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「太郎の夏休み」 作:浅野朝花

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「太郎の夏休み」 作:浅野朝花
森の紙芝居部門 中学生の部 入選(審査委員長賞)
「太郎の夏休み」
作:浅野朝花
①夏休みに、小学三年生の太郎君は、山奥に住んでいるお爺ちゃんの所へ遊びに行きました。お爺
ちゃんは何でも知っています。
②今日はお爺ちゃんと一緒に森を散歩することになりました。
[太]爺ちゃん、ここに鳥の巣があるよ!
[爺]ほう。これは、メジロの巣じゃな。上手に作っておる。
[太]鳥ってスゴイね。
[爺]家に帰ったら、面白い巣を見せてやろう。わしは、昔鳥の巣マニアじゃったのだよ。
③二人は家に帰ってお爺ちゃんの巣のコレクションを見ることになりました。
[爺]これを見てごらん。 [太]何コレ?ビニール紐のゴミ?
[爺]ハッハッハッ太郎よ、さっきメジロの巣を見たじゃろ?[太]うん。
[爺]コレもメジロの巣じゃよ。[太]うぇ~、コレのどこが?ただのゴミじゃん!
[爺]これは、都会で採った巣なんじゃ。[太]どうして森で採った巣と、都会の巣だとこんなに違うの?
[爺]それは環境が関係しておる。
[太]環境?
④[爺]都会とここだと何が違うだろう?[太]う~ん、森林…かな?街中だとそんなに木は無いから。
[爺]おぉ!さすがわしの孫じゃ。冴えておる。そう、木に関係しておる。
[太]でも、何でビニール紐になっちゃうんだろ?
[爺]じゃあ、木がないと何がない?[太]えっ?木がないと?うーん、葉っぱ!…かなぁ?
[爺]スゴイぞ!本当に太郎は頭が良いなぁ。そう、葉っぱじゃ。都会は、大自然にあるものが不足しす
ぎている。鳥達は、巣の材料となるものを探すのじゃが、木が無いのじゃから、葉もあるわけが無い。だ
から、捨てられているゴミで作るしかないんじゃ。
[太]可哀想だね…でもヒナは育てられるんだから。それでもいいじゃん。
[爺]いや、ビニール紐みたいなものに、ヒナは首を絡ませて死んでしまうそうじゃ。
[太]でも、木ばっかりあっても意味無いよ。人が沢山いる都会は、いつも渋滞になるから木ばっかりだ
と、邪魔だし場所とるだけじゃん。
[爺]都会の子供らしい意見じゃ。しかし、木が無いと、今話したように鳥達が困る。だから、バランスが
重要なんじゃ。木が無いと、将来困るのは我々人間だからな。
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⑤[太]えっ?そうなの?
[爺]雨が降ると、山に生えている木が地下に水を溜めてくれ、きれいな水にしてくれているのじゃ。だか
ら、山に流れている水は澄んでいるじゃろ?
[太]うん。スゴクきれい。
[爺]水があるのは、山のおかげ、木のおかげなんじゃ。それに、木がないと動物の住む所、食べ物とな
る木の実もなくなり、野生の動物達は皆困る。
[太]うん、そうだね…。バランスって大切なんだね。
[爺]なのに、人間は大量に木を切っている。…自然が泣いておるよ。それに昔文明があった場所は、
今はだいたい砂漠じゃろ?
⑥[太]インダス文明とかね。
[爺]そう。木がなくなると、文明は滅びるのじゃ。
[太]分かった!さっきの話しを考えてみると、文明で木を切り倒しすぎて、水を失ってしまったんだね!
[爺]そうじゃ。そのようにわしらも木を失い、水を失って滅びていくかもしれんの。
[太]僕達の森を守るために、木で作られたものとかを大切に使わないとね。…今日は、脳が冴えた感
じがしたよ。じゃあもう帰らないと。
[爺]ふむ。じゃあな。
⑦太郎はとても良い夏休みの体験日記を書けました。
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