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2016 年度
2016 年度 東工大 数学 ■概要 (1)出題・解答の形式 例年どおり,すべて記述式 (2)分量/難易度の変化(昨年度比) 分量:変化なし / 難易度の変化:やや易化 (3)特記事項 ・大問数は 2012 年度は 6 問だったが,2013 年度以降は 5 問構成である。また,2012 年度,2013 年度 には独立した中問 2 つで構成された大問があったが,2014 年度以降は出題されていない。 ・標準レベルの問題が中心で,過去に見られた難レベルの出題はなかった。計算量は昨年同様にあま り多くないが,論証力が必要な問題が散見される。 ・例年,東工大では数学Ⅲの微積分の比重が高いが,今年度は1問のみだった。 ・昨年と同様に整数が出題された。 ■各問の分析 大問 (180 分) 出題形式・テーマ 問題の内容・分析 難易度 2点間の距離の最小値を求める問題。 (1)は放物線上を動く点と 定点との距離の最小値を求める。動点Pが x≧0の範囲にある場合 1 図形と方程式 を考えればよいことに気づくと早い。あとは,整関数の微分を利用 微分法 して解ける。 (2)は2点とも動くときの距離の最小値であり, (1) 標準 の結果を利用する。図形的な見方ができるかどうかを試される問題 である。 サイコロの目によって変化する三角形の面積を題材とした確率の 問題。確率よりもサイコロの目に応じてどのように三角形が変わる 2 確率 かを捉えることが主眼といえる。とくに(3)は面積が最小となる 標準 場合を調べるのだが,変数が3つあるので,やや考えにくくかった だろう。なお, (3)は問題訂正があった。 球面と平面が接する条件,2つの球面が接する条件についての問 題。 (1)は適当な平面で切って考えれば易しい。 (2)は(1)の 3 空間図形 結果を用いて座標を定めて考えればよいが,座標の定め方がうまく 標準 ないと見通しが悪くて苦労しそうだ。また,アポロニウスの円を利 用することもできる。 約数・倍数についての問題で,(n-1)!が n で割り切れるかどうか 4 整数 を,場合を分けて考えていく。証明問題であり,結果がわかってい 標準 るので,論理的に説明する力が問われる。 5 微分法 積分法 媒介変数表示された曲線の概形と面積についての問題。典型的な問 題であり,方針に迷うところはないだろう。正確に計算することを 標準 心がけ,最後まで解ききりたい問題である。 ※ 難易度は東工大受験生を母集団とする基準で判定しています。 ■合否の分かれ目 1問あたり 30 分以上と時間はたっぷりあるので,処理力が問われる5は丁寧に計算し,確実に正解した い。あとは,どの問題も比較的方針が立ちやすいので,得意な分野の問題を中心に4問中2問の完答を目 指そう。解けなかった方の問題や残りの問題も小問に分かれているので,解ける小問はきちんと得点し, 全体で6割強の得点が得られれば合格ラインに到達したといえる。また,結果は予想できても論証力の問 われる問題もあるので,答案の書き方にも注意が必要である。 ■東工大数学の要求 要求① 微積分重視の出題 数学Ⅲの割合が高く,とくに微積分は頻出である。2016 年度は5のみで少ないが,2015 年度は,1,3, 4が数学Ⅲからの出題であり,そのうち3と4が微積分からの出題であった。数学Ⅲの問題は,数式処理 力や計算力を必要とする問題が多いので,普段の問題演習に取り組むときから,計算が煩雑な問題であっ ても自力で最後まで解ききることが大切である。 要求② 整数・確率 近年では,整数・確率からの出題が増えている。2016 年度は2が確率,5が整数であった。昔は整数・ 確率と言えば難易度の高い問題が出題されていたが,近年ではやや易~標準レベルの出題が多く,きちん と正解することが要求される。 要求③ 過去問演習の徹底 東工大の特徴の 1 つに, 「過去問の類題の出題」 , 「有名性質を背景とする出題」が多いということが挙げ られる。2016 年度であれば,4が 2011 年度東工大AO入試問題の改題であった。こういった問題は経験 していると非常に有利となるため,東工大や他大学のやや難しめの過去問に取り組んで経験を積んでおく とよいだろう。 ■東工大数学攻略のために 基礎力の完成 まずは基本事項の定着が大切。苦手分野があれば,受験生の夏頃までにつぶしておこう。とくに,近年 の東工大でよく出ている整数・確率は苦手とする人が多いので要注意。また,東工大頻出の数学Ⅲは演習 が不足しがちなので意識して演習を積んでおくこと。 レベル UP 基本事項の定着が終わったら,本格的な実戦演習に入ろう。煩雑な数式の処理や,図形的なものの見方, 整数問題の論理的な記述の仕方,数学Ⅲ特有の方針の立て方など,東工大合格に必要な力を鍛えよう。 東工大レベルの演習 直前期は,東工大入試に即応した演習で総仕上げをするのがオススメ。長い試験時間や膨大な計算量に 耐えられるよう,本番を想定した演習で当日に備えよう。もちろん過去問演習も忘れずに行いたい。また, 論証力が必要な問題も出題されるので,普段から答案の書き方に注意したい。