大き
く低下し 4.0%となった。対外貿易は輸出が前年比 12.3%増、輸入が 12.0%増と過去最高
を記録したが、欧州経済危機の影響が中国にも及んだこともあり年後半に伸びの鈍化が顕
著となった。
2012 年は年初に成長率を 4.2%と予測していたが、中国経済減退による輸出の不振に加
え工業生産の伸びが鈍化したことによる製造業分野での投資抑制の動きが顕著であり民間
消費も伸び悩んだことから成長率は 1.3%となった。ただし第 3 四半期からは回復の兆しも
見え、行政院主計処は 2013 年の見通しを 3.6%としている。
2008 年の馬政権誕生以降急速に進んだ中台緊密化は金融機関の相互進出、直行便の定期
便化、中台間の FTA に相当する海峡両岸経済協力枠組み協定などの実績を残している。2012
年の馬総統再選により両岸外交はさらなる活発化が見込まれる
2.現状
(1)需給総括表(2011年、台湾)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
405
78
67
201
228
170
32
471
309
133
52
122
316
191
9
287
244
557
生産
(B)
352
57
52
169
199
141
12
385
260
108
42
102
258
155
2
250
209
530
輸入
(C)
37
29
8
37
28
2
0
67
42
14
11
0
26
67
17
185
185
0
輸出
(D)
10
42
28
27
123
85
0
202
44
66
11
0
80
0
1
81
44
296
内需
E=B+C-D
379
44
32
179
104
58
12
238
258
56
42
102
204
222
18
354
350
234
輸入
比率
(C/E)
10%
66%
25%
21%
27%
3%
0%
28%
16%
25%
26%
0%
13%
30%
94%
52%
53%
0%
輸出
比率
(D/B)
3%
74%
54%
16%
62%
60%
0%
52%
17%
61%
26%
0%
31%
0%
50%
32%
21%
56%
バランス
(B-E)
▲ 27
13
20
▲ 10
95
83
0
147
2
52
0
0
54
▲ 67
▲ 16
▲ 104
▲ 141
296
稼働率
(B/A)
主要メーカー
87%
73%
78%
84%
87%
83%
38%
82%
84%
81%
81%
84%
82%
81%
22%
87%
86%
95%
CPC、FPCC
FPC、USI
FPC、USI
FCFC,国喬
南亜、南中
FPC、華夏
大連、李長栄
(2)石化産業の最近の動き
2012 年 1 月
FPCC クラッカー80%まで減産。
2012 年 4 月
CPC 高尾 No.5 ブタジエン・ユニット火事で 2 ヵ月停止。
47
CPC、FPCC
FCFC、TPP
FPC、CPDC
FPC、李長栄
CPC、FCFC
CPC、FCFC
CPC、FCFC
CPC、FCFC
CAPCO、FCFC
2012 年 6 月
CPC 林園 No.3 廃棄。
2012 年 6 月
FPC 麦寮コンビナート台風による停電、クラッカー以下 2 週間停止。
2012 年 10 月
FPCC クラッカー市況悪化による減産。
2012 年 11 月
CPC FCC 40 万トン、半年遅れの稼働開始。
2013 年 2 月
CMMFC と豊田通商共同投資のバイオ MEG 稼働開始。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、台湾)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
392
78
67
201
248
187
40
471
357
133
52
122
316
200
9
287
244
717
生産
(B)
329
58
52
179
199
151
40
418
295
110
46
113
276
168
4
259
179
483
輸入
(C)
輸出
(D)
98
23
9
51
0
0
0
47
0
11
11
0
11
83
24
139
160
0
16
31
29
45
82
86
0
171
21
59
11
0
61
0
0
0
20
237
内需
E=B+C-D
411
50
32
185
117
65
40
238
274
62
46
113
227
251
28
398
319
246
輸入
輸出
バランス
稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E)
(D/B)
▲ 82
CPC、FPCC
24%
5%
84%
8
FPC、USI
46%
53%
74%
20
FPC、USI
28%
56%
78%
▲6
FCFC,国喬
28%
25%
89%
82
南亜、南中
0%
41%
80%
86
FPC、華夏
0%
57%
81%
0
大連、李長栄
0%
0%
100%
132
20%
41%
89%
21
CPC、FPCC
0%
7%
83%
48
FCFC、TPP
18%
54%
83%
0
FPC、CPDC
24%
24%
88%
0
FPC、李長栄
0%
0%
93%
49
5%
22%
87%
▲ 83
CPC、FCFC
33%
0%
84%
▲
24
CPC、FCFC
86%
0%
44%
▲ 139
CPC、FCFC
35%
0%
90%
▲ 140
CPC、FCFC
50%
11%
73%
237
CAPCO、FCFC
0%
49%
67%
(前提となる GDP 伸び率 2.0%)
(2)主な新増設計画と検討状況
・エチレン及びエチレン誘導品
CPC が 2012 年に林園 No.3 23 万トンのエチレンを廃棄、2013 年に林園 No.6 60 万ト
ンを稼働させるも 2015 年にはさらに高雄 No.5 50 万トンの廃棄を予定しており能力は現在の
405 万トンから 2015 年時点では 392 万トンに減少する。
エチレン誘導品では中国人造繊維が 2013~14 年に EG を 20 万トン、また華夏プラスチッ
クが PVC を 17 万トン増設する以外に増設計画は見あたらない。
・プロピレン及びプロピレン誘導品
プロピレンはエチレン見合いで CPC が 2012 年に林園 No.3 10.4 万トン、2015 年に高雄
No.5 32.1 万トンを廃棄、2013 年に林園 No.6 30 万トン増設を見込む。さらに 2012 年に
48
CPC が高雄で新設 FCC を稼働させプロピレン 60 万トンの能力増となる。2015 年時点のプロ
ピレン能力は 357 万トン。
プロピレン誘導品に特段の増設計画はない。
・BTX/ポリエステル原料
CPC が林園でベンゼン 9 万トンを 2013 年に増設予定。
ポリエステル原料では PTA を東展興業が 2012 年に 10 万トン、亜東石化が 2013 年に 150
万トン増設予定。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
・エチレン及び誘導品
エチレンに大きなバランスの変動はないが生産能力の減少に伴い現状の不足ポジションは
さらに拡大する見込み。
誘導品では EG、PVC は依然余剰ポジション、SM は不足ポジションである構図は大きく変
わらない見込み。
・プロピレン及び誘導品
プロピレンは CPC の FCC が稼働した分、余剰ポジションが拡大するが、PP 等の誘導品に
大きなポジション変化は見られない。
・BTX
大きな増設もなくベンゼン、トルエン、キシレンいずれも不足ポジションに変化はない。
・ポリエステル原料
PTA の増設はあるが稼働率は低めに推移することが予想され余剰ポジションは寧ろ緩和さ
れる見込み。従って PX は依然として不足ポジションながら大きな変動はない。
49
国・地域名: タ イ
1.概況
2011 年の実質 GDP 成長率は、0.1%となり、2010 年の 7.8%から大きく後退した。2011 年当
初、国家経済社会開発庁(National Economic and Social Development Board、NESDB)は、
通年の成長率を 3.5~4.0%と見込んでいた。しかしながら、7 月に発生した“平成 23 年台風第 8
号(アジア名:ノックテン、Nock-ten)により降り始めた大雨、その後 9 月末から 10 月にかけての
3 つの台風のインドシナ半島への上陸により、限界を超えたダムは放水を余儀なくされ、これがタ
イ中部を中心に大規模な洪水を引き起こした。洪水の被害は甚大であり、死者 500 人以上、300
万人以上に影響をもたらし、最も被害の大きかったアユタヤ県、パトゥムニタ県を含む 8 県で約
9,800 の工場が被災したといわれている。自動車製造のサプライチェーンが停滞し、石油化学を
含む多くの産業分野の生産活動に影響が出たため、成長率が著しく低下した。
2012 年は、政府の洪水復興予算と個人消費に支えられ、NESDB は、通年での成長率を 5.5
~6.5%程度になると見込んでいる。アユタヤ県、パトゥムニタ県で被災した工場のうち、おおよそ
8 割 が 2012 年 9 月 ま で に 操 業 を 再 開 し て い る 。 ま た 、 タ イ 投 資 委 員 会 ( The Board of
Investment、Thailand、BOI)の発表によると、2012 年上半期(1~6 月)の対内直接投資(認可
ベース)は、前年同期比で約 10%増加しており、なかでも日本のシェアは 50%超となっており、日
系企業による活発な投資が継続している。復興段階での不確定要素として、欧州危機、米国の
財政の崖の影響による世界経済の停滞で、景気が二番底に陥る可能性もあり、輸出環境は厳
しいと見ている。
マイナス要因としては、中長期的な賃金の上昇が懸念されている。タイ中央賃金委員会は、
2012 年 4 月から日額最低賃金を全国一律 40%引き上げることを発表した。40%引き上げ後も
300 バーツに満たない都県については、2013 年 1 月から 300 バーツになるよう、追加引き上げ
を実施する方針を決めた。一方で、最低賃金の引き上げは、与党タイ貢献党の選挙公約であり、
「景気へのマイナスにはならない」として先行実施した 7 県での調査では、賃金上昇による購買力
上昇による経済成長率上昇が報告されている。
2006 年のクーデターによりタクシン元首相が失脚して以来、タイでは内争が続いた。2011 年 7
月の選挙で、タクシン元首相の実妹インラック党首が率いる野党・タイ貢献党が過半数の議席を
獲得し、タクシン派と反タクシン派による政治闘争は、一旦収まった。こうした政治混乱はありな
がらも、1960 年以降に経済成長がマイナスとなったのはアジア通貨危機の 97~98 年、世界金
融危機の 2009 年だけであり、タイでは、政治と経済は密接に連動していないと言える。今後も政
府主導で海外企業誘致による雇用の創出・新規市場の創出・裾野産業の育成という経済成長
戦略を進める限り、海外企業がタイ経済の行方を左右すると思われる。
50
2.現状
(1)需給総括表(2011年、タイ)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
生産
(B)
輸入
(C)
444
212
191
52
42
85
0
492
244
195
20
25
248
128
114
281
219
266
367
149
163
46
29
76
0
386
209
161
19
25
212
136
87
208
197
273
11
27
12
7
26
6
0
61
1
23
14
20
59
0
0
21
23
0
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
輸出
内需
E=B+C-D
(D)
7
109
102
2
3
35
0
233
24
74
0
10
86
61
23
4
43
152
371
67
73
51
52
47
0
214
186
110
33
35
184
75
64
225
177
121
輸入
比率
(C/E)
3%
40%
16%
14%
50%
13%
29%
1%
21%
42%
57%
32%
0%
0%
9%
13%
0%
輸出
比率
(D/B)
2%
73%
63%
4%
10%
46%
60%
11%
46%
0%
40%
41%
45%
26%
2%
22%
56%
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
▲ 4
82
90
▲ 5
▲ 23
29
0
172
23
51
▲ 14
▲ 10
27
61
23
▲ 17
20
152
83%
70%
85%
88%
69%
89%
79%
86%
83%
95%
100%
85%
106%
76%
74%
90%
103%
主要メーカー
PTT,ROC,MOC
PTT,TPE,Siam
PTT, TPE,BPE
SSMC,IRPC
TOC
TPC,VINYTHAI
PTT,ROC,MOC
TPP,IRPC,HMC
PTT Asahi
PTT,IRPC,ROC,MOC
PTT,IRPC,ROC
PTT,IRPC,ROC
PTT,TPX,Exxon
SMPC,Indorama
(2)石化産業の最近の動き
①
マプタプット問題からの今後の動向
2010 年 9 月、中央行政裁判所は、凍結した 76 件のプロジェクトのうち、74 件の再開を承認し
た。しかしながら残りの 2 件、TOC グリコールによる 9 万 5 千トンの MEG 設備増強と TCP によ
る 9 万トンの VCM 設備増強については、依然、第三者機関による環境影響評価(EIA)の承認を
まっている段階である。マプタプット問題により環境・安全に対する社会的意識が高まり大型投資
に対する風当たりが強まっているほか、マプタプット地区では土地の余地が乏しくなりつつある。
このため、タイ政府は南部臨海工業地帯の開発を再び検討すべく調査を行っているが、観光産
業の中心地である南部の反発は避けられず、政府内でも意見がわかれている様子。タイ国境か
ら約 120 km に位置するミャンマーのダウェーにおける工業地帯開発に期待を寄せているが、い
ずれにせよ、今後、タイ国内におけるエチレン設備などの石化上流投資のハードルは高くなりそう
である。
②
新規プラントの稼働状況
マプタプット問題の影響を受け、稼働が遅れたが、PTTPE のエタンクラッカー(100 万トン)、
SCG と Dow の合弁のマプタプットオレフィン(MOC)のナフサクラッカー(90 万トン)とも、順調に
稼働し、高い稼働率を維持している。タイのエチレン生産能力は年産 400 万トンを超え、シンガポ
ールを抜き世界のトップ 10 位内に入った。PTTPE の LDPE(40 万トン)、BPE の HDPE(25 万ト
51
ン)、サイアムポリエチレンの LLDPE(35 万トン)とも、高稼働率を維持している。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、タイ)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
生産
(B)
輸入
(C)
輸出
(D)
444
212
191
58
42
85
384
167
171
51
36
76
11
27
12
2
19
6
7
112
92
2
3
35
493
286
205
20
25
258
138
114
281
229
266
418
268
182
19
25
233
140
88
200
177
221
55
1
23
14
20
59
0
0
18
6
0
226
8
47
0
10
58
33
15
4
36
102
内需
E=B+C-D
388
82
91
51
52
47
0
248
261
158
33
35
234
107
73
214
147
119
輸入
比率
(C/E)
3%
33%
13%
4%
37%
13%
22%
0%
15%
42%
57%
25%
0%
0%
8%
4%
0%
輸出
比率
(D/B)
2%
67%
54%
4%
8%
46%
54%
3%
26%
0%
40%
25%
24%
17%
2%
20%
46%
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
主要メーカー
▲ 4
85
80
0
▲ 16
29
0
170
7
24
▲ 14
▲ 10
▲ 1
33
15
▲ 14
30
102
86%
79%
90%
88%
86%
89%
85%
94%
89%
95%
100%
90%
101%
77%
71%
77%
83%
PTT,ROC,MOC
PTT,TPE,Siam
PTT, TPE,BPE
SSMC,IRPC
TOC
TPC,VINYTHAI
PTT,ROC,MOC
TPP,IRPC,HMC
PTT Asahi
PTT,IRPC,ROC,MOC
PTT,IRPC,ROC
PTT,IRPC,ROC
PTT,TPX,Exxon
SMPC,Indorama
(前提となる GDP 伸び率 6%)
(2)主な新増設計画と検討状況
現在計画されているプロジェクトは、誘導品増強計画のみであり、タイ国内で新規のクラッカー
を伴った増強計画はない。IRPC は、DCC 増設によるプロピレンの増産(32 万トン)を計画してお
り、既に導入している OCU とあわせて、プロピレンセンター化による競争力強化が見込まれる。
サイアムセメントグループは、ベトナムでの石化コンプレックス計画、インドネシアにおける M&A
の推進等、アセアンでの海外事業に積極投資している。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
新設ナフサクラッカー2 基が稼働し、一旦国内需要と生産能力のギャップが拡大するが、安定
的な経済成長により、2018 年頃には再び需給がタイトになると予想される。
サイアムセメントグループは、ベトナムでのクラッカー建設や、インドネシアでの M&A を計画し
ており、今後は海外立地も増える可能性がある。
52
国・地域名: マレーシア
1.概況
2011 年の実質 GDP 成長率は、内需が堅調に推移したものの、中国、シンガポールに次ぐ主
要貿易相手国である日本で発生した東日本大震災の影響を受け、5.1%となり、2010 年の 7.2%
から後退した。2012 年も、所得の上昇にともなう個人消費を中心とした内需に支えられ、通年の
GDP 成長率は、4~5%程度と見込まれている。
第 10 次マレーシア計画(2011 年~2015 年)では、期間中の平均 GDP 成長率を 5.8%に設
定し、2015 年に国民一人当たりの GDP を 12,140 ドルまで引き上げ、高所得国入りを目指して
いる。
また、マレーシアの石 化産 業の競 争力を高 めるための「第 3 次 工 業化 マスタープラン(The
Third Industrial Development Plan (2006-2020)、IMP 3)により、総額 340 億 RM(約 100 億
ドル)を投じ、サラワク州ビンツル、ケダ州グラン、ジョホール州タンジョン・ペラパス、ラブアン島を
新たな石化工業地帯として開発を推進する。IMP 3 は、IMP 2(1996-2005)と比較して、その投
資規模が約 1.3 倍となっており、工業化推進に対する政府の強い意志が見られる。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、マレーシア)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
177
59
53
24
37
28
0
158
114
55
0
42
99
32
6
4
50
60
生産
(B)
156
55
48
24
35
25
0
142
91
50
0
38
90
28
6
4
48
56
輸入
(C)
2
32
24
17
2
8
0
71
4
15
4
0
20
12
4
5
20
5
輸出
(D)
13
39
19
6
17
17
0
79
3
23
0
15
39
19
2
0
32
9
内需
E=B+C-D
145
48
53
35
20
16
0
134
92
42
4
23
71
21
8
9
36
52
53
輸入
比率
(C/E)
1%
67%
45%
49%
10%
50%
53%
4%
36%
100%
0%
28%
57%
50%
56%
56%
10%
輸出
比率
(D/B)
8%
71%
40%
25%
49%
68%
56%
3%
46%
39%
43%
68%
33%
0%
67%
16%
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
主要メーカー
11
7
▲ 5
▲ 11
15
9
0
8
▲ 1
8
▲ 4
15
19
7
▲ 2
▲ 5
12
4
88%
93%
91%
100%
95%
89%
90%
80%
91%
90%
91%
88%
100%
100%
96%
93%
Titan、EM,Optimal
Titan、PEM
Titan、PEM
ISMSB
Optimal
VCMSB
Titan、MTBE,Optimal
Titan、PPMSB
Titan、AMSB
Titan
Titan
AMSB
リライアンス
(2)石化産業の最近の動き
ペトロナスは、石化基盤の強化と増強に本腰を入れており、2011 年春にはジョホール州南部
に 石 油 精 製 、 ナ フ サ ク ラ ッ カ ー の 建 設 を 含 む 大 型 石 油 化 学 計 画 ( RAPID 、 Refinery and
Petrochemical Integrated Development)を発表した。総投資額は、200 億米ドル(約 1 兆 6 千
億円)にのぼり、石油精製能力は日量 30 万バレルとなる見込みである。
ビニルクロライド・マレーシアは、2012 年末にて、VCM、PVC の生産から撤退することを発表し
ている。これにより、マレーシアの PVC 生産能力は半減し、2013 年以降の輸入比率が増加する
ものと思われる。
英国の BP は、クアンタンに保有する高純度テレフタル酸製造設備をリライアンス・インダストリ
ーズに売却することを発表した。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、マレーシア)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
177
59
53
24
37
13
0
151
114
55
0
42
99
32
6
4
50
60
生産
(B)
172
55
49
24
35
10
0
124
99
53
0
38
93
28
6
4
35
53
輸入
(C)
輸出
(D)
2
32
24
17
2
11
0
68
18
17
4
0
21
12
7
5
20
6
24
26
6
5
15
5
0
29
2
19
0
15
35
18
2
0
19
8
内需
E=B+C-D
150
61
67
36
22
16
0
163
115
51
4
23
79
22
11
9
36
51
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E) (D/B)
22
1%
14%
97% Titan、EM,Optimal
▲ 6
52%
47%
93% Titan、PEM
▲ 18
36%
12%
92% Titan、PEM
▲ 12
47%
21%
100% ISMSB
13
9%
43%
95% Optimal
▲ 6
69%
50%
77% VCMSB
0
▲ 39
42%
23%
82%
▲ 16
16%
2%
87% Titan、MTBE,Optimal
2
33%
36%
96% Titan、PPMSB
▲ 4
100%
0%
15
0%
39%
90%
13
27%
37%
94%
6
55%
64%
88% Titan、AMSB
▲ 5
64%
33%
100% Titan
▲ 5
56%
0%
100% Titan
▲ 1
56%
54%
70% AMSB
2
12%
15%
88% リライアンス
(前提となる GDP 伸び率 5%)
(2)主な新増設計画と検討状況
RAPID 計画は 2016 年末の完工予定(遅延が発生している様子であり、川下計画も FS 中と
のことで、今回の需給バランスには含まず)。エチレン年産 110 万トン規模のクラッカーを設置し、
プロピレン 110 万トン、C4 留分 140 万トン他を活用して、さまざまな化学品・樹脂を生産する計
画である。本計画の各分野では、各 JV パートナーとの共同 FS への合意、LLDPE/HDPE 等の
特定製品に関わる合弁合意が発表されているが、ペトロナスの最終意思決定は、2013 年中頃
とのこと。実際の完工は、2017 年頃になると思われ、本格的な操業は、2018 年となるであろう。
54
また、これに隣接し、台湾で白紙撤回となった大型石化「国光石化科技計画」の事業化計画
検討(FS)が進められている。2018 年頃を目途に、石油精製能力、日量 10 万バレル、エチレン
年産 90 トン規模のナフサクラッカーを想定している。
さらに、バーレーンのブレル社は、クアンタンにて 2014 年を目途にユニポール法 PE・PP 技術
を適用した PE 50 万トン、PP 25 万トンの新設計画の FS を開始することを発表した。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
エチレンクラッカーの稼働率は、漸増し、需給が逼迫する。RAPID 計画の早期実現が必要。
55
国・地域名: フィリピン共和国
1.概況
2011 年は、財政赤字の縮小や堅調なマクロ経済のファンダメンタルズ(基礎的要因)
を背景に、国債格付け機関が相次ぎ格付けを上方修正するなど、就任後1年を迎えたア
キノ政権は 2010 年から進めてきた支出の抑制と徴税強化を柱とした財政再建や経済運営
が市場などから一定の評価を得た年となった。
ただ、欧州の信用不安などに起因する不透明な世界経済の影響は避けられず、電子製
品の需要減退で輸出が伸び悩むなど経済成長が大幅に鈍化した。個人消費は堅調だった
ものの、公共工事が 2 桁のマイナスに落ち込むなど、2011 年の GDP 実質成長率は 3.9%
に落ち込み、政府が通年目標に掲げた 4.5~5.5%には届かなかった(2010 年の GDP 実質
成長率は 7.6%)。
なお、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業は、2010 年に売上高が前
年比 26%増の 89 億米ドル(約 7,538 億円)に達し、コールセンター部門の売上高 61 億
米ドルでインドを抜いて世界一の規模を達成したが、2011 年も堅調な伸びを見せた。
BPO 産業各社は、相次いでフィリピン国内での事業拡大を発表。一方、アジア開発銀
行(ADB)は、フィリピン経済は BPO に過度に依存していると指摘し、単純労働者の所
得増などを含む包括的成長には、雇用の大きな受け皿となる製造業の発展が不可欠との
見解を示している。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、フィリピン)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
0
22
22
0
0
12
0
50
0
41
0
0
42
2
15
22
0
0
生産
(B)
0
7
4
0
0
7
0
10
0
4
0
0
4
2
15
22
0
0
輸入
(C)
14
15
6
4
0
2
0
29
9
10
0
0
10
0
0
0
0
0
輸出
(D)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
内需
E=B+C-D
14
22
10
4
0
9
0
39
9
14
0
0
14
2
15
22
0
0
56
輸入
比率
(C/E)
100%
68%
60%
100%
0%
22%
0%
74%
100%
71%
0%
0%
71%
0%
0%
0%
0%
0%
輸出
比率
(D/B)
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
▲ 14
▲ 15
▲6
▲4
0
▲2
0
▲ 29
▲9
▲ 10
0
0
▲ 10
0
0
0
0
0
32%
18%
58%
20%
10%
10%
100%
100%
100%
-
主要メーカー
JG Summit
JG Summit
PRII
JG Summit
PETRON
PETRON
PETRON
(2)石化産業の最近の動き
フィリピンの石化産業はプラスチック・コンパウンドを中心とする小規模なものが大半で、殆ど
の原料や製品を輸入に依存しており、プラスチック加工産業等の川下産業が中心である。以前
にはフィリピン国営石油会社(PNOC)がエチレンセンターの建設を目指したが、実現に至ってい
ない。
最近の動きとしては、大手石油会社 PETRON 社がバタンガス地方の既存工場を増設する計
画として、日産 18 万バレルの製油施設新設へ 10 億ドルを投資することを決定、合わせて 2014
年に 14 万トンのプロピレン商業生産を開始する予定と発表している。また、JG SUMMIT も 2014
年に商業生産の開始を目標としたナフサクラッカー建設計画を発表、32 万トンのエチレン、19 万
トンのプロピレン等の生産能力を持つ計画を進めている。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、フィリピン)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
生産
(B)
輸入
(C)
32
22
22
0
0
12
0
50
33
53
0
0
54
2
15
22
0
0
10
15
10
0
0
10
0
26
17
8
0
0
8
2
15
22
0
0
9
10
2
4
0
2
0
14
4
10
0
0
10
0
0
0
0
0
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
輸出
内需
(D) E=B+C-D
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19
25
12
4
0
12
0
44
21
18
0
0
19
2
15
22
0
0
輸入
比率
(C/E)
47%
40%
17%
100%
17%
32%
19%
56%
56%
0%
0%
0%
-
輸出
比率
(D/B)
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
-
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
▲9
▲ 10
▲2
▲4
0
▲2
0
▲ 18
▲4
▲ 10
0
0
▲ 10
0
0
0
0
0
31%
68%
45%
83%
52%
52%
15%
15%
100%
100%
100%
-
主要メーカー
JG Summit
JG Summit
JG Summit
PRII
PETRON/JG Summit
PETRON/JG Summit
PETRON
PETRON
PETRON
(前提となる GDP 伸び率 4%)
(2)主な新増設計画と検討状況
JG Summit 社は 330 億ペソ(約 660 億円)を投じてナフサクラッカー建設をバタンガス地区に
新設する。2011 年第一四半期より施工を開始し、2014 年 1 月からの商業稼働を目標としている。
同ナフサクラッカーはエチレン 32 万トン、プロピレン 19 万トン等の生産能力を保有する計画。本
件は同国初のナフサクラッカーであり、同国石化産業の成長・発展に寄与するものと期待されて
いる。
57
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
PPIA(Philippine Plastics Industry Association)によると、経済成長に伴って需要は伸びて
いくものと予測されている。供給面は輸入増にて対応し、需給はバランスしていくものと考えられ
る。なお、輸入に関しては、アセアン諸国からの輸入関税が既に無税となっているものの、依然と
して、樹脂輸入全体の約 50%を非アセアン諸国である韓国・日本・台湾・サウジアラビア・中国・
インド・クウェート等から輸入しているのが現状である。
。
58
国・地域名: ベトナム
1.概況
2011 年 1 月、第 11 回共産党大会(5 年ごと)が開催され、2020 年までに近代工業国家
に成長することを目標として引き続き高い成長を目指す方針が掲げられたほか、プロレ
タリアート階級主導の共産党方針は維持しつつも、私営経済活動を本業とする者の入党
を試験的に認めることとされた。2011 年 5 月の国会議員選挙の結果を受けて同年 7 月 21
日より第 13 期国会が召集され、グエン・シン・フン国会議長、チュオン・タン・サン国
家主席が選出され、グエン・タン・ズン首相が再選された。
2011 年の実質 GDP 成長率は 5.9%と、2010 年の 6.8%に比べ鈍化した。建設需要の落
ち込みが大きく影響したとみられる。また、2011 年の平均消費者物価上昇率は 18.6%と
アセアン諸国の中でも高い水準である。貿易は輸出が 963 億ドル(前年同期比 33.3%増)、
輸入が 1,058 億ドル(27.7%増)で、いずれも大幅に増加した。原材料価格や原油価格の
高騰が要因として挙げられる。なお、貿易赤字は 95 億 3,900 万ドルで、輸出額の 9.9%
に相当する。
2012 年のベトナム経済は、GDP 成長率は 5.0%で、政府が年初に目標としていた 6%、
同年 11 月に修正した 5.2%にも及ばない結果となった。過去 10 年の中でも最も低く、過
去 20 年間においてもアジア通貨危機(1997 年)の影響で低迷した 1999 年の 4.8%に次
いで低い。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、ベトナム)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
0
0
0
0
0
30
0
15
15
15
0
0
15
0
0
0
0
0
生産
(B)
0
0
0
0
0
29
0
1
15
15
0
0
15
0
0
0
0
0
輸入
(C)
0
23
23
2
13
5
14
72
0
24
0
0
25
0
6
5
0
39
輸出
(D)
0
0
0
0
0
7
0
4
0
5
0
0
5
0
0
0
0
0
内需
E=B+C-D
0
23
23
2
13
27
14
83
15
34
0
0
35
0
6
5
0
39
59
輸入
比率
(C/E)
100%
100%
100%
100%
19%
100%
87%
0%
71%
71%
100%
100%
100%
輸出
比率
(D/B)
24%
350%
0%
33%
33%
-
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
0
▲ 23
▲ 23
▲2
▲ 13
2
▲ 14
▲ 82
0
▲ 19
0
0
▲ 20
0
▲6
▲5
0
▲ 39
97%
7%
100%
100%
100%
-
主要メーカー
TPC/Phu My
Dung Quat
(2)石化産業の最近の動き
2012 年、ベトナム唯一の製油所であるズンクアット製油所(中部クアンガイ省)は、
設備トラブルで 5 月初旬~7 月初旬及び 8 月 8 日~8 月 17 日の 2 回操業を停止した。し
かし、生産量は 2012 年初頭の目標の約 91%に相当する 550 万トンであった。2013 年に
ついては、前年を 100 万トン上回る 650 万トンとする計画である。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、ベトナム)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
0
0
0
0
0
30
0
15
30
30
0
0
31
18
0
0
48
0
生産
(B)
0
0
0
0
0
29
0
2
30
30
0
0
31
18
0
0
48
0
輸入
(C)
輸出
(D)
0
34
34
3
26
10
21
124
0
31
0
0
32
0
9
8
0
57
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
0
0
10
18
0
0
48
0
内需
E=B+C-D
0
34
34
3
26
39
21
126
30
51
0
0
53
0
9
8
0
57
輸入
比率
(C/E)
100%
100%
100%
100%
26%
100%
98%
0%
61%
61%
100%
100%
100%
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
(B-E)
(B/A)
(D/B)
0
- Long Son
▲ 34
- Long Son
▲ 34
- Long Son
▲3
▲ 26
▲ 10
0%
97%
▲ 21
▲ 124
0%
13%
0 100% Dung Quat
0%
▲ 21 100% Nghi Son, Long Son
33%
0
0
▲ 22 100%
33%
18 100% Nghi Son
100%
▲9
▲
8
48 100% Nghi Son
100%
▲ 57
(前提となる GDP 伸び率 6%)
(2)主な新増設計画と検討状況
ベトナム北部タインホア省のギソン製油所・石油化学コンプレックスの建設が、2013 年第 2 四
半期に開始されると発表された。完工は 2016 年第 3 四半期、商業生産開始は当初予定の
2013 年末から 2017 年第 2 四半期にずれ込む見込みである。EPC は、日揮、千代田化工建設、
テクニップグループ、SK 建設、GS 建設のコンソーシアムとなる予定である。精製能力は日産 20
万バレルで、世界最大級の日量 10.5 万バレルの処理能力を持つ重油直接脱硫装置(RHDS)
に加え、処理能力同 8 万バレルの重油流動接触分解装置(RFCC)が設置される予定である。ま
た芳香族製造装置も導入されパラキシレンの生産能力を備えることになる。
ベトナム南部バリアブンタウ省では第 3 の製油所案件としてロンソン石油化学コンビナートの
建設計画も進められている。合弁事業の資本金は 45 億米ドルで、タイのサイアムセメントグルー
プなどの外資が 71%、ペトロベトナムが残りを出資する予定。プロジェクトは資金調達難に直面し
ており大幅に遅延している。2012 年末には 11%出資を予定していたベトナム化学グループが撤
60
退を発表した。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
第 2 の製油所案件が発表されたが完工予定は 2016 年度末であり、引き続きベトナムは
石油化学及び基礎化学品の輸入国というポジションが続く見込みである。需要見通しに関
しては GDP の伸び率を基準に、過去の実績を加味し算出した。
61
国・地域名: インド
1.概況
2011 年度は欧州に端を発する世界的景気減速、国内インフレ抑制に対する度重 な る
RBI(インド準備銀行/中央銀行)の利上げ、また急激なルピー安によるコスト増(インド
は純輸入国)により、企業の設備投資や消費者心理が冷え込み、GDP 成長率は 6.5%とな
った(2010 年度 8.5%)。
2012 年度は世界的景気減速の本格化、同国最大輸出相手先の欧州への販売の落ち込み
に加え、インフレ抑制のため金利の高止まりにより、消費者購買意欲が低下し続けてい
る。これに加え、経常収支赤字幅は依然拡大を続けており、GDP 成長率は 5.5%になると
予想されている。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、インド)
(単位:万トン、%)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
能力
(A)
生産
(B)
輸入
(C)
輸出
(D)
内需
E=B+C-D
371
111
168
0
167
134
14
475
368
370
4
0
385
135
23
55
241
385
336
145
146
0
104
125
14
410
356
316
4
0
330
103
14
45
230
350
5
0
43
53
75
72
0
145
0
32
8
0
42
2
23
6
43
66
0
2
34
0
6
0
0
41
2
80
0
0
82
43
0
18
66
0
341
143
155
53
173
197
14
544
354
268
12
0
289
62
37
33
207
416
輸入
比率
(C/E)
1%
0%
28%
100%
43%
37%
0%
27%
0%
12%
67%
14%
3%
62%
18%
21%
16%
輸出
比率
(D/B)
0%
1%
23%
6%
0%
0%
10%
1%
25%
0%
25%
42%
0%
40%
29%
0%
バランス
(B-E)
▲5
2
▲9
▲ 53
▲ 69
▲ 72
0
▲ 134
2
48
▲8
0
41
41
▲ 23
12
23
▲ 66
稼働率
(B/A)
91%
131%
87%
62%
93%
100%
86%
97%
85%
100%
86%
76%
61%
82%
95%
91%
主要メーカー
注)
RIL/GAIL/IOC
RIL/GAIL/IOC
RIL/GAIL/HPL
RIL/IOC
RIL/CHEMPLAST
RIL
RIL/IOC/HPL
RIL/IOC/HPL
RIL
RIL/IOC/HPL
RIL/IOC
RIL
RIL/IOC
RIL/MCPI
(2)石化産業の最近の動き
2011 年度の石油化学製品の総需要量は 3,233 万トンとなり、2010 年度比成長率は 6.9%増
で、前年度成長率の 13%増に比べ成長は鈍化した。2012 年度は引き続き国内消費意欲低下
などにより成長率は 7~8%となり、総需要量は 3,489 万トンとなる見通しである。2012 年度の石
油 化 学 製 品 のセグメント別 内 需 成 長 率 は、合 成 樹 脂 12%増 、オレフィン 6.5%増 、合 繊 原 料
7.5%、合繊繊維 6.6%増、界面活性剤 7.0%増と予想されている。
62
各主要製品動向は下記のとおりである。
①ナフサ: インドの石油精製設備は 21 箇所あり、精製能力は合計で 1 億 9339 万トンと、世界で
5 番目の能力を有する。
②エチレン: インドのエチレン生産設備能力の約 60%はナフサベース、約 40%は天然ガスベース
となっている。2011 年の製造能力は、371 万 2,000 トンとなった。2012 年は GAIL が 40 万トンの
増設を予定している。
③プロピレン:2011 年の製造能力は、367.5 万トンとなった。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、インド)
(単位:万トン、%)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
能力
(A)
生産
(B)
輸入
(C)
輸出
(D)
内需
E=B+C-D
1,489
278
295
60
167
187
14
814
457
540
4
0
560
195
23
55
553
610
894
222
236
54
121
177
14
590
434
486
4
0
505
125
14
50
415
549
0
0
0
34
176
186
0
219
84
68
16
0
87
0
48
4
0
173
31
22
24
0
0
0
0
47
0
0
0
0
0
41
0
0
79
0
863
200
212
88
297
363
14
834
518
554
20
0
592
84
62
54
336
722
輸入
比率
(C/E)
0%
0%
0%
39%
59%
51%
0%
26%
16%
12%
80%
15%
0%
77%
7%
0%
24%
輸出
比率
(D/B)
3%
10%
10%
0%
0%
0%
0%
8%
0%
0%
0%
0%
33%
0%
0%
19%
0%
バランス
(B-E)
31
22
24
▲ 34
▲ 176
▲ 186
0
▲ 244
▲ 84
▲ 68
▲ 16
0
▲ 87
41
▲ 48
▲4
79
▲ 173
稼働率
(B/A)
60%
80%
80%
90%
72%
95%
100%
72%
95%
90%
100%
90%
64%
61%
91%
75%
90%
主要メーカー
RIL/IOC/GAIL
RIL/IOC/GAIL
RIL/IOC/GAIL
IOC
RIL/IOC
RIL/CHEMPLAST
RIL/IOC/HPL
RIL/IOC/HPL
RIL
RIL/IOC/HLC
RIL/IOC
RIL
RIL/IOC/ONGC
RIL/MCPI
(前提となる GDP 伸び率 7%)
63
(2)主な新増設計画と検討状況
① Reliance
(品目) (能力:万トン) (立地)
■ エチレン :
■ プロピレン:
■ PX:
170
15
150
(稼働予定)
ジャムナガール
ジャムナガール
ダヘージ
2014 年
2014 年
2013 年
② OPaL(ONGC ペトロアディションズ)*ONGC 子会社
■ エチレン :
110
ダヘージ
2014 年
■ LLDPE/HDPE:
36
ダヘージ
2014 年
■ PP:
34
ダヘージ
2014 年
■ ベンゼン:
9.5
ダヘージ
2014 年
③ IOC(インド国営石油)
■ エチレン :
100
パラディープ
120
エノール
■ SM:
60
パラディープ
2012 年
2014 年
2013 年
④ HPLC
■ エチレン
100
ハイザック
2013 年
⑤ Essar Oil
■ エチレン
■ プロピレン
130
40
バディナール
バディナール
2015 年
2015 年
⑥ BPCL
■ エチレン
120
コチ
2015 年
⑦ OMPL
■ パラキシレン
90.5
マンガロール
2013 年
⑧ Vivanta
■ PVC:
22.7
バローダ
2013 年
⑨ Indorama Ventures
■ PTA:
100
(未定)
2014 年
⑩ JBF
■ PTA:
マンガロール
2014 年
125
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
インド国内における各産業分野における需要の伸びが継続的に維持されることが予想される
中、石油化学工業主要セグメントの需要は引続き年率 7~10%で伸びていくと予想されている。
インドのメーカー各社は需要の伸びに対し、数量の拡大が期待される製品に関しては、設備の新
設及び増設により対応していくものの、一部製品、特に中東から競争力のある価格で入ってくる
製品については余剰能力があっても稼動率を上げずに輸入に依存していくこととなるであろう。
64
国・地域名: オーストラリア
1.概況
オーストラリア経済は 1990 年代初頭から長期にわたり不況を経験せず、2004 年以降資源ブ
ーム、一次産品市況の高騰による資源関連中心の設備投資増加が続き好調であった。2008 年
9 月以降、米国金融危機に端を発した世界不況の影響を受けて経済は減退し、オーストラリア政
府は大規模な経済刺激策、連邦準備銀行の政策金利引き下げを実施。2009 年後半からは、中
国向けの資源輸出の急伸もあり、先進国の中ではいち早く経済回復を果たし、数回の政策金利
上げを実施している。この結果、経済成長率は 2008/09 年度は 1.2%、2009/10 年度は 2.3%、
2010/11 年度は 3.4%となり、失業率は、2008/2009 年度は 4.9%、2009/10 年度は 5.1%、
2010/11 年 度 は 5.2% 程 度 と な っ た 。 又 、 消 費 者 物 価 上 昇 率 は 、 2008/09 年 度 が 3.1% 、
2009/10 年度は 2.3%、2010/11 年度は 2.4%となった。
2007 年 11 月の総選挙で 11 年ぶりに誕生したケビン・ラッド首相率いる労働党政権は排出権
取引の導入を始め新機軸を打出してきたが、資源超過利潤税(RSPT)導入の不手際からジュリ
ア・ギラードに党首交代となり、2010 年 8 月の下院選挙では大幅に議席を減らし、過半数の議席
を獲得できず、少数党グリーンズや無所属議員との連合により、ようやく労働党政権を確保、所
謂ハングパーラメントの状況にある。
労働党政権は、資源超過利潤税を見直し、改名した鉱物資源利用税(MRRT)を 2012 年 7
月に導入したが、期待した税収を下回っており、2013 年 6 月期の財政黒字化を断念している。
また、温暖化ガス削減に向けて、炭素税が 2012 年 7 月に導入された。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、オーストラリア)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
50
21
20
10
0
18
0
54
34
35
0
0
36
6
2
1
0
0
生産
(B)
43
17
15
0
0
15
0
34
27
26
0
0
27
0
2
1
0
0
輸入
(C)
0
16
14
3
3
15
4
51
3
7
0
2
9
0
4
0
0
6
輸出
(D)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
内需
E=B+C-D
43
33
29
3
3
30
4
85
30
33
0
2
36
0
6
1
0
6
65
輸入
比率
(C/E)
0%
48%
48%
100%
97%
50%
100%
60%
10%
21%
100%
25%
67%
0%
100%
輸出
比率
(D/B)
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
0
▲ 16
▲ 14
▲3
▲3
▲ 15
▲4
▲ 51
▲3
▲7
0
▲2
▲9
0
▲4
0
0
▲6
86%
81%
75%
83%
63%
79%
75%
75%
0%
100%
100%
-
主要メーカー
Qenos
Qenos
Qenos
AVC
Shell, Qenos
Lyondel
(2)石化産業の最近の動き
オーストラリア石油化学産業は 2001 年までに個々の規模は小さいが統廃合がなされ、1 社多
品種生産販売から各社コア商品特化の生産販売体制に移行した。エチレンは Qenos 社、PP は
LyondellBasell 社、PVC は Australian Vynil 社に集約されている。中東はもとより欧米、アジア
諸国の生産販売体制に比しオーストラリアは小規模であり、国際競争力を維持することは容易で
ない。国内生産中止、輸入切り替えといったケースが散見される。
- Qenos 社はブタジエン及び合成ゴム生産から全面撤退している。
- Huntsman 社はフェノール、アセトン生産を 2004 年 6 月中止、2009 年 10 月にスチレンモノマ
ーを生産中止、2010 年にポリスチレン生産も中止している。
- DOW 社は 2006 年末ポリスチレン生産を中止、撤退している。
オーストラリア唯一のエチレンクラッカーである Qenos 社が 2006 年 2 月中国政府系企業
China National Chemical Corporation(ChemChina、中国化工集団)に買収されているが、新
増設あるいは設備更新など具体的な動きは見られない。
オーストラリア唯 一 の PVC メーカーである Australian Vinyl 社 は、2008 年 に複 合 企 業
Wesfarmers に買収され、同社グループ内の肥料、アンモニア製造販売会社 CSBP 社の一部門
となっている。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、オーストラリア)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
54
21
24
10
0
18
0
58
34
35
0
0
36
6
2
1
0
0
生産
(B)
47
19
17
0
0
15
0
38
27
30
0
0
31
0
2
1
0
0
輸入
(C)
0
20
12
3
4
18
4
55
7
9
0
2
11
0
4
0
0
5
輸出
(D)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
内需
E=B+C-D
47
39
29
3
4
33
4
93
34
39
0
2
42
0
6
1
0
5
輸入
比率
(C/E)
0%
51%
41%
100%
100%
55%
100%
59%
21%
23%
0%
100%
26%
0%
67%
0%
0%
100%
輸出
比率
(D/B)
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
0
▲ 20
▲ 12
▲3
▲4
▲ 18
▲4
▲ 55
▲7
▲9
0
▲2
▲ 11
0
▲4
0
0
▲5
87%
90%
71%
0%
0%
83%
0%
66%
79%
87%
0%
0%
87%
0%
0%
100%
0%
0%
主要メーカー
Qenos
Qenos
Qenos
AVC
Shell, Qenos
Lyondel
(前提となる GDP 伸び率 2.5 %)
66
(2)主な新増設計画と検討状況
天然ガス、LPG を原料とするメタノール、エチレン、プロピレン、EDC、VCM 等のプロジェクトが
過去打ち出されたこともあるが、インフラ整備を含む建設コスト、原料価格、豪ドル高、労務費の
高騰などの要因から実現に至っていない。また、中東における大型プラントの稼働により石化原
料、製品の市況低迷が長期化した場合、国内生産の輸入品への切替え圧力が増加する。安価
な完成品、末端消費財の輸入に押され、石化製品の国内需要が減退する傾向も予想される。現
状、Qenos のエチレン及び HDPE の増能力以外の新規設備、既存設備の増能力の動きは見当
らない。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
需要見通しの算定方法及び根拠に関しては、PE は年率 3%程度、他は現状維持を原則とし
た。今後一部プラントの事業継続が困難となる可能性もある。
67
国・地域名: シンガポール
1.概況
2011 年に GDP 前年比+4.9%の成長をしたシンガポール経済は、2012 年は速報ベースで同
+1.2%と大きく減速した。特に製造業は速報ベースで▲0.2%とマイナス成長となっており、これ
は欧州・米国・日本の景気低迷の影響を受けたものであると推察される。政府は 2013 年の成長
率を+1~3%と見込んでいるが、依然先行き不透明な世界経済の影響で更に弱含む可能性も示
唆している。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、シンガポール)
(単位:万トン、%)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
能力
(A)
生産
(B)
輸入
(C)
280
78
39
93
87
0
33
234
193
97
0
67
167
78
29
17
75
0
248
75
35
83
83
0
30
219
168
95
0
65
163
74
19
16
67
0
13
72
53
1
35
4
3
153
6
66
0
3
71
16
4
5
0
0
輸出
内需
(D) E=B+C-D
16
140
85
59
116
1
25
345
9
159
0
11
174
8
23
9
67
0
245
6
3
25
2
4
7
27
164
3
0
57
59
82
0
12
0
0
輸入
比率
(C/E)
5%
1135%
1650%
5%
2029%
116%
37%
569%
3%
2632%
5%
119%
19%
43%
-
輸出
比率
(D/B)
6%
187%
240%
71%
140%
85%
158%
5%
166%
17%
107%
11%
121%
56%
100%
-
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
主要メーカー
3
69
32
58
81
▲4
22
192
4
93
0
8
103
▲8
19
4
67
0
89%
96%
91%
89%
95%
90%
93%
87%
99%
96%
98%
95%
68%
95%
90%
-
PCS/Exxon/Shell
TPC/Exxon
CPSC
SCSL/ELLBA
EGS/Shell
Celanese/MELS
PCS/Exxon/Shell
TPC/Exxon
PCS/Exxon
PCS/Exxon
PCS/Shell
PCS/Shell
(2)石化産業の最近の動き
2011 年第 4 四半期頃より世界的な景気失速の影響が現れ始め、以降製品にもよるものの減
産運転の動きが出ている。
このような状況ではあるが各大型新増設計画は進行中。ExxonMobil は第二期石化コンプレ
ックス(エチレン 100 万トン/年)を 2013 年に立ち上げ予定(誘導品であるポリマープラントは先
んじて 2012 年央に完成)。Shell Chemicals は既存エチレンプラントのデボトルネック解消による
増強(エチレン 80→100 万トン/年)を 2014 年に実施予定。
68
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、シンガポール)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
400
238
39
93
87
0
70
428
253
142
0
106
252
157
29
17
163
0
生産
(B)
392
226
37
88
83
0
65
405
248
134
0
105
243
149
23
16
155
0
輸入
(C)
輸出
(D)
0
50
50
2
34
5
3
129
0
60
0
2
64
10
3
0
0
0
3
269
84
65
115
1
60
505
5
192
0
49
246
2
26
3
155
0
内需
E=B+C-D
389
7
3
26
2
4
8
30
243
3
0
58
61
157
0
13
0
0
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E)
(D/B)
3
0%
1%
98% PCS/Exxon/Shell
219
704%
119%
95% TPC/Exxon
34
1471%
226%
95% CPSC
63
8%
73%
95% SCSL/ELLBA
81
1789%
139%
95% EGS/Shell
▲ 4
112%
56
37%
92%
93% Celanese/MELS
376
436%
125%
95%
5
0%
2%
98% PCS/Exxon/Shell
132
2143%
143%
95% TPC/Exxon
0
47
3%
46%
99%
182
104%
101%
97%
▲ 8
6%
1%
95% PCS/Exxon
23
111%
81% PCS/Exxon
3
0%
18%
95% PCS/Shell
155
100%
95% PCS/Shell
0
(前提となる GDP 伸び率 2.0%)
(2)主な新増設計画と検討状況
前述の他に台湾長春石化が 2013 年完成を目処に酢酸ビニールモノマー35 万トン/年、キュ
メン 54 万トン/年、アリルアルコール 15 万トン/年新設を計画。
合成ゴムでは Lanxess が、ジュロン島テンブス地区においてブチルゴム 10 万トン/年を 2013
年、ポリブタジエン 14 万トン/年を 2015 年に各々新設予定。溶液重合スチレンブタジエンゴム
(S-SBR)の新工場を、住友化学(4 万トン/年)、旭化成(5 万トン/年)、日本ゼオン(5 万トン/
年)がそれぞれ 2013 年半ば~2014 年初を目処に建設予定。
合成樹脂は前述 ExxonMobil の第二期コンプレックス以外にプライムポリマーがメタロセン系
ポリエチレン 30 万トン/年の工場を 2014 年 12 月に完工予定。
また、芳香族ではジュロンアロマティックスが 2014~2015 年完成予定で、パラキシレン(80 万
トン/年)、ベンゼン(45 万トン/年)、オルソキシレン(20 万トン/年)の計画がある。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
内需の伸びは、2013 年以降+2%/年とおいた。プラント稼働率は、依然として原油市況高騰、
世界的な景気回復が不透明な中、2013 年以降 90~95%とおいた。
69
国・地域名: インドネシア
1.概況
第 2 次ユドヨノ政権(2009 年から 5 年間の任期、14 年選挙予定)のもと政治社会情勢の安定
を背景に、2011 年の実質 GDP 成長率は 6.5%と 96 年以来の高水準となった。堅調な民間消
費(+4.7%)、企業の設備投資などに伴う総固定資本形成(+8.8%)の拡大など内需が成長を牽
引した。
2012 年についても、引き続き好調を維持し前年比 6.2%の成長をみせた。世界経済の停滞の
影響は受けたものの、民間消費は前年比+5.3%増、総固定資本形成は前年比+9.8%増と高い
伸びを見せた。一方輸出は 11 年の 13.6%から 2%へ急落している。
2013 年 GDP の政府目標は 6.8%となっている。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、インドネシア)
(単位:万トン、%)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
能力
(A)
生産
(B)
輸入
(C)
59
65
10
36
22
61
0
130
54
72
0
12
86
52
10
12
87
144
44
31
6
34
14
46
0
80
21
27
0
10
38
44
0
0
89
142
68
29
22
1
39
5
0
79
23
63
1
0
66
15
14
8
62
4
輸出
内需
(D) E=B+C-D
2
7
2
16
2
11
0
21
4
1
0
1
2
30
0
0
57
4
110
53
25
19
50
40
0
138
40
90
1
9
102
29
14
8
95
142
輸入
比率
(C/E)
61%
55%
86%
4%
77%
12%
57%
59%
70%
100%
64%
51%
100%
100%
66%
3%
輸出
比率
(D/B)
4%
23%
38%
47%
16%
24%
26%
20%
2%
4%
68%
63%
3%
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
▲ 66
▲ 22
▲ 20
16
▲ 36
6
0
▲ 58
▲ 19
▲ 63
▲1
1
▲ 64
15
▲ 14
▲8
▲6
0
75%
47%
58%
96%
62%
76%
62%
39%
38%
81%
44%
84%
0%
0%
103%
99%
主要メーカー
Chandra Asri
Chandra Asri & Tital Petrokimia
Chandra Asri
Styrindo Mono Indonesia
Polychem Indonesia
Asahimas & Siam Maspion
Asahimas & Satomo Indovyl Polymer
Chandra Asri & Pertamina
Tripolyta Indonesia & Polytama Propyndo
Pertamina & TPPI
TPPI
TPPI
Pertamina & TPPI
(2)石化産業の最近の動き
2011 年は、プルタミナやサイアムセメントが 30%株式を保有するチャンドラ・アスリが活発な動
きを見せた。プルタミナは、バロンガンで RCC オフガスを原料とするプロピレン設備(年産能力 17
万 9 千トン)の稼動を具体化させた。チャンドラ・アスリは収益基盤強化のためにブタジエン新設
備の着工を発表した。一方、Lotte (旧湖南石油化学)がメラク地区にエチレンクラッカーを建設
するべく発表していたが、土地の買収が進まず同プロジェクトは停滞している。
70
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、インドネシア)
(単位:万トン、%)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
能力
(A)
生産
(B)
輸入
(C)
輸出
(D)
内需
E=B+C-D
82
65
10
36
22
61
0
130
89
97
0
18
117
52
10
12
87
189
59
33
7
34
20
52
0
94
63
83
0
15
100
30
0
0
83
164
66
44
32
0
42
3
0
105
40
52
1
0
55
2
20
11
47
0
0
4
3
11
0
0
0
10
0
1
0
1
2
2
0
0
21
0
124
72
36
23
62
55
0
189
102
134
1
14
153
30
20
11
109
164
輸入
比率
(C/E)
53%
61%
88%
0%
68%
5%
55%
39%
39%
100%
36%
5%
100%
100%
43%
0%
輸出
比率
(D/B)
0%
12%
36%
32%
0%
0%
10%
0%
1%
2%
5%
25%
0%
バランス
(B-E)
▲ 66
▲ 40
▲ 29
11
▲ 42
▲ 3
0
▲ 95
▲ 40
▲ 51
▲ 1
1
▲ 53
0
▲ 20
▲ 11
▲ 26
0
稼働率
(B/A)
71%
50%
70%
95%
90%
85%
73%
71%
85%
85%
57%
0%
0%
95%
87%
主要メーカー
Chandra Asri
Chandra Asri & Tital Petrokimia
Chandra Asri
Styrindo Mono Indonesia
Polychem Indonesia
Asahimas & Siam Maspion
Asahimas & Satomo Indovyl Polymer
Chandra Asri & Pertamina
Tripolyta Indonesia & Polytama Propyndo
Pertamina & TPPI
TPPI
TPPI
Pertamina & TPPI
(前提となる GDP 伸び率
6.2%)
(2)主な新増設計画と検討状況
上述のプルタミナのプロピレンは 2013 年 1 月に稼動を開始した。平行してプルタミナとチャンド
ラ・アスリはポリプロピレン(年産能力 25 万トン)の合弁設立について 12 年末に覚書を締結し、
15 年の稼動開始に向け詳細を詰めている。今まで両社の連携がなく同国の石化産業発展の課
題となっていたが、上記を機会に変化が見られるかどうか注目される。
また、チャンドラ・アスリは上 述 のブタジエン新 設 備 建 設 が順 調 に進 んでいると発 表 している
(13 年 1 月現在 80%完成)。さらに、ナフサクラッカーの増設を発表した。2014 年にエチレン(年
産能力 60 万トン→82 万トン)、プロピレン(年産能力 32 万トン→45 万トン)に増設予定。サイア
ムセメントが出資比率を高める可能性も出てきている。
日本勢では日本触媒がインドネシア工場の新増設に着手しており、アクリル酸(年産能力 6 万
トン→14 万トン)、SAP(新設 9 万トン)を建設中である。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
エチレン自体の需要は、民間消費の伸びに支えられ川下産業の需要が堅調であり純増であっ
た。
ポリエチレン、ポリプロピレンの輸入量は、さほど大きな変化は見られない。今後、プルタミナ、
チャンドラ・アスリの内製化により減少される可能性がある。
71
国・地域名: 欧州
(西欧及び東欧、トルコを除く)
1.概況
欧州委員会は 2012 年 11 月 7 日に発表した秋季経済予測で、ユーロ圏の 2013 年実質 GDP
成長率を春季経済予測から 0.9 ポイント下方修正し 0.4%とした。欧州債務危機に伴う緊縮財政
策や構造改革が、経済と雇用に重くのしかかっている。世界経済の減速や、近い将来の消費と
企業活動に悲観的な見通しがみられたことから、昨年、内需は後退したまま推移したが、2013
年は下半期に向けてようやく緩やかな回復が期待されている。
成熟市場である欧州において、今後石油化学製品の大きな増設は行われず、エチレン生産の
世界シェアは 2011 年に 17.1%であるのが、2017 年には 13.2%となる見通しである。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、欧州)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
2,697
LD
1,043
HD
637
SM
583
EG
133
PVC
777
その他
366
計AS C2 2,696
プロピ
1,906
PP
1,096
AN
86
その他
745
計AS C3 1,968
ベンゼン
1,117
トルエン
360
キシレン
579
PX
257
PTA
350
生産
(B)
2,240
727
535
504
115
601
330
2,141
1,551
987
68
667
1,758
836
241
306
211
274
輸入
(C)
39
227
207
83
133
77
0
568
55
78
8
3
92
120
0
0
17
30
輸出
(D)
16
190
173
36
55
157
2
493
34
0
0
0
0
61
15
20
20
89
内需
E=B+C-D
2,263
764
569
551
193
521
328
2,216
1,572
1,065
76
670
1,850
895
226
286
208
215
輸入
比率
(C/E)
2%
30%
36%
15%
69%
15%
0%
26%
3%
7%
11%
0%
5%
13%
0%
0%
8%
14%
輸出
比率
(D/B)
1%
26%
32%
7%
48%
26%
1%
23%
2%
0%
0%
0%
0%
7%
6%
7%
9%
32%
バランス
(B-E)
▲
▲
▲
▲
▲
23
37
34
47
78
80
2
▲ 75
▲ 21
▲ 78
▲ 8
▲ 3
▲ 92
▲ 59
15
20
3
59
稼働率
(B/A)
83%
70%
84%
86%
86%
77%
90%
79%
81%
90%
79%
90%
89%
75%
67%
53%
82%
78%
主要メーカー
Dow, Shell
Exxon, Ineos
Exxon, Ineos
BASF
Dow
Shin-Etsu
Dow, Exxon
Basell
Ineos
Dow
Dow
Ato
Exxon
BP
(2)石化産業の最近の動き
欧州経済危機の影響で、需要は低迷し、クラッカーの低稼働状態が継続している。今
後も、経済危機及び米国におけるシェールガスの影響から、引き続き欧州石油化学品各
社は厳しい状況が続くことが予想される中、Dow がベルギーの HDPE プラント(16.5 万トン)の停
止を発表したように、合理化が進められている。また、ブタジエン能力の増強により、ナフサクラッ
カーの競争力向上を図る動きも出ている。
ポリエステルチェーンでは、ポルトガル Artland の PTA プラント(70 万トン)、及び、Grupa
Lotos のキシレンプラント(13 万トン)の立上げがあった。
72
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、欧州)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
2,636
LD
1,025
HD
616
SM
548
EG
133
PVC
792
その他
341
計AS C2 2,629
プロピ
1,862
PP
1,089
AN
86
その他
774
計AS C3 1,989
ベンゼン
1,095
トルエン
369
キシレン
614
PX
264
PTA
407
生産
(B)
2,339
708
540
483
105
613
289
2,080
1,453
1,057
70
681
1,846
820
244
400
210
324
輸入
(C)
輸出
(D)
42
257
265
107
153
80
0
680
60
206
8
4
225
130
0
0
65
20
18
138
145
41
24
119
2
375
39
0
0
0
0
51
12
8
66
100
内需
E=B+C-D
2,363
827
660
549
234
574
287
2,385
1,474
1,263
78
685
2,071
899
232
392
209
244
輸入
輸出
バランス 稼働率
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E) (D/B)
▲ 24
2%
1%
89%
31%
19% ▲ 119
69%
40%
27% ▲ 120
88%
▲
66
19%
8%
88%
65%
23% ▲ 129
79%
39
14%
19%
77%
2
0%
1%
85%
29%
18% ▲ 305
79%
▲
21
4%
3%
78%
16%
0% ▲ 206
97%
▲ 8
10%
0%
81%
▲ 4
1%
0%
88%
11%
0% ▲ 225
93%
▲ 79
14%
6%
75%
12
0%
5%
66%
8
0%
2%
65%
1
31%
31%
80%
80
8%
31%
80%
(前提となる GDP 伸び率 1.5
主要メーカー
Dow, Shell
Exxon, Ineos
Exxon, Ineos
BASF
Dow
Shin-Etsu
Dow, Exxon
Basell
Ineos
Dow
Dow
Ato
Exxon
BP
%)
(2)主な新増設計画と検討状況
エチレン・プロピレン及び誘導品については 2017 年まで東欧を含めて大きな新増設計画はな
い。一方で、ブタジエンの抽出計画が相次ぎ発表されている。(LyondellBasell 7 万トン 2013 年、
Versalis 6 万トン 2014 年、BASF 15.5 万トン 2015 年、Evonik 10 万トン 2015 年、TVK 13.5
万トン 2015 年)
オレフィン以外では、オランダにて Indorama の PTA プラント増設(25 万トン 2014 年)が予定
されている。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
今後の需要は、ほぼ横ばい、或いは、微増に留まると予想される中で、生産能力過剰の状況
は続くと予想される。更に、エチレン系誘導品に関しては、シェールガスをベースとした競争力の
ある米国品が流入することによって、更なる減産に追い込まれる可能性もある。一方で、エタンク
ラッカーでは生産が限定的なブタジエンについては、ナフサクラッカーをベースとする欧州が一大
輸出地域となる見通しである。
73
国・地域名: 中
東
(トルコを含む)
1.概況
・ 年間を通じて原油価格が1バレル 100 ドルを超えた 2011 年、サウジアラビアの実質 GDP 成長
率は対 2010 年比+7.1%となった。2012 年に入り+5%台と減速しているが、現状石油関連収入
が輸出、財政ともに大宗を占める同国の GDP 成長率は、高水準の原油価格を受け、今後とも
堅調に推移していくと考えられる。加えて対イラン経済制裁に対応し、豊富な石油資源と生産能
力を基盤に、供給を増加させていることも輸出総額増に寄与している。
・ 中東諸国は、石油、天然ガス輸出に依存する経済からの自立、資源の有効利用、財政収入源
の多様化を目的とし、政府主導にて非石油部門を含めた諸外国企業の資本、技術、事業運営ノ
ウハウの導入や、様々なインフラの整備等、経済成長の展開がなされている。
・ 2006 年末の中東全体のエチレン生産能力は約 12 百万トンであったが、その後各国で新設プラ
ントが続々と建設され、一部のプラントでは当初計画よりも大幅に遅れが生じたものの、中東全
体のエチレン生産能力は 2011 年末までに約 26 百万トンまで急速に拡大した。
・ 但し、今後は原料エタンのアベイラビリティーに限りがあるため、その伸びは以前よりも減速して
いくことが想定される。
・ 現時点で、所謂アラブの春の影響は、石化産業に関してはさほど受けていない。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、中東)
(単位:万トン、%)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
能力
(A)
生産
(B)
2,612
800
742
305
930
125
171
2,491
962
779
10
28
841
390
244
556
378
118
2,271
657
638
267
837
78
171
2,147
681
593
9
28
649
272
207
244
249
67
輸入
(C)
0
0
0
0
0
130
0
65
0
0
23
0
25
0
0
0
0
79
輸出
(D)
124
405
393
218
767
0
0
1,375
32
251
0
0
259
15
42
4
187
0
内需
E=B+C-D
2,147
252
245
49
70
208
171
837
649
342
32
28
415
257
165
240
62
146
74
輸入
比率
(C/E)
0%
0%
0%
0%
0%
63%
0%
8%
0%
0%
72%
0%
6%
0%
0%
0%
0%
54%
輸出
比率
(D/B)
5%
62%
62%
82%
92%
0%
0%
64%
5%
42%
0%
0%
40%
6%
20%
2%
75%
0%
バランス
(B-E)
124
405
393
218
767
▲ 130
0
1,310
32
251
▲ 23
0
233
15
42
4
187
▲ 79
稼働率
(B/A)
87%
82%
86%
88%
90%
62%
100%
86%
71%
76%
90%
100%
77%
70%
85%
44%
66%
57%
主要メーカー
PETROKEMYA
KEMYA
KEMYA
SADAF
SHARQ
PETROKEMYA
I-HAYYAN
-
SAREF
SASREF
Oman
Aramco
I-RUSHD
(2)石化産業の最近の動き
・ コスト競争力のある天然ガスをベースに、サウジアラビアを中心として大型プラントが完成、増設
されることによって、中東の石化製品の輸出は拡大していくことが予想される。
・ また、中東でのエチレン誘導品は従来ポリエチレン、MEG が中心であったが、今後はプロパン脱
水素法による プロピレン、PP の生産、更にエチレン系ではアルファーオレフィンや VAM、プロピ
レン系では PO、AN などの付加価値のある誘導品の生産が開始され、中東での石化製品の裾
野の広がりが見込まれる。
・ サウジアラビアでの石化事業は SABIC が中心となって推進されてきたが、近年のエチレン計画
では同国の民間資本が推進するプロジェクト(Kayan、Tasnee/Sahara 計画など)が実行され、
同国での石油化学産業の民営化の動きも最近の特徴である。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、中東)
(単位:万トン、%)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
能力
(A)
生産
(B)
3,030
1,014
956
305
934
129
252
3,009
1,098
915
30
106
1,081
488
269
825
1,015
263
2,861
962
832
304
859
117
252
2,774
1,009
828
28
106
989
388
231
509
797
204
輸入
(C)
0
0
0
0
0
144
0
72
0
0
9
0
10
0
0
0
0
117
輸出
(D)
80
597
471
221
735
0
0
1,624
21
328
0
0
338
21
61
0
624
0
内需
E=B+C-D
2,781
365
361
83
124
261
252
1,222
988
500
37
106
661
367
170
509
173
321
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E) (D/B)
80
0%
3%
94% PETROKEMYA
597
0%
62%
95% KEMYA
471
0%
57%
87% KEMYA
221
0%
73%
100% SADAF
735
0%
86%
92% SHARQ
55%
0% ▲ 144
91%
0
0%
0%
100%
1,552
6%
59%
92%
21
0%
2%
92% PETROKEMYA
328
0%
40%
90% I-HAYYAN
▲ 9
24%
0%
93%
0
0%
0%
100%
328
1%
34%
92%
21
0%
5%
80% SAREF
61
0%
26%
86% SASREF
0
0%
0%
62% Oman
624
0%
78%
79% Aramco
36%
0% ▲ 117
78% I-RUSHD
(前提となる GDP 伸び率 4.5%)
(2)主な新増設計画と検討状況
・ 中東での 2011 年末より 2017 年迄のエチレン計画としては、
・ サウジアラビア: ChevronPhillps(2012 年 1Q,120 万トン)、Sadara(2016 年、120 万トン)
・ カタール: QAPCO(2013 年 18 万トン)、Shell/Qatar Petroleum( 2017 年? 120 万トン)
・ UAE : BOROUGE-3(2014 年 150 万トン)
といった新増設が計画されている。
75
Shell/Qatar Petroleum については、誘導品計画、能力等が未発表のため、今回の需給総括
表には組み入れてはいない。
・ 一方イランでは、2015 年前後頃までに#8, #11, #12, #13 合計約 470 万トンのエチレン計画が
検討されているが、国際的な経済制裁の影響などによりその実現時期が大幅にずれ込む可能
性が高いため、今回その供給増は計算に組み入れていない。
・ 更に、サウジアラビアではプロピレン系誘導品の輸出も急増している。今後は従来の主な誘導品
である PP に加え SABIC を中心に AN、アクリル酸等の誘導品が生産され、中東での石化産業
の裾野が拡大する見込みである。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
・ 中東域内の人口増、需要増も見込まれるが、競争力ある原料を基盤とし複数の新規石化プラン
トが完成して、誘導品を含めた石化製品の輸出が需要の拡大するアジア向けを中心に年々増加
し、世界最大の石化輸出基地として位置付けられることに変わりはない。
但し、中東でのエタンのアベイラビリティーには限りがあり、今後 2017 年迄に立ち上がる新増設
による供給増の勢いは、2000 年台後半よりも低下する見込みである。
注)中東各国では石化製品の生産量などは統計として発表されておらず、上記生産量、需要
量、輸出入量などは推定。
76
国・地域名: アフリカ
1.概況
・ アルジェリア、エジプト、リビア、南アフリカ等でエタン、プロパン、ナフサ、石炭等、自国内のフィー
ドストックをベースに石化産業の展開を行っているが、石化製品の供給量は少なく、また需要面
もアフリカ全体で世界の 2%程度と規模は未だ小さい。
・ 但し、今後急激なアフリカの人口増及び経済成長に伴い、肥料(尿素)、プラスチック、合成繊維
分野等での需要は GDP の成長率を上回り拡大すると予想され、潤沢な資源を背景として徐々
に石化産業の裾野が広がる見込みである。
・ 南アフリカの SASOL はマレーシア、イラン、西欧へ積極的な海外展開を行っている。
・ 2010 年 12 月チュニジアに端を発した所謂アラブの春の動乱は、その後エジプト、リビア、アルジ
ェリアの石油及び石化産業の稼働、新増設計画へ影響を及ぼしており、加えて 2013 年 1 月仏
軍によるマリ軍事介入に起因したアルジェリア事件の影響も懸念される。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、アフリカ)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
生産
(B)
183
75
62
0
0
43
2
161
176
138
0
15
157
21
3
30
0
0
114
50
44
0
0
36
2
115
105
88
0
15
106
13
0
12
0
0
輸入
(C)
1
115
76
4
10
57
0
228
1
50
3
0
41
0
3
0
0
10
輸出
(D)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
内需
E=B+C-D
115
165
120
4
10
93
2
343
106
138
3
15
147
9
3
12
0
10
輸入
比率
(C/E)
1%
70%
63%
100%
100%
61%
0%
67%
1%
36%
100%
0%
28%
0%
100%
0%
100%
輸出
比率
(D/B)
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
31%
0%
0%
0%
0%
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
主要メーカー
▲1
▲ 115
▲ 76
▲4
▲ 10
▲ 57
0
▲ 228
▲1
▲ 50
▲3
0
▲ 41
4
▲3
0
0
▲ 10
62%
67%
71%
84%
100%
71%
60%
64%
100%
67%
62%
0%
40%
-
SASOL,RASCO
POLIFIN
POLIFIN
POLIFIN
SASOL,RASCO
DOW
-
SONTRACH
EXXON
-
(2)石化産業の最近の動き
・豊富な天然ガスをベースとした大型エチレン、プロピレンの新増設が検討されているが
実現時期は不透明な状況。
・エジプトで PS 20 万トン新設、2013 年稼働予定。原料の SM は当初輸入し、将来的には
内製する計画。
77
・ナイジェリアを始めとした産ガス国では、食糧供給増産を目指した肥料(尿素)プラン
ト増設/新設、更にメタノール生産計画が複数あるが、その一部のみが実現されるかと推
測される。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、アフリカ)
(単位:万トン、%)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
能力
(A)
生産
(B)
輸入
(C)
輸出
(D)
183
75
62
0
0
83
17
199
187
149
0
15
168
41
3
30
22
0
176
74
56
0
0
47
17
168
168
141
0
15
160
18
0
12
20
0
0
164
129
21
22
74
0
355
0
59
5
0
65
5
3
0
0
11
5
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
20
0
内需
E=B+C-D
171
238
185
21
22
121
17
523
157
200
5
15
225
23
3
12
0
11
輸入
輸出
バランス 稼働率
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E) (D/B)
5
0%
3%
96%
69%
0% ▲ 164
99%
70%
0% ▲ 129
90%
▲ 21
100%
0%
▲ 22
100%
0%
▲ 74
61%
0%
57%
0
0%
0%
100%
68%
0% ▲ 355
84%
11
0%
7%
90%
▲ 59
30%
0%
95%
▲ 5
100%
0%
0
0%
0%
100%
▲ 65
29%
0%
95%
▲ 5
22%
0%
44%
▲ 3
100%
0%
0%
0
0%
0%
40%
20
100%
91%
▲ 11
100%
0%
(前提となる GDP 伸び率
主要メーカー
SASOL,RASCO
POLIFIN
POLIFIN
POLIFIN
SASOL,RASCO
DOW
-
SONTRACH
EXXON
Sonatrach
%)
(2)主な新増設計画と検討状況
・将来的には天然ガスの埋蔵量が豊富なエジプトで石化計画が実現される可能性がある。
・サブサハラ新興産ガス国では、自国発電用燃料供給が最優先されるが、今後益々食糧供
給拡大を目指した肥料(尿素)生産の新設の計画が出てくることが予想される。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
・大型新規エチレンプラントの具体的な建設計画はなく、全般的にエチレン・プロピレン
系誘導品の輸入量が拡大するが、その規模は小さく、世界の需給バランスに与える影響
は限定的と見込まれる。
注)アフリカ各国では石化製品の生産量などは統計として発表されておらず、上記生産量、需
要量、輸出入量などは推定。
78
国・地域名: CIS
1.概況
ロシアの連邦統計庁の発表によると、2012 年のロシアの工業生産は、2011 年比 2.6%と、世
界経済危機の影響を受けた 2008、09 年を除くと、過去 10 年で最も低い伸び率となった。2012
年のロシアの GDP 成長率は 3.5%となる見通し。また、2012 年のインフレ率は 6.6%であり、過
去 20 年間で最低水準となった。
なお、ロシアは、2012 年 8 月に 156 番目の WTO 加盟国となった(1993 年 6 月にロシア政府
が GATT 加盟申請から 19 年越しの WTO 正式加盟)。貿易自由化の面では、輸入関税の譲許
(上限の設定)やサービス規制の緩和だけでなく、WTO では規制のない輸出税の上限を 700 以
上の品目に設定するなど、ロシアの加盟約束は現行の WTO ルール以上の約束内容も含んでい
る。今後、大幅な関税削減や投資の自由化が進展する見込みで、日本企業の進出先のひとつと
して、ロシアも重要性は増してくると考えられる。
経済発展省は、2012 年 12 月時点で、2013 年の実質 GDP 成長率を 3.6%と予測している。
世界経済の動向、ユーロ危機の状況の変化次第では大きな打撃を受ける可能性があり、その
場合、資源輸出を始めとする外需の落ち込みのほか、消費を中心とした内需にも悪影響が及ぶ
ことが懸念される。
一方で、2013 年 6 月にカザンで開催されるユニバーシアード、2014 年 2 月のソチ・オリンピッ
ク、2018 年のサッカーワールドカップと大型国際スポーツイベントが続く。これらの会場整備や
自動車道の建設投資を始め、国内投資は引き続き堅調に推移するものと見られる。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、CIS)
能力 生産 輸入 輸出
内需
(A)
(B)
(C)
(D) E=B+C-D
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
434
98
139
76
51
93
0
343
231
86
24
0
114
165
35
87
48
24
299
83
82
49
19
66
0
227
188
86
23
0
113
112
22
70
39
24
0
11
64
0
6
71
0
117
0
20
0
0
21
4
0
0
0
10
1
16
14
10
1
1
0
35
13
6
15
0
22
0
0
15
9
0
298
78
132
39
24
136
0
309
175
100
8
0
111
116
22
55
30
34
(単位:万トン、%)
輸入
比率
(C/E)
0%
14%
49%
0%
25%
52%
38%
0%
20%
0%
18%
3%
0%
0%
0%
29%
79
輸出
比率
(D/B)
0%
19%
17%
20%
7%
2%
15%
7%
7%
66%
20%
0%
0%
21%
23%
0%
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
1
5
▲ 50
10
▲5
▲ 70
0
▲ 82
13
▲ 14
15
0
2
▲4
0
15
9
▲ 10
69%
84%
59%
64%
37%
71%
66%
81%
100%
96%
99%
68%
63%
80%
81%
100%
主要メーカー
Nizhnekamskneftekhim, KDS
KOS, Tomsk
KOS, Stavrolen
Nizhnekamskneftekhim
Sibur-Neftekhim
Sayanskhimplast
Nizhnekamskneftekhim
Nizhnekamskneftekhim, Tomsk
Saratovorgsintez
Nizhnekamskneftekhim, Salavat
Yaroslav
Omsky, Ufaneftekhim
Omsky, Ufaneftekhim
Polyef
(2)石化産業の最近の動き
リーマンショック以 後 、ロシア化 学 産 業 は回 復 基 調 が続 き、2010 年 は 14.6%、2011 年 は
6.6%の生産拡大が続き、リーマンショック以前の生産規模に復活した。一方、ロシア石化産業の
操業率は、同国の労働環境を鑑みると既にフル生産レベルとなっており、これ以上の生産拡大
は難しい状況にある。
先進国と比べ 1/3 程度と言われている化学品使用率の向上も含めた内需拡大が想定される
中、ロシアエネルギー省は 2030 年に向けた石化産業の生産能力の大幅拡大を計画、ロシア内
6 つのクラスターにおいて、エチレン換算で現行 240 万トン/年を 2030 年には 1,420 百万トン/
年まで拡大する計画を発表、投資拡大が期待される。また極東ロシアではアジア市場を見据え
た石化/ガス化計画も進んでおり、石化製品の輸出基地としての可能性も高まっている。
2012 年にはロシアが世界貿易機関(WTO)に加盟したため、今後、段階的に化学製品の輸
入関税率を切り下げる義務が発生する。
WTO との取り決めにより、ロシアは、国内におけるエネルギー資源価格を国際レベルまで段
階的に引き上げなければならず、エネルギー消費量が多いロシア化学産業にとって、原料や製
品のコストが急上昇する可能性もある。一方で、化学メーカーの淘汰・集約化・生産施設の近代
化が促進され、国際競争力が向上するきっかけになると見られている。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、CIS)
(単位:万トン、%)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
能力
(A)
生産
(B)
輸入
(C)
604
131
236
76
121
135
0
544
371
249
24
0
283
191
35
90
57
59
465
118
175
73
61
134
0
426
315
200
23
0
231
140
22
88
55
41
0
3
84
0
3
59
0
122
0
3
0
0
3
0
0
0
0
4
輸出
内需
(D) E=B+C-D
0
28
40
8
37
0
0
95
10
53
10
0
65
0
0
13
13
0
465
93
219
65
28
193
0
452
305
150
13
0
169
140
22
75
42
45
輸入
比率
(C/E)
0%
3%
38%
0%
11%
30%
27%
0%
2%
0%
2%
0%
0%
0%
0%
9%
輸出
比率
(D/B)
0%
24%
23%
11%
60%
0%
22%
3%
27%
43%
28%
0%
0%
15%
24%
0%
バランス
(B-E)
稼働率
(B/A)
0
25
▲ 44
8
34
▲ 59
0
▲ 26
10
50
10
0
62
0
0
13
13
▲ 4
77%
90%
74%
96%
50%
99%
78%
85%
80%
96%
82%
73%
63%
98%
96%
69%
主要メーカー
Nizhnekamskneftekhim, KDS
KOS, Tomsk
KOS, Stavrolen
Nizhnekamskneftekhim
Sibur-Neftekhim
Sayanskhimplast
Nizhnekamskneftekhim
Nizhnekamskneftekhim, Tomsk
Saratovorgsintez
Nizhnekamskneftekhim, Salavat
Yaroslav
Omsky, Ufaneftekhim
Omsky, Ufaneftekhim
Polyef
(前提となる GDP 伸び率 4.0 %)
80
(2)主な新増設計画と検討状況
(千トン)
エチレン
UZBEKNEFTEGAS(Shurtan)
NOVO-URENGOI STATE COMPANY
FEPCO
LDPE
TOMSKY NEFTEKHIMICHSKY ZAVOD
NOVO-URENGOI STATE COMPANY
HDPE
SALAVATNEFTEORGSINTEZ
UZBEKNEFTEGAS(Shurtan)
KAZANORGSINTEZ
FEPCO
PVC
SIBUR-NEFTEKHIM
SAYANSKKHIMPLAST
VCM
SIBUR-NEFTEKHIM
SAYANSKKHIMPLAST
EDC
SIBUR-NEFTEKHIM
SAYANSKKHIMPLAST
EG
FEPCO
プロピレン
TOBOLSKNEFTEKHIM
TURKMENBACHI KOMPLEX
FEPCO
PP
TOMSKY NEFTEKHIMICHSKY ZAVOD
TOBOLSKNEFTEKHIM
POLYOM
TURKMENBACHI KOMPLEX
FEPCO
パラキシレン
OMSK REFINERY
NAFTAN(NOVOPOLOTSK)
PTA
POLIEF(Blagovetchensk)
ベンゼン
OMSK REFINERY
FEPCO
キシレン
81
(稼働時期)
250 ⇒ 375
350
1220
増設
新設
新設
2015
2015
2017
240 ⇒ 270
300
増設
新設
2016
2015
120 ⇒ 225
125 ⇒ 225
330 ⇒ 510
750
新設
増設
増設
新設
2016
2015
2014
2017
30 ⇒ 330
280 ⇒ 400
既存+新設
増設
2014
2016
36 ⇒ 386
295 ⇒ 420
既存+新設
増設
2014
2016
60 ⇒ 643
492 ⇒ 600
既存+新設
増設
2014
2016
700
新設
2017
510
105 ⇒ 245
755
新設
既存+新設
新設
2013
2015
2017
130 ⇒ 140
500
180
100 ⇒ 230
810
既存+新設
新設
新設
既存+新設
新設
2016
2013
2013
2015
2017
180 ⇒ 240
70 ⇒ 100
増設
増設
2014
2013
240 ⇒ 590
増設
2017
140 ⇒ 360
42.5
増設
新設
2015
2017
70 ⇒ 100
NAFTAN(NOVOPOLOTSK)
増設
2013
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
ロシア石化産業界では、従来の基礎石化製品から川下製品の製造に緩やかにシフトしてゆく
傾向が見て取れる。
これまで計画段階に留まっていた各種石化製品の増産計画が、ゴム(自動車部品用含む)/
プ ラ ス チ ッ ク 需 要 の 伸 び に 支 え ら れ 、 Sibur 、 Gazprom Neftehim Salavat 、 Lukoil 、
Nizhnekamsk Neftekhim、Rosneft などの各社がオレフィン、ポリオレフィン、PVC などの増産具
体化に向け動き始めている状況。
82
国・地域名: 米
国
1.概況
米国経済は、GDP の7割を占める個人消費が回復傾向であり、家計部門中心に緩やかな
回復が続き、2013 年の実質成長率は 1.9~2.1%と予想される(2012 年+2.2%、2013 年
+2.1%成長 (IMF))。リーマンショック以降回復基調にあるものの 2012 年は欧州債務危機
や中国経済の減速という海外要因(外需の減退)と先の大統領選と財政問題という国内要
因が景気の下振れ要因となった。しかしながら、結果として 2.2%の成長を記録した。
米国経済はシェール革命によるエネルギー部門のダイナミックな変化に伴い、雇用環境
の改善、エネルギー輸入減少に伴う貿易バランスの大幅な改善、競争力改善に伴う製造業
の設備投資の増加等、景気の好循環の要因が各所で見られ、更には全体像として株式市場
の回復や住宅市場の回復を背景に個人消費が上向きに推移すると期待される(アナリスト
によれば既に回復基調から復活との位置付けで、年末までには年率 3.5~4%の GDP の成
長率を見込む見方も出てきている状況)。他方、下振れリスクとして、税制の歳出削減(10
年間で 110 兆円)発動決定が実態経済に与える影響と所謂「財政の崖」
(規模感:6,500 億
ドル(52 兆円超:大幅増税分は 42 兆円、政府歳出の強制削減は 10 兆円)や債務上限問
題(13 年 3 月)への対応を巡る混乱が懸念されている。
2.現状
(1) 需給総括表(2011年、米国)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
2,603
788
722
489
221
759
443
2,634
2,106
808
147
808
1,800
875
736
884
410
398
生産
(B)
2,441
743
671
441
206
683
410
2,479
1,432
603
122
697
1,451
558
563
665
289
271
輸入
(C)
1
37
106
48
104
26
0
221
33
11
0
44
55
30
1
1
25
48
輸出
内需
(D) E=B+C-D
1
137
179
154
55
302
0
573
13
109
62
253
431
0
0
99
137
20
2,441
643
598
335
255
407
410
2,127
1,452
505
61
488
1,075
588
563
567
176
299
輸入
比率
(C/E)
0%
6%
18%
14%
41%
6%
0%
10%
2%
2%
0%
9%
5%
5%
0%
0%
14%
16%
輸出
比率
(D/B)
0%
18%
27%
35%
27%
44%
0%
23%
1%
18%
50%
36%
30%
0%
0%
15%
47%
8%
バランス
(B-E)
▲ 0.1
100
73
106
▲ 49
276
0.0
352
▲ 20
98
62
209
376
▲ 30
▲ 0.3
98
112
▲ 28
稼働率
(B/A)
94%
94%
93%
90%
93%
90%
93%
94%
68%
75%
83%
86%
81%
64%
76%
75%
70%
68%
主要メーカー
ExxonMobil
Dow
Equistar LBI
LyondellBasell
Dow
Oxyvinyl
ExxonMobil
LyondellBasell
Ineos
ExxonMobil
ExxonMobil
ExxonMobil
BP
BP
(2)石化産業の最近の動き
掘削技術の進歩によりシェールガス・オイルの開発が進み、米国のエネルギー事情、
石化原料事情に革命的な変化がダイナミックに生じている。米国の天然ガス指標である
83
Henry Hub が低位安定しており、原油との熱換算ベースの優位性を反映して米国の石化
各社は light feed 化し、大きく収益が回復した。各社が新増設計画を打ち出し、先進国で
はかつてなかった新増設ブームが新たな資源国として生じている。現状で発表されてい
る新増設でエチレン約 1,200 万トン、プロピレン(脱水素)約 470 万トンもの計画が打
ち出されている(シェールガス由来のプロパンが大幅に増産され、供給過剰を背景にプ
ロパン市況が格段に下落し低位安定見込みとなったことから、プロパン脱水素法による
プロピレン生産が計画されている)。今後、これらシェールガス・オイル由来の NGL を
原料とする石化の新増設計画がいかに遂行され、グローバルな石化マーケットにいかな
る影響を及ぼすかが最大の焦点となっている。
一方、新増設分が未だ稼動開始していないこともあるが、2011 年度の米国のエチレン
生産量は、24 百万トンにとどまり、稼働率は若干上昇したものの、前年比大きな伸びは
見られない。また、エチレン誘導品の輸出がエチレン換算で 5.7 百万トンに達しており、
内需の低迷を輸出で補い、24 百万トンの生産を達成した形となっている。2012 年度も
24 百万トンの生産予測だが、実質 GDP 成長率が 2%前後とすれば内需では 50 万トン程
度の伸びしか期待できず、2011 年度同様輸出に頼るという構図が予想される。
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、米国)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
3,346
1,160
1,093
489
221
759
443
3,384
2,301
1,003
147
906
2,100
875
736
884
410
398
生産
(B)
3,079
1,044
984
440
199
683
399
3,106
2,071
903
132
815
1,890
788
662
796
369
359
輸入
(C)
0
40
80
60
155
70
41
293
40
10
0
10
20
200
70
10
20
50
輸出
(D)
内需
E=B+C-D
33
355
404
150
67
295
0
1,037
316
202
62
230
507
312
85
155
187
65
3,046
729
661
350
287
458
440
2,362
1,795
711
70
595
1,403
675
647
651
202
344
輸入
比率
(C/E)
0%
5%
12%
17%
54%
15%
9%
12%
2%
1%
0%
2%
1%
30%
11%
2%
10%
15%
輸出
比率
(D/B)
1%
34%
41%
34%
34%
43%
0%
33%
15%
22%
47%
28%
27%
40%
13%
19%
51%
18%
バランス
(B-E)
33
315
324
90
▲ 88
225
▲ 41
744
276
192
62
220
487
112
15
145
167
15
稼働率
(B/A)
主要メーカー
92% ExxonMobil
90% Dow
90% Equistar LBI
90% LyondellBasell
90% Dow
90% Shintech
90%
92%
90% Shell
90% LyondellBasell
90% BP
90%
90%
90% ExxonMobil
90% ExxonMobil
90% ExxonMobil
90% BP
90% BP
(前提となる GDP 伸び率 2%)
(2)主な新増設計画と検討状況
新増設計画は以下の表の通り:
84
・ 米国でのエチレンプラント新増設計画
企業名
立地
2013
Ineos
Dow Chemical
Chocolate Bayou, Tx.
St. Charles, La.
Gulf Coast
Williams
Geismar, La
Westlake
Lake Chales,
La
Lake
Charles,La
Lyondell
La Porte, Tx.
Formosa Plastics
Point Comfort, Tx.
ExxonMobil
Baytown, Tx.
ChevronPhillips Chem. Ceder Bayou, Tx.
Occidental
Corpus Christi
Shell
Pennsylvania
Sabic
USA
Sasol
Lake Charles, La.
Braskem
USA
2014
2015
2016
2017
(単位:1,000トン)
2018 2019 2020
備考
決定済み
決定済み
115
390
1,500
272
135
決定済み
決定済み
決定済み
290
386
800
1,500
1,500
544
1,500
1,500
1,500
米国合計
912
676
0 4,344 1,500 1,500
0 3,000
・ 米国でのプロピレンプラント新増設計画
企業名
立地
Petrologistics
Dow Chemical
Enterprise
Formosa Plastics
C3 Petrochemicals
(Ascend+?)
米国合計
2013
2014
Houston, Tx.
Freeport, Tx.
Houston, Tx.
Point Comfort, Tx.
Chocolate Bayou, Tx.
2015
2016
2017
(単位:1,000トン)
2018 2019 2020
プロパン脱水素
プロパン脱水素
プロパン脱水素
プロパン脱水素
プロパン脱水素
544
500
750
750
750
450
1,000
0
0 2,500
450
0 1,794
備考
0
0
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
今回の将来見通しでは、上記表の通り、各社増設分の全てと、2017 年までのプラント
新設計画は実現可能性が高いと見込む。エチレンに関しては、2017 年までの新設分とし
てエクソンモービル、ダウ、シェブロンのみを加算した(増設+新設=合計 743 万トン)。
発表されている計画が誘導品を含め未だクリアーに出揃っていないこともあり、全量 PE
の新設として試算した。プロピレンに関しては、2017 年までの PDH 新設計画を合計 195
万トンとし、全量 PP の新設とした。
需要の伸びの予測は実質 GDP 成長率を 2%とした。需要の伸びに比し、供給能力の増
強が大きく計画されており、ポリオレフィンを中心とした誘導品の輸出が今後大幅に増
大することが予測され、グローバルなマーケットに与える影響が大きいと懸念される。
85
国・地域名: カナダ
1.概況
内需主導で潜在成長率並みの成長を持続する見込み。堅調な個人消費(GDP の 6 割)や資
源・エネルギー産業での生産・投資が牽引し、GDP 成長率を 2.3%と予想。低金利を背景に
設備投資・個人消費が底堅く推移するものと予想される。輸出も米国製造業の回復に合わせ
て緩やかに増加に向かうと見られ、輸出全体の 1/3 を占める資源・エネルギー産業の成長が
期待される。輸入もカナダドル高で相対的な購買力が高まり、設備投資と個人消費の増加も
相まって伸びが見込まれる。
2.現状
(1)需給総括表(2011年、カナダ)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
516
254
125
89
147
28
4
519
140
0
0
44
44
103
103
55
34
50
生産
(B)
430
194
115
64
111
22
3
405
86
0
0
34
34
62
54
50
26
40
輸入
(C)
0
25
31
1
1
43
1
100
0
35
0
1
37
4
6
16
2
0
輸出
(D)
8
161
116
54
98
15
1
346
62
0
0
3
3
8
12
25
0
35
内需
E=B+C-D
422
58
30
11
14
50
3
159
24
35
0
32
68
58
48
41
28
5
輸入
比率
(C/E)
0%
43%
102%
9%
7%
86%
33%
63%
0%
100%
3%
54%
7%
13%
39%
7%
0%
輸出
バランス 稼働率 主要メーカー
比率
(B-E)
(B/A)
(D/B)
2%
8
83% Nova, Dow
83%
136
76% Nova, Dow
101%
85
92% Nova, Dow
84%
53
72% Shell, Ineos
88%
97
76% MEGlobal
68%
▲ 28
79% Oxyvinyl
33%
0
75%
85%
246
78%
72%
62
62% Nova, Dow
▲ 35
0
9%
2
77%
9%
▲ 34
77%
13%
4
60% Shell
22%
6
52% Petro Canada
50%
9
91% Suncor
0%
▲2
76% PC Coastal
88%
35
80% Cepsa Quimica
(2)石化産業の最近の動き
米国のシェールガス・オイルの開発が益々進展する中、カナダでは大きな変化は見ら
れないものの、既存の在来ガス由来の増設や、同国でもシェール開発の動きが出てきて
いる。現状では Nova, Sarina における在来ガスを原料とする増設 50 万トン(2015 年)、
Nova, Alberta での 100 万トン計画(2020 年)等がある。
86
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、カナダ)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
566
279
150
89
147
28
4
569
185
45
0
44
91
103
103
55
34
50
生産
(B)
510
251
135
80
132
25
4
500
141
41
0
40
82
93
93
50
31
45
輸入
(C)
輸出
(D)
0
30
40
1
1
50
1
108
0
0
0
4
4
4
5
19
3
0
0
170
125
64
111
20
2
397
63
2
0
2
4
13
19
26
0
38
内需
E=B+C-D
510
111
50
17
22
55
3
211
78
39
0
42
82
84
79
43
34
7
輸入
比率
(C/E)
0%
27%
80%
6%
5%
91%
33%
51%
0%
0%
10%
5%
5%
6%
45%
9%
0%
輸出
比率
(D/B)
0%
68%
93%
80%
84%
80%
50%
79%
45%
5%
5%
5%
14%
20%
53%
0%
84%
バランス
(B-E)
0
140
85
63
110
▲ 30
1
289
63
2
0
▲2
0
9
14
7
▲3
38
稼働率
(B/A)
主要メーカー
90% Nova, Dow
90% Nova, Dow
90% Nova, Dow
90% Shell, Ineos
90% MEGlobal
89% Oxyvinyl
100%
88%
76% Nova, Dow
91%
91%
90%
90% Shell
90% Petro Canada
90% Suncor
90% PC Coastal
90% Cepsa Quimica
(前提となる GDP 伸び率 2%)
(2)主な新増設計画と検討状況
カナダにおいても従来からの在来型オイル・ガスの有効利用による新増設や米国同様
にシェールガスやタイトオイル由来の NGL を利用した新増設の議論がなされているが、
現状で発表されているのは、Nova, Alberta エチレン 100 万トン、Nova, Sarina 50 万トン
と、Williams によるプロピレン脱水素計画 45 万トンのみである。現状では全量 PE 及び
PP の新設と仮定し試算した。
需要の伸びは実質 GDP 成長率 2%見合いとした。
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
従来から基本的なオイル・ガス、オレフィン類の余剰は米国市場への供給が中心であ
るものの、米国のシェールガス・オイル由来の増産から、これら米国への輸出が減少し
てきており、今後は米国以外のアジアを含めた輸出先の確保が肝要となろう。
87
国・地域名: メキシコ
1.概況
2011 年に 3.9%の成長を記録したメキシコ経済の 2012 年の実質 GDP 成長率は 3.8~
3.9%になる見込み。特に、自動車製造業が成長を牽引し、昨年の自動車生産台数は過去最
高を記録した。一方、依然高水準の失業率を背景に消費意欲の回復は限定的となっている。
以下、2012 年産業別のトピックスとして下記が特筆される。
(1) 石油・エネルギー関連
①炭化水素資源開発の民間開放
メキシコの原油埋蔵量及び生産量は減小傾向にあり、上流への投資促進が必要。ペニ
ャ・ニエト大統領は製油事業、石油化学事業、燃料輸送の民間開放を提唱。
②電力事業の民活化
IPP への民間参入。電力需要は 2026 年まで年率 4.0%で成長すると予想されている。
③再生可能エネルギーへの取組
2026 年までに総電力量に占める再生可能エネルギーの割合を 35%に増加させる目標
を掲げている。
(2) 製造業関連
①自動車産業
・自動車生産台数は前年比 12.8%増の 2,885 千台で過去最高を記録。
・輸出も 2,356 千台で過去最高を記録。中南米向け駆け込み需要あり。
・自動車産業への直接投資、及び自動車部品製造投資は依然増加。
②電気・電子産業
・パソコン関連以外のテレビ、携帯電話、冷蔵庫が苦戦。
・米国市場向け中国製テレビがシェアを拡大、競争激化による販売価格低下。
③航空機産業
・メキシコの成長戦略産業の一つとして位置付けられている。
・北部国境、中央高原への進出活発。
また、2013 年のマクロ経済の見通しとしては、実質 GDP 成長率を 3.3~3.5%程度と予
想。個人消費はやや減速する見込みであるが、堅調な製造業、輸出が牽引し、安定的な成
長を見込んでいる。また、新政権によるエネルギー、財政分野での構造改革の推進が今後
の更なる成長のカギになると見られる。
88
2.現状
(1)需給総括表(2011年、メキシコ)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
138
62
20
15
41
62
35
178
78
69
6
32
110
20
37
38
24
161
生産
(B)
輸入
(C)
110
47
19
13
18
49
32
130
62
56
5
27
90
16
36
35
0
126
1
5
5
52
18
14
0
52
8
57
9
0
69
0
6
80
90
0
輸出
(D)
内需
E=B+C-D
2
6
6
5
2
20
0
25
0
7
5
0
13
10
1
0
0
30
109
46
18
60
34
43
32
157
70
106
9
27
146
6
41
115
90
96
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E)
(D/B)
1%
2%
80% Pemex
1
11%
13%
76% Pemex
1
28%
32%
95% Pemex
1
87%
38% ▲ 47
87% Pemex
53%
11% ▲ 16
44% Moreles
33%
41%
79% Pemex
6
0%
0%
91%
0
33%
19% ▲ 27
73%
11%
0%
79% Pemex
▲ 8
54%
13% ▲ 50
81% Indelpro
100%
100%
83% Pemex
▲ 4
0%
0%
84%
0
47%
14% ▲ 56
82%
0%
63%
80% Pemex
10
15%
3%
97% Pemex
▲ 5
70%
0% ▲ 80
92% Pemex
100% #DIV/0! ▲ 90
0% Pemex
0%
24%
78% Petromex
30
(2)石化産業の最近の動き
①メキシコの石化産業は国営の Pemex を抜きに語れないが、近年石化分野への大きな
投資は行っていない。現状では石化品は全てにわたり不足ポジションあり、輸入に頼
らざるを得ない状態となっている。
②メキシコは在来型原料が豊富に存在するが、シェールガスの埋蔵量も多く、昨今開発
を検討している。
③新規エチレンコンプレックスとして 2015 年稼動目標で、Braskem/Idesa による在来
ガスを利用した計画が打ち出されている(原料供給は Pemex の保証)。
④2013 年 1 月 16 日付で、Pemex と Mexichem(メキシコ化学品最大手)が石化分野で
合弁事業を行うと発表した。新規事業内容は VCM/PVC 関連プロジェクトの模様であ
る。
⑤また、Pemex と Petrobras が業務提携を検討中と報じられている。実現すれば世界最
大級の石油事業会社の誕生となる見込みである。
89
3.将来見通し
(1)需給総括表(2017年、メキシコ)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
243
92
95
15
41
62
39
289
78
69
6
35
113
40
37
38
49
161
生産
(B)
輸入
(C)
219
83
86
14
37
55
35
251
71
62
5
32
101
36
33
34
44
145
7
40
10
53
0
0
0
107
9
62
4
1
69
6
0
101
90
0
輸出
(D)
0
65
73
0
0
0
0
171
0
0
0
1
1
21
15
0
0
30
内需
E=B+C-D
226
58
23
67
37
55
35
187
80
121
11
32
169
21
18
135
134
115
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E)
(D/B)
3%
0%
90% Pemex
▲ 7
69%
78%
90% Pemex
25
43%
85%
91% Pemex
63
79%
0% ▲ 53
93% Pemex
0%
0%
90% Moreles
0
0%
0%
89% Pemex
0
0%
0%
90%
0
57%
68%
87%
64
11%
0%
91% Pemex
▲ 9
51%
0% ▲ 59
90% Indelpro
36%
0%
83% Pemex
▲ 6
3%
3%
91%
0
41%
1% ▲ 68
89%
29%
58%
90% Pemex
15
0%
45%
89% Pemex
15
75%
0% ▲ 101
89% Pemex
67%
0% ▲ 90
90% Pemex
0%
21%
90% Pemex
30
(前提となる GDP 伸び率
4%)
(2)主な新増設計画と検討状況
①Braskem 65%/Idesa 35%の合弁による新規エチレンコンプレックスが計画されてい
る。原料は在来ガスを Pemex が供給保証。2015 年稼動開始予定。
立地:Coatzacoalcos
エチレン
105 万トン
LDPE
30 万トン
HDPE
75 万トン
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
石油化学品は全般的に不足バランスで米国・ブラジルを中心に輸入に頼らざるを得な
い状況である。プロピレン・ブタジエンも不足バランスとなっている。
90
国・地域名: ブラジル
1.概況
経済概況としては、個人消費主導で緩やかに回復している。民間金融機関の予測をとり
まとめた中銀「フォーカス」の 2013 年 GDP 成長率見通しは 4.0%となっている。農牧畜
業、製造業、サービス業のいずれも 4%台を回復する見通しである。金融緩和背景に消費
が堅調に推移しているが、交易条件(輸出物価/輸入物価)悪化が輸出・設備投資に逆風と
なっている。一方で、「ブラジルコスト」(複雑な税制、インフラの未整備、労働者優遇型
の労働環境)の改善といった構造改革が必要とされているとともに、ワールドカップ(’14)、
オリンピック(’16)を控えインフラ整備が肝要である。
2.現状
(2) 需給総括表(2011年、ブラジル)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
403
191
129
53
31
80
10
406
311
197
9
44
256
98
61
75
20
64
生産
(B)
輸入
(C)
330
143
110
43
21
65
9
325
223
154
8
40
207
75
55
65
16
53
0
23
23
20
6
37
1
79
0
16
0
3
19
0
0
0
1
56
輸出
(D)
1
48
45
0
1
0
1
102
19
29
5
3
38
10
0
0
16
0
内需
E=B+C-D
329
118
88
63
26
102
9
302
204
141
3
40
188
65
55
65
1
109
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E)
(D/B)
0%
0%
82% Braskem
1
19%
34%
75% Braskem
25
26%
41%
85% Ipiranga
22
32%
0% ▲ 20
81% EPD, Ionava
23%
5%
68% Oxiteno
▲ 5
36%
0% ▲ 37
81% Braskem
11%
11%
90%
0
26%
31%
80%
23
0%
9%
72% Braskem
19
11%
19%
78% Braskem
13
0%
63%
89% Acrinor
5
8%
8%
91%
0
10%
18%
81%
19
0%
13%
77% Braskem
10
0%
0%
90% Braskem
0
0%
0%
87% Braskem
0
100%
100%
80% Braskem
15
51%
0% ▲ 56
83% PQ Suape
(2)石化産業の最近の動き
①Petrobras は石化分野への進出も検討しているが、より大きなオイル・ガスの開発投資
に経営資源の投入を図らざるを得ず、石化への投資はもっぱら、出資会社の Braskem
が担うこととなる。リオデジャネイロ沖の深海油田(Pre Salt=プレサル)開発と開発後の
オイル・ガスを利用した Comperj Complex Project の計画があるが、遅々として進んで
いない。現状で 2016 年の稼動開始予定。
91
②一方、Braskem はブラジル国内のみならず、グローバル企業として活動拠点を拡大。
国内では乱立していた石化メーカーを吸収合併。北米では Sunoco を買収し、米州(北・
中南米)では ExxonMobil を抜いて最大のポリオレフィン製造能力を有する会社となっ
た(551 万トン(PE 304 万トン、PP 107 万トン、PVC 51 万トン)、EM:531 万トン、
Dow:483 万トン)。
③その他、ブラジルではエタノールからのバイオポリオレフィンが日本企業との提携で
計画されていることが特筆される。
3.将来見通し
(1) 需給総括表(2017年、ブラジル)
(単位:万トン、%)
能力
(A)
C2
LD
HD
SM
EG
PVC
その他
計AS C2
プロピ
PP
AN
その他
計AS C3
ベンゼン
トルエン
キシレン
PX
PTA
529
256
164
103
111
120
11
595
380
242
9
57
315
158
61
75
90
134
生産
(B)
476
230
148
93
100
108
10
528
342
217
8
51
284
142
55
67
81
121
輸入
(C)
0
10
10
10
8
25
0
9
0
20
0
0
21
0
30
15
0
72
輸出
(D)
内需
E=B+C-D
30
54
45
10
67
0
0
107
65
59
4
1
66
37
0
0
78
55
446
186
113
93
41
133
10
430
277
178
4
51
239
105
85
82
3
138
輸入
輸出
バランス 稼働率
主要メーカー
比率
比率
(B-E)
(B/A)
(C/E)
(D/B)
0%
6%
90% Braskem
30
5%
23%
90% Braskem
44
9%
30%
90% Ipiranga
35
11%
11%
90% EPD, Ionava
0
20%
67%
90% Oxiteno
59
19%
0% ▲ 25
90% Braskem
0%
0%
91%
0
2%
20%
89%
98
0%
19%
90% Braskem
65
11%
27%
90% Braskem
39
0%
50%
89% Acrinor
4
0%
2%
89%
0
9%
23%
90%
45
0%
26%
90% Braskem
37
35%
0% ▲ 30
90% Braskem
18%
0% ▲ 15
89% Braskem
0%
96%
90% Braskem
78
52%
45% ▲ 17
90% PQ Suape
(前提となる GDP 伸び率
4%)
(2)主な新増設計画と検討状況
① Comperj Complex 計画 (Rio de Janeiro)(2016 年)
エチレン 120 万トン、プロピレン 45 万トン、HD/LD 80 万トン、EG 80 万トン、
SM 50 万トン、ベンゼン 60 万トン、PX 70 万トン
② BASF Acrylic Acid/SAP Project
(Camacari)(2015 年)
Petrobras プロピレン 15 万トン、BASF アクリル酸 16 万トン
③ Petroquimica Suape (Petrobras)(2016 年)
PTA 70 万トン
(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント
ベンゼン、プロピレン、ポリオレフィンの輸出量が増加し、米国中心に輸出される。
ア ジ ア へ の 輸 出 も 従 来 か ら 模 索 し て お り 、 Braskem Singapore / Braskem
92
Europe/Braskem USA を拠点としてグローバルトレードネットワークの構築、M&A をベ
ースとした海外進出の両面を推進している点が注目される。
93
94
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