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140年ぶりに
帰ってきた龍馬
<尐年よ、ベンチャーとなれ!!>
人と地球の共生のための
第0次的産業の創出を
<第4編~第9編>
監修
Ph. D.工 学 博 士
松重 和美
〔京都大学 教授、VBL(ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー)施設長〕
著者
久米 正一
博士(政策科学) 竹本 拓治
Ph. D.工学博士 松重 和美
工 学 博 士
第4編目次
尐年よ、ベンチャーとなれ!!
そして、
「次世代のハイテクノロジー」に向かって
「イノベーションバレー」を
第 21 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「次世代の太陽光エネルギー」
による社会の構築を
21‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の家庭太陽光発電で村の人
一人一人が発電会社の社長に。そしてスマートグリッドで電気の発電
と使用の自治自为管理を
21‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!電気自動車でふるさと村科学技術イノ
ベーションを
21‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!22世紀のニッポンのふるさと村の甍
屋根のすべてに太陽光パネルを、そして、ベンチャー発電会社を創
ろう
21‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!22世紀の街の電力は「交流直流複合
電力によるスマートグリッドシステム」へ
21‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!22世紀のニッポンふるさと村の産業
は、電気自動車製造が为力となって、ふるさと村の経済が潤う
第 22 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「地方のスマートフォンやブロ
ードバンドによるICT 社会」化の早期構築を
22‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の人々のスマートフォンの
活用によるユビキタス村の創造へ―村役場へ、ショッピングセンタ
ーへ、病院へ、スマートフォンで子供も高齢者も生活―
22‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ブロードバンドをすべてのニッポンの
ふるさと村に普及させよう
22‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ICTでふるさと村をユビキタスな村
として生活改革を
22‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ロボットの開発をやろう。ふるさと村
の山の作業、畑の作業、海の作業もロボットで、そして、医療・介
護もロボットで!!
22‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ベンチャーとなって地方のスマートフ
ォンやブロードバンドによるICT社会化の早期構築を
目次-1
第 23 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「資源大国ニッポン、広い海、
緑の山、肥えた土、そこで何かに向かってイノベーション」
しよう
23‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!「資源大国ニッポンのふるさと資源」
を活かして、100年後のニッポンのふるさと村を創れ
23‐2. 尐年よ、ベンチャーとなれ!!ニッポンの海は、世界6位の広さ。海
洋資源大国ニッポン、そこで、海のベンチャーになろう
23‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!潜水船で海洋調査!! 海には、いろいろ
な生き物と資源がある。
目次-2
第5編目次
尐年よ、ベンチャーとなれ!!
ニッポンの尐子高齢化社会に対応するイノベーション
1.完全無料結婚相談所
2.完全無料分娩医療センター
3.完全無料不妊治療センター
4.完全無料幼児保育センター
5.完全無料高齢者医療介護センター
などに挑戦しよう
第 24 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「ニッポンの尐子高齢化の社会
に対するイノベーション」にチャレンジしてみよう
24‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!増子化と幼児教育が「人と地球の共生
産業(第0次的産業)発展の基礎」である
24‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!すばらしい恋をして、3人以上のかわ
いい赤ちゃんを。そして、赤ちゃんを育てる医療・福祉・保育・教
育のための地球の共生の産業(第0次的産業)の創出のための「ふ
るさと村科学技術イノベーションバレー」を創ろう
24‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の保育園・幼稚園は義務化、
無料化とし、将来の「人と地球の共生のための基礎教育」を
24‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の医療の充実のために、
「ふ
るさと村科学技術イノベーションバレー」で、医療の研究をやろう。
24‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ロボットやICTの研究開発で、過疎
なふるさと村の老人の介護生活支援を
24‐6.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村での「iPS」の研究で、
次世代の医療の開発をしよう。
24‐7.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村のジェロントロジーの研究
で未来の生活システムの構築を
24‐8.尐年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村“ゆりかごから墓場ま
で”のイノベーションバレー」に、①完全無料の結婚相談所、②完
全無料の分娩医療センター、③完全無料不妊医療センター、④完全
無料幼児保育センター、⑤完全無料高齢者介護センターを創ろう
目次-3
第6編目次
尐年よ、ベンチャーになろう。
そしてふるさと村で、
「人と地球の共生のための科学技
術イノベーションバレー」を創設しよう
第 25 章 尐年よ、ベンチャーになろう。そしてふるさと村で、「人と
地球の共生のための科学技術イノベーションバレー」を創設
しよう
25-1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ハイテクノロジーとふるさと村の伝統
のある文化・ 風土・技能との結合による人類と地球の共生のための
産業(第0次的産業)の創出こそ、 ニッポンの再生となる
25-2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!公武合体ならぬまた、
「村学産合体」す
なわち「村と大学と産業」による「人と地球の共生のための100年
後のふるさと村科学研究開発イノベーションバレー」の構築を
25‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!廃小学校、廃中学校の校舎を活用した
「100年後の夢:ふるさと村科学技術イノベーションバレー」でス
タートさせよう
25‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村科学技術イノベーションバ
レーを支援する科学技術イノベーションバレーに向かう大学へ
目次-4
第7編目次
少年よ、ベンチャーとなれ!!
「ふるさと村の科学技術イノベーションにベンチャー
キャピタル機関」を。そして将来 1 ドル 30 円円高の時
もふるさと村地方経済と雇用の確保のための独自独立
ふるさと村経済圏立国家に
第 26 章 少年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村の科学技術イノベ
ーションにベンチャーキャピタル機関」を
26‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!東京一極を廃止し、ふるさと村の地方
の新しい経済成長を促す多極的経済指導型の都市づくりを
26‐2.少年よ、ベンチャーとなれ!!第0次的産業の金融と第5次的産業の
金融の分離について
26‐3.少年よ、ベンチャーとなれ!!郵便貯金、かんぽ生命保険、民間金融
機関の資金を、ふるさと村科学技術イノベーションバレーへ
26‐4.少年よ、ベンチャーとなれ!!帰ってきた龍馬は、ふるさと村・ニッ
ポンの地方の再生に、どう挑むのだろうか?
26‐5.少年よ、ベンチャーとなれ!!地元の銀行、生命保険、年金等の資金
を「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」の新産業創出のた
めに支援を
26‐6.少年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村科学技術イノベーション」
による第0次的産業の発展のための「ふるさと銀行」の設置を
26‐7. 少年よ、ベンチャーとなれ!!人類と地球の共生の産業のための、
ふるさと村ベンチャーキャピタルの金融の支援を
26‐8.少年よ、ベンチャーとなれ!!各州年10兆円で、10州10年で1
000兆円のニッポン科学技術イノベーションプロジェクトのスタ
ートを
26‐9.少年よ、ベンチャーとなれ!!Move Your Money(ムーブ・ユア・マネ
ー)in Nippon でふるさと村ベンチャーキャピタルを作ろう
26‐10.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村地方経済と雇用の確保のた
めの独自独立経済圏立国家に
目次-5
第8編目次
尐年よ、ベンチャーとなれ!!
「小中学校からベンチャー」となって「第0
次的産業の実習やボランティアに参加」しよう
第 27 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「小中学校からベンチャー」と
なって「第 0 次的産業の実習やボランティアに参加」しよう
27‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!小学校から中学校で君は何をするの
か?何をしたいのか?決めよう
27‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!就職口はいっぱい有る。人と地球の共
生の産業(第0次的産業)を求めて
27‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!子供のころから第0次的産業と第1次
産業の自然の教育が、尐年の「働く」という能力を拓く
27‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の小中学校で、
「人類と地球
の共生とは何か?」という教育を!!そして、実務体験として病院、老
人ホーム、農林漁の実習やボランティアで体験を
27‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!小中学校の時から太陽光・ICT・バイオ・
保育・介護等、
「人類と地球の共生の基礎技術」の独自のベンチャー
な教育を
27‐6.尐年よ、ベンチャーとなれ!!小学校・中学校の先生もベンチャーと
なろう。そして、尐年にふるさと村の未来のイノベーションやふるさ
と村の夢を語ろう
27‐7.尐年よ、ベンチャーとなれ!!“すべての子どもが天才である”3歳
から小学校・中学校・高校、そして、大学へ。全ての尐年は、誰でも、
世界一流のベンチャーになれる。そして、ふるさと村の科学技術イノ
ベーションで次世代の第0次的産業を
27‐8.尐年よ、ベンチャーとなれ! 尐年よ、君たち一人一人に素質があ
る。君たち一人一人は天才である。それを生かすには努力が必要だ
第 28 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「大学のキャンパスを東京首都
圏から、ふるさと村に移転」しよう
28‐1. 尐年よ、ベンチャーとなれ!!大学のキャンパスを東京首都圏から、
ふるさと村に移転しよう
目次-6
28‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!村の廃校舎に大学のキャンパスを、ま
た民間企業の研究開発所を設置し、ふるさと村の科学技術イノべー
ションバレーを創り、人と地球の共生のための第0次的産業を創出
しよう。
28‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!行き場の無いポスドクをふるさと村科
学技術イノベーションに邁進させよう
第 29 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!日本における学校教育制度のあ
り方とアントレプレナー醸成
29‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!日本における学校教育制度のあり方と
アントレプレナーシップ醸成
29‐2,尐年よ、ベンチャーとなれ!!基礎学力を高めるための工夫とは
29‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!高等教育における初年次教育の重要性
とは
29‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!アントレプレナーの醸成について
29‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!なぜ経験教育が必要なのか
29‐6.尐年よ、ベンチャーとなれ!!日本は失敗が許されない社会
29‐7.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ICTによる経験教育の可能性
目次-7
第9編目次
帰ってきた龍馬
「尐年よ、ベンチャーとなれ!!」
21世紀「地球60億人の総競争時代」
から22世紀は「人と地球の共生」
の時代へ
第 30 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!21世紀、「地球60億総競争
時代」へ突入
30‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!21世紀、地球60億総競争時代へ突
入
30‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!21世紀は地球60億レアメタルの争
奪戦争
第 31 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「競争の時代から22世紀は『人
と地球の共生の時代』へ
31‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!「競争の時代から22世紀は『人と地
球の共生の時代』へ
第 32 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!自分たちの自治自主管理による
ふるさと村を作り、22世紀の人と地球の共生のイノベーシ
ョンを目指そう
32‐1.帰ってきた龍馬「
『尐年よ、ベンチャーとなれ!!』そして、
『自分
たちの自治自为管理によるふるさと村を創り、22世紀の人と地球の
共生のイノベーションを目指そう』
」
目次-8
第4編
尐年よ、ベンチャーとなれ!!
そして、
「次世代のハイテクノロジー」に
向かって「イノベーションバレー」を
神戸海軍操練所跡碑
勝海舟が1863年、神戸に設立した「神戸海軍操練所」に隣接
した諸藩の志士を集めた「神戸海軍塾」の塾頭を龍馬が勤めてい
た。閉鎖される1865年までの間、龍馬は海舟の手足となって
働き、急激に成長していった。
和田岬砲台
湊川神社表神門
湊川神社は楠木正成を祀った神社である。正成は後醍醐天皇に忠
誠を尽くし、その話は天皇中心の政治を志した勤王志士たちの注
目を集めていた。龍馬もその一人で、神戸海軍操練所から徒歩3
0分ほどの湊川神社を訪れ、
「月と日の 昔をしのぶ みなと川 流
れて清き 菊の下水」という和歌を詠んだ。
第4編目次
尐年よ、ベンチャーとなれ!!
そして、
「次世代のハイテクノロジー」に向かって
「イノベーションバレー」を
第 21 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「次世代の太陽光エネルギー」
による社会の構築を
21‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の家庭太陽光発電で村の人
一人一人が発電会社の社長に。そしてスマートグリッドで電気の発電
と使用の自治自为管理を
21‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!電気自動車でふるさと村科学技術イノ
ベーションを
21‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!22世紀のニッポンのふるさと村の甍
屋根のすべてに太陽光パネルを、そして、ベンチャー発電会社を創
ろう
21‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!22世紀の街の電力は「交流直流複合
電力によるスマートグリッドシステム」へ
21‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!22世紀のニッポンふるさと村の産業
は、電気自動車製造が为力となって、ふるさと村の経済が潤う
第 22 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「地方のスマートフォンやブロ
ードバンドによるICT 社会」化の早期構築を
22‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の人々のスマートフォンの
活用によるユビキタス村の創造へ―村役場へ、ショッピングセンタ
ーへ、病院へ、スマートフォンで子供も高齢者も生活―
22‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ブロードバンドをすべてのニッポンの
ふるさと村に普及させよう
22‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ICTでふるさと村をユビキタスな村
として生活改革を
22‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ロボットの開発をやろう。ふるさと村
の山の作業、畑の作業、海の作業もロボットで、そして、医療・介
護もロボットで!!
22‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ベンチャーとなって地方のスマートフ
ォンやブロードバンドによるICT社会化の早期構築を
第 4 編目次-1
第 23 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「資源大国ニッポン、広い海、
緑の山、肥えた土、そこで何かに向かってイノベーション」
しよう
23‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!「資源大国ニッポンのふるさと資源」
を活かして、100年後のニッポンのふるさと村を創れ
23‐2. 尐年よ、ベンチャーとなれ!!ニッポンの海は、世界6位の広さ。海
洋資源大国ニッポン、そこで、海のベンチャーになろう
23‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!潜水船で海洋調査!! 海には、いろいろ
な生き物と資源がある。
第
第 44 編目次-2
編目次-2
第 21 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「次世代の太陽
光エネルギー」による社会の構築を
電気自動車に乗った龍馬と松重は、二条城にある二の丸御殿を通りかかった。二の丸
御殿は、桃山時代の武家風書院造りの代表的なもので、車寄せに続いて遠侍(とおさむ
らい)、式台(しきだい)、大広間(おおひろま)、蘇鉄の間(そてつのま)、黒書院(くろしょ
いん)、白書院(しろしょいん)の6棟が東西から单北にかけて雁行に立ち並んでいる。建
物面積3,300平方メートルで、部屋数33、畳は800畳あまりが敷かれている。
建築様式は、帳台構や違棚・床の間・付書院を備え、江戸時代に確立された武家風書
院造りである。江戸時代初期としては現存する唯一の遺構であることから、国宝に指定
されている。
また、1867(慶応3)年10月14日の大政奉還は、この城内二の丸御殿内で発
表された。
京都
大学
京
都
御
所
京都大学
吉田神社
・
二条城
二の丸御殿
鴨川
庭園側から見た二の丸御殿
21-1
21‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の家庭太陽光発電で村の
人一人一人が発電会社の社長に。そしてスマートグリッドで電気
の発電と使用の自治自主管理を
「太陽光発電をやると、どんなことが出来るがぜよ。
」
「はい、坂本先生。太陽光発電は水力発電、火力発電、原子力発電
と違って、一般家庭でも行うことができます。最近は屋根に太陽光
パネルを設置している家や建物が多くなっています。このため、自
分の家の電気を 全て太陽光発電で賄うことも可能になります。
」
「ほぉー。自分の家で太陽光を利用して発電し、自分の家で発電し
た電力を使うことができるがか。
」
「はい。さらに、太陽光発電をして余った電気を電力会社に売るこ
ともでき、一般家庭が電力会社のようになります。
」
「これこそ電気の自治自主管理じゃのう。
」
一般家庭で太陽光発電などの発電を行い、そして、電力の自治自主管理を行おう。す
なわち、一般家庭で発電して消費するのが原則である。しかし、夜間や雨天時に電力が
不足すると困るので、東京電力や関西電力等の電力会社から電気を購入する。逆に昼間、
太陽光が強くなり、発電量が多い場合には
A 余剰電力を電気自動車等のバッテリーに蓄電し、夜間もしくは雨天時に使える
○
ようにする。
B それでも電気が余った場合については、東京電力や関西電力等の電力会社に、
○
電気を購入してもらう。
このように、一般家庭自体が、東京電力や関西電力等と同様に電力会社となり、自分
の家庭の電気の発電と使用を行うのが、スマートグリッドの基本である。
スマートグリッドとは、家庭の電気を使う人、すなわち、需要側(利用者)と電力会
社の供給側(発電所など)のデータを ICT( Information and Communication
Technology)で把握をし、電力の流れを制御する仕組みである(図 21-1-1)
。発電所か
ら利用者への一方通行だった電気の流れを双方向にすることができる。天候によっては、
発電量が大きく変化する太陽光発電や風力発電の導入が増えると、需給のバランスは崩
れやすくなる。スマートグリッドでは、発電量に合わせた利用者側の操作も可能である。
今までの一方通行の電力網では、需給バランスを火力発電所の稼働量で調節をしていた。
スマートグリッドでは、その働きを需要の調節や蓄電池が担うため、火力発電所の稼
働抑制による二酸化炭素の排出削減にもつながる。太陽光発電や風力発電のような再生
可能エネルギーを柔軟に電力網に組み込むことが実現できる。
アメリカでは、このスマートグリッドの構築が、アメリカ国家のニューディール政策
の一つとも言われている。アメリカの家庭では、スマートグリッド用の電気メーターで
あるスマートメーターが設置され、電力会社と利用者の間で情報をやり取りして、エア
コンの温度調整を自動でできる仕組みや、他の家電製品の電力使用量をコントロールす
21-2
ることを開発中である。日本では、日本版スマートグリッド実証試験を東京工業大学、
東京電力、東芝、日立製作所などが共同で、2010年から3年間行うこととなってい
る。日本版スマートグリッド実証試験では、実際の家庭生活を想定して家庭用の太陽光
パネルを設置して冷蔵庫などの一般的な家電製品や電気自動車、ヒートポンプ式給湯器
に利用する一方、余剰電力は蓄電池に溜めて電力会社に売却する予定である。
経済産業省は、2010年4月「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として、
表 21‐1‐1 に示すように、横浜市、豊田市、京都府(けいはんな学研都市)
、北九州市
の4地域を選定した。この4地域では、スマートグリットの実証に不可欠なエネルギー
マネージメントシステムの構築など、各種実証実験を実施する。
この地域では、住民、自治体、企業などが一体となって、このスマートグリットの実
証事業に参加することになる。この地域では、自治体のエネルギーの自治自为管理マネ
ージメントシステムと、住民一人一人のエネルギーマネージメントシステムの相互の責
任を果たさなければ成功はしない。
21-3
A:昼 間
家庭
太陽光発電
スマート
メーター
蓄電池
使
用
1.テレビ
2.クーラー
3.冷蔵庫 など
電気自動車に充電
B:夜間・雨天時
家庭
蓄電池により
電気供給
電力低下
スマート
メーター
電力会社
蓄電池
使
用
電気を買う
1.テレビ
2.クーラー
3.冷蔵庫 など
火力発電による
発電量を増加
21-4
C:夏季の昼間
家庭
太陽光発電
電力余剰
スマート
メーター
電力会社
蓄電池
電気を売る
電力会社の
火力発電による
発電量を低減
使
用
1.テレビ
2.クーラー
3.冷蔵庫 など
電気自動車に充電
図 21‐1‐1 ふるさと村の家庭でのスマートグリッドの仕組み
21-5
発電所
太陽光
風 力
火力・原子力
電力
コンピューターで
監視・制御
スマート
グリッド
不
足
し
た
ら
供
給
余
剰
分
を
た
め
る
電
力
を
供
給
蓄電池
不使
足用
時電
は力
節を
電把
を握
指、
示
家庭や工場
図 21‐1‐2 スマートグリッドの仕組み
表21‐1‐1 2010年4月に発表されたスマートグリッドの実証地域
参加団体
実施項目
CO2削減目標
神奈川県
横浜市
アクセンチュア、東芝、日産自動車、 2万7000kWの太陽光発電導入
パナソニック、明電舎、東京電力、 スマートハウス・ビルの導入(4000世帯)
東京ガス
2000台の次世代自動車普及 など
2025年までに
2004年比30%
愛知県
豊田市
トヨタ自動車、デンソー、中部電力、 家庭内のエネルギー有効利用(70件以
東邦ガス、シャープ、トヨタホーム、 上)
富士通、東芝、KDDI、サークルKサ 3100台の次世代自動車普及 など
ンクス、三菱重工業、豊田自動織
機、ドリームインキュベータ
家庭で20%
交通で40%
関西文化学術研究都市推進機構、
同志社山手サスティナブルアーバ
ンシティ協議会、京都府、京田辺市、
精華町、関西電力、大阪ガス
1000世帯に太陽光発電設置
エネルギーの情報化により発電装置、蓄
電装置などを知的制御する家庭・ビル内
ナノ・グリッドの実現
EVの積極的導入、給電ステーションネッ
トワークの導入 など
05年比で家庭
20%、交通は
2030年までに
40%
新日本製鐵、日本IBM、富士電機
システムズ
産業エネルギーも活用した新エネルギー
など10%街区の実現
70企業、200世帯を対象としたスマート
メーターによるリアルマネジメントの実施
など
民生・運輸部門
で2030年まで
に40%、2050
年までに70%
京都府け
いはんな
学研都市
福岡県
北九州市
21-6
21‐2.少年よ、ベンチャーとなれ!!電気自動車でふるさと村科学技術イ
ノベーションを
「電気自動車に乗せてもろうたことがあるが、どのような種類があるが
やろう。」
「はい、
坂本先生。
電気自動車は私達が製作した電池式のもの以外にも、
家庭用のコンセントでも充電ができるプラグインハイブリッドカー、
水素燃料電池やアルコール燃料を使った電気自動車、トロリーバスな
どがあります。
」
「ほぉー、電気自動車と一言でいうても、いろいろなものがあるのう。
」
「はい。電気自動車は充電しなければいけませんが、ガソリンスタンド
のように充電設備を作って、そこで充電するやり方と、家庭の電源を
使うやり方があります。を家庭のコンセントで充電できるようにする
と、大掛かりな工事を行う必要もなく、環境への負荷もなくすことが
できます。
」
「電気自動車はまだ開発しなければならぬところがあるようじゃのう。
少年たちに、ふるさと村科学技術イノベーションで電気自動車のイノ
ベーションを起こしてほしいものじゃ。
」
「電気自動車(Electric Vehicle;EV)とは、電動機(電動モーター)を動力発生源
として動く自動車である。電気自動車で科学技術イノベーションを起こそう。
」
電気自動車の分類として、自動車に搭載した充電池から電力を得る電池自動車と、電
力を外部から供給するトロリーバスのような架線式電気自動車等に分かれる。電池自動
車は、発電所から送電網を経由して電力を供給し、それを二次電池(蓄電池)に蓄えて
走行時にモーターに供給する二次電池車が一般的である。内部に発電装置を搭載する例
としては、太陽電池を搭載するソーラーカーや、燃料電池を搭載する燃料電池車がある。
走行時に外部からモーターに電力を供給する自動車には、架線を用いるトロリーバスな
どの架線式電気自動車や、その架線を地中化するために開発された非接触充電式電気自
動車がある。
電気自動車は、内燃機関を動力源とする自動車とは異なり、必ずしも変速機が必要で
はなく、補助動力装置も必要としない。このため、電池式電気自動車は、構造が比較的
単純で、今までに遊園地の遊具、フォークリフト、ゴルフカートなどに多く使用されて
きた。しかしながら、二次電池は、出力や稼働時間当たりの重量が大きく、コストも高
い上に寿命が短かった。また、長い充電時間も短所としてとらえられているために、長
い歴史を通じて交通機関の主役とはなれなかった。
近年、鉛蓄電池よりも軽量かつ大容量のリチウムイオン二次電池の発展があり、電気
自動車が注目されるようになってきた。国レベルでは、地球温暖化問題に関する京都議
定書の排出削減目標値を達成するため、あるいは、産出国が限られている化石燃料への
依存を減らすために電気自動車の実用化に力を入れるようになった。消費者側では、2
21-7
008年の夏にかけて、ガソリン価格高騰により、燃費の良い自動車への需要が高まり、
電気自動車への関心が高まっている。
ここで、電気自動車の種類とその概要について以下に述べる。また、長所・短所につ
いても表 21‐2‐1 に示す。
① 電池式電気自動車
蓄電池に充電した電気でモーターを回して走る自動車で、蒸気自動車やガソ
リン自動車と並んで最も古くからある形態のひとつである。一時期は、ガソリ
ン自動車の性能向上に押されて衰退し、福祉やレジャー分野のほか、工場や市
場内の運搬用など限定的であった。しかし、近年になって、技術革新があり、
注目を集めるようになっている。
② 無線充電式電気自動車
路面下に埋設された、無線で電気を供給する電線を用いて、電線上を走りな
がら充電できる電気自動車である。
電池式電気自動車とトロリーバスの中間形態
であるが。架線に触れないで走行する点でトロリーバスとは異なっている。韓国
のソウル大公園内の循環バスで実用化されており、2.2kmの循環ルート内の
3か所に合計400mに渡り地下架線が埋設されている。
③ プラグインハイブリッドカー
部分的にバッテリーのみで走行できるハイブリッドカーで、車両に付けたコ
ンセントにプラグを差し込み(プラグイン)
、外部電源から直接充電できる。蓄
電池の容量は電気自動車より尐ないが、ハイブリッドカーよりは多い。あらかじ
め充電すると、蓄電池の容量内の距離は電気自動車として、それ以上の距離では
ハイブリッド車として利用することができる。家庭用電源が利用可能で、電源が
あればどこでも充電ができることが特徴である。
④ 水素燃料電池自動車
水素燃料電池で発電して、電動機を駆動するタイプの電気自動車である。水素
を直接燃焼に利用する水素自動車とは、エネルギーを取り出す方法が異なってい
る。水を原料として電気分解により燃料である水素を生産することもできるため、
燃料が枯渇をするということはない。
⑤ アルコール燃料電池自動車
アルコールから取り出した水素を用い、燃料電池で発電して走る電気自動車
である。アルコールを直接燃料電池に供給するものと、燃料改質器を用いてア
ルコールから水素を得て、水素燃料電池に供給するものとがある。これは、発
電用の燃料となる水素の原料としてアルコールを利用するため、アルコールを
燃料として直接内燃機関で燃焼させる自動車とは異なる。
⑥ トロリーバス(架線集電式ハイブリッドカー)
架線を設けた幹線では、架線から電気を取り込んで電動機により走行し、架
線の無い支線では、内燃機関で走行するハイブリッドカーである。トロリーバ
スは都市部の交通機関として古くから実用化されてきたが、架線のあるところ
以外では走れないことから普及が限られており、ディーゼルエンジンを搭載し
たバスに取って替わった国が多い。しかし、近年はハイブリッドバスに集電装
置を取り付け、架線の無いところでも長距離を走れるトロリーバスが開発され、
その存在が見直されてきている。
21-8
⑦ 非接触充電ハイブリッド車
道路に埋め込まれた誘導コイルで走行中や停車中に車載電池に充電すること
で電池の容量を抑えつつ、長距離の電池走行を可能とし、支線ではエンジンで
駆動するタイプである。市内走行向けの路線バスへの利用に期待されている。
充電コイルの設置が進めば、トラックの市内走行電化にも応用できると目され
ている。
電池式電気自動車に搭載されているバッテリーの急速な開発が進んでいる。電解質に
用いられるリチウムは陸上あるいは海中にも数多く存在しているため、価格の高騰を防
ぐことができ、安価に供給できる。リチウムイオン二次電池にはコバルトが使われてお
り、コストの7割を占めるほど高価ではあるが、コバルトの代替としてマンガン、ニッ
ケル、リン酸鉄などを使った材料が開発されつつあり、コスト低減が期待されている。
電池の耐久性としては、最新の電池では6000サイクル以上の充放電に耐えるもの
もすでに開発されているため、10年24万kmといった耐久性基準をクリアできる目
途は立っている。
電池式電気自動車、あるいは、プラグインハイブリッドカーの充電に、路肩や駐車場、
ガソリンスタンド等に設置した急速充電器により充電する公共用充電設備と、家庭の電
気を利用する家庭用充電設備がある。家庭用充電設備のメリットとしては
① 自宅や滞在先の駐車場で充電できるため、時間と労力が節約できる
② 安価な深夜電力の利用でエネルギーコストを抑えることができる
③ 家庭用電源を利用するため、工事費用が不要である。ただし、200V 電源の場
合は工事が必要となるが安価である
④ 高価な充電装置を要しない
⑤ 長時間充電は温度が上がりにくいため、リチウムイオン電池が务化しにくい
がある。
一方のデメリットは
① 充電に時間がかかる
② 電化製品と同様に、感電の恐れがある
③ 集合住宅の駐車場あるいは駐車場を借りている場合は利用しにくい
がある。
家庭用充電設備は、安価な深夜電力を利用して深夜に充電し、昼間に自動車を利用す
るために、一般家庭における電気自動車の充電方法として適している。急速充電器との
違いは、蓄電機能がない点で、充電時間に差があるものの、プラグやコンセント等の接
続機器を用いた配線工事のみで済むため、設備や工事費用を安く抑えることができる。
ふるさと村に電気自動車の研究をする科学技術イノベーションバレーを創り、電気自
動車をふるさと村全体に普及させ、環境に優しいふるさと村をアピールして、人と地球
の共生を目指そう。
21-9
表 21‐2‐1 電気自動車の種類と長所・短所
名称
長所
短所
・バッテリーにより車体が重くなる
・充電できる場所が未整備
・電池が高価
・充電に時間がかかる
①
電池式電気自動車
・深夜電力の利用で自宅で充電でき、エ
ネルギー費用を抑制
・エネルギー効率高い
・走行時にCO2、NOX排出しない
②
無線充電式電気自動車
・バッテリー容量を減らせる
・車両価格が安価
・充電時間の短縮
・電線が埋設されている道路でしか走行
できない
・家庭用電源で充電でき、短距離なら電
気自動車として利用可能
・長距離はガソリン車として利用可能
・大型車で導入が容易
・部品が多く、ガソリン車よりも高価
・バッテリー容量を越す距離の走行では
ガソリン車と同様な環境負荷となる
・バッテリーによっては電気自動車として
の利用が十分にできない
③
プラグインハイブリッドカー
④
水素燃料電池自動車
・水を原料として電気分解で水素を生産
・走行時にCO2、NOX排出しない
・電池式電気自動車よりも航続距離長い
・内燃水素自動車より燃料節減
・燃料電池自体が高価
・インフラ整備に費用と時間
・数年ごとに燃料電池の交換が必要
⑤
アルコール燃料電池自動車
・火災の時は水で消火可能
・既存のガソリンスタンドで給油可能
・電池式電気自動車より航続距離長い
・燃料価格は比較的安い
・食糧高騰、自然破壊の問題
・安全性がやや劣る
・水素脆化による金属劣化の問題
・燃料用池が高価
⑥
トロリーバス(架線集電式ハイブ
リッドカー)
・電池が小型で済み、重量・コスト面で有
利
・ガソリンスタンドで給油可能
・車両からのCO2廃周知が低減できる
・架線設置に伴う景観への影響
・イニシャルコストが高い
・架線の保守要員が必要
⑦
非接触充電ハイブリッドカー
・充電装置のある区間では航続距離制
限なし
・ガソリンスタンドでの給油が可能
・重量価格を軽く、安くできる
・インフラ整備に費用がかかる
・夜間電力が使用できない
・停車中しか充電できない
・急速充電式の場合、電池の寿命短い
図 21‐2‐2 試乗することが
できる電気自動車
図 21‐2‐1 電気自動車
図 21‐2‐3 黒部ダムから扇沢まで
運行するトロリーバス
21-10
21-10
21-9
21−3.少年よ、ベンチャーとなれ!!22世紀のニッポンのふるさと村の
甍屋根のすべてに太陽光パネルを、そして、ベンチャー発電会社
を創ろう
「海援隊のいろは丸は、石炭という黒いエネルギーじゃった。
」
「はい、坂本先生。17世紀の産業革命でできたエネルギーは、石炭
から始まりました。そして、1900年頃から石油というエネルギ
ー、いずれも地下の石化エネルギーでございました。しかし、これ
らが地球温暖化の原因と言われ、今、地球上のでは異常な気象現象
が起こり始めております。そこで、太陽光の電気など、自然のエネ
ルギーに変わろうとしております。
」
「ほぉー、そうか。ワシらが使っていた石炭というエネルギーは、地
球にとっては悪いものやったがやにやあ。はて、その太陽光エネル
ギーとはどんなもんですろう。
」
「はい、坂本先生。屋根がわらで太陽光を吸収して電気に換えるもの
でございます。
」
「ほぉー、甍屋根が太陽光の発電所になるがかよ。
」
「はい、坂本先生。これによって、ふるさと村の屋根も山も田んぼも、
太陽の当たる所はすべて、第1次産業から第0次的産業に換えるこ
とができます。
」
「ほぉー。甍屋根ではなくて、山も海も畑も、太陽さえあればエネル
ギーにかわる、まさに、ふるさと村の太陽光科学技術イノベーショ
ンバレーじゃのう。これこそ、人と地球の共生への第0次的産業や
にやあ。」
「はい、坂本先生。人と地球の共生への第0次的産業でございます。
」
「ふるさと村の家の屋根に太陽光パネルを設置し、太陽光発電を行い、各家庭がベン
チャー発電会社となろう。
」
自然エネルギーを活かした個人やグループが発電した電力の買い取りに、行政の力を
注ぐドイツ政府や自治体と同様に、日本も、ようやく、家庭の「太陽光発電の買い取り」
の流れが育ってきた。化石燃料の資源に恵まれない日本にあって、太陽光は重要なエネ
ルギー資源である。
ニッポンの各家庭が、発電会社をつくり、自らの家の屋根に、太陽光パネルを設置し、
発電する。そして、その電力を売電する。各家庭では、少年ベンチャーが中心となって、
奥様、お母さまもベンチャー発電会社を、そして、おじいちゃん、おばあちゃんもベン
チャーとなって発電会社に総雇用で参加する。
さらに、地方ふるさと村の過疎地では、遊休地や休耕地など利用されていない土地が、
21−12
21−12
21-12
21-11
21−12
増加している。また、働き手についても、過疎地で少子高齢化し、高齢者の仕事は少な
くなってきている。このようなふるさと村の人や土地、家屋を活かしたふるさと村「太
陽光発電個人事業」も、地方の第0次的産業のひとつである。広い土地があれば「大き
い発電量の太陽光事業」として、若い人たちにも参加してもらえる。
これを企画し、経営し、発電効率を高めるなど、「ふるさと村科学技術イノベーショ
ンバレー」の役割は重要である。
この第0次的産業をさらに意義あるものにするには、①発電効率、②設備コスト、③
スマートグリッド、などのシステム化が問題となる。少年よ、ベンチャーとなれ!! 再
び平成の「海援隊」を創ろう。そして、大学や企業の研究者とともに「ふるさと科学技
術イノベーションバレー」を創り、そこで、次世代の人と地球の共生の太陽光発電に挑
戦しよう。
今すぐに理想的な事業化ができなくても、国や県(州)や村の公共事業としての支援
によっては、アメリカやドイツに負けない技術を、大学や企業の研究とともに目指した
「太陽光発電個人事業化」を、地方の過疎地に大きく広め、そして、22世紀への第0
次的産業として、地方の第2次産業、第3次産業として、さらには、これらの技術や設
備を、東南アジア、アフリカなどへの輸出産業の第4次的産業として、地方に根差す太
陽光発電に関する施策が必要である。
21-12
21−4.少年よ、ベンチャーとなれ!!22世紀の街の電力は
「交流直流複合電力によるスマートグリッドシステ ム」へ
「ふるさと村にある甍屋根や山や畑や海岸には太陽光パネルでいっ
ぱいにせんといかんのう。
」
「はい、坂本先生。この太陽光パネルを電線でつなぎ合わせて、地域
の発電をしようという『スマートグリットシステム』が近い将来で
きようとしております。
」
「ほぉー。ふるさと村の各家で作った電気をつなげることが出来るが
かよ。
」
「はい、坂本先生。そうでございます。それによって、日本の家庭や
学校など、多くの電気を産業としてつくることができます。
」
「ほぉー、そうか。石炭から太陽光へのエネルギー、そして、それが
ふるさと村の新しい産業として生まれ変っていくがや。
」
「22世紀のふるさと村の電力は交流直流複合電力によるスマートグリッドシステ
ムで行おう」
。
パソコンや携帯電話、EV(電気自動車)の「電池」は、もともと1799年、ナポ
レオンが活躍していた時代のベンチャー、
「アレサンドロ・ボルタ(今のイタリアのコ
モ出身)
」が発明したらしい。そして、その約30年後の1832年、
「ピクシー(フラ
ンス人)
」が手で回す「直流発電機」を発明した。その2年後の1834年に、アメリ
カ人の「サマリー」と「デーベンポート」が、発電機に直流電源を流して回す「直流電
流モーター」を発明した。そして、
「エジソン」が白熱電球に直流の電気を流し、
「直流
白熱電球」を点灯することに成功した。「エジソン」は直流の電線をニューヨークに引
いて、ニューヨーク市民への「直流の電気を供給する事業」を始めた。これらの電池も
電力を発明した「ボルダー」も「ピクシー」も「サマリー」達も、そして、
「エジソン」
も、みんな「ベンチャー」である。
ここまでは、街の電力供給は「直流」であった。しかし、直流は電圧が降下するため、
3kmの範囲の地域にしか送電できなかった。
その後、
「エジソン」が設立したGE(General Electric)の部下であった「ニコラ
ス・テスラ」が「交流発電機」を開発し、実用化した。この技術は、GEのライバルの
「ウエスチングハウス」が、交流で「交流電力を供給する事業」を始め、これが、遠方
まで高圧で電力を流すことが可能となり、そこで、交流高圧を送電し、その送電先で1
00ボルトに降下させることにより、遠方までの電力供給を可能にさせた。これにより、
直流から交流となった。
日本でも最初の電気は直流であった。1887年の鹿鳴館で、白熱電球が灯った。そ
して、10年後の1897年、浅草発電所にドイツ製の50サイクルの「交流発電機」
が設置されたのが「交流電力供給事業」の始まりであるらしい。それまでは、日本も電
気は直流と考えていた。
これまでの発電のように、山奥のダムの水力発電所や臨海での火力発電所、そして、
19−14
21-13
原子力発電所のごとく、1ヶ所で「集中大型発電」により、遠くの各都市に送電する場
合、また、工場などの大きい容量を消費する場合は、交流のほうが、電圧降下等におい
て優れている。
しかし、ふるさとの村で、3kmの範囲内にあって、あまり電力消費のない過疎地域
には、直流方式の供給も良い。22世紀の地方の過疎地では「太陽光発電システム」と、
それをうまく供給する「スマートグリッドシステム」によって、その過疎地の「EVの
蓄電供給システム」や「医療電気システム」や「家電電力供給システム」を、直流シス
テムと交流システムのそれぞれの特徴を活かし、ふるさと村での「過疎地の直流・交流
エネルギースマートグリットシステム」が良い。そして、
「ふるさと科学技術イノベー
ションバレー」により、次の新しいバイオエネルギーや河川エネルギーなども研究開発
し、第0次的産業を発展させる必要がある。
そして、この電力を使った低廉な電力の供給によって「農産物のハウス工場」や「林
業の加工工場」
、
「漁業の船の動力源や魚介の加工工場」など、エネルギーのクリーン化
とエネルギーコストの低廉化を図ることによって、ふるさと村の第0次的産業(医療、
教育、環境など)の発展と第1次産業、第2次産業の更なる発展を図ることにより、ニ
ッポンの100年後の地域の伝統文化を活かしたハイテク産業の発展が可能となる。
少年よ、ベンチャーとなれ!! 再び平成の「海援隊」を創ろう。そして、大学や企業
の研究者とともに「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」を設置しよう。さらに、
他の若者にもベンチャーへの参加を募り、それに対する村長や州長、そして、国の支援
に対する強いリーダーシップを求めよう。
21-14
21‐5.少年よ、ベンチャーとなれ!!22世紀のニッポンふるさと村の産
業は、電気自動車製造が主力となって、ふるさと村の経済が潤う
「松重先生、このEV(電気自動車)は静かで気持ち良く走りゆうの
う。
」
「はい、坂本先生。今までのガソリン車やディーゼル車は、エンジン
で作るのは大変難しゅうございました。また、そのエンジン周辺の
部品の技術も大変難しゅうございました。したがって、トヨタ、日
産、ホンダという一部のメーカーでしか作ることはできませんでし
た。しかし、電気自動車となるとエンジンもないので誰でも作るこ
とができます。
」
「ほぉー。自動車が誰でもつくることができるがかよ。昔では、考え
られんかったなあ。
」
「はい、アメリカのシリコンバレーでは、かつて、ICTのメーカー
が、今はEV(電気自動車)のベンチャー企業に変わろうとしてお
ります。また、中国では少し機械加工のできる人であるならば、E
V(電気自動車)を作って販売しております。」
「ほぉー、それはベンチャー企業、ふるさと村の少年ベンチャー科学
技術イノベーションバレーにとって都合が良いのう。
」
「はい、坂本先生。しかし、中国と違って日本では、安全性などの規
制が厳しく、ベンチャー企業は手を出すことができません。結局、
これまでの東京に本社があるトヨタ、日産、ホンダしか作ること
が・・・。」
「うむ・・・。ベンチャー企業にとってチャンスなのに・・・。なんとかし
て、ベンチャー企業に電気自動車を作ることはできんがやろうか。
」
「22世紀は電気自動車の製造が産業の中心となって、ふるさと村の経済が潤うよう
になる。
」
20世紀の産業の変動の大きな支柱となったのが、自動車産業である。
日本では、戦後、GM(General Motors Corporation)やクライスラー、フォードに
追いつけ追い越せと、日産やトヨタを中心に、日本経済成長の大きな第2次産業となっ
た。そして、この第2次産業は、第3次産業を伴いながら、アメリカ、ヨーロッパに輸
出する第4次的産業として、日産、トヨタ、ホンダなどの巨大企業のみならず、その部
品や材料を製造する中小企業を巻き込んだ大きな産業集団となって、世界に飛び出した。
そして、この巨大企業群の世界への発展に、第5次的産業である日本のメガバンク、
世界のファンドや世界の投資家が群がって投資し、その巨大な利益の恩恵を受けたので
あった。それが、高度経済成長であり、グローバル化であった。
21-15
た。
しかし、今、EV(電気自動車)への流れに乗って、アメリカのベンチャー企業も、
IT企業も、自動車エンジンの設計、製造などのノウハウの無い人々が製造をして販売
を始めた。アメリカだけではなく、中国も人口約15億人の中から、広大な各地方で、
それぞれEV技術の高低があるにせよ、EVを作り、販売を始めた。これは、これまで
の「エンジン」の自動車メーカーと違ったグループであり、新しい産業へのベンチャー
である。
まさに、ベンチャーEVの夜明けである。EVには、走行の「スピード」と「走行距
離」
、そして、そのための「電池」の「技術の課題」が、ベンチャーとして、これから
イノベーションをしていくことが必要となる。EVは、地方の農家の人でも、土建屋の
人でも作ることのできるという「地方産業」の発展につながる。まさに、
「ふるさと科
学技術イノベーションバレー」の大きなテーマである。
京都大学では、
「京都カー」として、これまでの京都文化である京都の竹と織物の伝
統技術を活かしたEV(電気自動車)の開発を行っている。また、慶應義塾大学でも、
新しいEV車を試作している。
国、県(州)は、地方のベンチャー企業や個人にも、また、異業種の企業にも、EV
を製造して販売できる「法律の緩和」と「金融等の補助」を行うべきである。
21-16
第 22 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「地方のスマー
トフォンやブロードバンドによるICT社
会」化の早期構築を
電気自動車に乗った龍馬と松重は、お龍の実家(楢崎将作邸跡碑)に通りかかった。
お龍は、青蓮院宮に仕える内・外科医楢崎将作の長女である。1841(天保 12)年
に富小路六角付近で誕生し、しばらくして、この地に移り住んだと思われる。
お龍には、父母のほか、弟妹が 4 人いたが、家事を任されることもなく、華道、香道、
茶道などのおけいこごとに専念できたようである。父在世中は、いわば良家のお嬢様と
して、裕福に暮らしていたといえる。
1862(文久2)年6月20日に父楢崎将作が亡くなると、一家の生活は一変する。
長男太一郎はまだ幼尐で、亡父に代わって家族を養うことができずに、とうとう一家は
バラバラになる。
お龍とは別行動をとった母貞と末妹の君江は、洛東大仏方広寺单門(現三十三間堂单
大門)前の河原屋亓兵衛(もしくは亓郎兵衛)の隠居所に居住した。
土佐亡命志士の賄いのため、住み込みで働き続ける。ここに龍馬が住んでいた。これ
が龍馬とお龍の出会うきっかけとなる。
龍馬はお龍を紹介した姉乙女宛ての手紙に、さまざまな彼女の個性を記し、「まっこ
とにおもしろき女」と評価した。
京都
大学
京
都
御
所
京都大学
・
吉田神社
二条城
・
鴨川
お龍の実家(楢崎将作邸跡碑)
22-1
22‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の人々のスマートフォン
の活用によるユビキタス村の創造へ―村役場へ、ショッピングセ
ンターへ、病院へ、スマートフォンで子供も高齢者も生活―
「最近『スマートフォン』という何やら聞きなれぬ言葉を聞くように
なったのじゃが、あれは何のことなが?」
「はい、坂本先生。スマートフォンと言うのは、携帯電話にパソコン
の機能がくっついたものです。電話やインターネットはもちろん、
文書の作成などパソコンでしかできなかったことが、小さなスマー
トフォン一つでできるようになりました。
」
「ほう、それは便利になったのう。
」
「パソコンはかなり値段がかかりますが、スマートフォンであればパ
ソコン以下の価格で買えるのも良い点です。
」
「金をあまり持っていない人でも買えそうじゃのう。そのスマートフ
ォンでどんなことができるがぜよ。
」
「はい。スマートフォンを地方のふるさと村に普及させれば、お年寄
りも外に出ることなく買い物することができますし、病院に行かな
くても、お医者さんに診てもらうことができるかもしれません。ふ
るさと村の人々にとって便利な道具になってくると思います。
」
「スマートフォンをふるさと村に普及して、ふるさと村のイノベーシ
ョンを起こそうじゃいか。
」
「ふるさと村では、スマートフォンの活用により、村役場やショッピングセンター、
病院などに行かなくても、家に居ながらできるようになるユビキタス村となる。
」
スマートフォン(Smartphone)とは、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)
と携帯情報端末(Personal Digital Assistant;PDA)を融合させた携帯端末であり、
通常の電話や携帯電話・PHS単独で使用可能な通信機能だけでなく、本格的なネット
ワーク機能、PDAの持つメモ帳やスケジュール管理をすることができる。端的にいえ
ば、ノートパソコンにより近くなった携帯電話である。
スマートフォンは、パソコンと同様に、自分の使いたいソフトウエアを自由に取り込
めるのが大きな特長である。パソコンと同じ配列のキーボードやタッチパネルを搭載し
て、文字も快適に入力できる。インターネットも楽に使うことができ、今後、インター
ネットの利用は、パソコンだけでなく、スマートフォンのようなモバイルが中心になる
かもしれないという人もいる。
スマートフォンの主な機能として、以下のものがある。
① パソコン的な利用
インターネットへの接続、ウエブの閲覧、メールの送受信
Word、Excel、PDF ファイルの閲覧、文章の作成
22-2
② 個人情報管理機能
スケジュール管理、To Do(予約)管理、住所録
③ マルチメディアプレーヤー
MP3 等の演奏、静止画・動画の閲覧、サウンドレコーダー
④ カメラ
デジタルカメラ、ムービーカメラ
⑤ ゲーム
⑥ 電子辞書
⑦ 電卓
⑧ GPS など
スマートフォンは1999年に、その前身というべきものが発売された。カナダの
Research In Motion 社の「Black Berry」である。発売当初は、電子メールが使えるキ
ーボード付きポケットベルのようなものだった。現在では、個人情報管理機能、プッシ
ュ型電子メール(即時にメールの送受信が可能)
、音声通話機能、インターネットのウ
エブサイトの閲覧、Word、Excel、PDF ファイルなどの閲覧・編集が可能なスマートフ
ォンに変貌している。2004年頃からアメリカのビジネスマンを中心に普及し、アメ
リカにおけるスマートフォンのトップシェアを誇っている。
スマートフォンのオペレーションプログラム(Operation Program;OS)には以下
の3種類がある。
① Windows Mobile(Windows ケータイ)
マイクロソフトが開発したスマートフォンモバイル向けの小型OSである。マイク
ロソフトのソフトウエア(Microsoft Office、Windows Media Player など)の Windows
Mobile バージョンが搭載されている。2009年第3四半期のスマートフォン市場
において、Windows Mobile のシェアは20%減となった。世界的には、スマートフ
ォン市場において7.9%のシェアを占めており、4番目に人気のあるスマートフォ
ンである。
② iPhone
2007年にアップルがアメリカで発売したスマートフォンである。従来のスマー
トフォンとは異なる日本の高機能携帯電話に近い仕様が特徴である。日本において、
2008年7月にソフトバンクから「iPhone 3G」が発売された。発売3日間で全世
界で「iPhone 3G」本体100万台の売り上げ、800本以上のソフトリリース、1
000万本の iPhone 用ソフトのダウンロード達成など、発売当初から注目を集め、
日本のスマートフォン市場を大幅に拡大させた。
③ Android
別名「Google ケータイ」とも呼ばれ、Google 等が中心となって開発を進めている
携帯端末用のプラットフォームである。Google が中心となっているため、Google の
アプリケーションが中心となっており、Gmail、Google カレンダー、Youtube などの
Google サービスが利用できる。Android を搭載した端末は2008年にアメリカで発
売され、日本では2009年にNTTドコモから発売し、2010年にはソフトバン
クやKDDIからも発売される予定になっている。
今後のスマートフォン市場は、iPhone のヒットにより、一般利用者にも広がりつつ
22-3
あり、より一層拡大することに期待を寄せる端末メーカーが多い。
ふるさと村でスマートフォンの導入により、何が可能になるかを図 22‐1‐1 に示し
た。図 22‐1‐1 のように、スマートフォンの導入で高齢者のみならず、一般の人々に
も今までであれば直接現地に行ってやらなければいけないことも、その場に居ながらで
もできることが多くなると予想される。
病院
(医療)
︵
勉強︶
学校
スマートフォン
<ふるさと村の人>
(スポーツ観戦)
タクシー
介護タクシー
図 22−1−1 ふるさと村の人々のスマートフォンの活用によるユビキタス村へ
22-4
22‐2.少年よ、ベンチャーとなれ!!ブロードバンドをすべてのニッポン
のふるさと村に普及させよう
「ニッポンの中でもインターネットができるところや、なかなかでき
んところがあると聞くけんど…。
」
「はい、坂本先生。高速のインターネットサービスのことを『ブロー
ドバンド』といいます。ブロードバンドは都市部では発達しています
が、地方のふるさと村、特に山間部や離島などでは十分に発達してい
ないところもあり、日本の中でも大きな情報格差があると聞きます。
」
「ニッポンのふるさと村の人にも、便利な生活をさせちゃれんろうか
ね。
」
「日本政府では『u-Japan 戦略』ということで、インターネット環境
を日本全国に充実させようとしています。現在では、スマートフォン
も日本国内で出回っており、ふるさと村でもブロードバンドの環境が
充実していくと思います。
」
「ブロードバンドで子供らあが、地方のふるさと村に新しいイノベー
ションを作ってくれることを期待したいのう。」
「ブロードバンドをふるさと村全部に普及させよう。
」
ブロードバンドは、東京などの都市部では発達しているが、地方のふるさと村では、
現在もなお、FTTH(Fiber To The Home;光ファイバーを伝送路として一般個人宅
へ直接引き込む)どころかADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line;非対称デ
ジタル加入者線)すらも提供されていない地域が多い。過疎地域では整備が全くなされ
ていない地域も多く、情報格差が生じている。
ブロードバンドインターネット接続とは、通信速度が高速なインターネット接続のサ
ービスを指す。日本では、通信速度がおよそ下り512kbpsから1Mps以上の時
に呼ばれることが多いが、明確な線引きはない。
高速回線は、ISDN(Integrated Services Digital Network;サービス総合デジ
タル網)が登場したときから存在しており、当時の速度は512kbpsから1.5M
bps程度、特殊なケースで6Mbpsから数十Mbpsのデジタル回線(光ファイバ
ー)で、回線料金や接続料金が高価(月額数十万円以上)であったため、主要なユーザ
ーは大企業やコンピュータ関連企業、さらには、先進的な大学・研究機関が主であった。
一方、一般的利用者が利用する回線はほとんどの場合、アナログモデムやISDNによ
る低速(数十kbps∼128kbps程度)
・時間従量制のダイヤルアップ接続サー
ビスなどであった。
そのような状況下で、既存の電話線(金属電線・メタリック回線)で、従来使用して
いた電話よりも広い帯域を用いることで、高速の信号が伝達できる技術(ADSL)が
日本でも実用化・普及し、インターネット接続サービス向けに利用できるようになった。
また、ほぼ同時期にケーブルテレビ(CATV;Community Antenna Television、Cable
22-5
Television)の伝送線(同軸ケーブル)を用いたインターネット接続サービスも開始さ
れた。それに少し遅れて、2003年頃からは、光ファイバーを直接・間接にユーザー
個宅まで引き込むFTTH(Fiber To The Home;光ファイバーを利用した家庭用の高
速データ通信サービス)
・FTTx(Fiber To The x;光ファイバーによる有線通信に
おける、ユーザー宅向けの網攻勢の方式の総称)も普及を始めた。
手ごろな価格で導入できるようになった高速回線を、それぞれの通信事業者などが、
ブロードバンド回線と呼んで、一般消費者・小規模事業所向けに激しく売り込んだのが、
ブロードバンドという用語が広まったゆえんである。わかりやすく単に高速回線と呼ぶ
場合もあったはずだが、結果的に専門的色彩の強いブロードバンドという言葉が定着し
た。ブロードバンドによるインターネット接続は、課金体系が電話・ISDN回線によ
る従来のダイヤルアップ接続の従量制とは異なり、当初から定額制で提供され、通信料
金や時間帯を意識せずに利用できるため、普及とともにインターネットの利用形態に大
きな変化をもたらした。
また、高速・常時接続であることを活かしたIP(Internet Protocol)電話サービ
ス、さらには動画のような大容量のデータを短時間に送受信可能になったことによるビ
デオオンデマンドサービスなど、新しいサービスが普及し始めている。
無線によるブロードバンド回線(無線LAN、第三世代携帯電話、高度化PHS(W
−OAM)
、無線アクセスなど)も研究開発され、一部はサービスが開始されている。
過疎のふるさと村や、都市部の高齢者には、まだブロードバンドは十分に利用されて
いない。利便性の良さ、また、生活の安全と充実のために、スマートフォンを過疎の村
や都会の高齢者にも急いで普及させる必要がある。ブロードバンドが国全体に普及する
ために、国レベルの強大な資金と人材を投入する必要がある。そして、その資金と人材
を「ふるさと村ICTユビキタス科学技術イノベーションバレー」に注ぎ、一日も早い
ニッポンの22世紀型ユビキタス社会の構築を図るべきである。
少年よ、ベンチャーとなれ!!再び平成の「海援隊」を創ろう。そして、大学や企業の
研究者とともに「ふるさと村ICTユビキタス科学技術イノベーションバレー」を創り、
少年自らが新しいICTユビキタスの研究を行って、第0次的産業を創造しよう。
ブロードバンドとは
ナローバンド
ブロードバンド
狭帯域
広帯域
データ
データ
図 22−2−1 ブロードバンドとナローバンドとの違い
22-6
22‐3.少年よ、ベンチャーとなれ!!ICTでふるさと村をユビキタスな
村として生活改革を
「ニッポンにはいろいろな問題があると思うが、それに対してどんな
に解決したらえいがやろう。」
「はい、坂本先生。いろいろあるかと思いますが、ICT(情報通信
技術)が切り札になると言われています。日本では、いつでもどこ
でもできるユビキタスネットワーク技術の実用化が進んでいます。
介護・福祉支援システムや食品トレーサビリティー、ホームセキュ
リティシステムなど、開発が進んでいます。
」
「ICTがニッポンの将来を支えるということながあ?」
「そうです。日本のふるさと村までICTが充実し、東京にいる若者
も、ふるさと村にいる高齢者も同じような生活ができるのです。
」
「ふるさと村を ICT を活用したユビキタスな村に改革しよう。
」
日本では、少子高齢化が進む中で、安心・安全への対応や、経済の活性化など、解決
すべき社会課題が山積みとなっている。そこで、これらの解決策として、情報通信技術
を意味するICT(Information and Communications Technology)が課題解決の切り
札として期待されている。
総務省では、2010年に「いつでも、どこでも、誰でも」というユビキタスネット
社会を実現するために新たな社会の姿(u-Japan)を明確に打ち出し、必要な政策パッ
ケージ(u-Japan 政策)を策定した。
2006年以降に到来する本格的な少子高齢化社会では、生活・社会、医療・福祉、
交通・物流、環境・エネルギー、雇用・労働、教育・人材、治安・防災、経済、産業、
行政サービス、国際といった分野において、解決すべき課題が山積みである(図 22‐3
‐1)
。これらをICTの今後のトレンドとなるであろう「ユビキタスネット」が解決の
切り札となると期待される。すなわち、今後は情報家電、IPv6(Internet Protocol
Version 6;インターネットプロトコルの次世代版)
、電子タグ、ブロードバンド、デジ
タル放送など、日本の強みであるユビキタスネットワーク技術が着実に実用化、汎用化
され、老後の不安を解決する介護・福祉支援システムや食の不安を解決する食品トレー
サビリティー、治安への不安を解消するホームセキュリティシステムなど先進的なIC
Tの利活用方法の開発が進展し、その結果、ユビキタスネット社会への期待が拡大する
のである。
日本のICTは「e-Japan 政策」から「u-Japan 政策」に移り、以下の三つの基本軸
において進化を図る。
① ブロードバンドからユビキタスネットへ
e-Japan 戦略の目標は大きくクリアし、ブロードバンド環境は充実してきている。
u-Japan では、これまでの有線中心のインフラ整備から、有線・無線の区別のない
シームレスなユビキタスネットワーク環境への移行を目指している。有線から無
線、ネットワークから端末、認証やデータ交換等を含めた有機的な連携によって、
22-7
あらゆる場面で継ぎ目なくネットワークにつながる環境を整備する。その結果、
ネットワークが生活の隅々にまで溶け込む草の根のようなICT環境が実現する。
② 情報化促進から課題解決へ
これまでの利活用は、情報化の遅れた分野を後押しするための取り組みが中心
であった。今後は、21世紀の社会課題を解決するために、ICTを積極的に利
活用する段階に移行していく。その結果、社会に役立つ具体的なツールとして、
ICTをより深く実感できるようになる。
③ 利用環境整備の抜本強化
ICTが国民生活に広く普及浸透し、利活用が進むにつれて、プライバシーや
情報セキュリティ等の不安や障害が意識されるようになってきている。ICTの
「影」といわれるこれらの問題を未然に解消し、ユビキタスネット社会を支障な
く迎えるためには、利用環境整備を抜本的に強化し、具体的かつ包括的な政策を
講ずる必要がある。
u-Japan では、ICTが草の根のように生活の隅々まで溶け込むことで、創意ある利
活用を通じた価値創発が促されることがテーマとなっている。
22-8
図 22-3-1 今後のICT政策(出典:総務省ホームページ)
図 22-3-2 e-Japan から u-Japan 政策へ
(出典:総務省ホームページ)
22-9
22‐4.少年よ、ベンチャーとなれ!!ロボットの開発をやろう。ふるさと
村の山の作業、畑の作業、海の作業もロボットで、そして、医療・
介護もロボットで!!
「ロボットが人の代わりになるがかよ?」
「はい、坂本先生。もともとロボットは工場で製造の補助に使って
おりましたが、最近では、お年寄りの介護用のロボットや、家事を
行うロボット、ペットの代わりになるロボットも出ています。
」
「将来はロボットが人間の代わりとなって仕事をする時代になるの
かもしれんのう。そうすれば、どのようなことができるがやろう。」
「はい、坂本先生。ロボットはふるさと村で暮らす一人暮らしの高
齢者にとって有効になると思われます。そこで、ふるさと村をロボ
ット研究の拠点にしてはどうでしょうか。医療介護はもちろん、人
命救助や農業を行うロボットなど、ふるさと村の人に取って無くて
はならないロボットを開発するのです。
」
「ほう、それは面白いのう。
」
「少年たちがロボットの開発をして、ふるさと村の山や畑、海の作業、そして医療・
介護もロボットがやるようにしよう。
」
ロボットといえば、高度成長期においては、労働生産性を高めるための機械であった。
このロボットが、トヨタ自動車、ソニー、パナソニック、ホンダなど、第4次的産業へ
の世界市場の競争力の源泉となった。そして、このロボットの技術自身が、世界の第4
次的産業の競争力の基盤技術として、世界の産業から採用されるようになった。
人と地球の共生のための第0次的産業のロボットとして、
① 地球環境のためのロボット
② 老人や体の不自由な人の動作を補助するロボット
③ 地震や津波などの災害による人命救助を行うロボット
④ 医療における手術支援ロボット
等が開発されるようになった。ロボットは、これまでのように、工業生産の補助として
第4次的産業の競争力向上のためのロボットと、それに対して人と地球の共生の医療や
介護、農林水産業など第0次的産業、あるいは、第1次産業の農林水産業の補助を行う
ロボットに大きくわかれつつある。
ふるさと村には、山や川や畑や海が多く、このような資源を有効に活用し、人と地球
の共生のための第0次的産業のひとつとして「ふるさと村ロボット開発イノベーショ
ン」が今後ますます期待される。
ロボットは主に、環境、制御、感覚、パワー、構造、プログラムの6つの要素で構成
されている。
① 環境
ロボットが使用される環境のことで、ロボットがどのような環境で使用される
22-10
かを知ることは研究・開発する上で重要な要素である。
② 制御
人間の神経系に相当し、ロボットを指示通り動作させるための重要な要素である。
ロボットの動作とコンピュータの指示を比較し、ロボットを正しく動作させること
を「フィードバック制御」と呼んでいる。
③ 感覚
人間の五感(視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚)に相当する。五感の情報をセンサ
ーにより電気信号に変換する。センサーには視覚センサー、赤外線センサー、触覚
センサー、味覚センサー等がある。センサーによって得られた情報は「フィードバ
ック制御」のための重要な情報となる。
④ パワー
人間の筋肉に相当する。ロボットは自身が動くためのエネルギーが必要で、電池
(バッテリー)などのパワー源から供給される力はロボットを動かすための重要な
要素となる。電池(バッテリー)以外のパワー源にはエンジン(内燃機関)
、油圧
エネルギーなどがある。
⑤ 構造
人間の骨格に相当する。ロボットが自らを支える、または作業したり移動した
りするための重要な要素であり、材質としては軽くて強い材料が好まれる。
⑥ プログラム
人間の頭脳に相当し、ロボットが目的の仕事をするための手順を記述している所
である。ロボットを正しく、または暴走させないように動作するための重要な要素
である。
現在、ロボットには様々な用途のものがある。二足歩行が可能なロボットとしては、
「ASIMO(本田技研工業製)」
、
「HRP-2/HRP-3(川田工業、産業技術総合研究所、川崎重
工業製)
」
、
「SDR-4X/QRIO(ソニー製)」、「TRP(トヨタ自動車製)」などがある。ASIMO
はイベント会場の客寄せにレンタルされたり、人間以外で初めてニューヨーク証券取引
所で取引開始の鐘を鳴らしたりするなど、一般社会に普及し始めている。ソニー製の
「AIBO」のようなエンターテイメントロボットも登場している。このように、一般家庭
に愛玩品や娯楽品、果ては家族という位置づけで様々な家庭用ロボットが発売されてい
る。AIBO のほかに「QRIO(ソニー製)
」などがある。人の動作を補助するロボットには
「HAL(サイバーダイン製)
」が代表的である。これは人間が装着することで機能し、医
療・福祉関係のほかに、物流関係、工事現場など、広く民生用への応用が期待される。
医療・福祉関係としては、介護用ロボットとして「AR(理化学研究所・東海ゴム製)
」
や「百合菜(ロジックマシン製)
」がある。地震や水害などの災害が起こったときに、
救助を行う事を目的としたレスキューロボットの開発も進められている。代表的なもの
が「援竜(テムザック製)」である。援竜は災害現場の瓦礫撤去や、人間が接近できな
い場所での救助活動をする。搭乗操作と遠隔操作の両方が可能である。ほかにも軍事用
ロボットや宇宙用のロボットの開発も進んでいる。
また、手術支援ロボットを使ったロボット手術が注目されている。手術支援ロボット
は、
「患者に優しい手術」を可能にする。すでに、米国を中心に全世界に普及しており、
日本でもこれからの普及が予想されている。ロボット手術は、泌尿器科領域の前立腺手
術など、通常の内視鏡手術では技術的に難しい手術で特に威力を発揮する。胃がんや肺
22-11
がんの手術でも、患者の負担がより少なく、高精度で質の高い手術が、より安全にでき
ると期待されている。ロボット手術は、外科系医療の新しい時代を招く可能性がある。
少年よ、大学や企業の研究者とともに、ロボットの開発をして、ふるさと村の農林水
産業、医療・介護でロボットを導入し、
「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」
を構築しよう。
図 22−4−1 いろいろなロボット
22-12
22‐5.少年よ、ベンチャーとなれ!!ベンチャーとなって地方のスマート
フォンやブロードバンドによる ICT 社会化の早期構築を
「神戸の海軍塾で操練の教育を受けた。一番難しいのは、自船の位
置を確認することやった。その航海術、天文航法があった。六分儀、
速度を計算するハンドログ、砂時計、精密な時計(クロノメーター)
。
当時の最高の技術じゃった。」
「はい、坂本先生。現代の船も車も人も世界のどこを航海していて
も人工衛星を利用したGPS(グローバル・ポジショニング・シス
テム)がございます。
」
「ほぉー。GPSか・・・。何じゃ。それは?」
「はい、坂本先生。現代は、ICT(情報通信技術)の時代でござ
います。これによって、教育や医療のeラーニング、あるいは、身
分証明書の発行、世界のお金の受け払い、あるい、世界の政治の映
像、あるいは、オリンピックの映像などもリアルタイムで私達は知
ることができます。
」
「ほぉー。それは、えいのう。それをふるさと村に導入して、ふる
さと村の教育や医療、自治、政治、あるいは、金融など、世界の流
れに負けんようにせんといかんのう。
」
「少年たちがベンチャーとなって、ふるさと村をスマートフォンやブロードバンドに
よるICT社会化しよう。
」
携帯電話やブロードバンドによるICT(大量情報技術)の進化は、ニッポン全体、そ
して、小さなふるさと村にも、その行政、自治、医療、介護、教育、文化など、人と地
球との共生の仕組みを大きく変えつつある。
100年後のニッポンは、電子政府と電子自治体との仕組みができ、ふるさと村では、
在宅で村との煩雑な手続きを行い、村議会にも多機能携帯端末(スマートフォン)を通じ
て参加できるだろう。村の診療所の検査予約も、在宅での検診や介護も、検査機器とロ
ボットで、遠隔監視制御システムで行うことができるかもしれない。村の学校では、先
生が電子黒板と先生用PC(パソコン)とデシタルテレビ等を使い、子供達は生徒用PC
を使って授業が行なわれているだろう。
政治も行政も自治も医療、介護も、そして教育、文化も、いやいや農業も林業も漁業
もパソコンや携帯などを使って、ふるさと村が、そして、ニッポン全体が、ユビキタス
社会となり、それが、人類と地球の共生の産業(第0次的産業)の重要な道具として、社
会のシステムとして、社会構築がなされるであろう。
「100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢」
、それは、医療、福祉、教育、文化等
の発展とさらなる経済成長であり、これが、人類と地球の共生産業(第0次的産業)の成
功である。その「100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢」の成功のためには、まず、
22-13
このスマートフォンやブロードバンド等のICT社会の構築が不可欠であり、この更な
る技術開発が急務である。
少年よ!!大学や企業の研究者とともに、ふるさと村で「ふるさと村科学技術イノベー
ションバレー」を創り、ICT社会づくりを始めよう。
ハイテク
ふるさと
行政
(自治)
ハイテク
医療
ハイテク
教育文化
ハイテク
介護
村
ふ るさ と科 学
技 術イ ノベ ー
ションバレー
ハイテク
林業関連
ハイテク
農業関連
ハイテク
漁業関連
ハイテク
太陽光バイオ
エネルギー
電力
図 22‐5‐1 ふるさと村科学技術イノベーションバレー
22-14
第 23 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「資源大国ニッ
ポン、広い海、緑の山、肥えた土、そこで何
かに向かってイノベーション」しよう
電気自動車に乗った龍馬と松重は、土佐藩邸跡に通りかかった。土佐藩邸が初めてお
かれたのは江戸時代で、1690(元禄3)年には、京都藩邸の守るべき法律が詳しく
定められている。土佐藩邸は土佐藩の京都連絡事務所で、京都における根拠地であった。
留守居役が詰め、町人の御用掛を指定して、各種の連絡事務に当たっていた。土佐藩は、
薩摩、長州と並んで幕末政局の为導権を握った雄藩であった。土佐藩邸は高瀬川を渡っ
た西側、西は河原町通りに至る間の元立誠小学校付近にあった。
京都
大学
京
都
御
所
京都大学
・
吉田神社
二条城
鴨川
・
土佐藩邸跡
23-1
23‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!「資源大国ニッポンのふるさと資源」
を活かして、100年後のニッポンのふるさと村を創れ
「土佐の米はうまかった。そして、山の森林の匂いも好きじゃった。
桂浜の海は太陽で光り、広々としていた。ニッポンは広いのう。
」
「はい、坂本先生。日本は森林に恵まれ、肥えた土による田畑に恵ま
れ、広々とした大きな大洋に恵まれています。」
「うむ・・・。資源大国ニッポンじゃ。ニッポンにはこの素晴らしい自
然、風土と古来の文化、歴史、そして作られた技能がある。
」
「はい、坂本先生。日本には古来、飛鳥、平安から今日まで素晴らし
い文化を育み、また、ものづくりの技能を創り上げてまいりました。
」
「うむ。そうじゃのう。土佐にも、土佐和紙、土佐打刃物、 土佐漆
喰、土佐珊瑚という伝統技能がある。ちなみにワシの刀は、土佐の
産じゃった。こういった技能をふるさと村の少年に引き継がせ、そ
して、この少年自身が新しい科学と結合をしたふるさとのものづく
りが必要じゃきのう。ものづくりニッポンじゃ。
」
「はい、坂本先生。
『ものづくり』の技能こそ、日本の宝、日本の資
源でございます。
」
「ものづくりという資源大国ニッポン、少年よ、ベンチャーとなれ!
ふるさと村のものづくりという資源と新しいハイテクの科学技術へ
のイノベーションによって、次世代のものづくり・・・」
ニッポンは資源のない国であるという人がいるが、それは、間違っている。そのよう
な人は、多分、陸上の石油や石炭等の鉱物資源を指して言っているのであろう。
「少年
よ!!ニッポンは、世界でまれにみる資源大国である。
」
① 地方の歴史ある文化と風土、そして、時が刻み込まれた「伝統技能という資源」
② 地方の勤勉な「人という資源」
③ 雪国北海道から南国沖縄の島々まで、広々とした「海の資源」
、緑豊かな「山々
の資源」
、そこから流れる「河川という資源」
、そして、肥えた「土の資源」
、こ
れら「自然な地球資源」
このような資源大国でありながら、日本人自身が、あるいは、日本の産官学のリーダ
ーが自覚をしていない。そして、それらの資源を活かす行動、教育、政策を実行してい
ない。たぶん、その原因は、明治から始まった東京一極の政治、教育、経済等にあると
思われる。鹿明館時代というように、明治より始まった欧米の文化、教育、経済に追い
つき、追い越せという政治である。ニッポンのふるさと村の文化、教育、風土よりも、
欧米に追従するという考え方である。特に、第2次大戦後、敗戦という精神的ショック
とアメリカ占領の政治から、より一層、アメリカ、ヨーロッパ思考が強くなった。
23-2
しかし、尐年よ!!ニッポンには、すばらしい資源がいっぱいある。ふるさと村の文化
や国土や伝統ある職人技能、あるいは、勤勉な若者から老人までの、人というすばらし
い資源、そして、広い日本の北海道から单の島々の自然な地球の資源がある。そして、
特に海洋は、資源大国ニッポンの宝庫でもある。
これらの資源をどう活かすのか?100年後のニッポンの夢、ふるさと村の夢のため
に、尐年よ!!ベンチャーとなって行動して、再び平成の「海援隊」を創ろう。そして、
まず、ふるさとの小さな村に大学や企業の研究者とともに「ふるさと村科学技術イノベ
ーションバレー」を創ろう。
23-3
23‐2.少年よ、ベンチャーとなれ!!ニッポンの海は、世界6位の広さ。
海洋資源大国ニッポン、そこで、海のベンチャーになろう
「土佐の桂浜から見る海は広く美しい。
」
「はい、坂本先生。桂浜から眺める大洋の海は美しく広々としており
ます。
」
「そうじゃのう。ニッポンの海の領土は、昔は広かったのだが・・・。
」
「はい、坂本先生。昭和の戦争で日本の領海は少なくなりました。し
かし、それでも、領海と排他的経済水域は約450万km2 と言われ
ております。
」
「ほぉー。戦争で少なくなったとはいえども、またまだ広いのう。そ
こには、いろんな魚がおるろう。
」
「はい、坂本先生。まさに、海は資源大国ニッポンの象徴です。
」
「ほぉー。魚も水も風も波も海の底の鉱物も、そして、降り注ぐ太陽
の光も、ここではニッポンのものだ。松重先生、平成の新しい国創
りのため、ベンチャーという海援隊を・・・。」
「ニッポンは世界第6位の海の広さで、海洋資源大国である。海のベンチャーとなろ
う。
」
2010年2月3日、東京から約1,300km南にある海底火山「福徳岡ノ場」で
5年ぶりに噴火が観測された(図 23‐2‐1)
。火山が海上に顔を出し、噴煙を出し、海
は茶褐色や淡緑色など数キロにわたって、太平洋の濃い藍色の海域と、はっきりとした
コントラストが見られた。そして、資源のエネルギーが確認された。
「海底火山から噴出する酸性の熱水に溶けた金属が、弱アルカリ性の海水で中和され
る反応が起こっている」と東京工業大学の野上健治教授が言っているという。ここでは、
地球のマグマのエネルギーと、そして、海洋鉱物資源がある。まさに、海洋資源大国ニ
ッポンのひとつである。この海の底をみると、最も浅い部分の水深は、わずか20mし
かなく、次に大きな噴火があれば「新しい島」ができると言われている。これにより、
日本の領土、排他的経済水域が広がることとなる。この新しい島こそ、人と地球の共生
のマグマである。
さて、日本の最南端で、我が国唯一の熱帯気候の島である沖ノ鳥島も、海洋権益の観
点から注目されている。この島は、東京都心から約1,700km離れた南の海に位置
し、ホノルル(ハワイ)とほぼ同じ緯度にある。
国連海洋法条約第121条では、
「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高
潮時においても水面上にあるもの」を島と定義し、領海、接続水域、排他的経済水域及
び大陸棚を有することと定めているが、沖ノ鳥島はこのような条件を有する島となって
いる(図 23‐2‐2)
。
竹島は、島根県から約200km沖合の日本海に浮ぶ美しい島である。かつては、こ
の島は「松島」とも呼ばれていた。竹島は、日比谷公園とほぼ同じ大きさの面積をもつ
23-4
「女島」
(東)
、
「男島」
(西)など、岩礁の島々から成り立っている。かつて、江戸時代、
島根藩の町人達がアワビの採取、アシカの捕獲などを行った島である(図 23‐2‐3)。
図 23‐2‐1
海底火山「福徳岡ノ場」
湧出点付近からの変色水
図 23‐2‐2 沖ノ鳥島
図 23‐2‐3 竹島
北海道の北東の北海道本島の北東の洋上に連なっている、歯舞群島、色丹島、国後島、
択捉島がある。ここは、
「昆布」
、
「さけ・ます」
、
「たら」
、
「たらばがに」など、豊富な
水産資源に恵まれ、世界三大漁場の一つとも言われている。明治以降から昭和にかけて、
日本の人々の手によって、水産資源の開発、あるいは、金や銅などの鉱物資源の開発、
また、牛や馬の畜産業の開発も行われた。春は流氷、夏は自然の青い海など、観光地と
して恵まれたところである(図 23‐2‐4)
。
23-5
図 23‐2‐4 北方領土
その結果、日本には、領域(国家)というものが存在する。領域は、国家の为権(統
治権)が及ぶ空間的領域のことを指し、領土、領海及び領空から構成される。
領土とは、領有している土地のことで、広義には領海・領空を含めて用いられる。
領空とは、領土と領海の上方の空間のことをいう。
領海(図 23‐2‐5 の黄色の部分)とは、1982年の海洋法に関する国際連合条約
(国連海洋法条約)によって定められた、沿岸国の潮位が略(ほぼ)最低低潮面(これ
より低くならないと想定される潮位)であるときに表される海岸線から最大12海里
(約22.2km)となっている。
領海の概念は、下記の図や表の様になっている(表 23‐2‐1、表 23‐2‐2、図 23‐
2‐5)
。
表 23‐2‐1
日本の水域面積
日本の国土面積
約38万km2
接続水域
約32万km2
領海(含:内水)
約43万km2
領海(含:内水)+接続水域
約74万km2
排他的経済水域
約405万km2
領海(含:内水)+排他的経済水域
約447万km2
23-6
表 23‐2‐2 日本の国土
領海の概念に、接続水域と排他的経済水域がある。
接続水域(図 23‐2‐5 の黄色と白色の間にある水色の部分)とは、領海の外縁にあ
る基線から24海里(約44.4km)の範囲にある水域であり、この水域で国家は自
国内、または、領海内における通関、財政、出入国管理、衛生に関する法令の違反につ
いて防止や処罰を目的とした措置をとることができる。通常接続水域の幅は、12海里
(約22.2km)であるが、沿岸国が領海を12海里未満とした場合は、この幅は広が
ることになり、また、他国の接続水域と重複したときは、この幅は狭くなる。しかしな
がら、領海とは異なり、接続水域を巡る紛争の解決のための規定はない。
排他的経済水域(図 23‐2‐5 の白色の部分)とは、
「領海(幅12海里)の外側にあっ
て沿岸国がその水域のすべての資源(生物、非生物を問わず)の探査,開発,保存,管
理および同水域のその他の経済的活動について排他的な管轄権をもつ水域のことであ
る。国連海洋法条約(1982年に採択)上の正式名称であるが、経済水域や EEZ
(exclusive economic zone)とも略称される。つまり、領海と公海の中間に位置する
第3の新しい水域である。すなわち、資源利用その他の経済活動の面では領海に同じく
航行、上空飛行その他の国際コミュニケーションの面では公海に同じという性格をもつ。
排他的経済水域は、国連海洋法条約において領海が12海里と狭く定められた代わりに
沿岸国に認められたものであると言える。この水域は,領海の基線から測って200海
里を超えてはならない、としている。
23-7
図 23‐2‐5 日本の水域
日本は島国であるとともに、周辺海域の大きな海洋国家でもある。
周辺海域の大きさとしては、領海面積と言うより、排他的経済水域の面積を示すこと
が適切であろう。排他的経済水域とは、周辺海域であって、優先的に資源利用・開発を
行うことのできるかわりに資源の管理についても責任を持たねばならない国際的に認
められた領域を指す。
日本は人口規模では世界第10位であり、国土面積では、世界第61位である。それ
では、支配権が及ぶ海洋面積では何位であるか。領海を含めた排他的経済水域の面積は、
日本は447万平方キロと、国土面積38万平方キロの約12倍と大きく、世界第6位
となっている。日本は海洋国家としては大国であることが分かる(図 23‐2‐6)
。
23-8
万km 2
900
800
762
701
700
541
600
500
483
470
447
449
400
317
300
285
200
100
0
ア
メ
リ
カ
オ
ー
ス
ト
ラ
リ
ア
イ
ン
ド
ネ
シ
ア
ニ
ュ
ー
ジ
ー
ラ
ン
ド
カ
ナ
ダ
日
本
(旧
ソ
連
)
ブ
ラ
ジ
ル
メ
キ
シ
コ
(注)領海と排他的経済水域を合わせた管轄水域の面積を示した。日本以外は 1972
年のアメリカ国務省資料「Limits in the Seas-Theoretical Areal Allocations
of Seabed to Coastal States」
(全訳「海洋産業研究資料」
、通巻第 59 号、1975)
に基づくデータ。旧ソ連については、その後独立したバルト海・黒海・カスピ
海に面している共和国分が含まれているほか、アメリカ国務省データにはロシ
アの実効支配を理由に日本領土である北方四島の周辺海域分も含まれている。
したがって、現ロシアの管轄海域面積は日本よりも小さくなると判断。なお、
日本の管轄海域面積は「長井利夫(1996)
、新しい医領海関係法と水路部のか
かわり(水路、99、2-14)
」による。
(資料)シップ・アンド・オーシャン財団「海洋白書 2004 創刊号」
図 23‐2‐6 世界の排他的経済水域面積ランキング
尐年よ、ベンチャーとなれ!!平成の「海援隊」を創ろう。北は択捉島から、单は单
鳥島、沖ノ鳥島、硫黄島、与那国島、沖大東島、尖閣諸島など、ニッポンの海は広い。
ニッポンは広い海も持つ、世界有数の海洋資源大国である。尐年よ、このような海に飛
び込もう。海の魚介資源、太陽エネルギー、波力エネルギー、水の資源、風のエネルギ
ー、鉱物の資源、そして、海の中にいる魚という私たちの仲間がいっぱいいる。このニ
ッポンの島に、大学や企業の研究者とともに「ふるさと村科学技術イノベーションバレ
ー」を創ろう。そして、人と地球の共生のための新しい産業を創出しよう。
23-9
23-3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!潜水船で海洋調査!! 海には、いろい
ろな生き物と資源がある
「土佐の桂浜から見る海にも、生き物やエネルギーや鉱物があるの
う。
」
「はい、坂本先生。海には、多くの生き物と多くのエネルギーと多
くの鉱物資源があります。
」
「ほぉ-。では、どうやって、この生き物の生態やエネルギー、鉱
物資源を調べゆうがぜよ。
」
「はい、坂本先生。日本には「しんかい6500」という水深6,
500mまで潜ることが出来る、有人潜水調査船を用いて調べてい
ます。この調査船で、海にいる生物や海に存在するエネルギー、鉱
物の調査をしています。
」
「海は、生き物と資源の宝庫ながじゃ。
」
「はい、坂本先生。海は、資源大国ニッポンの象徴です。
」
「この海の資源を使うて、ふるさと村にイノベーションバレーを創
り、人と地球のための第0次的産業を創出せんといかん。
」
海には、多くの生き物と多くのエネルギーと多くの
鉱物資源がある。そして、その資源には、
① 海洋魚介資源
② 海洋プランクトン・小微生物資源
③ 海洋海底鉱物資源
④ 海洋波力エネルギー資源
⑤ 海洋水資源
⑥ 海上太陽光資源
がある。海は、生物とエネルギーと鉱物資源の宝庫で
ある。
写真 23‐3‐1 しんかい6500
ニッポンの「しんかい6500」は、水深6,50
0mまで潜ることができる潜水調査船である。現在運
航中の有人潜水調査船の中で、世界で一番深く潜るこ
とができる。1990年に完成し、日本近海に限らず、
太平洋、大西洋、インド洋等で、海底の地形や地質、
深海生物などの調査を行い、2007年には通算1,
000回目の潜航を達成した(写真 23‐3‐1)
。
写真 23‐3‐2 深海の生物
23-10
[地球内部の動きをとらえる]
巨大地震やプレートの沈み込み、マントル中のプ
ルーム運動など、地球内部の動きを調べ、地球の成
り立ちを解明する。
[生物の進化を解明する]
深海という未知の世界の探査は、これまで多様で
独自性に富んだ生物群や化学合成生態系の存在を明
らかにしてきた。これらの深海の生態を調べること
で、生物の起源や進化の過程を解明できると期待さ
れている(写真 23‐3‐2、写真 23‐3‐3)
。
写真 23‐3‐3 深海の生物
[深海生物の利用と保全]
今後人類が直面する食料問題などに向けて、深海生物資源の持続的な利用や、多様な
生理機能を有する深海生物の遺伝子資源の研究が必要とされている。
[熱・物質循環を解明する]
気候変動や潮流の強弱など、地球を取り巻く環境変動の歴史は、海底に堆積した様々
な物質中に記録されている。こうした記録を採取し解読している。また、海底の熱水活
動により放出される熱や物質は、地球環境に尐なからず影響をもたらしてきた。海底熱
水系を理解することは、地球の環境変遷を理解することにつながっている。
「海洋魚介資源」
ニッポンの漁場(北西太平洋漁場;三陸沖、日本海、東シナ海、オホーツク海)は、
北海周辺からアイスランド周辺にかけての水域、及びアメリカ大陸北西大西洋岸ととも
に世界三大漁場のひとつともなっており、漁業国ニッポンの基礎をなしている。同時に
周辺漁場の漁業資源の保全にも管轄国として一義的な責任を有している。
この魚介類の資源大国ニッポンを、将来に向けて、いかに活かすのかが重要である。
ふるさと村の漁港を、いかに活用化するのか、マグロの輸入問題や鯨の捕獲問題のごと
く、他の国に関わることなく、魚の生態研究を行い、魚の枯渇を招くことのないように、
その漁を人と地球の共生を求めた第0次的産業を国や州(県)と共に創出する必要があ
る。尐年よ、ベンチャーとなれ!!平成の「海援隊」を創ろう。大学や企業の研究者とと
もに、漁港のふるさと村に魚のイノベーションを創り、そこから、世界に発信する魚と
人と地球の共生のための第0次的産業に挑戦しよう。
「海洋プランクトン・小微生物資源」
海には豊かで多様性のある小生物が存在する。国連などが10年がかりで進める海の
生物調査「海洋生物センサス(CoML:Census of Marine Life)
」の発表によれば、
動物プランクトンは約2万種類あると言われている。そして、この動物プランクトンは
大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇によって大きく変化すると言われている。ま
た、もっと小さな海洋微生物の調査も行われ、この海洋微生物も豊かな多様性があるこ
23-11
23-12
とが判明しつつある。
これら海の生物は、人間が排出するCO2の影響を受けるとされ、
「人と地球の共生」
のために、いかに私たちが「新しい科学技術イノベーション」により、
「第0次的産業
を確立するか」がテーマとなる。そして、この海に生息する豊かで多様なプランクトン
などの資源と私たちの生活と共生させるか、そのための「ふるさと村の科学技術イノベ
ーション」が必要となる。
「海洋鉱物資源」
また、海水中には、いろんなメタルが含まれている(図 23‐3‐1)
。この中で、リチ
ウムが0.1~0.2ppm(parts per million、1ppm = 0.0001%)含まれている。海
水からリチウムを取り出す研究を、日本の大学(北九州市立大学など)で行われている。
この研究が進めば、埋蔵量が無限に近いリチウムの製造技術を、第0次的産業として創
出することができる。
107
106
Au
Pt
市場価格 [yen/kg]
Pd
Ga
105
In
Ge
Ag
104
Cs
Co
103
102
Rb
経済性が成り立つ
可能性が潜在
U
V
Zn
Ni
Cr
Cu
Fe
Mo
I Li
Mg
Sr
Br
経済性が成り立たない
101
10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100
101 102 103 104 105 106 107
海水中濃度 [ppb (=mg/kg)]
図 23‐3‐1 海水からのリチウム回収の経済性
(海水の科学と工業、東海大学出版会(1994)を改良)
「海底鉱物資源」
① マンガン団塊
海水中にはマンガン団塊(まんがんだんかい、manganese nodule、マンガンノジュ
ール)が多く含まれる。この中には、为にマンガンや鉄を成分とし、銅やニッケルな
どを含んでいる。これによって、マンガン、鉄、銅、ニッケルなど、ニッポンは鉱物
資源大国となる。このマンガン団塊からメタルを取り出す第0次的産業を行うことに
23-12
よって、ニッポンは、世界の金属製造国家となる。
② メタンハイドレード
また、海底には、メタンハイドレード(Methane hydrate)が埋蔵されている。日本
近海は世界有数のメタンハイドレート埋蔵量を誇っている。本州、四国、九州といった
西日本地方の单側の单海トラフに最大の推定埋蔵域を持ち、北海道周辺と新潟県沖、单
西諸島沖にも存在する。
このため、日本のエネルギー問題を解決する可能性が期待されているが、政府が試掘
を行なっている单海トラフでは、現有する採掘技術を使用して採掘・生産しても経済的
には全く引き合わないため、商業生産に向けた民間レベルでの採掘計画は存在せず、研
究用以外の目的では採掘されていないのが現状であった。
その後、日本海沿岸で海底面に露出したメタンハイドレートが発見され、低コストで
採掘できる可能性があるのかを現在調査中であり、採算性などは明らかにされていない。
現在、東京大学、海洋研究開発機構、産業技術総合研究所などによる調査が行われてい
る。
日本のメタンハイドレートの資源量は、1996年の時点において、天然ガス換算で
7.35兆m³(日本で消費される天然ガスの約96年分)と推計されている。もし、
将来、石油や天然ガスが枯渇するか、異常に価格が高騰し、海底のメタンハイドレート
が低コストで採掘が可能となれば、日本は世界有数のエネルギー資源大国になる。ただ、
採掘方法には課題が多い。单海沖海底のメタンハイドレートは、潜水士が作業できない
深い海底のさらに地下に氷のような結晶の形で存在する。そのままでは流動性が無いの
で、石油やガスのように穴を掘っても直接汲み上げられず、石炭のように掘り出そうと
しても、ガスの含有量が尐なく費用対効果の点で現実的ではない。ハイドレートを含む
地層を暖めるなどすれば、尐しの温度の上昇や圧力の低下でメタンがガスとなって漏れ
出してくるが、上層や周囲の土中がハイドレート生成に適する氷を含む温度や圧力の環
境であれば、再びメタンガスは水分子のカゴに取り込まれてしまう。メタンがガスとな
って結晶から遊離する時に吸熱反応となる事も、結晶への再捕獲を助ける。これらの事
情によって、低コストでかつ大量に採取することは技術的に課題が多い。
現在までに提案されている为なメタン回収法は
加熱法(温水圧入法・坑五加熱法)
減圧法
分解促進剤注入法(メタノールなど)
ガス圧入法(二酸化炭素・窒素など)
ピストン打法(独立総合研究所が開発)
の5種類である。
このように、海には、エネルギー資源、海洋魚介資源、そして、鉱物資源など、多く
の資源が人と共生をしている。ニッポンの海は、世界第6位の広さを誇る。まさに、海
洋ニッポンである。この海洋ニッポンを、22世紀への100年後の夢として、イノベ
ーションをすべきである。尐年よ、ベンチャーとなろう!! 再び平成の「海援隊」を創ろ
う。そして、大学や企業の研究者とともに、海の島々に「ふるさと村海洋科学技術イノ
ベーションバレー」を創ろう。さらには、100年後の人と地球の共生のための第0次
的産業を創り出そう。そして、世界の「for the people」
、世界の「for earth」の先
導役となろう。
23-13
図、グラフ、写真、表の参考文献、参考ホームページリスト表(第 4 編)
参考文献、参考ホームページ
章、節、項
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等
神戸海軍操練
所跡碑
中表紙
龍馬の宿場神戸
http://www7b.biglobe.ne.jp/~koberyoma/yukari/kobe/kobe.html
湊川神社表神
2010 年 7 月 12 日アクセス
門
参考文献、参考ホームページ(第 21 章)
章、節、項
表、図の番号
二の丸御殿
章表紙
参考文献、参考ホームページ等
二条城 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%9D%A1%E5%9F%8E
庭園側から見
2010 年 8 月 28 日アクセス
た二の丸御殿
図 21-1-2
2009 年 11 月 27 日朝日新聞「
『スマートグリッド』
、各地で
実用化始動 IT で電気やりくり」を参考に図を作成
富山県観光・地域振興局 観光課、
“フォトライブラリー[自然・
21-1
図 21-2-3
景観]|富山県観光公式サイト|とやま観光ナビ”
http://www.info-toyama.com/tlibrary/photo_tateyama.html
2010 年 6 月 16 日アクセス
参考文献、参考ホームページ(第 22 章)
章、節、項
表、図の番号
お龍の実家
章表紙
(楢崎将作邸
跡碑)
参考文献、参考ホームページ等
坂本龍馬 妻
お龍の実家 楢崎家跡(京都市中京区) -
三日月の館 - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/kanezane/59120083.html
2010 年 8 月 28 日アクセス
富士通株式会社、”富士通「ブロードバンド時代のネット
22-2
図 22-2-1
ワークサービス企業ネットワークとしてどれを選ぶか 第
1 回ブロードバンドについて」”
参考-1
http://sme.fujitsu.com/solution/appear06/01/index02.html
2010 年 3 月 18 日アクセスを参考に図を作成
総務省、”総務省「u-Japan 政策」”
図 22-3-1
http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ict/u-japan/new_
outline02.html
2010 年 3 月 18 日アクセス
22-3
総務省、総務省「u-Japan 政策」
図 22-3-2
http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ict/u-japan/new_
outline01b.html
2010 年 3 月 18 日アクセス
イラストがすべて無料 「イラスト AC」トップページ
22-4
図 22-4-1
http://www.ac-illust.com/index.html
2010 年 9 月 13 日アクセス
参考文献、参考ホームページ(第 23 章)
章、節、項
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等(修正前)
海上保安庁海洋情報部、
“kaiyo 24 福徳岡ノ場”
23-2
図 23-2-1
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiD
B/kaiyo24-2.htm
2010 年 6 月 16 日アクセス
海上保安庁、
“海上保安レポート 2005 年版 / 沖ノ鳥島”
図 23-2-2
http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2005/t
okushu/p027.html
2010 年 4 月 5 日アクセス
外務省アジア太平洋局北東アジア課、
“竹島∼竹島問題を理解する
ための 10 のポイント”
図 23-2-3
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/pdfs/pmp
_10issues.pdf
2010 年 4 月 5 日アクセス
北海道総合政策部科学 IT 振興局情報政策課、
“北方領土の
基礎知識(総務部北方領土対策本部)”
図 23-2-4
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/hrt/hp/kiso.htm
2010 年 4 月 5 日アクセス
参考-2
本川 裕、
“図録▽海洋国日本:世界の排他的経済水域面
積ランキング”
図 23-2-6
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/9410.html
2010 年 4 月 5 日アクセス
を参考にグラフを作成
建設省国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」海上
保安庁水路部「海上保安の現況」海上保安庁水路部調べ、”
表 23-2-2
国 土 構 成 島 数 , 面 積 及 び 周 囲 ”
http://www.stat.go.jp/data/nenkan/pdf/yhyou01.pdf
2010 年 4 月 5 日アクセス
写真 23-3-1
独立行政法人 海洋研究開発機構、
“
「しんかい 6500」<研
写真 23-3-2
究船・探査機<研究船・施設・設備<JAMSTEC について<
独立行政法人海洋研究開発機構”
写真 23-3-3
http://www.jamstec.go.jp/j/about/equipment/ships/sh
inkai6500.html
2010 年 4 月 5 日アクセス
23-3
吉塚和治、
“吉塚和治「海水からの実用的リチウム回収技
図 23-3-1
術-実績と展望-」”
http://chemeng.env.kitakyu-u.ac.jp/research/Lithium.pdf
を参考に図を作成
参考-3
3
第5編
尐年よ、ベンチャーとなれ!!
ニッポンの尐子高齢化社会に対応するイノベーション
1.完全無料結婚相談所
2.完全無料分娩医療センター
3.完全無料不妊治療センター
4.完全無料幼児保育センター
5.完全無料高齢者医療介護センター
などに挑戦しよう
久坂玄瑞肖像画
吉田松陰肖像画
和田岬砲台
久坂玄瑞誕生地(萩)
松下村塾
1862年3月24日、龍馬は脱藩し、自らの藩を捨てた。実は、龍馬をこのような行動に駆り立
てた長州藩士がいた。その人物が久坂玄瑞である。龍馬は武市半平太の手紙を携え、長州・萩に久
坂を訪ねた。このとき、久坂は妻の実家・杉百合之助宅にいた。久坂の妻・文は吉田松陰の妹であ
ったため、家の前には松下村塾があり、龍馬はその前を通って久坂を訪ねていった。
第5編目次
尐年よ、ベンチャーとなれ!!
ニッポンの尐子高齢化社会に対応するイノベーション
1.完全無料結婚相談所
2.完全無料分娩医療センター
3.完全無料不妊治療センター
4.完全無料幼児保育センター
5.完全無料高齢者医療介護センター
などに挑戦しよう
第 24 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「ニッポンの尐子高齢化の社会
に対するイノベーション」にチャレンジしてみよう
24‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!増子化と幼児教育が「人と地球の共生
産業(第0次的産業)発展の基礎」である
24‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!すばらしい恋をして、3人以上のかわ
いい赤ちゃんを。そして、赤ちゃんを育てる医療・福祉・保育・教
育のための地球の共生の産業(第0次的産業)の創出のための「ふ
るさと村科学技術イノベーションバレー」を創ろう
24‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の保育園・幼稚園は義務化、
無料化とし、将来の「人と地球の共生のための基礎教育」を
24‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の医療の充実のために、
「ふ
るさと村科学技術イノベーションバレー」で、医療の研究をやろう。
24‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ロボットやICTの研究開発で、過疎
なふるさと村の老人の介護生活支援を
24‐6.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村での「iPS」の研究で、
次世代の医療の開発をしよう。
24‐7.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村のジェロントロジーの研究
で未来の生活システムの構築を
24‐8.尐年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村“ゆりかごから墓場ま
で”のイノベーションバレー」に、①完全無料の結婚相談所、②完
全無料の分娩医療センター、③完全無料不妊医療センター、④完全
無料幼児保育センター、⑤完全無料高齢者介護センターを創ろう
第 5 編目次-1
第 24 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!! 「ニッポンの尐
子高齢化の社会に対するイノベーション」に
チャレンジしてみよう
龍馬と松重は、土佐稲荷(岬神社)を通りかかった。土佐稲荷、正式には岬神社は四
条河原町から尐し上り、蛸薬師通りを木屋町の方へ向かって左側にある。土佐稲荷は江
戸時代初期に土佐京都屋敷内に遷座され、屋敷内の人々を始め、龍馬もこの神社をあが
めたと言われている。明治に入って、他の地へ奉遷された時期もあったが、近江屋の初
代五口新助がこの地を買い取り、現在の地に落ち着いた。境内には小さいながらも龍馬
像などがある。
賀茂川
高野川
京都
大学
京
都
御
所
京都大学
吉田神社
二条城
・
・
酢屋(海援隊京都本部)
鴨川
土佐稲荷(岬神社)
24-1
24‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!増子化と幼児教育が「人と地球の共
生産業(第0次的産業)発展の基礎」である
「海援隊も陸援隊も若い者の集まりじゃった。新しい時代の流れの中
で何かしようと、いや、何かせんといかんと思った若いもんの集ま
りやった。」
「はい、坂本先生。少年たちこそ、次の世代の人でございます。」
「そうじゃ。この海援隊、陸援隊の若い者と長州の高杉晋作や桂小五
郎、そして薩摩の西郷隆盛、大久保利通など、若い人がこの国を動
かすがじゃ。」
「人と地球の共生の第0次的産業が発展するためには、増子化と幼児教育が大切であ
る。」
これまでの、第4次的産業や第5次的産業の日本の国際競争力を支えてきた技術開発
力や国際マーケットでの営業力は、年齢からみると、20歳過ぎから多分、50歳超ま
でであろう。70歳を超えた高齢者や赤ちゃんや小学校の子供の幼児が国際競争の市場
で活躍できる人は、まれであろう。
図 24‐1‐1 は、日本人の年齢と第0次的産業から第5次的産業への「年齢−産業適
応想定曲線」を示した。
金融の第5次的産業「ハゲタカ族」は、年齢的には25歳から45歳ぐらいが適応し
ているのではないだろうか。多国籍企業で、輸出や海外で生産工場を持ち、グローバル
化時代に参加する「アニマル族」は、20歳から60歳ぐらいまでが適応年齢といえる
のではないだろうか?
少子高齢化で、次世代の若者が減ることは、その分、第4次的産業、第5次的産業の
国際競争できる人が減少することである。一方、高齢者が増えて、第0次的産業の医療
や老人介護などの負担が大きくなり、マイナス成長産業が増え、日本経済は、ますます
低成長化と負の経済負担が大きくなっていく(図 24‐1‐2)。
少子化を増子化にすることが、日本の第4次的産業を担う若者を増やし、国際競争力
を強めることとなる。日本の22世紀の発展は、まさにこの増子化と幼児教育に全てが
かかっている(図 24‐1‐3)。
24-2
グリーン海援隊
ブルースカイ族
70
60
アニマル族 ハゲタカ族
50
年 40
齢
30
20
10
0次的産業 1次産業
2次産業
3次産業
4次産業
5次産業
産業
図 24‐1‐1 日本人の年齢と第0次的産業から第5次的産業への
「年齢-産業適応想定曲線」
0次的産業
1次産業
グリーン海援隊
70才
2次産業
3次産業
4次的産業 5次的産業
ブルースカイ族
60才
アニマル族 ハゲタカ族
50才
年 40才
齢
30才
20才
10才
生産性
生産性(1日当たりの売上)
図 24‐1‐2 人間の年齢と生産性(1日の売上げ)の想定図
24-3
0次的産業
1次産業
2次産業
3次産業
4次的産業 5次的産業
グリーン海援隊
ブルースカイ族 70才
60才
アニマル族 ハゲタカ族
50才
40才
30才
20才
10才
低成長
公共投資
高成長
民間投資
低経済成長
高経済成長
図 24‐1‐3 年齢構成と低経済成長と高経済成長の想定図
年齢
70
金融(トレーダー等)
60
一般的
50
40
30
20
浅田真央
石川遼
一般的
国際競争力
10
0次的 1次
産業 産業
農林
水産業
2次
産業
3次
産業
製造業 サービス
業
図 24‐1‐4 年齢構成と国際競争力の想定図
24-4
4次的
産業
貿易
5次的 構造
産業
世界的
金融産業
24‐2.少年よ、ベンチャーとなれ!!すばらしい恋をして、3人以上のか
わいい赤ちゃんを。そして、赤ちゃんを育てる医療・福祉・保育・
教育のための地球の共生の産業(第0次的産業)の創出のための
「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」を創ろう
「ワシは、少年時代、平井加尾が初恋の人じゃったがよ。
」
「へぇー。坂本先生に初恋が・・・。
」
「そう。脱藩して江戸に行く前も加尾と話したがよ。脱藩の折は加尾
を男装させて一緒に出ようとも考えたけんどにやあ。
」
「はい、坂本先生。
」
「少年は恋をしなきゃいかん。そして、かわいい赤ちゃんをもうけな
いかん。ワシも5人兄姉だった。兄妹は多い方が良い。どうながや
ろう。
」
「はい、坂本先生。現在は日本の女性一人が産む赤ちゃんは 1.2人
ぐらいでございます。
」
「ほぉー。少ないのう。それでは、ふるさとの高齢者が増えるだけで
はなく、ふるさとの科学技術イノベーションを創る人が少のうなる
のう。
」
「赤ちゃんを育てるための人と地球の共生産業を創出するための『ふるさと村科学技
術イノベーションバレー』を創ろう。
」
ニッポンは、このまま少子化が進めば、近い将来1億人を切り、人口は5,000万
人に近づくとの推定がある。
一方、年齢構成は高齢化が進み、70歳に近い老人が90歳に達した親の介護をしな
ければならない。即ち、老人が老人の介護をするという老老介護などの問題が増えてお
り、少子高齢化の問題が近い将来、もっと深刻な社会問題となるであろう。特に、過疎
地のふるさと村では、独り老人の生活が多くなり、これからのニッポンの社会は、福祉
や医療などが、より重大な社会問題となる。この様な問題は、すでに以前から取り沙汰
されながら、根本的な対策は未だに構じられていない。
過去の出生数をみると、日本が高度経済成長をしていた時代には、年間約200万人
の赤ちゃんが生まれていた。しかし、最近では、およそ100万人強の赤ちゃんしか生
まれなくなり、少子化となっている。
今後、ニッポンの100年後の更なる老人社会、高齢化社会と経済成長を考えると、
約150万人の出生、赤ちゃんが必要ではないだろうか。
一方、結婚は男女ともに晩婚というか、高年齢になったというか、30歳から35歳
になっても、男女ともに未婚の人が多い。原因は、いろいろとあろうが、どうしても増
子化を進めるには、これまでの日本の常識の概念を変える必要がある。
① 学校の教育で、男女ともに20才成人となったら結婚をし、赤ちゃんをもうけ
ることが、人間の責任であることを教える(江戸時代は元服が15歳であった)
。
24-5
80歳:高祖父母
60歳:曾祖父母
40歳:祖父母
20歳:父母
↓
0歳:新生児、赤ちゃん
80歳を超えるまで長生きすると、玄孫までの赤ちゃんと対面することが
可能である。
②
経済的に不安定な20歳の男女に対して、国や州や村(基礎的自治体)が、赤
ちゃんや幼児を経済的に100%支援や保護をする医療、保育や福祉の政策を
とる。
(北欧型のシステム)
③ 保育園、幼稚園の義務化と無料化(北欧型のシステム)
④ フランスなど、他の国の尐子化対策を導入し、結婚感、婚姻届、出生届などを
認可のシステムを大きく変更をする。
(フランス型のシステム)
これらの導入により、過疎地のふるさと村においても、若い人が安心して、結婚生活
に入り、赤ちゃんを育てるための第0次的産業を構築する必要がある(図 24‐2‐2)
。
また、子供が成長した20歳から50歳は世界のグローバル化の間で、国際競争を勝ち
抜く第4次的産業や第5次的産業を担うことができる。図 24‐2‐1 は、父母、祖父母、
新生児の赤ちゃんから、父母と祖父母、曾祖父母が第0次的産業~第3次産業までを中
心に仕事を行い、25歳~45歳の父母、祖父母は第4次的産業、第5次的産業の人材
として、グローバル化の中で、国際競争を担うことを示している(図 24‐2‐3)
。
プラス
(0歳~25歳)/(45歳~100歳)
(25歳~ 45歳)
民
間
事
業
税
収
新しいイノベーションに
よるベンチャー企業
成長
5
世界へ
国や州の税制
4
3
0次的産業 1次産業
2次産業
3次産業
4次的産業
5次的産業
ハゲタカ族
2
アニマル族
1
公
共
事
業
0
ふるさとの医療、社会福祉、
教育のブロードバンドの強化投資
マイナス
図 24‐2‐1 第4次的産業、第5次的産業の税収から次世代の産業創出のための、
ふるさと村医療、福祉、教育、ブロードバンドの共生事業の強化投資
24-6
ふるさと科学技術イノベーションとは何か?
人と地球との共生の産業
第0次的産業
第0次的産業(例)
人の生命に
医療、介護(リハビリスポーツセンターを含む)
、文化、
かかわる産業
教育、寺、神社、教会、遺跡、水(上水道、下水道)
地球の生命に
山、森林、野原、土、動物植物の生物、川、湖、海、
かかわる産業
水(深層水を含む)
、大気、風、雤、太陽光エネルギー
図 24‐2‐2 ふるさと村科学技術イノベーションとは何か?
経済成長
5
税
収
入
経
済
成
長
力
青
年
4
壮
年
高
年
3
2
公
共
投
資
(高 経
済
齢負
層担
)
(若 経
済
年負
層担
)
0 10
18
30
40
50
60
65 70
1
0
0次的
産業
1次
産業
2次
産業
図 24‐2‐3 年齢と経済成長の模式図
24-7
3次
産業
4次的
産業
5次的
産業
24‐3.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の保育園・幼稚園は義務
化、無料化とし、将来の「人と地球の共生のための基礎教育」を
「ワシが生まれた時、兄は20歳過ぎ、姉は17歳になっていた。
大家族の中で皆に育てられたがぜよ。」
「はい、坂本先生。今は核家族でございます。父と母、一人もしくは
二人の子どもの3人または4人家族で、父も母も勤めていることが
多うございます。」
「ほぉー。核家族か…。」
「はい、核家族のため、大家族のように赤ちゃんを保育してくれる人
がおりません。」
「ほぉ。赤ちゃんの面倒は誰が見ゆうがぜよ。」
「はい、公立の保育、幼稚園で見ていただいております。身近な所に
保育、幼稚園が少なく、核家族の若いお父さん、お母さんは困って
おります。」
「ほぉー。核家族であれば、赤ちゃんをどうして育てるか、親にとっ
ては悩むところじゃのう。これこそ、藩や村が保育、幼稚園できち
っとやれる体制がいるのう。」
「保育園や幼稚園は義務教育化と、入園教育費を無料化すべきである。」
国の認可保育園や自治体独自の保育園などに入れず、入園の順番を待つ「待機児童」
は、潜在的に80万人から100万人いるともいわれている。認可保育園だけでなく、
保育サービスに民間がより参入しやすい環境づくりを進め、
「待機児童」を零とするこ
とが、少子化対策にとっても急務である。そのため、保育園や幼稚園は義務教育化とし、
入園教育費を無料化すべきである。
幼児の教育は、大変重要である。立派なスポーツや文化や研究で、すばらしく秀いで
た人には、生まれながらの天分もあるが、幼児の時に、それなりの教育を受けている人
が多い。
「100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢」を創るには、それなりの幼児教育が重
要となる。保育園や幼稚園の義務化、無料化によって、その保幼期の人と地球の共生の
基礎教育を行うべきである。
幼児時代に、お母さんの肌のぬくもりと、保母さんや幼稚園の先生のあたたかい愛を
受けながら、みどりの山や川や野の中で、元気に活きる生物を目や肌で感じながら、人
と地球の共生の基礎を自然の中で育てることが、先ず、人間の教育の様な感じがする。
幼児のこの間の体験や知識が、その子供の将来の「ふるさと村科学技術イノベーショ
ン」をたくましく担ってくれそうな気がする。
ニッポンの将来は、まさに、この増子化とその幼児教育にかかっている。
24-8
24‐4.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の医療の充実のために、
「ふ
るさと村科学技術イノベーションバレー」で、医療の研究をやろう。
「お龍の父、楢崎将作は医師でやったがぜよ。」
「はい、坂本先生。医師がいないと人々は困ります。
」
「そうじゃのう。ワシも1862年の寺田屋騒動の怪我の時には、い
ろいろと迷惑をかけたもんじゃ。医師がいないと赤ちゃんも、お年
寄りも困るのう。
」
「はい、坂本先生。
今のニッポンは病院や医師不足で困っております。
特に市町村の大きな病院は財政難で、そして、医師不足で廃院にな
るところも出てきております。
」
「うむ・・・。それは困ったのう。これから、少年には医師や看護師に
なってもろうて、それから、予防、医療、検査、診断、治療、リハ
ビリ、そして、先端医療機器の開発・・・。
」
「はい、坂本先生。
」
「ふるさと村の医療の充実を図り、少年よ、ベンチャーとなって、ふ
るさと医療科学技術イノベーションバレーを創ろうやいか。
」
「今、地方の、ふるさと村の病院は、大きな赤字を抱え、閉鎖もしくは倒産を余儀な
くされている。ふるさと村の医者不足が深刻である。ふるさと村の病院の経営も難しく
なっていった。ふるさと村の再開発を進めるためには、その村の人々の医療介護の充実
が不可欠である。
」
ふるさと村の医療の発展のために、医療を目的とした「ふるさと村科学技術イノベー
ションバレー」の中に、医療や介護のキャンパスも含める必要がある。少年よ、
「ふる
さと村科学技術イノベーションバレー」の中で、医療介護の研究キャンパスを創ろう。
ふるさと村の村長と住民と大学の医療の先生は、ふるさと村で育った少年を医療介護
のベンチャーとなるように育てよう。そのような教育を、幼児から小学校、そして、中
学校の段階で、自治体とふるさと村のイノベーションの研究教授で教育のカリキュラム
を組み込み、子どもたちを育ててはどうだろうか。
子供たちにも病気とは、その治療や予防は何か、この中でたばこの害や麻薬等の害も
考えていく。単なる「保健」という学科から医学、介護、福祉へ深めた教育が、今後の
高齢化社会にとって必要であろう。
年を重ねると、息子や娘、そして孫たちに迷惑がかからないように元気でいたい、と
人は思うものである。しかし、いずれは誰かにお世話にならざるを得ない事態に至るだ
ろう。
若い子供や少年たちも、医療の教育によって、老人や体の弱い人を思いやる気持ちを
養い、また、子供自身も健康への自主自己管理を深めていくことができるのではないだ
ろうか。
24-9
そして、ふるさと村が予防、医療、検査、リハビリへの研究開発にも、また、先端医
療技術への研究開発でも、人任せではなく自分たちのこととして行動しなければならな
い。
尐年よ、ベンチャーとなれ!! 再び平成の「海援隊」を創ろう。そして、人と地球の
共生のための医師や看護師や介護士などの医療従事者を目指して、大学や企業の研究者
とともに「ふるさと村の医療科学技術イノベーションバレー」を創り、そこに新しい医
療という第0次的産業を創ろう。
24-10
24‐5.少年よ、ベンチャーとなれ!!ロボットやICTの研究開発で、過
疎なふるさと村の老人の介護生活支援を。
「山間や人里離れた農地の医療は大変じゃのう。
」
「はい、坂本先生。過疎なふるさと村の老人と介護をロボットやIC
Tを使って、その生活を支援しようとする研究が進んでおります。」
「ほぉー。それはえいことじゃ。
」
「はい、坂本先生。大学と病院、あるいは、村が協力し合って取り組
んでおります。この過疎な村では、介護する人も若い人も少なく、
日常の生活、病院のベット上の介護などを新しいロボットを作って、
それをICTの医療システムで応援するものです。
」
「ほぉー。それはえい。そういう研究を都会の大学に任せるのではの
うて、ふるさと村自身で積極的に医療介護ロボットとICTシステ
ムの研究に取り組まんといかん。
」
「少年よ、ベンチャーとなって、ロボットや ICT の研究開発をして、ふるさと村阿野
高齢者の介護生活支援をしよう。
」
ふるさと村の高齢化はますます進み、過疎な地域で80歳、そして、90歳となって、
独りで生活している人々が増えている。この問題は、日本だけではない。韓国、中国、
そして、アメリカ、ヨーロッパも同じで、近く、地球上には、超高齢化の介護時代がや
ってくる。
ニッポンの大企業では、この高齢化のために、今までの工場生産のための産業ロボッ
ト以外に「介護支援ロボット」や、流し台で炊事をする「生活支援ロボット」の開発が
進んでいる。
研究開発は「ロボット」という機械だけではない。このロボットを動かす信号を、介
護を受ける老人の脳から流れる筋肉を動かす意志を電気信号としてキャッチし、その電
気信号によって、ロボットを動かすシステムの開発も進んでいる。筑波大学のベンチャ
ー企業「サイバーダイン」が開発中であるロボットスーツ「HAL」も、その一例であ
る。今後は、ロボットと情報通信技術と併せ介護装置を開発し、過疎な村で老人医療の
補助ができるように研究開発すべきである。
少年よ、ベンチャーとなれ!! 再び平成の「海援隊」を創ろう。 医療用のロボット開
発、医療用のICT(information and communication technology、情報通信技術)シ
ステムの開発をふるさと村と大学、そして、医療開発を行っている産業と一緒に、
「ふ
るさと村老人介護ロボットとICTの科学技術イノベーションバレー」を創ろう。
24-11
24‐6.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村での「iPS」の研究で、
次世代の医療の開発をしよう。
「ふるさと村の病人も治りやすい病人と治りにくい病人がおるそう
じゃのう。
」
「はい、坂本先生。治りにくい病気は、現在では移植などを行ってお
ります。しかし、移植もうまくいくものと、いかないものがありま
す。最近では新しい技術『iPS』が開発され、難病の治療に効く
ものだとして、
『iPS』が話題になっております。
」
「ほぉー。それはえい話じゃ。
」
「はい、坂本先生。これによって、難病で苦しむ赤ちゃん、子ども、
高齢者も、今後、この『iPS』の治療の成功を期待しております。
」
「うん、うん。ニッポンで生まれた新しい研究成果じゃ。これをもっ
と伸ばそうじゃいか。
」
「はい、坂本先生。
」
「少年よ、ベンチャーとなれ!!医師や看護師としてふるさとiPS科
学技術イノベーションバレーを創り、この新しい医療の研究を次世
代の医療へと開発を進め、人と地球の共生のための iPS第0次的
産業を創ろうじゃいか。
」
「少年よ、ベンチャーとなって、ふるさと村の iPS の研究で、次世代の医療の開発を
しよう。
」
ニッポンの医学の研究者は昔は野口英世、そして、現代は多くの先生方がおられ、ニ
ッポンの医学、医療は世界のトップクラスである。そして、山中伸弥教授もその一人で
ある。
京都大学山中伸弥教授のiPS(induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細
胞)の研究で「再生医療」という研究分野によって、世界の医学は大きく変わった。こ
れにより、
「予防医療」が大きく前進し、治りにくい難病に対する治療法も進み、そし
て、新しい薬品の登場が進むという。
まさに、がん病、糖尿病の治療に、iPSが大きく前進させるという。
少年よ、ベンチャーとなれ!!再び平成の「海援隊」を創ろう。少年の野口英世や山
中先生やその他ニッポンの医学の先生のようになれ!!そして、難病で苦しむ赤ちゃん
や子供のために、また、山や島で暮らすお年寄りに、愛の手となる介護医療の担い手と
なろう。100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢の先端医療科学を、
「ふるさと村i
PS科学技術イノベーションバレー」をつくって、その中で大いに君の力を発揮しよう。
24-12
24‐7.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村のジェロントロジーの研
究で未来の生活システムの構築を
「ふるさとには、姥捨て山があるように、お年寄りは山に捨てようと
いう昔話が、ニッポンには江戸時代からあるのう。
」
「はい、坂本先生。現代も、お年寄りの死に気づかず、ほったらかし
になっている場合があったり、年老いた夫婦がお互いに介護できず
に、相手を殺したりするなど、江戸時代よりも、もっと過酷な老人
生活を送っている人がおります。
」
「ほぉー。現代は豊かなのか?現代のお年寄りは生きることが楽しい
がやろうか。
」
「はい。長生きするのも善し悪しで…。
」
「江戸の将軍、江戸の幕僚、江戸の姦史はどのようになされるおつも
りかのう・・・。困ったことになっちゅうにやあ。
」
「はい、坂本先生。最近では、外国でこういった問題を総合的研究を
するジェロントロジーというのがニッポンにも伝わりました。
」
「ほぉー。ジェロントロジー??」
「はい。ニッポンでは、東京大学や桜美林大学で、その研究が始まり
ました。」
「うむー。ニッポンの少年よ、ベンチャーとなれ!!赤ちゃんからお
年寄りまで、ふるさと村でどんな楽しい村が創れるがやろうか。ふ
るさと村ジェロントロジー科学技術イノベーションバレーを創り、
そして、ロボットやICT、医療の研究の人々も一緒に人と地球の
共生のための第0次的産業を・・・。
」
「少年よ、ベンチャーとなって、ふるさと村のジェロントロジーの研究をしよう。
」
ふるさと村の人に、赤ちゃんから老人まで、日常の食生活、住宅、交通のシステム、
そして、医療、介護、教育、雇用など、ふるさと村の社会システムなどの様に、高齢者
の方を中心としたジェロントロジー(Gerontology:高齢者や高齢社会の諸課題を解決
するために生まれた学問で、医学、理学、工学、法学、経済学、教育学、心理学の幅広
い領域を含んだ学問)の構築が必要である。
東京には大学が多くあり、若者も多い、また、大学の医師や看護師など予防、検査、
診断、治療、リハビリも、世界最高のシステムができており、ジェロントロジーが構築
されやすい。しかし、過疎なふるさと村では考えるべきである。ジェロントロジーこそ、
国と大学、そして村が、過疎なふるさと村の健康や福祉、社会参加、衣食住、その他過
疎なふるさと村の高齢者の生きるための条件整備、介護をするための条件整備、零細の
条件整備などの研究をし、その生きるための条件を構築すべきである。そのできた社会
24-13
構築整備は、世界の高齢者の人々の第0次的産業として活かされ成長されるものである。
少年よ、ベンチャーとなれ!!再び平成の「海援隊」を創ろう。そして、
「ふるさと村
ジェロントロジー科学技術イノベーションバレー」を創ろう。そのバレーに高齢者が、
雇用や介護やあるいは、教育に参加していただき、少年と高齢者と、そして、大学の研
究者による「100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢」に向けて、人と地球の共生の
ための第0次的産業を育て、世界の国々にロボットやICT、そして、医療を含めた産
業として、第4次的産業へ発展させよう。
24-14
24‐8.少年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村“ゆりかごから墓場
まで”のイノベーションバレー」に、①完全無料の結婚相談所、
②完全無料の分娩医療センター、③完全無料不妊医療センター、
④完全無料幼児保育センター、⑤完全無料高齢者介護センターを
創ろう
「最近は年寄りが増えて、若者が減ってきているそうじゃのう。
」
「はい、坂本先生。少子高齢化が進行し、2050年ごろには人口
が1億人を切り、10人に4人が65歳以上の高齢者となると予測
されています。
」
「何?子どもが少なくなってきているということか?」
「はい、坂本先生。子どもが少ない原因としては、若者が結婚しな
いことや、結婚していて子どもを妊娠したくても、妊娠できないと
いう不妊症に悩んでいる人がいることなどが挙げられます。
」
「ウーン… 難しい問題じゃのう。
」
「特に不妊症の場合は、その治療にもお金がかかってしまいます。
」
「それであれば、ふるさと村で完全無料で結婚から出産までの面倒
を見られるようにして、金銭面での不安をなくすようにすればよい
のではないか。
」
「そうですね、坂本先生。また、高齢化によって介護される高齢者
も増え、施設が不足したり、自宅で介護するケースもあったりして、
負担が大きくなっています。」
「ふるさと村で完全無料の高齢者の介護施設を作ればよいのう。そ
うすれば、介護する方の負担が少なくなって良いのう。
」
「ふるさと村“ゆりかごから墓場まで”イノベーションバレーを創り、結婚、出産、育
児、介護を完全無料で面倒を見てくれるセンターを創ろう。
」
「ふるさと村“ゆりかごから墓場まで”科学技術イノベーションバレー」では、やり手
で勝気な女性の村長が、温厚な女性の助役と、先鋭的な女性の課長を従え、ふるさと村
の全ての独身女性に、すばらしい男性を見つけるべく、
1.完全無料の結婚相談所
を設けている。
そして、結婚した新婚の夫婦に元気な赤ちゃんを産んでもらうために、やり手で勝気
な村長は、
2.完全無料の分娩医療センター
24-15
を設け、妊娠から出産まで無料で新しいお母さんを看護している。
その後、結婚後1年たっても妊娠できない新婦には妊娠できるように、
3.完全無料の不妊医療センター
を設けている。難病の不妊のご婦人には、これも無料の欧米の最新の医療技術とニッポ
ンの最高の医療システムで治療し、安心して不妊のご婦人に赤ちゃんを産める施設を作
っている。
生まれた赤ちゃんは、
4.完全無料の幼児保育センター
に入ることができる。一部に鹿児島県の通山保育園の考えを導入し、全ての幼児が読
み・書き・そろばん、英語などにもチャレンジし、将来はビル・ゲイツ氏やスティーブ・
ジョブス氏、女性では勝間和代氏にも負けないようなベンチャー教育を受けることもで
きるようになっている。
やり手で勝気な女性村長は、さらに介護の必要な高齢者を
5.完全無料の高齢者介護センター
に受け入れるようにした。
これらの施設は、基本的には少年、青年、壮年、更に元気な高齢者の皆で力を合わせ、
ボランティアで施設を運営し、必要なお金は村税で賄う。スウェーデンやノルウェーに
一部似た「ふるさと村“ゆりかごから墓場まで”科学技術イノベーションバレー」を創
ろう。
少年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村の“ゆりかごから墓場まで”のイノベーシ
ョンバレー」として
1.ふるさと村完全無料結婚相談所
2.ふるさと村完全無料分娩医療センター
3.ふるさと村完全無料不妊医療センター
4.ふるさと村完全無料幼児保育センター
5.ふるさと村完全無料高齢者介護センター
を創ろう。
ニッポンの人口は2050年代には1億人を切り、9000万人台になると推測され
ている。また、その年齢構成は、10人に4人が65歳以上の高齢者になると言われて
いる。そうすると、50歳に近付いた主婦は、70歳を超えた両親と、そして90歳を
超えた祖母の介護をしなければならない。まさに、老老老(トリプル老)介護時代にな
る。
一方、少子化はさらに進むだろう。日本では妊娠を望む夫婦の「10組に1組、すな
わち約130万組」が不妊に悩んでいる。このことは130万の赤ちゃんという子宝を
授かるチャンスを逃していることになる。
24-16
恐らく、このような少子高齢化対策のイノベーションは、男性で東京・霞が関出身の
高級公務員や地方の公務員、あるいはこれまでの政治家では困難であろう。なぜなら、
彼らは利権とカネ、そして過去の慣例にこだわる、ニッポンの昨日の人種だからである。
このようなふるさと村“ゆりかごから墓場まで”の創新としてのイノベーションには、
高校野球の女子マネージャーを経験した知的でかつ行動的で、ドラッカーのマネジメン
トのできる女性のリーダーが必要である。
少年よ、ベンチャーとなれ!!この少子高齢化のイノベーションこそ、次世代に課され
たテーマである。そのために、ふるさと村において、
1.少年や青年、壮年、高齢者がお互いに協力し合って、ボランティアで結婚相談所
を作ろう。
2.そして、結婚したら完全無料で元気な赤ちゃんを産める無料分娩医療センターを
作ろう。
3.妊娠できずに困っている女性には、完全無料不妊医療センターを作ろう。
4.産まれてきたすべての赤ちゃんを完全無料の幼児保育センターに入れるようにし
よう。そして、村を挙げて元気な赤ちゃんを産み育て、少子対策に取り組もう。
5.高齢者は村の完全無料の高齢者介護センターに入れるようにし、静かで楽しい余
生を送れるように、村の少年、青年、壮年、元気な高齢者がボランティアで、ふ
るさと村“ゆりかごから墓場まで”科学技術イノベーションバレーを創ろう。
そんな“ゆりかごから墓場まで”ができる村こそ、人と地球の共生の村である。その
ための医療技術やロボット技術、あるいは新薬技術、あるいは医療介護ICTシステム
などの次世代の科学技術イノベーションが必要である。
もう一つ大切なイノベーションは法律である。新しい“ゆりかごから墓場まで”の法
律をふるさと村で作ろう。今の法律は、ややもすると古い。昨日の法律のような感じが
する。アメリカやヨーロッパなどの社会の仕組みを学び、明日の“ゆりかごから墓場ま
で”の法律を作ろう。
少年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村“ゆりかごから墓場まで”の科学技術イ
ノベーションバレー」を創ろう。
“ゆりかごから墓場まで”の昨日の法律を捨てて、新
しい明日の法律をイノベーションしよう。
24-15
24-17
第6編
尐年よ、ベンチャーになろう。そしてふるさ
と村で、
「人と地球の共生のための科学技術イ
ノベーションバレー」を創設しよう
高杉晋作肖像画
長幕海戦図
高杉晋作と龍馬が初めて出会ったのは
1863年11月頃であった。1866
年6月17日に勃発した馬関戦争では、
高杉と龍馬は共に幕府軍と戦っている。
1866年の馬関戦争のとき、龍馬は長幕海戦図
を描き、
「桜島(乙丑丸)と云蒸気船ニて長州の軍
艦ヲ引。即チ龍(馬)船将」と記している。
伊藤助太夫(九三)邸跡(本家伊藤家邸跡)
1865年以来、龍馬の止宿先となった伊藤家の跡。子
の邸宅の一室が1867年2月から妻・お龍との生活の
場になった。龍馬の「終の棲家」である。
第6編目次
尐年よ、ベンチャーになろう。
そしてふるさと村で、
「人と地球の共生のための科学技
術イノベーションバレー」を創設しよう
第 25 章 尐年よ、ベンチャーになろう。そしてふるさと村で、「人と
地球の共生のための科学技術イノベーションバレー」を創設
しよう
25-1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ハイテクノロジーとふるさと村の伝統
のある文化・ 風土・技能との結合による人類と地球の共生のための
産業(第0次的産業)の創出こそ、 ニッポンの再生となる
25-2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!公武合体ならぬまた、
「村学産合体」す
なわち「村と大学と産業」による「人と地球の共生のための100年
後のふるさと村科学研究開発イノベーションバレー」の構築を
25‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!廃小学校、廃中学校の校舎を活用した
「100年後の夢:ふるさと村科学技術イノベーションバレー」でス
タートさせよう
25‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村科学技術イノベーションバ
レーを支援する科学技術イノベーションバレーに向かう大学へ
第 6 編目次-1
第 25 章 尐年よ、ベンチャーになろう。そしてふるさ
と村で、「人と地球の共生のための科学技術
イノベーションバレー」を創設しよう
龍馬と松重は、酢屋(海援隊京都本部)
、坂本龍馬寓居之趾碑を通りかかった。
酢屋(海援隊京都本部)は、慶応3年6月、坂本龍馬は長崎から上京する土佐藩汽船
夕顔丸の中で船中八策を作成し、京都に入って酢屋嘉兵衛方に投宿した。数日後、兵庫
より白峰駿馬らが上京し、ここ材木商酢屋の2階に海援隊京都本部が置かれることとな
った。現在酢屋は創作木工芸酢屋およびギャラリー龍馬として営業している。
賀茂川
高野川
京都
大学
京
都
御
所
京都大学
吉田神社
二条城
・
・
酢屋(海援隊京都本部)
鴨川
坂本龍馬寓居之趾碑
25-1
25-1
25−1.少年よ、ベンチャーとなれ!!ハイテクノロジーとふるさと村の伝
統のある文化・ 風土・技能との結合による人類と地球の共生のた
めの産業(第0次的産業)の創出こそ、ニッポンの再生となる
「土佐にしかないものがある。
」
「はい、坂本先生。どのようなものでございましょうか?」
「うむー。土佐の山にはたいちゃあ太い木がいっぱいある。そして、
その近くにはおいしいゆずがある。田畑には米がある。そして桂浜
にはクジラやカツオもおる。それに加えて、土佐和紙、土佐打刃物、
土佐漆喰、土佐珊瑚がある。これらは、長い間、土佐という自然に
育てられ、また、人間の技術によって創りあげられたものながよ。」
「はい、坂本先生。おっしゃる通りです。
」
「そして、ワシは、薩摩、肥前、長州にお龍と行ったが、そこにも文
化、風土、技能、伝統があった。
」
「はい、坂本先生。北海道から沖縄まで日本には自然の四季が育てた
いろんな文化や風土、産物があります。それにその村の人々が長い
間、経験や工学によって育てた技能もあります。
」
「うむー、そうじゃ。これからのニッポンは、これまでのふるさと村
の伝統ある文化、風土、技能に新しいハイテクノロジーを結合させ
て、人と地球の共生のための第0次的産業の創造が必要ながじゃ。
それが新しいニッポンの・・・。
」
「地方のふるさと村には、その地方の古くて素晴らしい伝統文化・伝統技能がある。
そして、積み上げられた特産名物としての第1次産業や第2次産業がある。また、美し
い郷土や自然な風景がある。そこに、22世紀(100年後)を担う新しいハイテクノ
ロジーを結合させることがニッポンの地方、
ふるさと村、
そして、
ニッポン全体の再生、
活力になる。
」
そのためには、それぞれの地域の素晴らしい伝統と産業、そして風土を理解した若手
の次世代科学者を育てる必要がある。それは、その地域で子供の時から科学の好きな少
年少女を育て上げることが不可欠である。
ゴルフの石川遼選手、水泳の北島康介選手、フィギュアスケートの浅田真央選手、野
球のイチロー選手、囲碁の井山裕太名人も、すでに子供の時から自然な形でその道の教
育を受けて、本人の個性も磨かれ、能力が開けてきたのである。
したがって、赤ちゃんが地方の幼稚園、保育園そして小学校において、地域の山や川
や海の自然な地球と人類との共生の内で第0次的産業の教育において、地域の伝統と文
化と風土と産業を理解しながら、そこに新しいハイテクノロジーを創造させることが必
要ではないか。
その教育がふるさと村の22世紀への活性化にとって大変重要な人材という資源と
25-2
なる。将来、ふるさと村の農林漁業と同時に、太陽や山や川や海や風など、自然な地球
資源と相伴って、新しい次世代の第2次産業、第3次産業への発展や、そして、さらに
進化して、第4次的産業への発展につながる。
そうして、ふるさと村の新しい産業を創出し、ふるさと村の産業を活性化するという
50年、100年のプログラムを、それぞれのふるさと村において、大学の先生あるい
は小学校の先生などとプランニングする必要がある。それが、ふるさと村の第0次的産
業創出のスタートである。
25-3
25−2.少年よ、ベンチャーとなれ!!公武合体ならぬまた、
「村学産合体」
すなわち「村と大学と産業」による「人と地球の共生のための10
0年後のふるさと村科学研究開発イノベーションバレー」の構築
を
「中岡慎太郎は、父が病で倒れて20歳(1858年)で土佐国安
芸郡北川郷の大庄屋見習いとなった。慎太郎は、村人の生活が、よ
り良くなるためにどうしたら良いのかを常に考えよったがじゃ。
」
「はい、坂本先生。慎太郎は、北川村でいろんなことをやったそう
ですね。」
「そうじゃ。北川郷は、山ばかりで平地が少ない所で、米をようけ
作るのが難しい。そこで、毎年一定量の米がと取れるように、田ん
ぼを規則正しい長方形に整理したり、また、家を建てるときの材木
用にと『杉』の木を植えたり、また、かつおなどの魚の調味料に
『ゆず』の木を植えたりしたがじゃ。
」
「はい、坂本先生。北川村のゆずは、その頃から大きく育てられた
のですね。
」
「そうじゃ。平成に売れ出した『ごっくん馬路村』は、実は慎太郎
が大庄屋のリーダーとして、産業や学問の新しい技術を結合させた
第0次的産業の成果が、となりの馬路村で作られたがじゃ。
」
「公武合体でもない、産官学でもない100年後のニッポン創りのためには、これか
らは「村学産合体」すなわち「100年後のふるさと科学資源バレー」の構築をめざす
必要がある。」
ふるさと村の山や、川や野にあるすばらしい資源を活かして、ふるさと村の少年と共
に22世紀の人と地球の共生の産業として、イノベーションをするためには、その研究
体制の構築が必要である。その研究基盤をつくるためには、ニッポンの大学の知識や技
術の支援と、更には合体が必要であり、日本列島全体が、
「総ふるさとバレー」となる
必要がある。
ふるさとバレーのハイテクノロジーには、以下のような科学技術がある。
1.ICT関連(ブロードバンド、GPS、Zigbee(家電向け短距離無線通信規
格の一つで、
低速で転送距離が短いが安価で消費電力が少ないという特徴を持
つ)等)ハイテクノロジー
2.エネルギー関連(太陽光、太陽熱、バイオ、水波力、振動、音、地熱、核融
合、新材料、新レアメタル、新資源等)ハイテクノロジー
3.介護、保育、福祉、保険関連ハイテクノロジー
4.医療関連ハイテクノロジー
5.環境関連ハイテクノロジー
25-4
6.農林漁関連ハイテクノロジー
7.新資源(鉱物エネルギー)ハイテクノロジー
8.ロボット・自動化関連ハイテクノロジー
9.教育・文化関連ハイテクノロジー
10.観光・温泉・遺跡・寺神関連ハイテクノロジー
11.自動車・船舶・飛行機・宇宙関連ハイテクノロジー
12.金融関連ハイテクノロジー
25-5
尐年よ…ベンチャーになれ
離島や過疎地域に大学の研究施設を造ろう
その地域の文化伝統と産業を活かし
次世代への生命産業(第 0 次的産業)を創る
若者の定着化
新しい技術者の育成
地元雇用
創造ベンチャー戦略の確立
大学
国、州、村の支援
地元の支援
研究開発設備
既存大学の支援
金融支援
地場産業、地場風土と対話
新技術開発の指導者
図 25‐2‐1 創造ベンチャー戦略の確立
25-6
ふるさと科学技術イノベーションとは何か?
人と地球との共生の産業
第0次的産業
第0次的産業(例)
図 25‐2‐2 ふるさと科学技術イノベーションバレーとは何か?
人の生命にかかわる
産業
地球の生命にかかわる
産業
医療、介護(リハビリスポーツセンターを
含む)
、文化、教育、寺、神社、教会、遺跡、
水(上水道、下水道)
山、森林、野原、土、動物植物の生物、川、
湖、海、水(深層水を含む)
、大気、風、雤、
太陽光エネルギー
25-7
25‐3.少年よ、ベンチャーとなれ!!廃小学校、廃中学校の
校舎を活用した「100年後の夢:ふるさと村科学技術イノベー
ションバレー」でスタートさせよう
「
『ごっくん馬路村』はうまいのう。松重先生はお飲みになりました
か?」
「はい、いただきました。美味しゅうございます。
」
「あれは、ゆずにはちみつを入れて、作りゆうがぜよ。
」
「はい、坂本先生。いろいろ最初は実験したようですが、うまくいか
なかったようです。しかし、その科学技術イノベーションバレーに
よって、
やっと平成になって、
売れる製品が農協で開発されました。
」
「うむー。そうじゃのう。なにも新しい機械や新しい建物、工場を建
てなくても、今ある学校の建物で十分じゃ。木造の古屋敷で十分じ
ゃ。要は、科学技術イノベーションバレーが・・・。
」
「はい、坂本先生。村の人々が科学技術イノベーションを起こすこと
が・・・」
「うむー。そうじゃ。廃校の中でも、少年よ、ベンチャーとなって科
学技術イノベーションを。
」
「100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢を創出させるための『ふるさと村科学技
術イノベーションバレー』は、ふるさと村の廃小学校、廃中学校の利用でよい。
」
これらの廃校には、古い木造作りのものもあるが、耐震性の補強を行うなどによって、
美しく、広い校庭など、大いに大学のキャンパスとして研究の拠点づくりができる。ま
た、周辺の空家を補修して先生や若い研究者の安価な宿泊所にも変えることができる。
これらの予算は、国、州、村が協力して補償し、地元の金融機関から出資させるとい
う「第3セクター方式の民間経営」とすべきである。
もちろん、全ての経営と管理は、民間として、大学の先生、研究員による自己自主管
理経営とする。国・地方の官僚の天下りの受入は一切しない。もっとも、官僚でも、研
究者は、大いに受け入れる。収入は、企業や個人からの研究賛助金、株の増資、学生の
学費、そして、
「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」の経営による収入である。
初期は苦しいが、ベンチャー企業として自立させるように、国、州、村そして、住民
が一体となって支援しよう。
25−8
25-8
現 状
海外企業
国際企業
資
本
ゆ 年 信 生
う 金 託 命
ち
銀 保
ょ
行 険
0次的産業
1次産業
多輸
国出
籍企
企業
業
2次産業
3次産業
多F
国X
籍
バ
ン
ク
4次的産業
先
物
投
機
ヘ
ッ
ジ
フ
ァ
ン
ド
5次的産業
ふるさと科学技術イノベーション
資
本
第
0
次
的
産
業
0次的産業
海外企業
国際企業
ゆ 年 信 生
う 金 託 命
ち
銀 保
ょ
行 険
1次産業
多輸
国出
籍企
企業
業
2次産業
3次産業
4次的産業
多F
国X
籍
バ
ン
ク
先
物
投
機
5次的産業
図 25‐3‐1 現状とふるさと科学技術イノベーション
25-9
ヘ
ッ
ジ
フ
ァ
ン
ド
生 1秒
産
性
1分
(
1
日
当 1時間
た
り
の 1日
売
上
高 1年
)
1秒間当たりの
生産
5
1分間当たりの
生産
4
1時間当たりの
生産
1日当たりの
売上高が多い
3
1日当たりの
生産
2
1年間当たりの
生産
0次的産業
1
1次産業
2次産業
3次産業
4次的産業 5次的産業
図 25‐3‐2 産業と生産性の模式図
25-10
「産業の種類と経済成長(売上高)へのふるさとバレー創り」
経
済
成
長
国内
ふるさとに新しい
科学技術による
共生産業(第0次的産業)
のふるさとバレー
生
産
性
(
1
日
当
た
り
の
売
上
高
)
世界(国際)産業に
第4次的産業
第5次的産業を
経済成長させる
世界(国際)
4
3
新しい科学技術で
人類と地球の共生産
業 (第0次的産業)を
ベンチャーする
2
1
年間売上
月次売上
月次売上
0
0次的産業
人類と地球の
共生産業
1次産業
主として国内での
農業、林業、漁業
新しい産業
2次産業
3次産業
主として国内での
製造業、建築業、
電気・ガス業
主として国内での
、
小売業、サービス業
4次的産業
ぺティ・クラークの産業
5次的産業
新しい産業
経
済
成
長
国内
世界(国際)
5
生
産
性
(
1
日
当
た
り
の
売
上
高
)
4
1日あたりの
売上高が多い
大企業への
投資、投機
0次的産業
1次産業
2次産業
3次産業
、
新しい産業
秒分売上
高生産性
高速生産性
4次的産業
5次的産業
FX、SWF、
国際銀行
国際証券会社
主として多国間
での生産と貿易
ぺティ・クラークの産業
新しい産業
経
済
成
長
生
産
性
(
1
日
当
た
り
の
売
上
高
)
日時売上
国内
世界(国際)
5
ふるさとに新しい
科学技術による
共生産業(第0次的産業)
のふるさとバレー
世界(国際)産業に
第4次的産業
第5次的産業を
経済成長させる
4
1日あたりの
売上高が多い
3
新しい科学技術で
人類と地球の共生産
業 (第0次的産業)を
ベンチャーする
2
大企業への
投資、投機
1
年間売上
月次売上
月次売上
日時売上
秒分売上
高生産性
高速生産性
4次的産業
5次的産業
0
0次的産業
人類と地球の
共生産業
新しい産業
1次産業
主として国内での
農業、林業、漁業
2次産業
3次産業
主として国内での
製造業、建築業、
電気・ガス業
主として国内での
、
小売業、サービス業
ぺティ・クラークの産業
主として多国間
での生産と貿易
FX、SWF、
国際銀行
国際証券会社
新しい産業
図 25‐3‐3 産業の種類と経済成長(売上高)へのふるさとバレ―づくり
25-11
図 25‐3‐4 100 年後のニッポンの夢、ふるさとの夢 尐年よ、ベンチャーとなれ!!
人と地球の共生に向かって第0次産業で革命を
25-12
25‐4.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村科学技術イノベーション
バレーを支援する科学技術イノベーションバレーに向かう大学へ
「ニッポンで一番賢い者が行く大学はどこぜよ?」
「はい、坂本先生。それは東京大学です。東京大学は、今まで国の官
僚組織、大企業のトップに多くの人材を送り込んできました。まさ
に、日本を動かす人材を送り込んできた大学です。
」
「ニッポンを動かす者が集まる大学か…」
「日本の大学は東京大学をトップとして、首都圏や関西圏などの大都
市の大学、地方の大学があります。しかしながら、地方の大学は少
子高齢化による若者の減少、若者の都会への流出で、学校の経営も
厳しいと聞いております。」
「ふるさと村を支えるのは、ふるさと村の大学だと思うのじゃが、そ
れは厳しいのう。ふるさと村の大学はその地方の伝統文化や歴史、
特産物、資源を活かした教育を行い、若者にとって魅力あるキャン
パスにせんといかん。そうして、東京大学にも負けない魅力的で独
創的なキャンパスにするがじゃ。
」
「少年よ、
『ふるさと村科学技術イノベーションバレー』を支援する『ふるさと村科
学技術イノベーション』を行っている大学に行こう。
」
大学にも、大学間の格差がある。日本で一番強く高いレベルの大学は「東京大学」で
ある。つまり、東京大学が一人勝ちをしているのである。
東京大学は、明治維新において、日本政府のさきがけで、江戸東京にできた大学であ
る。以来、常に日本政治や経済などの中心地である東京の官僚中枢に人材を送り、また、
日本の東京の大企業の経営トップに人材を送り、東京の官と民と政治を動かして来た大
学でもある。そして、明治時代より北海道から九州の日本の優秀な若者の人材を集めた
大学でもある。
同じように、文部省の官僚の配下に、この東京大学をトップとして、北海道から九州
までの地方出張組織として、地方の大学が配置された。これが、日本の高等教育と研究
のシステムである。
しかし、地方大学の経営は厳しい。それは、地方経済は衰退し、若者が減少したから
である。地方の経済、そして、若者の地方離れに大学の経営は苦しんでいる。
地方の大学が、若者に魅力あるキャンパスにするためには、まず、東京の文部科学省
から自立した大学とし、州(県)やふるさと村などの自治体と、また、小学校、中学校が
一体となって、さらに、地方のふるさと村の人々や民間企業とも一体となって、その地
方で魅力ある独創的なキャンパスとすることである。それは、地方の伝統文化や歴史、
特産、資源など、他の大学に無い魅力である。そして「研究の資金と人材」を集めるこ
とである。
地方の大学は、ふるさと村にある人や物のあらゆる資源を活かして、
「ふるさと村科
25-13
学技術イノベーション」を創り、人と地球の共生のための第0次的産業を創出する。そ
れが、これからの大学のニッポンの使命である。そして、東京大学に負けない独自のイ
ノベーションを発信し、それを新しい産業、すなわち、第0次的産業として創出し、近
い将来、第4次的産業として成長させるのである。これまでのような東京大学の模倣の
キャンパスでは生き残れないだろう。
大学も江戸東京一極を是正し、地方の少年の育成と地方経済の再生に参加するだけで
はなく、ふるさと村の医療や福祉、教育、エネルギーなどの第0次的産業を創出し、ふ
るさと村の人々の自治自主管理に一体となって経営すること、すなわち、ふるさと村の
自治自主管理そのものが大学の存立の意義となる。
25-14
図、グラフ、写真、表の参考文献、参考ホームページリスト表(第 6 編)
章、節、項
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等
国立国会図書館、近代日本人の肖像-高杉晋作
高杉晋作肖像画
http://www.ndl.go.jp/portrait/datas/121.html
2010 年 8 月 28 日アクセス
山口県文化振興課、維新史回廊構想・維新史回廊トピ
ックス第9号
中表紙
長幕海戦図
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a19300/ishin
shi/topics9.html
2010 年 8 月 28 日アクセス
下関市、龍馬のあしあと、ダウンロード版
伊藤助太夫(九
http://www.city.shimonoseki.yamaguchi.jp/kyoiku/
三)邸跡
chohuhak/ryouma-a-dl.html
2010 年 8 月 28 日アクセス
参考文献-1
第7編
少年よ、ベンチャーとなれ!!
「ふるさと村の科学技術イノベーションにベン
チャーキャピタル機関」を。そして将来 1 ドル
30 円円高の時もふるさと村地方経済と雇用の確
保のための独自独立ふるさと村経済圏立国家に
亀山社中の跡
龍馬は1865年、長崎の伊良林に薩摩藩や長崎の豪商・小曽根氏の協力を得て、日
本で最初の商社「亀山社中」を結成し、海運貿易業に乗り出した。
龍馬のぶーつ像
風頭公園の坂本龍馬之像
亀山社中が設立された風頭山の展望台に
龍馬の像が建てられている。銅像の龍馬は
未来を見据えたかのような力強いまなざ
しで世界へ開かれた長崎港をじっと見つ
めている
龍馬は日本で一番最初にブーツを履いた
男と言われている。この銅像は、亀山社
中創立130周年を記念して建てられた
もので、ブーツの中に足を入れることも
できる。
第7編目次
少年よ、ベンチャーとなれ!!
「ふるさと村の科学技術イノベーションにベンチャー
キャピタル機関」を。そして将来 1 ドル 30 円円高の時
もふるさと村地方経済と雇用の確保のための独自独立
ふるさと村経済圏立国家に
第 26 章 少年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村の科学技術イノベ
ーションにベンチャーキャピタル機関」を
26‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!東京一極を廃止し、ふるさと村の地方
の新しい経済成長を促す多極的経済指導型の都市づくりを
26‐2.少年よ、ベンチャーとなれ!!第0次的産業の金融と第5次的産業の
金融の分離について
26‐3.少年よ、ベンチャーとなれ!!郵便貯金、かんぽ生命保険、民間金融
機関の資金を、ふるさと村科学技術イノベーションバレーへ
26‐4.少年よ、ベンチャーとなれ!!帰ってきた龍馬は、ふるさと村・ニッ
ポンの地方の再生に、どう挑むのだろうか?
26‐5.少年よ、ベンチャーとなれ!!地元の銀行、生命保険、年金等の資金
を「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」の新産業創出のた
めに支援を
26‐6.少年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村科学技術イノベーション」
による第0次的産業の発展のための「ふるさと銀行」の設置を
26‐7. 少年よ、ベンチャーとなれ!!人類と地球の共生の産業のための、
ふるさと村ベンチャーキャピタルの金融の支援を
26‐8.少年よ、ベンチャーとなれ!!各州年10兆円で、10州10年で1
000兆円のニッポン科学技術イノベーションプロジェクトのスタ
ートを
26‐9.少年よ、ベンチャーとなれ!!Move Your Money(ムーブ・ユア・マネ
ー)in Nippon でふるさと村ベンチャーキャピタルを作ろう
26‐10.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村地方経済と雇用の確保のた
めの独自独立経済圏立国家に
第 7 編目次-1
第 26 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村の
科学技術イノベーションにベンチャーキャ
ピタル機関」を
電気自動車に乗った龍馬と松重は、池田屋騒動之址碑(新撰組)に通りかかった。池
田屋は幕末の京都にあった旅籠で、为に長州系尊攘派の活動拠点になっていたといわれ
ている。
古高俊太郎の捕縛で発覚したクーデター計画を阻止すべく、1864年(元治元年)
6月5日、新撰組は池田屋にて過激派尊皇攘夷の志士たちの密会を発見し、近藤勇、沖
田総司ら4人で踏み込んだ。過激派尊皇攘夷の志士は20人以上だったが、激戦の末、
9人の死者を出し大多数を捕縛するという大戦果を上げ、天下に新撰組の名を知らしめ
た。この騒動により、龍馬と仲の良かった望月亀弥太が命を落としている。また、この
池田屋騒動のため、明治維新が遅れたともいわれている。
賀茂川
高野川
京都
大学
京
都
御
所
京都大学
吉田神社
二条城
・
鴨川
池田屋騒動之址碑
26-1
26‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!東京一極を廃止し、ふるさと村の地方
の新しい経済成長を促す多極的経済指導型の都市づくりを
「坂本先生、明治にアメリカ、イギリスより開国をせまられ、江戸
末期、中国の清朝や東南アジアなどの国も崩壊しつつあり、ニッポ
ンのリーダーは、その時、強力な政治、経済を求めました。
」
「ほぉー。そうじゃのう。あの時は、開国に向かっており、ニッポ
ンの将来に向けて、夷国に対抗できる政治力、経済力が必要じゃっ
た…。そのために、薩摩、長州、土佐が立ち上がった。江戸東京の
古いリーダーでは、この難局を乗り越えることは難しかったがよ。
」
「はい、坂本先生。これからの日本はどのように…。
」
「うむ…。江戸東京一極を廃止し、ふるさと村にある資源大国ニッ
ポン全土のエネルギーと資源で、もう一度やりなおす必要が・・・。
」
「東京一極を廃止して、ふるさと村の新しい経済成長を促す多極的経済指導型の都市
づくりをしていこう。」
江戸時代より約400年続く東京、とりわけ、欧米の強国に開国を迫られた明治以来
近代日本は、東京一極による強力な政治経済指導により、欧米に追いつけ追い越せを目
標に進んできた。
しかし、今、目標とすべき欧米の政治経済のシステムは、どのように発展させていく
のか?共産党一党で世界の国々に経済力で席巻する中国とどう取り組むのか?多極的
に発展する政治、経済、外交、環境、人口問題にどう対処するかである。
「100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢」をどの様に形成していくのか?特にこ
れまでの東京一極の政治経済の指導で良いのか?
かつて、明治政府をつくり指導したリーダー達は、その出身は地方の山口、鹿児島、
高知、そして、その他の地方のふるさと村の人々であった。そこには、老若男女がふる
さと村の苦しみや素晴らしさを理解した上で、ふるさと村を守るための新しい明治政府
をリードし、応援したのである。
今、東京一極のリーダー達が、ふるさと村の苦しみや素晴らしさを充分に理解してい
るとは見えない。そして、ふるさと村の「ために」と口にするが、この「ために」を考え
て、東京一極のリーダーが施策を行っているとは思えない。もう一度、ふるさと村を再
生してニッポンの経済を再生すべきである。そのための政治が今必要だ。そのために多
極的経済(政治を含む)成長拠点づくりの「都市」ならぬ「ふるさと村」づくりをすべき
である。
26-2
26‐2. 少年よ、ベンチャーとなれ!!第0次的産業の金融と第5次的産業
の金融を分離しよう
「東京の大企業でもうけた金は、アメリカなどの夷国にいきゆうが
よにゃあ。
」
「はい、坂本先生。アメリカや中国など、これから成長する国やそ
の国の産業の工場、また、外国企業の買収など、第4次的産業で儲
けた東京の大企業は、日本国内より、海外成長戦略に夢中です。
」
「ニッポンの年金、生命保険、銀行や郵便貯金の投資も、アメリカ
などの夷国にいきゆうがよにゃあ。
」
「はい、坂本先生。
」
「それでは、西は長崎から、東は松前より蝦夷までの各藩の村で、
事業を起こすお金はどうなるがぜよ。
」
「はい、坂本先生。それは、信用組合や信用金庫などが対応いたし
ます。
」
「うむ…。信用金庫、信用組合には、ふるさと村への低金利でかつ
大量の資金は、有るがかよ?」
「はい、坂本先生。それが・・・」
「第0次的産業の金融と、第5次的産業の金融を分離して、第0次的産業の創出に向
かって『ふるさと村ベンチャーキャピタル』を創ろう。
」
明治時代にスタートした日本の銀行は、現在もその名称として東北の七十七銀行や、
四国の百十四銀行が残っている。この時の銀行の設立の目的は何だったのだろうか。
21世紀現在の大金融は、そのほとんどが第5次的産業化をし、国際自己資本比率な
どの国際規定にのっとって行われている。その目的は、ほとんどが世界のグローバルマ
ーケットの中での規格となり、第4次的産業の世界のマーケットで勝つトヨタ、ホンダ、
ソニー、シャープ、東芝などのような勝ち組のための、また、勝ち組とともに成長する
金融となっている。明治時代にできた第一銀行から始まった金融は、どうしてこのよう
に変わったのだろうか。
銀行、信用金庫、信用組合など、金融には目的がある(表 26‐2‐1)
。メガバンクは、
主として、世界のグローバル経済に勝つためのトヨタ、ホンダ、ソニー、シャープ、東
芝などの大企業やその下請け会社に必要とする資金を融資する。一方、ふるさと村の中
小企業や子どもの育英、教育に必要な資金は、主として、地方銀行、信用金庫、信用組
合が融資する。また、お年寄りの介護に必要な金融もある。
メガバンクという三菱東京 UFJ 銀行や、三井住友銀行、みずほ銀行にとっては、第4
26-3
次的産業で成長するトヨタ、ホンダなどの巨大企業は、安定安心な融資先であるが、ふ
るさと村の中小企業や個人への融資は、リスクが高いために金利が高いのである。
銀行や信用金庫からの借り入れが難しい企業や個人は止むを得ず、最後はいわゆる
「サラ金」と称する高利貸しに近い銀行の融資に頼る。だからこそ、国や県(州)が支
援すべき金融システムが必要であり、世界のマーケットとは関係のない、競争力のない、
お年寄りや子供たちに支援すべき金融である。
日本の金融機関を国際金融と国内金融に分けるべきである。つまり、国際マーケット
で戦うトヨタ、ホンダ、ソニー、シャープ、東芝のような巨大企業を支援するメガバン
ク、あるいは、世界の第5次的産業の銀行と、人と地球との共生の産業、すなわち、第
0次的産業や第1次産業のような日本の風土、食品に対するふるさと村の金融の銀行と
を明確に分離すべきである。特に、信用金庫、信用組合によるふるさと村での融資を強
化するため、自治体や国が支援した「ふるさと村銀行」の設営が必要である。
日本の経済区
地方(東京一極を除く)
東京
産業分類
第0次産業
第5次産業
銀行分類
(地方銀行、信用金庫、
<ふるさと村の銀行>
信用組合など)
生保分類
<ふるさと村の生保>
<メガバンク>
(世界的銀行)
<世界的生保>
ふるさと村
融資先
(中小企業、個人、ふるさと
第4次的産業
村科学技術イノベーション
第5次的産業
バレー)
支援
公的資本
常に国、県(州)、市町村が
支援するようにする
バブル崩壊(1990年)
、リーマン
・ショック時(2008年)に国家で
巨額の資金で支援した
今後、大量の公的資本の注入
これまで、再三、公的資本を
を行う
注入したが、今後は自立させる
国際金融には国際日本銀行を中心として、メガバンク、メガ損保など、第5次的産業
を行うグループ、それに加えて第4次的産業の国際企業もこのグループに入る。仮にこ
れを「ハゲタカ金融機関」と呼ぼう。第4次的産業のような、世界で成長をする巨大企
業への融資は、グローバル経済で国際金融規格、国際自己資本比率の条件の中で戦う金
融システムであり、安定安心した融資である。
26-4
一方、国内金融機関は10の州それぞれに州日本銀行を中心として、地方銀行、信用
金庫、信用組合、地方証券会社、損保などが入り、地方の第1次、第2次、第3次産業
がこのグループに入る。仮にこのグループを「ふるさと村金融機関」と呼ぼう。第0次
的産業や第1次産業に関わる金融は、ふるさと村の零細企業や中小企業、あるいは、個
人のためにとっては不安定である。したがって、国や県(州)で自治体の金融支援が常々
必要である。ふるさと村金融機関は各州の条例に準じて、州金融政策、州自己資本比率
等を設け、州並びに市町村の支援を受ける。その狙いは地方の医療、教育、介護、福祉、
上下水道、エネルギー、そして第1次、第2次、第3次産業を活性化させることにある。
そして、ふるさと村科学技術イノベーションバレーの支援資金や新しい第0次的産業の
創出に当たる。
東京都の石原慎太郎知事が設立した「新銀行東京」の主旨は「東京都民のための銀行」
であり、大いに評価されるが、ふるさと村銀行は、新銀行東京をもっと分散して、第0
次的産業のための銀行、第1次産業のための銀行、第2次産業のための銀行と、顧客の
ターゲットに分けて設置してはどうか。
少年よ、ふるさと村の人々が預けた信用組合、信用金庫、地方銀行、そして、郵便貯
金、また、ふるさと村の生命保険や簡易保険、ふるさと村の証券会社などの資金をアメ
リカの国債や先物投資など、外国に資金を回すのではなく、ふるさと村の100年後の
夢を創るため、ふるさと村の資源を生かすためにこの資金を生かそう。この資金を用い
て、ふるさと村科学技術イノベーションバレーを創り、そこでふるさと村の山や川や畑
や海の資源を生かした第0次的産業を創り、世界の人と地球の共生産業となるベンチャ
ーキャピタルにしよう。アメリカのベンチャーキャピタルは成功ばかりではない。失敗
もある。しかし、その中で生かされたイノベーションが次世代の産業に成長した。シリ
コンバレーもそうであったし、ITもそうであった。少年よ、失敗を恐れるな。第0次
的産業の創生に向かって、ふるさと村のベンチャーキャピタルを設置しよう。
26-5
表 26‐2‐1 信用組合・信用金庫・銀行間の区分一覧表
信用組合
信用金庫
銀行
信用金庫法(昭和 26 年)
銀行法(昭和 56 年)
中小企業等協同組合法
(昭和 24 年)
根
拠
法
協同組合による金融事業
に関する法律
(昭和 24 年)
組
営
織
業
地
区
協同組織の非営利法人
制限あり(狭域)
株式会社
制限あり(広域)
地域・業域・職域
出資金・資本金の
最低限度
出資者の資格
出
1億円(その他)
組合員
会員
個人および従業員 300 人
以下または資本金 3 億円
以下または資本金 9 億円
以下の法人
以下の法人
自由
制限なし
は全体の 20%までに制限
先
10億円
株为
個人および従業員 300 人
組合員以外の預金・積金
預金・積金
貸
地域
2千万円(東京都特別等) 2億円(東京都特別区等)
1千万円(その他)
出資者の名称
制限なし
組合員
会員
26-6
自由
26‐3. 少年よ、ベンチャーとなれ!!郵便貯金、かんぽ生命保険、民間金
融機関の資金を、ふるさと村科学技術イノベーションバレーへ
「郵便貯金は、ニッポンのあちらこちらで利用できるがやきに、郵
便局はさぞかし金を持っちゅうろう。
」
「はい、坂本先生。郵便貯金により集められたお金はメガバンク等
の民間金融機関のそれよりも多いです。郵便貯金のお金は日本の近
代化や戦後の経済成長を担ってきたと言えます。
」
「そうすると、郵便貯金のおかげで今のニッポンが成り立っている
ということやにゃあ。
」
「そうなのですが、現在は郵便局は民営化され、郵便貯金で集めら
れたお金は地方に向けて使われず、外国に回そうとする動きが見ら
れます。」
「そんなことをやりよったら、ふるさと村が発展せんようになるろ
う。ニッポンの政府は何をやりゆうがやろうにゃあ。
」
「郵便貯金、かんぽ生命保険、民間金融機関、タンス預金の資金を『ふるさと村科学
技術イノベーションバレー』に回そう。
」
郵便貯金、かんぽ生命保険については、現在、民営化もしくは半民営化などの議論が
東京の政治家、東京の経済学者、あるいは、金融機関で議論されている。
郵便貯金、かんぽ生命保険のお金は、日本の近代化の流れの中で重要な役目を果たし
てきた。それは、郵政公社によって運営され、日本の政治と直結しながら、日本の金融
システムを支えてきたからである。郵政公社は、政府に安定的に資金を供給し、日本の
近代化、または、戦後の復興および経済成長を支えてきたからである。
この郵政公社の資金は、日本の民間金融機関の資金を上回り、北海道から九州までの
ふるさと村の人々から集められた郵便貯金、かんぽ生命保険などの資金は、日本政府の
政策に従って、北海道から九州までのふるさと村の農業、林業、漁業の事業資金、ある
いは、ふるさと村の中小企業の事業資金にあてられてきた。日本経済の戦後の復興と世
界レベルまでの経済成長を促した金融システムであった。
しかし、日本の経済成長後のバブルが崩壊した後、北海道から九州までのふるさと村
で集められた郵政公社の資金は、民営化という名のもとにふるさと村の経済活動の衰退
を見越して、将来性のあるアメリカやヨーロッパ、あるいは、その他の経済発展国への
投資に振り向けられているが、そんなあほなことはしたらあかん。
26-7
26‐4. 少年よ、ベンチャーとなれ!!帰ってきた龍馬は、ふるさと村・ニ
ッポンの地方の再生に、どう挑むのだろうか?
「おいしかった土佐の米。土佐の農家は・・・どうながぜよ。」
「はい、坂本先生。土佐の農家は、米だけでは食っていけません。
他の野菜もいろいろ作って、生計を立てております。
」
「そうか・・・。ニッポンの各藩の農業は衰えたがかよ?」
「はい、坂本先生。農業、林業、漁業の第1次産業、第2次産業、
第3次産業は衰えてしまいました。
」
「それでは、各藩は困っちゅうろう。
」
「はい、坂本先生。各藩は困っております。しかし、どうしようも
なく、細々と観光や農園などで生きております。
」
「うむ・・・。農業もダメ、林業も漁業も苦しい。その上、第4次的産
業、第5次的産業の更なる発展により、ふるさと村の預金や生命保
険や年金のお金を江戸東京に集め、アメリカなどの夷国に持ってい
ってしもうたら、ニッポンの各藩にはお金がないやいか?ふるさと
村のふところは、空っぽながよにゃあ。
」
「はい、坂本先生。日本のふるさと村のお金は空っぽです。ふるさ
と村は、生命保険のお金、年金のお金、郵便貯金のお金、銀行のお
金もすべて東京でまとめて、日本の国債や米国債、あるいは、海外
の投資ファンドに向けられて、ふるさと村のためには使ってくれま
せん。
」
「うむ・・・。それが日本国民のためになりゆうろかにゃあ。それは、
江戸東京の政治家と江戸東京のメガバンクの経営者、江戸東京の大
手企業の経営者、江戸東京の経済学者の考えやろが・・・。ニッポン
のふるさと村の人のために、本当になってないろう?」
「はい、坂本先生・・・、困っております。」
「少年よ、ベンチャーとなって、地方にある産業を用いて、地方財政危機を救おう。
」
地方のふるさと村の自治体では、農林水産業も衰え、土建業も衰え、また、その加工
産業も衰えた。ふるさと村の産業は、東京の経済が世界貿易の巨大企業の第4次的産業
やメガバンク、生命保険などの第5次的産業によって大きく膨らむのとは対称的に、す
っかりお金のない「資金欠乏ふるさと村」
、そして、仕事の無い「仕事欠乏ふるさと村」
で、かつ少子高齢化で「じいちゃん、ばあちゃんの姥捨てふるさと村」になってしまっ
た。
26-8
さて、このふるさと村の人々を、今後どうするのか。そして、そこで生命を保つ山々
や野の植物や動物や水を今後どうするのか。
「100年後のニッポンふるさと村」をどうするのか?放っておくか?それとも…。
これは、一般的にダムを建設したり、道路を建設したりで対処できるものではない。そ
こには、世界的に発展する事業や技術が生まれ育たないからである。
地方財政危機を乗り越えるためには、
「地方にある資源を生かした新しい産業」を科
学技術イノベーションで創出し、それを国や自治体が支援することによって、地域経済
の活性化を図ることができる。そして他方で税収の増加を図ることができ、その結果高
い教育、医療、福祉のサービスが可能となる。100年後のニッポンの夢、ふるさとの
夢の構想図(図 26‐4‐1)。そして、それができる人は、ニッポンの少年しか・・・。少
年よ、ベンチャーとなって、地方にある産業を用いて、地方財政危機を救うのだ。
図 26‐4‐1 100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢の構想図
26-9
26‐5. 尐年よ、ベンチャーとなれ!!地元の銀行、生命保険、年金等の資
金を「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」の新産業創出
のために支援を
「ワシの先祖の四代目八兵衛は1666年に高知城下で、才谷屋を
始めた。これが、ワシの先祖の才谷屋の初代じゃったがよ。
」
「はい、坂本先生。先生の先祖である才谷屋は質屋だったのですか。
」
「そうながぜよ。儲けたお金で店舗の拡大をし、また、敷地内の土
蔵を次々と建てたらしい。
」
「ほぉー、坂本先生。蔵にはお金と質の流れの品がいっぱいあった
でしようね。
」
「そうながよ。かなりの金と質の流れがあった筈じゃ。たぶん、い
っぱいの金と質の流れがあったのじゃろう。当時の才谷屋は、武士
の知行や扶持を抵当にあるいは、刀剣、武具、書道、骨董品になど
を質にとって金を貸す仕送屋と質屋を軸に、その一方で酒造、呉服
販売、諸品販売、髪付油脂、古鉄販売をやりよったがぜよ。
」
「はい、坂本先生。それが現代の地方の信用金庫、信用組合、ある
いは、郵便貯金になるでしょう。
」
「ほぉー。今は、それが銀行というものか。そこやったら、ようけ
金があるろう。
」
「いいえ、現代の地方の銀行や信用金庫のお金、また、ふるさと村
の郵便貯金のお金も全部・・・。
」
「なに!ふるさと村のお金はどいたがぜよ。
」
「はい、坂本先生。全部、東京に流れております。
」
「なに!全部、江戸に流れゆうがか。して、それは、江戸幕府で、
どんなに使われゆうがぜよ。
」
「はい、坂本先生。東京政府の借金である国債や第4次産業、第5
次産業の主なお客様の米国債、あるいは、巨大企業の設備投資に使
われます。また、世界の投資や投機にも使われております。
」
「なに!江戸幕府と丸ノ内の岩崎弥太郎の仲間たちが、全部そのお
金を・・・。
」
「はい、坂本先生。地方にはお金は全くございません。
」
「すると、ふるさと村の人々が事業をする金がないがじゃにゃあ。
そのお金を江戸幕府、江戸の商人だけに使わいたらいかんがぜよ。
そのお金は薩摩から松前より蝦夷のふるさとの人々の事業のため
26-10
に使う金やいか。
」
「はい、坂本先生。
」
「江戸の将軍と幕僚、姦史、大富豪の商人、岩崎弥太郎は、いった
い、何を考えゆうがやろ。」
「地元の銀行、生命保険、年金などの資金を『ふるさと村科学技術イノベーションバ
レー』での新しい産業の創出のために使おう。
」
ふるさと村の金融には、地域・職場・業域という様々なコミュニティーを基盤とし、
中小企業に特化した営業をしている信用組合や、地域の人々が利用者・会員となって互
いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的にしている信用金庫がある(表 26‐5‐1)。それ
以外には、農協や漁協、郵便貯金、郵政の簡易保険などもある。
これらのふるさと村の人々の資金が、地元のベンチャーキャピタルに回るようにすべ
きである。
例えば、地域や村から集めた預金の総額の50%は、その地域や村に融資することを
義務付けるべきである。勿論、日本のメガバンクの3社も、東京以外の地方では、それ
ぞれの地域で、村の人々から集めた預金の総額の50%を、その地域や村に融資するこ
とを義務付けるべきである。1947年以降、敗戦の焼土からの復興の過程で見られた
ように、この貯蓄をふるさと村の科学技術イノベーションバレーにまわして、第0次的
産業のベンチャーキャンピタルにしてはどうか?図 26−5−1 の右下にあるように、ふ
るさと村科学技術イノベーションバレーに資金をまわして、ふるさと村のベンチャーの
支援をしていく。
もし、ふるさと村に新しい事業がなければ、ふるさと村自身で、東京や外国から成長
性のある新しい事業を誘致して、地域や村の発展につながるようにすべきである。
また、村の人々が大学と共同で設立した「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」
は、その地域の人と地球の共生のための新しい産業の創出を行うとともに、その地域の
若者の雇用と子供の未来の教育のために行うものである。
これまでのニッポンのメガバンク、年金、そして、生命保険会社や郵便貯金などの大
金融機関が行ってきたように、国債や米国債、そして、外国のヘッジファンド(hedge
fund)などだけに投資をするのではなく、50%はニッポンのふるさと村の人と地球の
共生の産業、すなわち、
「第0次的産業」への投資を行なうべきである。また、銀行は、
地方で融資を行う際には、個人や中小企業の住宅や土地などを担保にすることが多かっ
た。これからは、銀行は、新しい産業と「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」
に、積極的に参加するように、銀行内部の組織や経営を変えるべきである。
銀行と銀行の頭取は儲かっていても。銀行員であるからいずれ定年となり、最後に姥
捨て山に捨てられるようでは、人と地球の共生のための豊かなニッポンの再生とはなら
26-11
ない。
政 府
現状ではほとんどが
国債保有
日本郵政
国 債
かんぽ生命
ゆうちょ銀行
業務委託
郵便局会社
住宅貸付
︵
補てん︶
中小企業貸付
黒字
貸し付け
郵便事業会社
郵政改革法で統合予定
赤字
?
金融資本市場
運用
?
科学技術イノベーションバレー
図 26-5-1 日本郵政グループとふるさと村科学技術イノベーションキャピタル
(日本経済新聞 2010 年 4 月 26 日朝刊 19 面 大村敬一氏の案を引用)
26-12
表 26‐5‐1 信用組合・信用金庫・銀行間の区分一覧表
信用組合
信用金庫
銀行
信用金庫法(昭和 26 年)
銀行法(昭和 56 年)
中小企業等協同組合法
(昭和 24 年)
根
拠
法
協同組合による金融事業
に関する法律
(昭和 24 年)
組
営
織
業
地
区
協同組織の非営利法人
制限あり(狭域)
株式会社
制限あり(広域)
地域・業域・職域
出資金・資本金の
最低限度
出資者の資格
出
1億円(その他)
組合員
会員
個人および従業員 300 人
以下または資本金 3 億円
以下または資本金 9 億円
以下の法人
以下の法人
自由
制限なし
は全体の 20%までに制限
先
10億円
株为
個人および従業員 300 人
組合員以外の預金・積金
預金・積金
貸
地域
2千万円(東京都特別等) 2億円(東京都特別区等)
1千万円(その他)
出資者の名称
制限なし
組合員
会員
26-13
自由
26‐6.少年よ、ベンチャーとなれ!!「ふるさと村科学技術イノベーショ
ン」による第0次的産業の発展のための「ふるさと銀行」の設置
「これからの世の中は銀行と一言で言うても、国際的な銀行と、地
方のふるさと村向けの銀行に分けた方が良いのではないかと思う
がやけんど。」
「はい、坂本先生。おっしゃる通りです。」
「国際的な銀行と、国際的なマーケットでは議論されにくい案件を
扱うふるさと銀行に分け、教育や医療福祉、道路等の建設、農林水
産業などに特化した銀行を作らんといかん。そして、ふるさと村を
発展させていくためにはえいと思う。」
「これまでの金融システム、すなわち、グローバル化された世界の国際金融基準と、
ふるさと銀行とは、完全に区別すべきである。金融企業としての目的が異なるからであ
る。」
ふるさと銀行は、ふるさと村の自治自主活動のためのものであり、自治自主の目的を、
もっと、さらに細分化し、教育銀行、医療福祉銀行、道路橋銀行、農業畜産林業漁業銀
行などにわけるべきである。
今まで、このようなことは、世界の国際的規制や自己資本比率、不良債権比率など
の金融庁の査定を受ける必要があり、メガバンクや地方銀行では、ほとんど評価されな
かったが、ふるさと銀行では議論されない案件も可能である。例えば、北海道あるいは
東北、または長崎、鹿児島、沖縄の離島など、国際的なグローバルマーケットの評価で
いえば、とても議論されない案件についても、地方の道州(県)の郷土の文化や、郷土
の地位、それまでの産業や特徴から見て、研究開発を行うべきバイオ、エネルギー、資
源、医療など必要な内容をその地域の文化と風土、産業の歴史といった特徴から評価し、
貸し付けて事業を行うことで、新しい地域産業の創造につながる。
(1)「教育銀行」
「教育銀行」では、子供から青年、そして老人まで、学校に行き、教育を受けたい時、
また、子どもの入学金を支払えない親や、月々の学費の支払いに困った子を持つ親が駆
け込んで借りる。また、学校の老朽施設更新、増設なども、ふるさと村の理解を得て、
建設を実行するとき、この教育銀行が、融資を行う。
現在は、文科省から個人までいろいろな育英事業がある。これを北海道から沖縄まで、
道州(県)で、ふるさと村で、それぞれの地域の「教育銀行」として設立する。国の育
英資金も、企業の育英資金も、個人の慈善の資金も「教育銀行」の「資本」として、「株」
として、設立に参加していただき、多くの子供や大人の育英、教育の支援を行う。
26-14
(2)医療福祉銀行
現在のメガバンクの三菱東京 UFJ 銀行、三五住友銀行、みずほ銀行、また、地方銀行
とは、完全区分した金融基準による医療福祉を目的とする銀行である。国や県(道州)
の支援による「医療福祉銀行」である。もちろん、この「医療福祉銀行」には、教育銀
行と同じように、企業や個人の「資本」や「株」の参加が可能である。
「医療福祉銀行」で融資を行うのは、病院や介護老人センターの「設立資金」、また、
老人や子供の「入院費の給与もしくは貸与」である。
退職金や不動産などの資産をもつ高齢者や資本家にも、この「医療福祉銀行」の大
株为として参加いただくとともに、この株为の老人が、病院へ入院する時は、「株为優
待」が可能である。
(3) 研究開発銀行
第0次的産業として、「研究開発銀行」を北海道から沖縄まで道州、また、村卖位
で設立する。この銀行には、もちろん研究開発するトヨタ、ホンダ、ソニー、シャープ
などの大企業や中小企業、また、大学の先生や研究生からの資金・株为の参加も可能で
ある。国や道州(県)や村で必要と思われる研究開発プロジェクトの資金もここで審査
され、大学の先生や専門学校の先生、あるいは、高校の先生、学生の研究テーマへの貸
付可能である。もちろん、中小企業、零細企業、ベンチャー企業が新しい研究開発を行
うとき、国や道州(県)村や大学のそれぞれの研究審査部の評価を得れば、「研究開発
銀行」でその事業の必要性を審査し、貸し付けすることが可能である。
(4)第0次的産業、第1次産業、第2次産業としてのふるさと道路橋銀行
これまで、国土交通省や農林水産省が、道路の計画と予算の執行を行ってきた。この
ことは、道路族や農水族の利権と人脈に繋がっていた。
本来、道路というのは、子供たちの安全のための道路、または、高齢者の電動車イス
の通行を容易にするための道路、あるいは、第1次産業、第2次産業のための産業用の
道路など目的はいろいろとある。これらの道路をまとめる、「ふるさと道路橋銀行」の
設立もある。国や県(道州)の資金のもと、「ふるさと道路橋銀行」を設立するのも良
い。
この銀行は、(県や道州)に設立され、その地域の子供の安全のため、また、高齢者
の電動車イスの通行を容易にするため、あるいは、第1次産業、第2次産業のための産
業用の道路の予算が、国や県、村で認められれば、「ふるさと道路橋銀行」に申請をし
て、貸し付けが行われるというのも一つの方法である。
道路の予算は、国道、県(府道)道、村道、そして、高速道路株式会社などに返分され
る。
26-15
26‐7. 少年よ、ベンチャーとなれ!!人類と地球の共生の産業のための、
ふるさと村ベンチャーキャピタルの金融の支援を
「紀州の紀伊国屋文左衛門は、おいしいみかんを江戸に運んで大儲
けをし、そして、その儲けたお金でまた次の商売で財を創り上げ
た。
」
「はい、坂本先生。地方の産業のためには、おいしいみかんを作る
という科学技術が必要でございます。
」
「何事も、新しいものを創るという科学技術が必要じゃのう。ふる
さと村には色んな資源がある。そして、より品質の高いものに、よ
り付加価値の高いものにしなければならん。そのためには、高いレ
ベルにするための科学技術をすることが必要ながよ。
」
「はい、坂本先生。ふるさと村で昔どおりのことをしていたのでは
経済の採算性はないですね。
」
「そうじゃ。ふるさと村の山や川や畑や海の素晴らしい資源をより
付加価値の高いものにするための科学技術が必要であり、そのため
の研究設備や研究する有能な人材を集める資金が必要じゃ。海援隊
の時もそうじゃった。新しい商売をするために、新しい黒船が必要
じゃった。この黒船を買うのに薩摩藩の小松帯刀や西郷吉之助、土
佐藩の後藤象二郎や岩崎弥太郎の応援を得たものじゃった。国や藩
の応援が必要じゃのう。
」
「はい、坂本先生。国や州、県の支援を得て、民間からお金を借り
受けるPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)など
の事業がふるさと科学技術イノベーションバレーの設立には必要
になります。
」
「うん、資金が必要じゃ。」
「100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢を創出するためには、『ふるさと村科学
技術イノベーションバレー』のベンチャーキャピタルが、どうしても必要である。
」
ふるさと村には、東京とは異なり、銀行は少ない。そして、東京には、ベンチャーキ
ャピタルが多くある。近い将来、株式を上場する会社を狙っての金融支援である。これ
が、地方には、過疎地には、ほとんど無い。
東京の「新銀行東京」は、ベンチャー支援銀行のひとつの例かもしれない。国や州や
村が、自らが、公的資金を出した第3セクター、もしくは、民営の「ふるさと村ベンチ
ャーキャピタル」を、各ふるさと村に設置し、それによって海外からも、興味ある科学
26-16
技術を狙って、追加の投資を誘致すべきである。
まさに、日本の科学技術の発展を狙う東京の六本木的海外投資会社を、各州や各村に
紹介し、村学産合体の各「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」に誘致すべきで
ある。現在ある東京六本木だけではない。ニッポンの各村の「ふるさと村科学技術イノ
ベーションバレー」に、世界の投資家の目を向けさせるのである。これが、ニッポン、
そして、世界の次なる経済成長となり、第0次的産業が、第4次的産業に成長し、そし
て、第5次的産業の誘導により、世界の経済の成長につながるのである。
26-17
26−8.少年よ、ベンチャーとなれ!!各州年10兆円で、10州10年で
1000兆円の「ニッポン科学技術イノベーションプロジェクト」
のスタートを
「ふるさと村科学技術イノベーションバレーと聞くが、どうしたら
できるがやろう。
」
「はい、坂本先生。ふるさと村科学技術イノベーションバレーはふ
るさと村にあるものを使えば良いと思います。
」
「そうじゃのう。設備は廃校を利用し、ふるさとの山、川、土など
の資源を使う。研究者と研究に使う機材は、外部から入れるが、基
本的にはふるさと村にあるものを利用したらえいがよにやあ。
」
「なるほど。人以外はふるさとにあるものを使うんですね。
」
「そうじゃ。イノベーションのために、郵便貯金やかんぽ生命保険、
地方銀行、信用金庫と言った民間の資金を利用するがよね。ニッポ
ンの人一人一人がベンチャーになる。これこそ、100年後のニッ
ポンにとって大切なことながよ。
」
「ふるさと村科学技術イノベーションバレーの設備を作るには、新しいコンクリート
などの建物に固執する必要はない。ふるさと村には廃校となった小中学校が毎年約20
0発生している。これを利用しよう。投資の内容は「研究者」と「研究のための機材」
を主とする。
」
ふるさと村には山や川や肥えた土、田畑や海など、資源はいっぱいある。さあ、ここ
にニッポンの「科学技術イノベーションプロジェクト」を創ろう。各州において「年1
0兆円」で「10州」
、
「10年」で「1000兆円」のプロジェクトを行おう。プロジ
ェクトの事業主体はPFIで、民設民営が基本である。それに大学や企業、自治体が支
援する。
これには、ふるさと村の郵便貯金やかんぽ生命保険、地方銀行、信用金庫といった民
間の資金の利用も重要である。また、ふるさと村の証券会社も必要である。そして、中
近東や中国など、膨大な資金をもつ外国から資金の提供も受けるのも良いのではないか。
しかし、一番大事なのは国家である。ニッポンの国家が「イノベーションをやる」と
いうベンチャー精神の意志、すなわち政策が必要である。
不必要な建物を作るための国債の利用、無意味な子ども手当などのようにバラマキを
するための国債の利用、また、年金機構や行政職への無駄な給与支払いのための国債の
利用、このような「無駄で無意味な国債の利用」を徹底して止めるという意志が必要で
ある。
ニッポンは世界をリードする「人と地球の共生のイノベーション」を北海道から九州
までニッポンの全てで行い、そして「世界最先端の科学に挑む」という国民一人一人の、
ふるさと村の一人一人の意志が必要である。
26-18
この意志がなければ、ニッポンの100年後の夢はない。そこには、崩壊するニッポ
ンの社会があるだけだ。
さあ、尐年よ、立ち上がれ。さあ、尐年よ、ベンチャーとなれ!!。ふるさと村に「科
学技術イノベーションバレー」を創り、
「人と地球のための第0次的産業」を創り、世
界の「for the people」
、世界の「for earth」の先導役となろう。
26-19
26‐9.少年よ、ベンチャーとなれ!!Move Your Money(ムーブ・ユア・マ
ネー)in Nippon でふるさと村ベンチャーキャピタルを作ろう
「米国では、大きな銀行からふるさと村の銀行に金を移す動きが広
まりゆうそうじゃのう。
」
「はい、坂本先生。この動きを『Move Your Money』と呼んでいるそ
うです。メガバンクは税金を使って支援を受けながら企業への融資
を削っています。このため、メガバンクに反省を促して、健全な金
融システムを市民一人一人の手で作るそうです。
」
「ほう、これこそふるさと銀行じゃのう。ニッポンはどうじゃ。
」
「はい。日本ではこのような動きはまだないようです。
」
「そうか。ニッポンも銀行を国際金融とふるさと村の金融とに分け
る必要があるのう。アメリカの『Move Your Money』ではないが、
『Move
Your Money in Nippon』ということで、ふるさと村の銀行に資金が
集まると、ふるさと村科学技術イノベーションの資金に使うことが
できるがじゃ。
」
「坂本先生。そうなると、ふるさと村も活性化していきますね。
」
「そうじゃのう。ニッポンの再生はふるさと村から始まるがやき。
」
「アメリカの「Move Your Money」の運動と同じように、ニッポンでも「Move Your Money
in Nippon」の運動を起こそう。そして、少年たちでつくる「ふるさと村科学技術イノ
ベーションバレー」の資金を確保しよう。北海道も九州もふるさと村の素晴らしい資源
を活かした第0次的産業を創り出そう。そして、人と地球の共生の社会を世界に発信さ
せよう。
」
アメリカで全国的に名の通ったメガバンク(大銀行)から、アメリカのふるさと村の
地方銀行や地方信用組合など地域経済に密着した地方金融機関に、預金を含めた「金融
取引」を移す動きが広がっている。
アメリカで2009年末、リベラル系のニュースサイト「ハフィントン・ポスト」が
始めたキャンペーン「ムーブ・ユア・マネー」
(あなたのお金を動かそう)がきっかけ
で急速に拡大した。税金を使って公的支援を受けながら1000億ドル(約9兆円)分
も事業融資を削り、企業家を窮地に追い込むメガ銀行に反省を促し、健全な金融システ
ムを市民自らの手で築こうという試みだ。まさに、我々が唱えるふるさと銀行であり、
ふるさとキャピタルである。
また、ロサンゼルス市議会は、最近、中小企業への貸し出し実績などに基づき、メガ
金融機関や地方金融機関を分類し、金利の変更に応じない場合は、今後取引を認めない
よう市に求める動議を可決した。取引を移す動きは自治体にも及んでいる。未だに、メ
ガバンク、メガ損保、メガ証券などの役員は高額の報酬を受け取っているように、大銀
行などのメガ金融機関の体質は全く改善されていない。
26-20
そして、ニッポンの金融機関においては、アメリカの金融機関ほど高給の役員やバン
カーがいないにしても、地方へのコミュニケーション不足、地方の中小企業軽視はアメ
リカと全く同じで、国民からの預金を我が金の如く、アメリカや中東や中国やヨーロッ
パなどに投資するが、ニッポンの地方、ふるさと村は投資テーマがないとして、見向き
もしない。これが、日本の1990年以降の経済低迷やデフレの大きな原因となってい
る。
そこで、今後のニッポンの金融システムについては、国際金融機関と地方金融機関と
を自己資本比率やあるいは待遇などの面で差別化すべきである。
① メガバンク、メガ損保、メガ証券など、世界の国際金融資本为義に参加して
いる企業と日本国内のふるさと村銀行を分離すべきである。
② 日本国内、ふるさと村金融機関については、政府・州から特別な資金援助と
優遇政策を行うべきである。
これによって、アメリカなどの世界のウォール街でマネーゲームを演じる銀行の超高
額報酬の役員やバンカーの横暴からニッポンのふるさと村金融を切り離し、ニッポンの
ふるさと村金融とふるさと村の人々が健全な事業や業務を行うことができるようにす
る。また、これによって、
① 過疎な村であっても尐年がベンチャーとなり、ふるさと村の山や畑や海の資
源を用いて、ふるさと村科学技術イノベーションを創れるように、そこで働け
るようにする。
② 第0次的産業を創出できるようにする。
その2点が大きな目的である。
アメリカの地域金融機関は、マネーゲームを演じたウォール街の銀行と差別化を図り
たいと思っており、これは消費者の気持ちと合致し、大きな社会現象となったと言われ
ている。ニッポンにおいても「Move Your Money in Nippon」を行う必要がある。
尐年よ、ベンチャーとなれ!!アメリカの「Move Your Money」の運動と同じように、
ニッポンでも「Move Your Money in Nippon」の運動を起こそう。そして、尐年たちで
つくる「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」の資金を確保しよう。北海道も九
州もふるさと村の素晴らしい資源を活かした第0次的産業を創り出そう。そして、人と
地球の共生の社会を世界に発信させよう。
26-21
26‐10.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村地方経済と雇用の確保の
ための独自独立経済圏立国家に
「1ドル30円という、ドル安・ユーロ安・元安時代にも、産業の空洞化、雇用の空
洞化のない、ふるさと村独自独立経済圏立国を推進しよう。
」
円安になれば、日本の産業、そして雇用は維持される可能性が高い。しかし、かつて
1ドル360円だったレートが、今や1ドル80円そこそこになった。これはアメリカ
での産業の衰退、雇用の減少が確実に進み、アメリカの経済が衰退していることを示し
ている。また、ヨーロッパのユーロ圏もギリシア、アイルランドなどのように、ドイツ、
フランスを除く他のヨーロッパ各国も産業の衰退と雇用の減少が激しい。要は、かつて
の先進国というのは、働かないで株などの投機によって、経済活動をしようとしている
傾向が強い。かつての産業革命以来、20世紀までに維持してきた先進産業というモノ
がアメリカ、ヨーロッパで影を潜めつつある。近い将来、ドル危機、ユーロ危機という
ものが今後も発生する可能性が高く、日本の円も相対的に高くなる可能性がある。
一方、中国の元は、中国の共産党一党による指導、15億人の労働者の雇用維持のた
めに、インドやブラジル、他の東南アジアの雇用と比べて、漢民族の雇用確保のため、
元レートを大幅に上げることはないであろう。中国は共産党一党支配が続く限り、国家
資本主義であるため、元レートが相対的に元安で維持されるだろう。若干、元が上がっ
たとしても、中国の国家経済により、元レートは抑えられて進むだろう。従って、相対
的に日本の円レートが高く推移する可能性がある。
このような次世代の産業、経済、金融を考えたとき、1ドル30円といったことも想
定しなければならない。1ドル30円となると、日本の企業は本社並びに生産工場を海
外に移し、日本国内の経済、雇用、産業は空洞化し、特に地方の経済は空洞化するであ
ろう。こういった時代に対応するためにも、東京の経済、雇用、産業といった、第4次
的、第5次的産業とは違った第0次的、第1次、第2次産業をふるさと村に移譲する必
要がある。そのために、ふるさと村に魅力ある産業を創り、明日に向かって魅力ある技
術を育てていかなければならない。
「ふるさと村ベンチャーキャピタル」を設けて、そ
して大学との共同研究による「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」を創り、次
世代のふるさと村の経済と雇用を確立する必要がある。
少年よ、ベンチャーとなれ!!そして、1ドル30円になってもふるさと村を空洞化
することなく、明日の新しい科学技術や産業を少年の手によって育てよう。
26-22
図、グラフ、写真、表の参考文献、参考ホームページリスト表(第 7 編)
章、節、項
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等
龍馬のぶーつ像
龍馬の足跡
亀山社中の屋内
http://yasyas.web.infoseek.co.jp/ryoma.htm
の様子跡
2010 年 8 月 27 日アクセス
中表紙
長崎のさるき方:施設情報
亀山社中の跡
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/kanko/inst
itution.html
2010 年 8 月 27 日アクセス
参考文献、参考ホームページ(第 26 章)
章、節、項
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等
全国信用協同組合連合会 総合企画部、
“全国信用協同
組合連合会|信用組合の Q&A”
26-2
表 26‐2‐1
http://www.zenshinkumiren.jp/deai/deai_q_and_a.h
tml、
2010 年 4 月 7 日アクセス
を参考に表を作成
日本経済新聞 2010 年 4 月 26 日朝刊 19 面 大村敬一氏
図 26‐5‐1
の案を引用、加工
全国信用協同組合連合会 総合企画部、
“全国信用協同
組合連合会|信用組合の Q&A”
26-5
表 26‐5‐1
http://www.zenshinkumiren.jp/deai/deai_q_and_a.h
tml、
2010 年 4 月 7 日アクセス
を参考に表を作成
参考文献-1
第8編
尐年よ、ベンチャーとなれ!!
「小中学校からベンチャー」となって
「第0次的産業の実習やボランティアに
参加」しよう
坂本龍馬お龍新婚湯治碑
1866年3月10日、お龍と日本初の新婚旅
行として、薩摩を訪れた。龍馬は、寺田屋事件
で負った手傷の治療のため、塩浸温泉に18日
間滞在した。
犬飼滝
この滝を眺めた龍馬は「実にこの世の外か
と思われ候ほどのめずらしきところなり」
と感動したと言われている。
姉・乙女への手紙
龍馬は1866年12月4日、お龍との新
婚旅行について姉・乙女に手紙を送ってい
る。登山道を絵入りで示し、見たことや感
じたことをそのまま書き表している。
第8編目次
尐年よ、ベンチャーとなれ!!
「小中学校からベンチャー」となって「第0
次的産業の実習やボランティアに参加」しよう
第 27 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「小中学校からベンチャー」と
なって「第 0 次的産業の実習やボランティアに参加」しよう
27‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!小学校から中学校で君は何をするの
か?何をしたいのか?決めよう
27‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!就職口はいっぱい有る。人と地球の共
生の産業(第0次的産業)を求めて
27‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!子供のころから第0次的産業と第1次
産業の自然の教育が、尐年の「働く」という能力を拓く
27‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の小中学校で、
「人類と地球
の共生とは何か?」という教育を!!そして、実務体験として病院、老
人ホーム、農林漁の実習やボランティアで体験を
27‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!小中学校の時から太陽光・ICT・バイオ・
保育・介護等、
「人類と地球の共生の基礎技術」の独自のベンチャー
な教育を
27‐6.尐年よ、ベンチャーとなれ!!小学校・中学校の先生もベンチャーと
なろう。そして、尐年にふるさと村の未来のイノベーションやふるさ
と村の夢を語ろう
27‐7.尐年よ、ベンチャーとなれ!!“すべての子どもが天才である”3歳
から小学校・中学校・高校、そして、大学へ。全ての尐年は、誰でも、
世界一流のベンチャーになれる。そして、ふるさと村の科学技術イノ
ベーションで次世代の第0次的産業を
27‐8.尐年よ、ベンチャーとなれ! 尐年よ、君たち一人一人に素質があ
る。君たち一人一人は天才である。それを生かすには努力が必要だ
第 28 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「大学のキャンパスを東京首都
圏から、ふるさと村に移転」しよう
28‐1. 尐年よ、ベンチャーとなれ!!大学のキャンパスを東京首都圏から、
ふるさと村に移転しよう
第8編目次-1
28‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!村の廃校舎に大学のキャンパスを、ま
た民間企業の研究開発所を設置し、ふるさと村の科学技術イノべー
ションバレーを創り、人と地球の共生のための第0次的産業を創出
しよう。
28‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!行き場の無いポスドクをふるさと村科
学技術イノベーションに邁進させよう
第 29 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!日本における学校教育制度のあ
り方とアントレプレナー醸成
29‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!日本における学校教育制度のあり方と
アントレプレナーシップ醸成
29‐2,尐年よ、ベンチャーとなれ!!基礎学力を高めるための工夫とは
29‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!高等教育における初年次教育の重要性
とは
29‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!アントレプレナーの醸成について
29‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!なぜ経験教育が必要なのか
29‐6.尐年よ、ベンチャーとなれ!!日本は失敗が許されない社会
29‐7.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ICTによる経験教育の可能性
第8編目次-2
第 27 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「小中学校から
ベンチャー」となって「第 0 次的産業の実習
やボランティアに参加」しよう
電気自動車に乗った龍馬と松重は、武市瑞山(たけち・ずいざん)寓居跡に通りかか
った。武市瑞山は通称半平太であり、武市半平太と呼ばれることも多い。武市瑞山は幕
末に活躍した土佐藩の勤王家で土佐勤王党を組織しており、龍馬とは遠戚に当たる。こ
の武市瑞山寓居跡は武市瑞山の京都での活動拠点で、各藩の尊王派の志士たちが多く集
まり、昼夜を問わず激論が交わされた。その後、帰国を命じられた武市瑞山は、吉田東
洋暗殺の嫌疑により投獄され、切腹を命じられた。現在は、料亭「金茶寮」となってお
り、武市瑞山ゆかりの間が現存している。
京都
大学
京
都
御
所
京都大学
吉田神社
二条城
鴨川
・
武市瑞山寓居跡
27-1
27‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!小学校から中学校で君は何をするの
か?何をしたいのか?決めよう
「坂本の家で生まれたワシは子供の頃、鏡川や近くの野山に行って
友達と遊んだもんじゃ。そこで、人と人、川と人、田んぼと人、山
と人、海と人、自然に子供らあは育っていったがよ。
」
「はい、坂本先生。昔はそうでございました。今はふるさと村に若
者は少なく、東京や首都圏など都会の子どもは、人が作ったショッ
ピングセンターや、人が作った飲食街、そういった人工の建物の世
界で育ってきております。」
「うむ。それでは、山や田畑、川、海のありがたさ、楽しさが・・・」
「
『100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢』を求めて、ふるさと村の人と地球の
共生産業(第0次的産業)を求めて立ち上がろう。
」
アメリカ・シカゴ大学医科大学院で、18歳で博士号を取得した矢野祥君は、9歳で
大学に入学し、12歳で大学を卒業したという。囲碁の名人・井山裕太君は中学校卒業
後、高等学校に行かずにそのまま囲碁の勉強をしたそうである。古い話になるが、松下
幸之助氏は中学校を卒業してそのまま産業の道に入った。大相撲の元横綱・貴乃花は中
学校を卒業すると同時に厳しい大相撲の世界に入った。必ずしも高校に行かなくとも立
派な人間は多く存在している。進学が目的ではない。何のために勉強をするのか?何の
ために努力をするのか?が重大なテーマである。
果たして、高校や大学に行かなければならないのだろうか?高校に行かなくても立派
な人間として、立派な研究者として、立派なスポーツマンとして、また、立派な経営者
として大成した人はたくさんいる。むしろ、高校生までの幼児から中学生の間で何を学
ぶかということの方が大事のようである。
100年後のニッポン。その時、どれだけのニッポンの若者が生きてゆけるのか?グ
ローバル化の中で、すでに、若者の生き残りの戦いというか、勉強というのか。その競
争は、赤ちゃんから幼児の時に、もうすでに始まっていることを、まず、お父さん、お
母さん、そして関連する大人の方は、充分、ご理解いただいていると思う。世界は、そ
れ程、甘くはない。この小さな地球で、人口が60億から100億に増加する中で、そ
の国というのか、民族というのか、生き残りと幸せを求めての競争が、そして、グロー
バル化が始まっている。
学ぶ教材は、少年のすくそばにある。それは、ふるさと村である。そして、人間と地
球が共生するための創造、すなわち、第0次的産業の創造である。人々にとって、身近
な周りにあるテーマ、それが、新しい研究テーマであり、それが、新しいイノベーショ
ンであり、そして、そこに新しい産業の創出がある。
さあ、少年よ、ベンチャーとなれ!!そして、「100年後のニッポンの夢、ふるさと
の夢」を求めて、ふるさと村の人と地球の共生産業(第0次的産業)を求めて立ち上が
れ。学校なんかに頼るな、自分で創るんだ。
27-2
27‐2.少年よ、ベンチャーとなれ!!就職口はいっぱい有る。人と地球
の共生の産業(第0次的産業)を求めて
「土佐では、耕作地が少のうて、水の流れが悪く、小作で貧乏な人
もようけおった。中岡慎太郎は大庄屋の息子で、不作続きで飢饉の
時、土佐藩の家老に願い出て、米の支給などを願い出たことがあっ
た。
」
「はい、坂本先生。現代も地方の若者は就職口がなく、そこで、若
者は困り果てております。」
「うむ・・・・・・。ふるさと村には『職』はないが『食』はある。
ふるさと村には、このような農業、林業、漁業の資源がいっぱいあ
るがやき、
『職』を作るがやのうて、
『食』を活かす。そこには、人
と地球の共生のための新しい産業への何かがあるがぜよ。少年よ、
『職』ではなく、
『食』を創れ。
」
「高校を卒業して、大学を卒業して、就職するところは、ふるさと村にはいっぱいあ
る。
」
まず、農業に目を向ければ、野菜や稲が、おいしい品種になろうと君を待っている。
漁業に目を向ければ、マグロの養殖から魚介の新しい生産加工に、君のエネルギーを待
っている。病院には、老いた人が、インターネットやロボットで介護する新しいシステ
ムづくりに君を待っている。
君達の就職口は、いっぱいある。ニッポンのふるさと村には、いろいろな資源がある。
人と地球の共生のための産業が、君を待っている。
ただ、都会で平凡にゆったりとした人生を送ろうという人はたくさんいるので、この
ような人が向かう企業の競争率は高い。そして、ただ教科書の通りの勉強をし、先生の
言う通りの勉強をしていただけでは、他の少年も同じことをしているから、競争率が高
く、就職試験に落ちるかもしれない。もしくは、就職できないかもしれない。そして、
もしかすると、就職口は、もう無いかもしれない。
多くの他の連中がやっていないことをやれ、他の連中があまりやっていないことに立
ち向かえ。そのためには、ふるさと村へ行こう!!
ふるさと村には、資源がいっぱい有る。資源大国ニッポンだ。そこで、少年よ、ベン
チャーとなろう!! そして、そこで、人類と地球が共生するための新しい産業を創ろう。
第0次的産業だ。鳥も、魚も、山も、川も、畑の植物も、少年よ、君と友達となろうと
待っている。さあ、行こう。
これは、君達だけでは無い。中国人も、シンガポール人も、アメリカ人も、インド人
も、皆、若い人は世界で競争している。野球のイチローも競争だ。ゴルフの石川遼君も
競争だ。フィギュアスケートの浅田真央ちゃんも競争だ。これが、グローバル化だ。君
も、他の人の多くがやっていない事に立ち向かえ。
「少年よ、ベンチャーとなれ!!」そ
して、
「人と地球との共生の産業(第0次的産業)を創出し、世界に飛び立とう。
」
27-3
27‐3.少年よ、ベンチャーとなれ!!子供のころから第0次的産業と第1
次産業の自然の教育が、少年の「働く」という能力を拓く
「
『三つ子の魂、百まで』と言う。土佐でワシが3歳の時までに培っ
たものが『坂本龍馬』である。
」
「はい、坂本先生。私もそう思います。石川遼君やイチロー君も、
辻井伸行君も矢野祥君も井山裕太君もみな3歳のころからから始
まったのでしょうね。
」
「そうじゃ、中岡慎太郎や西郷隆盛も高杉晋作、木戸孝允、岩崎弥
太郎もおんなじよ。ふるさと村で山や川や田畑の食物、動物などと
ともに、遊ぶことによって人間の新しい道が開ける。そんな教育で
ない保育の世界がいるがぜよ。
」
「人類と地球の共生の創造の基本は、第0次的産業と第1次産業から創り出される。
子どものころからの第0次的産業と第1次産業の教育が少年の『働く』能力を拓く。
」
野球のイチロー選手は、いきなりアメリカのMLB(Major League Baseball)で活
躍するほどの野球の能力があったわけではない。子供時代の少年野球で一生懸命に練習
し、そして、高校野球を経て、日本のプロ野球に入った。当初は2軍落ちも経験し、そ
こでまた人一倍の努力をして今日まで成長したわけである。イチロー選手にMLB退団
後、いきなり「農業をやれ」と言っても、
「働く」には、それなりの教育と時間が必要
である。
このように「働く」ことは、野球でも、音楽家でも、農業でも、漁業でも、医者でも、
その子供の「脳」というのか「体」というのか「働く」ということへの自然な体験を経
て勉強させることが非常に重要である。
子供の時に「働く」ということ、大人になったらどのように「生きるのか」
、大人に
なったらどのように「働くのか」
、どのように「人と人との助け合いをしていくのか」
、
どのように「社会を作っていくのか」の原点を育てる必要がある。
素晴らしい野球選手になるとしても、素晴らしい大工さんや音楽家になるにしても、
素晴らしい農業や漁業を行うにしても、また素晴らしい医者や看護師になるにしても、
人が生きること、人が働くこと、そして人と人が助け合って社会を作っていくこと、人
と地球が助けあって、共に生きていくこと、生きて成長するためには、必ず、君の周り
には相手がいることを知る必要がある。その相手は、魚だったり、川の流れであったり、
土であったり、森であったり、木の実であったり、また、鳥であったり、人間であった
りする。
少年よ、君が生きるためには、共に生きる相手が必要である。人と地球と共に生きる
ことが必要である。即ち第 0 次的産業のための教育が必要である。その教材として第1
次産業がある。
人が「生きる」ということは、
「働く」ということであり、人と人との助け合いの社
会である。教育は、君の周りにある。人類と地球の共生の創造の基本は、第0次的産業
と第1次産業から創り出される。
27-4
27‐4.少年よ、ベンチャーとなれ!!ふるさと村の小中学校で、
「人類と地
球の共生とは何か?」という教育を!!そして、実務体験として病院、
老人ホーム、農林漁の実習やボランティアで体験を
「ワシは15歳で元服じゃった。子供の頃から少年たちは家の畑や山
や魚釣りの手伝いをして、家計の手助けをしよったもんじゃ。」
「はい、坂本先生。今は家の農業、林業、漁業、そして商売の手助け
をする者は少のうございます。今は、ほとんどの少年が高校、大学
まで進学をするという時代となりました。」
「ほぉー。そんなに机の上の勉強ばかりでは、山の生き物、畑の生き
物、海の生き物など、自然の生き方がわからんなるがやろう。そし
て、何のために勉強をするがやろうにゃあ。」
「はい、坂本先生。今の子どもたちの教育は学校の成績を少しでも高
くし、高いレベルの高校や大学に進学することでございます。」
「なに?それは、点数を上げる・・・ことが勉強ということかや?。」
「はい、坂本先生・・・。」
「本来、学問というのは人と人がふるさと村で人を愛し、稲や木や魚
を愛し、共に豊かに生きようとすることが学問・・・・・・。」
「小学校の高学年や中学生に、病院や老人ホーム、また、農業、林業、漁業等に1年
間に1ヶ月程の体験学習を行って、
『人の、そして、ふるさと村の、そして地球の、共
に生きていくために何をすべきか?』を語り合おう。
」
子供に「ごはんの米は、どこでとれますか?」と尋ねたら、
「ハイ!!ローソンとファミ
リーマートです」と答える子供がいるかもしれない。これは、子供だけではない。若い
大人にも、
「米」がどうしてとれるのかを知らない人がいるらしい。
親子の日帰り家族旅行で、少しでも農業の体験をした子は、立派で良い方である。子
供にとって、自分が毎日食べている「野菜」や「魚」や「牛」をテレビで見たことはあ
るが、ほとんど、その実物を見たり、触れたりしたことのない子供は多い。その子供は
「食べる」ことの重要さを知らない。その魚を獲る苦労、野菜を作る苦労、樹木を育て
る苦労を知らない。ただ知っているのは、数学と国語と理科と英語と社会という知識だ
けである(もっとも、最近の高校、大学生には、小学校の分数や読み書きができない生
徒がいるため、そのための基礎補講を行なっていると聞くが…)
。一体、
「教育は何か?」
である。教育費の無料化や補助が教育強化ではない。
これでは、子供達には野菜の生命、魚の生命、木の生命と子供自身の自分の生命が判
らない。家庭でも学校から自宅に帰って、親から与えられたパソコンやテレビゲームを
楽しむだけでは、家庭の教育にはならない。最近の暴力事件や殺人事件に直結する子供
や若者が多いのは、このような教育に原因があるのではないだろうか。江戸、明治、大
正、昭和の時代も、こんなに毎日、毎日、引き続き暴力殺人事件が発生していたのだろ
うか?
27-5
「少年よ!!教育とは何か?」
「君が、何を教えてほしいのか? 君は何を知りたいのか? そ
して、少年よ、君は何をしたいのか?」
100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢、そして、ふるさと村を創るスポーツマン、
文化人、研究者、そして、それへの「ベンチャー」な少年を育てるためにも、小中学で、
必須課目として、人類と地球を共生する課題を、単に理科や社会などの教科書の知識だ
けではなく、小学校の高学年や中学生に、病院や老人ホーム、また、農業、林業、漁業
等に1年間に1ヶ月程の体験学習を行って、
「人の、そして、ふるさと村の、そして地
球の、共に生きていくために何をすべきか?」語り合おう!!そして、少年よ!!ベンチャー
となって立ち向かおう。
図 27‐4‐1 農業体験実習
27-6
27‐5.少年よ、ベンチャーとなれ!!小中学校の時から太陽光・ICT・
バイオ・保育・介護等、
「人類と地球の共生の基礎技術」の独自の
ベンチャーな教育を
「土佐で読み、書き、そろばんの学習塾から剣術道場に行きよった
がぜよ。」
「はい、坂本先生。
」
「しかし、ワシはそれから江戸に行って黒船に出会った。そこで船の
操練についての学問を勝麟太郎先生から習ろうたがよ。
」
「はい、坂本先生。
」
「そして、さらに、佐久間象山先生の西洋砲術の門下生となった。そ
して、河田小龍先生から広い海に向けた開国という政治の勉強が始
まったがじゃ。
」
「はい、坂本先生。その当時の素晴らしいハイテクノロジーの勉強を
されました。
」
「うん、そうじゃ。当時としては先端科学技術を教わった。これが海
援隊に・・・。
」
「小中学校で『人と地球の共生の基礎技術』の独自のベンチャーな教育をして、ふる
さと村科学技術イノベーションバレーを創ろう。
」
ニッポンのほとんどの高校は東大、京大、早大、慶大など、一流の大学へ進学するこ
とを目的としている。教科書も、教育内容も、試験もこの一流の大学を受験するため、
学校は、偏差値をつける。偏差値の低い、成績の悪い高校生は、この一流の大学や二流
の大学ではなく、四流や五流の大学に向う学生も多い。ところが、この四流、五流の大
学も、一流の大学とあまり変わりはない経済学部、工学部、法学部、外国語の英文学部
などの学部が多い。
一流大学生は一流企業に就職できるが、四流、五流の大学の卒業生は少し不況になる
と就職口がない。派遣会社に就職できる学生は、まだ良い方である。理由は、一流大学
を卒業した学生とほぼ同じような内容の教育を受け、そこでは四流、五流の知識しか持
っていないと評価されているからである。四流は四流の、五流は五流の個性ある独自の
知識や技術を付けなければ一流や二流に負ける。
この四流、五流の中には、高校卒業レベルの国語や数学の力を持っていない人もいる
かもしれない。この四流、五流の高卒生が大学へ全部進学できても、不況時には就職が
できない。これでは4年間という時間がもったいないだけでなく、その学生の人生は、
生涯、一流の大学に入り、そして、一流の企業に入った一流の学生に追いつけないだけ
27-7
でなく、おそらく、一生きちっとした仕事につけず、何もできない人生を続ける可能性
が高い。
東大、京大へ進学して、官僚や巨大企業に入って活躍するのもよい。しかしそれがで
きない高校生には、早い内から、本人のできる事、本人の個性を活かす事のできる仕事
に進む勉強をさせるべきである。
偏差値において、四流や五流の高校生には、無理に高度の数学や英語は必要とは考え
ない。むしろ、進学のための偏差値とは関係のない、人類と地球の共生の知識すなわち
太陽光発電の知識や ICT・バイオの知識、医療介護の知識、農林漁業の知識等、高校の
生物、物理、化学とは違った実務的な人と地球と基礎知識の教育を行うべきである。そ
の実務的な教育の先生は、その企業の高齢者の派遣やその企業の退職、OB の応援も良
い。時代の流れは、5年ごとには大きく変化している。5年たつと、それらのもっと最
新の技術の教育を行うべきである。
高校・大学の教育も、東大、京大などに進学するための高い偏差値を求めるだけでな
く、四流、五流の高校・大学生に早く将来の就職につながる人と地球の共生の創出のた
めの知識の基礎に、時間を多く取って教育する必要がある。
子供には、ゴルフに強い高校生、水泳に強い高校生、野球に強い高校生、そして魚釣
りに強い高校生とそれぞれに得意な科目がある。中学生、高校生を皆同一の偏差値でそ
の子供の能力を決められ、それだけで人生を決められたとすれば、若い少年の人生にと
って大変なダメージとなり、重大な問題である。いろいろな分野がある「人類と地球の
共生の創出」に少年にもっと参加しやすくしよう。ふるさと村に未来を拓く科学技術イ
ノベーションバレーを創ろう。そして
①環境ハイテクノロジー
②介護、シルバー、保育、福祉ハイテクノロジー
③医療ハイテクノロジー
④農林水産ハイテクノロジー
⑤ロボットハイテクノロジー
⑥ICT ハイテクノロジー
⑦教育、文化ハイテクノロジー
⑧金融ハイテクノロジー
⑨観光ハイテクノロジー
⑩自動車、船舶、航空、ロケットハイテクノロジー
でイノベーションしよう。
27-8
27‐6.少年よ、ベンチャーとなれ!!小学校・中学校の先生もベンチャー
となろう。そして、少年にふるさと村の未来のイノベーションや
ふるさと村の夢を語ろう
「最近は、
夢を語らない先生が多くなったと聞く。
ワシがいた頃は皆、
夢に向かって行動しよったがやけんどなあ。」
「はい、坂本先生。坂本先生の頃は、たしかにそうでした。しかし、
今は、夢を語らない先生が多くなったように思います。
」
「先生が、夢を語らないで何を少年に語りゆうがやろ。夢を少年に語
らんといかんろう。
」
「はい、坂本先生。先生が夢を語ることで、少年が夢をもつようにな
ります。」
「そうじゃ。先生がもっと熱心に少年に向けて、ふるさと村の夢やイ
ノベーションを語らねばならん。人の命の仕組みと大切さやふるさ
と村に再生エネルギーがあることをボランティア活動や学校の教育
を通じて知るはずじゃ。それが、人と地球の共生のための勉強とな
る。将来のふるさと村は、少年と先生にかかっているのじゃ。一緒
に、将来のふるさと村に向けて、立ち上がろうではないか。
」
「小学校の先生が、算数を教える時、算数の世界の中で、少年に算数の未来の夢と算
数のイノベーションを語ろう。小学校の先生が、体育を教える時、体育の世界の中で、
少年に未来の体操の夢と体操のイノベーションを語ろう。小学校の先生が、理科を教え
る時、その理科の世界の中で、少年に理科の未来の夢と理科のイノベーションを教えよ
う。小学校の先生が音楽を教える時、音楽の世界の中で、少年に音楽の夢と音楽のイノ
ベーションを教えて欲しい。
」
ふるさと村の夢とふるさと村のイノベーションを語らない先生は偽者の先生である。
小学校の先生や中学校の先生が、少年にふるさと村の未来の夢を語らないとして、何を
語るのか。
小学校の先生も社会を教える時、国語を教える時、算数を教える時は、いつもいつも
ベンチャーとなろう。そして、イノベーターになろう。少年に熱く熱くふるさと村の夢、
ふるさと村のイノベーションを語ろう。そして、人と地球の共生のために、少年少女が
何をしなければならないのかを話し合おう。その話し合いに、お父さんもお母さんもお
じいちゃんもおばあちゃんも時々加わってもらおう。そして、時にはふるさと村のボラ
ンティア活動も一緒に参加し合おう。
ふるさと村は、少年にかかっている。まさに、ふるさと村の幼稚園や小学校、中学校
27-9
の先生のふるさと村の未来の夢、ふるさと村の未来へのベンチャーにかかっている。先
生も一緒に立ち上がろう。未来に向かって!!
ふるさと村の各小学校や中学校には、山の命、川の命、野原の命、土の命、波の命、
そして、そこにあるすばらしい資源などの教材や模型がある。そして、子供と一緒に人
と地球の共生のための実習やボランティアをしよう。
また、太陽光、太陽熱、風、波、バイオなどの再生エネルギーの教材と小学校や中学
校の具体的な教材と実習、ボランティア活動を子供と一緒にしよう。近くのおじいちゃ
んやおばあちゃんがいる社会福祉センターを訪ね、人の命の仕組みと大切さを生徒と共
に学び、時には簡単なボランティア活動をしよう。
人と地球の共生の勉強から、次の読み、書き、そろばんの学問が始まる。それをなく
して、人と地球の共生のための学問がなくては、教育がない。少年よ、そして、先生も
人と地球の共生に向かって、ふるさと村のベンチャーとなろう。そして、ふるさと村の
夢を語ろう。
27-10
27‐7.少年よ、ベンチャーとなれ!!”すべての子どもが天才である”3
歳から小学校・中学校・高校、そして、大学へ。全ての少年は、
誰でも、世界一流のベンチャーになれる。そして、ふるさと村の
科学イノベーションで次世代の第0次的産業を創出しよう。
「新しい教育が注目を浴びているそうじゃのう。
」
「はい、坂本先生。ヨコミネ式学育というものがございます。
」
「それは、どのような教育なのじゃ。
」
「はい、坂本先生。この教育は、
『すべての子どもが天才である』と
いう考え方で、
『できることは面白い。面白いから練習する、練習す
ると上手になる。上手になると楽しい』の繰り返しによって子ども
たちを育てていくのです。」
「ほぉー。その教育で成果は出ているのか。」
「はい、坂本先生。3歳でひらがな・カタカナの拾い読み。6歳まで
には1500冊以上の本を読破などの成果があります。
」
「ほぉー。すごいではないか。この教育によって、ふるさと村の山や
川や畑を愛していく子供達が増え、一人一人の自主管理が芽生えて
いくのう。人と地球の共生の世界に向かって、ヨコミネ式学育で課
題を克服していこうではないか。
」
「人と地球の共生の世界、これが22世紀、100年後のニッポンの、いや、人類の
課題である。そのためには、
『人と地球が互いに生きていくんだ、生きているんだ』と
いう自治自主の精神が必要である。
『人間一人一人が生きていくんだ、生きているんだ』
という意識が必要になる。
」そのためには、私たち日本人は、日本政府にお願いするこ
ととは別に、政府に頼らず自分達ですることもある。州や県にお願いすることもあるが、
自分で果たさなければいけない義務もある。そしてふるさと村の人と共に、ふるさと村
の山や川や畑を愛していく必要がある。このためには、一人一人の自治自主管理が必要
である。
「ヨコミネ式」の教育を行っている通山保育園やたちばな保育園には、どうや
ら、そのような子供たちを育てているような気がする。子どもはすべて天才である。そ
れと同時に教育の中に幼い子どもが生きていくために何をすべきか取り入れる必要が
ある。
ヨコミネ式学育の大前提は、
「すべての子どもが天才である。
」という考え方である。
子どもは、できることはおもしろい。おもしろいから練習する、練習すると上手にな
る。上手になると楽しい。そして次の段階へ行きたくなる。
この繰り返しで一流に育つ。すべては1から始まり、毎日の積み上げで、10年で誰
27-11
でも一流になれる。これが、ヨコミネ式の考え方と聞く。
実際にヨコミネ式学育で成果が出ている。その一例として、
「読み」をあげてみる。
・3歳の夏にはひらがな・カタカナの拾い読み!
・6歳までには1500冊以上の本を読破!!
ヨコミネ式では、3歳の夏には全員が、ひらがな・カタカナの拾い読みが出来るよう
になっている。これらは、無理に教えこむようなことはしていない。拾い読みができる
ようになると、子どもたちは嬉しくて、自ら好きな本を読んでいくのである。ヨコミネ
式学育を取り入れると、6歳の冬には1500冊∼2000冊もの本を読破している。
ここまで来ると誰だって本が好きになっている。これは、決して難しいことではなく、
どんな子どもにだって出来ることなのである。
このヨコミネ式学育の最大の目的は、
『人間の才能である「心の力・学ぶ力・体の力」
を付けさせ、子供たちが生まれ持っている「可能性」を、最大限に引き出すための教育』
ということである。現代社会では、子供の可能性に上限を付け、
「5歳児にバク転は無
理!」など決めつけている。そんな教育の中で育つ子どもたちは、本来の可能性を引き
出せないのは当たり前なのである。子供たちが持つ可能性は本当に素晴らしいものであ
る。それを引き出し、将来、世のため人のために役立てる・・・そんな立派な人間に育っ
てもらいたい!それがヨコミネ式学育の最大の目標であり、私たちの願いでもある。
ヨコミネ式学育により、以下のようなことができるようになる。
・3歳で集中して1時間の自学自習が出来る
・4歳で絶対音感を身につけ、複数の楽器を演奏できる
・5歳で小学2年生レベルの読み書き計算ができる
・6歳で逆立ち歩きや側転、前転、跳び箱10段なとができる
ヨコミネ式学育で育った子供たちは、「全員が」この程度のことは出来るようになっ
ている。ヨコミネ式学育は、本来持っている子どもの力を引き出すだけなので、努力も
いらないし、頑張る必要もない。その子に合った環境の中で毎日の積み上げをすること
によって、誰でも、どんな子だって“一流”になれる。
27-12
27‐8.少年よ、ベンチャーとなれ! 少年よ、君たち一人一人に素質が
ある。君たち一人一人は天才である。それを生かすには努力が必
要だ
「ニッポンには若くして活躍している者がおるが、一体いつ頃から
そのことを始めておるのかのう。
」
「はい、坂本先生。多くの人は幼稚園や保育園の頃からやっている
そうです。
」
「うむ。やはり、小さなころからの積み重ねが今の地位にあるわけ
じゃな。」
「はい、坂本先生。今の若い人も昔の人も底知れぬ才能を持った人
がいます。
」
「素質があっても、それを磨かないことにはトップにはなれない。
人間一人一人は何かしら良いものを持っている。目標を持って、良
いものを磨きながらその目標に突き進まなければならん。
」
「そうですね。若い人たちが努力をして、たとえトップになれなく
ても自分を高めていってほしいですね。
」
「少年よ、ベンチャーとなれ!!この世の中には天才であっても努力しないでトップに
なった人はいない。素質があっても努力しなければトップにはなれない。
」表 27-8-1
に挙げている人たちは子どものころから、夢中になって努力をしてきたからトップを極
めることができたのである。努力しないで勝てるものはない。一人一人の素質を磨かな
ければ才能を生かすことはできない。
少年よ、君たち一人一人には才能や能力がある。君たち一人一人には天才である。し
かし、それを生かすためには努力しなければいけない。少年よ、ベンチャーとなれ!!
努力をしてトップになろう。
27-13
表 27-8-1 各分野の天才と呼ばれる人が始めた時期
名前
得意分野
始めた時期
イチロー(鈴木一朗)
野球
3歳
松坂 大輔
野球
8歳(5歳∼8歳は剣道)
北島 康介
水泳
5歳
浅田 真央
フィギュアスケート
5歳
辻井 伸行
ピアノ
2歳
矢野 祥
医学
4歳で小学校に飛び級入学
井山 裕太
囲碁
5歳
石川 遼
ゴルフ
6歳
宮里 藍
ゴルフ
4歳
横峯 さくら
ゴルフ
8歳
里見 香奈
将棋
6歳
大我
ジャズドラム
5歳
27-14
第 28 章 少年よ、ベンチャーとなれ!!「大学のキャン
パスを東京首都圏から、ふるさと村に移転」
しよう
電気自動車に乗った龍馬と松重は、佐久間象山寓居跡に通りかかった。佐久間象山は
信濃国松代藩出身で兵学蘭学を学び、江戸で勝海舟や吉田松陰らに砲学を教えた。開国
論を唱え、1854年(嘉永7年)
、吉田松陰の米艦乗り込み事件に連座し、その後8
年間松代で蟄居した。1864年(元治元年)
、幕命で上京し、開国論を説いた。同年
5月、最後の住居であるこの地に移ったが、同年7月11日、騎馬で山階宮家からの帰
途に暗殺された。
京都
大学
京都御所
京都大学
吉田神社
二条城
・
鴨川
佐久間象山寓居址
28-1
28‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!大学のキャンパスを東京首都圏から、
ふるさと村に移転しよう
「昔は、大学にも個性があった。」
「はい、坂本先生。しかし今では東京首都圏で約200校の大学があ
り、全国の大学生の約45%の約100万人がおります。しかも、
どの大学も同じようなカリキュラムや学部があります。このため、
ふるさと村の大学では定員不足になっております。」
「東京に同じような大学を作ってどうするがぜよ。ふるさと村の大学
に若者が来んなるろうがえ。ふるさと村の大学にも、東京の大学に
は負けないという魅力を発信する必要があるがやき。ふるさと村に
は、資源があり、夢があることを若者に教えて、ふるさと村の『す
ばらしさ』を伝える。そして、東京にある大学をふるさと村に移し
たらえいがじゃ。」
「はい、坂本先生。地方の大学も、もっとその地方の魅力を全国に伝
えるべきだと思います。」
「ニッポンの政府もふるさと村の大学創りをする大学経営者や先生
にもっと支援せんといかん。」
「大学のキャンパスを東京首都圏からふるさと村に移そう。そして、そこで、『ふる
さと村科学技術イノベーションバレー』の『キャンパス』を創り、次世代の『人と地球
の共生のための第0次的産業』を創出しよう。
」
東京首都圏には、約200校の大学がある。そして、その学生数は、日本の大学生の
45%の約100万人がいる。そして、この大学には、経済学部、商学部、法学部、工
学部、英文科など、同じような学部と、ほぼ同じようなカリキュラムをもっている。
その結果、ほぼ同じような知識を持たせる学生を育っている。
この同じような若者の東京大学などの最優生と、どうにもならない4流、5流の学生
とを育てて、この4流、5流の卒業生を、ニッポンの首都圏のどこに就職をさせるのか?
東京首都圏の大学の理事長、大学の経営者、大学の学長、大学の教授会には、この同じ
ような知識を持った学生を、全員きちんと就職させる責任がある。就職もさせられない
ような学生を卒業させる大学は、閉鎖した方が良い。それは、子供の就職という夢を破
壊するからである。
各大学の入学案内のカタログには、その大学に入学したら、次は、素晴らしい東京の
一流の企業に就職ができ、そして、一流の人生設計ができるかのごとく書かれている。
これは、もし就職できなければ、大学という名前を借りた詐欺である。
東京は、魔物である。一度、東京という世界に若者が入ると、もう、再び、簡単には、
ふるさと村には戻れない。東京には、確かに若者を引きつけるものがある。しかし、ふ
るさと村にも東京に負けない魅力があるのだということを教えるのが、教育者の役目で
ある。これからは、大学の理事長、大学の学長、大学の教授会は、いかにして、ニッポ
28-2
ンのふるさと村にすばらしい資源と夢があるのかを若者に指導していただきたい。
その教育指導の具体的な行動は、東京首都圏から大学のキャンパスをふるさと村に移
し、そこに、ふるさと村の経済学、ふるさと村の商学、ふるさと村の法学、ふるさと村
の理工学があるということを教えることである。教育指導者は、少年のために率先し、
ふるさと村のキャンパスでの「すばらしさ」を指導していただきたい。ふるさと村の農
業にも経済学が必要である。ふるさと村の漁業にも商学が必要である。ふるさと村の子
供たちにも教育学が必要である。ふるさと村の医療、介護にも医学や理工学が必要であ
る。
東京首都圏より、ふるさと村は、もっと大学経営者や教育指導者を求めている。国も
州(県)は、こういったふるさと村のキャンパス創りを行う新しい日本の大学に向けて
行動する大学経営者や教育を、物心と共に、国策として支援すべきである。
少年よ、ベンチャーとなれ!!大学のキャンパスを東京首都圏からふるさと村に移そう。
そして、そこで、
「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」の「キャンパス」を創
り、次世代の「人と地球の共生のための第0次的産業」を創出しよう。
28-3
28‐2.少年よ、ベンチャーとなれ!!村の廃校舎に大学のキャンパスを、
また民間企業の研究所を設置し、ふるさと村の科学技術イノべ
ーションバレーを創り、人と地球の共生のための第0次的産業を
創出しよう。
「若者が少なくなったら、寺子屋も少なくなるのう。
」
「はい、坂本先生。今は、毎年、150∼200校ぐらいの小学校、
中学校が廃校になっております。
」
「何!!寺子屋がニッポンで150∼200校も、毎年お化け屋敷に
なっているのか?それは、えらいことじゃ。」
「はい、坂本先生。ふるさと村に少子高齢化が進み、学校は村のサー
クル活動などに一部使われておりますが、ほとんどの他の教室は空
き室となっております。
」
「うむ・・・。ニッポンのふるさと村に海援隊が必要じゃのう。この廃
校に、少年を集めるのが新しいニッポン創りじゃ。新しい海援隊を
そこに作り、資源大国ニッポンを活かし、新しい産業を創らないか
ん。松重先生、少年よ、ベンチャーとなって、海援隊を創ろうやい
か。
」
「ふるさと村の廃校になった校舎に大学のキャンパスや企業の研究所を設置し、
『ふ
るさと村科学技術イノベーションバレー』を創り、第0次的産業を創出しよう。
」
経済の高度成長期であった1970年から1980年代、戦後の古い校舎から鉄筋の
美しい近代建築の校舎が建てられた。しかし、平成に入って、少子化が進み、特にふる
さと村の過疎地では廃校が目立った。平成4年度から平成13年度までの廃校数は、小
学校、中学校、高等学校等(高等学校及び特殊教育諸学校の合計)を合計すると、21
25校であった(図 28‐2‐1)
。その内訳は、小学校が全体の7割を占め、中学校が2
割で、高等学校等は1割弱の割合となっている(図 28‐2‐1)
。ふるさと村では周囲が
田んぼの中に大きな鉄筋コンクリートの校舎があり、それがふるさと村の教育のシンボ
ルであり、村の誇りでもあった。そんな校舎にふるさと村の宝の子どもの姿が見えない
無人の校舎、それがニッポンのふるさと村の今の姿である。
年度ごとにばらつきがあるものの、毎年150校∼220校程度が廃校となっている。
都道府県にみた過去10年間の廃校数は、100校以上が廃校になっているのは、北海
道が248校で最も多く、次いて東京が165校、新潟が143校、青森が110校の
4自治体となっている(図 28‐2‐3)
。また、廃校数が少ない県は、沖縄県の1校と香
川県の8校である。
廃校が発生する理由は、①少子高齢化による児童・生徒数の減少、②第 1 次産業を中
心とする地場産業の衰退により、急速な人口減少を招き、それに伴い児童・生徒数が減
少した、③地域が商業・業務を中心に発展することにより住宅が郊外に移転をし、地域
内の定住人口の減少とともに児童・生徒数が減少したため等である(図 28‐2‐4)
。
28-4
ふるさと村に次代の子どもがいなくなって、誰が資源大国ニッポンの山や川や田んぼ
や海を育てるのであろうか。廃校を次世代を創る少年や若者の集いの場所に戻してはど
うだろうか。
「人と地球の共生のための科学技術イノベーション」のキャンパスとして
活用できるように大学や国、自治体と働きかけてはどうか。そして、若い知を求める大
学生によって、ふるさと村の伝統、文化と技能に、大学の新しいハイテクを結合させて
はどうだろうか。
過去10年間の廃校の発生状況
1
1499
0%
10%
20%
30%
476
40%
50%
60%
70%
小学校
中学校
高等学校等
150
80%
90%
100%
グラフ中の数字
は、 廃校数で
す。
図 28‐2‐1 過去 10 年間の廃校の発生状況
出典:文部科学省 廃校施設の実態及び有効活用等調査研究報告書
過去10年間の廃校数の推移
廃校数
350
300
26
15
250
200
11
150
42
8
19
47
43
12
11
17
13
47
50
46
18
43
43
100
199
163
160
136
122
100
50
平成5年
平成6年
123
122
平成7年
平成8年
小学校
中学校
221
153
0
平成4年
64
51
平成9年
平成10年
高等学校等
平成11年
平成12年
平成13年 年度
グラフ中の数字は、廃校数です。
図 28‐2‐2 過去 10 年間の廃校数の推移
出典:文部科学省 廃校施設の実態及び有効活用等調査研究報告書
28-5
過去10年間の都道府県別廃校数
廃校数
300
小学校
250
200
中学校
高等学校等
10
62
13
150
34
7
26
1
100
28
1 76
8
50
1 18
1 10
22
4
7 1 3 1 0
18 4 1 8
7
1 7 20
81
57
55
4 7 4 6 45
43 50
34 39 39
1
4
20 4
35
25
8 3 2
9
11 8 12 7
1
2
1 2
13 4
34
23 28 25 2 2
22 29
1
0
沖縄
2
1
5
香川
佐賀
埼玉
宮崎
長野
鹿 児島
神 奈川
静岡
滋賀
福井
奈良
千葉
鳥取
山梨
茨城
徳島
大阪
三重
栃木
和 歌山
愛知
宮城
5 3 6 0 0
11
5 3 2
14 10 9
3
1
2
0
8 4 4 4
2 3 3 2 0
3 1 3
3 2 0 2
27
0 1 0
1 9 1 2 1 7 1 6 1 3 1 7 1 3 1 7 1 8 1 4 5 3 1 2 122 3
14 19 16 20
10 1 0 4
9 10 2
6
高知
兵庫
山口
富山
群馬
愛媛
岡山
岐阜
石川
島根
福島
秋田
大分
京都
熊本
長崎
福岡
広島
岩手
山形
青森
新潟
東京
北 海道
0
6 3
4
17 12 8
都道府県名
図 28‐2‐3 過去10年間の都道府県別廃校数
出典:文部科学省 廃校施設の実態及び有効活用等調査研究報告書
廃校の理由別廃校数の割合
合計
1320
高等学校等
21
18
中学校
81
0
146
小学校
20%
127
14 24
16
42
1041
10%
342
95
258
0%
109
30%
95
49
40%
50%
60%
70%
122
過疎化
都市化
高齢化
別敷地への移転
再編
その他
43
67
80%
152
90%
68
100%
グラフ中の数は
廃校数です。
図 28‐2‐4 廃校の理由別廃校数の割合
出典:文部科学省 廃校施設の実態及び有効活用等調査研究報告書
28-6
廃校の活用校数
土地の活用
新設の建設物の整備
小学校
中学校
高等学校等
98 23
267
既存の建物を利用
200
400
95
279
924
0
94
305
890
600
800
1000
1200
1400
校
グラフ中の数は、廃校数によるものでね複数回答を含む
図 28‐2‐5 廃校の活用校数の推移
出典:文部科学省 廃校施設の実態及び有効活用等調査研究報告書
図 28‐2‐6 100年後のニッポンの夢、ふるさとの夢の構想図
28-7
28‐3.少年よ、ベンチャーとなれ!!行き場の無いポスドクをふるさと村
科学技術イノベーションに遭進させよう
「現在、ポスドクが大量に余っているらしいのう」
「はい、坂本先生。国の政策で大学院の定員数を増加したために、入
学者が増加し、ポスドクも増加しました。しかし、彼らが博士号を
取得した後の大学・研究機関への受け入れ先が減少して、ポスドク
が大量に余っている状態です。
」
「それならば、ポスドクが民間企業に就職したらえいやいか。
」
「しかし民間企業では、ポスドクが余りにも一つのことに集中しすぎ
ていて、社会への応用や技術への応用が利かないのではないかとい
う理由で採用を見送っているそうです。このため、ポスドクは行き
場を失っております。
」
「うむ。このポスドクの者たちをふるさと村の科学技術イノベーショ
ンに参加してもらい、新しい第0次的産業の創出をしてもらおうや
いか。
」
「ふるさと村にある『山や川、海などの資源』と『伝統ある文化と産業』に、ポスド
クの若者たちにも参加してもらい、新しい第0次的産業の創出に参加してもらおう。
」
1991年から始まった文部省(現・文部科学省)の「大学院重点化計画」により、
大 学 院 の定 員 数が 増 加 し、 博 士課 程 の入 学 者が 2 . 5倍 に 増 加し 、 ポス ド ク
(postdoctoral fellow;博士研究員、博士号取得後に短期間の任期付きで研究を行う
研究者)も増加した。しかし、ポスドクの次なる進路の大学・研究機関の受け入れの定
員は逆に減少し、大量の余剰ポスドクが生まれた。その失業対策として2006年に文
部科学省は「ポスドク等1万人支援計画」を打ち出し、日本学術振興会や21世紀CO
E研究員などの研究員として短期間採用する受け皿化を図った。
しかし、平成21年3月の博士号取得者は1万6000人となり、博士号を取得した
若者は企業にも入れず、大学の研究室にも入れずに行き場を失っている。図 28‐3‐1
において、就職あるいは進学しなかった「上記以外」が平成21年度においても約3,
000人(20.6%)いる。
企業側は、ポスドクの若者の受け入れについて難色を示している。それは「余りにも
一つのことに集中しすぎていて、産業社会の応用あるいは企業技術への応用が利かない
のではないか」と、採用を見送っている場合が多い。このような若者を北海道から九州
までのふるさと村の民間企業と共に設立される「ふるさと村科学技術イノベーション」
に参加させる。そして、ふるさと村にある「山や川、海などの資源」と「伝統ある文化
と産業」に、ポスドクの若者たちにも参加してもらい、新しい第0次的産業の創出に参
加してもらおう。
28-8
(人)
20000
16000
進学者
就職者
臨床研修医
専修学校・外国の学校等入学者
一時的な仕事に就いた者
上記以外
死亡・不詳
12000
8000
4000
0
平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度
図 28‐3‐1 大学院博士課程修了者の進路状況
80%
70%
60%
就職率(全体)
50%
就職率(男子)
40%
就職率(女子)
30%
20%
10%
0%
平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度
図 28‐3‐2 大学院博士課程修了者の就職率
28-9
第 29 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!日本における
学校教育制度のあり方とアントレプレナー醸
成
電気自動車に乗った龍馬と松重は、桂小亓郎像の前を通りかかった。桂小亓郎は長州
藩出身の明治維新の政治家である。1833年(天保4年)生まれで、のち木戸孝允に
改める。吉田松陰の門下生で、西郷隆盛、大久保利通らとともに尊王攘夷、討幕運動に
指導的役割を果たした。桂小亓郎像は現在、京都ホテルオークラの敷地内に建てられて
いる。
京都
大学
京
都
御
所
京都大学
吉田神社
二条城
・
桂小亓郎像
幕末関連史補完
計画
http://www.sise
(注)アントレプレナー(enterpreneur)とは、起業者、創業家を意味する。フランス語の
ki.net/guide/s_
entrepreneur(アントルプルヌール)を英語読みすると、アントレプレナーとなる。経済学者のシ
kyoto_04.html
ュンペーターが作った言葉である。
29-1
29‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!日本における学校教育制度のあり方
とアントレプレナーシップ醸成
本書は教育や医療といった日本の基盤の重要性を訴えている。そこで当章では教育に
ついてより深く述べる。その上で、これからの日本を担う学生に対し、どのような教育
を行えばベンチャー創出を行えるようになるかを考えたい。
かつて日本を動かした我々の祖先は、みな熱い思いをもって、行動を起こしてきた。
終戦直後に設立された、または再生された、現在の日本を代表する企業をみると、己の
ためではなく国のためにという想いを感じることができる。その想いは戦後の無からビ
ジネスを創造したベンチャー精神をもつ企業創業者に共通するものがある。いま一度、
そのような祖先の思いを受け継ぐためにも、その土台となる教育について考える必要が
ある。
どのような学問においても、その前提となる基礎学力の習得が必要である。基礎学力
を十分に高めてはじめて様々な応用教育の実施が可能になる。まずは基礎学力の完全な
習得、その上で、社会で生きていく上でのリテラシとなる金融経済教育の充実、そして
事業のコアとなる専門知識の習得の先に起業教育、起業家教育が存在する。この章を読
んでいただくことで、
「尐年よ、ベンチャーになれ。
」という本書の理念をより理解して
いただけることと思う。
29-2
29‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!基礎学力を高めるための工夫とは
「ここは学校ながやろうか?」
「はい、坂本先生。同志社大学という京都を代表する大学の 1 つで
す。同志社大学は新島襄により 1875 年に創立された同志社英学校
を前身とする。キリスト教プロテスタント系の大学ではあるが、キ
リスト教の伝道を主たる目的としないキリスト教主義大学であ
る。
」
「京都といえば昔から栄えた町、教育もさぞ水準が高いがやろう。
教育は国家の礎、教育を行う教師も高い能力が要求されゆうろう。
」
「そうですね。しかしその教員の能力を高い水準に維持しようとす
る様々な議論も、常に政治の行方に左右されるものでございます。
アメリカの一部の州では恒常的に問題が見られる学区に対して『教
育破産』を宣告し、改善が見られなければ、行政が介入することが
あるそうです。
」
日本の義務教育における最近の話題として、
「全国学力・学習状況調査」
(全国学力テ
スト)の結果について、教育行政をつかさどる文部科学省はその内容を外部に開示する
ことを自粛するよう求めている。しかし近年は開示を行う市町村も出てきている。
また教員免許更新制度についても、日本では導入されるや否や、政権の交代に伴いそ
の必要性について再度議論される形になった。教員免許更新についてはもちろん賛否の
それぞれから考え方が存在し、他国を見た場合も、更新制度を導入している国もあれば、
導入していない国もある。
そこでまずは、このような教育に対する行政の介入について確認する。アメリカの一
部の州では「教育破産(academic bankruptcy)」という考え方が存在する。恒常的に問
題があるとみられた学区は「教育破産」を宣言される。その上で州が当該学区に対し改
善計画の策定と実施を指示し、一定の期間が経っても成果が見られない場合、そして第
3 者機関による新たな改善計画でも成果が見られない場合は、
州が直接的な関与を行う。
具体的な関与としては、教育改善委員会の設置の他、学区の教育委員会の解散や、教育
長ならびに学区行政職員の免職、学区区割りの再編など、度合いの高い介入を行う。i
実際に教職員の入れ替えや閉校等の措置が取られているこのアメリカの例では、モニ
タリングを行ったうえで、結果が思わしくない学区に介入するという点が特徴である。
州統一の学力テストの成績も重要な判断材料になっている。また教員免許の更新制度も
導入する州が増えている。
このように教育破産であるかどうかのひとつの基準として、
「全国学力・学習状況調
査」が重要なのは言うまでもないが、昨今の「見える」化や判断基準の透明性が求めら
れている状況から、これらの開示は自然な流れなのかもしれない。
29-3
29‐3.尐年よ、ベンチャーとなれ!!高等教育における初年次教育の重
要性とは
「同志社といえば同志社高等商学校が昔は人気だったというが、今
も商業教育は盛んながやろうか。
」
「はい、坂本先生。実は現在では大学に入学するまでの学校教育で
は、あまり経済や経営、金融の教育が行われていない状況でござい
ます。
」
「何?商売の知識は社会で生きていくうえで、必要なものの一つや
いか。なぜやらんがやろう。
」
「それには様々な理由があると思われますが、ひとつは日本の大学
受験制度が科目教育を主体にしているためと思われます。
」
「では大学で教えたらえいやいか。
」
「はい、しかし経済や経営学を学ぶ学部では教えられているものの、
全ての大学生が学ぶものとまでは至っておりません。
」
2008年現在、大学ならびに短期大学への進学者の合計は52.8%と、半数を超
え、今なお増加傾向を示している。つまり実質的に社会に出る前の教育機関が大学であ
るといえる。
私は金融経済教育を社会で生きていく上で必要なリテラシだと考えている。社会で生
きていく力を教養とかリテラシと呼んでいるが、現代社会においては経済も複雑化し、
現金だけでなく、カード、電子マネーなど決済手段は多様化している。またモノの売買
もネット上で行うことができ、従来の物理的空間の移動を伴う買い物は、パソコンの前
で行えるようになった。このような情報技術の進歩は、従来の製造→卸→消費者という
構造から、卸という仲介業者を抜いた売買、または小売店という存在を無視した消費者
間での取引を可能にしている。これらの複雑化した経済では様々なトラブルが増えてき
ており、トラブルの増加に伴い、事後的な対応で済ますのではなく、消費者が自立的に
解決する力を身につけなければいけない時代になった。よって教育も自ずと変化する必
要があり、そのような教育として、従来は経済学部、経営学部の教育内容であった金融
経済教育の一部の基礎知識は、大学において全学共通科目として取り扱う必要がある。
29-4
29‐4.尐年よ、ベンチャーとなれ!!アントレプレナーシップの醸成に
ついて
「では日本ではどうやって商売をはじめるがぜよ。商売をはじめる
仕方や経営の方法がわからんかったら、経済は活性化せんと思うが
やけんど。
」
「はい、そこが問題でして、我々、京都大学ベンチャー・ビジネス・
ラボラトリーでも、大学院生に対し起業に関する様々な教育活動に
取り組んでおります。
」
「それは大事なことじゃ。しかし日本全体としてそのような教育活
動をせんといかんろう。
」
「そのとおりですね、坂本先生。
」
「専門学部で経済や経営学を研究するだけでなく、全ての学生が起
業教育を受けられるよう、金融経済教育の意義や重要性、学校教育
への導入などを広く呼びかける必要がある。一刻も早く、実現に移
すよう、がんばって欲しいものじゃ。
」
EEA(Early-Stage Entrepreneurial Activity)という、起業活動の活発さを示す指
数がある。これは、18~64歳人口に対し、起業の準備を始めている人、創業後42
ヶ月未満の企業を経営している人の合計がどの程度かを示す割合である。Global
Entrepreneurship Monitor の2007年の資料によると、このEEAではアイスラン
ドが12.5%と一位であり、ついで香港10.0%、アメリカ9.6%と続く。ii 日本
は残念ながら4.3%に留まっている。
私は日本の起業教育、起業家教育の必要を強く感じているものの、その実現には段階
と導入の工夫が必要だと思っている。近年は多くの大学で起業に関する授業が増えてい
るが、その様態は様々である。知識を教える「ベンチャービジネス論」
「資金マネジメ
ント論」などの科目を設置している大学もあれば、当京都大学ベンチャー・ビジネス・
ラボラトリーが大学院工学研究科、経営管理大学院の学生向けに開講している「新産業
創成論」のように、現場で活躍する起業家の生の体験談と理念を学ぶ講座もある。
これらの授業は徐々に成果が出ている。例えば大学発ベンチャー企業数の推移(図
29‐4‐1)もそのひとつのあらわれかもしれない。
29-5
2000
17551809
1627
1430
1207
1500
1000
企業数
960
2008
2007
2006
2005
2004
2003
566
2002
420
2001
2000
1998
1996
1997
130 165
0
215 294
1999
500
747
(数値出所)
近畿経済産業局ホームページ http://www.kansai.meti.go.jp/2giki/network/
倒産等の企業は除外
図 29‐4‐1 日本における大学発ベンチャー企業数の推移
このようなベンチャー経営の知識を教える授業や、起業家による授業であるが、どち
らが良い悪いということはない。私はむしろこれだけではまだまだ足りないと思ってい
る。その考えの根拠であるが、まずこの章の最初に述べたとおり、基礎学力の完全な習
得が前提である。さらに起業教育を受ける前提として、例えば工学でなどの各専門科目、
そして金融経済教育などのリテラシ科目など様々な学問の習得が必要である。その上で
起業知識や起業家の意識を学ぶ授業以外に、経験教育も必要だと考えている。
後期中等教育までの基礎学力の徹底が必要なことは言を俟たないであろう。その上で、
どのような会社を設立するにせよ、それぞれの会社には事業の目的が必要である。簡卖
に言えば「何を事業にするか」である。私がある大学の授業で学生に対し将来の進路に
ついて問いかけたとき、会社を作りたいという学生が尐なからず存在した。そこで具体
的にどのような会社であるのかを聞いたとき、会社が存在し、従業員が存在するものの、
肝心の事業が何かを明確に述べることのできない学生が意外にも多かったのである。つ
まり起業には興味をもっていて(この意識を持っているだけでも日本の大学生としては
とても素晴らしいことではあるが)
、しかし事業のネタを持っていないのは尐し残念だ
った。
このように、まずは起業に関する教育の前提として、事業の内容となるコアとなる技
術、サービスなどのビジネスモデルをしっかりと考えることのできる前提知識の習得が
不可欠なのである。
また、日本の起業教育、起業家教育の問題点として、リスクに向かう力、チャレンジ
する力の不足に注目しがちである。確かにその不足は事実であるが、一方で起業をした
いという学生たちが、しっかりとビジネスモデルを考えることのできる教育環境も必要
である。
これらをまとめると、基礎学力に加えて、金融経済知識、専門知識が整って、はじめ
て起業に関する教育のステージに進めるということである。図 29‐3‐2 のようなイメ
29-6
ージを持っていただくとわかりやすいと思う。その上で起業に関する知識、経験、意識
を学べば、学生起業、大学発ベンチャーの成功例がより多く生まれるであろう。
授業で学ぶ起業
リスクや相場観
起業経験者から学
に関する知識
などの経験
ぶ商魂、起業意識
高等教育課程
専門と並行可
各分野
各分野
各分野
各分野
高等教育課程
専門知識
専門知識
専門知識
専門知識
各専門部署
金融経済知識(全ての学生が学ぶべきリテラシ)
高等教育課程
全学共通科目
初等、中等
基礎学力(徹底的に学ぶべき知識)
教育課程
図 29‐4‐2 起業教育、起業家教育に必要な教育体系
29-7
29‐5.尐年よ、ベンチャーとなれ!!なぜ経験教育が必要なのか
「しかし座学で学ぶだけでは、実際には使えないこともあるものじ
ゃ。例えば剣の道にしても座学だけでは習得できぬ。鉄砲もしかり、
実際に打つ練習も大事な事じゃ。
」
「はい、坂本先生。確かに理工学の実験においても、理論どおりの
数値にはなかなかたどり着かないものです。
」
「じゃろう。何事も実践が大事じゃきのう。
」
就業希望産業調査
第1位から第3位まで書いてい
る
第2位まで書いている
第1位のみ書いている
全く書いていない
図 29‐5‐1 ある大学における文系学生 270 名に対する就業希望調査
図 29‐5‐1、図 29‐5‐2 は、私が過去にある大学において 2 年次生対象のキャリア
教育の授業を行った際にとったアンケートである。受講者に対し、日本標準産業分類の
大分類のそれぞれについて説明したのちに、卒業後、どの産業に就業したいかを第 3 希
望まで記入させた。するとおよそ半数の学生が、第 3 希望までの業種を記入していなか
った。
29-8
就業希望産業(第1位)
13
T.分類不能の産業
11
S.公務(他に分類されるものを除く)
15
R.サービス業(他に分類されないもの)
Q.複合サービス業 1
8
P.医療、福祉
24
O.教育、学習支援業
19
20
21
N.生活関連サービス業、娯楽業
M.宿泊業、飲食サービス業
L、学術研究、専門技術サービス業
6
K.不動産業、物品賃貸業
J.金融業・保険業
3
件数
16
I.卸売業、小売業
H.運輸業、郵便業 1
67
G.情報通信業
F.電気ガス、熱供給、水道業 1
11
E.製造業
18
D.建設業
C.鉱業、採石業、砂利採取業 1
B.漁業 1
A.農業・林業
0
4
10
20
30
40
50
60
70
図 29‐5‐2 ある大学における文系学生261名の第一志望の就業希望産業
さらに就業の第一希望すら書かなかった学生を除いた261名の第一志望の就業希
望先産業を見てみると、極端な隔たりが見られる。情報通信業を選択した何名かの学生
にその理由を尋ねると、漠然とイメージがいい、今は高度情報時代だから、というもの
であった。ITバブルが崩壊したとはいえ、マスコミの影響を受けて、いわゆる流行の
産業として捉えているようである。
ここで私が問題とするのは、学生たちが自分の将来の就業の姿について、明確な姿を
描けていないという点である。実際に大学を卒業し就職したものの、3年以内に辞める
学生が多いというのも、学生の就業への意識を踏まえると当然といえる。
まだ一般には多く浸透してはいないものの、大学生が企業を経験する場としてインタ
ーンシップという手段がある。これによりある程度、社会を知ることができる。もちろ
ん学生の本分は学問であるから、知識の習得が第一であるが、学生にとってこのような
社会との接点は貴重なものである。
また社会における経験は、知識を確認し定着させる意味をもつ。極論になるが、一つ
の例を挙げると、経済学では基礎事項として需要と供給を学ぶ。尐しでも経済学に触れ
たなら、図 29‐5‐3 のようなグラフを見たことがあるだろう。
29-9
価格
供給曲線
p
E
需要曲線
q
数量
図 29‐5‐3 需要曲線と供給曲線
正直なところ、実際にアルバイトをしたことやモノを売ったことのない学生が、この
グラフを頭の中で理解するだけは、定着しているのかどうか不安である。縦軸の価格が
下がれば欲しい人(数)が増え、横軸の需要の数量が増える。一方で価格が上がれば売
りたい人(数)が増え、横軸の供給の数量が増える。つまりその接点であるE点(市場
均衡点)で、需要と供給のお互いが満足する。まだこのような内容であれば、学生は頭
の中では理解する。
しかしこの需要曲線自体にも様々な形があることを説明しだすと、どうしても例が必
要になる。ここで社会人(社会を経験したもの)と学生(社会の未経験者)の理解に差
が生まれることが多い。
価格
C
A
B
需要曲線
数量
図 29‐5‐4 需要の価格弾力性
まず学生に「AとB、どちらかが外食の需要で、もう一方がコメの需要です。どちら
がどっちかわかる人?」と問いかけると、すぐには答えがかえってこない。社会人の方
ならすぐにわかるであろう。もちろんAが外食で、Bがコメの需要である。価格が上が
れば消費を控える、つまり贅沢品や嗜好品は価格により売れ行きが大きく左右されるが
29-10
(価格弾力性が大)
、生活必需品は価格が尐々変わろうがどうしても必要なものなので
急には買い控えることができないこと(価格弾力性が小)を、経験から知っているから
である。
さらに学生にいじわるな質問「需要曲線がCであらわせるものは何ですか」を問いか
けると、もちろん「1点ものの美術品」とさっと答えてくれる学生はほとんどいない。
私がこの一例で言いたいことは、社会人でなければ経済学を学んではいけないという
ことではない。社会をイメージできない段階で、知識教育だけを行っても効果が疑問で
あるということである。確かに知識がない状態で社会に出るより、知識を有して社会に
出るほうが良い。しかしできればその知識を学ぶ上で、より効率的に学ぶことも重要で
ある。知識と経験の双方が重なって、はじめて本当に定着するものである。
先ほどのキャリア教育に関しても、社会を知らない学生に進路の選択を迫るというの
は尐々無茶な話である。
29-11
29‐6.尐年よ、ベンチャーとなれ!!日本は失敗が許されない社会
「剣や銃の使い方は、中途半端に学ぶと大変ながやき。
」
「はい、坂本先生。それらは危険なものですね。
」
「そうじゃ、しかも一度の失敗が命取りになる。いわば失敗が許さ
れんがやき。
」
「はい、一度、失敗すれば、再起のチャンスがないのは現代の日本
も同じであります。日本の会社経営では、経営者は一度失敗すると、
アメリカでは可能といわれている再起が難しいと言われていま
す。
」
「今の時代もまさに命がけじゃのう。ニッポンでも再起できる仕組
みを作らんといかんにぁ。
」
経験教育が重要なことは起業教育に関してもいえる。起業教育の講師の方の話から、
時々このようなことを聞く。
「日本は失敗が許されない社会、一度失敗すると再起が難しい社会である。しかしアメ
リカのエンジェル(個人投資家)やベンチャーキャピタルは、失敗経験のある人間に投
資することがよくある。一度、失敗を経験している分、次に成功する確率が高いからで
ある。
」
投資に関して失敗経験者のほうが実際のパフォーマンスがいいのであろうか。アメリ
カではベンチャーが育ちやすい風土の説明として、この話はよくされる。一方で日本に
おいて事業の失敗が許されない理由は、日本型の金融システムにあるといわれる。
日本では、明治期からの個人の貯蓄の零細性や政策的な背景が理由で、銀行をはじめ
とする間接金融を中心に、経済が発展してきた。銀行では、個人の預貯金を原資として
企業に低利でお金を貸し出すため、どうしてもリスクを取ることが難しい。それゆえハ
イリスクな事業への融資の場合は、慎重にならざるを得ない。
このようなファイナンス面からの理由を述べられるのが一般的であるが、私は日本に
おける事業の失敗が許されない理由は、例えば日本国民の金融リテラシにもあると考え
ている。アメリカでは投資学として、イギリスでは教養として、学校教育で金融経済教
育が行われている。しかし日本における金融経済教育は学校においてあまり扱われてい
ないことは先に述べたとおりである。
その結果、自己の責任において投資を行うことを敬遠しがちで、仮に投資をおこなっ
ても投機的な傾向になってしまうのではないだろうか。つまり本来はリスクを担えると
される個人マネーがベンチャー投資にむかず、間接金融へと流れているとも推測する。
ここにも学校教育における起業教育の一分野としての金融経済教育の意義が見出せる。
29-12
さらに金融経済教育の不足が、例えば投資と融資の違いがわからない、自己責任を理
解していない、金融に関するモラルをわきまえない投資家を生み出している可能性があ
る。そのようなファイナンスの環境では、日本でベンチャーを起こそうと思う起業家の
芽を摘んでしまう可能性がある。アントレプレナーシップの教育も重要であるが、その
ための日本全体の環境づくりにも目を向ける必要がある。つまり起業を目指す人たちだ
けを対象とするのではなく、日本全体として起業教育を浸透させることが重要なのであ
る。
29-13
29‐7.尐年よ、ベンチャーとなれ!!ICTによる経験教育の可能性
「こまったものじゃ。
」
「坂本先生、どうされましたか。
」
「経験を積むことが大事といっても、実際に右も左もわからぬ状況
で、剣を振り回し、銃を撃てば、それは大変なことになる。例えば
夢の中などで、上手く体験できるといいものだが。
」
「はい、実は今は情報通信技術が発達しておりまして、コンピュー
タを使い、サイバー上の仮想空間で疑似体験ができるようになって
おります。
」
「なんじゃと?それは夢のようなもんかえ?」
「はい。夢は自分の意志で自由にコントロールできませんが、コン
ピュータでは自らがコントロールでき、多くの人と同じ世界をリア
ルタイムで共有できる、もうひとつの世界を創り出すことが可能に
なっております。
」
「なるほど。コンピュータで経験をしてから、実際にやるがか。そ
うすれば、失敗の可能性が尐なくなるがじゃな。
」
では失敗が許されない日本においてはどうすればよいだろうか。失敗が許されないな
ら、なおさら教育において経験を養うべきである。
経験には商魂や相場観、実際の経営など多岐にわたるが、私はそれらが教育で実現で
きると考えている。もちろん起業家から生の声を聞き、その苦労や楽しさ、体験を伝え
聞くリレー講義は貴重なものである。しかしそれは他人の体験であり、自分の体験では
ない。
2009年、私はある学会において、多人数同時参加型のICT教育がこの経験教育
になりうると発表した。なりうるという表現は、私が想定しているものが、現状では教
育ではなく、MMO-RPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game)といわれ
るゲームであるからである。ゲームを否定するわけではないが、ゲーム性が強いと、や
はり娯楽の域をでない。しかしその MMO-RPG といわれる、1つのサーバーに1,000
人規模のプレイヤーが参加するゲームでは、サイバー上に1,000人規模の人間が同
じ世界観をリアルタイムで共有し、その中でアイテムの売買、相場の形成など、相互に
影響を及ぼし合う仮想経済が成立している。このような世界ではいわゆる幼尐期のまま
ごとを発展させた、商売を経験することも可能である。需要の動向をモニタリングしな
がら、資源から生産活動を行い、需要とライバルの供給動向を踏まえ価格決めを行う。
特徴的なのは、オフラインのプログラムと違い、多くのプレイヤーが相互作用しあう
29-14
ことから、生の経済活動が行われるという点である。需給関係について説明すると、オ
フラインのゲームでは基本的にプログラムで制御されるコンピュータが相手であるこ
とから、需要曲線、供給曲線の一方が固定されてしまうのに対し、MMO-RPG では売買共
にプレイヤー(人)であることから双方の曲線が共に動くということである。
私は直近において、このICTの進展が金融経済教育にも多く、そして様々に応用さ
れると考えている。
i
本間政雄、高橋誠『諸外国の教育改革-世界の教育潮流を読む』45-46 頁、2000 年、
ぎょうせい
ii
『中小企業白書 2009』69 頁、2009 年、ぎょうせい
29-15
図、グラフ、写真、表の参考文献、参考ホームページリスト表(第 8 編)
章、節、項
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等
乙女姉さんに
龍馬新婚旅行の地 ∼ 霧島
宛てた手紙
http://washimo-web.jp/Trip/Kirishima/kirishima.h
犬飼滝
tm
中表紙
新婚湯治の地碑
2010 年 8 月 27 日アクセス
参考文献、参考ホームページ(第 27 章)
章、節、項
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等
27-4
図 27-4-1
神楽(しぐら)の郷(さと)ニュース 第 10 号
http://sigura.sub.jp/sigura/news/2005-05.ht
ml
2010 年 9 月 13 日
章、節、項
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等
図 28-2-1
文部科学省、
“文部科学省 廃校施設の実態及び有効活
参考文献、参考ホームページ(第 28 章)
図 28-2-2
28-2
図 28-2-3
図 28-2-4
用等調査研究報告書”
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/03062
401/houkoku_fm1.htm
2010 年 4 月 7 日アクセス
を参考にグラフを作成
図 28-2-5
文部科学省、“文部科学省 学校基本調査-平成21年度
(確定値)結果の概要 調査結果の概要(高等教育機
関)”
28-3
図 28-3-1
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kih
on/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/12/
18/1288104_2.pdf
2010 年 4 月 7 日アクセス
を参考にグラフを作成
参考文献-1
第9編
帰ってきた龍馬
「尐年よ、ベンチャーとなれ!!」
21世紀「地球60億人の総競争時代」
から22世紀は「人と地球の共生」
の時代へ
いろは丸
いろは丸は伊予大洲藩が1
866年に購入した45馬
力、160トンのイギリス製
蒸気船である。龍馬は伊予大
洲藩と500両でいろは丸
の貸借契約を結び、海援隊で
の業務にいろは丸を使用す
ることを目論んでいた。
鞆の浦(広島県福山市)
1867年4月23日、龍馬や海援隊
士が乗ったいろは丸が、瀬戸内海で紀
州藩艦の明光丸と衝突した。龍馬や海
援隊士は明光丸に移り、鞆の浦に寄港
した。その後、紀州藩と事件の解決を
めぐって激しい談判が行われた。
第9編目次
帰ってきた龍馬
「尐年よ、ベンチャーとなれ!!」
21世紀「地球60億人の総競争時代」
から22世紀は「人と地球の共生」
の時代へ
第 30 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!21世紀、「地球60億総競争
時代」へ突入
30‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!21世紀、地球60億総競争時代へ突
入
30‐2.尐年よ、ベンチャーとなれ!!21世紀は地球60億レアメタルの争
奪戦争
第 31 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「競争の時代から22世紀は『人
と地球の共生の時代』へ
31‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!「競争の時代から22世紀は『人と地
球の共生の時代』へ
第 32 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!自分たちの自治自主管理による
ふるさと村を作り、22世紀の人と地球の共生のイノベーシ
ョンを目指そう
32‐1.帰ってきた龍馬「
『尐年よ、ベンチャーとなれ!!』そして、
『自分
たちの自治自为管理によるふるさと村を創り、22世紀の人と地球の
共生のイノベーションを目指そう』
」
第 9 編目次-1
第 30 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!21世紀、「地
球60億総競争時代」へ突入
電気自動車に乗った龍馬と松重は、三条制札に通りかかった。三条制札は、治安維持
を行っていた新撰組が、三条大橋西詰の制札を引き抜こうとした土佐藩士8名を襲撃、
捕縛した事件の現場となったところである。
京都
大学
京
都
御
所
京都大学
吉田神社
二条城
鴨川
・
三条制札
30-1
30‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!21世紀、地球60億総競争時代
へ突入
「市場といえば、江戸の頃からある朝市が代表的じゃ。
」
「はい、坂本先生。現在では『市場』と書いて『いちば』ではなく、
『しじょう』と呼ぶのが一般的です。
」
「
『いちば』と『しじょう』は何が違うのじゃ。
」
「
『しじょう』と言えば、国際金融市場でのマーケット競争などのこ
とを指します。これは日本だけではなく、アメリカはもちろん、中
国やインドなどの新興国でもそのような流れになっております。
」
「ということは、世界全体が競争の中に入っているのか。
」
「はい、坂本先生。
」
「21世紀の世界は、まさに『地球60億総競争時代』じゃのう。
」
ほんの一昔前、市場(マーケット)と言えば、朝市の豊富に盛られた野菜、色とりど
りの果物、あるいは、朝日に肌を輝かせた獲れたての魚などであった。
しかし、今、東京では市場(しじょう)と言えば、マーケットと言えば、国際金融市
場を指すようである。これは、日本だけではない。新しい経済発展国の中国、ブラジル、
インドでもそうであろう。
国際化と言えば国際市場競争、マーケットと言えば、金融産業マーケットでの経済競
争、そして、グローバル化と言えば世界経済のコスト競争、資本競争と暗に意味するこ
ととなった。
21世紀に入り、中国約15億人、インド約11億人、单米のブラジル等の諸国とい
った新しい経済発展国 BRICs(BRICs とは、経済発展が著しいブラジル(Brazil)、ロシ
ア(Russia)、インド(India)、中国(China)の頭文字を合わせた4カ国の総称)の経済の
発展は目覚ましい。このことによって、これまでの旧 G8 経済先進国を含めた地球約6
0億人総競争時代に入った感がある。これまで後進国とされてきた单アフリカ、单米、
中近東は、石油やレアメタルなど、鉱物資源の争奪競争の市場となった。
さらに、食料争奪競争、森林争奪競争、水争奪競争、そして人材争奪競争… 血眼に
なって金融産業、金融資本争奪競争… 地球60億人総競争時代に突入した。
それぞれの国、そして「民族の生き残り」をかけての必死の競争である。この競争に
各国家や各民族は金と人をかけているのである。
30-2
30‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!21世紀、地球60億総競争時代
へ突入
「市場といえば、江戸の頃からある朝市が代表的じゃ。
」
「はい、坂本先生。現在では『市場』と書いて『いちば』ではなく、
『しじょう』と呼ぶのが一般的です。
」
「
『いちば』と『しじょう』は何が違うのじゃ。
」
「
『しじょう』と言えば、国際金融市場でのマーケット競争などのこ
とを指します。これは日本だけではなく、アメリカはもちろん、中
国やインドなどの新興国でもそのような流れになっております。
」
「ということは、世界全体が競争の中に入っているのか。
」
「はい、坂本先生。
」
「21世紀の世界は、まさに『地球60億総競争時代』じゃのう。
」
「21世紀の世界は、まさに『地球60億総競争時代』に突入した感じである。
」
ほんの一昔前、市場(マーケット)と言えば、朝市の豊富に盛られた野菜、色とりど
りの果物、あるいは、朝日に肌を輝かせた獲れたての魚などであった。
しかし、今、東京では市場(しじょう)と言えば、マーケットと言えば、国際金融市
場を指すようである。これは、日本だけではない。新しい経済発展国の中国、ブラジル、
インドでもそうであろう。
国際化と言えば国際市場競争、マーケットと言えば、金融産業マーケットでの経済競
争、そして、グローバル化と言えば世界経済のコスト競争、資本競争と暗に意味するこ
ととなった。
21世紀に入り、中国約15億人、インド約11億人、南米のブラジル等の諸国とい
った新しい経済発展国 BRICs(BRICs とは、経済発展が著しいブラジル(Brazil)、ロシ
ア(Russia)、インド(India)、中国(China)の頭文字を合わせた4カ国の総称)の経済の
発展は目覚ましい。このことによって、これまでの旧 G8 経済先進国を含めた地球約6
0億人総競争時代に入った感がある。これまで後進国とされてきた南アフリカ、南米、
中近東は、石油やレアメタルなど、鉱物資源の争奪競争の市場となった。
さらに、食料争奪競争、森林争奪競争、水争奪競争、そして人材争奪競争… 血眼に
なって金融産業、金融資本争奪競争… 地球60億人総競争時代に突入した。
それぞれの国、そして「民族の生き残り」をかけての必死の競争である。この競争に
各国家や各民族は金と人をかけているのである。
30-2
30‐2.少年よ、ベンチャーとなれ!!21世紀は地球60億レアメタルの
争奪戦争
「今、レアメタルというものが注目されているそうじゃのう。
」
「はい、坂本先生。レアメタルとは、生活に必要なものでありながら
その量が少ない金属のことで31種類あります。
」
「レアメタルとは、どのような者に使われておるのじゃ。
」
「携帯電話やパソコン、液晶テレビなどの、最近普及している電化製
品の中に数多く使われております。しかしながら、レアメタルは中
国や南アフリカなどに多くあり、日本にはほとんどなく、輸入に頼
らなければいけないのが現状です。日本では、世界経済が落ち込ん
で、レアメタルが輸入できなくなっても大丈夫なように、レアメタ
ルを含んだ電化製品からリサイクルを取りだす技術を色々な会社が
こぞって研究しております。
」
「ほう。まさにレアメタルの争奪戦争じゃのう。
」
「21世紀は、身の回りのものがレアメタルであふれ、地球60億レアメタルの争奪
戦争のような感じだ。
」
少年たちが持っている携帯電話はレアメタルの塊である。少年たちが見ている液晶テ
レビもレアメタルの集積である。少年たちが乗っている自動車の駆動システムもレアメ
タルで安全に動いている。
今や少年たちの身の回りの物はレアメタルで成り立っている。レアメタルを利用した
素材・製品等は、ニッポンのメーカーが世界の競争に大きく加わっている。インジウム
を使う液晶テレビの電導膜や、希土類磁石を用いるハイブリッド自動車、シリコンを用
いる太陽光パネル等、今後市場拡大の見込まれる先端製品をニッポンのメーカーが製造
するために、レアメタルの争奪競争を行っている。鉄鋼業もその原動力は高級ステンレ
ス鋼や高機能が求められる自動車鋼板などの高機能製品である。こうした鋼材はレアメ
タルを添加材として用いている。レアメタルを添加することで、耐食性や耐熱性を強め、
現在では鉄鋼製品といっても鉄よりもレアメタル等金属の比率の方が高い鋼合金製品
もある。
30-3
コスト削減案を講じているが、事情通は前途多難と分析し、今やレアメタルの争奪競争
は、ダントツで中国優位である。アメリカの会社では、エンジニアが既に退職するなど、
技術を担う人材の流出が顕著である。
このように、レアメタル争奪競争はレアメタルの人材競争に発展し、この面でもアメ
リカは負け組となりつつある。
30-5
第 31 章 尐年よ、ベンチャーとなれ!!「競争の時代か
ら22世紀は『人と地球の共生の時代』へ
電気自動車に乗った龍馬と松重は、三条大橋に通りかかった。三条大橋は、天正18
年(1590年)に豊臣秀吉が造営させたもので、その後、幾たびか改修が行われ現在の
橋は昭和28年に架けられたものである。また「池田屋騒動」のときに付いたのではな
いかという刀傷を負った擬宝珠もある。
京都
大学
京
都
御
所
京都大学
吉田神社
二条城
鴨川
・
三条大橋
31-1
31‐1.尐年よ、ベンチャーとなれ!!「競争の時代から22世紀は『人と
地球の共生の時代』へ
「21世紀は『地球60億総競争時代』に突入している感じだが、競
争でどんな影響があるのじゃろうか。
」
「はい、坂本先生。競争の影響として、自然では生物の絶滅や、環境
汚染、地球温暖化が考えられます。
」
「うむ。毎年、数多くの生物が絶滅していることは前に聞いたが、人
間の競争で他の生物に影響を及ぼすのは申し訳ない感じがするの
う。
」
「はい、坂本先生。人間では、競争のために、身も心も疲弊してしま
った人たちが数多くいるようです。また、
『勝ち組』
、
『負け組』に分
類されてしまい、全人口の10%である『勝ち組』と呼ばれる人た
ちは、何不自由なく暮らしていますが、それ以外の『負け組』と呼
ばれる人たちは、苦しい生活になってしまいます。
」
「競争は人間にも、他の生物にも悪い影響が多いのう。それでは今後
は競争ではなく、共生の時代に変えていこう。そうすれば、皆明る
く暮らしていけるのではないか。
」
「坂本先生、その通りだと思います。
」
21世紀は「地球60億人総競争時代」に入った。しかし、その競争のために、破壊
された森、汚染された川や湖、そして大気、そして住まいを失った生き物たち。地球は
汚れ、そこに住む生き物たちが絶滅していこうとしている。金融、そして資本に狂った
産業革命からの自由経済資本为義、そして、そこに国家資本为義のレッドパワーの国な
ど、新しい経済発展国が殴り込みをかけ、まさに人間が争奪の競争のために、民族が競
争に生き残るために地球を破壊している。人類が地球を破壊し、他の生物を殺している
のである。
競争の時代と言っても中国の15億人の全てが「勝ち組」になれるわけではない。恐
らく、その1割程度が「勝ち組」で、その残りの中に多くの「負け組」がいる。インド
も11億人の全てが「勝ち組」になれるわけではない。恐らく1割程度が「勝ち組」
、
多くのインド人は「負け組」なのである。どこの国でも生まれたらすぐに「勝ち組」に
なれるように、子どもに厳しくハードな教育をしようとする。金持ちは資金を盾にあら
ゆる手段を使って子どもが「勝ち組」になるように教育する。しかし、
「勝ち組」にな
るのはその1割くらいで、しかも「勝ち組」として誇れる年齢は30歳~40歳、ある
いは50歳までである。
31-2
31‐1.少年よ、ベンチャーとなれ!!「競争の時代から22世紀は『人と
地球の共生の時代』へ
「21世紀は『地球60億総競争時代』に突入している感じだが、競
争でどんな影響があるのじゃろうか。
」
「はい、坂本先生。競争の影響として、自然では生物の絶滅や、環境
汚染、地球温暖化が考えられます。
」
「うむ。毎年、数多くの生物が絶滅していることは前に聞いたが、人
間の競争で他の生物に影響を及ぼすのは申し訳ない感じがするの
う。
」
「はい、坂本先生。人間では、競争のために、身も心も疲弊してしま
った人たちが数多くいるようです。また、
『勝ち組』
、
『負け組』に分
類されてしまい、全人口の10%である『勝ち組』と呼ばれる人た
ちは、何不自由なく暮らしていますが、それ以外の『負け組』と呼
ばれる人たちは、苦しい生活になってしまいます。
」
「競争は人間にも、他の生物にも悪い影響が多いのう。それでは今後
は競争ではなく、共生の時代に変えていこう。そうすれば、皆明る
く暮らしていけるのではないか。
」
「坂本先生、その通りだと思います。
」
「21世紀は『地球60億総競争時代』だが、22世紀は『人と地球の共生の時代』
となるだろう。
」
21世紀は「地球60億総競争時代」に入った。しかし、その競争のために、破壊さ
れた森、汚染された川や湖、そして大気、そして住まいを失った生き物たち。地球は汚
れ、そこに住む生き物たちが絶滅していこうとしている。金融、そして資本に狂った産
業革命からの自由経済資本主義、そして、そこに国家資本主義のレッドパワーの国など、
新しい経済発展国が殴り込みをかけ、まさに人間が争奪の競争のために、民族が競争に
生き残るために地球を破壊している。人類が地球を破壊し、他の生物を殺しているので
ある。
競争の時代と言っても中国の15億人の全てが「勝ち組」になれるわけではない。恐
らく、その1割程度が「勝ち組」で、その残りの中に多くの「負け組」がいる。インド
も11億人の全てが「勝ち組」になれるわけではない。恐らく1割程度が「勝ち組」
、
多くのインド人は「負け組」なのである。どこの国でも生まれたらすぐに「勝ち組」に
なれるように、子どもに厳しくハードな教育をしようとする。金持ちは資金を盾にあら
ゆる手段を使って子どもが「勝ち組」になるように教育する。しかし、
「勝ち組」にな
31-2
るのはその1割くらいで、しかも「勝ち組」として誇れる年齢は30歳∼40歳、ある
いは50歳までである。
70歳になれば、
「勝ち組」も「負け組」もない。中国人の70歳、インド人の70
歳、アメリカ人の70歳、日本人の70歳、皆そうである。「勝ち組」や「負け組」な
どくだらないことであると、60歳になると気付き始める。
「勝ち組」でない残り90%の人々にとって、また、途中まで「勝ち組」で有った人
たちにとっても、競争、競争で身も心も疲弊してしまっているだろう。したがって、6
0億人のうちの6億人は満足しても、残りの54億人は苦しく、悲しく、暗い人生を送
るのが過当な競争の結果であり、その上、そんな人の競争という欲望の結果、破壊され
た森林、汚染された川や湖、生きる場所を失った地球上の生物たち…
いかに過当な争奪競争によって失われたこと、失われたものが大きいか、いずれそ
う遠くない時期に地球60億人総反省の時代がやってくる。
少年よ、ベンチャーとなれ!!22世紀、100年後に向かって人と地球の共生のイノ
ベーションを目指そう。人は人に助けられる、そして、人は人を助ける。人は地球に助
けられる、そして、人は地球を助ける。人と地球の共生の時代である。少年よ、ベンチ
ャーとなれ!!人と地球の共生のためのふるさと村科学技術イノベーションバレーを創
ろう。そして、そこから人と地球の共生のための第0次的産業を創ろう。それこそが次
代の地球60億人のための産業となるのである。
31-3
第 32 章 少年よ、ベンチャーとなれ!!自分たちの自治
自主管理によるふるさと村を作り、22世紀
の人と地球の共生のイノベーションを目指
そう
電気自動車に乗った龍馬と松重は、龍馬・お龍結婚式場跡碑と青蓮院旧仮御所に通り
かかった。龍馬・お龍結婚式場跡碑は、1864年(元治元年)8月初旬、坂本龍馬と
妻お龍(鞆)は「内祝言」
、すなわち内々の結婚式を挙げた場所である。
京都
大学
京都御所
京都大学
吉田神社
二条城
鴨川
・
龍馬・お龍結婚式場跡碑
32-1
32‐1.帰ってきた龍馬「
『少年よ、ベンチャーとなれ!!』そして、
『自
分たちの自治自主管理によるふるさと村を創り、22世紀の人と
地球の共生のイノベーションを目指そう』」
「村の特産品を育て、ブランド化し、成果をあげている村があるら
しいのう。
」
「はい、坂本先生。高知県馬路村もそのひとつです。
」
「ほぉー。この様な村は、村長がイノベーションを起こしているん
だのう。」
「はい、その通りです。現在は、国も県も借金を抱えていて、村を
助けることすらできません。そのため、村長自身がベンチャーでな
ければ、村は育っていかないのです。
」
「ほぉー。そのためにも、その村に住む少年達が重要になっていくんだ
のう。
」
「少年よ、ベンチャーとなれ!!自分たちの自治自主管理によるふるさと村を創ろう。
」
高知県馬路村のように、村の人々が総力をあげて、
「村の特産品:ゆず」を育て、ブ
ランド化し、素晴らしい成果をあげているふるさと村は、ニッポンには、他にも多くあ
る。
この様な村では、村長が企業の社長のように見える。これからの村長は、この様にベ
ンチャー(起業力)でなければ、村は生きていけないだろう。また、これからの村長は、
イノベーション(昨日を捨てて、明日に向かって行動する)しなければ、村は成長して
いけないであろう。
東京の国、政治家、霞ヶ関の中央官僚、そして、県知事や地方公務員に頼っても、こ
れからは、何も生まれないであろうし、頼れば頼るほど、依頼心を起こせば起こすほど、
村は衰退し、人々は疲弊し、貧困となり、村は死んでいくだけである。何故なら、国も
県も大きな借金を抱えており、そこから脱皮する策さえ国家も霞が関の官僚も知事も地
方公務員も見つけられないのである。ただ彼らは、村の人々の税金を黙って静かにむさ
ぼり食うような感すら見受けられる。
少年よ、ベンチャーとなれ、自分で生きるのだ!!自分で行動するのだ!!自治自主管
理の村づくりを。そして、「ふるさと村科学技術イノベーションバレー」を設立し、そ
こで、第0次的産業を創出しよう。
少年よ、自分達ですばらしい村長を選ぼう。少年よ、小学生を少年たちが先生となっ
て教えよう。高校生の少年は、中学生を教えよう。少年よ、村の老人ホームに行って、
お年寄りの介護をしよう。少年よ、村の病院に行って看護士のお手伝いをしよう。少年
よ、農業、林業、漁業のお兄さんやおじさん達と一緒にお手伝いをしよう。
少年よ、村の税金の額は自分達で決めよう。自分たちの村にとって必要な税金の金額
を決めよう。少年よ、将来の年金は、自分達で決めよう。お年寄りやこれからの自分た
ちの村の介護・医療などを考えて、必要なお金はお互いに出し合おう。社会保険庁の人
間など全く不要である。社会保険庁の人に支払う給料などは無駄だからやめよう。少年
32-2
よ、ふるさと村にベンチャー銀行を作ろう。第0次的産業の起業や発展のための資金を
融資できる銀行を作ろう。少年よ、自治自主管理で村を運営しよう。裁判員制度のよう
に、できるだけ民間で手伝えるところは、自分たちでやろう。そして、公務員の固定を
できるだけ少なくしよう。
「少年よ、ベンチャーとなれ!!」そして、
「自分たちの自治自
主管理のふるさと村を創ろう」
。
32-3
図、グラフ、写真、表の参考文献、参考ホームページリスト表(第 9 編)
章、節、項
中表紙
章、節、項
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等
いろは丸想像図
7 いろは丸衝突・沈没事件
坂本龍馬等が事
http://homepage3.nifty.com/kaientaidesu/html/zik
故後最初に上陸
en7.htm
した鞆ノ浦
2010 年 8 月 27 日アクセス
参考文献、参考ホームページ(第 30 章)
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等
幕末関連史跡補完計画:史跡便覧:京都府京都市中京
章表紙
三条制札
区
http://www.siseki.net/guide/s_kyoto_04.html
2010 年 8 月 27 日アクセス
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
30-2
30-2-1
http://www.jogmec.go.jp/
2010 年 8 月 27 日アクセス
参考文献、参考ホームページ(第 31 章)
章、節、項
表、図の番号
参考文献、参考ホームページ等
久しぶりの京都三条河原町界隇散策:こまちゃんさん
の旅行ブログ by 旅行のクチコミサイト フォートラ
章表紙
三条大橋
ベル
http://4travel.jp/traveler/chinaart/album/100817
19
2010年8月27日アクセス
参考文献-1
<監修・著者プロフィール>
久米 正一
1942年生まれ、本籍高知県、工学博士。1965年に八幡製鐵株式会社
(現・新日本製鐵株式会社)に入社。在職中に、世界最大の君津第3高炉の設
計・建設を行うなど、近代日本の鉄鋼業の発展に大きく貢献し、平成8年に日
本鉄鋼協会から「渡辺義介記念賞」を受賞した。現在、財団法人科学技術振興
育英財団・理事長として、母子寡婦福祉連合会の協力を得て、
「100年後の
ニッポンの夢、ふるさとの夢」をテーマに子どもたちの育英奨学活動中。
竹本 拓治
1973年京都府生まれ、博士(政策科学)
。同志社大学大学院総合政策科
学研究科在学中に教育事業会社を設立、代表取締役、その後相談役として、計
9年間務める。現在、京都大学研究員(ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー)
として、起業教育、ベンチャービジネスの研究に従事。その他、大学非常勤講
師、特定非営利活動法人理事等を務めている。著書に「お子さんを学力と心が
養われたエリートに育てませんか?」
。
松重 和美
1947年福岡県生まれ。九州大学工学研究科修士課程修了後、米国 Case
Western Reserve 大学で Ph.D.課程修了。その後、九州大学助手、助教授、教
授を経て、京都大学大学院工学研究科教授、同大学国際融合創造センター長、
国際イノベーション機構長、ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(VBL)施設
長などを歴任。2004年から4年間同大副学長(産学連携・知財担当)も務
めた。国・地域での各種委員会の他、京都電気自動車(Kyoto-Car)プロジェ
クト代表など、京都大学内外の様々なプロジェクトを为導、参画している。
以上
続
第 10 編(最終編)
(第 33 章~最終章)
電子書籍 e ブックランドで
お楽しみください
監修
Ph. D.工 学 博 士
松重 和美
〔京都大学 教授、VBL(ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー)施設長〕
著者
久米 正一
博士(政策科学) 竹本 拓治
Ph. D.工学博士 松重 和美
工 学 博 士
帰ってきた竜馬
第四編
久米 正一・竹本 拓治・松重 和美
発 行 2010 年 9 月 10 日
発行者 財団法人科学技術振興育英財団
販売社 e ブックランド社
東京都杉並区久我山 4-3-2
http://www.e-bookland.net/
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