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遺伝子と染色体

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遺伝子と染色体
「生物Ⅰ」学習指導案
広島県立西条農業高等学校
教 諭
大 平 理 恵
1 学科・学年
第2学年(38名)
2 期 日
平成23年10月18日(火) 6限目(14:20~15:10)
3 場 所
生物教室
4 使用教材
ワークシート
5 単元名
遺伝子と染色体
6 単元について
(1)単元観
本単元は,高等学校学習指導要領の「第5節 理科 第8 生物Ⅰ (1)生命の連続性 ウ 遺伝
(イ)遺伝子と染色体」に位置付いている。ここでは,遺伝子が染色体に存在すること,連鎖と組換
え,染色体地図,性染色体と性の決定,伴性遺伝,遺伝子の本体DNAについて理解させることがね
らいである。
生徒は,新学習指導要領への移行措置として,中学校理科第2分野「
(5)生物の細胞と生殖 イ
生物の殖え方 (ア)生物の殖え方」において,分離の法則,遺伝子の変化による形質の変化,遺伝
子の本体はDNAであることについて,付加して学習している。遺伝子の連鎖と組換えについては学
習していない。
ここでは,遺伝子と染色体やDNAについての観察,実験などを通して,遺伝子が染色体上にある
ことを染色体の動きと関連させて理解させ,そのことによって生じる様々な事象についての見方や考
え方を身に付けさせる。また,遺伝子の本体がDNAであることを,その証拠と共に理解させる。
(2)生徒観
9月に行われた前期期末試験において,発生について約9割の生徒が評価のB段階に達していたが,
残りの約1割は最低限必要な基礎・基本が定着しておらず,その後の手立てを必要とした。また,評
価のB段階に達した生徒のうち約7割は,実験で得られた結果から考察したことを表現する問題でも
B段階に達していたが,残りの約3割は,その問題の正答率が他の問題に比べて低かった。
対象生徒の約7割の生徒が生物の授業を,約8割の生徒が観察,実験を好きであり,全体的に授業
に前向きに取り組む姿勢が見られる。しかし,学習方法や実験方法等を細かく指示する必要があり,
それが不完全であると,何をしたら良いか分からないまま放置してしまう消極的な所も見られる。ま
た,観察,実験で得られた結果と,それまでに学習した内容を結びつけて考えることを苦手としてい
る生徒が多く,実験用ワークシートの考察の欄が空欄になっている生徒が多い。
1
(3)指導観
約1割の生徒が最低限必要な基礎・基本を身に付けていないことから,色紙による染色体モデルを
用いた作業を取り入れ,すべての生徒にとって分かりやすい授業を行いたい。また,観察,実験で得
られた結果と,それまでに学習した内容を結び付けて考えることを苦手としている生徒が多いことか
ら,比較的生徒の印象に残りやすい観察,実験を先に行い,その結果を次時からの学習に生かすこと
で,生徒の実感を伴った理解を深めさせたい。
まず,だ腺染色体の観察の事後指導において,同一染色体に複数の遺伝子が存在することに気付か
せる。その後,染色体モデルを実際に動かしながらワークシートに沿って学習することで,連鎖と組
換えを染色体の動きに関連付けて理解させる。
本校で使用している「高等学校生物Ⅰ(第一学習社)
」を含め,生物Ⅰの教科書では一般的に,遺伝
子の連鎖と組換えについて書かれた節の最後に,だ腺染色体についての記載がある。しかし,今回は,
遺伝子や染色体の実体についてイメージを持った上で,連鎖や組換え,染色体地図,性の決定や伴性
遺伝についての学習を行わせたいことから,本単元の1時間目にだ腺染色体の観察を,2時間目にだ
腺染色体の観察の事後指導,ならびに染色体モデルを用いた連鎖と組換えの学習を行う。このことに
より,遺伝子と染色体の関係についての理解を確かなものにし,その後の学習が効果的に行われるよ
うに工夫したい。
7 単元の目標
遺伝子と染色体やDNAについての観察,実験などを通して,遺伝子が染色体上にあることを染色体
の動きと関連させて理解させ,そのことによって生じる様々な事象についての見方や考え方を身に付け
させる。また,遺伝子の本体がDNAであることを,その証拠と共に理解させる。
8 単元の評価規準
関心・意欲・態度
DNAを抽出したり,
思考・判断
技能・表現
連鎖と組換え,
伴性遺
だ腺染色体を顕微鏡
知識・理解
連鎖と組換え,
染色体
抽出された物質がDN 伝について,染色体の動 で観察する技能を身に 地図,性の決定につい
Aであることを確認し きと関連付けて考察す 付けており,観察結果や て,染色体の動きと関連
たりする探究活動を意 る。
欲的に行っている。
そこから導き出した自 付けて理解し,知識を身
遺伝子の本体が何で らの考えを的確に表現 に付けている。
あるかを,実験結果から している。
論理的に考えている。
遺伝子の本体がDN
Aであることを理解し,
知識を身に付けている。
2
9 指導と評価の計画(全14時間)
次
学習内容(時間)
評
関 考 技 知
だ腺染色体の観察
1
◎
(1時間)
価
評価規準
評価方法
◎だ腺染色体を顕微鏡で観察する ワークシート
技能を身に付けており,観察結 (技能・表現)
果やそこから導き出した自らの
考えを的確に表現している。
遺伝子の連鎖と組換
2
◎ ◎連鎖と組換えについて,染色体 ワークシート
え①
の動きと関連付けて理解し,知 (知識・理解)
(本時 1時間)
識を身に付けている。
染色体地図
3
◎ ◎染色体地図について,染色体の 小テスト
(1時間)
動きと関連付けて理解し,知識 (知識・理解)
を身に付けている。
遺伝子の連鎖と組換
4
◎
◎連鎖と組換えについて,染色体 小テスト
え②
の動きと関連付けて考察してい (思考・判断)
(2時間)
る。
性染色体と性の決定
5
◎ ◎性の決定について,染色体の動 小テスト
(1時間)
きと関連付けて理解し,知識を (知識・理解)
身に付けている。
6
伴性遺伝
◎
◎伴性遺伝について,染色体の動 小テスト
(3時間)
きと関連付けて考察している。
遺伝子の本体
◎
(思考・判断)
○ ◎遺伝子の本体が何であるかを, ワークシート
(4時間)
実験結果から論理的に考えてい (思考・判断)
る。
7
(知識・理解)
○遺伝子の本体がDNAであるこ
とやDNAの構造について理解
し,知識を身に付けている。
DNAの抽出実験
(1時間)
8
◎
○
◎DNAを抽出したり,抽出され ワークシート・観
た物質がDNAであることを確 察法
認したりする探究活動を意欲的 (関心・意欲)
に行っている。
○DNAを抽出する実験技能を身
に付けている。
3
(技能・表現)
10 本時の展開
(1)本時の目標
だ腺染色体の観察結果から,同一染色体上に複数の遺伝子があることに気付かせ,連鎖と組換えに
ついて,染色体の動きと関連付けて理解させる。
(2)本時の評価規準(知識・理解)
連鎖と組換えについて,染色体の動きと関連付けて理解し,知識を身に付けている。
(3)具体的な評価規準(知識・理解)
① 完全連鎖の場合のF1個体(AaBb)から作られる配偶子の遺伝子型とその分離比について理解
している。
② 不完全連鎖の場合のF1個体(AaBb)から作られる配偶子の遺伝子型とその分離比について理
解している。
③ 組換え価(%)を求めることができている。
(4)本時の評価が「おおむね満足できる」状況に至らない生徒に対する指導
次時からの授業(染色体地図,遺伝子の連鎖と組換え②)で机間指導を行い,不十分であった点に
ついて改善させる。また,必要に応じて授業時間外に個別指導を行う。
(5)準備物
・使用教材 ワークシート
・器 具
実物提示装置,減数分裂台紙,色紙,シール,のり
(6)学習の展開
段
指導内容
階
学習活動
指導上の留意点
○「だ腺染色体の観察」の事
後指導
・
【発問】
「だ腺染色体の観察 ・「だ腺染色体の ・
「だ腺染色体の観察」の
導
入
10
分
結果について発表してくだ 観察」のワークシ ワークシートの「4.観察
さい。
」
ートの観察結果に 結果」に注目させる。
ついて発表する。
・
【発問】
「だ腺染色体の横縞 ・自分の考えを答
の部分には何があると思い える。
ますか?」
・だ腺染色体の横縞の部分に ・
「だ腺染色体の観 ・
「だ腺染色体の観察」の
遺伝子があることや,
「連鎖」 察」のワークシー ワークシートの「6.補足」
という現象について説明す トに「連鎖」の説 の欄に記入させる。
「独立」
る。
明を書き込む。
についても触れる。
○完全連鎖
・完全連鎖の場合の染色体の ・染色体の動きに ・染色体モデルを使用す
動きを実物提示装置で実演 注目する。
る。
する。
・遺伝子記号が書かれてい
ないものを使用する。
4
評価規準
(評価方法)
・
【発問】
「この時,同一染色
体上にある遺伝子はどのよ
うに行動すると思います
か?」
・色紙で作った染色体モデ
・生徒用の染色体モデルは
ル,のり,減数分裂台紙,
「連
事前に色紙で作っておく。
鎖と組換え」のワークシート
を配布する。
・実物提示装置で例を提示し ・減数分裂台紙上 ・染色体モデルに遺伝子記
て,AとB,aとbが連鎖す で染色体モデルを 号を記入して見せる。
るように染色体モデルに遺 動かし,染色体モ ・減数分裂台紙上で作業を
伝子記号を記入させ,染色体 デルを配偶子に分 行うことを説明する。
モデルを各配偶子に分配さ 配し,糊付けする。 ・机間指導を行う。
せる。できたらワークシート
展
に糊付けさせる。
・
【発問】
「完全連鎖の場合, ・ワークシートの ・約分せずに,全体の合計 ・完全連鎖の場
開
35
遺伝子型AB,Ab,aB, 記 入 欄 に 記 入 す が4(2:0:0:2)になるよ 合のF1個体(A
aBb)から作
abの配偶子はいくつずつ る。
うに記入させる。
できましたか?」
・自分で分かった場合は赤 られる配偶子の
・発問に答える。
丸を付け,説明を聞いて納 遺伝子型とその
分
得した場合は赤で記入し 分離比について
てから赤丸を付けさせる。 理解している。
納得できなかった場合は (ワークシート
赤丸を付けさせない。
○不完全連鎖
・染色体の乗換えが起こって ・写真に注目する。
いる写真を提示する。
・
【発問】
「この写真は減数分 ・発問に答える。
裂の第一分裂における2本
の相同染色体の写真です。何
か気付いたことはありませ
んか?」
・相同染色体どうしの間の部 ・染色体の動きに ・染色体モデルを使用す
分的な交換が起こることが 注目する。
る。
あることを説明し,不完全連
・遺伝子記号が書かれてい
鎖の場合の染色体の動きを
ないものを使用する。
実物提示装置で実演する。
・染色体の乗換えが起こっ
た状態で交点をシールで
固定し,ハサミで切る。
5
1)
・
【発問】
「この時,同一染色
体上にある遺伝子はどのよ
うに行動すると思います
か?」
・色紙で作った染色体モデ
・生徒用の染色体モデルは
ル,シールを配布する。
事前に色紙で作っておく。
・AとB,aとbが連鎖する ・減数分裂台紙上 ・減数分裂台紙上で作業を
ように染色体に遺伝子記号 で染色体モデルを 行うことを説明する。
を記入させ,各配偶子に分配 動かし,染色体モ ・机間指導を行う。1に赤
させる。できたらワークシー デルを配偶子に分 丸が付いていない生徒に
トに糊付けさせる。
配し,糊付けする。 は個別に説明する。
・
【発問】
「不完全連鎖の場合, ・ワークシートの ・ 全 体 の 合 計 が 4 ・不完全連鎖の
遺伝子型AB,Ab,aB, 記 入 欄 に 記 入 す (1:1:1:1)になるように記 場合のF1個体
入させる。
abの配偶子はいくつずつ る。
できましたか?」
・発問に答える。
(AaBb)か
・自分で分かった場合は赤 ら作られる配偶
丸を付け,説明を聞いて納 子の遺伝子型と
得した場合は赤で記入し その分離比につ
てから赤丸を付けさせる。 いて理解してい
(ワークシー
納得できなかった場合は る。
赤丸を付けさせない。
ト2)
・染色体の「乗換え」と遺伝 ・ワークシートの
子の「組換え」について説明 記 入 欄 に 記 入 す
する。
る。
○組換え価
・
【発問】
「一定の割合(4個 ・代表の4名が黒
の花粉母細胞の中の2個)で 板にそれぞれの配
遺伝子の組換えが起こった 偶子の遺伝子型と
場合,遺伝子型AB,Ab, その分離比を記入
aB,abの配偶子はいくつ する。
ずつできますか?」
・ワークシートの
記入欄に記入す
る。
・発問に答える。
・組換え価の求め方について ・ワークシートの ・完全連鎖の場合と不完全
説明する。
記 入 欄 に 記 入 す 連鎖の場合の合計値を求
めさせる。
る。
・
【発問】
「3の場合,組換え ・ワークシートの ・机間指導を行う。2に赤 ・組換え価(%)
価は何%になりますか?」
記入欄に記入し, 丸が付いていない生徒に を求めることが
組 換 え 価 を 求 め は個別に説明する。
6
できている。
(ワ
る。
・自分で分かった場合は赤 ークシート4)
・発問に答える。
丸を付け,説明を聞いて納
得した場合は赤で記入し
てから赤丸を付けさせる。
納得できなかった場合は
赤丸を付けさせない。
○本日のまとめ
・連鎖,組換え,組換え価に ・連鎖,組換え,
ついて簡単に振り返る。
組換え価について
・疑問点や感想等を記入させ 確認する。
る。
・ワークシートの
ま
記入欄に記入す
と
る。
め
・自己評価欄に記入させる。 ・ワークシートの
記入欄に記入す
5
分
る。
・発展課題を提示する。
「組 ・発展課題を考え ・発展課題について,詳し
換え価を求めたら 50%であ る。
くは次時に取り扱う。
った。このことはどういうこ
とを表していますか?」
・ワークシートを回収する。 ・ワークシートを
提出する。
7
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