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スライドNo3
近代都市文明と 失った「自然」 威圧的な建物によって閉ざされた都市空間 その中で出世をきわめたGoodchildは ほんとうに幸せであったのか? Tyburnタイバーンの処刑場には 奇妙な開放感が感じられる 遠くに見える緑の野原にIdleの魂は 帰っていくのか? 堕ちる徒弟が意味するもの 「文明」と「自然」の対立 ↓ 人間そのものの中に存在する ↓ 文明への志向と動物的欲望(自然) 勤勉な徒弟 怠惰な徒弟 堕ちる徒弟が意味するもの 勤勉な徒弟 怠惰な徒弟 人間には常に二面性がある われわれは自分の中にある「自然」 (動物的欲望)の部分を抑制しながら、 文明生活を送っている 犯罪劇の世界 文明社会(都市文明)に潜む悪を描く演劇 男性の場合 TwoLamentableTragedies 女性の場合 ArdenofFaversham AWarningforFairWomen TwoLamentableTragedies • 作者RobertYaringtonについては何もわから ない(ペン・ネームか) • 二つの別々の悲劇が同時進行 イタリアを舞台にした叔父による甥殺し ロンドンを舞台にした市民の殺人事件 ↓ ここでは市民の殺人事件のみを扱う TwoLamentableTragedies • ThomasMerryによるBeech殺害事件は実際 にあった • その事件を再現しているので、非情にリアル • 究極的なリアリズムにより殺人の凶行が描か れる Beechを殴る回数が「15回」など 死体の解体が舞台上で行われる (どう演じたのか?人形を使った?) 犯人の処刑が舞台上で行われる TwoLamentableTragedies 芝居としての特徴 • Merryが抱く殺意は突然で、理由が希薄 • 犯行が場当たり的、計画性に欠ける ↓ きわめて近代的な「理由なき悪意・殺人」 TwoLamentableTragedies 近代的意識のあらわれ • 神による支配から人間のよる支配へ 中世的世界観=神中心 近代的世界観=人間中心 その具体的な現れ方は? TwoLamentableTragedies 近代的意識のあらわれ • 神による支配から人間のよる支配へ 中世的世界観=神中心 近代的世界観=人間中心 • 市民たちが探偵となる (16世紀のシャーロック・ホームズ) TwoLamentableTragedies 近代的意識のあらわれ • 神による支配から人間のよる支配へ • 市民たちが探偵となる (16世紀のシャーロック・ホームズ) • WilliamsとCowleyの会話に見られる「人間の 法による支配」の意識 TwoLamentableTragedies 近代的意識のあらわれ • 神による支配から人間のよる支配へ • 市民たちが探偵となる (16世紀のシャーロック・ホームズ) • WilliamsとCowleyの会話に見られる「人間の法 による支配」の意識 ↓ 文明社会の奥に潜む悪を描き出した特異な芝居 文明から脱落した女たち • AliceinArdenofFaversham • AnneinAWarningforFairWomen Anonymous(作者不詳), ArdenofFaversham • ロンドン近郊、ケント州フェヴァーシャムで実 際に起こった殺人事件(歴史書に記録されて いる) • 地主Ardenの妻Aliceが愛人Mosbyと共謀して 夫を殺害 ArdenofFaversham • ロンドン近郊、ケント州フェヴァーシャムで実 際に起こった殺人事件 • 地主Ardenの妻Aliceが愛人Mosbyと共謀して 夫を殺害 • Aliceは文明に反逆する悪女 ArdenofFaversham 作品としての特徴 不条理性が際立つ • 当時の貧弱な舞台構造を巧みに利用 ArdenofFaversham 作品としての特徴 不条理性が際立つ • 当時の貧弱な舞台構造を巧みに利用 • Arden殺しの試みは何回も繰り返される ArdenofFaversham 作品としての特徴 • 不条理性が際立つ • 当時の貧弱な舞台構造を巧みに利用 • Arden殺しの試みは何回も繰り返される (1)毒の絵の具 失敗→殺し屋BlackWillとShakebagを雇う (兵士くずれのならず者) ArdenofFaversham 作品としての特徴 (1)毒の絵の具 失敗→殺し屋BlackWillとShakebagを雇う (2)ロンドンのセント・ポール寺院 売店のシャッターで頭を打って失敗 ArdenofFaversham 作品としての特徴 (1)毒の絵の具 失敗→殺し屋BlackWillとShakebagを雇う (2)ロンドンのセント・ポール寺院 売店のシャッターで頭を打って失敗 (3)ロンドンのアーデンの宿舎 共犯者のMichaelの「夢」で失敗 ArdenofFaversham 作品としての特徴 (1)毒の絵の具 (2)ロンドンのセント・ポール寺院 (3)ロンドンのアーデンの宿舎 (4)ロンドン郊外Raiham Downでの待ち伏せ 急にたちこめてきた霧に阻まれ失敗 ArdenofFaversham 作品としての特徴 (1)毒の絵の具 (2)ロンドンのセント・ポール寺院 (3)ロンドンのアーデンの宿舎 (4)ロンドン郊外Raiham Downでの待ち伏せ (5)アーデンの自宅で殺害を決行 ArdenofFaversham 作品としての特徴 不条理性が際立つ • 当時の貧弱な舞台構造を巧みに利用 • Arden殺しの試みは何回も繰り返される フラストレーションの芝居 ArdenofFaversham 作品としての特徴 不条理性が際立つ • 当時の貧弱な舞台構造を巧みに利用 • Arden殺しの試みは何回も繰り返される フラストレーションの芝居 • 「神」ではない何者かが支配する世界 ArdenofFaversham 作品としての特徴 不条理性が際立つ • 当時の貧弱な舞台構造を巧みに利用 • Arden殺しの試みは何回も繰り返される フラストレーションの芝居 • 「神」ではない何者かが支配する世界 「霧」や「雪」が人間の業(わざ)に介入 ArdenofFaversham 作品としての特徴 不条理性が際立つ • 当時の貧弱な舞台構造を巧みに利用 • Arden殺しの試みは何回も繰り返される フラストレーションの芝居 • 「神」ではない何者かが支配する世界 「霧」や「雪」が人間の業(わざ)に介入 「霧」はArden殺しを邪魔する 「雪」は犯人たちを暴く ArdenofFaversham 作品としての特徴 不条理性が際立つ • 当時の貧弱な舞台構造を巧みに利用 • Arden殺しの試みは何回も繰り返される フラストレーションの芝居 • 「神」ではない何者かが支配する世界 「霧」や「雪」が人間の業(わざ)に介入 「霧」はArden殺しを邪魔する 「雪」は犯人たちを暴く しかし、Ardenは結局殺されてしまう ArdenofFaversham 「神」ではない何者か n正義でも悪でもない n人間に対して無関心 ArdenofFaversham 「神」ではない何者か n正義でも悪でもない n人間に対して無関心 n恣意的に「いたずら」を仕掛けてくる(犯人の 足跡を残す雪など) ArdenofFaversham 「神」ではない何者か n正義でも悪でもない n人間に対して無関心 n恣意的に「いたずら」を仕掛ける → 近代的な不条理theAbsurdの世界 ArdenofFaversham 「神」ではない何者か n正義でも悪でもない n人間に対して無関心 n恣意的に「いたずら」を仕掛ける → 近代的な不条理theAbsurdの世界 ArdenofFavershamはきわめてモダンな芝居 AWarningforFairWomen 現実に起きた殺人事件を題材 ロンドンの商人GeorgeSandersが妻とその愛人 Brown等によって殺害された事件 AWarningforFairWomen 芝居としての特徴 心理描写が希薄 →とくにヒロインのAnneが夫殺しに至る過程が十分に描かれて いない AWarningforFairWomen 芝居としての特徴 心理描写が希薄 →とくにヒロインのAnneが夫殺しに至る過程が十分に描かれて いない 一方では興味深いリアリズムが見られる AWarningforFairWomen 芝居としての特徴 心理描写が希薄 →とくにヒロインのAnneが夫殺しに至る過程が十分に描かれて いない 一方では興味深いリアリズムが見られる 芝居としては古めかしいが、市民生活の実態を描いたものとし て興味深い ArdenofFaversham AWarningforFairWomen 夫殺しの妻たち →文明の秩序に叛逆する女性 ArdenofFaversham AWarningforFairWomen 夫殺しの妻たち →文明の秩序に叛逆する女性 正反対のタイプもある →「辛抱強いグリゼルダ」 ThomasDekker,HenryChettle,WilliamHaughton, ThePleasantComedyofPatientandMeekGrissil イタリアのBoccaccio作、Decameron(1353)の最 後にあるGriselda物語のドラマ化 ThomasDekker,HenryChettle,WilliamHaughton, ThePleasantComedyofPatientandMeekGrissil 「結婚」をめぐる3つの女性のタイプ (1)忍従のグリシル(グリゼルダ) (2)反抗的な妻グウェンシアン (3)独身主義のジュリア (2)と(3)はBoccaccioにはない イギリス・ルネサンス期の新しい女性のタイプ Anonymous,TheFairMaidofBristow 市民ロマンス劇と犯罪劇、両方の要素がある 市民ロマンス劇→Annabelを中心とするプロット 最終的に国王が全てを解決する点ロマンス劇的 犯罪劇→殺人事件 実際には起こらなかった Anonymous,TheFairMaidofBristow ブリストルの美少女Annabelの物語 アナベルはグリゼルダ型ヒロイン →夫の理不尽な仕打ちにひたすら耐える しかし、受動的なだけではない Anonymous,TheFairMaidofBristow ブリストルの美少女Annabelの物語 アナベルはグリゼルダ型ヒロイン →夫の理不尽な仕打ちにひたすら耐える しかし、受動的なだけではない →男装して夫を助けようと試みる Anonymous,TheFairMaidofBristow ブリストルの美少女Annabelの物語 アナベルはグリゼルダ型ヒロイン →夫の理不尽な仕打ちにひたすら耐える しかし、受動的なだけではない →男装して夫を助けようと試みる 新しいタイプの女性像 Elizabeth Shore [née Lambert], (d. 1526/7?), 生年不明 父親はロンドンの呉服商John Lambert (d. 1487), 母親は Amy (d. 1488), ロンドンの雑貨商の娘 ロンドンの商人William Shore (d. 1494), と結婚 1476年 夫の性的不能を理由に結婚は無効とされる 国王Edward IVの愛人となる 1483年 国王の死後、Richard IIIによって、公開懺悔public penanceを強いられる その後も生きながらえた Thomas Heywood, The First and Second Parts of King Edward IV (1599) Janeという名前がHeywoodによって付けられ、一般的となる Jane Shoreには2面性がある Thomas Heywood, The First and Second Parts of King Edward IV (1599) Janeという名前がHeywoodによって付けられ、一般的となる Jane Shoreには2面性がある →市民の英傑(出世物語のヒロインとして) 市民の妻であった女が国王の寵姫となる Thomas Heywood, The First and Second Parts of King Edward IV (1599) Janeという名前がHeywoodによって付けられ、一般的となる Jane Shoreには2面性がある →市民の英傑(出世物語のヒロインとして) 市民の妻であった女が国王の寵姫となる →不倫の罪を犯し、転落する悲劇のヒロイン Jane Shoreはロンドンの商家の妻がビジネスの最前 線で活躍していたことを示す