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1.外装壁タイルの接着剤張りについて LIXIL 石原正文さん

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1.外装壁タイルの接着剤張りについて LIXIL 石原正文さん
最新! 外壁タイル 弾性接着剤張りセミナー
~タイル張りの安全性向上とコスト低減の工夫~
外装壁タイルの接着剤張り
㈱LIXIL エクステリアシステム事業部
タイル事業部 タイル開発部
Copyright © LIXIL Corporation, All rights reserved.
講習会の内容
1.タイル張りの躯体保護効果
2.外装接着剤張りの特徴
3.外装接着剤張りの注意事項
4.公共建築工事標準仕様書の改定内容
5.Q-CATについて
1
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軍艦島(長崎県)の調査結果
東京理科大学 建築学科 今本教授らの調査
1916年(大正5年)
日本初 RC造集合住宅
1890年 炭鉱として整備。海軍の
土佐丸に似ていることから命名
2
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※ タイルの本2013年10月号「特別レポート 軍艦島構造物の劣化調査とタイルの躯体保護効果」より抜粋
RC造の建物はコンクリート中の鉄筋が腐食
鉄製材料、木材は腐食が激しく、窓ガラスはほとんど破壊
3
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軍艦島ではタイルだけが健全に残っていました
護岸堤防のタイル壁画
集合住宅入口のタイル
小中学校玄関ホールのモザイク壁画
4
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タイル張りによるコンクリート躯体の中性化抑制効果
●中性化深さ
タイル張り部分では中性化がコンクリートまで達せず、
建築後60年たってもコンクリートの中性化
深さはほぼゼロ
フェノールフタレイン溶液の化学反
応による変色(呈色)の状態から
中性化領域の間隔(深さ)を測定
●細孔構造の分析
タイル張り面は、タイルと目地によって非常に緻密な
構造となっており、仕上げ層の透気性がきわめて
低いため、中性化が抑制されていることが判明
水銀圧入し、水銀の細孔分布、
総細孔量などを測定
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5
東京大学 工学部3号館の調査結果
東京理科大学 建築学科 今本教授らの調査
1935年(昭和10年)建築 (RC造4階建て+SRC造による増築)
外壁仕上げ:下地モルタル+スクラッチタイル張り
6
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タイル張りのコンクリート躯体の中性化抑制効果
70年経過した建物でもタイル張り部分のコンクリートの中性化は
完全に抑制されていました。
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講習会の内容
1.タイル張りの躯体保護効果
2.外装接着剤張りの特徴
3.外装接着剤張りの注意事項
4.公共建築工事標準仕様書の改定内容
5.Q-CATについて
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セラミックタイル張りの特徴
躯体保護効果
耐久性
メンテナンス(清掃性)
マンション外壁を
中心に採用
意匠性(面状、質感 等)
・はく離はく落 問題
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はく離発生のメカニズム
はく離は異種材料の接着性と発生応力との関係により起きます
接着性 < 発生応力
はく離
接着性
・下地状態
・タイル、施工材料
・モルタル塗り施工
・タイル施工
発生応力
・温湿度変化
・躯体設計
・伸縮調整目地
・タイル目地
・養生期間
10
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はく離事例
モルタル下地と張付けモルタル界面のはく離 コンクリートと張付けモルタル界面のはく離
(直張り)
R面
コンクリートと張付けモルタル界面のはく離
(直張り)
11
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はく離対策の例
モルタル張りでは、各界面のせん断抵抗性を高めることが有効
<その他>吸水調整材の使用、浅目地
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強い接着性から、変形追従へ
接着剤張りを推奨します
①多様な意匠が可能
②はく離に対する安全性が高い
③ライフサイクルコストが安くなる
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①多様な意匠
モルタル張りははく離防止のため
目地詰めが必要
接着剤張りでは目地詰めが必要ないため、
深目地、細目地などの意匠が可能
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②はく離に対する安全性
下地の動きに対する追従性能が高い
温度応力に対する追従性能が高い
地震による躯体の動きへの追従性能が高い
施工が容易で作業による接着性能のばらつきが少ない
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なぜ 接着剤張りの普及が遅かったか?
実績が少ない工法は採用しづらい
公的な仕様書でオーソライズされていない工法は採用しづらい
しかし
ビル物件での実績の増加。年間約240万㎡の実績(2013年度)
2006年に外装タイル張り用有機系接着剤のJISが制定
2012年に日本建築学会の工事標準仕様書(JASS19)に記載
2013年に国土交通省制定の公共建築工事標準仕様書に記載
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東北地方太平洋沖地震における被害調査結果
東北地方太平洋沖地震におけるRC造の接着剤張り(はるかべ工法)物件の被害に
ついて、仙台市を中心に14物件調査しましたが、被害は全くありませんでした。
NO.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
物件
Aマンション
Bマンション
Cホテル
Dマンション
E公共施設
Fマンション
Gマンション
H大学I棟
H大学J棟
K介護施設
L事務所ビル
Mマンション
N特別養護老人ホーム
O介護施設
所在地
仙台市泉区
仙台市青葉区
仙台市宮城野区
仙台市宮城野区
仙台市泉区
仙台市青葉区
仙台市青葉区
仙台市青葉区
仙台市青葉区
仙台市青葉区
仙台市若林区
仙台市若林区
宮城県亘理町
山形県天童市
震度
タイル
6弱
6弱
6強
6強
6弱
6弱
6弱
6弱
6弱
6弱
6弱
6弱
6弱
5弱
ボーダー
二丁掛
ボーダー
50二丁
二丁掛
二丁掛
二丁掛
二丁掛
二丁掛
50二丁
50二丁
50二丁
50二丁
50二丁
タイル数
量(㎡)
530
200
5,200
500
1,800
300
300
3,000
3,600
880
300
1,000
800
1,000
施工年
被害
2009年
2002年
2010年
2007年
2002年
2003年
2003年
2007年
2008年
2008年
2010年
2007年
2010年
2001年
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
17
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接着剤張り(はるかべ工法)とモルタル張りが併用された仙台の2物件では、
モルタル張りは剥落やひび割れの被害がみられたのに対し、接着剤張りでは
被害がなく、安全性が高いことが実証されました。
NO.
物件
1
2
Aマンション
Bマンション
接着剤張り被害率
モルタル張り被害率
剥落
ひび割れ
剥落
ひび割れ
0%
0本/100㎡ 0.12% 0.67本/100㎡
0%
0本/100㎡
0%
2本/100㎡
ひび割れ
剥離
Aマンション
モルタル張り
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Aマンション
接着剤張り
Bマンション
モルタル張り
Bマンション
接着剤張り
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モルタル張りの状況
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変形追従性能
接着剤張り(はるかべ工法)はモルタル張りに比較して変形に対する追従性
能が高く、剥離の危険性が低くなります。
また、目地を詰めない深目地施工でも耐剥離性能が高くなります。
500
剥離発生
450
タイル歪(μ )
400
モルタル施工、浅目地
350
300
モルタル施工、深目地
250
200
弾性接着剤張り、浅目地
150
100
50
弾性接着剤張り、深目地
0
0
200
400
600
800
コンクリート歪(μ )
1000
1200
20
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変形追従性能 モルタル下地の剥離抑制
接着剤張り(はるかべ工法)は、モルタル下地がある場合にモルタルの剥離
も抑制する効果があります。
500
剥離発生
タイルひずみ(μ )
450
接着剤張り/下地なし
接着剤張り/下地7mm
400
接着剤張り/下地15mm
350
モルタル張り/下地なし
300
モルタル張り/下地7mm
モルタル張り/下地15mm
250
200
剥離発生なし
150
100
50
0
0
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200
400
600
800
1000
コンクリートひずみ(μ )
1200
1400
1600
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接着剤張り(はるかべ工法)では接着剤層が動きを緩和するため、コンクリー
トとモルタル間の応力発生が低減され、この界面でのはく離も抑制できます。
コンクリート
コンクリート
下地モルタル
下地モルタル
張付けモルタル
接着剤
タイル
タイル
モルタル張り
接着剤張り
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施工管理
接着剤(ワンパックボーイ)は、モルタルに比較してオープンタイムが長く
とることができ、接着のバラツキが少なくなります。
オープンタイム(分)
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
既製調合モルタル
(イナメントタフ
Ⅰ)
40℃
○
△
×
×
×
×
×
×
×
×
20℃
○
○
△
×
×
×
×
×
×
×
接着剤
(ワンパックボー
イR-V2スーパー)
40℃
○
○
○
△
△
×
×
×
×
×
20℃
○
○
○
○
○
○
△
△
△
×
モザイクタイル張り、圧着張りの場合。
○:張付け材料の皮ばりがなく、接着が良好。
△:張付け材料の皮ばりがあるが、たたきにより接着可能。
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施工者を選ばない
接着剤張り(はるかべ工法)は、作業のバラツキによる接着性の変化が少な
く、安定した接着が得られます。
5人の若手職人によるタイル施工試験の結果
12
弾性接着剤張り
10
幅が狭い
8
個数
密着張り
6
4
幅が広い
2
0
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
1.1
1.2
1.3
1.4
接着強度(N/mm2)
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外部要因に左右影響されにくい
接着剤張り(はるかべ工法)は、気温、風の影響が少なく、安定した接着強
さが得られます。
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接着剤(ワンパックボーイ)は、5℃以上で施工することを原則としていま
すが、凍結による不具合は発生しません。
低温時は、養生期間を長くとる必要があります。
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ひび割れ事例
タイルのひび割れは、コンクリートや下地モルタルのひび割れに起因して
タイルにもひび割れが入るケースが多くなっています。
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ひび割れ防止
接着剤張り(はるかべ工法)は、コンクリートに発生したひび割れを接着剤
層で緩衝し、タイル面のひび割れの発生を軽減します
◆モルタル張り
◆弾性接着剤張り
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ひび割れ防止 実建物での調査結果
◆建物概要
物件名称:浩然寮(独身寮;大阪府摂津市)
構造規模:RC造、地上5階、建築面積=1203m2
延床面積=3806m2
外壁仕上:RC打放し,はつり仕上防水化粧材吹付(1F)
RC下地モルタル塗り45角磁器質タイル張り(2F~5F)
張付け材:南面 弾性接着剤(変成シリコーン・エポキシ樹脂系)
西面 張付けモルタル(既調合モルタル)
外壁施工:1991年11月
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建物全体
西面
モルタル張り
南面
弾性接着剤張り
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竣工20年経過後のひび割れ調査結果
接着剤張りのひび割れ発生率は、モルタル張りの1/100
工法
調査枚数
ひび割れ枚数
ひび割れ率
モルタル張り
41,182枚
1,002枚
2.4%
接着剤張り
20,194枚
5枚
0.024%
モルタル張り部分のひび割れ
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白華事例
白華は、コンクリートやモルタル中のカルシウム分が水分の移動とともに目地部や
タイル表面に析出して白い汚れが付着する現象です。
ひび割れ部から析出した白華
伸縮調整目地周囲から析出した白華
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白華防止
接着剤張り(はるかべ工法)は、接着剤層で水をシャットアウトするため、白華を
防止することができます。
モルタル張り
接着剤張り
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耐久性 実建物の経年変化
実建物では20年の実績があります。20年経過時点では、強度の低下および
異常は見られなく、接着剤の劣化はほとんどないものと推定されます。
引張接着強度の保持率
160
140
120
100
80
60
40
20
0
0
5
10
15
20
25
経過年数(年)
20年経過までの接着強度の変化 1年目の強度を100として算出
高橋,橋向,小笠原,久住:日本建築学会大会学術講演梗概集(関東)2011年8月より作成
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耐久性 熱の影響
長期熱劣化試験の結果、はるかべ工法は100年相当の処理を加えても接着強さ
の低下はほとんど見られず、良好な接着状態を維持することが確認できています。
100年相当
80℃
572日
10℃、2倍速を
適用し年数を推定
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耐久性 温度変化の影響
加熱散水繰返し試験の結果、はるかべ工法は約90年相当の繰り返しを加えても
接着強さの低下はほとんど見られず、良好な接着状態を維持することが確認でき
ています。
約90年相当
50℃の温度差
6,000サイクル
外壁タイルの日間の
実温度差の累計か
ら年数を推定
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イニシャルコスト
140
120
120
100
100
40
工事費 80
タイル 60
目地材
40
張付け材
20
20
0
0
コスト比
コスト比
接着剤張り(はるかべ工法)のイニシャルコストは、モザイクタイルでは接着剤の材料
費がモルタルより高いため、モルタル張りより高くなります。
一本目地詰めが必要な凹凸の大きな二丁掛などのタイルでは、モルタル張りでは目
地詰め費用が高いため、空目地が可能な接着剤張りと同程度のコストになります。
80
60
モルタル張り
目地詰め
接着剤張り
空目地
モザイクタイル
モルタル張り
一本目地詰め
接着剤張り
空目地
二丁掛タイル
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③ライフサイクルコスト(1)
タイル張りは、定期点検費用を含めても吹付け仕上げより有利になります。特に、
はるかべ工法(接着剤張り)では、補修費用が少なく、その差が大きくなります。
モザイクタイル、モルタル張りのイニシャルコストを
100とした場合のライフサイクルコスト
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コスト試算条件
・モルタル張り
10年ごとに全面点検
点検費用:500円/㎡
10年ごとに5%のタイルを
張り替え
・接着剤張り
10年ごとに全面点検
点検費用:500円/㎡
10年ごとに0.5%のタイル
を 張り替え
・吹付け
モルタル下地はなし
10年ごとに塗り替え
20年ごとに下地調整材の
塗り替え
点検なし
・共通事項
足場代は別途
38
ライフサイクルコスト(2)
40年経過後までのライフサイクルコスト
60年経過後までのライフサイクルコスト
モザイクタイル、モルタル張りのイニシャルコストを100とした場合のライフサイクルコスト
吹付けはモルタル下地がない場合のコストです。モルタル下地がある場合は、定期点検コストとモルタル
の補修費用が加算されます。
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施工方法
適用下地
・コンクリート
不陸、ジャンカはモルタルで補修
・モルタル
・押出成形セメント板
60mm厚以上。フラットパネル
・ALCパネル
100mm厚以上
・コンクリートブロック
40
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接着剤 接着性能
LIXILの「ワンパックボーイR-V2スーパー」はJIS基準及びQ-CAT基準に適合した接
着剤です。
項目
JIS基準
Q-CAT基準
モルタル板(JIS)
押出成形セメント板(Q-CAT)
接着強さ
凝集破壊率
接着強さ
凝集破壊率
0.77N/mm2
100%
0.67N/mm2
100%
0.58N/mm2
100%
0.65N/mm2
100%
1.00N/mm2
100%
0.96N/mm2
100%
凍結融解
0.73N/mm2
100%
0.57N/mm2
100%
熱劣化
1.14N/mm2
100%
0.75N/mm2
100%
標準養生
0.6N/mm2以上で、か
つ、凝集破壊率が75%
以上
低温養生
アルカリ温
水浸漬
0.4N/mm2以上で、か
つ、凝集破壊率が50%
以上
41
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接着剤 変更点(14/12発売)
モルタル、ALC、RC下地用の外壁用接着剤「ワンパックボーイR-V2」が
「ワンパックボーイR-V2スーパー」として生まれ変わりました。
■ 今までの接着剤
■ 新たな接着剤
二丁掛タイル
ラグナロックも張れる
全てのタイルが張れて
コテ伸びが軽い
「EGR-V2」
「EGR-V2SP」
コテ伸びが軽い
「EGR-V2LT」
42
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接着剤 作業性
ワンパックボーイR-V2スーパーは、作業性に優れた接着剤です。
職人さんの負担軽減により、より安定した施工品質の確保が可能になります。
43
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接着剤 耐候性
ワンパックボーイR-V2スーパーは、紫外線や降雨による劣化が少なく、空目地仕様
でも高い耐候性を有しています。
※ メタルウェザー 300時間(10年相当)照射の結果
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44
講習会の内容
1.タイル張りの躯体保護効果
2.外装接着剤張りの特徴
3.外装接着剤張りの注意事項
4.公共建築工事標準仕様書の改定内容
5.Q-CATについて
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施工上の主な注意事項
・下地は表面が乾燥していること(濡れ色をしていないこと)
・下地への埃、汚れの付着は、接着に悪影響を及ぼすため、清掃する。
・張付け可能なオープンタイムは、夏場30分以内、冬場60分以内。
・タイルによって指定されたくし目ごてを使用する。
・接着剤の塗り厚に注意し、タイルと接着剤との付着面積は60%以上
を確保する。
・下地の伸縮目地はまたがない。
46
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水
%浮
10
き
浮
き
水
%
8%
吸水率
10
8%
6%
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
4%
接着強度(N/mm2)
下地の吸水率、状態と接着強度との関係
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タイルと接着剤との接着状態
良好な状態
(接着率80%)
良好な状態
(接着率60%)
接着状態のチェック
接着面積不足
(接着率40%)
接着に偏りが
あり不適切
48
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伸縮調整目地(1)
●RC造のひび割れ誘発目地、打ち継ぎ目地、耐震スリット
伸縮目地と化粧目地は合わせ、タイルをまたいで張らない。
目地の上に接着剤を塗布し、化粧とすることも可能。
または
49
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伸縮調整目地(2)
●ALCパネル、押出成形セメント板のパネル間ジョイント
伸縮目地と化粧目地は合わせ、タイルをまたいで張らない。
パネルジョイント部には接着剤を塗布しない。
(動きにより接着剤が切れる可能性があるため)
または
ALCパネルの例
50
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伸縮調整目地(3)
押出成形セメント板の例
51
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ALCパネルへの接着剤張りの注意事項
・ALCパネルの取付け構法:縦壁ロッキング構法、横壁アンカー構法
・タイル:300mm角以下、かつ、厚み10mm以下
・仕上げ材の重量:下地処理材、不陸調整材、タイル、接着剤および
目地材の質量を合計で30kg/m2以下
・下地処理:全面にわたり下地処理を行う
塗り厚1~3mm JIS A 6916に規定するC-2
塗り厚3~6mm JIS A 6916に規定するCM-2
・タイルはパネル内に割り付け、パネルジョイントをまたいでタイルを
張らない
52
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押出成形セメント板への接着剤張りの注意事項
・タイル:600mm角以下、300mm角を超える場合は脱落防止用効果の
あるFA-S工法
・押出成形セメント板:60mm厚以上のフラットパネルを使用する
・下地処理は行わない
・タイルはパネル内に割り付け、パネルジョイントをまたいでタイルを
張らない
53
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1.タイル張りの躯体保護効果
2.外装接着剤張りの特徴
3.外装接着剤張りの注意事項
4.公共建築工事標準仕様書の改定内容
5.Q-CATについて
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公共建築工事標準仕様書の主な改定点
(2013年2月改定)
公共建築工事標準仕様書
・外装の接着剤張りが新たに記載された。
・モルタルによる後張り工法の引張接着強度検査の合否判定基準が
変更になった。
55
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外装壁タイル接着剤張りの記載概要
公共建築工事標準仕様書
・適用下地
モルタル
・タイル
二丁掛以下の屋外壁用の接着剤張り専用タイル
(標準仕様書ではモルタル張りでも二丁掛以下の記載しかない。二丁掛を超える
タイルは特記による。)
・接着剤
JIS A 5557:2010(外装タイル張り用有機系接着剤)の規格に
適合する一液反応硬化形接着剤。
目地詰めを行わない場合に用いる接着剤は、耐候性およびタイル
の耐汚染性に優れたものとする。
耐候性・・・オープンフレームカーボンアークランプによる
耐汚染性・・・3ヶ月の暴露試験
・目地
空目地も適用可
Copyright © LIXIL Corporation, All rights reserved.
56
接着力試験
公共建築工事標準仕様書
次の(①)又は(②)の場合
(①)タイルの凝集破壊率および接着剤の凝
集破壊率の合計が50%以上
タイル
50%
以上
接着剤
下地
コンクリート
(②)接着剤とタイルとの界面破壊率および下
地モルタルと接着剤との界面破壊率の合計
が
50%以下で、以下の1)または2)の場合
1)下地モルタルの凝集破壊率、コンクリート
の凝集破壊率および下地モルタルとコンク
リートとの界面破壊率の合計が25%以下
2)下地モルタルとコンクリートの界面破壊率
が50%以下、かつ、引張接着強度が
0.4N/mm2以上
50%
以下
タイル
75%
超
接着剤
下地
コンクリート
50%
以下
25%
以下
タイル
接着剤
下地
コンクリート
50%
以下
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破壊状態
公共建築工事標準仕様書
記号 破壊の位置モード
タイルの凝集破壊
T
AT
A
MA
M
CM
C
接着剤とタイルの界面破壊
(未接着も含む)
接着剤の凝集破壊
下地モルタルと接着剤の界
面破壊
下地モルタルの凝集破壊
コンクリートと下地モルタルの
界面破壊
コンクリートの凝集破壊
T
タイル
未接着:AT
AT
A
接着剤
M
下地モルタル
MA
CM
C
コンクリート
凝集破壊とは、材料自体が破壊する破壊モードを示す。
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接着力試験
公共建築工事標準仕様書
主として破断状態で合否を判定する
タイル・接着剤の凝集破壊の合計が50%以上:
合格
接着剤とタイルの界面破壊、接着剤と下地の
界面破壊の合計が50%を超える:不合格
上記以外
下地の破壊割合が25%以下:合格
下地の破壊割合が25%を超える場合:
引張接着強度が0.4N/mm2以上、かつ コンクリート下地の接着界面破壊率が
50%以下:合格
上記以外:不合格
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参考:モルタル張りの引張接着強度検査
今まで
引張接着強度が0.4N/mm2以上あれば合格
これから
引張接着強度が0.4N/mm2以上、かつ
コンクリート下地の接着界面破壊率が50%以下 が合格
タイル(T)
張付けモルタル(A)
下地モルタル(M)
コンクリート(C)
張付けモルタルとコンクリート下地の界面(CA)
1)コンクリート下地壁タイル直張り
下地モルタルとコンクリート下地の界面(CM)
2)モルタル下地壁タイル張り
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1.タイル張りの躯体保護効果
2.外装接着剤張りの特徴
3.外装接着剤張りの注意事項
4.公共建築工事標準仕様書の改定内容
5.Q-CATについて
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Q-CAT概要
接着剤張りの施工品質を確保するためには、適切な材料、適切な施工技術、適切な現
場管理の3要素が重要となります。Q-CAT は、「適切な材料」の品質基準を定める制
度です。認定基準として“ タイル基準” “ 接着剤基準” “ 組合せ基準” を定め、認定
マークの付与により、適切な材料の普及を目的としています。
※1:タイル基準:JIS A5209(陶磁器質タイル)を基本として、接着剤張りに適した裏面形状等を考えています。
また、グリーン購入法やその他の環境に配慮した公的な基準も取り入れます。
※2:接着剤基準:耐久性の基本品質としてのJIS A5557(外装タイル張り用有機系接着剤)の他、各種下地への接着性、
ずれ抵抗性、目地詰めをしない場合の外観品質等を審査します。
※3:組合せ基準:タイル裏面への接着剤の付着面積の確保、現場でのずれ抵抗性等を審査します。
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Q-CAT 下地の適用範囲
●モルタル
●コンクリート
●押出成形セメント板
●窯業系サイディング(木造住宅対象)
ALCパネルは設計・施工上の制約条件があるため適用範囲外
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Q-CATの認定
●セメント系下地対象(コンクリート、モルタル、押出成形セメント板)
タイル(T1~T3、個別)と接着剤(C1~C3)の認定
タ
接
イ
着
ル
剤
●窯業系サイディング下地対象
タイル(T1~T3、個別)と下地~接着剤(Y1~Y3)の認定
タ
イ
ル
デ窯
ィ業
ン系
グサ
イ
テジ
ーョ
プイ
ン
ト
接
着
剤
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タイルの認定
「型式認定」と「個別認定」のいずれかにより行います。
(1)型式認定
型式認定は、一定の品質基準を満たしたタイルに対して、それぞれの
組合せを個別に評価しなくとも、組合せ品質が確保されていると認める
簡易認定制度です。
タイルの型式は、「長さ」、「面積」、「単位面積質量」を基にし、T1~T3型に
区分されます。
指定された型式の組合せであれば、メーカーを問わず使用できます。
(2)個別認定
個別認定は、型式認定の範囲外のタイルについての認定方法で、指定した
接着剤と施工方法(くし目条件)を指定し、その組合せを個別に評価して
認定する制度です。
タイルによって使用する接着剤が指定されます。
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タイルの認定の範囲と例
※タイルの長さと幅及び
面積Sによる型式区分
型式
長さ
面積
単位面積質量
例
T1
300mm以下
900cm2以下
3.5g/ cm2以下
300mm角
T2
300mm以下
225 cm2以下
3.5g/ cm2以下
二丁掛・三丁掛
T3
200mm以下
100 cm2以下
2.6g/ cm2以下
50二丁・50四丁
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●タイルの型式認定の認定基準
JIS A 5209(陶磁器質タイル)を前提に以下の基準を追加
裏面反り
裏足の高さ:0.9mm以下
曲げ破壊荷重:860N以上(窯業系サイディング下地)
グリーン購入法適合タイル
●タイルの個別認定の認定基準
JIS A 5209(陶磁器質タイル)
タイルと接着剤との付着性
組み合わせる接着剤で施工した場合のずれ抵抗性
グリーン購入法適合タイル
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接着剤の認定
●セメント系下地用接着剤の認定
タイルのずれ抵抗性によって、型式認定のC1~C3に区分されます。
●窯業系サイディング下地~接着剤の認定
窯業系サイディングに組み合わせる接着剤のタイルに対するずれ抵抗
性によって、型式認定のY1~Y3に区分されます。
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タイルと接着剤の組合せおよび施工方法
認定区
分
型式認
定
タイルの
型式区
分
組合せ可能な
接着剤の型式
施工方法
(くし目条件)
T1型
C1型、Y1型
目地詰めありの場合:5mmくし目+
ヴィブラート
T2型
C1型、C2型
Y1型、Y2型
目地詰めありの場合:5mmくし目
目地詰めなしの場合:5mmくし目平押
さえ
T3型
目地詰めありの場合:3mmくし目
C1型、C2型、C3型
目地詰めなしの場合:5mmくし目平押
Y1型、Y2型、Y3型
さえ
個別認定
タイルによって指定さ
せた接着剤
タイルによって指定した施工方法
下地精度が悪い場合には、くし目の高さを高くする。
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カタログ表示(例)
ハガレン
HGRN255/001-009
HGRN255M/001-009
HGRN255B/001-009
Q-CAT型式認定品 T3型
※施工条件
・5mmくし目平押え
・目地詰めなし
で施工してください。
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Q-CAT認定品の表示例(タイルの梱包)
Q-CATマーク表示例
株式会社
ゼンタ
施工条件表示例
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Q-CAT認定品の表示例(接着剤パッケージ)
株式会社
ゼンタ
外装タイル用弾性接着剤
のび~る
品名:
品番:NOBIRU/Z01
Q-CATマーク表示例
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Q-CAT保険
全国タイル工業組合の組合員のQ-CAT認定品(タイル・接着剤)は、
Q-CATで指定する組合せで使用した場合には、材料の保証がされます。
(工事保証は、別途「長期性能保証制度(建専連)」を利用可)
保証内容:認定品の品質不良を原因として発生した、タイルの
剥落を修補するための原状復帰費用を補償
保障期間:タイル工事の引渡し日から13年間
剥落の定義:タイル1枚以上の剥落、または一箇所あたり0.25㎡
以上の連続した浮き
・特注品の場合の注意事項
タイル出荷前にQ-CAT申請が必要
施工中、施工後に認定が必要となっても、保険対象にならない
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Q-CATの特徴
●品質を保証:タイル・接着剤・その組合せを評価済
⇒ Q-CAT保険(13年)が適用される
●型式認定なら、異なるメーカー品でも組合せ可能
⇒例) LIXILのタイル+タイルメントの接着剤でも保証対象
●特注タイルでも、個別認定の新規申請が可能
⇒例) 特注タイルやモルタル張り裏足でも、
接着剤や施工方法を指定し、個別認定可能
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接着剤を用いる工法で、
安心・安全な外壁を作ることが可能です。
外壁タイルと併せてご提案させていただきます。
よろしくお願いします。
以上、ありがとうございました。
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