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香川大学大学院地域マネジメント研究科地域マネジメント専攻 に対する

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香川大学大学院地域マネジメント研究科地域マネジメント専攻 に対する
香川大学大学院地域マネジメント研究科地域マネジメント専攻
に対する認証評価結果
Ⅰ
認証評価結果
評価の結果、貴大学大学院地域マネジメント研究科地域マネジメント専攻(経営系専
門職大学院)は、本協会の経営系専門職大学院基準に適合していると認定する。
認定の期間は 2019(平成 31)年3月 31 日までとする。
Ⅱ
総 評
香川大学大学院地域マネジメント研究科地域マネジメント専攻(以下「貴専攻」とい
う。)は、「地域活性化に貢献する教育研究を通して、高い倫理観のもと、マネジメン
トや地域政策に関する能力を養う。企業におけるビジネス・リーダー、行政におけるパ
ブリック・プロフェッショナル、地域資源を生かして活性化を図る地域プロデューサー
など、地域新時代を拓くプロフェッショナルを養成する」という固有の目的を設定して
いる。また、この固有の目的は、専門職学位課程の目的に適っているとともに、多くの
経営系専門職大学院がビジネス・マネジメントにおける専門職業人の養成を主な目的と
するなか、「地域新時代を拓くプロフェッショナルの養成」を掲げていることは、他の
経営系専門職大学院との差別化が図られていることから貴専攻の特色といえる。
この目的を達成するため、貴専攻では地方公共団体や地域を代表する企業からの学生
推薦制度を導入し、決して大きいとはいえない市場であるにもかかわらず毎年定員を確
保していることは、学生募集における努力の成果である。
教育課程の編成においては、「分析基礎科目群」、「地域基礎科目群」、「基礎科目
群」、「応用科目群」及び「プロジェクト演習」を設けることにより、段階的な履修を
担保するとともに、貴専攻の特色を活かした科目設定を行っている。具体的には、「地
域基礎科目群」として「四国経済事情(地域活性化と企業経営)」、「四国経済事情(地
域活性化と地域政策)」及び「四国経済事情(地域活性化と地域資源)」の3科目を設
けることにより、地域に根ざした高度専門職業人の養成に取り組んでいることは、有効
であるといえる。また、その他の科目においても、それぞれの目的に合致した講師を学
外の団体から招聘するなど努力を払っていることは、評価できる。
授業方法の改善・向上を目指した取組みとして、学生に対して授業評価アンケートを
実施し、その結果を「FD研修会」においてすべての教員の間で共有している。これに
1
より、他の教員の授業評価アンケートの結果についても、問題点を指摘し、改善に向け
た方策を全教員で検討しており、円滑なFD活動(Faculty Development:授業の内容及
び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究活動)が行われていることは、評価で
きる取組みである。
さらに、修了者の評価や活躍状況の把握を目的として、定期的かつ継続的に派遣先の
組織を訪問する活動や修了生の満足度調査などを詳細に行っていることは、修了生から
の評価や課題を確認するとともに、学生募集の一助としても効果的な取組みとなってお
り、教育機関としてのPDCAサイクルが機能しているものとして、高く評価できる。
上記のような特色や積極的な取組みが行われている一方、固有の目的を達成するとい
う観点からは、そのカリキュラム構造について、いくつかの課題を指摘しなければなら
ない。
まず、貴専攻の修了要件単位数は 32 単位であり、法令要件は満たしているものの、学
位授与方針(ディプロマ・ポリシー)である「企画し、実行し、発表する『総合力』を
養う」という観点から、十分な修得単位数であるか検討が必要である。なお、貴専攻で
は、実際には、シンポジウムの企画・運営や合宿などの課外活動について、強制ではな
いものの学生の多くが参加しており、課外活動を含めると 32 単位以上に相当する学修が
なされている。しかし、修了要件としては 32 単位以上の学修は保証されていないため、
課外活動を単位化し、修了要件単位数の増加を図るなど、カリキュラム編成において工
夫することが必要である。
つぎに、貴専攻のカリキュラムでは「プロジェクト演習」及び「プロジェクト研究」
のみが必修科目であり、その他は選択科目として配置されている。経営系専門職大学院
に課せられた基本的な使命である、企業やその他の組織のマネジメントに必要な専門知
識(戦略、組織、マーケティング、ファイナンス、会計など)の基礎的な知識を履修す
る機会が十分に保障されているとはいえず、他の授業で前提知識が共有されないことが
生じる可能性があり、体系的かつ有機的なカリキュラムを編成することが必要である。
また、このような教育課程の編成においては、学生の履修科目の選択にはアカデミッ
ク・アドバイザー(AA)の役割が重要になるため、教員個人の資質のみならず、その
役割や指導内容を共有し、履修指導体制として機能させることが望まれる。さらに、貴
専攻は養成する人材像として、企業におけるビジネス・リーダー、行政におけるパブリ
ック・プロフェッショナル及び地域資源を生かして活性化を図る地域プロデューサーの
3つの人材像を設定しているが、履修モデルについては、企業マネジメント・会計系の
履修モデルと公共マネジメントの履修モデルの2つのみとなっている。そのため、学生
の履修科目の選択により役立つものとなるよう、履修モデルの多様化について検討する
ことが望まれる。
冒頭にて述べたように、四国という地域に焦点をあてた「地域新時代を拓くプロフェ
ッショナルの養成」という特色は、貴専攻の長所である。この長所をさらに伸長しつつ、
2
経営系専門職大学院としての基本的な使命を果たすために、教育課程の編成や履修指導
について体系的に工夫を図り、今後ますます貴専攻が発展していくことを期待する。
3
Ⅲ
経営系専門職大学院基準の各項目における概評及び提言
1
使命・目的・戦略
(1)経営系専門職大学院基準の各項目に関する概評
【項目1:目的の適切性】
貴専攻は、貴大学の理念である「世界水準の教育研究活動により、創造的で人間
性豊かな専門職業人・研究者を養成し、地域社会をリードするとともに共生社会の
実現に貢献する」に基づき、固有の目的を設定している。すなわち、「地域活性化に
貢献する教育研究を通して、高い倫理観のもと、マネジメントや地域政策に関する
能力を養う。企業におけるビジネス・リーダー、行政におけるパブリック・プロフ
ェッショナル、地域資源を生かして活性化を図る地域プロデューサーなど、地域新
時代を拓くプロフェッショナルを養成する」ことを掲げている。なお、「ビジネス・
リーダー」は企業・組織の社長や役員などのリーダー、「パブリック・プロフェッシ
ョナル」は政策立案に携わる公務員など、「地域プロデューサー」は地域資源を生か
して地域活性化を図る地域ビジネスの担い手を想定している。この固有の目的は、
専門職学位課程の目的に適っているといえる(評価の視点 1-1、1-2、
「質問事項に対
する回答及び分科会報告書(案)に対する見解 No.19」)。
多くの経営系専門職大学院がビジネス・マネジメントにおける専門職を養成する
ことを主な目的とするなかで、上記のように、
「行政におけるパブリック・プロフェ
ッショナル、地域資源を生かして活性化を図る地域プロデューサーなど、地域新時
代を拓くプロフェッショナルを養成する」という目的を掲げており、この点につい
ては差別化が図られているとともに貴専攻の特色であるといえる(評価の視点 1-3)。
【項目2:目的の周知】
貴専攻の固有の目的は、「香川大学大学院地域マネジメント研究科規程」第1条の
2において規定の一部として定められている(評価の視点 1-6、資料 1-2「香川大学
大学院地域マネジメント研究科規程」)
。
また、中国・四国地方における初のビジネススクールとして設置された経緯を踏
まえて、固有の目的及び教育目標の広報・周知に注力し、貴専攻のホームページや
『香川大学ビジネススクール要覧』をはじめ、新聞、テレビ、ラジオ、さらに経済
界や行政の各種会議での案内、経済界や行政の機関誌での掲載等を通じ、その固有
の目的並びに活動を社会一般に広く明らかにしている(評価の視点 1-4、資料 1-2「香
川大学大学院地域マネジメント研究科規程」、資料 1-6「香川大学ビジネススクール
要覧」、資料 1-7「香川大学ビジネススクール情報誌地域マネジメント」、資料 1-8「新
聞記事等一覧」、資料 1-9「ビジネス香川」、資料 1-10「香川経済レポート」、香川大
学ホームページ)。
しかし、『香川大学大学院地域マネジメント研究科 2013 年度要覧』を学内各学部
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の学生用カウンターに置いて自由に手に取ることが可能な仕組みとしているほか、
全学的な広報センター、シンポジウム等のイベントをとおして情報提供が行われて
いるものの、貴専攻以外の他部局等の構成員には十分浸透しているとはいえない。
貴専攻への理解を深めるためには、学外のみならず、学内の他部局への情報提供も
重要であることから、さらなる努力が望まれる(評価の視点 1-5、質問に対する回答
及び分科会報告書(案)に対する見解 No.21)。
【項目3:目的の実現に向けた戦略】
貴専攻では、地域活性化に貢献する教育・研究を進めること、ビジネスリーダー・
パブリックプロフェッショナル・地域プロデューサーを育成することの2つの中長
期ビジョンを策定し、これらの中長期ビジョンを踏まえて、具体的に次のような戦
略を策定している。すなわち、「1.経営系と地域公共系の融合的な教育研究を進め
る。2.理論と実務の双方向教育を発展させる。3.農業・観光・医療・福祉などと
の文理融合の研究を進める。4.地域振興とグローバル化を融合した教育研究のコン
セプトを構築する。5.リカレント・プログラムなどを通じ、同窓会を支援する。6.
四国地域全域と中国地方東部からの学生の受け入れを進める。7.多忙な社会人向け
に非学位プログラムを検討する。」の計7点の戦略である(評価の視点 1-7)。
以上の各戦略について、地域と連携した教育研究の推進、地域のケース教材の開
発、株式会社百十四銀行、野村證券及び野村アグリプランニング&アドバイザリー
株式会社と貴大学による産学官連携の研究コンソーシアムである「かがわアグリイ
ノベーションズ」における活動など、自然科学系分野を含む他部局との研究推進な
どの実行プランを作成し、確実に実行している(資料 1-1「地域マネジメント研究科
中長期ビジョン」、資料 1-13「国立大学法人香川大学大学院地域マネジメント研究科
アドバイザリー・ボードに関する規程・平成 23 年度香川大学大学院地域マネジメン
ト研究科アドバイザリー・ボード会議報告書」、資料 1-16「地域における調査研究事
業に関する連携協力協定書・平成 19 年度第1回連絡協議会次第」、資料 1-17「修了
生による教育評価報告書・平成 24 年度香川大学大学院地域マネジメント研究科修了
生調査について」、地域マネジメント研究科ホームページ)。
ただし、グローバル化については、現在は中華人民共和国の浙江工商大学との学
術交流協定書に基づき同大学教員の講演を実施しているほか、
「国際経営」における
グローバルコンセプトの提供、マサチューセッツ工科大学(MIT)の教員による
講義が実施されているが、「地域振興とグローバル化の融合」を図るには十分とはい
えず、複数のプログラムを設け、それらの相互作用を図る体系的な取組みが求めら
れる。また、社会人に向けた非学位プログラムの導入については、現在は検討段階
にあるものの、地域のビジネス・リーダーやパブリック・プロフェッショナル、地
域プロデューサーの育成という中長期ビジョン達成には、多様な社会人学生を集め
5
ることが必要であり、そのための重要な要素として、創意工夫を行いつつ、計画を
進展させることが期待される(評価の視点 1-8、資料 1-1「地域マネジメント研究科
中長期ビジョン」、資料 1-14「日本国香川大学と中華人民共和国浙江工商大学との学
術交流協定書日本国香川大学と中華人民共和国浙江工商大学との学術交流協定書に
基づく学生の交流に関する実施細則」、資料 1-15「浙江工商大学教員による講演資料」、
資料 1-16「地域における調査研究事業に関する連携協力協定書・平成 19 年度第1回
連絡協議会次第」、資料 1-17「修了生による教育評価報告書・平成 24 年度香川大学
大学院地域マネジメント研究科修了生調査について」)。
(2)特 色
1)地域活性化を目的とし、さらにビジネス・プロフェッショナルのみならず公
共部門のプロフェッショナルや地域プロデューサーの育成など地域の多様な
要請に応えようとしている点は貴専攻の特色といえる(評価の視点 1-3)
。
(3)検討課題
1)固有の目的について、学外のみならず学内への周知は貴専攻への理解を深め
るためにも重要であるため、貴専攻の目的に即した活動が他の部局等の構成
員に十分に浸透するよう努力することが望まれる(評価の視点 1-5)。
2)グローバル化に関する戦略として、現在は中華人民共和国の浙江工商大学と
の学術交流協定書に基づく同大学教員の講演、
「国際経営」におけるグローバ
ルコンセプトの提供、マサチューセッツ工科大学の教員による講義が実施さ
れているが、実質的な「地域振興とグローバル化の融合」を図るため、複数
のプログラムとそれらの相互作用をもたらす体系的な取組みが必要である
(評価の視点 1-8)。
3)貴専攻の戦略としてあげられている社会人向けの非学位プログラムの実行は、
地方都市ならではの困難も予想されるが、地域のビジネス・リーダーやパブ
リック・プロフェッショナルさらに地域プロデューサーの育成という中長期
ビジョンの達成には多様な社会人学生を集めることが必要であり、そのため
の重要な要素であることから、創意工夫を行いつつ早期に実現されることが
期待される(評価の視点 1-8)
。
6
2
教育の内容・方法・成果等(1)教育課程等
(1)経営系専門職大学院基準の各項目に関する概評
【項目4:学位授与方針】
貴専攻では、固有の目的に即してディプロマ・ポリシーを定めており、基本的な
考えとして「①地域活性化に貢献する上で必要な知識を、理論と実践のバランスを
図りながら体系的に修得し、②地域活性化に貢献可能なプロジェクトや調査を企画
し、実行し、発表する『総合力』を身につけたと認められるものに学位を授与する。
①については、分析基礎科目群、地域基礎科目群、基礎科目群、応用科目群の単位
取得状況によって評価を行う。②についてはプロジェクト科目(必修)によって評
価を行う。」を示している。その上で、具体的な条件として、32 単位の科目を修める
ことを学位授与(修了)の条件とした上で、偏った履修にならないよう、分析基礎
科目2単位以上、地域基礎科目4単位以上、基礎科目6単位以上、プロジェクト科
目6単位という、科目群ごとの修了要件単位数を定め、明示している。このディプ
ロマ・ポリシーの内容は、貴専攻のホームページに掲載されるとともに、2013(平
成 25)年度からは『香川大学大学院地域マネジメント研究科修学案内』にも記載し、
周知を図っている。しかし、ディプロマ・ポリシーに高い職業倫理観の醸成につい
ては組み込まれていないため、高い職業倫理観の醸成についてもディプロマ・ポリ
シーに掲げることが望まれる(評価の視点 2-1、実地調査時閲覧資料 No.17「香川大
学大学院地域マネジメント研究科平成 25 年度修学案内」)。
【項目5:教育課程の編成】
貴専攻の授業科目は、
「地域活性化に貢献できる人材を養成するため、理論と実践
のバランスを図りながら、体系的なカリキュラムを構築します。一方で、学生の多
様な問題意識や目的に対応するため、学生一人一人に対して適切にカスタマイズす
る体制を構築します。」という教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
に基づき、(ⅰ)社会一般の問題を定量的・数理的に分析し解決する能力を養うため
の「分析基礎科目群」、(ⅱ)四国地域を客観的に把握し、この地域が抱える具体的問
題を見つけだすための「地域基礎科目群」、(ⅲ)企業マネジメントと公共マネジメン
トに欠かせない基礎的知識を獲得するための「基礎科目群」、(ⅳ)それぞれの個別分
野で必要となる応用的能力を拡充するための「応用科目群」、(v)実践的な課題の解
決を通して総合力を養成するための「プロジェクト科目(必修)
」から構成されてい
る。なお、修了要件単位数 32 単位のうち、科目群ごとに修了要件単位数として、
「分
析基礎科目」2単位以上、
「地域基礎科目」4単位以上、
「基礎科目」6単位以上、
「プ
ロジェクト研究」6単位以上を履修することを義務づけている。
上記の科目群のうち、地域基礎科目群として、
「四国経済事情(地域活性化と企業
経営)」、「四国経済事情(地域活性化と地域政策)」及び「四国経済事情(地域活性
7
化と地域資源)」を配置し、地域に所在する国の出先機関や地方自治体のトップのほ
か、地域企業や全国企業の支店のトップ及び地域振興のキーパーソンないしリーダ
ーによる講義を提供しており、固有の目的である地域活性化に鑑みて、貴専攻の特
色ある科目と評価できる(評価の視点 2-2)。
また、2009(平成 21)年度から 2012(平成 24)年度にかけて、学生や社会からの
ニーズ等に対応して、応用科目として「マネジメント・アカウンティング」、「意思
決定分析」及び「地域開発と資本市場の役割」
、特別講義として「地域マネジメント
とファイナンス」、「地域活性化とパブリック・プライベート・パートナーシップ」、
「デザイン・マネジメント」、「地域ICTマネジメント」、「地域産業連関分析」及
び「アートと地域活性化」の計9科目が新たに設置されている(評価の視点 2-3、資
料 1-3「香川大学大学院地域マネジメント研究科 平成 24 年度修学案内」、資料 1-6
「香川大学ビジネススクール要覧」、資料 2-1「香川大学大学院地域マネジメント研
究科 平成 21 年度修学案内」、資料 2-2「香川大学大学院地域マネジメント研究科 平
成 22 年度修学案内」
、資料 2-3「香川大学大学院地域マネジメント研究科 平成 23
年度修学案内」、香川大学ホームページ)。
上記のように、貴専攻の教育課程は、学位の水準を維持し、理論と実践の架橋教
育である点を踏まえていると同時に、系統的かつ段階的なスパイラル体系のカリキ
ュラム編成が行われており、科目間の相乗効果が期待できる(評価の視点 2-4)。
ただし、
「分析基礎科目群」及び「基礎科目群」が自由科目として分類されており、
必修科目とはなっていないため、企業やその他の組織のマネジメントに必要な専門
知識である組織、戦略、マーケティング、ファイナンス、会計等を修得する機会は
提供されているものの、修了要件単位数や各年次の履修登録できる上限単位数の制
限単位数及び科目配置などの制約条件を鑑みると、十分に保証されているとはいえ
ない。これらの科目は、MBA(Master of Business Administration)として必要
な基礎知識の提供であることから、改善が望まれる(評価の視点 2-2)。
【項目6:単位の認定、課程の修了等】
貴専攻では、授業科目の単位数について1単位を 45 時間の学修を要する内容を持
って構成することを標準とし、15 時間の授業及び 30 時間の教室外(予習・復習)で
の学習をもって1単位として設定している(評価の視点 2-5)
。また、1年間の授業
期間については、定期試験等の期間を含めて 35 週にわたっており、各年次において
登録できる単位の上限については夏期集中開講科目を除いて 24 単位としている(評
価の視点 2-6)。さらに、貴専攻の在学期間は基本的に2年間、長期履修者は4年間、
修了要件単位数は 32 単位であり、基準を満たしている。なお、教育課程の編成上、
在学期間の短縮は行われていない(評価の視点 2-10、2-11)。
しかし、ディプロマ・ポリシーとの関わりでいえば、「企画、実行、発表する総合
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力」を身につけさせるという観点からすると、32 単位という修了要件単位数につい
ては、十分な修得単位数となっているか検討が必要である(評価の視点 2-8)。
課程の修了認定の基準・方法については、『香川大学大学院地域マネジメント研究
科修学案内』を入学式前に実施するガイダンスにおいて配付しているほか、アカデミ
ック・アドバイザーによる履修指導の機会を活用し、学生への周知が図られている。
課程の修了に必須である「プロジェクト演習」及び「プロジェクト研究」は、その認
定にあたって中間審査会と最終審査会を開催して、事前に論文要旨を提出し、学生全
員が行うプレゼンテーションに対して、全教員が評価シートを用いてS、A、B、C
及びⅩの5段階で評価し、認定するというプロセスを取っている。また、中間審査会
や最終審査会の告知は、2年次最初のガイダンスにおいて行うとともに、指導教員か
ら学生へ伝達している(評価の視点 2-9、実地調査時閲覧資料 12「中間審査会・最終
審査会評価シート」、実地調査時閲覧資料 13「2年生ガイダンス資料」、質問事項に対
する回答及び分科会報告書(案)に対する見解 No.36)。
他の大学院との単位互換については、貴専攻の教育内容と関連がある貴大学大学
院経済学研究科、法学研究科及び香川大学・愛媛大学連合法務研究科で開講されて
いる科目について、応用科目の枠組みにおいて8単位を上限として修得することが
可能となっている(評価の視点 2-7)。
また、学生が他の大学院において修得した単位や入学前に修得した単位について、
貴専攻で修得した単位として認定する場合、必要に応じ当該科目のシラバスの提出
を求め、科目類似性について教授会で審議することにしており、法令上の規定に沿
って、貴専攻の教育水準・教育課程との一体性を損なわないよう十分に留意した方
法で行われている(評価の視点 2-7)。
貴専攻では、ビジネス・リーダーや地域プロデューサーのみならず、パブリック・
プロフェッショナルとしてこれからの地域づくりのために行政を担う公務員に対し
ても高度なマネジメント能力が重要であるとの認識から、カリキュラムは経営分野
を中心に構成している。このことから、学位の名称である「和文:経営修士(専門
職)、英文:MBA(Master of Business Administration)」は適当であると判断で
きる(評価の視点 2-12、資料 1-2「香川大学大学院地域マネジメント研究科規程」、
資料 1-3「香川大学大学院地域マネジメント研究科 平成 24 年度修学案内」、資料
2-7「平成 24 年度 時間割表」
)。
しかし、前述のように修了要件単位数として設定している 32 単位については、法
令要件を満たしているものの、学位授与方針である「企画し、実行し、発表する『総
合力』を養う」という観点から、十分な修得単位数であるか検討が必要である。な
お、貴専攻では、実際には、シンポジウムの企画・運営や合宿などの課外活動につ
いて、強制ではないものの学生の多くが参加しており、課外活動を含めると 32 単位
以上に相当する学修の機会が提供されている。しかし、修了要件としては 32 単位以
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上の学修は保証されていないため、課外活動を単位化するとともに、修了要件単位
数の増加を図るなど、カリキュラム編成において工夫することが必要である。今後
は、「総合力」を養成するために必要な科目履修について、次期カリキュラム改革の
際に検討することが期待される(評価の視点 2-8)。
(2)特 色
1)地域基礎科目群として、「四国経済事情(地域活性化と企業経営)」、「四国経
済事情(地域活性化と地域政策)」及び「四国経済事情(地域活性化と地域資
源)」を設けていることは、固有の目的である地域活性化への貢献に有効な特
色ある科目として評価できる(評価の視点 2-4)
。
(3)検討課題
1)基礎科目群が自由選択科目となっているため、企業やその他の組織のマネジ
メントに必要な専門知識である組織、戦略、マーケティング、ファイナンス、
会計等を修得する機会は提供されているものの、制限単位数や科目配置など
の制約条件に鑑みて、十分に保証されているとはいえない。これらの科目は、
MBAとして必要な基礎知識の提供であることから、改善が必要である(評
価の視点 2-2)。
2)修了要件単位数として設定している 32 単位は、貴専攻の学位授与方針である
「企画し、実行し、発表する『総合力』」に鑑みて、学生に十分な学修量を与
えるよう検討することが望まれる。今後は、「総合力」を養成するために必要
な科目履修について、次期カリキュラム改革の際に検討することが期待され
る(評価の視点 2-8)
。
10
2
教育の内容・方法・成果等(2)教育方法等
(1)経営系専門職大学院基準の各項目に関する概評
【項目7:履修指導、学習相談】
学生の経験や修得知識の多様性を踏まえ、アカデミック・アドバイザー(AA)
による履修指導やガイダンス等の学習相談の機会を設けることにより、履修指導に
取り組んでいる。また、AAによる履修指導を実施するにあたっては、企業マネジ
メント・会計系の履修モデル、公共マネジメント系の履修モデルを作成し、経営系
科目と地域公共系科目の双方をバランスよく履修するように指導がなされている。
しかし、項目5で述べたように、貴専攻の教育課程では科目履修に関する自由度が
高いことから、AAの役割が重要になってくるが、実際にはその役割や内容は教員
の個人的な資質によるところが多い。個々の教員により異なるアドバイスを受ける
ことはやむを得ないが、アドバイスに関するマニュアルやガイドライン等を設ける
など、組織的な履修指導を確立することが必要である(評価の視点 2-13、2-15、資
料 2-8「地域マネジメント研究科 2012 年度新入生ガイダンス資料」)。
また、貴専攻は養成する人材像として、企業におけるビジネス・リーダー、行政
におけるパブリック・プロフェッショナル、地域資源を生かして活性化を図る地域
プロデューサーの3つの人材像を設定しているが、
『香川大学大学院地域マネジメン
ト研究科修学案内』に掲載している履修モデルは、企業マネジメント・会計系の履
修モデル及び公共マネジメントの履修モデルの2つのみを示していることから、貴
専攻において養成すべき人材像としている地域プロデューサーに対する履修モデル
の提示を含め、履修モデルの多様化について検討することが望まれる(評価の視点
2-13)。
インターンシップについては、貴専攻では授業科目として「実践型インターンシ
ップ」を設けている。このインターンシップは、学部新卒学生を対象としており、
実務経験のない学生への教育的な支援策でもある。なお、同科目は専任教員が担当
し、実践型インターンシップ実施要項において守秘義務等について示されている(評
価の視点 2-14、資料 2-9「実践型インターンシップ実施要項」)
。
【項目8:授業の方法等】
貴専攻の授業は、常に 12 名から 29 名までの受講者数で行われる少人数教育とな
っており、教育効果を十分に上げられる適切な人数であるといえる(評価の視点 2-16、
資料 2-10「2012 年度開講科目と受講者数一覧」
)。
実践教育を充実させるため、地域リーダーの講義を実際のフィールドで学ぶ「合
宿研修」及び「マネジメント・システム」におけるショートケースに関する討論、
「地
域公共政策」におけるフィールド・ワーク、「プロジェクト研究」における地域企業
や自治体が抱える問題についての理論的かつ実践的な調査研究など、授業科目の性
11
格に応じて、講義、討論、演習、グループ学習、ケーススタディ、シミュレーショ
ン、フィールド・スタディ、インターンシップ等の適切な教育手法や授業形態を採用
している(評価の視点 2-17、資料 1-3「香川大学大学院地域マネジメント研究科 平
成 24 年度修学案内」)
。
教育方法の特色ある取組みとしては、複数の教員と複数の学生がグループを組ん
で、地域企業や自治体が抱える問題について理論的かつ実践的に調査研究し、解決
策を見出すことを趣旨とした「プロジェクト研究」がある。この授業方法は、複数
の教員と複数の学生がグループを組むという点でもユニークであり、実際の問題点
に関するソリューションを探し出すという研究の手法は特徴的である。また、地域
基礎科目として設けている四国経済事情の名称を冠した3科目(「四国経済事情(地
域活性化と地域政策)」、「四国経済事情(地域活性化と企業経営)」及び「四国経済
事情(地域活性化と地域資源)」)においては、毎回異なった非常勤講師によって講
義を行うオムニバス方式を採用しているため、毎回の授業の一貫性を担保する目的
から、責任者かつコーディネーターを担う専任教員を配置していることは特色とし
て評価できる(評価の視点 2-21、資料 2-11「香川大学大学院地域マネジメント研究
科 平成 24 年度プロジェクト研究報告会プログラム」、資料 2-17「2012 プロジェク
ト研究テーマ」)。
さらに、地域に根ざしたビジネススクールであるからこそグローバルな視点を持
つべきであるという考え方のもと、中華人民共和国の浙江工商大学と国際学術交流
協定を締結し、教員の相互訪問のほか、同大学工商管理学院・院長を招いての講演
などを開催している。くわえて、専任教員の海外での実務経験に基づいた事例紹介
やグローバル化のフレームワークを明示する「国際経営」科目を設置しているほか、
「地域・ICTマネジメント」科目において米国のマサチューセッツ工科大学から
教授を招聘し、「地域・ICTマネジメント」において提携している浙江工商大学か
らインターネットを通じた授業の提供を行っている。しかし、グローバルな視点を
持つ人材の育成としては、十分とはいえないため、今後の改善が望まれる(評価の
視点 2-18、資料 1-14「日本国香川大学と中華人民共和国浙江工商大学との学術交流
協定書日本国香川大学と中華人民共和国浙江工商大学との学術交流協定書に基づく
学生の交流に関する実施細則」
、資料 1-15「浙江工商大学教員による講演資料」、資
料 2-10「2012 年度開講科目と受講者数一覧」、資料 2-14「マサチューセッツ工科大
学教員による講義資料」)。
社会人学生に対応するため、徳島市、東かがわ市、坂出市において、貴専攻の定
めるウェブ講義運用基準、eラーニングシステムの利用ルールに基づき、テレビ会
議システムを併用しながら遠隔講義を実施している(資料 2-15「香川大学大学院地
域マネジメント研究科 遠隔講義システムに関する運用基準」、資料 2-16「香川大学
大学院地域マネジメント研究科 e-learning システム利用のルール」)
。この遠隔講
12
義については、推奨すべき取組みであるが、
「四国経済事情(地域活性化と地域政策)
」、
「四国経済事情(地域活性化と地域資源)
」、
「四国経済事情(地域活性化と企業経営)
」
及び「地域ICTマネジメント」の4科目を対象に実施しており、学生の利用数は
延べ8名と多くはない。ただし、一般市民に開放したことにより、参加者が延べ 32
名になっており、地域社会の貢献として評価できる(評価の視点 2-19、質問事項に
対する回答及び分科会報告書(案)に対する見解 No.43)。
【項目9:授業計画、シラバス】
平日は夜間の講義開始時間を全学的な正規の時間帯より 20 分遅く運用しており、
第6校時は 18 時 20 分開始、第7校時は 20 時開始としている。また、土曜日は昼間
に開講しているが、必要に応じて土曜日の夜間に授業が行われるなど、社会人学生
に配慮した時間割となっている。さらに、夏季休業期間においては集中講義を実施
し、社会人学生の便宜が図られている。なお、時間割については、非常勤講師の担
当時間と学生の履修に配慮し、年間 365 日の時間割表が作成されている(評価の視
点 2-22、資料 1-3「香川大学大学院地域マネジメント研究科 平成 24 年度修学案内」、
資料 2-7「平成 24 年度時間割表」、地域マネジメント研究科ホームページ)。
シラバスでは、授業科目ごとに、「授業の概要」
、「授業の目的」
、「到達目標」、「成
績評価の方法と基準」
、
「授業計画(15 回分)」、
「授業及び学習の方法」、
「教科書・参
考書等」、「オフィスアワー」及び「履修上の注意・担当教員からのメッセージ」の
項目が設けられており、適切な構成となっている(評価の視点 2-23)。このシラバス
は、『香川大学大学院地域マネジメント研究科修学案内』に収録されており、学生全
員に配付されるとともに、ホームページにも公開されている(資料 1-3「香川大学大
学院地域マネジメント研究科 平成 24 年度修学案内」、地域マネジメント研究科ホ
ームページ)
。
また、授業評価アンケートで示されているように、平均的に 80%以上の学生(2012
(平成 24)年度前期では 81.1%)が実際の授業においてシラバスに従って授業が実
施されていると回答しており、適切に授業が実施されていると判断できる。なお、
授業計画を一部変更する場合は、授業開始時にその旨を通知するとともに、メール
及び掲示を用いて周知を図っている(評価の視点 2-24、資料 2-18「地域マネジメン
ト研究科 平成 23 年度授業評価結果・平成 24 年度前期授業評価結果」)
。
【項目 10:成績評価】
成績評価の基準は、秀、優、良、可及び不可の5段階で評価することとしており、
100 点満点で、90 点以上を秀、80 点から 89 点までを優、70 点から 79 点までを良、
60 点から 69 点までを可、60 点未満を不可とし、これらの基準については『香川大
学大学院地域マネジメント研究科修学案内』に明記されている。また、成績評価の
13
方法は、各教員がそれぞれの科目の特色に応じて決定し、期末試験成績、中間テス
ト成績、レポートの完成状況、講義・討論の貢献度などによる成績評価方法を各授
業科目のシラバスの「成績評価の方法と基準」欄に記載している。さらに、GPA
(Grade Point Average)制度を採用し、上記の5段階の評定に応じて0点から4点
までのグレードポイントが設定されており、「香川大学学生表彰規程」に基づき、各
年度において修了する予定の学生のうちGPAで1位となった成績優秀者の表彰を
行っている(評価の視点 2-25、実地調査時閲覧資料 19「香川大学学生表彰規程」)。
また、シラバスは『香川大学大学院地域マネジメント研究科修学案内』に収録さ
れ、学生全員に配付されており、貴専攻のホームページにも掲載していることから、
成績評価、単位認定の基準及び方法については履修者全員に明示されているといえ
る(評価の視点 2-25、資料 1-3「香川大学大学院地域マネジメント研究科 平成 24
年度修学案内」、地域マネジメント研究科ホームページ)。
各教員は、あらかじめ明示された成績評価、単位認定の基準及び方法によって単
位認定と成績評価を行った後、結果表を貴専攻の教務事務を担当する法学部・経済
学部事務課学務第二係に提出し、事務処理を行っている。2007(平成 19)年度から
2011(平成 23)年度までの5年間における入学者のGPA分布は、概して1点台か
ら3点台まで広く分布しており、公正な成績評価、単位認定になっている。以上の
ことから、成績評価の基準・方法を設定、学生への明示は適切に行われており、成
績評価についておおむね公正かつ厳格に実施しているといえる。しかし、「成績評価
の方法と基準」が教員(科目)ごとに異なっており、どのような要素をどの程度の割
合で評価するのかを含めた、成績評価の方法及び基準の設定については、評価のガ
イドラインを策定するなどの工夫をすることが望まれる(評価の視点 2-26、資料 2-19
「2007~2011 年度入学者GPA分布」)
。
なお、学生が自ら成績に疑問がある場合には、学務第二係を通じて担当教員に尋
ねることができる一定の期間を設けており、このことは『香川大学大学院地域マネ
ジメント研究科修学案内』に記載し、周知を図っている(評価の視点 2-27、資料 2-22
「成績調査依頼票」)
。
【項目 11:改善のための組織的な研修等】
貴専攻では、原則として毎月1回、「FD研修会」を実施し、すべての専任教員に
出席を義務づけている。専任教員の授業の水準については、「FD研修会」を中心に
常に状況を把握し、向上させていく仕組みとなっている。また、実践教育に関する
授業が非常勤講師担当の場合には、すべての授業時間について、研究科長を中心に
専任教員が世話役として授業を見学することによって授業の水準を把握しており、
改善すべき点があれば、その旨当該教員へ通知し、授業方法を向上させていくため
の取組みを行っている。なお、各教員の授業内容、指導方法、教育研究の質向上の
14
ための自主的な取組みについても、その実施状況、成果、問題点等を適切に情報共
有し、さらなる改善に向けた検討を行っている(評価の視点 2-28、資料 1-18「FD
研修会記録(抜粋)」)
。
一方、プロジェクト科目である「プロジェクト演習」及び「プロジェクト研究」
については、可能な限り研究者教員と実務家教員でペアを作り、各グループに配置
することで、研究者教員は実務上の問題解決の方法、実務家教員は研究の方法論や
論文の作成方法や教育上の指導能力を互いに修得できるように配慮されている(評
価の視点 2-29)。
学生による授業評価については、
「評価関係委員会」が作成したアンケートにより、
毎期末に実施しており、その集計結果は掲示板において約2週間公開している。ま
た、授業方法の改善・向上を目指した取組みとして、学生に対して授業評価アンケ
ートを実施し、その結果を「FD研修会」において、すべての教員の間で共有して
いる。これにより、他の教員の授業評価アンケートの結果についても、問題点を指
摘し、改善に向けた方策を全教員で検討しており、円滑なFD活動が行われている
ことは、評価できる取組みである。また、学生による授業評価の結果は、教員の教
育活動評価の1つの指標として採用されているため、積極的に「FD研修会」を開
催し、授業アンケートにおける科目ごとの分析から講義科目の改善を実現させてお
り、個々の教員の授業評価に対応した改善策を検討している。その成果として、例
えば「統計分析」及び「経済分析」において、一定の改善が見られていることから、
授業評価アンケートの結果を改善に結びつける仕組みが機能しているといえる(評
価の視点 2-30、資料 1-3「香川大学大学院地域マネジメント研究科 平成 24 年度修
学案内」、資料 2-18「地域マネジメント研究科 平成 23 年度授業評価結果・平成 24
年度前期授業評価結果」)。
各教員は授業内容、授業運営方法、教材等の改善のために、日頃の授業における
学生の反応、学生からの授業評価アンケートを参考にしており、くわえてFD研修
会における議論を活用している。このような取組みから、貴専攻独自の地域性の強
い新たなケース教材の開発や地域活性化をテーマとしたシンポジウム及び合宿が開
催されており、固有の目的に即した取組みといえる。しかし、新任教員や教育経験
の少ない実務家教員に向けたFD活動については特別に実施しておらず、この点に
関しては改善に向けて検討することが必要である(評価の視点 2-31)。
(2)特 色
1)複数の教員と複数の学生がグループを組み、地域企業や自治体が抱える問題
について理論的かつ実践的に調査研究し、解決策を見出すことを趣旨とした
「プロジェクト研究」は、特色ある取組みとして評価することができる(評
価の視点 2-21)。
15
2)地域基礎科目として設けている四国経済事情の名称を冠した3科目(「四国経
済事情(地域活性化と地域政策)」、「四国経済事情(地域活性化と企業経営)」
及び「四国経済事情(地域活性化と地域資源)」)においては、毎回異なった
非常勤講師によって講義を行うオムニバス方式を採用しているため、毎回の
授業の一貫性を担保する目的から、責任者かつコーディネーターを担う専任
教員を配置していることは特色として評価できる(評価の視点 2-21)。
3)学生による授業評価結果が教員の教育活動評価の1つの指標として採用され、
積極的に「FD研修会」を開催し、授業アンケートの科目ごとの分析から講
義科目の改善を実現させており、個々の教員の授業評価に対応して改善策を
検討している。その成果として、例えば「統計分析」と「経済分析」におい
て一定の改善が見られていることは、評価することができる(評価の視点
2-30)。
(3)検討課題
1)科目履修に関する自由度が高いため、アカデミック・アドバイザーの役割が
重要になっているが、その役割や内容は教員の個人的な資質によるところが
多いため、個々の教員により異なるアドバイスを受けることはやむを得ない
ものの、アドバイスに関するマニュアルやガイドライン等を設けるなど、教
員個人の資質のみならず、その役割や指導内容を共有し、組織的な履修指導
体制として機能させることが必要である(評価の視点 2-13、2-15)。
2)貴専攻は養成する人材像として、企業におけるビジネス・リーダー、行政に
おけるパブリック・プロフェッショナル、地域資源を生かして活性化を図る
地域プロデューサーの3つの人材像を設定しているが、履修モデルについて
は、企業マネジメント・会計系の履修モデルと公共マネジメントの履修モデ
ルの2つしかないため、履修モデルの多様化の検討が望まれる(評価の視点
2-13)。
3)現状としては、教員(科目)ごとに成績評価の方法と基準が異なっているた
め、成績評価の方法及び基準の設定について、ガイドラインを策定するなど
の工夫を行うことが望まれる(評価の視点 2-25)。
4)新任教員や教育経験の少ない実務家教員に対して、授業方法の修得等を目的
としたFD活動を実施することが必要である(評価の視点 2-31)
。
16
2
教育の内容・方法・成果等(3)成果等
(1)経営系専門職大学院基準の各項目に関する概評
【項目 12:修了生の進路の把握・公表、教育効果の評価の活用】
貴専攻の入学者の大半は企業や自治体に所属する社会人であり、その多くは修了
後も所属組織に継続して勤務している。そのため、研究科長を中心とした専任教員
が定期的かつ継続的に各派遣先組織を訪問し、修了生の満足度調査や活躍状況に関
する把握を行っている。このような活動は、修了生からの評価や課題を確認すると
ともに、学生募集の一助としても効果的な取組みであり、教育機関としてのPDC
Aサイクルが機能しているものとして高く評価できる。
なお、学部からの進学者は順調に企業等に就職しており、高い水準の就職率を維
持しているほか、一部の学生は他大学の博士課程への進学や起業も果たしている。
こうした学生の進路情報の把握は「学生関係委員会」が担当し、貴専攻のホームペ
ージや『香川大学ビジネススクール要覧』等に掲載するとともに、その結果につい
て学務第二係から全学の就職支援グループへ報告を行っている(評価の視点 2-32、
資料 2-20「平成 23 年度 修了生の勤務先一覧」、資料 2-21「平成 23 年度就職状況
調(地域マネジメント研究科)
」)。
修了者の現在の状況や貴専攻における学修が役立ったか等の教育の有効性につい
ては、修了者アンケートにより確認されており、その結果は貴専攻のホームページ
で公表するとともに、
「アドバイザリー・ボード会議」に報告し、外部有識者からの
意見を聴取している(評価の視点 2-32、資料 1-13「平成 23 年度就職状況調(地域
マネジメント研究科)
」、資料 1-17「修了生による教育評価報告書・平成 24 年度香川
大学大学院地域マネジメント研究科修了生調査について」)。
学位授与状況については、教授会で審議し、修了生の進路状況については、「FD
研修会」で情報共有している。そのほか、地方自治体などを訪問するフィールド・
スタディや企業におけるインターンシップを実施するなど、教育内容・方法の改善
に活用している。また、貴専攻では新たなニーズとして、農業、観光、医療、福祉
などの領域の必要性を認識し、これに対応する授業を「四国経済事情(地域活性化
と企業経営)」及び「四国経済事情(地域活性化と地域資源)」において実施してい
ることについても評価できる(評価の視点 2-33、点検・評価報告書 27 頁)。
(2)長 所
1)修了者の評価や活躍状況を把握するため、定期的かつ継続的に派遣先組織を
訪問する活動や修了生の満足度調査など詳細に行っていることは、修了生か
らの評価や課題を確認するとともに、学生募集の一助としても効果的な取組
みであり、教育機関としてのPDCAサイクルが機能しているものとして高
く評価できる(評価の視点 2-32)。
17
3
教員・教員組織
(1)経営系専門職大学院基準の各項目に関する概評
【項目 13:専任教員数、構成等】
貴専攻における法令上の必要専任教員数は 11 名であるのに対し、2012(平成 24)
年 10 月1日時点での専任教員は 13 名であり、基準を満たしている(評価の視点 3-1)。
また、貴専攻の専任教員は、すべて貴専攻のみの専任として取り扱われており、基
準を満たしている(評価の視点 3-2)。さらに、2012(平成 24)年 10 月1日時点で
の貴専攻の専任教員 13 名のうち、教授は8名、准教授は5名であり、半数以上が教
授で構成されていることから、この点においても基準を満たしている(評価の視点
3-3)。
専任教員は、実務家教員6名(みなし専任教員1名を含む。)及び研究者教員7名
から構成されており、実務家教員は、授業の関連分野で役員経験など優れた経験と
知識を有しているとともに研究上の業績を有している。一方、研究者教員は、専攻
分野で教育上及び研究上の業績を有している。これらのことから、専攻分野につい
て、教育上又は研究上の業績を有する者、専攻分野について、高度の技術・技能を
有する者、専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有する者のいずれかに該
当すると同時に、高度な指導力を備えている教員であるといえる(評価の視点 3-4)。
また、実務家教員は、それぞれが5年以上の実務経験を有し、かつ、社長、執行役
員、副市長等の役職を経験あるいは、さまざまな部署での実務を遂行してきている
者であり、高度の実務能力を有する教員で構成されていると判断できる(評価の視
点 3-5、資料 1-6「香川大学ビジネススクール要覧」
、基礎データ表3、表4)
。なお、
研究業績の範囲について、教員の研究業績の中で学会発表原稿あるいは講演要旨を
論文として掲載している例があるが、これらは論文とは異なるため研究業績とは別
項目で扱うことが望まれる(評価の視点 3-4、基礎データ表4)
。
実務の経験を有する教員としては、2012(平成 24)年 10 月1日時点では6名を有
しており、十分な実務家教員数を確保している(評価の視点 3-7)。実務家教員が任
用後も実務とのつながりを保つための施策は特に行ってはいないが、実務家教員に
ついては、実務経験が活かせるよう3年の任期制を設けている(評価の視点 3-5)
。
専任教員の科目配置については、授業科目を特性に応じて、分析基礎科目、地域
基礎科目、基礎科目及び応用科目の4つに大別し、4つの科目区分において基本と
応用、理論と実務、基幹と周辺、基礎と先端といった性格の異なる科目を体系的に
配しており、それらの科目に対して、それぞれに専攻分野と経歴に応じた専任教員
が適切に配置されている(評価の視点 3-8)。
貴専攻では、企業やその他の組織のマネジメントに必要な専門知識である戦略、
組織、マーケティング、ファイナンス、会計などの科目には、専任教員を配置して
いる。また、グローバルな視野を持った人材育成を図るため、「国際経営」科目につ
18
いても、専任教員を配置することとしている(評価の視点 3-6)
。
各科目への教員の配置に関して、「ファイナンス・マネジメント」、「アカウンティ
ング」、「マーケティング・マネジメント」、「ゲーム理論」、「統計分析」などの理論
性を重視する科目には、研究者教員が配置され、
「マネジメント戦略」、
「事業創造論」
、
「国際経営」、「マネジメント・システム」、「ビジネス・アカウンティング」、「経営
管理論」、「環境経営」、「人事管理論」、「組織行動論」などの実践性を重視する科目
には、実務家教員が配置されている(評価の視点 3-9)。また、地域に精通したMB
Aの養成という固有の目的に照らし、上記の専門知識の科目に加え、地域公共政策、
自治体財政政策、経済分析などの経営系、地域公共系ともに主要な基幹科目には、
専任の教授又は准教授が配置されている(評価の視点 3-10)。さらに、主要科目は、
みなし専任教員を含む専任教員によって担当されている(評価の視点 3-11)。
専任教員の年齢別構成は、2012(平成 24)年 10 月1日時点で、30 代1名、40 代
7名、50 代1名、60 代2名となっており、幅広い年齢層の教員による編制となって
いるものの、若手が少ないことは今後の課題である(評価の視点 3-12)。また、実務
家教員の職業経歴は、民間企業、総務省などと幅広く、さらに、2012(平成 24)年
10 月1日に新任教員として公認会計士1名を採用していることから、職業経歴のバ
ランスが考慮されているといえる。さらに、国際経験については、5名が長期海外
留学・長期海外勤務の経験を有しているほか、2012(平成 24)年 10 月1日には外国
人教員を採用していることから配慮がされているといえる(資料 3-1「香川大学大学
院地域マネジメント研究科教員選考規程」、資料 3-2「香川大学大学院地域マネジメ
ント研究科教員選考に関する申合せ」、資料 3-3「人事に関する申合せについて」
)。
このような現状に対して、貴専攻の教員構成に関する課題は、女性教員の採用であ
る。経営学分野でも女性の博士号取得者も増えてきており、女性の企業マネジメン
ト経験者も増えつつある。貴専攻では全学的な女性教員の積極的な採用活動にあわ
せて採用していく計画ではあるが、ジェンダーバランスの問題は、今後の重要な課
題であるため、検討が期待される(評価の視点 3-13)。
貴専攻の目的に基づき、実践的な教育を実施し、学生が現場や現実の情報に精通
することができるように、任期付実務家教員制度を導入している。また、固有の目
的に沿ったカリキュラムの実施に必要な「地域公共政策」科目等を担当するため、
総務省から実質的に交流人事の形式で実務家教員として採用している。
以上のことから、貴専攻は、地域マネジメントというコンセプトのもと、理論と
実務、経営系及び地域公共系の架橋教育に留意している(評価の視点 3-14)。
【項目 14:教員の募集・任免・昇格】
研究者教員と実務家教員、経営系と地域公共系の各枠について、教員職位を適切
に編制するために、教授会の申し合わせによる基本的方針を有しており、経営系と
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地域公共系に分けて教授・准教授の定員枠を設定している。さらに、実務家教員枠
を6名以上とするとともに、任期付実務家教員の任期を3年と定め、更新はしない
こととしている(評価の視点 3-15、資料 3-1「香川大学大学院地域マネジメント研
究科教員選考規程」、資料 3-2「香川大学大学院地域マネジメント研究科教員選考に
関する申合せ」)。
貴専攻の教員の募集・任免・昇格については、貴専攻の教授会において適切な内
容の基準を定め、運用している。また、採用、昇任の審査の際には、いずれにおい
ても教育上の指導能力の評価を重要視した審査が行われている。具体的には、昇任
基準に教育に関する項目を設けており、採用時には教育方針及び講義概要を記述し
た書類の提出を求めるとともに、面接の際には模擬講義を実施している(評価の視
点 3-16、資料 3-3「人事に関する申合せについて」
、資料 3-4「教員の公募について」)。
【項目 15:専任教員の教育研究環境の整備、教育研究活動等の評価】
貴専攻における専任教員の授業担当時間は、専門科目の講義2~4単位、プロジ
ェクト演習2単位及びプロジェクト研究4単位であり、総じて、教育準備と研究に
配慮した授業担当時間となっている(評価の視点 3-17)。
2011(平成 23)年度及び 2012(平成 24)年度における個人研究費の配分額は、年
度あたり 40 万円であり、すべての専任教員に配分されている。そのうち、20 万円分
は研究科への寄付金であり、翌年度への繰り越しが可能となっている。それ以外に
研究科で特に必要と判断した研究に対して、部局長裁量経費から運営会議の議を経
て、教授会の了承のもと個人研究費に割り当てている(評価の視点 3-18、資料 3-5
「平成 24 年度香川大学大学院地域マネジメント研究科予算配分」)。
すべての専任教員には、平均 24.2 ㎡の個人研究室が準備されており、インターネ
ット接続が可能なパソコンなどが設備されている。また、個人研究費で購入された
図書や備品等も備置されており、十分な教育研究環境を整備している(評価の視点
3-18、基礎データ表8)。
研究専念期間制度等については、2008(平成 20)年度から導入され、教員の研究
活動に必要な機会として、研究科としてISSNの番号を付したワーキングペーパ
ーシリーズ及びケースシリーズを刊行しており、研究活動の促進を図っている(評
価の視点 3-19、資料 3-6「香川大学大学院地域マネジメント研究科私費内地・在外
研究実施要項」、地域マネジメント研究科ホームページ)。
専任教員の教育活動、研究活動、社会への貢献及び組織内運営等への貢献につい
ては、全学的に「教員活動評価」が導入され、実施要領に基づき評価する仕組みが
整備されており、年度ごとに教育、研究、社会貢献及び管理運営について、教員評
価が行われている(評価の視点 3-20、3-21)。また、准教授から教授への昇任審査時
に、教育活動、研究活動、社会への貢献及び組織内運営等への貢献のそれぞれに基
20
準を定め、それらをすべて満たすことを昇任の条件としている(評価の視点 3-22)。
さらに、研究活動を奨励するため、全学の外部資金獲得支援経費から学会活動等支
援経費を獲得しており、学会発表を促す取組みを行っている(評価の視点 3-23、資
料 3-3「人事に関する申合せについて」、資料 3-7「教員の活動に係る自己点検・評
価実施要領」
、資料 3-8「教員の活動に係る評価項目(地域マネジメント研究科)」)。
以上のことから、専任教員の教育研究活動の環境の整備及び専任教員の教育研究
活動等の評価については、適正に行っているといえる。
(2)検討課題
1)研究業績の範囲について、教員の研究業績の中で学会発表原稿あるいは講演
要旨を論文として掲載している例があるが、これらは論文とは異なるため研
究業績とは別項目で扱うことが望まれる(評価の視点 3-4)。
21
4
学生の受け入れ
(1)経営系専門職大学院基準の各項目に関する概評
【項目 16:学生の受け入れ方針、定員管理】
貴専攻は、固有の目的に即して次のような人材を求めており、学生受け入れ方針
(アドミッション・ポリシー)として貴専攻のホームページ及び『香川大学ビジネ
ススクール要覧』に記載している。すなわち、
「1.企業の創造的変革を先導し、グ
ローバルな視野を持ちながら地域に貢献する『ビジネス・リーダー』を目指す人、
2.行政部門に新たな戦略と行動力をもたらす『パブリック・プロフェッショナル』
を目指す人、3.地域の人々を巻き込み、地域の個性を生かした地域振興を図る『地
域プロデューサー』を目指す人」の3点のいずれかに該当する人材を受け入れるこ
とと明らかにしている(評価の視点 4-1、資料 1-5「香川大学大学院地域マネジメン
ト研究科 平成 25 年度学生募集要項」、資料 1-6「香川大学ビジネススクール要覧」
、
地域マネジメント研究科ホームページ)
。
入学者選抜にあたっては、受け入れ方針、選抜基準及び選抜方法に沿って、社会
人選抜及び一般選抜を実施しており、的確かつ客観的な評価により受け入れを行っ
ている。このうち社会人選抜では、社会的経験、志望動機及び将来の計画からなる
志望理由書の提出を求め、それに基づき面接試験を実施し、受験生の高い倫理観と
地域活性化に貢献する志を中心に質疑応答を行い、5名の教員が評価することで客
観性を担保している。また、一般選抜では、志望動機及び将来の計画からなる志望
理由書の審査及び4名の教員による面接試験に加え、小論文試験を課しており、高
い倫理観と地域活性化に貢献する志を評価している(評価の視点 4-2)。
こうした選抜方法及び選抜手続は、貴専攻のホームページ及び学生募集要項に記
載されており、学生募集要項は募集開始の半年前に決定し、公表されているため、
受験希望者は学務第二係へ郵送請求を行う、あるいは貴専攻のホームページからダ
ウンロードすることで学生募集要項を入手することが可能となっている。このこと
から、選抜方法及び選抜手続は、広く社会に公表されているといえる(評価の視点
4-3)。
入学者選抜にあたっては、アドミッション・ポリシーに沿って、入学試験につい
ての申し合わせを作成している。すなわち、小論文試験の出題においては、出題・
採点委員を経営系と地域公共系の双方の専門領域の教員から選び、経営系と地域公
共系のバランスに配慮している。また、面接においては、具体性(実績)、論理性、
着眼点及び熱意の4点を評価のポイントとし、地域活性化に貢献する志と能力を有
しているかどうかを評価している。なお、あらかじめ教授会において、一般選抜に
必要な3名の出題採点委員、2名の点検委員及び4名の面接委員並びに社会人選抜
に必要な5名の面接委員をそれぞれ決定している(評価の視点 4-4、資料 4-2「香川
大学大学院地域マネジメント研究科入試についての申合せ」、実地調査時閲覧資料 27
22
「入試各種委員の担当について」)。
定員管理に関して、入学定員 30 名に対し、入学者数は、2010(平成 22)年度 37
名(夏期4名、秋期 10 名、冬期 23 名)
、2011(平成 23)年度 28 名(夏期3名、秋
期 12 名、冬期 13 名)
、2012(平成 24)年度 33 名(夏期8名、秋期4名、冬期 21 名)、
2013(平成 25)年度 34 名(夏期4名、秋期 13 名、冬期 17 名)となっており、入学
定員に対する入学者比率としては、経年的に 2010(平成 22)年度 1.23、2011(平成
23)年度 0.93、2012(平成 24)年度 1.10、2013(平成 25)年度 1.15 となっている。
また、在籍学生数は、収容定員 60 名に対し、2010(平成 22)年度 69 名、2011(平
成 23)年度 66 名、2012(平成 24)年度 67 名、2013(平成 25)年度 69 名となって
おり、定員数を充足している。なお、入学者のうち、企業等から派遣書のある者は、
2011(平成 23)年度は9名、2012(平成 24)年度は 10 名、2013(平成 25)年度は
10 名となっている(評価の視点 4-5、資料 4-1「香川大学大学院地域マネジメント研
究科入学状況」、基礎データ表5、実地調査時プレゼンテーション資料、実地調査時
閲覧資料 12「2013 年度入学者及び企業からの派遣学生数※2011~2013 実績」)。
受け入れ学生の対象は、企業等で2年以上の社会経験を有する者及び学部新卒学
生としており、前述のように社会人選抜及び一般選抜の2種類の選抜方法によって
実施している。さらに、学生募集方法及び入学者選抜方法は、一般選抜と社会人選
抜に分けて、7月の夏期、10 月の秋期、2月の冬期の各3回実施し、公正な機会を
等しく確保している。特に、社会人の勤務の都合等に配慮し、入学試験は土曜日に
実施している。なお、大学卒業資格を持たない社会人に対しても職業や社会的経験
等の実績を評価することで出願資格を判断している(評価の視点 4-6、資料 4-3「香
川大学大学院地域マネジメント研究科入学試験実施要項(夏期)」、資料 4-4「香川大
学大学院地域マネジメント研究科入学試験実施要項(秋期)」、資料 4-5「香川大学大
学院地域マネジメント研究科入学試験実施要項(冬期)」)。
以上のことから、明確なアドミッション・ポリシーが設定され、適切な選抜方法・
手続等によって学生を受け入れており、入学者数及び在籍学生数の管理が行われて
いるといえる。
【項目 17:入学者選抜の実施体制・検証方法】
入学者選抜にあたっては、教授会において一般選抜に必要な出題採点委員、点検
委員及び面接委員並びに社会人選抜に必要な面接委員をそれぞれ決定している。入
学試験の実施体制としては、研究科長を実施責任者とし、入試関係委員(6名)を
実施委員としてすべての専任教員が、学務第二係の協力のもとで実施にあたってい
る。具体的な執行に関しては、出題採点委員(3名)、点検委員(2名)、面接委員
(一般選抜4名、社会人選抜5名)という役割分担がなされており、客観性を保つ
よう努めている。また、合否判定に係る「面接における評点の目安」については、
「香
23
川大学大学院地域マネジメント研究科入試についての申合せ」において定められて
いる。入学試験実施後、すべての専任教員により構成する「入試判定会議」を開催
し、面接及び小論文採点結果の報告を受け、従来の合否判定基準に照らして合否案
を作成し、教授会で最終決定している(評価の視点 4-7、資料 4-2「香川大学大学院
地域マネジメント研究科入試についての申合せ」、資料 4-6「平成 24 年度 各種委員
等一覧」)。
学生の受け入れ方針、対象及び選抜基準・方法等、学生の受け入れのあり方につ
いては、「入試関係委員会」において、入学試験ごとに検証を行っている。また、改
善内容の最終決定は、運営会議の議を経て、教授会で決定しており、このことから
継続的に検証する組織体制・仕組みが確立されているといえる(評価の視点 4-8)
。
学生募集方法及び入学者選抜方法は、一般選抜と社会人選抜に分けて各3回ずつ
実施することによって、公正な機会を等しく確保しており、多忙な社会人に配慮し、
入学試験は土曜日に実施されている。また、出願期間は、2012(平成 24)年度から
は 17 日間とし、それまでの8日間から大幅に拡大している(評価の視点 4-9、資料
1-5「香川大学大学院地域マネジメント研究科 平成 25 年度学生募集要項」、資料 4-3
「香川大学大学院地域マネジメント研究科入学試験実施要項(夏期)」、資料 4-4「香
川大学大学院地域マネジメント研究科入学試験実施要項(秋期)」、資料 4-5「香川大
学大学院地域マネジメント研究科入学試験実施要項(冬期)」)。
24
5
学生支援
(1)経営系専門職大学院基準の各項目に関する概評
【項目 18:学生支援】
学生生活に関する相談・支援体制については、貴専攻では、「アカデミック・アド
バイザー制度」を活用し、学生生活に関する支援・指導を行っている。また、貴専
攻の学生による組織である「院生協議会」については、「学生関係委員会」の管轄と
なっており、相互情報交換及び学生からの要望・質問等に対応している(評価の視
点 5-1、資料 2-4「香川大学大学院地域マネジメント研究科アカデミック・アドバイ
ザー細則」、資料 2-5「香川大学大学院地域マネジメント研究科アカデミック・アド
バイザー記録」、資料 5-1「香川大学大学院地域マネジメント研究科院生協議会規約」)。
各種ハラスメントの防止に関する規定及び相談体制は、全学的な組織として「香
川大学コンプライアンス委員会」が設置されており、「香川大学コンプライアンス・
ガイドライン」を制定し、「コンプライアンス相談窓口」及び「ハラスメント相談窓
口・相談員連絡先」を設けることによって、各種ハラスメントへの対応を行ってい
る。これらの組織や窓口については、貴大学のホームページ上に掲載されており、
貴専攻においても全学的な規程及び相談体制に準じ、ハラスメント相談員及び苦情
相談員の教員を配置し、これらの体制や相談窓口について新入生ガイダンスの機会
を利用し学生に周知が図られている(評価の視点 5-2、資料 4-6「平成 24 年度 各
種委員等一覧」、資料 5-4「国立大学法人香川大学ハラスメント防止規則」、香川大学
ホームページ)。
奨学金などの学生への経済的支援について、貴専攻では、財団法人かがわ産業支
援財団の「中小企業後継者育成事業」、財団法人香川県市町村振興会の「修学助成」、
厚生労働大臣指定教育訓練講座における「教育訓練給付制度」等を導入し、社会人
学生を対象とした経済的支援体制を整備している。くわえて、全学的には、日本学
生支援機構や地方公共団体・民間育英事業団体等からの奨学金が設けられているほ
か、貴大学独自の特待生制度により、毎年、1年生の成績においてGPAの最優秀
者1名に対して2年生後期の授業料を免除している(評価の視点 5-3、資料 5-5「香
川大学大学院地域マネジメント研究科修学助成一覧」)。
学生の進路・選択に関わる相談・支援体制としては、「実践型インターンシップ」
、
「プロジェクト演習」及び「プロジェクト研究」の科目において、教員が適宜相談
に乗るなどの対応を行っている。また、学生の進路選択に関わる相談・支援のため
に、前述の「アカデミック・アドバイザー制度」が利用されており、それぞれの学
生の進路等に応じて、履修モデルに基づく助言や履修指導等を行っている。さらに、
「学生関係委員会」を設けているほか、全学的なキャリア支援センターが企業情報
及び就職情報の提供に加え、相談や指導を実施しており、貴専攻を含んだ学生への
支援体制を整えている(評価の視点 5-4、資料 2-4「香川大学大学院地域マネジメン
25
ト研究科アカデミック・アドバイザー細則」、資料 2-5「香川大学大学院地域マネジ
メント研究科アカデミック・アドバイザー記録」、資料 2-9「実践型インターンシッ
プ実施要項」
、資料 2-12「実践型インターンシップパンフレット」、香川大学ホーム
ページ)。
身体に障がいのある学生、留学生、社会人学生等に対しては、アカデミック・ア
ドバイザーが相談に乗り、当事者の要望を踏まえて、貴専攻が組織的に対応する体
制を整備している。社会人学生に対しては、教育研究に必要なラウンジ及び自習室
は 24 時間、図書館は日曜日を含め 22 時まで利用できる体制をとっている。また、
大学構内は学生の車両入構を原則禁止としているが、社会人学生の夜間の通学を考
慮して6時から 24 時までの間、特別に入講を許可している。留学生に対しては、全
学の留学生センターにおいて対応しており、外国語版の入学案内の作成や留学生ニ
ュースの発行、日本語語学研修の実施のほか、日常生活の諸問題に対応できるよう
同センターに専任の教員が配置されている。くわえて、貴専攻でも留学生担当委員
を任命し、留学生センターと連携を取りながら支援にあたっている(評価の視点 5-5、
点検・評価報告書 41~42 頁)
。
学生の自主的な活動を支援するため、学生による「院生協議会」を組織しており、
年に2回、「院生協議会委員」の学生と「学生関係委員会」の教員が情報交換・意見
交換を行っている。また、貴専攻独自の同窓会が 2011(平成 23)年7月に設立され、
これに対して勉強会の会場提供等の支援を継続的に行うとともに、教職員が同窓会
の理事会に出席し、同窓会の運営支援や行事の開催等についての連絡調整を行って
いる。さらに、固有の目的に即して、シンポジウムなど学生中心の取組みが開催さ
れており、この取組みに対して、貴専攻は担当の教員を配置して助言・指導を行う
とともに、会場費や講師謝金などの経費面を支援している(評価の視点 5-6、5-7、
資料 5-1「香川大学大学院地域マネジメント研究科院生協議会規約」、資料 5-10「香
川大学ビジネススクールシンポジウム資料」)。
26
6
教育研究環境
(1)経営系専門職大学院基準の各項目に関する概評
【項目 19:施設・設備、人的支援体制の整備】
講義室については、貴専攻では、特別講義室及び第二講義室の2つを優先的に使
用し、第一講義室を他研究科と共用している。この特別講義室及び第二講義室は、
教員と学生との多方向の授業形式に適した設計になっているとともに、3つの講義
室とも講義収録システムを含む情報機器を整備している。また、
「プロジェクト演習」
及び「プロジェクト研究」の科目では演習室を使用している。さらに、貴専攻専用
の講義室は、講義収録システムを含む情報機器を備えており、サテライトへの配信
や自習のための講義録画を行うことが可能な設備となっている(評価の視点 6-1)
。
自習室としては、専用スペースである大学院自習室を設けているほか、香川大学・
愛媛大学連合法務研究科との共用の討論室が設けられており、昼間は連合研究科の
学生が中心に利用し、夜間は貴専攻の学生が中心に利用している。また、ラウンジ
と隣接するPCルームは 24 時間利用できる体制になっている。さらに、図書館にも
自習スペース及びグループワークのスペースが設けられている。総合情報センター
についても、全学の学生が利用できるPCルーム、オープンスペースを設置してい
る。また、固有の目的に即して、自習室内に貴専攻独自の金融シミュレーションル
ームが設けられ、地域金融関係の図書約 200 冊、地域金融関連データ及びインター
ネット接続可能なパソコンを設置している(評価の視点 6-2、資料 5-7「香川大学大
学院地域マネジメント研究科自習室使用規程」
、資料 6−2「香川大学総合情報センタ
ー利用規程」
)。
障がいのある学生のための施設・設備の整備としては、「特別講義室」及び「第二
講義室」はすべて1階にあり、アクセスのためにスロープ(車椅子対応)が整備さ
れている。3階にある研究科独自のラウンジ(自習室)及びPCルームにはエレベー
タが設置されており、バリアフリー化が図られている。また、「プロジェクト演習」
「プロジェクト研究」で使用する演習室も1階あるいはエレベータのある建物の部
屋が利用可能となっており、障がいのある者への施設・設備が整備されている(評
価の視点 6-3、資料 5-6「学内スロープ配置図」
、資料 6−1「香川大学構内配置図」)。
学生の学習、教員の教育研究活動に必要な情報インフラストラクチャーのとして、
専任教員及び大学院生にはすべてメールのアカウントが交付されており、希望者に
はWWWを公開することも可能となっている。さらに、キャンパス内ではイーサネ
ットあるいは無線LANによって、学内LANへの接続が可能となっている(評価
の視点 6-4)
。
教育研究に資する人的な支援体制については、次の2種の体制が取られている。
1つは、法学部・経済学部事務課が学部等とあわせて貴専攻の事務的な支援に対応
しており、教務関係は学務第二係(経済系を担当)
、研究関係は総務係が担当してい
27
る。なお、学務第二係では、貴専攻の講義開講曜日に合わせて、土曜日にも勤務す
る体制となっている。また、夜間主勤務体制については、学務第二係もしくは学務
第一係(法学系等を担当)から1名が必ず、夜間講義の終了時間である 21 時 30 分
までの勤務を行っている。
そのほかの補助体制として、貴専攻独自に専属の6時間雇用の非常勤職員を3名
雇っており、貴専攻の固有の目的に精通し、研究科の教育研究及び幅広い地域社会
との連携の諸活動を担っている。また、遠隔講義システムに関しては、双方向の議
論などが可能であり、配信元である大学内講義室は、技術補佐員が運営を支援して
いる。具体的には、希望があった場合、遠隔講義は徳島市、東かがわ市、坂出市に
配信され、各会場に講義補助員1名を配置することにより、運営を支援している。
なお、2012(平成 24)年度は「四国経済事情(地域活性化と地域政策)」、
「四国経済
事情(地域活性化と地域資源)」、「四国経済事情(地域活性化と企業経営)」、「地域
ICTマネジメント」及び「プロジェクト研究」の5科目について配信を行ってい
る(評価の視点 6-5、6-6、資料 6-3「香川大学法学部・経済学部事務組織図」)。
【項目 20:図書資料等の設備】
全学的な図書館には和書・洋書あわせて、88 万 7,089 冊の蔵書があり、そのうち、
貴専攻に関連が深い分野の図書は 10 万 4,283 冊であり、豊富な蔵書が整備されてい
る。また、雑誌については、和洋あわせて約 4,854 タイトルの雑誌を講読し、うち
貴専攻に関連が深い分野(経済・経営系)の雑誌は 183 タイトル、貴専攻独自に購
読する雑誌は7タイトルとなっている。なお、図書館の耐震化工事のため、2013(平
成 25)年夏から同年度内においては一時的に仮設図書館(2万冊)で運用されてい
る。
さらに、貴大学で全文が利用できる電子ジャーナルの全タイトルは、無料のもの
も含めて約2万 2,681 タイトルある。このうち、「ビジネスと経済」に分類されるも
のが計 1,137 タイトル、「社会・行動科学」に分類されるものが計 1,953 タイトルあ
る(資料 6-4「香川大学学術情報の基礎知識」)。さらに、貴専攻教員は、電子ジャー
ナルアーカイブJSTORの Business コレクションが利用できるほか、データベー
スについては、CiNii、SciVerse Scopus、EconLit、聞蔵(きくぞう)Ⅱビジュアル、
JapanKnowledge が利用可能である(評価の視点 6-7)。
また、学生が自習等で使用するラウンジには、貴専攻に関連の深い図書等が 369
冊整備されており、内訳は、図書 256 冊、大学紀要・学会論文集 31 冊、官公庁・企
業公表資料 82 冊となっている。さらに、金融シミュレーションルームには、金融関
係の図書が約 200 冊備えられている。くわえて、ラウンジが設けられている交友会
館には、主に法学部・法学研究科、経済学部・経済学研究科、香川大学・愛媛大学
連合法務研究科との共有で、社会科学の紀要、雑誌の書庫も備えてある(評価の視
28
点 6-8、香川大学ホームページ)。
図書館は、年間を通じて、土曜日・日曜日も含めて 22 時まで利用可能となってい
る。また、大学院生に対しては、図書の貸出冊数は一般貸出5冊まで、書庫用図書
貸出は 20 冊までとなっており、貸し出し期間はそれぞれ一般貸出が2週間、書庫用
図書貸出が2ヶ月となっていることから、教育研究に配慮されている。
これらのことから、図書館(図書室)における図書・電子媒体などの各種資料は、
おおむね整備されているとともに、利用規程や開館時間は、学生の学習、教員の教
育研究活動に配慮したものとなっているといえる。ただし、社会人学生に対しては、
図書館の利用時間の延長について検討することが期待される(評価の視点 6-8、実地
調査時閲覧資料「香川大学図書館仮設図書室 利用案内」)。
(2)特 色
1)交友開館3階には学生がグループワークのできる 24 時間利用が可能な自習室
ラウンジが整備されており、貴専攻の設備の特色である(評価の視点 6-6)。
(3)検討課題
1)図書館は年間を通じ 22 時まで利用可能だが、社会人学生の利便性に配慮し、
図書館の利用時間の延長について、検討することが期待される(評価の視点
6-8)。
29
7
管理運営
(1)経営系専門職大学院基準の各項目に関する概評
【項目 21:管理運営体制の整備、関係組織等との連携】
「香川大学大学院学則」第 11 条及び「国立大学法人香川大学組織規則」第 24 条
により、貴専攻に教授会が設置され、研究科長の選考が行われている(評価の視点
7-1)。教授会では教育研究に関する重要事項の審議のほか、研究科長の指示に基づ
き研究科の運営に関する重要事項について、企画立案及び調整が行われている。管
理運営にあたっては、関連法令等に基づき、「香川大学大学院地域マネジメント研究
科規程」を定めている(評価の視点 7-2、資料 1-2「香川大学大学院地域マネジメン
ト研究科規程」、資料 7-1「香川大学組織規則」
、資料 7-2「香川大学大学院学則」、
資料 7−3「香川大学大学院地域マネジメント研究科教授会規程」
)。
また、「香川大学教授会規則」に基づき、貴専攻の教学及びその他の管理運営に関
する重要事項については、すべての専任教員により構成される教授会の議を経て、
決定されている。さらに、企業、その他外部機関との協定、契約等の決定・承認や
資金の授受・管理等の重要事項については、教授会の決定が尊重されている(評価
の視点 7-3)。なお、研究科長の任免等については、
「香川大学大学院地域マネジメン
ト研究科研究科長候補者選考規程」が設けられ、適切に運用されている(評価の視
点 7-4、資料 7-3「香川大学大学院地域マネジメント研究科教授会規程」
、資料 7-4
「香川大学大学院地域マネジメント研究科研究科長候補者選考規程」、資料 7-5「香
川大学大学院地域マネジメント研究科副研究科長選考規程」)。
外部機関との連携・協働のための協定、契約等については、教授会の議を経て適
正な手続のもとで締結されている。また、資金の授受・管理等に関し、授受につい
ては法人本部の研究協力グループ及び資金グループが担当しており、管理について
は法学部・経済学部事務課総務係が行うことで、教員は直接に関与できない仕組み
となっている(評価の視点 7-5)。
貴専攻と関係する学部等として、同じ事務組織が担当する経済学部・経済学研究
科、法学部・法学研究科、香川大学・愛媛大学連合法務研究科があり、課題に応じ
て、各部局長が会議を開催し、連携・役割分担が図られている。特に、経済学部・
経済学研究科との間では相互の講義の提供など、連携が進められている(評価の視
点 7-6、資料 7-7「四部局連絡調整会議規程」)
。
【項目 22:事務組織】
貴専攻では、4部局を担当する法学部・経済学部事務課が事務組織として設置さ
れている。なお、貴専攻では固有の専属事務組織を設けておらず、同事務課は法学
部や経済学部などと兼務となっている。貴専攻の学務を担当する学務第二係は6名
であり、同課は貴専攻のほか経済学部・経済学研究科を担当している。しかし、貴
30
専攻は社会人学生を受け入れるとともに、実務家教員を採用しており、既存の学部
や研究科とは異なる教育及び教員体制であるため、より独立性の高い事務組織の構
築が望まれる。特に、経営系専門職大学院は、従来の研究大学院と異なり、コース
ワークや学内外でのプログラムによってカリキュラムが構成されているため、事務
的な意思決定の過程や財務管理の過程については、独立して運営されることが望ま
れる(評価の視点 7-7、7-9)
。
法学部・経済学部事務課は、法人本部の各グループ及び研究科事務補佐員・技術補
佐員と連絡を密に取り、適切かつ迅速に業務を遂行できるよう運営されている。しか
し、貴専攻では平日夜間に開講し、社会人学生を受け入れるとともに、実務家教員を
採用するなど、学部とは著しく異なる体制となっていることから、それらに対応でき
る事務組織が必要である。この点について、貴専攻からの要請等に対して、非常勤職
員を採用するなどの工夫は見られるが、具体的な取組みがなされていない。事務体制
は、意思決定過程と財務管理の観点から、独立性を持たせた組織体制として構築し、
社会人学生や実務家教員からの要請に対して迅速かつ的確に対応できる組織として
運営されるよう、改善が期待される(評価の視点 7-8、資料 6-3「香川大学法学部・
経済学部事務組織図」
)。
(2)検討課題
1)貴専攻では平日夜間に開講し、社会人学生を受け入れるとともに、実務家教
員を採用していることから、既存の学部や研究科とは異なる教育及び教員体
制であるため、より独立性の高い事務組織の構築が望まれる(評価の視点 7-7)
。
31
8
点検・評価、情報公開
(1)経営系専門職大学院基準の各項目に関する概評
【項目 23:自己点検・評価】
自己点検・評価のための仕組み及び組織体制として、研究科長を含む4名の教員
で構成される「評価関係委員会」が設置され、自己点検・評価のための体制構築、
戦略立案、取りまとめ及び調整を行っている(評価の視点 8-1、資料 4-6「平成 24
年度 各種委員等一覧」)。
自己点検・評価及び第三者評価等は「評価関係委員会」が、教育研究活動の改善
のための「FD研修会」は「教務関係委員会」がそれぞれ担当し、両委員会が連携
しつつ、点検・評価等の結果を月例の「FD研修会」で報告し、改善方法を教員間
で議論している(評価の視点 8-2、資料 1-18「FD研修会記録(抜粋)」)
。
2008(平成 20)年度に本協会の経営系専門職大学院認証評価を受けた際には、①
職業倫理観の涵養、②カリキュラム全般の一貫性、③四国経済事情が一貫した目的
で行われること、④ファイナンス・マネジメントを必修・通常講座として設置し、
専任教員を採用する、⑤事務体制、の5つの問題点(検討課題)が提示された。こ
れらについて、その後改善を行い、2011(平成 23)年7月に改善報告書を提出し、
認証評価における上記の問題点については、おおむね改善が図られているといえる
(評価の視点 8-3、資料 8-7「学部・研究科等の現況分析/部局等の教育研究活動評
価」)。
また、貴専攻では、その固有の目的に鑑みて、民間・公共両部門の地元有識者か
ら構成される「アドバイザリー・ボード会議」を設置している。これは、民間・公
共両部門の地元有識者からの意見を改善サイクルに取り入れる仕組みであり、特色
ある取組みとして評価できる(評価の視点 8-5)
。
しかし、貴専攻の中長期ビジョンである「地域活性化に貢献する教育・研究を進
める」及び「ビジネスリーダー・パブリックプロフェッショナル・地域プロデュー
サーを育成する」の2点についても、自己点検・評価の対象として検証していくこ
とが望まれる。また、自己点検・評価においては、貴専攻が固有の目的の実現のた
めに作成している7つの戦略(1.経営系と地域公共系の融合的な教育研究を進める。
2.理論と実務の双方向教育を発展させる。3.農業・観光・医療・福祉などとの文
理融合の研究を進める。4.地域振興とグローバル化を融合した教育研究のコンセプ
トを構築する。5.リカレント・プログラムなどを通じ、同窓会を支援する。6.四
国地域全域と中国地方東部からの学生の受け入れを進める。7.多忙な社会人向けに
非学位プログラムを検討する。)の達成についても評価対象とすることが望まれる
(評価の視点 8-4)。
【項目 24:情報公開】
32
貴専攻では、
「アドバイザリー・ボード会議」を通じ、自己点検・評価の結果の検
討が行われている。2011(平成 23)年度の自己点検・評価の結果については、
「アド
バイザリー・ボード会議」による評価・意見書とともに報告書を作成し、貴専攻の
ホームページにて公表されている(評価の視点 8-6、資料 1-13「国立大学法人香川
大学大学院地域マネジメント研究科アドバイザリー・ボードに関する規程 平成 23
年度香川大学大学院地域マネジメント研究科アドバイザリー・ボード会議報告書」、
地域マネジメント研究科ホームページ)
。
貴大学ホームページにおいて、
「教育情報の公表」を設け、貴専攻を含むすべての
学部・研究科についての情報を公開している。その他、カリキュラム、教員、研究
活動、入学試験等の詳細や、在学生や修了生の声、研究科についてのQ&A等につ
いては、貴専攻のホームページに掲載するとともに、『香川大学ビジネススクール要
覧』、『香川大学ビジネススクール案内』及び情報誌『地域マネジメント』をとおし
て、適切な情報公開がなされている(評価の視点 8-7、資料 1-6「香川大学ビジネス
スクール要覧」、香川大学ホームページ)。
特徴的な取組みとしては、「四国経済事情」における香川県知事や株式会社百十四
銀行頭取の講義に関する新聞・テレビ報道、「瀬戸内連携ワークショップ」の開催、
優れたプロジェクト研究の報告会等があげられる。また、学生が主体となって『香
川大学ビジネススクール情報誌』の刊行を続けており、そのなかで常に「固有の目
的」を掲載し周知する努力を行っていることは、貴専攻の情報公開における特色で
ある。
しかし、学外の取組みは積極的に行われているが、学内広報の観点からは十分と
はいえない。経営系専門職大学院の運営は、従来の研究大学院とは異なった視点が
必要となり、この視点は大学全体で共有しなければならないため、学内での貴専攻
に対する理解をいかに深めていくかについては長期的な戦略が必要である(評価の
視点 8-8、資料 1-8「新聞記事等一覧」、資料 8-1「かがわアグリイノベーションズ資
料」、資料 8-2「瀬戸内連携ワークショップ資料」、資料 8-3「平成 24 年度公開講義
案内(チラシ)」、資料 8-4「香川大学ビジネススクール オープンスクール案内」
、
資料 8-5「香川大学大学院地域マネジメント研究科 平成 23 年度プロジェクト研究
報告会」)。
(2)特 色
1)「アドバイザリー・ボード会議」を通じて自己点検・評価の結果を説明し、検
討する体制は、民間・公共両部門の地元有識者からの意見を改善サイクルに
取り入れる仕組みであり、特色ある取組みとして評価できる(評価の視点 8-5)
。
2)学生が主体となって『香川大学ビジネススクール情報誌』の刊行を続けてお
り、そのなかで常に「固有の目的」を掲載し周知する努力を行っていること
33
は、貴専攻の情報公開における特色である(評価の視点 8-8)。
(3)検討課題
1)自己評価・点検において、貴専攻の示している7つの戦略(1.経営系と地域
公共系の融合的な教育研究を進める。2.理論と実務の双方向教育を発展させ
る。3.農業・観光・医療・福祉などとの文理融合の研究を進める。4.地域
振興とグローバル化を融合した教育研究のコンセプトを構築する。5.リカレ
ント・プログラムなどを通じ、同窓会を支援する。6.四国地域全域と中国地
方東部からの学生の受け入れを進める。7.多忙な社会人向けに非学位プログ
ラムを検討する。)の達成についても評価対象とすることが望まれる(評価の
視点 8-4)。
2)中長期ビジョンである「地域活性化に貢献する教育・研究を進める」及び「ビ
ジネスリーダー・パブリックプロフェッショナル・地域プロデューサーを育
成する」の2点について、自己点検・評価の対象として、その成果の検証す
ることが望まれる(評価の視点 8-2)。
3)経営系専門職大学院の運営は、従来の研究大学院とは異なった視点が必要と
なり、この視点は大学全体で共有する必要があるため、学内への情報公開・
PRを実施し、貴専攻に対する理解を深めていくことが必要である。また、
そのためには長期的な戦略が課題であるため、検討が期待される(評価の視
点 8-7)。
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