Comments
Description
Transcript
東員町の住まい
東員町の住まい JUN WATANABE & ASSOCIATES 2012.08.25 デッキテラスと続く芝生にわでは、バーベキューパーティなど楽しさに溢れた住まい方をエンジョイできます 最初に現れ出たときの建物の表情は特に重要です。飽きが来ない穏やかさがある一方、カッコいいと全員が言ってくれそうな爽やかさを求めました スロープとした玄関前アプローチを経て期待感を持ってゆったりと近付きます JUN WATANABE & ASSOCIATES 40-17-104 Oyamacho Shibuyaku Tokyo JAPAN 151-0065 URL http://www.jwa-tec.com JWA 01 司令塔的に見渡す位置にあるキッチンからデッキテラスを望みます 20帖であることを感じさせない広々とした印象付けを工夫したリビングダイニングキッチンです JUN WATANABE & ASSOCIATES 40-17-104 Oyamacho Shibuyaku Tokyo JAPAN 151-0065 URL http://www.jwa-tec.com JWA 02 設計趣旨 ― 大き な 屋根 、広 々 とし たデ ッ キテ ラス ― ゆったりとした東員町の田園風景のなか、建築が御家族それぞ れがかけがえのない歴史を確実に１ページ１ページ育んでいく ことのできる背景役をさせていただくことができればと念じ、 この応募案を練りました。 敷地を訪れた際、平和な中にパワースポットに近い素晴らしい 輝きを放っていると感じ、その力に対してじっと耳を澄ませな い手はないと思いました。尊重すべきものがひそんでいるに違 いないと直感的に思い、真摯な聴き取りを試みました。設計の 糧をそこから得、発想を豊かに膨らませようと試みました。 オンリーワンとしてこの地にしか現れようのない、本来的な建 築をもたらしたいと考えました。建築がまさに媒介役となって、 そこでなされる「活動」を自然に育育んでさし上げられるよう な、言ってみれば背景としての「器」役を果たすようになって 欲しいと考え、丁寧に計画を進めました。 そうして“大きな屋根、広々としたデッキテラス”をこの建築 のメインテーマにしました。このテーマに基づき全体のデザイ ン密度を上げました。風通し良く開放的でしかもニュアンス豊 かな住まい空間、幾世代にも亘って愛されていくための融通性 を持ち、一方でしっかり芯の通った密実な建築を目指しました。 イ）アプローチから始まる道行の流れを丁寧に作り込んだこと、 ロ）道行ならびにそのクライマックスという２つの主要な要素 を外観デザインにおいてことに注意深く扱い、めりはりを付け つつデザインの表現に取り入れたこと、ハ）特にリビングダイ ニングルームを工夫し、快適で使い易く、実際以上に広く見え、 また庭への眺望も十分にエンジョイできるようにとやや欲張り 気味にデッキテラスに対して大きく開いている構えを追求した こと、以上の３点が特に重要な特徴と言えます。 子供室は、一番に屋根の高い部分に設けてあります。特に男の 子にとって天井高く小屋裏をも望む秘密基地めいた空間は魅力 的になるに違いありません。また２つの子供部屋の開口がやや 北を向いていることも意図的です。部屋としての落ち着きがも たらされ、特に勉学に集中できるよう環境を整えてあげようと 配慮したことに依っています。 デッキテラスが長くゆったりしたものはランボルギーニ並みの差別化が図れ るとにらみました。オーストラリア第一の有名建築家としてプリツカ―賞も 受賞した、グレン・マーカットの住宅作品にヒントを得ています。 このような設計意図による建築がやがて現実化した時、他には 決してない独自の特別なオーラが醸し出され、最高の住宅を手 にしていただくことになるに違いないと確信しております。 構造模式図 -効率重視で無駄なく組み上げる平面形屋根形状共に単純明快なものにしています。長手方向に２列の3,640ピッチの柱がつ くる矢倉組みをセットし、その間をジョイスト梁で渡した構造システムとしています。 5,005間隔で２本の登り梁があるとも理解されます。裏方各室の天井高さを2,400にて設定 するに当たって、それら各部屋には桁がもたらされており、概ね910ピッチに配した管柱が それらと一体化することでボックスとしての剛性を高めています。一方で裏方扱いではな いリビングダイニングルーム等においては、こうした2,400高さの桁をたとえばテラス掃出 し窓の直上のごく限られた箇所にのみに設けています。デッキテラス上のハネ出し屋根は 5,005スパンを飛ぶジョイスト梁のあくまで延長としての付随物と見做すことによって４号 建築木構造の扱いを意図しています。デッキ端部に3,640ピッチの65φ鉄柱をフレ止め的な 補助材として立てています。 通し柱 ＠3,630 登り梁 ＠5,005 ジョイスト梁 ＠606 補助柱及び頭つなぎ 短手方向断面図 縮尺 1/100 JUN WATANABE & ASSOCIATES 40-17-104 Oyamacho Shibuyaku Tokyo JAPAN 151-0065 URL http://www.jwa-tec.com JWA 03 「うらのにわ」 家庭菜園などを楽しむことのできるプライベート な庭です。建物を平屋としたことで、北側ですが 太陽光の十分行き届く庭となります。 「にわ」 友人を招いてのバーベキューやパーティなど、 デッキテラスを介してLDKと一体的に使える芝 中学校 生の前庭を設けました。広葉樹のシンボルツリ ーが街道沿いからの視線を遮りつつ、四季折々 畑 の豊かさを感じさせてくれることでしょう。 配置図 縮尺 1/200 N 県道 N 0 5 15 JUN WATANABE & ASSOCIATES 40-17-104 Oyamacho Shibuyaku Tokyo JAPAN 151-0065 URL http://www.jwa-tec.com 30m JWA 04 アプローチ脇に勝手口を設けました。大人数での 子供室は高い天井を活かし基準法上２階扱いのロフトを設 北側の開けた敷地条件を活かし、大型 けます。秘密基地的な魅力をもちつつ北側からの落ち着い 透明ガラスを使用することで実際以上 た光を取り入れた勉強し易い男の子向きの部屋です。 に明るく広い爽やかな玄関とします。 北側隣地の畑を見ながら道行豊かに玄関へとアプロー チします。緩やかなスロープとすることでベビーカー パーティや地域の集まりがなされる時に特に威力 を発揮します。 などの使用も楽となりまた屋外から室内へと段差なく アクセスが可能です。 車寄せに近いためおそらくこちらの物入に スノーボードの板等が仕舞われることにな るでしょう。 センサー付（遅れスイッチ付）換気扇連動型 キッチンは作業スペースを大きくとりました。 照明器具により窓はなくとも差し障りなく機 能します。何と言ってもプランニングの無駄 180°広々と視界が開け、台所に立つことが楽 しみになることでしょう。司令塔的な位置付け を省いていることが一番です。 です。 家庭菜園 散水栓 うらのにわ 鉄骨柱 3640 3640 3640 3640 3640 梁（H鋼） アプローチ ｼｭｰｽﾞｸﾛｾﾞｯﾄ 2.6J クロゼット UP ▼ テラス１ スロープ ガラス ブロック 引戸 ﾒﾃﾞｨｼﾝﾎﾞｯｸｽ 上部庇ライン 勝手口 ﾒﾃﾞｨｼﾝﾎﾞｯｸｽ 駐車スペース ２台 上部棚 棚 子供室１ ロフト 吹抜 子供室１ 5.7J 冷 玄関ホール 洗面 上部トップライト 廊下 ハーフ ユニットバス 2.0J パントリー キッチン 4.4J 1.2J 物入 1.6J 洗面室 3.1J 洗 宙に浮いたように造作した押入 ｱｲﾛﾝ台 PC台 下へ地板を延ばし床の間として 押入 の室礼としています。 トイレ 5005 棚 子供室２ ロフト カウンター 足元 横一文字スリット窓 フロアヒンジ デッキテラスにて乾かした洗濯 物の後整理に最適なつくりにし 主寝室 6.6J 子供室２ 5.7J リビング・ダイニングルーム 15.8J（キッチン含む20.2J） ています。 和室 4.5J 吹抜 ｳｫｰｸｲﾝ ｸﾛｾﾞｯﾄ TV 2.0J 大庇の下にゆったり２台が停め られるカーポートをつくりまし ｳｫｰｸｲﾝ ｸﾛｾﾞｯﾄ 上部 た。 来客用駐車スペース １台 ｳｫｰｸｲﾝ ｸﾛｾﾞｯﾄ 1.4J UP デッキテラス 65φ補助鉄柱 ロフト階 部分平面図 鉄木（イペ材） トステム ワイドウィン シンボルツリー にわ アプローチ フロアヒンジ採用の大型フラッシュ扉は １階平面図 縮尺 1/100 真冬、真夏以外は常開扱いとします。 布団収納も可能で広々と使えるウォーク インクロゼットを寝室に設けました。 天井は高く3.3Mとしており気持ち良 リビングダイニングルームは使い易さを第一に考え、 シンプルな長方形平面にまとめています。南側の広々 く休むことのできる主寝室とします。 N 広葉樹のシンボルツリーを巻き込むように して平面計画が組織付けられています。 とした庇付デッキ空間と一体となり明るく開放的な家 族の生活の核となります。 0 JUN WATANABE & ASSOCIATES 40-17-104 Oyamacho Shibuyaku Tokyo JAPAN 151-0065 URL http://www.jwa-tec.com 1 3 5m JWA 05 South East North West 立面図 縮尺 1/150 0 2 JUN WATANABE & ASSOCIATES 40-17-104 Oyamacho Shibuyaku Tokyo JAPAN 151-0065 URL http://www.jwa-tec.com 6 10m JWA 06 北側からの均質な光を取り入れ、勉学のための場と して落ち着きをもたせた子供室は、ハシゴで昇るロ フト付きの楽しさに満ちた空間としています。 広々としたオープンキッチンは、リビング ダイニングルームを悠々と見渡せるよう、 中央に配置しました。 片流れとした屋根形状は、外観をシンプルに 見せつつ天井高さに変化をもたせリズミカル な空間をもたせることができます。 天井高く開放感のある主寝室とします。 段差なく全ての部屋を行き来できる平屋は、御家族 にとっても訪問客にとっても大らかで優しく寛ぎに 満ちた住宅になることでしょう。 雨に濡れず玄関までアプローチができるようになって います。造形的にはカラーＧＬ鋼板屋根を極端に薄く 見えるようディテールを工夫しています。 和室は客室として絶好の位置となって います。南向きで明るいながら、落ち 着きのある空間とします。 100 5.9 リボール防水 又は スタンディングシーム カラーＧＬ鋼板葺き 子供室２ ｳｫｰｸｲﾝ ｸﾛｾﾞｯﾄ リビングダイニングキッチン 寝室 和室 車寄せ ▽１FL GL+600 ▽GL±0 3640 3640 3640 3640 長手方向断面図 縮尺 1/100 3640 建築概要 所在地 ：三重県員弁郡東員町 用途地域 ：第１種住居地域 建ぺい率 60％ 容積率 200％ 敷地面積 ：645.81㎡（195.35坪） 建築面積 ：187.47㎡（56.70坪） 187.47 ÷ 645.81 ＝ 0.290 29.02＜60.00 ∴ＯＫ 延床面積 ： １階 110.93㎡(33.55坪) ２階 6.91㎡(2.09坪) 117.84㎡(35.64坪) 法定延床面積：1291.62㎡（390.71坪） デッキテラスと一体となって広く使えるリビングダイニングルームの様子 和室の様子。シンボルツリーが良く見えます 117.84 天井高くロフト付きの子供室の様子 0 ÷ 645.81 ＝ 0.1824 18.24＜200.00 ∴ＯＫ 1 JUN WATANABE & ASSOCIATES 40-17-104 Oyamacho Shibuyaku Tokyo JAPAN 151-0065 URL http://www.jwa-tec.com 3 5m JWA 07 補遺 最後に自己紹介も加えさせていただきます。東京の建築設計事務所ではありますが、代表 者 で あ る 渡 辺 が か つ て ア メ リ カ に 1 0 年 間 ※１生 活 し た 経 験 も あ り 、 木 造 戸 建 て 住 宅 を ゆ っ たりとまわりの環境に合わせ優れたデザインとして世に問うことに定評があります。カリ フォルニアのリラックスした豊かな感じを醸し出しているとの指摘を良くいただきます。 コンクリート造の別タイプ住宅ではありましたが、昨年度グッドデザイン賞を受賞した作 品 でも 正し く この 点が 評 価さ れた よ うで した 。 ・ ・・ 作品作りのモットーは、「住まう空間ににほひとも名づけるべきそれが根源的また本来的 に持っていたであろうような香りが立ち昇る、そんな住宅を設計し続けること」です。さ らに言えば「出来上がった住まいは、クライアントと共に育ち次第に実り豊かになってい くものであること、つまり将来の‘こと’を起こそうとするのであって、モノが完成時に 達成されて全ておしまい、との純粋芸術にありがちなやり方とは対極にある」と考えてい ま す 。 こ れ ま で の 作 品 の 実 際 ※２を 見 て 御 確 認 を お 願 い し た い の で す が 、 た と え ば バ リ 島 の 有名なアマンダリホテルが質朴な素材を使って、親密で豊かで柔らかな空間を作りあげて いること、などに特に感銘を受けたことがあります。心地の良いまどろみが快適にできる ような住まいの実現を求め続けて参りました。アマンダリホテルを初め今回のグレン・マ ーカットなど自分自身が心を揺さぶられヒントという形で影響を受けてきた優れた前例を これからの設計に活かし切り、クライアントのために得難いものとして現出させたいと思 っ てお りま す 。 1993 住まう空間「中野南台」に対しアメリカ建築家協会Austin Chapterデザイン賞 1 9 9 5 作 品 「調 布 の 家 」に 対 し ア メリ カ 建 築 家協 会 Au s ti n C h a p te r デザ イ ン 賞 2 0 0 1 作 品 「吉 備 の 家 」に 対 し 日 本建 築 学 会 作品 選 集 2 0 0 1 入 選 2 0 0 2 作 品 「安 比 高 原 牧場 牛 舎 」 に対 し 2 0 0 2 入 選 2 0 0 3 作 品 「V IL L A GAM AGOR I」に 対 し マ イア ミ ビ エ ンナ ー レ ゴ ール ド メ ダ ル 2004 作品「Ｓ邸書斎改装」に対しアイカリフォームデザインコンテスト居室優秀賞 2 0 0 4 作 品 「V IL L A GAM AGOR I」に 対 し 日 本建 築 士 会 連合 会 賞 2005 作 品「 調 布 の 家」 に 対 し まち な み 住 宅１ ０ ０ 選 入選 2 0 11 作 品 「広 尾 の 家 」に 対 し グ ッド デ ザ イ ン賞 そ の他 ６ 件 e-mail [email protected] URL http://www.jwa-tec.com ※１ ニ ューヨ ーク ２年ボ スト ン２年 、そ してテ キサ ス州オ ース チンに ６年 です。 ※２ 蒲 郡市三 谷七 舗にV IL L A GAM AGOR I、春日 井市 中部大 学に 男子留 学生 寮、大 府市役 所前の 喫茶 店 ‘ Amu se r’な どが ありま す。 狭 山市 Ｈ邸 外 観。 角敷 地 そし て背 景 の森 に呼 応 した 外観 。 大き なデ ッキ テ ラス の ある 木造 で す 玄 関ポ ーチ の 様子 。 森 が見 え て いま す 室 内 の様 子 。 白 を基 調 と し た明 る め の 室内 を 御 主 人が 選 ん だ 濃色 の 家 具 が引 き 締 め てい ま す