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金融法務事情(No. 2004 2014年10月25日号)

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金融法務事情(No. 2004 2014年10月25日号)
で ん さ い ネ ッ ト 通 信
[第
5 回]
でんさい取引における
領収書の取扱い等
全銀電子債権ネットワーク
1 はじめに
発行した場合には、収入印紙の貼付は必
要か。
でんさいネットの平成26年 8 月末現在の利用
A: 領収書を発行するか否かについては、
契約件数および記録請求等の件数は別表のとお
当事者間の取り決め次第であり、必ずし
りである。利用契約件数、記録請求の件数とも
も発行する必要はなく、記録事項の開示
増加基調を維持しているものの、利用契約件数
で対応することが考えられる。
に対する記録請求の件数の割合を踏まえると、
ただし、複数回譲渡が行われた場合に
でんさいの利用申込みをしたものの実利用に
は、中間の譲渡記録が閲覧できなくなる
至っていない「他社の動向次第」という企業が
可能性があるので留意いただきたい。
多いと思われる。
なお、領収書を発行した場合には、収
でんさいネットでは、このような様子見の企
入印紙の貼付は必要ないが、でんさいで
業に対して利用を促すにあたり、実際に利用し
受け取った旨の記載が必要となる。
ている企業から、でんさい導入の経緯や効果、
導入にあたり苦労した点およびそれをどのよう
⑴ 領収書の取扱い
に克服したか等を直接説明していただくことが
手形の受取人は振出人(譲渡人)に対し、領
効果的と考え、平成26年度は実利用企業による
収書を発行するのが一般的な商慣習であると思
セミナー講演を全国各地で開催している(セミ
われる。でんさいを発生させた場合の領収書の
ナーの開催状況や講演企業作成の資料等は、で
要否は、あくまで当事者間の取り決め次第であ
んさいネットのウェブサイト(https://www.
るが、でんさいはその存在や内容をいつでも開
densai.net/seminar)で公開している)
。
示で債務者、債権者それぞれで確認することが
併せて、各セミナーでは、でんさいネットか
できるので、領収書を発行しない扱いでも実務
ら、
「でんさい取引における法律上の留意点」
上問題はないと思われる。
をQ&A方式で説明している。本稿では、その
なお、手形を受け取った場合の領収書は、
中から領収書の取扱いおよび関連するでんさい
「有価証券の受取書」として印紙税額一覧表の
の開示について解説する。
2 でんさい取引における領収書の取扱い
第17号文書に該当し収入印紙の貼付が必要とな
るが、でんさいの発生または譲渡について債権
者または譲受人が領収書を発行した場合、その
領収書は同第17号文書でいう「金銭」または
Q: 領収書の発行は必須か。仮に領収書を
84
「有価証券」の受取書いずれにも該当しないこ
金融法務事情■ No.2004 2014.10.25
【別表】でんさいネット請求等取扱高(平成26年 8 月分)
1 .利用者登録状況 2 .でんさいネット請求等取扱高
発生記録請求
譲渡記録請求 分割記録請求(注 6 )
利用者 利用契約
月末
登録数
件数
残高金額
金額
金額
金額
件数
件数
(注 1 、2 )(注 1 、3 ) 件数
(注 4 ) (注 4 、5 )
(注 4 )
(注 4 )
(社)
(件) (件) (百万円) (百万円) (件) (百万円) (件) (百万円)
平成24年度累計
平成25年度累計
―
―
―
406
8,643
― 245,518 1,877,370
―
28
353
10
189
― 40,227 391,577
7,285
99,486
平成25年 8 月
257,266
328,573
13,478
105,611
252,386
1,931
17,404
338
4,088
平成25年 9 月
285,151
365,593
16,270
121,566
338,927
2,675
27,992
436
5,891
平成25年10月
299,782
386,212
23,147
168,246
446,844
3,463
28,923
623
7,848
平成25年11月
310,423
401,481
27,346
209,167
582,129
4,290
36,749
810
10,135
平成25年12月
321,830
417,827
31,281
242,623
724,532
5,685
62,163
1,025
14,790
平成26年 1 月
330,953
430,668
34,404
259,994
857,346
5,675
54,937
1,072
14,697
平成26年 2 月
342,096
446,505
36,132
259,616
954,557
6,118
59,765
1,118
15,299
平成26年 3 月
361,334
472,949
40,577
316,892 1,065,638
7,655
78,163
1,364
18,419
平成26年 4 月
366,156
479,897
46,130
381,240 1,205,828
7,358
67,578
1,511
18,075
平成26年 5 月
368,987
484,128
46,461
362,375 1,303,675
7,705
75,898
1,442
17,262
平成26年 6 月
372,297
489,351
48,774
364,090 1,393,091
8,544
87,556
1,623
19,509
平成26年 7 月
376,027
495,291
53,623
401,754 1,462,845
9,696
86,367
1,724
17,014
平成26年 8 月
379,953
501,661
55,664
420,656 1,536,678
9,914
94,524
1,745
18,599
― 43,217 411,923
8,045
90,458
平成26年度累計
―
― 250,652 1,930,115
3 .支払不能処分制度運用状況
支払不能でんさい(注 7 )
金額
(注 4 )
(百万円)
件数
(件)
平成24年度累計
0
0
取引停止処分
件数
(件)
0
平成25年度累計
5
3
1
平成25年 8 月
0
0
0
平成25年 9 月
0
0
0
平成25年10月
0
0
0
平成25年11月
0
0
0
平成25年12月
1
1
0
平成26年 1 月
2
1
1
平成26年 2 月
1
1
0
平成26年 3 月
1
1
0
平成26年 4 月
1
1
0
平成26年 5 月
0
0
0
平成26年 6 月
2
1
0
平成26年 7 月
0
0
0
平成26年 8 月
0
0
0
平成26年度累計
3
2
0
金融法務事情■ No.2004 2014.10.25
(注 1 ) 「利用者登録数」および「利用契約件数」は、
各月末時点の累計。
(注 2 ) 「利用者登録数」は、同一の利用者が複数の利
用契約を締結している場合に、同一の利用者の
単位で名寄せを行った結果の数(各月末時点の
累計)。
(注 3 ) 「利用契約件数」は、利用契約件数の総数(各
月末時点の累計)。
(注 4 ) 「金額」は、単位未満四捨五入した金額。
(注 5 ) 「月末残高金額」は、各月末時点の残高金額。
(注 6 ) 「分割記録請求」は、でんさいの一部金額を分
割し、譲渡する記録請求。
(注 7 ) 「支払不能でんさい」の件数および金額は、債
務者の信用に関する事由(第 1 号支払不能事
由)および債務者の申出により口座間送金決済
を中止することができる事由(第 2 号支払不能
事由)の件数および金額の合計。
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とから、印紙の貼付は不要である。ただし、当
と、その時以降は開示されず、確認できなくな
該領収書上で、でんさいで受け取ったことを明
ることになる。よって、「回しでんさい」で決
記する必要がある。
済し領収書を発行しない場合において、さらに
⑵ 開示で確認する場合の留意点
譲渡が行われた場合でも当初の譲渡記録の内容
領収書を発行せず、開示により確認する場合
を確認できるようにしておきたいときは、当初
の留意点として、回答第 2 文のとおり「複数回
の譲渡の時点で当該譲渡記録が表示されている
譲渡が行われた場合には、中間の譲渡記録が閲
開示結果を印刷しておくこと等が考えられる。
覧できなくなる可能性がある」ことがある。具
なお、でんさいネットの場合、譲渡記録には
体的には次のとおりである(以下「でんさいの
原則として保証記録が随伴するが、保証記録
開示」とは、利用者がオンライン等で確認する
は、譲渡記録が複数回行われた場合であって
ことができる「通常開示」のことをいう 1 )
。
も、中間の譲渡記録に随伴して記録された保証
でんさいが発生し譲渡が 1 回行われた場合、
記録を含め、すべて開示される。
当該でんさいの発生記録と譲渡記録は開示で確
認することができる。 2 回目の譲渡が行われた
場合、発生記録は同様に開示されるが、譲渡記
録については、以前は開示されていた 1 回目の
譲渡記録は、 2 回目の譲渡記録が記録された時
点からは開示されなくなり、 2 回目の譲渡記録
のみが開示される。 3 回目の譲渡記録が記録さ
れた場合は、同様に 1 回目の譲渡記録に加え 2
回目の譲渡記録が開示されなくなり、 3 回目の
譲渡記録のみ開示される。
このような取扱いとなる理由は、電子記録名
義人または電子記録債務者が開示請求した場
合、当該電子記録債権に譲渡記録が複数記録さ
れているときは、電子記録名義人以外の者が譲
受人となっている譲渡記録は原則として開示さ
れないという、電子記録債権法の規定 2 (電子
記録債権法87条 1 項。一定の場合に例外あり)
に基づき、でんさいの開示の範囲を定めている
からである。
したがって、支払企業と受取企業がでんさい
の発生により決済し、その発生記録を開示によ
り確認する場合はとくに問題はないが、支払企
業と受取企業がいわゆる「回しでんさい」で決
済した場合は、決済時は開示された譲渡記録
が、受取企業がさらにでんさいの譲渡を行う
1 通常開示では、電子記録債権法で求められる開示事項の一部が開示される。利用者が、電子記録債権法で求めら
れる開示事項のすべてを開示請求する場合は「特例開示」によるが、請求方法は書面を窓口金融機関に提出する方
法に限られる。
2 電子記録債権の開示は、債権記録に記録されている者に必要な範囲でのみ開示することが電子記録債権法で定め
られているところ、電子記録債権の譲渡記録は手形の裏書譲渡と異なり(指名債権の譲渡と同様に)担保的効力が
ないことから、電子記録名義人が記録されている最新の譲渡記録を除き、通常は譲渡記録を確認する必要はない。
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金融法務事情■ No.2004 2014.10.25
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