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大韓民国
( Republic of Korea)
通信
Ⅰ
監督機関等
1
未 来 創 造 科 学 部 ( Ministry of Science, ICT and Future Planning)
Tel.: + 82 2 2110 2056
URL: http://www.msip.go.kr/
所 在 地 : 47-4 Gwanmun-Ro, Gwacheon-Shi, Gyeonggi-do, 427-700, KOREA
幹 部 : 崔 陽 熙 / Choi Yanghee( 長 官 / Minister)
2
放 送 通 信 委 員 会 ( Korea Communications Commission: KCC)
Tel.: + 82 2 2110 2114
URL: http://www.kcc.go.kr/
所 在 地 : 47 Gwanmun-ro, Gwacheon-si, Gyeonggi-do, 427-700, KOREA
幹 部 : 崔 成 俊 / Choi Sung-joon( 委 員 長 / Chairman)
省庁再編
2013 年 の 朴 槿 恵 政 権 設 立 に よ る 省 庁 再 編 の 結 果 、ICT と 科 学 技 術 政 策 を 所 掌 す
る 未 来 創 造 科 学 部 が 設 立 さ れ た 。未 来 創 造 科 学 部 設 立 は 、2012 年 大 統 領 選 挙 の 際
に朴槿恵候補が国内科学技術者及び情報通信技術者等との対談で科学技術部を復
活させる公約を掲げたことがきっかけとされている。
未 来 創 造 科 学 部 の ICT 分 野 に お け る 所 掌 事 務 は「 未 来 創 造 科 学 部 及 び そ の 所 属
機関職制」により以下のとおりである。

国家情報化の企画・情報保護・情報文化

放送・通信の融合・振興及び電波監理

情報通信産業、郵便・郵便為替及び郵便代替に関する事務等
一 方 、 放 送 通 信 委 員 会 ( KCC) は 大 幅 縮 小 し て 地 上 放 送 局 許 可 等 の 放 送 規 制 、
個 人 情 報 保 護 、通 信・放 送 市 場 調 査 機 能 等 を 残 し て い る 。KCC の 所 掌 事 務 は 以 下
のとおりである。

地上放送・放送チャンネル政策

放送周波数

放送通信市場調査、放送通信利用者保護、個人情報保護倫理等

放送広告
省庁再編は新政権発足と同時に実施の予定であったが、未来創造科学部への放
1
送 政 策 機 能 移 管 を 巡 っ て 国 会 で の 論 議 が 難 航 を 極 め た た め 、政 権 発 足 か ら 1 か 月
後 の 3 月 後 半 ま で 大 幅 に ず れ 込 ん だ 。な お 、 未 来 創 造 科 学 部 の 機 能 は 与 野 党 間 合
意により、周波数政策は未来創造科学部が総括するが、通信周波数管理は未来創
造 科 学 部 、 放 送 周 波 数 管 理 は KCC の 所 掌 と さ れ た た め に 、 原 案 よ り も 縮 小 さ れ
た。
Ⅱ
法令
未来創造科学部が所掌する主な法令は以下のとおり。
分野
融合分野
法令
国 家 情 報 化 基 本 法 、放 送 通 信 発 展 基 本 法 、イ ン タ ー ネ ッ ト・マ ル
チ メ デ ィ ア 放 送 事 業 法 ( IPTV 法 )
電 気 通 信 基 本 法 、電 気 通 信 事 業 法 *、電 波 法 *、情 報 通 信 網 利 用 促
進 及 び 情 報 保 護 等 に 関 す る 法 律 ( 情 報 通 信 網 法 ) *、 情 報 通 信 振
通信分野
興 及 び 融 合 活 性 化 等 に 関 す る 特 別 法 ( ICT 特 別 法 )、 移 動 通 信 端
末 装 置 流 通 構 造 改 善 に 関 す る 法 律 ( 端 末 流 通 法 ) *、 情 報 保 護 産
業 の 振 興 に 関 す る 法 律 、ク ラ ウ ド・コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ 発 展 及 び
利用者保護に関する法律(クラウド法)
放送分野
放送法*
*は KCC と の 共 管
KCC が 所 掌 す る 主 な 法 令 は 以 下 の と お り 。
分野
通信分野
放送分野
法令
電 気 通 信 事 業 法 、情 報 通 信 網 利 用 促 進 及 び 情 報 保 護 等 に 関 す る 法
律、位置情報の保護及び利用等に関する法律
放 送 法 、韓 国 教 育 放 送 公 社 法 、放 送 広 告 販 売 代 行 等 に 関 す る 法 律 、
放送文化振興会法
出 所 : 未 来 創 造 科 学 部 ウ ェ ブ サ イ ト 、 KCC ウ ェ ブ サ イ ト
1
放送通信発展基本法
通 信・放 送 融 合 環 境 に 対 応 す る た め 、
「 電 気 通 信 事 業 法 」と「 放 送 法 」の 基 本 部
分 を 一 本 化 し た 融 合 法 と し て 2010 年 に 施 行 さ れ た 。 通 信 ・ 放 送 分 野 の 振 興 と 、
未 来 創 造 科 学 部 と KCC の 独 自 財 源 と し て の 放 送 通 信 発 展 基 金 の 根 拠 等 を 定 め て
いる。
2
2
電 気 通 信 事 業 法 ( Telecommunications Business Act)
公衆電気通信事業及び電気通信設備の運営管理、利用者に関する基本法令で、
電気通信事業の分類及び許可などに関する要件、競争促進及び利用者保護、電気
通信設備の設置及び保全について規定している。
Ⅲ
政策動向
1
免許制度
(1)免許政策の制度枠組
電 気 通 信 事 業 者 は 「 電 気 通 信 事 業 法 」 に 基 づ き 、 基 幹 通 信 事 業 者 ( Facilities
Based Telecommunications Operator )、 別 定 通 信 事 業 者 ( Special Category
Telecommunications
Operator ) 、 附 加 通 信 事 業 者 ( Value-Added
Telecommunications Operator) の 三 つ に 分 類 さ れ る 。 通 信 事 業 区 分 の 詳 細 は 次
のとおりである。
電気通信事業者の分類
区分
定義
サービス内容
電 気 通 信 回 線 設 備 を 設 置 し 、電
基幹通信事業
話 、イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 等 の 公 電 話 、イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 、電
者(許可制)
益性の高い基幹通信サービス
気通信回線設備貸出サービス
を提供する事業者
基幹通信事業者の通信回線設
備 等 を 利 用 し 、基 幹 通 信 サ ー ビ
別定通信事業
ス を 提 供 し た り 、大 統 領 令 で 定
者(登録制)
める構内に電気通信設備を設
再 販 売 ( MVNO)、 構 内 通 信 等
置 し 、電 気 通 信 サ ー ビ ス を 提 供
する事業者
基幹通信事業者から通信回線
附加通信事業
設 備 を 賃 貸 し 、基 幹 通 信 サ ー ビ
者(届出制)
ス以外の電気通信サービスを
提供する事業者
回 線 再 販 売 、 PC 通 信 、 CRS、
DB/DP( Data Base/Data
Processing) 等
出 所 :「 電 気 通 信 事 業 法 」 を 基 に 作 成
(2)外資規制
「 電 気 通 信 事 業 法 」に よ り 、基 幹 通 信 事 業 者 に 対 す る 外 資 出 資 制 限 は 49% ま で
と さ れ て い る 。 2007 年 4 月 の 韓 米 FTA 交 渉 合 意 の 結 果 、 基 幹 通 信 事 業 者 へ の 外
3
資 間 接 投 資 は 100% ま で 許 可 さ れ る こ と と な っ た( 韓 米 FTA 発 効 は 2012 年 3 月 )。
た だ し 、固 定 及 び 移 動 体 通 信 市 場 最 大 手 で あ る KT と SK テ レ コ ム( SK Telecom)
に つ い て は 、 間 接 投 資 で あ っ て も 最 大 49% ま で の 外 資 規 制 は 現 状 維 持 と さ れ た 。
なお、間接投資拡大は、公益性審査を通じ、国家安全保障などへの影響がない場
合に許可される。
2013 年 8 月 、韓 国 政 府 は 電 気 通 信 分 野 に お け る 海 外 か ら の 投 資 の 上 限 を 撤 廃 す
る こ と を 決 定 し た 。米 国 と 欧 州 連 合( EU)と の 自 由 貿 易 協 定 の 一 環 と し て 行 わ れ
た 規 制 改 訂 の 下 で 、韓 国 は 電 気 通 信 事 業 者 ら に 対 し て 、以 前 の 上 限 49% か ら 最 大
100% の 海 外 か ら の 投 資 比 率 を 許 可 す る こ と に な っ た 。 し か し 、 報 告 に よ る と 、
SK テ レ コ ム 、 KT 及 び LG U+( LG Uplus) の 3 社 は 、 こ の 政 策 か ら 除 外 さ れ て
いる。なお、これらの企業に海外投資家が投資を行うためには、現地に持株会社
を設立することが求められる。
2
競争促進政策
( 1 ) 未 来 創 造 科 学 部 の 2015 年 度 政 策
未 来 創 造 科 学 部 は 、 2015 年 1 月 に ま と め た 業 務 報 告 で 、 2015 年 度 政 策 の 方 向
性を発表している。主な施策は次のとおりである。

家電・自動車・エネルギー・建設等の中核的業種との融合実証事業「スマ
ー ト チ ャ レ ン ジ 事 業 」 に 337 億 KRW 投 資

IoT サ ー ビ ス 本 格 化 の た め 、IoT 実 証 団 地 2 か 所 を 整 備 し 、ヘ ル ス ケ ア 及 び
スマートシティ分野サービスを提供

フ ィ ン テ ッ ク ( Fin Tech; 金 融 +通 信 の 造 語 ) 産 業 育 成 の た め 郵 便 局 金 融 、
公営テレビショッピング等を積極活用

2017 年 ま で に グ ロ ー バ ル ソ フ ト ウ ェ ア 専 門 企 業 50 社 、 ス マ ー ト コ ン テ ン
ツ ・ ス タ ー 企 業 30 社 を 育 成

K-POP ホ ロ グ ラ ム 劇 場 の 海 外 進 出 推 進

MVNO 加 入 率 を 2015 年 中 に 10% に 拡 大
移 動 体 通 信 分 野 競 争 促 進 政 策 パ ッ ケ ー ジ と し て 2015 年 6 月 に ま と め ら れ た「 移
動通信市場競争促進及び規制合理化のための通信政策方案」では、市場支配的事
業 者 の SK テ レ コ ム に 対 す る 料 金 認 可 制 廃 止 、 競 争 評 価 体 系 の 見 直 し 等 が 盛 り 込
ま れ た 。料 金 認 可 制 廃 止 を 盛 り 込 ん だ「 電 気 通 信 事 業 法 」改 正 案 は 2015 年 10 月
に国会提出された。
(2)相互接続料
電気通信設備の相互接続の範囲及び条件、手続、算定方法の基準は未来創造科
学部が告示「電気通信設備の相互接続基準」で詳細を定める。ボトルネック設備
を保有する基幹通信事業者と、市場支配的とみなされた基幹通信事業者は、他の
事 業 者 か ら の 要 請 が あ っ た 場 合 は 、相 互 接 続 の 提 供 を 義 務 付 け ら れ て い る 。2004
4
年 か ら 長 期 増 分 費 用( LRIC)に よ る 接 続 料 算 定 方 式 が 導 入 さ れ た 。固 定 電 話 及 び
移動電話網の接続料は、2 年ごとに改定される。
( 3 ) 卸 売 提 供 制 度 導 入 と MVNO 促 進 政 策
2010 年 の 「 電 気 通 信 事 業 法 」 改 正 に よ り 、 MVNO の 法 的 根 拠 が 整 備 さ れ た 。
移 動 通 信 市 場 で シ ェ ア が 最 も 高 い SK テ レ コ ム は MVNO へ の 卸 売 提 供 を 義 務 付 け
られており、更に、卸売料金水準についても未来創造科学部の告示で定められて
いる。
2010 年 後 半 以 降 は MVNO 参 入 が 進 み 、 2013 年 ま で に 約 30 社 の MVNO が 参
入した。朴槿恵政権においても前政権から引き続き家計に占める通信料金引下げ
を 大 統 領 選 公 約 と し て い る た め 、 未 来 創 造 科 学 部 は 、 2013 年 か ら 毎 年 ベ ー ス で
MVNO 活 性 化 政 策 を ま と め て い る 。
MVNO 活 性 化 政 策 の 一 環 と し て 、2013 年 9 月 か ら 郵 便 局 で の MVNO 代 行 販 売
が 開 始 さ れ た こ と で 、MVNO 加 入 者 拡 大 ペ ー ス に 弾 み が つ い た 。こ の 傾 向 は 続 い
て お り 、2015 年 末 現 在 、MVNO 加 入 率 は 移 動 電 話 加 入 者 数 の 10% に 達 し た 。政
府 は MVNO 加 入 率 を 2016 年 に 12% に 拡 大 す る 方 針 で あ る 。
一 方 、2014 年 に MNO の KT と LG U+の 系 列 MVNO が 参 入 の 動 き を 見 せ る と 、
大 企 業 系 列 と 中 小 企 業 の MVNO 間 に よ る 格 差 が 問 題 視 さ れ る よ う に な っ た 。 そ
の た め 、「 2014 年 度 MVNO 活 性 化 方 案 」 で は 公 正 競 争 上 の 配 慮 が 加 え ら れ 、 前
年 度 に 引 き 続 い て の 卸 料 金 引 下 げ 、MVNO 代 行 販 売 取 扱 郵 便 局 の 拡 大 に 加 え 、新
た に 、 MNO 系 列 会 社 の MVNO の 市 場 シ ェ ア 合 計 を 50% に 制 限 、 と い っ た 内 容
を盛り込んだ。
(4)端末流通制度改革
KCC が 2011 年 11 月 に 発 表 し た 端 末 識 別 番 号 ( International Mobile
Equipment Identity: IMEI) 制 度 改 善 計 画 に よ り 、 2012 年 5 月 か ら 国 内 移 動 体
通 信 事 業 者 に よ る 端 末 識 別 番 号 登 録 の な い 端 末 利 用 が 可 能 に な っ た 。こ れ に よ り 、
移動体通信事業者代理店以外の多様な販売チャンネルを通じた販売と、海外で購
入した端末の利用が可能となった。
端末販売時のインセンティブとしての補助金の不法な水準での支給は顧客差別
につながるとして、朴槿恵政権では規制を大幅強化した。不法な補助金の根絶を
目 的 と し て 2014 年 10 月 に 施 行 さ れ た「 移 動 通 信 端 末 装 置 流 通 構 造 改 善 に 関 す る
法 律( 端 末 流 通 法 )」で は 、罰 則 の 対 象 を 移 動 通 信 事 業 者 に 加 え 、メ ー カ ー と 代 理
店にも拡大した。同法の主な内容は次のとおりである。

補 助 金 上 限 は KCC が 告 示 で 定 め る

補助金と紐付けた高額プランや付加価値サービスの強制的加入の制限

補助金支給を受けない利用者には通信料金割引等で相応のインセンティブ
を提供
5

3
補助金支給内容の公示
情報通信基盤整備政策
(1)ユニバーサル・サービス
ユ ニ バ ー サ ル・サ ー ビ ス の 概 念 は「 電 気 通 信 事 業 法 」に 示 さ れ て お り 、
「電気通
信事業法施行令」で、その内容やユニバーサル・サービス提供事業者の指定、サ
ービス提供による損失補てんについて規定している。ユニバーサル・サービスの
内容は、次のとおりである。

有線電話:市内電話、市内公衆電話、島嶼通信

緊急電話:緊急通信用特殊番号電話、船舶無線電話

障がい者及び低所得層などに対する電話料金減免
ユニバーサル・サービス提供事業者は、未来創造科学部が指定する。サービス
提 供 に よ る 損 失 分 担 に つ い て は 、 売 上 高 300 億 KRW 以 上 の 基 幹 通 信 事 業 者 が 、
分担事業者別売上規模に応じて負担することになっている。
(2)デジタル・ディバイド解消政策
デ ジ タ ル・デ ィ バ イ ド 解 消 政 策 は 、
「 国 家 情 報 化 基 本 法 」を 根 拠 法 と し 、未 来 創
造科学部が所掌する。同法では、デジタル・ディバイド解消については、国家機
関と地方自治体が必要な施策を講じることとしている。
(3)情報社会化政策
韓 国 政 府 は 、「 国 家 情 報 化 基 本 法 」に 基 づ き 1996 年 か ら 福 祉 、教 育 、行 政 、文
化、国土・環境など国家機関の情報化計画を総合し、5 年単位で国家情報化基本
計画を策定する。同計画により、韓国ではブロードバンド化や電子政府化が短期
間 に 進 め ら れ て き た 。2013 年 12 月 に 、未 来 創 造 科 学 部 が ま と め た「 第 5 次 国 家
情 報 化 基 本 計 画 ( 2013~ 2017 年 )」 で は 、「 国 民 の 幸 福 の た め の デ ジ タ ル 創 造 韓
国 の 実 現 」を ビ ジ ョ ン と し て 掲 げ た 。目 標 実 現 に 向 け て 次 の 四 つ の「 CORE 戦 略 」
が 提 示 さ れ 、こ れ に 基 づ い て 15 の 課 題 が 盛 り 込 ま れ た 。「 CORE 戦 略 」と は 以 下
の頭文字をとったものである。

情報化を通じた創造経済(産業と産業、文化と産業を融合させ付加価値、
雇用、成長エンジンを生み出すことを目指す韓国の主要経済政策)のけん
引 ( Creative Economy)

国 家 社 会 の 創 意 的 情 報 通 信 技 術( ICT)の 活 用( Optimized Society via ICT)

国 民 の 創 造 力 強 化 ( Renewed Human Capacity)

デ ジ タ ル 創 造 韓 国 の 基 盤 高 度 化 ( Enhanced ICT Infrastructure)
全 体 的 に 個 別 課 題 は ICT 利 活 用 促 進 に 重 点 が 置 か れ る 内 容 と な っ て お り 、2013
年 に 発 表 さ れ た 「 創 造 ビ タ ミ ン プ ロ ジ ェ ク ト 」( Ⅲ - 4( 2 ) の 項 参 照 ) と 連 携 し
て進められることになっている。
6
(4)次世代網関連政策
ギガビット級ブロードバンド網構築
未 来 創 造 科 学 部 は 2013 年 5 月 、 2017 年 ま で に 全 国 90% の 地 域 に ギ ガ ビ ッ ト
級 ブ ロ ー ド バ ン ド 網 を 構 築 す る 計 画 を ま と め た 。2015 年 の ギ ガ ビ ッ ト 級 ブ ロ ー ド
バ ン ド ・ カ バ レ ッ ジ は 40% と さ れ て い る 。 カ バ レ ッ ジ 拡 大 と 同 時 に 、 UHD 等 高
品質サービス開発と活用を目的とした「ギガタウン」を整備する。
(5)国家災難安全通信網構築計画
2003 年 に 発 生 し た 大 邱 地 下 鉄 火 災 事 故 を 契 機 と し て 、同 年 か ら 国 家 災 難 安 全 無
線通信網の導入論議が開始されたが、採算面や特定企業への恩恵が問題視されて
計 画 が と ん 挫 す る な ど 、 10 年 以 上 計 画 が 進 ま な い 状 況 に あ っ た 。 し か し 、 2014
年 4 月 に 発 生 し た 旅 客 船 セ ウ ォ ル 号 沈 没 事 故 を 受 け 、大 統 領 が 国 家 災 難 安 全 通 信
網 の 構 築 を 国 民 に 約 束 。安 全 行 政 部( 当 時 )が 、2017 年 ま で の 構 築 計 画 を 発 表 し
た 。2014 年 10 月 に 、ネ ッ ト ワ ー ク の 設 計 事 業 者 と し て IT サ ー ビ ス 事 業 者 LG CNS
が 選 定 さ れ た 。 2015 年 10 月 に 、 ピ ョ ン チ ャ ン ( 平 昌 ) 近 隣 地 域 に お け る 試 験 事
業 の 優 先 交 渉 事 業 者 と し て KT と SK テ レ コ ム が 選 定 さ れ た 。
4
ICT 政 策
( 1 ) 中 長 期 ICT 産 業 強 化 総 合 戦 略 ― 「 K-ICT 戦 略 」
2020 年 ま で の 5 年 間 に 9 兆 KRW を 投 資 し 、ICT 産 業 成 長 率 8% 、生 産 額 240
兆 KRW、 輸 出 2,100 億 USD 達 成 を 目 指 す 中 長 期 的 ICT 産 業 総 合 強 化 戦 略 の
「 K-ICT 戦 略 」 が 、 2015 年 3 月 に 未 来 創 造 科 学 部 に よ り ま と め ら れ た 。 同 戦 略
は「 ICT が 先 導 す る 創 造 韓 国 実 現 」を ビ ジ ョ ン と し て 、新 産 業 育 成 の た め 、① ICT
産 業 体 質 の 根 本 的 改 善 、② ICT 融 合 サ ー ビ ス 拡 大 の た め 大 規 模 投 資 で 新 需 要 創 出 、
③中国・途上国等へのパッケージ型輸出多弁化を通じた販路開拓、④ソフトウェ
ア ・ 新 産 業 分 野 の 戦 略 9 産 業 育 成 、 の 4 分 野 で 17 の プ ロ ジ ェ ク ト を 重 点 的 に 進
める。
具 体 的 プ ロ ジ ェ ク ト と し て 、ICT 融 合 サ ー ビ ス 拡 大 の た め 、教 育・医 療・観 光 ・
都 市 ・ エ ネ ル ギ ー ・ 交 通 の 重 点 6 分 野 に 2019 年 ま で に 総 額 2 兆 1,000 億 KRW
を 投 じ る 。戦 略 9 産 業 に は 、ソ フ ト ウ ェ ア 、IoT、ク ラ ウ ド 、セ キ ュ リ テ ィ 、5G、
UHD、ス マ ー ト デ バ イ ス 、デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ 、ビ ッ グ デ ー タ が 指 定 さ れ て い る 。
( 2 ) ICT 融 合 促 進 政 策
(ア)情報通信戦略委員会の発足
朴 槿 恵 政 権 で は 、 ICT と 他 産 業 の 融 合 ( ICT 融 合 ) 政 策 を 政 府 横 断 的 に 進 め る
た め の 司 令 塔 と し て 、2014 年 5 月 に 、国 務 総 理( 首 相 )を 委 員 長 と し て 未 来 創 造
科 学 部 長 官 を は じ め 25 名 の 委 員 で 構 成 さ れ る 、 情 報 通 信 戦 略 委 員 会 を 立 ち 上 げ
た 。ICT 特 別 法 を 設 立 根 拠 と す る 情 報 通 信 戦 略 委 員 会 で は 、ICT 基 本 計 画 の 決 定 、
ICT 融 合 の 障 害 と な る 規 制 緩 和 、研 究 開 発 の 優 先 順 位 勧 告 等 の 中 核 的 機 能 を 担 う 。
7
(イ)情報通信振興及び融合活性化基本計画
情 報 通 信 戦 略 委 員 会 は 、 2014~ 2016 年 の ICT 融 合 中 期 基 本 計 画 と し て 、 関 連
省 庁 と 共 同 で 「 情 報 通 信 振 興 及 び 融 合 活 性 化 基 本 計 画 」 を 2014 年 5 月 に ま と め
た 。「 Hyper-connected Creative Korea」 を ビ ジ ョ ン と し て 、 2016 年 ま で に 小 中
高 校 3,000 校 へ の 3D プ リ ン タ 設 置 、官 民 合 同 の ICT 融 合 フ ラ ッ グ シ ッ プ プ ロ ジ
ェクト等が進められる。未来創造科学部は毎年ベースで実行計画をまとめる。
2016 年 度 に 向 け て は 、「 K-ICT 戦 略 」 を 大 幅 に 反 映 し た 内 容 と な っ た 。
(ウ)創造ビタミンプロジェクト
ICT 融 合 促 進 の 中 核 と な る 政 府 横 断 政 策 と し て 、2013 年 か ら「 創 造 ビ タ ミ ン プ
ロ ジ ェ ク ト 」が 実 施 さ れ て い る 。
「 創 造 ビ タ ミ ン プ ロ ジ ェ ク ト 」と は 、科 学 技 術 と
ICT と い う 「 ビ タ ミ ン 」 を 通 じ 、 各 省 庁 が 協 力 し て 各 種 の 社 会 問 題 を 解 決 し 、 関
連産業の高度化を目指す、国民の利益向上と成長戦略実現のための政策ブランド
で あ る 。 未 来 創 造 科 学 部 は 2013 年 11 月 に 同 プ ロ ジ ェ ク ト の 詳 細 計 画 を ま と め 、
農 業 ・ 文 化 観 光 ・ 保 健 医 療 等 の 重 点 7 分 野 に お け る 、 科 学 技 術 ・ICT 融 合 の 個 別
プ ロ ジ ェ ク ト を 進 め る 計 画 を 発 表 し た 。 2014~ 2017 年 ま で に 120 以 上 の 個 別 プ
ロジェクトが実施される計画である。
(3)新産業育成戦略
未 来 創 造 科 学 部 と 産 業 通 商 資 源 部 は 、2020 年 ま で 戦 略 分 野 に 5 兆 6,000 億 KRW
を 投 じ る ICT 新 産 業 育 成 マ ス タ ー プ ラ ン「 未 来 成 長 動 力・産 業 エ ン ジ ン 総 合 実 践
計 画 ( 以 下 、 実 践 計 画 )」 を 2015 年 3 月 に ま と め た 。 実 践 計 画 は 、 未 来 創 造 科
学部と産業通商資源部の政策を統合したもので、今後は両機関が連携しながら政
策を進める。
2015 年 中 は 1 兆 KRW が 投 資 さ れ 、2024 年 ま で に 輸 出 1,000 億 USD 規 模 の 新
産 業 育 成 を 目 指 す 。 両 省 庁 の 政 策 統 合 に よ り 、 19 の 戦 略 産 業 が 指 定 さ れ た 。 19
産業は、未来新産業、主力産業、公共福祉・ エネルギー産業、基盤産業に 4 分
類 さ れ て い る 。主 力 産 業 に は 、ス マ ー ト カ ー 、深 海 海 洋 プ ラ ン ト 、5G、垂 直 離 着
陸無人機(ドローン)の 4 産業が指定された。投資額の大きさでは、ウェアラブ
ル デ バ イ ス 、IoT、5G、ス マ ー ト ロ ボ ッ ト 、ス マ ー ト 半 導 体 、の 順 と な っ て い る 。
(4)個別技術・サービス促進戦略
(ア)クラウド促進
クラウドの利用拡大と関連産業の競争力強化のため、関係省庁の共同戦略とし
て 、未 来 創 造 科 学 部 が 2014 年 1 月 に「 ク ラ ウ ド 産 業 育 成 計 画( 2014~ 2017 年 )」
をまとめた。同計画を受け、クラウド産業関連育成と利用者保護等を骨子とする
「クラウド・コンピューティング発展及び利用者保護に関する法律(通称クラウ
ド 法 )」が 2015 年 9 月 に 施 行 さ れ た 。更 に 、ク ラ ウ ド 法 を 根 拠 と し て 、2016~ 2018
年 ま で の ク ラ ウ ド 育 成 基 本 計 画 の「 K-ICT ク ラ ウ ド・コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ 活 性 化
8
計 画 」 が 未 来 創 造 科 学 部 に よ り 2015 年 11 月 に ま と め ら れ た 。
(イ)ビッグデータ活用の促進
公 共 分 野 主 導 の ビ ッ グ デ ー タ 活 用 に よ り 、2017 年 ま で に ビ ッ グ デ ー タ 先 進 国 を
目 指 す 政 府 横 断 戦 略「 ビ ッ グ デ ー タ・マ ス タ ー プ ラ ン 」が 2012 年 11 月 に ま と め
られた。朴槿恵政権でもこの路線は継承され、政権の政策ブランドとして掲げら
れ た 「 政 府 3.0」 で は 、 行 政 へ の ビ ッ グ デ ー タ 活 用 が 盛 り 込 ま れ て い る 。
2013 年 か ら は 各 省 で の ビ ッ グ デ ー タ 戦 略 が 発 表 さ れ て い る 。未 来 創 造 科 学 部 で
は 、 2013 年 12 月 に 「 ビ ッ グ デ ー タ 産 業 発 展 戦 略 ( 2013~ 2017 年 )」 を ま と め 、
関連産業育成を図り、試験事業や中核技術開発を進めている。安全行政部(現行
政 自 治 部 ) は 2014 年 1 月 、 行 政 全 般 で の ビ ッ グ デ ー タ 活 用 を 本 格 化 す る た め の
「ビッグデータ活用拡大対策」をまとめた。
(ウ)オープンデータ促進
政府と公共機関が保有する公共データの開放と、これらを活用した民間ビジネ
ス を 促 進 す る 目 的 で 、2013 年 10 月 に「 公 共 デ ー タ の 提 供 及 び 利 用 活 性 化 に 関 す
る法律」が施行された。大部分の公共機関は保有する公共データの開放を義務付
けられ、公共データ活用のアプリ開発など民間でのビジネス創出が法的に保証さ
れ る 。 行 政 自 治 部 は 2017 年 ま で に 合 計 1 万 2,654 種 の 公 共 デ ー タ を 開 放 す る こ
と を 骨 子 と し た「 公 共 デ ー タ 提 供 及 び 利 用 活 性 化 基 本 計 画 」を 2013 年 12 月 に ま
と め た 。更 に 、国 務 総 理 所 属 の 政 府 3.0 推 進 委 員 会 が 2015 年 9 月 に ま と め た「 国
政 課 題 第 2 期 政 府 3.0 中 核 推 進 方 向 」 で 、 36 分 野 の オ ー プ ン デ ー タ を 2016 年 ま
での完了とする 1 年前倒し方針を発表した。
( エ ) IoT 普 及 促 進
未 来 創 造 科 学 部 は 2014 年 5 月 、「 モ ノ の イ ン タ ー ネ ッ ト 基 本 計 画 」 を ま と め 、
国 内 IoT 市 場 規 模 を 2013 年 の 2 兆 3,000 億 KRW か ら 2020 年 ま で に 30 兆 KRW
に 拡 大 す る た め 、政 府 横 断 及 び 民 間 と の 協 力 に よ る 取 組 み を 進 め る 方 針 を 示 し た 。
具 体 的 に は 、 創 意 的 IoT サ ー ビ ス 市 場 拡 大 、 グ ロ ー バ ル な IoT 専 門 事 業 者 育 成 、
IoT 基 盤 整 備 の 3 分 野 に 分 け て 15 の 事 業 が 実 施 さ れ る 。
IoT サ ー ビ ス 本 格 化 の た め 、 未 来 創 造 科 学 部 は 2015 年 か ら IoT 実 証 団 地 整 備
事 業 を 開 始 し た 。 公 募 の 結 果 、 ス マ ー ト シ テ ィ 分 野 で は SK テ レ コ ム と 組 ん だ 釜
山 市 、 ヘ ル ス ケ ア 分 野 で は 、 KT/ サ ム ス ン 電 子 と 組 ん だ 大 邱 市 で 、 2017 年 ま で
に実証団地が構築されることになった。
( オ ) 5G 開 発 に 向 け た 政 策 取 組
5G 開 発 で 世 界 的 主 導 権 を 確 保 す る た め 、 2013 年 か ら 官 民 の 積 極 的 な 動 き が 開
始 さ れ た 。 2013 年 5 月 に 、 5G サ ー ビ ス ・ ビ ジ ョ ン と 中 長 期 技 術 革 新 戦 略 策 定 、
国 内 外 標 準 化 推 進 の た め の 意 見 交 換 の 場 の 提 供 を 目 的 と し た 産 官 学 協 議 体 の「 5G
Forum」 が 未 来 創 造 科 学 部 の 主 導 で 立 ち 上 げ ら れ た 。 未 来 創 造 科 学 部 は 、 2020
9
年 に 世 界 に 先 駆 け た 5G 商 用 サ ー ビ ス 開 始 を 目 指 す 総 合 戦 略 と し て 、2014 年 1 月 、
「 未 来 移 動 通 信 産 業 発 展 戦 略 ( Creative 5G Mobile Strategy)」 を ま と め た 。
(5)電子政府
電 子 政 府 は 1990 年 代 後 半 か ら 国 家 戦 略 と し て 構 築 さ れ 、 2002 年 11 月 か ら 運
用 を 開 始 し た 。2001 年 に は「 電 子 政 府 法 」が 制 定 さ れ て お り 、電 子 政 府 は 行 政 自
治 部 の 所 掌 で あ る 。 蘆 武 鉉 政 権 時 代 の 2003~ 2008 年 に は 世 界 最 高 レ ベ ル の 電 子
政府を目指して電子政府ロードマップが計画どおりに進められた。
国連の電子政府ランキングで韓国は 3 回連続で世界第 1 位と評価されており、
2010 年 か ら 電 子 政 府 輸 出 も 急 増 し て い る 。 2014 年 の 「 電 子 政 府 法 」 改 正 で 、 行
政でのビッグデータ活用が盛り込まれた。
(6)インターネット中立性問題
スマートフォン向けモバイル・チャットアプリ「カカオトーク」の大ヒットに
よ り 移 動 通 信 網 へ の 負 荷 が 急 増 し た こ と か ら 、2011 年 前 半 に ネ ッ ト ワ ー ク 中 立 性
論争が本格化した。
ネ ッ ト ワ ー ク 中 立 性 問 題 に よ る 紛 争 回 避 の た め 、KCC は 2011 年 12 月 、
「ネッ
トワーク中立性及びインターネット・トラヒック管理に関するガイドライン」を
発 表 し た 。ガ イ ド ラ イ ン の 後 続 政 策 と し て 、未 来 創 造 科 学 部 は 2013 年 12 月 、ネ
ットワーク事業者の恣意的なトラヒック管理を防止し、利用者にトラヒック管理
情報を公開することを主な目的とした「通信網の合理的管理・利用とトラヒック
管理の透明性に関する基準」を発表した。主な内容としては、①トラヒック管理
の 基 本 原 則 、② 合 理 的 ト ラ ヒ ッ ク 管 理( 判 断 基 準 、類 型 )、③ ト ラ ヒ ッ ク 管 理 情 報
の 透 明 な 公 開 、 ④ 利 用 者 保 護 等 の 9 か 条 が あ る 。 こ の 基 準 は 、 2014 年 1 月 1 日
に 施 行 さ れ 、 ネ ッ ト ワ ー ク 事 業 者 は 施 行 後 6 か 月 以 内 ( 2014 年 6 月 末 ま で ) に
トラヒック管理情報をインターネットホームページ等に公開しなければならず、
同基準によりトラヒック管理を施行しようとする場合には、利用約款にこれを反
映した後に施行しなければならない。
5
消費者保護政策
(1)政府横断的サイバーテロ対策
2013 年 3 月 と 6 月 に 大 規 模 サ イ バ ー 攻 撃 を 受 け た 韓 国 で は 、 政 府 横 断 の 体 系
的な対応をとるため、関係省庁が合同で「国家サイバー安保総合対策」を同年 7
月にまとめた。これにより、サイバーセキュリティの司令塔は青瓦台(大統領官
邸)とされ、実務総括は国家情報院が担当する。未来創造科学部や国防部等の関
係 機 関 は 所 管 分 野 を そ れ ぞ れ 担 当 す る 対 応 体 系 を 確 立 し た 。主 要 事 故 に つ い て は 、
官民軍合同対応チームを中心に協力を強化する。
サイバーテロ、ハッキング、ウイルス、個人情報保護等のインターネット上の
セキュリティ対策分野では、政府傘下機関のインターネット振興院が実質的な役
10
割を果たしている。
(2)個人情報保護対策
韓 国 で は 、イ ン タ ー ネ ッ ト で の サ ー ビ ス 利 用 時 の 個 人 認 証 手 段 と し て 一 般 的 に 、
すべての国民に出生時に付与される住民登録番号が広く利用されてきたが、この
慣習を問題視する向きも多かった。そのため、政府は住民登録番号入力の代替手
段 と し て 2005 年 か ら 、 個 人 識 別 番 号 i-PIN( Internet Personal Identification
Number)の 利 用 促 進 を 図 っ て き た 。2012 年 の 情 報 通 信 網 法 の 改 正 に よ り 、同 年
8 月からインターネット上での住民登録番号の新規収集が禁止され、事業者がこ
れ ま で に 収 集 し た 住 民 登 録 番 号 は 2 年 以 内( 2014 年 8 月 17 日 ま で )の 破 棄 を 義
務 付 け ら れ た 。更 に 、2014 年 8 月 の「 個 人 情 報 保 護 法 」改 正 に よ り 、オ フ ラ イ ン
での住民登録番号の収集・利用も禁止され、オンライン・オフライン共に住民登
録番号利用は最低限に制限されるようになった。
一 方 、 2014 年 1 月 に 発 生 し た 大 手 ク レ ジ ッ ト カ ー ド 会 社 3 社 の 大 規 模 個 人 情
報流出事故は社会に衝撃を与えた。これを契機として政府全体で個人情報保護強
化 に 取 り 組 む た め の「 個 人 情 報 保 護 正 常 化 対 策 」が 7 月 に ま と め ら れ た 。KCC は 、
政 府 全 体 の 対 策 と 歩 調 を 合 わ せ な が ら 、 同 年 11 月 に 情 報 通 信 網 法 を 改 正 し 、 個
人情報保護措置強化、情報流出事業者への罰則強化を図った。
ま た 、2015 年 3 月 、 ハ ッ キ ン グ に よ る 公 共 i-PIN の 不 正 発 給 が 発 覚 し 、i-PIN
システムの脆弱性が問題化したため、セキュリティ改善が進められている。
(3)家計に占める通信料金引下げ政策
李明博政権から引き続き、朴槿恵政権においても、家計に占める通信料引下げ
が政権公約とされ、重要政策課題の一つに位置付けられている。未来創造科学部
は 毎 年 ベ ー ス で 移 動 通 信 料 金 引 下 げ 政 策 パ ッ ケ ー ジ を ま と め 、郵 便 局 で の MVNO
代 行 販 売 開 始 や 卸 売 料 金 引 下 げ 等 の MVNO 活 性 化 対 策 、 移 動 電 話 加 入 費 段 階 的
引下げ、端末流通法による端末費用負担軽減、移動通信料金プラン拡大等の政策
を 実 施 し て い る 。2015 年 度 政 策 パ ッ ケ ー ジ と し て ま と め ら れ た「 移 動 通 信 市 場 競
争促進及び規制合理化のための通信政策対策」により、料金認可制度廃止、競争
状況評価見直し、市場支配的事業者の法的根拠整備が進められることになった。
Ⅳ
関連技術の動向
基準・認証制度
電気通信設備及び無線設備(放送受信のみを目的とするものを除く)を製造又
は輸入する場合、技術認証を受ける必要があるが、試験・研究や輸出用などの設
備 の 場 合 は 免 除 さ れ る 。ま た 、外 国 で 製 造 さ れ 、輸 入 さ れ る 通 信 設 備 に つ い て は 、
「電波法」の規定による、国際条約や国家間の通信機器の認証に関する相互承認
協定の内容に応じて、認証が免除される。
11
認 証 機 関 は 未 来 創 造 科 学 部 の 機 関 で あ る 国 立 電 波 研 究 院( RRA)で 、型 式 検 定
は RRA が 実 施 し 、型 式 登 録 は RRA が 認 定 す る 認 証 機 関 が 、適 合 性 評 価 試 験 を 実
施 し 、 試 験 報 告 書 を RRA に 提 出 す る 。
Ⅴ
事業の現状
1
市場概要
2009 年 6 月 の KT・ KTF 合 併 が 引 き 金 と な り 、LG グ ル ー プ の 移 動 ・ 固 定 通 信
3 社( LG Telecom、LG Dacom、LG Powercom)も 2010 年 1 月 に 合 併 し て LG U+
に 社 名 変 更 す る な ど 、同 一 グ ル ー プ 内 の 通 信 事 業 者 合 併 の 動 き に 拍 車 が か か っ た 。
移 動 体 通 信 最 大 手 SK テ レ コ ム は 2008 年 に 固 定 通 信 市 場 第 2 位 の ハ ナ ロ ・ テ レ
コ ム ( 現 SK ブ ロ ー ド バ ン ド ) を 買 収 し て 子 会 社 化 し た 。 SK テ レ コ ム は そ の 後 、
プ ラ ッ ト フ ォ ー ム 部 門 の 機 動 性 を 高 め る た め に 同 部 門 を 非 上 場 の 完 全 子 会 社 SK
プ ラ ネ ッ ト ( SK Planet) と し て 2011 年 10 月 に 分 離 す る と い っ た 独 自 路 線 を 取
っ て き た が 、 2015 年 11 月 に 、 ケ ー ブ ル 放 送 市 場 最 大 手 CJ ハ ロ ー ビ ジ ョ ン を 買
収 し て か ら 2016 年 前 半 に SK ブ ロ ー ド バ ン ド と 合 併 さ せ る 計 画 を 発 表 し 、 グ ル
ープ内通信事業再編に乗り出した。
2
固定電話
国 際 通 信 が 1991 年 、長 距 離 通 信 が 1996 年 、市 内 通 信 が 1999 年 に 自 由 化 さ れ
て い る が 、 依 然 と し て 旧 国 営 事 業 者 KT の シ ェ ア が 大 き い 。 市 内 通 信 市 場 に は 、
KT、SK ブ ロ ー ド バ ン ド( SK Broadband)、LG U+の 3 社 が 存 在 す る 。各 社 の 加
入 者 規 模 は 以 下 の 表 の と お り で 、 2015 年 9 月 末 現 在 の 市 内 電 話 加 入 者 総 数 は 約
1,649 万 人 で あ る 。 2003 年 以 降 に 番 号 ポ ー タ ビ リ テ ィ が 導 入 さ れ て か ら は 、 KT
が 徐 々 に で は あ る が 、 加 入 者 シ ェ ア を 落 と し て い る 。 VoIP 市 場 に は 11 社 が 参 入
し て お り 、 2015 年 9 月 末 現 在 の 加 入 者 数 は 1,246 万 人 。 加 入 者 数 に よ る 事 業 者
の 規 模 は 、 LG U+、 KT、 SK ブ ロ ー ド バ ン ド 、 KCT の 順 で あ る 。
国 際 電 話 市 場 で は 、KT、SK ブ ロ ー ド バ ン ド 、LG U+、オ ン セ・テ レ コ ム( Onse
telecom)、 SK Telink の 基 幹 通 信 事 業 5 社 と 多 数 の 別 定 通 信 事 業 者 が 価 格 競 争 を
展開している。
3
移動体通信
(1)主要事業者の概要
移 動 体 通 信 市 場 に は 、 SK テ レ コ ム 、 KT、 LG U+の 3 事 業 者 が 存 在 し 、 2015
年 9 月 末 現 在 、 各 社 の 市 場 シ ェ ア は 、 SK テ レ コ ム が 45.0% ( 2,626 万 )、 KT が
26.0% ( 1,521 万 )、 LG U+が 19.4% ( 1,134 万 )、 MVNO が 9.6% ( 560 万 ) と
なっている。
(2)移動体通信サービス動向
KT に よ る iPhone 発 売 を 契 機 に 、 2009 年 末 以 降 、 世 界 最 速 ス ピ ー ド で ス マ ー
12
ト フ ォ ン 化 が 進 展 し 、2015 年 9 月 末 現 在 の 移 動 電 話 全 加 入 者 に 占 め る ス マ ー ト フ
ォ ン 加 入 率 は 約 80% に 達 し た 。ス マ ー ト フ ォ ン 化 に よ る 無 線 デ ー タ 通 信 ト ラ ヒ ッ
ク 急 増 で 、 移 動 体 通 信 各 社 は LTE 導 入 計 画 を 前 倒 し 、 2012 年 3 月 か ら 4 月 に か
け て LTE 全 国 サ ー ビ ス を 開 始 し た こ と で 、 2012 年 に LTE 競 争 が 本 格 化 し た 。
LTE-Advanced は 、SK テ レ コ ム が 2013 年 6 月 に 世 界 初 の 商 用 サ ー ビ ス を 開 始 す
る と 、 競 合 2 社 も 2013 年 中 に 相 次 い で 商 用 サ ー ビ ス を 開 始 し た 。
移 動 電 話 加 入 者 数 に 占 め る LTE 契 約 の 割 合 は 、2015 年 9 月 末 現 在 で 約 69% に
達 し て い る 。 VoLTE は 、 2012 年 8 月 か ら 自 社 加 入 者 間 の み の サ ー ビ ス が 開 始 さ
れ 、事 業 者 3 社 間 連 動 サ ー ビ ス は 2015 年 8 月 か ら 11 月 に か け て 段 階 的 に 開 始 さ
れた。
4
インターネット
(1)ブロードバンド
1995 年 以 降 、政 府 主 導 で ブ ロ ー ド バ ン ド 基 盤 が 拡 充 さ れ た 。当 初 は xDSL と ケ
ーブルモデムとが競合しつつブロードバンド加入者が拡大したが、短期間で急成
長 し た ブ ロ ー ド バ ン ド 市 場 は 2000 年 代 半 ば ま で に 飽 和 状 態 と な り 、 激 し い 市 場
競 争 が 続 い て い る 。 現 在 は xDSL か ら LAN と FTTH へ の 加 入 者 移 行 が 進 展 し て
い る 。 2015 年 9 月 末 現 在 の 固 定 網 ブ ロ ー ド バ ン ド 加 入 者 総 数 は 約 1,994 万 で 、
加 入 者 数 に よ る 市 場 シ ェ ア は KT、 SK ブ ロ ー ド バ ン ド ( SK テ レ コ ム の 再 販 売 含
む )、 LG U+の 順 で あ る 。 KT が 2014 年 10 月 か ら ギ ガ ビ ッ ト 級 ブ ロ ー ド バ ン ド
を 全 国 サ ー ビ ス 化 し た こ と で 、競 合 各 社 の ギ ガ ビ ッ ト 級 FTTH サ ー ビ ス 競 争 に 拍
車がかかった。
( 2 ) WiBro( モ バ イ ル WiMAX)
WiBro 事 業 者 と し て 選 定 さ れ た KT と SK テ レ コ ム は 、2006 年 6 月 末 に 、世 界
に 先 駆 け て 2.3GHz 帯 利 用 の WiBro を ソ ウ ル の 一 部 地 域 で 開 始 し た 。WiBro の 全
国 サ ー ビ ス 化 は 遅 れ て い た が 、 KT は 2011 年 3 月 に WiBro 全 国 ネ ッ ト ワ ー ク を
構 築 し た 。 2015 年 9 月 末 現 在 の WiBro 加 入 者 数 は 約 81 万 で 、 KT の 加 入 者 が 8
割以上を占める。
( 3 ) Wi-Fi
ス マ ー ト フ ォ ン 化 が 急 進 展 し た 2010 年 か ら 、 移 動 体 通 信 3 社 は デ ー タ 通 信 オ
フ ロ ー ド 戦 略 と し て Wi-Fi ネ ッ ト ワ ー ク 構 築 に 力 を 入 れ た 。一 方 、各 社 が 独 自 の
Wi-Fi サ ー ビ ス エ リ ア を 急 拡 大 し た 結 果 、 基 盤 重 複 構 築 や 電 波 混 信 が 問 題 視 さ れ
た 。 そ の た め 、 2011 年 7 月 に KCC が 仲 介 を し 、 3 社 は 公 共 ス ペ ー ス で の Wi-Fi
サ ー ビ ス エ リ ア 共 同 構 築 で 合 意 し 、 2012 年 7 月 か ら 3 社 の 共 同 構 築 Wi-Fi で の
サービスが開始された。
朴 槿 恵 政 権 は 無 料 Wi-Fi 拡 大 方 針 を 政 権 公 約 に 盛 り 込 ん で お り 、 2013 年 7 月
に 未 来 創 造 科 学 部 は 「 公 共 Wi-Fi 拡 大 計 画 」 を ま と め 、 2017 年 ま で に 無 料 の 公
13
共 Wi-Fi を 全 国 の 1 万 2,000 か 所 に 拡 大 す る 計 画 を 発 表 し た 。公 共 Wi-Fi は 毎 年
度 計 画 ど お り に 拡 大 さ れ て い る 。ソ ウ ル 市 な ど 地 方 自 治 体 独 自 の Wi-Fi サ ー ビ ス
エリア構築の動きもある。
5
新成長サービス
( 1 ) IPTV
地 上 再 送 信 を 含 む リ ア ル タ イ ム 放 送 が 可 能 な IPTV は 法 定 義 問 題 の た め 開 始 が
遅 れ た が 、2006 年 7 月 以 降 、SK ブ ロ ー ド バ ン ド 、KT、LG Dacom( 現 LG U+)
の固定通信 3 社は、通信サービスの範疇で提供が可能であったビデオ・オン・デ
マ ン ド ( VoD) 主 体 の IPTV を 順 次 開 始 し た 。 2007 年 末 の IPTV 法 成 立 に よ り 、
リ ア ル タ イ ム 放 送 が 可 能 な 本 格 的 IPTV サ ー ビ ス が 全 国 エ リ ア で 可 能 と な り 、
2008 年 9 月 に 、 前 記 3 社 が IPTV 提 供 事 業 者 と し て 選 定 さ れ 、 11 月 か ら 2009
年 1 月 に か け て 順 次 、 リ ア ル タ イ ム 放 送 IPTV が 開 始 さ れ た 。 同 年 8 月 か ら は 衛
星 放 送 と IPTV の 融 合 サ ー ビ ス も KT に よ り 開 始 さ れ て い る 。2015 年 5 月 末 現 在
の IPTV 加 入 者 数 は 1,164 万 。 ス マ ー ト フ ォ ン で IPTV 視 聴 が で き る モ バ イ ル
IPTV サ ー ビ ス も 提 供 さ れ し て い る 。
( 2 ) デ ジ タ ル ・ マ ル チ メ デ ィ ア 放 送 ( DMB)
韓国では移動体や携帯端末向けのマルチメディア放送として、衛星と地上波の
2 種 類 の DMB が 開 発 さ れ た が 、 有 料 サ ー ビ ス で あ っ た 衛 星 DMB は 、 2012 年 8
月 末 に サ ー ビ ス を 終 了 し た 。 地 上 DMB( 移 動 体 向 け 地 上 デ ジ タ ル 放 送 ) は VHF
帯( 174-216MHz: チ ャ ン ネ ル 7~ 13)を 利 用 す る 無 料 サ ー ビ ス で 、2005 年 末 か
ら 地 上 放 送 事 業 者 3 社 を 含 む 6 社 が サ ー ビ ス を 提 供 し て い る 。 な お 、 地 上 DMB
は 2005 年 7 月 、 欧 州 電 気 通 信 標 準 化 機 構 ( European Telecommunications
Standards Institute: ETSI) に よ り 欧 州 標 準 と し て 採 択 さ れ 、 韓 国 の 放 送 技 術
としては初めての国際標準となっている。
(3)インターネット関連サービス
早 く か ら ブ ロ ー ド バ ン ド が 発 達 し た 韓 国 の ポ ー タ ル 市 場 で は 、 NAVER ( 旧
NHN)、Daum( カ カ オ )、NATE( SK Communications)と い っ た 国 内 ポ ー タ ル
サイトの利用率がグーグルよりもはるかに高いことが特徴的である。検索市場シ
ェ ア で は 、ポ ー タ ル 最 大 手 の NAVER が 70% 以 上 と 圧 倒 的 シ ェ ア を 占 め る 。な お 、
NAVER の 日 本 法 人( 旧 NHN Japan)は 2012 年 1 月 に ラ イ ブ ド ア を 吸 収 合 併 し 、
更 に 、 2013 年 4 月 に Web サ ー ビ ス 事 業 の LINE と ゲ ー ム 事 業 に 会 社 分 割 し た 。
独 立 系 ベ ン チ ャ ー の カ カ オ は 、2010 年 に 開 始 し た モ バ イ ル・チ ャ ッ ト ア プ リ「 カ
カ オ ト ー ク 」で 急 成 長 を 遂 げ た 。2014 年 10 月 に ポ ー タ ル 市 場 第 2 位 の Daum と
カ カ オ が 合 併 し て 、 NAVER に 次 ぐ イ ン タ ー ネ ッ ト ・ サ ー ビ ス 大 手 の ダ ウ ム カ カ
オ( daumkakao)が 誕 生 し た 。 同 社 は 2015 年 9 月 に 社 名 を カ カ オ に 変 更 し て い
る。
14
Ⅵ
運営体等
1
運営体
( 1 ) KT Corporation( KT)
Tel.: + 82 31 727 0114
URL: http://www.kt.com/
所 在 地 : 90 Buljeong-ro ( 206 Jungja-dong ) , Bundang-gu, Seongnam-city,
Kyeonggi-do, 463-711, KOREA
幹 部:フ ァ ン・チ ャ ン ギ ュ / 黄 昌 圭 / Hwang Chang-Gyu( 最 高 経 営 責 任 者 / CEO)
概要
1981 年 に 逓 信 部 ( Ministry of Communications) か ら 電 気 通 信 事 業 部 門 を 分
離 し 、韓 国 電 気 通 信 公 社 と し て 発 足 し た 後 、2002 年 5 月 に 政 府 保 有 株 式 を す べ て
売 却 し て 完 全 民 営 化 を 果 た し た 固 定 通 信 最 大 手 事 業 者 で 、2009 年 6 月 に 移 動 通 信
市 場 第 2 位 の 子 会 社 KTF と 合 併 し た 。2014 年 度 の 売 上 高 は 23 兆 KRW、営 業 利
益 は - 2,918 億 KRW の 営 業 赤 字 。
2013 年 ま で は IT メ デ ィ ア 集 中 育 成 、 融 合 事 業 拡 大 、 グ ロ ー バ ル 事 業 拡 大 等 を
進 め て き た が 、本 業 の 通 信 部 門 が 大 幅 不 振 に 陥 っ た た め 、2014 年 に フ ァ ン 会 長 体
制 に な っ て か ら 、事 業 戦 略 見 直 し を 図 っ て い る 。2014 年 5 月 に 今 後 の ビ ジ ョ ン と
し て 発 表 し た 「 ギ ガ ト ピ ア 」 戦 略 で 、 今 後 3 年 で 4 兆 5,000 億 KRW を 投 じ て 固
定 ・ 移 動 統 合 ギ ガ ビ ッ ト 級 基 盤 を 整 備 し 、 IoT ベ ー ス の 5 分 野 の 融 合 サ ー ビ ス 分
野 を 重 点 育 成 す る 方 針 を 打 ち 出 し た 。更 に 、2020 年 ま で に 通 信 基 盤 の ビ ッ グ デ ー
タ 活 用 や ク ラ ウ ド 化 に 13 兆 KRW を 投 じ る 方 針 が 2015 年 9 月 に 発 表 さ れ た 。
( 2 ) SK テ レ コ ム ( SK Telecom Co., Ltd. )
Tel.: + 82 2 6100 2114
URL: http://www.sktelecom.com/
所 在 地 : Euljiro 65, Jung-gu, Seoul 100-999, KOREA
幹 部:チ ャ ン・ド ン ヒ ョ ン / 張 東 鉉 / Jang Dong-hyun( 代 表 理 事 社 長 / President
and CEO)
概要
KT の 移 動 体 通 信 部 門 で あ る 旧 韓 国 移 動 通 信 が 前 身 の 国 内 最 大 の 移 動 体 通 信 事
業 者 で あ る 。 2014 年 度 の 業 績 は 、 年 間 売 上 高 が 17 兆 1,638 億 KRW、 営 業 利 益
は 1 兆 8,251 億 KRW。こ れ ま で の 融 合 と グ ロ ー バ ル 戦 略 に 代 え て 、2010 年 か ら
は他業種と連携して生産性の向上を図る戦略で、法人市場開拓を進めている。
2011 年 に プ ラ ッ ト フ ォ ー ム 部 門 の 機 動 力 強 化 を ね ら っ て プ ラ ッ ト フ ォ ー ム 部 門
を 完 全 子 会 社 SK プ ラ ネ ッ ト と し て 分 社 し 、半 導 体 大 手 の ハ イ ニ ク ス を 買 収 し た 。
今 後 30 年 の 成 長 軸 と し て 、ICT と エ コ ノ ミ ク ス を 組 み 合 わ せ た「 ICT ノ ミ ク ス 」
を 2014 年 5 月 に 発 表 。 ICT ノ ミ ク ス 実 践 の た め 、 世 界 に 先 駆 け て の 5G 商 用 サ
15
ー ビ ス 開 始 、 IoT、 ビ ッ グ デ ー タ 、 人 工 知 能 等 の 事 業 を 成 長 基 盤 と す る 方 針 を 打
ち出している。
( 3 ) SK ブ ロ ー ド バ ン ド ( SK Broadband Co., Ltd. )
Tel.: + 82 2 6266 6114
URL: http://www.skbroadband.com/
所 在 地 : SK Nam-San Building, 24, Toegye-ro, Chung-gu, Seoul 100-711,
KOREA
幹 部 : イ ・ イ ン チ ャ ン / Lee In Chan( 社 長 / CEO)
概要
1997 年 に 設 立 さ れ た 市 場 シ ェ ア 第 2 位 の 固 定 通 信 事 業 者 ハ ナ ロ・テ レ コ ム が 前
身 。 ADSL、 ケ ー ブ ル モ デ ム 、 LMDS な ど の 様 々 な ネ ッ ト ワ ー ク を 利 用 し 、 音 声
電 話 及 び ブ ロ ー ド バ ン ド 、IPTV 等 を 提 供 し て い る 。2008 年 3 月 末 に SK テ レ コ
ム が ハ ナ ロ を 買 収・子 会 社 化 し 、同 年 9 月 、SK ブ ロ ー ド バ ン ド に 社 名 変 更 し た 。
2014 年 度 売 上 高 は 2 兆 6,454 億 KRW、 営 業 利 益 は 582 億 KRW。
( 4 ) LG U+( LG Uplus Corp.)
Tel.: + 82 2 2005 7114
URL: http://www.uplus.co.kr/
所 在 地 : 827, Namdaemunno 5-ga, Jung-gu, Seoul 100-095, KOREA
幹 部:イ・サ ン チ ョ ル / 李 相 哲 / Lee Sang Chul( 代 表 理 事 副 会 長 / CEO and Vice
Chairman)
概要
LG グ ル ー プ 内 の 移 動 通 信 事 業 者 LG テ レ コ ム と 、 固 定 通 信 事 業 者 で VoIP と
IPTV を 提 供 す る LG Dacom と ブ ロ ー ド バ ン ド を 提 供 す る LG パ ワ ー コ ム の 3 社
が 2010 年 1 月 に 合 併 し 、同 年 7 月 に 現 社 名 に 変 更 さ れ た 。2014 年 度 年 間 売 上 高
は 、 10 兆 9,998 億 KRW、 営 業 利 益 は 5,763 億 KRW。 合 併 以 降 、 既 存 の 通 信 分
野の枠を超えて新市場を作り出す「脱通信」戦略を進めている。移動通信市場で
の シ ェ ア は 常 に 第 3 位 で あ っ た が 、LTE 全 面 戦 略 で 巻 き 返 し を 図 っ て お り 、シ ェ
ア を 拡 大 し つ つ あ る 。 2020 年 ま で に IoT で 世 界 一 の 企 業 と な る こ と を 目 指 し て
いる。
2
主要メーカー
( 1 ) サ ム ス ン 電 子 株 式 会 社 ( Samsung Electronics Co., Ltd)
Tel.: + 82 2 2255 0114
URL: http://www.samsung.com/
所 在 地 : 129, Samsung-ro, Yeongtong-gu, Suwon-si, Gyeonggi-do, KOREA
幹 部 : ク ォ ン ・ オ ヒ ョ ン / 権 五 鉉 / Kwon, Oh-Hyun( 代 表 理 事 副 会 長 / CEO)
概要
16
事 業 部 門 は 2013 年 以 降 、IT & Mobile Comunications( IM)、 デ バ イ ス ・ ソ リ
ュ ー シ ョ ン ズ( DS)、Consumer Electronics( CE)の 3 部 門 体 制 と し て お り 、デ
ジ タ ル・マ ル チ メ デ ィ ア 、情 報 通 信 、半 導 体 、LCD な ど の 電 気・電 子 製 品 の 製 造 、
販 売 、 サ ー ビ ス 提 供 に 及 ぶ 、 1969 年 創 立 の 国 内 最 大 手 メ ー カ ー で あ る 。 2014 年
の 世 界 市 場 で の 移 動 電 話 端 末 販 売 台 数 シ ェ ア は 第 1 位 で あ る 。2014 年 度 の 売 上 高
は 205 兆 KRW、 営 業 利 益 は 24 兆 9,400 億 KRW で 、 2014 年 末 現 在 の 従 業 員 数
は 、 国 内 外 合 わ せ て 約 32 万 で あ る 。
( 2 ) LG 電 子
Tel.: + 82 2 3777 1114
URL: http://www.lge.co.kr/
所 在 地 : LG Twin Towers 128, Yeoui-daero, Yeongdeungpo-gu, Seoul, KOREA
150-721
幹 部:ク・ボ ン ジ ュ ン / 具 本 俊 / Bon-Joo Koo( 副 会 長 / Vice Chairman and CEO)
概要
1958 年 に 創 立 さ れ 、現 在 の 主 な 事 業 領 域 は 、モ バ イ ル・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ 、
生活家電のホーム・アプライアンス、エアコン・エネルギー・ソリューション、
テ レ ビ や オ ー デ ィ オ な ど の ホ ー ム・エ ン タ ー テ イ ン メ ン ト 、Vehicle Components
の 5 分 野 に 分 類 さ れ る 。 2014 年 度 の 売 上 高 は 59 兆 408 億 KRW、 営 業 利 益 は 1
兆 8,286 億 KRW で あ る 。世 界 128 か 所 に 事 業 所 を 展 開 し 、 従 業 員 数 は 8 万 を 超
える。
放送
Ⅰ
監督機関等
1
未来創造科学部
(通信/Ⅰ-1の項参照)
2
放 送 通 信 委 員 会 ( KCC)
(通信/Ⅰ-2の項参照)
所掌事務
朴 槿 恵 政 権 の 発 足 を 受 け て 、2013 年 3 月 に 与 野 党 が 合 意 に 達 し 、地 上 放 送 や 総
合 編 成 チ ャ ン ネ ル 、 報 道 専 門 チ ャ ン ネ ル な ど に 対 す る 規 制 権 限 は KCC に 残 し 、
KCC が 担 当 し て い た IPTV、衛 星 放 送 な ど 有 料 放 送 事 業 に 関 す る 政 策 は 未 来 創 造
科学部に移管した。
17
3
文 化 体 育 観 光 部 ( Ministry of Culture, Sports and Tourism: MCST)
Tel.: + 82 4 4203 2000
URL: http://www.mct.go.kr/
所 在 地 : Government Complex-Sejong, 388, Galmae-ro, Sejong-si 30119,
KOREA
幹 部 : キ ム ・ ジ ョ ン ド ク / 金 鐘 徳 / Kim Jongdeok( 長 官 / Minister)
所掌事務
文化、芸術、宗教、観光、スポーツ、青少年育成等の分野を所掌しており、映
像放送産業を含めた全般的コンテンツ産業の振興を所掌する。文化コンテンツ産
業室の下の各課で放送・デジタルコンテンツ分野、著作権政策を所掌している。
Ⅱ
法令
放 送 法 ( Broadcasting Act)
従 来 、個 別 に 規 定 さ れ て い た 放 送 関 連 の 法 律 を 一 本 化 し 、地 上 放 送 、衛 星 放 送 、
ケ ー ブ ル テ レ ビ を 包 括 的 に 網 羅 す る 「 放 送 法 」 が 、 2000 年 3 月 か ら 施 行 さ れ た 。
同法によって番組の事前審議(検閲)の廃止、視聴者の権利保護の強化等が定め
ら れ た 。 ケ ー ブ ル テ レ ビ 、 衛 星 、 IPTV を 同 一 の 有 料 放 送 サ ー ビ ス と し て 同 一 の
規 制 を 適 用 す る た め 、 IPTV 法 を 「 放 送 法 」 に 統 合 す る 、 通 称 統 合 放 送 法 改 正 案
が 2015 年 11 月 に 国 会 提 出 さ れ た 。
Ⅲ
政策動向
1
免許制度
(1)放送事業免許の制度枠組
放送事業者は「放送法」により、地上放送事業者、総合有線放送事業者、衛星
放送事業者、放送チャンネル使用事業者、共同体ラジオチャンネル放送事業者の
5 種類に分類され、それぞれ許可・承認・登録のいずれかを受けてからサービス
開始が可能となる。放送チャンネル使用事業者とは、番組を編集制作し、放送を
行うソフト事業者に相当する。放送事業者及び関連事業者の事業開始に当たって
の手続は以下の表のとおりである。
放送事業の許可・承認・登録制度
事業者の種類
手続の手順
地上放送事業者
未来創造科学部による無線局開設審査結果
共同体ラジオ放送事業者
を 反 映 し 、KCC が 放 送 局 に 許 可 を 付 与 す る
18
衛星放送事業者
未 来 創 造 科 学 部 の 許 可 を 受 け る 。KCC の 事
総合有線放送事業者
前同意が必要
中継有線放送事業者
電光板放送事業者
音楽有線放送事業者
未来創造科学部で登録する
伝送網事業者
KCC の 承 認 を 受 け る
総合編成や報道
放送チャン
ネル使用事
業者
ショッピングチャン
ネル
上記以外
未来創造科学部の承認を受ける
未来創造科学部で登録する
出 所 :「 放 送 法 」 を 基 に 作 成
(2)メディア所有規制
2009 年 7 月 の「 放 送 法 」を は じ め と す る メ デ ィ ア 関 連 法 改 正 に よ り 、新 聞 社 と
大企業の放送業界進出が解禁された。法改正により、個人又は一事業者による、
地上放送事業者及び総合編成又は報道に関する専門放送チャンネル使用事業者へ
の 出 資 制 限 が 30% か ら 40% に 緩 和 さ れ た 。新 聞 社 と 大 企 業 の 出 資 率 に つ い て は 、
地 上 放 送 は 10% 、総 合 編 成・報 道 専 門 チ ャ ン ネ ル は 30% ま で と さ れ た 。こ の「 放
送 法 」改 正 を 受 け て 、 2010 年 12 月 に 総 合 編 成 及 び 報 道 専 門 チ ャ ン ネ ル 新 規 参 入
の 事 業 者 選 定 が 行 わ れ 、複 数 の 大 手 新 聞 社 コ ン ソ ー シ ア ム が 申 請 し た 。そ の 結 果 、
総合編成チャンネル 4 社(中央日報、朝鮮日報、東亜日報、毎日経済新聞)と報
道 専 門 チ ャ ン ネ ル 1 社( 聯 合 ニ ュ ー ス )が そ れ ぞ れ 選 定 さ れ 、総 合 編 成 4 チ ャ ン
ネ ル は 2011 年 末 に 開 局 し た 。
(3)外資規制
放 送 事 業 者 に 対 す る 外 資 規 制 は 「 放 送 法 」 第 14 条 で 以 下 の 表 の と お り に 定 め
られており、地上放送事業者とラジオ放送事業者は外資を全面的に禁じられてい
る。
事業ごとの外資規制
事業区分
外資所有制限
地上放送
禁止
総合有線放送
49%
中継有線放送
20%
衛星放送
49%
19
放送チャンネ
ル使用事業
総合編成チャンネル
20%
報道専門チャンネル
10%
上記以外
49%
49%
伝送網事業
出 所 :「 放 送 法 」 を 基 に 作 成
2007 年 4 月 の 韓 米 FTA 合 意 の 結 果 、 放 送 チ ャ ン ネ ル 使 用 事 業 者 へ の 間 接 投 資
は 100% ま で 拡 大 さ れ る こ と に な っ た 。 た だ し 、 放 送 ・ 総 合 編 成 ・ ホ ー ム シ ョ ッ
ピング専門の放送チャンネル使用事業者については現状維持とされた。合意内容
の 適 用 は 、 FTA 発 効 日 で あ る 2012 年 3 月 15 日 か ら 3 年 後 と な る 。
(4)有料放送の市場シェア制限
2015 年 の「 放 送 法 」 改 正 に よ り 、 ケ ー ブ ル テ レ ビ 、衛 星 放 送 、IPTV の 各 サ ー
ビスを合わせた加入者数を有料放送市場全体の 3 分の 1 までとする有料放送市場
シ ェ ア 制 限 、 通 称 「 合 算 規 制 」 が 設 け ら れ た 。 合 算 規 制 は 2018 年 6 月 ま で の 3
年間の時限措置である。
(5)放送産業成長戦略
未 来 創 造 科 学 部 、KCC、文 化 体 育 観 光 部 は 2013 年 12 月 、朴 槿 恵 政 権 の 放 送 産
業 成 長 戦 略 と し て「 創 造 経 済 時 代 の 放 送 産 業 発 展 総 合 計 画( 2013~ 2017 年 )」を
ま と め た 。政 府 レ ベ ル の 放 送 成 長 戦 略 は 1999 年 以 来 の 14 年 ぶ り と な る 。総 合 戦
略では五つの戦略(規制革新、コンテンツ投資拡大、スマートメディア育成、次
世 代 技 術 先 導 、 グ ロ ー バ ル 市 場 進 出 ) の 下 に 19 の 政 策 課 題 を 設 定 。 総 合 計 画 の
推 進 を 通 じ 、 6 兆 KRW の 売 上 高 増 ( 放 送 市 場 規 模 を 2012 年 度 の 13 兆 2,000 億
KRW か ら 2017 年 度 に は 19 兆 KRW) と 1 万 の 雇 用 創 出 、 そ の 他 の 産 業 と の 同
時成長等が期待されている。
(6)地上放送再送信を巡る課題
再 送 信 義 務 の あ る 地 上 テ レ ビ 放 送 チ ャ ン ネ ル は 公 共 放 送 KBS1 と 教 育 放 送 EBS
の 二 つ で あ る 。 通 信 事 業 者 の IPTV サ ー ビ ス 開 始 以 降 、 地 上 放 送 事 業 者 が 有 料 放
送メディアに対して再送信有料化を求めるようになり、有料放送メディアと地上
放送事業者間の紛争が多発している。再送信制度改善の必然性が指摘されながら
も政策スケジュールが遅れており、事業者間紛争は激化している。ケーブルテレ
ビ と 地 上 放 送 の 再 送 信 料 金 交 渉 が こ じ れ た 結 果 、2012 年 1 月 に は 、ケ ー ブ ル テ レ
ビ 陣 営 が KBS2 チ ャ ン ネ ル の ア ナ ロ グ ・ デ ジ タ ル 両 方 の 再 送 信 を 28 時 間 全 面 中
断する事態が発生した。
事 業 者 紛 争 に よ る 放 送 中 断 事 態 を 防 ぐ た め 、KCC は 放 送 事 業 者 間 紛 争 調 停 機 能
を 強 化 す る 内 容 を 骨 子 と し た 「 放 送 法 」 改 正 案 を 2015 年 4 月 に 国 会 提 出 し た 。
20
法 改 正 に よ り 、従 来 の 調 停 に 加 え 、
「 職 権 調 停 」と「 裁 定 」制 度 、放 送 の 維 持 と 再
開命令制度を導入する方針である。
2
公共放送関連政策
(1)公共放送のガバナンス
韓 国 放 送 公 社 ( KBS) の 設 置 根 拠 や 運 営 等 の ガ バ ナ ン ス は 「 放 送 法 」 に よ り 定
め ら れ て い る 。 資 本 金 の 3,000 億 KRW は す べ て 政 府 が 出 資 す る 。 最 高 意 思 決 定
機 関 は 、 11 名 の 非 常 任 理 事 で 構 成 さ れ る 理 事 会 で あ る 。 理 事 は KCC で 推 薦 し て
大 統 領 が 任 命 し 、 任 期 は 3 年 で あ る 。 理 事 会 で は 、 KBS の 放 送 の 基 本 運 営 計 画 、
予 算・決 算 等 の 財 務 関 連 事 項 、KBS の 経 営 評 価 と そ の 公 表 、定 款 の 変 更 等 を 決 定
する。
執行機関は、社長 1 名、2 名以内の副社長、8 名以内の本部長及び監事 1 名と
されており、任期は 3 年である。社長は理事会の要請により大統領が任命する。
副社長と本部長は社長が任命するが、副社長の任命には理事会の同意が必要であ
る。
(2)受信料制度
KBS は 「 放 送 法 」 を 根 拠 に 受 信 料 制 度 を 設 け て お り 、 料 額 は KBS 理 事 会 の 審
議 後 、KCC を 経 て 国 会 の 承 認 を 得 て 決 定 さ れ る 。受 信 料 は 韓 国 電 力 の 電 気 料 金 と
併 せ て 徴 収 し て い る 。受 信 料 額 は 1981 年 か ら 1 か 月 2,500KRW で 据 え 置 か れ て
いるため、これまでに受信料値上げ案が数度にわたり国会に提出されているが、
各 方 面 か ら の 反 発 で 挫 折 を 繰 り 返 し て い る 。 KCC は 2014 年 2 月 に 受 信 料 を
4,000KRW に 引 き 上 げ る 案 を 承 認 し 、国 会 に 提 出 し た 。し か し 、同 年 4 月 の 旅 客
船 セ ウ ォ ル 号 沈 没 事 故 に 際 し て の KBS の 報 道 姿 勢 が 大 き く 物 議 を 醸 し 、 6 月 に
KBS 社 長 が 解 任 さ れ て お り 、 受 信 料 引 上 げ 論 議 は と ん 挫 し て い る 。
3
コンテンツ関連政策
(1)コンテンツ規制及び促進政策
クォーター制度
「 放 送 法 」で 国 内 番 組 編 成 ク ォ ー タ ー の 根 拠 を 定 め 、
「 放 送 法 施 行 令 」で 国 内 制
作 番 組 比 率 の 範 囲 を 定 め 、KCC 告 示 に よ り 媒 体 及 び ジ ャ ン ル ご と の 具 体 的 な 比 率
を定めている。クォーターには国内制作番組クォーターと輸入番組クォーターの
2 種類がある。クォーターが適用される番組ジャンルは、映画、アニメ、大衆音
楽の 3 分野である。
(2)コンテンツ制作支援
2013 年 7 月 に デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ 政 策 を 所 掌 す る 未 来 創 造 科 学 部 が 文 化 体 育
観 光 部 と ま と め た「 コ ン テ ン ツ 産 業 振 興 計 画 」に お い て 、2017 年 ま で に コ ン テ ン
ツ 分 野 に フ ァ ン ド 9,000 億 KRW を 追 加 で 調 整 し 、 創 業 イ ン キ ュ ベ ー テ ィ ン グ 支
援 施 設 23 か 所 を 設 立 す る 等 の 計 画 を 盛 り 込 ん で い る 。 ま た 、 国 内 コ ン テ ン ツ 産
21
業は零細企業が多く、不安定な雇用環境や不公正取引慣行等の問題があるため、
コ ン テ ン ツ 産 業 振 興 計 画 で は 、 12 の 政 策 課 題 重 点 実 施 に よ り 、 2017 年 ま で に 市
場 規 模 120 兆 KRW、 輸 出 100 億 USD の 達 成 を 目 指 す と し て い る 。
「 K-ICT 戦 略 」( 通 信 / Ⅲ - 4 ( 1 ) の 項 参 照 ) 一 環 と し て 、 未 来 創 造 科 学 部
は 更 に 、 グ ロ ー バ ル な デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ 企 業 育 成 の た め 、 1,900 億 KRW 規 模
の フ ァ ン ド を 設 定 す る 計 画 を 2015 年 4 月 に 発 表 し た 。 従 来 は 映 像 コ ン テ ン ツ と
ゲ ー ム へ の 支 援 が 大 部 分 で あ っ た が 、 今 後 は 、 ホ ロ グ ラ ム や 仮 想 現 実 、 CG 等 に
重点投資する。
特 に 、 5G 時 代 の 有 力 コ ン テ ン ツ と し て ホ ロ グ ラ ム を 重 点 育 成 す る 戦 略 が 取 ら
れ て お り 、2014 年 8 月 に 、情 報 通 信 戦 略 委 員 会 は「 ホ ロ グ ラ ム 産 業 発 展 戦 略 」を
ま と め た 。2020 年 ま で に 関 連 の 研 究 開 発 や 標 準 化 等 に 2,400 億 KRW を 投 入 す る 。
4
デジタル放送
地 上 デ ジ タ ル 放 送 の 伝 送 方 式 は 、1997 年 11 月 に 米 国 方 式 の ATSC が 採 用 さ れ 、
2001 年 10 月 、商 業 放 送 の SBS を 手 始 め に 、ア ジ ア 初 の 地 上 デ ジ タ ル 放 送 が 開 始
さ れ た 。当 初 は 2010 年 末 に ア ナ ロ グ 放 送 を 全 国 一 斉 に 終 了 す る 予 定 で あ っ た が 、
4 年間に及んだデジタル伝送方式論争等によりスケジュールに大幅な遅れが生じ、
ア ナ ロ グ 停 波 は 2012 年 に 延 期 さ れ た 。ま た 、2012 年 12 月 31 日 に 全 国 一 斉 終 了
の計画は、準備ができた地域からスケジュール前倒しで順次アナログ放送を終了
す る 計 画 に 変 更 さ れ た 。 そ の 後 は 、 地 デ ジ 移 行 は 混 乱 す る こ と な く 2012 年 末 で
終了している。
5
次世代高画質放送
未 来 創 造 科 学 部 は 2013 年 4 月 、 高 画 質 3D 放 送 と UHD( 4K、 8K) 放 送 等 の
次世代放送技術の早期導入と世界市場リードを目指し、次世代放送技術評議会を
立 ち 上 げ た 。こ の 時 点 の 計 画 よ り も 4K 本 放 送 は 大 幅 な 前 倒 し で 開 始 さ れ て い る 。
ケ ー ブ ル テ レ ビ は 2014 年 4 月 、 IPTV は 2014 年 9 月 、 衛 星 放 送 は 2015 年 6 月
か ら 4K 本 放 送 を 開 始 し た 。2015 年 に 700MHz 帯 が UHD 放 送 用 途 に 分 配 さ れ た
こ と を 受 け 、 未 来 創 造 科 学 部 は 同 年 8 月 に 有 識 者 協 議 会 を 立 ち 上 げ 、 地 上 UHD
放 送 標 準 方 式 の 検 討 を 開 始 し た 。 同 年 12 月 に は 、 2017 年 2 月 か ら 地 上 UHD 本
放送を段階的に導入するスケジュールがまとめられた。
Ⅳ
事業の現状
2013 年 度 の 放 送 事 業 者 の 放 送 事 業 収 益 は 、 前 年 比 6.3% 増 加 の 14 兆 347 億
KRW で あ る 。
1
ラジオ
KBS が 7 系 統 、MBC が 3 系 統 、EBS が 1 系 統 の サ ー ビ ス を 提 供 し て い る 。ま
た 、 SBS の 2 系 統 の ほ か 、 地 方 テ レ ビ 放 送 事 業 者 の TBC、 KBC、 TJB 等 も サ ー
22
ビ ス を 提 供 し て い る 。2013 年 末 現 在 、テ レ ビ チ ャ ン ネ ル を 持 た ず に ラ ジ オ チ ャ ン
ネ ル の み 運 営 す る ラ ジ オ 放 送 事 業 者 数 は 21 社 で 、 テ レ ビ と ラ ジ オ 両 方 の チ ャ ン
ネ ル を 運 営 す る 事 業 者 数 は 32 社 で あ る 。
2
テレビ
地 上 テ レ ビ 放 送 事 業 者 数 は 、 地 域 民 放 を 含 め て 32 社 で あ る 。 こ の う ち 、 公 共
放 送 に つ い て は KBS が 2 系 統 、 EBS が 1 系 統 の 全 国 放 送 を 行 っ て い る 。 ま た 、
公 営 放 送 と し て MBC が 1 系 統 の 全 国 放 送 を 行 っ て い る 。 商 業 放 送 で は 、 首 都 で
サ ー ビ ス を 提 供 し て い る 地 域 放 送 事 業 者 の SBS が 、地 方 の 商 業 放 送 事 業 者 と ネ ッ
トワークを結成して全国放送を行っている。
3
衛星放送
総 合 通 信 事 業 者 KT の 子 会 社 で あ る KT ス カ イ ラ イ フ ( KT Skylife) が 2002
年 3 月から「スカイライフ」のサービス名でデジタル衛星放送を提供している。
2015 年 6 月 末 現 在 の 加 入 世 帯 数 は 429 万 で あ る 。 KT ス カ イ ラ イ フ は 2015 年 6
月 に 、UHD サ ー ビ ス と し て は 世 界 的 に も 最 多 の 3 チ ャ ン ネ ル で 衛 星 4K 本 放 送 を
開 始 し た 。 UHD 本 放 送 開 始 以 降 、 新 規 加 入 ペ ー ス の 好 調 が 続 く 。 2017 年 に は
UHD チ ャ ン ネ ル 数 を 10 以 上 に 拡 大 す る 計 画 で あ る 。
4
ケーブルテレビ
2015 年 8 月 末 現 在 の ケ ー ブ ル テ レ ビ 事 業 者( SO)数 は 91 社 で 、加 入 者 数 200
万 を 超 え る 大 手 総 合 有 線 放 送 事 業 者 ( MSO) は 、 Tbroad( テ グ ワ ン 産 業 系 列 )、
CJ ハ ロ ー ビ ジ ョ ン 、 C&M で あ る 。 近 年 は 事 業 者 間 の M&A に よ る MSO 化 が 進
ん で い る 。 Tbroad と CJ ハ ロ ー ビ ジ ョ ン は 最 多 の 23 社 の 系 列 SO を 抱 え る 。 加
入 者 数 で は CJ ハ ロ ー ビ ジ ョ ン が 415 万 と 最 大 手 で あ る 。2015 年 8 月 末 現 在 の ケ
ー ブ ル テ レ ビ 加 入 者 数 は 約 1,454 万 で 全 世 帯 の 約 8 割 に 達 す る が 、 IPTV の 成 長
に押され、加入世帯数が停滞傾向にある。
Ⅴ
運営体
1
韓 国 放 送 公 社 ( Korean Broadcasting System: KBS)
Tel.: + 82 2 781 1000
URL: http://www.kbs.co.kr/
所 在 地 : 18 Yoido-dong, Youngdungpo-gu, 150-790 Seoul, KOREA
幹 部 : コ ・ デ ヨ ン / Ko Dae-young( 社 長 / President & CEO)
概要
政府出資の特殊法人である。主な財源は受信料収入と広告収入である。地上テ
レ ビ 放 送 の 「 KBS1」 と 「 KBS2」、 国 際 衛 星 放 送 「 KBS World」 の 三 つ の テ レ ビ
チ ャ ン ネ ル と 、七 つ の ラ ジ オ チ ャ ン ネ ル を 運 営 し て い る 。こ の ほ か に 、地 上 DMB
で 四 つ の チ ャ ン ネ ル を 提 供 し て い る 。2014 年 12 月 現 在 で の 従 業 員 数 は 4,656 名 。
23
2
文 化 放 送 ( Munhwa Broadcasting Corporation: MBC)
Tel.: + 82 2 789 0011
URL: http://www.mbc.co.kr/
所 在 地 : 267 Seongam-ro, Mapo-gu, Seoul, 121-904, KOREA
幹 部:ア ン・グ ァ ン ハ ン / Ahn Kwang-han( 代 表 理 事 社 長 / President and CEO)
概要
17 の 系 列 局 に よ っ て 全 国 ネ ッ ト ワ ー ク を 運 営 し 、政 府 出 資 の 財 団 で あ る 放 送 文
化 振 興 会 が 株 式 の 70% を 所 有 す る 、株 式 会 社 形 態 の 公 営 放 送 事 業 者 で あ る 。現 在
運 用 中 の チ ャ ン ネ ル 数 は 、地 上 テ レ ビ 1、AM 及 び FM ラ ジ オ 3、ケ ー ブ ル 5、衛
星 4、地 上 DMB 4 で あ る 。最 高 意 思 決 定 機 関 は 放 送 文 化 振 興 会 の 理 事 会 で 、理 事
会 を 構 成 す る 9 人 の 理 事 は KCC に よ り 任 命 さ れ る 。
3
SBS
Tel.: + 82 2 2061 0006
URL: http://www.sbs.co.kr/
所 在 地 : 161 Mokdongseo-Ro, Yangcheon-gu, 158-725 Seoul, KOREA
幹 部 : キ ム ・ ジ ン ウ ォ ン / Kim Jin-won( 代 表 理 事 社 長 / President & CEO)
概要
ソ ウ ル の 商 業 ロ ー カ ル 放 送 事 業 者 。1991 年 に AM ラ ジ オ 放 送・テ レ ビ 放 送 を 、
1996 年 に は FM ラ ジ オ 放 送 を 開 始 し た 。地 方 の 放 送 事 業 者 と ネ ッ ト ワ ー ク を 組 む
ことで、実質的に全国放送を行っている。
4
韓 国 教 育 放 送 公 社 ( Educational Broadcasting system: EBS)
Tel.: + 82 2 526 2300
URL: http://www.ebs.co.kr/
所 在 地 : 35, Baumoe-ro 1-gil, Seocho-gu, Seoul, 137-900, KOREA
幹 部 : ウ ・ ジ ョ ン ボ ム / 禹 鍾 範 / Woo Jong-bum( 社 長 / President & CEO)
概要
1951 年 に 開 始 さ れ た KBS の ラ ジ オ 学 校 放 送 を 起 源 と す る 。1990 年 に 韓 国 教 育
開 発 院 付 設 教 育 放 送 と し て KBS か ら 分 離 し 、 テ レ ビ と ラ ジ オ の チ ャ ン ネ ル を 持
つ 教 育 専 門 全 国 ネ ッ ト ワ ー ク 局 EBS に 改 組 さ れ た 。 1997 年 に 衛 星 教 育 放 送 を 開
局 し 、 2000 年 に 公 社 に 改 組 さ れ た 。
24
電波
Ⅰ
監督機関等
1
監督機関
(1)未来創造科学部
(通信/Ⅰ-1の項参照)
( 2 ) 放 送 通 信 委 員 会 ( KCC)
(通信/Ⅰ-2の項参照)
所掌事務
電 波 政 策 に つ い て は 、朴 槿 恵 政 権 発 足 に 伴 う 省 庁 再 編 に よ り 政 策 機 能 が 3 機 関
に分散された。電波政策総括と通信周波数管理は未来創造科学部、放送周波数管
理 は KCC、新 規 周 波 数 割 当・再 編 は 国 務 総 理 傘 下 の 周 波 数 審 議 委 員 会 で 所 掌 す る 。
2
標準化機関
韓 国 情 報 通 信 技 術 協 会 ( Telecommunications Technology Association: TTA)
Tel.: + 82 31 724 0114
URL: http://www.tta.or.kr/
所 在 地 : 47 Bundang-ro, Bundang-gu, Seongnam-city, Gyonggi-do, 463-824,
KOREA
幹 部 : イ ム ・ チ ャ シ ク / Leem Chasik( 会 長 / President)
活動概要
1988 年 に 設 立 さ れ た 韓 国 情 報 通 信 技 術 協 会( Telecommunications Technology
Association: TTA) は 、「 放 送 通 信 発 展 基 本 法 」 に 基 づ き 、 情 報 通 信 分 野 の 標 準
規 格 の 策 定 を 行 っ て い る 。TTA の メ ン バ ー に は 、通 信 事 業 者 、サ ー ビ ス・プ ロ バ
イ ダ 、機 器 メ ー カ ー 、学 界 、研 究 機 関 等 が 含 ま れ る 。TTA の 活 動 目 的 は 国 内 外 の
最先端技術を標準化することで、韓国経済の発展、情報通信分野の産業振興、技
術優位性に寄与することにある。
Ⅱ
電波監理政策の動向
1
周波数割当制度
韓国では、対価割当方式と審査方式の二つの周波数割当方法が採用されてきた
が 、 2011 年 か ら は こ れ に 加 え て オ ー ク シ ョ ン 制 度 が 導 入 さ れ た 。 2011 年 8 月 に
800MHz/1.8GHz/2.1GHz の 3 帯 域 同 時 で 初 の オ ー ク シ ョ ン が 実 施 さ れ 、 既 存 移
動 通 信 3 社 に LTE 用 追 加 周 波 数 が 割 り 当 て ら れ た 。
事 業 者 か ら 出 捐 金 を 徴 収 す る 形 の 対 価 割 当 方 式 は こ れ ま で に 、IMT-2000( 3G)、
位 置 情 報 サ ー ビ ス( LBS)、衛 星 DMB、WiBro と い っ た 経 済 的 価 値 が 高 く 競 争 的
25
需要があると判断された周波数の割当ての際に採用されてきた。割当対価は、周
波数の割当てを受けて経営する事業の予想売上額、割当対象周波数及び帯域幅等
の 周 波 数 の 経 済 的 価 値 を 考 慮 し て 未 来 創 造 科 学 部 が 決 定 す る 。2011 年 か ら は 、競
争的需要がある場合には周波数オークションを実施し、競争的需要のない場合や
特別な事情のある場合は対価割当方式を採用する。
一方、審査方式は、①電波資源利用の効率性、②申請者の財政能力、③申請者
の技術的能力、④当該周波数の特性やその他周波数利用に必要な事項、の観点か
ら審査が行われ、周波数割当が実行される。
対価割当及びオークションによる収入は、
「 放 送 通 信 発 展 基 本 法 」に よ る 放 送 通
信 発 展 基 金 ( 未 来 創 造 科 学 部 ・ KCC 管 理 ) と 、「 情 報 通 信 産 業 振 興 法 」 に よ る 情
報通信振興基金(未来創造科学部管理)に編入される。
2
無線局免許制度
無線局を開設する場合は、原則、許可が必要である。ただし、移動電話用無線
局等は、許可を受けたものとみなされる。また、発射する電波が弱い無線局、受
信専用の無線局、又は、周波数割当を受けた者が電気通信役務を提供するために
開設する無線局の場合は、届出で済む。更に、発射する電波が微弱の無線局であ
って、大統領令が定める無線局の場合は、届出なしに開設できる。軍や駐韓外国
公 館 等 が 周 波 数 使 用 承 認 を 得 た 場 合 は 、許 可 や 届 出 を せ ず に 無 線 局 を 開 設 で き る 。
3
電波振興基本計画の策定
「 電 波 法 」に よ り 5 年 ご と に 中 長 期 的 電 波 政 策 ビ ジ ョ ン を 示 す「 電 波 振 興 基 本
計 画 」が 策 定 さ れ る 。未 来 創 造 科 学 部 は 2014 年 1 月 、2018 年 ま で の 今 後 5 年 間
の 「 電 波 振 興 基 本 計 画 」 を ま と め 、 次 の 三 つ の 戦 略 の 下 に 10 課 題 を 設 定 し た 。
① 電 波 放 送 R&D 好 循 環 ネ ッ ト ワ ー ク 強 化 、 ② 電 波 資 源 供 給 管 理 最 適 化 、 ③ 需
要者中心の電波利用制度具現。
この計画では、公共周波数の利用効率向上を図るためにこれまで任意で分配し
てきた公共周波数管理方式を事前需要提出と中長期計画による需要方式に改めた。
ま た 、 5G 周 波 数 発 掘 の た め 新 規 周 波 数 供 給 に も 拍 車 が か か り 、 免 許 不 要 帯 域 発
掘、用途指定のないフリーバンド拡大も盛り込まれた。
戦 略 ① で は 、 こ れ ま で 政 府 系 研 究 機 関 が 中 心 と な っ て き た 電 波 R&D を 大 学 や
業 界 に 拡 大 、 5G や 無 線 LAN・ 衛 星 通 信 等 の 成 長 が 見 込 ま れ る 有 望 技 術 に 集 中 投
資 す る 。 戦 略 ② で は 、 5G で の 主 導 権 確 保 の た め の 移 動 通 信 用 周 波 数 確 保 推 進 、
デジタルラジオ導入に向けた方式検討・試験放送実施、公共周波数の効率的供給
計画策定等を実施する。戦略③では、無線局運用規制合理化等を進める方針。
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新たな周波数分配
(1)モバイル広開土プラン
移 動 通 信 サ ー ビ ス 用 に 割 り 当 て ら れ た 周 波 数 は 2014 年 11 月 現 在 、390MHz 幅
26
であるが、移動通信新技術の進化に伴い、早期の追加周波数割当が喫緊の課題と
な っ て い る 。 そ の た め 、 未 来 創 造 科 学 部 は 2023 年 ま で に 段 階 的 に 1190MHz 幅
の 追 加 周 波 数 を 確 保 す る 「 モ バ イ ル 広 開 土 プ ラ ン 2.0」 を 2013 年 12 月 に ま と め
た 。 同 プ ラ ン は 、 こ れ に 先 立 ち 2012 年 1 月 に ま と め ら れ た 「 モ バ イ ル 広 開 土 プ
ラン」を補完・発展させた計画である。広開土とは、高句麗時代に領土を拡大し
た広開土王にちなんだ名称。
移動通信用途周波数の中長期周割当計画
追加
再利用
第 1 段階
第 2 段階
第 3 段階
第 4 段階
( ~ 2015 年 )
( ~ 2018 年 )
( ~ 2020 年 )
( ~ 2023 年 )
170MHz 幅
290MHz 幅
( 700MHz/1.8
( 2.1GHz/2.0G
220MHz 幅
510MHz 幅
GHz/2.5GHz/2.
Hz/2.3GHz/3.5
( 1.8GHz/6GH
( 2.6GHz/6GH
6GHz 帯 )
GHz)
z 以下)
z 以上)
60MHz 幅
40MHz 幅
20MHz 幅
( 2.1GHz 帯 )
( 2.3GHz 帯 )
( 1.8GHz 帯 )
出 所 :「 モ バ イ ル 広 開 土 プ ラ ン 2.0」 を 基 に 作 成
( 2 ) 700MHz 帯 の 活 用
地 デ ジ 移 行 跡 地 の 700MHz 帯 の 用 途 決 定 を 巡 り 、通 信 業 界 と 放 送 業 界 の 綱 引 き
が 長 ら く 続 い た が 、2015 年 に 決 着 が つ い た 。2014 年 11 月 に 国 家 災 難 安 全 通 信 網
に 700MHz 帯 の 20MHz 幅 分 配 が 決 定 さ れ た 。 残 り の 用 途 決 定 に つ い て は 2015
年 に 国 会 が 介 入 す る 形 と な り 、UHD 放 送 30MHz 幅 、通 信 40MHz 幅 で 分 配 さ れ
た。
5
電波監視体制
電 波 監 視 は 未 来 創 造 科 学 部 傘 下 機 関 の 中 央 電 波 管 理 所 ( Central Radio
Management Office) が 行 う 。 中 央 電 波 管 理 所 は 電 波 監 視 を 含 む 電 波 監 理 、 安 全
確保のための放送・通信、信頼できる無線通信環境の構築等を所管しており、全
国 11 か 所 の 分 所 と 京 畿 道 利 川 市 の 衛 星 電 波 監 視 セ ン タ ー で 構 成 さ れ る 。
6
電波利用料制度
日本と同様に、無線局施設者に対する電波利用料制度があり、四半期ごとに利
用料を徴収する。電波利用料収入は「電波法」により、電波監理に必要な経費の
充 当 と 電 波 関 連 分 野 振 興 の た め に 利 用 す る こ と と さ れ て い る 。2011 年 か ら 周 波 数
オークション制度が導入され、移動体通信事業者のオークション代金と電波利用
料が二重負担になることから、移動体通信事業者の電波利用料額引下げを盛り込
27
ん だ 「 電 波 法 」 案 が 2012 年 4 月 に 立 法 予 告 さ れ た 。 し か し 、 財 政 収 支 悪 化 を 懸
念 す る 企 画 財 政 部 の 反 対 に よ り 、2012 年 7 月 に 再 調 整 さ れ た「 電 波 法 」改 正 案 で
は 、移 動 通 信 事 業 者 へ の 電 波 利 用 料 引 下 げ は 盛 り 込 ま れ ず 、そ の 代 わ り に 、MVNO
の 電 波 利 用 料 を 3 年 間 免 除 、 M2M 産 業 関 連 電 波 利 用 料 の 軽 減 と い う 電 波 利 用 料
軽減案が盛り込まれた。
Ⅲ
周波数分配状況
1
国家周波数計画
周 波 数 分 配 表 URL:
http://spectrum.or.kr/index.php?module=Banner&action=SiteBanner&iBanne
rNo=1&sMode=SELECT_FORM
2
周波数オークション
周 波 数 割 当 方 法 と し て 、 2011 年 か ら オ ー ク シ ョ ン 方 式 が 導 入 さ れ た 。 2013 年
ま で に 2 回 の オ ー ク シ ョ ン が 実 施 さ れ 、 既 存 移 動 体 通 信 事 業 者 3 社 が LTE 追 加
周 波 数 を 確 保 。初 め て の オ ー ク シ ョ ン は 2011 年 8 月 に 800MHz/1.8GHz/2.1GHz
の 3 帯 域 50MHz 幅 で 同 時 に 実 施 さ れ 、800MHz は KT、1.8GHz は SK テ レ コ ム 、
2.1GHz は LG U+が 落 札 し た 。 ま た 、 2013 年 8 月 に は 第 2 回 目 の オ ー ク シ ョ ン
が 実 施 さ れ 、 1.8GHz 帯 35MHz 幅 を SK テ レ コ ム 、 1.8GHz 帯 15MHz 幅 を KT、
2.6GHz 帯 40MHz 幅 を LG U+に 割 り 当 て た 。 2016 年 は LTE 用 途 で 140MHz 幅
をオークションで割り当てる計画である。
3
移動通信新規参入
移動通信市場に既存 3 社に加えて第 4 の移動通信事業者を選定する計画で、
2015 年 10 月 末 の 申 請 期 限 ま で に 3 者 が 申 請 を し た 。今 回 は 2.5GHz 帯 を WiBro
を 含 む TDD 用 途 、 2.6GHz 帯 を FDD 用 途 と し て 審 査 方 式 に よ り 1 者 を 選 定 す る
計 画 で あ っ た が 、2016 年 1 月 末 の 選 定 結 果 で は 、3 者 全 て が 基 準 を 満 た さ な か っ
たとして、今回も新規参入は実現しなかった。
4
周波数譲渡及びリース制度
韓 国 で は 周 波 数 譲 渡 及 び リ ー ス の 実 績 は な い が 、2015 年 10 月 に 国 会 提 出 さ れ
た「 電 波 法 」改 正 案 で は 、衛 星 周 波 数 の 譲 渡 及 び リ ー ス 承 認 制 度 導 入 を 盛 り 込 み 、
規制緩和を図る。
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