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平成 25 年度
第1回(第 296 次) 長野県環境審議会 温泉審査部会
議
○ 日
時
平成25年7月26日(金)
○ 場
所
県庁西庁舎109号会議室
○ 出席者
1
開会
2
議事
委 員
大 塚
勉
事
事務局
録
薬事管理課長
中 村 一 彦
〃
倉 品 光 之
〃
課長補佐兼薬事温泉係長
和 田
〃
関 谷 庸 子
〃
担当係長
岡 田 信 幸
〃
徳 永 昭 行
〃
中 嶌 実 香
〃
新 村 美 博
〃
西 村 り え
〃
三 宅 康 幸
(1)議事録署名人指名
(2)議案審議
温泉法に基づく許可について
議案第1号
土地掘削許可について
議案第2号
土地掘削許可について
議案第3号
動力装置許可について
徹
種
別: 土地掘削
申請者: 東京都港区赤坂3-10-9 株式会社リボワール
第1号議案
場
所: 北佐久郡軽井沢町大字発地字大平864番4
地
目: 山林
目
的: 公共の浴用
深度・口径: 深度 1,600m、口径最大 311.2mm
工事の施工方法: ロータリー掘削工法・垂直掘
部
会 長
最初に、土地掘削に係る第1号議案 株式会社リボワールからの申請についてです。
事務局から説明をお願いします。
事 務
局
1ページをお願いします。
申請者は、株式会社リボワールです。
申請場所は、北佐久郡軽井沢町大字発地字大平864番4です。
申請目的は、公共の浴用に用いるためです。
土地の所有者は、株式会社リボワールで自社所有地です。
掘削深度は、1,600mを予定しています。
工事の内容については、後ほど詳細にご説明します。
なお、申請地から半径3km以内に既存源泉はありません。
まずは、本件掘削申請地点について説明します。
事前にお配りした資料では、位置関係が判りづらかったので、追加の資料をご用意し
ました。追加資料の1ページをご覧ください。
申請地点は、軽井沢駅から南南西の方向に直線距離で約 5.5km。周辺は軽井沢72
ゴルフコースや三井の森軽井沢カントリークラブなど、ゴルフ場が多く存在する地域に
あり、周囲は山林に囲まれています。
軽井沢中心部から申請地へ行くには、林道を通行します。そのため、開発が進む軽井
沢町にあっても、申請地の周辺に商業施設、宿泊施設はほとんどありません。
なお、申請地から最も近い源泉は塩沢温泉というところです。地図で確認しますと、
直線距離で、3.5kmほど離れています。
申請位置について、もう少し詳しく説明します。本資料にお戻りいただき、3ページ
をお願いします。
掘削の地点ですが、八風林道が地図の左側に上下に走っています。そこから林道を折
れますと、発地温水ため池というところがあります。そこから更に進んだ所、そこから
先は未舗装道路になるのですが、そこに小さな橋があり、その付近が申請ポイントとな
ります。
1
具体的な場所は、4ページに示してあります。
「道」と書いてあるのは未舗装道路で「水」
と書いてある部分で水路と交差していますが、そこに小さな橋がかかっております。そ
の地点から先に電柱がありまして、橋のたもとから 21.180m、電柱から 11.522mの交差
した林の中の地点が掘削地点です。
資料の末尾の2ページに現場付近の写真を添付しました。最後のページの下の写真に
写っている青い杭が掘削地点です。
6ページをお願いします。
本件土地に関する全部事項証明書の写しを添付してあります。
地目は山林、地籍は 3,784 ㎡、平成 25 年4月2日付けで、所有権が申請者である㈱リ
ボワールに移転しております。
7・8ページには、土地の公図等を添付してあります。
9ページをお願いします。
掘削場所の設備配置図です。申請地点に掘削櫓を設けて掘削を行う予定です。主な設
備の構造・能力については、10 ページに記載されています。
10ページをお願いします。
掘削櫓は、高さ 25mのスタンダードタイプを用いまして、耐荷重は 100 トン、2,000
m級の能力を有するものを設置する予定です。掘削機は 45kwの能力を有するものを使
用し、掘削用ポンプ以下の設備は記載のとおりです。ガス感知器は、携帯用、定置用を
各1台配備し、ガス爆発事故が生じないよう対策を立てています。
11ページには、掘削櫓の位置図を記載しました。
12~16ページには、使用予定の掘削機のカタログを、17~18ページには、使
用予定の掘削用ポンプのカタログ等を添付しました。
19ページをお願いします。
掘削孔仕上断面図です。本掘削においては、地下 100mまでは掘削口径が 311.2mm、
100~450mにかけましては 244.5mm、450~900mの間は 193.7mm、それより深い深度
では 142.9mmが予定されています。なお、ストレーナの設置深度は、今後行われる検
層結果により決定すると聞いています。
20ページをお願いします。
掘削工事の工程表になります。概ね4か月程度で仕上工まで施工し、5箇月目から揚
湯試験を開始し、温泉分析を実施します。順調に行けば全工程が6箇月程度で完了しま
す。
21ページをお願いします。
本掘削工事に関する、温泉法施行規則第1条第2項第3号に基づく技術水準に適合す
ることを証する書面です。当然のことながら、全ての項目で適合しています。
22ページをお願いします。
温泉利用概要書になります。本申請の目的は、軽井沢町の中でも、宿泊施設が少ない
2
発地地区に、温泉施設を備えたリゾートホテル、ビラ及び日帰り利用が可能な温泉施設
を建設することです。
温泉湧出の有無や湧出量も不明確な段階での計画ですので、調査状況や湧出量により
変更される可能性が大きいと思います。記載されているのは現段階での利用計画です。
リゾートホテルは全部で16室。各部屋に浴室を設けるほか、専用の浴場として露天
風呂を含め男女各3箇所を設ける予定です。
また、ビラ棟は15棟建設される予定で、各棟に浴槽を設ける計画です。
更に、日帰り温泉施設では、露天風呂を含め男女各3箇所の浴槽に加え、家族風呂と
足湯を設ける計画です。
施設全てを賄うための必要湯量は、24ページに記載されています。これによると、
毎分 400ℓの湯量が必要とされています。
25ページには、各施設の配置計画図を添付してあります。
26ページから29ページにかけては、法人の履歴事項全部証明書・誓約書など必要
書類を添付しました。
このうち、28ページの誓約書ですが、温泉法の適用条文に誤りがありました。
「温泉
法第4条」とすべきところが、
「温泉法第4条の2」と記載されています。大変申し訳あ
りません。申請者に再提出を求め、本日、差し替え資料をご用意しましたので、差し替
えをお願いします。
最後に、温泉湧出の可能性等について、申請者が地質調査会社に委託し作成された調
査報告書を添付しました。時間の関係もあり、個別説明は省略させていただきます。本
掘削地における温泉湧出の可能性についてのみご説明します。
54ページをお願いします。
5-3「温泉開発の可能性について」の項目でまとめられている部分です。2つ目の
センテンスで、
「今回の調査対象地においては、地下深部まで掘削し、固結度の低い地層
を構成する粒子間の空間や、砂岩や角礫岩、溶岩層の節理や亀裂などの裂罅の発達部に
滞水している温泉水を捕捉することで、温泉源の開発は可能であると判断される」とし
ています。
また、その次のセンテンスでも、
「北西―南東方向の地形的なリニアメントが通り、自
然放射探査でも高い値となっていて、断裂帯が通る位置に相当する、或いは近いことが
考えられる。垂直電気探査結果では、500m以深では、比抵抗層が存在し、この値から新
第三系の地層が存在し、一定の透水性を有することが推定され、また、温度上昇から判
断して温泉賦存層として評価することができる」とまとめられています。
この報告書の結果により、申請者としては本申請地から温泉が湧出する可能性が高い
と判断し、本申請に至ったようです。
事務局からの説明は以上です。 よろしくご審議のほどお願いいたします。
3
部
会 長
土地の権利関係の問題、それから利用計画の妥当性、それから温泉の掘削計画の妥当
性を順番に議論していきたいと思います。まず土地の権利関係の問題はいかがでしょう
か。
A 委
部
員
会 長
B 委
員
登記簿が提出されていますが、特に問題はありません。
次に、利用計画の妥当性です。公共の利益にかなうかどうかの問題ですが。
22ページから24ページまでの温泉利用概要書についてですが、計算式がよく分か
らないのですが、ここの記載を見る限り、施設の浴槽の大きさがかなり大きいです。特
に23ページを見ると、男女のお風呂の浴槽の面積が58㎡とかなり大きい。プールみ
たいな大きさかも知れません。22ページに戻りまして、
(6)の温泉使用浴槽容量のと
ころで、リゾートホテルに浴槽の数が 22 箇所とありますが、定員が一体何人なのか気に
なりました。例えば、各部屋の定員が3人とすると、部屋が 16 部屋で、50 人ほどの規
模になります。その割にはあまりにも大きな浴槽であり、この浴槽に必要な湯量を賄う
とすると、地下資源の有効活用という観点からは、湯量が過大であるという感想を持ち
ました。
通常、湯量を判断するときに一人当たりの使用湯量を目安とします。湧出湯量を定員
で割ると一人当たりの使用湯量が算出されます。これが全国平均ではだいたい1ℓ/分な
のです。その点でみますと、この計画では、一人当たりが使う湯量はもの凄い量になる
と思います。それと、23ページの3温泉利用計画量(概算)を見て疑問に思ったのは、
必要湯量とか利用時間とか書いてあるのですが、各浴槽にお湯をためるのにこれだけの
お湯が必要です、そして、温泉供給量としてこれだけ必要ですというようなことが書い
てあります。そして、利用時間が 16 時間とか 22 時間と書いてあって、24 時間のうち、
残りの時間のほとんどを清掃とかお湯の張り替えに使っていると思うのですが、400 ℓ
と仮定して計算してみますと、どのようにしても、ひとつのところに8時間ぐらいかけ
ないと、お湯がいっぱいになりません、そうしますと 16 時間営業やっているところで8
時間かけている信憑性のない資料ということになります。
長野県の公衆浴場に関する条例の中で、24 時間風呂は1週間に1度以上は取り替えな
さいと規定されています。でも本当は、最低限1日1回はお湯を払って清掃しなければ
ならないのです。だから、浴槽のお湯を本当に全部払って清掃するのかということにな
ってしまいます。
この計算式は非常に疑問で、このとおりであれば、お湯を払うと言っても1時間ぐら
いかかるし、お湯を張ると言っても、1時間ぐらいかかるはずです。では、清掃はどう
するのか。今 400ℓで計算しても8時間です。だから、こういうことで信憑性が少し落ち
4
るかなと数字を見て思いました。
私が一番気になるのはこれだけの定員の規模に対して、こんなにお湯を必要とするこ
とが資源を無駄にすることにならないのか。あまりにもお風呂が大きすぎるのではない
かということが心配です。
部
会 長
はい、分かりやすい説明でした。どうもありがとうございました。ただいまのB委員
さんのご意見に対して、何か意見はありますでしょうか。
A 委
員
25ページのホテルの配置図を見ると、入り口の方から入ってきて、ショップなどの
施設があったりしています。これを見ると宿泊客だけではなくて、日帰り温泉施設のよ
うな公衆浴場的なものも、考えているのかなと思われます。
事 務
局
一番手前に「温泉施設」というものがありますが、ここが日帰り客用の施設です。そ
こから先のホテル棟とビラ棟については宿泊客しか使えない計画で、
「温泉施設」自体に
ついては地元民や日帰り観光客の誘客のために使うというような計画だとお聞きしてい
ます。
B 委
員
宿泊だけの施設の他に日帰り施設も有るわけなのです。日帰りの方はまだいいのです
が、宿泊の方があまりにも大きすぎます。しかも日帰りの施設だと 10 時間しか営業しな
いのに、宿泊の方は 22 時間とか 16 時間とか温泉が利用出来るようになっています。
C 委
員
毎分 400ℓというのは、ひとつの温泉施設が使う量としては、とても多いものなので、
私もこの数字を見たときに、このあたりはあまり温泉のないエリアで、こんなに沢山お
湯を揚げて、本当に大丈夫なのかなという印象を持ちました。
事 務
局
このあたりですが、上信越自動車道の八風山トンネルを掘った時に温泉は出てきませ
んでした。だから浅い地層ではおそらく温泉を捕まえることは出来ないだろうと思われ
ます。従って 1,600mという深いところの申請を行って、お湯を捕まえたいということ
が申請者の意図だと理解しています。
B 委
員
一番近隣の温泉はどこでしょうか。
事 務
局
塩沢温泉です。
B 委
員
そこは、自噴ですか。ポンプで汲み上げているのですか。
5
事 務
局
軽井沢町はポンプが多いので、おそらくポンプだと思います。
B 委
員
では、申請者はその量をポンプで汲み上げるということですね。この数字をよく見て
いると、おそらく皆さんも疑問を抱かれると思います。そういう不思議だなと思うもの
をこのまま受理できるのかという見方があります。
事 務
局
さきほどご説明しましたが、利用計画そのものは、このような使い方が出来ればいい
なというイメージで作られている面があって、まだ温泉が出ることも、どのくらいの湯
量を供給できるかも分からない段階での利用計画であると私どもは理解しています。実
際掘ってみて湧出量がそんなに沢山ないのだとすれば、当然計画は縮小していくと思い
ますし、湧出量に対して過大な温泉の使い方は出来ないのだろう思っています。申請者
側としては、400ℓぐらい捕まえられるのではないかという想定のもと、計画がつくられ
たのではないかと思います。
B 委
員
もし、400 ℓ捕まえたとしても、この施設の規模では 400 ℓでは足りないかも知れませ
ん。
事 務
局
現実的な計画を出す段階では、県として公衆浴場の指導もしていますので、それに基
づいた利用形態にしていただく他ないので、利用の段階では当然そのような指導をして
いくことになりますし、B委員からご指摘のあった清掃の間隔などもきちんと守ったう
えでの利用にしていくよう指導をしていくべきものと思っています。また、400ℓのお湯
で本当に営業できるのかということは確認しなければならないことと考えています。
部
会 長
私も少し疑問を感じたのですが、浅間山軽井沢のあたりは観光客がそんなに訪れると
ころではないのですね。近くにリゾート地があるわけでもありません。確かに浅間山を
遠くに見晴らすには絶景の地なのですが、そんなに日帰り客とかリゾート客が見込める
のかと疑問を感じました。
事 務
局
先程も説明しましたが、軽井沢のお客はプリンス通りとか旧軽井沢の方が多くて、軽
井沢の中心部からこのあたりに行くまで非常に道が狭いため、ここは開発されていない
地域です。実際にどのくらい誘客が出来るかということは、ご懸念のとおりなのかとい
う気もします。ただ、プリンス通りから碓氷軽井沢インターに帰る辺りに温泉地がなく、
碓氷軽井沢インターに行く途中で少し奥に入ればこちらの温泉予定地に行けるので、日
帰り温泉のお客はそれなりに期待できる、ということを申請者は言っておりました。
部
会 長
温泉掘削の妥当性について議論していただきましょうか。そちらに移ってよろしいで
6
しょうか。さきほど事務局からの説明で54ページ、
「温泉開発の可能性について」です
が、物理探索を実施した結果、裂罅系の温泉が期待できるということですが、その根拠
としては調査地域付近でリニアメントが通っている。そのリニアメントが通っていて断
層と思われるところに、自然放射能探査でも高い値となっている。というようなことを
報告書には書かれているわけですが、いかがでしょうか。47ページを見ていただくと、
自然放射能探査強度分布図があります。
D 委
員
リニアメントというのは断層が走る場所の地層が破砕されて浸食されやすくなり直線
上の谷が出来る、あるいはその他の理由で地形的に変化が生じたところなのですが、こ
の報告書を見る限り、どこにリニアメントがあるのか明確にはなっていません。あえて
推定しますと、2ページの地形図の中の「発地」という地名の西南側の直線的な谷地形
をリニアメントと言っているのではないかと思います。本当は空中写真を判読しないと
正確に判断できないのですが、これが線状の地形をリニアメントと言っているかなと想
像します。申請地がその上に位置しているということになります。
そのうえで、47ページに自然放射能探査測定の結果が出ています。ちょうどこれは
リニアメントの上ではあるのですが、基本点というのはおそらく塗りつぶされていると
ころなのでしょうか。掘削して本当に温泉として期待できるほど高い場所なのか理解で
きない場所です。1,600m掘削するということですが、この地表探査で 1,600m深度の場
所を把握できるのか心配です。
B 委
員
非常に簡単に探査をしているなと私も思います。D委員、これは亀裂があると見てよ
いのでしょうか。それとも、層状泉ですか。
D 委
員
亀裂ではないところでは温泉が期待しにくいので、これを亀裂とみなしているのでし
ょうか。
B 委
員
亀裂と想定して、断層から上がってくるお湯を捉えようとしているということでしょ
うか。
D 委
員
そういうことでしょうね。リニアメントの位置から掘るということになります。
B 委
員
通常、断層というものは真っ直ぐ地下に入っているというものではないと思います。
左右どちらかに傾いているはずです。そうすると、地温勾配から約 1,600m欲しいとな
ると、断層の傾く角度によって、掘るところは変わるはずです。しかし、これはほぼ真
上です。断層の真上から垂直に掘って本当に温泉を捉えることができるのでしょうか。
7
D 委
員
この地形的特徴を断層によるリニアメントと判断して、1,600m掘削するということの
根拠とするのは弱いと思われます。リニアメントは2つあると書かれています。北西南
東方向のものと、それと交差する方向のものですが、不明確で、リニアメント解析は不
充分と言わざるを得ません。
部
会 長
これは浅間山火山から相当離れておりまして、しかも浅間山に関係したマグマの出口
と思わしき所もその近くにないのです。離山というものがありますけど、それに近いこ
とは近いのですが、しかし、その地下にマグマが存在するとはちょっと思われない状態
です。地質学的な妥当性というのはあまり感じられないと思います。
部
会 長
温泉掘削の妥当性というと、疑問が残るし、根拠が少ないと思わざるを得ないのです
が、だからと言って不許可にするということにはならないと思います。B委員さんの指
摘された公共の利益にかなう温泉利用からいうと、計算におかしなところがあるという
ところを修正していただきますよう、条件付きで許可答申とするということになろうか
と思いますが、いかがでしょうか。
事 務
局
掘削の後、動力の設置申請が必ず出てまいると思います。その段階ではどの位の揚湯
量があって、限界揚湯量とか、この温泉地で汲み上げられる湯量が決まってくると思い
ます。その段階で適正湯量の揚湯を求めるという手法もあると思います。
B 委
員
しかし、書類を見ただけで矛盾していることが分かるから、そこを指摘していただか
ないといけません。
部
会 長
どうしましょう。継続審議ということもありえますが。
部
会 長
温泉利用計画をきちんと出していただくということで、条件付きの許可答申としてよ
いでしょうか。
全
員
異議なし。
事 務
局
それでは、次回の温泉審査部会までに、温泉利用概要書を修正するように申請者を指
導いたします。
部
会 長
それでは、条件付きで許可答申とします。
8
条件付き許可答申
9
種
別: 土地掘削
申請者: 北佐久郡軽井沢町大字長倉2126 株式会社小瀬パークホテル
第2号議案
場
所: 北佐久郡軽井沢町大字長倉字長倉山2118番7
地
目: 宅地
目
的: 公共の浴用
深度・口径: 深度 180m、口径最大 374.7mm
工事の施工方法: ロータリー掘削工法・垂直掘
部
会 長
事 務
局
第2号議案の説明を事務局からお願いします。
1ページをお願いします。
申請者は、株式会社小瀬温泉パークホテルです。
申請場所は、北佐久郡軽井沢町大字長倉2118番地7です。
土地の所有者は、株式会社小瀬温泉パークホテルです。
掘削深度は、180mを予定しています。
工事の内容は記載のとおりですが、申請地から半径3㎞以内に源泉は、小瀬温泉1号
泉以下6源泉ありますが、いずれも同意を得られておりません。
このうち、小瀬温泉1号泉は 290m、2号泉は 160m、3号泉は 130mと、非常に近接
した場所にあります。
本申請については、過去に一旦申請をし、審議中途で申請者から取下げ書の提出があ
り、審議を中断した経緯があります。その点も踏まえてご説明しますが、説明の順序と
しては、最初に本申請についての概略をご説明し、その後、再申請に至った経過をご説
明し、最後に、過去の審議部会での審査状況についてご説明いたします。
まず、本掘削申請の概略についてご説明します。
7ページをお願いします。
申請場所ですが、旧軽井沢の市街地から「白糸の滝」に向かって上がっていく途中に
有料道路「白糸ハイランドウェイ」の料金所があります。その料金所を過ぎたすぐ左側
に申請者が経営するホテルがあります。近隣源泉を持つ小瀬温泉旅館とは、「白糸ハイ
ランドウェイ」を挟んで、反対側に位置しています。申請地は、ホテル敷地内にある池
のほとりにあります。なお、土地は、自己所有地です。12ページに全部事項証明書を
添付しました。
8ページをお願いします。近隣源泉所在図です。
近隣源泉は全部で6箇所ありますが、資料には小瀬温泉3号泉が抜けています。修正
済みの差し替え資料をご用意させていただきました。その資料をご覧ください。源泉の
中で、申請地から最も近いのは小瀬温泉3号泉です(この資料では 150m)
。1号泉、2
号泉も非常に近いです。その他少し下った所には湯川温泉1号泉、2号泉。旧軽井沢側
には三笠温泉。これらの源泉が周囲にあります。
10
本資料の16ページをお願いします。
そこに掘削をするための主要設備・機材一覧表があります。櫓を組んでボーリングマ
シンを設置します。
17ページ以下に主要設備の構造図、カタログ等を添付しました。
22ページに、計画工程表があります。工事開始から概ね2箇月間で終了する計画を
立てています。
23ページをお願いします。温泉井設計概要図になります。
この図面でも明らかなように、掘削深度は 180mです。深度 50mまでは若干太い外径
318mmのパイプを使いますが、そこから先は 216mmの外径を使いまして、最深部の
180mから深度 50mの間にスリット加工し、温泉を採取しようとする計画です。
前回の申請では、掘削深度が 300mでしたが、今回は 180mに変更されています。理
由は他源泉への影響を配慮したものと、申請者は申立てをしております。
23ページをお願いします。
温泉利用計画書が添付されていますが、これについても申請者から修正された計画書
が提出されています。追加資料の1ページをご覧ください。
利用計画で大きく変更になっている点は温泉水の必要量です。当初の計画では、毎分
77ℓの揚湯を考えておりましたが、他源泉への影響等も考慮して、小瀬パークホテルが
改築直前に使っていた湯量が毎分 45 ℓですので、毎分 45 ℓに抑えるよう計画を修正し
てあります。
追加資料の5ページをご覧ください。
申請者からは周辺温泉施設及び周辺環境への配慮として、掘削して毎分 45 ℓ以上の揚
湯が可能としても、毎分 45 ℓを超える利用をしない旨の記載があります。
32ページをお願いします。
地質調査会社が申請者から委託され作成した「温泉開発調査業務の概要報告書」を添
付しました。この中で、審議の参考になる資料がありますのでご紹介します。36ペー
ジ、A3折込みになっている「地質断面図」という資料ですが、ご覧ください。
申請者側の主張では、小瀬温泉1号泉、2号泉とも深度が 320m以深と深いため、第
4層:第三紀火山岩類・霧積層群から揚湯していることになりますが、申請者の申請は
これより浅い地層である第3層:第4紀火山岩類・高度山火山岩類という異なる地層か
ら揚湯するため、既存の源泉には影響しないとしています。
この考え方については、前回の申請でも同様の主張をしています。この辺の経過につ
いては後ほどご説明します。
次に、2つ目の説明事項である再申請に至った経緯についてご説明します。
最初のページ1ページにお戻りいただきたいと思います。1ページ下部の説明欄をご
覧ください。過去の経緯の説明です。
小瀬パークホテルは、近隣である小瀬温泉旅館から温泉供給を受けて営業を行ってい
11
ましたが、全面改築の際に一旦温泉受給を中断しました。改築後営業を再開しようと、
小瀬温泉旅館に温泉供給の再開を申し入れた時に、小瀬温泉旅館から温泉供給を拒否さ
れました。その後、温泉供給に関する話し合いを続けましたが、話し合いの長期化が想
定されたため、平成 22 年 10 月 25 日に、掘削許可の申請に至りました。
2に記載がありますが、当審査部会で2度審議された後、第3回目の審査の直前の平
成 23 年7月5日付で、申請者から「取下げ依頼書」が提出され、平成 23 年度第1回の
審査部会で、取下げることに異議がない旨の意見が付され、平成 23 年8月9日付で取
下げの承認をしています。
なお、取下げ理由については、「2度の審議の結果、共に継続審議となっており、結
果を踏まえ、温泉掘削方法や掘削位置等を総合的に再検討する」というものでありまし
た。
再申請に至った経過をご説明します。3ページをお願いします。
これが、申請者から提出された今回の再申請に至った経過等です。
① は、温泉送湯停止の経過です。ホテル改築後に、温泉の供給が受けられなくなっ
たことが記載されています。
② に、温泉送湯停止後の経過が記載されてあります。ここに記載されているように、
元々両社の経営者は親戚関係にあります。
③ には、前回に申請を行った理由が3点記載されています。
1つ目は、「話し合いでの早期解決が困難であり、ホテル運営に支障をきたすこ
と」。2つ目は、「両者がともに温泉井戸を所有すれば、今後温泉に関して係争す
ることが無くなること」
。それから「親戚同士での係争は避けたかったこと」です。
④ に、前回申請後の地元の意向等が記載されています。
2社で温泉を分け合う方向で解決することが望ましいということが地元軽井沢温
泉組合の意向でした。その後、調整を続けてきましたが、まだその調整が出来て
いないということです。
⑤ に、今回、再申請に至った経緯が記載されています。
「現在、㈲小瀬温泉旅館様とは代理人を通じて協議して参りましたが、未だに解
決に至っておりません」との現状の説明があります。
そして、再申請に至った理由は3点ありますが、
「代理人の見解では解決に数年
要」し、話し合いが長期化するということ。2点目としては、
「現状水を沸かして
浴槽に使用しておりますが、経営を圧迫するほどの光熱費」がかかっていること。
3点目の理由として、協議の中で、小瀬温泉旅館から温泉供給の提示を受けてい
るのですが、これが申請者にとっては良い内容ではないということです。具体的
には、以前は毎分 40ℓを月 20 万円で供給を受けていたところ、改築後は、毎分 5
ℓを月 18 万円との条件提示があり、この内容では、供給量でも金額でも折り合え
ないということです。
12
なお、申請者は「温泉掘削方法や掘削位置等を総合的に再検討」することを理由にし
て取り下げていますので、どのような再検討をしたのか、資料の提出を求めました。
追加資料3ページをご覧ください。
申請者は、ホテル敷地内で掘削可能箇所を検討しましたが、機材や配管のことを考え、
前回と同じ場所にしました、ということです。従いまして、掘削位置は前回と変更はあ
りません。また、深度は先ほど説明したとおり、300mから 180mに変更されてあります
が、これについても前回と考え方はあまり変わっていないという状況です。
さて、一方、小瀬温泉旅館の状況等についてご説明します。
小瀬温泉旅館は、申請者の近隣で温泉旅館を経営しております。
同社からは、1号泉及び2号泉の湧出量の減少を理由として、未利用泉であった小瀬
温泉3号泉の動力設置の申請書が提出され、平成 25 年 1 月 30 日に開催された審査部会
で審議の結果、許可答申をいただき、動力設置についての許可をしております。源泉の
湧出量の減少を示す資料を、追加資料7ページに添付しましたのでご参照ください。
この資料につきましては、平成 25 年 1 月 30 日に開催された本審査部会で審議した時
に小瀬温泉旅館から提出されたものです。小瀬温泉2号泉は、平成 15 年には、湧出量
が毎分 100ℓであったものが、平成 23 年では 35ℓと、約3分1程度まで減少しておりま
す。また、小瀬温泉1号泉も、平成 15 年には、毎分 90 ℓ であったものが、平成 23 年
には毎分 60 ℓ に減少しています。
2号泉のお湯は従来他者への販売用として利用されてきましたが、湧出量の減少分を
補うため今後は小瀬温泉旅館で使用し、販売用のお湯は3号泉から揚湯するというもの
です。なお、現時点で、3号泉に動力装置は設置されてはおらず、未利用泉のままとな
っています。
最後になりますが、過去の審査部会の審議状況をご説明いたします。
詳細は、39ページ以降に議事録を添付してありますので、ご確認いただきたいと思
いますが、説明用に審査部会の状況をまとめた資料をご用意しました。
追加資料の6ページをお願いします。
申請者に関する温泉審査部会の審議経過ということで、過去3回行われた審議の内容
についてまとめました。
本案件を最初に審議したのは、平成 22 年 11 月に開催された平成 22 年度第2回審査
部会です。
事務局からは、申請の内容、小瀬温温泉2号泉は当初の段階では申請者と小瀬温泉旅
館双方で利用する計画であったこと、当掘削申請に対して軽井沢町から特に意見がなか
ったこと等を説明しました。それに対して、審査部会では、2号泉を掘削した際の申請
者と小瀬温泉旅館との協定書の有無や、地元の軽井沢温泉事業組合ではどのように対応
するのか等の質問がありました。温泉事業組合の対応については、翌月の 12 月に会議
が予定されており、この件につき協議される旨を回答しました。
13
この1回目の審議の結果については、「地元温泉関係者の働きかけにより、近隣源泉
所有者の承諾が得られる可能性がある。掘削申請については、この話し合いの結果を待
って判断する」という理由で継続審議となりました。
次に審議されたのが、平成 23 年3月に開催された平成 22 年度第3回の審査部会です。
この中で、事務局からは、開催された軽井沢温泉事業組合の会議の状況について説明し
ました。この時の組合の意見ですが、掘削申請位置が既存源泉から近すぎるとの理由で
全員が不賛成であったということ、それから双方が友好的に話し合い、申請者が小瀬温
泉旅館から分湯を受けるのが望ましいという内容でした。それから、軽井沢町の話によ
ると、町が上水井戸を掘削した後、小瀬温泉源泉の湧出量が減少したと、小瀬温泉旅館
から町に申し出があったということを報告しました。しかし、町の影響調査の結果では、
小瀬温泉源泉の湧出量の減少とは直接的な関係は認められなかった、ということでし
た。
一方、申請者からは、採水は第3層から行うので、小瀬温泉旅館が採水している第4
層とは異なる地層であるため、小瀬温泉の既存源泉には影響ない旨が記載された調査書
の提出がありました。事務局としてはこの報告書の提出があったことを説明すると伴
に、小瀬温泉源泉の深度は1号泉で 325m、2号泉で 400mですが、両方とも井戸の構
造上、第3層から採水されている可能性があることをご説明しました。また、双方から
それぞれの主張が記載された意見書等の提出があったこともご説明しました。
これを受けた審議の状況ですが、軽井沢町上水井戸の存在と既存源泉湧出量減少の関
連性についての確認を求められました。それと、焦点になりましたのは、小瀬温泉1号
泉と2号泉がどの深度から採取されているかということでした。1号泉は 150mから深
い深度で素堀になっている可能性があること。2号泉は 150mからスリットが入ってい
る可能性があるのですが、スリットの位置を特定することは出来ないということをご説
明しました。
それから、本掘削を認めた場合の軽井沢上水井戸に対する影響や地質構造に関する熱
心なご議論をいただきました。
これらを踏まえた審査部会の意見は、そこに書いてある5項目です。具体的には、
①小瀬温泉の採水層と異なる地層から採水することで、既存温泉へ影響が及ばないと
する論拠の補強
②小瀬温泉の採取位置及び方法を考慮した影響の有無
③深度 180mでの温泉採取の可能性
④掘削が現実に行われた場合の町の上水井戸への影響の有無
⑤申請者の敷地内で、新規に掘削した水井戸の分析資料
以上の点につき、申請者への確認が必要ということで、継続審議になりました。
第3回目が、平成 23 年7月に開催された平成 23 年の第1回審査部会です。
この時は、取下げ書が提出されたため事務局からこの旨を説明し、取下げについての
14
承認をいたただきました。
この審査部会の中で、E委員からヘキサダイアグラム水質分析表に基づく水質分析の
ご説明をしていただきました。
今回の審査の参考になると思いますので、資料を添付しました。
当初送付した資料の65ページは、こちらの手違いで誤ったものを送付してしまいま
した。正しいものを、差し替え資料の最後のページに添付しましたので、こちらをご覧
ください。
E委員からご発言いただいた内容について私から紹介させていただきます。
申請者の既存井戸と小瀬温泉1号泉と2号泉のグラフは類似している。
この意味するところは、水質がほぼ同等だということを示すデータである。
大きさも形も一緒であれば、同じ水質ということはできるが、このグラフでは、それ
ぞれ大きさが違っているので、水質傾向は一緒であるが、濃度が違う部分があるので、
全てが同じという判断はできないと思う。
しかし、小瀬温泉1、2号泉の形と大きさは、ナトリウム・カリウムの濃度と重炭酸
の濃度に変化はあるが、申請者の既存井戸の水質と形状とほとんど類似している。
また、大きさは小瀬温泉1、2号泉の中間に位置しているので、このデータから見れ
ば、それぞれの採水層としている場所の中間当たりの水質に該当すると思われる。
部
会 長
事 務
局
小瀬温泉1号泉と2号泉の中間的な水質というのはどれを指しているのでしょうか。
パークホテルと書いてあるものです。申請者の井戸から採ったもののヘキサダイアグ
ラムの形が小瀬温泉1号泉と2号泉のほぼ真ん中ぐらいの値を示しているというE委
員のご説明でありまして、大きさもほぼ中間であるというご説明でした。
部
会 長
もうひとつ質問したいのですが、36ページの折り込みの図ですね。パークホテルの
井戸とは、この図に書いてある既設水井戸というものですか。
事 務
局
そうです。元々この水井戸は、水を採るために掘削をしました。浅いところでは温泉
が出ないだろうと想定して掘っていたところ、温泉が湧出してしまいました。それはま
ずいので、温泉は全く使えないようにして、水だけ使っているという状況です。資料に
載せましたのは温泉が出た時の温泉成分です。
部
会 長
では、現在温泉を使っているわけではないのですね。そうするとホテルは現在営業し
ていないのですか。
事 務
局
ホテルはこの水を沸かして営業しています。
15
部
会 長
その水というのは既設水井戸から採っているのですか。ヘキサダイアグラムを見ると
これは立派な温泉ですが。
事 務
局
掘削したら温泉が出てしまいました。資料はその温泉を分析したものです。温泉の湧
出後、井戸の深い所に蓋をして下から温泉が上昇しないようにしています。今は水だけ
使うようにしています。
部
会 長
水だけ使っているということですね。
事 務
局
そうです。
事 務
局
E委員からのご説明ですと、小瀬温泉1号、2号泉が採水している地層と申請者の既
存井戸が同じような地層から採水されているのではないかという分析結果と認識して
います。
なお、軽井沢上水道第5水源の水質は、同じ第3層であっても全く水質が異なってい
る。小瀬温泉と軽井沢上水道第5水源の間に、もしかすると断層のようなものがあって
滞水層が遮断されている可能性もあるのではないかということが、データ上推測され
る、というようなことのご説明もしていただきました。それで、説明はしていただいた
のですが、取り下げ書が提出されましたので、審議はそこで終了しました。
事務局からの説明は以上です。よろしくご審議のほどをお願いいたします。
部
会 長
はい、どうもありがとうございます。それではご質問でもご協議でも結構ですので、
ご自由にどうぞ。
部
会 長
結局、小瀬温泉の第1号泉、2号泉はどこにスリットがあって、どの層から温泉を採
っているか分からないのでしょうか。
事 務
局
当時のデータですと明確なものはなくて、第1号泉からは深度 150mから素堀りをし
ているので、150mから最大深度までのどこからか採取をしているのではないか。しか
し、それが第3層からか第4層からかということは明確になっていません。それから2
号泉につきましても、150mからスリットが入っている可能性がありますが、それが第
3層か第4層かということを明確に示しているものはなかったと承知しています。
部
会 長
はい、どうもありがとうございます。
16
E 委
員
水質のことについて説明をさせていただきます。
資料を見ていただきたいと思いますが、そこに小瀬温泉3号泉の温泉分析の結果があ
ります。前回の審査部会の際に提出された温泉分析書を基に作成したヘキサダイアグラ
ムを掲載してあります。それを見ますと、やはり第3層から採っているか第4層から採
っているかがポイントになろうかと思います。いずれにしても、どこから採取されてい
るかということが明確になっていないということは、今回の報告書の中でも示されてい
ます。
水質から見ますと、3号泉の水質はヘキサダイアグラムを見ていただくと分かります
ように、2号泉の水質にかなり近い値にはなっています。これは3号泉に1号泉が混入
した場合、このような水質になると思われます。このようなことから、第3号泉は水質
の違いから第4層から採られていると推定してもいいのではないかというふうに捉え
ております
それで、3号泉と2号泉が同じような水質で、第4層から採られているとしますと、
1号泉の水質とは異なっていますので、第3層の滞水層の水ではないかということが推
定出来るのではないかというふうに思われます。同じ層から採られている可能性もある
のですが、これだけ近くで揚げていて、深さの違いがないと、これだけの水質の違いは
ないのではないかと、ただ水平距離だけではこれだけの違いは出てこないと推測されま
す。
また、パークホテルの井戸の水質は、1号泉と2号泉の混合泉のような水質ですので、
第3号井戸から 180m程度の深度で採水した場合、第3層から採水することになるので
すが、これが1号泉に影響を及ぼす可能性が出てくるというようなことが推測されま
す。
この様に水質から見ますとそれぞれの井戸は異なる帯水層を持っているように思わ
れます。
一方、掘削深度はパークホテルの井戸以外は 300mから 400mとなっていますので、
どの層の温泉水がどの泉質であるか、正確には分らないといった方が正解だと思われま
す。
前回の審査部会(平成 25 年1月 30 日開催)で、小瀬温泉旅館が3号泉の井戸から温
泉を採る場合は1号泉、2号泉に影響を与えないというような小瀬温泉旅館の説明もご
ざいます。こうしたことを考えますと、申請者が掘削するにあたり第3層から採ること
になっても、どの層から採っているかわからない状況であれば、今回の場合も影響を与
えないということを相手側から言っていただいたような捉え方も出来るのではないか
と思います。
水質の説明とはまた違ったことになるのですけれども、平等に温泉の資源を利用して
いただくためには、ここで色々な進め方を示して行くことが必要なのではないかと思い
17
つつ、データを分析させていただきました。
部
会 長
ちゃんと理解しているのかどうか分からないのでお聞きしたいのですが、小瀬温泉の
2号泉と3号泉は第4層から出ているのでしょうか。
E 委
員
水質の違いから判断しているので、明確なところは分りません。
B 委
員
パークホテルの井戸の途中で蓋をしたという話ですが、蓋をすることによって、温泉
と水を分けることができるものでしょうか。
E 委
員
井戸の採水層ごとに揚水をするために、ある程度の水を採水しないで止めるというこ
とは、出来るようです。自噴で下から上がってくるお湯を止めることはそれほど難しい
ことではないと思います。
部
会 長
B 委
員
ここまでの説明で、どうぞ。
井戸のことが気になります。これは掘ったときに温泉が出てしまった。多分温度で温
泉になった可能性があると思います。
事 務
局
少し古い資料ですが、飲料用の井戸として 110mぐらい掘削したいという計画であっ
たのですが、68m位のところで噴出したようです。それで、どうも温度が高いので測っ
てみたら29度あった。それですと、掘削の許可を得ていない温泉になってしまうので、
そこに蓋をして、スクリーンパイプの一部を上に引き揚げたということなので、今は温
泉層ではない層の水が使われているようです。温泉成分のあるところは蓋をして、今は、
温泉成分のないものを使っている。そうでないと、許可を得ない掘削となってしまいま
す。
B 委
員
温度で温泉になった。成分では温泉にはならないのですか。
C 委
員
78ページを見ると、メタケイ酸が基準を超えているので、成分でも温泉になると思
います。今蓋をして使っている水にメタケイ酸がこれだけ含まれていれば、一応温泉法
上の温泉にはなると思います。
B 委
員
このデータは、今蓋をして使っている水のものではなく、最初に間違って温泉が噴出
した際に分析したデータですね。このまま使えば温泉になってしまいます。
18
E 委
員
先に既存温泉がどこまで主張するかということも大事とは思います。ただ、今まで得
られたものが得られなくなった時にどう分けて利用できるのか、そこの調整も必要なの
ではないかと心情的には思います。ですから、帯水層の違いなどを証明することで自分
の正当性を主張することよりも、相互に理解しあえるようにアドバイスするような、そ
んな方向でしか解決の糸口がつかめないような思いもあります。
B 委
員
これまでも話し合いを行うように勧めてきました。でも、全然うまく行かなかった。
そこに新たな材料を与えて、そういう観点からもう一度、話してみたらどうですかとい
うことになると思います。では、新たな観点というのは何であるのか的確に示す必要が
あります。
E 委
員
掘削をして影響がある場合は、新たな掘削は認められないということに、今まではな
ってきたと思います。そうなってしまうと、ここで温泉を利用できる余地がなくなって
しまう。申請者にとっては、これが最後の機会ではないかと思うのですね。ですから、
既存の源泉で採っているところと違うところから採るから影響がないことを論拠にし
て、申請者は申請内容をこのような組み立てにしてきたかと思いますが、それでも難し
い部分はあるのかなと思います。
B 委
員
申請者は採水する層は違うところにある。だから既存源泉に影響を与えないと言って
いますが、どうなのでしょうか。
E 委
員
やはり1号源泉に影響を与える可能性があるのではないかということを危惧してい
ます。ただし、3号泉の揚湯試験をしたときに、同じ層から採っているのに1号泉、2
号泉に影響はなかったと小瀬温泉旅館自らが報告しているので、そういうことであれ
ば、小瀬パークホテルが掘削しても大丈夫ですねと認めてもやむをえないのかなとも思
います。
B 委
員
なんとか話し合いにもっていくために提案できるかどうかですね。
E 委
員
ここで論議すべきはそういうことを考慮すべきかどうかですね。
B 委
員
小瀬温泉旅館の方にもある程度説明しておかなければならないと思います。また、軽
井沢町温泉事業組合では、温泉掘削の同意をどのように考えているのでしょうか。
事 務
局
近隣源泉の所有者がどこも同意していないのは、組合の意向に基づき、当事者である
申請者と小瀬温泉旅館の話し合いに従うことにしているからと理解しています。
19
E 委
員
審議をするうえで、同意が重要な条件になっていると思いますが、事務局から説明の
あったとおり、組合の構成員は組合が認めれば特に異議ありませんという考えだと思い
ます。帰結するところは当事者どうしの問題です。
事 務
局
よろしいでしょうか。審議をお聞きしていますと、小瀬温泉旅館の方に反対する理由
を明確にするようにという趣旨だと思いますので、その部分について、小瀬温泉旅館に
私どもが話をしてみたいと思います。その結果を以て次回の審査部会の時にお話をさせ
ていただくということでよろしいでしょうか。
3号泉の動力装置の申請を出した時に、1号泉も2号泉も影響がないということで、
許可をしています。3号泉からもう少し離れた場所で申請者が掘削した場合、影響があ
るのかないのかということを聞いてみなさいというのが審査部会の意見でしたと話を
してみたいと思います。
B 委
員
小瀬温泉旅館の収容定員はどのくらいなのでしょうか。小瀬温泉は他者にタンクロー
リーで温泉を販売しているとお聞きました。かたや、パークホテルは 45ℓまでしか使わ
ないとか、資料を見る限りは譲歩しています。小瀬温泉の方は源泉が3本あって、トー
タルすれば結構な湯量があります。
D 委
員
最初はお湯を分けていた。それが、パークホテルが改築したときに、それを突然止め
た。そこに契約上の問題はあるのでしょうか。
A 委
員
あると思います。でもそれは法律的には結局お金でしか解決できません。今はそうで
はなくて温泉を分け合うという話です。
部
会 長
よく分からないのですが、小瀬温泉2号泉を掘ったときは共同出資でお金を出し合っ
たというお話ですが、それにも関わらず全く権利がないというのはどういうことなので
しょうか。
事 務
局
金銭の授受はあったようなのですが、証明する書面がありません。また、書面を交わ
していないものですからその契約がいつまで続くかということについて、小瀬温泉旅館
側からすれば未来永劫約束をしているのではなく、改築を機に外部資本が申請者側に入
った時に事情が変わった、ということのようです。
部
会 長
その時共同出資したというのは、言い分であって我々としては、確かめようがないの
ですね。
20
事 務
局
そうです。
B 委
員
繰り返しになってしまうのですが、温泉の利用許可をとるときは、どこの源泉を使う
かということで、源泉所有者の判をもらってきます。それが、ホテルの改築後に許可を
取り直そうとしたら、外部から資本が入ったからもう判を押さないというのは、社会通
念上は疑問があります。
A 委
部
員
会 長
でも、そこはきちっとしておくべきだったと思います。
では、当審査部会としてはどうしたらよいと思いますか。申請者が申請どおり井戸を
掘ったとしても、既存の井戸に影響を与えないということがもっと明確に証明されれば
いいのですが、現段階では明確ではないので継続審議とするということでいいでしょう
か。
E 委
員
申請者が採取する量がその程度の量であったら、同じ帯水層から採取する場合であっ
ても、既存源泉に影響をほとんど与えないという、湯量の面から検討していただければ、
許可の可能性はあるのではないでしょうか。第3層と第4層が区別されていて、上の方
の層に温泉の湯量がどの位あるかによって、それを利用する場合であっても、他の源泉
に影響を与える程のものではないというようなデータを準備出来るかどうか。
部
会 長
E 委
員
そろそろ議論をまとめようと思います。
量的に問題がないことを証明することが技術的に出来るかどうか。また出来たとして
も難しいことなのか私には判断できません。しかし、そのことが可能であり、影響を与
えることがほとんどないということで解決の糸口がつかめるようであれば、そうしてい
ただければと思います。
部
会 長
事 務
局
では、事務局を通じて、両者が共存出来るような道を模索してください。
分かりました。さきほどご意見がありました小瀬温泉旅館の3号泉の揚湯試験の際に
1号泉、2号泉に影響がなかったという部分の見解について、小瀬温泉旅館に確認させ
ていただくというのが第1点。それからもう1点は申請者に対し、温泉の必要量が 45ℓ
で妥当なのか、また、それより減らすことが出来るのかも含めて、湯量の面から両者が
共存できるということを証明することが可能であるか確認し、次回審査部会で報告させ
ていただきたいと思います。
21
部
会 長
それでは、結論としては継続審議とします。
継続審議
22
種
別: 動力装置
申請者: 北安曇郡白馬村大字北城35-1
第3号議案
場
所: 北安曇郡小谷村大字中土字沖11634番1
地
目: 原野
目
的: 公共の浴用
種
類: 水中ポンプ(出力 0.25kw)
揚湯量: 毎分 108ℓ
部
会 長
事 務
局
小出千年
挿入深度:3m
最後に動力装置に係る第3号議案です。
第3号議案についてお願いします。
申請者は、小出千年です。
申請場所は、北安曇郡小谷村大字中土字沖11634番1です。
申請者、申請場所とも、去る平成 24 年度第1回の審査部会で、掘削許可をいただい
た申請者、申請場所と同一です。
工事の内容は、動力装置の設置です。動力機は、出力 0.25kw、揚湯量は毎分 140 ℓ
で、非常に小型です。挿入深度は3mと非常に浅く、具体的には集湯枡の底部までの位
置になります。
なお、近隣の源泉の状況ですが、掘削申請時と同様、半径3Km 以内には源泉がありま
せん。
経過や申請理由を説明いたします。
1ページの下部、説明欄をご覧ください。
1については、冒頭で説明したとおりです。
2についてですが、本源泉は自然湧出しているものを集湯枡で集湯しています。集湯
枡での水位は、季節的な変動もありますが、底部から概ね 1.6m前後で安定している状
況です。
3で本申請の目的について記載しましたが、温泉をタンクローリーで運搬する計画で
して、集湯枡から温泉を揚湯する動力が必要なために本申請がなされました。
本動力の設置は、通例のように、地下深く揚湯管を挿入し、動力を利用し汲み上げる
のではなく、集湯枡の最下部まで揚湯管を入れまして、そこから汲み上げるものです。
2ページの4をお願いします。小型ポンプで揚湯試験を行っておりますが、1分間で
108ℓ揚湯すると、約2時間で集湯枡が空になってしまうという状況です。申請者により
ますと、空になった集湯枡の水位が元に戻るまでに、1週間から 10 日程度の期間が必
要とのことです。
3ページをお願いします。
申請位置は、小谷温泉へ向かう途中、県道川尻小谷糸魚川線から、北側へ約 500m程
23
入ったところにあって、周囲には畑や田、山林が点在しています。この状況については
掘削申請の時と変わりがありません。
4ページに案内図を掲載しました。周囲は山林に覆われていまして、この場所だけ小
屋が建っているという状況です。
5ページに公図を、6ページには土地の全部事項証明書を添付しました。
7ページが、申請者が作成した申請理由の説明書です。
ここに記載されているとおり、小屋の中に集湯枡が設置されており、集湯枡の温泉を
タンクローリーで運搬し、公共の浴用に使用するために、ポンプの設置をするものです。
8ページをお願いします。掘削孔仕上図です。
9ページに揚湯イメージがあります。温泉が自然湧出していて、その上に集湯枡が設
置されています。ここの最下部まで揚湯管を下ろし、タンクローリーに給湯する計画で
す。
10ページをお願いします。
揚湯試験の結果表です。120分後には、水位がグランドレベルから、2.83m下とい
う位置になっています。この位置で水位が集湯枡の底に達してしまうため、これ以上の
揚湯試験は続けられないという状況です。集湯枡に集められた温泉を揚湯したに過ぎな
いため、限界揚湯量は明記されてありません。
11~12ページは、測定データやデータをグラフ化した資料です。
13ページには、温泉分析書を添付しました。
14ページをお願いします。揚湯に利用するポンプが記載されています。いわゆる家
庭用の水中ポンプでして、非自動型、定格出力 0.25kwのポンプを使用します。この製
品について、私がインターネットを使い調査したところ、定価ベースで、40,000 円程度
の家庭用ポンプでした。
18~19ページにかけては、集湯枡等の写真を添付しました。
20ページ以下につきましては、掘削許可書及び許可答申をいただいた平成 24 年7
月の本審査部会の議事録を参考資料として添付いたしました。
事務局からの説明は以上です。よろしくご審議のほどお願いいたします。
部
会 長
ありがとうございます。それでは、ご質問がありましたらお願いします。
部
会 長
ポンプのついていない現状ではどうしているのでしょうか。
事 務
局
集湯枡から汲み上げることが出来ないので、現状では温泉を利用出来ていない状況で
す。
24
部
会 長
事 務
局
このような案件も動力装置申請として、審議しないといけないのでしょうか。
これについては、現在の環境省から過去に文書が出ています。グランドレベルの3m
下から揚湯しますが、類似の行為で動力装置申請が必要という見解が示されています。
部
会 長
C 委
員
それでは、委員のみなさまからご質問をお願いします。
公共の浴用に供するということですが、入浴施設を新たに作ってこのお湯をそこに給
湯するということになるのでしょうか。
事 務
局
部
会 長
全
員
部
会 長
お湯を他の旅館施設に持っていって、浴用に利用したいというのが今の計画です。
この案件についてはいかがでしょうか。許可答申でよろしいでしょうか。
異議なし。
それでは、本案件は許可答申とします。
許可答申
25
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