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3 - Keysight
Agilent Technologies U1210 シリーズ・ハンドヘルド・ ヘルド・ クランプ・メータを使用した した 3 相交流モータの トラブルシューティング Application Note はじめに 3相交流誘導モータは、シンプル で堅牢な構造で、製造コストが比 較的安いことから、穀物乾燥機か ら製剤機械、コンベヤベルト・シ ステム、冷凍機、空調機器まで、 民生/産業アプリケーションに幅 広く用いられています。電気モー タの使用により、生産性の大幅な 向上と運用コストの削減が実現し ます。しかし、電気モータの予期 せぬ不具合は、過度の修理費や不 必要な保全費の原因となるだけで なく、処理能力の低下にもつなが ります。 モータ制御システムの複雑化が進 むにつれて、適切なテスト・ツー ルを使用せずにトラブルシュー ティングを行うことはますます難 し く な っ て い ま す。 こ の ア プ リ ケーション・ノートでは、3相交 流モータの不具合の一般的な原 因、およびAgilent U1210シリー ズ・ハンドヘルド・クランプ・メー タを使ったそれらの診断方法を紹 介します。 モータの不具合の一般的な原因 モータの不具合は、さまざまな電気的/機械的条件に起因します。メーカの分 析によると、モータの不具合の約44 %は、過負荷や単相状態に起因する加熱 に関連しています。過熱により、巻線温度が10 ℃上昇するごとに、モータの 巻線の絶縁寿命が半減します。つまり、モータを最大定格温度より10 ℃上で 動作させると、予測平均寿命が半減します。 電圧不平衡に起因するモータの過負荷 モータの不具合は一般に、電圧不平衡に起因します。電圧不平衡は、3相電源 の電源電圧が等しくない場合に発生します。1 %の電圧不平衡により、実際に は、6 ∼ 10 %の電流不平衡が生じる可能性があります。このため、モータは、 定格を上回る電流を引き込みます。この状態が続くと、損失によりモータの過 負荷防止装置で予測不可能な加熱が生じ、モータが損傷することがあります。 ただし、電流不平衡は必ずしも電圧不平衡の存在を意味するものではありませ ん。例えば、モータの1つの端子で接触不良が生じていたり、コンタクタの接 点部にカーボンやほこりが付着している可能性があります。電流は最も小さな 抵抗の回路に流れるため、モータの他の端子で電流が増加します。 電圧不平衡の一般的な原因 • ユーティリティ電源の不平衡入力 • 分配システムの1次3相変圧器の欠相 • 力率改善コンデンサの3相バンクのヒューズ切れ • オープン・デルタ接続の変圧器バンク • 3相伝送ラインと分配ラインのインピーダンスの不一致 • 照明などの単相負荷の不平衡分配 2 モータの電圧不平衡の兆候 電圧不平衡などの兆候は、必ずしも簡単に診断できるとは限りません。システムにおける負荷変動や他のシステム変動が、 ユーティリティ/設備の分配電圧に重大な影響を及ぼす可能性があります。以下の兆候が現れた場合には、電圧不平衡 を調査するべきです。 ● モータ保護装置のトリッピングが面倒 ● モータの不具合が多い ● 特定のモータの起動が難しい 3相交流モータへの不平衡電源供給 電圧不平衡のテストでは、位相−ニュートラル間電圧ではなく、相間電圧を測定する必要があります。不平衡が検出さ れた場合は、以下のテストによって、問題の原因がモータ自体にあるか、モータへの電源供給にあるかを確認すること ができます。 テストの実行手順 1. 図1に示されているように、各モータ・リード線を通って流れる電流を記録します。 2. 次ページの図に示されているように、3本の入力電線をすべて、1つずつ位置を回転させます。 3. 新しいセットアップの各リード線の電流を測定し、記録します。 4. 3本の入力電線をすべて、さらに1つずつ位置を回転させます。 5. 新しいセットアップの各リード線の電流を測定し、記録します。 6. 平均電流と各回転の平均電流からの最大偏差を求めます。 7. これら3つの組み合わせを最大電流偏差と比較します。 8. 組み合わせに同じモータ・リード線が常に含まれている場合は、モータに問題があることを示し ています。組み合わせに同じ電力線が常に含まれている場合は、電源に障害がある可能性があり ます。 9. 図1からは、最大電流偏差が入力電線に追従しているので、入力電力が不平衡の原因であることが わかります。 3 電力線 1 元のセットアップ リード線 1 電力線 1 −リード線 1 = 34 A 電力線 2 −リード線 2 = 32 A 電力線 2 3Ø リード線 2 電力線 3 −リード線 3 = 24 A モータ 平均= 30 A 電力線 3 最大偏差:電力線 3 −リード線 3 = 6 A リード線 3 セットアップ1 電力線 3 電 リード線 1 電力線 3 −リード線 1 = 25 A 電力線 1 −リード線 2 = 36 A 電力線 2 電 3Ø リード線 2 モータ 電力線 2 −リード線 3 = 32 A 平均= 31 A 最大偏差:電力線 3 −リード線 1 = 6 A 電力線 1 電力線 2 リード線 3 セットアップ2 リード線 1 電力線 2 −リード線 1 = 34 A 電力線 3 −リード線 2 = 26 A 電力線 3 3Ø リード線 2 モータ 電力線 1 −リード線 3 = 33 A 平均= 30 A 電力線 1 リード線 3 最大偏差:電力線 3 −リード線 2 = 4 A 図 1. 不平衡の原因を特定するための手順 モータの単相状態の特定 単相状態とは、3相モータの1つの端子がオープン状態のことです。モータが位相損失によって遮断されると、モータの その他の2つの位相は、損失位相によってかけられている負荷を補おうとします。モータは、負荷がかかると、過負荷保 護の「トリップ」電流を超える電流を引き込みます。以下のテストにより、3相交流モータの単相状態を簡単に特定でき ます。 4 テストの実行手順 1. 図2に示されているように、各モータ・リード線の電流を測定し、記録します。 2. 通常の動作中は、各位相に引き込まれる電流はまったく同じになります。単相状態は、モータのリー ド線の電流測定の1つが0 Aの場合にだけ生じます。 3. このような状況は、モータのスタータ接点の損傷、過負荷リレーの損傷、メイン/給電/モータ分 電回路のスイッチ/サーキット・ブレーカに起因して発生します。詳細に確認する必要があります。 リード線 1 電力線 1 10 A リード線 2 電力線 2 3Ø モータ 10 A リード線 3 電力線 3 10 A 図 2. 通常動作のモータ リード線 1 電力線 1 17.3 A リード線 2 電力線 2 3Ø モータ 0A リード線 3 電力線 3 17.3 A 図 3. 単相状態のモータ まとめ 産業アプリケーションでは、3相モータがハイパワー・アプリケーションに広く用いられています。電 圧不平衡や電流不平衡は過度の熱を発生させ、モータに損傷を与える可能性があります。予期せぬモー タの不具合により、機器が損傷を受け、プラントの稼働率に影響を与える可能性があります。このよう なモータの不具合を低減するためには、適切な予防保全対策を講じる必要があります。このような予防 保全計画を効果的に実施するためには、電気技師や技術者は、Agilent U1210シリーズ・ハンドヘルド・ クランプ・メータなどの適切なツールを準備する必要があります。また、Agilent U1210シリーズ・ハ ンドヘルド・クランプ・メータは開口部が広く、変圧器の電流測定などのアプリケーションにも最適です。 5 電子計測UPDATE Remove all doubt www.agilent.co.jp/find/emailupdates-Japan Agilent からの最新情報を記載した電子メー ルを無料でお送りします。 www.lxistandard.org LXIは、GPIBのLANベースの後継インタフェ ースで、 さらに高速かつ効率的なコネクティビ ティを提供します。Agilentは、 LXIコンソーシ アムの設立メンバです。 アジレント・テクノロジーでは、柔軟性の高い 高品質な校正サービスと、お客様のニーズに応 じた修理サービスを提供することで、お使いの 測定機器を最高標準に保つお手伝いをしていま す。お預かりした機器をお約束どおりのパフォ ーマンスにすることはもちろん、そのサービス をお約束した期日までに確実にお届けします。 熟練した技術者、最新の校正試験プログラム、 自動化された故障診断、純正部品によるサポー トなど、アジレント・テクノロジーの校正・修 理サービスは、いつも安心で信頼できる測定結 果をお客様に提供します。 また、お客様それぞれの技術的なご要望やビジ ネスのご要望に応じて、 契約販売店 ● アプリケーション・サポート www.agilent.co.jp/find/channelpartners ● システム・インテグレーション 導入時のスタート・アップ・サービス 教育サービス ● アジレント契約販売店からもご購入頂けます。 お気軽にお問い合わせください。 ● など、専門的なテストおよび測定サービスも提 供しております。 世界各地の経験豊富なアジレント・テクノロジ ーのエンジニアが、お客様の生産性の向上、設 備投資の回収率の最大化、測定器のメインテナ ンスをサポートいたします。詳しくは: www.agilent.co.jp/find/removealldoubt アジレント・テクノロジー株式会社 本社〒 192-8510 東京都八王子市高倉町 9-1 計測お客様窓口 受付時間 9:00-18:00(土・日・祭日を除く) TEL ■■ 0120-421-345 (042-656-7832) FAX ■■ 0120-421-678 (042-656-7840) Email [email protected] 電子計測ホームページ www.agilent.co.jp ● 記載事項は変更になる場合があります。 ご発注の際はご確認ください。 © Agilent Technologies, Inc.2010 Published in Japan, March 9, 2010 5990-5192JAJP 0000-00DEP