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地理情報に関するXMLデータの 標準化と現状

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地理情報に関するXMLデータの 標準化と現状
地理情報に関するXMLデータの
標準化と現状
2005年 10月26日
IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社
村 尾 吉 章
内 容
Ⅰ.地理情報に関する標準化の現状
Ⅱ.地理情報標準による空間データモデリング
(1) 地理情報とオブジェクト指向技術
(2) 応用スキーマの基本的な考え方
Ⅲ.地理情報標準による符号化
Ⅳ.XMLとセキュリティ
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
2
Ⅰ.地理情報に関する標準化の現状
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
3
(財)日本地図センター HP より
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
4
地理情報とは、
„ 地球上の位置と、直接的 / 間接的に関係をもつ情報
„ 地図や図面の情報も含むが、単に図や絵としてのみの情報ではない
‡ 地図データ
数値地図、 デジタル道路地図、 住宅地図、 都市計画図、 空中写真、 衛星画像
‡ 集計データ
地域別統計データ、 植生など調査データ、 交通情報、 気象情報 、 犯罪情報
‡ 地域データ
戸籍情報、 住民情報、 土地・建物などの登記情報、地価情報、観光情報、環境評価情報
‡ 業務データ
電気・ガス・水道・通信・鉄道・製造所などの設備データ、 不動産情報、 店舗案内、
顧客情報、 営業管理情報、 在庫情報、 配送情報、 車両情報、 他 多数
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
5
地理情報の特性
紙地図や図面との違いは?
„ コンピュータ処理が可能。 (管理・検索・選択・分類・集計・加工・通信)
„ 取り扱う情報の種類や量が多く、さらに付け加えることができる。
„ 付加情報や関連情報を一元管理したり連携したりできる。
„ 情報源の異なったデータを統合して利用できる。
„ さまざまな用途に応じた出力が可能。
„ PC・PDA・携帯・車載・図面出力など多様な環境のもとで利用できる。
„ 時間軸を持つことができる。
„ 21世紀のナショナル・アセット。
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
6
地理情報の標準化要件
地理情報が多くの人に役立つ情報であるためには、標準化は必須。
„ 地理情報の利用度の向上
… 地理情報の所在・内容・利用方法がわかる仕組み
… 地理情報の交換における自由度を確保
… 業務データとの隔たりのないデータの取り扱い
… 紙地図ではなくデジタル化されていることのメリットを生かす仕様
„ 長期的な流通・保管を可能とする仕様
„ 地理情報作成の効率を高める標準
„ 現状のGISソフトウェアやハードウェアに依存しない仕様
„ 最先端のIT技術が活用できる仕様
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
7
これまでも、数多くの標準が作成されてきた
各国標準
SDTS(米国)、NTF(英国)、DIGEST(NATO諸国)、
CEN/TC287(EU)
目的別標準
S57(海図)、ISO/TC204(高度道路交通システム 開発中)
GDF(欧州におけるデジタル道路地図)
ディジタル・マッピング(日本における公共測量成果)
G-XML (日本 WebGIS用)
標準間で
汎用業界標準
OpenGIS(OGC)
モデルベースの
包括的な標準化
国際標準
ISO 19100 (逐次開発中)
対応する国内標準
JIS X 7100 / 地理情報標準 第2版
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
互換性が
ない
そもそも
データ形式を
決定してきた
8
標準化のためのモデリング
モデリングとは
„ 用途や目的に応じて集めた情報を、意味づけして整理する方法を決めること。
„ 処理対象とする実体を、情報システム上に表現するための方法を決めること。
コンピューター処理
取得
表現
データモデル
みんなが利用できる
データモデルを、
どのようにして構築
するか?
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
9
地理情報に関する標準化団体
ISO/TC211
地理情報について幅広く国際標準を検討。
ISO 19100 シリーズとして規格化。
日本も参加。(ISO/TC211国内委員会)
ISO 19100
地理情報標準 官民共同研究
ISO/TC211標準案をもとに、データ交換に
必要な部分を国内向け技術標準として定義。
地理情報標準 第2版/地理情報標準プロ
ファイルを公表。
JSGI 2.0
JPGIS
JIS原案作成委員会
ISO/TC211で国際標準化されたものを
ベースにJIS規格を逐次作成する。
JIS X 7100 シリーズとして規格化。
JIS X 7100
OpenGIS(OGC)
産官学が集まり、地理情報の相互運用性を
追求して、必要な仕様を検討。
サービスを中心に仕様を決め、実装テストに
よる実用性検証を重視している。
定義した主要な仕様は、TC211との仕様の
整合をとって組み入れる方向で活動。
GML
G-XML技術委員会
Web環境やPDA/ケータイ環境で利用しや
すい仕様を日本独自で検討。
初期の仕様は JIS X 7199 としてJIS化。
OpenGISへの仕様組み込みを働きかけ、
成果を挙げており、一方で、その位置づけ
が大きく変化してきている。
G-XML
JIS X 7199
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
10
ISO/TC211 作業項目
19101 参照モデル
19103 概念スキーマ言語(TS)
19104 用語
(JIS X 7105)
19105 適合性と試験
19106 プロファイル
19107 空間スキーマ
(JIS X 7107)
(JIS X 7108)
19108 時間スキーマ
19109 応用スキーマのための規則
19110 地物カタログ化法
(JIS X 7111)
19111 座標による空間参照
19112 地理識別子による空間参照
19113 品質原理
(JIS X 7113)
19114 品質評価手順
19115 メタデータ
(JIS X 7115)
19115-2 画像とグリッドデータのためのメタデータ拡張
19116 測位サービス(GPS)
19117 描画
19118 符号化
19119 サービス
19120 実用標準(TR)
19121 画像とグリッドデータ (TR)
19122 技術者能力と資格(TR)
下線: ISO規格化済 (逐次 JIS化作業実施中)
青細字:地理情報標準第2版 / JPGISがカバー
青太字:JIS規格化済み
2005年10月現在
19123 被覆の幾何と関数に関するスキーマ
19124 画像とグリッドデータの構成要素
19125-1 単純地物アクセス-共通の体系
19125-2 単純地物アクセス-SQLオプション
19126 プロファイル-FACCデータ・ディクショナリー
19127 測地コードとパラメータ(TS)
19128 Web マップサーバー・インターフェース
19129 画像とグリッドデータの枠組み
19130 センサーと、画像とグリッドデータのデータモデル
19131 データ製品仕様
19132 位置情報サービス-可能な標準
19133 位置情報サービス-追跡とナビゲーション
19134 経路探索のための複数モード位置情報サービス
19135 地理情報項目の登録手順
19136 GML
19137 空間スキーマと関連したスキーマに関する汎用プロファイル
19138 データ品質測定法
19139 メタデータ-XML Schema による実装
19140 19100シリーズの調和と質の向上のための技術的修正
19141 可動地物のためのスキーマ
19142 Web Feature Service
19143 フィルター符号化 (WFSのための符号化)
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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地理情報標準の全体像
空間データの
構成要素と論理的な意味が
共通理解できるための標準
(空間/時間スキーマ)
(応用スキーマ)
ファイルの物理的形式が
共通理解できるための標準
(符号化)
空間データの位置参照情報
が正しく理解できるための標準
(空間参照法)
空間データの内容や用途が
共通認識できるための標準
(メタデータ)
この標準に基づいた空間
データが作成できるための文書化
(製品仕様書)
個々の地物の定義・内容が
共通理解できるための標準
(地物カタログ)
空間データの品質に関する
情報が共通理解できるための標準
標準で使用している用語の意味
が共通理解できるための標準
(品 質)
(用 語)
空間データの描画による表現方法
を共通化するための標準
(描画法)
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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JSGI : Japanese Standards for
Geographic Information
地理情報標準とJPGIS
ISO 19100 / JIS X 7100
ISO 19101
ISO 19103
ISO 19104
ISO 19105
ISO 19106
ISO 19107
ISO 19108
ISO 19109
ISO 19110
ISO 19111
ISO 19112
ISO 19113
ISO 19114
ISO 19115
ISO 19116
ISO 19117
ISO 19118
:
ISO 19123
:
JIS X 7107
JIS X 7108
JIS X 7111
JIS X 7113
JIS X 7115
地理情報標準 第2版
JSGI 2.0
JPGIS :Japan Profile for Geographic
Information Standards
地理情報標準プロファイル
JPGIS
用語
用語
空間スキーマ
時間スキーマ
応用スキーマのための規則
地物カタログ化法
座標による空間参照
地理識別子による空間参照
品質原理
品質評価手順
メタデータ
空間スキーマ
時間スキーマ
応用スキーマのための規則
地物カタログ化法
座標による空間参照
地理識別子による空間参照
品質原理
品質評価手順
メタデータ
描画
符号化
描画
符号化
被覆の幾何及び関数のため
のスキーマ
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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地理情報標準に準拠した各種仕様
„ 地理情報標準に準拠して開発されている仕様書を以下に掲げる。
… 地図情報レベル2500データ作成の製品仕様書(案) 【国土地理院】
… 数値地図2500(空間データ基盤)製品仕様書(案)Ver1.8 【国土地理院】
… 「大縮尺数値地形図データの作成に係わる仕様書記載事項、品質要件及び品質評価基
準(案)」、「製品仕様による数値地形図データ作成ガイドライン(案)」 【国土地理院】
… 道路台帳管理データ製品仕様書(素案) 【国土交通省】
… 道路基盤データ製品仕様書(案),「道路工事完成図等作成要領(案)」 【国土交通省】
… 建設行政空間データ基盤製品仕様書(案) 【国土交通省】
… 3次元GISデータガイドライン第2版 【総務省】
… 下水道台帳管理システム標準仕様(案)・導入の手引き 【日本下水道協会】
… 農村振興地理情報システム整備事業における空間データ調達仕様書 【農林水産省】
… 共用空間データ調達仕様書及び基本仕様書 【総務省】
… 都市計画GIS標準化ガイドライン(案) 【旧建設省】
… 大阪府GIS大縮尺空間データ製品仕様書(案) 【大阪府大縮尺空間データ官民協議会】
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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XMLを使用した地理情報仕様
仕様の名称
作成者
概要
地理情報標準
ISO/JIS
G-XML
DPC
経済産業省主導で,Web環境において利用しやすい地理情報の標準
を目指して開発した。
GML
OGC
地理情報の相互運用性について業界標準の作成を目指して仕様を開
発。現在は ISO の地理情報標準と一体化のため仕様調整中。
SVG
W3C
ベクトル情報を中心にイメージ情報,テキスト情報を組み合わせたコン
テンツをXMLで表現するための仕様として開発。
LandXML
LandXML機構
AutoDesk社が中心となって地形データをXMLで表現するための仕様
として開発。
SXF
建設情報標準
化委員会
自治体がCADデータの納品をメーカー依存性なく受けるための仕様と
して開発。
地理情報に関する包括的な標準。
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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「CADの標準」 と 「地理情報の標準」
CAD の標準
De Jure 標準
De Facto 標準
地理情報の標準
De Jure 標準
De Facto 標準
図形のみ
レイヤー
管理
SXF レベル2 V2
DXF
DM
図形+属性
レイヤー
管理
SXF レベル2 V3
DXF + DWG
DM (属性付)
Shape
図形的な
オブジェクト
指向
ISO 10303 STEP
業務的な
オブジェクト
指向
SXF レベル4
ISO 19100
OpenGIS
JIS X 7100
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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Ⅱ.地理情報標準による空間データモデリング
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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(1)地理情報とオブジェクト指向技術
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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オブジェクト指向技術
„ 地理情報標準はオブジェクト指向技術を道具として活用
‡ 情報の整理方法
クラスとして分類し定義する
‡ 仕様の記述方法
UMLクラス図で記述する
‡ 実装システムの前提
Java、Corba、Webサービス などを前提としている
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
19
オブジェクト指向技術とは、
„ 情報システムの設計開発手法のひとつ
„ Web環境など、分散化したシステムで特に重要な技術
分
析
設
計
構造化設計
データ中心分析
開
発
構造化プログラミング
データ中心設計
オブジェクト指向分析
オブジェクト指向設計
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
オブジェクト指向
プログラミング
20
オブジェクトの例
„ 建物
どちらもあり得る
„ 会社
‡ 建物名称
‡ 会社名
‡ 住所
‡ 住所
‡ 持ち主
‡ 商品情報(種別、在庫、売上げ)
‡ 業務
z 機械を販売する
z 機械を修理する
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
21
地理情報におけるオブジェクト
„ 情報を地理情報の観点で整理したとき、定義されるオブジェクトを
「地物」 と呼ぶ。
‡ 建物、会社なども地物とみなすことができる。
‡ 広義にはクラスもインスタンスも含むが、狭義にはクラスのみ。
‡ 地物として定義する対象は、アプリケーションによって変化する。
建物として情報管理するとき
会社として情報管理するとき
クラス: 建物
クラス: 会社
属性 : 建物名称
属性 : 会社名、住所、商品
住所
機能 : 機械の販売・修理
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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地物とは、
地物をフィーチャー (feature) とも呼ぶ
„ “実世界の現象の抽象概念”
(地理情報標準での定義)
„ 地球上の位置と、直接的 / 間接的に関係をもつ情報
„ 現実世界に実在する物 ・ 現象 ・ 環境や、実在はしないが適用業務上
仮想的に存在させるもの
地 物
地物クラス
地球上の位置と、直接的 / 間接的に関係をもつ情報で、
同じ特性のものを分類したもの。
地物インスタンス
地物クラスのインスタンス。
地物として分類された個々のオブジェクト。
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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業務データとしての地物
„ ほとんどの地理情報は、地理情報だけで独立して存在しない。
„ 何らかの業務(アプリケーション)とつながっている。
建物情報を扱う業務
建物として情報管理するとき
会社情報を扱う業務
会社として情報管理するとき
クラス: 建物
クラス: 会社
属性 : 建物名称
属性 : 会社名、住所、商品
住所
機能 : 機械の販売・修理
地物は、業務データの一環として存在する。
地理的な特性だけで整理してはいけない。
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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一般業務のシステム化手法との共存
„ 地理情報を整理する際、業務データの一環として取り扱う必要がある。
„ 一般業務のシステム化手法で地理情報も含めて処理する必要がある。
‡ UMLによるオブジェクト指向分析/設計
地理情報標準は、UMLによるオブジェクト指向設計のなかで
地理的な特性が違和感なく取り扱えるように作られている。
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
25
UMLとは、
UML : Unified Modeling Language 統一モデリング言語
„ オブジェクト指向技術によるシステム分析・設計手法
‡ 従来あった Booch法、OMT法、OOSE法を統合した方法論。
‡ 用語、仕様化プロセス、表記法を統一した。
‡ 1995年にリリースされた。
‡ Rational Rose、Visio などのツールにより、文書化が容易になり、
また、実装(プログラミング)とのインターフェースも取れるようになった。
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
26
UMLの図式表記法
„ UMLでは、以下のような図を使ってシステム分析・設計の内容を
文書化する
‡ ユースケース図
‡ 相互作用図 (シーケンス図、協調図)
‡ 静的構造図 (クラス図、オブジェクト図)
‡ 振舞い図 (状態遷移図、アクティビティ図)
‡ 実装図 (コンポーネント図、配置図)
„ 地理情報標準では、上記の中でクラス図を主に使用する。
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
27
クラス図
„ クラス図は、静的なクラス定義の集まり
„ 個々のクラスについて、クラス名、属性、操作(機能)を定義
„ クラス間の関係を定義
„ 3種類の表記法
クラス名のみ
クラス名と属性
クラス名と属性と操作
自動車
自動車
自動車
+ メーカー
+ 型式
+ 排気量
+ 所有者
+ メーカー
+ 型式
+ 排気量
+ 所有者
+ 走行距離()
+ ガソリン残量()
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
28
クラス図の例
顧
客
+ 顧客番号 : Integer
+ 氏名
: CharacterString
+ 住所
: CharacterString
+ 購入合計額: Integer
商
1..*
注文
注
文
+ 注文番号 : Integer
+ 注文日
: Date
+ 個数
: Integer
品
+ 商品番号 : Integer
1
商品
+ 商品名
: CharacterString
+ 仕入先
: CharacterString
+ 単価
: Integer
+ 在庫量
: Integer
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
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(2)応用スキーマの基本的な考え方
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
30
クラスとしての地物
„ UMLを用いて、一般業務システムと同じ手法で分析・設計を行う。
„ 地理情報にかかわる属性については地理情報標準が提供する部品群を
使用する。
„ 設計により定義されたクラスで、地理情報標準の部品を使用して属性が
定義されたものは 「地物」 である。
≪Feature≫
顧客
注文
商品
≪Feature≫
倉庫
≪Feature≫
配送車
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
31
応用スキーマ
「ISO 19109 応用スキーマのための規則」 で規定
„ 地物を含んだクラス定義を地理情報の観点からは応用スキーマと呼ぶ。
„ クラス定義はUMLのクラス図によって記述されている。
‡ オブジェクトがもつ属性の違いが、クラスを分類・定義する基準となる
‡ 地物の場合にも、地物のもつ属性の違いによって、地物を分類・定義する
‡ 地理情報標準「応用スキーマのための規則」で記述ルールを定義
対応
応用スキーマ
(設計文書)
地理情報
(実データ)
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
32
応用スキーマにおける地物クラス設計
„ 地理情報標準では、地物に次の属性を定義できる。
属性の種別
概
要
主な部品
空間属性
地物の空間的な位置や形状、 GM_Point, GM_Curve,
位相に関する情報を属性として TP_Node, TP_Edge
与える。
など
時間属性
地物の時間的な位置や位相に TM_Instant,
関する情報を属性として与える。 TM_Period,
TM_Node, TM_Edge
など
主題属性
アプリケーション要件に応じて
基本データ型、その他
地物に定義する情報を属性とし 標準提供以外の部品も
使用する
て与える。
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
33
空間属性
„ 地物の空間的な位置や形状、位相に関する情報を属性として保持する。
‡ 「空間スキーマ」 で定義された要素、データ型を使用して記述する。
‡ 「空間スキーマ」 では、幾何情報を表現する要素と位相情報を表現する
要素が定義されている。
≪Feature≫
≪Feature≫
建 物
建 物
+ 形状:GM_Surface
1
形状
GM_Surface
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
34
時間属性
„ 地物の時間的な位置や位相に関する情報を属性として保持する。
‡ 「時間スキーマ」 で定義された要素、データ型を使用して記述する。
‡ 「時間スキーマ」 では、時点・期間を表現する要素と時間位相情報を
表現する要素が定義されている。
≪Feature≫
≪Feature≫
建 物
建 物
+ 存在期間:TM_Period
1
新旧それぞれの建物の情報を、
存在期間
TM_Period
時間属性を管理して保持できる
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
35
主題属性
„ アプリケーション要件に応じて地物に定義される情報
‡ アプリケーション要件に基づいて自由に定義できる。
‡ UMLで規定されたデータ型、地理情報標準が提供するデータ型、
アプリケーションで定義したデータ型などを使用する。
ABCD郵便局前
〒
ABCD郵便局
≪Feature≫
≪Feature≫
郵便局
交差点
+名称 : CharacterString
+住所 : CharacterString
+シンボル位置 : GM_Point
+名称位置 : GM_Point
+名称 : CharacterString
+平均交通量 : Integer
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
+名称位置 : GM_Point
+引き出し線 : GM_Curve
36
地物間関係-継承関係
„ 地物クラス間で汎化と特化の関係を定義する。
‡ インスタンス化されない上位クラスを抽象クラスと呼びクラス名を斜体で書く。
特化
継承関係
汎化
学校
小学校
中学校
高等学校
定時制高校
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
通信制高校
37
地物間関係-集約関係
„ 地物クラス間で集約の関係を定義する。
‡ 親のインスタンスが消滅しても、子のインスタンスは消えない。
学校
1..*
運動場
0..1
プール
1..*
校舎
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
1..*
体育館
38
地物間関係-関連
„ 地物クラス間の対等な関係を定義する。
‡ 自クラスに対して関連をもつこともある。
姉妹校
小学校
避難場所
指定医療機関
病 院
課外活動
市民会館
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
自治会
39
空間位相関係の表現
„ 地物クラス間で、空間における位相的なつながりを定義するための部
品を定義。
区間道路
交差点
〒
ABCD郵便局
位置
形状
空間幾何属性
空間幾何属性
GM_Curve
GM_Point
道路ネットワーク
TP_Complex
geometry
geometry
空間位相属性
TP_Edge
2
boundary
空間位相属性
TP_Node
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
40
応用スキーマの作成
„ 応用スキーマは、地理情報の構造を記述したもの(モデル)。
応用スキーマ
地物の抽出
建 物
引込
名称
住所
電話番号
XX 公園
XX 病院
属性・機能・振舞い・
表現方法などが共通
するものを集約して
地物とする。
架設
電 線
名称
電線種別
被覆加工
電話番号
名称
電柱種別
付属設備
所有者
工事日
面要素
線要素
点要素
地理情報標準により提供されるもの
- 応用スキーマを記述するルール
- 空間属性を表現するための部品群
- 時間属性を表現するための部品群
標準が提供する
部品の利用
電 柱
接続
病 院
公 園
診療科目
診療時間
名称
面積
施設
住所
面要素
- 主題属性を表現するための部品群
- 応用スキーマから空間データの
フォーマットを導くルール
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
41
地理情報の自由度を保つ応用スキーマ
„ 地理情報の自由度を確保するためには、応用スキーマが不可欠
•クラス定義や保持する属性を業務に応じて自由に定義できることが必要である。
• 地理情報のフォーマットを固定的に定義するとそれでは表現できない情報が
必ず出現する。
応用スキーマにより、自由度を保った標準化が可能となる
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
42
地理情報の交換
„ データの内容やフォーマットを伝えるために応用スキーマを利用する。
交換するデータ
地理情報
取り込み仕様
地物クラス
属性
応用スキーマ
地理情報
データセット
地理情報
取り込み
プログラム
自社仕様の
データセット
地理情報
標準データを
サポートする
ツール
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
43
応用スキーマの所在と利用
„ 応用スキーマは、地理情報の設計文書として管理され交換される。
„ より汎用的には、メタデータによって所在が明確にされる。
„ メタデータを検索することによって、地理情報の利用が可能になる。
メタデータ
識別情報・系譜
メタデータ
品質要素
利用法・制約情報
品質評価報告書
クリアリング・ハウス
地物名称 XXX
地物属性
データセット
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
応用スキーマ
地物カタログ
44
Ⅲ.地理情報標準による符号化
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
45
符号化の位置づけ
空間データ提供者
交換対象の
空間データ
クリアリング
ハウス
対
応
空間データ構造に基づき
地物を設計する
空間データの
仕様
空間データ利用者
地物
カタログ
メタデータ
応用
スキーマ
空間データの
仕様
応用
スキーマ
出力フォーマットや
変換方法が決まる
入力フォーマット 符
や変換方法が 号
決まる
化
符
号
化
標準仕様へ
データ変換
提供される
空間データ
独自仕様へ
データ変換
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
対
応
利用する
空間データ
46
符号化規則
„ 応用スキーマがUMLで記述され,データ交換する空間データがXML
形式であることを前提とした時の符号化サービスを規定。
応用スキーマ
c
スキーマ
モデル
I
UML
符号化サービス
スキーマ
変換規則
スキーマ
D
XML Schema
又は DTD
インスタンス
変換規則
アプリケーション
ごとの独自形式
空間データ
インスタンス
モデル
インスタンス
文書
XML
d
i
データ交換対象
の空間データ
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
47
インスタンス文書の基本構成
<?xml version=“1.0” encoding=“UTF-8”?>
<GI version=“1.0” timestamp=“2005-01-01 12:00”
xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance“
xsi:noNamespaceSchemaLocation=“APSchema.xsd">
<exchangeMetadata>
:
</exchangeMetadata>
GI 要素
交換メタデータ情報
<dataset>
:
:
</dataset>
データセットの本体
<update>
<add> …. </add>
<modify> ….. </modify>
<delete uuid=“….” />
</update>
</GI>
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
空間データ更新情報
(必要な場合のみ)
48
交換メタデータ情報
„ この空間データ・データセット自体に関する情報。
• このデータセットの名称(必須),作成日(必須)
• メタデータの名称,作成日
• 応用スキーマの名称,作成日
• 適用した符号化規則(必須)
作成日(必須)
• 符号化ツールの名称(必須),
バージョン
• 使用する CodeList の参照情報
<exchangeMetadata>
<datasetCitation>
<title>数値地図25000(空間データ基盤) xxxx </title>
<date>2002-02-28</date>
</datasetCitation>
<encoding>
<citation>
<title>地理情報標準 XMLコード化規則</title>
<date>2000-07-05</date>
</citation>
<toolName></toolName>
<toolVersion></toolVersion>
</encoding>
</exchangeMetadata>
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
49
データセットの本体
„ 応用スキーマで定義されたクラス図にもとづいてタグ構成が決まる。
≪Feature≫
建 物
+ 名称:CharacterString
+ 階数:Integer
+ 床面積:Real
+ 範囲:GM_Surface
+ 竣工日:TM_Instant
属性の型が,データ型やクラスの
場合は,その定義に沿って,
各属性名のタグを設定する。
<建物 id=“xxxx”>
<名称>○○○○ビル</名称>
<階数>8</階数>
<床面積>1324.72</床面積>
クラス名→オブジェクトのタグ名
属性名→属性データのタグ名
基本型の場合は,すぐに値を
設定する。
<範囲>
<patch><GM_Polygon><boundary><exterior><generator>
<GM_Curve><segment><GM_LineString>
<controlPoint> xxxx yyyy </controlPoint>
<controlPoint> xxxx yyyy </controlPoint>
:
</GM_LineString></segment></GM_Curve>
</generator></exterior></boundary></GM_Polygon></patch>
</範囲>
<竣工日>
<position><date8601>2000-04-01</date8601></position>
</竣工日>
</建物>
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
50
オブジェクトの識別
„ 個々のオブジェクトには識別子をつけ,参照時に使用する。
• id
:データセット内でユニーク。 XMLのID属性を使用する。
• uuid :システム全体でユニーク。 DB更新時には必須。
オブジェクト参照には,id,uuid の他,URI,XLINK を使用してもよい。
≪Feature≫
建 物
0..*
+ テナント
≪Feature≫
会 社
+ 名称:CharacterString
<建物 id=“BLDG10115” uuid=“8EF045BD32698”>
<テナント idref=“CO2082”>
<テナント idref=“CO2083”>
</建物>
<会社 id=“CO2081”>
<名称>△△商事</名称>
</会社>
<会社 id=“CO2082”>
<名称>○○製作所</名称>
</会社>
<会社 id=“CO2083”>
<名称>XX研究所</名称>
</会社>
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
51
Ⅳ.XMLとセキュリティ
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
52
XMLデータに対する一般的なセキュリティ項目
(1) 識別
相手がだれであるかを識別する。
(2) 認証
識別した相手がその本人であることを証明する。
(3) 許可
ある操作に対して権限を持っているか否かを判断する。
(4) 完全性
送信されたデータが受信されたときも変更されていないことを確
保する。
(5) 機密性
送信しているデータが読み取られない。
(6) 監査
後で取引の証拠を確認できる。
(7) 否認防止
送信者、受信者の双方で、送受信されたデータが正しいことを証
明する。
@IT “XMLセキュリティ” ( http://www.atmarkit.co.jp/fxml/tanpatsu/16xmlsecurity/xmlsecurity01.html ) より
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
53
XML文書に対する一般的なセキュリティ対策
(1) SSL ( Secure Sockets Layer )
(2) 暗号化 (XML Encryption)
(3)XML文書の電子署名
XML Signature
SOAP Security Extensions-Digital Signature
(4)XML文書へのアクセス制限
XACML(XML Access Control Markup Language)
SAML(Secure Assertion Markup Language)
XKMS(XML Key Management Service)
@IT “XMLセキュリティ” ( http://www.atmarkit.co.jp/fxml/tanpatsu/16xmlsecurity/xmlsecurity02.html ) より
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
54
地理情報独特のセキュリティ関連検討項目
1. 地理情報の著作権侵害を防ぐ。
2. 地理情報を作成する際の情報源
コミュニティ内で追記されたデータの扱い。
3. 地図データに記載された個人や企業のプライバシー侵害を防ぐ。
表札情報であれば,集めてもプライバシー侵害にならないのか。
4. 地図データ上の特定データへのアクセス権を管理する。
ベースの白地図は自由に参照してよいが,特定の情報は特定の利用者だけが参照で
きるよう制御されなければならない。
5. 地図データを過剰に信頼することによる利用者の損害を軽減する。
病院があると思って急病人を連れて行ったが,実際にはなかった。
地理情報の品質と利用者の要求品質のギャップ。
6. 地図データが及ぼす社会影響を軽減する。
土壌汚染や事件多発地帯は地価が下がり,都市計画が公表されると地価が上がる。
地理情報は目的外に利用できることが多い。
地理情報に関するXMLデータの標準化と現状
55
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