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57号 発行年月 平成28年3月

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57号 発行年月 平成28年3月
季刊テクノメイトコープ通信―2016 年春号
第 57 号
た
目
ま き
次
巻頭言
TMC Post 2010‐Plan 2020 折り返し点に思う 吉田
弘之
1
寄
パリ協定と今後の地球温暖化対策
浅井
陸之
2
環境トピックス
労働安全衛生法の一部改正
中野
政男
3
報
第 20 回公開講演会・懇親会
4
技術研修会記録
平成 27 年 11 月~平成 28 年 1 月
6
部会活動ニュース
補助金委員会
岡本
長興
7
紀行文
世界に類のない場所“ドロミテ”の魅惑
橋内浩太郎
8
エッセイ
私の半生~思うがままに
中村
書
告
茂樹
10
会員のひろば -21-
11
俳句への誘い(52)
12
クラブだより
13
TMC法人会員一覧
14
誌名『環』の由来
『環』はいうまでもなく「環境」の「環(かん)
」であり、
「環境(保全を図る活動)
」はテクノメイトコープと社会を
結ぶキーワードです。
「環(たまき)
」はもともと「手纏(たまき)
」で、手指に
つける環状の上代の装身具であり、
「手纏の端は無きが如し」
といわれるように、巡り巡って終わることのない喩えに用い
られます。これこそテクノメイトコープの活動目的である
「循環型社会システムの構築」の行きつくべきところです。
日本の歴史と伝統の心を踏まえつつ、地球生態系の環(輪)
、
人間社会の環(和)
、循環型社会の環の大切さを、この小誌
『環(たまき)
』に込めたいと考えます。
題字「環」の書家紹介
濱 和宏氏は、昭和 48 年兵庫県生まれ、平成 9 年 鹿児島大学
大学院水産学研究科修士課程修了、同年 総合科学株式会社入社。
書は鹿児島大学在学中に松清秀仙氏(鹿児島大学教育学部教授・
鹿児島県書道会会長・日展会友)に師事されました。
この題字は、中国古代周王朝の書体で書かれた作品です。
「牡丹」
橋内 浩太郎 画
「画面いっぱい、豪華に自己主張だ!」
※今号から本欄では TMC 水墨画同好会の皆さんの作品を紹介します。
【巻頭言】
TMC Post 2010‐Plan 2020 折り返し点に思う
テクノメイトコープ理事長 吉田 弘之
テクノメイトコープ(TMC)は、本年めでたく NPO 認
証 15 周年を迎えます。7 月には 15 周年記念講演会を
開催すべく鋭意準備を進めているところです。2011
年の 10 周年記念講演会では 130 名余りのご参加を賜
りお祝いして頂きました。15 周年記念講演会にも多
数のご参集をお願いいたします。
私は 2010 年に TMC 理事長を拝命、早いもので本
年 6 月で 3 期を終えます。皆様にお世話になりながら
も大変楽しい 6 年間でした。心から感謝申し上げます。
本稿では、この 6 年間の活動を振り返り、今後の発
展に向けての私見を述べさせて頂きます。
2011 年、設立から 10 年間の成果を踏まえ、次の 10
年をどのように歩んでいくべきかの活動計画 Post
2010 – Plan 2020 を理事会に諮問し、以下策定しました。
(1) 基本理念:「循環型社会システムの構築を視野に入
れたボランティア活動を行い、持続可能な社会の発
展に尽くす」 設立当初の理念を堅持
(2) 活動の基本方針:①相談を受ける、②伝える、③
助ける、④創り出す、⑤育てる
(3) 組織の強化:組織図による組織の明確化。2014 年
に 3 常務理事体制を導入
(4) 会員増強:個人会員 2020 年に 500 名達成目標
(5) 個人会員の「何ができるかデータベース」の構築
支援要請に即座に的確な人材の提供を目指す。
(6) 法人会員への丁寧なサービスの強化
(7) 活動を全国に:2012 年に東京支部設立
(8) 待ちから攻めへ:(i) 府下 3 公立研究所との協働体
制の構築;①2012 年に大阪府立産業総合研究所、
②2013 年に大阪府立環境農林水産総合研究所、③
2014 年に大阪市立工業研究所、それぞれ理事長間
で合意 (ii) 執筆活動の活性化;東レリサーチ、
CMC 出版等の出版社との連携強化
(9) 部会・分科会制を導入:①資源循環部会(亜臨界水
分科会、排水分科会、水研究会)、②環境技術部会
(CO2 削減分科会、省エネ分科会、新エネ分科会)、
③技術調査・執筆部会 を設立
新技術・新事業の創出を目指す。
(10) 経営支援・教育・育成:①ビジネス研究部会、②理
科教育部会 を設立
(11) 潤いの活動の充実:①水墨画同好会、②写真研究
会、③かな文字、絵てがみ同好会、④囲碁同好会、
⑤俳句研究会、⑥テニス同好会、⑦歴史散歩の会
内容を少し説明します。(2)では新規に④、⑤を加え
ました。(1)及び(2)に基づき(3)以下の行動計画を立案
実施して参りました。(3)と(5)は TMC の HP を参照し
てください。(4)は、原田理事(当時)を中心に個人会員
増強のシミュレーションをして頂き、2020 年に「500 名
達成」という目標が設定されました。個人会員数は
2010 年までは 100~110 名でしたが、その後徐々に増
加し 2015 年には約 170 名に達しました。しかし、目
標の 500 名にはほど遠く今後一層の努力が求められ
ます。(6) 法人会員数は 2004 年の 30 社を最高に減少
し 2009 年には 12 社まで減りました。2012 年には 18
社まで戻しましたが、法人会員へのサービスがうまく
機能しなかったこともあり、再び減少に転じ現在 11
社となっています。それに伴う収入減から運営がかな
り厳しくなりつつあります。(7)は“大阪本部に勝る規
模の”という大きな期待を持って東京支部を設立しま
した。しかし、会員数は未だ 20 名にも達しておりませ
ん。これは幅広い分野の技術者集団を目指す方向が狭
い分野に特化する方向にブレてしまったためです。基
本理念に立ち返り、運営方向を見直されることを強く
希望します。
(8)(i)理事長間の合意は Win-Win の関係を
目指すというものでしたが、①はようやく信頼関係の
土台が構築されてきたという状況、②③はまだそれほ
ど活発な活動は行われておらず、今後に期待したいと
思います。(8)(ii)及び(9)~(11)はかなりうまくいってい
ます。特に理科教育部会では技術立国日本を背負う次
世代の若者を育てることを最終目標に、2013 年度に
は堺市内の小学校 30 校 2500 名に、2014 年度には 47
校 4000 名に理科実験を実施、毎日新聞にも大きく報
じられました。2015 年度は理科の本質を理解させ理
科が好きでたまらなくなるような理科実験を開発、
2016 年度の複数市における小学校への理科実験支援
に向けて準備中です。
以上、さらなる努力が必要な項目が多々あります。
特に技術支援の幅を広げ且つ運営資金の安定化を図
るために会員 500 名を達成することが必須と考えま
す。これに対し常に持ち出されるのは設立当初は定年
が 60 歳、今は 65 歳、そのため入会勧誘が難しく入会
しても滞留時間が短い、という負の議論です。確かに
定年 5 年延長に比べ健康寿命 1)(男)は 69.4 歳 (2001)
から 71.19 歳(2013)と 1.79 年しか伸びていません。
今後の課題は、現役技術者にも魅力ある TMC に変
化させ現役の会員を増やし、現役・退職者が協力する
システムの構築と東京支部を拡大発展させることであ
ると考えます。
【参考文献】 1)中野陽典:巻頭言、
“健康寿命”
、「環」
20 号、p.1、TMC 通信(2006)
【寄書】
パリ協定と今後の地球温暖化対策
技術相談員
2012 年に第 1 次約束期間を終了した京都議定
書は、種々の問題点を残しながらも一応世界に地
球温暖化危機の認識を広めた。その後、昨 2015
年末に締結されたパリ協定は、京都議定書の問題
点であった最大の排出国・中国、それに次ぐ米国、
インドさらには途上国等も参加した点は大きな成
果であったが、具体的な取決めや各国の義務およ
び未達成時の責務等の細かいルール作り等は各
国の駆け引きもあり、次回に繰延べとなった。今
後の我が国の取るべき方策について、京都議定書
の反省も含めて述べる。
1 COP21 の合意
★気温上昇を 1.5℃以内にする ★今世紀後半
には排出と吸収を相殺にする ★達成義務化は見
送り、5 年毎に目標を見直す ★先進国から資金
を拠出する
今後、各国は目標をもう一度見直し或いは引上げ
て、2020 年にパリ協定をスタートする。
2 我が国の今後の対応
京都議定書の 90 年比 6%の削減義務に対して、
実績(2012 年)は 8.4%削減の達成であるが、森
林等からの吸収(3.9%)、CDM による認証排出
削減量(5.9%)を差し引くと実質の排出量は逆に
1.4%(90 年比)の増加で
あり、これは業務部門や
家庭部門からの排出増が
主因である。
2030 年 26%削減に向
けて、先ず実現性を重視
して、官民一体となって
推進すべきである。具体
的な方策として、電源構
成のうち原発・再生可能
エネルギーは、これからの
技術進歩に依存する重要
事項であり、3E(Energy Security, Environment,
Efficiency)+S (Safety) の検討に、筆者はさらに
+S(Study=技術開発)を付け加えたい。特に原
発については国内ではマイナスイメージが強く、原
子力工学をこれから志す若者達は激減し、40 年
廃炉処理時点では原子力専門者は皆無になるの
ではないかと危惧する。
一方、近隣国では原発の増設計画や海外(東南
アジア、英国等)への輸出も報じられている。安
浅井 陸之
全面で危惧されるこれらの国で事故が発生した
場合の我が国への影響 は計り知れない。+S
(Study)を進め、世界最先端の安全技術を我が国
が確立し、世界基準を目指すことを切望する。
加えて、JCM(二国間クレジット)を活用すべきで
ある。パリ協定では先進国(英、仏、等)から温暖化
ガスの極めて多い石炭火力発電所を全て閉鎖な
いしは早急に操業停止する意見が続出したが、我
が国を含め途上国では石炭火力発電に依存して
いるのが現実であり、また E (Energy Security)
の点からも早急に廃止することは不可能である。
石炭火力発電依存度第 1 位の中国、第 2 位のイン
ドは、温暖化ガスの排出でも 2 国合わせて世界の
約 40%を占める。他の途上国も含め、これらの
国を一気に CO2 ゼロの再生可能エネルギー普及
に転換させることは不可能である。先ずそれぞれ
の国情に合ったエネルギー転換を段階的に進め
るのが現実性があると考える。我が国の高効率石
炭発電「超々臨界圧発電」(USC)や「石炭ガス化複
合発電」(IGCC)等を、それぞれの国情に合った
形で進めることが地球全体の温暖化ガス削減の
第一歩である。
この具体的な手法として、パリ協定でも概ね合
意が得られた JCM の活用・拡大が我国にとって
非常に重要である。現在、インドネシアをはじめ
16 か国と締約中であるが、JCM 補助金制度活用
で途上国支援の役割を果たすと同時に、日本の環
境技術のビジネスチャンスにもつながると期待す
る。
3 まとめ
我が国の排出量は世界全体の約 4%(2012 年)
であり、2030 年 26%削減を必達すべきことは言
うまでもないが、これを達成しても地球全体で
は約 1%の削減にしかならない。我が国の優秀な
省エネ技術を海外、特に排出量の多い途上国に提
供し、地球全体の温暖化ガス削減にさらに貢献す
ることが重要である。
本年 4 月 22 日から始まるパリ協定の署名手続
には、世界の排出量の 55%以上を占める 55 カ国
の参加が必要であるが、ここから正式にスタート
し世界が一体となって温暖化ガス削減に取り組
むことを切望する。
(2016 年 2 月 5 日 記)
元 三菱自動車工業株式会社(エンジン開発)
テクノメイトコープ CO2 削減分科会 リーダー
【環境トピックス】
労働安全衛生法の一部改正
【化学物質リスクアセスメントとストレスチェックの義務化、受動喫煙防止対策】
技術相談員 中野 政男
1)法改正の動き
最近の社会情勢の変化や労働災害の動向に
即応し、労働者の安全と健康の確保対策を一層
充実させるため、2014 年 6 月 25 日、「労働安全
衛生法の一部を改正する法律」が 7 つの項目に
つき公布されました。その中で特に企業に大き
な影響を与えるのは、①化学物質に関するリスク
アセスメント実施の義務化、②ストレスチェックの義
務化、③受動喫煙防止対策です。以下、その概
要について紹介します。
し、その結果、労働者から医師による面談の申
出があった場合、事業者は医師による面接指導
を実施しなければなりません。また、チェックの
結果に基づいて就業上の措置(業務量の調整、
就業場所の変更、業務転換、労働時間短縮など)
を講じなければなりません。ただし、従業員 50
人未満の事業場については当分の間努力義務
となっています。すでに 2015 年 12 月 1 日から
施行されています。
③受動喫煙防止対策
労働者の受動喫煙防止のため、すべての事業
者において、事業場の実情に応じて適切な措置
を講ずることが努力義務となりました。この対
策には助成金制度があり、一定の基準を満たす
喫煙室や屋外喫煙所の設置・改修、換気装置設
置等の対策を講じた場合には、工事費設備費等
を対象に上限額を 200 万円、助成率 1/2 として
助成金が出ることになっています。すでに 2015
年 6 月 1 日から施行されています。詳しくは下
記サイトをご覧ください。
2)概要
①化学物質リスクアセスメントの義務化
本誌 2014 年冬号(52 号)でも紹介しましたが、
本改正は 4 年前に印刷工場での胆管がん問題
(特別規則の対象ではなかった物質 1,2 ジクロロ
プロパンが重篤な疾病を引き起こしたこと)に
鑑み、一定の健康障害リスクがある 640 物質を製
造または取扱う全ての事業者を対象としてリス
クアセスメントを義務付けるものです。
また、この改正の背景には安全データシート
(Safety Data Sheet、SDS)の普及=JIS 化によ
り、有害化学物質の情報が活用されやすい状況
になってきたことが挙げられます。従って、リ
スクアセスメントの手法には数種の方法がありま
すが、今回の改正では SDS をしっかりと活用す
ることが前提とされた手法(コントロールバンディ
ング法)が追加されております。ただ、作業環境
測定を行う方法は、従来通り現場の実態を正確
に評価する方法として、活用が望まれているこ
とに変わりはありません。
このリスクアセスメントによる結果は、従業員に
周知する必要があるとともに、リスクの軽減措置
を図ることが努力義務とされています。施行日
は 2016 年年 6 月 1 日となっています。
3)引用サイト
①労働災害を防止するためリスクアセスメントを
実施しましょう(厚生労働省・都道府県労働局・
労働基準監督署)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouh
ou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/
0000099625.pdf
②労働安全衛生法改正のポイント 義務化される
従業員のストレスチェック(東京海上日動リスクコン
サルティング株式会社)
http://www.tokiorisk.co.jp/risk_info/up_f
ile/201412081.pdf
③「受動喫煙防止対策助成金」のご案内(厚生労
働省・都道府県労働局)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouh
ou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000088929.p
df
②ストレスチェックの義務化
近年、精神障害による労災認定件数が増加傾
向にあり、自殺者数に占める被雇用者の数が無
視できない割合(全体の 3 割)であることから本
制度が創設されました。その目的は、従業員の
ストレスへの気づきと対処の支援及び職場環境
等の改善にあります。具体的には医師、保健師
などによるストレスチェック(アンケート式)を実施
元 株式会社日本触媒(化学品管理、触媒)
、エコアクショ
ン 21 審査人、エネルギー診断プロフェッショナル
3
【行事報告】
第 20 回テクノメイトコープ公開講演会・懇親会
開催日:平成 27 年 12 月 16 日(水)
講演会:道頓堀ホテル 13:00~16:30
懇親会:
同上
17:00~19:00
第 20 回テクノメイトコープ公開講演会および懇
親会が、約 60 名の参加者のもと盛大に開催された。
講演会は柳瀬 寛氏の司会で進められ、先ず吉田
理事長よりテクノメイトコープ(TMC)の事業内容に
ついて説明があった。
講演Ⅰ 講師:大野 裕之 氏
(永大化工株式会社 専務取締役)
切りに創業、翌年から ABIRON の商標で工業用異
型パッキンの専門メーカーとして本格的に事業を
開始した。当時ブームとなったフラフープを生産し
た時期もある。また、昭和 47 年に風呂フタの生産、
昭和 50 年にカーマットの生産を開始している。平
成 5 年から 8 年にかけて新工場設立や海外展開を
図り、その後のバブル崩壊など厳しい時代を乗り越
えて現在に至っている。現在はベトナム工場が主
力工場であり、自動車用品の主力製品であるフロ
アマットでは近年カラフルな色やデザイン性が求め
られており、従来の加硫ゴムではなくインジェクショ
ン樹脂で成形した製品の生産を始めている。また、
産業用資材ではプラ竹景観材や LED カバー、家
電パーツ(パッキン)、硬度・材質の異なる材料を同
時成形(共押出成形)したものなど多種多様な製品
を生産している。
最後に、今後について、「ものづくり企業」として
成形技術や企画開発力を強化し、スピード感を持
って新たな販路拡大をグローバルに展開していき
たいとのことであり、TMC に対し知恵を拝借したい
とのことであった。
講演Ⅱ 講師:小林 宏至 氏
(株式会社甲南アセット 代表取締役)
演題「永大化工 60 年の歩みと主要製品のご紹介」
永大化工は 2016 年 11 月に創業 60 周年を迎え
る歴史ある会社であり、産業資材部門と自動車用
品部門の 2 つの柱で事業を展開している。大野専
務から①事業内容と永大化工の歩み、②会社概要
(経営方針・売上実績・組織体制・グローバル展
開)、③生産販売アイテム(自動車用品・産業資材)
および④今後の取組、の内容で自社の事業につい
て紹介頂いた。
永大化工は昭和 31 年(1956 年)にその頃普及し
始めた白物家電(洗濯機)用パッキンの製造を皮
演題「事業化の夢と志」
小林社長は川崎重工に 13 年間勤務後 35 歳で
独立して再出発、少年時代の「社長になる」との夢
の実現に向けて数々の会社を立ち上げてこられた。
本講演では、その志と経営者としての哲学を披露
頂いた。
起業当初は店さえ持っていればものが売れると
思っていたが、なかなか売れず、デパートへの工芸
画・民芸品・家具等の売り込みから始めた(第 1 創
業)。しかし、商売は自己の店舗・ブランドでやって
こそ本当の商売であるとの思いから「私のお針箱」
を創業(第 2 創業)。その後「甲南チケット」を創業し
て神戸・大阪・京都・東京に進出、約 20 年間営業
してチケット業界 NO.1 になった。同社を M&A で
売却した時は 67 歳であったが、商売が好きだった
ためビル経営(㈱甲南アセット)に進出(第 3 創業)、
現在 10 年目で東北から九州まで全国展開してい
る。小林社長はそれらの事業を通して企業経営に
関する数々の経験をされた。それは、①製品には
寿命がある、②商売には時流がある、③商売には
立地が重要、ということである。すなわち時流に乗
れば 1 年間頑張れば 2 年目から儲かる。3 年目に
下降し始めて 4 年で寿命が来る。魚釣りは魚のいる
場所でする必要があり、魚がいれば素人でもそれ
なりに釣れるということである。これらは商売の基本
であり、このことを知る必要がある。また、④商売に
は先生が必要である、⑤ベンチャーで重要なのは
シーズではなくニーズである、⑥他人のやっている
ことをよく見てマネをすること、⑦世のため人のため
になる商売をすることが重要、などである。自らの経
験に基づく貴重なサジェスチョンを頂いた。
講演Ⅲ 講師:横山 良平 氏
(大阪府立大学大学院工学研究科
機械工学分野 教授)
演題「エネルギー消費の動向と省エネルギーの
ためのシステム技術」
横山先生は分散型エネルギーシステムを中心と
した研究をされている。本講演では、エネルギー消
費の現状についての説明後、省エネのための最適
なシステム技術について、先生の研究内容に基づ
き紹介頂いた。
近年のエネルギー消費量およびそれに伴う CO2
排出量から鑑みると省エネが重要な課題である。
省エネの方策としては、①エネルギー消費量の削
減、②自然エネルギーの利用、③エネルギー機器
のエネルギー変換・貯蔵効率の向上、④エネルギ
ーシステムのエネルギー利用効率の向上、が考え
られる。また、省エネシステムとしては、①コストパフ
ォーマンスおよび機器構成・容量・台数を考慮した
システムの最適設計、②システムの運用・制御の最
適化、③システムの状態監視・劣化診断技術、等
が重要となる。これらに対し先生はこれまで、①変
動するエネルギー需要に合わせた地域冷暖房シス
テムの最適運用に関する研究、②最適運用計画
支援のための汎用システムの開発、③エネルギー
需要量予測技術の開発、④不確実なエネルギー
需要条件下におけるリスク最小化のための最適運
用に関する研究、等運用に関する研究を実施して
こられた。最近は環境省の熱の面的利用、すなわ
ち建物間での熱の融通をはかるシステム開発・実
証事業における最適運用に関する研究にも関わっ
ておられる。現在までに準最適解の導出が可能と
なったので今後は実証評価を実施されるとのことで
ある。
最後に、エネルギーシステムに関して伝熱などの
要素技術に関わっている人材は多いが、ハードを
含めたシステムが分かる人材が少ないので育てて
いきたいとの抱負を述べて締めくくられた。
懇親会
懇親会は西口一美氏の司会で進められ、吉田
理事長の挨拶と講師の横山良平先生による乾杯
の発声の後、和やかな歓談の場となった。会の中
程では、TMC の 7 つの同好会の中から「水墨画同
好会」および「写真研究会」の 2 つについて、それ
ぞれ幹事の
原田和夫氏
および浅井
陸之 氏から
活動状況や
会員作品の
紹介があり、
併せて参加
の呼び掛け
もなされた。
中締めは、斉藤 昇常務理事による恒例のエー
ルが響き渡り、盛況裡に閉会した。
(村田 吉和 記)
技
術
研
修
会 記
録
期間 H27/11~H28/1
回数
年月日
講演者
題 目 と 概 要
148 回-1 H27. 11.25 堀 秀雄
電池とその構成及び材料の要件
ボルタ電池の発明(1800 年)から電池が市場で実用化されるまでには、さまざまな経緯があります。初期に実
用化された乾電池や鉛蓄電池は何故実用化に適していたのか。これら、現在の市場で実用化されている電池
の構成やその材料の推移について、電気化学的な観点を交えながら考察しました。
(元 松下電池工業㈱、TMC 会員)
148 回-2 H27.11.25 梅島 忠好
「日本国で多い堆肥化方式」と「新技術の堆肥化方式」の臭気問題
現在生ごみの堆肥化が盛んですが、神奈川県や東京都の生ごみの堆肥センターは、強烈な悪臭で廃止、
中止に追い込まれています。これは、毎日中身の変わる生ごみの発酵から悪臭の元が無限に発生し、脱臭操
作が追いつかず悪臭を止められなかった結果です。この堆肥化の場合、発酵過程での脱臭には限度があり、
発酵過程で悪臭を出さないシステムを選別すべきだったのです。今回は、「日本国で多い堆肥化方式」の悪臭
問題と、発酵過程で臭気を出さない「新技術の堆肥化方式」について説明させていただきました。
(中部有機システム㈲ 取締役社長)
149 回-1
H28.1.27
川北 浩司
続々と導入されるエネルギーマネージメントシステム
~見える化による経費抑制の現状について~
近況、原油価格は 11 年ぶりに 40 ドルを割る安値基調の状況にあるなど、世界経済も刻々と変化している。
国が平成 27 年 7 月にまとめたエネルギーミックスでは「徹底した省エネ」を謳い、新たな視点として、家庭用から
産業用に至るまで「見える化」を推奨している。講演では、国の政策やエネルギー情勢を踏まえ、一つ目は、補
助事業の採択状況と来年度の傾向について、二つ目は、エネルギーを「見える化」するエネルギーマネージメト
システム(EMS)の具体的な特徴・長所短所、コスト削減効果実績などについて発表しました。
(大阪府環境農林水産部エネルギー政策課 課長補佐)
149 回-2 H28.1.27
近藤 健一
世界の綿花畑を訪ねてエシカルファッションに目覚める
世界の綿花産出国を自らの足で歩いて、心に届いた農家とコラボレーションし、求めた綿花で創作した糸は
世界のブランドに認められました。50 年間追い求めた理想の世界、たどり着いた究極のエシカルファッションは
オーガニックでした。講演では、その体験談と国内外のブランドが感動した商品やその元の原料に触れながら
体験学習をして頂きました。
(大正紡績㈱ 繊維事業本部長(兼)東京営業所長)
各講演に就いて、詳細をお知りになりたい方は事務局までご連絡下さい。
白馬連山
6
【部会活動ニュース】
補助金委員会
リーダー:岡本 長興
補助金委員会は、テクノメイトコープ(TMC)の法
人会員や各部会・分科会への補助金・助成金情報
の提供、申請支援等を TMC の活動の一つに追加
するとして平成 26 年 10 月に発足した。原則月 1
回開催をルールに数名のメンバーで立ち上がり、
1 年余り経過したところであり、今回はその活動
の概要をご紹介する。
1.補助金等関係情報の発信
発足当初から取り組んで来た会員企業各社へ
の補助金等情報の提供は、平成 27 年は 33 回(ピ
ークは 2 月 10 回、3 月 9 回)の発信を行った。吉
田理事長からの転送メール情報をはじめ、
J ネット 21[中小企業ビジネス支援サイト]:
http://j-net21.smrj.go.jp/srch/shikinsearch.do
ミラサポ:
https://www.mirasapo.jp/subsidy/
中小企業庁:補助金等公募案:
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/koubo/
大阪府商工労働施策ガイド:
http://tsunagu.tri-osaka.jp/hojyokin.html
近畿経済産業局公募情報:
http://www.kansai.meti.go.jp//koubo.html
および経産省、中小企業庁、環境省、国立研究開
発 法 人 新 エネルギー・産 業 技 術 総 合 開 発 機 構
(NEDO)、国立研究開発法人科学技術振興機構
(JST)等からのものである。
2.補助金申請支援
補助金申請支援のためには情報入手が必須で
あることから、以下の説明会等に参加した。
①平成 26 年度補正ものづくり・商業・サービス
革新補助金説明会(H27.2.25 、H27.7.2)、②も
のづくり中小企業・小規模事業者連携支援事業説
明会(H27.1.28)、③平成 26 年度補正予算地域工
場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金説
明会(H27.3.10)、④ものづくり補助金成果事例
発表会(H27.11.26)、⑤平成 28 年度経産・環境・
農 水 ・ 文科各省予算及び税制改革勉強会 (H27.
12.2)、⑥ものづくり中小企業向け経済産業省予
算説明会(H28.2.8)、⑦平成 27 年度補正ものづ
くり・商業・サービス新展開支援補助金説明会
(H28.2.12)。
比較的身近な補助金である、ものづくり・商業 ・
サービス新展開支援補助金は過去 3 年間の予算
額が約 3,400 億円、応募件数 91,366 件、採択率
約 42%、うち大阪府採択は 3,800 件であった。
今回は 1,020.5 億円で予算規模は昨年度並み、
現在公募中で依然人気が高い。昨年、中小企業の
省エネルギー設備導入補助金(A 類型)最新モデル
の省エネ機器等の導入支援 800 億円程度 は公募
開始の 3 月 16 日から約 1 か月で埋まるほど大変
な活況であった。今年も設備導入補助金省エネ・
生産性革命投資促進事業平成 27 年度補正予算額
は 442 億円、エネルギー使用合理化等事業者支援
補助金平成 28 年度予算案額は 515 億円、それぞ
れ 3 月中旬並びに 6 月公募見込みである。
これら補助金申請支援については、これまで数
例助言を行っているが、申請書作成から関わった
実績はない。そこで、新しい顧客開拓のため以下
のようなイベントに出向き TMC の宣伝活動を
行った。
①7 信用金庫主催企業マッチング展示会(H27.6.
3~4)
、②大阪勧業展(H27.10.22~23)、③びわこ
環境ビジネスメッセ(H27.10.22)、④ビジネスチャン
ス発掘フェア(H27.11.26)、⑤高機能プラスチックゴ
ム展(H28.2.10)。
ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金説明会
3.今後の活動方針
TMC の主たる活動の一つとして定着を図って
いくため、比較的取り組みやすい補助金申請支援
に注力しながら、TMC の強みを生かした形づく
りを目指している。委員会には、ものづくりやサ
ポイン事業補助金の経験者、省エネ関係の熟練者
等も在籍しているが、なお不十分であり、当活動
にご賛同頂ける方々のご協力を切にお願いしたい。
元 武田薬品工業株式会社(食品生産技術、生産管理)
テクノメイトコープ理事
【紀行文】
世界に類のない場所
類のない場所“ドロミテ”の魅惑
技術相談員 橋内 浩太郎
昨 2015 年 7 月初め、
ドロミテ街道のハイライトは
は、ドイツ語で「ドライ・
イタリアの北東部、3000
チンネン」、イタリア語では「トレ
「トレ・チメ・ラヴァレ-ド
m級の山々が連なり、
(三姉妹峰)」と呼ばれる 3,,000m級岩峰だ。各々
独特の赤茶色の岩肌が
が 100m程の先端をもつ独立峰で
独立峰で、世界の登山
垂直に切り立ったドロミ
者のお気に入りの場所となっている
となっている。
テ山塊を旅した。垂直の
岩壁の迫力という点で
は、今までアメリカのヨセ
ミテ国立公園・エルキャピ
タンが一番だと思っていたが、ドロミテ
ドロミテではそれ
を超越する感動を受けた。
ドライ・チンネン
ドロミテ山塊
ドロミテ山塊の西の拠点はボルツアーノ
ボルツアーノ、東がコ
ルティナ・ダンペッツォで、その間をドロミ
ドロミテ街道が
通じている。そこには山と森に囲まれた美しい
ドライ・チンネンのバス駐車場
のバス駐車場
湖、夏でも雪をかぶる氷河、牧草の丘
湖、夏でも雪をかぶる氷河、牧草の丘、そして
そこへはバスの駐車場からこの岩峰を眺めな
の駐車場からこの岩峰を眺めな
ポルドイ峠にはマルモラーダ(ドロミテの最高峰
(ドロミテの最高峰
がらハイキングで半周する。
。途中には山の小さな
3,343m)を手に取るほど近くまでロープウエイ
ロープウエイ
教会や初登頂したグローマンの
グローマンの記念碑があり、ト
が通じているところがある。周辺では自然のパノラ
自然のパノラ
ロールブルーメ、アルペンローゼ、エーデルワイス
ペンローゼ、エーデルワイス
マを思う存分楽しみながらハイキング
ハイキングすること
の花(全て野生ですぞ)が咲いている
が咲いている。100m程
が出来る。
の岩峰ではロッククライミング
ロッククライミングをしている人が何人
もいた。しかし、当地の天候は急変する
天候は急変する。今回
の旅においても、突如激しい雷雨に見舞われた
突如激しい雷雨に見舞われた。
山歩きは午前中にしましょう。
ドロミテの名前は、フランス
フランスの地質学者 デオダ・
ドゥ・ドロミュー(Dèodat
Dèodat de Dolomieu:1750-1801)
Dolomieu
に由来している。ここで見られる岩石を最初に
ここで見られる岩石を最初に
分析した学者で、その功績が
学者で、その功績が認められ、ドロスト
ン(苦灰石)という名がつけられた。苦灰石は炭
という名がつけられた。苦灰石は炭
ポルドイ峠
酸カルシウムと炭酸マグネシウム
マグネシウムから構成された
石灰岩で、地質時代に温暖な海底で形成された
地質時代に温暖な海底で形成された
ボルツアーノには鉄道もある
には鉄道もある。美しさで有名な
堆積岩だ。それが隆起して、アフリカ
アフリカ大陸とヨー
ミズリーナ湖(標高 1756m
m)は登山の中心地の一
ロッパ大陸のせめぎ合いでアルプス
アルプスを作り、ドロミ
つだ。コルティナ・ダンペッツォ
ダンペッツォに近いライトブルー
テが形成されたという。苦灰石は垂直に侵食さ
。苦灰石は垂直に侵食さ
の湖面には、ドロミテの山々が
の山々がくっきりと映える。
れ、塔、鐘状の塔、
鐘状の塔、尖塔、ひびの入ったブロック、
ひびの入った
積み重ねテラスに似た幻想的な外観
幻想的な外観が作られた。
これがドロミテの起源である。
地球温暖化が言われるが、この旅行で自然の
この旅行で自然の
不思議を再認識した。現在、地球の大気に含ま
地球の大気に含ま
れる二酸化炭素は約 0.03%であるが
であるが、地球が誕
生した頃は大気の中に大量の二酸化炭素が含ま
は大気の中に大量の二酸化炭素が含ま
れていた。今の 20 万倍であったという。この
万倍であった
コルティナ・ダンペッツォのドゥオーモ
膨大な二酸化炭素はどこへ行った
膨大な二酸化炭素はどこへ行ったのだろうか。
コルティナ・ダンペッツォ
ダンペッツォは、1956 年の冬季オリ
二酸化炭素は石灰岩の中に取り込まれている
中に取り込まれている。
ンピックを開催したところ
を開催したところである。町の中心には
その仲介をしたのはサンゴ、藻類、層孔虫だ
その仲介をしたのはサンゴ、藻類、層孔虫だ。
白い岩で出来た美しい
白い岩で出来た美しいバロック調のドゥオーモ
ストロマイトライトは、地球上で初めて二酸化炭素
めて二酸化炭素
(教会)があり、銅の小尖塔と
銅の小尖塔と独特の高い鐘楼を
を石灰石に変えた生物だ。今人類が困っている
。今人類が困っている
備えている。四方のドロミテ
ドロミテの山々が町の境界を
二酸化炭素を海が何とか吸収してくれないかと
吸収してくれないかと
決めている。優れた冬季観光
優れた冬季観光リゾートであり、かつ
思うが、地球規模で自然の循環が
地球規模で自然の循環がこれを処理す
美術館巡りや音楽イベント
イベント、お祭など様々な文化
るには 100 年とか 200 年の単位ではなく、100
年の単位ではなく
的活動を楽しむことが出来る
楽しむことが出来る。
万年単位の時間を要する。従って
従って、年に 1%の
スイスアルプスと繋がっている
と繋がっているドロミテは、マッ
二酸化炭素増加は大変なことである。もう一つ、
ターホルンやアイガーのような花崗岩とは異な
のような花崗岩とは異な
ドイツで原発を止めると言っているが
っているが、そのせい
り、石灰岩で構成されているため、象徴的な形
か昼間のドイツの空港ではほとんど電灯がつい
はほとんど電灯がつい
の山頂や絶景を有するが、麓からは見えにくい。
ていない。また、タクシーなど車の冷房も客が乗
車の冷房も客が乗
このため観光面では劣るが、
このため観光面では劣るが、スキー客やサイクリ
車して初めてエアコンを使用する徹底ぶりだ。
を使用する徹底ぶりだ。そ
ング愛好者のメッカであり、夏
であり、夏・冬にはホテルはス
のような徹底した習慣が果たして
のような徹底した習慣が果たして日本で実現出
ポーツを楽しむ人々で溢れる。
を楽しむ人々で溢れる。ドロミテの村々、
来るだろうか。熱中症がやかましいことだろう。
がやかましいことだろう。
とりわけコルティナ・ダンペッツォ
コルティナ・ダンペッツォは若いスポーツ
マン達の活気が直に感じられるところである。
達の活気が直に感じられるところである。
ドロミテを一躍有名にしたのは第一次大戦の戦
を一躍有名にしたのは第一次大戦の戦
場となったからである。ハンガリ
ハンガリー・オーストリア
対イタリアの戦場になり、そこに道路や塹壕が作
そこに道路や塹壕が作
られた。現在では戦時中の道路が観光に役立ち
道路が観光に役立ち、
冬にはスキー客が押し寄せてくる
客が押し寄せてくる。ケーブル、ロ
ープウエイ、リフトが驚くほど完備されている。
が驚くほど完備されている。
コルティナ・ダンペッツォ
–––––––––––––––––––––
–––––––––––––––––––––––––––––––––––––
元 株式会社クボタ(建築・土木資材、環境装置の販売マー
ケティング
ミズリーナ湖
新市場・新商品開発)
【エッセイ】
私の半生~思うがままに
技術相談員 中村 茂樹
昨 2015 年 4 月、縁あってテクノメイトコープに入
会させていただき、早や 9 ヶ月が過ぎました。
45 年に亘るサラリーマン生活も今年の 3 月で終え
る予定であり、この機会にこれまでの人生を思う
がままに披露させていただきます。
私は香川県西部に位置する大野原町(現 観音
寺市大野原町)という山あり海あり自然がいっぱ
いの田舎町で高校まで過ごしました。子供のころ、
近くの神社や田畑、池、川でチョウチョ、蝉、トンボ
や鮒、ドジョウを捕ったり、ソフトボールや海水浴を
して遊んだこと、たまには母親の実家で農作業を
手伝ったこと、春から秋にかけて咲き誇る美しい
花々、さらには盆踊りや盛大な秋祭りなどがなつ
かしく思い出されます。今も墓参りをかねて年に
何回かは帰省しており、その折には中学、高校の
同窓生と会い、近況報告や昔話に花を咲かせてい
ます。私にとって故郷は癒しをもらえる本当にい
いところだなあといつも思っています。現在住ん
でいる奈良県からは 300km 弱であり、完全リタイ
ア後は年に何ヶ月かは故郷に住み、四国八十八ヶ
所参りでもしようかなと思うことがあります。
高校卒業後は大阪の大学に進学しましたが、学
生時代の思い出としてはアパートでの夜を徹して
の麻雀、アルバイト、そして北海道、九州、沖縄など
へのユースホステルを利用した長期間の旅行など、
学生の特権をフルに使った生活に明け暮れ、勉強
をおろそかにしたことを今でも反省しています。
大学卒業後、株式会社クボタ(当時は久保田鉄工
株式会社)に入社、配属された所がクボタ創業の地
であり、計量機器と自動販売機を作っていた船
出町工場でした。現在、毎月開催されている
“TMC 技術研修会並びに活動報告会”の会場であ
る“大阪府立大学 I-site なんば”は船出町工場の
跡地を再開発した土地にあり、ここへ来るたびに
40 年以上前の入社当時のことを思い出し、郷愁
に浸っています。入社 3 年目に八尾市への工場移
転(久宝寺工場)があり、それが縁で奈良県に自宅
を購入し、現在に至っています。
船出町工場、久宝寺工場では計量機器、自動販
売機、粉砕機器(プラント)等、大小さまざまな製品
のモノづくりに携わりました。品質管理・品質保
証の業務が長く、その中でも特に ISO9001、
ISO14001 の認証取得活動に深く関わりました。
私が初めて ISO の認証取得活動に関わったのは
23 年前の 1993 年であり、コンピュータ関連製品で
ISO9002 を認証取得しました。その後今日まで
に ISO9001 で 4 件、ISO14001 で 2 件の認証取
得活動の経験があります。
当時、著名な大学教授に方針展開の指導を受け
ていましたが、たまたま ISO の認証取得の話を
した時、「ISO は規格への適合性を第三者機関が
審査する制度であり、我国の品質管理・品質保証
になじむかなあ?」と言われたことを今でも鮮明
に覚えています。しかしながら、その後の国内外
の ISO の認証取得件数の増加には眼をみはるも
のがあり、戦後の我国産業の礎になった日本式品
質管理・品質保証が忘れ去られた感すらありまし
た。ところが最近 ISO を認証取得した多くの企
業から「目に見えた成果が上がらず、逆に ISO を
維持するための業務が増え、かえって生産性の低
下、業務の質の低下等の問題が生じている。審査
登録機関に支払う金も馬鹿にならない」との話を
よく聞き、認証を返上する動きも出ています。
ISO の認証取得の本来の目的は、国際標準に基
づいたマネジメントシステムを構築し運用すること
により信頼性を確保すること、業務の標準化・共
通化を推進することにより効果的・効率的なマネ
ジメントシステムを再構築し、事業に直結した活動
を展開することだと考えますが、このことが充分
に理解されず、ISO の認証取得とか維持に重点が
おかれているために ISO が形骸化していること
が、今日の状況を招いている大きな原因ではない
でしょうか。折しも昨年 9 月に ISO9001、
ISO14001 の規格が改定され、11 月に JIS 規格
が発行されたところであり、改定の主目的は以下
の 2 点に絞られるのではないかと思います。
①ISO9001 以降発行された様々なマネジメントシ
ステム規格間の整合を図る。
②事業と ISO の要求事項をより密接に結びつけ、
認証の信頼性を確保する。
私は、ISO9001、ISO14001 の 2015 年版規格へ
の移行を機に現状の課題及び規格改定の目的・主
旨等を充分に理解し、ISO を事業に直結したマネ
ジメントシステムに再構築し、企業の発展、ひいて
は我国産業の発展に寄与すべきでないかと考え
ています。
元 株 式 会 社 ク ボ タ ( 品 質 管 理 ・ 品 質 保 証 、 ISO9001 ・
ISO14001 の認証取得・維持活動)
会員動静 (平成 27 年 12 月~28 年 2 月)
会員紹介
【個人会員】
田中 厚夫(個人会員)
西川 譲
(元 ㈱島津製作所、1 月入会)
西村 喜之
(現 水青工業㈱、元 ㈱神戸製鋼所、1 月入会)
京都市出身(1946 年生)
元 シャープ㈱
(情報機器研究開発)
趣味:テニス、ゴルフ、
(電子)ドラム
(2008 年入会、テニス部、ありん会:俳句)
☆トピックス
【ひとこと】
定年後、都会のど真ん中(靭公園)でテニスができ
「TMC 水墨画同好会会員の力作、“環”誌に登場」
る TMC テニス部の存在を兄(實:TMC 会員)から聞き、
迷う事なく入部し、その後の呑み会までエンジョイで
お気付きとは思いますが、長年本誌「環」の表紙
きました。最近は、もっぱら地元(名張)でのテニスが
裏を飾ってきました寺山南楊先生の作品に代わっ
中心ですが、40~60 歳のブランクを埋めて昔の自
て、本号から TMC 水墨画同好会のメンバーによる
分のテニスができないかともがいてきた結果、少し
作品が登場します。南楊先生の言によれば、「当メ
いい感じになってきたと思い始めた矢先、膝に軽い
ンバーの実力は素晴らしく、もう何も教えることがな
痛みが出初めました。医者が辞めた方がいいと言っ
い」とのこと。皆様、どうぞご堪能の程を。
たからといってテニスは辞められません。
人間も自分も上手に壊れていくように造られてい
会員紹介
る事を思い知っただけです。歳をとる
ことと頑張りとの間のトレードオフ状態
堀 秀雄(個人会員)
から、またもがいて行こうと思い始めて
会員の
大阪市出身
います。
(1950 年生)
元 松下電池工業㈱
趣味:自然&歴史の
会員紹介
鑑賞
-21大阪府交野市在住
(2014 年 7 月入会)
ひろば
長谷部 恵
(個人会員)
【ひとこと】
「お役立ち」
2014 年の 3 月末から大阪府産業支援型 NPO 協
議会での委託事業(大阪府からの水素・燃料電池
普及事業)に参加した縁で、TMC に入会させて頂
きました。
上記の委託事業は 1 年間で終了しましたが、在
任中は TMC の方々には一方ならぬ御世話を頂き
感謝申し上げます。永らく電池の製造技術部門で
働いておりましたが、燃料電池を手掛けるのは初め
てで大変勉強になりました。現在は更なる委託事業
や補助金を NPO 協議会ならびに TMC が獲得する
ための取り組みのお手伝いをさせて頂いております。
そもそも「儲け」というものはお客様に対する「お役
立ち料」であることを肝に銘じ、少しでも社会に役立
つことが出来るよう微力ながら活動してゆきたいと思
っております。
11
徳島市出身(1938 年生)
元 日東紡㈱
奈良市在住
(2001 年入会)
【ひとこと】
中学生の松山時代に昆虫採集(蝶)を始め、山口
でギフチョウを初めて捕まえて喜んだりしました。就
職してからも夏休みには信州に採集によく出かけて
いました。今も旅行には補虫網を持って行きますが
若い頃の熱心さはありません。しかし、機会があれ
ば蝶の幼虫を飼育して、命とか自然に向かい合い
たいと思っています。私を蝶の収集に誘い込んだ
友人は蝶を卒業して今は“ダニ”の分類をライフワー
クにしています。
俳 句 へ の 誘 い(52)
俳句は季語の働きが 9 割と言われるほど、季語の使い
方一つで佳句にも駄句にもなると言われています。新し
い季語について、
芭蕉は「生涯の内で一つでも新しい季語
を見つけることができれば手柄である」と言ったそうで
すが、新しい季語について次のような興味深い話が載っ
ています。
土芳が「近頃、『年の松』とか『年の何々』などが歳旦(元
旦)の季語として使われていますが、如何でしょうか」と
尋ねたところ、
芭蕉は「達人のわざにあらず。
論に及ばず」
と言下にその愚を諫めたそうです。本来「年のなになに」
閑かさや飛沫も凍る那智の滝
久保 研
糠 床 の い つ も の 匂 ひ 年 惜 し む 黒田美代子
ツンドラの大地果てなし初飛行
土谷堂哉
水着着て御慶を申すプールかな
堤
淳
天 職 や 創 縫 ひ 合 は す 寒 の 夜
中野陽典
伊 吹 嶺 の 名 残 り の 空 や 寒 茜
南後 勝
新 三 役 受 く る 寒 九 の 力 水
西口梯梧
天空と大湖溶けあふ比良時雨
原田敏郎
淑 気 裂 き 詠 唱 走 る 深 山 か な
細見俊雄
二 上 山 は 母 の 郷 な り 初 茜
山口惠子
瓦 礫 中 水 仙 ひ ら く 地 震 の 日
劉 由紀
という言葉は「年の瀬」とか「年の市」のように年末の事柄
心斎橋句会以外の句会報
初 午 の 鳥 居 を 抜 け て 伏 見 酒
事柄には相応しくないと思っていたことが分かります。
節 分 や 孫 よ り 受 く る 歳 の 豆
水 仙 の 越 前 岬 匂 ひ け り
日本語本来の言葉のもつ意味(特に季語のもつ季節感)が
変わるような使い方は正しくないと思っていたようです。 大 皿 の 一 つ 片 付 く 二 日 か な
取り札の乱れ飛ぶかな歌留多会
現代俳句でも、歳時記に例えば「春時雨」の項があり、
山 寺 の 寒 さ 忘 れ て 寒 牡 丹
もっとも権威のある高浜虚子編の歳時記にも「春になっ
に使われる、歳末の慌ただしさを帯びた言葉で、元旦の
石井孝定
稲田正弘
上原 赫
内田吉彦
緒方 勝
岡本長興
て降る『時雨』のことで、春の時雨には明るさと艶やかさ
がある」と解説されています。
分からないことはないので
すが、「時雨」とは本来冬の初めから中頃にかけて降る雨
のことで、芭蕉の言を借りれば、春の時雨という使い方
は「年の松」と同じように、いささか違和感を覚える使い
方のように思います。皆さんは如何思われますか。
平成 28 年 1 月度 心斎橋句会報
天 日 へ 葭 焼 の 火 の 高 揚 る 柏原昭治
書 初 の 天 上 大 風 て ふ 四 文 字 大槻一郎
烏賊詰めの飯やはらかし女正月
畑山淑子
工事場のブルドーザーに注連飾り
荒川欽二
三 輪 山 は 天 つ 磐 境 初 山 河
井村隆信
雪 女 蓮 如 堂 へ の 道 遠 し 大西きん一
ノートには納まりきらぬ朴落葉
片山啓子
寒 柝 の 私 語 を 挟 み て ゆ き に け り 北浦賀代子
草の芽や眠りを覚ます兵馬俑
金納義之
新 春 や 此 の 地 に 残 る 松 竹 座 久下萬眞郎
御朱印を受くれば那智の初鴉
バゲットのごつんと当たる寒の朝
子等集ひ賑はひ楽し二日かな
石 佛 の 微 笑 む そ ば の 寒 牡 丹
鳥居前破魔矢かかげてVサイン
凍りつく引き戸に光る朝日あり
北 海 の 内 湾 凍 り て 蓮 模 様
貝 殻 を 踏 む 音 刻 み 二 日 か な
初午やふいにしりとり始まりぬ
陽 光 に 片 栗 の 花 反 り 返 る
去年今年泰然として富士の山
鐘 の 音 や 月 光 凍 つ る 谷 の 里
駅 伝 の 号 砲 響 く 二 日 か な
独り寝のくさめのひとつ響きけり
岸本 昇
北尾惠美
権 順度
橘 覚雄
橘 雅子
田中厚夫
田中 孝
秦 良彰
福永英彦
都 福仁
宮下 博
村田博史
山本兼司
横田真哉
テクノメイトの定例俳句会ご案内
ありん会(メール句会)
毎月1日締切り
D&H句会
毎月第 2 木曜日
心斎橋句会
毎月第 3 木曜日
(井村隆信 報)
クラブだより
テクノメイトコープでは会員および関係者の
親睦のため、下記の同好会を開催しています。
詳細は各クラブ幹事にお問合せください。
TMC囲碁同好会
実施日
参加者数
第 172 回 27.12.22
8
第 173 回 28.01.20
12
第 174 回 28 02.15
8
原則毎月第 3 水曜日開催
<幹事
優勝者
山本英毅
金納義二
長谷部恵
橘 覚雄>
TMCテニス同好会
実施日
参加者数
会場
第 150 回 12 月は雨で中止
第 151 回
1 月は雨で中止
第 152 回 28.02.22
5
靱庭球場
原則毎月第 3 月曜日開催(時に変動あり)
<幹事 長谷部 恵>
TMC俳句研究会(心斎橋句会+その他の句会)
実施月
延参加者
会場
第 150 回 27.12
61
TMC
第 151 回 28.01
56
〃
第 152 回 28.02
49
〃
<幹事 井村 隆信>
TMC水墨画同好会
(心斎橋水墨画教室/指導:寺山南楊先生)
実施日
参加者数
会場
第 124 回 27.12.09
7
ヒカリビル 2F
第 125 回 28.01.13
7
〃
第 126 回 28.02.10
5
〃
原則毎月第 2 水曜日開催
<幹事 原田 和夫>
TMCかな文字、絵てがみ同好会
(指導:片山弘子先生)
実施日
参加者数
会場
第 83 回 27.12.15
5
TMC
第 84 回 28.01.19
5
〃
第 85 回 28.02.16
5
〃
原則毎月第 3 火曜日開催
<幹事 井村 隆信>
TMC写真研究会
実施日
参加者数
会場
第 87 回 27.12.09
6
TMC
第 88 回 28.01.13
9
〃
第 89 回 28.02.10
6
〃
原則毎月第 2 水曜日開催
<幹事 浅井 陸之>
TMC歴史散歩の会
実施日
第 11 回 27.12.05
参加者数
行先
11 御土居跡 他
/京都市
第 12 回 28.02.06
12 大坂の陣 幸村
ゆかりの地巡り
原則毎偶数月第 1 土曜日開催
<幹事 村田 吉和>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
理科教育部会の小学校に出向いての理科実験授業、
堺市での展開は 2014 年度で終了しましたが、2016 年
度から新たに箕面市の 20 校、泉大津市の 8 校での実
施が予定されています。今回は講師のほとんどを協賛
企業のスタッフではなく、TMC メンバーがつとめる
ことになります。授業内容は現在詰めの最中ですが、
講師役をおつとめ頂ける方を 1 人でも多く確保したい
状況です。会員の皆さんのご協力を是非ともよろしく
お願いします。
(編集子)
特 定 非 営 利 活 動 法 人
テクノメイトコープ (TMC)
〒542-0086 大阪市中央区西心斎橋 1-8-18
ヒカリビル 3F
TEL :06-4963-9876
FAX :06-4963-9878
e-mail : [email protected]
URL(変更): http://www.geocities.jp/tmc_osk/
発 行 日: 平成 28 年 3 月 18 日
発 行 者: 西口 一美
編集委員: 北尾惠美子、小林 稔、中島 邦彦、
橋本 雄吉、村田 博史
校正委員: 砂田 伊久雄
T M C 法 人 会 員 (50音順)
平成28年3月1日現在
株式会社 ウラタニ・ラボ
金型部品・機械工具製造販売
永大化工株式会社
プラスチック成形品の製造販売
株式会社 SDC田中
各種特殊ねじ部品(SDCボルトほか)の製造・販売
加藤工業株式会社
食品工業用・化学工業用機器の設計、製造、メンテナンス
堺化学工業株式会社
無機・有機化学品の製造・販売
株式会社 新城製作所
金属加工業/各種ファスナー(特殊ナット・ボルト)ほか
大和化成株式会社
プラスチック成型・加工
戸田工業株式会社
無機化学品(顔料、電子材料等)の製造・販売
日進医療器株式会社
医療用各種機器・機材・資材などの開発・製造・販売
ハイテン工業株式会社
金属部品用のプレス金型設計、製造及び販売
不二製油株式会社
油脂、製菓・製パン素材、大豆たん白の製造・販売
株式会社 ヘキサケミカル
機能性樹脂材料製造・販売、シリコン、防霧剤、防錆剤、帯電防止剤、制電剤ほか
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