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蛍光X線による鉱石の組成分析
卒業研究報告 題目 蛍光 X 線による鉱石の組成分析 指導教員 成沢 忠 教授 報告者 服部晋一郎 平成 18 年 2 月 21 日 高知工科大学電子・光システム工学科 第一章 序論 1.1 背景・目的 1.2 論文の構成 第二章 原理・理論 2.1 X 線とは 2.2 X 線の発生原理について 2.3 X 線吸収係数について 2.4 蛍光 X 線について 2.4.1 蛍光 X 線の発生原理 2.5 蛍光 X 線スペクトルについて 2.5.1 蛍光 X 線スペクトルに含まれる散乱線について 2.5.2 ピーク同定の手順および注意点について 第三章 実験装置 3.1 EDX(エネルギー分散型)および WDX(波長分散型)について 3.2 X 線発生装置について 3.1 検出器について 第四章 実験結果 4.1 スペクトル分析の結果について 第五章 考察および結論 謝辞 参考文献 1 第一章 序論 1.1背景・目的 蛍光 X 線分析は、元素分析の手段として、今日に至るまで研究室から産業 分野まで広く普及し、一般にはすでに確立された分析技術とみなされてい る。以前は X 線の発生に水冷式の大型装置を必要とし、X 線を用いるとい う特殊性から使うユーザーも限られていた。ところが、近年の要素技術の 進歩によって装置の小型化が進み、手のひらにのるようなポータブル分析 装置も市販されるようになった。また、最近は環境分野における有害金属 元素の分析に蛍光 X 線の有用性が広く認められ、社会的ニーズが追い風と なり蛍光 X 線分析装置の高感度化、低価格化も進んでいる。一方、光源技 術の革命的な進歩である放射光の利用分野では、数十ナノメーターサイズ のマイクロビームによる微小領域の蛍光 X 線分析が実現するなど、蛍光 X 線分析に質的転換がもたらされつつある。 蛍光 X 線分析の特徴の一つとして、非破壊で分析できるという点がある。 そのため、試料の分解、溶解といった化学的前処理が不要で、化学実験設 備を必要としないことから、装置の設置条件を選ばないという利点がある。 また従来は微量分析法として蛍光 X 線分析は感度の点でやや物足りなさが あったが、最近のX線源、光学系、検出器の進歩、改良により、ppbレ ベルの微量重元素を分析できる蛍光 X 線分析装置も出現している。また最 近の傾向として、精密な分析を行なう前のスクリーニングに用いられるケ ースも増えている。たとえば、多数の工業製品に含まれる有害元素のスク リーニング、原材料の品質評価、土壌中の有害規制物質のその場分析など、 特定の元素濃度がある基準値を超えるかどうか、迅速に判定するのに用い られている。このような背景から、今後さらに蛍光 X 線分析のニーズが高 まることが予想される。 そのため、本研究では、蛍光 X 線分析装置を使って、我々の身近にある鉱 石の元素分析を行なうことにした。また、今回、色による元素の違いを確 認し、どのような色においてどのような元素が検出されるかを調べたいと 考え行なうことにした。 1.2 論文の構成 第二章では蛍光 X 線分析の理論について説明し、第三章では実験装置につ いて説明し、第四章では、実験結果について書き、第五章では、結果の考察に ついて説明し、第六章で結論を書く。 2 第二章 原理・理論 2.1 X 線とは X 線は太陽光などと同じ電磁波で、図1.1に示すように、その波長は紫外線 より短く、γ線より長い光である。X 線は、波としての性質と粒子としての性 質をもち、前者は波長λとして、後者はエネルギーE を持つ粒子として特徴づ けられる。波長λをÅの単位でエネルギーE を keV の単位で表すと、λと E の 間には次の簡単な関係式が成り立つ。ここで h と c は定数で、それぞれプラン ク定数、光の速度である。 E=hc/λ=12.398/λ (1.1) X 線の波としての性質は、X 線を結晶に当てると干渉による回折現象を示すこと から、一方、X 線の粒子としての性質は、X 線を物質に当てると光電子が発生 する光電効果から、それぞれ理解できる。なお同じ X 線でも、空気により容易 に吸収されるような波長の長い X 線(波長数Å以上、エネルギー数 keV 以下) を軟 X 線と呼び、波長の短い X 線を硬X線と呼んで区別することがある。蛍光 X 線分析で通常用いる X 線は硬 X 線が多い。なお図 2.1 は波長、エネルギーに よる電磁波の種類である。 3 2.2 X 線の発生について X 線の発生について説明すると、W フィラメントを真空中で高温に加熱す ることによって熱電子が放出される。この熱電子に高電圧を印加して加速 し、電子を陽極に衝突させることにより X 線が発生する。その際には電子 の運動エネルギーの大部分が熱に変換される。そのため X 線に変換される エネルギーはわずかに 0.1%程度に過ぎない。 またX線管球から発生する X 線は、電子の制動放射による連続 X 線と、外 殻電子が内殻に遷移するときに生ずる特性 X 線とからになっている。 具体的にタングステン管球から発生した連続 X 線スペクトルを示すと図の ようになる。X 線のスペクトルは高速の電子が陽極に衝突して阻止される ときに発生する。その際の電子の衝突の仕方は同じではないし、1 回の衝突 で失うエネルギーもいろいろである。そのため電子がエネルギーを完全に 失うまで衝突が繰り返されるため、X 線のスペクトルは連続となる。 また特性 X 線に関しては、X線管球の加速電圧を高くしていくと、陽極材 料を構成している元素で決まる一定の電圧以上によって現れる。 4 2.3 X 線の吸収係数について X 線は物体を透過するときには物質との相互作用によって減衰する。ごく一般 的にいえば、重元素ほど X 線の吸収が大きい。また、短波長の X 線ほど物体に 対する透過力が大きい。長波長の X 線は空気中では減衰が著しいから真空中で 測定する必要がある。例えば、あるエネルギーE の X 線が、厚み t(cm)の物質を 透過するとき、入射 X 線の強度を I 0 、透過 X 線を I で表すと次の関係式が成り 立つ。 I/I 0 =exp(−μ M ρt)=exp(−μt) (2.3.1) ここで、μ M :質量吸収係数( cm 2 /g),ρ:試料の密度(g/cm 3 ) μ:線吸収係数(cm −1 )となっている。 X 線がどのくらい吸収されるかを表す吸光度 A は、式(2.3)の両辺の自然対数 をとることで得られ、以下のように表される。 A=ln I 0 /I=μ M ρt=μt (2.3.2) 式(2.3.2)は、X 線は吸収係数が大きい物質ほど、また厚み t が大きいほどよ り吸収されるという、当たり前のような式である。可視光、紫外光などの光の 吸収ではこのような関係はランベルトーベールの法則としてよく知られており、 X 線の吸収においても同様に成り立っている。μは線吸収係数で、それを密度 ρで割ったものが質量吸収係数μ M で、両者は定数である。いずれも試料があ るエネルギーの X 線をどのくらい吸収するかを示す尺度である。その値は、各 元素に固有で X 線のエネルギーによって変化し、波長の長い X 線ほど一般に吸 収係数は大きくなる傾向がある。また、質量吸収係数には加成性があり、ある 物質の質量吸収係数は、その成分元素の質量吸収係数にその成分の重量分率(重 量%を 100 で割った値)を掛けて和をとった以下の式で表すことができる。 μ M =Σμ Mi ω i (2.3.3) 5 ここで、μ Mi :成分元素 i の質量吸収係数、ω i :成分元素 i の重量分率で、 Σω i =1。上記の式は、特定のエネルギーの X 線に対して成り立つ。また、 X 線の吸収には、真の吸収によるものと散乱によるものとが含まれている。そ こで、光電吸収に基づく吸収係数をτ、トムソン散乱に基づく係数をσ 1 、コン プトン散乱をσ 2 とすれば、 μ=τ+σ 1 +σ 2 (2.3.4) の関係が成り立つ。同一波長では、重元素ほどτの影響が強く現れ、1つの元 素については X 線の波長が短くなると、σ 2 の影響が大きく現れてくる。 6 2.4 蛍光 X 線について 2.4.1 蛍光 X 線の発生原理およびスペクトルについて X 線スペクトルには他のスペクトルと同様、発光(荷電粒子などの X 線以外の 手段による原子の励起により生ずる X 線スペクトル)と吸収があり、蛍光 X 線 スペクトルとは、原子の励起を X 線で行なって X 線を発生させる場合をいう。 図 2.4 に示すように、蛍光 X 線の発生は、一次 X 線(励起 X 線ともいう)が原 子にあたる場合、一次 X 線のエネルギーが原子の内殻電子を光電子として放出 するのに充分であれば内殻電子がはじき出さされて空の軌道が生じ、そこにエ ネルギーレベルのより高い外殻から電子が遷移してくることにより、両軌道の エネルギー差に相当するエネルギーをもった蛍光 X 線が放出される。つまり、 各元素はその元素のエネルギーレベルに固有のエネルギー(すなわち波長)の X 線を発生するので、この X 線は特性 X 線あるいは固有 X 線と呼ばれる。このよ うな電子の遷移には多数の許容遷移があるが、各遷移には Kα1 、L α1 などの名 前がつけられている。K、L、M などの大文字は、空孔の生じた軌道すな わち電子の遷移した先の軌道を示す。下付きのギリシャ文字α 1 は通常その系列 (つまり K とか L などの系列)の中で最も強度の大きい線になる。ある系列内 の各蛍光 X 線の強度は各電子の遷移確率によって決るものであり、蛍光 X 線の 相対強度は表 2.4 に示す通りである。しかし、励起条件や各元素により、これら の相対強度は相当変化し、また K 系列と L 系列では K 系列のほうが数倍強度が 強いため、その点を考慮する必要がある。 7 図 2.4 蛍光 X 線の発生原理 8 2.5 蛍光 X 線スペクトルについて 2.5.1 蛍光 X 線スペクトルに含まれる散乱線について X 線が物質を通過すると物質中の電子によって散乱される。X 線の散乱には弾性 散乱(レイリー散乱)と非弾性散乱(コンプトン散乱)とがある。弾性散乱は、 散乱波の波長が入射波の波長と全く同じで、散乱の前後でエネルギー変化がな い。したがって散乱波は互いに干渉しあって回折現象を生ずる。弾性散乱は干 渉性散乱ともいう。非弾性散乱では、X 線が散乱する際にエネルギーの一部を 失って波長がわずかに長くなる。つまり X 線と衝突して反跳する電子がX線量 子からエネルギーを奪うのである。非弾性散乱は回折現象には関係しないから 非干渉性散乱ともいう。非弾性散乱はX線光子と殻外電子との粒子的な衝突に よって生じる。その際に X 線のエネルギーの一部が電子に移るので、散乱波の 波長は一次 X 線の波長よりもわずかに長くなる。この波長変化Δλ(Å)は式 2.5.5 で与えられる。Φは入射 X 線と散乱 X 線の間の散乱角である。 Δλ= h (1−cosφ)=0.024(1−cosφ) (2.5.5.) mc 非弾性散乱は、散乱角が大きいほど、X 線の波長が短いほど、軽元素であるほ ど著しい。他には、内殻電子にエネルギーを部分的に奪われるラマン散乱など もある。また半導体検出器(SSD)等で測定した場合に検出器のなかの Si を入 射 X 線が励起して SiKα線の分のエネルギー(1.7keV)を損失したピークとし て観測されるエスケープピークと呼ばれる散乱線がある。その他に、検出器に 2 個の光子が同時に進入した場合にサムピークと呼ばれる 2 個のエネルギーの和 となった位置にピークが出現することがある。これは、スペクトルの主ピーク が極めて強い時に起こりやすい。 9 2.5.2 ピーク同定の手順および注意点 測定したスペクトルの全てのピークは正しく同定しなければいけない。その手 順は①最強ピークから同定を行なう。K 系列 X 線でピークを同定する場合は、 Kα線で検索して、Kαと Kβの強度比を考慮して Kβ線のピークを確認する。 ②次に強いピークについて同じ手順で同定作業を繰り返し、すべてのピークを 正しく同定する。③X 線管球の特性 X 線による散乱ピークを調べる。またピー ク同定を行なうときの注意点としては、2.5.4 に書いたように、エスケープピー クやサムピークについて特に注意しなければいけない。また、弱いピークを同 定する際には、以下の諸点に注意しなければいけない。 (1) 測定する試料に含まれている可能性がある不純物や、試料調製のときに 混入した恐れがある不純物のピークであるかを調べる。 (2) X線管球の陽極が別の元素で汚染されていると、その元素の X 線が検出 される。陽極がフィラメントのタングステンで汚染されているのは普通 のことである。 (3) 重元素の L 線や M 線にも注意する必要がある。 全ての弱いピークを間違いなく同定することはなかなか難しい作業である。同 定が難しいピークは、高純度が保証されている試料(たとえば高純度シリコン や高純度有機化合物)について測定すれば、何が原因であるか見当がつく。 10 第三章 3.1.1 実験装置 EDX および WDX について 3.1 EDX(エネルギー分散型)および WDX(波長分散型) 試料に含まれる様々な元素から種々の波長(エネルギー)の蛍光 X 線が発生 することから、蛍光 X 線スペクトルの測定では、精度よく蛍光 X 線の波長(エ ネルギー)と強度を測定することが必要である。この目的のために EDX(エ ネルギー分散型 X 線分光法)および WDX(波長分散型分光法)という 2 つ の方式の分光法が広く用いられている。最初に EDX について説明すると、X 線検出器自身が百数十 eV 程度のエネルギー分解能をもっている半導体検出 器を用い、蛍光 X 線のエネルギーと強度を同時に計測する。図 3.1 に示すよ うに試料からの蛍光 X 線を直接、半導体検出器で検出する。半導体検出器の 原理は、まずX線光子が半導体検出器に飛び込むとそのエネルギーに比例し た数の電子‐正孔対がつくられる。このとき発生した電子を電流として集め、 増幅器でエネルギーに比例した電圧パルスに変換し、その電圧をデジタル化 してエネルギーに対応するメモリーに蓄えられる。 次に WDX について説明すると図 3.2 のように直接、分光結晶を使い、波長分 散を行なったうえで、検出器に入れる方法である。最初に試料に一次 X 線を 当てて蛍光 X 線を入射させる。その蛍光 X 線を角度θで入射させ、分光結晶 11 で回折させる。なお、回折を起こす条件としてはブラッグの回折条件より 2dsinθ=nλ ・・・(3.1) の時光が強めあい回折現象がおこる。 回折させた蛍光 X 線波長でもっとも強度の強いものは分光結晶の角度から、2 θの所であるため、そこに検出器を置く。なお、分光結晶の材料によって得 られる波長域は決まっているので表 3.1 に記しておく。 12 3.1.2 X 線発生装置について X 線は、真空中で加速した熱電子をターゲットの金属に衝突させることで発生 させる。蛍光 X 線分析装置で一般的に用いられるX線管(管球)は内部を真空 で封じきった封入管と呼ばれるタイプである。基本的には電子を発生させるフ ィラメント(陰極)と X 線を発生させるターゲットを取り付けた陽極(対陰極、 アノード)からなる 2 極真空管であり、これらをガラスやセラミック製の容器 内で高真空(約 0.035mPa)に密封し、X 線を透過するベリリウムの薄膜を張っ た X 線の取り出し口(窓)を設けた構造をしている。(図 3.1) 図3.3 X線発生源 13 図3.4 蛍光X線分析装置 14 3.1.2 検出器について EDX(エネルギー分散型分光法)に用いられる半導体検出器は図 3.3 のような 構造になっている。用いられている回路はPINダイオードである。PINダ イオードの特徴は、逆バイアス電圧によって真性領域になっている i 層に蛍光X 線を照射することによって内部に入った蛍光X線は、エネルギーを失いながら、 多量の電子や正孔を生成する。この電子−正孔対の生成量は、蛍光X線のエネ ルギーによって決まっていてそのエネルギー固有の値によってどの元素のエネ ルギーによる蛍光X線かが分かる。またその電子は、N 層に、正孔はP層に流 れていくことによって電流パルスを生成する。なお生成された電子−正孔対の 移動度は逆バイアス電圧により、光―電流変換効率が良くなっている。 15 図 3.6 半導体検出器 16 第四章 4.1 実験結果 スペクトル分析の結果について 今回実験で分析したのは、岐阜県のアミューズメント施設で拾ってきたいろい ろな色の鉱石であり全部で五個である。特徴としては、sample1 については、 外見は、黒い色と黄土色である。Sample2 については、外見は白色と青色と赤 色である。また Sample3 は、外見は、白色と青色である。Sample4 は、外見は、 黒色と黄土色であるが光沢がある。Sample5 は、外見が茶色と白色である。 sample1 sample1のスペクトル 強度(カウント) 3000 Fekα 2500 2000 1500 Cukα FekΒ Gakα 1000 kkα 500 kkΒ Tikα 0 0 5 10 X線のエネルギー(keV) 17 15 20 sample2 sample2のスペクトル 7000 強度(カウント) 6000 5000 Cakα 4000 3000 2000 Srkα Fekα 1000 0 0 5 10 X線のエネルギー(keV) 18 15 20 sample2のスペクトル2 1000 Srkα Gakα Askα Znkα 強度(カウント) 800 Cakα Fekα Cukα 600 Zrkα 400 200 0 0 5 10 X線のエネルギー(keV) sample3 19 15 20 sample3のスペクトル1 800 Cakα 強度(カウント) 600 400 Fekα Gakα Sekα Cukα Krkα Srkα 200 0 0 5 10 sample2 X線のエネルギー(keV) sample4 20 15 20 強度(カウント) sample4のスペクトル1 20000 18000 16000 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 Fekα FekΒ 0 5 10 X線のエネルギー(keV) 15 20 15 20 sample4のスペクトル2 強度(カウント) 500 400 Crkα Cukα 300 Znkα Vkα 200 Askα Sikα 100 0 0 5 10 X線のエネルギー(keV) 21 sample5 sample5のスペクトル 15000 強度(カウント) 12000 Cakα 9000 6000 Mnkα Fekα 3000 Cokα 0 0 5 10 X線のエネルギー(keV) 22 15 20 sample5のスペクトル2 強度(カウント) 800 600 Cukα Gekα 400 Pkα 200 0 0 5 10 X線のエネルギー(keV) 23 15 20 第五章 考察および結論 5 個の鉱石を分析し、比較検討した結果、共通していたことは、黒っぽい鉱石は どれも Fe の元素が確認されたことである。また白っぽい鉱石はどれも Ca の元 素が確認されたことである。 またなぜ鉱石は、色による元素の違いが出るのかというと、要因の一つとして 可視光は、元素によって反射する波長域、吸収される波長域がありその影響が 色の違いとなって出てくるためと考えられるからである。 なお、この実験を行なったのは、大気中のため軽元素でのスペクトルが検出で きにくい。そのためどのデータでも見られる低エネルギーでのスペクトルはノ イズであると考えることができる。 また鉱石によっては、もっとも多く含まれているはずの Si のスペクトルが検出 できなかった結果があったが、その理由は、半導体検出器が本質的に持ってい る低エネルギーの X 線に対して弱いという欠点のためである。 24 謝辞 今回の論文を作成するにあたり、ご親切な指導を頂きました高知工 科大学電子・光システム工学科、成沢忠教授に感謝の意を表します。 心より感謝いたします。 また高知工科大学総合研究所の根引拓也助手には、本研究において さまざまな助言、ご指導を頂きました。心より感謝いたします。 25 参考文献 エネルギー分散型 X 線分析‐半導体検出器の使い方 学会出版センター 蛍光 X 線分析の実際 合志陽一、佐藤公隆 日本分析化学会 X 線分析研究懇談会 中井泉 X 線分光分析 内田老鶴圃 加藤誠軌 26